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技術 コアシェル粒子およびその利用

出願人 株式会社ノリタケカンパニーリミテド
発明者 渡邉慶樹加藤敬子
出願日 2019年3月28日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-062379
公開日 2020年10月1日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-158864
状態 未査定
技術分野 粉末冶金 導電材料 非絶縁導体 電線ケーブルの製造(1)
主要キーワード 粉体材料中 シェル金属 固着度 元素マッピング像 パラジウム被覆 シェル表面 SEM径 水平フェレ径
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重要な関連分野

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図面 (13)

課題

固着による二次粒子の形成を適切に抑制することによって、コアシェル粒子粒子径サブミクロン領域に制御された貴金属コアシェル粒子を効率良く得ることができる技術を提供すること。

解決手段

ここで開示される主構金属元素が相互に異なるコア粒子シェルとを有するコアシェル粒子の製造方法では、第1の金属からなるコア粒子、ヒドロキノン(HQ)、ベンゾキノン(BQ)、およびシェルを構成するための第2の金属元素を有する第2金属化合物を少なくとも含むキノン含有コア粒子分散液を用意し、該キノン含有コア粒子分散液に、還元剤を添加して還元処理を行うことによって該コア粒子の表面に第2の金属元素を主構成元素とするシェルを形成する。ここで、添加されるヒドロキノン(HQ)とベンゾキノン(BQ)の質量比:HQ/BQ比は0.1〜120である。

概要

背景

近年、種々の産業分野において、機能性の付与やコスト削減などの観点からコアシェル粒子が用いられている。例えば、導体ペースト導電ペーストともいう。)や触媒などの分野においては、銀(Ag)を主構金属元素とするAgコアの表面に、パラジウム(Pd)を主構成金属元素とするPdシェル被覆部)が形成されたAgPdコアシェル粒子の開発が進められている。以下の特許文献1には、塩化アンミン銀水溶液還元剤を加えて銀粒子を形成した後、該銀粒子にパラジウムを被覆してパラジウム被覆銀粉を製造する方法が記載されている。

ところで、近年の電子部品の小型化や電極薄層化などの要請に伴い、電極膜等を形成するためのペースト状(スラリー状)組成物である導体ペースト用の粉体材料に関しては、該粉体材料中の主成分たる金属粒子粒子径がより小さく、且つ、シャープな粒度分布を有していることが求められている。このため、Ag、Pd等の貴金属、或いはNi等の卑金属構成金属元素とするコアシェル粒子を導体ペースト用の粉体材料の主成分として使用する場合には、シャープな粒度分布を維持しつつ当該コアシェル粒子の粒子径をサブミクロン領域に制御することが重要視されている。

しかし、従来の方法でこの種のコアシェル粒子を製造すると、製造後のコアシェル粒子(典型的には一次粒子)同士の凝集や連結(ネッキング)が生じ、粒径の大きな凝集塊や連結(ネッキング)塊などの二次粒子が多量に形成されてしまうことがあった。かかる二次粒子は、複数の一次粒子同士がシェルを介して固着されており、解砕できないほど強固であるため、得られた二次粒子の粒径は一次粒子のコアの粒径に比べて著しく大きくなり、かつ、粒径のばらつきが大きくなる原因になる。さらにシェル比率が高くなるほど、シェルを介した連結が発生しやすくなり、固着を抑制するのがより困難になる。例えば、特許文献1に開示される技術では、Pdシェルによる連結自体を抑制することが困難である。
固着、凝集を抑制するためには、コア粒子からなる粉体を所定のシェル形成用溶液中によく分散させたうえでシェル(被覆部)を形成することが好ましいと考えられるが、分散剤を用いてコア粒子を分散させた場合、コア粒子表面吸着した分散剤がシェル形成阻害する虞がある。その一方で、コア粒子表面にシェルが形成された場合には、そのことによってコア粒子表面に吸着した分散剤の機能が損なわれ、結果的に分散性が低下してしまう虞がある。

他方、粉体材料に含まれる金属粒子の粒子径を小さくするための技術が非特許文献1に提示されている。かかる非特許文献1には、ポリビニルピロリドンPVP)の存在下で金属粒子(Rh、Pdなど)を析出させることによって、表面がPVPによって保護された金属超微粒子を生成する技術が開示されている。また、PVPをコアシェル粒子の製造に用いる技術が非特許文献2、3に開示されている。例えば、非特許文献2では、先ず、硝酸銀とPVPとを溶解させた溶液を調製し、当該溶液からAgを析出させてAgコア粒子を生成している。そして、このAgコア粒子を含む分散液に硝酸パラジウムを溶解させた後に、Pdを析出させることによってAgコア粒子の表面にPdシェルを形成している。この非特許文献2では、かかる手順で得られたAgPdコアシェル粒子の平均粒径が約5.0nmである旨が記載されている。

概要

固着による二次粒子の形成を適切に抑制することによって、コアシェル粒子の粒子径がサブミクロン領域に制御された貴金属コアシェル粒子を効率良く得ることができる技術を提供すること。ここで開示される主構成金属元素が相互に異なるコア粒子とシェルとを有するコアシェル粒子の製造方法では、第1の金属からなるコア粒子、ヒドロキノン(HQ)、ベンゾキノン(BQ)、およびシェルを構成するための第2の金属元素を有する第2金属化合物を少なくとも含むキノン含有コア粒子分散液を用意し、該キノン含有コア粒子分散液に、還元剤を添加して還元処理を行うことによって該コア粒子の表面に第2の金属元素を主構成元素とするシェルを形成する。ここで、添加されるヒドロキノン(HQ)とベンゾキノン(BQ)の質量比:HQ/BQ比は0.1〜120である。

目的

)を製造する場合の従来の問題点に鑑みて創出されたものであり、その主な目的は、コアシェル粒子の収率を低下させることなく、固着による二次粒子の形成を適切に抑制することによって、コアシェル粒子の粒子径がサブミクロン領域に制御されたコアシェル粒子を効率良く得ることができる技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

主構金属元素が相互に異なるコア粒子と該コア粒子の少なくとも一部を被覆するシェルとを有する金属コアシェル粒子により実質的に構成される粉体材料であって、該粉体材料を所定の媒体に分散した状態で測定した場合において、動的光散乱(DLS)法に基づくZ平均粒子径DDLS)と、電界放出型走査電子顕微鏡像(FE−SEM像)に基づく平均粒子径(DSEM)との比であるDDLS/DSEMが2以下である、粉体材料。

請求項2

前記コアシェル粒子の表面には、ヒドロキノン(HQ)およびベンゾキノン(BQ)の両方が付着しており、該ヒドロキノン(HQ)とベンゾキノン(BQ)の質量比:HQ/BQ比が0.1〜120である、請求項1に記載の粉体材料。

請求項3

該粉体材料を所定の媒体に分散した状態で測定した場合において、動的光散乱法に基づくZ平均粒子径(DDLS)が0.1μm〜2μmであり、且つ、動的光散乱法に基づく多分散指数PDI)が0.3以下である、請求項1または2に記載の粉体材料。

請求項4

前記コア粒子は、銀(Ag)を主構成金属元素として構成されており、前記シェルは、少なくとも一種白金族に属する金属またはニッケル(Ni)を主構成金属元素として構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉体材料。

請求項5

前記粉体材料に含まれるコアシェル粒子全体の質量を100mass%としたときのシェルが占める質量割合は、0.5〜45mass%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粉体材料。

請求項6

請求項1〜5のいずれか一項に記載の粉体材料と、該粉体材料を分散させる媒体と、を備える、導体ペースト

請求項7

主構成金属元素が相互に異なるコア粒子と該コア粒子の少なくとも一部を被覆するシェルとを有するコアシェル粒子を製造する方法であって、第1の金属からなるコア粒子、ヒドロキノン(HQ)、ベンゾキノン(BQ)、および前記シェルを構成するための第2の金属元素を有する第2金属化合物を少なくとも含むキノン含有コア粒子分散液を用意する工程;前記キノン含有コア粒子分散液に、還元剤を添加して還元処理を行うことにより、前記コア粒子の表面に第2の金属元素を主構成元素とするシェルを形成する工程;を包含し、ここで前記添加されるヒドロキノン(HQ)とベンゾキノン(BQ)の質量比:HQ/BQ比が0.1〜120である、製造方法。

請求項8

前記コア粒子は、銀(Ag)を主構成金属元素として構成され、前記シェルは、少なくとも一種の白金族に属する金属またはニッケル(Ni)を主構成金属元素として構成される、請求項7に記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、主構金属元素が相互に異なるコアシェル被覆部)とを有する金属コアシェル粒子とその製造方法に関する。さらに本発明は、かかる金属コアシェル粒子を主体に構成される粉体材料および該粉体材料が媒体中に分散されたペースト状(スラリー状)の材料に関する。

背景技術

0002

近年、種々の産業分野において、機能性の付与やコスト削減などの観点からコアシェル粒子が用いられている。例えば、導体ペースト導電ペーストともいう。)や触媒などの分野においては、銀(Ag)を主構成金属元素とするAgコアの表面に、パラジウム(Pd)を主構成金属元素とするPdシェル(被覆部)が形成されたAgPdコアシェル粒子の開発が進められている。以下の特許文献1には、塩化アンミン銀水溶液還元剤を加えて銀粒子を形成した後、該銀粒子にパラジウムを被覆してパラジウム被覆銀粉を製造する方法が記載されている。

0003

ところで、近年の電子部品の小型化や電極薄層化などの要請に伴い、電極膜等を形成するためのペースト状(スラリー状)組成物である導体ペースト用の粉体材料に関しては、該粉体材料中の主成分たる金属粒子粒子径がより小さく、且つ、シャープな粒度分布を有していることが求められている。このため、Ag、Pd等の貴金属、或いはNi等の卑金属構成金属元素とするコアシェル粒子を導体ペースト用の粉体材料の主成分として使用する場合には、シャープな粒度分布を維持しつつ当該コアシェル粒子の粒子径をサブミクロン領域に制御することが重要視されている。

0004

しかし、従来の方法でこの種のコアシェル粒子を製造すると、製造後のコアシェル粒子(典型的には一次粒子)同士の凝集や連結(ネッキング)が生じ、粒径の大きな凝集塊や連結(ネッキング)塊などの二次粒子が多量に形成されてしまうことがあった。かかる二次粒子は、複数の一次粒子同士がシェルを介して固着されており、解砕できないほど強固であるため、得られた二次粒子の粒径は一次粒子のコアの粒径に比べて著しく大きくなり、かつ、粒径のばらつきが大きくなる原因になる。さらにシェル比率が高くなるほど、シェルを介した連結が発生しやすくなり、固着を抑制するのがより困難になる。例えば、特許文献1に開示される技術では、Pdシェルによる連結自体を抑制することが困難である。
固着、凝集を抑制するためには、コア粒子からなる粉体を所定のシェル形成用溶液中によく分散させたうえでシェル(被覆部)を形成することが好ましいと考えられるが、分散剤を用いてコア粒子を分散させた場合、コア粒子表面吸着した分散剤がシェル形成阻害する虞がある。その一方で、コア粒子表面にシェルが形成された場合には、そのことによってコア粒子表面に吸着した分散剤の機能が損なわれ、結果的に分散性が低下してしまう虞がある。

0005

他方、粉体材料に含まれる金属粒子の粒子径を小さくするための技術が非特許文献1に提示されている。かかる非特許文献1には、ポリビニルピロリドンPVP)の存在下で金属粒子(Rh、Pdなど)を析出させることによって、表面がPVPによって保護された金属超微粒子を生成する技術が開示されている。また、PVPをコアシェル粒子の製造に用いる技術が非特許文献2、3に開示されている。例えば、非特許文献2では、先ず、硝酸銀とPVPとを溶解させた溶液を調製し、当該溶液からAgを析出させてAgコア粒子を生成している。そして、このAgコア粒子を含む分散液に硝酸パラジウムを溶解させた後に、Pdを析出させることによってAgコア粒子の表面にPdシェルを形成している。この非特許文献2では、かかる手順で得られたAgPdコアシェル粒子の平均粒径が約5.0nmである旨が記載されている。

0006

特開平8−176605号公報

先行技術

0007

趙斌、戸嶋直樹、高分子論文集、Vol.46(1989)No.9、pp.551
第9回分子科学討論会講演要旨2P077
Nature nanotechnology,6,302(2011)Supplementary information

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、上述した非特許文献2、3に記載の技術を実際に用いると、微小なPd単独粒子が多量に形成され易くなるという問題が生じ得る。具体的には、非特許文献2、3において、FE−SEM、EDX元素マッピングによるAg元素とPd元素の分布状態を確認すると、Pd単独粒子が多量に形成されている。このようなPd単独粒子を多く含む粉体材料からコアシェル粒子のみを取り出すことは極めて困難であるため、上述した非特許文献2、3の方法を実際の製造工程に適用すると、製造後の粉体材料に含まれるコアシェル粒子の割合(コアシェル粒子の収率)が大きく低下し、ひいては、コアシェル粒子特有の特性が十分に発揮されなくなり、また、製造効率の低下を招く虞がある。

0009

そこで本発明は、上述したような主構成金属元素が相互に異なるコアとシェルとを有する金属コアシェル粒子(以下、単に「コアシェル粒子」ともいう。)を製造する場合の従来の問題点に鑑みて創出されたものであり、その主な目的は、コアシェル粒子の収率を低下させることなく、固着による二次粒子の形成を適切に抑制することによって、コアシェル粒子の粒子径がサブミクロン領域に制御されたコアシェル粒子を効率良く得ることができる技術を提供することである。さらには、かかるコアシェル粒子を主体に構成される粉体材料、ならびに該粉体材料が所定の分散媒に分散されたペースト状(スラリー状)の材料を提供することである。

課題を解決するための手段

0010

上述した目的を実現するべく、本発明は、主構成金属元素が相互に異なるコア粒子と該コア粒子の少なくとも一部を被覆するシェルとを有する金属コアシェル粒子、ならびに該コアシェル粒子により実質的に構成される粉体材料を提供する。
ここで開示される粉体材料は、該粉体材料を所定の媒体(典型的には水、ジメチルホルムアミドDMF)、エチレングリコール(EG)、イソボロニルアセテート(IBA)等が挙げられる。以下同じ。)に分散した状態で測定した場合において、動的光散乱(DLS)法に基づくZ平均粒子径DDLS)と、電界放出型走査電子顕微鏡像(FE−SEM像)に基づく平均粒子径(DSEM)との比であるDDLS/DSEMが2以下であることを特徴とする。

0011

ここで「実質的に構成される」とは、金属コアシェル粒子の存在比率が顕著であることをいい、典型的には、粉体材料を構成する粒子全体の80個数%以上、さらに好ましくは90個数%以上(さらには95個数%以上)が、金属コアシェル粒子であることをいう。
かかるDDLS/DSEMは、粉体材料に含まれるコアシェル粒子(ここでは集合体を意味する)の固着の度合い、換言すれば分散性を示す好適な指標の一つといえる。かかるDDLS/DSEM(以下「固着度」ともいう。)が2以下であることを特徴とする粉体材料は、良好な分散性を示すため、特に微細な電極等の導体形成用途、あるいは、貴金属触媒原料として良好に用いることができる。かかるDDLS/DSEMは、1.6以下であることがより好ましく、1.2以下であることが特に好ましい。

0012

ここで開示される好適な一態様の粉体材料では、上記コアシェル粒子の表面には、ヒドロキノン(HQ)およびベンゾキノン(BQ)の両方が付着していることを特徴とする。
後述する製造方法のように、ヒドロキノンおよびベンゾキノンが共存する状態でコア粒子の表面にシェルを形成することにより、上記固着度が2以下である分散性のよい粉体材料(コアシェル粒子の集合体)を提供することができる。
コアシェル粒子の表面に付着しているヒドロキノン(HQ)とベンゾキノン(BQ)の質量比:HQ/BQ比が0.1〜120であることが好ましい。かかる範囲の割合でヒドロキノン(HQ)とベンゾキノン(BQ)を有するコアシェル粒子からなる粉末材料は、特に良好な分散性を実現することができる。かかるHQ/BQ比は、1〜100であることがより好ましく、20〜90であることが特に好ましい。

0013

また、特に好適な一態様の粉体材料は、該粉体材料を所定の媒体に分散した状態で測定した場合において、動的光散乱法に基づくZ平均粒子径(DDLS)が0.1μm〜2μmであり、且つ、動的光散乱法に基づく多分散指数PDI)が0.3以下であることを特徴とする。
ここで開示される粉体材料では、このような粒子径が小さく且つ粒度分布が狭く制御されているコアシェル粒子の集合体であっても、凝集やネッキングが抑制され、粒径の大きな凝集塊や連結塊が形成され難いため、特に微細な電極等の導体形成用途、あるいは、貴金属触媒の原料として特に好適に用いることができる。
DDLSは、0.1μm〜1μmであることがより好ましく、0.2μm〜0.8μmであることが特に好ましい。一方、PDIは、0.25以下であることがより好ましく、0.2以下であることが特に好ましい。

0014

好適な一態様では、上記コア粒子は、Agを主構成金属元素として構成されており、上記シェルは、少なくとも一種白金族に属する金属(ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt))またはニッケル(Ni)を主構成金属元素として構成されている。ここで開示される技術によると、コアがAgでシェルが白金族金属元素(例えば、白金やパラジウム)またはニッケル元素を主体とするコアシェル粒子で構成された高分散性の粉体材料を提供することができる。
例えば、粉体材料に含まれるコアシェル粒子全体の質量を100mass%としたときのシェルが占める質量割合が0.5〜45mass%であるような、高分散性の粉体材料を提供することができる。

0015

ここで開示される粉体材料は、種々の産業分野において好適に使用できるが、なかでも特に好適な用途として近年の小型化した電子部品の電極(導体)を形成することが挙げられる。したがって、本発明はまた、ここで開示されるいずれかの粉体材料と、該粉体材料を分散させる媒体と、を備える導体ペースト(ペースト状組成物)を提供することができる。

0016

また、上述した目的を実現するべく、本発明は、ここで開示される粉体材料を好適に製造する方法を提供する。ここで開示される製造方法は、主構成金属元素が相互に異なるコア粒子と該コア粒子の少なくとも一部を被覆するシェルとを有する金属コアシェル粒子を製造する方法であって、
第1の金属からなるコア粒子、ヒドロキノン(HQ)、ベンゾキノン(BQ)、および上記シェルを構成するための第2の金属元素を有する第2金属化合物を少なくとも含むキノン含有コア粒子分散液を用意する工程;
上記キノン含有コア粒子分散液に、還元剤を添加して還元処理を行うことにより、上記コア粒子の表面に第2の金属元素を主構成元素とするシェルを形成する工程;
包含する製造方法である。

0017

本発明者は、コア粒子の表面にシェルを形成する際に、ヒドロキノン(C6H4(OH)2)とベンゾキノン(C6H4O2:2種類の構造異性体を区別しない。o−ベンゾキノン、p−ベンゾキノンのいずれでもよい。)を共存させておくことによって、シェルを選択的にコア粒子の表面に析出、形成し得ることを見出した。これにより、高収率に所望のコアシェル粒子を形成し得るとともに、コアシェル粒子相互の固着、凝集を抑制し、結果、分散性が高く、粒子径の小さいコアシェル粒子により実質的に構成される粉体材料を好適に製造することができる。

0018

上記添加されるヒドロキノン(HQ)とベンゾキノン(BQ)の質量比:HQ/BQ比が0.1〜120であることが好ましい。
かかるHQ/BQ比に設定することにより、ここで開示される粉体材料をより好適に製造することができる。

0019

好ましい一態様では、コア粒子は、銀(Ag)を主構成金属元素として構成され、シェルは、少なくとも一種の白金族に属する金属またはニッケル(Ni)を主構成金属元素として構成される。
かかる構成の製造方法では、コアがAgでシェルが白金族金属元素(例えば、PtやPd)またはニッケル元素を主体とするコアシェル粒子で構成された高分散性の粉体材料を提供することができる。

図面の簡単な説明

0020

実施例1−1の粉体材料についてのFE−SEM像ならびにEDX元素マッピング像であり、左側がFE−SEM像、右側がPdの元素マッピング像である。
実施例1−2の粉体材料についてのFE−SEM像ならびにEDX元素マッピング像であり、左側がFE−SEM像、右側がPdの元素マッピング像である。
実施例1−3の粉体材料についてのFE−SEM像ならびにEDX元素マッピング像であり、左側がFE−SEM像、右側がPdの元素マッピング像である。
実施例1−4の粉体材料についてのFE−SEM像ならびにEDX元素マッピング像であり、左側がFE−SEM像、右側がPdの元素マッピング像である。
実施例1−5の粉体材料についてのFE−SEM像ならびにEDX元素マッピング像であり、左側がFE−SEM像、右側がPdの元素マッピング像である。
実施例2−1の粉体材料についてのFE−SEM像ならびにEDX元素マッピング像であり、左側がFE−SEM像、右側がPdの元素マッピング像である。
実施例2−2の粉体材料についてのFE−SEM像ならびにEDX元素マッピング像であり、左側がFE−SEM像、右側がPdの元素マッピング像である。
実施例2−3の粉体材料についてのFE−SEM像ならびにEDX元素マッピング像であり、左側がFE−SEM像、右側がPdの元素マッピング像である。
実施例2−4の粉体材料についてのFE−SEM像ならびにEDX元素マッピング像であり、左側がFE−SEM像、右側がPdの元素マッピング像である。
実施例3−1の粉体材料についてのFE−SEM像ならびにEDX元素マッピング像であり、左側がFE−SEM像、右側がPtの元素マッピング像である。
実施例3−2の粉体材料についてのFE−SEM像ならびにEDX元素マッピング像であり、左側がFE−SEM像、右側がPtの元素マッピング像である。
実施例3−3の粉体材料についてのFE−SEM像ならびにEDX元素マッピング像であり、左側がFE−SEM像、右側がNiの元素マッピング像である。

実施例

0021

以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、所定の数値範囲をA〜B(A、Bは任意の数値)と記すときは、A以上B以下の意味である。したがって、Aを上回り且つBを下回る場合を包含する。

0022

ここで開示される粉体材料は、主構成金属元素が相互に異なるコア粒子と該コア粒子の少なくとも一部を被覆するシェルとを有する金属コアシェル粒子、ならびに該コアシェル粒子により実質的に構成される粉体材料であって、該粉体材料を所定の媒体に分散した状態で測定した場合において、動的光散乱(DLS)法に基づくZ平均粒子径(DDLS)と、電界放出型走査電子顕微鏡像(FE−SEM像)に基づく平均粒子径(DSEM)との比であるDDLS/DSEMが2以下であることを特徴とする。
このような特性を示すコアシェル粒子の集合体(粉体材料)は、ここで開示される製造方法により好適に製造することができる。以下、かかる製造方法の好適な実施形態について説明する。

0023

ここで開示される製造方法では、所定の金属からなるコア粒子と、ヒドロキノンと、ベンゾキノンと、シェルを構成するための金属化合物とを少なくとも含むキノン含有コア粒子分散液を用意する。そして、その分散液に、所定の還元剤を添加することにより還元処理を行う。このことによって、該コア粒子の表面にコア粒子とは別種の金属元素を主体とするシェルを形成する製造方法である。
キノン含有コア粒子分散液の主体をなすコア粒子の分散液は、特に制限なく種々の方法で用意すればよい。例えば、市販される金属粒子(粉体材料)を水系溶媒に分散させて得たコア粒子の分散液を用いてもよい。

0024

或いは、所定の金属からなるコア粒子を所定の溶液中に生成することにより、コア粒子分散液を調製してもよい。例えば、好ましい一態様として、Ag等の所定の金属からなるコア粒子を調製するプロセスとして、当該金属元素を含む化合物を溶解したコア粒子生成用溶液を調製し、次いで該溶液に対して還元処理を行うことによって、該溶液中に当該金属からなるコア粒子を生成することができる。ここで用いられる化合物は、使用する溶液中で還元処理を行うことによってコア粒子を生成できるものであればよい。当該金属(例えばAg)の塩又は錯体を好ましく用いることができる。塩としては、例えば、塩化物臭化物ヨウ化物などのハロゲン化物や、水酸化物硫化物硫酸塩、硝酸塩、等が挙げられる。錯体としては、アンミン錯体シアノ錯体ハロゲノ錯体、ヒドロキシ錯体、等が挙げられる。
上述したような化合物を溶解する溶媒は、水系溶媒でもよいし、有機系溶媒であってもよい。水系溶媒としては、水や水を主体とする混合液(例えば、水とエタノール等の低級アルコールとの混合溶液)を用いることができる。一方、有機系溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類、若しくは、アセトンメチルケトンのようなケトン類、若しくは、酢酸エチルのようなエステル類、等を用いることができる。

0025

コア粒子生成用溶液中の金属化合物の含有量は目的に応じて異なり得るため特に限定されない。一例であるが、溶媒が水その他の水系溶媒(例えば水とエタノールの混合溶媒)である場合には、金属化合物のモル濃度が0.1M〜3M程度になるように使用する溶液を調製することが好ましい。かかる溶液を調製する際、金属化合物と溶媒の他に種々の添加剤を加えることができる。かかる添加剤としては、例えば、錯化剤が挙げられる。錯化剤には、例えば、アンモニア水シアン化カリウム、等を用いることができる。この錯化剤を適量加えることにより、所望の金属元素が中心金属イオンとなった錯体を液中で容易に形成することができる。これによって、その後の還元処理によって目的の金属コア粒子を容易に生成することができる。コア粒子生成用溶液を調製する際、一定の範囲内に温度条件を維持しながら攪拌するとよい。このときの温度条件としては、20℃〜60℃(より好ましくは30℃〜50℃)程度であるとよい。また、攪拌の回転速度は、100rpm〜1000rpm(より好ましくは300rpm〜800rpm、例えば500rpm)程度であるとよい。

0026

このように調製したコア粒子生成用溶液中に適当な還元剤を添加して還元処理することによって目的の金属コア粒子を生成する。ここで還元剤の好適例として、ヒドロキノンが挙げられる。また、ヒドロキノンに加えてポリビニルピロリドン(PVP)を含むように調製されることが好ましい。ヒドロキノンに加えてPVPを含むことによって、コア粒子をより効率良く生成することができる。ヒドロキノン、PVP以外の還元剤を共存させてもよい。例えば、炭酸ヒドラジン、ヒドラジン、ヒドラジン一水和物フェニルヒドラジン等のヒドラジン化合物を併用することが好ましい。還元剤の添加量は、反応系の状態に合わせて適切に設定すればよいため、特に制限はない。また、還元剤の濃度を適宜調整することにより、金属コア粒子の粒子径(ひいてはコアシェル粒子の粒子径)を制御することができる。一般的には、還元剤の濃度を高くすることにより、コア粒子の粒子径(ひいてはコアシェル粒子の粒子径)を小さくすることができる。また、還元処理の際に、コア粒子生成用溶液にpH調整剤を添加して、pHを8以上、例えば9〜11程度に調整することが好ましい。ここで、pH調整剤には、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、アンモニア水、その他の塩基性物質を用いることができる。還元処理時間は、適宜設定することができる。特に制限はないが、例えば、0.5時間〜3時間程度が好ましい。

0027

上記のような還元処理によって生成したコア粒子の回収は、従来と同様でよく、特に制限はない。好ましくは、液中に生成したコア粒子を沈降させ、あるいは遠心分離して上澄みを除去する。好ましくは複数回の洗浄後、適当な分散媒中に回収したコア粒子を分散することにより、所望する金属コア粒子の分散液として回収することができる。

0028

ここで開示される製造方法では、次に、金属コア粒子、ヒドロキノン、ベンゾキノン、および上記シェルを構成するための主構成金属元素がコアとは異なる金属化合物を少なくとも含むキノン含有コア粒子分散液を用意する。
例えば、好ましい一態様として、Ag等の所定の金属からなるコア粒子を水系溶媒に分散させて得たコア粒子分散液に対して、所定量のヒドロキノンおよびベンゾキノンを添加し、さらにシェルを構成する金属元素(例えばPd等の白金族に属する貴金属元素やNi)を含むシェル形成用原料化合物を溶解した溶液を添加することにより、キノン含有コア粒子分散液を調製することができる。かかるキノン含有コア粒子分散液は、コア粒子の分散液であるため、調製時に超音波処理等の分散処理を行うことが当該分散液の均質化という観点から好ましい。なお、キノン含有コア粒子分散液の調製に使用する溶媒(分散媒)、添加剤、調製プロセス等は、上述したコア粒子生成用溶液を調製する場合とほぼ同様でよいため、重複した説明は省略する。

0029

キノン含有コア粒子分散液を構成する各種成分の含有量(含有割合)は、目的のコアシェル粒子の生成に適する限りにおいて適宜調整すればよく、特に限定するものではない。例えば、キノン含有コア粒子分散液中のコア粒子含有量が20g/L〜50g/L程度である場合、ヒドロキノンの含有量は、0.1g/L〜5g/L(より好ましくは0.2g/L〜3g/L)程度が好ましく、ベンゾキノンの含有量は、0.001g/L〜3g/L(より好ましくは0.002g/L〜1.5g/L)程度が好ましい。キノン含有コア粒子分散液中のコア粒子含有量が20g/L〜50g/L程度である場合、上記2種のキノンの合計量が0.2g/L〜4g/L程度が適当である。
好ましくは、添加されるヒドロキノン(HQ)とベンゾキノン(BQ)の質量比であるHQ/BQ比が0.1〜120程度が好ましい。HQ/BQ比がこのような範囲内にあると、分散性が特に良好なコアシェル粒子の粉体材料を製造することができる。

0030

Pdその他の白金族金属元素、金(Au)等の貴金属元素、Ni等の卑金属元素を主体とするシェル形成用原料化合物は、使用するキノン含有コア粒子分散液中で還元処理を行うことによってコア粒子の表面にシェルを形成できるものであればよい。当該金属(例えばPtやPd、或いはNi等の卑金属)の塩又は錯体を好ましく用いることができる。塩としては、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物や、水酸化物、硫化物、硫酸塩、硝酸塩、等が挙げられる。錯体としては、アンミン錯体、シアノ錯体、ハロゲノ錯体、ヒドロキシ錯体、等が挙げられる。

0031

キノン含有コア粒子分散液に含まれるシェル形成用原料化合物の含有量は、目的に応じて異なり得るため、特に限定されない。例えば、キノン含有コア粒子分散液中に含まれるコア粒子を構成する第1の金属とシェルを構成する第2の金属との質量比(コア/シェル比)は、60/40〜95/5程度であれば、第2金属化合物の使用量を抑制しつつ十分に高い被覆率のシェルを備えるコアシェル粒子を形成することができる。

0032

このように調製したキノン含有コア粒子分散液には、還元剤として作用するヒドロキノンが含まれているが、短時間で効果的な還元処理を行うには、他の還元剤をさらに添加することが好ましい。そのような還元剤として、例えば炭酸ヒドラジン、ヒドラジン、ヒドラジン一水和物、フェニルヒドラジン等のヒドラジン化合物を併用することが好ましい。或いは、酒石酸クエン酸アスコルビン酸などの有機酸およびその塩(酒石酸塩クエン酸塩アスコルビン酸塩、等)、或いは、水素化ホウ素ナトリウム等を併用してもよい。
このような併用する還元剤の添加量は、反応系の状態に合わせて適切に設定すればよいため、特に制限はない。還元処理の際に、キノン含有コア粒子分散液にpH調整剤を添加して、pHを8以上、例えば9〜11程度に調整することが好ましい。ここで、pH調整剤には、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、アンモニア水、その他の塩基性物質を用いることができる。還元処理時間は、適宜設定することができる。特に制限はないが、例えば、5分〜2時間程度が好ましい。

0033

還元処理によって生成したコアシェル粒子の回収は、上述した金属コア粒子を還元処理後の液中から回収する場合と同様でよく、特に制限はない。好ましくは、液中に生成したコアシェル粒子を沈降させ、あるいは遠心分離して上澄みを除去する。さらに好ましくは、純水やアルコール類による複数回の洗浄後、乾燥処理、適当な解砕処理等を施すことにより、粉体材料として回収することができる。
また、適当な分散媒中に回収したコアシェル粒子(粉体材料)を分散させることにより、所望するコアシェル粒子の分散液を調製することができる。
また、さらにバインダ等の成分を添加することにより、ペースト(スラリー)状組成物(例えば電極膜等を形成するための導体ペースト)を調製することができる。

0034

ここで開示される製造方法では、上記のとおり、ヒドロキノンおよびベンゾキノンが混在した反応系において、還元処理によりシェルをコア粒子の表面に析出させる。このことにより、シェルの析出過程において、シェルを構成する金属とヒドロキノンおよびベンゾキノンとの相互作用により、シェル析出が調整され得る。したがって、シェル形成用原料化合物由来の金属または金属化合物は、それ自体の単独粒子を形成することなく、コア粒子の表面に効率よく析出し、さらにコアシェル粒子相互の固着、凝集を抑制することができる。

0035

以上の工程を経て、ここで開示される粉体材料、即ち金属コアシェル粒子の粉体を好適に製造することができる。また、かかるAgPdコアシェル粒子から実質的に構成される粉体材料を提供することができる。例えば、Agを主構成金属元素とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するPdその他の白金族の金属を主構成金属元素とするシェルとからなるコアシェル粒子であって、該コアシェル粒子の表面にヒドロキノンとベンゾキノンの両方が付着したコアシェル粒子(例えばAgPdコアシェル粒子)からなる粉体材料を提供することができる。
好ましくは、粉体材料に含まれるコアシェル粒子全体の質量を100mass%としたときのシェルが占める質量割合が0.5〜45mass%である。このような割合の粉体材料は、高い分散性を実現することができる。かかる質量割合は、1〜40mass%であることがさらに好ましく、3〜30mass%であることが特に好ましい。

0036

コア粒子は、所定の第1の金属(例えばAgその他の貴金属)を主構成金属元素とするものであればよく、当該第1の金属以外の構成要素(構成元素)の存在を否定するものではない。例えば、コア粒子に含まれる全ての金属元素の物質量を100mol%とした場合、第1の金属(例えばAg)の物質量は、90mol%〜100mol%であるとよく、95mol%〜100mol%であると好ましい。例えば、第1の金属元素がAgである場合には、それ以外にコア粒子に含まれ得る金属元素としては、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、金(Au)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、等が挙げられる。これらの中でも、Pd、Pt等の白金族元素やNiが適当である。金属成分以外に酸化物、硫化物、リン化物ホウ化物などの成分がコア粒子に若干量含まれていてもよい。

0037

特に限定するものではないが、コア粒子の形状は略球形が好ましく、その平均粒子径は、例えば、100nm〜2000nm程度が適当であり、100nm〜1000nm程度がより好ましい。平均粒子径は種々の方法で測定し得る。
好適には、動的光散乱法(例えばキュムラント法)に基づくZ平均粒子径(DDLS)、走査型電子顕微鏡(SEM)例えば電界放出型走査電子顕微鏡による測定画像(FE−SEM像)に基づく平均粒子径(DSEM)、等が典型例として挙げられる。

0038

ここで開示される粉体材料を構成するコアシェル粒子のシェル(被覆部)は、コア粒子の主構成金属元素(第1の金属元素)以外の金属(第2の金属元素)を主構成金属元素とする被膜部分である。
上述したコア粒子と同様に、シェルには、第2の金属元素(主構成金属元素)以外に種々の金属元素及び/又は非金属元素が含まれていてもよい。特に限定するものではないが、例えば、シェルに含まれる全ての元素の物質量を100mol%とした場合、第2の金属元素(主構成金属元素)の物質量は、30mol%〜100mol%であるとよく、50mol%〜100mol%であると好ましい。例えば、第2の金属元素がPdである場合には、それ以外にシェルに含まれ得る元素としては、Ni、Cu、Al、Fe、Co、Au、Pt、Ru、Ir、In、Zn、Sn、Bi、Sb、P、B、O、N、H等が挙げられる。或いは、第2の金属元素がNiである場合には、それ以外にシェルに含まれ得る元素としては、Cu、Al、Fe、Co、Au、Pd、Pt、Ru、Ir、In、Zn、Sn、Bi、Sb、P、B、O、N、H等が挙げられる。
また、コア粒子がAg粒子であって、シェルを構成する第2の貴金属元素がPd等の白金族元素である場合、コアシェル粒子表面の化学的、熱的安定性の向上やAgコア粒子との馴染みやすさを考慮すると、Pt等のPd以外の白金族元素が適当である。なお、コア粒子部分と同様、酸化物や硫化物などの化合物がシェルに含まれていてもよい。例えば、シェルは、上述したような主構成金属元素以外の元素を含む酸化物、リン化物、ホウ化物、窒化物等の化合物の状態でもよい。
本発明を特に限定するものではないが、シェルの厚みは、例えば0.2nm〜100nmであり得る。

0039

ここで開示される粉体材料は、粒子径が小さく、且つ、所定の媒体に分散した状態において動的光散乱(DLS)法に基づくZ平均粒子径(DDLS)と、電界放出型走査電子顕微鏡像(FE−SEM像)に基づく平均粒子径(DSEM)との比であるDDLS/DSEMが2以下であるような、特に分散性に優れた性質を有するため、電子材料分野において、電子部品の小型化や電極の薄層化に寄与することができる。
また、動的光散乱法に基づくZ平均粒子径(DDLS)が0.1μm〜2μmであり、且つ、動的光散乱法に基づく多分散指数(PDI)が0.3以下であるような比較的平均粒子径が小さく且つ粒度分布が狭く制御されている金属コアシェル粒子から実質的に構成される粉体材料を採用することにより、電極の薄層化、信頼性の向上等を更に好適に進展させることができる。

0040

また、ここで開示される粉体材料を、水系溶媒あるいは有機系溶媒などの分散媒に分散させることにより、種々の用途のペースト状組成物(導体ペースト)を提供することができる。かかる導体ペーストには、粒子径がサブミクロン領域に制御された金属コアシェル粒子が含まれているため、充分に薄層化された電極を好適に形成することができる。
なお、導体ペーストの分散媒は、従来と同様、導電性粉体材料を良好に分散させ得るものであればよく、従来の導体ペースト調製に用いられているものを特に制限なく使用することができる。例えば、有機系溶媒として、ミネラルスピリット等の石油系炭化水素(特に脂肪族炭化水素)、エチルセルロース等のセルロース系高分子、エチレングリコール及びジエチレングリコール誘導体トルエンキシレンブチルカルビトール(BC)、ターピネオール等の高沸点有機溶媒を一種類又は複数種組み合わせたものを用いることができる。
また、導体ペーストには、金属コアシェル粒子の他に、分散剤、樹脂材料(例えば、アクリル樹脂エポキシ樹脂フェノール樹脂アルキド樹脂、セルロース系高分子、ポリビニルアルコールロジン樹脂等)、ビヒクルフィラーガラスフリット界面活性剤消泡剤可塑剤(例えばフタル酸ジオクチル(DOP)等のフタル酸エステル)、増粘剤酸化防止剤、分散剤、重合禁止剤などの添加物が含まれていてもよい。

0041

以下、ここで開示される粉体材料の一例として、Agコア粒子の表面にPd、PtまたはNiを主体とするシェルが形成されたAgPdコアシェル粒子、AgPtコアシェル粒子またはAgNiコアシェル粒子からなる粉体材料の製造と利用に関する実施例をいくつか説明するが、かかる試験例は本発明を限定することを意図したものではない。

0042

<1.粉体材料(実施例および比較例)の製造>
実施例1−1:
(Agコア粒子分散液(Agスラリー)の調製)
硝酸銀(AgNO3:大浦貴金属工業(株)製品)14.23gを、マグネチックスターラーを用いつつ純水136.5mLに撹拌溶解させた。その溶液に28%アンモニア水(和光純薬工業(株)製品)12.5mLを加え、マグネチックスターラーで撹拌し、原料となる銀化合物であるAgアンミン錯体([Ag(NH3)2]+)溶液を調製した。このときの溶液は、無色透明であった。
この溶液とは別に、ヒドロキノン(東京化成工業(株)製品)4.61gとポリビニルピロリドン(PVP)K30(和光純薬工業(株)製品)2.73gを、マグネチックスターラーで撹拌しつつアルコール(甘糟化学産業(株)製品である工業用アルコール)136.5mLに溶かした。その後、ヒドラジン一水和物(和光純薬工業(株)製品)0.164mLを加え撹拌し、還元剤(液)を調製した。
そして、上記Agアンミン錯体溶液をマグネチックスターラーで強く撹拌しながら、還元剤(液)を一気に加え、さらに1分間撹拌を継続した。このとき、還元作用によって瞬時にAgコア粒子が析出(生成)し、溶液が灰色から濃褐色へ変色した。その後、1時間ほど静置して生成したAgコア粒子を沈降させ、上澄みを除去した後、アルコール:純水=1:1(体積比)の混合水系溶媒40mLにAgコア粒子を分散させ、遠心分離(6000rpm、10分)に供した。その後、上澄みを除去する洗浄を2回繰り返し、さらに溶媒を純水40mLに変更して同様の洗浄を1回行った。こうして本実施例に係るAgコア粒子分散液(Agスラリー)を調製した。

0043

(コアシェル粒子の形成と粉体材料の製造)
Agコア粒子9.0g分に相当するAgスラリーに純水244mLを添加し、さらに、ヒドロキノンとベンゾキノンを含む水溶液(以下「キノン液」という。)60mLを添加してマグネチックスターラーで撹拌した。このとき、添加したキノン液をガスクロマトグラフGC)測定したところ、ヒドロキノン濃度は2.45g/L、ベンゾキノン濃度は0.15g/Lであり、HQ/BQ比は16であった。
次に、2.0%アンモニア水にジアンミンジクロロパラジウム(II)を溶解した溶液24.98mL(Pdを1g含むように調製されている。)を加えてマグネチックスターラーで撹拌し、10分間の超音波分散を施した。このスラリーをマグネチックスターラーで撹拌しながら還元剤の炭酸ヒドラジン(大塚化学(株)製品)を2.55mL加え30分間撹拌した。このとき、炭酸ヒドラジン添加後5〜10分ほどで、Pd錯体の還元によるPd析出を示すスラリーの黒変発泡が観察された。さらに、上澄みの蛍光X線(XRF)分析により、Pd錯体が全て還元され析出したことが確認された。

0044

こうして得られたAgPdコアシェル粒子の分散液(スラリー)を1時間以上沈降させ、上澄みを除去した後、純水40mLに分散させ、遠心分離(6000rpm、5分)を行い上澄み除去する洗浄工程を行った。その後、純水をエタノール40mLに変更して同様の洗浄を行った。そして、室温で真空乾燥させた後、乳鉢で解砕して、実施例1−1のAgPdコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。
この乾燥粉体材料にエタノールを加えて撹拌することで表面成分を抽出し、GC測定でHQおよびBQが検出されるまで濃縮した。これをGC測定したところ、HQ/BQ比は15であった。この結果から添加したキノン液中のHQ/BQ比とコアシェル粒子表面のHQ/BQ比はほとんど変わらないことが確認されたため、他の実施例では、キノン液とコアシェル粒子のHQ/BQ比は変わらないとみなした。

0045

実施例1−2:
キノン液がヒドロキノン濃度3.21g/L、ベンゾキノン濃度0.05g/Lで添加量が30mLとした以外は、上記実施例1−1と同じ材料、同じプロセスで実施例1−2のAgPdコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0046

実施例1−3:
AgNO31.42g、純水13.7mL、28%アンモニア水1.3mL、ヒドロキノン0.46g、PVP0.07g、アルコール13.7mL、ヒドラジン一水和物は添加しない、洗浄溶媒量を30mLと変更した以外は、上記実施例1−1と同じ材料、同じプロセスによってAgコア粒子分散液(Agスラリー)を調製した。
次いで、Agコア粒子0.9g分に相当するAgスラリーを使用し、純水24.4mL、キノン液3.0mL、1.0%アンモニア水にジアンミンジクロロパラジウム(II)を溶解した溶液2.5mL(Pdを0.1g含むように調製されている。)、炭酸ヒドラジン0.255mLとした以外は、上記実施例1−1と同じ材料、同じプロセスで実施例1−3のAgPdコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0047

実施例1−4:
AgNO346.90g、純水450mL、28%アンモニア水37mL、ヒドロキノン15.2g、PVP9.0g、アルコール450mL、ヒドラジン一水和物0.108mLを用いたこと、および、洗浄はAgスラリーを3分割して行った以外は、上記実施例1−1と同じ材料、同じプロセスによってAgコア粒子分散液(Agスラリー)を調製した。
次いで、使用したキノン液がヒドロキノン濃度29.90g/L、ベンゾキノン濃度0.26g/Lである以外は、上記実施例1−3と同じ材料、同じプロセスで実施例1−4のAgPdコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0048

実施例1−5:
使用したキノン液がヒドロキノン濃度4.65g/L、ベンゾキノン濃度13.72g/Lである以外は、上記実施例1−4と同じ材料、同じプロセスで実施例1−5のAgPdコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0049

実施例2−1:
(Agコア粒子分散液(Agスラリー)の調製)
AgNO319.24gを、マグネチックスターラーを用いつつ純水150mLに撹拌溶解させた。その溶液に28%アンモニア水16.0mLを加え、マグネチックスターラーで撹拌し、Agアンミン錯体溶液を調製した。このときの溶液は、無色透明であった。
さらに、200mLメスフラスコを用いて純水で定容することで、61.1g/LのAgアンミン錯体溶液を調製した。
この溶液とは別に、ヒドロキノン6.75gとPVP(上記K30)4.0gを、マグネチックスターラーで撹拌しつつアルコール150mLに溶かした。その後、ヒドラジン一水和物0.240mLを加え撹拌し、200mLメスフラスコを用いてアルコールで定容し、還元剤(液)を調製した。

0050

そして、上記Agアンミン錯体溶液49.1mLを200mLビーカーに移し、マグネチックスターラーで強く撹拌しながら、別のビーカーに入れてあった上記還元剤(液)45.3mLを一気に加え、さらに1分間撹拌を継続した。このとき、還元作用によって瞬時にAgコア粒子が析出(生成)し、溶液が灰色から濃褐色へ変色した。その後、1時間ほど静置して生成したAgコア粒子を沈降させ、上澄みを除去した後、アルコール:純水=1:1(体積比)の混合水系溶媒40mLにAgコア粒子を分散させ、遠心分離(6000rpm、10分)に供した。その後、上澄みを除去する洗浄を2回繰り返し、さらに溶媒を純水40mLに変更して同様の洗浄を1回行った。こうして本実施例に係るAgコア粒子分散液(Agスラリー)を調製した。

0051

(コアシェル粒子の形成と粉体材料の製造)
Agコア粒子3.0g分に相当するAgスラリーに純水65mLを添加し、さらに、ヒドロキノンとベンゾキノンを含む水溶液(本実施例では、溶媒をアルコール:純水=1:1(体積比)に変更した。)20mLを添加してマグネチックスターラーで撹拌した。このとき、添加したキノン液のヒドロキノン濃度は2.90g/L、ベンゾキノン濃度は1.79g/Lであった。
次に、1.0%アンモニア水にジアンミンジクロロパラジウム(II)を溶解した溶液16.7mL(Pdを0.33g含むように調製されている。)を加えてマグネチックスターラーで撹拌し、10分間の超音波分散を施した。このスラリーをマグネチックスターラーで撹拌しながら還元剤の炭酸ヒドラジンを0.85mL加え30分間撹拌した。
こうして得られたAgPdコアシェル粒子の分散液(スラリー)を1時間以上沈降させ、上澄みを除去した後、純水とエタノールとが体積比1:1の混合溶媒40mLに分散させ、遠心分離(6000rpm、5分)を行い上澄み除去する洗浄工程を2回行った。その後、溶媒を純水40mLに変更して同様の洗浄を1回行った。次いで、AgPdコアシェル粒子に含まれる水分をアセトンに置換するため、アセトン40mLを加え攪拌し、遠心分離(6000rpm、10分)を行い、上澄み除去する工程を2回行った。そして、室温で真空乾燥させた後、乳鉢で解砕して、実施例2−1のAgPdコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0052

実施例2−2:
AgPdコアシェル粒子の形成において、Agコア粒子2.67g分に相当するAgスラリーを使用したことと、純水50mL、1.0%アンモニア水にジアンミンジクロロパラジウム(II)を溶解した溶液33.3mL(Pdを0.66g含むように調製されている。)、炭酸ヒドラジン1.70mLを使用したこと以外は上記実施例2−1と同じ材料、同じプロセスで実施例2−2のAgPdコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0053

実施例2−3:
AgPdコアシェル粒子の形成において、Agコア粒子2.33g分に相当するAgスラリーを使用したことと、純水35mL、1.0%アンモニア水にジアンミンジクロロパラジウム(II)を溶解した溶液50.0mL(Pdを1.00g含むように調製されている。)、炭酸ヒドラジン2.55mLを使用したこと以外は上記実施例2−1と同じ材料、同じプロセスで実施例2−3のAgPdコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0054

実施例2−4:
AgPdコアシェル粒子の形成において、Agコア粒子2.00g分に相当するAgスラリーを使用したことと、純水21mL、1.0%アンモニア水にジアンミンジクロロパラジウム(II)を溶解した溶液66.6mL(Pdを1.33g含むように調製されている。)、炭酸ヒドラジン3.40mLを使用したこと以外は上記実施例2−1と同じ材料、同じプロセスで実施例2−4のAgPdコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0055

実施例3−1:
(Agコア粒子分散液(Agスラリー)の調製)
上述した実施例1−4と同じ材料、同じプロセスにより、本実施例に係るAgスラリーを調製した。

0056

(コアシェル粒子の形成と粉体材料の製造)
テトラクロロ白金(II)酸カリウム0.21gに純水27.0mLとキノン液3mLを加えてマグネチックスターラーで撹拌した。このとき、添加したキノン液をGC測定したところ、ヒドロキノン濃度は4.53g/L、ベンゾキノン濃度は0.06g/Lであった。
次に、28%アンモニア水0.10mL、Agコア粒子0.9g分に相当する上記調製したAgスラリーを加えてマグネチックスターラーで撹拌し、10分間の超音波分散を施した。このスラリーをマグネチックスターラーで撹拌しながら還元剤の炭酸ヒドラジンを0.14mL加え30分間撹拌した。このとき、炭酸ヒドラジン添加後すぐにPt錯体の還元によるPt析出を示すスラリーの黒変と発泡が観察された。上記以外は、実施例1−1と同じ材料、同じプロセスによって、実施例3−1のAgPtコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0057

実施例3−2:
コアシェル粒子の形成において、Agコア粒子0.95g分に相当するAgスラリーを使用したことと、テトラクロロ白金(II)酸カリウム0.11g、28%アンモニア水0.05mLを使用したこと以外は上記実施例3−1と同じ材料、同じプロセスで実施例3−2のAgPtコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0058

実施例3−3:
(Agコア粒子分散液(Agスラリー)の調製)
上述した実施例1−4と同じ材料、同じプロセスにより、本実施例に係るAgスラリーを調製した。

0059

(コアシェル粒子の形成と粉体材料の製造)
塩化ニッケル(II)六水和物(和光純薬工業(株)製品:141-01045)0.0405gに純水22.0mLとキノン液3mLを加えてマグネチックスターラーで撹拌した。このとき、添加したキノン液は実施例2−1と同じものである。さらに、Agスラリー(Ag粉0.99g分)を加え、10分間の超音波分散を施した。このスラリーをマグネチックスターラーで撹拌しながら還元剤の水素化ホウ素ナトリウム0.0483gを純水10mLに溶解させた液を1分間かけて加え、30分間撹拌した。このとき、水素化ホウ素ナトリウム添加後すぐに、Ni錯体の還元によるホウ化ニッケルの析出を示すスラリーの変色と発泡が観察された。その他は実施例1−1と同じ材料、同じプロセスにより実施例3−3のAgNiコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0060

比較例1−1:
ヒドロキノン濃度17.78g/Lおよびベンゾキノン濃度0.13g/Lであるキノン液を使用し、且つその添加量を6mLとした以外は、実施例1−4と同じ材料、同じプロセスによって、比較例1−1のAgPdコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0061

比較例1−2:
ヒドロキノン濃度2.21g/Lおよびベンゾキノン濃度44.32g/Lであるキノン液を使用した以外は、実施例1−4と同じ材料、同じプロセスによって、比較例1−2のAgPdコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0062

比較例2−1:
コアシェル粒子の形成において、Agコア粒子1.80g分に相当するAgスラリーを使用したことと、純水6.3mL、1.0%アンモニア水にジアンミンジクロロパラジウム(II)を溶解した溶液83.3mL(Pdを1.53g含むように調製されている。)、炭酸ヒドラジン4.25mLを使用したこと以外は上記実施例2−1と同じ材料、同じプロセスで比較例2−1のAgPdコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0063

比較例2−2:
コアシェル粒子の形成において、Agコア粒子1.33g分に相当するAgスラリーを使用したことと、純水36mL、1.8%アンモニア水にジアンミンジクロロパラジウム(II)を溶解した溶液55.5mL(Pdを2.00g含むように調製されている。)、炭酸ヒドラジン5.10mLを使用したこと以外は上記実施例2−1と同じ材料、同じプロセスで比較例2−2のAgPdコアシェル粒子からなる粉体材料を製造した。

0064

<3.各評価試験
上記の各粉体材料に関して各種の評価試験を行った。評価した項目および試験結果は、以下の表1に示した。なお、各評価試験の概要は以下のとおりである。

0065

(1)FE−SEM観察およびEDXによるシェル(PdまたはPt)分布状況解析
市販の装置であるSU−8230((株)日立ハイテクノロジーズ)を用いて粉体材料のFE−SEM画像を取得し、100個以上のコアシェル粒子の水平フェレ径を測定して平均粒子径(DSEM)を算出した。かかるSEM径は最も一次粒子径の値に近いものである。また、SU−8230およびX−max((株)堀場製作所)を用いて、シェルを構成するPdまたはPtの分布状態をSEM−EDXにより調べた。

0066

(2)動的光散乱法(DLS法)に基づくZ平均粒子径(DDLS)、多分散指数(PDI)ならびに固着度(DDLS/DSEM)の算出:
市販の装置であるゼータサイザーナノZS(Malvern Panalytical社)を採用し、ここでは所定の媒体(分散媒)として純水を採用し、超音波分散により適度な濃度の試料を調製し、20〜25℃でDLS測定し、一般的なキュムラント法に基づいてZ平均粒子径(DDLS)および多分散指数(PDI)を求めた。なお、分散媒や分散方法供試サンプルに応じ適当なものを選択することができ、分散剤や粘度調整剤等の添加剤を用いることができる。純水の他に、DMF、EG、IBA等が好適な媒体として挙げられる。このように媒体(分散媒)や添加剤を適切に選択してDLS測定を行うことにより、凝集なく分散した状態の粒度分布に近い粒度分布を求めることができる。なお、固着した粒子は、固着した状態のまま測定される。

0067

さらに固着度、即ち、Z平均粒子径(DDLS)と、FE−SEM像に基づく平均粒子径(DSEM)との比であるDDLS/DSEMについても算出した。かかる固着度の大小で、シェル形成によって生じた凝集の程度を評価することができる。
また、ここではコアシェル粒子のZ平均粒子径(コアシェルDDLS)とコア粒子のZ平均粒子径(コアDDLS)との比である、コアシェルDDLS/コアDDLSについても算出した。かかるコアシェルDDLS/コアDDLSを、DDLS/DSEMと区別するため、固着度Zと呼称する。

0068

(3)キノン液中のヒドロキノン(HQ)濃度およびベンゾキノン(BQ)濃度の測定:
キノン液をガスクロマトグラフ(GC)で測定した。濃度が10g/L以上の供試サンプルについては、アルコール(エタノール)で適宜希釈した。測定条件は以下のとおりである。
カラム:DB−5ms(アジレント・テクノロジー株式会社)
注入口温度:280℃
昇温条件:50℃(2分)−10℃/分−300℃(10分)
なお、ヒドロキノンおよびベンゾキノンは、濃度で検出感度が異なるため、以下のように濃度を算出した。
・濃度1g/L未満:
0.1g/Lと1g/Lの標準液を作製し、GC測定を行う。濃度を横軸、検出された面積縦軸として、この2点から原点を通る近似直線最小二乗法で算出する。この直線を検量線として濃度を求める。
・濃度1g/L以上10g/L未満:
1g/L、5g/L、10g/Lの標準液を測定し、GC測定を行う。濃度を横軸、検出された面積を縦軸として、この3点から近似直線を最小二乗法で算出する。この直線を検量線として濃度を求める。

0069

(4)コアシェル粒子(粉体材料)のHQ/BQ比の算出:
サンプルの粉体材料(乾燥粉)にエタノールを加えて撹拌および超音波処理することで表面成分を抽出し、GC測定でHQ、BQが検出される濃度までエバポレーターで濃縮した。なお、GC測定条件は上記(3)のGC測定条件と同様である。

0070

0071

表1に示すように、全ての実施例に係る粉体材料において、著しく速い沈降は起こらず、DLS測定を正常に行うことができた。また、固着度(DDLS/DSEM)および固着度Z(コアシェルDDLS/コアDDLS)のいずれについても、その値が1前後であり、著しい固着は認められなかった。なお、固着度Z(コアシェルDDLS/コアDDLS)で1より低いものは、コアシェル粒子からなる粉体の水中での分散性が、コア粒子からなる粉体よりも向上したことが原因であると考えられる。固着度および固着度Zの値はほとんど変わらず、いずれも固着の度合いをよく表している。
一方、HQ/BQ比が高すぎる比較例1−1、HQ/BQ比が低すぎる比較例1−2、Pdシェルの比率が50mass%以上である比較例1−2、2−2においては固着、凝集による沈降が認められた。また、DLS法に基づくZ平均粒子径(DDLS)の増加も認められた。比較例2−2は、Pd濃度が高く、固着が顕著でありFE−SEMで一次粒子径を測定することができなかった。

0072

各実施例のFE−SEM像(左)およびEDX元素マッピング像(右)をそれぞれ図1図12に示す。図示されるように、これらの全てにおいてシェルがコア粒子上にほぼ均一に形成されており、シェルが析出していない粒子やシェル金属のみの単独粒子は観察視野中に確認されなかった。

0073

各実施例の結果から明らかなように、特定範囲内のHQ/BQ比のキノン液を用いることで、シェル金属析出時の固着が抑制されたコアシェル粒子(粉体材料)の製造を容易に実現することができる。粒子間固着を抑制するには、ヒドロキノンやベンゾキノンと錯体を形成する金属が望ましいと考えられる。特に周期表8、9、10族は錯体を形成しやすく、さらに白金族がより好ましい。ヒドロキノンやベンゾキノンはシェル金属に作用するため、コアの影響は小さく、分散媒によく分散する金属であれば、様々な金属を被覆できると考えられる。これにはヒドロキノンとベンゾキノンのシェル金属への配位が関係していると考えられる。ヒドロキノンとベンゾキノンはいずれもパラジウムや白金といった白金族元素等に配位し得るが、ベンゾキノンのみであるとシェル金属と錯体を形成して安定化しすぎてしまい、析出のコントロールが難しくなる。一方、ヒドロキノンとベンゾキノンの両方が存在した場合でもベンゾキノンの比率が少なすぎると安定化されず、反応速度が速くなり固着が起きる虞がある。このため、ヒドロキノンとベンゾキノンのバランスがとれた状態であれば、シェル形成時の固着・凝集を抑制することができる。さらに、シェル表面にヒドロキノンおよびベンゾキノンが残留することによって、シェル形成後の固着を防止することができる。

0074

以上、本発明の具体例を試験例に基づいて詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記実施例では、シェルを構成する金属がパラジウム、白金およびニッケルであるが、これらに限定されず、その他の金属(例えばPd、Pt以外の白金族に属する金属)であってもよい。或いは、ここに開示される技術は、金属以外のコア、例えばセラミックス等の金属以外の無機化合物からなるコアに対しても適用することができる。

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