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課題
解決手段
概要
背景
食品や医薬品等は、販売の際に、包装袋や包装容器等の包装体によって包装されるのが一般的である。このような包装体には、内容物の保護等のため、様々な性能が要求されている。そのため、一部の包装体では、複合化(多層化)された多層フィルムが用いられている。
また、医薬品や食品等の包装分野においては、固形剤(カプセルや錠剤等の薬品、粒状の食品等)を包装するためにPTP(プレススルーパッケージ)が広く使用されている。
PTPの製造装置として一般的には、図5に示すような製造装置200が用いられる。
製造装置200は、フィルムを成形して成形フィルムを得るための成型部210と、該成形フィルムを収容する収容部220と、該成形フィルムにカバーフィルムを接着する接着部230とを備える。
PTPの製造方法としては、例えば、製造装置200を用いて製造することができる。具体的には、成型部210によりフィルムを熱成形して、固形剤収容部を備える成形フィルムを作製し、該成形フィルムを収容部220のような固形剤収容部に対応した複数の凹部を有するロールに収容し、接着部230によりカバーフィルムを接着して、PTPを製造する方法が挙げられる。
包装体に用いられる多層フィルムは、包装体に内容物の保護等の機能を付与するために、耐衝撃性やガスバリア性が要求される。例えば、特許文献1には、耐衝撃性やガスバリア性を向上させる手段として、高分子材料で構成される多層フィルムを延伸することで、多層フィルム中の結晶を配向させる方法が開示されている。そして、好適な酸素バリア性を向上させたフィルム及びそれを用いた多層包装体が開示されている。
概要
成型後の収縮が生じにくい多層フィルムとこれを用いた包装体の提供。第1の樹脂を含む未延伸の第1フィルム層と111、第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含む未延伸の第2フィルム層112と、を交互に繰り返して積層したバリア層11を備え、熱成形により、前記多層フィルムに対して、一方の面に開口し他方の面に突出する凹部形状の複数の固形剤収容部を、TD方向に一直線状に備えた成形フィルムを形成した際に、TD方向に一直線状に配列している複数の固形剤収容部のうち、両端の固形剤収容部における開口面の中心間の距離(LTD)が、第1の樹脂の単層フィルムに対して、同じ条件で形成した固形剤収容部の場合よりも長くなる、多層フィルム。
目的
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、成型後の収縮が生じにくい多層フィルムと、これを用いた包装体を提供する
効果
実績
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請求項1
第1の樹脂を含む未延伸の第1フィルム層と、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含む未延伸の第2フィルム層と、を交互に繰り返して積層したバリア層を備える、多層フィルムであって、熱成形により、前記多層フィルムに対して、前記多層フィルムの一方の面に開口し他方の面に突出する凹部形状の複数の固形剤収容部を、TD方向に一直線状に備えた成形フィルムを形成した際に、前記TD方向に一直線状に配列している複数の固形剤収容部のうち、両端の固形剤収容部における開口面の中心間の距離(LTD)が、第1の樹脂の単層フィルムに対して、同じ条件で形成した固形剤収容部の場合よりも長くなる、多層フィルム。
請求項2
前記第1フィルム層の1層当りの平均厚さが10〜1000nmであり、前記第2フィルム層の1層当りの平均厚さが10〜1000nmである、請求項1に記載の多層フィルム。
請求項3
前記第1の樹脂が、結晶性樹脂である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
請求項4
前記第2の樹脂が、前記第1の樹脂とは異なる結晶性樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層フィルム。
請求項5
さらに、前記バリア層を挟む一対の未延伸の第1外層を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
請求項6
さらに、前記一対の未延伸の第1外層を挟む一対の未延伸の第2外層を備える、請求項5に記載の多層フィルム。
請求項7
前記第1外層は、結晶性樹脂である、請求項6に記載の多層フィルム。
請求項8
前記第1外層及び前記第2外層は、いずれも結晶性樹脂を含む、請求項6に記載の多層フィルム。
請求項9
請求項1〜8のいずれか一項に記載の多層フィルムを備える、包装体。
技術分野
背景技術
0002
食品や医薬品等は、販売の際に、包装袋や包装容器等の包装体によって包装されるのが一般的である。このような包装体には、内容物の保護等のため、様々な性能が要求されている。そのため、一部の包装体では、複合化(多層化)された多層フィルムが用いられている。
また、医薬品や食品等の包装分野においては、固形剤(カプセルや錠剤等の薬品、粒状の食品等)を包装するためにPTP(プレススルーパッケージ)が広く使用されている。
PTPの製造装置として一般的には、図5に示すような製造装置200が用いられる。
製造装置200は、フィルムを成形して成形フィルムを得るための成型部210と、該成形フィルムを収容する収容部220と、該成形フィルムにカバーフィルムを接着する接着部230とを備える。
0003
PTPの製造方法としては、例えば、製造装置200を用いて製造することができる。具体的には、成型部210によりフィルムを熱成形して、固形剤収容部を備える成形フィルムを作製し、該成形フィルムを収容部220のような固形剤収容部に対応した複数の凹部を有するロールに収容し、接着部230によりカバーフィルムを接着して、PTPを製造する方法が挙げられる。
0004
包装体に用いられる多層フィルムは、包装体に内容物の保護等の機能を付与するために、耐衝撃性やガスバリア性が要求される。例えば、特許文献1には、耐衝撃性やガスバリア性を向上させる手段として、高分子材料で構成される多層フィルムを延伸することで、多層フィルム中の結晶を配向させる方法が開示されている。そして、好適な酸素バリア性を向上させたフィルム及びそれを用いた多層包装体が開示されている。
先行技術
0005
特開2007—283569号公報
発明が解決しようとする課題
0006
しかしながら、特許文献1に開示された多層フィルムでは、成型後の収縮が問題となる場合がある。
具体的には、該多層フィルムを用いて、固形剤収容部を備える成形フィルムを作製した場合、成型後の収縮により、成形フィルムの固形剤収容部間のピッチが狭くなる場合がある。そのため、例えば、成形フィルムを搬送するため、又は成形フィルムにカバーフィルムを接着するために、成形フィルムを固形剤収容部に対応した複数の凹部を有するロールに収容する際に、ロールの凹部に固形剤収容部が適正に収容されず、固形剤収容部が潰れてしまう場合がある。
0007
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、成型後の収縮が生じにくい多層フィルムと、これを用いた包装体を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
0008
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1]第1の樹脂を含む未延伸の第1フィルム層と、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含む未延伸の第2フィルム層と、を交互に繰り返して積層したバリア層を備える、多層フィルムであって、熱成形により、前記多層フィルムに対して、前記多層フィルムの一方の面に開口し他方の面に突出する凹部形状の複数の固形剤収容部を、TD方向に一直線状に備えた成形フィルムを形成した際に、前記TD方向に一直線状に配列している複数の固形剤収容部のうち、両端の固形剤収容部における開口面の中心間の距離(LTD)が、第1の樹脂の単層フィルムに対して、同じ条件で形成した固形剤収容部の場合よりも長くなる、多層フィルム。
[2]前記第1フィルム層の1層当りの平均厚さが10〜1000nmであり、前記第2フィルム層の1層当りの平均厚さが10〜1000nmである、[1]に記載の多層フィルム。
[3]前記第1の樹脂が、結晶性樹脂である、[1]又は[2]に記載の多層フィルム。
[4]前記第2の樹脂が、前記第1の樹脂とは異なる結晶性樹脂である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
0009
[5]さらに、前記バリア層を挟む一対の未延伸の第1外層を備える、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[6]さらに、前記一対の未延伸の第1外層を挟む一対の未延伸の第2外層を備える、[5]に記載の多層フィルム。
[7]前記第1外層は、結晶性樹脂である、[6]に記載の多層フィルム。
[8]前記第1外層及び前記第2外層は、いずれも結晶性樹脂を含む、[6]に記載の多層フィルム。
[9][1]〜[8]のいずれか一項に記載の多層フィルムを備える、包装体。
発明の効果
0010
本発明によれば、成型後の収縮が生じにくい多層フィルムと、これを用いた包装体を提供することができる。
図面の簡単な説明
0011
本発明の多層フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。
TD方向に一直線状に配列している両端の固形剤収容部における開口面の中心間の距離(LTD)を説明するための図である。
本発明の包装体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
図3に示す包装体のI−I線における断面図である。
PTPを製造する方法を説明するための図である。
0012
以下、本発明を適用した一実施形態である多層フィルムおよびこれを用いた包装体について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
0013
(多層フィルム)
本実施形態の多層フィルムは、第1の樹脂を含む未延伸の第1フィルム層と、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含む未延伸の第2フィルム層と、を交互に繰り返して積層したバリア層を備える。
0014
本実施形態の多層フィルムの構成について、図1を用いて、詳細に説明する。
0015
図1は、本実施形態の多層フィルム1の断面模式図である。図1に示すように、本実施形態の多層フィルム1は、バリア層11と、バリア層11を挟む一対の未延伸の第1外層12と、第1外層12を挟む一対の未延伸の第2外層13と、を備える。
0016
多層フィルム1の総厚は、20〜750μmであることが好ましく、50〜600μmであることがより好ましく、100〜500μmであることがさらに好ましい。
多層フィルム1の総厚が、上記の好ましい範囲内であれば、成型後の収縮がより抑制される。
0018
上記シート透湿度は、例えば、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W(登録商標)3/33)を用いて、JIS K7129(B法)に記載の方法に準拠して測定することができる。
0019
<バリア層>
本実施形態の多層フィルム1において、バリア層11は、第1の樹脂を含む未延伸の第1フィルム層111と、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含む未延伸の第2フィルム層112と、を交互に繰り返して積層した構成である。
0020
≪第1フィルム層≫
第1フィルム層111は、第1の樹脂を含む未延伸のフィルムである。
第1フィルム層111は、第1の樹脂のみを含んでいてもよい(すなわち、第1の樹脂からなるものでもよい)し、第1の樹脂と、第1の樹脂以外の成分を含んでいてもよい(すなわち、第1の樹脂と、第1の樹脂以外の成分と、からなるものでもよい)。
0021
第1の樹脂としては、結晶性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリ乳酸樹脂;ポリグリコール酸樹脂;ポリカプロラクトン樹脂;上記樹脂を形成するモノマーを含む共重合体樹脂などが挙げられる。
第1の樹脂として、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
0022
これらの中でも、第1の樹脂は、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂は他の材料に比べて柔らかいため、厚さ方向に突出した固形剤収容部を設けた場合に、固形剤収容部を低荷重で十分押し込むことができ、容易に固形剤を取り出すことができる。また、フッ素や塩素などのハロゲンを使用しなくてもよいため、環境に優しいという利点がある。
0023
第1の樹脂のポリオレフィン系樹脂の中では、ポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレンは、ポリオレフィン系樹脂の中でも汎用樹脂であるため、低コスト化が可能である。
また、バリア層11に、より高い耐熱性及び成形性を付与することができる。
0024
第1フィルム層111中の第1の樹脂の含有量は、60〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましく、80〜100質量%であることがさらに好ましい。
第1フィルム層111における第1の樹脂の含有量が上記の好ましい範囲であることにより、低収縮化を達成できる。
0025
第1フィルム層111が含んでいてもよい、第1の樹脂以外の成分は、樹脂成分であってもよいし、非樹脂成分であってもよい。
0026
第1の樹脂以外の成分のうち、非樹脂成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
0027
第1フィルム層111が含んでいてもよい、第1の樹脂以外の成分は、1種のみでもよいし2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
0028
バリア層11中の第1フィルム層111の積層数は、50〜5000であることが好ましく、250〜4500であることがより好ましく、例えば、300〜4000、450〜3500、600〜3000、750〜2500、及び750〜2000のいずれかであってもよい。
0029
第1フィルム層111の層数は、例えば、ミクロトームを用いて多層フィルム1を切断し、この切断によって生じた多層フィルム1の断面を、電子顕微鏡を用いて観察することにより、確認できる。また、後述する多層フィルムの製造方法から、断面を観察することなく、第1フィルム層の層数を算出することも可能である。
0030
第1フィルム層111の1層当りの平均厚さは、10〜1000nmであることが好ましく、10nm以上500nm未満であることがより好ましく、10〜490nmであることがさらに好ましく、10〜400nmであることが特に好ましく、15〜300nmであることが最も好ましく、例えば、15〜250nm、15〜200nm、15〜150nm及び15〜120nmのいずれかであってもよい。
なお、ここで「第1フィルム層111の1層当りの平均厚さ」とは、バリア層11中に存在するすべての第1フィルム層111の厚さの合計値を、バリア層11中に存在する第1フィルム層111の層数で除した値([バリア層11中に存在するすべての第1フィルム層111の厚さの合計値]/[バリア層11中に存在する第1フィルム層111の層数])を意味する。
0031
≪第2フィルム層≫
第2フィルム層112は、未延伸のフィルム層であって、第1の樹脂とは異なる種類の第2の樹脂を含む。
第2フィルム層112は、第2の樹脂のみを含んでいてもよい(すなわち、第2の樹脂からなるものでもよい)し、第2の樹脂と、第2の樹脂以外の成分を含んでいてもよい(すなわち、第2の樹脂と、第2の樹脂以外の成分と、からなるものでもよい)。
0032
第2の樹脂としては、結晶性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリ乳酸樹脂;ポリグリコール酸樹脂;ポリカプロラクトン樹脂;上記樹脂を形成するモノマーを含む共重合体樹脂などが挙げられる。
第2の樹脂としては、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
0033
これらの中でも、第2の樹脂は、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂は他の材料に比べて柔らかいため、厚さ方向に突出した固形剤収容部を設けた場合に、固形剤収容部を低荷重で十分押し込むことができ、容易に固形剤を取り出すことができる。また、フッ素や塩素などのハロゲンを使用しなくてもよいため、環境に優しいという利点がある。
0034
第2の樹脂のポリオレフィン系樹脂の中では、ポリエチレンが好ましく、高密度ポリエチレン(HDPE)がより好ましい。ポリエチレンは、ポリオレフィン系樹脂の中でも汎用樹脂であるため、低コスト化が可能である。
0035
第2フィルム層112が含んでいてもよい、第2の樹脂以外の成分は、樹脂成分であってもよいし、非樹脂成分であってもよい。
第2の樹脂以外の成分のうち、非樹脂成分としては、第1のフィルム層で説明した添加剤と同様のものが挙げられる。
0036
バリア層11中の第2フィルム層112の積層数は、50〜5000であることが好ましく、250〜4500であることがより好ましく、例えば、300〜4000、450〜3500、600〜3000、750〜2500、及び750〜2000のいずれかであってもよい。
なお、第2フィルム層112の層数は、上述の第1フィルム層111の層数の場合と同じ方法で確認できる。
0037
バリア層11において、第1フィルム層111の層数と、第2フィルム層112の層数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
例えば、バリア層11の層数は100〜10000であることが好ましい。
0038
第2フィルム層112の1層当りの平均厚さは、10〜1000nmであることが好ましく、10nm以上500nm未満であることがより好ましく、10〜490nmであることがさらに好ましく、10〜400nmであることが特に好ましく、15〜300nmであることが最も好ましく、例えば、15〜250nm、15〜200nm、15〜150nm及び15〜145nmのいずれかであってもよい。
なお、ここで「第2フィルム層112の1層当りの平均厚さ」とは、バリア層11中に存在するすべての第2フィルム層112の厚さの合計値を、バリア層11中に存在する第2フィルム層112の層数で除した値([バリア層11中に存在するすべての第2フィルム層112の厚さの合計値]/[バリア層11中に存在する第2フィルム層112の層数])を意味する。
0039
多層フィルム1において併用する第1の樹脂と第2の樹脂との組み合わせとしては、ポリオレフィン系樹脂と、これと異なるポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。このような組み合わせとしては、成形性及びコストの観点から、ポリプロピレンと高密度ポリエチレンとの組み合わせが好適に挙げられる。
0040
バリア層11の厚さ、換言すると、第1フィルム層111の厚さの合計値と、第2フィルム層112の厚さの合計値との和は、10〜500μmであることが好ましく、15〜400μmであることがより好ましく、20〜350μmであることがより一層好ましく、25〜300μmであることが特に好ましい。バリア層11の厚さが10〜500μmであることにより、樹脂を構成する結晶が特定方向に配向化し、高いバリア性を発現させることができる。
0041
≪第1外層≫
第1外層12は、上述した第1の樹脂を含むことが好ましい。具体的には、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、成形性及びコストの観点から、ポリプロピレン(PP)を含むことがさらに好ましい。
0042
第1外層12中の第1の樹脂の含有量は、60〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。
0043
第1外層12は上記第1の樹脂以外の樹脂成分を含んでいてもよく、非樹脂成分を含んでいてもよい。
非樹脂成分としては、第1のフィルム層で説明した添加剤と同様のものが挙げられる。
0044
上記の中でも、第1外層12はポリプロピレン(PP)からなることが好ましい。
0045
第1外層12の総厚(一対の第1外層12の厚みの合計)は、5〜125μmであることが好ましく、10〜125μmであることがより好ましく、20〜125μmであることがさらに好ましい。
第1外層12の総厚が、上記の好ましい範囲内であれば、成型後の収縮がより抑制される。
0046
≪第2外層≫
本実施形態の多層フィルム1は、第2外層13を備えることにより、成型後の収縮がさらに抑制される。
0047
第2外層13は、上述した第1の樹脂を含むことが好ましい。具体的には、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、成形性及びコストの観点から、ポリプロピレン(PP)を含むことがさらに好ましい。
0048
第2外層13中の第1の樹脂の含有量は、60〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。
0049
上記の中でも、第2外層13はポリプロピレン(PP)からなることが好ましい。
0050
第2外層13の総厚(一対の第2外層13の厚みの合計)は、5〜125μmあることが好ましく、10〜110μmであることがより好ましく、15〜100μmであることがさらに好ましい。
第2外層13の総厚が、上記の好ましい範囲内であれば、成型後の収縮がより抑制される。
0051
[多層フィルムの製造方法]
本発明の多層フィルムは、例えば、以下の方法で製造できる。
すなわち、まず、最終的に第1フィルム層111と第2フィルム層112との積層構造を構成するための、複数層構造の第1積層フィルムを作製する。前記第1積層フィルムは、より具体的には、最終的に未延伸の第1フィルム層111となる第1の樹脂含有層と、最終的に未延伸の第2フィルム層112となる第2の樹脂含有層と、が交互に繰り返して積層された構成を有する。前記第1積層フィルムとしては、例えば、最外層の2層がいずれも第1の樹脂含有層であり、第2の樹脂含有層の層数が第1の樹脂含有層の層数よりも1だけ少ない複数層構造のものや、これとは逆に、最外層の2層がいずれも第2の樹脂含有層であり、第1の樹脂含有層の層数が第2の樹脂含有層の層数よりも1だけ少ない複数層構造のもの等が挙げられる。ただし、第1積層フィルムは、これらに限定されない。
0052
次いで、この第1積層フィルムを、その表面に対して垂直な方向に切断した後、得られた2枚の第1積層フィルム同士を、さらにこれらの厚さ方向において積層して第2積層フィルムを作製する。
次いで、この第2積層フィルムを、その表面に対して平行な方向において引き伸ばして拡張した後、第1積層フィルムの場合と同じ方法で、この拡張後の第2積層フィルムを切断、積層して第3積層フィルムを作製する。
以降、このような積層フィルムの拡張、切断及び積層を繰り返し行うことで、バリア層11を作製する。例えば、前記第1積層フィルムとして、最外層の2層がいずれも第1の樹脂含有層であるものを用いた場合には、第1積層フィルム同士を積層して第2積層フィルムを作製したときに、重ね合わされた最外層の2層の第1の樹脂含有層は、第2積層フィルムにおいては見かけ上、1層の第1の樹脂含有層を形成する。これは、第2積層フィルム以降の積層フィルム及びバリア層11の作製時も同様である。ただし、ここに示すバリア層11は、本実施形態の多層フィルム1における一例に過ぎない。
0053
前記第1積層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、原料となる樹脂等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、作製できる。
上述の製造方法における、これ以降の第1積層フィルムからの、目的とするバリア層の作製までは、マルチプライヤーを用いて行うことができる。
0054
次に、第1の樹脂等の第1外層12の構成成分を、ドライブレンド又は溶融混練し、上記とは異なる数台の押出機により、溶融状態の樹脂を別のフィードブロックに溶融押出し、フィルムを形成する。形成したフィルムを第1外層12として用いる。
次に、上述したバリア層11の両面に第1外層12を積層させる。
0055
次に、第1の樹脂等の第2外層13の構成成分を、ドライブレンド又は溶融混練し、上記とは異なる数台の押出機により、溶融状態の樹脂を別のフィードブロックに溶融押出し、フィルムを形成する。形成したフィルムを第2外層13として用いる。
次に、上述した一対の第1外層12の表面(露出面)に第2外層13を積層させる。
0056
次に冷却ロールにより積層フィルムを冷却固化することで、積層フィルムの結晶化を制御し、多層フィルム1を作製する。
本実施形態により作製した多層フィルム1は、延伸していないため、成形加工性に優れる。
0057
図2は、TD方向に一直線状に配列している両端の固形剤収容部における開口面の中心間の距離(LTD)を説明するための図である。
本実施形態の多層フィルム1は、熱成形により、多層フィルム1に対して、多層フィルム1の一方の面に開口し他方の面に突出する凹部形状の複数の固形剤収容部10aを、TD方向に一直線状に備えた成形フィルム2を形成した際に、前記TD方向に一直線状に配列している複数の固形剤収容部10aのうち、両端の固形剤収容部10aにおける開口面の中心間の距離(LTD)が、第1の樹脂の単層フィルムに対して、同じ条件で形成した固形剤収容部10aの場合よりも長くなる、すなわち、成型後の収縮が抑制されるものである。
0058
固形剤収容部10aがMD方向に複数形成されている場合は、その全てのLTDが、第1の樹脂単層で構成されるフィルムを用いた場合に比べて長くなるものである。
成形フィルム2は固形剤収容部10aをTD方向に5個ずつ、MD方向に2個ずつ(計10個)備えている。そのため、3箇所のLTDが、それぞれ第1の樹脂の単層フィルムを用いた場合に比べて長くなるものである。
0060
熱成形の際の成形温度としては、特に限定されず、例えば120℃〜140℃であり、本実施形態の多層フィルム1は、該成形温度の場合のLTDが、第1の樹脂の単層フィルムに対して、同じ条件で形成した固形剤収容部10aの場合よりも長くなるものである。
0061
具体的には、成形温度135℃で成形して、多層フィルム1に対して、多層フィルム1の一方の面に開口し他方の面に突出する凹部形状の5個の固形剤収容部10aを、TD方向に一直線状に備えた成形フィルム2を形成した際に、第1の樹脂の単層フィルムに対して、同じ条件で形成した固形剤収容部10aの場合よりも、LTDの収縮率(%)の差(第1の樹脂の単層フィルムのLTDの収縮率(%)−多層フィルム1のLTDの収縮率(%))が0.20%以上となることが好ましく、0.25%以上となることがより好ましく、0.30%以上となることがより好ましい。
なお、LTDの収縮率は、100×(LTDの図面寸法−LTDの実測寸法)/LTDの図面寸法で求めることができる。LTDの実測寸法は、例えば、拡大投影機(ミツトヨ社製「PJ−H30」)で測定することができる。また、該収縮率は、成形温度によって変化し、成形温度が高いほど、上記LTDの収縮率(%)の差が大きくなる傾向がある。
上記LTDの収縮率(%)の差が、上記好ましい範囲以上の場合は、成型後の収縮抑制効果がより高く、成型後に上述した固形剤収容部10aが潰れてしまうような不良がより発生しにくい。この差が大きいほど上述の効果がより向上する。
0062
本実施形態の多層フィルム1において、LTDは、上述したバリア層11中の第1フィルム層111、第2フィルム層112における樹脂の種類、層数、厚み等を制御することにより、第1の樹脂の単層フィルムを用いた場合に比べて、長くすることができる。
0063
本実施形態の多層フィルム1において、LTDは、さらに、第1外層12、第2外層13を備え、それらの樹脂の種類、層数、厚み等を制御することにより、第1の樹脂の単層フィルムを用いた場合に比べて、より長くすること、すなわち、成型後の収縮をより抑えることができる。
0064
本実施形態の多層フィルム1におけるバリア層11は、ガスバリア性及び成形加工性に優れる。
0066
本実施形態の多層フィルム1は、第1フィルム層111と、第2フィルム層112と、を交互に繰り返して積層したバリア層11を備える。そのため、第1の樹脂の単層フィルムを用いた場合に比べて、成型後の収縮が抑制される。その理由は定かではないが、(i)第1フィルム層111及び第2フィルム層112の厚みが、nmオーダーと薄いため、溶融又は軟化した第1フィルム層111及び/又は第2フィルム層112が冷却固化する際、分子鎖が動きにくく、縮まりにくいため、(ii)第1フィルム層111及び第2フィルム層112が収縮しようとするエネルギーが層間の摩擦エネルギーとして吸収されるため、であると推測される。
0067
以上より、本実施形態によれば、ハロゲンを使用しなくてもよいため、環境に優しく、バリア性が高く、かつ、成形後の収縮が生じにくい多層フィルムを提供することができる。
0068
(その他の実施形態)
図1に示す第1の実施形態の多層フィルム1では、第一外層12及び第二外層13を備えているが、これに限定されず、第一外層12及び第二外層13を備えていない多層フィルム、第一外層12のみ備える多層フィルムであってもよい。また、それらの多層フィルムにおいて、さらに他の層を備えるものであってもよい。
0069
他の層は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
ただし、多層フィルムは、例えば、図1に示すように、第1外層12がバリア層11に直接接触して設けられていることが好ましく、第2外層13が第1外層12に直接接触して設けられていることが好ましい。
0070
(包装体)
本実施形態の包装体は、上述した本実施形態の多層フィルムを備えたものである。
本実施形態の包装体は、上述した本実施形態の多層フィルムを備えているため、成型後の収縮が抑制されている。
また、本実施形態の包装体は、優れた水蒸気バリア性を有する本実施形態の多層フィルムを備えているため、優れた防湿性を有する。
本実施形態の包装体は、例えば、食品や医薬品等を包装するための包装袋又は包装容器として好適である。
0071
図3は、本発明の包装体の一実施形態を模式的に示す斜視図であり、図4は、図3に示す包装体のI−I線における断面図である。
なお、図3以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
0072
図3及び図4に示す包装体10は、成形フィルム2と、カバーフィルム101と、を備えて構成されている。そして、成形フィルム2には、包装体10の固形剤収容部10aを構成する突出部2cが形成されている。成形フィルム2は、上述の多層フィルム(例えば、図1に示す多層フィルム1)の成形フィルムである。
包装体10は、ブリスターパックとしてのPTP(包装容器)であり、固形剤収容部10aには、固形剤102を密封収納できる。
0073
成形フィルム2の一方の表面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)2bは、カバーフィルム101の一方の表面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)101aに接着されている。ただし、成形フィルム2は、一部の領域において、その他方の表面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)2a側に突出しており、この突出部2cにおける第2面2bは、カバーフィルム101の第1面101aには接着されておらず、成形フィルム2の前記第2面2bと、カバーフィルム101の第1面101aと、によって、固形剤収容部10aが形成されている。
0074
成形フィルム2及びカバーフィルム101には、スリット10bが形成されている。スリット10bは任意の構成であり、必ずしも形成されていなくてもよいが、スリット10bが形成されていることで、固形剤102の固形剤収容部10aへの特定収容数ごとに、包装体10を容易に分割できるため、包装体10の利便性が向上する。
0075
ここでは、包装体10として、固形剤収容部10aの外形が円錐台状であるものを示しているが、固形剤収容部10aの外形は、これに限定されず、収納対象物である固形剤102の形状に応じて、任意に選択できる。例えば、固形剤収容部10aの外形は、包装体10を成形フィルム2側から見下ろすようにして平面視したときに、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形状であってもよいし、長円形状等であってもよい。なお、固形剤102としては、カプセルや錠剤等の薬品、粒状の食品等が挙げられる。
0076
また、ここでは、包装体10として、固形剤収容部10aを10個備えているものを示しているが、固形剤収容部10aの数はこれに限定されない。
0078
[包装体の製造方法]
本実施形態の包装体は、上述した多層フィルムを用い、目的とする固形剤収容部を形成するように、多層フィルム同士、又は多層フィルムと他のフィルム等とを貼り合わせることにより、製造できる。
0079
例えば、図3及び図4に示す包装体10は、公知のPTP包装機を用いて、製造できる。
より具体的には、まず、圧縮成形(プラグ成形、プラグアシスト圧空成形等)、ブロー成形等により、多層フィルム1に突出部を形成して、成形フィルム2を作製する。
次いで、成形フィルム2の突出部2cに、保存対象物である固形剤102を充填した後、カバーフィルム101を多層フィルム1と重ね合せて、成形フィルム2とカバーフィルム101とを接着する。
次いで、必要に応じて、成形フィルム2及びカバーフィルム101に、ミシン刃又はハーフカット刃等を用いて、スリット10bを形成する。
以上により、包装体10が得られる。
0080
成形フィルム2を作製する際の成形温度としては、110℃〜150℃が好ましく、120℃〜145℃がさらに好ましい。
0081
本実施形態の包装体10は、上述した多層フィルム1が用いられているため、例えば、成形フィルム2にカバーフィルム101を接着する際、上述したロールによる固形剤収容部10aの潰れが発生しにくく、また、接着不良も生じにくいため、安定に製造することができるものである。
0082
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
0083
<多層フィルムの製造>
[実施例1]
第1の樹脂としてポリプロピレン(プライムポリマー社製「E122V」、PPと称することがある)を、第2の樹脂として高密度ポリエチレン(プライムポリマー社製「3300F」、HDPEと称することがある)を、それぞれ用意した。そして、第1の樹脂及び第2の樹脂それぞれにポリマー改質石油樹脂(東燃化学社製「T−REZ OP501」)を15質量%溶融混錬し、押出機(株式会社サン・エヌ・ティー社製、「SNT40−28型番」)を用いて、第1の樹脂及び第2の樹脂をそれぞれ250℃の溶融状態とし、フィードブロックを用いて、最終的に未延伸の第1フィルム層となるポリプロピレン層と、最終的に未延伸の第2フィルム層となる高密度ポリエチレン層と、が交互に繰り返して積層された構成を有し、最外層の2層がいずれもポリプロピレン層であり、2層の前記ポリプロピレン層と3層の前記高密度ポリエチレン層とからなる、5層の溶融積層体(上述の第1積層フィルム)を作製した。
次いで、マルチプライヤーを用いて、得られた5層の溶融積層体を2枚に切断し、切断後のこれら2枚の溶融積層体をさらに積層して、9層の溶融積層体(上述の第2積層フィルム)を作製した。
次いで、得られた9層の溶融積層体を、その表面に対して平行な方向において引き伸ばして拡張した後、5層の溶融積層体(第1積層フィルム)の場合と同じ方法で、この拡張後の9層の溶融積層体を切断、積層して、17層の溶融積層体(上述の第3積層フィルム)を作製した。
以降、同様の手順により、溶融積層体の拡張、切断及び積層を繰り返し行って、未延伸の第1フィルム層と未延伸の第2フィルム層とが交互に繰り返して積層された構成を有し、1024層の前記第1フィルム層と1025層の前記第2フィルム層とからなる、2049層のバリア層を作製した。
0084
次いで、バリア層の作製に用いた第1の樹脂と同様のPPを溶融混練し、上記とは異なる数台の押出機により、溶融状態の樹脂を別のフィードブロックに溶融押出し、ポリプロピレンフィルム(第1外層)を形成した。
0085
次いで、バリア層の作製に用いた第1の樹脂と同様のPPを溶融混練し、上記とは異なる数台の押出機により、溶融状態の樹脂を別のフィードブロックに溶融押出し、ポリプロピレンフィルム(第2外層)を形成した。
0086
次いで、2049層のバリア層の両面に、上記で得られた第1外層を積層し、更にその両面に、上記で得られた第2外層を積層することで、2053層の溶融積層体を作製した。さらに、ダイを用いて、この溶融積層体を共押出することにより、図1に示す構造の実施例1の多層フィルムを作製した。
得られた多層フィルムの厚さは300μmであり、そのうち、第1外層の厚さは20μmであり、第2外層の厚さは10μmであり、バリア層の厚さは240μmであった。
すなわち、第1フィルム層の層数は1024であり、第1フィルム層の1層当りの平均厚さは94nmであった。また、第2フィルム層の層数は1025であり、第2フィルム層の1層当りの平均厚さは141nmであった。
0087
<単層フィルムの製造>
[比較例1]
ポリプロピレン(プライムポリマー社製「E122V」)を押出成形することにより、比較例1の単層構造で未延伸のポリプロピレンからなる単層フィルムを作製した。
得られた単層フィルムの厚さは300μmであった。
0088
[シート透湿度の評価]
実施例1の多層フィルム及び比較例1の単層フィルムの水蒸気透過量を測定することにより、シート透湿度を評価した。水蒸気透過量は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W(登録商標)3/33)を用いて、JIS K7129(B法)に記載の方法に準拠して測定した(吸湿条件:40℃/90%RH)。その結果を表1に示す。
0089
0090
表1に示す通り、実施例1の多層フィルムは、比較例1のPP単層フィルムに比べ、シート透湿度が低く、水蒸気バリア性に優れていることが確認できる。
0091
[成型後の収縮率の評価]
実施例1の多層フィルム及び比較例1の単層フィルムを用いて試験片を作製した。
具体的には、ブリスタ包装機(CKD社製、「FBP−300E」)を用いて、厚さ方向に突出した、固形剤収容部を、TD方向に5個ずつ、MD方向に2個ずつ(計10個)備えた成形フィルムを作製した。固形剤収容部は、開口面の直径が10.0mm、深さが4.5mmであった。上記固形剤収容部を成形する際の成形温度を変更させ、評価例1〜7とした。
得られた成形フィルムについて、TD方向に一直線状に配列している両端の固形剤収容部における開口面の中心間の距離(LTD)を拡大投影機(ミツトヨ社製「PJ−H30」)でそれぞれ計測し、実測寸法を求めた。なお、前記成形フィルムはMD方向に固形剤収容部を2個ずつ有するため、前記LTDは、それぞれの成形フィルムについて、2つの値を計測した。それぞれの成形フィルム3枚分計測した値の平均値を実測寸法として表2に示す。
また、収縮率は、以下の式により求めた。
収縮率=100×(図面寸法−実測寸法)/図面寸法
図面寸法、実測寸法、収縮率を表2に示す。
0092
0093
表2に示す通り、実施例1の多層フィルムを用いた試験片は、比較例1のPP単層フィルムを用いた試験片に比べ、いずれの成形温度でも実測寸法が図面寸法の値に近く、収縮率が低かった。
実施例
0094
以上より、本発明の多層フィルムは、成型後の収縮が抑制されていることが確認できる。
0095
本発明は、食品や医薬品等の保存時に用いる包装体に利用可能である。
0096
1・・・多層フィルム
2・・・成形フィルム
2a・・・成形フィルムの第1面
2b・・・成形フィルムの第2面
2c・・・成形フィルムの突出部
11・・・バリア層
111・・・第1フィルム層
112・・・第2フィルム層
12・・・第1外層
13・・・第2外層
10・・・包装体
10a・・・固形剤収容部
10b・・・スリット
101・・・カバーフィルム
101a・・・カバーフィルムの第1面
102・・・固形剤
LTD・・・両端の固形剤収容部における開口面の中心間の距離