図面 (/)

技術 研磨布用ドレッサーの製造方法および研磨布用ドレッサー

出願人 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
発明者 坂本広明木下俊哉
出願日 2019年3月26日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2019-059264
公開日 2020年10月1日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-157421
状態 未査定
技術分野 洗浄、機械加工 研削機械のドレッシング及び付属装置 研磨体及び研磨工具
主要キーワード 三角形配列 中間近傍 目開きサイズ アーク状 焼結用成形体 ミリメートルオーダー 機械的平面 エッジ部位
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年10月1日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

金属元素溶出を抑制し、砥粒の突き出し高さのばらつきを小さくして、優れたパッド研削速度パッド平坦性とを同時に実現する、研磨布用ドレッサーの製造方法、および当該ドレッサーを提供する。

解決手段

本発明は、セラミックス原料組成物を調製する工程と、砥粒を成形用金型の底面に配置する工程と、セラミックス原料組成物内に砥粒が埋まっている成形体を得る工程と、成形体を焼成し、焼結セラミックス母相に直接固着された砥粒とを含む研削部を得る工程とを含む、研磨布用ドレッサーの製造方法である。さらに本発明は、焼結セラミックス母相32と、その片面に直接固着された単結晶砥粒とを含む研削部を備え、砥粒31の突き出し高さpの平均値が2μm以上300μm以下である、研磨布用ドレッサーである。

概要

背景

半導体ウェーハの表面を研磨する装置、あるいは、集積回路を製造する途中の配線絶縁層の表面を平坦化する装置、磁気ハードディスク基板に使用されるAl板やガラス板の表面を平坦化する装置等では、化学的かつ機械的平面研磨(Chemical Mechanical Planarization、以下「CMP研磨」と略す)が用いられている。このCMP研磨とは、例えば、ウレタン製の研磨パッドが貼り付けられた回転基板に、微細砥粒を含むスラリー液を供給しながら、被研磨面を押し当てて、被研磨面を平坦化する方法である。当然のことながら、この研磨パッド、等の研磨能力は使用時間と共に低下していくが、この低下を抑制するために、一定時間毎研磨パッド表層部を研削して研磨パッドの平坦性を維持しながら、常に新しい面が出るようにドレッシングしている。このドレッシングに使用する部品を、研磨布用ドレッサーと呼ぶ(以下、しばしば、「ドレッサー」とも略す)。

最近では、集積回路のラインスペ−スの極狭化によるパターン露光装置の浅焦点深度化、あるいは磁気ハードディスクの記録容量増加などに伴って、被研磨面に発生するスクラッチ傷をなくすという従来からの要求に加えて、被研磨面のうねりを低減させるなど、平坦性への要求が益々高くなってきている。これらの要求に応えていくためには、ドレッシングによってパッド表面を均一に研削してパッドの平坦性を維持することが要求される。さらには、ドレッシングには、より速くパッドの目詰まり異物を除去できる、パッド研削速度も要求される。

従来のドレッサーは、人工ダイヤモンド砥粒を金属製の基板の上にろう付け接合したもの(例えば、特許文献1)、人工ダイヤモンド砥粒を金属製の基板の上にニッケル電着めっき接合したもの(例えば、特許文献2)であった。

また、金属製基板を使用せずに、樹脂製の基板に人工ダイヤモンド砥粒を有機系接着剤接着したもの(例えば、特許文献3)や、基板および突起セラミックス成形したセラミックスドレッサー(例えば、特許文献4および5)も公知である。特許文献4および5には、セラミックスを粉末成形する際の型の形状を凹凸にして、焼結体に突起を形成させたセラミックスドレッサーが開示されている。

概要

金属元素溶出を抑制し、砥粒の突き出し高さのばらつきを小さくして、優れたパッド研削速度とパッド平坦性とを同時に実現する、研磨布用ドレッサーの製造方法、および当該ドレッサーを提供する。本発明は、セラミックス原料組成物を調製する工程と、砥粒を成形用金型の底面に配置する工程と、セラミックス原料組成物内に砥粒が埋まっている成形体を得る工程と、成形体を焼成し、焼結セラミックス母相に直接固着された砥粒とを含む研削部を得る工程とを含む、研磨布用ドレッサーの製造方法である。さらに本発明は、焼結セラミックス母相32と、その片面に直接固着された単結晶砥粒とを含む研削部を備え、砥粒31の突き出し高さpの平均値が2μm以上300μm以下である、研磨布用ドレッサーである。

目的

特開2005−262341号公報
特開2013−111707号公報
特開2001−25957号公報
特表2015−524358号公報
特表2015−530265号公報






従来、パッド研削速度の経時劣化を抑制して、ドレッサーの寿命延ばすことや、パッド研削速度を高い状態に維持したままで、パット平坦性を向上することが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

焼結セラミックスからなる母相と、前記母相に直接固着された砥粒とを含む研削部を備えた、研磨布用ドレッサーの製造方法であって、セラミックス原料粉末と、バインダー材料とを含むセラミックス原料組成物を調製する工程と、砥粒を成形用金型の底面に配置する工程と、前記成形用金型のキャビティ内に前記セラミックス原料組成物を充填し、前記砥粒の配置が変化しないように加圧して、前記セラミックス原料組成物内に前記砥粒が埋まっている成形体を得る工程と、前記セラミックス原料組成物が焼結する条件において前記成形体を焼成し、前記セラミックス原料組成物を焼結させると共に、前記砥粒の一部分を前記成形体の表面に突出させて、焼結セラミックス母相と、前記焼結セラミックス母相に直接固着された前記砥粒とを含む研削部を得る工程とを含む、研磨布用ドレッサーの製造方法。

請求項2

前記焼成を、1200℃以上2300℃以下の温度において、1時間以上8時間以下の時間実施する、請求項1に記載の製造方法。

請求項3

前記バインダー材料が、前記セラミックス原料粉末および前記砥粒のそれぞれと化学結合可能な化合物である、請求項1または2に記載の製造方法。

請求項4

前記砥粒の平均粒径d3は、20μm以上3000μm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。

請求項5

前記砥粒が単結晶砥粒である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。

請求項6

前記単結晶砥粒が、SiCまたはB4Cである、請求項5に記載の製造方法。

請求項7

前記セラミックス原料粉末が、SiC、B4C、またはSi3N4である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。

請求項8

前記研削部における前記砥粒の突き出し高さは、平均値が2μm以上300μm以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。

請求項9

請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法によって製造された、研磨布用ドレッサー。

請求項10

焼結セラミックス母相と、前記焼結セラミックス母相の片面に固着された砥粒とを含む研削部を備えた研磨布用ドレッサーであって、前記焼結セラミックス母相は、セラミックス原料粉末と、バインダー材料とを含み、前記砥粒は、単結晶砥粒であり、且つ前記焼結セラミックス母相に直接固着されており、前記砥粒の突き出し高さは、平均値が2μm以上300μm以下である、研磨布用ドレッサー。

請求項11

前記砥粒の平均粒径d3が、20μm以上3000μm以下である、請求項10に記載の研磨布用ドレッサー。

請求項12

前記砥粒が、SiCまたはB4Cである、請求項10または11に記載の研磨布用ドレッサー。

請求項13

前記セラミックス原料粉末が、SiC、B4C、またはSi3N4である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の研磨布用ドレッサー。

請求項14

前記セラミックス原料粉末、前記砥粒および前記バインダー材料の組み合わせが、下記(I)〜(IV)のいずれか1種である、請求項10〜13のいずれか一項に記載の研磨布用ドレッサー。(I)前記セラミックス原料粉末がSiCであり、前記砥粒がSiCであり、前記バインダー材料がB4C、BN、C、Al2O3および希土類酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、(II)前記セラミックス原料粉末がSiCであり、前記砥粒がB4Cであり、前記バインダー材料がAl2O3および希土類酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、(III)前記セラミックス原料粉末がB4Cであり、前記砥粒がSiCまたはB4Cであり、前記バインダー材料がSiO2、AlN、C、Si3N4およびSiAl6O2N6からなる群より選ばれる少なくとも1種である、(IV)前記セラミックス原料粉末がSi3N4であり、前記砥粒がSiCまたはB4Cであり、前記バインダーがAl2O3、希土類酸化物、MgO、SiO2、TiO2、ZrO2、HfO2、TiSi2、ZrSi2、AlNおよびSiAl6O2N6からなる群より選ばれる少なくとも1種である。

請求項15

前記研削部の形状が円形または多角形であり、その円相当直径が5mm以上200mm以下である、請求項10〜14のいずれか一項に記載の研磨布用ドレッサー。

請求項16

前記研削部の厚みが、1mm以上20mm以下である、請求項10〜15のいずれか一項に記載の研磨布用ドレッサー。

請求項17

前記焼結セラミックス母相の、前記砥粒が固着されている面とは反対側の面に連結された基板を更に含む、請求項10〜16のいずれか一項に記載の研磨布用ドレッサー。

請求項18

前記基板の形状が円形または多角形であり、その円相当直径が30mm以上500mm以下である、請求項17に記載の研磨布用ドレッサー。

請求項19

前記基板の厚みが、5mm以上30mm以下である、請求項17または18に記載の研磨布用ドレッサー。

請求項20

少なくとも前記基板が耐薬品性コーティングされている、請求項17〜19のいずれか一項に記載の研磨布用ドレッサー。

技術分野

0001

本発明は、研磨布用ドレッサーの製造方法および研磨布用ドレッサーに関する。

背景技術

0002

半導体ウェーハの表面を研磨する装置、あるいは、集積回路を製造する途中の配線絶縁層の表面を平坦化する装置、磁気ハードディスク基板に使用されるAl板やガラス板の表面を平坦化する装置等では、化学的かつ機械的平面研磨(Chemical Mechanical Planarization、以下「CMP研磨」と略す)が用いられている。このCMP研磨とは、例えば、ウレタン製の研磨パッドが貼り付けられた回転基板に、微細砥粒を含むスラリー液を供給しながら、被研磨面を押し当てて、被研磨面を平坦化する方法である。当然のことながら、この研磨パッド、等の研磨能力は使用時間と共に低下していくが、この低下を抑制するために、一定時間毎研磨パッド表層部を研削して研磨パッドの平坦性を維持しながら、常に新しい面が出るようにドレッシングしている。このドレッシングに使用する部品を、研磨布用ドレッサーと呼ぶ(以下、しばしば、「ドレッサー」とも略す)。

0003

最近では、集積回路のラインスペ−スの極狭化によるパターン露光装置の浅焦点深度化、あるいは磁気ハードディスクの記録容量増加などに伴って、被研磨面に発生するスクラッチ傷をなくすという従来からの要求に加えて、被研磨面のうねりを低減させるなど、平坦性への要求が益々高くなってきている。これらの要求に応えていくためには、ドレッシングによってパッド表面を均一に研削してパッドの平坦性を維持することが要求される。さらには、ドレッシングには、より速くパッドの目詰まり異物を除去できる、パッド研削速度も要求される。

0004

従来のドレッサーは、人工ダイヤモンド砥粒を金属製の基板の上にろう付け接合したもの(例えば、特許文献1)、人工ダイヤモンド砥粒を金属製の基板の上にニッケル電着めっき接合したもの(例えば、特許文献2)であった。

0005

また、金属製基板を使用せずに、樹脂製の基板に人工ダイヤモンド砥粒を有機系接着剤接着したもの(例えば、特許文献3)や、基板および突起セラミックス成形したセラミックスドレッサー(例えば、特許文献4および5)も公知である。特許文献4および5には、セラミックスを粉末成形する際の型の形状を凹凸にして、焼結体に突起を形成させたセラミックスドレッサーが開示されている。

先行技術

0006

特開2005−262341号公報
特開2013−111707号公報
特開2001−25957号公報
特表2015−524358号公報
特表2015−530265号公報

発明が解決しようとする課題

0007

従来、パッド研削速度の経時劣化を抑制して、ドレッサーの寿命延ばすことや、パッド研削速度を高い状態に維持したままで、パット平坦性を向上することが望まれている。例えば、砥粒の突き出し部の高さのばらつきを抑制すると、ドレッシングの時に機能する砥粒の数を増やすことができるため、パッド研削速度の経時劣化を抑制することが可能となる。また、パッド研削速度を高い状態に維持したままで、パットの平坦性も向上することができる。

0008

しかし、特許文献1や2に開示されているような、金属基板ダイヤモンド砥粒を接合したドレッサーの場合、砥粒の突き出し高さのばらつきを小さくすることに限界がある。砥粒の突き出し高さのばらつきは、砥粒の粒度分布の幅に比例するものであり、粒度分布が広くなると、突き出し高さのばらつきが大きくなる。一方、粒度分布が狭くなると、突き出し高さのばらつきは小さくなるが、砥粒の粒度分布の幅を狭くするには限界がある。よって、従来のろう付け接合や、ニッケル電着めっき接合を用いたドレッサーの突き出し高さのばらつきは、粒径が100〜200μmの人工ダイヤモンド砥粒を用いた場合で、40μm〜60μm程度であり、それ以下にすることは難しい。

0009

また、金属基板を用いたドレッサーの場合、酸性スラリー中でのドレッシング中に生じうる金属元素溶出が問題となる。例えば、LSI回路には、その線幅が十数nm以下の領域があり、このような領域では、金属汚染が問題になっている。よって、金属製の部材を使用しないドレッサーが望まれている。

0010

特許文献3に開示されているような、樹脂製の基板に人工ダイヤモンド砥粒を有機系接着剤で接着したドレッサーでは、砥粒を基板に押し込んで突き出し高さを調整することができるため、砥粒の突き出し高さのばらつきを低減することが可能であり、さらに金属元素の溶出の問題もない。しかし、砥粒と基板との接合強度が十分ではなく、砥粒脱落の問題が生じやすい。

0011

さらに特許文献4および5等の従来のセラミックスドレッサーでは、母相セラミックス結晶粒径は数μm〜数十μmであり、突起部の大きさは約10μm〜約300μmであるため、突起部は必ず結晶粒界を含んでいる。そして、この結晶粒界は突起部の破壊の起点になり易いため、強度の問題がある。また、従来のセラミックスの製造方法で製造されたセラミックス製の突起部には、ダイヤモンド砥粒のような鋭いエッジを形成させることが難しく、パッド研削力が低くなるという欠点もある。

0012

本発明は、前述した課題を解決するために、金属元素の溶出を抑制し、さらに砥粒の突き出し高さのばらつきを小さくして、優れたパッド研削速度とパッド平坦性とを同時に実現したドレッサーの製造方法、および当該ドレッサーの提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0013

上記課題に鑑み、本発明の第一は、下記の研磨布用ドレッサーの製造方法である。
[1]焼結セラミックスからなる母相と、前記母相に直接固着された砥粒とを含む研削部を備えた、研磨布用ドレッサーの製造方法であって、
セラミックス原料粉末と、バインダー材料とを含むセラミックス原料組成物を調製する工程と、
砥粒を成形用金型の底面に配置する工程と、
前記成形用金型のキャビティ内に前記セラミックス原料組成物を充填し、前記砥粒の配置が変化しないように加圧して、前記セラミックス原料組成物内に前記砥粒が埋まっている成形体を得る工程と、
前記セラミックス原料組成物が焼結する条件において前記成形体を焼成し、前記セラミックス原料組成物を焼結させると共に、前記砥粒の一部分を前記成形体の表面に突出させて、焼結セラミックス母相と、前記焼結セラミックス母相に直接固着された前記砥粒とを含む研削部を得る工程と
を含む、研磨布用ドレッサーの製造方法。
[2] 前記焼成を、1200℃以上2300℃以下の温度において、1時間以上8時間以下の時間実施する、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記バインダー材料が、前記セラミックス原料粉末および前記砥粒のそれぞれと化学結合可能な化合物である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 前記砥粒の平均粒径d3は、20μm以上3000μm以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 前記砥粒が単結晶砥粒である、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 前記単結晶砥粒が、SiCまたはB4Cである、[5]に記載の製造方法。
[7] 前記セラミックス原料粉末が、SiC、B4C、またはSi3N4である、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8] 前記研削部における前記砥粒の突き出し高さは、平均値が2μm以上300μm以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。

0014

本発明の第二は、下記の研磨布用ドレッサーである。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の方法によって製造された、研磨布用ドレッサー。
[10]焼結セラミックス母相と、前記焼結セラミックス母相の片面に固着された砥粒とを含む研削部を備えた研磨布用ドレッサーであって、
前記焼結セラミックス母相は、セラミックス原料粉末と、バインダー材料とを含み、
前記砥粒は、単結晶砥粒であり、且つ前記焼結セラミックス母相に直接固着されており、
前記砥粒の突き出し高さは、平均値が2μm以上300μm以下である、
研磨布用ドレッサー。
[11] 前記砥粒の平均粒径d3が、20μm以上3000μm以下である、[10]に記載の研磨布用ドレッサー。
[12] 前記砥粒が、SiCまたはB4Cである、[10]または「11」に記載の研磨布用ドレッサー。
[13] 前記セラミックス原料粉末が、SiC、B4C、またはSi3N4である、[10]〜[12]のいずれかに記載の研磨布用ドレッサー。
[14] 前記セラミックス原料粉末、前記砥粒および前記バインダー材料の組み合わせが、下記(I)〜(IV)のいずれか1種である、[10]〜[13]のいずれかに記載の研磨布用ドレッサー。
(I)前記セラミックス原料粉末がSiCであり、前記砥粒がSiCであり、前記バインダー材料がB4C、BN、C、Al2O3および希土類酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、
(II)前記セラミックス原料粉末がSiCであり、前記砥粒がB4Cであり、前記バインダー材料がAl2O3および希土類酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、
(III)前記セラミックス原料粉末がB4Cであり、前記砥粒がSiCまたはB4Cであり、前記バインダー材料がSiO2、AlN、C、Si3N4およびSiAl6O2N6からなる群より選ばれる少なくとも1種である、
(IV)前記セラミックス原料粉末がSi3N4であり、前記砥粒がSiCまたはB4Cであり、前記バインダーがAl2O3、希土類酸化物、MgO、SiO2、TiO2、ZrO2、HfO2、TiSi2、ZrSi2、AlNおよびSiAl6O2N6からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
[15] 前記研削部の形状が円形または多角形であり、その円相当直径が5mm以上200mm以下である、[10]〜[14]のいずれかに記載の研磨布用ドレッサー。
[16] 前記研削部の厚みが、1mm以上20mm以下である、[10]〜[15]のいずれかに記載の研磨布用ドレッサー。
[17] 前記焼結セラミックス母相の、前記砥粒が固着されている面とは反対側の面に連結された基板を更に含む、[10]〜[16]のいずれかに記載の研磨布用ドレッサー。
[18] 前記基板の形状が円形または多角形であり、その円相当直径が30mm以上500mm以下である、[17]に記載の研磨布用ドレッサー。
[19] 前記基板の厚みが、5mm以上30mm以下である、[17]または[18]に記載の研磨布用ドレッサー。
[20] 少なくとも前記基板が耐薬品性コーティングされている、[17]〜[19]のいずれかに記載の研磨布用ドレッサー。

発明の効果

0015

本発明によれば、金属元素の溶出を抑制し、さらに砥粒の突き出し高さのばらつきを小さくして、優れたパッド研削速度とパッド平坦性とを同時に実現したドレッサーの製造方法、および当該ドレッサーが提供される。

図面の簡単な説明

0016

図1は、焼成前後の成形体を示す模式図であり、(a)は焼成前の成形体、(b)は焼成後の焼結体(研削部の砥粒1つだけを示す)である。
図2は、ペレット型ドレッサーの一態様を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図3は、一体型ドレッサーの一態様を示す模式的な平面図であり、(a)は全面凸部砥粒型のドレッサー、(b)は分割凸部砥粒型のドレッサーである。

0017

セラミックス材料は、焼結すると収縮し、その嵩密度が上昇するものである。本発明の製造方法においては、焼結時のセラミックスの収縮を利用して、砥粒の突き出し高さの揃ったドレッサーを製造することに成功した。具体的には、砥粒を成形用金型の底面に配置し、そこにセラミックス原料組成物を充填して得た成形体を焼成し、焼成の際にセラミックス原料組成物が焼結して収縮することによって、セラミックス原料組成物中に埋め込んだ砥粒を突き出させる。このように砥粒のエッジが金型の底面に揃うように配置し、その配置を維持した状態でセラミックス原料組成物を焼結させて砥粒を固着すると共に、砥粒を表面に突き出させることで、砥粒の突き出し高さのばらつきの少ない研削部を得ることできた。

0018

また、本発明の製造方法においては、砥粒の突き出し高さは、母相を形成するセラミックス原料組成物の焼結時の収縮量で決まるため、ミリメートルオーダーの大きなサイズの砥粒を用いた場合でも、突き出し高さを数十μmオーダーとすることが可能である。
本発明はこのような知見に基づき完成したものである。

0019

1.研磨布用ドレッサーの製造方法
本発明の第一の態様は、研磨布用ドレッサーの製造方法である。本実施態様の製造方法は、セラミックス原料粉末と、バインダー材料とを含むセラミックス原料組成物を調製する工程と、砥粒を成形用金型の底面に配置する工程と、前記成形用金型のキャビティ内に前記セラミックス原料組成物を充填し、前記砥粒の配置が変化しないように加圧して、前記セラミックス原料組成物内に前記砥粒が埋まっている成形体を得る工程と、前記セラミックス原料組成物が焼結する条件において前記成形体を焼成し、前記セラミックス原料組成物を焼結させると共に、前記砥粒の一部分を前記成形体の表面に突出させて、焼結セラミックス母相と、前記焼結セラミックス母相に直接固着された前記砥粒とを含む研削部を得る工程とを含む。
以下、各工程について詳細に説明する。

0020

(1)セラミックス原料組成物を調製する工程
初めに、セラミックス原料粉末と、バインダー材料とを含むセラミックス原料組成物を調製する。

0021

(セラミックス原料粉末)
本発明において使用するセラミックス原料粉末に特に限定はなく、焼成セラミックス原料として一般的な材料を使用することができる。セラミックス原料粉末の一例として、Al2O3、ZrO2等の酸化物系セラミックス原料、SiC、B4C等の炭化物系セラミックス原料、Si3N4等の窒化珪素系のセラミックス原料等が挙げられる。SiC、B4C、またはSi3N4は、焼成後の収縮率が安定していること、また、後述するバインダー材料や砥粒との固着性の観点から好ましい。

0022

セラミックス原料粉末の平均粒径d1に特に限定はないが、通常、0.1μm以上3μm以下であることが好ましく、0.5μm以上2μm以下であることがより好ましい。

0023

(バインダー材料)
セラミックス原料粉末と共に使用するバインダー材料は、セラミックス原料粉末および砥粒のそれぞれと共有結合金属結合イオン結合、等の化学結合可能な化合物である限り特に限定はない。このようなバインダー材料を使用することで、焼成の際にセラミックス原料粉末同士の結合を促進し、焼結セラミックスを緻密化して強度を高めると共に、砥粒と焼結セラミックスとの間の固着性を高めることができる。一般的に焼結助剤などとして使用されている無機物系の材料をバインダー材料として使用することができる。このような無機物系のバインダー材料としては、BN、AlN等の窒化物、C(カーボンブラック等)、B4C等の炭化物、Al2O3、MgO、SiO2、TiO2、ZrO2、HfO2等の酸化物や希土類酸化物、TiSi2、ZrSi2等のケイ素化合物、Si3N4、SiAl6O2N6等の窒化珪素化合物が挙げられる。バインダー材料は、1種以上を使用すればよく、通常、2〜3種を組み合わせて使用するが、それ以上(例えば4種)のバインダー材料を使用することもできる。

0024

バインダー材料の平均粒径d2に特に限定はないが、通常、10nm以上5μm以下であることが好ましく、20nm以上2μm以下であることがより好ましい。

0025

バインダー材料は、使用するセラミックス材料および砥粒の種類に応じて選択することができる。焼成の際にセラミックス原料粉末同士を固着させて緻密なセラミックス母相を得るためには、バインダー材料はセラミックス原料粉末とは異なる化合物であることが好ましい。

0026

また、セラミックス原料組成物は、本発明の特徴が損なわれない範囲で、通常、セラミックス原料に添加することが可能な添加物を含有してもよい。他の添加剤としては、有機物系のバインダー、消泡剤界面活性剤等が挙げられる。

0027

セラミックス原料組成物は、セラミックス原料粉末とバインダー材料とを混合することで得ることができる。バインダー材料の使用量は、通常、セラミックス原料粉末の質量に対して、0.3質量%以上15質量%以下であることが好ましく、0.6質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。尚、複数種のバインダー材料を使用する際には、それらの合計量が上記範囲内であることが好ましい。

0028

セラミックス原料粉末とバインダー材料とを混合する方法に特に限定はないが、例えば、エタノールや水などの溶媒の存在下、ボールミルなどの混合器を用いてセラミックス原料粉末とバインダー材料とを混合することができる。こうして得られた混合物スラリー状であるため、次にスラリーを乾燥させた後、粉末化する。粉末化は乳鉢を用いた解砕等でもよいが、スプレードライ法によって、スラリーの乾燥と造粒とを同時に行うこともできる。

0029

このようにして得られたセラミックス原料組成物の平均粒径に特に限定はないが、通常、3μm以上70μm以下であることが好ましく、スプレドライ法を用いた場合には、40μm以上70μm以下の球状に近い流動性が良いセラミックス原料組成物が得られ、生産性が向上するため好ましい。

0030

(2)砥粒を配置する工程
次に、砥粒を成形用金型の底面に配置する。

0031

(金型)
ここで使用する成形用金型は、後の成形体を得る工程において配置した砥粒を動かすことなく金型にセラミックス原料組成物を充填し、加圧することのできる構造であれば特に限定はない。一例として、後述する実施例で使用したような、ダイと、固定型の下パンチと、可動式の上パンチとからなる成形用金型が挙げられる。また、金型の形状やサイズに特に限定はなく、最終的な研削部および/またはドレッサーの形状およびサイズに応じて設計することができる。研削部の形状およびサイズについては、ドレッサーの形状およびサイズに関連して後述する。

0032

(砥粒)
砥粒は、研削部に母相として使用するセラミックスの焼結温度において元の状態で安定に存在できるものであり、ドレッシング中に触れるスラリーに対して安定であり、且つパッドを研削できる硬度を有するものである限り、特に限定はない。尚、「元の状態で安定に存在できる」とは、砥粒の実質的なサイズ変化を伴うような、全体的な形状変化が発生しないことを意味し、突起部分が丸みを帯びる程度の変化は元の状態であると見なす。このような砥粒としては、一般的なドレッサー用の砥粒を用いることができ、例えば、ダイヤモンド砥粒、SiC砥粒、c−BN砥粒およびB4C砥粒等が挙げられる。セラミックス母相との固着性の観点から、砥粒はセラミック原料粉末と共通する元素を含む化合物であることが好ましく、SiC砥粒およびB4C砥粒がより好ましい。

0033

砥粒は、単結晶砥粒でも、多結晶砥粒でもよいが、強度の観点から、単結晶砥粒が好ましい。

0034

砥粒の平均粒径d3に特に限定はないが、通常、20μm以上3000μm以下であることが好ましく、50μm以上1500μm以下であることがより好ましい。本実施態様の製造方法においては、砥粒の平均粒径d3が20μm以上であれば、優れた研削速度を達成するのに十分な砥粒突き出し高さを達成することができる。また、3000μm以下であれば、研削部に十分な数の突き出し部を形成することができるため、パッド研削速度の経時劣化を抑制することができる。

0035

本実施態様の製造方法においては、ミリメートルオーダーの大きなサイズの砥粒を用いることもできる。従来のろう付け接合や、Ni電着めっき接合によって砥粒を固着したドレッサーでは、砥粒の突き出し高さは砥粒サイズのほぼ半分程度となるが、本実施態様の製造方法では、砥粒の突き出し高さは母相セラミックスの焼結時の収縮量で決まり、砥粒のサイズに係わらず、突き出し高さを数十μmオーダーとすることが可能なためである。よって、大きな砥粒を用いても、優れたパットの平坦性を維持することができる。また、大きな砥粒では、個々の砥粒のエッジ部位が長くなり、パッド研削力が向上する。したがって、大きなサイズの砥粒を用いて、大きな研削速度と優れたパット平坦性を両立することが可能となる。

0036

さらに、粒度分布の狭い砥粒を使用して、一枚のドレッサー内に存在する最大砥粒と最小砥粒との粒径差を小さくすることが好ましい。当該粒径差が小さいほど、砥粒の突き出し高さのばらつきも小さくなる。具体的には、上記粒径差が200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。

0037

尚、セラミックス原料粉末の平均粒径d1、バインダー材料の平均粒径d2、砥粒の平均粒径d3およびセラミックス原料組成物の平均粒径は、分級法、レーザー回折法遠心沈降法および走査型電子顕微鏡(SEM)を含む直接観察法により測定することができる。本発明においては、砥粒の粒径は篩分級法で測定した値とする。篩はJIS Z8801の篩を用いる。ただし、JIS Z 8801の篩の目開きサイズは20μmが最小であるため、20μm以下の大きさの砥粒が含まれる場合には以下の篩を作製して使用した。篩の目開きの配置と同様になるように、20μm厚のSUS304のステンレス箔に、目開きが15μm、10μmに相当する正方形貫通孔レーザ−加工によって開けた箔をJIS篩のメッシュの円形の大きさに切断し、それを目開きが1mmの篩のメッシュの上に配置して、周囲の隙間をエポキシ樹脂で塞いだ篩を作製した。レーザ−加工によって開けた正方形の隣り合う孔の中心間距離は、目開きが15μmの場合には30μm、目開きが10μmの場合には20μmとした。

0038

砥粒を篩にかけるやり方はJIS Z 8815の篩試験方法に従って行う。このような方法で砥粒を篩った後、各篩には、分級された砥粒が残ることになる。各篩に残った砥粒の質量を測定し、合計を100%として各篩に残った砥粒の質量%を求める。各篩に残った砥粒の粒径は、その篩の目開きさの大きさとその篩の上に配置した篩の目開きの大きさの中間の値として、横軸砥粒径縦軸累積分布グラフを描き、累積分布が50%になるメジアン径を砥粒の平均粒径とした。ただし、目開きが10μmの篩を通過した砥粒の粒径は5μmとした。

0039

原料粉末バインダ−の粒径はレ−ザ−回折法(例えば、堀場製作所、形式LA−960)が好適である。純水を溶媒として用いて、粉体凝集し易い場合には、分散剤超音波処理によって凝集を防ぐことができる。平均粒径はメジアン径を用いることが好ましい。

0040

また、セラミックスドレッサーにおいては、セラミックス原料粉末、砥粒およびバインダー材料の組み合わせによって、ドレッサーの強度(具体的には、セラミックス母相の強度や砥粒の脱落しやすさ)に影響が出ることがある。母相を構成するセラミックス原料粉末と、砥粒との固着性と高め、ドレッサーの強度を高める観点からは、セラミックス原料粉末、砥粒およびバインダー材料が、下記(I)〜(IV)の組み合わせのいずれか1種を満たすように選択することが好ましい。

0041

(I)前記セラミックス原料粉末がSiCであり、前記砥粒がSiCであり、前記バインダー材料がB4C、BN、C、Al2O3および希土類酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、
(II)前記セラミックス原料粉末がSiCであり、前記砥粒がB4Cであり、前記バインダー材料がAl2O3および希土類酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、
(III)前記セラミックス原料粉末がB4Cであり、前記砥粒がSiCまたはB4Cであり、前記バインダー材料がSiO2、AlN、C、Si3N4およびSiAl6O2N6からなる群より選ばれる少なくとも1種である、
(IV)前記セラミックス原料粉末がSi3N4であり、前記砥粒がSiCまたはB4Cであり、前記バインダーがAl2O3、希土類酸化物、MgO、SiO2、TiO2、ZrO2、HfO2、TiSi2、ZrSi2、AlNおよびSiAl6O2N6からなる群より選ばれる少なくとも1種である。

0042

尚、上述したように、数種類のバインダー材料を組み合わせて使用することができる。その場合は、使用するバインダー材料の全てが、(I)〜(IV)の各組み合わせに列挙されている材料から選択されることが好ましい。しかし、バインダー材料の少なくとも1種が特定の組み合わせから選ばれており、且つ、本発明の効果が損なわれない限り、各組み合わせに列挙されていない他のバインダー材料を使用することも可能である。

0043

(砥粒の配置)
砥粒を成形用金型の底面に配置する際には、次の成形体を作製する工程で砥粒の配置がずれないように、剥離可能な程度の粘着力両面テープ接着剤を介して、金型の底面に砥粒を配置することが好ましい。砥粒は、ランダムに配置してもよいし、規則的に配列することもできる。規則的な配列としては、正方形の頂点に砥粒を配置した正方形配列、同様に三角形配列などが挙げられる。

0044

砥粒を規則的に配置する方法としては、例えば、ステンレス板に砥粒が一つだけ入る大きさの貫通孔を所定の配置で設けた孔開きステンレス板を用意し、当該孔開きステンレス板を用いて砥粒を金型の下パンチの底面に配置することができる。このとき、下パンチの最外周近傍の領域(例えば、最外周から内側へ1mm入った領域)には砥粒を配置しないことが好ましい。

0045

また、砥粒の平均粒径d3の範囲において研削速度をより速くする観点からは、ドレッサー全体の砥粒数の70%以上が、下記の関係を満たすことが好ましい。
d3≦L<5×d3
上記式において、Lは隣り合う砥粒同士の中心間距離である。この関係を満たすように砥粒間の距離を小さくすることで、研削速度を速くし、かつパッドの平坦性を高めることが可能となる。

0046

(3)成形体を得る工程
次に砥粒を配置した金型のキャビティにセラミックス原料組成物を充填し、加圧して、セラミックス原料組成物内に砥粒が埋まっている成形体を得る。本実施態様の方法においては、金型の底面に砥粒を配置した状態で上からセラミックス原料組成物を充填して成形体を得ることから、砥粒の先端は成形体の表層部に整列している。このような成形体を焼結させることから、砥粒の突き出し高さのばらつきの少ない研削部が得られる。

0047

金型に充填するセラミックス原料組成物の量は、加圧後に砥粒が完全にセラミックス原料組成物中に埋まり、且つ焼成によるセラミックス原料組成物の収縮後にも、砥粒を保持するのに十分な厚みのセラミックス母相が形成される量である限り、特に限定はない。

0048

次に、充填したセラミックス原料組成物を加圧して、成形体とする。加圧の程度に特に限定はないが、通常、500kgf/cm2以上5000kgf/cm2以下、好ましくは1000kgf/cm2以上3000kgf/cm2以下である。また、加圧後の成形体(即ち、焼成前の成形体)の嵩密度が、焼成後の嵩密度に対して40%以上90%以下となるように圧力を加えることが好ましい。
尚、嵩密度は、成形体の高さ、直径および重量をそれぞれ測定し、計算した値である。

0049

本発明においては、次の焼成工程においてセラミックス原料組成物が焼結して収縮することによって、セラミックス原料組成物中に埋め込んだ砥粒が突き出る。最終的な砥粒の突き出し高さは、砥粒の大きさと、焼成によるセラミックス原料組成物の嵩密度の変化とによって決まる。よって、本工程における成形体の嵩密度を制御することによっても、砥粒の突き出し高さを制御することができる。

0050

図1に示した模式図においては、砥粒31の周りのセラミックス母相32の高さH1と、焼結体における砥粒31の周りのセラミックス母相32の高さh1との差(H1−h1)が、砥粒の突き出し高さとなる。また、焼結による成形体の収縮は、その高さ方向のどの部位においても、高さ減少率は一定である。よって、砥粒の下(成形体調製時には砥粒より上)の部分を占めるセラミックス材料組成物の高さH2に対する、焼結体における対応する部分の高さh2の比(h2/H2)は、h1/H1および(h1+h2)/(H1+H2)と等しい。

0051

焼結後の嵩密度の変化は、使用するセラミックス原料粉末やバインダー材料の種類や平均粒子径や、焼成条件によっても異なるが、同じ原料を使用した場合には、焼結前の成形体の嵩密度が高いほど、焼結後の嵩密度の上昇率は少なくなる、即ち、収縮率が低くなる。よって、砥粒の突き出し高さも低くなる傾向にある。また、焼結前の成形体の嵩密度が低ければ、焼結後の嵩密度の上昇率は大きくなる、即ち、収縮率が高くなるため、砥粒の突き出し高さも高くなる傾向にある。このように、成形体嵩密度と焼結後の嵩密度とを調節することで、砥粒の突き出し高さを調節することできる。

0052

焼成後のセラミックス原料組成物の収縮率などを考慮して、適切な砥粒の突き出し高さを達成するためには、焼成前の成形体の嵩密度は、焼成後の嵩密度に対して40%以上90%以下であることが好ましく、60%以上80%以下であることがより好ましい。

0053

(4)焼成工程
上記で得られた成形体を、セラミックス原料組成物が焼結する条件において焼成する。焼成によって、セラミックス原料組成物を焼結させると共に、砥粒の一部分を成形体の表面に突出させて、焼結セラミックス母相と、前記焼結セラミックス母相に直接固着された砥粒とを含む研削部を得る。尚、「直接固着された」とは、砥粒がろう材や接着などを介してセラミックス母相に固定されているのではなく、砥粒とセラミックス母相とがバインダー材料と反応した相を介して接触した状態で固定されていることを意味する。

0054

焼成条件は、使用するセラミックス原料組成物が焼結する条件である限り特に限定はなく、使用するセラミックス原料粉末の材質や粒径などによっても異なる。焼成は、常圧下でも加圧下でも実施することができるが、通常、焼成条件は、常圧下、1200℃以上2300℃以下の温度において、1時間以上8時間以下の時間である。具体的には、セラミックス原料粉末が窒化珪素の場合は1500℃以上1750℃以下が好ましく、炭化珪素の場合は1750℃以上2300℃以下が好ましく、炭化ホウ素の場合は1800℃以上2200℃以下が好ましい。焼結時間の好ましい範囲は、1時間以上8時間以下であり、3時間以上5時間以下がより好ましい。
上記焼成によって、焼成後の嵩密度が、真密度(成形体を完全焼結させた、空隙の無い状態の焼結体の密度)に対して90%以上100%以下となることが好ましく、95%以上99%以下となることがより好ましい。
尚、嵩密度は、成形体の高さ、直径および重量をそれぞれ測定し、計算した値である。

0055

上述したように、焼成工程においてセラミックス原料組成物を焼結させると、セラミックス原料組成物の収縮(嵩密度の上昇)によって、焼成前には成形体の表面に突き出していなかった砥粒が表面に突き出る。砥粒の突き出し高さは、その平均値が2μm以上300μm以下であることが好ましく、5μm以上250μm以下であることがより好ましく、10μm以上120μm以下であることがさらに好ましい。砥粒の突き出し高さの平均値が2μm以上であると、十分なパッド研削速度が得られ、300μm以下であると、パッド平坦性が良好である。また、パッド平坦性は、砥粒の突き出し高さが70μm以下のときに向上する傾向にある。

0056

さらに砥粒の突き出し高さのばらつきは、小さい程好ましく、通常、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。砥粒の突き出し高さのばらつきが30μm以下であれば、高いパッド平坦性が得られる。また、長時間使用した際のパッド研削速度の劣化も抑制することができる。

0057

尚、砥粒の突き出し高さの平均値およびばらつきは、以下の方法で測定する。
焼結体表面の砥粒から、20個の砥粒を偏りなく選び、選んだ砥粒のそれぞれについて、測長顕微鏡を使用し、砥粒の周囲の母相の高さと砥粒の最頂点の高さとを求め、その差を突き出し高さとする。20個の砥粒の突き出し高さについて、最小値最大値、および平均値を求め、さらに最大値から最小値を引いた値を突き出し高さのばらつきとする。

0058

(5)ドレッサーの作製
上記の工程(1)〜(4)によって、焼結セラミックスからなる母相と、母相に直接固着された砥粒とを含む研削部が得られる。得られた研削部は、そのものを基板と研削部とが一体化した、一体型のドレッサー(図3参照)として使用することができる。また、基板に1つまたは複数の研削部を取り付けて、ペレット型のドレッサー(図2参照)としてもよい。

0059

(ペレット型のドレッサー)
基板に1つまたは複数の研削部を取り付けたペレット型のドレッサーは、ドレッサーとしての面積を広くすることができるため、より大きな面積のパットへの対応が可能となる。例えば図2のドレッサーにおいては、円形の基板20に、円形の研削部が6個取り付けられている(図2の(a))。

0060

研削部を連結する基板の材質としては、セラミックス;ステンレス鋼板にDLC、樹脂、TiN等を耐薬品性にコーティングしたもの;樹脂等が使用可能である。基板はドレッシング中に研磨パットに直接触れることはないが、酸性スラリーには触れるため、金属溶出が生じない材質がより好ましい。例えば、ステンレスは通常の鋼板と比べて金属溶出の少ない材料ではあるが、金属溶出を実質的に無くす必要がある場合には、ステンレスや通常の鋼板にDLCコーティング樹脂コーティングなどを施したものが好ましい。

0061

基板はCMP装置に連結されて使用され、基板自体がドレッシング中にパッドの上で自転公転をする。よって、基板の形状は基板の中心からみて対象性の良い円形、あるいは、五角形六角形八角形などの多角形が好ましい。

0062

基板のサイズは円相当直径で30mm以上500mm以下であることが好ましく、厚みは5mm以上30mm以下であることが好ましい。円相当直径が30mm以上であれば、研削後にパット平坦性が劣化しにくくなるため好ましい。また、円相当直径が500mm以下であれば、ドレッサーの重量が重くなってハンドリング性が悪くなることもない。厚みは5mm以上であれば、基板自体の剛性が十分であることから、反りが生じにくいため好ましい。厚みは30mmで必要な剛性は得られており、厚みの増加によって重量が重くなってハンドリング性が低下するため、30mm以下が好ましい。

0063

ペレット型のドレッサーにおいては、基板に連結する研削部の形状は、研削部の中心からみて対象性の良い形状、即ち、円形か、あるいは、五角形、六角形、八角形などの多角形が好ましい。

0064

研削部のサイズは、円相当直径で5mm以上200mm以下が好ましく、厚みは1mm以上20mm以下が好ましい。円相当直径が5mm以上であれば、基板に連結してドレッサーとする場合に、必要な研削部の個数が多くなり過ぎることがなく、少ない作業でドレッサーを作製することができる。また、円相当直径が200mm以下であれば、焼結体に反りが生じて、見かけ上の砥粒突き出し高さのばらつきが大きくなりにくい。厚みは1mm以上であれば、焼結体自体の強度が十分で、割れる恐れが少ない。また、厚みが20mmを超えると、格段の利点なしに、セラミックス粉末の原料コストが増加するため、20mm以下が好ましい。研削部の厚みは、図1のp+h1+h2で示され、pは測長顕微鏡で測定でき、h1+h2はノギスあるいはマイクロメ−タなどで測定できる。

0065

研削部を基板に連結する方法としては、有機系接着剤を用いて貼り付ける方法、ネジ等で留める方法等が挙げられる。例えば、研削部を連結するのと反対側から基板にネジで研削部を固定すれば、ネジ自体が酸性スラリーに触れることはない。したがって、金属製のネジも用いることができる。勿論、セラミックス製や樹脂製のネジも使用可能である。

0066

一つの基板に複数の研削部を連結する際に重要なことは、CMP装置に固定する基板の裏面から測定した際に、そこから連結後の砥粒の突き出し部の頂点までの距離が、複数の研削部において等距離になるように合わせることである。使用する研削部の全ての高さが揃うことで、パッド研削速度の経時劣化を抑制し、パッド研削速度を高い状態に維持したままで、パッドを平坦に研削することが可能となり、パット平坦性も向上することができる。

0067

一つの基板に複数の研削部を連結する場合、連結する研削部の数は3個以上が好ましい。研削部の数が2個では、基板がパット上を自転と公転をする際にバランスが悪くなり、安定した研削が困難な場合がある。複数の研削部は、それぞれの研削部中心位置が基板の中心から等距離の同心円上にあり、それぞれの研削部中心と基板中心を直線で結んだ場合、隣り合う直線の角度が等角度になるように配置することで、安定した研削ができるようになる。さらに同心円の半径を2つ以上に設定すれば、研削部が2重以上の同心円上に配置されることになるため、パッド均一性が更に向上する。

0068

(一体型のドレッサー)
セラミック母相と砥粒とを含む研削部をそのまま一体型のドレッサーとして使用することもできる。一体型のドレッサーは、金属製の基板を使用する必要がないため、ドレッシングの際の金属溶出を完全に防止することができる。

0069

一体型のセラミックスドレッサーとして用いる研削部のサイズに特に限定はないが、円相当直径で30mm以上200mm以下であることが好ましく、厚みは5mm以上20mm以下であることが好ましい。円相当直径が30mm以上であれば、パット平坦性が劣化しにくいため好ましい。また、円相当直径が200mm以下であれば、焼結体に反りが生じて、見かけ上の砥粒突き出し高さのばらつきが大きくなりにくい。厚みは5mm以上であれば、CMP装置への着脱の際に強度不足から割れる可能性が低くいため好ましい。また、厚みが20mmを超えても、セラミックス粉末の原料コストが増加し、格段の利点はないため20mm以下が好ましい。研削部の厚みは、図1のp+h1+h2で示され、pは測長顕微鏡で測定でき、h1+h2はノギスあるいはマイクロメ−タなどで測定できる。

0070

一体型のセラミックスドレッサーは、砥粒をその全面に配置した砥粒部33を有する、図3の(a)のような全面凸部砥粒型のドレッサーとすることができる。あるいは、砥粒を部分的に配置して、砥粒部33が砥粒の存在しない領域(即ちセラミックス母相32)によって分割された、図3の(b)のような分割凸部砥粒型のドレッサーとすることもできる。分割凸部砥粒型のドレッサーにおいては、砥粒を配置する領域を、例えば、アーク状に4分割あるいは6分割(図3の(b)は4分割)することができる。このように砥粒の存在する領域を分割すると、ドレッシング中にドレッサー研削部とパット表面の間に入っているスラリーの循環が良くなるため好ましい。

0071

2.研磨布用ドレッサー
本発明の第二の態様は、研磨布用ドレッサーである。本実施態様のドレッサーは、上述した本実施態様の製造方法によって製造することができる。

0072

本実施態様において好ましいドレッサーは、焼結セラミックス母相がセラミックス原料粉末と、バインダー材料とを含み、砥粒が単結晶砥粒であり、且つ焼結セラミックス母相に直接固着されており、さらに砥粒の突き出し高さの平均値が、2μm以上300μm以下である。

0073

さらにドレッサーに使用されている砥粒は、平均粒径d3が、20μm以上3000μm以下であることが好ましく、50μm以上1500μm以下であることがより好ましい。砥粒の平均粒径d3が20μm以上であることによって、優れた研削速度を達成するのに十分な砥粒突き出し高さが得られやすく、また、3000μm以下であれば、研削部に十分な数の突き出し部が形成されやすい。尚、ドレッサーに用いられている砥粒の平均粒径は次のようにして求めることができる。ドレッサ−の研削部では、砥粒の一部が突き出ているが、砥粒を研削部の厚み方向に切断し、その断面から、個々の砥粒の大きさを確認することができる。具体的には、研削部の中心近傍周辺近傍、中心部と周辺部の中間近傍から砥粒を偏りなく20個の砥粒の選定する。個々の砥粒をほぼ砥粒の中央位置で研削部の厚み方向に切断し、切断面に見える砥粒断面の研削部厚み方向の長さの最大値、および、研削部厚み方向に垂直な方向の長さの最大値を測定し、両者の平均値をその砥粒の大きさとした。切断はCP(Cross Section Polisher)加工を用いるのが好ましい。断面の観察には、デジタルマイクスコ−プ、あるいは、SEM(走査顕微鏡)を用いれば良い。その後、確認した砥粒の大きさのメジアン径を求めれば、砥粒の平均粒径を求めることができる。

0074

ドレッサーは、焼結セラミックス母相と、焼結セラミックス母相の片面に固着された砥粒とを含む研削部を備える。焼結セラミックス母相は、セラミックス原料粉末と、バインダー材料とを含むものである。セラミックス原料粉末およびバインダー材料に特に限定はなく、製造方法に関連して詳述したとおりである。

0075

焼結セラミックス母相の片面に直接固着された砥粒は、単結晶砥粒である。単結晶砥粒の種類およびサイズについては、製造方法に関連して詳述したとおりである。

0076

本実施態様においてより好ましいドレッサーは、セラミックス原料粉末、砥粒およびバインダー材料の組み合わせが、下記(I)〜(IV)のいずれか1種である。
(I)前記セラミックス原料粉末がSiCであり、前記砥粒がSiCであり、前記バインダー材料がB4C、BN、C、Al2O3および希土類酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、
(II)前記セラミックス原料粉末がSiCであり、前記砥粒がB4Cであり、前記バインダー材料がAl2O3および希土類酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、
(III)前記セラミックス原料粉末がB4Cであり、前記砥粒がSiCまたはB4Cであり、前記バインダー材料がSiO2、AlN、C、Si3N4およびSiAl6O2N6からなる群より選ばれる少なくとも1種である、
(IV)前記セラミックス原料粉末がSi3N4であり、前記砥粒がSiCまたはB4Cであり、前記バインダーがAl2O3、希土類酸化物、MgO、SiO2、TiO2、ZrO2、HfO2、TiSi2、ZrSi2、AlNおよびSiAl6O2N6からなる群より選ばれる少なくとも1種である。

0077

従来、セラミックス原料中に、当該セラミックス原料とは収縮率が異なるような異物を加えて焼結させると、異物とセラミックスとの界面に応力が集中し、そこからクラックが発生して、セラミックスの強度が低下すると考えられている。また、セラミックス原料と異物とでは、焼結前後の嵩密度の変化が異なることから、セラミックスと異物との界面で剥離が生じやすいと考えられている。

0078

本実施態様のドレッサーにおいては、こういった問題は発生しにくいが、特に上記(I)〜(IV)のいずれか1種の組み合わせを用いると、上記問題が発生する可能性が非常に低くなる。その理由は明確ではないが、母相を構成するセラミックス原料粉末、およびセラミックス原料粉末にとって異物に相当する砥粒の両方との親和性が高いバインダー材料を使用することで、セラミックス原料粉末と砥粒との固着性が向上するためと考えられる。

0079

尚、製造方法に関連して上述したように、数種類のバインダー材料を組み合わせて使用することができる。その場合は、使用するバインダー材料の全てが、(I)〜(IV)の各組み合わせに列挙されている材料から選択されることが好ましい。しかし、バインダー材料の少なくとも1種が特定の組み合わせから選ばれており、且つ、本発明の効果が損なわれない限り、各組み合わせに列挙されていない他のバインダー材料を使用することも可能である。

0080

本実施態様のドレッサーにおいて、砥粒の突き出し高さは、その平均値が2μm以上300μm以下であることが好ましく、5μm以上250μm以下であることがより好ましく、10μm以上120μm以下であることがさらに好ましい。砥粒の突き出し高さの平均値が2μm以上であると、十分なパッド研削速度が得られ、300μm以下であると、パッド平坦性が良好である。また、パッド平坦性は、砥粒の突き出し高さが70μm以下のときに向上する傾向にある。

0081

さらに砥粒の突き出し高さのばらつきは、小さい程好ましく、通常、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。砥粒の突き出し高さのばらつきが30μm以下であれば、高いパッド平坦性が得られる。また、長時間使用した際のパッド研削速度の劣化も抑制することができる。

0082

砥粒の突き出し高さの平均値およびばらつきの測定方法については、上述した通りである。

0083

本実施態様のドレッサーは、上述した特定の研削部を有するものである限り、特に限定はない。研削部の形状は円形または多角形が好ましく、その円相当直径は5mm以上200mm以下であり、その厚みは1mm以上20mm以下である。研削部の形状およびサイズについては、製造方法に関連して詳述したとおりである。

0084

また、ドレッサーは、焼結セラミックス母相の砥粒が固着されている面とは反対側の面に連結された基板を更に含んでもよい。このように基板を含むドレッサーをペレット型のドレッサーと呼ぶ。ペレット型のドレッサーは、ドレッサーとしての面積を広くすることが容易であるため、より大きな面積のパットへの対応が可能となるため好ましい。

0085

基板の形状は円形または多角形であり、その円相当直径は30mm以上500mm以下であり、厚みは5mm以上30mm以下であることが好ましい。基板の形状およびサイズについては、製造方法に関連して詳述したとおりである。

0086

特に基板が金属製の場合、基板からの金属元素の溶出を防止するために、基板は耐薬品性にコーティングされていることが好ましい。基板のコーティングについては、製造方法に関連して詳述したとおりである。

0087

以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り、「質量%」を表す。

0088

(実施例1:ドレッサー1〜10)
1.研削部の製造
<セラミックス原料組成物の調製>
炭化ケイ素(SiC)をセラミックス原料粉末として使用し、研削部の母相の原料となるセラミックス原料組成物を調製した。
平均粒径0.8μmのα−SiC粉末に対して、バインダー材料として、平均粒径0.8μmのB4CをB換算で0.3%、平均粒径1μmの21R型サイアロン粉末(SiAl6O2N6)をAl換算で0.5%、平均粒径20nmのカーボンブラックを2.0%添加した。さらに有機物系のバインダーと分散剤を加え、水を溶媒として加え、ボールミルで混合してスラリーを得た。スプレードライ法を用いて得られたスラリーから平均粒径65μmの、セラミックス原料組成物からなる造粒物を得た。

0089

<砥粒>
砥粒として、単結晶SiCを用意した。
砥粒の粒径は、JIS Z8801の篩、および以下に記載の方法で作製した篩を用いて、揃えた。
JIS Z8801の篩は、その目開きサイズで、20μm、25μm、45μm、53μm、106μm、125μm、180μm、212μm、425μm、500μm、850μm、1000μm、2000μm、2360μmである。
更に、100μmのステンレス箔に公知のエッチング法で目開きサイズが950μm、1800μm、2050μmの篩に相当する孔を複数開けた篩を作製した。

0090

上記の篩を使用した、下記の目開きサイズ範囲の、10種類の粒径の砥粒を準備した。20〜25μm、45〜53μm、106〜125μm、180〜212μm、425〜500μm、850〜1000μm、950〜1000μm、1800〜2000μm、2000〜2050μm、2000〜2360μm。
また、使用する砥粒の最大粒径最小粒径との差を求めた。

0091

<砥粒の配置>
外形60mm、内径27mm、高さ50mmのダイと、外形27mm、高さ8mmの下パンチ(固定)と、外形27mm、高さ70mmの上パンチ(可動)とからなる成形用金型を用意した。

0092

下パンチの上に砥粒を配置した。砥粒の配置は以下のように行った。
下パンチの上に樹脂系の両面テープを貼り、その上に砥粒を正方形の頂点に砥粒が位置するように配置した。例えば、砥粒径が180〜212μmの場合には、100μm厚のステンレス板に、砥粒が一つだけ入る大きさである直径が250μmの貫通孔を開けた。貫通孔は、正方形の一辺の長さが貫通孔の直径(250μm)の2.5倍に相当する625μmとなる正方形の頂点に位置するように配置した。このように作製した孔開きステンレス板を用いて砥粒を両面テープの上に配置した。他の砥粒径の場合にも同様に行った。ただし、砥粒径が20〜25μm、および45〜53μmの場合には、30μm厚のステンレス板を用いた。ステンレス板に開ける貫通孔の直径は、20〜25μmの砥粒径では30μm、45〜53μmの砥粒径では70μm、106〜125μmの砥粒径では150μm、425〜500μmの砥粒径では600μm、850〜1000μmと950〜1000μmの砥粒径では1200μm、1800〜2000μmでは2200μm、2000〜2050μmの砥粒径では2300μm、2000〜2360μmの砥粒径では2500μmとし、各孔の中心間距離は孔直径の2.5倍とした。ただし、直径27mmの下パンチの最外周から内側へ1mm入った領域には砥粒を配置しなかった。

0093

<成形体の作製>
次に、砥粒の配置がずれないように、上記で調製したセラミックス原料組成物からなる造粒物9.2gを、砥粒の上からダイの中に挿入した。その後、上パンチをダイの上から入れて、1500kgf/cm2の圧力をかけて、成形体の表層部に砥粒が一層埋め込まれた成形体を作製した。
得られた成形体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0094

<焼結>
上記で作成した成形体を、その砥粒が埋め込まれた面が上側になるように焼結炉内にセットし、2150℃、Ar雰囲気中で4時間焼結し、焼結セラミックス母相と、焼結セラミックス母相に直接固着された砥粒とを含む、研削部となる焼結体を得た。
得られた焼結体の高さ、直径、重量を測定して、焼結体の嵩密度を求めた。ただし、高さは砥粒が無い部位について測定した、母相のみの高さである。

0095

2.砥粒突き出し高さの測定
焼結体における砥粒の突き出し高さを、次のようにして測定した。
焼結体表面の砥粒から、20個の砥粒を偏りなく選んだ。選んだ砥粒のそれぞれについて、測長顕微鏡を使用し、砥粒の周囲の母相の高さと砥粒の最頂点の高さとを求め、その差を突き出し高さとした。20個の砥粒の突き出し高さについて、最小値、最大値、および平均値を求め、さらに最大値から最小値を引いた値を突き出し高さのばらつきとして求めた。

0096

3.ドレッサーの製造
直径100mm、厚み7mmのSiCセラミックス製の基板を用意し、その中心から半径方向に60°間隔で6本の直線を引き、中心から32mmの位置に焼結体の中心がくるように上記焼結体6個を接着した。具体的には、平坦な面の上に焼結体の砥粒面が下側に向くように所定の位置に6個配置して、各焼結体の上側の面に接着剤を厚めに塗布した。SiCセラミックス基板をその板面が焼結体を置いた面に平行になるようにセットした後、SiCセラミックス基板を徐々に下側に移動させて6個の焼結体上側の接着剤に接触したところで移動を停止させ、その位置で接着剤を硬化させた。この工程によって、SiCセラミックス円板上に6個の焼結体(研削部)があり、その全ての砥粒の高さが揃った、図2のような一つのドレッサーが得られた。

0097

4.ドレッサーの評価
下記の方法に従って、各ドレッサーを評価した。
<パッド研削速度およびパッド平坦性>
各ドレッサーを用いて、実際にパッドを研削した。パッドは、直径250mmの発砲ポリウレタン製のものを用いた。このパッドを研磨盤の上に貼り付けた。回転機構と、パッドの半径方向に揺動させる機構とを有する装置にドレッサーを固定し、加圧機構によって0.87kgfの荷重(ドレッサーの面圧力で25.5gf/cm2相当)を加えて、パッドに押し付けた。ドレッサーの中心をパッドの中心に合わせつつ、パッド中心から30mm〜93mmの範囲で半径方向に揺動させた。パッド回転数は95rpm、ドレッサー回転数は85rpm、揺動は12往復/分とした。パッド回転方向とドレッサーの回転方向は同じ方向にした。研削の際には、研削全面が水の膜で覆われる程度に水を供給した。

0098

研削開始から5分が経過した時点で、一端研削を中断して、パッドの厚みを測定した。パッドの上に、互いに直交する2本の直線を直径上に沿って引き、1つの直線を等間隔で10等分し、等分した部位のほぼ真中付近の20点の厚みをマイクロメータで測定し、測定値の平均をパッド厚みとした。その後、再び研削を続けて、1時間後、9時間後、10時間後に、同様にパッド厚みを測定した。

0099

パッドの研削速度は、研削開始から5分後〜1時間後、および9時間後〜10時間後の期間におけるパッド厚みの減少量から求めた。パッド研削速度は、大きいほど、1分間に研削できるパッドの量が多いことを意味する。

0100

また、パッド平坦性は、10時間研削後に測定した20点のパッド厚みの値の内、最大値から最小値を引いた値として評価した。よって、この値は、小さい程、研削のばらつきが少ないことを意味し、好ましい。

0101

<金属元素溶出量>
市販のタングステン用スラリー(Cabot社製のW2000)に対して4%の過酸化水素水を混合した溶液1000mLを用意し、その中に、作製したドレッサーを1枚づつ5日間浸漬した。その後、スラリー中の金属元素である、Si、B、Ti、Ni、Al、Cu、Zn、CrをICP発光分光分析法分析した。これらの元素の合計量を金属元素溶出量とした。

0102

上記評価結果を、使用した砥粒の粒径および粒径差、ならびにセラミックス母相の嵩密度と共に表1に示した。

0103

0104

上記表1から明らかなように、本発明の製造方法によって、焼結セラミックス母相と、焼結セラミックス母相に直接固着された単結晶砥粒とを含む研削部を有するドレッサー1〜10を製造することができた。さらにドレッサー1〜10は、いずれも金属元素の溶出量が0.05mg/L未満であり、ドレッシング中の金属溶出の恐れが無いことを確認できた。

0105

砥粒径が30〜2000μmであって、一枚のドレッサー内の砥粒の粒径差(以下、「砥粒の粒径差」と略す)が200μm以下であるドレッサー2〜8では、突き出し高さの平均値が250μm以下、突き出し高さのばらつきが30μm以下となり、パッド研削速度が1.5μm/分以上、且つ平坦性が2.5μm以下の優れた性能が得られた。また、砥粒径が30〜1000μmであって、粒径差が150μm以下のドレッサー2〜6では、突き出し高さの平均値が120μm以下、突き出し高さのばらつきが20μm以下となり、2.3μm以下の更に優れた平坦性が得られた。さらに砥粒径が100〜500μm、粒径差が15〜80μmのドレッサー3〜5は、突き出し高さの平均値が70μm以下、突き出し高さのばらつきが10μm以下となり、2.0μm/分以上のパッド研削速度と、2.2μm以下のパッド平坦性といった、さらに優れた結果を実現することができた。

0106

ドレッサー6とドレッサー7とを比較すると、砥粒径はほぼ同じ範囲であるが、粒径差は、ドレッサー6の150μmに対して、ドレッサー7は50μmと狭くなっていた。そのため、砥粒の突き出し高さのばらつきもそれらの差に応じて、ドレッサー6が18.9μmであるのに対して、ドレッサー7では7.6μmと小さくなった。このためパッド平坦性はドレッサー7の方が良くなっていた。

0107

ドレッサー9とドレッサー10とを比較した場合、両者とも粒径が2000μmレベルの砥粒を用いているが、粒径差はドレッサー9では50μm、ドレッサー10では360μmであった。この粒径差に応じて砥粒の突き出し高さのばらつきはドレッサー9の方がドレッサー10よりも小さく、ドレッサー9の方が平坦性が向上していた。また、この砥粒の粒径差に応じて、ドレッサー10では突き出し高さのばらつきが45.9μmと大きくなり、パッド研削速度は、13.2μm/分から11.5μm/分と13%低下した。これに対してドレッサー9では、12.8μm/分から11.7μm/分の8.5%の低下に留まった。尚、ドレッサー1〜8においても突き出し高さのばらつきが30μm以内であったため、パッド研削速度の劣化は10%以内に留まった。

0108

また、いずれのドレッサーについても、パッドの研削開始から10時間後にドレッサー表面を実体顕微鏡で観察したところ、砥粒の欠けや脱落は認められなかった。

0109

(実施例2:ドレッサー11〜20)
1.研削部の製造
<セラミックス原料組成物の調製>
炭化ケイ素(SiC)をセラミックス原料粉末として使用し、研削部の母相の原料となるセラミックス原料組成物を調製した。
平均粒径0.5μmのα−SiC粉末に対して、バインダー材料として、平均粒径0.3μmのY2O3を0.3%、平均粒径0.3μmのMgO・Al2O3(スピネル)を0.3%添加した。エタノールを溶媒としてさらに添加し、ボールミルで撹拌、混合した。撹拌、混合した粉末を乾燥させた後、乳鉢で解砕して、セラミックス原料組成物となる粉末を得た。

0110

<砥粒>
砥粒として、単結晶B4Cを用意した。
砥粒の粒径は実施例1と同じである。

0111

<砥粒の配置、成形体の作製>
上記砥粒を使用し、実施例1と同様に砥粒を金型に配置した。次に、上記セラミックス原料組成物を使用し、成形圧力を3000kgf/cm2に変更したこと以外は、実施例1と同様に、成形体を作製した。
得られた成形体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0112

<焼結>
焼結条件を2100℃、Ar雰囲気中で3時間に変更したこと以外は、実施例1と同様に、成形体を焼結し、研削部となる焼結体を得た。
得られた焼結体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0113

2.砥粒突き出し高さの測定
実施例1と同様に、焼結体における砥粒の突き出し高さを測定した。

0114

3.ドレッサーの製造
上記焼結体を使用し、実施例1と同様に、ドレッサーを製造した。

0115

4.ドレッサーの評価
製造したドレッサーのそれぞれについて、パッド研削速度、パッド平坦性および金属元素溶出量を実施例1と同様に評価した。
上記評価結果を、使用した砥粒の粒径および粒径差、ならびにセラミックス母相の嵩密度と共に表2に示した。

0116

0117

上記表2から明らかなように、本発明の製造方法によって、焼結セラミックス母相と、焼結セラミックス母相に直接固着された単結晶砥粒とを含む研削部を有するドレッサー11〜20を製造することができた。さらにドレッサー11〜20は、いずれも金属元素の溶出量が0.05mg/L未満であり、ドレッシング中の金属溶出の恐れが無いことを確認できた。

0118

砥粒径が30〜2000μmであって、粒径差が200μm以下であるドレッサー12〜18では、突き出し高さの平均値が250μm以下、突き出し高さのばらつきが30μm以下となり、パッド研削速度が1.5μm/分以上、且つ平坦性が2.5μm以下の優れた性能が得られた。また、砥粒径が30〜1000μmであって、粒径差が150μm以下のドレッサー12〜16は、突き出し高さの平均値が120μm以下、突き出し高さのばらつきが20μm以下となり、2.3μm以下の更に優れた平坦性が得られた。さらに砥粒径が100〜500μm、粒径差が15〜80μmのドレッサー13〜15は、突き出し高さの平均値が70μm以下、突き出し高さのばらつきが10μm以下となり、2.0μm/分以上のパッド研削速度と2.2μm以下のパッド平坦性といった、さらに優れた結果を実現することができた。

0119

ドレッサー16とドレッサー17とを比較すると、砥粒径はほぼ同じ範囲であるが、粒径差は、ドレッサー16の150μmに対して、ドレッサー17は50μmと狭くなっていた。そのため、砥粒の突き出し高さのばらつきもそれらの差に応じて、ドレッサー16が18.2μmであるのに対して、ドレッサー17では7.0μmと小さくなった。このためパッド平坦性はドレッサー17の方が良くなっていた。

0120

ドレッサー19とドレッサー20とを比較した場合、両者とも粒径が2000μmレベルの砥粒を用いているが、粒径差はドレッサー19では50μm、ドレッサー20では360μmであった。この粒径差に応じて砥粒の突き出し高さのばらつきはドレッサー19の方がドレッサー20よりも小さく、ドレッサー19の方が平坦性が向上していた。また、この砥粒の粒径差に応じて、ドレッサー20では突き出し高さのばらつきが44.7μmと大きくなり、パッド研削速度は、13.9μm/分から11.8μm/分と15%低下した。これに対してドレッサー19では、12.9μm/分から12.1μm/分の6.2%の低下に留まった。尚、ドレッサー11〜18においても突き出し高さのばらつきが30μm以内であったため、パッド研削速度の劣化は10%以内に留まった。

0121

また、いずれのドレッサーについても、パッドの研削開始から10時間後にドレッサー表面を実体顕微鏡で観察したところ、砥粒の欠けや脱落は認められなかった。

0122

(実施例3:ドレッサー21〜30)
1.研削部の製造
<セラミックス原料組成物の調製>
炭化ホウ素(B4C)をセラミックス原料粉末として使用し、研削部の母相の原料となるセラミックス原料組成物を調製した。
平均粒径1.9μmの炭化ホウ素粉末に、バインダー材料として、平均粒径1μmの21R型サイアロン粉末(SiAl6O2N6)を3%、および平均粒径1μmのカーボンブラックを1%添加した。さらにバインダーと分散剤を加え、水を溶媒として加えて、ボールミルで混合して得られたスラリーを得た。スプレードライ法を用いて得られたスラリーから平均粒径60μmの、セラミックス原料組成物からなる造粒物を得た。

0123

<砥粒>
実施例2と同じ単結晶B4C砥粒を使用した。

0124

<砥粒の配置、成形体の作製>
上記砥粒を使用し、実施例1と同様に砥粒を金型に配置した。次に、上記セラミックス原料組成物を7.0g使用し、実施例1と同様に、成形体を作製した。
得られた成形体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0125

<焼結>
焼結条件を2200℃、Ar雰囲気中で4時間に変更したこと以外は、実施例1と同様に、成形体を焼結し、研削部となる焼結体を得た。
得られた焼結体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0126

2.砥粒突き出し高さの測定
実施例1と同様に、焼結体における砥粒の突き出し高さを測定した。

0127

3.ドレッサーの製造
上記焼結体を使用し、実施例1と同様に、ドレッサーを製造した。

0128

4.ドレッサーの評価
製造したドレッサーのそれぞれについて、パッド研削速度、パッド平坦性および金属元素溶出量を実施例1と同様に評価した。
上記評価結果を、使用した砥粒の粒径および粒径差、ならびにセラミックス母相の嵩密度と共に表3に示した。

0129

0130

上記表3から明らかなように、本発明の製造方法によって、焼結セラミックス母相と、焼結セラミックス母相に直接固着された単結晶砥粒とを含む研削部を有するドレッサー21〜30を製造することができた。さらにドレッサー21〜30は、いずれも金属元素の溶出量が0.05mg/L未満であり、ドレッシング中の金属溶出の恐れが無いことを確認できた。

0131

砥粒径が30〜2000μmであって、粒径差が150μm以下であるドレッサー22〜28では、突き出し高さの平均値が250μm以下、突き出し高さのばらつきが30μm以下となり、パッド研削速度が1.5μm/分以上、且つ平坦性が2.5μm以下の優れた性能が得られた。また、砥粒径が30〜1000μmであって、粒径差が150μm以下のドレッサー22〜26では、突き出し高さの平均値が120μm以下、突き出し高さのばらつきが20μm以下となり、2.3μm以下の更に優れた平坦性が得られた。さらに砥粒径が100〜500μm、粒径差が15〜80μmのドレッサー23〜25は、突き出し高さの平均値が70μm以下、突き出し高さのばらつきが10μm以下となり、2.0μm/分以上のパッド研削速度と2.2μm以下のパッド平坦性といった、さらに優れた結果を実現することができた。

0132

ドレッサー26とドレッサー27とを比較すると、砥粒径はほぼ同じ範囲であるが、粒径差は、ドレッサー26の150μmに対して、ドレッサー27は50μmと狭くなっていた。そのため、砥粒の突き出し高さのばらつきもそれらの差に応じて、ドレッサー26が18.9μmであるのに対して、ドレッサー27では6.8μmと小さくなった。このためパッド平坦性はドレッサー27の方が良くなっていた。

0133

ドレッサー29とドレッサー30とを比較した場合、両者とも粒径が2000μmレベルの砥粒を用いているが、粒径差はドレッサー29では50μm、ドレッサー30では360μmであった。この粒径差に応じて、砥粒の突き出し高さのばらつきはドレッサー29の方がドレッサー30よりも小さく、ドレッサー29の方が平坦性が向上していた。また、この砥粒の粒径差に応じて、ドレッサー30では突き出し高さのばらつきが47.4μmと大きくなり、パッド研削速度は、14.2μm/分から12.2μm/分と14%低下した。これに対してドレッサー29では13.2μm/分から12.4μm/分の6%の低下に留まった。尚、ドレッサー21〜28においても突き出し高さのばらつきが30μm以内であったため、パッド研削速度の劣化は10%以内に留まった。

0134

また、いずれのドレッサーについても、パッドの研削開始から10時間後にドレッサー表面を実体顕微鏡で観察したところ、砥粒の欠けや脱落は認められなかった。

0135

(実施例4:ドレッサー31〜40)
1.研削部の製造
<セラミックス原料組成物の調製>
炭化ホウ素(B4C)をセラミックス原料粉末として使用し、実施例3と同様に研削部の母相の原料となるセラミックス原料組成物を調製した。

0136

<砥粒>
実施例1と同じ単結晶SiC砥粒を使用した。

0137

<砥粒の配置、成形体の作製>
上記砥粒を使用し、実施例3と同様に砥粒を金型に配置した。次に、上記セラミックス原料組成物を使用し、実施例3と同様に、成形体を作製した。
得られた成形体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0138

<焼結>
実施例3と同様に、成形体を焼結し、研削部となる焼結体を得た。
得られた焼結体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0139

2.砥粒突き出し高さの測定
実施例1と同様に、焼結体における砥粒の突き出し高さを測定した。

0140

3.ドレッサーの製造
上記焼結体を使用し、実施例1と同様に、ドレッサーを製造した。

0141

4.ドレッサーの評価
製造したドレッサーのそれぞれについて、パッド研削速度、パッド平坦性および金属元素溶出量を実施例1と同様に評価した。
上記評価結果を、使用した砥粒の粒径および粒径差、ならびにセラミックス母相の嵩密度と共に表4に示した。

0142

0143

上記表4から明らかなように、本発明の製造方法によって、焼結セラミックス母相と、焼結セラミックス母相に直接固着された単結晶砥粒とを含む研削部を有するドレッサー31〜40を製造することができた。さらにドレッサー31〜40は、いずれも金属元素の溶出量が0.05mg/L未満であり、ドレッシング中の金属溶出の恐れが無いことを確認できた。

0144

砥粒径が30〜2000μmであって、粒径差が200μm以下であるドレッサー32〜38では、突き出し高さの平均値が250μm以下、突き出し高さのばらつきが30μm以下となり、パッド研削速度が1.5μm/分以上、且つ平坦性が2.5μm以下の優れた性能が得られた。また、砥粒径が30〜1000μmであって、粒径差が150μm以下のドレッサー32〜36では、突き出し高さの平均値が120μm以下、突き出し高さのばらつきが20μm以下となり、2.3μm以下の更に優れた平坦性が得られた。さらに砥粒径が100〜500μm、粒径差が15〜80μmのドレッサー33〜35は、突き出し高さの平均値が70μm以下、突き出し高さのばらつきが10μm以下となり、2.0μm/分以上のパッド研削速度と2.2μm以下のパッド平坦性といった、さらに優れた結果を実現することができた。

0145

ドレッサー36とドレッサー37とを比較すると、砥粒径はほぼ同じ範囲であるが、粒径差は、ドレッサー36の150μmに対して、ドレッサー37は50μmと狭くなっていた。そのため、砥粒の突き出し高さのばらつきもそれらの差に応じて、ドレッサー36が18.3μmであるのに対して、ドレッサー37では6.5μmと小さくなった。このためパッド平坦性はドレッサー37の方が良くなっていた。

0146

ドレッサー39とドレッサー40とを比較した場合、両者とも粒径が2000μmレベルの砥粒を用いているが、粒径差はドレッサー39では50μm、ドレッサー40では360μmであった。この粒径差に応じて砥粒の突き出し高さのばらつきはドレッサー39の方がドレッサー40よりも小さく、ドレッサー39の方が平坦性が向上していた。また、この砥粒の粒径差に応じてドレッサー40では突き出し高さのばらつきが48.3μmと大きくなり、パッド研削速度は、13.9μm/分から11.9μm/分と14%低下した。これに対してドレッサー39では、13.0μm/分から12.1μm/分の6.9%の低下に留まった。尚、ドレッサー31〜38においても突き出し高さのばらつきが30μm以内であったため、パッド研削速度の劣化は10%以内に留まった。

0147

また、いずれのドレッサーについても、パッドの研削開始から10時間後にドレッサー表面を実体顕微鏡で観察したところ、砥粒の欠けや脱落は認められなかった。

0148

(実施例5:ドレッサー41〜50)
1.研削部の製造
<セラミックス原料組成物の調製>
窒化珪素(Si3N4粉末)をセラミックス原料粉末として使用し、研削部の母相の原料となるセラミックス原料組成物を調製した。
平均粒径0.6μmのα型窒化珪素粉末に、バインダー材料として、平均粒径1μmのY2O3粉末を3.9%、平均粒径0.5μmのMg(OH)2粉末を5.1%、平均粒径2μmのTiSi2粉末を0.3%、平均粒径1μmの21R型サイアロン粉末(SiAl6O2N6)を0.3%添加した。さらにバインダーと分散剤を加え、水を溶媒としてボールミルで混合してスラリーを得た。スプレードライ法を用いて得られたスラリーから平均粒径58μmの、セラミックス原料組成物からなる造粒物を得た。

0149

<砥粒>
実施例2と同じ単結晶B4C砥粒を使用した。

0150

<砥粒の配置、成形体の作製>
上記砥粒を使用し、実施例1と同様に砥粒を金型に配置した。次に、上記セラミックス原料組成物を9.4g使用し、実施例1と同様に、成形体を作製した。
得られた成形体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0151

<焼結>
焼結条件を1600℃、N2雰囲気中で4時間に変更したこと以外は、実施例1と同様に、成形体を焼結し、研削部となる焼結体を得た。
得られた焼結体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0152

2.砥粒突き出し高さの測定
実施例1と同様に、焼結体における砥粒の突き出し高さを測定した。

0153

3.ドレッサーの製造
上記焼結体を使用し、実施例1と同様に、ドレッサーを製造した。

0154

4.ドレッサーの評価
製造したドレッサーのそれぞれについて、パッド研削速度、パッド平坦性および金属元素溶出量を実施例1と同様に評価した。
上記評価結果を、使用した砥粒の粒径および粒径差、ならびにセラミックス母相の嵩密度と共に表5に示した。

0155

0156

上記表5から明らかなように、本発明の製造方法によって、焼結セラミックス母相と、焼結セラミックス母相に直接固着された単結晶砥粒とを含む研削部を有するドレッサー41〜50を製造することができた。さらにドレッサー41〜50は、いずれも金属元素の溶出量が0.05mg/L未満であり、ドレッシング中の金属溶出の恐れが無いことを確認できた。

0157

砥粒径が30〜2000μmであって、粒径差が200μm以下であるドレッサー42〜48では、突き出し高さの平均値が250μm以下、突き出し高さのばらつきが30μm以下となり、パッド研削速度が1.5μm/分以上、且つ平坦性が2.5μm以下の優れた性能が得られた。また、砥粒径が30〜1000μmであって、粒径差が150μm以下のドレッサー42〜46では、突き出し高さの平均値が120μm以下、突き出し高さのばらつきが20μm以下となり、2.3μm以下の更に優れた平坦性が得られた。さらに砥粒径が100〜500μm、粒径差が15〜80μmのドレッサー43〜45は、突き出し高さの平均値が70μm以下、突き出し高さのばらつきが10μm以下となり、2.0μm/分以上のパッド研削速度と2.2μm以下のパッド平坦性といった、さらに優れた結果を実現することができた。

0158

ドレッサー46とドレッサー47とを比較すると、砥粒径はほぼ同じ範囲であるが、粒径差は、ドレッサー46の150μmに対して、ドレッサー47は50μmと狭くなっていた。そのため、砥粒の突き出し高さのばらつきもそれらの差に応じて、ドレッサー46が19.5μmであるのに対して、ドレッサー47では5.1μmと小さくなった。このためパッド平坦性はドレッサー47の方が良くなっていた。

0159

ドレッサー49とドレッサー50とを比較した場合、両者とも粒径が2000μmレベルの砥粒を用いているが、粒径差はドレッサー49では50μm、ドレッサー50では360μmであった。この粒径差に応じて砥粒の突き出し高さのばらつきはドレッサー49の方がドレッサー50よりも小さく、ドレッサー49の方が平坦性が向上していた。また、この砥粒の粒径差に応じてドレッサー50では突き出し高さのばらつきが40.6μmと大きくなり、パッド研削速度は、14.1μm/分から12.0μm/分と14%以上低下した。これに対してドレッサー49では、13.1μm/分から12.1μm/分の7.6%の低下に留まった。尚、ドレッサー41〜48においても突き出し高さのばらつきが30μm以内であったため、パッド研削速度の劣化は10%以内に留まった。

0160

また、いずれのドレッサーについても、パッドの研削開始から10時間後にドレッサー表面を実体顕微鏡で観察したところ、砥粒の欠けや脱落は認められなかった。

0161

(実施例6:ドレッサー51〜60)
1.研削部の製造
<セラミックス原料組成物の調製>
窒化ケイ素(Si3N4)をセラミックス原料粉末として使用し、実施例5と同様に、研削部の母相の原料となるセラミックス原料組成物を調製した。

0162

<砥粒>
実施例1と同じ単結晶SiC砥粒を使用した。

0163

<砥粒の配置、成形体の作製>
上記砥粒を使用し、実施例5と同様に砥粒を金型に配置した。次に、上記セラミックス原料組成物を使用し、実施例5と同様に、成形体を作製した。
得られた成形体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0164

<焼結>
実施例5と同様に、成形体を焼結し、研削部となる焼結体を得た。
得られた焼結体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0165

2.砥粒突き出し高さの測定
実施例1と同様に、焼結体における砥粒の突き出し高さを測定した。

0166

3.ドレッサーの製造
上記焼結体を使用し、実施例1と同様に、ドレッサーを製造した。

0167

4.ドレッサーの評価
製造したドレッサーのそれぞれについて、パッド研削速度、パッド平坦性および金属元素溶出量を実施例1と同様に評価した。
上記評価結果を、使用した砥粒の粒径および粒径差、ならびにセラミックス母相の嵩密度と共に表6に示した。

0168

0169

上記表6から明らかなように、本発明の製造方法によって、焼結セラミックス母相と、焼結セラミックス母相に直接固着された単結晶砥粒とを含む研削部を有するドレッサー51〜60を製造することができた。さらにドレッサー51〜60は、いずれも金属元素の溶出量が0.05mg/L未満であり、ドレッシング中の金属溶出の恐れが無いことを確認できた。

0170

砥粒径が30〜2000μmであって、粒径差が200μm以下であるドレッサー52〜58では、突き出し高さの平均値が250μm以下、突き出し高さのばらつきが30μm以下となり、パッド研削速度が1.5μm/分以上、且つ平坦性が2.5μm以下の優れた性能が得られた。また、砥粒径が30〜1000μmであって、粒径差が150μm以下のドレッサー52〜56では、突き出し高さの平均値が120μm以下、突き出し高さのばらつきが20μm以下となり、2.3μm以下の更に優れた平坦性が得られた。さらに砥粒径が100〜500μm、粒径差が15〜80μmのドレッサー53〜55は、突き出し高さの平均値が70μm以下、突き出し高さのばらつきが10μm以下となり、2.0μm/分以上のパッド研削速度と2.2μm以下のパッド平坦性といった、さらに優れた結果を実現することができた。

0171

ドレッサー56とドレッサー57とを比較すると、砥粒径はほぼ同じ範囲であるが、粒径差は、ドレッサー56の150μmに対して、ドレッサー57は50μmと狭くなっていた。そのため、砥粒の突き出し高さのばらつきもそれらの差に応じて、ドレッサー56が19.3μmであるのに対して、ドレッサー57では6.8μmと小さくなった。このためパッド平坦性はドレッサー57の方が良くなっていた。

0172

ドレッサー59とドレッサー60とを比較した場合、両者とも粒径が2000μmレベルの砥粒を用いているが、粒径差はドレッサー59では50μm、ドレッサー60では360μmであった。この粒径差に応じて、砥粒の突き出し高さのばらつきはドレッサー59の方がドレッサー60よりも小さく、ドレッサー59の方が平坦性が向上していた。また、この砥粒の粒径差に応じて、ドレッサー60では突き出し高さのばらつきが48.2μmと大きくなり、パッド研削速度が13.7μm/分から11.9μm/分と13%低下した。これに対してドレッサー59では12.9μm/分から12.2μm/分の5.4%の低下に留まった。尚、ドレッサー51〜58においても突き出し高さのばらつきが30μm以内であったため、パッド研削速度の劣化は10%以内に留まった。

0173

また、いずれのドレッサーについても、パッドの研削開始から10時間後にドレッサー表面を実体顕微鏡で観察したところ、砥粒の欠けや脱落は認められなかった。

0174

(実施例7:ドレッサー61〜63)
1.研削部の製造
<セラミックス原料組成物の調製>
炭化ケイ素(SiC)をセラミックス原料粉末として使用し、実施例1と同様に研削部の母相の原料となるセラミックス原料組成物を調製した。

0175

<砥粒>
多結晶SiC砥粒を製造した。
砥粒を使用しないこと以外は、実施例1の母相と同様にセラミックス焼結体を製造した。製造したセラミックス焼結体を約1mm厚にダイヤモンドカッターで切断し、その薄く切断したセラミックスをメノウ乳鉢を用いて粉砕した。
実施例1と同様に篩を用いて、粒径が106〜125μm、180〜212μm、425〜500μmの3種類の砥粒を得た。

0176

<砥粒の配置、成形体の作製>
上記砥粒を使用し、実施例1と同様に砥粒を金型に配置した。次に、上記セラミックス原料組成物を使用し、実施例1と同様に、成形体を作製した。
得られた成形体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0177

<焼結>
実施例1と同様に、成形体を焼結し、研削部となる焼結体を得た。
得られた焼結体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0178

2.砥粒突き出し高さの測定
実施例1と同様に、焼結体における砥粒の突き出し高さを測定した。

0179

3.ドレッサーの製造
上記焼結体を使用し、実施例1と同様に、ドレッサーを製造した。

0180

4.ドレッサーの評価
製造したドレッサーのそれぞれについて、パッド研削速度、パッド平坦性および金属元素溶出量を実施例1と同様に評価した。
上記評価結果を、使用した砥粒の粒径および粒径差、ならびにセラミックス母相の嵩密度と共に表7に示した。

0181

0182

上記表7から明らかなように、多結晶砥粒を使用しても、本発明の製造方法によって、焼結セラミックス母相と、焼結セラミックス母相に直接固着された砥粒とを含む研削部を有するドレッサー61〜63を製造することができた。さらにドレッサー61〜63は、いずれも金属元素の溶出量が0.05mg/L未満であり、ドレッシング中の金属溶出の恐れが無いことを確認できた。

0183

ドレッサー61〜63で使用した多結晶砥粒は、ドレッサー3〜5の単結晶砥粒と同じ化合物(SiC)からなる、同じ粒径の砥粒である。ドレッサー61〜63の5分後〜1時間後のパッド研削速度は2.1μm/分と良好であったが、ドレッサー3〜5よりも低下していた。具体的には、ドレッサー61とドレッサー3との比較で16%、ドレッサー62とドレッサー4との比較で19%、ドレッサー63とドレッサー5との比較で18%であった。また、パッド研削速度の劣化も単結晶SiC砥粒の場合と比べて多結晶の方が大きくなり、ドレッサー61で24%、ドレッサー62で23%、ドレッサー63で22%であった。

0184

砥粒の研削力が低下したためと考えられるが、パッド平坦性も単結晶砥粒を用いたドレッサーと比較して、若干劣化傾向にあった。しかし、研削開始から10時間後にドレッサー表面を実体顕微鏡で観察したところ、砥粒の欠けや脱落はなかった。

0185

(実施例8:ドレッサー64〜66)
1.研削部の製造
<セラミックス原料組成物の調製>
炭化ケイ素(SiC)をセラミックス原料粉末として使用し、実施例1と同様に、研削部の母相の原料となるセラミックス原料組成物を調製した。

0186

<砥粒>
粒径425〜500μmの、実施例1と同じ単結晶SiC砥粒を使用した。

0187

<砥粒の配置、成形体の作製>
上記砥粒を使用し、実施例1と同様に砥粒を金型に配置した。次に、上記セラミックス原料組成物を使用し、実施例1と同様に、成形体を作製した。
得られた成形体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0188

<焼結>
焼成条件を、1000℃、1500℃、または1950℃で、Ar雰囲気中で4時間に変更する以外は、実施例1と同様に成形体を焼結し、研削部となる焼結体を得た。
得られた焼結体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0189

2.砥粒突き出し高さの測定
実施例1と同様に、焼結体における砥粒の突き出し高さを測定した。

0190

3.ドレッサーの製造
上記焼結体を使用し、実施例1と同様に、ドレッサーを製造した。

0191

4.ドレッサーの評価
製造したドレッサーのそれぞれについて、パッド研削速度、パッド平坦性および金属元素溶出量を実施例1と同様に評価した。
上記評価結果を、使用した砥粒の粒径および粒径差、ならびにセラミックス母相の嵩密度と共に表8に示した。

0192

0193

使用したセラミックス原料組成物を焼結することができない温度(1000℃および1450℃)で焼結を行ったドレッサー64とドレッサー65では、母相SiCの焼結が進行せず、母相の体積収縮が生じなかった。そのため砥粒の突き出しが起きず、本発明のドレッサーを得ることができなかった。よって、以降の評価は中止した。

0194

一方、セラミックス原料組成物を焼結することができる温度(1950℃)で焼結を行ったドレッサー66では、母相SiCが焼結し、母相の体積収縮が生じた。よって、砥粒が突き出した本発明のドレッサーを得ることができた。また、ドレッサー66は、金属元素の溶出量が0.05mg/L未満であり、ドレッシング中の金属溶出の恐れが無いことを確認できた。

0195

ドレッサー66と、同じセラミックス原料組成物および砥粒を使用したドレッサー5とを比較すると、ドレッサー66はドレッサー5に比べて焼結温度を200℃低く設定したため、焼結後の嵩密度がドレッサー5の3.09g/cm3に対して、2.97g/cm3であった。このように、ドレッサー66では焼結による体積収縮が少なくなり、砥粒突き出し高さの平均値もドレッサー5の61.5μmに対して51.3μmと小さくなった。

0196

尚、ドレッサー66では、パッド研削速度の劣化は10%以内の留まり、パッド平坦性は2.2μmと優れていた。さらに研削開始から10時間後にドレッサー表面を実体顕微鏡で観察したが、砥粒の欠け、脱落はなかった。

0197

(実施例9:一体型ドレッサー67)
1.研削部の製造
<セラミックス原料組成物の調製>
炭化ホウ素(B4C)をセラミックス原料粉末として使用し、実施例3と同様に、研削部の母相の原料となるセラミックス原料組成物を調製した。

0198

<砥粒>
粒径425〜500μmの、実施例2と同じ単結晶炭化ホウ素(B4C)砥粒を用意した。

0199

<成形>
外形150mm、内径100mm、高さ70mmのダイと、外形100mm、高さ10mmの下パンチ(固定)と、外形100mm、高さ80mmの上パンチ(可動)と、を用いて成形体を作製した。

0200

下パンチの上に砥粒を配置した。砥粒の配置は以下のように行った。
下パンチの上に樹脂系の両面テープを貼り、その上に砥粒を正方形の頂点に砥粒が位置するように配置した。具体的には、砥粒径は425〜500μmであるため、100μm厚のステンレス板に砥粒が一つだけ入る大きさの直径が600μmの貫通孔を開けた。貫通孔の配置は、正方形の一辺の長さが貫通孔の直径600μmの2.5倍に相当する1500μm間隔で正方形の頂点に位置するようにした。このように作製した孔開きステンレス板を用いて砥粒を両面テープの上に配置した。ただし、直径100mmの下パンチの最外周から内側へ3mm入った領域には砥粒を配置しなかった。

0201

<成形体の作製>
次に、砥粒の配置がずれないように、上記で調製したセラミックス原料組成物からなる造粒物150gを、砥粒の上からダイの中に挿入した。その後、上パンチをダイに上から入れて、250kgf/cm2の圧力をかけて、成形体の表層部に砥粒が一層埋め込まれた成形体を作製した。さらに、その成形体に冷間等方圧加圧(CIP)を用いて、1500kgf/cm2の圧力を加えて焼結用成形体とした。
得られた成形体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0202

<焼結>
実施例3と同様に成形体を焼結し、基板と研削部とが一体となったドレッサーを得た。
得られた焼結体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0203

2.砥粒突き出し高さの測定
実施例1と同様に、焼結体における砥粒の突き出し高さを測定した。

0204

3.ドレッサーの評価
製造した一体型のドレッサーについて、パッド研削速度、パッド平坦性および金属元素溶出量を実施例1と同様に評価した。
ただし、パッド研削速度と平坦性の評価では、加圧機構による荷重を2kg(ドレッサの面圧力で25.5g/cm2相当)とした。
上記評価結果を、使用した砥粒の粒径および粒径差、ならびにセラミックス母相の嵩密度と共に表9に示した。

0205

0206

上記表9から明らかなように、本発明の製造方法によって、基板と研削部とが一体化し、セラミックスの母相兼基板から砥粒の突き出た、本発明のドレッサー67を製造することができた。ドレッサー67は、金属元素の溶出量が0.05mg/L未満であり、ドレッシング中の金属溶出の恐れが無いことを確認できた。

0207

砥粒の突き出し高さの平均値は70μm以下、突き出し高さのばらつきは10μm以下となり、2.0μm/分以上の早いパッド研削速度と2.2μm以下の優れたパッド平坦性が得られた。また、パッド研削速度の劣化は10%以内に留まった。
研削開始から10時間後にドレッサー表面を実体顕微鏡で観察したが、砥粒の欠け、脱落はなかった。

0208

(実施例10:ドレッサー68〜70)
1.研削部の製造
<セラミックス原料組成物の調製>
窒化アルミニウム(AlN)をセラミックス原料粉末として使用し、研削部の母相の原料となるセラミックス原料組成物を調製した。
平均粒径1.3μmの窒化アルミニウム粉末に対して、バインダー材料として、平均粒径0.3μmのY2O3粉末を5%添加した。さらに有機物系のバインダーと、エタノールを溶媒として加え、ボールミルで撹拌、混合してスラリーを得た。スプレードライ法を用いて、得られたスラリーから平均粒径61μmの、セラミックス原料組成物からなる造粒物を得た。

0209

<砥粒>
粒径106〜125μm、180〜212μm、425〜500μmの、実施例2と同じ単結晶B4C砥粒を使用した。

0210

<砥粒の配置、成形体の作製>
上記砥粒を使用し、実施例1と同様に砥粒を金型に配置した。次に、上記セラミックス原料組成物9.4gを使用ししたこと以外は、実施例1と同様に、成形体を作製した。
得られた成形体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0211

<焼結>
焼結条件を1800℃、N2雰囲気中で5時間に変更したこと以外は、実施例1と同様に、成形体を焼結し、研削部となる焼結体を得た。
得られた焼結体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0212

2.砥粒突き出し高さの測定
実施例1と同様に、焼結体における砥粒の突き出し高さを測定した。
3.ドレッサーの製造
上記焼結体を使用し、実施例1と同様に、ドレッサーを製造した。

0213

4.ドレッサーの評価
製造したドレッサーのそれぞれについて、パッド研削速度、パッド平坦性および金属元素溶出量を実施例1と同様に評価した。
上記評価結果を、使用した砥粒の粒径および粒径差、ならびにセラミックス母相の嵩密度と共に表10に示した。

0214

0215

上記表10から明らかなように、本発明の製造方法によって、焼結セラミックス母相と、焼結セラミックス母相に直接固着された単結晶砥粒とを含む研削部を有するドレッサー68〜70を製造することができた。さらにドレッサー68〜70は、いずれも金属元素の溶出量が0.05mg/L未満であり、ドレッシング中の金属溶出の恐れが無いことを確認できた。

0216

砥粒径が100〜500μm、粒径差が15〜80μmのドレッサー68〜70は、突き出し高さの平均値が70μm以下、突き出し高さのばらつきが10μm以下となり、2.0μm/分以上のパッド研削速度と2.2μm以下のパッド平坦性といった、優れた結果を実現することができた。

0217

いずれのドレッサーについても、パッドの研削開始から10時間後にドレッサー表面を実体顕微鏡で観察したところ、3個の砥粒の脱落が認められたが、直ちに実用に影響のあるレベルではなかった。これはセラミックス原料粉末として使用した窒化アルミニウムが、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化珪素と比べて破壊靱性値が低い材料であり、さらにバインダー材料として用いたY2O3が、砥粒であるB4Cとの結合性がやや低い化合物であるため、使用中にセラミックス母相の砥粒近傍に亀裂が入り易く、砥粒にかかる力が大きい場合に、砥粒脱落が発生したためと考えられる。しかし、このようなセラミックス原料粉末、バインダー材料および砥粒の組み合わせであっても、実用可能なドレッサーを製造することができた。

0218

(参考例:ドレッサー71〜73)
1.研削部の製造
<セラミックス原料組成物の調製>
窒化アルミニウム(AlN)をセラミックス原料粉末として使用し、研削部の母相の原料となるセラミックス原料組成物を調製した。
平均粒径0.6μmの窒化アルミニウム粉末に対して、バインダー材料として、平均粒径5μmのCaO粉末を0.08%および平均粒径1μmのNiO粉末を3.8%添加した。さらに有機物系のバインダーと、エタノールを溶媒として加え、ボールミルで撹拌、混合してスラリーを得た。スプレードライ法を用いて、得られたスラリーから平均粒径57μmの、セラミックス原料組成物からなる造粒物を得た。

0219

<砥粒>
粒径106〜125μm、180〜212μm、425〜500μmの、実施例1と同じ単結晶SiC砥粒を使用した。

0220

<砥粒の配置、成形体の作製>
上記砥粒を使用し、実施例10と同様に砥粒を金型に配置し、実施例10と同様に、成形体を作製した。
得られた成形体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0221

<焼結>
焼結条件を1800℃、N2雰囲気中で3時間に変更したこと以外は、実施例1と同様に、成形体を焼結し、研削部となる焼結体を得た。
得られた焼結体の高さ、直径、重量を測定して、成形体の嵩密度を求めた。

0222

2.砥粒突き出し高さの測定
実施例1と同様に、焼結体における砥粒の突き出し高さを測定した。

0223

3.ドレッサーの製造
上記焼結体を使用し、実施例1と同様に、ドレッサーを製造した。

0224

4.ドレッサーの評価
製造したドレッサーのそれぞれについて、パッド研削速度、パッド平坦性および金属元素溶出量を実施例1と同様に評価した。
上記評価結果を、使用した砥粒の粒径および粒径差、ならびにセラミックス母相の嵩密度と共に表11に示した。

0225

0226

上記表11から明らかなように、本発明の製造方法によって、焼結セラミックス母相と、焼結セラミックス母相に直接固着された単結晶砥粒とを含む研削部を有するドレッサー71〜73を製造することができた。さらにドレッサー71〜73は、いずれも金属元素の溶出量が0.05mg/L未満であり、ドレッシング中の金属溶出の恐れが無いことを確認できた。また、砥粒径が100〜500μm、粒径差が15〜80μmのドレッサー71〜73は、突き出し高さの平均値が70μm以下、突き出し高さのばらつきが10μm以下となり、2.0μm/分以上のパッド研削速度を実現することができた。

実施例

0227

いずれのドレッサーについても、パッドの研削開始から1時間は、問題なくパッドの研削を実施ることができた。しかし、研削開始から2時間程経過したからドレッサーとパッドとの当たり方に異状が見られたため、途中で止めて、ドレッサー表面を実体顕微鏡で観察した。その結果、多くの砥粒脱落が見られたため、評価を中止した。これはセラミックス原料粉末として使用した窒化アルミニウムが、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化珪素と比べて破壊靱性値が低い材料であり、さらにバインダー材料として用いたCaOおよびNiOがSiC砥粒との結合力が殆どなく、砥粒は単にアンカー効果で保持されている状態であったためと考えられる。

0228

本発明によって、金属元素の溶出を抑制し、さらに砥粒の突き出し高さのばらつきを小さくして、優れたパッド研削速度とパッド平坦性とを同時に実現するドレッサーの製造方法、および当該ドレッサーが提供される。本発明に係るドレッサーは、様々な研磨装置の研磨パッドのドレッシングに適用可能である。

0229

20基板
30研削部
31砥粒
32セラミックス母相
33 砥粒部
H1、H2焼成前の成形体のセラミックス母相の高さ
h1、h2 焼成後の焼結体のセラミックス母相の高さ
p 砥粒の突き出し高さ

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ