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技術 排ガス浄化用触媒

出願人 株式会社キャタラー
発明者 野口貴弘尾上亮太田崎凌岩井桃子松下大和
出願日 2019年3月27日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2019-061780
公開日 2020年10月1日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-157263
状態 特許登録済
技術分野 排気の後処理 触媒 非液体燃料の機関への供給
主要キーワード 多角柱形 楕円柱形 柱軸方向 ロジウム層 Sr濃度 メタン含有率 作用効率 断面出し
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

化学的に安定なメタン浄化性能に優れた排ガス浄化用触媒を提供する。

解決手段

本発明に係る排ガス浄化用触媒5は、排ガス流通するセル12を区画する基材10と、基材10の表面に設けられた触媒層20と、を備える。触媒層20は、セル12の排ガスが流入される側の端部である第1端部10aから排ガスが流出される側の端部である第2端部10bに向けて延設され、パラジウムを含むパラジウム層21と、第2端部10bから第1端部10aに向けて延設され、プラチナを含むプラチナ層22と、パラジウム層21とプラチナ層22の両方に積層され、ロジウムを含むロジウム層23と、を含む。Pd層21は、当該Pd層100gあたりにアルカリ土類金属を0.04モル以上0.16モル以下の含有量で含む。Pt層22は、当該Pt層100gあたりのアルカリ土類金属の含有量が0.03モル以下に制限されている。

概要

背景

自動車等の車両などの内燃機関エンジン)から排出される排ガスには、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)等の有害な気体成分とともに、炭素を主成分とする粒子状物質(Particulate Matter:PM)が含まれる。これらの有害ガスやPMの排出量を規制する排ガス規制は年々強化されている。そのため、内燃機関およびその周辺技術においては、車両等からの有害ガスやPMの排出量を低減するための研究が進められている。

一例として、近年の車両には、内燃機関からのCO2排出量の抑制を目的として、“Fuel Cut”(以下、F/Cと記す。)や、“Idling Stop”(車両の停車時に内燃機関をの運転を停止すること。以下、I/Sと記す。)等の燃料消費自体を抑える内燃機関の駆動制御が行われ、これらの制御が行われる頻度も増加している。また、ハイブリッド車のように、内燃機関が頻繁に停止と再始動とを繰り返す車両も増加している。さらに、単位距離あたりのCO2排出量が低いことから、天然ガスを燃料とする天然ガス内燃機関を利用する車両についても注目されている。これとは別に、内燃機関で低減しきれなかった有害ガスやPMについては、排ガスが車両等から排出されるまでの間に、排ガス浄化用触媒によって無害化または捕集され、除去されている。排ガス浄化用触媒は、空燃比理論空燃比ストイキ)近傍において、上記有害な気体成分を浄化する三元触媒として効率よく機能する。排ガス浄化用触媒に関連する先行技術としては、例えば、特許文献1,2が挙げられる。

概要

化学的に安定なメタン浄化性能に優れた排ガス浄化用触媒を提供する。本発明に係る排ガス浄化用触媒5は、排ガスが流通するセル12を区画する基材10と、基材10の表面に設けられた触媒層20と、を備える。触媒層20は、セル12の排ガスが流入される側の端部である第1端部10aから排ガスが流出される側の端部である第2端部10bに向けて延設され、パラジウムを含むパラジウム層21と、第2端部10bから第1端部10aに向けて延設され、プラチナを含むプラチナ層22と、パラジウム層21とプラチナ層22の両方に積層され、ロジウムを含むロジウム層23と、を含む。Pd層21は、当該Pd層100gあたりにアルカリ土類金属を0.04モル以上0.16モル以下の含有量で含む。Pt層22は、当該Pt層100gあたりのアルカリ土類金属の含有量が0.03モル以下に制限されている。

目的

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、化学的に安定なメタンの浄化性能に優れた排ガス浄化用触媒を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

内燃機関排気経路に配置され、該内燃機関から排出される排ガス浄化する排ガス浄化用触媒であって、排ガスが流通するセル区画する基材と、前記基材の表面に設けられた触媒層と、を備え、前記触媒層は、前記セルの排ガスが流入される側の端部である第1端部から排ガスが流出される側の端部である第2端部に向けて延設され、パラジウムを含むパラジウム層と、前記第2端部から前記第1端部に向けて延設され、プラチナを含むプラチナ層と、前記パラジウム層と前記プラチナ層の両方に積層され、ロジウムを含むロジウム層と、を含み、前記パラジウム層は、当該パラジウム層100gあたりにアルカリ土類金属を0.04モル以上0.16モル以下の含有量で含み、前記プラチナ層は、当該プラチナ層100gあたりのアルカリ土類金属の含有量が0.03モル以下に制限されている、排ガス浄化用触媒。

請求項2

前記プラチナ層は、アルカリ土類金属を実質的に含まない、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。

請求項3

前記パラジウム層において、前記パラジウムに対する前記アルカリ土類金属のモル比は、1以上3以下である、請求項1または2に記載の排ガス浄化用触媒。

請求項4

天然ガス燃料とする内燃機関から排出される排ガスを浄化するために用いられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。

技術分野

0001

本発明は、メタンを含む排ガス浄化に用いられる排ガス浄化用触媒に関する。

背景技術

0002

自動車等の車両などの内燃機関エンジン)から排出される排ガスには、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)等の有害な気体成分とともに、炭素を主成分とする粒子状物質(Particulate Matter:PM)が含まれる。これらの有害ガスやPMの排出量を規制する排ガス規制は年々強化されている。そのため、内燃機関およびその周辺技術においては、車両等からの有害ガスやPMの排出量を低減するための研究が進められている。

0003

一例として、近年の車両には、内燃機関からのCO2排出量の抑制を目的として、“Fuel Cut”(以下、F/Cと記す。)や、“Idling Stop”(車両の停車時に内燃機関をの運転を停止すること。以下、I/Sと記す。)等の燃料消費自体を抑える内燃機関の駆動制御が行われ、これらの制御が行われる頻度も増加している。また、ハイブリッド車のように、内燃機関が頻繁に停止と再始動とを繰り返す車両も増加している。さらに、単位距離あたりのCO2排出量が低いことから、天然ガスを燃料とする天然ガス内燃機関を利用する車両についても注目されている。これとは別に、内燃機関で低減しきれなかった有害ガスやPMについては、排ガスが車両等から排出されるまでの間に、排ガス浄化用触媒によって無害化または捕集され、除去されている。排ガス浄化用触媒は、空燃比理論空燃比ストイキ)近傍において、上記有害な気体成分を浄化する三元触媒として効率よく機能する。排ガス浄化用触媒に関連する先行技術としては、例えば、特許文献1,2が挙げられる。

先行技術

0004

特開2011−255378号公報
特開昭59−041706号公報

0005

ところで、排ガス浄化用触媒が機能するのは、排ガスによって貴金属触媒活性化される温度にまで温められてからである。また、内燃機関から排出されるHCとしては、アロマオレフィンパラフィン等の比較的低温燃焼が容易な成分のほかに、化学的に安定で低温では分解され難いメタン(CH4)が含まれる。したがって、I/S制御やハイブリッド車等において、内燃機関から排出される排ガスの温度が低下しやすい環境においては、内燃機関の冷間始動時の排出ガスからのメタンの浄化は困難であり、浄化されないメタンが大気に放出される。このことは、単位距離あたりのCO2排出量は低いものの、80質量%以上がメタンからなる天然ガスを燃料とする天然ガス内燃機関を使用する場合に、特に重要な問題となり得る。

0006

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、化学的に安定なメタンの浄化性能に優れた排ガス浄化用触媒を提供することにある。

0007

本発明により、内燃機関の排気経路に配置され、該内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒が提供される。この排ガス浄化用触媒は、排ガスが流通するセル区画する基材と、前記基材の表面に設けられた触媒層と、を備える。この触媒層は、パラジウム(Pd)層と、プラチナ(Pt)層と、ロジウム(Rh)層と、を含む。Pd層は、前記セルの排ガスが流入される側の端部である第1端部から排ガスが流出される側の端部である第2端部に向けて延設され、Pdを含む。Pt層は、前記第2端部から前記第1端部に向けて延設され、Ptを含む。Rh層は、前記Pd層と前記Pt層の両方に積層され、Rhを含む。そして、前記Pd層は、当該パラジウム層100gあたりにアルカリ土類金属を0.04モル以上0.16モル以下の含有量で含む。また、前記Pt層は、当該プラチナ層100gあたりのアルカリ土類金属の含有量が0.03モル以下に制限されている。

0008

上記排ガス浄化用触媒では、三元触媒であるPdとPtとRhとを別々の層に独立して設けるようにしている。これにより、排ガス浄化用触媒の長期の使用に際しても貴金属触媒が合金化するのを抑制でき、個々の貴金属触媒のメタン浄化性能をより良く発揮させることができる。上記構成において、パラジウム層を排ガス流入側の端部に設けることにより、内燃機関の制御等によって変動するさまざまな排ガス条件(例えば、リーン環境)においても高いメタン浄化率を達成することができる。また、上記構成において、プラチナ層を排ガス排出側の端部に設けることにより、ロジウム層によって緩和された(例えばストイキ環境に近い)排ガス条件においてプラチナ層が極めて高いメタン浄化性能を発揮することができる。また、上記構成において、ロジウム層をパラジウム層とプラチナ層とに接するように設けることにより、パラジウム層とプラチナ層とを単独で形成する場合と比較して、メタン浄化性能をより一層高めることができる。

0009

なお、貴金属触媒による排ガス浄化について詳細に検討すると、貴金属触媒は、内燃機関の空燃比がストイキ状態からリーン状態に変動することで、容易に酸化されて活性を失う(酸化被毒)。そして排ガス雰囲気がリーン状態からリッチ状態に戻ることで、酸化被毒状態から回復し得る。本発明者らは、パラジウム層をフロント側に配置した排ガス浄化用触媒によってメタンの浄化を行なうに際し、貴金属に対して電子供与体還元剤)として機能し得るアルカリ土類金属をパラジウム層に含ませることで、パラジウムの酸素被毒からの回復を早め、延いては、パラジウムによるメタンの水蒸気改質誘起できると想起し、本発明を完成するに至った。また、フロント側のパラジウム層でメタンから生成し水素は、リア側に配置されるプラチナ層におけるプラチナの、酸化被毒状態からの早期の回復に寄与し得る。これにより、雰囲気変動のある排ガスに含まれるメタンに対して従来よりも高い浄化性能を有する排ガス浄化用触媒が実現される。

0010

本技術の排ガス浄化用触媒の好適な一態様では、上記プラチナ層は、アルカリ土類金属を実質的に含まない。アルカリ土類金属は、酸化被毒状態にあるプラチナの近くに存在することで、プラチナの酸化状態が安定化されて、酸化被毒状態からの早期の回復が阻害され得る。かかる観点において、メタン浄化を目的とする場合は、プラチナ層にはアルカリ土類金属を存在させないことが好ましい。

0011

本技術の排ガス浄化用触媒の好適な一態様では、前記記パラジウム層において、前記パラジウムに対する前記アルカリ土類金属のモル比は、1以上3以下である。これにより、ロジウム層による水蒸気改質反応が促進されて、メタン浄化性能をより一層高めることができる。

0012

本技術の排ガス浄化用触媒の好適な一態様では、天然ガスを燃料とする前記内燃機関から排出される排ガスを浄化するために用いられる。内燃機関が天然ガスを燃料とする場合、排ガスに含まれるHCの80質量%以上がメタンとなり得る。本技術の排ガス浄化用触媒は、このようなメタン含有率の高い排ガスの浄化に適用された場合に、上述した効果をより好適に発揮するために好ましい。

図面の簡単な説明

0013

一実施形態に係る排ガス浄化システムの構成を示す模式図である。
一実施形態に係る排ガス浄化用触媒を模式的に示す斜視図である。
一実施形態に係る排ガス浄化用触媒における触媒層の構成を模式的に示す部分断面図である。
参考例の触媒体について、流入ガス酸素濃度とメタン浄化率との関係を示したグラフである。
参考例の触媒体について、F/C制御後のメタン浄化性能の回復状態模擬的に評価した結果を示すグラフである。
各例の触媒体のメタン排出量を示したグラフである。
各例の触媒体のPd層100gあたりのアルカリ土類金属量とメタン排出量との関係を示したグラフである。
各例の触媒体のPt層100gあたりのアルカリ土類金属量とメタン排出量との関係を示したグラフである。

実施例

0014

以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は、実際の寸法関係を必ずしも反映するものではない。なお、本明細書において数値範囲を示す「A〜B」との表記は、「A以上B以下」を意味する。

0015

図1は、一実施形態に係る排ガス浄化システム1を示す模式図である。排ガス浄化システム1は、内燃機関2から排出される排ガスに含まれる有害成分、例えば、HC、CO、NOxを浄化するとともに、排ガスに含まれるPMを捕集する。この排ガス浄化システム1は、内燃機関2とその排気経路とを備えている。本実施形態に係る排ガス浄化システム1は、内燃機関2と、排気経路と、エンジンコントロールユニット(Engine Control Unit:ECU)7と、センサ8とを備えている。本技術における排ガス浄化用触媒は、この排ガス浄化システム1の一構成要素として内燃機関2の排気経路に設けられている。そして排気経路の内部を、排ガスが流通する。図中の矢印は排ガスの流れ方向を示している。なお、本明細書において、排ガスの流れに沿って内燃機関2に近い側を上流側、内燃機関2から遠ざかる側を下流側という。

0016

内燃機関2には、酸素燃料ガスとを含む混合気が供給される。内燃機関2は、この混合気を燃焼させることで発生した熱エネルギー運動エネルギーに変換する。内燃機関2に供給される酸素と燃料ガスとの比率は、ECU7によって制御される。燃焼された混合気は排ガスとなって排気経路に排出される。図1に示す構成の内燃機関2は、天然ガスを燃料とした内燃機関を主体として構成されている。

0017

内燃機関2は、図示しない排気ポートにおいて排気経路と接続される。本実施形態の排気経路は、エキゾーストマニホールド3と排気管4とにより構成されている。内燃機関2は、エキゾーストマニホールド3を介して、排気管4に接続されている。排気経路には、典型的には、触媒体5とフィルタ体6とが備えられている。例えば、触媒体5は、本技術における排ガス浄化用触媒の一例である。触媒体5は、例えば、二元触媒や、HC選択還元型NOx触媒NOx吸蔵還元触媒尿素選択還元型NOx触媒などの他の触媒を備えていてもよい。フィルタ体6は必須の構成ではなく、必要に応じて備えることができる。フィルタ体6を備える場合、その構成については従来と同様でよく、特に限定されない。フィルタ体6は、例えば、微小なPMを補足してその排出個数を低減させるパティキュレートフィルタ(Particulate Filter:PF)や、これに二元または三元触媒等を担持させて触媒浄化機能を付与した触媒パティキュレート・フィルタ等であってよい。なお、触媒パティキュレート・フィルタにおける触媒の配置が、本技術による排ガス浄化用触媒と同じである場合、フィルタ体6は触媒体5の一例となる。触媒体5とフィルタ体6との配置は任意に可変であって、触媒体5とフィルタ体6とは独立して単数または複数個が設けられてもよい。

0018

ECU7は、内燃機関2とセンサ8とに電気的に接続されている。ECU7は、内燃機関2の運転状態を検出する各種センサ(例えば、酸素センサや、温度センサ圧力センサ)8から信号を受信し、内燃機関2の駆動を制御する。ECU7の構成については従来と同様でよく、特に限定されない。ECU7は、例えば、プロセッサ集積回路である。ECU26は、例えば、車両等の運転状態や、内燃機関2から排出される排ガスの量、温度、圧力等の情報を受信する。また、ECU7は、例えば受信した情報に応じて、内燃機関2に対する燃料噴射制御点火制御吸入空気量調節制御などの運転制御を実施する。

0019

図2は、一実施形態に係る触媒体5の斜視図である。図中のXは、触媒体5の第1方向である。触媒体5は、第1方向が排ガスの流れ方向に沿うように排気管4に設置される。便宜上、排ガスの流れに着目したときに、第1方向Xのうちの、一の方向X1を排ガス流入側(上流側)といい、他の方向X2を排ガス流出側(下流側)という。また、触媒体5については、一の方向X1をフロント(Fr)側、他の方向X2をリア(Rr)側という場合がある。図3は、一実施形態に係る触媒体5を、第1方向Xに沿って切断した断面の一部を拡大した模式図である。ここに開示される触媒体5は、例えば、ストレートフロー構造の基材10と、触媒層20とを備えている。以下、基材10、触媒層20の順に説明する。

0020

基材10としては、従来のこの種の用途に用いられる種々の素材及び形態のものが使用可能である。基材10は、典型的には、いわゆるハニカム構造を有している。この基材10は、例えば、コージェライトチタン酸アルミニウム炭化ケイ素(SiC)等のセラミックスまたはステンレス等の合金等に代表される、高耐熱性でかつ急激な温度変化に対する耐性の高い材料からなる基材を好適に採用することができる。基材10の外形は特に制限されず、一例として円柱形状(本実施形態)の基材が挙げられる。ただし、基材全体の外形については、円柱形の他に、楕円柱形多角柱形無定形ペレット形等を採用してもよい。本実施形態では、円柱形の基材10の柱軸方向が第1方向Xに一致している。基材10の一の方向X1の端部は第1端部10aであり、他の方向X2の端部は第2端部10bである。かかる本明細書において、基材10等の構成要素についての第1方向Xに沿う寸法を長さという。

0021

基材10には、ハニカム構造におけるセル(空洞)12が第1方向Xに延びている。セル12は基材10を第1方向Xに貫通する貫通孔であり、排ガスの流路となる。基材10には、セル12を区画する隔壁14が含まれる。セル12の第1方向Xに直交する断面(以下、単に「断面」という。)における形状、換言すれば、セルを仕切る隔壁14の構造は特に制限されない。セル12の断面形状は、例えば、正方形平行四辺形長方形台形などの矩形三角形、その他の多角形(例えば、六角形八角形)、円形など種々の幾何学形状であってよい。セル12の形状、大きさおよび数等は、触媒体5に供給される排ガスの流量や成分を考慮して適設に設計することができる。

0022

隔壁14は、セル12に面し、隣り合うセル12を区切っている。隔壁14の厚み(表面に直交する方向の寸法。以下同じ。)は、薄い方が基材10の比表面積を増やすことができ、また、軽量化、低熱容量化にも繋がるために好ましい。隔壁14の厚みは、例えば1mm以下、0.75mm以下、0.5mm以下、0.1mm以下等とすることができる。その一方で、隔壁14が適度な厚みを有することで触媒体5の強度および耐久性が高められる。かかる観点から、隔壁14の厚みは、例えば0.01mm以上、0.025mm以上であってよい。本実施形態の触媒体5において、隔壁14の内部に触媒層20は形成されない。したがって、隔壁14は多孔質体であり得るものの、その気孔率は小さく(例えば30%以下)てもよい。実施形態における基材10は、いわゆるストレートフロー型等と呼ばれる形状であってよく、この点においていわゆるウォールフロー型の基材と区別することができる。隔壁14のX方向の長さ(全長)Lwは特に限定されないが、概ね50〜500mm、例えば100〜200mm程度であるとよい。なお、本明細書において、基材10の体積とは、基材の見掛け体積をいう。したがって、基材10の体積には、骨格たるハニカム構造体(隔壁14を含む)の実質的な体積に加えて、セル12容積を含む。

0023

触媒層20は、図3に示すように、パラジウム(Pd)層21と、プラチナ(Pt)層22と、ロジウム(Rh)層23とを含む。これらの触媒層20は、いずれも隔壁14の表面に配置されている。Pd層21は、貴金属触媒としてのパラジウム(Pd)およびPdを主体とする合金を含む。Pt層22は、貴金属触媒としてのプラチナ(Pt)およびPtを主体とする合金を含む。Rh層23は、貴金属触媒としてのロジウム(Rh)およびRhを主体とする合金を含む。これらの触媒層20は、上述した貴金属触媒の他に、他の金属触媒を含んでいてもよい。このような金属触媒としては、Rh、Pd、Pt、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)およびこれらの合金である白金族触媒(Platinum Group Metals:PGM)や、これら白金族元素に加えて、あるいは上記白金族にかえて、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などの金属元素を含む金属またはその合金等が挙げられる。しかしながら、Pd層21、Pt層22、およびRh層23に含まれる金属触媒は、それぞれ80質量%以上がPd、Pt、およびRhであるとよく、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、特に好ましくは実質的に100質量%がそれぞれPd、Pt、およびRhであるとよい。当然のことながら、不可避的に混入される他の金属触媒の含有は許容される。

0024

Pd層21およびPt層22は、特に酸化触媒としての活性が高く、触媒体5においては、排ガス中の有害成分のうち、特にCOおよびHCについて高い酸化作用を示す。Rh層23は、特に還元触媒としての活性が高く、触媒体5においては、排ガス中の有害成分のうち、特にNOxに対しする高い還元作用を示す。触媒体5は、これらPd層21、Pt層22、およびRh層23を備えることにより、三元触媒としての機能を備え得る。
なお、白金族触媒は、酸化雰囲気に晒されると容易に酸素と結合し、触媒活性を失う。これを「酸素被毒」といい、例えばPd、Pt、およびRhは、酸化物(PdO、PtO、およびRhO)となって安定化される。被毒したPd、Pt、およびRhは、雰囲気が再び平衡ないしは還元雰囲気に戻る等して還元されることで、その活性が回復する。そのため、三元触媒は、主として、理論空燃比であるストイキ状態で燃焼する方式の内燃機関2の排ガスに対する浄化に用いられる。

0025

しかしながら、ストイキ方式の内燃機関2であっても、F/C制御等が行われた場合には、空燃比が上昇して排ガスに酸素が過剰に含まれ、触媒体5中の触媒は容易に被毒する。また、上述の通り、I/S制御やハイブリッド車等においては内燃機関2の運転が頻繁に停止されるため、触媒体5に送られる排ガスの温度が低下しやすく、触媒体5中の触媒は活性が低下し得る。

0026

また、例えば、ガソリンを燃料とする内燃機関から排出されるHCは、アロマ,オレフィン,パラフィン等の比較的低温で燃焼が容易な成分が主成分である。そのため、ガソリンを燃料とした内燃機関2に用いられる排ガス浄化触媒においては、HCを容易に酸化できる。例えばF/C制御が行われた場合であっても、排ガスが約300℃以上になることで被毒された白金族触媒の酸素をHCが消費しながら分解されるため、白金族触媒は早期に活性の高い状態(金属状態)に回復され得る。これに対し、例えば、天然ガスを燃料としたストイキ方式の内燃機関2では、排ガス中のHCとして、化学的に安定で分解され難いメタンが80%以上も含まれる。そのため、F/C制御が行われた場合には、たとえ排ガスが約300℃程度に加熱されてもHC(メタン)は分解されず、浄化されないメタンが大気に放出される。また、被毒された白金族触媒の回復も滞り得る。このことは、単位距離あたりのCO2排出量が低いことから近年注目されている天然ガス自動車(CNG自動車)の普及に際して重要な問題となり得る。

0027

そこで、本技術では、Pd層21、Pt層22、およびRh層23の特徴を詳細に検討し、これらの触媒層20によるメタンの浄化特性について以下を知見した。すなわち、Pt層22とRh層23とが積層された触媒層20は、理論空燃比であるストイキ状態で燃焼された内燃機関から排出された排ガス中のメタンに対して、特に高い浄化性能を示し得る。しかしながら、Pt層22とRh層23とが積層された触媒層20は、排ガスがストイキ状態から外れたときのメタン浄化性能が低い。これに対し、Pd層21とRh層23とが積層された触媒層20は、ストイキ状態からリーン状態までの広い条件で燃焼された内燃機関2からの排ガスに対し、高いメタン浄化性能を示し得る。とりわけ、リーン状態であっても一定のメタン浄化性能を示し、リーン状態にあった排ガスを酸化反応によって好適にストイキ状態に整え得る。以上のことから、本技術では、Pd層21、Pt層22、およびRh層23の基材10への配置を、以下のとおりに規定している。

0028

Pd層21は、基材10の排ガスが流入される側の端部である第1端部10aから、排ガスが流出される側の端部である第2端部10bに向けて延設される。Pd層21は、隔壁14の表面に直接設けられていてもよいし、例えばRh層23やPt層22等の他の層の上に設けられていてもよいし、Rh層23やPt層22等の他の層の下に設けられていてもよい。ただし、Pd層21は少なくとも一部がRh層23と積層されている。なお、積層について言う「上」「下」とは、隔壁14の表面に垂直な方向において、隔壁14に近づく方向を「下」、隔壁14から離れる方向を「上」とする。

0029

触媒体5のフロント側にPd層21が配置されることにより、内燃機関2の運転条件の変動によって触媒体5のメタンの浄化性能が受ける悪影響を低減することができ、かつ、リア側の雰囲気をよりストイキ状態に近づけることができる。Pd層21の長さL21は、上記作用を十分に発揮させるためには、基材10の全長Lwを100%としたときに、第1端部10aから25%以上の長さであるとよく、30%以上、35%以上、典型的には40%以上、例えば45%以上であるとよい。しかしながら、過剰なPd層21の設置は、Pt層22が十分に機能を発現する妨げとなり得る。したがって、Pd層21の長さL21は、第1端部10aから概ね85%以下とするとよく、80%以下、75%以下、典型的には70%以下、65%以下、例えば60%以下である。

0030

なお、Pd層21におけるPdの量は特に制限されないが、例えば、第1方向Xに沿ってPd層21が形成されている部分の基材の体積1リットル(L)当たりの量(以下、触媒についての「濃度」という。)として、0.1g/L以上が適切であり、0.5g/L以上が好ましく、例えば1g/L以上、特に2g/L以上であるとよい。過剰なPdの含有は、Pdの移動や凝集を招き得るために好ましくない。Pdの濃度は、8g/L以下が適切であり、7g/L以下が好ましく、例えば6g/L以下であるとよい。

0031

なお、Pd層21には、アルカリ土類金属が含まれる。アルカリ土類金属とは、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)の4つを意味し、これらはいずれか1種が含まれてもよいし、2種以上の組み合わせが含まれてもよい。アルカリ土類金属は、価電子最外殻のS軌道にあることから、いずれも2価の陽イオンになりやすい。換言すれば、アルカリ土類金属は、一般に触媒層20に含まれることで、近接するPGMに対して電子供与性を示す。これにより、PGMは酸素を吸着しやすくなり、酸化物として(酸素被毒状態で)安定しやすくなる。ここで、PGMの中でもPdは、酸化物状態(リーン状態)でも触媒活性を示すため、酸素被毒の影響が少ない。加えて、Pdは、アルカリ土類金属からの電子供与によって触媒反応が促進され、触媒活性が向上され得る。これにより、アルカリ土類金属は、被毒状態にあるPdに対し、被毒状態からの早期の回復を促進することができる。Pd層21におけるアルカリ土類金属の存在形態は特に制限されない。例えば、酸化物、水酸化物炭酸塩硝酸塩硫酸塩、リン酸塩酢酸塩ギ酸塩シュウ酸塩ハロゲン化物等の形態で存在していてもよい。また、例えば、後述する担体に固溶するなどして存在していてもよい。アルカリ土類金属は、環境がリーンな雰囲気となったときに、Pdに対して還元作用を示し得る。その結果、Pd層21が本来有するメタン浄化性能が速やかに回復されるとともに、副次的に、Pdによるメタンからの水素生成を促し、Pt層22に含まれるPtの回復をも促進する。

0032

アルカリ土類金属は、Pd層21中に、少しでも含まれることで、上記効果を発現する。しかしながら、触媒体5により高いメタン浄化性能を付与するとの観点からは、Pd層21中のアルカリ土類金属の含有量は、当該パラジウム層100gあたりに0.001モル以上、0.005モル以上、0.01モル以上が適切であり、0.02モル以上、0.04モル以上が好ましく、例えば0.05モル以上、0.1モル以上、0.15モル以上であってよい。アルカリ土類金属の含有量の上限は特に制限されないが、添加量とメタン浄化性能の向上効果との兼ね合いから、当該パラジウム層100gあたりのアルカリ土類金属はおおよそ0.5モル以下が適切であり、0.3モル以下、0.2モル以下が好ましく、例えば0.16モル以下であってよい。これにより、一例として、天然ガスエンジンをWLTCモードで運転した際のメタン排出量を約40mg/km以下に抑制することができる。

0033

なお、Pd層21におけるアルカリ土類金属のPdへの作用効率を考慮すると、Pd層21に含まれるPdに対するアルカリ土類金属のモル比はある程度高いほうが好ましい。当該モル比は、例えば、0.1以上であってよく、0.3以上が適切であり、0.6以上が好ましく、0.8以上や、1.0以上がより好ましい。一つの態様では、モル比は1.5以上であってよく、2以上であってもよい。しかしながら、過剰なアルカリ土類金属の含有は、Pdの酸化状態を安定化させる場合があるために好ましくない。たとえば、Pdに対するアルカリ土類金属のモル比は、5以下が適切であり、4以下が好ましく、例えば3以下であってよい。

0034

Pt層22は、基材10の排ガスが流出される側の端部である第2端部10bから、排ガスが流入される側の端部である第1端部10aに向けて延設される。Pt層22は、隔壁14の表面に直接設けられていてもよいし、例えばRh層23やPd層21等の他の層の上に設けられていてもよいし、Rh層23やPd層21等の他の層の下に設けられていてもよい。ただし、Pt層22は少なくとも一部がRh層23と積層されている。上記のとおりフロント側にPd層21が配置されていることにより、ストイキ状態により近づくように調整されたリア側にPt層22を配置することで、その高いメタン浄化性能を如何無く発揮させることができる。Pt層22の長さL22は、本質的には制限されない。しかしながら、フロント側にPd層21を適量配置するとの観点から、基材10の全長Lwを100%としたときに、第2端部10bから概ね90%以下とするとよく、85%以下、80%以下、典型的には75%以下、例えば70%以下である。その一方で、Pt層22は、ストイキ状態で高いメタン浄化性能を発現するためにできるだけ多く配置することが望まれる。したがって、Pt層22の長さL22は、第2端部10bから、20%以上の長さであるとよく、25%以上、30%以上、35%以上、典型的には40%以上、例えば45%以上、好ましくは50%以上(50%超過)であるとよい。

0035

なお、Pt層22におけるPtの量は特に制限されないが、例えば、Pt濃度は、0.1g/L以上が適切であり、0.5g/L以上が好ましく、例えば1g/L以上、特に2g/L以上であるとよい。過剰なPtの含有は、Ptの移動や凝集を招き得るために好ましくない。Ptの濃度は、8g/L以下が適切であり、7g/L以下が好ましく、例えば6g/L以下であるとよい。

0036

なお、Ptは、Pdとは異なり、酸化物状態(リーン状態)では活性を示さないため、酸素被毒による影響を強く受ける。したがって、Pt層22においては、アルカリ土類金属が存在すると、Ptを酸化被毒させていた雰囲気がリッチ状態に変動したときに、Ptの酸化状態を安定化させ、触媒活性の回復を妨げ得るために好ましくない。かかる観点から、Pd層21とは反対に、Pt層22にはアルカリ土類金属が含まれないことが好ましい。Pt層22中のアルカリ土類金属の含有量は、典型的には、当該パラジウム層100gあたり0.03モル以下に制限される。アルカリ土類金属の含有量は、0.02モル以下が好ましく、0.01モル以下、0.005モル以下がより好ましく、0.001モル以下が特に好ましく、例えば、実質的に含まれないことがより好ましい。ここで、Pt層22がアルカリ土類金属を実質的に含まないとは、例えば、第一方向に沿って断面出しをした触媒体5のPt層22部分について、エックス線光電子分光(XPS)分析したときに、異なる5箇所以上の観察領域において、アルカリ土類金属が検出されないことをいう。

0037

なお、上記のとおり、Pt層22に対し、Pt層22によりもフロント側に配置されるPd層21の作用は、Pt層22の機能を好適に発揮させる上で重要である。かかる観点から、基材10の単位体積あたりに含まれるPdのモル量Aと、基材10の単位体積あたりに含まれるPtのモル量Bと、の比A/Bは、凡そ1以上であるとよく、1.2以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、例えば1.75以上や2以上であってよい。しかしながら、比A/Bが大きすぎると、単位体積あたりに含まれるPdのモル量AとPtのモル量Bとのバランス崩れ、PdとPtが好適に協働できないために好ましくない。かかる観点から、比A/Bは、凡そ3以下とすると良く、2.8以下が好ましく、例えば2.5以下や、2.3以下であってよい。

0038

Pd層21とPt層22とは、少なくとも一方の層が、第1方向Xに沿って基材10の全長Lwにわたって備えられているとよい。換言すると、Pd層21の長さL21とPt層22の長さL22との合計(L21+L22)は、100%×Lw以上であることが好ましい。これにより、基材10を余すことなく利用してメタンを浄化することができる。Pd層21とPt層22との重なり(L21+L22−Lw)は、基材10の全長Lwを100%としたときに、2%以上が好ましく、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上が特に好ましい。これにより、Pd層21とPt層22とをより良く協働させることができる。しかしながら、過剰な重なりは、Pd層21の過剰な配置に繋がり得る点において好ましくない。また、過剰な触媒層20の設置は、触媒層20の量に応じたメタン触媒性能の向上が得られず、軽量化と低コスト化を妨げる傾向にあるため好ましくない。したがって、Pd層21とPt層22との重なり(L21+L22−Lw)は、例えば、50%以下程度とするとよく、45%以下や40%以下とするとよい。

0039

Rh層23は、Pd層21とPt層22の両方に積層されるように配置される。Rh層23は、Pd層21とPt層22とに厚み方向(上下方向)で積層されている限り、その他の条件は特に制限されない。Rh層23は、隔壁14の表面に直接設けられていてもよいし、例えばPd層21やPt層22等の他の層の上に設けられていてもよいし、Pd層21やPt層22等の他の層の下に設けられていてもよい。Rh層23がPd層21とPt層22の両方に一部でも積層していることで、Pd層21とPt層22のメタン浄化性能をより一層高めることができる。例えば、空燃比がややリッチな状態において、メタン浄化率を80%以上、好ましくは90%以上、例えば100%にまで高めることができる。とりわけPt層22は、Rh層23と組み合わせて配置されることで、より広い空燃比条件で高いメタン浄化性能(例えば、メタン浄化率100%)を発揮することができる。Rh層23の長さL23は、上記作用を十分に発揮させ、かつ、Pd層21とPt層22とに接合性よく備えられるために、基材10の全長Lwを100%としたとき、凡そ50%以上の長さであるとよく、55%以上、60%以上、典型的には65%以上、70%以上、例えば80%以上であるとよい。Rh層23の長さL23の上限は特に制限されず、例えば100%であってよく、100%以下や、95%以下、90%以下などとしてもよい。

0040

なお、Rh層23におけるRhの量は特に制限されないが、例えば、Rh濃度は、0.01g/L以上が適切であり、0.03g/L以上が好ましく、例えば0.05g/L以上、0.1g/L以上であるとよい。過剰なRhの含有は、Rhの添加量に応じたメタン触媒性能の向上が得られず、低コスト化を妨げる傾向にあるため好ましくない。Rhの濃度は、例えば3g/L以下が適切であり、2g/L以下が好ましく、例えば1g/L以下であるとよい。

0041

触媒層20には、Pd層21、Pt層22、およびRh層23のそれぞれが含有する貴金属触媒の他に、これらの触媒を担持する担体を含むことができる。このような担体としては、従来この種の用途に使用し得ることが知られている担体(典型的には粉体)を適宜採用することができる。例えば、担体の好適例としては、アルミナ(Al2O3)、希土類金属酸化物アルカリ金属酸化物アルカリ土類金属酸化物セリア(CeO2)、ジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO)、チタニア(TiO2)などの金属酸化物や、これらの固溶体、例えばセリア−ジルコニア複合酸化物(CZ複合酸化物:CeO2−ZrO2)が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、アルミナおよびCZ複合酸化物の少なくとも一方を使用することが好ましい。担体は、多結晶体または単結晶体であってよい。

0042

担体の形状(外形)は特に制限されず、より大きい比表面積を確保できるという観点から、粉末状のものが好ましく用いられる。例えば、担体の平均粒子径レーザ回折散乱法により測定される平均粒子径)は、例えば20μm以下、典型的には10μm以下、例えば7μm以下が好ましい。上記担体の平均粒子径が大きすぎる場合は、該担体に担持された貴金属の分散性が低下する傾向があり、触媒の浄化性能が低下するため好ましくない。上記平均粒子径は、例えば5μm以下、典型的には3μm以下であってもよい。一方、担体の平均粒子径が小さすぎると、該担体からなる担体自体の耐熱性が低下するため、触媒の耐熱特性が低下し、好ましくない。したがって、通常は平均粒子径が凡そ0.1μm以上、例えば0.5μm以上の担体を用いることが好ましい。

0043

上記担体における貴金属触媒の担持量は特に制限されない。例えば、担体の全質量に対して0.01質量%〜10質量%の範囲(例えば0.05質量%〜8質量%、典型的には0.015質量%〜5質量%)とすることが適当である。上記触媒金属の担持量が少なすぎると、触媒金属により得られる触媒活性が不十分となることがあり、他方、触媒金属の担持量が多すぎると、触媒金属が粒成長を起こしやすくなると同時にコスト面でも不利である。また、担体に貴金属を担持させる方法としては特に制限されない。例えば、アルミナやCZ複合酸化物を含む担体粉末を、貴金属触媒元素を含む塩(例えば硝酸塩)や貴金属錯体(例えば、テトラアンミン錯体)を含有する水溶液含浸させた後、乾燥させ、焼成することにより調製することができる。

0044

触媒層20には、それぞれ、貴金属触媒や該貴金属触媒の担体の他に、適宜に任意成分を含んでもよい。かかる任意成分としては、例えば、金属触媒が担持されていない助触媒酸素吸蔵能を有する酸素吸蔵材OSC材:oxygen storage capacity)、NOx吸蔵能を有するNOx吸着剤安定化剤などが挙げられる。助触媒としては、例えば、アルミナやシリカが挙げられる。OSC材としては、例えば、セリアや、セリア含有複合酸化物、例えば、CZ複合酸化物などが挙げられる。

0045

安定化剤としては、例えば、ランタン(La)、イットリウム(Y)などの希土類元素、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)などのアルカリ土類元素、その他遷移金属元素などが挙げられる。これらの元素は、典型的には酸化物の形態で触媒層内に存在する。中でも、ランタン、イットリウム等の希土類元素は、触媒機能を阻害せずに高温における比表面積を向上できるため、安定化剤として好適に用いられる。かかる担体は、多結晶体または単結晶体であり得る。触媒層20のうち、酸化触媒を含むPd層21には、安定化剤、例えばバリウム元素を含むことが好ましい。これにより、酸化触媒の被毒が好適に抑えられ、触媒活性を向上することができる。また、酸化触媒の分散性が高められて、酸化触媒の粒成長をより高いレベルで抑制することができる。

0046

Pd層21、Pt層22、およびRh層23の、それぞれのコート量は特に限定されない。隔壁14の排ガスの流通性を高くして、圧損を低減するとの観点からは、基材の体積1L当たりについて、各層それぞれ概ね200g/L以下、好ましくは180g/L以下、例えば150g/L以下とするとよい。一方、メタンおよび他の排ガス浄化性能をより良く向上する観点からは、基材の体積1L当たりについて、各層それぞれ概ね10g/L以上、好ましくは30g/L以上、例えば50g/L以上とするとよい。上記範囲を満たすことにより、圧損の低減と排ガス浄化性能の向上とをさらに高いレベルで両立することができる。なお、Pd層21、Pt層22のコート量の比は特に限定されないが、圧損をより良く低減する観点からは、例えば、Pd層:Pt層=30〜70:70〜30とするとよい。ここに開示される技術では、基材の体積1L当たりの触媒層のコート量が同じであるにもかかわらず、従来に比して浄化性能を向上させることができる。なお、触媒層20についてのコート量とは、単位体積あたりの基材に含まれる触媒層20の質量をいう。ただし、基材の体積は、第1方向Xに沿って当該触媒層20が形成されている部分の基材についてのみ考慮し、当該触媒層20が形成されていない部分の基材については考慮しない。

0047

なお、上述したような構成の触媒体5は、例えば以下のような方法で製造することができる。先ず、基材10と、触媒層20を形成するためのスラリーを用意する。スラリーは、Pd層形成用スラリーと、Pt層形成用スラリーと、Rh層形成用スラリーとを用意する。これらの触媒層形成用スラリーは、相互に異なる金属触媒成分(典型的には金属触媒をイオンとして含む溶液)を必須の成分として含み、それぞれ、その他の任意成分、例えば担体、助触媒、OSC材、バインダ、各種添加剤などを含み得る。なおバインダとしては、アルミナゾルシリカゾルなどを採用し得る。なお、スラリーの性状(粘度や固形分率など)は、使用する基材10のサイズや、セル12(隔壁14)の形態、触媒層20の所望の性状などによって適宜調整するとよい。

0048

例えば、スラリー中の粒子の平均粒子径は凡そ1μm以上、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上とすることができ、凡そ30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下とすることができる。

0049

次に、調製した触媒層形成用スラリーを基材10の端部からセル12に流入させ、X方向に沿って所定の長さまで供給する。Pd層21を形成する場合は、第1端部10aからスラリーを流入させ、X2方向に向かって長さL21まで供給する。Pt層22を形成する場合は、第2端部10bからスラリーを流入させ、X1方向に向かって長さL22まで供給する。Rh層23を形成する場合は、第1端部10aと第2端部10bのいずれからスラリーを流入させてもよく、所望の長さL23まで供給する。このとき、スラリーを反対側の端部から吸引してもよい。また、反対側の端部から送風して余分なスラリーを排出させてもよい。その後、一つのスラリーを供給するごとに、スラリーを供給した基材10を所定の温度および時間で乾燥し、焼成する。このことにより、粒子状原料焼結されて、多孔質な触媒層20が形成される。乾燥や焼成の方法は従来の触媒層形成時と同様でよい。Pd層21、Pt層22、およびRh層23は、後述の試験例に示すように、目的の触媒層構造が得られるように、例えば下に配置される層から、順に形成することができる。これにより、触媒層20を、基材10の隔壁14の表面に形成することができる。

0050

以上のような構成の触媒体5によると、内燃機関2から排出された排ガスが、基材10の第1端部10aからセル12に流入する。セル12に流入した排ガスは、隔壁14の表面に形成された触媒層20を通過して、第2端部10bから排出される。ここで、触媒層20の上流側には、少なくともPd層21が配置されている。またPd層21の少なくとも一部には、Rh層23が積層されている。そのため、排ガスが例えばストイキ状態から外れた場合であっても、Pd層21を通過する間に、排ガス中からメタンを含む有害成分が除去されるとともに、その雰囲気がストイキ状態に近づけられる。また、Rh層23が積層されたPd層21を通過した排ガスは、Rh層23が積層されたPt層22を通過する。このPt層22およびRh層23に到達した排ガスは、ストイキ状態に近づけられているため、Rh層23が積層されたPt層22を通過する間に、排ガス中からメタンを含む有害成分は高い浄化率で浄化される。また、Rh層23が存在することにより、排ガス中のNOx成分も浄化される。これにより、排ガスは、有害成分が除去された状態で、排ガス流出側の端部10bから触媒体5の外部へと排出される。

0051

以下、本発明に関する試験例を説明するが、本発明を以下の試験例に示すものに限定することを意図したものではない。

0052

[参考例1]
PGMを単体で含む触媒層を備える触媒体を用いてメタン(CH4)の浄化を行うことで、各PGMを含む触媒層ごとのメタン浄化性能を確認した。
まず基材として、図2に示すような、オープンフロー(ストレートフロー)タイプのコージェライト製基材(外径120mm、全長115mm、嵩体積1.3L、セル数600cpsi(セル/in2))を用意した。

0053

また、この基材に触媒層としてのPd層、Pt層、Rh層を形成するためのスラリーを調製した。具体的には、硝酸パラジウム水溶液と、アルミナ粉末(γ−Al2O3)と、セリアジルコニア複合酸化物粉末(CZ)と、アルミナゾルとを、イオン交換水中で混合して、Pdスラリーを調製した。また、硝酸白金水溶液と、アルミナ粉末(γ−Al2O3)と、セリアジルコニア複合酸化物粉末(CZ)と、アルミナゾルとを、イオン交換水中で混合して、Ptスラリーを調製した。硝酸ロジウム水溶液と、アルミナ粉末(γ−Al2O3)と、セリアジルコニア複合酸化物粉末(CZ)と、アルミナゾルとを、イオン交換水中で混合して、Rhスラリーを調製した。

0054

次いで、コージェライト製基材のフロント側の端面から、調製したPdスラリーまたはPtスラリーを供給したのち、過剰なスラリーをフロント側の端面から所定の風速で吸引することにより、基材の隔壁の表面の全体(長さ方向の全長)にスラリーをウォッシュコートした。次いで、スラリーでコートした基材を100℃で乾燥させた後、500℃で焼成することにより、Pd層またはPt層を単独で備える触媒体を作製した。次いで、それぞれの基材のフロント側の端面から、調製したRhスラリーを供給したのち、過剰なスラリーをフロント側の端面から所定の風速で吸引することにより、基材の隔壁の表面のフロント側から80%の長さ(0.8×Lw)までRhスラリーをウォッシュコートした。そして、スラリーでコートした基材を100℃で乾燥させた後、500℃で焼成することにより、Pd層とRh層とを備える触媒体と、Pt層とRh層とを備える触媒体をそれぞれ作製した。

0055

なお、基材の単位体積あたりの、Pd層のコート量は90g/L、Pt層のコート量は120g/L、Rh層のコート量は100g/Lとした。また、基材の単位体積あたりのPdの濃度およびPtの濃度は3g/Lであり、Rhの濃度は0.15g/Lとした。

0056

(排ガス浄化性能の評価)
用意した各触媒体について、触媒評価装置を用い、天然ガス(CNG)車両の模擬排ガスにおけるメタン浄化率を調べた。この触媒評価装置は、マスフローコントローラ加熱炉O2センサー、エンジン排ガス分析計を備え、エンジン排ガスを模擬的に発生させるとともに、触媒体への流入ガスおよび触媒体からの流出ガスの成分を分析することができる。具体的には、以下の表1に示すガス成分を所定の割合で触媒評価装置にて混合し、CNG車両の排ガスを模擬的に発生させた。模擬排ガスは、表1に示すように酸素濃度を変化させることで、還元ガス成分に対する酸化ガス成分の割合(λ)をリッチ(0.9)からリーン(1.1)まで変化させた。なお、還元ガス成分に対する酸化ガス成分の割合は、λ=1がストイキであり、酸化ガスが還元ガスに対して等量であることを示す。上記ガスを500℃で触媒体に供給し、触媒体のメタン浄化率を測定した。メタン浄化率は、触媒体に流入する模擬排ガスのメタン濃度P1と、触媒体から流出する模擬排ガスのメタン濃度P2とを測定し、これらから次式:メタン浄化率(%)=[(P1−P2)/P1]×100;により算出した。その結果を図4に示した。

0057

0058

図4は、Pd層−Rh層およびPt層−Rh層をそれぞれ備える触媒体についての、流入ガスの酸素濃度とメタン浄化率との関係を示すグラフである。Pd層−Rh層およびPt層−Rh層は、ストイキ状態では100%に近いメタン浄化率を達成し得ることが確認された。特に、Pt層−Rh層については、ストイキ状態でPd層−Rh層よりも高い極めて優れたメタン浄化性能を示すことがわかった。また、Pd層−Rh層は、ストイキ状態以外のリッチ状態やリーン状態でPt層−Rh層よりも高いメタン浄化性能を示し、特に酸化雰囲気であるリーン状態で安定した高いメタン浄化率が得られることがわかった。

0059

(F/C後の水蒸気改質反応模擬試験
上記で用意した触媒体について、触媒体を酸素被毒させた状態で、メタンを原料とする水蒸気改質反応が生じ得るかどうかを調べた。具体的には、上記と同様の触媒評価装置を用い、先ずは、触媒体にF/C制御されたエンジンからの排ガスを模したリーン条件の排ガスを5分間供給し、触媒体を酸素被毒させた(条件1)。次いで、触媒体を水蒸気改質反応が生じ得る条件に5分間晒し、水蒸気反応が進行するかどうかを調べた(条件2)。触媒体への流入ガスの温度は300℃に固定し、リーン条件は、以下の表2の条件1に示す成分の排ガス(20%O2/N2)を触媒体に送るものとした。また、水蒸気改質条件は、表2の条件2に示す成分のガス(CH4+H2O/N2)を触媒体に送るものとした。これにより、触媒体から排出されるガス中の水素(H2)の濃度を測定し、その結果を図5に示した。

0060

0061

上記の模擬試験において、条件1により酸素被毒された触媒体が触媒活性を有していれば、条件2において供給されたメタンから、以下のいずれかの水蒸気改質反応を経て、水素が生成される。
CH4 + H2O → CO +3H2 …(1)
CH4 +2H2O → CO2 +4H2 …(2)
CO + H2O → CO2 + H2 …(3)

0062

図5に示されるように、Pd層−Rh層を備える触媒体は、300℃において、酸素被毒されたのち、約2分ほどで水素を発生し始め、早期に酸素被毒状態から回復したことが確認できた。また、Pt層−Rh層を備える触媒体は、酸素被毒されたのち、水素を発生し始めるまでに約5分ほど要することが確認された。300℃とは、例えば、自動車エンジンアイドリング時等の比較的低い排気温度に相当する。これらのことから、Pd層−Rh層を備える触媒体は、例えば車両がエンジンのF/C制御を行うことで酸素被毒されても、Pt層−Rh層を備える触媒体よりも、低い温度でより早期に被毒状態から回復できることがわかった。

0063

排ガス浄化用触媒は、リア側に比べてフロント側の方が、エンジンの運転条件による雰囲気の変動が大きい。例えば、ストイキ直噴車であっても、エンジンのF/C制御、I/S制御などによって、フロント側はリーン雰囲気に晒されることが多い。また、リア側は、フロント側に配置される触媒層による触媒反応の進行によって、雰囲気変動が緩和されたり、よりストイキ状態に近い雰囲気に整えられることが多い。したがって、触媒体への触媒層の配置を検討するとき、エンジンの運転条件の変動による影響を受けやすいフロント側には、酸素被毒されても早期に回復し、広い雰囲気条件で良好なメタン浄化性能を発揮するPd層−Rh層を備えることが好適であるといえる。また、フロント側に配置される触媒体によって雰囲気条件が緩和されるリア側には、ストイキ状態で優れたメタン浄化性能を発揮するPd層−Rh層を備えることが好ましいといえる。

0064

[参考例2]
触媒層としてのPd層、Pt層、Rh層の、触媒金属の使用量は同一としたまま、配置を異ならせた触媒体を用いてメタン(CH4)の浄化を行うことで、各触媒層の配置によるメタン浄化性能の違いを確認した。
まず基材として、オープンフロー(ストレートフロー)タイプのコージェライト製基材(外径120mm、全長115mm、嵩体積1.3L、セル数600cpsi(セル/in2))を用意した。

0065

また、参考例1と同様にして、基材に触媒層としてのPd層、Pt層、Rh層を形成するためのスラリーを調製した。具体的には、硝酸パラジウム水溶液と、アルミナ粉末(γ−Al2O3)と、セリアジルコニア複合酸化物粉末(CZ)と、アルミナゾルとを、イオン交換水中で混合して、Pdスラリーを調製した。また、硝酸白金水溶液と、アルミナ粉末(γ−Al2O3)と、セリアジルコニア複合酸化物粉末(CZ)と、アルミナゾルとを、イオン交換水中で混合して、Ptスラリーを調製した。硝酸ロジウム水溶液と、アルミナ粉末(γ−Al2O3)と、セリアジルコニア複合酸化物粉末(CZ)と、アルミナゾルとを、イオン交換水中で混合して、Rhスラリーを調製した。

0066

次に、用意したスラリーを用い、触媒層としてのPd層、Pt層、およびRh層を、下記の表1に示すように、一層目の触媒層の構成を異ならせて形成することで、例1〜4の触媒体を作製した。Pd層、Pt層、およびRh層は、いずれも上記の参考例と同様の吸引法によって、各層ごとに乾燥・焼成することで形成した。図3は、例1の触媒体の構成を示す。

0067

(例1)
すなわち、基材のフロント側の端面から50%の長さ(0.5×Lw)までPdスラリーを供給したのち、過剰なスラリーをフロント側から所定の風速で吸引し、100℃で乾燥させたのち500℃で焼成することで、一層目のPd層を形成した。次いで、基材のリア側から50%の長さ(0.5×Lw)までPtスラリーを供給したのち、過剰なスラリーをリア側から所定の風速で吸引し、100℃で乾燥させたのち500℃で焼成することで、一層目のPtコート層を形成した。そして、基材のフロント側から80%の長さ(0.8×Lw)までRhスラリーを供給したのち、過剰なスラリーをフロント側から所定の風速で吸引し、100℃で乾燥させたのち500℃で焼成することで、二層目のRhコート層を形成した。これにより、例1の触媒体を得た。一層目のPd層とPt層とにおける基材の単位体積あたりの触媒の濃度は3g/Lとした。二層目のRhコート層における基材の単位体積あたりの触媒の濃度は0.15g/Lとした。また、基材の単位体積あたりの、Pd層のコート量は90g/L、Pt層のコート量は120g/L、Rh層のコート量は100g/Lとした。

0068

(例2)
一層目で基材のフロント側に供給するスラリーをPtスラリーに、リア側に供給するスラリーをPdスラリーに変え、その他は例1と同様にして、例2の触媒体を得た。
(例3)
一層目で基材のフロント側に供給するスラリーとリア側に供給するスラリーの両方をPdスラリーとし、その他は例1と同様にして、例3の触媒体を得た。
(例4)
一層目で基材のフロント側に供給するスラリーとリア側に供給するスラリーの両方をPtスラリーとし、その他は例1と同様にして、例4の触媒体を得た。

0069

(排ガス浄化性能の評価)
用意した各例の触媒体について、天然ガス(CNG)車両でメタンガスの浄化性能を評価した。具体的には、理論空燃比で燃焼する方式の筒内直接噴射天然ガスエンジン搭載車(ストイキCNG直噴車、1.5L)の排気経路に各例の触媒体をそれぞれ設置した。そして、この車両を、WLTC(Worldwide harmonized Light duty Test Cycle)で走行させたときの、メタン排出量(mg/km)を測定した。メタン排出量は、触媒体から排出された排ガス中のメタン濃度の測定結果から、次式:メタン排出量(mg/km)=排ガス中のメタン濃度(mg/L)×排ガス量(L)÷走行距離(km);に基づき算出した。その結果を、下記の表3と図6に示した。

0070

0071

例1と例2の比較から、一層目のフロント側は、Pt層よりもPd層にした方が、メタン排出量を有意に低く抑えられることがわかった。参考例1で確認したように、Pd層−Rh層はリーン状態でも高いメタン浄化性能を示すのに対し、Pt層−Rh層はごく限られたストイキ状態でしか高いメタン浄化性能は得られない。また、Pd層−Rh層は、例え酸素被毒された場合であっても、被毒状態からの回復が早い。本試験においても、メタン排出量を削減するとの観点からは、一層目のPd層およびPt層については、フロント側にPd層をリア側にPt層を配置するのが好ましいことが確認できた。また、例1と例3の比較から明らかなように、フロント側をPd層にした場合は、リア側の環境が概ねストイキに近い状態に改善される。そのため、リア側にはPd層ではなく、Pt層を備えることが、メタン浄化性能を高めるために好ましいことが確認できた。なお、例4に示されるように、一層目のリア側にPt層を備えても、フロント側にPd層を備えない場合は、リア側のPt層までもメタン浄化に有効に機能しないことがわかる。したがって、メタン浄化の観点からは、フロント側にPd層、リア側にPt層の配置がベストであることがわかる。

0072

[試験例1]
触媒層としてのPd層、Pt層、Rh層の配置については一定にし、Pd層とPt層に、アルカリ土類金属成分であるバリウム(Ba)成分またはストロンチウム(Sr)成分を添加量を変化させて添加した触媒体を用いてメタン(CH4)の浄化を行うことで、メタン浄化性能の違いを確認した。基材は、参考例2と同じ、オープンフロー(ストレートハニカム)タイプのコージェライト製基材(外径120mm、全長115mm、嵩体積1.3L、セル数600cpsi(セル/in2))を用意した。

0073

また、この基材に触媒層としてのPd層、Pt層、Rh層を形成するためのスラリーを調製した。具体的には、Rh層にはBaまたはSrを添加しないことから、Rhスラリーは参考例1、2と同様にして調製した。換言すれば、基材の単位体積あたりのRh層のコート量が100g/Lとなるように層を形成したときに、Rh濃度が0.15g/Lとなるように、Rh層原料の配合を調整した。

0074

また、BaまたはSrを添加しないPd層については、参考例1、2と同様の原料を用い、Pd層のコート量が90g/Lとなるように層を形成したときに、Pd濃度が4g/Lとなるように、各Pd層原料の配合を調整してPdスラリーを調製した。
BaまたはSrを添加しないPt層については、参考例1、2と同様の原料を用い、Pt層のコート量が120g/Lとなるように層を形成したときに、Pt濃度が1.5g/Lとなるように、各Pt層原料の配合を調整してPtスラリーを調製した。すなわち、メタン排出量の変動をわかりやすくするために、メタン浄化能の高いPtの濃度は参考例と比較して控えめにした。

0075

BaまたはSrを添加するPd層については、参考例1、2と同様の原料に加えて、Ba塩(ここでは、硝酸バリウム粉末)またはSr塩(ここでは、硝酸ストロンチウム粉末)を用い、Pd層のコート量が90g/Lとなるように層を形成したときに、Pd濃度が4g/L、BaまたはSr濃度が表4に示す割合(0〜30g/L)となるように、各Pd層原料の配合を調整してPdスラリーを調製した。BaまたはSrを添加するPt層については、参考例1、2と同様の原料に加えて、Ba塩(ここでは、硝酸バリウム粉末)またはSr塩(ここでは、硝酸ストロンチウム粉末)を用い、Pt層のコート量が120g/Lとなるように層を形成したときに、Pt濃度が1.5g/L、BaまたはSr濃度が表4に示す割合(0〜20g/L)となるように、各Pt層原料の配合を調整してPtスラリーを調製した。

0076

次に、用意したスラリーを用い、触媒層としてのPd層、Pt層、およびRh層が、参考例2の例1と同様に配置されるように形成することで触媒体を作製した。用意したスラリーは、表4に示す組合せで用いるようにした。また、Pd層、Pt層、およびRh層は、いずれも上記の参考例2と同様の吸引法によって、各層ごとにウォッシュコートし、乾燥・焼成することで形成した。

0077

すなわち、基材のフロント側の端面から50%の長さ(0.5×Lw)までPdスラリーを供給したのち、所定の風速で吸引し、100℃で乾燥させたのち500℃で焼成することで、一層目のPd層を形成した。次いで、基材のリア側から50%の長さ(0.5×Lw)までPtスラリーを供給したのち、所定の風速で吸引し、100℃で乾燥させたのち500℃で焼成することで、一層目のPtコート層を形成した。そして、基材のリア側から80%の長さ(0.8×Lw)までRhスラリーを供給したのち、所定の風速で吸引し、100℃で乾燥させたのち500℃で焼成することで、二層目のRhコート層を形成した。これを各例のPdスラリー、Ptスラリー、およびRhスラリーを用いて行うことで、例1〜13の触媒体を得た。

0078

(排ガス浄化性能の評価)
用意した各例の触媒体について、参考例2と同様に、天然ガス(CNG)車両でメタンガスの浄化性能を評価した。具体的には、理論空燃比で燃焼する方式の筒内直接噴射天然ガスエンジン搭載車(ストイキCNG直噴車、1.5L)の排気経路に各例の触媒体をそれぞれ設置した。そして、この車両を、WLTC(Worldwide harmonized Light duty Test Cycle)モードで走行させたときの、メタンの排出量(mg/km)を測定した。その結果を、下記の表4と、図7および図8に示した。表4中の「触媒層中濃度(%)」は、触媒層中のBaまたはSrの含有量(濃度、質量%)を算出した結果である。

0079

0080

例1〜6は、Pd層にBaを添加し、その添加量を基材の単位体積あたり0〜30g/L(換言すると、Pd層100gあたり0〜0.24mol)で変化させて形成した触媒体である。図7は、例1〜6の触媒体についてのメタン排出量の測定結果を、Pd層へのBa(アルカリ土類金属)の添加量との関係として示したグラフである。Baを添加しない例1と比較して、Baを添加した全ての例において、メタン排出量が低減されることがわかった。Pd層にBaを加えることは、触媒体のメタン浄化能を向上させる点で有効であることがわかった。Baの添加量は、ごく少量であってもメタン浄化性能の向上効果が得られるものの、その効果を明瞭に発揮させるためには5g/L近傍、すなわちPd層100gあたり0.04mol近傍の割合で添加するとよいといえる。Baの添加量は、30g/L、すなわちPd層100gあたり0.24mol程度まで増えると、メタン浄化性能の向上効果が低減されることがわかった。そのため、Baの添加量は、30g/L未満、例えばPd層100gあたり0.24mol以下とするよいといえる。Baの添加量は、例えば、Pd層100gあたり0.04mol以上、0.16mol以下程度とするとよい。

0081

なお、例11、12の触媒体は、Baに代えて、Srを3g/Lまたは13g/Lの割合で添加した例であり、これらの結果も図7に示されている。例11、12の触媒体のメタン浄化性能は、Baを添加した場合とほぼ一致しており、アルカリ土類金属であればBa以外の元素を用いても同様の効果が得られることがわかった。

0082

そこで、例7〜10として、Pd層にBaを5g/Lの割合で添加し、Pt層にBa添加量を基材の単位体積あたり1〜20g/L(Pd層100gあたり0.01〜0.12mol)で変化させて形成した触媒体についてメタン浄化性能を調べた。また、例13として、Baに代えてSrを、Pd層に3g/L(Pd層100gあたり0.04mol)とPt層に13g/L(Pt層100gあたり0.12mol)添加した触媒体についてメタン浄化性能を調べた。図8は、例2、7〜11、13の触媒体についてのメタン排出量の測定結果を、Pt層へのアルカリ土類金属(BaまたはSr)の添加量との関係として示したグラフである。

0083

例2、7〜10の比較から、Pd層にはBaを添加しているが、Pt層にBaを添加しない例2と比較して、Pd層とPt層の両方にBaを添加した全ての例において、メタン排出量が増大することがわかった。同様に、例11、13の比較から、Pd層にはSrを添加しているが、Pt層にSrを添加しない例11と比較して、Pd層とPt層の両方にSrを添加した例13では、Baの場合と同程度にメタン排出量が増大することがわかった。このことから、触媒体のメタン浄化能を向上させる点において、Pd層にアルカリ土類金属元素を加えることは有効であるものの、Pd層とPt層の両方にアルカリ土類金属元素を加えることは有効ではなく、却って触媒体のメタン浄化能を損ねることがわかった。Pt層へのアルカリ土類金属元素の添加量は、少量であれば許容されるものの、例えばその添加量はPd層100gあたり0.05mol以下、好ましくは0.03mol以下に抑えることがよいといえる。

0084

以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

0085

例えば、上述した実施形態では、Rh層が基材10の全長100%にわたって形成されていたが、Rh層の長さL23はこれに限定されない。例えば、Rh層は、フロント側から80%以上100%未満の長さで形成されていてもよい。また、Rh層は、リア側から80%以上100%未満の長さで形成されていてもよい。

0086

また上述した実施形態では、Pd層、Pt層、Rh層における貴金属触媒の濃度は、例えば、アルカリ土類金属元素の添加によるメタン排出量の変化が現れやすいように調整されていたが、Pd層、Pt層、Rh層における貴金属触媒の濃度は上記例に限定されない。触媒層の構成の詳細は、本技術の本質を損ねない範囲において、可変である。

0087

また例えば、上述した実施形態では、内燃機関2がCNGエンジンであったが、内燃機関2は、理論空燃比で燃焼する方式の筒内直接噴射ガソリンエンジン、筒内直接噴射ディーゼルエンジンなどであってもよい。これらの内燃機関2は、ECU7によって、F/C制御、I/S制御などが行われるように構成されていてもよい。さらに、これらの内燃機関2は、車両駆動用電源を備えるハイブリッド車に搭載されるエンジンであってもよい。

0088

1排ガス浄化システム
2内燃機関
5触媒体
10基材
12セル
14隔壁
20触媒層
21パラジウム(Pd)層
22プラチナ(Pt)層
23ロジウム(Rh)層

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