図面 (/)
課題
解決手段
流体の流路となり流体の流入側の端面である流入端面から流体の流出側の端面である流出端面まで延びる複数のセルを区画形成するSiC材料からなる隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有する多孔質ハニカムセグメントが、接合材層を介して複数個結束されて構成される微粒子捕集フィルタ用のハニカム構造体の製造方法であって、多孔質ハニカムセグメントの外周壁を、研削加工しろ分だけ厚く形成する工程と、外周壁を研削加工しろ分だけ厚く形成した多孔質ハニカムセグメントを乾燥する工程と、乾燥した多孔質ハニカムセグメントを焼成する工程と、焼成した多孔質ハニカムセグメントの外周壁の研削加工しろを研削除去する工程と、研削加工しろが研削除去された複数の多孔質ハニカムセグメントの各々に対し、各々の被接合面間に接合材を塗布することで接合材層を介在させて接合する工程とを備えたハニカム構造体の製造方法。
概要
背景
従来、内燃機関では、ディーゼルエンジンからの排ガス中に含まれている微粒子を捕集するために、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)が組み込まれている。また、ガソリンエンジンからの排ガス中に含まれている微粒子を捕集するために、ガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)を組み込むこともある。このDPFやGPFは、炭化珪素(SiC)等の多孔質のハニカムセグメントの複数を接着材によって接合することにより形成されるものもあり、複数のハニカムセグメントを接合したセグメント接合体の外周を研削して、円形、楕円形等の適宜の形状のハニカム構造体に成形した後、外周面にコート材を被覆した構造となっている。
特許文献1には、多孔質のハニカムセグメントの複数を接着材によって接合してセグメント接合体を作製するハニカム構造体の製造方法が開示されている。特許文献1に記載のハニカム構造体の製造方法は、図1に示すように、多孔質のハニカムセグメント10をL字型の受板30に沿わせて接着剤層20を介して複数個積み重ね、所望の積層構造にした上で、全体を加圧する。これにより、多孔質のハニカムセグメント10が縦横に積層されたセグメント接合体(ハニカム構造体40)を作製している。
概要
耐熱衝撃性が良好なハニカム構造体を、良好な生産効率で製造する方法を提供すること。流体の流路となり流体の流入側の端面である流入端面から流体の流出側の端面である流出端面まで延びる複数のセルを区画形成するSiC材料からなる隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有する多孔質ハニカムセグメントが、接合材層を介して複数個結束されて構成される微粒子捕集フィルタ用のハニカム構造体の製造方法であって、多孔質ハニカムセグメントの外周壁を、研削加工しろ分だけ厚く形成する工程と、外周壁を研削加工しろ分だけ厚く形成した多孔質ハニカムセグメントを乾燥する工程と、乾燥した多孔質ハニカムセグメントを焼成する工程と、焼成した多孔質ハニカムセグメントの外周壁の研削加工しろを研削除去する工程と、研削加工しろが研削除去された複数の多孔質ハニカムセグメントの各々に対し、各々の被接合面間に接合材を塗布することで接合材層を介在させて接合する工程とを備えたハニカム構造体の製造方法。
目的
本発明は、耐熱衝撃性が良好なハニカム構造体を、良好な生産効率で製造する方法を提供する
効果
実績
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請求項1
流体の流路となり流体の流入側の端面である流入端面から流体の流出側の端面である流出端面まで延びる複数のセルを区画形成するSiC材料からなる隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有する多孔質ハニカムセグメントが、接合材層を介して複数個結束されて構成される微粒子捕集フィルタ用のハニカム構造体の製造方法であって、前記多孔質ハニカムセグメントの外周壁を、研削加工しろ分だけ厚く形成する工程と、前記外周壁を研削加工しろ分だけ厚く形成した多孔質ハニカムセグメントを乾燥する工程と、前記乾燥した多孔質ハニカムセグメントを焼成する工程と、前記焼成した多孔質ハニカムセグメントの外周壁の前記研削加工しろを研削除去する工程と、前記研削加工しろが研削除去された複数の多孔質ハニカムセグメントの各々に対し、各々の被接合面間に接合材を塗布することで前記接合材層を介在させて接合する工程と、を備えたハニカム構造体の製造方法。
請求項2
前記研削加工しろの厚みは、前記研削加工しろが研削除去される前の外周壁の厚みの20〜80%である請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
請求項3
前記多孔質ハニカムセグメントの外周壁を、研削加工しろ分だけ厚く形成する工程において、SiC材料からなる坏土を押出し成形することで、前記研削加工しろ分だけ厚い外周壁を作製した後、焼成する請求項1または2に記載のハニカム構造体の製造方法。
請求項4
前記多孔質ハニカムセグメントの外周壁の前記研削加工しろを研削除去する工程において、前記多孔質ハニカムセグメントの一部の外周壁の前記研削加工しろを研削除去した後、前記多孔質ハニカムセグメントを、前記流入端面から前記流出端面を結ぶ方向と平行な方向を回転軸の方向として回転させて、前記多孔質ハニカムセグメントの他の一部の外周壁の前記研削加工しろを研削除去する工程を更に備えた請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
請求項5
技術分野
背景技術
0002
従来、内燃機関では、ディーゼルエンジンからの排ガス中に含まれている微粒子を捕集するために、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)が組み込まれている。また、ガソリンエンジンからの排ガス中に含まれている微粒子を捕集するために、ガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)を組み込むこともある。このDPFやGPFは、炭化珪素(SiC)等の多孔質のハニカムセグメントの複数を接着材によって接合することにより形成されるものもあり、複数のハニカムセグメントを接合したセグメント接合体の外周を研削して、円形、楕円形等の適宜の形状のハニカム構造体に成形した後、外周面にコート材を被覆した構造となっている。
0003
特許文献1には、多孔質のハニカムセグメントの複数を接着材によって接合してセグメント接合体を作製するハニカム構造体の製造方法が開示されている。特許文献1に記載のハニカム構造体の製造方法は、図1に示すように、多孔質のハニカムセグメント10をL字型の受板30に沿わせて接着剤層20を介して複数個積み重ね、所望の積層構造にした上で、全体を加圧する。これにより、多孔質のハニカムセグメント10が縦横に積層されたセグメント接合体(ハニカム構造体40)を作製している。
先行技術
0004
特開2004−262670号公報
発明が解決しようとする課題
0005
図1に示すようなハニカムセグメント10の接合体を作製する際、複数のハニカムセグメント10が外形にばらつきを有していると、図2に示すように、接合に用いる接着剤層20の幅にばらつきが生じるおそれがある。また、図3に示すように、隣接するハニカムセグメント10の配置にズレが生じるおそれがある。このような接着剤層20の幅のばらつき及びハニカムセグメント10の配置のズレは、熱伝達が変わる原因の一つであり、SiC材料からなるDPFまたはGPFの特徴である耐熱衝撃性が低下する問題が生じるおそれがある。
0006
また、ハニカムセグメント10の外形のばらつきは、主にハニカムセグメント10の焼成工程での収縮によって生じているため、ハニカムセグメント10の外形のばらつきを改善するためには、焼成時間を長くするなど、生産効率を落として対応しなければならないという問題がある。
0007
本発明は、耐熱衝撃性が良好なハニカム構造体を、良好な生産効率で製造する方法を提供することを課題とするものである。
課題を解決するための手段
0008
本発明者は鋭意検討の結果、個々の多孔質ハニカムセグメントの外周壁を、研削加工しろ分だけ厚く形成しておき、乾燥及び焼成を実施した後、当該研削加工しろを研削除去したものを積層して接合させることで、上記課題を解決することができることを見出した。すなわち、本発明は以下のように特定される。
流体の流路となり流体の流入側の端面である流入端面から流体の流出側の端面である流出端面まで延びる複数のセルを区画形成するSiC材料からなる隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有する多孔質ハニカムセグメントが、接合材層を介して複数個結束されて構成される微粒子捕集フィルタ用のハニカム構造体の製造方法であって、前記多孔質ハニカムセグメントの外周壁を、研削加工しろ分だけ厚く形成する工程と、前記外周壁を研削加工しろ分だけ厚く形成した多孔質ハニカムセグメントを乾燥する工程と、前記乾燥した多孔質ハニカムセグメントを焼成する工程と、前記焼成した多孔質ハニカムセグメントの外周壁の前記研削加工しろを研削除去する工程と、前記研削加工しろが研削除去された複数の多孔質ハニカムセグメントの各々に対し、各々の被接合面間に接合材を塗布することで前記接合材層を介在させて接合する工程とを備えたハニカム構造体の製造方法。
発明の効果
0009
本発明によれば、耐熱衝撃性が良好なハニカム構造体を、良好な生産効率で製造する方法を提供することができる。
図面の簡単な説明
0010
従来のハニカムセグメント、及び、ハニカムセグメントを接合してセグメント接合体を製造する態様を示す模式図である。
従来のセグメント接合体における接着剤層の幅のばらつきを示す外観観察写真である。
従来のセグメント接合体におけるハニカムセグメントの配置のズレを示す外観観察写真である。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の外観模式図である。
本発明の実施形態に係る、外周壁が研削加工しろ分だけ厚く形成された多孔質ハニカムセグメントの外観模式図である。
本発明の実施形態に係る、研削加工しろが研削除去された多孔質ハニカムセグメントの外観模式図である。
回転軸の先端に円盤状の砥石を設けた構成の研削冶具の外観模式図である。
実施例及び比較例に係る多孔質ハニカムセグメントにおける距離Lの測定位置を示す模式図である。
0011
以下、図面を参照して、本発明のハニカム構造体の製造方法の実施形態について説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
0012
(ハニカム構造体の製造方法)
図4に、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法で製造されるハニカム構造体100の外観模式図を示す。ハニカム構造体100は、流体の流路となり流体の流入側の端面である流入端面から流体の流出側の端面である流出端面まで延びる複数のセル51を区画形成するSiC材料からなる隔壁52と、最外周に位置する外周壁53とを有する多孔質ハニカムセグメント50が、接合材層54を介して複数個結束されて構成されている。ここで、SiC材料とは、SiC(炭化珪素)を主成分とする材料を意味し、例えば、再結晶SiCのようにSiCのみからなる材料や、Si−SiC系複合材料、Cordierite(コージェライト)−SiC系複合材料、金属珪素含侵SiCなどが包含される。
0013
ハニカム構造体100は、外周を研削して円形、楕円形等の適宜の形状に成形した後、外周面にコート材を被覆され、ディーゼルエンジンパティキュレートフィルタ(DPF)やガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)などの微粒子捕集フィルタとして用いられる。ハニカム構造体100の流体の流路となるセル51の流入端面または流出端面に、目封止部を設けることで、排ガス中の微粒子(カーボン微粒子など)を捕集することができる。目封止部はいつ設けてもよいが、多孔質ハニカムセグメント50を焼成する前に目封止部を設けることにより、焼成で目封止部と隔壁52が焼結するためより好ましい。
0014
ハニカム構造体100は、さらに、複数のセル51を区画形成するSiC材料からなる隔壁52の表面または内部に触媒を設けてもよい。触媒の種類については特に制限なく、ハニカム構造体100の使用目的や用途に応じて適宜選択することができる。例えば、貴金属系触媒又はこれら以外の触媒が挙げられる。貴金属系触媒としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)といった貴金属をアルミナ細孔表面に担持し、セリア、ジルコニア等の助触媒を含む三元触媒や酸化触媒、又は、アルカリ土類金属と白金を窒素酸化物(NOx)の吸蔵成分として含むNOx吸蔵還元触媒(LNT触媒)が例示される。貴金属を用いない触媒として、銅置換又は鉄置換ゼオライトを含むNOx選択還元触媒(SCR触媒)等が例示される。また、これらの触媒からなる群から選択させる2種以上の触媒を用いてもよい。なお、触媒の担持方法についても特に制限はなく、従来、ハニカム構造体100に触媒を担持する担持方法に準じて行うことができる。
0015
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法は、まず、図5に示すような多孔質ハニカムセグメント60を作製する。多孔質ハニカムセグメント60は、外周壁55が研削加工しろ61分だけ厚く形成されている。
0016
多孔質ハニカムセグメント60の製造工程としては、まず、SiC材料からなるセラミックス原料に、バインダー、分散剤(界面活性剤)、造孔材、水などを添加し、これを混合及び混錬し、坏土を調製する。次に、調製した坏土を、押出成形法でハニカム形状に成形し、生の(未焼成の)柱状ハニカム成形体を得る。押出成形機から押し出された柱状ハニカム成形体は、適切な長さに切断される。押出成形法は、ラム式押出成形機、2軸スクリュー式連続押出成形機等の装置を用いて行うことができる。ハニカム形状の成形には、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いる方法が好適である。このようにして、外周壁55が研削加工しろ61分だけ厚く形成された未焼成のハニカム成形体である多孔質ハニカムセグメント60を作製する。
0017
外周壁55が研削加工しろ61分だけ厚く形成された未焼成のハニカム成形体である多孔質ハニカムセグメント60は、上述のように押出成形によって作製してもよく、押出成形で柱状ハニカム成形体を作製した後に、外周壁55を研削加工しろ61分だけ厚く形成することで作製してもよい。
0018
多孔質ハニカムセグメント60の外形としては、特に限定されないが、本実施形態のように端面が四角形の柱状としてもよく、端面が円形の柱状(円柱形状)、端面がオーバル形状の柱状、端面が四角形以外の多角形(三角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状とすることができる。
0019
次に、外周壁55を研削加工しろ61分だけ厚く形成した多孔質ハニカムセグメント60を乾燥する。当該乾燥は、多孔質ハニカムセグメント60に電流を流すことによって発生させた高周波エネルギーを利用した誘電乾燥により行ってもよく、多孔質ハニカムセグメント60に熱風を導入する熱風乾燥により行ってもよい。また、室温条件下に放置する自然乾燥や、マイクロ波を利用したマイクロ波乾燥、凍結乾燥などを行ってもよく、複数の乾燥方法を組み合わせて行ってもよい。続いて、多孔質ハニカムセグメント60を焼成する。
0020
次に、焼成後の多孔質ハニカムセグメント60は、図5に示すように、外周壁55の四側面にそれぞれ形成された研削加工しろ61を、例えば点線a−bで示すような直線に沿って研削除去する。このようにして、研削加工しろ61を除去し、図6に示すような多孔質ハニカムセグメント50を作製する。
0021
研削加工しろ61の研削除去は、研削冶具を用いて行うことができる。例えば、図7に示すような、回転軸70の先端に円盤状の砥石71を設けた構成の研削冶具等を使用することができる。当該研削冶具によれば、回転軸70からの回転駆動によって砥石71を高速で回転させながら、焼成後の多孔質ハニカムセグメント60の外周壁55の四側面にそれぞれ形成された研削加工しろ61に砥石71を当接させて徐々に研削除去することができる。
0022
砥石71の種類としては、番手#80〜#120の範囲にあるものが好ましい。番手#80〜#120の範囲にある砥石71を用いて外周壁55の研削加工を行うことで、研削加工しろ61が研削除去された後の外周壁53の表面の粗さが小さく、且つ、均一に加工しやすくなる。このため、後述の複数の多孔質ハニカムセグメントの接合工程において、外形のばらつきがより小さい複数の多孔質ハニカムセグメントを接合することができる。
0023
多孔質ハニカムセグメント60の外周壁55の研削加工しろ61を研削除去する際は、多孔質ハニカムセグメント60の一部の外周壁55の研削加工しろ61を研削除去した後、多孔質ハニカムセグメント60を、流入端面から流出端面を結ぶ方向と平行な方向を回転軸の方向として回転させて、多孔質ハニカムセグメント60の他の一部の外周壁55の研削加工しろを研削除去する工程を更に備えるのが好ましい。より具体的には、多孔質ハニカムセグメント60を、流入端面から流出端面を結ぶ方向と平行なセグメント側面が、回転する砥石の平面部に平行になるように固定し、切削加工しろ61分だけ砥石71を押し当てて研削除去を行うのが好ましい。また、多孔質ハニカムセグメント60の姿勢を指定の角度に回転させて研削することが好ましい。例えば、多孔質ハニカムセグメント60が直方体のセグメントであれば、その四側面を研削するために、マシニングセンタを用いて、多孔質ハニカムセグメント60の上面を研削し終えたら90度回転させて、未加工面が上面となるように配置して研削してもよい。このような構成により、多孔質ハニカムセグメント60のセルが伸びる方向における長さが長い場合など、研削冶具の移動が効率良くなり、研削加工効率が向上する。
0024
焼成後の多孔質ハニカムセグメント60の研削加工しろ61の厚みは、研削加工しろ61が研削除去される前の外周壁55の厚みの20〜80%であるのが好ましい。研削加工しろ61の厚みが、研削加工しろ61が研削除去される前の外周壁55の厚みの20%未満であると、焼成時に発生したセグメント外形の変形量を吸収できず、セグメント同士の外形が均一にならないという問題が生じる場合がある。また、研削加工しろ61の厚みが、研削加工しろ61が研削除去される前の外周壁55の厚みの80%を超え、更に外周壁55の厚み以上研削してした場合、フィルタの捕集部分を研削し、セル内部同士が繋がることで製品機能(フィルタ性能)が低下するという問題が生じる場合がある。焼成後の多孔質ハニカムセグメント60の研削加工しろ61の厚みは、研削加工しろ61が研削除去される前の外周壁55の厚みの30〜70%であるのがより好ましく、40〜60%であるのが更により好ましい。なお、研削加工しろ61の厚みの最適値は多孔質ハニカムセグメント50の構造によって異なるが、セルが伸びる方向における長さが長いほど、焼成時の形状の変形が大きくなりやすいため、研削加工しろ61の厚みを大きくすることが好ましい。
0025
多孔質ハニカムセグメント60の研削加工しろ61の研削において、研削後の複数の多孔質ハニカムセグメント50の外形が均一になるように研削することが好ましい。研削後の複数の多孔質ハニカムセグメント50の外形が均一になると、多孔質ハニカムセグメント50を接合する際の接合材層の厚さが均一になる。
0026
次に、研削加工しろ61が研削除去された複数の多孔質ハニカムセグメント50の各々に対し、各々の被接合面間に接合材を塗布することで接合材層54を介在させて接合する。当該接合工程では、図1に示すような方法を用い、多孔質ハニカムセグメント50をL字型の受板に沿わせて接合材層54を介して複数個積み重ね、所望の積層構造にした上で、全体を加圧することで接合してもよい。このようにして、図4に示すようなハニカム構造体100を作製する。
0027
当該接合工程では、上述のように、各々の多孔質ハニカムセグメント50は研削加工しろ61が研削除去されたものであるため、各々の多孔質ハニカムセグメント50の外周壁53の表面性状が均一となっており、多孔質ハニカムセグメント50同士の外形のばらつきが抑制されている。従って、複数の多孔質ハニカムセグメント50を接合してなるハニカム構造体100において、接合に用いた接合材層54の幅のばらつきが抑制され、また、隣接する多孔質ハニカムセグメント50の配置のズレの発生が抑制される。従って、ハニカム構造体100は、熱伝達が一定となり、SiC材料からなるDPFまたはGPFなどの微粒子捕集フィルタの特徴である耐熱衝撃性が低下する問題が抑制される。また、従来のようにハニカムセグメントの外形のばらつきを改善するために、生産効率を落として対応しなければならないという問題がなくなり、ハニカム構造体100の生産効率が良好となる。
0028
接合材層54を構成する接合材は、SiC材料からなる外周壁53の表面同士が良好な接着力により接合できるものであれば特に限定されない。接合材層54を構成する接合材としては、例えば、無機粒子を含み、その他の成分として無機繊維、コロイド状酸化物を含むものであってもよい。また、多孔質ハニカムセグメント50の接合時には、これらの成分に加え、必要に応じて、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の有機バインダー、分散剤、水等を加え、それをミキサー等の混練機を使用して混合、混練してペースト状にしたものを用いてもよい。
0029
接合材層54を構成する接合材に含まれる無機粒子の構成材料としては、例えば、炭化珪素、窒化珪素、コージェライト、アルミナ、ムライト、ジルコニア、燐酸ジルコニウム、アルミニウムチタネート、チタニア及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるセラミックス、Fe−Cr−Al系金属、ニッケル系金属、珪素−炭化珪素系複合材料等を用いることが好ましい。
0030
接合材層54を構成する接合材に含まれる無機繊維としては、アルミノシリケート、炭化珪素等のセラミックスファイバー、銅、鉄等のメタルファイバー等を好適に用いることができる。コロイド状酸化物としては、シリカゾル、アルミナゾル等が好適なものとして挙げられる。コロイド状酸化物は、接合材に適度な接着力を付与するために好適であり、また、乾燥・脱脂することによって無機繊維及び無機粒子と結合し、乾燥後の接合材を耐熱性等に優れた強固なものとすることができる。
0031
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を提供するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
0033
次に、研削加工しろ分だけ厚い外周壁を有する生の(未焼成の)多孔質ハニカムセグメントを乾燥した後、目封止部を設け、焼成した。当該焼成後の多孔質ハニカムセグメントは直方体であり、その外周壁の厚みは1.8mmであり、そのうち、研削加工しろの厚みは1.3mmであった。外周壁の厚みは、マイクロスコープ(ANMO Electronics Corporation製 Dino−Lite Premie)を用いて、1本のセグメントの片端面において、外周壁の1側面当たり20箇所(実施例1の多孔質ハニカムセグメントは直方体であるため、20箇所×4側面の80箇所)の外周壁の厚みを測定し、その平均値を求めた。また、当該焼成後の多孔質ハニカムセグメントのセルが伸びる方向における長さは、203.7mmであった。
0034
次に、焼成後の多孔質ハニカムセグメントの研削加工しろを番手#120の砥石を有する研削冶具によって研削除去した。このとき、焼成後の多孔質ハニカムセグメントの一側面について研削除去した後、多孔質ハニカムセグメントを90度回転させて、未加工面が砥石側を向くように配置して、同様に研削した。このようにして、多孔質ハニカムセグメントを回転させ、四側面を全て研削した。
0035
(比較例1)
比較例1として、実施例1と同様のSiC材料からなる坏土を用い、これを押出し成形することで、生の(未焼成の)多孔質ハニカムセグメントを作製した。比較例1では、実施例1のように外周壁に研削加工しろを設けず、従来の形状の生の多孔質ハニカムセグメントとした。続いて、生の多孔質ハニカムセグメントを実施例1と同様の条件で乾燥した後、目封止部を設け、焼成した。当該焼成後の多孔質ハニカムセグメントは直方体であり、その外周壁の厚みは0.5mmであった。また、当該焼成後の多孔質ハニカムセグメントのセルが伸びる方向における長さは、203.7mmであった。
実施例
0036
(評価)
次に、図8(a)に示すように、実施例1及び比較例1に係る直方体の多孔質ハニカムセグメントについて、セルが伸びる方向の両端から10mm内側の地点同士を結んだ直線(仮想線)に対する、セルが伸びる方向の中央の地点の距離Lをそれぞれ測定した。また、セルの端面側から見た当該距離Lの測定位置は、図8(b)に示すように、セルが伸びる方向に垂直な面を構成する一辺の中央の地点とした。
当該測定は、実施例1及び比較例1に係る直方体の多孔質ハニカムセグメントについて、それぞれセグメント1本につき四側面で行い、それらの中で最も大きかった測定値(絶対値)を距離Lmaxとした。
その結果、比較例1に係る多孔質ハニカムセグメントでは、当該距離Lmaxが−0.8mmであったが、実施例1に係る多孔質ハニカムセグメントでは、当該距離Lmaxが−0.05mmになり、形状不良が抑制された。
0037
10、50、60多孔質ハニカムセグメント
20接着剤層
30受板
40、100ハニカム構造体
51セル
52隔壁
53、55外周壁
54接合材層
61研削加工しろ
70回転軸
71 砥石