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技術 ゴルフクラブ用シャフト

出願人 三菱ケミカル株式会社
発明者 松原華栄
出願日 2019年3月27日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2019-060258
公開日 2020年10月1日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-156817
状態 未査定
技術分野 ゴルフクラブ
主要キーワード 捻り荷重 テーパー度 縮小傾向 太径側 細径側 バランスポイント 潰し強度 潰し変形
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年10月1日)のものです。
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図面 (13)

課題

曲げ剛性値が比較的小さい範囲内であり、曲げ剛性分布が適切であるため、非力なゴルファーが用いても、振り感が良好で、飛距離を増大させられるゴルフクラブ用シャフトを提供することを課題とする。

解決手段

細径端部から170mmの位置から、太径端部から170mmの位置までの曲げ剛性値が0.5kgf・m2以上5.0kgf・m2以下の範囲内であるゴルフクラブ用シャフト。

概要

背景

1992年以降、少子高齢化や、若年層のゴルフ離れにより、ゴルフ市場縮小傾向にある。団塊の世代がゴルフからリタイアしていくことを考慮すると、この傾向は更に顕著になる可能性が指摘されている。この状況を憂慮し、2002年に、(財)日本ゴルフ協会は、ゴルフ界に向け、ゴルフ市場活性化策を連携して実施することを提言した「GLF21」を発刊した。これを受けて、2003年に、経済産業省は委託調査として「ゴルフ市場活性化行動計画検討会」設置、報告書をまとめている。その中で、中長期的なゴルフ市場の拡大の対策の一つとして、ジュニア層の育成が挙げられている。

米国においても、世界ゴルフ財団がGolf20/20と名付けたゴルフ振興活動を推進しており、その中の施策に、ゴルファー平均年齢引き下げや、ジュニア育成などが挙げられている。

一方、ゴルフ用具としては、女性シニア層などの非力なゴルファー向けには、重量や剛性を調整し、飛距離を伸ばせるゴルフクラブ用シャフトが各種知られている。
しかしながら、ジュニアゴルファーは、プレー人口が少なかったこともあり、ジュニアゴルファー向けに最適設計されたゴルフクラブ用シャフトは殆どなく、ジュニア向けに販売されているのは、主に安価で柔らかい材料を用いたゴルフクラブ用シャフトである。そのため、ジュニアゴルファーは、大人向けのゴルフクラブ用シャフトを身長に合わせて切断して使用したり、安価な材料を用いた軽量なゴルフクラブ用シャフトを用いたりしているのが実情である。

本発明は、こうした背景に鑑み、身長140cm〜150cmのゴルファー、とりわけジュニアゴルファー向けに最適設計したゴルフクラブ用シャフトを提供することを目的としている。

特許文献1には、一様な強度分布を得ることで、余剰な重量を削減し、軽量化したゴルフクラブ用シャフトについて記載されている。

概要

曲げ剛性値が比較的小さい範囲内であり、曲げ剛性分布が適切であるため、非力なゴルファーが用いても、振り感が良好で、飛距離を増大させられるゴルフクラブ用シャフトを提供することを課題とする。細径端部から170mmの位置から、太径端部から170mmの位置までの曲げ剛性値が0.5kgf・m2以上5.0kgf・m2以下の範囲内であるゴルフクラブ用シャフト。なし

目的

本発明は、こうした背景に鑑み、身長140cm〜150cmのゴルファー、とりわけジュニアゴルファー向けに最適設計したゴルフクラブ用シャフトを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

細径端部から170mmの位置から、太径端部から170mmの位置までの曲げ剛性値が0.5kgf・m2以上5.0kgf・m2以下の範囲内であるゴルフクラブ用シャフト

請求項2

チップ端側からの距離がシャフト全長の25%以上65%以下の範囲における曲げ剛性値の傾きが2.0kgf・m以上5.5kgf・m以下である請求項1に記載のゴルフクラブ用シャフト。

請求項3

細径端から300mmの範囲での曲げ剛性値の最大値と、太径端側から300mmの範囲での曲げ剛性値の最大値の差が1.0kgf・m2以上3.5kgf・m2以下である請求項1または2に記載のゴルフクラブ用シャフト。

請求項4

全長が800mm以上1100mm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフト。

請求項5

重量が25g以上45g以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフト。

請求項6

強化繊維を含む樹脂層である繊維強化樹脂層、を複数有するゴルフクラブ用シャフトであって、前記繊維強化樹脂層の少なくとも一層に、前記強化繊維として弾性率が280GPa以上500GPa以下、かつ引張強度が5500MPa以上8500MPa以下である強化繊維を含む繊維強化樹脂層、を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフト。

請求項7

強化繊維を含む樹脂層である繊維強化樹脂層、を複数有するゴルフクラブ用シャフトであって、前記ゴルフクラブ用シャフトの長手方向に対して強化繊維が−5°〜+5°で配向された繊維強化樹脂層の少なくとも一層に、前記強化繊維として弾性率が280GPa以上500GPa以下、かつ引張強度が5500MPa以上8500MPa以下である強化繊維を含む繊維強化樹脂層、を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフト。

請求項8

前記ゴルフクラブ用シャフトの長手方向に対して強化繊維が−5°〜+5°で配向された繊維強化樹脂層が前記ゴルフクラブ用シャフトの全長に亘って配置されている請求項7に記載のゴルフクラブ用シャフト。

請求項9

身長140cm〜150cmの低身長者用である請求項1〜8のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフト。

請求項10

ジュニアゴルファー用である請求項1〜9のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフト。

請求項11

請求項1〜10のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフトを含むゴルフクラブ

技術分野

0001

本発明は、ゴルフクラブ用シャフトに関する。

背景技術

0002

1992年以降、少子高齢化や、若年層のゴルフ離れにより、ゴルフ市場縮小傾向にある。団塊の世代がゴルフからリタイアしていくことを考慮すると、この傾向は更に顕著になる可能性が指摘されている。この状況を憂慮し、2002年に、(財)日本ゴルフ協会は、ゴルフ界に向け、ゴルフ市場活性化策を連携して実施することを提言した「GLF21」を発刊した。これを受けて、2003年に、経済産業省は委託調査として「ゴルフ市場活性化行動計画検討会」設置、報告書をまとめている。その中で、中長期的なゴルフ市場の拡大の対策の一つとして、ジュニア層の育成が挙げられている。

0003

米国においても、世界ゴルフ財団がGolf20/20と名付けたゴルフ振興活動を推進しており、その中の施策に、ゴルファー平均年齢引き下げや、ジュニア育成などが挙げられている。

0004

一方、ゴルフ用具としては、女性シニア層などの非力なゴルファー向けには、重量や剛性を調整し、飛距離を伸ばせるゴルフクラブ用シャフトが各種知られている。
しかしながら、ジュニアゴルファーは、プレー人口が少なかったこともあり、ジュニアゴルファー向けに最適設計されたゴルフクラブ用シャフトは殆どなく、ジュニア向けに販売されているのは、主に安価で柔らかい材料を用いたゴルフクラブ用シャフトである。そのため、ジュニアゴルファーは、大人向けのゴルフクラブ用シャフトを身長に合わせて切断して使用したり、安価な材料を用いた軽量なゴルフクラブ用シャフトを用いたりしているのが実情である。

0005

本発明は、こうした背景に鑑み、身長140cm〜150cmのゴルファー、とりわけジュニアゴルファー向けに最適設計したゴルフクラブ用シャフトを提供することを目的としている。

0006

特許文献1には、一様な強度分布を得ることで、余剰な重量を削減し、軽量化したゴルフクラブ用シャフトについて記載されている。

先行技術

0007

国際公開第2013/180098号

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、この手法で得られたような、成人向けの軽量シャフト太径端部をカットして、身長140cm〜150cmのゴルファーに合わせて用いる場合、カット前のシャフトと比較して振動数が高くなり過ぎたり、曲げ剛性値が高くなり過ぎたりして、スイング時に適切なしなりを得られないため、飛距離を向上させるためのスイングを行うなどの使いこなしが困難であったり、打感が悪かったりした。

0009

本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、曲げ剛性値が小さく、曲げ剛性分布が適切であるため、振り感が良好で、飛距離を増大させられるゴルフクラブ用シャフトを提供することを課題としている。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、鋭意検討を行った結果、曲げ剛性値と曲げ剛性分布を制御することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明の要旨は、以下の(1)〜(9)の通りである。

0011

(1)細径端部から170mmの位置から、太径端部から170mmの位置までの曲げ剛性値が0.5kgf・m2以上5.0kgf・m2以下の範囲内であるゴルフクラブ用シャフト。
(2)チップ端側からの距離がシャフト全長の25%以上65%以下の範囲における曲げ剛性値の傾きが2.0kgf・m以上5.5kgf・m以下である
(1)に記載のゴルフクラブ用シャフト。
(3) 細径端から300mmの範囲での曲げ剛性値の最大値と、太径端側から300mmの範囲での曲げ剛性値の最大値の差が1.0kgf・m2以上3.5kgf・m2以下である
(1)または(2)に記載のゴルフクラブ用シャフト。
(4)全長が800mm以上1100mm以下である
(1)〜(3)のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
(5) 重量が25g以上45g以下である
(1)〜(4)のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
(6)強化繊維を含む樹脂層である繊維強化樹脂層、を複数有するゴルフクラブ用シャフトであって、前記繊維強化樹脂層の少なくとも一層に、前記強化繊維として弾性率が280GPa以上500GPa以下、かつ引張強度が5500MPa以上8500MPa以下である強化繊維を含む繊維強化樹脂層、を含む
(1)〜(5)のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
(7) 強化繊維を含む樹脂層である繊維強化樹脂層、を複数有するゴルフクラブ用シャフトであって、
前記ゴルフクラブ用シャフトの長手方向に対して強化繊維が−5°〜+5°で配向された繊維強化樹脂層の少なくとも一層に、
前記強化繊維として弾性率が280GPa以上500GPa以下、かつ引張強度が5500MPa以上8500MPa以下である強化繊維を含む繊維強化樹脂層、を含む
(1)〜(6)のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
(8) 前記ゴルフクラブ用シャフトの長手方向に対して強化繊維が−5°〜+5°で配向された繊維強化樹脂層が前記ゴルフクラブ用シャフトの全長に亘って配置されている
(7)に記載のゴルフクラブ用シャフト。
(9)身長140cm〜150cmの低身長者用である
(1)〜(8)のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
(10) ジュニアゴルファー用である(1)〜(9)のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
(11) (1)〜(10)のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフトを含むゴルフクラブ

発明の効果

0012

本発明のゴルフクラブ用シャフトは、曲げ剛性が低い領域にありながら、曲げ剛性分布が制御されている。そのため、本発明のゴルフクラブ用シャフトを用いると、スイング時に適切なしなりを得ることができ、飛距離を増大させることができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明のゴルフクラブ用シャフトの一実施形態例を示すプリプレグ裁断形状と、巻き付け順序とを示す説明図である。
本発明のゴルフクラブ用シャフトの他の一実施形態例を示すプリプレグの裁断形状と、巻き付け順序とを示す説明図である。
本発明のゴルフクラブ用シャフトの更に他の一実施形態例を示すプリプレグの裁断形状と、巻き付け順序とを示す説明図である。
本発明のゴルフクラブ用シャフトの更に他の一実施形態例を示すプリプレグの裁断形状と、巻き付け順序とを示す説明図である。
本発明のゴルフクラブ用シャフトの更に他の一実施形態例を示すプリプレグの裁断形状と、巻き付け順序とを示す説明図である。
実施例で用いたマンドレルの概略説明図である。
本発明の一実施形態における固有振動数測定方法を説明するための模式図である。
本発明の一実施形態におけるバランスポイントを説明するための模式図である。
本発明の一実施形態におけるキックポイントを説明するための模式図である。
本発明の一実施形態におけるトルク評価方法を説明するための模式図である。
本発明の一実施形態における曲げ剛性分布の評価方法を説明するための模式図である。
本発明の一実施形態における曲げ剛性値の傾きの評価方法を説明するための模式図である。
曲げ剛性分布の測定結果を示す図である。

0014

以下、本発明の実施形態に関して具体例を示して説明する。なお、以後、本明細書では、ゴルフクラブ用シャフトをシャフト、シャフトのバット端部を太径端部、チップ端部を細径端部と表記することがある。

0015

(ゴルフクラブ)
ゴルフクラブは、ゴルフヘッドと、ゴルフクラブ用シャフトと、グリップによって構成されている。
ゴルフクラブは、通常、シャフトのチップ端にヘッドを取り付け、バット端にグリップを取り付けて組み上げる。ゴルフクラブは、通常、クラブ長を考慮して、シャフトの両端をカットしてからヘッドを取り付けて組み上げる。

0016

(ゴルフクラブの重量)
本発明のゴルフクラブは、総重量が200g以上400g以下が好ましく、220g以上370g以下がより好ましく、250g以上350g以下が更に好ましい。前記下限値以上であれば、飛距離増大の効果がある。前記上限値以下であれば、オーバースイングを防ぎ、身体の負担を軽減する効果がある。

0017

(ゴルフクラブの長さ)
本発明のゴルフクラブは、長さが30インチ以上45インチ以下が好ましく、32インチ以上43インチ以下がより好ましく、34インチ以上41インチ以下が更に好ましい。前記下限値以上であれば、飛距離増大の効果がある。前記上限値以下であれば、正しいアドレス姿勢キープでき、効率の良いスイングができる。

0018

(シャフト)
ゴルフクラブ用シャフトとは、ゴルフクラブに組む前のシャフト(ゴルフクラブの部品)と、ゴルフクラブの各部品をゴルフクラブに組み立てた際の、前記ゴルフクラブにおけるシャフト部分の両方を意味する。
ゴルフクラブに組む前のシャフトは、製造直後のカットしていない状態と、ゴルフクラブに組み立てる直前の、カットした状態の両方を示す。
なお、ゴルフクラブにおけるシャフト部分の方がより本願発明の効果を発現する。

0019

(シャフトの種類)
本実施形態のシャフトは、ドライバーフェアウェイウッドユーティリティアイアンパターなどの、いずれの種類のゴルフクラブ用シャフトでも良い。

0020

素管
素管は、意匠性付与層を有しないシャフトのことである。
素管の物性がゴルフクラブ用シャフトの物性を実質的に決定する。
素管は、複数の繊維強化樹脂層を有する。繊維強化樹脂層の枚数は、後述するように、ゴルフクラブ用シャフトの機能を分担して発現するため、2枚以上であることが好ましい。
素管は、繊維強化樹脂層以外に、樹脂層、タングステンなどの金属粉末を含む樹脂層である重量調整層、金属や強化繊維以外のフィラーを含む樹脂層、樹脂粉末などを含んでいてもよい。

0021

(意匠性付与層)
シャフトは、表面に意匠性付与層を有していても良い。意匠性付与層は、素管の外面に付与され、模様ブランド名などを表示する加飾役割を担う。意匠性付与層を有することで、デザイン性を向上させ、消費者購買意欲を高めることができる。意匠性付与層を有している場合、意匠性付与層を含めたシャフトを、本発明のシャフトとする。
意匠性付与層は、シャフト全長に亘って形成しても良く、シャフトの一部に形成しても良い。

0022

意匠性付与層を付与する方法として、通常は、下塗り層中塗り層などを付与した後、加飾層により装飾を施し、その表面に透明又は半透明塗料からなるオーバーコート層を形成する方法や、有色のスプレーコートにより加飾を施す方法などが用いられる。本明細書においては、意匠性付与層は、素管の外面に施される、繊維強化樹脂層以外の全ての層を示す。
意匠性付与層中の加飾層の材料としては、金属箔インクスプレーなど、美観を向上させ得るものであればいずれの材料を用いても良い。加飾の後に付与されるオーバーコート層や、下塗り層、中塗り層用の材料としては、加飾部分や素管など、隣接する層との密着性が高く、保護被膜の用途に使用され得るものであれば、いずれの種類のものであっても良い。

0023

本実施形態のシャフトは、複数の繊維強化樹脂層を有する。

0024

(繊維強化樹脂層)
繊維強化樹脂層は、強化繊維及び硬化又は固化された樹脂組成物を含む繊維強化樹脂からなる。
以下、樹脂組成物及び強化繊維について説明する。

0025

(樹脂組成物)
本発明の繊維強化樹脂を構成する樹脂組成物は、マトリックス樹脂と、必要に応じて硬化剤消泡剤脱泡剤着色剤その他の成分を含む。前記樹脂組成物に含まれるマトリックス樹脂には、熱可塑性樹脂熱硬化性樹脂を使用することができるが、硬化後の物性が高いため、好ましくは熱硬化性樹脂が用いられる。

0026

熱可塑性樹脂は、加熱により粘度の高い液体状態になって、外力により自由に変形でき、冷却して外力を除去すると、固体状態でその形状を保つ。また、この過程を繰り返し行える。熱可塑性樹脂としては、特に制限は無く、成形品としての機械特性を大きく低下させない範囲で適宜選択することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂ポリアクリレート系樹脂ポリスチレン系樹脂ポリエチレン系樹脂、およびこれらの混合樹脂を用いることができる。

0027

熱硬化性樹脂は、熱または触媒の作用を受けて、分子間架橋による硬化反応が進行し、不溶不融の三次元網目構造をとる反応性ポリマーである。熱硬化性樹脂としても、特に制限は無く、成形品としての機械特性を大きく低下させない範囲で適宜選択することができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂不飽和ポリエステル系樹脂フェノール系樹脂ユリア系樹脂メラミン系樹脂ジアリルフタレート系樹脂ウレタン系樹脂ポリイミド系樹脂、およびこれらの混合樹脂を使用することができる。中でも、エポキシ系樹脂は硬化収縮率が少なく、高い強度、剛性、及び靱性値を有するので、最も好ましく使用される。

0028

エポキシ系樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂クレゾールノボラック型エポキシ樹脂グリシジルアミン型エポキシ樹脂イソシアネート変性エポキシ樹脂脂環式エポキシ樹脂などを使用し得る。これらのエポキシ樹脂は、液状のものから固体状のものまで使用できる。更に、単一種類のエポキシ樹脂又は2種類以上のエポキシ樹脂をブレンドして使用することもできる。又、エポキシ樹脂には、硬化剤を配合して用いることが多い。

0029

熱硬化性樹脂の硬化剤としては、熱硬化性樹脂の硬化反応を進行させ得るものであれば特に限定されないが、硬化後の物性が高いことから、アミン系の硬化剤が好ましい。

0030

(強化繊維)
(強化繊維の種類)
本発明の繊維強化樹脂を構成する繊維は、金属繊維ボロン繊維炭素繊維ガラス繊維セラミックス繊維などの無機系繊維アラミド繊維、その他の高強力合成繊維などを使用することができる。無機繊維は軽量、かつ高強力であることから好ましく使用される。これらの中でも、比強度比剛性に優れるため、炭素繊維が最も好ましい。
これらの繊維は、1種のみを使用しても良く、2種以上を併用しても良い。

0031

(強化繊維径)
強化繊維径は3〜100μmであることが好ましい。なお、本発明における「強化繊維径」とは、それぞれの強化繊維(フィラメント)の断面の等面積円相当直径のことである。

0032

特に、強化繊維が炭素繊維である場合、強化繊維径は1μm〜20μmの範囲であることが好ましく、3〜12μmであることがより好ましく、3μm〜10μmの範囲であることが更に好ましい。
強化繊維径を前記上限値以下とすることにより、引張強度や引張弾性率を高くすることができる。また、強化繊維の太さを前記下限値以上とすることにより、強化繊維の生産性を高くすることができ、製造コストを安くすることができる。

0033

(強化繊維の強度・弾性率)
強化繊維の強度は、使用するシャフトの部位にもよるが、炭素繊維の場合、好ましくはJIS R 7608(2007)に準拠したストランド強度が1000MPa以上で、引張弾性率が45GPa以上であることが好ましい。

0034

本実施形態のシャフトは、複数の繊維強化樹脂層のうち少なくとも一層が、弾性率が280GPa以上500GPa以下、かつ引張強度が5500MPa以上8500MPa以下である強化繊維を有する。
前記弾性率が280GPa以上500GPa以下、かつ引張強度が5500MPa以上8500MPa以下である強化繊維を有する繊維強化樹脂層は、前記ゴルフクラブ用シャフトの長手方向に対して強化繊維が−5°〜+5°で配向された繊維強化樹脂層であることが好ましく、前記強化繊維が−5°〜+5°で配向された繊維強化樹脂層が全長に亘って配置されていることが更に好ましい。
強化繊維の弾性率及び引張強度が前記範囲内である繊維強化樹脂層を有することで、軽量でありながら、剛性分布に優れたシャフトとすることができる。そのため、身長140cm〜150cmの低身長のゴルファーや、非力なゴルファーであっても、扱いやすく打感が良好になる。
特に、ジュニアゴルファーに関しては、適度な強度と弾性率を有する材料を用いていることで、力任せにスイングすることなく、飛距離を稼ぐことができる。

0035

(強化繊維の長さ)
また、長繊維短繊維及びこれらの混合繊維など、どのような長さの繊維を用いてもよく、2種以上の繊維を混合して使用しても良い。
強度の観点で、長繊維を用いることが好ましい。

0036

(強化繊維の形態)
また、これらの繊維は、一方向材(繊維を一方向に引き揃えたもの)として使用しても、強化繊維を製織して織物としたクロス材として使用しても良い。
一方向材であれば、繊維軸方向の強度や弾性率などの物性を十分に活用でき、また、強化繊維に直交する方向のドレープ性に優れているため、シートラップ法で素管を製造する場合は、マンドレルに巻き付けやすく、取扱い性が良好である。
クロス材は、主に素管の最外面に意匠性を付与するために利用する。クロス材の織り方は、すだれ織などの一方向性織物、平織朱子織綾織などの二方向性織物三軸織物ノンクリンプ織物、などのいずれの織組織のクロス材であってもよいが、二方向性織物や三軸織物が、意匠性の観点で好ましい。三軸織物の場合、耐久性の観点で好ましい。

0037

(強化繊維の含有率
繊維強化樹脂層の繊維体積含有率は、素管の剛性をより高くできることから、60%以上が好ましく、65%以上がより好ましい。また、繊維強化樹脂層の繊維体積含有率は、マトリックス樹脂と強化繊維とを充分に密着させるためには、ある程度の樹脂量が必要であることから、75%以下が好ましく、70%以下がより好ましい。
繊維強化樹脂層の繊維目付は特に限定しないが、各層に必要な厚さ、巻き径から適宜選択できる。

0038

(繊維強化樹脂層中の強化繊維の配向角度
本実施形態の素管を構成する繊維強化樹脂層としては、例えば、素管の長手方向に対して一方向材の強化繊維の配向角度を−5°〜+5°に配向したストレート層、素管の長手方向に対して一方向材の強化繊維の配向角度を85〜95°に配向したフープ層、素管の長手方向に対して一方向材の強化繊維の配向角度を+20〜+70°又は−20〜−70°に配向したアングル層が挙げられる。なお、アングル層は、素管軸方向に対する強化繊維の配向角度が正である1枚と、強化繊維の配向角度が負である1枚の合計2枚を一組として、バイアス層として使用する。

0039

前記ストレート層、フープ層、及びバイアス層を構成する樹脂組成物及び強化繊維は、上述の繊維強化樹脂の説明のとおりである。

0040

(ストレート層)
ストレート層は、繊維強化樹脂層であり、素管の長手軸方向に対して略平行に配向した強化繊維を含有する。強化繊維が素管の長手軸方向に略平行に配向していることで、曲げ剛性や曲げ強度を高くすることができる。略平行の範囲は、素管の長手軸方向に対して−5°以上+5°以下である。

0041

ストレート層を形成する強化繊維の引張弾性率は50GPa以上400GPa以下が好ましい。強化繊維の引張弾性率が50GPa以上であると、曲げ剛性が十分であり、スイングリズムが良くなる。一方、強化繊維の引張弾性率が400GPa以下であれば、曲げ剛性と曲げ強度が適切な範囲になる。

0042

ストレート層1層の厚さは0.050mm以上0.500mm以下が好ましく、0.075mm以上0.150mm以下がより好ましい。ストレート層の厚さが前記下限以上であれば、積層枚数が多くなりすぎないため、生産性が高くなる。また、取扱い性が良くなるため、皺等の不良が発生しにくくなり、成形性が良好になる。一方、ストレート層の厚さが前記上限以下であれば、外径や曲げ剛性を均一にすることができ、品質が良好になる。

0043

(フープ層)
フープ層には、主に潰し剛性や潰し強度を高める効果がある。フープ層の配向角度がシャフトの長手軸方向に対して+85〜+95°又は、−85〜−95°、すなわち配向角度の絶対値が85°以上95°以下であれば、シャフトの潰し剛性や潰し強度の両方が十分になる。フープ層を形成する繊維の引張弾性率は240GPa以上、400GPa以下が好ましい。繊維の引張弾性率が240GPa以上であると、潰し剛性が十分に
確保され、潰し変形によるスイングリズムの乱れが起こりにくい。一方、繊維の引張弾性率が400GPa以下であると、潰し剛性と潰し強度を十分に確保できる。

0044

フープ層1層の厚さは0.02mm以上0.100mm以下が好ましい。フープ層の厚さが0.02mm以上であれば、十分な潰し剛性が得られる。一方、フープ層の厚さが0.100mm以下であれば、取扱い性が良くなり、皺等の発生が抑制され、成形性が良好になる。

0045

(バイアス層)
バイアス層には、主にねじり剛性ねじり強度を高める効果がある。
バイアス層は、繊維強化樹脂層であり、素管の長手軸方向に対して正の配向角度+α°で配向した強化繊維(+α層)を含有するアングル層と、素管の長手軸方向に対して負の配向角度−α°で配向した強化繊維を含有するアングル層(−α層)とを含有する。ここで、α°は、20°〜70°、好ましくは30°〜60°、更に好ましくは35°〜55°である。通常、正の配向角度および負の配向角度の絶対値は、製造上不可避誤差はあるが、同一になるよう設計する。
α°を前記範囲内とすることで、素管のねじり剛性、曲げ剛性、及び潰し剛性が十分になる。

0046

バイアス層を構成する+α層と−α層は、実質的に半周ずらして貼り合わせることが望ましい。+α層と−α層をずらして貼り合わせると、巻き付け端部の凹凸が大きくならないため、異方性を小さくできるうえ、外観不良や強度低下等の問題が起こりにくい。

0047

バイアス層を形成する強化繊維の引張弾性率は240GPa以上550GPa以下が好ましい。強化繊維の引張弾性率が240GPa以上であれば、ねじり剛性が十分であり、ボールインパクト時のヘッドのフェース面の返りが遅れないため、方向性が良好になる。一方、強化繊維の引張弾性率が550GPa以下であれば、ねじり強度を十分に確保できる。

0048

バイアス層1層の厚さは0.020mm以上0.150mm以下が好ましく、0.050mm以上0.125mm以下よりが好ましい。バイアス層1層の厚さが前記下限値以上であれば、積層数が多くなり過ぎないため、皺等の発生が抑制され、成形性が良好になる。一方、バイアス層の1層の厚さが前記上限値以下であれば、外径や曲げ剛性を均一にすることができる。

0049

更に、上記バイアス層や上記ストレート層に加え、部分的なバイアス層や部分的なストレート補強層を存在させても良い。部分的に補強層を設けることでねじり剛性や曲げ剛性を部分的に制御できる。繊維の引張弾性率や厚さは上述の範囲が好ましい。

0050

(シャフトの物性)
(シャフトの長さ)
本実施形態のシャフトは、全長が800mm以上1100mm以下である。
本実施形態のシャフトの長さは、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアンなど、種類によって異なるが、身長140cm〜150cmの低身長のゴルファーや、ジュニアゴルファーの場合は、シャフトの全長Lsは、ドライバーであれば990mm〜1100mm、フェアウェイウッドであれば980mm〜1000mm、ユーティリティであれば940mm〜990mm、アイアンであれば800mm〜950mmが好ましい。 前記範囲内であることで、身長140cm〜150cmの低身長のゴルファーや、ジュニアゴルファーであっても、アドレス時に上半身直立することなく、股関節から上半身が前傾した理想的な姿勢をとることができ、ボールを確実に捕らえられる。その結果、スイングエネルギーを効率よくボールに伝え、飛距離を伸ばすことができる。また、スイングウェイトが軽くなるため、ダウンスイング中にクラブに振り回されるのを防ぐために、身体が起き上がることがない。
特に、ジュニアゴルファーに関しては、前記範囲内であることで、理想的なフォーム修得することが早期に可能になる。

0051

(重量)
本実施形態のシャフトは、重量が25g以上45g以下である。好ましくは30g以上40g以下であり、さらに好ましくは35g以上45g以下である。
前記範囲内であることで、身長140cm〜150cmの低身長のゴルファーや、非力なゴルファーであっても、クラブに振り回されることなくスムーズなスイングを行える。また、バックスイングで正しいコックを使うことができたり、体の芯がずれたオーバースイングになり、その反動で、ダウンスイングで体が反ったフォームになることを防げたりする。
特に、ジュニアゴルファーに関しては、身体が発達途上で、体幹が弱いため、前記範囲内であることで、スイングウェイトが軽くなり、力みのない自然なスイングを行うことができ、再現性の高いフォームを早期に身に着けられ、スランプに陥った場合にも、早期に癖を修正することができる。

0052

(曲げ剛性値)
本発明のシャフトは、曲げ剛性値が特定の範囲内にある。曲げ剛性分布は、下記の方法で測定する。
<曲げ剛性分布の測定方法>
曲げ剛性値は、断面二次モーメントI[m4]と、材料のヤング率E[kgf/m2]との積であるEI[kgf・m2]で表される。
曲げ剛性値(EI値)[kgf・m2]は、三点曲げ試験を行って、下記式(1)により求められる。
EI値=(1/48)×(e・d3/δ)…式(1)
d:支点間距離[m]
P:荷重[kgf]
δ:曲げたわみ量[m]

0053

シャフトの三点曲げ試験は、図12に示すように、まず、一定間隔d[m]で離れた一対の支持具によって、シャフト1を支持する。一定間隔d[m]を支点間距離という。続いて、前記一対の支持具の間の中点、すなわち、曲げ剛性値の測定点において、シャフト1に鉛直下向きに荷重P[kgf]を加える。前記測定点でのシャフト1の歪み量δ[m]を測定し、前記式(1)によりEI[kgf・m2]の値を求める。
通常は、支点間距離を0.3m、荷重を20kgfとする。

0054

曲げ剛性値の測定位置は、シャフトの細径端部からの距離L[mm]で表す。
測定位置をシャフト全体にわたって変えながら測定することで、曲げ剛性値のシャフト軸方向に沿った複数の測定点の集合であるシャフトの曲げ剛性分布が得られる。測定可能位置は、理論上はチップ側端部150mmの位置からとなるが、支持部を設ける必要性から、細径端部から170mmの位置から開始し、50mm間隔で、太径端部から170mmの位置を超えない、最も細径端部から遠い位置まで測定する。

0055

シャフトの細径端部から170mmの位置から、太径端部から170mmの位置までの曲げ剛性値は、0.5kgf・m2以上5.0kgf・m2以下であることが好ましく、1.0kgf・m2以上4.0kgf・m2以下であることがより好ましく、1.0kgf・m2以上3.5kgf・m2以下であることが更に好ましい。
前記範囲内であることで、身長140cm〜150cmの低身長のゴルファーや、非力なゴルファーに関しては、力むことなく自然なスイングを行える。
特に、ジュニアゴルファーに関しては、身体が発達途上で、体幹が弱いため、前記範囲内であることで、身体に過剰な負荷をかけることがない。

0056

シャフトの太径端部から170mmの位置とは、シャフトの太径端部を起点として、シャフト軸方向に細径端部側へ170mm移動した位置のことである。
シャフトの細径端部から170mmの位置から、太径端部から170mmの位置までの曲げ剛性値は、前記の曲げ剛性分布の測定方法で測定した測定点における曲げ剛性値から求める。曲げ剛性値の測定点は、細径端部から170mmの位置から開始し、50mm間隔で、太径端部から170mmを超えない、最も細径端部から遠い位置まで測定する。従って、太径端部から170mmの位置の剛性値としては、前記の測定点のうち、太径端部から170mmを超えない、最も細径端部から遠い位置の剛性値を採用する。

0057

(曲げ剛性値の差)
シャフトの細径端から300mmの範囲での曲げ剛性値の最大値と、太径端側の曲げ剛性値の差は、1.0kgf・m2以上3.5kgf・m2以下であることが好ましく、1.0kgf・m2以上3.0kgf・m2以下であることがよりましく、1.0kgf・m2以上2.5kgf・m2以下であることが更に好ましい。
前記範囲内であることで、身長140cm〜150cmの低身長のゴルファーや、非力なゴルファーに関しては、無理な力を使わなくても、スイング時にシャフトをしならせることができるため、スイングリズムが良くなったり、フォームが良くなったりする。
特に、ジュニアゴルファーに関しては、前記範囲内であることで、身体の発達に適合した硬さになり、身体に過度な負荷をかけることがないため、故障をおこしたり、発達を妨げたりすることがない。

0058

シャフトの細径端部から300mmの位置と、太径端部から300mmの位置としては、前記の曲げ剛性分布の測定方法で測定した測定点のうち、それぞれシャフトの細径端部から300mmを超え、最も300mmに近い位置と、太径端部から300mmを超えない位置の、最も細径端部から遠い点を採用する。

0059

(曲げ剛性値の傾き)
本発明のシャフトは、チップ端側からの距離がシャフト全長の25%以上65%以下の範囲における曲げ剛性値の傾きが特定の範囲内にある。
曲げ剛性値の傾きは2.0kgf・mであることが好ましく、2.5kgf・m以上であることがより好ましく、3.0kgf・m以上であることが更に好ましい。曲げ剛性値の傾きは、5.5kgf・m以下であることが好ましく、5.0kgf・m以下であることがより好ましく、4.5kgf・m以下であることが更に好ましい。
前記範囲内であることで、身長140cm〜150cmの低身長のゴルファーや、非力なゴルファーであっても、スイング時にシャフトのしなり分布が適切になるため、スイングのタイミングを取り易い。そのため、特に、しなりが重要なドライバーに関しては、飛距離を増大させられる。
特に、ジュニアゴルファーに関しては、前記範囲内であることで、理想的なスイングリズムを修得することが早期に可能になる。

0060

曲げ剛性値の傾きは、<曲げ剛性値の測定方法>に記載の方法で測定した曲げ剛性値に基づいて計算する。曲げ剛性値の傾きは、<曲げ剛性値の測定方法>に従って測定した、細径端部からシャフト全長の25%以上65%以下の長さの範囲内に存在する、最も遠い2点間のそれぞれの曲げ剛性値の差を、2点間の距離で除算して算出するものとする。具体的には、下記式(2)に従って算出する。
Einc = 1000×(EL−ES)/(LLS)…(2)
Einc:曲げ剛性値の傾き[kgf・m]
EL:細径端部からシャフト全長の65%以下の範囲内で最もバット端に近い点の曲げ剛性値[kgf・m2]
ES:細径端部からシャフト全長の25%以上の範囲内で最もチップ端に近い点の曲げ剛性値[kgf・m2]
LLS:細径端部からシャフト全長の25%以上65%以下の長さの範囲内に存在する、最も遠い2点間の距離[mm]

0061

(シャフトの製法
本発明のシャフトの素管の製造方法としては、本発明の素管を製造できれば特に制限されず、公知の製造方法を適用できるが、繊維を一方向に引き揃えてなるシート状の強化繊維に、樹脂組成物を含浸させた繊維強化樹脂層(プリプレグ)を、マンドレルに複数枚巻きつけて、これを加熱後に冷却し、マンドレルを抜き取ることで成形するシートラッピング法が一例として挙げられる。
シートラッピング法では、プリプレグとして、面積や含有する強化繊維の配向角度が異なる複数種のものを用意し、これらを1枚ずつ順次マンドレルに巻回し多層構造のシャフトを製造することが一般的である。プリプレグの枚数は、8〜14枚程度が一般的である。

0062

各プリプレグの面積、各プリプレグが含有する強化繊維の配向角、各プリプレグが含有する強化繊維の引張弾性率、各プリプレグを巻回する位置などを調整したり、プリプレグの層数を変更したり、マンドレルの形状を変更したりすることにより、本発明のシャフトを製造することができる。また、この際に、シャフトのテーパー度やシャフトの外径などの形状、及びシャフトの物性を適宜調整することができる。

0063

なお、前記プリプレグは、樹脂組成物に含まれるマトリックス樹脂が熱硬化性樹脂の場合、前記マトリックス樹脂が未硬化の状態であるものを示し、加熱後は硬化が完了しているものとする。
また、本発明のシャフトを構成する繊維強化樹脂層は、前記樹脂組成物に含まれるマトリックス樹脂が熱硬化性樹脂の場合、硬化が完了しているものを示す。

0064

本発明のシャフトは、身長140cm〜150cmの低身長者に最適化している。
男性の場合は、8から15歳の間に95%がこの範囲の身長に達する。女性の場合は、8歳から18歳の間に95%がこの範囲の身長に達する。
女性の場合は、成人になっても身長が150cmに達せず、小柄で非力である場合もあり、本発明のシャフトはそのようなゴルファーにも好適に使用される。

0065

ジュニアゴルファーとは、統轄団体によって決められた特定の年齢未満のアマチュアゴルファーである。公益財団法人日本ゴルフ協会によれば、日本では満18歳以下のアマチュアゴルファーのことを指す。
特に、身長が140cm以上150cm以下の児を対象とする場合、9−18歳であり、児の場合は9−15歳である。
本発明のシャフトは、特に、ジュニアゴルファー用に最適化している。

0066

(グリップ)
本発明のゴルフクラブに用いるグリップは、本発明のシャフトに装着できればどのようなものでも良いが、低身長者やジュニアゴルファーは手が小さい傾向にあるため、手が小さくてもグリップしやすい、外径が細い(グリップ内径0.56〜0.58インチ)ものが好ましい。

0067

(ヘッド)
本発明のゴルフクラブに用いるヘッドは、ウッドの場合、重量が180〜200gで、ロフト角が12〜17度、ライ角が55〜60度のものが、ヘッドスピードが遅い傾向にある低身長者やジュニアでも飛距離が稼げるため好ましい。フェアウェイウッドの場合、重量が180〜210gで、ロフト角が20〜30度、ライ角が55〜65度のもの、アイアンの場合、重量が210〜300gで、ロフト角が25〜50度、ライ角が58〜65度のものが飛距離と方向性の観点で好ましい。

0068

本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。

0069

以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。

0070

<シャフトの評価方法>
(固有振動数の測定方法)
シャフトの固有振動数は図8で示す方法で測定した。ゴム株式会社製ゴルフクラブタイミングハーモナイザーを用い、シャフト1の細径端部に、ヘッドを模擬した質量196gの4を取り付ける。太径端部から固定治具5Aまでの距離を180mm、細径端部から固定治具5Aまでの距離を988mmとして、シャフトの固有振動数を測定した。

0071

(バランスポイントの測定方法)
シャフトのバランスポイントの模式図を図9に示す。シャフトの細径端部から、シャフトの重心までの距離LGを、シャフトの全長Lsに対する比率で示した。すなわち、
バランスポイント(%)=(LG/LS)×100・・・(式3)
で求められる。

0072

(キックポイントの測定方法)
キックポイントは、フォティーン社製シャフトキックポイントゲージ「FG−105RM」を用いて、図10に示す方法で測定した。
シャフトの両端を回転可能な固定治具5B、5Cで固定し、一方の治具を移動させることにより、固定治具同士を互いに近づけることでシャフトを圧縮して、両端の距離を短縮させることで湾曲させた。このとき、シャフトの周方向に最も突出した点と、細径端部の距離LK、湾曲時のシャフトの両端を直線で結んだ距離をLBとし、上記LKとLBの比率をキックポイントの値とした。両端から加える圧縮荷重Pは、シャフトの曲げ剛性によって異なるが、両端の直線距離が圧縮前のシャフト長の98.5〜99.5%になるようにかけるものとする。すなわち、
キックポイント(%)=(LK/LB)×100・・・(式4)
LK:前記シャフトの両端同士に、前記シャフトの両端の直線距離がシャフト長の98.5〜99.5%となるように圧縮荷重をかけることで湾曲させた際の、シャフトの両端同士を結ぶ直線に、前記湾曲の頂点から垂線を引いた際の交点とシャフトの細径端部との距離
LB:前記シャフトの両端同士に、前記シャフトの両端の直線距離がシャフト長の98.5〜99.5%となるように圧縮荷重をかけることで湾曲させた際の、前記シャフトの両端同士の直線距離
で求めた。
(曲げ剛性値の測定方法)
<曲げ剛性分布の測定方法>の項に従い、測定を行った。
測定開始点は細径端部から170mmの位置とし、50mm間隔で、太径端部から170mmの位置まで測定を行った。

0073

(トルクの測定方法)
図11に示したとおり、シャフトの細径端部から1035mmの位置を固定し、細径端部から45mmの位置に捻り荷重を与える。捻り荷重の大きさは、シャフト軸線上から120mm離れた位置に1.152kgfの大きさの荷重を与えることで定義される。このときのシャフト細径側端部の捩れ角度をトルクと定義する。

0074

(打感評価)
実施例1〜5、及び比較例1のそれぞれのゴルフクラブを、ジュニアゴルファー3名が3球ずつ試打することで、打感を評価した。結果を表9に示す。ジュニアゴルファーは、言語による表現能力や、定量化能力が低いため、点数化による評価はできなかった。

0075

(実施例1)
図6に示す形状の鉄製のマンドレルを用意した。このマンドレルにおける各部分の外径、長さ、テーパー度は以下のとおりである。
P1の外径=4.30mm、P2の外径=6.10mm、P3の外径=7.65mm、P4およびP5の外径=12.70mm、P1〜P2の距離(L1)=200mm、P2〜P3の距離(L2)=80mm、P3〜P4の距離(L3)=570mm、P4〜P5の距離(L4)=550mm、P1〜P2のテーパー度=9.000/1000、P2〜P3のテーパー度=19.375/1000、P3〜P4のテーパー度=8.860/1000

0076

マンドレルにおけるプリプレグを巻き付ける位置は、細径端側から測って75mmから1165mmまでの部分とした。
まず、配向角度+45°の強化繊維を含有するプリプレグと配向角度−45°の強化繊維を含有するプリプレグを1枚ずつ用意し、図1パターン2左側(細径端部)において、2枚の巻き始め端部(プリプレグの図中上端)が9mmずれるように重ね、図1右側端部(太径端部)において、2枚の巻き始め端部が20mmずれるように重ね、アイロンを用いて180℃で貼り合わせ、バイアス層形成用貼り合わせプリプレグ(パターン2)を得た。同様に、配向角度90°の強化繊維を含有するプリプレグと配向角度0°の強化繊維を含有するプリプレグを1枚ずつ用意して重ねあわせて、アイロンを用いて180℃で貼り合わせ、貼り合わせプリプレグ(パターン3)を得た。
次いで、このマンドレルに図1に示した形状に切断したプリプレグ(パターン1〜6)を順次巻きつけ、その上に20mm幅ポリプロピレン製収縮テープピッチ2mmで巻きつけた。それぞれのパターンに用いたプリプレグの物性の詳細を表1に、サイズを表6に示す。なお、パターン2とパターン5は、弾性率が290GPaで引張強度が5680MPaである炭素繊維を含むプリプレグを使用した。

0077

パターン1及び4は細径端部に配置し、強化繊維の配向角度がマンドレルの軸方向に対して0°となるように配置して、部分ストレート層とした。パターン2は、マンドレルの軸方向に対して強化繊維が+45°に配向したプリプレグと、マンドレルの軸方向に対して強化繊維が−45°に配向したプリプレグをそれぞれ1枚重ね合わせて、バイアス層とした。パターン3はシャフト全長に、強化繊維の配向角度がマンドレルの軸方向に対して0°及び90°となるように配置して、ストレート層及びフープ層とした。パターン5は、シャフト全長に、強化繊維の配向角度がマンドレルの軸方向に対して0°となるよう配置し、ストレート層とした。パターン6は、強化繊維の配向角度がマンドレルの軸方向に対して0°となるよう細径端部に配置し、先端部分補強層とした。

0078

続いて、これを135℃に加熱した硬化炉に入れて2時間硬化した後、硬化炉から取り出して、常温まで放冷して、前記収縮テープを剥ぎ取り、細径端部を10mm、太径端部を13mm切断して、全長を1067mmとした。次いで表面を研磨して細径端部の外径が8.5mm、固有振動数が213cpm、バランスポイントが51.0%、キックポイントが44.5%のシャフトを得た。

0079

得られたシャフトに下塗り中塗りスプレー塗装クリヤー塗装を順に行った後、研磨して、熱転写層を設けた。引き続き、クリヤー塗装を行い、塗装後のシャフトを得た。

0080

得られたシャフトの全長、重量、固有振動数、バランスポイント、キックポイントを表7に示す。なお、重量は、塗装後に測定し、全長、固有振動数、バランスポイント、キックポイント、曲げ剛性値は、塗装前に測定した。

0081

(実施例2)
使用したプリプレグの種類を表2、サイズを表6に示したように変更し、図2に示した形状に切断したプリプレグ(パターン1〜6)を用いた以外は、実施例1と同様にシャフトを製造し、物性を評価した。結果を表7に示す。

0082

(実施例3)
使用したプリプレグの種類を表3、サイズを表6に示したように変更し、図3に示した形状に切断したプリプレグ(パターン1〜6)を用い、貼り合わせプリプレグをパターン2と4とした以外は、実施例1と同様にシャフトを製造し、物性を評価した。結果を表7に示す。

0083

(実施例4)
使用したプリプレグの種類を表4、サイズを表7に示したように変更し、図4に示した形状に切断したプリプレグ(パターン1〜6)を用いた以外は、実施例3と同様にシャフトを製造し、物性を評価した。結果を表7に示す。
(実施例5)
使用したプリプレグの種類を表5、サイズを表7に示したように変更し、図5に示した形状に切断したプリプレグ(パターン1〜6)を用いた以外は、実施例1と同様にシャフトを製造し、物性を評価した。結果を表7に示す。なお、実施例5のクラブに関する値は想定値である。

0084

(比較例1)
三菱ケミカル(株)社製Bassara P43Rのバット端を101mmカットして、1067mmのシャフトを得た。物性の評価結果を表7に示す。

0085

(クラブの組み立て)
実施例1〜5、及び比較例1で製造した塗装後のシャフトの細径側に市販のヘッドを、太径側に市販のグリップを装着し、表7に示す長さの試験用のゴルフクラブを製作した。

0086

クラブバランス
ゴルフクラブを組み立てる際には、クラブバランスを測定する。クラブバランスは、クラブのスイング方向慣性モーメント近似的に測定できるものである。クラブのスイング方向の慣性モーメントは、スイング時に感じる「重さ」であるため、クラブバランスが同じならばスイング時に感じる重さは同一とみなされる。クラブバランスはKenneth Smith社製クラブバランス計「Golf Club Scale」を用いて測定した。

0087

(試打試験
実施例1〜5、及び比較例1のそれぞれのゴルフクラブを、身長140cm〜150cmのジュニアゴルファーが3球ずつ試打し、弾道計測した。計測にはTrackMan社製弾道計測装置「TrackMan Pro2」を用いた。測定結果を表9に示す。
なお、ミスショットでデータが取得できなかったものは、2球のデータの平均値を示す。

0088

0089

0090

0091

0092

0093

0094

0095

0096

0097

表8に示したように、各ジュニアゴルファーには、それぞれ打ちやすいシャフトがあり、ジュニアゴルファーA及びBは実施例2、ジュニアゴルファーCは実施例1のシャフトが適していた。

実施例

0098

表8に示したように、ジュニアゴルファーA及びBは、実施例2のシャフトが振り易さや打ちやすさが最も良かった。ジュニアゴルファーCは、実施例1のシャフトの評価が高かった。
表8で評価が高かったシャフトに関し、各ジュニアゴルファーのキャリーを比較した。表9に示したように、ジュニアゴルファーA及びBでは、実施例2のシャフトを使用した場合、比較例1のシャフトを使用した場合と比較して、9.3yds、4.2ydsのキャリー向上、7.3yds、5.0ydsのトータル飛距離向上が見られた。ジュニアゴルファーCでは、実施例1のシャフトを用いた場合、比較例1のシャフトを使用した場合と比較して、7.1ydsのキャリー向上、6.4ydsのトータル飛距離向上が見られた。比較例1のシャフトは硬く振りにくかったため、ミスショットが多発した。
なお、キャリーとは、ゴルフボールヒットした地点から、ボールが地面に落ちた地点までの距離であり、トータル飛距離とは、ゴルフボールが地面に落ちた後、さらに転がる(ラン)距離を含めたゴルフボールの移動距離のことを示す。

0099

本発明によれば、曲げ剛性値が比較的低い範囲に設定されているため、低身長者やジュニアゴルファーであっても、飛距離を伸ばすことができるシャフトを提供できる。

0100

1シャフト
1C圧縮して湾曲したシャフト
11細径端部
12太径端部
2 シャフトの重心位置
3 シャフトのキックポイント位置
4ヘッドを模擬した質量196gの錘
5A、5B、5C、5D、5E固定治具
6曲げ剛性値の測定点
LS シャフトの全長
LG、LK、LB、LD 長さ
P 荷重

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