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技術 抗メソセリン免疫療法によりがんを処置するための組成物および方法

出願人 レンティジェン・テクノロジー・インコーポレイテッドザユナイテッドステイツオブアメリカ,アズリプレゼンテッドバイザセクレタリー,デパートメントオブヘルスアンドヒューマンサービシーズ
発明者 オレンタス,リマスシュナイダー,ディナドロプリク,ボロディミトロフ,ディミタ・エスチュー,ゾンユイ
出願日 2020年5月15日 (9ヶ月経過) 出願番号 2020-085861
公開日 2020年10月1日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-156488
状態 未査定
技術分野 動物,微生物物質含有医薬 突然変異または遺伝子工学 ペプチド又は蛋白質 微生物、その培養処理 化合物または医薬の治療活性 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬
主要キーワード 時間的持続 データプロット 伝達エレメント 伝達領域 例示的実施 参照文 半流動性 スペーサーエレメント
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

メソセリン免疫療法によりがん処置するための組成物および方法の提供。

解決手段

特定の配列を含むヌクレオチド配列によりコードされるメソセリン抗原結合性ドメインを含む少なくとも1つの細胞外抗原結合性ドメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、および少なくとも1つの細胞シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸組換え発現ベクター宿主細胞抗原結合性断片、および医薬組成物

概要

背景

背景
がんは、ヒトの健康に対する最も致命的な脅威の1つである。米国だけで、がんは毎年ほぼ130万人の新たな患者罹患し、心血管疾患に次いで2番目に多い死因であり、死亡数の約4分の1を占めている。固形腫瘍が、これらの死亡のほとんどの原因である。ある特定のがんの医学的処置においては顕著な進歩があったものの、全てのがんについての5年全生存率は過去20年間で約10%しか改善しなかった。がんまたは悪性腫瘍は、制御されずに迅速に転移および成長し、処置を非常に困難にする。

メソセリンは40kDaの、グリコシルホスファチジルイノシトールに連結した膜糖タンパク質であり、その正常な個体における発現は、胸膜腹膜および心膜を覆う中皮細胞に限定される。一方、メソセリンは悪性中皮腫卵巣、および膵臓腺癌、ならびに胆管癌ならびにトリプルネガティブ乳がんを含むいくつかの固形腫瘍により過剰発現される(Ordonez NG、Am J Surg Pathol 1993年;27巻:1418〜28頁、Hassan R、Laszik ZG、Lerner M、Raffeld M、Postier R、Brackett D. Am J Clin Pathol 2005年;124巻:838〜45頁;Chou Jら、Breast
Cancer Res Treat 2012年;133巻:799〜804頁)。メソセリンの生物学的機能はいまだ不明である。しかし、メソセリンは腫瘍細胞における血漿糖タンパク質であるCA125に結合し、メソセリンが腹膜および胸膜転移に寄与する可能性があることが示唆される(Kanekoら、2009年、J Biol Chem
284巻:3739〜3749頁;Rumpら、2004年、J Biol Chem
279巻:9190〜9198頁)。メソセリン発現は、上皮卵巣がん(EOC)患者の化学療法抵抗性無病生存期間の短縮および全生存率の悪化と関連する(Chengら、2009年、Br J Cancer 100巻:1144〜1153号)。したがっ
て、メソセリンは免疫ベースの療法における魅力的な標的となる。腫瘍での発現頻度に基づくと、抗メソセリン療法の主要標的は、Raffit Hassan、Mitchell Ho. Eur J Cancer.2008年1月;44巻(1号):46〜53頁で概説される、中皮腫および膵臓腺癌(100%近い腫瘍が抗原を発現)、それに続いて卵巣がん(67〜100%の腫瘍が抗原を発現)および肺腺癌(41〜53%がメソセリン陽性)である。メソセリンを標的化する最初のがん治療用抗体であるK1は、マウスハイブリドーマ由来であった[Chang K、Pastan I、Willingham MC. Int J Cancer 1992年;50巻:373〜81頁]。次いで、SS1と呼ばれる、より親和性が大きい抗メソセリン抗体ファージディスプレイおよびホットスポット突然変異誘発により開発された[Chowdhury PS、Viner JL、Beers R、Pastan I. Proc Natl Acad Sci U S A 1998年;95巻:669〜74頁;Chowdhury PS、Pastan I、Nat Biotech 1999年;17巻:568〜72頁]。

キメラ抗原受容体(CAR)は、3つの本質的な単位を含むハイブリッド分子である:(1)細胞外抗原結合性モチーフ、(2)連結/膜貫通モチーフ、および(3)細胞内T細胞シグナル伝達モチーフ(LongAH、Haso WM、Orentas RJ.Lessons learned from a highly−active CD2−specific chimeric antigen receptor.Oncoimmunology.2013年;2巻(4号):e23621頁)。CARの抗原結合性モチーフは一般に、免疫グロブリンIg分子の最小の結合性ドメインである単鎖断片可変(scFv)を基にして作られる。代替の抗原結合性モチーフとして、例えば、受容体リガンド(即ち、IL−13は、腫瘍が発現するIL−13受容体に結合するように操作されている)、インタクト免疫受容体ライブラリー由来ペプチド、および自然免疫エフェクター分子(例えば、NKG2D)も操作されている。CAR発現のための代替の細胞標的(例えば、NKまたはガンマデルタT細胞)も開発中である(Brown CEら Clin Cancer Res.2012年;18巻(8号):2199〜209頁;Lehner MらPLoS One.2012年;7巻(2号):e31210頁)。CARベクター形質導入するための最も活性なT細胞集団を定義すること、最適な培養および増殖の技術を決定すること、ならびにCARタンパク質構造自体の分子的詳細を定義することに関して、いまだにかなりの労力を要している。

CARの連結モチーフは、IgG定常ドメインなどの比較的安定な構造ドメインとするか、または伸長された可撓性リンカーとなるように設計することができる。IgGの定常ドメインに由来するものなどの構造モチーフを使用して、scFv結合性ドメインをT細胞の細胞膜表面から離れて延在させることができる。これは、結合性ドメインが腫瘍細胞表面膜に特に近い一部の腫瘍標的にとって重要であり得る(例えば、ジシアロガングリオシドGD2にとって;Orentasら、未公開の観察)。今日まで、CARにおいて使用されるシグナル伝達モチーフは常にCD3−ζ鎖を含んでいるが、それは、このコアモチーフが、T細胞活性化のための重要なシグナルであるからである。最初に報告された第2世代CARは、CD28シグナル伝達ドメインおよびCD28膜貫通配列を特徴としていた。このモチーフは、CD137(4−1BB)シグナル伝達モチーフを含有する第3世代CARでも同様に使用された(Zhao Yら J Immunol.2009年;183巻(9号):5563〜74頁)。新たなテクノロジーの進歩に伴い、抗CD3および抗CD28抗体に連結されたビーズによるT細胞の活性化、ならびにCD28由来のカノニカルな「シグナル2」の存在がCAR自体によってコードされる必要はもはやなくなった。ビーズ活性化を使用して、第3世代ベクターは、in vitroアッセイにおいて第2世代ベクターよりも優れているわけではないことが見出され、また、白血病マウスモデルにおいては第2世代ベクターを超える明らかな利益は得られなかった(Haso W、LeeDW、ShahNN、Stetler−Stevenson M、
Yuan CM、Pastan IH、Dimitrov DS、Morgan RA、FitzGerald DJ、BarrettDM、Wayne AS、Mackall CL、Orentas RJ.Anti−CD22−chimeric antigen receptors targeting B cell precursor acute lymphoblastic leukemia,Blood.2013年;121巻(7号):1165〜74頁;Kochenderfer JNら Blood.2012年;119巻(12号):2709〜20頁)。これは、第2世代CD28/CD3−ζ(Lee DWら American Society of Hematology Annual Meeting.New Orleans、LA;12月7〜10日、2013年)およびCD137/CD3−ζシグナル伝達形式(Porter
DLら N Engl J Med.2011年;365巻(8号):725〜33頁)のCD19特異的CARの臨床的成功によって裏付けられている。CD137に加えて、OX40などの他の腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバーも、CARが形質導入されたT細胞において重要な持続シグナルを提供することができる(Yvon Eら
Clin Cancer Res.2009年;15巻(18号):5852〜60頁)。CAR T細胞集団が培養された培養条件も等しく重要である。

がんに対するCAR療法のより広範で有効な適応における現在の課題は、説得力のある標的の不足に関する。細胞表面抗原への結合因子創出することは、現在容易に達成可能であるが、正常組織を見逃しながら腫瘍に対して特異的な細胞表面抗原を発見することは、依然として厄介な課題である。CAR発現T細胞により高い標的細胞特異性を与えるための1つの潜在的な方法は、コンビナトリアルCARアプローチを使用することである。1つのシステムでは、CD3−ζとCD28シグナル単位が、同じ細胞において発現される2つの異なるCAR構築物間で分割される;別のシステムでは、2つのCARが、同じT細胞において発現されるが、一方はより低い親和性を有し、したがって第2のCARの完全な活性のために代替的CARが最初に結合されることを必要とする(Lanitis
Eら Cancer Immunol Res.2013年;1巻(1号):43〜53頁;Kloss CCら Nat Biotechnol.2013年;31巻(1号):71〜5頁)。免疫療法剤としての単一のscFvベースのCARの生成のための第2の課題は、腫瘍細胞の不均一性である。少なくとも1つのグループは、標的抗原陰性集団の成長を回避することを期待して、エフェクター細胞集団が複数の抗原(HER2、IL−13Ra、EphA2)を同時に標的化する、神経膠芽腫のためのCAR戦略を開発している(Hegde Mら Mol Ther.2013年;21巻(11号):2087〜101頁)。

細胞ベース免疫療法は、合成生物学における新たな領域になっている;複数のプロモーターおよび遺伝子産物は、これらの高度に強力な細胞を腫瘍微小環境に導くことが想定され、ここで、T細胞は、負の調節シグナルを免れることができ、かつ有効な腫瘍死滅を媒介できる。誘導性カスパーゼ構築物AP1903との薬物誘導性二量体化を介した望ましくないT細胞の排除は、T細胞集団を制御できる強力なスイッチが薬理学的に開始され得る1つの方法を実証している(Di Stasi Aら N Engl J Med.2011年;365巻(18号):1673〜83頁)。デコイ受容体の発現によるトランスフォーミング成長因子−βの負の調節効果に対して免疫性であるエフェクターT細胞集団の創出は、エフェクターT細胞が最適な抗腫瘍活性のために操作され得る程度をさらに実証している(FosterAEら J Immunother.2008年;31巻(5号):500〜5頁)。

したがって、CARは、内因性T細胞受容体と類似した様式でT細胞活性化を誘発できるようであるが、今日までのこのテクノロジーの臨床適用に対する主要な障害は、CAR+T細胞の限定的なin vivo増殖、注入後の細胞の迅速な消失、および期待外れ
臨床活性である。マウス起源抗ヒトメソセリンCAR(SS1と呼ばれる)を保有するヒトT細胞が、in vitroでMHC非依存性エフェクター機能を示し、免疫不全マウスにおいてin vivoでヒト中皮腫異種移植片退行誘導することを示した最近の研究(Carpenitoら、2009年、Proc Natl Acad Sci
USA 106巻:3360〜3365頁)を含む、メソセリン陽性腫瘍を標的化するいくつかの試みがその他のグループによりなされてきたが、バイスタンダー細胞に対する毒性、有効性欠如、または局在化された腫瘍送達の必要性を含む、この手法に対するいくつかの難題が明らかとなった。したがって、上述の欠点なしに意図した治療特質を示し得るCARを使用するがんの処置のための組成物および方法を発見する、当該分野における緊急かつ長年にわたる要求が存在する。

概要

抗メソセリン免疫療法によりがんを処置するための組成物および方法の提供。特定の配列を含むヌクレオチド配列によりコードされるメソセリン抗原結合性ドメインを含む少なくとも1つの細胞外抗原結合性ドメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、および少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸組換え発現ベクター宿主細胞抗原結合性断片、および医薬組成物

目的

CD137に加えて、OX40などの他の腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバーも、CARが形質導入されたT細胞において重要な持続シグナルを提供する

効果

実績

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請求項1

列番号1、3、5、または7を含むヌクレオチド配列によりコードされるメソセリン抗原結合性ドメインを含む少なくとも1つの細胞外抗原結合性ドメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、および少なくとも1つの細胞シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする、単離された核酸分子

請求項2

コードされる前記少なくとも1つのメソセリン抗原結合性ドメインが、メソセリンに結合する抗体の少なくとも1つの単鎖可変断片を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。

請求項3

コードされる前記少なくとも1つのメソセリン抗原結合性ドメインが、メソセリンに結合する抗体の少なくとも1つの重鎖可変領域を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。

請求項4

コードされる前記少なくとも1つのメソセリン抗原結合性ドメイン、前記少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはその両方が、リンカーまたはスペーサードメインによって膜貫通ドメインに接続されている、請求項1に記載の単離された核酸分子。

請求項5

コードされる前記リンカーまたはスペーサードメインが、CD8またはCD28の細胞外ドメイン由来し、膜貫通ドメイン連結されている、請求項4に記載の単離された核酸分子。

請求項6

コードされる前記細胞外メソセリン抗原結合性ドメインに、リーダーペプチドをコードするリーダーヌクレオチド配列が先行する、請求項1に記載の単離された核酸分子。

請求項7

前記リーダーヌクレオチド配列が、配列番号10のリーダーアミノ酸配列をコードする配列番号9を含むヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載の単離された核酸分子。

請求項8

前記膜貫通ドメインが、T細胞受容体アルファベータもしくはゼータ鎖、CD8、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154またはそれらの任意の組合せを含むタンパク質の膜貫通ドメインを含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。

請求項9

前記細胞外メソセリン抗原結合性ドメインをコードする核酸配列が、配列番号1、3、5、もしくは7、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するその配列を含む核酸配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。

請求項10

コードされる前記少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータ細胞内ドメインをさらに含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。

請求項11

コードされる前記少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータ細胞内ドメインに対してC末端側に配置されている、請求項10に記載の単離された核酸分子。

請求項12

コードされる前記少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインが、共刺激ドメイン、一次シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。

請求項13

コードされる前記少なくとも1つの共刺激ドメインが、OX40、CD70、CD27、CD28、CD5、ICAM−1、LFA−1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、DAP10、DAP12および4−1BB(CD137)の機能的シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項12に記載の単離された核酸分子。

請求項14

請求項1に記載の単離された核酸分子によりコードされるキメラ抗原受容体(CAR)。

請求項15

配列番号2、4、6、または8のアミノ酸配列を含むメソセリン抗原結合性ドメインを含む少なくとも1つの細胞外抗原結合性ドメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、および少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項14に記載のCAR。

請求項16

前記メソセリン抗原結合性ドメインが、メソセリンに結合する抗体の少なくとも1つの単鎖可変断片を含む、請求項15に記載のCAR。

請求項17

前記メソセリン抗原結合性ドメインが、メソセリンに結合する抗体の少なくとも1つの重鎖可変領域を含む、請求項15に記載のCAR。

請求項18

前記膜貫通ドメインが、T細胞受容体のアルファ、ベータもしくはゼータ鎖、CD8、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154、またはそれらの任意の組合せを含むタンパク質の膜貫通ドメインを含む、請求項15に記載のCAR。

請求項19

前記CD8膜貫通ドメインが、配列番号19のアミノ酸配列、または配列番号19のアミノ酸配列に対し85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項18に記載のCAR。

請求項20

配列番号2、4、6、もしくは8のアミノ酸配列を含むメソセリン抗原結合性ドメインを含む前記少なくとも1つの細胞外抗原結合性ドメイン、および前記少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはその両方が、リンカーまたはスペーサードメインによって前記膜貫通ドメインに接続されている、請求項15に記載のCAR。

請求項21

前記リンカーまたはスペーサードメインが、CD8またはCD28の細胞外ドメインに由来し、膜貫通ドメインに連結されている、請求項20に記載のCAR。

請求項22

前記少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインが、共刺激ドメインおよび一次シグナル伝達ドメインを含む、請求項17に記載のCAR。

請求項23

前記少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインが、OX40、CD70、CD27、CD28、CD5、ICAM−1、LFA−1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、DAP10、DAP12、および4−1BB(CD137)、またはそれらの組合せからなる群から選択されるタンパク質の機能的シグナル伝達ドメインを含む共刺激ドメインを含む、請求項22に記載のCAR。

請求項24

請求項1に記載の核酸分子を含むベクター

請求項25

DNAベクター、RNAベクター、プラスミドベクターコスミドベクターヘルペスウイルスベクター、麻疹ウイルスベクター、レンチウイルスベクターアデノウイルスベクター、またはレトロウイルスベクター、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項24に記載のベクター。

請求項26

プロモーターをさらに含む、請求項24に記載のベクター。

請求項27

前記プロモーターが、誘導性プロモーター構成的プロモーター組織特異的プロモーター、自殺プロモーター、またはそれらの任意の組合せである、請求項26に記載のベクター。

請求項28

請求項24に記載のベクターを含む細胞。

請求項29

T細胞である、請求項28に記載の細胞。

請求項30

前記T細胞がCD8+T細胞である、請求項28に記載の細胞。

請求項31

ヒト細胞である、請求項28に記載の細胞。

請求項32

請求項24に記載のベクターをT細胞に形質導入するステップを含む、細胞を作製する方法。

請求項33

RNA操作された細胞の集団を生成する方法であって、invitro転写されたRNAまたは合成RNAを細胞中に導入するステップを含み、前記RNAが請求項1に記載の核酸分子を含む、方法。

請求項34

哺乳動物における抗腫瘍免疫をもたらす方法であって、有効量の請求項28に記載の細胞を前記哺乳動物に投与するステップを含む、方法。

請求項35

哺乳動物においてがん処置または予防する方法であって、請求項15に記載のCARを、前記哺乳動物におけるがんを処置または予防するのに有効な量で前記哺乳動物に投与するステップを含む、方法。

請求項36

抗腫瘍有効量のヒトT細胞集団を含む医薬組成物であって、前記T細胞がキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列を含み、前記CARが配列番号2、4、6、8のアミノ酸配列を含むメソセリン抗原結合性ドメインを含む少なくとも1つの細胞外抗原結合性ドメイン、少なくとも1つのリンカードメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含み、前記T細胞ががんを有するヒトのT細胞である、医薬組成物。

請求項37

前記少なくとも1つの膜貫通ドメインが、T細胞受容体のアルファ、ベータもしくはゼータ鎖、CD8、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154、またはそれらの任意の組合せを含むタンパク質の膜貫通ドメインを含む、請求項36に記載の医薬組成物。

請求項38

前記T細胞が、血液学的がんを有するヒトのT細胞である、請求項36に記載の医薬組成物。

請求項39

前記血液学的がんが、白血病またはリンパ腫である、請求項38に記載の医薬組成物。

請求項40

前記白血病が、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)または慢性骨髄性白血病CML)である、請求項39に記載の医薬組成物。

請求項41

前記リンパ腫が、マントル細胞リンパ腫非ホジキンリンパ腫またはホジキンリンパ腫である、請求項39に記載の医薬組成物。

請求項42

前記血液学的がんが多発性骨髄腫である、請求項38に記載の医薬組成物。

請求項43

ヒトがんが、口腔および咽頭がん、口、咽頭、頭頸部)、消化器系がん食道小腸結腸直腸肛門肝臓肝内胆管胆嚢膵臓)、呼吸器系がん(喉頭および気管支)、骨および関節のがん、軟組織がん、皮膚がん黒色腫基底細胞癌および扁平上皮癌)、小児腫瘍神経芽細胞腫横紋筋肉腫骨肉腫ユーイング肉腫)、中枢神経系の腫瘍脳腫瘍星状細胞腫神経膠芽腫神経膠腫)、ならびに乳房生殖系子宮頸部子宮体卵巣外陰部前立腺精巣陰茎子宮内膜)、泌尿器系膀胱腎臓および腎盂尿管)、眼および眼窩内分泌系甲状腺)ならびに脳および他の神経系のがん、またはそれらの任意の組合せを含む成人癌を含む、請求項36に記載の医薬組成物。

請求項44

腫瘍抗原の上昇した発現と関連する疾患、障害または状態を有する哺乳動物を処置する方法であって、抗腫瘍有効量のT細胞集団を含む医薬組成物を対象に投与するステップを含み、前記T細胞がキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列を含み、前記CARが、配列番号2、4、6、または8のアミノ酸配列を含むメソセリン抗原結合性ドメインを含む少なくとも1つの細胞外抗原結合性ドメイン、少なくとも1つのリンカーまたはスペーサードメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含み、前記T細胞ががんを有する対象のT細胞である、方法。

請求項45

それを必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、抗腫瘍有効量のT細胞集団を含む医薬組成物を前記対象に投与するステップを含み、前記T細胞がキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列を含み、前記CARが、配列番号2、4、6、または8のアミノ酸配列を含むメソセリン抗原結合性ドメインを含む少なくとも1つの細胞外抗原結合性ドメイン、少なくとも1つのリンカーまたはスペーサードメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含み、前記T細胞ががんを有する対象のT細胞である、方法。

請求項46

前記少なくとも1つの膜貫通ドメインが、T細胞受容体のアルファ、ベータもしくはゼータ鎖、CD8、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154、またはそれらの任意の組合せを含むタンパク質の膜貫通ドメインを含む、請求項44または45に記載の方法。

請求項47

キメラ抗原受容体発現細胞を産生する方法であって、請求項1に記載の単離された核酸を細胞に導入するステップを含む、方法。

請求項48

請求項47に記載のキメラ抗原受容体発現細胞を産生する方法であって、前記細胞がT細胞またはT細胞を含む細胞集団である、方法。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年1月9日出願の米国仮特許出願第62/444,201号に対する優先権の利益を主張する。

0002

配列表
本出願は、ASCII形式電子的に提出された、その全体にわたって参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2018年1月8日に作成された前記ASCIIコピーはSequence_Listing.txtと名付けられ、48.0キロバイトのサイズである。

0003

連邦政府による資金提供を受けた研究または開発に関する記載
本発明は、アメリカ合衆国保健福祉省の機関であるアメリカ国立衛生研究所とのCooperative Research and Development Agreementの実施において創出された。米国政府は本発明に対し一定の権利を有する。

0004

本開示の分野
本出願は、がんの分野、特に、メソセリン抗原結合性ドメイン、およびこのようなメソセリン抗原結合性ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)、およびその使用方法に関する。

背景技術

0005

背景
がんは、ヒトの健康に対する最も致命的な脅威の1つである。米国だけで、がんは毎年ほぼ130万人の新たな患者罹患し、心血管疾患に次いで2番目に多い死因であり、死亡数の約4分の1を占めている。固形腫瘍が、これらの死亡のほとんどの原因である。ある特定のがんの医学的処置においては顕著な進歩があったものの、全てのがんについての5年全生存率は過去20年間で約10%しか改善しなかった。がんまたは悪性腫瘍は、制御されずに迅速に転移および成長し、処置を非常に困難にする。

0006

メソセリンは40kDaの、グリコシルホスファチジルイノシトールに連結した膜糖タンパク質であり、その正常な個体における発現は、胸膜腹膜および心膜を覆う中皮細胞に限定される。一方、メソセリンは悪性中皮腫卵巣、および膵臓腺癌、ならびに胆管癌ならびにトリプルネガティブ乳がんを含むいくつかの固形腫瘍により過剰発現される(Ordonez NG、Am J Surg Pathol 1993年;27巻:1418〜28頁、Hassan R、Laszik ZG、Lerner M、Raffeld M、Postier R、Brackett D. Am J Clin Pathol 2005年;124巻:838〜45頁;Chou Jら、Breast
Cancer Res Treat 2012年;133巻:799〜804頁)。メソセリンの生物学的機能はいまだ不明である。しかし、メソセリンは腫瘍細胞における血漿糖タンパク質であるCA125に結合し、メソセリンが腹膜および胸膜転移に寄与する可能性があることが示唆される(Kanekoら、2009年、J Biol Chem
284巻:3739〜3749頁;Rumpら、2004年、J Biol Chem
279巻:9190〜9198頁)。メソセリン発現は、上皮卵巣がん(EOC)患者の化学療法抵抗性無病生存期間の短縮および全生存率の悪化と関連する(Chengら、2009年、Br J Cancer 100巻:1144〜1153号)。したがっ
て、メソセリンは免疫ベースの療法における魅力的な標的となる。腫瘍での発現頻度に基づくと、抗メソセリン療法の主要標的は、Raffit Hassan、Mitchell Ho. Eur J Cancer.2008年1月;44巻(1号):46〜53頁で概説される、中皮腫および膵臓腺癌(100%近い腫瘍が抗原を発現)、それに続いて卵巣がん(67〜100%の腫瘍が抗原を発現)および肺腺癌(41〜53%がメソセリン陽性)である。メソセリンを標的化する最初のがん治療用抗体であるK1は、マウスハイブリドーマ由来であった[Chang K、Pastan I、Willingham MC. Int J Cancer 1992年;50巻:373〜81頁]。次いで、SS1と呼ばれる、より親和性が大きい抗メソセリン抗体ファージディスプレイおよびホットスポット突然変異誘発により開発された[Chowdhury PS、Viner JL、Beers R、Pastan I. Proc Natl Acad Sci U S A 1998年;95巻:669〜74頁;Chowdhury PS、Pastan I、Nat Biotech 1999年;17巻:568〜72頁]。

0007

キメラ抗原受容体(CAR)は、3つの本質的な単位を含むハイブリッド分子である:(1)細胞外抗原結合性モチーフ、(2)連結/膜貫通モチーフ、および(3)細胞内T細胞シグナル伝達モチーフ(LongAH、Haso WM、Orentas RJ.Lessons learned from a highly−active CD2−specific chimeric antigen receptor.Oncoimmunology.2013年;2巻(4号):e23621頁)。CARの抗原結合性モチーフは一般に、免疫グロブリンIg分子の最小の結合性ドメインである単鎖断片可変(scFv)を基にして作られる。代替の抗原結合性モチーフとして、例えば、受容体リガンド(即ち、IL−13は、腫瘍が発現するIL−13受容体に結合するように操作されている)、インタクト免疫受容体ライブラリー由来ペプチド、および自然免疫エフェクター分子(例えば、NKG2D)も操作されている。CAR発現のための代替の細胞標的(例えば、NKまたはガンマデルタT細胞)も開発中である(Brown CEら Clin Cancer Res.2012年;18巻(8号):2199〜209頁;Lehner MらPLoS One.2012年;7巻(2号):e31210頁)。CARベクター形質導入するための最も活性なT細胞集団を定義すること、最適な培養および増殖の技術を決定すること、ならびにCARタンパク質構造自体の分子的詳細を定義することに関して、いまだにかなりの労力を要している。

0008

CARの連結モチーフは、IgG定常ドメインなどの比較的安定な構造ドメインとするか、または伸長された可撓性リンカーとなるように設計することができる。IgGの定常ドメインに由来するものなどの構造モチーフを使用して、scFv結合性ドメインをT細胞の細胞膜表面から離れて延在させることができる。これは、結合性ドメインが腫瘍細胞表面膜に特に近い一部の腫瘍標的にとって重要であり得る(例えば、ジシアロガングリオシドGD2にとって;Orentasら、未公開の観察)。今日まで、CARにおいて使用されるシグナル伝達モチーフは常にCD3−ζ鎖を含んでいるが、それは、このコアモチーフが、T細胞活性化のための重要なシグナルであるからである。最初に報告された第2世代CARは、CD28シグナル伝達ドメインおよびCD28膜貫通配列を特徴としていた。このモチーフは、CD137(4−1BB)シグナル伝達モチーフを含有する第3世代CARでも同様に使用された(Zhao Yら J Immunol.2009年;183巻(9号):5563〜74頁)。新たなテクノロジーの進歩に伴い、抗CD3および抗CD28抗体に連結されたビーズによるT細胞の活性化、ならびにCD28由来のカノニカルな「シグナル2」の存在がCAR自体によってコードされる必要はもはやなくなった。ビーズ活性化を使用して、第3世代ベクターは、in vitroアッセイにおいて第2世代ベクターよりも優れているわけではないことが見出され、また、白血病マウスモデルにおいては第2世代ベクターを超える明らかな利益は得られなかった(Haso W、LeeDW、ShahNN、Stetler−Stevenson M、
Yuan CM、Pastan IH、Dimitrov DS、Morgan RA、FitzGerald DJ、BarrettDM、Wayne AS、Mackall CL、Orentas RJ.Anti−CD22−chimeric antigen receptors targeting B cell precursor acute lymphoblastic leukemia,Blood.2013年;121巻(7号):1165〜74頁;Kochenderfer JNら Blood.2012年;119巻(12号):2709〜20頁)。これは、第2世代CD28/CD3−ζ(Lee DWら American Society of Hematology Annual Meeting.New Orleans、LA;12月7〜10日、2013年)およびCD137/CD3−ζシグナル伝達形式(Porter
DLら N Engl J Med.2011年;365巻(8号):725〜33頁)のCD19特異的CARの臨床的成功によって裏付けられている。CD137に加えて、OX40などの他の腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバーも、CARが形質導入されたT細胞において重要な持続シグナルを提供することができる(Yvon Eら
Clin Cancer Res.2009年;15巻(18号):5852〜60頁)。CAR T細胞集団が培養された培養条件も等しく重要である。

0009

がんに対するCAR療法のより広範で有効な適応における現在の課題は、説得力のある標的の不足に関する。細胞表面抗原への結合因子を創出することは、現在容易に達成可能であるが、正常組織を見逃しながら腫瘍に対して特異的な細胞表面抗原を発見することは、依然として厄介な課題である。CAR発現T細胞により高い標的細胞特異性を与えるための1つの潜在的な方法は、コンビナトリアルCARアプローチを使用することである。1つのシステムでは、CD3−ζとCD28シグナル単位が、同じ細胞において発現される2つの異なるCAR構築物間で分割される;別のシステムでは、2つのCARが、同じT細胞において発現されるが、一方はより低い親和性を有し、したがって第2のCARの完全な活性のために代替的CARが最初に結合されることを必要とする(Lanitis
Eら Cancer Immunol Res.2013年;1巻(1号):43〜53頁;Kloss CCら Nat Biotechnol.2013年;31巻(1号):71〜5頁)。免疫療法剤としての単一のscFvベースのCARの生成のための第2の課題は、腫瘍細胞の不均一性である。少なくとも1つのグループは、標的抗原陰性集団の成長を回避することを期待して、エフェクター細胞集団が複数の抗原(HER2、IL−13Ra、EphA2)を同時に標的化する、神経膠芽腫のためのCAR戦略を開発している(Hegde Mら Mol Ther.2013年;21巻(11号):2087〜101頁)。

0010

細胞ベース免疫療法は、合成生物学における新たな領域になっている;複数のプロモーターおよび遺伝子産物は、これらの高度に強力な細胞を腫瘍微小環境に導くことが想定され、ここで、T細胞は、負の調節シグナルを免れることができ、かつ有効な腫瘍死滅を媒介できる。誘導性カスパーゼ構築物AP1903との薬物誘導性二量体化を介した望ましくないT細胞の排除は、T細胞集団を制御できる強力なスイッチが薬理学的に開始され得る1つの方法を実証している(Di Stasi Aら N Engl J Med.2011年;365巻(18号):1673〜83頁)。デコイ受容体の発現によるトランスフォーミング成長因子−βの負の調節効果に対して免疫性であるエフェクターT細胞集団の創出は、エフェクターT細胞が最適な抗腫瘍活性のために操作され得る程度をさらに実証している(FosterAEら J Immunother.2008年;31巻(5号):500〜5頁)。

0011

したがって、CARは、内因性T細胞受容体と類似した様式でT細胞活性化を誘発できるようであるが、今日までのこのテクノロジーの臨床適用に対する主要な障害は、CAR+T細胞の限定的なin vivo増殖、注入後の細胞の迅速な消失、および期待外れ
臨床活性である。マウス起源抗ヒトメソセリンCAR(SS1と呼ばれる)を保有するヒトT細胞が、in vitroでMHC非依存性エフェクター機能を示し、免疫不全マウスにおいてin vivoでヒト中皮腫異種移植片退行誘導することを示した最近の研究(Carpenitoら、2009年、Proc Natl Acad Sci
USA 106巻:3360〜3365頁)を含む、メソセリン陽性腫瘍を標的化するいくつかの試みがその他のグループによりなされてきたが、バイスタンダー細胞に対する毒性、有効性欠如、または局在化された腫瘍送達の必要性を含む、この手法に対するいくつかの難題が明らかとなった。したがって、上述の欠点なしに意図した治療特質を示し得るCARを使用するがんの処置のための組成物および方法を発見する、当該分野における緊急かつ長年にわたる要求が存在する。

発明が解決しようとする課題

0012

本発明は、CAR組成物、ならびにがんならびに他の疾患および/または状態を処置するために使用され得る治療的方法を提供することによって、これらの要求に対処する。特に、本明細書に開示および記載される本発明は、メソセリン発現の調節不全と関連する疾患、障害または状態の処置に使用可能なCARを提供し、ここでCARは、形質導入T細胞において高い表面発現を示し、高度の細胞溶解ならびに形質導入T細胞のin vivoでの増殖および持続を示すメソセリン抗原結合性ドメインを含む。

課題を解決するための手段

0013

概要
新規の抗メソセリン抗体またはその抗原結合性ドメイン、およびこのようなメソセリン抗原結合性ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)、および受容体を発現する宿主細胞(例えばT細胞)、および受容体をコードする核酸分子が本明細書で提供される。CARは、形質導入T細胞での高い表面発現、高度の細胞溶解ならびに形質導入T細胞のin
vivoでの増殖および持続を示す。例えば対象におけるがんを処置するための、開示されるCAR、宿主細胞、および核酸分子を使用する方法も提供される。

0014

したがって、一態様において、配列番号1、3、5および7からなる群から選択される核酸配列を含む、ヒト抗メソセリン抗体またはその断片をコードする単離されたポリヌクレオチドが提供される。

0015

一実施形態において、完全ヒト抗メソセリン抗体またはその断片をコードする単離されたポリヌクレオチドが提供され、抗体またはその断片は、Fab断片、F(ab’)2断片、Fv断片、および単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される断片を含む。

0016

一実施形態において、完全ヒト抗メソセリン抗体またはその断片をコードする単離されたポリヌクレオチドが提供され、抗体またはその断片は、配列番号2、4、6、および8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。

0017

一態様において、N末端からC末端へ、配列番号1、3、5および7からなる群から選択される核酸配列を含むヌクレオチド配列によりコードされる少なくとも1つのメソセリン抗原結合性ドメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、および少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする、単離された核酸分子が提供される。

0018

一実施形態では、コードされる細胞外メソセリン抗原結合性ドメインが、メソセリンに結合する抗体の少なくとも1つの単鎖可変断片を含む、CARをコードする単離された核酸分子が提供される。

0019

別の実施形態では、コードされる細胞外メソセリン抗原結合性ドメインが、メソセリンに結合する抗体の少なくとも1つの重鎖可変領域を含む、CARをコードする単離された核酸分子が提供される。

0020

さらに別の実施形態では、コードされるCAR細胞外メソセリン抗原結合性ドメインが、メソセリンに結合する少なくとも1つのリポカリンベースの抗原結合性抗原(アンチカリン)をさらに含む、CARをコードする単離された核酸分子が提供される。

0021

一実施形態では、コードされる細胞外メソセリン抗原結合性ドメインが、リンカードメインによって膜貫通ドメインに接続される、単離された核酸分子が提供される。

0022

別の実施形態では、コードされるメソセリン細胞外抗原結合性ドメインに、リーダーまたはシグナルペプチドをコードする配列が先行する、CARをコードする単離された核酸分子が提供される。

0023

さらに別の実施形態では、配列番号1、3、5および7からなる群から選択される核酸配列を含むヌクレオチド配列によりコードされる少なくとも1つのメソセリン抗原結合性ドメインを含むCARをコードする、単離された核酸分子が提供され、CARは、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソセリン、CD33、CD38、CD123(IL3RA)、CD138、BCMA(CD269)、GPC2、GPC3、FGFR4、c−Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、GD−2、NY−ESO−1
TCR、MAGE A3 TCR、またはそれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない抗原を標的化する細胞外抗原結合性ドメインをさらにコードする。

0024

ある特定の実施形態では、さらにコードされる細胞外抗原結合性ドメインが、抗CD19 scFV抗原結合性ドメイン、抗CD20 scFV抗原結合性ドメイン、抗CD22 scFV抗原結合性ドメイン、抗ROR1 scFV抗原結合性ドメイン、抗メソセリンscFV抗原結合性ドメイン、抗CD33 scFV抗原結合性ドメイン、抗CD38 scFV抗原結合性ドメイン、抗CD123(IL3RA)scFV抗原結合性ドメイン、抗CD138 scFV抗原結合性ドメイン、抗BCMA(CD269)scFV抗原結合性ドメイン、抗GPC2 scFV抗原結合性ドメイン、抗GPC3 scFV抗原結合性ドメイン、抗FGFR4 scFV抗原結合性ドメイン、抗c−Met scFV抗原結合性ドメイン、抗PMSA scFV抗原結合性ドメイン、抗糖脂質F77 scFV抗原結合性ドメイン、抗EGFRvIII scFV抗原結合性ドメイン、抗GD−2 scFV抗原結合性ドメイン、抗NY−ESo−1 TCR scFV抗原結合性ドメイン、抗MAGE A3 TCR scFV抗原結合性ドメイン、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するそのアミノ酸配列、あるいはそれらの任意の組合せを含む、CARをコードする単離された核酸分子が提供される。

0025

一態様では、本明細書で提供されるCARはリンカーまたはスペーサードメインをさらに含む。

0026

一実施形態では、細胞外メソセリン抗原結合性ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン、またはその両方が、リンカーまたはスペーサードメインによって膜貫通ドメインに接続される、CARをコードする単離された核酸分子が提供される。

0027

一実施形態では、コードされるリンカードメインが、CD8またはCD28の細胞外ドメインに由来し、膜貫通ドメインに連結される、CARをコードする単離された核酸分子
が提供される。

0028

別の実施形態では、コードされるCARが、T細胞受容体のアルファベータもしくはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、およびCD154、またはそれらの組合せからなる群から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインを含む膜貫通ドメインをさらに含む、CARをコードする単離された核酸分子が提供される。

0029

さらに別の実施形態では、コードされる細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータ細胞内ドメインをさらに含む、CARをコードする単離された核酸分子が提供される。

0030

一実施形態では、コードされる細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータ細胞内ドメインに対してC末端側に配置される、CARをコードする単離された核酸分子が提供される。

0031

別の実施形態では、コードされる少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインが、共刺激ドメイン、一次シグナル伝達ドメイン、またはそれらの組合せを含む、CARをコードする単離された核酸分子が提供される。

0032

さらなる実施形態では、コードされる少なくとも1つの共刺激ドメインが、OX40、CD70、CD27、CD28、CD5、ICAM−1、LFA−1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、DAP10、DAP12および4−1BB(CD137)の機能的シグナル伝達ドメイン、またはそれらの組合せを含む、CARをコードする単離された核酸分子が提供される。

0033

一実施形態では、リーダー配列またはシグナルペプチドをさらに含み、リーダーまたはシグナルペプチドのヌクレオチド配列が配列番号9のヌクレオチド配列を含む、CARをコードする単離された核酸分子が提供される。

0034

さらに別の実施形態では、コードされるリーダー配列が配列番号10のアミノ酸配列を含む、CARをコードする単離された核酸分子が提供される。

0035

一態様では、N末端からC末端へ、少なくとも1つの細胞外メソセリン抗原結合性ドメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、および少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)が本明細書で提供される。

0036

一実施形態では、細胞外メソセリン抗原結合性ドメインが、抗原に結合する抗体の少なくとも1つの単鎖可変断片、または抗原に結合する抗体の少なくとも1つの重鎖可変領域、またはそれらの組合せを含む、CARが提供される。

0037

別の実施形態において、少なくとも1つの膜貫通ドメインが、T細胞受容体のアルファ、ベータもしくはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154、またはそれらの組合せからなる群から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインを含む、CARが提供される。

0038

一部の実施形態において、CARが、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソセリン、CD33、CD38、CD123(IL3RA)、CD138、BCMA(CD269)、GPC2、GPC3、FGFR4、c−Met、PSMA、糖脂質F77、E
GFRvIII、GD−2、NY−ESO−1 TCR、MAGE A3 TCR、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するそのアミノ酸配列、またはそれらの任意の組合せを含む細胞外抗原結合性ドメインをさらにコードする、CARが提供される。

0039

一実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインが、抗CD19 scFV抗原結合性ドメイン、抗CD20 scFV抗原結合性ドメイン、抗CD22 scFV抗原結合性ドメイン、抗ROR1 scFV抗原結合性ドメイン、抗メソセリンscFV抗原結合性ドメイン、抗CD33 scFV抗原結合性ドメイン、抗CD38 scFV抗原結合性ドメイン、抗CD123(IL3RA)scFV抗原結合性ドメイン、抗CD138 scFV抗原結合性ドメイン、抗BCMA(CD269)scFV抗原結合性ドメイン、抗GPC2 scFV抗原結合性ドメイン、抗GPC3 scFV抗原結合性ドメイン、抗FGFR4 scFV抗原結合性ドメイン、抗c−Met scFV抗原結合性ドメイン、抗PMSA scFV抗原結合性ドメイン、抗糖脂質F77 scFV抗原結合性ドメイン、抗EGFRvIII scFV抗原結合性ドメイン、抗GD−2 scFV抗原結合性ドメイン、抗NY−ESo−1 TCR scFV抗原結合性ドメイン、抗MAGE A3 TCR scFV抗原結合性ドメイン、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するそのアミノ酸配列、またはそれらの任意の組合せを含む、CARが提供される。

0040

別の実施形態では、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインが共刺激ドメインおよび一次シグナル伝達ドメインを含む、CARが提供される。

0041

さらに別の実施形態では、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインが、OX40、CD70、CD27、CD28、CD5、ICAM−1、LFA−1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、DAP10、DAP12、および4−1BB(CD137)、またはそれらの組合せからなる群から選択されるタンパク質の機能的シグナル伝達ドメインを含む共刺激ドメインを含む、CARが提供される。

0042

一実施形態では、CARをコードする核酸配列は配列番号11(pLTG1901 EF1aMH1P−−CD8TM−4−1BB−CD3ゼータ核酸配列(図2A))の核酸配列を含む。一実施形態では、核酸配列は配列番号12(pLTG1901 EF1a
MH1P−−CD8TM−4−1BB−CD3ゼータアミノ酸配列(図2A))のアミノ酸配列を含むCARをコードする。

0043

別の実施形態では、CARをコードする核酸配列は配列番号13(pLTG1902 Ef1aMH2P CD8TM−4−1BB−CD3ゼータ核酸配列(図2B))の核酸配列を含む。一実施形態では、核酸配列は配列番号14(pLTG1902 Ef1a
MH2P CD8TM−4−1BB−CD3ゼータアミノ酸配列(図2B))のアミノ酸配列を含むCARをコードする。

0044

別の実施形態では、CARをコードする核酸配列は配列番号15(pLTG1903 Ef1aMH6P CD8TM−4−1BB−CD3ゼータ核酸配列(図2C))の核酸配列を含む。一実施形態では、核酸配列は配列番号16(pLTG1903 Ef1a
MH6P CD8TM−4−1BB−CD3ゼータアミノ酸配列(図2C))のアミノ酸配列を含むCARをコードする。

0045

別の実施形態において、CARをコードする核酸配列は、配列番号17の核酸配列(pLTG1904 Ef1a M1−4S CD8TM−4−1BB−CD3ゼータ核酸配列(図2D))を含む。一実施形態において、核酸配列は、配列番号18のアミノ酸配列
(pLTG1904 Ef1a M1−4S CD8TM−4−1BB−CD3ゼータアミノ酸配列(図2D))を含むCARをコードする。

0046

一態様では、本明細書で開示されるCARは、診断、がん患者の無増悪生存期間などの処置転帰モニタリングおよび/もしくは予測における使用のため、またはかかる処置の進行をモニタリングするために、検出可能なマーカーを発現または含有するように改変される。

0047

一実施形態では、開示されたCARをコードする核酸分子は、ウイルスベクターなどのベクター中に含有され得る。ベクターは、DNAベクター、RNAベクター、プラスミドベクターコスミドベクターヘルペスウイルスベクター、麻疹ウイルスベクター、レンチウイルスベクターアデノウイルスベクター、もしくはレトロウイルスベクター、またはそれらの組合せである。

0048

ある特定の実施形態では、ベクターは、誘導性プロモーター、組織特異的プロモーター、構成的プロモーター自殺プロモーターまたはそれらの任意の組合せであるプロモーターをさらに含む。

0049

さらに別の実施形態では、CARを発現するベクターは、自殺スイッチによって、CAR T細胞の発現を制御するため、またはCAR−T細胞を排除するために、1または複数の作動可能エレメントを含むようにさらに改変され得る。自殺スイッチには、例えば、アポトーシス誘導シグナル伝達カスケード、または細胞死を誘導する薬物が含まれ得る。好ましい実施形態では、CARを発現するベクターは、チミジンキナーゼ(TK)またはシトシンデアミナーゼ(CD)などの酵素を発現するようにさらに改変され得る。

0050

別の態様では、CARをコードする核酸分子を含む宿主細胞もまた提供される。一部の実施形態では、宿主細胞は、T細胞、例えば、対象から得られた初代T細胞である。一実施形態では、宿主細胞はCD8+T細胞である。

0051

さらに別の態様では、抗腫瘍有効量のヒトT細胞集団を含む医薬組成物であって、T細胞がキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列を含み、CARが、配列番号2、4、6、および8のアミノ酸配列を含むメソセリン抗原結合性ドメインを含む少なくとも1つの細胞外抗原結合性ドメイン、少なくとも1つのリンカードメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、および少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含み、T細胞ががんを有するヒトのT細胞である、医薬組成物が提供される。がんは、とりわけ血液学的がん、例えば、白血病(例えば、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)もしくは慢性骨髄性白血病CML))、リンパ腫(例えば、マントル細胞リンパ腫非ホジキンリンパ腫またはホジキンリンパ腫)または多発性骨髄腫、あるいはそれらの組合せを含む。

0052

一実施形態において、CARの少なくとも1つの膜貫通ドメインが、T細胞受容体のアルファ、ベータもしくはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154、またはそれらの組合せからなる群から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインを含む、医薬組成物が提供される。

0053

別の実施形態では、ヒトのがんは、口腔および咽頭がん、口、咽頭、頭頸部)、消化器系がん食道、胃、小腸結腸直腸肛門肝臓肝内胆管胆嚢膵臓)、呼吸器系がん(喉頭、肺および気管支)、骨および関節のがん、軟組織がん、皮膚がん黒色腫基底細胞癌および扁平上皮癌)、小児腫瘍神経芽細胞腫横紋筋肉腫骨肉腫、ユ
イン肉腫)、中枢神経系の腫瘍(脳腫瘍星状細胞腫、神経膠芽腫、神経膠腫)、ならびに乳房生殖系子宮頸部子宮体、卵巣、外陰部前立腺精巣陰茎子宮内膜)、泌尿器系膀胱腎臓および腎盂尿管)、眼および眼窩内分泌系甲状腺)ならびに脳および他の神経系のがん、またはそれらの任意の組合せを含む成人癌を含む、医薬組成物が提供される。

0054

さらに別の実施形態では、がんを有するヒトのヒトT細胞の集団の抗腫瘍有効量を含む医薬組成物であって、がんが、1または複数の化学療法剤に対して非応答性難治性がんである、医薬組成物が提供される。がんは、造血がん、骨髄異形成症候群膵がん頭頸部がん皮膚腫瘍急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)における微小残存病変MRD)、CLL(慢性リンパ性白血病)、CML(慢性骨髄性白血病)、非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む成人B細胞悪性疾患小児B細胞悪性疾患(B細胞系譜ALL(急性リンパ性白血病)を含む)、多発性骨髄腫、肺がん乳房がん、卵巣がん、前立腺がん、結腸がん、黒色腫もしくは他の血液学的がんおよび固形腫瘍、またはそれらの任意の組合せを含む。

0055

別の態様では、CAR含有T細胞(以下「CAR T細胞」)を作製する方法が提供される。この方法は、メソセリンに特異的に結合する開示されるCARをコードするベクターまたは核酸分子をT細胞に形質導入し、それによって、CAR T細胞を作製することを含む。

0056

さらに別の態様では、RNA操作された細胞の集団を生成する方法であって、開示されるCARをコードする核酸分子のin vitro転写されたRNAまたは合成RNAを対象の細胞中に導入し、CAR細胞を生成することを含む方法が提供される。

0057

さらに別の態様において、細胞でのメソセリン発現と関連する疾患、障害または状態を診断する方法であって、a)細胞をヒト抗メソセリン抗体またはその断片と接触させるステップであって、抗体またはその断片が配列番号2、4、6および8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ステップ、ならびにb)メソセリンの存在を検出するステップであって、メソセリンの存在が、メソセリン発現と関連する疾患、障害または状態を診断する、ステップを含む方法が提供される。

0058

一実施形態において、メソセリン発現と関連する疾患、障害または状態は、造血がん、骨髄異形成症候群、膵がん、頭頸部がん、皮膚腫瘍、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)における微小残存病変(MRD)、CLL(慢性リンパ性白血病)、CML(慢性骨髄性白血病)、非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む成人B細胞悪性疾患、小児B細胞悪性疾患(B細胞系譜ALL(急性リンパ性白血病)を含む)、多発性骨髄腫、肺がん、乳房がん、卵巣がん、前立腺がん、結腸がん、黒色腫もしくはその他の血液学的がんおよび固形腫瘍、またはそれらの任意の組合せを含むがんである。

0059

別の実施形態において、哺乳動物におけるメソセリンと関連する疾患のリスクを診断、予後診断、または決定する方法であって、a)試料をヒト抗メソセリン抗体またはその断片と接触させるステップであって、抗体またはその断片が配列番号2、4、6および8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ステップ、ならびにb)メソセリンの存在を検出するステップであって、メソセリンの存在が、哺乳動物におけるメソセリンと関連する疾患を診断する、ステップを含む、哺乳動物由来の試料におけるメソセリン発現を検出するステップを含む方法が提供される。

0060

別の実施形態において、メソセリン依存性のT細胞阻害を阻害する方法であって、細胞をヒト抗メソセリン抗体またはその断片と接触させるステップであって、抗体またはその
断片が配列番号2、4、6および8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ステップを含む方法が提供される。一実施形態において、細胞は、メソセリンを発現する腫瘍細胞、腫瘍関連マクロファージ、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。

0061

別の実施形態において、メソセリンを発現する細胞により媒介されるT細胞阻害を遮断し、哺乳動物における腫瘍増殖を阻害するように腫瘍微小環境を変化させる方法であって、単離された抗メソセリン抗体またはその断片を含む有効量の組成物を哺乳動物に投与するステップであって、抗体またはその断片が、配列番号2、4、6および8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ステップを含む方法が提供される。一実施形態において、細胞は、メソセリンを発現する腫瘍細胞、腫瘍関連マクロファージ、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。

0062

別の実施形態において、哺乳動物における抗腫瘍または抗がん免疫応答免疫抑制を阻害、抑制または防止する方法であって、単離された抗メソセリン抗体またはその断片を含む有効量の組成物を哺乳動物に投与するステップであって、抗体またはその断片が、配列番号2、4、6および8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ステップを含む方法が提供される。一実施形態において、抗体またはその断片は、第1の細胞とT細胞の間の相互作用を阻害し、第1の細胞は、メソセリンを発現する腫瘍細胞、腫瘍関連マクロファージ、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。

0063

別の態様では、哺乳動物において抗腫瘍免疫を誘導する方法であって、開示されるCARをコードするベクターまたは核酸分子が形質導入された治療有効量のT細胞を哺乳動物に投与するステップを含む、方法が提供される。

0064

別の実施形態では、哺乳動物においてがんを処置または予防する方法であって、1つまたは複数の開示されるCARを、哺乳動物におけるがんを処置または予防するのに有効な量で哺乳動物に投与するステップを含む、方法が提供される。方法は、対象において、CARの抗原結合性ドメインと、メソセリンおよび/または1つまたは複数の上述の抗原の細胞外ドメインとの免疫複合体を形成するのに十分な条件下で、メソセリンおよび/または1つまたは複数の上述の抗原に特異的に結合する開示されるCARを発現する治療有効量の宿主細胞を対象に投与するステップを含む。

0065

さらに別の実施形態では、腫瘍抗原の上昇した発現と関連する疾患、障害または状態を有する哺乳動物を処置する方法であって、抗腫瘍有効量のT細胞集団を含む医薬組成物を対象に投与するステップを含み、T細胞がキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列を含み、CARが、配列番号2、4、6、もしくは8のアミノ酸配列、またはそれらの任意の組合せを含む少なくとも1つの細胞外メソセリン抗原結合性ドメイン、少なくとも1つのリンカーまたはスペーサードメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含み、T細胞ががんを有する対象のT細胞である、方法が提供される。

0066

さらに別の実施形態では、それを必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、抗腫瘍有効量のT細胞集団を含む医薬組成物を対象に投与するステップを含み、T細胞がキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列を含み、CARが配列番号2、4、6、もしくは8のアミノ酸配列、またはそれらの任意の組合せを含む少なくとも1つのメソセリン抗原結合性ドメイン、少なくとも1つのリンカーまたはスペーサードメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含み、T細胞ががんを有する対象のT細胞である、方法が提供される。上述の方法の一部の実施形態では、少なくとも1つの膜貫通ドメインが、T細胞受容体の膜貫通アルファ、ベータ
もしくはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154、またはそれらの組合せを含む。

0067

さらに別の実施形態では、がんと診断されたヒトにおいて、遺伝子操作されたT細胞の持続性の集団を生成するための方法が提供される。一実施形態では、方法は、CARを発現するように遺伝子操作されたT細胞をヒトに投与するステップであって、CARが配列番号2、4、6、もしくは8のアミノ酸配列、またはそれらの任意の組合せを含む少なくとも1つのメソセリン抗原結合性ドメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、および少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含み、遺伝子操作されたT細胞の持続性の集団、またはT細胞の子孫の集団が、投与の後少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月、2年または3年にわたって、ヒトにおいて持続する、ステップを含む。

0068

一実施形態では、ヒト中の子孫T細胞は、メモリーT細胞を含む。別の実施形態では、T細胞は自家T細胞である。

0069

本明細書に記載される方法の態様および実施形態の全てにおいて、腫瘍抗原の上昇した発現と関連する上述のがん、疾患、障害または状態のいずれかは、本明細書に開示されるCARのうち1または複数を使用して、処置または予防または寛解され得る。

0070

さらに別の態様では、上記キメラ抗原受容体T細胞を作製するためのキット、または上記対象において、腫瘍抗原の上昇した発現と関連するがん、疾患、障害もしくは状態のいずれかを予防、処置もしくは寛解するためのキットであって、上に開示された核酸分子、ベクター、宿主細胞もしくは組成物のいずれか1つまたはそれらの任意の組合せを含むコンテナ、およびキットを使用するための指示書を含むキットが提供される。

0071

CAR、宿主細胞、核酸ならびに方法は、本明細書に詳細に記載される具体的な態様および実施形態を超えて有用であることが理解される。本開示の前述の特色および利点は、添付の図面を参照して進む以下の詳細な説明からより明らかになる。

図面の簡単な説明

0072

新規の細胞外メソセリン抗原結合性ドメイン配列を有するCARの一般的なドメイン構造を示す概略図である。キメラ抗原受容体は、細胞外メソセリン結合性ScFvドメイン、CD8スペーサーおよび膜貫通ドメイン、細胞内シグナル伝達CD137共刺激ドメインならびにCD3 zシグナル伝達ドメインから構成される。
新規の細胞外メソセリン抗原結合性ドメイン配列を含むいくつかのキメラ抗原受容体(CAR)を示す図である。CARについての一般的な図式は、N末端からC末端まで、シグナルペプチド、抗メソセリンscFv、細胞外リンカー、膜貫通部、4−1BB、CD3ゼータを含む。図2Aは、pLTG1901 EF1aMH1PメソセリンscFvバインダーCD8TM−4−1BB−CD3ゼータ核酸配列を含むCARを発現するレンチウイルスベクター、およびコードされるアミノ酸配列を示す。
新規の細胞外メソセリン抗原結合性ドメイン配列を含むいくつかのキメラ抗原受容体(CAR)を示す図である。CARについての一般的な図式は、N末端からC末端まで、シグナルペプチド、抗メソセリンscFv、細胞外リンカー、膜貫通部、4−1BB、CD3ゼータを含む。図2Bは、pLTG1902 Ef1a MH2PメソセリンscFvバインダーCD8TM−4−1BB−CD3ゼータ核酸配列を含むCARを発現するレンチウイルスベクター、およびコードされるアミノ酸配列を示す。
新規の細胞外メソセリン抗原結合性ドメイン配列を含むいくつかのキメラ抗原受容体(CAR)を示す図である。CARについての一般的な図式は、N末端からC末端まで、シグナルペプチド、抗メソセリンscFv、細胞外リンカー、膜貫通部、4−1BB、CD3ゼータを含む。図2Cは、pLTG1903 Ef1a MH6PメソセリンscFvバインダーCD8TM−4−1BB−CD3ゼータ核酸配列を含むCARを発現するレンチウイルスベクター、およびコードされるアミノ酸配列を示す。
新規の細胞外メソセリン抗原結合性ドメイン配列を含むいくつかのキメラ抗原受容体(CAR)を示す図である。CARについての一般的な図式は、N末端からC末端まで、シグナルペプチド、抗メソセリンscFv、細胞外リンカー、膜貫通部、4−1BB、CD3ゼータを含む。図2Dは、pLTG1904 Ef1a M1−4SメソセリンscFvバインダーCD8TM−4−1BB−CD3ゼータ核酸配列を含むCARを発現するレンチウイルスベクター、およびコードされるアミノ酸配列を示す。
T細胞における抗メソセリンCARの発現を示すグラフである。2人の健康なドナー(AおよびB)由来の初代ヒトT細胞に、抗メソセリンCAR構築物pLTG1901、pLTG1902、pLTG1903およびpLTG1904をそれぞれコードするレンチウイルスベクターを形質導入した。モック対照は、レンチウイルス形質導入非存在下で増殖させたT細胞を構成する。培養10日目に、CARの表面発現をフローサイトメトリーにより評価した。抗メソセリンCARの表面発現の検出を容易にするため、抗ヒトF(ab’)2−PE試薬を使用した。
抗メソセリンscFv結合性モチーフ、CD8膜貫通ドメインおよび4−1BB/CD3−ゼータ鎖シグナル伝達モチーフを含むCARの抗腫瘍活性を示すグラフである。抗メソセリンCAR T細胞を、ホタルルシフェラーゼを安定に発現する標的株に対するin vitro死滅アッセイで試験した。A431−メソセリン陰性、A431−MSLN−メソセリン陽性。CAR T細胞は、2人の健康なドナー(パネルAおよびB)の血液由来であった。CARTおよび腫瘍細胞を、表示するエフェクター対標的(E:T)比で3連で組み合わせ、一晩共培養した。次いで、各ウェルにおける生存腫瘍細胞の発光を、方法に記載されるように評価した。このアッセイでの陰性対照はpLTG1398−GFPであり、モック形質導入T細胞が陰性対照である。バーは各群についての標準偏差を表す。

0073

詳細な説明
定義
本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「この(the)」とは、文脈が明らかに他を示さない限り、単数形および複数形の両方を指す。例えば、用語「1つの抗原」は、単数または複数の抗原を含み、語句「少なくとも1つの抗原」と等価とみなされ得る。本明細書で使用する場合、用語「含む(comprises)」とは、「含む(includes)」を意味する。したがって、「1つの抗原を含む(comprising)」とは、他の要素を排除することなく、「1つの抗原を含む(including)」を意味する。語句「および/または」とは、「および」または「または」を意味する。核酸またはポリペプチドについて与えられた任意のおよび全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、ならびに全ての分子量または分子質量値は、特記しない限り、おおよそであり、便宜的に提供されていることをさらに理解すべきである。本明細書に記載されるものと類似または等価な多くの方法および材料が使用され得るが、特に適切な方法および材料が以下に記載される。矛盾する場合、用語の説明を含む本明細書が支配する。さらに、材料、方法および実施例は、例示にすぎず、限定を意図しない。種々の実施形態の再検討を容易にするために、以下の用語の説明が提供される。

0074

用語「約」とは、測定可能な値、例えば、量、時間的持続期間などに言及する場合、特定された値から±20%、または一部の例では±10%、または一部の例では±5%、または一部の例では±1%、または一部の例では±0.1%の変動を包含することを意味し、かかる変動は、開示される方法を実施するために適切である。

0075

特記しない限り、本明細書の技術用語は、従来の用法に従って使用される。分子生物学における一般的用語の定義は、Oxford University Pressによって刊行されたBenjamin Lewin、Genes VII、1999年;Blackwell Science Ltd.によって刊行されたKendrewら(編)The Encyclopedia of Molecular Biology、1994年;およびVCH Publishers,Inc.によって刊行されたRobert
A.Meyers(編)、Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference、1995年;および他の類似の参考文献中に見出すことができる。

0076

本開示は、メソセリン抗体またはその断片、およびこのようなメソセリン抗原結合性ドメインを有するキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。CARの機能的活性の増強は、CARを発現するT細胞の機能的活性の増強に直接関連する。これらの1つまたは複数の改変の結果として、CARは、形質導入されたCAR発現T細胞のin vivoでのT細胞増殖および持続レベルの増大と共に、高度のサイトカイン誘導性細胞溶解および形質導入T細胞での細胞表面発現の両方を示す。

0077

様々なタンパク質ドメインに由来する機能性部分を組み合わせる独自の能力が、キメラ抗原受容体(CAR)の重要かつ革新的な特色である。これらのタンパク質ドメイン各々の選択は、これらの具体的な組合せ方と同様に、重要な設計特色である。各設計ドメインは、様々なCARプラットフォームリンパ球の機能を操作するのに使用可能な必須の構成要素である。例えば、細胞外結合性ドメインの選択によって、それ以外の場合では無効のCARを有効にすることができる。

0078

CARの細胞外抗原結合性ドメインを作り出すのに使用される、免疫グロブリン由来のタンパク質配列の非可変フレームワーク構成要素は、完全に中立であるか、自己会合してT細胞を代謝疲弊の状態にすることがあり、そのためこのCARを発現する治療的T細胞が極度に無効となる。このことは、このCARドメインの抗原結合機能とは無関係に起こる。さらに、細胞内シグナル伝達ドメイン(複数可)の選択によっても、免疫療法に使用される治療的リンパ球集団の活性および耐久性が決定され得る。これらの細胞外および細胞内ドメインによって、標的抗原と結合する能力および活性化シグナルをT細胞に伝達する能力がそれぞれ、CAR設計の重要な側面である一方で、細胞外抗原結合性断片供給源の選択が、CARの有効性に対して顕著な効果を有し、それゆえにCARの機能および臨床的有用性において決定的な役割を有し得ることも明らかとなっている。

0079

驚くべきことにかつ予想外に、ここで、宿主において抗マウス免疫応答およびCAR T排除を誘導する傾向がある抗メソセリンCARを生成する、マウス由来のメソセリンScFv抗原結合性断片を使用するのではなく(マウス由来のSS1 ScFv配列を使用する、UPennの資金提供を受けた臨床試験NCT02159716を参照)、CARに完全ヒト細胞外メソセリンScFv抗原結合性ドメインを使用することでも、CARを発現するT細胞の機能的活性が決定されることが発見された。本明細書で開示されるCARは、細胞において高レベルで発現される。CARを発現する細胞は、in vivoで高い増殖速度を有し、多量のサイトカインを産生し、CARが結合するメソセリン抗原を表面に有する細胞に対し高い細胞傷害活性を有する。ヒト細胞外メソセリン抗原結合性ドメインの使用により、in vivoでより良好に機能するCARの生成がもたらされ、一方で宿主免疫応答での抗CAR免疫の誘導およびCAR T細胞集団の死滅が回避される。完全ヒト細胞外メソセリンScFv抗原結合性ドメインを発現するCARは、i)マウス由来の結合性配列で見られる、CAR Tの持続および機能不足の防止;ii)有効となるべきCARの局所(即ち、胸膜内)送達がないこと;ならびにiii)メソセリ
ンに対し高親和性および低親和性を有するバインダー両方に基づいてCAR T細胞設計を生成する能力、を含む優れた活性/特性を示す。この最後の特性により、腫瘍には正常な組織よりもメソセリンが多く発現していることで、親和性がより小さいバインダーは正常な組織よりも腫瘍に対しより大きい特異性を有することができ、それによりオンターゲットな腫瘍以外への毒性およびバイスタンダー細胞の死滅が防止され得るため、研究者は、CAR T産物の毒性に対する有効性、および/または組織特異性をよりよく調整することができる。

0080

CAR、抗体およびその抗原結合性断片、コンジュゲートヌクレオチド、発現、ベクターおよび宿主細胞、開示されたCARを使用する処置の方法、組成物およびキットのさらなる記載と共に、それらの細胞外メソセリン抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインの記載を含む本発明のCARの詳細な記載は以下である。

0081

A.キメラ抗原受容体(CAR)
本明細書で開示されるCARは、メソセリンに結合することが可能な少なくとも1つのメソセリン抗原結合性ドメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、および少なくとも1つの細胞内ドメインを含む。

0082

キメラ抗原受容体(CAR)は、膜貫通ドメインを介してT細胞シグナル伝達ドメインに連結された、抗体の抗原結合性ドメイン(例えば、単鎖可変断片(scFv))を含有する、人工的に構築されたハイブリッドタンパク質またはポリペプチドである。CARの特徴には、非MHC拘束様式で、モノクローナル抗体抗原結合特性活用して、選択された標的に向かってT細胞の特異性および反応性を再指向させるそれらの能力が含まれる。非MHC拘束的な抗原認識は、CARを発現するT細胞に、抗原プロセシングと無関係に抗原を認識する能力を与え、そうして、腫瘍エスケープの主要な機構迂回する。さらに、T細胞中で発現される場合、CARは、有利なことに、内因性T細胞受容体(TCR)のアルファ鎖およびベータ鎖と二量体化しない。

0083

本明細書に開示するように、CARの細胞内T細胞シグナル伝達ドメインには、例えば、T細胞受容体シグナル伝達ドメイン、T細胞共刺激シグナル伝達ドメイン、またはその両方が含まれ得る。T細胞受容体シグナル伝達ドメインとは、T細胞受容体の細胞内ドメイン、例えば、限定としてではなく、CD3ゼータタンパク質の細胞内部分などを含む、CARの一部分を指す。共刺激シグナル伝達ドメインとは、抗原に対するリンパ球の効率的な応答に必要とされる、抗原受容体またはそれらのリガンド以外の細胞表面分子である共刺激分子の細胞内ドメインを含む、CARの一部分を指す。

0084

1.細胞外ドメイン
一実施形態では、CARは、さもなければ抗原結合性ドメインまたは部分と呼ばれる標的特異的結合エレメントを含む。ドメインの選択は、標的細胞の表面を規定するリガンドの型および数に依存する。例えば、抗原結合性ドメインは、特定の疾患状態と関連する標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用するリガンドを認識するように選択され得る。したがって、CAR中の抗原結合性ドメインに対するリガンドとして作用し得る細胞表面マーカーの例には、ウイルス、細菌および寄生生物感染、自己免疫疾患ならびにがん細胞と関連するものが含まれる。

0085

一実施形態では、CARは、腫瘍細胞上の抗原に特異的に結合する所望の抗原結合性ドメインを操作することによって、目的の腫瘍抗原を標的化するように操作され得る。腫瘍抗原は、免疫応答、特にT細胞媒介性免疫応答を惹起する、腫瘍細胞によって産生されるタンパク質である。抗原結合性ドメインの選択は、処置される特定の型のがんに依存する。腫瘍抗原は、例えば、神経膠腫関連抗原、癌胎児性抗原CEA)、ベータ−ヒト絨毛
ゴナドトロピンアルファフェトプロテインAFP)、レクチン反応性AFP、サイログロブリン、RAGE−1、MN−CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70−2、M−CSFプロスターゼ(prostase)、前立腺特異的抗原(PSA)、PAP、NY−ESO−1、LAGE−1a、p53、プロステイン(prostein)、PSMA、Her2/neu、サバイビンおよびテロメラーゼ前立腺癌腫瘍抗原−1(PCTA−1)、MAGE、ELF2M、好中球エラスターゼエフリンB2、CD22、インスリン様成長因子(insulin growth factor)(IGF)−I、IGF−II、IGF−I受容体ならびにメソセリンが含まれる。本明細書に開示される腫瘍抗原は、例として含まれるにすぎない。このリストは、排他的である意図はなく、さらなる例が、当業者に容易に明らかである。

0086

一実施形態では、腫瘍抗原は、悪性腫瘍と関連する1または複数の抗原性がんエピトープを含む。悪性腫瘍は、免疫攻撃のための標的抗原として機能し得るいくつかのタンパク質を発現する。これらの分子には、組織特異的抗原、例えば、黒色腫におけるMART−1、チロシナーゼおよびGP 100、ならびに前立腺がんにおける前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)および前立腺特異的抗原(PSA)が含まれるがこれらに限定されない。他の標的分子は、癌遺伝子HER−2/Neu/ErbB−2などの形質転換関連分子の群に属する。標的抗原のさらに別の群は、癌胎児性抗原(CEA)などのがん胎児性抗原である。B細胞リンパ腫では、腫瘍特異的イディオタイプ免疫グロブリンが、個々の腫瘍に独自の真に腫瘍特異的な免疫グロブリン抗原を構成する。B細胞分化抗原、例えば、CD19、CD20およびCD37は、B細胞リンパ腫における標的抗原の他の候補である。これらの抗原の一部(CEA、HER−2、CD19、CD20、イディオタイプ)は、限定的な成功で、モノクローナル抗体による受動免疫療法の標的として使用されている。

0087

好ましい一実施形態において、腫瘍抗原はメソセリンであり、メソセリン発現と関連する腫瘍は、高レベルの細胞外タンパク質メソセリンを発現する肺中皮腫、卵巣および膵がん、またはそれらの任意の組合せを含む。

0088

腫瘍抗原の型は、腫瘍特異的抗原TSA)または腫瘍関連抗原(TAA)でもあり得る。TSAは、腫瘍細胞に独自であり、身体中の他の細胞上には存在しない。TAAは、腫瘍細胞に独自ではなく、その代り、抗原に対する免疫学的寛容の状態を誘導できない条件下で正常細胞上でも発現される。腫瘍上での抗原の発現は、免疫系が抗原に応答できるようにする条件下で生じ得る。TAAは、免疫系が未熟であり応答できない胎児発生の間に正常細胞上で発現される抗原であり得、または正常細胞上では非常に低いレベルで通常存在するが、腫瘍細胞上ではかなり高いレベルで発現される抗原であり得る。

0089

TSAまたはTAAの非限定的な例には、以下が含まれる:分化抗原、例えば、MART−1/MelanA(MART−I)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2および腫瘍特異的多系列抗原、例えば、MAGE−1、MAGE−3、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、p15;過剰発現された抗原、例えば、CEA;過剰発現された癌遺伝子および変異した腫瘍サプレッサー遺伝子、例えば、p53、Ras、HER−2/neu;染色体転座から生じる独自の腫瘍抗原;例えば、BCR−ABL、E2A−PRL、H4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR;ならびにウイルス抗原、例えば、エプスタイン・バーウイルス抗原EBVAおよびヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6およびE7。他の大きいタンパク質ベースの抗原には、TSP−180、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6、RAGE、NY−ESO、p185erbB2、p180erbB−3、c−met、nm−23H1、PSA、TAG−72、CA 19−9、CA 72−4、CAM17.1、NuMa、K−
ras、ベータ−カテニン、CDK4、Mum−1、p 15、p 16、43−9F、5T4、791Tgp72、アルファ−フェトプロテイン、ベータ−HCG、BCA225、BTAA、CA 125、CA 15−3/CA 27.29/BCAA、CA 195、CA 242、CA−50、CAM43、CD68/P1、CO−029、FGF−5、G250、Ga733/EpCAM、HTgp−175、M344、MA−50、MG7−Ag、MOV18、NB/70K、NY−CO−1、RCAS1、SDCCAG16、TA−90/Mac−2結合タンパク質シクロフィリンC関連タンパク質、TAAL6、TAG72、TLPおよびTPSが含まれる。

0090

一実施形態では、CARの抗原結合性ドメイン部分は、CD19、CD20、CD22、ROR1、CD33、c−Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、GD−2、MY−ESO−1 TCR、MAGE A3 TCRなどを含むがこれらに限定されない抗原を標的化する。

0091

好ましい実施形態において、CARの抗原結合性ドメイン部分は、細胞外メソセリン抗原を標的化する。

0092

好ましい一実施形態において、細胞外メソセリンScFv抗原結合性ドメインをコードする単離された核酸分子は、配列番号1のヌクレオチド配列、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するその配列を含む。一実施形態において、コードされる細胞外メソセリンScFv抗原結合性ドメインが配列番号2のアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸配列に対し85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された核酸分子が提供される。

0093

好ましい一実施形態において、細胞外メソセリンScFv抗原結合性ドメインをコードする単離された核酸分子は、配列番号3のヌクレオチド配列、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するその配列を含む。一実施形態において、コードされる細胞外メソセリンScFv抗原結合性ドメインが配列番号4のアミノ酸配列、または配列番号4のアミノ酸配列に対し85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された核酸分子が提供される。

0094

好ましい一実施形態において、細胞外メソセリンScFv抗原結合性ドメインをコードする単離された核酸分子は、配列番号5のヌクレオチド配列、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するその配列を含む。一実施形態において、コードされる細胞外メソセリンScFv抗原結合性ドメインが配列番号6のアミノ酸配列、または配列番号6のアミノ酸配列に対し85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された核酸分子が提供される。

0095

好ましい一実施形態において、細胞外メソセリンScFv抗原結合性ドメインをコードする単離された核酸分子は、配列番号7のヌクレオチド配列、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するその配列を含む。一実施形態において、コードされる細胞外メソセリンScFv抗原結合性ドメインが配列番号8のアミノ酸配列、または配列番号8のアミノ酸配列に対し85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された核酸分子が提供される。

0096

本明細書に記載される特異的なメソセリンScFv抗原結合性断片または抗原バインダ
ーの生成および結合の特徴を実施例1に示す。

0097

本明細書で開示されるメソセリン特異的CARについての種々の実施形態では、一般的図式が図1に示され、N末端からC末端へ、シグナルまたはリーダーペプチド、抗メソセリンscFv、細胞外リンカー、CD8膜貫通部、4−1BB、CD3ゼータを含み、太字テキストは連結ドメインのクローニング部位を表す。

0098

一実施形態において、CARをコードする核酸配列は、配列番号11の核酸配列を含み、配列番号12[pLTG1901:EF1aMH1P−CD8TM−4−1BB−CD3ゼータ(pLTG1901)(図2Aに示す)]に示すアミノ酸配列を含むCARをコードする。

0099

一実施形態において、CARをコードする核酸配列は、配列番号11の核酸配列、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するその配列を含み、配列番号12に示すアミノ酸配列、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するその配列[pLTG1901:EF1aMH1P−CD8TM−4−1BB−CD3ゼータ(pLTG1901)(図2Aに示す)]を含むCARをコードする。

0100

別の実施形態において、CARをコードする核酸配列は、配列番号13の核酸配列を含み、配列番号14[pLTG1902:Ef1aMH2P−CD8TM−4−1BB−CD3ゼータ(pLTG1902)(図2Bに示す)]に示すアミノ酸配列を含むCARをコードする。

0101

別の実施形態において、CARをコードする核酸配列は、配列番号13の核酸配列、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するその配列を含み、配列番号14に示すアミノ酸配列、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するその配列[pLTG1902:Ef1aMH2P−CD8TM−4−1BB−CD3ゼータ(pLTG1902)(図2Bに示す)]を含むCARをコードする。

0102

別の実施形態において、CARをコードする核酸配列は、配列番号15の核酸配列を含み、配列番号16[pLTG1903:Ef1a−MH6P−CD8TM−4−1BB−CD3ゼータ(pLTG1903)(図2Cに示す)]に示すアミノ酸配列を含むCARをコードする。

0103

別の実施形態において、CARをコードする核酸配列は、配列番号15の核酸配列、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するその配列を含み、配列番号16に示すアミノ酸配列、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するその配列[pLTG1903:Ef1a−MH6P−CD8TM−4−1BB−CD3ゼータ(pLTG1903)(図2Cに示す)]を含むCARをコードする。

0104

さらに別の実施形態において、CARをコードする核酸配列は、配列番号17の核酸配列を含み、配列番号18[pLTG1904:Ef1a−M1−4S−CD8TM−4−1BB−CD3ゼータ(pLTG1904)(図2Dに示す)]に示すアミノ酸配列を含むCARをコードする。

0105

さらに別の実施形態において、CARをコードする核酸配列は、配列番号17の核酸配列、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を
有するその配列を含み、配列番号18に示すアミノ酸配列、または85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するその配列[pLTG1904:Ef1a−M1−4S−CD8TM−4−1BB−CD3ゼータ(pLTG1904)(図2Dに示す)]を含むCARをコードする。

0106

メソセリンScFv抗原バインダーを含むCARの表面発現について、以下の実施例2に示し表2に要約する。メソセリンScFv抗原バインダーを含む各CARについての発現レベルは、CAR検出のためにフィコエリトリン(PE)とコンジュゲートされた抗ヒトF(ab’)2抗体断片を使用する、2人の健康なドナー由来のLV形質導入T細胞のフローサイトメトリー分析により決定した(実施例2、図3参照)。抗メソセリンCAR構築物1901および1903(実線)は、T細胞表面では検出されなかった。一方、抗メソセリンCAR1902および1904(実線)は、CAR T表面発現も細胞溶解活性も有しないGFP対照構築物(1398、陰付き線)と比較して高い表面発現を示した。同様に、陰性対照である非形質導入T細胞(モック群、図示しない)でもCAR発現が検出されず、使用された検出方法の特異性がさらに実証された。(実施例2、図3および表2参照)。

0107

実施例2および図4にそれぞれ示すように、以下のCARを発現するレンチウイルスベクター(LV)を作り出し、抗白血病活性について試験すると、メソセリンscFv抗原結合性ドメインを含むCARの予想外の高い細胞溶解活性が実証された。各実験的CARは、4−1BB/CD3−ゼータ鎖シグナル伝達モチーフ、およびそこに特記される特異的な抗メソセリン結合性モチーフ/ドメインを含む。A431−MSLN細胞株を、細胞溶解アッセイにおける標的として使用した。CD8リンカーおよび膜貫通領域ならびに4−1BB/CD3−ゼータ鎖シグナル伝達モチーフにインフレームで接続された抗メソセリン結合性ScFvを特徴とするCAR−T構築物のうち3つが、x軸に表示されるエフェクター対標的(E:T)比で強い溶解活性を示した(図4参照、pLTG1902およびpLTG1904、それぞれ白三角および白丸)。驚くべきことに、構築物pLTG1903の表面発現はフローサイトメトリーで裏付けられなかったが、このCAR構築物で強い細胞溶解活性が見られた(白菱形)。さらに、これもフローサイトメトリーでT細胞表面において検出不能であった構築物pLTG1901(黒三角)は、ほとんど溶解活性を示さず(図4参照、pLTG1901、黒三角)、ヒト由来のメソセリンscFv抗原結合性ドメイン全てが、それらが作り出されたCAR環境の状況において必ずしも同様に振る舞うわけではないことが実証された。

0108

任意の特定の作用機構に限定する意図はないが、本発明の例示的なCARと関連する増強された治療機能の可能な理由には、例えば、限定としてではなく、a)より効率的なシグナル伝達を可能にする、原形質膜内での改善された側方動き、b)脂質ラフトなどの原形質膜マイクロドメイン内の優れた位置、およびT細胞活性化と関連する膜貫通シグナル伝達カスケードと相互作用するより高い能力、c)抑制的もしくは下方調節性の相互作用から離れる優先的な動きによる、原形質膜内の優れた位置、例えば、CD45などのホスファターゼとあまり近接していないこと、もしくはそれとのより少ない相互作用、ならびにd)T細胞受容体シグナル伝達複合体(即ち、免疫シナプス)への優れたアセンブリ、またはそれらの任意の組合せが含まれると考えられる。

0109

本開示は、例示的な細胞外メソセリンscFv抗原結合性ドメインを用いて例示しているが、本明細書に記載されるCARにおいて使用するためのメソセリン抗原結合性ドメインを得るのに、メソセリンscFv抗原結合性ドメイン内のその他のヌクレオチドおよび/またはアミノ酸バリアントを使用してもよい。

0110

標的化される所望の抗原に依存して、CARは、所望の抗原標的に対して特異的な適切
抗原結合ドメインを含むようにさらに操作され得る。例えば、CD19が標的化される所望の抗原である場合、CD19に対する抗体が、CAR中への抗原結合ドメイン取込みとして使用され得る。

0111

例示的な一実施形態では、CARの抗原結合性ドメイン部分は、CD19をさらに標的化する。好ましくは、CAR中の抗原結合性ドメインは、抗CD19 scFVであり、ここで、抗CD19 scFVの核酸配列は、配列番号29に示される配列を含む。一実施形態では、抗CD19 scFVは、配列番号30のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。別の実施形態では、CARの抗CD19 scFV部分は、配列番号30に示されるアミノ酸配列を含む。

0112

本発明の一態様では、例えば、限定としてではなく、レトロウイルス科(例えば、ヒト免疫不全ウイルス、例えば、HIV−1およびHIV−LP)、ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルスA型肝炎ウイルスエンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルスおよびエコーウイルス)、風疹ウイルスコロナウイルス水疱性口内炎ウイルス狂犬病ウイルスエボラウイルスパラインフルエンザウイルスムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器多核体ウイルスインフルエンザウイルスB型肝炎ウイルスパルボウイルスアデノウイルス科ヘルペスウイルス科[例えば、1型および2型単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルスサイトメガロウイルス(CMV)ならびにヘルペスウイルス]、ポックスウイルス科(例えば、天然痘ウイルス、ワクシニアウイルスおよびポックスウイルス)もしくはC型肝炎ウイルスに由来する抗原、またはそれらの任意の組合せを含む非TSAまたは非TAAに結合することが可能なCARが提供される。

0113

本発明の別の態様では、Staphylococci、Streptococcus、Escherichia coli、PseudomonasまたはSalmonellaの細菌株に由来する抗原に結合することが可能なCARが提供される。特に、感染性細菌、例えば、Helicobacter pyloris、Legionella pneumophilia、Mycobacteria sps.の細菌株(例えば、M.tuberculosis、M.avium、M.intracellulare、M.kansaiiまたはM.gordonea)、Staphylococcus aureus、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitides、Listeria monocytogenes、Streptococcus pyogenes、A群Streptococcus、B群Streptococcus(Streptococcus agalactiae)、Streptococcus pneumoniaeもしくはClostridium tetaniに由来する抗原、またはそれらの組合せに結合することが可能なCARが提供される。

0114

2.膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインに関して、CARは、CARの細胞外メソセリン抗原結合性ドメインに融合された1つまたは複数の膜貫通ドメインを含む。

0115

膜貫通ドメインは、天然供給源または合成供給源のいずれかに由来し得る。供給源が天然である場合、ドメインは、任意の膜結合型または膜貫通タンパク質に由来し得る。

0116

本明細書に記載されるCARにおいて特に使用される膜貫通領域は、T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154に由来し得る(即ち、それらの膜貫通領域(複数可)を少なくとも含み得る)。あるいは、膜貫通ドメインは、合成であり得、そ
の場合、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を優勢に含む。好ましくは、フェニルアラニントリプトファンおよびバリンの三つ組が、合成膜貫通ドメインの各末端において見出される。任意選択で、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、好ましくは2アミノ酸長と10アミノ酸長との間が、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間での連結を形成し得る。グリシンセリン二つ組は、特に適切なリンカーを提供する。

0117

一実施形態では、CAR中のドメインの1つと天然に関連する膜貫通ドメインが、上記膜貫通ドメインに加えて使用される。

0118

一部の場合には、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するために、かかるドメインの、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへの結合を回避するために、選択され得るまたはアミノ酸置換により得る。

0119

一実施形態では、本発明のCAR中の膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメインである。一実施形態では、CD8膜貫通ドメインは、配列番号19の核酸配列を含む。一実施形態では、CD8膜貫通ドメインは、配列番号20のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。別の実施形態では、CD8膜貫通ドメインは、配列番号20のアミノ酸配列を含む。

0120

一実施形態において、コードされる膜貫通ドメインは、配列番号20のアミノ酸配列の少なくとも1つ、2つもしくは3つの改変(例えば、置換)であるが20、10もしくは5以下の改変(例えば、置換)を有するアミノ酸配列、または配列番号20のアミノ酸配列に対し95〜99%の同一性を有する配列を含む。

0121

一部の場合には、CARの膜貫通ドメインは、CD8アルファヒンジドメインを含む。一実施形態では、CD8ヒンジドメインは、配列番号21の核酸配列を含む。一実施形態では、CD8ヒンジドメインは、配列番号22アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。別の実施形態において、CD8ヒンジドメインは、配列番号22のアミノ酸配列、または95〜99%の同一性を有するその配列を含む。

0122

一実施形態では、コードされるリンカードメインが、CD8の細胞外ドメインに由来し、膜貫通CD8ドメイン、膜貫通CD28ドメイン、またはそれらの組合せに連結される、単離された核酸分子が提供される。

0123

3.スペーサードメイン
CARでは、スペーサードメインは、細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間、または細胞内ドメインと膜貫通ドメインとの間に配置され得る。スペーサードメインは、膜貫通ドメインを細胞外ドメインと連結させるように、および/または膜貫通ドメインを細胞内ドメインと連結させるように機能する、任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを意味する。スペーサードメインは、最大で300アミノ酸、好ましくは10〜100アミノ酸、最も好ましくは25〜50アミノ酸を含む。

0124

いくつかの実施形態では、リンカーは、存在する場合には、リンカーのサイズを増加させ、その結果、エフェクター分子または検出可能なマーカーと抗体または抗原結合性断片との間の距離が増加される、スペーサーエレメントを含み得る。例示的なスペーサーは、当業者に公知であり、これには、米国特許第7,964,566号、米国特許第7,498,298号、米国特許第6,884,869号、米国特許第6,323,315号、米国特許第6,239,104号、米国特許第6,034,065号、米国特許第5,780,588号、米国特許第5,665,860号、米国特許第5,663,149号、米
国特許第5,635,483号、米国特許第5,599,902号、米国特許第5,554,725号、米国特許第5,530,097号、米国特許第5,521,284号、米国特許第5,504,191号、米国特許第5,410,024号、米国特許第5,138,036号、米国特許第5,076,973号、米国特許第4,986,988号、米国特許第4,978,744号、米国特許第4,879,278号、米国特許第4,816,444号および米国特許第4,486,414号、ならびに米国特許出願公開第20110212088号および米国特許出願公開第20110070248号中に列挙されるものが含まれ、その各々は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。

0125

スペーサードメインは、好ましくは、抗原とのCARの結合を促進し、細胞中へのシグナル伝達を増強する配列を有する。結合を促進すると予測されるアミノ酸の例には、システイン荷電アミノ酸、ならびに潜在的グリコシル化部位中のセリンおよびスレオニンが含まれ、これらのアミノ酸は、スペーサードメインを構成するアミノ酸として使用され得る。

0126

スペーサードメインとして、CD8アルファ(NCBI RefSeq:NP_001759.3)のヒンジ領域であるアミノ酸番号118〜178(配列番号23)、CD8ベータ(GenBank:AAA35664.1)のアミノ酸番号135〜195、CD4(NCBI RefSeq:NP_000607.1)のアミノ酸番号315〜396、またはCD28(NCBI RefSeq:NP_006130.1)のアミノ酸番号137〜152の全体または一部が使用され得る。また、スペーサードメインとして、抗体H鎖またはL鎖定常領域の一部(CH1領域またはCL領域、例えば、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するペプチド)が使用され得る。さらに、スペーサードメインは、人工的に合成された配列であり得る。

0127

さらに、CARでは、シグナルペプチド配列が、N末端に連結され得る。シグナルペプチド配列は、多くの分泌タンパク質および膜タンパク質のN末端に存在し、15〜30アミノ酸の長さを有する。細胞内ドメインとして上で言及されるタンパク質分子の多くは、シグナルペプチド配列を有するので、これらのシグナルペプチドがCARのためのシグナルペプチドとして使用され得る。一実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む。

0128

4.細胞内ドメイン
CARの細胞質ドメインまたはさもなければ細胞内シグナル伝達ドメインは、CARが中に置かれた免疫細胞の正常なエフェクター機能のうち少なくとも1つの活性化を担う。用語「エフェクター機能」とは、細胞の特殊化した機能を指す。例えば、T細胞のエフェクター機能は、サイトカインの分泌を含む細胞溶解活性またはヘルパー活性であり得る。したがって、用語「細胞内シグナル伝達ドメイン」とは、エフェクター機能シグナルを伝達し、特殊化した機能を実行するように細胞を指示する、タンパク質の部分を指す。通常は細胞内シグナル伝達ドメイン全体が使用され得るが、多くの場合、鎖全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの短縮された部分が使用される限りにおいて、かかる短縮された部分は、それがエフェクター機能シグナルを伝達する限り、インタクトな鎖の代わりに使用され得る。したがって、用語、細胞内シグナル伝達ドメインとは、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な、細胞内シグナル伝達ドメインの任意の短縮された部分を含むことを意味する。

0129

CARでの使用のための細胞内シグナル伝達ドメインの好ましい例には、抗原受容体係合後にシグナル伝達を開始させるように協力して作用するT細胞受容体(TCR)および共受容体細胞質配列、ならびにこれらの配列の任意の誘導体もしくはバリアント、および同じ機能的能力を有する任意の合成配列が含まれる。

0130

TCR単独を通じて生成されるシグナルが、T細胞の完全な活性化には不十分であること、および二次または共刺激シグナルもまた必要とされることは公知である。したがって、T細胞活性化は、2つの別個クラスの細胞質シグナル伝達配列によって媒介されると言われ得る:TCRを介した抗原依存的な一次活性化を開始させるもの(一次細胞質シグナル伝達配列)および二次または共刺激シグナルを提供するように抗原依存的に作用するもの(二次細胞質シグナル伝達配列)。

0131

一次細胞質シグナル伝達配列は、刺激性の方法または阻害性の方法のいずれかで、TCR複合体の一次活性化を調節する。刺激性の様式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容活性化チロシンモチーフまたはITAMとして公知のシグナル伝達モチーフを含有し得る。

0132

本明細書に開示されるCARにおいて特に使用される一次細胞質シグナル伝達配列を含有するITAMの例には、TCRゼータ(CD3ゼータ)、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dに由来するものが含まれる。ITAMの具体的な非限定的な例には、CD3ゼータ(NCBI RefSeq:NP_932170.1)のアミノ酸番号51〜164、FcイプシロンRIガンマ(NCBI RefSeq:NP_004097.1)のアミノ酸番号45〜86、FcイプシロンRIベータ(NCBI RefSeq:NP_000130.1)のアミノ酸番号201〜244、CD3ガンマ(NCBI RefSeq:NP_000064.1)のアミノ酸番号139〜182、CD3デルタ(NCBI RefSeq:NP_000723.1)のアミノ酸番号128〜171、CD3イプシロン(NCBI RefSeq:NP_000724.1)のアミノ酸番号153〜207、CD5(NCBI RefSeq:NP_055022.2)のアミノ酸番号402〜495、0022(NCBI RefSeq:NP_001762.2)のアミノ酸番号707〜847、CD79a(NCBI RefSeq:NP_001774.1)のアミノ酸番号166〜226、CD79b(NCBI RefSeq:NP_000617.1)のアミノ酸番号182〜229、およびCD66d(NCBI
RefSeq:NP_001806.2)のアミノ酸番号177〜252の配列を有するペプチド、ならびにこれらのペプチドが有するのと同じ機能を有するそれらのバリアントが含まれる。本明細書に記載されるNCBI RefSeq IDまたはGenBankのアミノ酸配列情報に基づくアミノ酸番号は、各タンパク質の前駆体(シグナルペプチド配列などを含む)の全長に基づいて番号付けされる。一実施形態では、CAR中の細胞質シグナル伝達分子は、CD3ゼータに由来する細胞質シグナル伝達配列を含む。

0133

好ましい実施形態では、CARの細胞内ドメインは、それ自体で、またはCARの状況で有用な任意の他の所望の細胞質ドメイン(複数可)と組み合わせて、CD3−ゼータシグナル伝達ドメインを含むように設計され得る。例えば、CARの細胞内ドメインは、CD3ゼータ鎖部分および共刺激シグナル伝達領域を含み得る。共刺激シグナル伝達領域とは、共刺激分子の細胞内ドメインを含むCARの一部分を指す。共刺激分子は、抗原に対するリンパ球の効率的な応答のために必要とされる、抗原受容体またはそれらのリガンド以外の細胞表面分子である。かかる共刺激分子の例には、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、およびCD83と特異的に結合するリガンドなどが含まれる。かかる共刺激分子の具体的な非限定的な例には、CD2(NCBI RefSeq:NP_001758.2)のアミノ酸番号236〜351、CD4(NCBI RefSeq:NP_000607.1)のアミノ酸番号421〜458、CD5(NCBI RefSeq:NP_055022.2)のアミノ酸番号402〜495、CD8アルファ(NCBI RefSeq:N
P_001759.3)のアミノ酸番号207〜235、CD83(GenBank:AAA35664.1)のアミノ酸番号196〜210、CD28(NCBI RefSeq:NP_006130.1)のアミノ酸番号181〜220、CD137(4−1BB、NCBI RefSeq:NP_001552.2)のアミノ酸番号214〜255、CD134(OX40、NCBI RefSeq:NP_003318.1)のアミノ酸番号241〜277およびICOS(NCBI RefSeq:NP_036224.1)のアミノ酸番号166〜199の配列を有するペプチド、ならびにこれらのペプチドが有するのと同じ機能を有するそれらのバリアントが含まれる。したがって、本明細書の開示は、4−1BBを共刺激シグナル伝達エレメントとして主に例示するが、他の共刺激エレメントが本開示の範囲内である。

0134

CARの細胞質シグナル伝達部分内の細胞質シグナル伝達配列は、ランダムにまたは特定された順序で、互いに連結され得る。任意選択で、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、好ましくは2アミノ酸長と10アミノ酸長との間が、連結を形成し得る。グリシン−セリンダブレットは、特に適切なリンカーを提供する。

0135

一実施形態では、細胞内ドメインは、CD3−ゼータのシグナル伝達ドメインおよびCD28のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。別の実施形態では、細胞内ドメインは、CD3−ゼータのシグナル伝達ドメインおよび4−1BBのシグナル伝達ドメインを含むように設計される。さらに別の実施形態では、細胞内ドメインは、CD3−ゼータのシグナル伝達ドメインならびにCD28および4−1BBのシグナル伝達ドメインを含むように設計される。

0136

一実施形態では、CAR中の細胞内ドメインは、4−1BBのシグナル伝達ドメインおよびCD3−ゼータのシグナル伝達ドメインを含むように設計され、ここで、4−1BBのシグナル伝達ドメインは、配列番号25に示される核酸配列を含み、CD3−ゼータのシグナル伝達ドメインは、配列番号27に示される核酸配列を含む。

0137

一実施形態では、CAR中の細胞内ドメインは、4−1BBのシグナル伝達ドメインおよびCD3−ゼータのシグナル伝達ドメインを含むように設計され、ここで、4−1BBのシグナル伝達ドメインは、配列番号26のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含み、CD3−ゼータのシグナル伝達ドメインは、配列番号28のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。

0138

一実施形態では、CAR中の細胞内ドメインは、4−1BBのシグナル伝達ドメインおよびCD3−ゼータのシグナル伝達ドメインを含むように設計され、ここで、4−1BBのシグナル伝達ドメインは、配列番号26に示されるアミノ酸配列を含み、CD3−ゼータのシグナル伝達ドメインは、配列番号28に示されるアミノ酸配列を含む。

0139

5.CARのさらなる記載
本明細書で開示されるCARの機能的部分もまた、本発明の範囲内に明示的に含まれる。用語「機能的部分」とは、CARに関して使用する場合、本明細書に開示されるCARの1または複数の任意の一部または断片を指し、この一部または断片は、それがその一部であるCAR(親CAR)の生物学的活性を保持する。機能的部分は、例えば、親CARと類似の程度、同じ程度、またはより高い程度まで、標的細胞を認識する能力、または疾患を検出、処置もしくは予防する能力を保持する、CARの一部を包含する。親CARに関して、機能的部分は、例えば、親CARの約10%、25%、30%、50%、68%、80%、90%、95%またはそれ超を構成し得る。

0140

機能的部分は、その部分のアミノ末端もしくはカルボキシ末端において、または両方の
末端において、さらなるアミノ酸を含み得、このさらなるアミノ酸は、親CARのアミノ酸配列中には見出されない。望ましくは、さらなるアミノ酸は、例えば、標的細胞を認識し、がんを検出し、がんを処置または予防するなどの、機能的部分の生物学的機能を妨害しない。より望ましくは、さらなるアミノ酸は、親CARの生物学的活性と比較して、その生物学的活性を増強する。

0141

本明細書に開示されるCARの機能的バリアントが、本開示の範囲内に含まれる。用語「機能的バリアント」とは、本明細書で使用する場合、親CARに対する実質的なまたは著しい配列同一性または類似性を有するCAR、ポリペプチドまたはタンパク質を指し、この機能的バリアントは、それがそのバリアントであるCARの生物学的活性を保持する。機能的バリアントは、例えば、親CARと類似の程度、同じ程度、またはより高い程度まで、標的細胞を認識する能力を保持する、本明細書に記載されるCAR(親CAR)のバリアントを包含する。親CARに関して、機能的バリアントは、例えば、親CARに対して、少なくとも約30%、50%、75%、80%、90%、98%またはそれ超、アミノ酸配列が同一であり得る。

0142

機能的バリアントは、例えば、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する親CARのアミノ酸配列を含み得る。あるいは、またはさらに、機能的バリアントは、少なくとも1つの非保存的アミノ酸置換を有する親CARのアミノ酸配列を含み得る。この場合、非保存的アミノ酸置換は、機能的バリアントの生物学的活性を妨害も阻害もしないことが好ましい。非保存的アミノ酸置換は、機能的バリアントの生物学的活性を増強し得、その結果、機能的バリアントの生物学的活性は、親CARと比較して増加される。

0143

CARのアミノ酸置換は、好ましくは、保存的アミノ酸置換である。保存的アミノ酸置換は、当該分野で公知であり、これには、ある特定の物理的および/または化学的特性を有する1つのアミノ酸が、同じまたは類似の化学的または物理的特性を有する別のアミノ酸に交換されるアミノ酸置換が含まれる。例えば、保存的アミノ酸置換は、酸性/負に荷電した別の極性アミノ酸(例えば、AspまたはGlu)を置換する酸性/負に荷電した極性アミノ酸、非極性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、Ala、Gly、Val、He、Leu、Met、Phe、Pro、Trp、Cys、Valなど)を置換する非極性側鎖を有するアミノ酸、塩基性/正に荷電した別の極性アミノ酸(例えば、Lys、His、Argなど)を置換する塩基性/正に荷電した極性アミノ酸、極性側鎖を有する別の非荷電アミノ酸(例えば、Asn、Gin、Ser、Thr、Tyrなど)を置換する極性側鎖を有する非荷電アミノ酸、ベータ分岐側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、He、ThrおよびVal)を置換するベータ分岐側鎖を有するアミノ酸、芳香族側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、His、Phe、TrpおよびTyr)を置換する芳香族側鎖を有するアミノ酸などであり得る。

0144

CARは、本明細書に記載される特定されたアミノ酸配列(単数または複数)から本質的になり得、その結果、他の構成要素、例えば、他のアミノ酸は、機能的バリアントの生物学的活性を著しくは変化させない。

0145

CAR(機能的部分および機能的バリアントを含む)は、任意の長さであり得る、即ち、任意の数のアミノ酸を含み、但し、CAR(またはその機能的部分もしくは機能的バリアント)は、それらの生物学的活性、例えば、抗原に特異的に結合する能力、哺乳動物において罹患細胞を検出する能力、または哺乳動物において疾患を処置もしくは予防する能力などを保持する。例えば、CARは、約50〜約5000アミノ酸長、例えば、50、70、75、100、125、150、175、200、300、400、500、600、700、800、900、1000またはそれ超アミノ酸長であり得る。

0146

CAR(本発明の機能的部分および機能的バリアントを含む)は、1または複数の天然に存在するアミノ酸の代わりに合成アミノ酸を含み得る。かかる合成アミノ酸は、当該分野で公知であり、これには、例えば、アミノシクロヘキサンカルボン酸ノルロイシン、−アミノn−デカン酸ホモセリン、S−アセチルアミノメチル−システイン、トランス−3−ヒドロキシプロリンおよびトランス−4−ヒドロキシプロリン、4−アミノフェニルアラニン、4−ニトロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、4−カルボキシフェニルアラニン、β−フェニルセリン、β−ヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、a−ナフチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルグリシン、インドリン−2−カルボン酸、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、アミノマロン酸、アミノマロン酸モノアミド、N’−ベンジル−N’−メチル−リシン、Ν’,Ν’−ジベンジル−リシン、6−ヒドロキシリシンオルニチン、−アミノシクロペンタンカルボン酸、a−アミノシクロヘキサンカルボン酸、a−アミノシクロヘプタンカルボン酸、a−(2−アミノ−2−ノルボルナン)−カルボン酸、γ−ジアミノ酪酸、β−ジアミノプロピオン酸ホモフェニルアラニンおよびa−tert−ブチルグリシンが含まれる。

0147

CAR(機能的部分および機能的バリアントを含む)は、グリコシル化アミド化カルボキシル化リン酸化エステル化、N−アシル化、例えばジスルフィド架橋を介した環化、もしくは酸付加塩へ変換および/または任意選択で二量体化もしくは重合、あるいはコンジュゲートされ得る。

0148

CAR(その機能的部分および機能的バリアントを含む)は、当該分野で公知の方法によって得られ得る。CARは、ポリペプチドまたはタンパク質を作製する任意の適切な方法によって作製され得る。ポリペプチドおよびタンパク質をデノボ合成する適切な方法は、Chanら、Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis、Oxford University Press、Oxford、United Kingdom、2000年;Peptide and Protein Drug Analysis、Reid,R.編、Marcel Dekker,Inc.、2000年;Epitope Mapping、Westwoodら編、Oxford University Press、Oxford、United Kingdom、2001年;および米国特許第5,449,752号などの参考文献に記載されている。また、ポリペプチドおよびタンパク質は、標準的な組換え法を使用し、本明細書に記載される核酸を用いて組換え産生可能である。例えば、Sambrook et al.、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、3rd ed.、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NY 2001;およびAusubel et al.、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons、NY、1994を参照のこと。さらに、一部のCAR(機能性部分およびその機能性バリアントを含む)は、植物、細菌、昆虫、哺乳動物、例えばラット、ヒトなどの供給源から単離および/または精製することができる。単離および精製方法当技術分野で周知である。あるいは、本明細書に記載されるCAR(機能性部分およびその機能性バリアントを含む)を、企業が商業的に合成することもできる。この点で、CARは合成であっても、組換えであっても、単離されていても、かつ/または精製されていてもよい。

0149

B.抗体および抗原結合性断片
一実施形態は、CAR、CARを発現するT細胞、本明細書で開示された抗原のうち1または複数に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性ドメインもしくは部分をさらに提供する。本明細書で使用する場合、「CARを発現するT細胞」または「CAR T細胞」とは、CARを発現するT細胞を意味し、例えば、CARの抗体由来の標的化ドメ
ンによって決定される抗原特異性を有する。

0150

本明細書で使用する場合、「抗原結合性ドメイン」は、抗体およびその抗原結合性断片を含み得る。用語「抗体」は、最も広い意味で本明細書において使用され、それらが所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体多特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、およびそれらの抗原結合性断片を含むがこれらに限定されない種々の抗体構造を包含する。抗体の非限定的な例には、例えば、当該分野で公知のインタクトな免疫グロブリン、ならびに抗原に対する結合親和性を保持するそのバリアントおよび断片が含まれる。

0151

「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体である、即ち、集団を構成する個々の抗体は、微量で存在し得る可能な天然に存在する変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原性エピトープに対するものである。修飾語モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から得られるという抗体の特徴を示すのであって、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈すべきではない。一部の例では、モノクローナル抗体は、単一クローンBリンパ球によって産生された抗体、または単一の抗体(またはその抗原結合性断片)の抗体の軽鎖および重鎖可変領域をコードする核酸がトランスフェクトされた細胞、もしくはその子孫によって産生された抗体である。一部の例では、モノクローナル抗体は、対象から単離される。モノクローナル抗体は、抗原結合または他の免疫グロブリン機能に対する影響を実質的に有さない保存的アミノ酸置換を有し得る。モノクローナル抗体の産生の例示的な方法は公知であり、例えば、Harlow & Lane、Antibodies,A Laboratory Manual、第2版 Cold Spring Harbor Publications、New York(2013年)を参照のこと。

0152

典型的には、免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって相互接続された重(H)鎖および軽(L)鎖を有する。免疫グロブリン遺伝子は、カッパラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロンおよびミュー定常領域遺伝子、ならびに無数免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子を含む。2つの型の軽鎖、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)が存在する。抗体分子の機能的活性を決定する5つの主要な重鎖クラス(またはアイソタイプ):IgMIgD、IgG、IgAおよびIgEが存在する。

0153

重鎖および軽鎖は、定常領域(または定常ドメイン)および可変領域(または可変ドメインを含有する;例えば、Kindtら Kuby Immunology、第6版、W.H.Freeman and Co.、91頁(2007年)を参照のこと)。いくつかの実施形態では、重鎖および軽鎖の可変領域は、組み合わさって、抗原に特異的に結合する。さらなる実施形態では、重鎖可変領域のみが必要とされる。例えば、重鎖のみからなる天然に存在するラクダ科動物(camelid)抗体は、軽鎖の非存在下で機能的かつ安
定である(例えば、Hamers−Castermanら、Nature、363巻:446〜448頁、1993年;Sheriffら、Nat.Struct.Biol.、3巻:733〜736頁、1996年を参照のこと)。「VH」または「VH」への言及は、抗原結合性断片、例えば、Fv、scFv、dsFvまたはFabのものを含む、抗体重鎖の可変領域を指す。「VL」または「VL」への言及は、Fv、scFv、dsFvまたはFabのものを含む、抗体軽鎖の可変ドメインを指す。

0154

軽鎖および重鎖の可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域によって中断された「フレームワーク」領域を含有する(例えば、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、U.S.Department of Health and Human Services、1991年を参照のこと)。異なる軽鎖または重鎖のフ
レームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されている。構成成分である軽鎖および重鎖の組み合わされたフレームワーク領域である抗体のフレームワーク領域は、3次元空間にCDRを位置付けアラインさせるように機能する。

0155

CDRは主に、抗原のエピトープへの結合を担う。所与のCDRのアミノ酸配列境界は、Kabatら(「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、第5版 Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD、1991年;「Kabat」番号付けスキーム)、Al−Lazikaniら、(JMB 273巻、927〜948頁、1997年;「Chothia」番号付けスキーム)、およびLefrancら(「IMGTunique numbering for immunoglobulin and T cell receptor
variable domains andIgsuperfamily V−like domains」、Dev.Comp.Immunol.、27巻:55〜77頁、2003年;「IMGT」番号付けスキーム)に記載されるものを含む、いくつかの周知のスキームのいずれかを使用して容易に決定され得る。各鎖のCDRは、典型的には、CDR1、CDR2およびCDR3(N末端からC末端へ)と呼ばれ、典型的には、特定のCDRが位置する鎖によっても同定される。したがって、VH CDR3は、それが見出される抗体の重鎖の可変ドメイン由来のCDR3であるが、VL CDR1は、それが見出される抗体の軽鎖の可変ドメイン由来のCDR1である。軽鎖CDRは、LCDR1、LCDR2およびLCDR3と呼ばれる場合もある。重鎖CDRは、LCDR1、LCDR2およびLCDR3と呼ばれる場合もある。

0156

「抗原結合性断片」は、同族抗原を特異的に認識する能力を保持する全長抗体の部分、ならびにかかる部分の種々の組合せである。抗原結合性断片の非限定的な例には、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2;ディアボディ(diabody);直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体断片から形成された多特異的抗体が含まれる。抗体断片には、抗体全体の改変によって産生された抗原結合性断片、または組換えDNA方法論を使用してde novoで合成された抗原結合性断片が含まれる(例えば、KontermannおよびDubel(編)、Antibody Engineering、1〜2巻、第2版、Springer Press、2010年を参照のこと)。

0157

単鎖抗体(scFv)は、適切なポリペプチドリンカーによって連結された1または複数の抗体(複数可)のVHおよびVLドメインを遺伝学的に融合された単鎖分子として含有する遺伝子操作された分子である(例えば、Birdら、Science、242巻:423〜426頁、1988年;Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.、85巻:5879〜5883頁、1988年;Ahmadら、Clin.Dev.Immunol.、2012年、doi:10.1155/2012/980250;Marbry、IDrugs、13巻:543〜549頁、2010年を参照のこと)。scFv中のVHドメインおよびVLドメインの分子内配向は、典型的には、scFvにとって決定的ではない。したがって、両方の可能な配置(VHドメイン−リンカードメイン−VLドメイン;VLドメイン−リンカードメイン−VHドメイン)を有するscFvが使用され得る。

0158

dsFvでは、重鎖および軽鎖の可変鎖は、鎖の会合を安定化させるために、ジスルフィド結合を導入するように変異されている。VHおよびVLドメインが、単一のポリペプチド鎖上で発現されるが、同じ鎖上の2つのドメイン間のペアリングを可能にするには短すぎるリンカーを使用し、それによって、そのドメインを別の鎖の相補的ドメインとペアリングさせ、2つの抗原結合部位を創出する、二価の二重特異的抗体であるディアボディ
もまた含まれる(例えば、Holligerら、Proc.Natl.Acad.Sci.、90巻:6444〜6448頁、1993年;Poljakら、Structure、2巻:1121〜1123頁、1994年を参照のこと)。

0159

抗体は、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)およびヘテロコンジュゲート抗体(例えば、二重特異的抗体)などの、遺伝子操作された形態もまた含む。Pierce Catalog and Handbook、1994〜1995年(Pierce Chemical Co.、Rockford、IL);Kuby,J.、Immunology、第3版、W.H.Freeman & Co.、New York、1997年もまた参照のこと。

0160

天然に存在しない抗体は、固相ペプチド合成を使用して構築され得、組換え産生され得、または、例えば、参照により本明細書に組み込まれるHuseら、Science 246巻:1275〜1281頁(1989年)に記載されるように、可変重鎖および可変軽鎖からなるコンビナトリアルライブラリースクリーニングすることによって得られ得る。例えば、キメラヒト化、CDR移植、単鎖および二機能性抗体を作製するこれらおよび他の方法は、当業者に周知である(WinterおよびHarris、Immunol.Today 14巻:243〜246頁(1993年);Wardら、Nature
341巻:544〜546頁(1989年);HarlowおよびLane、上記、1988年;Hilyardら、Protein Engineering:A practical approach(IRL Press 1992年);Borrabeck、Antibody Engineering、第2版(Oxford University Press 1995年);その各々は、参照により本明細書に組み込まれる)。

0161

参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイにおいてその抗原への参照抗体の結合を50%以上遮断する抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいてその抗原への抗体の結合を50%以上遮断する。抗体競合アッセイは公知であり、例示的な競合アッセイが本明細書で提供される。

0162

「ヒト化」抗体または抗原結合性断片は、ヒトフレームワーク領域および非ヒト(例えば、マウス、ラットまたは合成)抗体または抗原結合性断片由来の1または複数のCDRを含む。CDRを提供する非ヒト抗体または抗原結合性断片は、「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供するヒト抗体または抗原結合性断片は、「アクセプター」と呼ばれる。一実施形態では、全てのCDRが、ヒト化免疫グロブリン中のドナー免疫グロブリン由来である。定常領域は、存在する必要はないが、存在する場合には、ヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一、例えば、少なくとも約85〜90%、例えば、約95%以上同一であり得る。したがって、ヒト化抗体または抗原結合性断片の全ての部分は、おそらくはCDRを除いて、天然ヒト抗体配列の対応する部分と実質的に同一である。

0163

「キメラ抗体」は、典型的には異なる種のものである2つの異なる抗体に由来する配列を含む抗体である。一部の例では、キメラ抗体は、1つのヒト抗体由来の1または複数のCDRおよび/またはフレームワーク領域ならびに別のヒト抗体由来のCDRおよび/またはフレームワーク領域を含む。

0164

「完全ヒト抗体」または「ヒト抗体」は、ヒトゲノム由来の(またはヒトゲノムに由来する)配列を含むが、別の種由来の配列を含まない抗体である。一部の実施形態では、ヒト抗体は、ヒトゲノム由来の(またはヒトゲノムに由来する)CDR、フレームワーク領域および(存在する場合には)Fc領域を含む。ヒト抗体は、例えば、ファージディスプレイによって、ヒトゲノムに由来する配列に基づいて配列を創出するためのテクノロジー
を使用して、またはトランスジェニック動物を使用して、同定および単離され得る(例えば、Barbasら Phage display:A Laboratory Manuel.第1版 New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press、2004年 Print.;Lonberg、Nat.Biotech.、23巻:1117〜1125頁、2005年;Lonenberg、Curr.Opin.Immunol.、20巻:450〜459頁、2008年を参照のこと)。

0165

抗体は、1または複数の結合部位を有し得る。1よりも多い結合部位が存在する場合、これらの結合部位は、互いに同一であってもよく、異なってもよい。例えば、天然に存在する免疫グロブリンは、2つの同一の結合部位を有し、単鎖抗体またはFab断片は、1つの結合部位を有するが、二重特異的または二機能性抗体は、2つの異なる結合部位を有する。

0166

CARの任意の機能的部分に結合する能力について抗体を試験する方法は、当該分野で公知であり、これには、任意の抗体−抗原結合アッセイ、例えば、ラジオイムノアッセイRIA)、ELISAウェスタンブロット免疫沈降および競合阻害アッセイなどが含まれる(例えば、Janewayら、以下、米国特許出願公開第2002/0197266号Al、および米国特許第7,338,929号を参照のこと)。

0167

また、CAR、CARを発現するT細胞、抗体またはその抗原結合性部分は、検出可能な標識、例えば、放射性同位体フルオロフォア(例えば、フルオレセインイソチオシアネートFITC)、フィコエリトリン(PE))、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ西ワサビペルオキシダーゼ)および元素粒子(例えば、金粒子)などを含み得る。

0168

C.コンジュゲート
CAR、CARを発現するT細胞、または本明細書に開示された抗原のうち1もしくは複数に対して特異的なモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性断片は、当業者に公知のいくつもの手段を使用して、エフェクター分子または検出可能なマーカーなどの薬剤にコンジュゲートされ得る。共有結合および非共有結合の両方の手段が使用され得る。コンジュゲートには、本明細書に開示された抗原のうち1または複数に特異的に結合する抗体または抗原結合性断片へのエフェクター分子または検出可能なマーカーの共有結合的連結が存在する分子を含むがこれらに限定されない。当業者は、化学療法剤、抗血管新生剤毒素放射活性剤、例えば、125I、32P、14C、3Hおよび35S、ならびに他の標識、標的部分およびリガンドなどを含む(がこれらに限定されない)種々のエフェクター分子および検出可能なマーカーが使用され得ることを理解する。

0169

特定のエフェクター分子または検出可能なマーカーの選択は、特定の標的分子または細胞、および所望の生物学的効果に依存する。したがって、例えば、エフェクター分子は、特定の標的細胞(例えば、腫瘍細胞)の死をもたらすために使用される細胞毒であり得る。

0170

エフェクター分子または検出可能なマーカーを抗体または抗原結合性断片に結合させるための手順は、エフェクターの化学構造に従って変動する。ポリペプチドは、典型的には、種々の官能基;例えば、カルボン酸(COOH)、遊離アミン(−NH2)またはスルフヒドリル(−SH)基を含有し、これらは、エフェクター分子または検出可能なマーカーの結合を生じるための、抗体上の適切な官能基との反応のために利用可能である。あるいは、抗体または抗原結合性断片は、さらなる反応性官能基曝露または結合するために誘導体化される。誘導体化は、Pierce Chemical Company、Ro
ckford、ILから入手可能なものなどの、いくつかの公知のリンカー分子のいずれかの結合を含み得る。リンカーは、抗体または抗原結合性断片をエフェクター分子または検出可能なマーカーに結合させるために使用される任意の分子であり得る。リンカーは、抗体または抗原結合性断片およびエフェクター分子または検出可能なマーカーの両方への共有結合を形成することが可能である。適切なリンカーは、当業者に周知であり、これには、直鎖もしくは分岐鎖炭素リンカー、複素環式炭素リンカーまたはペプチドリンカーが含まれるがこれらに限定されない。抗体または抗原結合性断片およびエフェクター分子または検出可能なマーカーがポリペプチドである場合、リンカーは、それらの側基を介して(例えば、システインへのジスルフィド連結を介して)構成成分アミノ酸に、または末端アミノ酸アルファ炭素のアミノおよびカルボキシル基に結合され得る。

0171

いくつかの実施形態では、リンカーは、存在する場合には、リンカーのサイズを増加させ、その結果、エフェクター分子または検出可能なマーカーと抗体または抗原結合性断片との間の距離が増加される、スペーサーエレメントを含み得る。例示的なスペーサーは、当業者に公知であり、これには、米国特許第7,964,566号、米国特許第7,498,298号、米国特許第6,884,869号、米国特許第6,323,315号、米国特許第6,239,104号、米国特許第6,034,065号、米国特許第5,780,588号、米国特許第5,665,860号、米国特許第5,663,149号、米国特許第5,635,483号、米国特許第5,599,902号、米国特許第5,554,725号、米国特許第5,530,097号、米国特許第5,521,284号、米国特許第5,504,191号、米国特許第5,410,024号、米国特許第5,138,036号、米国特許第5,076,973号、米国特許第4,986,988号、米国特許第4,978,744号、米国特許第4,879,278号、米国特許第4,816,444号および米国特許第4,486,414号、ならびに米国特許出願公開第20110212088号および米国特許出願公開第20110070248号中に列挙されるものが含まれ、その各々は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。

0172

一部の実施形態では、リンカーは、細胞内条件下で切断可能であり、その結果、リンカーの切断は、細胞内環境中で、抗体または抗原結合性断片からエフェクター分子または検出可能なマーカーを放出させる。さらに他の実施形態では、リンカーは切断不能であり、エフェクター分子または検出可能なマーカーは、例えば、抗体分解によって放出される。一部の実施形態では、リンカーは、細胞内環境中(例えば、リソソームまたはエンドソームまたはカベオラ内)に存在する切断剤によって切断可能である。リンカーは、例えば、リソソームまたはエンドソームプロテアーゼを含むがこれらに限定されない細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素によって切断されるペプチドリンカーであり得る。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、少なくとも2アミノ酸長または少なくとも3アミノ酸長である。しかし、リンカーは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15アミノ酸長、例えば、1〜2、1〜3、2〜5、3〜10、3〜15、1〜5、1〜10、1〜15アミノ酸長であり得る。プロテアーゼには、カテプシンBおよびDならびにプラスミンが含まれ得、その全ては、ジペプチド薬物誘導体加水分解して、標的細胞の内側での活性薬物の放出を生じることが公知である(例えば、DubowchikおよびWalker、1999年、Pharm.Therapeutics 83巻:67〜123頁を参照のこと)。例えば、チオール依存的プロテアーゼであるカテプシンBによって切断可能なペプチドリンカーが使用され得る(例えば、フェニルアラニン−ロイシンまたはグリシン−フェニルアラニン−ロイシン−グリシンリンカー)。かかるリンカーの他の例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,214,345号に記載されている。具体的な実施形態では、細胞内プロテアーゼによって切断可能なペプチドリンカーは、バリン−シトルリンCitruline)リンカーまたはフェニルアラニン−リシンリンカーである(例えば、バリン−シトルリンリンカーを用いたドキソルビシンの合成を記載する米国特許第6,214,345号を参照のこと)。

0173

他の実施形態では、切断可能なリンカーは、pH感受性、即ち、ある特定のpH値において加水分解に対して感受性である。典型的には、pH感受性リンカーは、酸性条件下で加水分解可能である。例えば、リソソームにおいて加水分解可能な酸不安定性リンカー(例えば、ヒドラゾンセミカルバゾンチオセミカルバゾン、シス−アコニットアミド(cis-aconitic amide)、オルトエステルアセタールケタールなど)が使用され得る(例えば、米国特許第5,122,368号;米国特許第5,824,805号;米国特許第5,622,929号;DubowchikおよびWalker、1999年、Pharm.Therapeutics 83巻:67〜123頁;Nevilleら、1989年、Biol.Chem.264巻:14653〜14661頁を参照のこと)。かかるリンカーは、血液中などの中性のpH条件下で比較的安定であるが、リソソームのおよそのpHであるpH5.5または5.0を下回るpHでは不安定である。ある特定の実施形態では、加水分解可能なリンカーは、チオエーテルリンカー(例えば、アシルヒドラゾン結合を介して治療剤に結合されたチオエーテルなど)である(例えば、米国特許第5,622,929号を参照のこと)。

0174

他の実施形態では、リンカーは、還元条件下で切断可能である(例えば、ジスルフィドリンカー)。種々のジスルフィドリンカーが当該分野で公知であり、これには、例えば、SATA(N−スクシンイミジル−S−アセチルチオアセテート)、SPDP(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオプロピオネート)、SPDB(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)ブチレート)およびSMPT(N−スクシンイミジル−オキシカルボニル−アルファ−メチル−アルファ−(2−ピリジル−ジチオ)トルエン)−、SPDBおよびSMPTを使用して形成され得るものが含まれる(例えば、Thorpeら、1987年、Cancer Res.47巻:5924〜5931頁;Wawrzynczakら、 Immunoconjugates:Antibody C
onjugates in Radioimagery and Therapy of
Cancer(C.W.Vogel編、Oxford U.Press、1987年);Phillipsら、Cancer Res.68巻:9280〜9290頁、2008年を参照のこと)。米国特許第4,880,935号もまた参照のこと。

0175

さらに他の具体的な実施形態では、リンカーは、マロネートリンカー(Johnsonら、1995年、Anticancer Res.15巻:1387〜93頁)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lauら、1995年、Bioorg−Med−Chem.3巻(10号):1299〜1304頁)または3’−N−アミドアナログ(Lauら、1995年、Bioorg−Med−Chem.3巻(10号):1305〜12頁)である。

0176

さらに他の実施形態では、リンカーは切断不能であり、エフェクター分子または検出可能なマーカーは、抗体分解によって放出される(その全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0238649号を参照のこと)。

0177

いくつかの実施形態では、リンカーは、細胞外環境中での切断に対して抵抗性である。例えば、コンジュゲートが細胞外環境中(例えば、血漿中)に存在する場合、コンジュゲートのサンプル中のリンカーの約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約3%以下、または約1%以下が切断される。リンカーが細胞外環境中での切断に対して抵抗性であるか否かは、例えば、目的のリンカーを含有するコンジュゲートを、所定の期間(例えば、2、4、8、16または24時間)にわたって血漿と共にインキュベートし、次いで、血漿中に存在する遊離のエフェクター分子または検出可能なマーカーの量を定量することによって決定され得る。コンジュゲート中で使用され得る種々の例示的なリンカーは、WO2004−010957、米国特許出願公開第2006/0074008
号、米国特許出願公開第20050238649号および米国特許出願公開第2006/0024317号に記載されており、その各々は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。

0178

いくつかの実施形態では、CARのコンジュゲート、CARを発現するT細胞、抗体またはその抗原結合性部分、および1または複数の小分子毒素、例えば、カリチアマイシンマイタンシノイド(maytansinoid)、ドラスタチンアウリスタチン(auristatin)、トリコテシンおよびCC1065ならびに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体が提供される。

0179

マイタンシノイド毒素部分としての使用に適切なマイタンシン(maytansine)化合物は、当該分野で周知であり、公知の方法に従って天然供給源から単離され得、遺伝子操作技術(Yuら(2002年)PNAS 99巻:7968〜7973頁を参照のこと)、または公知の方法に従って合成により調製されたマイタンシノール(maytansinol)およびマイタンシノールアナログを使用して産生され得る。マイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害することによって作用する有糸分裂阻害剤である。マイタンシンは、東アフリカの低木Maytenus serrataから最初に単離された(米国特許第3,896,111号)。引き続いて、ある特定の微生物もまた、マイタンシノールおよびC−3マイタンシノールエステルなどのマイタンシノイドを産生することが発見された(米国特許第4,151,042号)。合成マイタンシノールならびにその誘導体およびアナログは、例えば、米国特許第4,137,230号;米国特許第4,248,870号;米国特許第4,256,746号;米国特許第4,260,608号;米国特許第4,265,814号;米国特許第4,294,757号;米国特許第4,307,016号;米国特許第4,308,268号;米国特許第4,308,269号;米国特許第4,309,428号;米国特許第4,313,946号;米国特許第4,315,929号;米国特許第4,317,821号;米国特許第4,322,348号;米国特許第4,331,598号;米国特許第4,361,650号;米国特許第4,364,866号;米国特許第4,424,219号;米国特許第4,450,254号;米国特許第4,362,663号;および米国特許第4,371,533号に開示されており,その各々は、参照により本明細書に組み込まれる。マイタンシノイドを含有するコンジュゲート、それを作製する方法、およびそれらの治療的使用は、例えば、米国特許第5,208,020号;米国特許第5,416,064号;米国特許第6,441,163号および欧州特許EP0 425 235 B1に開示されており、それらの開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。

0180

さらなる毒素が、CAR、CARを発現するT細胞、抗体またはその抗原結合性部分と共に使用され得る。例示的な毒素には、Pseudomonas外毒素(PE)、ヒマ毒アブリンジフテリア毒素およびそのサブユニットリボトキシン(ribotoxin)、リボヌクレアーゼサポリンおよびカリチアマイシン、ならびにボツリヌス毒素A〜Fが含まれる。これらの毒素は、当該分野で周知であり、多くは、商業的供給源(例えば、Sigma Chemical Company、St.Louis、MO)から容易に入手可能である。企図される毒素には、これらの毒素のバリアントも含まれる(例えば、米国特許第5,079,163号および米国特許第4,689,401号を参照のこと)。

0181

サポリンは、リボソーム複合体の60S部分を不活性化することによってタンパク質合成破壊する、Saponaria officinalisに由来する毒素である(Stirpeら、Bio/Technology、10巻:405〜412頁、1992年)。しかし、この毒素は、細胞中への特異的進入のための機構を有さず、したがって、細胞によって効率的に取り込まれるために、内在化される細胞表面タンパク質を認識する抗
体または抗原結合性断片へのコンジュゲートを必要とする。

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