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技術 エレクトロクロミック装置、並びに、それを有するデバイス、窓、プロジェクションスクリーン、加飾材及び服飾材

出願人 株式会社リコー
発明者 長谷川徹油谷圭一郎八代徹高橋裕幸福田智男竹内弘司今野剛彰藤村浩高橋泰裕
出願日 2019年3月19日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-050901
公開日 2020年9月24日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-154072
状態 未査定
技術分野 エレクロ、電気泳動、可変反射吸収素子 陰極線管以外の表示装置の制御
主要キーワード 色透過率 非透過性材料 調光デバイス エレクトロクロミック要素 透過率測定結果 有機エレクトロクロミック材料 エレクトロクロミックセル 計測環境
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図面 (10)

課題

発消色を繰り返した後にも高い消色透過率を維持するエレクトロミック装置の提供。

解決手段

第1の電極および第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた電解質と、第1の電極と電解質との間に設けられた、酸化型エレクトロクロミック化合物含む第1のエレクトロクロミック層と、第2の電極と電解質との間に設けられた、還元型エレクトロクロミック化合物と金属酸化物とを含む第2のエレクトロクロミック層と、を有し、第1の電極及び第2の電極のうちの少なくともいずれか一方が透明であるエレクトロクロミック素子30と、エレクトロクロミック素子30の第1電極と第2電極との間に、エレクトロクロミック素子30を発色させる発色電圧と、発色電圧と同極性で前記発色電圧より絶対値が大きい補正電圧と、を印加する機能を有する、印加電圧制御手段40とを備えたエレクトロクロミック装置

概要

背景

電圧印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象エレクトロクロミズムという。エレクトロクロミズムは、一般に対向する2つの電極間に形成され、イオン伝導可能な電解質層が電極間に満たされた構成で酸化還元反応する。対向する2つの電極のうちの一方の近傍で還元反応が生じるときには、他方の電極の近傍では、逆反応である酸化反応が生じる。

エレクトロクロミズムを利用したエレクトロクロミック素子において、光の透過率を制御する調光デバイスを得ようとする場合や、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の3層の発色層を積層させた構成のデバイス構築する場合には、中性状態が透明状態である還元型エレクトロクロミック材料や、中性状態が透明である酸化型エレクトロクロミック材料により構成されていることが重要である。中でも、発色効率が高く、置換基によって様々な色を持たせることができる有機エレクトロクロミック材料が適している。

エレクトロクロミック材料の応用として、電気で透過率を制御する調光デバイスや、眼鏡用レンズへの応用に向けて開発が行われてきた(特許文献1参照)
このような調光デバイスにおいては、透明状態(消色状態)と発色状態において高いコントラスト比を実現することが重要である。そのためには、一対の電極のうち片方には酸化型エレクトロクロミック材料を含む層を形成し、他方には還元型エレクトロクロミック材料を含む層を形成した構成にすることが好ましい。素子電流を流した際に、酸化型エレクトロクロミック材料と還元型エレクトロクロミック材料が共に発色することで、より濃い発色濃度が得られるからである。

このような構造にすることによって、コントラストが向上できることに加え、エレクトロクロミック材料の拡散を抑止できるため、電極からエレクトロクロミック材料に注入された電荷が保持されるメモリー性発現することが可能となる。エレクトロクロミック材料に保持される電荷は主に外部回路からの電荷の注入、取り出しによって制御される。これはいわゆる二次電池充電放電現象と同じ動作モデルである。特許文献2に例示される発明のような、自己消色型のエレクトロクロミック素子と比較して、メモリー性を有するエレクトロクロミック素子の利点は、消費電力が大幅に低減できることである。特に携帯型の用途、バッテリー駆動が必要となる用途においては、消費電力は重要な問題である。

以上の点から、酸化型エレクトロクロミック層および還元型エレクトロクロミック層を電極に各々形成したエレクトロクロミック要素部材を積層することによって、低消費電力で透過率のコントラストが高く、色鮮やかな発色を呈するエレクトロクロミック素子が提案されている。

概要

発消色を繰り返した後にも高い消色透過率を維持するエレクトロミック装置の提供。第1の電極および第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた電解質と、第1の電極と電解質との間に設けられた、酸化型エレクトロクロミック化合物含む第1のエレクトロクロミック層と、第2の電極と電解質との間に設けられた、還元型エレクトロクロミック化合物と金属酸化物とを含む第2のエレクトロクロミック層と、を有し、第1の電極及び第2の電極のうちの少なくともいずれか一方が透明であるエレクトロクロミック素子30と、エレクトロクロミック素子30の第1電極と第2電極との間に、エレクトロクロミック素子30を発色させる発色電圧と、発色電圧と同極性で前記発色電圧より絶対値が大きい補正電圧と、を印加する機能を有する、印加電圧制御手段40とを備えたエレクトロクロミック装置

目的

本発明は、繰り返し動作/熱/光照射などにより本来の消色状態に変化することができなくなった状態から、本来の消色状態に変化することが可能となるエレクトロクロミック装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

エレクトロクロミック素子と該エレクトロクロミック素子に印加する電圧を制御する印加電圧制御手段とを備えたエレクトロクロミック装置であって、前記エレクトロクロミック素子は、第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた電解質と、前記第1の電極と前記電解質との間に設けられた、酸化型エレクトロクロミック化合物を含む第1のエレクトロクロミック層と、前記第2の電極と前記電解質との間に設けられた、還元型エレクトロクロミック化合物と金属酸化物とを含む第2のエレクトロクロミック層と、を有し、前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの少なくともいずれか一方が透明であり、前記印加電圧制御手段は、前記エレクトロクロミック素子の前記第1電極と前記第2電極との間に、前記エレクトロクロミック素子を発色させる発色電圧と、前記発色電圧と同極性で前記発色電圧より絶対値が大きい補正電圧と、を印加する機能を有する、エレクトロクロミック装置。

請求項2

前記印加電圧制御手段は前記補正電圧の値を任意に変更する機能を有する請求項1に記載のエレクトロクロミック装置。

請求項3

前記エレクトロクロミック素子の消色状態透過率を測定する透過率測定器を有する、請求項1または2に記載のエレクトロクロミック装置。

請求項4

前記透過率測定器による透過率の測定値が所定の設定値を下回った時に、該設定値を下回った旨の判定を行う機能を有する、請求項3に記載のエレクトロクロミック装置。

請求項5

前記判定を手動で実施する機能を有する、請求項4に記載のエレクトロクロミック装置。

請求項6

前記判定を自動で実施する機能を有する、請求項4に記載のエレクトロクロミック装置。

請求項7

前記透過率測定器が前記判定を行い、判定結果を通知する機能を有する、請求項5又は6に記載のエレクトロクロミック装置。

請求項8

前記印加電圧制御手段が前記判定を行い、判定結果を通知する機能を有する請求項5又は6に記載のエレクトロクロミック装置。

請求項9

前記判定の結果に基づいて、自動で前記補正電圧を印加する機能を有する、請求項4〜8のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置。

請求項10

前記判定の結果に基づいて、手動で前記補正電圧を印加する機能を有する、請求項4〜8のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置。

請求項11

前記判定の結果に基づいて補正電圧の値を調整する機能を有する、請求項4〜10のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置。

請求項12

請求項1〜11のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、グラスデバイス

請求項13

請求項1〜11のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、光学レンズデバイス。

請求項14

請求項1〜11のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、光学フィルターデバイス

請求項15

請求項1〜11のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、表示デバイス

請求項16

請求項1〜11のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、窓。

請求項17

請求項1〜11のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、ミラーデバイス

請求項18

請求項1〜11のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、プロジェクションスクリーン

請求項19

請求項1〜11のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、加飾材

請求項20

請求項1〜11のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、服飾材。

技術分野

0001

本発明は、エレクトロクロミック装置、並びに、それを有するデバイス、窓、プロジェクションスクリーン加飾材及び服飾材に関する。

背景技術

0002

電圧印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象エレクトロクロミズムという。エレクトロクロミズムは、一般に対向する2つの電極間に形成され、イオン伝導可能な電解質層が電極間に満たされた構成で酸化還元反応する。対向する2つの電極のうちの一方の近傍で還元反応が生じるときには、他方の電極の近傍では、逆反応である酸化反応が生じる。

0003

エレクトロクロミズムを利用したエレクトロクロミック素子において、光の透過率を制御する調光デバイスを得ようとする場合や、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の3層の発色層を積層させた構成のデバイスを構築する場合には、中性状態が透明状態である還元型エレクトロクロミック材料や、中性状態が透明である酸化型エレクトロクロミック材料により構成されていることが重要である。中でも、発色効率が高く、置換基によって様々な色を持たせることができる有機エレクトロクロミック材料が適している。

0004

エレクトロクロミック材料の応用として、電気で透過率を制御する調光デバイスや、眼鏡用レンズへの応用に向けて開発が行われてきた(特許文献1参照)
このような調光デバイスにおいては、透明状態(消色状態)と発色状態において高いコントラスト比を実現することが重要である。そのためには、一対の電極のうち片方には酸化型エレクトロクロミック材料を含む層を形成し、他方には還元型エレクトロクロミック材料を含む層を形成した構成にすることが好ましい。素子電流を流した際に、酸化型エレクトロクロミック材料と還元型エレクトロクロミック材料が共に発色することで、より濃い発色濃度が得られるからである。

0005

このような構造にすることによって、コントラストが向上できることに加え、エレクトロクロミック材料の拡散を抑止できるため、電極からエレクトロクロミック材料に注入された電荷が保持されるメモリー性発現することが可能となる。エレクトロクロミック材料に保持される電荷は主に外部回路からの電荷の注入、取り出しによって制御される。これはいわゆる二次電池充電放電現象と同じ動作モデルである。特許文献2に例示される発明のような、自己消色型のエレクトロクロミック素子と比較して、メモリー性を有するエレクトロクロミック素子の利点は、消費電力が大幅に低減できることである。特に携帯型の用途、バッテリー駆動が必要となる用途においては、消費電力は重要な問題である。

0006

以上の点から、酸化型エレクトロクロミック層および還元型エレクトロクロミック層を電極に各々形成したエレクトロクロミック要素部材を積層することによって、低消費電力で透過率のコントラストが高く、色鮮やかな発色を呈するエレクトロクロミック素子が提案されている。

発明が解決しようとする課題

0007

これまでのエレクトロクロミック素子は、繰り返し動作/熱/光照射などにより本来の消色状態に変化することができなくなる場合がある。この要因の一つとして、複数ある機能層電荷バランスが本来の正常な電荷バランスから偏ってしまうことが考えられる。電荷バランスが偏ったエレクトロクロミック素子は、非動作(消色状態)かつ常温暗所保管により、経時で本来の電荷バランスに戻っていくが、戻るまでの時間が長いという課題があった。

0008

本発明は、繰り返し動作/熱/光照射などにより本来の消色状態に変化することができなくなった状態から、本来の消色状態に変化することが可能となるエレクトロクロミック装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明に係るエレクトロクロミック装置は以下の構成を備えている。
エレクトロクロミック素子と該エレクトロクロミック素子に印加する電圧を制御する印加電圧制御手段とを備えたエレクトロクロミック装置であって、
前記エレクトロクロミック素子は、
第1の電極および第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた電解質と、
前記第1の電極と前記電解質との間に設けられた、酸化型エレクトロクロミック化合物含む第1のエレクトロクロミック層と、
前記第2の電極と前記電解質との間に設けられた、還元型エレクトロクロミック化合物と金属酸化物とを含む第2のエレクトロクロミック層と、
を有し、前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの少なくともいずれか一方が透明であり、
前記印加電圧制御手段は、前記エレクトロクロミック素子の前記第1電極と前記第2電極との間に、前記エレクトロクロミック素子を発色させる発色電圧と、前記発色電圧と同極性で前記発色電圧より絶対値が大きい補正電圧と、を印加する機能を有する、
エレクトロクロミック装置。

発明の効果

0010

本発明によれば、繰り返し動作/熱/光照射などにより本来の消色状態に変化することができなくなった状態から、本来の消色状態に変化することが可能となるエレクトロクロミック装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

図1は、本実施の形態に係るエレクトロクロミック素子を例示する断面図である。
図2は、エレクトロクロミック装置システムの例を示す図である。
図3は、図2に示したエレクトロクロミック装置システムのシーケンス例を示す図である。
図4は、図3に示したシーケンス例における電圧の変化を示す図である。
図5は、エレクトロクロミック装置システムの他の例を示す図である
図6は、図5に示したエレクトロクロミック装置システムのシーケンス例を示す図である。
図7は、図6に示したシーケンス例における電圧の変化を示す図である。
図8は、本発明の実施形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。
図9は、電圧を変化させたときの光の透過率と時間との関係を示す図である。

0012

以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。

0013

本発明は下記(1)に記載のエレクトロクロミック装置に係るものであるが、下記(2)〜(20)を発明の実施形態として含むのでこれらの実施形態についても合わせて説明する。
(1)エレクトロクロミック素子と該エレクトロクロミック素子に印加する電圧を制御する印加電圧制御手段とを備えたエレクトロクロミック装置であって、
前記エレクトロクロミック素子は、
第1の電極および第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた電解質と、
前記第1の電極と前記電解質との間に設けられた、酸化型エレクトロクロミック化合物を含む第1のエレクトロクロミック層と、
前記第2の電極と前記電解質との間に設けられた、還元型エレクトロクロミック化合物と金属酸化物とを含む第2のエレクトロクロミック層と、
を有し、前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの少なくともいずれか一方が透明であり、
前記印加電圧制御手段は、前記エレクトロクロミック素子の前記第1電極と前記第2電極との間に、前記エレクトロクロミック素子を発色させる発色電圧と、前記発色電圧と同極性で前記発色電圧より絶対値が大きい補正電圧と、を印加する機能を有する、
エレクトロクロミック装置。
(2)前記印加電圧制御手段は前記補正電圧の値を任意に変更する機能を有する上記(1)に記載のエレクトロクロミック装置。
(3)前記エレクトロクロミック素子の消色状態の透過率を測定する透過率測定器を有する、上記(1)又は(2)に記載のエレクトロクロミック装置。
(4)前記透過率測定器による透過率の測定値が所定の設定値を下回った時に、該設定値を下回った旨の判定を行う機能を有する、上記(3)に記載のエレクトロクロミック装置。
(5)前記判定を手動で実施する機能を有する、上記(4)に記載のエレクトロクロミック装置。
(6)前記判定を自動で実施する機能を有する、上記(4)に記載のエレクトロクロミック装置。
(7)前記透過率測定器が前記判定を行い、判定結果を通知する機能を有する、上記(5)又は(6)に記載のエレクトロクロミック装置。
(8)前記印加電圧制御手段が前記判定を行い、判定結果を通知する機能を有する上記(5)又は(6)に記載のエレクトロクロミック装置。
(9)前記判定の結果に基づいて、自動で前記補正電圧を印加する機能を有する、上記(4)〜(8)のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置。
(10)前記判定の結果に基づいて、手動で前記補正電圧を印加する機能を有する、上記(4)〜(8)のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置。
(11)前記判定の結果に基づいて補正電圧の値を調整する機能を有する、上記(4)〜(10)のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置。
(12)上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、グラス型デバイス。
(13)上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、光学レンズデバイス。
(14)上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、光学フィルターデバイス
(15)上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、表示デバイス
(16)上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、窓。
(17)上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、ミラーデバイス
(18)上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、プロジェクションスクリーン。
(19)上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、加飾材。
(20)上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック装置を有する、服飾材。

0014

本発明のエレクトロクロミック装置は、エレクトロクロミック素子と該エレクトロクロミック素子に印加する電圧を制御する印加電圧制御手段とを備えており、また、必要に応じてエレクトロクロミック素子の消色状態の透過率を測定する透過率測定器を備える。
以下、エレクトロクロミック素子、印加電圧制御手段及び透過率測定器のそれぞれについて説明する。

0015

[エレクトロクロミック素子]
本発明におけるエレクトロクロミック素子の実施形態を図1に基づいて説明する。
図1に示すエレクトロクロミック素子は上面に第1の支持体10を備え、下面に第2の支持体14を備えている。
エレクトロクロミック素子は第1の電極11および第2の電極13と、前記第1の電極11と前記第2の電極13との間に設けられた電解質15と、前記第1の電極11と前記電解質15との間に設けられた、酸化型エレクトロクロミック化合物含む第1のエレクトロクロミック層21と、前記第2の電極13と前記電解質15との間に設けられた、還元型エレクトロクロミック化合物と金属酸化物とを含む第2のエレクトロクロミック層22とを有している。
なお、図1に示すエレクトロクロミック素子においては、第1の電極11は第1の支持体10によって支持され、第2の電極13は第2の支持体14によって支持されている。
また、前記第1の電極11及び前記第2の電極13のうちの少なくともいずれか一方が透明である。
なお、以下に示す図では、第1の支持体10及び第2の支持体14の記載を省略する場合がある。

0016

前記第1のエレクトロクロミック層は、酸化反応によって着色を呈する酸化型エレクトロクロミック化合物を含む。酸化型エレクトロクロミック化合物としては、限定されないが、トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物架橋した架橋物からなることが、コントラスト、繰返し耐久性などの点から好ましい。

0017

前記第2のエレクトロクロミック層は、還元反応によって着色を呈する還元型エレクトロクロミック化合物、及び金属酸化物を含む。 還元型エレクトロクロミック化合物としては、限定されないが、ビオロゲン化合物ジピリジン系化合物、などが挙げられる。 還元型エレクトロクロミック化合物については、吸着基を介して、金属酸化物に担持された構造であることが、応答性やコントラスト、繰返し耐久性などの点から好ましい。
これらの材料の詳細については、後述する。

0018

以下、エレクトロクロミック素子の各構成要素について詳述する。
(第1の電極、第2の電極)
第1の電極及び第2の電極の材料としては特に制限されず、通常用いられる導電体を用いることができる。前述のように、第1の電極と第2の電極のうち少なくとも一方は透明電極であるが、透明電極については導電性を有する透明材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。例えば、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と称する場合がある)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と称する場合がある)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と称する場合がある)、酸化亜鉛等の無機材料等を用いることができる。これらの中でも、InSnO、GaZnO、SnO、In2O3、ZnOが好ましい。

0019

また、前記第1の電極及び第2の電極の一方を透明電極とし、他方を不透明な電極材料として鏡面反射する層を用いることで、反射率を制御可能な鏡を得ることが可能となる。鏡面反射するための電極層として、Al,Pt,Mo,Ag,Niなどの各種金属材料が好適に用いることができる。

0020

更に、透明性を有するカーボンナノチューブや、他のAu、Ag、Pt、Cu等の高導電性非透過性材料等を微細ネットワーク状に形成して、透明度を保持したまま、導電性を改善した電極を用いてもよい。第1の電極及び第2の電極の夫々の厚みは、第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層の酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように適宜調整できる。
例えば、第1の電極及び第2の電極の材料としてITOを用いた場合、第1の電極及び第2の電極の夫々の平均厚みは、50nm以上500nm以下程度とすることが好ましい。

0021

第1の電極及び第2の電極の夫々の作製方法としては、例えば、真空蒸着法スパッタ法イオンプレーティング法等を用いることができる。また、第1の電極及び第2の電極の夫々の材料が塗布形成できる方法であれば良く、例えば、スピンコート法キャスティング法マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法ロールコート法ワイアーバーコート法、ディップコート法スリットコート法キャピラリーコート法、スプレーコート法ノズルコート法グラビア印刷法スクリーン印刷法フレキソ印刷法オフセット印刷法反転印刷法インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。

0022

(第1のエレクトロクロミック層)
前記第1のエレクトロクロミック層に用いる、酸化型エレクトロクロミック化合物としては、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物を含む第1のエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物であることが、重合物溶解性及び耐久性の点からより好ましい。

0023

ここで、第1のエレクトロクロミック層の態様としては、前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物を含む第1のエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物からなる第1のエレクトロクロミック層を前記第1の電極上に積層した態様、前記第1のエレクトロクロミック層を前記第1の電極上に2層以上積層した態様、前記第1のエレクトロクロミック層を前記第1の電極上の一部に積層した態様、などが挙げられる。

0024

<<第1のエレクトロクロミック組成物>>
前記第1のエレクトロクロミック組成物は、トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物を含有し、前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物以外の他のラジカル重合性化合物を含有することが好ましく、重合開始剤を含有することがより好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。

0025

−トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物−
前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物は、第1の電極の表面において酸化還元反応を有するエレクトロクロミック機能を付与するために重要である。
前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。



ただし、nは1または2であり、n=2のときにはmは0であり、n=1のときmは0又は1である。A及びBの少なくとも1つはラジカル重合性官能基を有する。前記Aは下記一般式(2)で示される構造であり、R1からR15のいずれかの位置で前記Bと結合している。前記Bは下記一般式(3)で示される構造であり、R16からR21のいずれかの位置で前記Aと結合している。






ただし、R1からR21は、いずれも一価有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、前記一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。

0026

−一価の有機基−
前記一般式(2)及び前記一般式(3)における前記一価の有機基としては、各々独立に、水素原子ハロゲン原子ヒドロキシル基ニトロ基シアノ基カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基アミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノカルボニル基スルホン酸基、置換基を有していてもよいアルコキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基スルホンアミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい複素環基などが挙げられる。

0027

これらの中でも、安定動作及び光耐久性の点から、アルキル基、アルコキシル基、水素原子、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アルケニル基、アルキニル基が特に好ましい。

0028

前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子塩素原子臭素原子ヨウ素原子などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基エチル基プロピル基ブチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基ナフチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基エトキシ基プロポキシ基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基などが挙げられる。
前記複素環基としては、例えば、カルバゾールジベンゾフランジベンゾチオフェンオキサジアゾールチアジアゾールなどが挙げられる。

0029

前記置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。

0030

−ラジカル重合性官能基−
前記ラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であればいずれでもよい。
前記ラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。

0031

(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(i)で表される官能基が挙げられる。



ただし、前記一般式(i)中、X1は、単結合、置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R100)−基〔R100は、水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基を表す。〕、又は−S−基を表す。

0032

前記一般式(i)のアリーレン基としては、例えば、置換基を有してもよいフェニレン基ナフチレン基などが挙げられる。
前記アルケニレン基としては、例えば、エテニレン基プロペニレン基ブテニレン基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。

0033

前記一般式(i)で表されるラジカル重合性官能基の具体例としては、ビニル基スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基アクリロイル基アクリロイルオキシ基アクリロイルアミド基ビニルチオエーテル基などが挙げられる。

0034

(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(ii)で表される官能基が挙げられる。



ただし、前記一般式(ii)中、Yは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR101基〔R101は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又はCONR102R103(R102及びR103は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)〕を表す。また、X2は、前記一般式(i)のX1と同一の置換基及びアルキレン基を表す。ただし、Y及びX2の少なくともいずれか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、芳香族環である。

0035

前記一般式(ii)のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。

0036

前記一般式(ii)で表されるラジカル重合性官能基の具体例としては、α−塩化アクリロイルオキシ基メタクリロイル基メタクリロイルオキシ基、α−シアエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基などが挙げられる。

0037

なお、これらX1、X2、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。

0038

前記ラジカル重合性官能基の中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。

0039

前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物としては、以下の一般式(1−1)から(1−3)で表される化合物が好適に挙げられる。

0040

0041

0042

0043

前記一般式(1−1)から(1−3)中、R27からR89は、いずれも一価有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、前記一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。
前記一価の有機基及び前記ラジカル重合性官能基としては、前記一般式(1)と同じものが挙げられる。

0044

前記一般式1、及び前記一般式(1−1)から(1−3)で表される化合物の例示化合物としては、以下に示すものが挙げられる。前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物はこれらに限定されるものではない。

0045

0046

0047

0048

0049

0050

0051

0052

0053

0054

0055

0056

0057

0058

0059

0060

0061

0062

0063

0064

0065

0066

0067

0068

0069

0070

0071

0072

0073

0074

0075

0076

0077

0078

0079

0080

0081

0082

0083

0084

0085

−他のラジカル重合性化合物−
前記他のラジカル重合性化合物は、前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物とは異なり、少なくとも1つのラジカル重合性官能基を有する化合物である。
前記他のラジカル重合性化合物としては、例えば、1官能のラジカル重合性化合物、2官能のラジカル重合性化合物、3官能以上のラジカル重合性化合物、機能性モノマーラジカル重合性オリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、2官能以上のラジカル重合性化合物が特に好ましい。
前記他のラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基としては、前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基と同様であり、これらの中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。

0087

前記2官能のラジカル重合性化合物としては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0088

前記3官能以上のラジカル重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記において、EO変性はエチレンオキシ変性を指し、PO変性はプロピレンオキシ変性を指す。

0089

前記機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報に記載のシロキサン繰り返し単位が20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0090

前記ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレートオリゴマーウレタンアクリレート系オリゴマーポリエステルアクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。

0091

前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物及び前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物の少なくともいずれか一方がラジカル重合性官能基を2つ以上有していることが、架橋物を形成する点から好ましい。
前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物の含有量は、ラジカル重合性化合物の全量に対して、10質量%以上100質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
前記含有量が、10質量%以上であると、第1のエレクトロクロミック層のエレクトロクロミック機能が充分に発現でき、加電圧による繰り返しの使用で耐久性が良好であり、発色感度が良好である。
前記含有量が、100質量%でもエレクトロクロミック機能が可能であり、この場合、最も厚みに対する発色感度が高い。それに相反して電荷の授受に必要であるイオン液体との相溶性が低くなる場合があるため、加電圧による繰り返しの使用で耐久性の低下などによる電気特性劣化が現れる。使用されるプロセスによって要求される電気特性が異なるため一概には言えないが、発色感度と繰り返し耐久性の両特性のバランスを考慮すると30質量%以上90質量%以下が特に好ましい。

0092

<<重合開始剤>>
前記第1のエレクトロクロミック組成物は、前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物との架橋反応を効率よく進行させるため、必要に応じて重合開始剤を含有することが好ましい。
前記重合開始剤としては、熱重合開始剤光重合開始剤などが挙げられるが、重合効率の観点から光重合開始剤が好ましい。

0093

前記熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイドジクミルパーオキサイドベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイルヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0094

前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニルブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニルオキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤;などが挙げられる。

0095

その他の光重合開始剤としては、例えばエチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイドビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレンアクリジン系化合物、トリアジン系化合物イミダゾール系化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、光重合促進効果を有するものを単独又は前記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミンメチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。

0096

前記重合開始剤の含有量は、前記ラジカル重合性化合物の全量100質量部に対して、0.5質量部以上40質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましい。

0097

<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒可塑剤レベリング剤増感剤分散剤界面活性剤酸化防止剤フィラーなどが挙げられる。

0098

<第1のエレクトロクロミック層の形成方法
前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物とを含むエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物を含む第1のエレクトロクロミック層は、以下に示す第1のエレクトロクロミック層の形成方法により形成することができる。
前記第1のエレクトロクロミック層の形成方法は、塗布工程を含み、架橋工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。

0099

−塗布工程−
前記塗布工程は、前記第1の電極上に、トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物とを含むエレクトロクロミック組成物を塗布する工程である。

0100

前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物、前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物としては、前記説明したものを用いることができる。

0101

前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物とを含有する塗布液を塗布する。塗布液は、必要に応じて溶媒により希釈して塗布する。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばメタノールエタノールプロパノールブタノール等のアルコール系溶媒アセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンシクロヘキサノン等のケトン系溶媒酢酸エチル酢酸ブチル等のエステル系溶媒テトラヒドロフランジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系溶媒ジクロロメタンジクロロエタントリクロロエタンクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエンキシレン等の芳香族系溶媒;メチルセロソルブエチルセロソルブセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記溶媒による希釈率は、前記第1のエレクトロクロミック組成物の溶解性、塗工法、目的とするエレクトロクロミック層の厚みなどにより変わり、適宜選択することができる。
前記塗布は、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などにより行うことができる。

0102

−架橋工程−
前記架橋工程は、塗布した第1のエレクトロクロミック組成物に対し加熱又は光エネルギーを付与して架橋する工程である。

0103

前記第1の電極上に第1のエレクトロクロミック組成物を塗布後、外部からエネルギーを与え、硬化させて、第1のエレクトロクロミック層を形成する。
前記外部エネルギーとしては、例えば、熱、光、放射線などが挙げられる。
前記熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素等の気体蒸気、又は各種熱媒体赤外線電磁波を用い塗工表面側、あるいは支持体側から加熱することによって行われる。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上170℃以下が、好ましい。

0104

前記光のエネルギーとしては、主に紫外光(UV)に発光波長をもつ高圧水銀灯メタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。
UVの照射光量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mW/cm2以上15,000mW/cm2以下が好ましい。

0105

前記第1のエレクトロクロミック層として、前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物とを含むエレクトロクロミック組成物を含む組成物を架橋した架橋物以外であるものとしては、プルシアンブルー型錯体、及び酸化ニッケルから選択される少なくとも1種が挙げられる。これらを用いた場合における前記第1のエレクトロクロミック層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンレーティング法等を用いることができる。また、前記第1のエレクトロクロミック層の材料が塗布形成できるものであれば、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。

0106

前記第1のエレクトロクロミック層の平均厚みは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.4μm以上10μm以下がより好ましい。

0107

(第2のエレクトロクロミック層)
前記第2のエレクトロクロミック層に用いる、還元型エレクトロクロミック化合物としては、例えば、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0108

これらの中でも、発消色電位が低く、良好な色値を示す点から、ビオロゲン系化合物、ジピリジン系化合物が好ましい。
前記ビオロゲン系化合物としては、例えば、特許第3955641号公報、特開2007−171781号公報に記載の化合物などが挙げられる。

0109

前記ジピリジン系化合物としては、例えば、特開2007−171781号公報、特開2008−116718号公報に記載の化合物などが挙げられる。
これらの中でも、良好な発色の色値を示す点から、下記一般式(4)で表されるジピリジン系化合物が好ましい。

0110

前記一般式(4)において、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、又はアリール基を表し、R1及びR2の少なくとも一方は、COOH、PO(OH)2、及びSi(OCkH2k+1)3(ただし、kは、1〜20を表す)から選択される置換基を有する。
前記一般式(4)において、Xは1価のアニオンを表す。前記一価のアニオンとしては、カチオン部と安定に対をなすものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Brイオン(Br−)、Clイオン(Cl−)、ClO4イオン(ClO4−)、PF6イオン(PF6−)、BF4イオン(BF4−)などが挙げられる。
前記一般式(4)において、n、m、及びlは、0、1又は2を表す。A、B、及びCは、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。

0111

前記第2のエレクトロクロミック層としては、金属酸化物粒子に有機エレクトロクロミック化合物を担持させた構成が好ましい。具体的には、電極表面に粒径5nm〜50nm程度の金属酸化物微粒子焼結し、その金属酸化物粒子の表面にホスホン酸やカルボキシル基、シラノール基等の極性基を有する有機エレクトロクロミック化合物を吸着させた構造である。
このような構造では、金属酸化物粒子の大きな表面効果を利用して、効率よく有機エレクトロクロミック化合物に電子が注入されるため、従来のエレクトロクロミック表示素子と比較して高速応答が可能となる。更に、金属酸化物粒子を用いることで表示層として透明な膜を形成することができるため、エレクトロクロミック色素の高い発色濃度を得ることができる。また、複数種類の有機エレクトロクロミック化合物を金属酸化物粒子に担持することもできる。

0112

金属酸化物粒子の電荷を保持する特徴を利用することで、電荷バランスが偏ったエレクトロクロミック素子に対して補正電圧を印加した際に、本来の正常な電荷バランスへ戻すことができる。

0113

前記金属酸化物粒子を構成する金属酸化物としては、例えば、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム酸化セリウム酸化イットリウム酸化ホウ素酸化マグネシウムチタン酸ストロンチウムチタン酸カリウムチタン酸バリウムチタン酸カルシウム酸化カルシウムフェライト酸化ハフニウム酸化タングステン酸化鉄酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト酸化バリウム酸化ストロンチウム酸化バナジウムアルミノケイ酸リン酸カルシウムアルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、電気伝導性等の電気的特性光学的性質等の物理的特性の点から、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステンが特に好ましい。

0114

前記金属酸化物粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エレクトロクロミック化合物を効率よく担持するために、単位体積当たりの表面積(以下比表面積)が大きい形状のものを用いることが好ましい。例えば、金属酸化物粒子が、ナノ粒子集合体であるときは、大きな比表面積を有するため、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比が優れる。

0115

前記第2のエレクトロクロミック層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンレーティング法等を用いることができる。また、前記第2のエレクトロクロミック層の材料が塗布形成できるものであればよく、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。

0116

前記第2のエレクトロクロミック層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2μm以上5.0μm以下が好ましい。前記平均厚みが、0.2μm以上であると、発色濃度が得られやすく、5.0μm以下であると着色によって視認性が低下しにくくなる。
前記第2のエレクトロクロミック層は真空製膜により形成することも可能であるが、生産性の点で粒子分散ペーストとして塗布形成することが好ましい。

0117

(電解質)
前記電解質は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に充填されている。前記電解質としては、例えば、アルカリ金属塩アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩酸類アルカリ類支持塩を用いることができ、具体的には、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3COO、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2などが挙げられる。

0118

前記電解質の材料としては、イオン性液体を用いることもできる。これらの中でも、有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域液体を示す分子構造を有しているため、用いることが好ましい。
前記有機のイオン性液体の分子構造として、カチオン成分としては、例えば、N,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩トリエチルヘキシルアンモニウム塩等の脂肪族級アンモニウム系などが挙げられる。
また、アニオン成分としては、大気中での安定性を考慮して、フッ素を含んだ化合物を用いることが好ましく、例えば、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3COO、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2などが挙げられる。
前記電解質の材料としては、前記カチオン成分と前記アニオン成分とを任意に組み合わせたイオン性液体を用いることが好ましい。
前記イオン性液体は、光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかに直接溶解させてもよい。なお、溶解性が悪い場合は、少量の溶媒に溶解させて、該溶液を光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかと混合して用いればよい。

0119

前記溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネートアセトニトリルγ−ブチロラクトンエチレンカーボネートスルホランジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。

0120

前記電解質は低粘性の液体である必要はなく、ゲル状や高分子架橋型液晶分散型などの様々な形態をとることが可能である。電解質はゲル状、固体状に形成することで、素子強度向上、信頼性向上などの利点が得られる。
固体化手法としては、電解質と溶媒をポリマー樹脂中に保持することが好ましい。これにより高いイオン伝導度固体強度が得られるためである。
更に、前記ポリマー樹脂としては光硬化可能な樹脂が好ましい。熱重合溶剤蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間でエレクトロクロミックセルを製造できるためである。

0121

前記電解質からなる電解質層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm以上100μm以下が好ましい。

0122

(その他の部材)
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、絶縁性多孔質層封止材などが挙げられる。

0123

[印加電圧制御手段]
本発明における印加電圧制御手段40は図2に示すように、エレクトロクロミック素子30に電圧を印加する電圧印加装置41と電圧印加装置41の動作を制御する制御装置42とを備えている。
制御装置42がシステムを制御しており、通常時には、電圧印加装置41は制御装置42からの信号に基づいて発色動作及び消色動作を実行する。
そして、エレクトロクロミック素子30が繰り返し動作/熱/光照射などにより本来の消色状態に変化することができなくなった場合には、本来の消色状態にすることを可能にするために、制御装置42からの制御信号に基づいて電圧印加装置41はエレクトロクロミック素子30に通常の発色電圧よりも大きな補正電圧を印加する動作を行う。以下では、通常の発色電圧よりも大きな補正電圧を印加する動作を「消色補正動作」という。

0124

消色補正動作は以下のような態様とすることができる。
補正電圧を印加する時間は一定時間に固定するか、または、透過率などに応じて任意に変更することができる。
補正電圧を印加する回数は一定の回数に固定するか、または、透過率などに応じて任意に変更することができる。
消色時の透過率を測定するなどの目的で、補正電圧印加と消色電圧印加とを交互に繰り返すことができる。
この場合、繰り返しの回数は一定の回数に固定するか、または、透過率などに応じて任意に変更することができる。
また、エレクトロクロミック素子内部の状態が安定するまで待機するなどの目的で、補正電圧を印加した後や、消色電圧を印加した後に、第1電極と第2電極を一定時間オープンにすることも可能であり、オープンにする時間は、一定時間に固定するか、または、透過率などに応じて任意に変更することができる。
補正電圧は発色電圧よりも大きな電圧であることが必要であるが、大きすぎると素子の劣化が大きくなるので、必要以上に大きな電圧を印加する必要はない。

0125

ここで、本発明における「発色電圧」及び「補正電圧」という用語は以下のように定義されるものである。
(発色電圧)
発色電圧とは、エレクトロクロミック化合物が色変化を起こすために必要な閾値電圧以上の電圧であり、通常の発色動作時に使用される電圧である。発色速度を高める為、前記閾値より、エレクトロクロミック化合物が劣化しにくい範囲で電圧を高めて設定する場合が多い。
(補正電圧)
補正電圧とは、前記発色電圧より絶対値が大きい電圧であり、消色補正動作時に使用される電圧である。電圧が高く、長時間印加するとエレクトロクロミック化合物を劣化させる可能性が高い為、通常の発色動作には用いず、頻度の低い消色補正動作にのみ使用する。

0126

具体的な消色補正動作の実施形態の例を述べる。
−実施形態1−
制御装置42が「発色動作」及び「消色動作」の回数を記録し、規定の回数となると消色状態の透過率が低下したと判定し、電圧印加装置41によって「消色補正動作」を実行することで、エレクトロクロミック素子の消色状態の透過率を上昇させる。
本実施形態1のシーケンス図を図3に示し、また、電圧図を図4に示す。
消色状態の透過率が低下したと判断すると、自動で「消色補正動作」を実行する。
「消色補正動作」で印加する補正電圧の値は固定値である。

0127

−実施形態2−
本実施形態2のエレクトロクロミック装置システム構成図5に示す。
このエレクトロクロミック装置システム構成は実施形態1の構成に加え、透過率測定器50を有している。
透過率測定器50はエレクトロクロミック素子の消色状態の透過率を測定する。
そして、その測定結果に基づいて補正電圧をエレクトロクロミック素子に印加する。

0128

透過率測定器50による測定結果に基づいて補正電圧を印加する方法としては次の(1)及び(2)の方法が考えられる。
(1)透過率測定器50の測定値を印加電圧制御手段40に送り、印加電圧制御手段40は測定値を所定の設定値と比較し、測定値が所定の設定値を下回った時に補正電圧をエレクトロクロミック素子30に印加する。
(2)透過率測定器50は、透過率を測定すると共に、測定値と所定の設定値とを比較し、測定値が所定の設定値を下回った時に、NGであると判定し、この判定結果に基づいて、印加電圧制御手段40がエレクトロクロミック素子30に補正電圧を印加する。
例えば、透過率測定器50が判定結果がNGであることをユーザーに通知し、ユーザーが手動でSW押下などによりトリガ信号を入力して、電圧印加装置41内の「消色補正動作」を実行し、補正電圧をエレクトロクロミック素子に印加する。
または、透過率測定器50の判定結果のNG信号を自動的に制御装置42に送って電圧印加装置41内の「消色補正動作」を実行し、補正電圧をエレクトロクロミック素子30に印加する。
本実施形態2のシーケンス図を図6に、また、電圧図を図7に示す。
「消色補正動作」で印可する補正電圧の値は、消色状態の透過率に応じたより精度の高いFB(フィードバック)値を用いる。

0129

補正電圧を印加するに際しては、一定の固定した電圧を印加しても良いし、補正電圧の値を調整して適宜変化させて印加しても良い。
透過率測定結果によるFB(フィードバック)値あるいは動作回数などを元に、補正電圧の値を変化させることで、より精度の高い消色補正動作を実施することができる。

0130

本発明のエレクトロクロミック装置の用途としては、顔に装着して用いるグラス型デバイス、光学レンズデバイス、光学フィルターデバイス、表示デバイス、窓、ミラーデバイス、プロジェクションスクリーン、加飾材、服飾材等が挙げられる。

0131

以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。

0132

以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。

0133

[実施例1]
素子構成
図8に示す構成のエレクトロクロミック装置を作製した。
以下にエレクトロクロミック装置の作製方法を示す。

0134

(第1の支持体、第1の電極の形成)
第1の支持体であるガラス基板上に、第1の電極であるITOを形成し、ITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)とした。

0135

(第2の支持体、第2の電極の形成)
第1の支持体、第1の電極の形成と同様に、
第2の支持体であるガラス基板上に、第2の電極であるITOを形成し、ITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)とした。

0136

(第1のエレクトロクロミック層の形成)
(a)下記構造式Aで表される化合物と下記構造式Bで表される化合物とを質量比7:3で混合した組成物と、
(b)ポリエチレングリコールジアクリレート(日本化薬、PEG400DA)とメトキシポリエチレングリコールアクリレート(日油、AME−400)と密着性改良剤(日本化薬、PM−21)を質量比7.125:2.375:0.5で混合し光開始剤(BASF、IRGACURE184)を5質量%添加した組成物と、
(c)シクロヘキサノンと、
を質量比(a):(b):(c)=15:15:70で混合した溶液を作製した。
その後、第1の電極上にインクジェット法により前記溶液を塗布し、窒素雰囲気下でUV硬化させて膜厚1.3umの第1のエレクトロクロミック層を形成して、第1のエレクトロクロミック要素部材を得た。

0137

(第2のエレクトロクロミック層の形成)
第2の電極上に、酸化スズ分散液(日産化学、CX−S301H)をフィルムディップ法によって塗布し、80℃10minで乾燥処理することで膜厚3.5umの酸化スズ膜を形成した。

0138

次いで、得られた酸化スズ膜上に、下記構造式Cで表されるエレクトロクロミック化合物(ビオロゲン)を2質量%含有する2,2,3,3−テトラフロロプロパノール(TFP)溶液をスピンコート法によって塗布し、80℃ 10minで乾燥処理することで第2のエレクトロクロミック層を形成して、第2のエレクトロクロミック要素部材を得た。

0139

(電解質の形成)
上記で作製した第1のエレクトロクロミック要素部材と第2のエレクトロクロミック要素部材とを、第1のエレクトロクロミック層と第2のエレクトロクロミック層とが対向するようにスペーサを介して貼り合せ、スペースに電解質として以下の材料を基板間に充填した。
次いで、この電解質に紫外線照射して硬化させてエレクトロクロミック素子を作製した。電解質層の膜厚は33μmであった。
<電解質>
イオン液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミド(DKS、IL−110)と、ポリエチレングリコールジアクリレート(日油、ADE−400A)とメトキシポリエチレングリコールアクリレート(日油、AME−400)を質量比1:1で混合し光開始剤(BASF、IRGACURE184)を0.5質量%添加した組成物とを、質量比3:2で混合して電解質を得た。

0140

(印加電圧制御手段)
電気化学測定ガルバノスタットシステム(Solartron、ModuLab)を、上記で得たエレクトロクロミック装置の第1の電極及び第2の電極に接続した。
電気化学測定用ガルバノスタットシステムは電圧印加機能と印加電圧制御機能とを備えた装置である。

0141

動作特性評価)
通常の発色電圧が−1.6Vであり、本来の消色状態に変化することができなくなった状態のエレクトロクロミック素子の透過率は71%であった。この71%という数値初期透過率とし、この状態のエレクトロクロミック素子に対して以下の評価を行った。
第1の電極と第2の電極との間に、以下の電圧パターンを印加し、第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層を発消色させ、同時に透過率測定を実施した。
(補正電圧−1.7V、30s → 消色電圧0.6V、30s)×3set
透過率は光の波長610nm成分をOcean Optics社製、USB4000で測定した。
透過率と時間との関係を示すグラフ図9として示した。
各電圧パターンについてみると、初期透過率71%に対して効果が最も表れるのは3set目の消色後透過率であった。
初期透過率と3set目の消色後透過率を比較した。
結果を表1に示す。
表1に示すとおり、初期透過率71%と比較して、消色後透過率が上昇した。

0142

[実施例2]
素子構成、各層の形成、計測環境は、実施例1と同様である。
(動作特性評価)
実施例1において、電圧パターンを以下の電圧パターンに変更した以外は実施例1と同様にして、第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層を発消色させ、同時に透過率測定を実施した。
(補正電圧−1.8V、30s → 消色電圧0.6V、30s)×3set
初期透過率と3set目の消色後透過率を比較した。
結果を表1に示す。
表1に示すとおり、初期透過率71%と比較して、消色後透過率が上昇した。

0143

[実施例3]
素子構成、各層の形成、計測環境は、実施例1と同様である。
(動作特性評価)
実施例1において、電圧パターンを以下の電圧パターンに変更した以外は実施例1と同様にして、第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層を発消色させ、同時に透過率測定を実施した。
(補正電圧−1.9V、30s → 消色電圧0.6V、30s)×3set
初期透過率と3set目の消色後透過率を比較した。
結果を表1に示す。
表1に示すとおり、初期透過率71%と比較して、消色後透過率が上昇した。

0144

[実施例4]
素子構成、各層の形成、計測環境は、実施例1と同様である。
(動作特性評価)
実施例1において、電圧パターンを以下の電圧パターンに変更した以外は実施例1と同様にして、第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層を発消色させ、同時に透過率測定を実施した。
(補正電圧−2.0V、30s → 消色電圧0.6V、30s)×3set
初期透過率と3set目の消色後透過率を比較した。
結果を表1に示す。
表1に示すとおり、初期透過率71%と比較して、消色後透過率が上昇した。

0145

[比較例1]
素子構成、各層の形成、計測環境は、実施例1と同様である。

0146

(動作特性評価)
実施例1において、電圧パターンを以下の電圧パターンに変更した以外は実施例1と同様にして、第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層を発消色させ、同時に透過率測定を実施した。
(補正電圧−1.3V、30s→消色電圧0.6V、30s)×3set
初期透過率と3set目の消色後透過率を比較した。
結果を表1に示す。
表1に示す通り、初期透過率71%と比較して、消色後透過率に変化は無かった。

0147

[比較例2]
素子構成、各層の形成、計測環境は、実施例1と同様である。
(動作特性評価)
実施例1において、電圧パターンを以下の電圧パターンに変更した以外は実施例1と同様にして、第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層を発消色させ、同時に透過率測定を実施した。
(補正電圧−1.4V、30s → 消色電圧0.6V、30s)×3set
初期透過率と3set目の消色後透過率を比較した。
結果を表1に示す。
表1に示す通り、初期透過率71%と比較し、消色後透過率に変化は無かった。

0148

[比較例3]
素子構成、各層の形成、計測環境は、実施例1と同様である。
(動作特性評価)
実施例1において、電圧パターンを以下の電圧パターンに変更した以外は実施例1と同様にして、第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層を発消色させ、同時に透過率測定を実施した。
(補正電圧−1.5V、30s → 消色電圧0.6V、30s)×3set
初期透過率と3set目の消色後透過率を比較した。
結果を表1に示す。
表1に示す通り、初期透過率71%と比較し、消色後透過率に変化は無かった。

0149

[実施例5](素子構成)
図9に示す構成のエレクトロクロミック装置を作製した。
以下にエレクトロクロミック装置の作製方法を示す。

0150

(第1の支持体、第1の電極の形成)
第1の支持体であるポリカーボネート基板上に、第1の電極であるITOを形成し、ITOポリカーボネート基板(50mm×35mm、厚み0.3mm、ITO膜厚:約110nm)とした。

0151

(第2の支持体、第2の電極の形成)
第1の支持体、第1の電極の形成と同様に、
第2の支持体であるポリカーボネート基板上に、第2の電極であるITOを形成し、ITOポリカーボネート基板(50mm×35mm、厚み0.3mm、ITO膜厚:約110nm)とした。

0152

(第1のエレクトロクロミック層の形成)
(a)実施例1に記載の構造式Aで表される化合物と実施例1に記載の構造式Bで表される化合物とを質量比7:3で混合した組成物と、
(b)メトキシポリエチレングリコールアクリレート(日油、AME−400)と架橋剤(日本化薬、PET−30)と相溶化剤(新中化学、BPE−1300N)とシクロヘキサンを質量比9:2.25:3:70で混合し光開始剤(BASF、IRGACURE184)を5質量%添加した組成物と、
(c)密着性改良剤(日本化薬、PM−21)と、
を質量比(a):(b):(c)=1.5:8.425:0.075で混合した溶液を作製した。
その後、第1の電極上にインクジェット法により前記溶液を塗布し、窒素雰囲気下でUV硬化させて膜厚1.3umの第1のエレクトロクロミック層を形成して、第1のエレクトロクロミック要素部材を得た。

0153

(第2のエレクトロクロミック層の形成)
第2の電極上に、酸化スズ分散液(日産化学、CX−S301H)をフィルムディップ法によって塗布し、80℃10minで乾燥処理することで膜厚2.5umの酸化スズ膜を形成した。

0154

次いで、得られた酸化スズ膜上に、実施例1に記載の構造式Cで表されるエレクトロクロミック化合物(ビオロゲン)を2質量%含有する2,2,3,3−テトラフロロプロパノール(TFP)溶液をスピンコート法によって塗布し、90℃、30minで乾燥処理することで第2のエレクトロクロミック層を形成して、第2のエレクトロクロミック要素部材を得た。

0155

(電解質の形成)
上記で作製した第1のエレクトロクロミック要素部材と第2のエレクトロクロミック要素部材とを、第1のエレクトロクロミック層と第2のエレクトロクロミック層とが対向するようにスペーサを介して貼り合せ、スペースに電解質として以下の材料を基板間に充填した。
次いで、この電解質に紫外線を照射して硬化させてエレクトロクロミック素子を作製した。電解質層の膜厚は24μmであった。
<電解質>
イオン液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(DKS、IL−110)とポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート(アルケマ、SR252)を質量比1:1で混合し光開始剤(BASF、IRGACURE184)を0.5質量%添加して電解質を得た。

0156

(印加電圧制御手段)
実施例1と同様のものを用いた

0157

(動作特性評価)
計測環境は、実施例1と同様である。
通常の発色電圧が−1.6Vであり、本来の消色状態に変化することができなくなった状態のエレクトロクロミック素子の透過率は57%であった。この57%という数値を初期透過率とし、この状態のエレクトロクロミック素子に対して以下の評価を行った。
第1の電極と第2の電極の間に、以下の電圧パターンを印加し、第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層を発消色させ、同時に透過率測定を実施した。
(補正電圧−2.0V、30s→オープン40s→消色電圧0.6V、30s)×3set
初期透過率と3set目の消色後透過率を比較した。
結果を表1に示す。
表1に示すとおり、初期透過率57%と比較して、消色後透過率が上昇した。

0158

[実施例6]
(素子構成)
図8に示す構成のエレクトロクロミック装置を作製した。
以下にエレクトロクロミック装置の作製方法を示す。

0159

(第1の支持体、第1の電極の形成)
実施例5と同等とした。

0160

(第2の支持体、第2の電極の形成)
実施例5と同等とした。

0161

(第1のエレクトロクロミック層の形成)
(a)実施例1に記載の構造式Aで表される化合物と実施例1に記載の構造式Bで表される化合物とを質量比7:3で混合した組成物と、
(b)メトキシポリエチレングリコールアクリレート(日油、AME−400)と架橋剤(日本化薬、PET−30)と相溶化剤(新中村化学、BPE−1300N)と密着性改良剤(日本化薬、PM−21)を質量比9:2.25:3:0.75で混合し光開始剤(BASF、IRGACURE184)を5質量%添加した組成物と、
(c)シクロヘキサンと、
を質量比(a):(b):(c)=1.5:1.5:7で混合した溶液を作製した。
その後、第1の電極上にインクジェット法により前記溶液を塗布し、窒素雰囲気下でUV硬化させて膜厚1.3umの第1のエレクトロクロミック層を形成して、第1のエレクトロクロミック要素部材を得た。

0162

(第2のエレクトロクロミック層の形成)
第2の電極上に、酸化スズ分散液(日産化学、CX−S301H)をスクリーン印刷法によって塗布し、80℃20minで乾燥処理することで膜厚2.5umの酸化スズ膜を形成した。

0163

次いで、得られた酸化スズ膜上に、実施例1に記載の構造式Cで表されるエレクトロクロミック化合物(ビオロゲン)を2質量%含有する2,2,3,3−テトラフロロプロパノール(TFP)溶液をスピンコート法によって塗布し、80℃ 30minで乾燥処理することで第2のエレクトロクロミック層を形成して、第2のエレクトロクロミック要素部材を得た。

0164

(電解質の形成)
イオン液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(DKS、IL−110)とポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート(アルケマ、SR252)を質量比1:1で混合した組成物を、第1のエレクトロクロミック層と第2のエレクトロクロミック層との間に介在させて紫外線を照射して硬化させてエレクトロクロミック素子を作製した。電解質層の膜厚は59μmであった。

0165

(印加電圧制御手段)
実施例1と同様のものを用いた。

0166

(動作特性評価)
計測環境は、実施例1と同様である。
通常の発色電圧が−1.6Vであり、本来の消色状態に変化することができなくなった状態のエレクトロクロミック素子に対して以下の評価を行った。初期透過率は58%であった。
第1の電極と第2の電極の間に、以下の電圧パターンを印加し、第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層を発消色させ、同時に透過率測定を実施した。
(補正電圧−2.0V、30s →オープン40s→消色電圧0.6V、30s)×3set
初期透過率と3set目の消色後透過率を比較した。
結果を表1に示す。
表1に示すとおり、初期透過率58%と比較して、消色後透過率が上昇した。

実施例

0167

0168

10 第1の支持体
11 第1の電極
13 第2の電極
14 第2の支持体
15電解質
21 第1のエレクトロクロミック層
22 第2のエレクトロクロミック層
30エレクトロクロミック素子
40印加電圧制御手段
41電圧印加装置
42制御装置
50透過率測定器

先行技術

0169

特開2015−014743号公報
特許第2672083号公報

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