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技術 繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性予測方法

出願人 マツダ株式会社
発明者 平本健治王存涛築山友美小川淳一
出願日 2019年3月22日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-054888
公開日 2020年9月24日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-153918
状態 未査定
技術分野 機械的応力負荷による材料の強さの調査 CAD プラスチック等の射出成形
主要キーワード Eガラス インターメッシュ 結合度合い 次要素 配向データ 有限要素メッシュ 剛性マトリックス マイクロドロップレット
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年9月24日)のものです。
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図面 (12)

課題

繊維強化樹脂成形品応力−ひずみ特性を、精度よく予測可能な方法を提供する。

解決手段

繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性予測方法は、基準となる繊維強化樹脂成形品のサンプルの画像データと、前記サンプルに含まれる繊維の繊維長データ及び配向データとに基づいて、代表体積要素を作成する工程と、繊維、樹脂及び繊維−樹脂界面の各々について、前記代表体積要素全体の要素数が所定の要素数以下となるように、有限要素法により有限要素メッシュを作成するとともに、前記繊維、前記樹脂及び前記繊維−樹脂界面の各々の応力を示す関数をこれらの含有比率に応じて足し併せて、前記代表体積要素全体の応力−ひずみ特性を示すモデル関数を作成する工程と、前記繊維及び前記樹脂の材料特性値と、予め実験的に取得した前記繊維−樹脂界面の界面強度の実測データとを、前記モデル関数に回帰させて回帰式を得る工程と、前記回帰式に基づき、任意の繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性を予測する工程とを備えたことを特徴とする。

概要

背景

従来より、繊維強化樹脂材料力学特性CAE(Computer Aided Enginieering)により予測することが行われている(例えば特許文献1参照)。

また、繊維強化樹脂材料の力学特性は、繊維−樹脂界面特性の影響を受け得ることが知られている(例えば非特許文献1参照)。

概要

繊維強化樹脂成形品応力−ひずみ特性を、精度よく予測可能な方法を提供する。繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性予測方法は、基準となる繊維強化樹脂成形品のサンプルの画像データと、前記サンプルに含まれる繊維の繊維長データ及び配向データとに基づいて、代表体積要素を作成する工程と、繊維、樹脂及び繊維−樹脂界面の各々について、前記代表体積要素全体の要素数が所定の要素数以下となるように、有限要素法により有限要素メッシュを作成するとともに、前記繊維、前記樹脂及び前記繊維−樹脂界面の各々の応力を示す関数をこれらの含有比率に応じて足し併せて、前記代表体積要素全体の応力−ひずみ特性を示すモデル関数を作成する工程と、前記繊維及び前記樹脂の材料特性値と、予め実験的に取得した前記繊維−樹脂界面の界面強度の実測データとを、前記モデル関数に回帰させて回帰式を得る工程と、前記回帰式に基づき、任意の繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性を予測する工程とを備えたことを特徴とする。

目的

そこで本開示では、繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性を、計算量を抑えつつ精度よく予測可能な方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

基準となる繊維強化樹脂成形品サンプルの画像データと、前記サンプルに含まれる繊維の繊維長データ及び配向データとに基づいて、代表体積要素を作成する工程と、繊維、樹脂及び繊維−樹脂界面の各々について、前記代表体積要素全体の要素数が所定の要素数以下となるように、有限要素法により有限要素メッシュを作成するとともに、前記繊維、前記樹脂及び前記繊維−樹脂界面の各々の応力を示す関数をこれらの含有比率に応じて足し併せて、前記代表体積要素全体の応力−ひずみ特性を示すモデル関数を作成する工程と、前記繊維及び前記樹脂の材料特性値と、予め実験的に取得した前記繊維−樹脂界面の界面強度の実測データとを、前記モデル関数に回帰させて回帰式を得る工程と、前記回帰式に基づき、任意の繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性を予測する工程とを備えたことを特徴とする繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性予測方法

請求項2

請求項1において、前記繊維−樹脂界面の応力を示す関数は、結合力モデルを用いて記述されることを特徴とする繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性予測方法。

請求項3

請求項1又は請求項2において、前記繊維−樹脂界面の界面強度の実測データは、ナノインデンテーション法により測定されたものであることを特徴とする繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性予測方法。

請求項4

請求項1乃至請求項3のいずれか一において、前記繊維強化樹脂成形品は、射出成形品であることを特徴とする繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性予測方法。

技術分野

0001

本開示は、繊維強化樹脂成形品応力−ひずみ特性予測方法に関するものである。

背景技術

0002

従来より、繊維強化樹脂材料力学特性CAE(Computer Aided Enginieering)により予測することが行われている(例えば特許文献1参照)。

0003

また、繊維強化樹脂材料の力学特性は、繊維−樹脂界面特性の影響を受け得ることが知られている(例えば非特許文献1参照)。

0004

特開2013−36897号公報

先行技術

0005

J.Rosenthal:Polym.Compo.,13,6(1992),p462−p466

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、特許文献1には、解析に用いる入力パラメータの1つとして、繊維強化樹脂材料に含まれる繊維と樹脂との界面の界面強度を用いることについて、言及はなされているものの、具体的な方法はなんら開示されていない。

0007

そこで本開示では、繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性を、計算量を抑えつつ精度よく予測可能な方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0008

上記の課題を解決するために、ここに開示する第1の技術に係る繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性予測方法は、基準となる繊維強化樹脂成形品のサンプルの画像データと、前記サンプルに含まれる繊維の繊維長データ及び配向データとに基づいて、代表体積要素を作成する工程と、繊維、樹脂及び繊維−樹脂界面の各々について、前記代表体積要素全体の要素数が所定の要素数以下となるように、有限要素法により有限要素メッシュを作成するとともに、前記繊維、前記樹脂及び前記繊維−樹脂界面の各々の応力を示す関数をこれらの含有比率に応じて足し併せて、前記代表体積要素全体の応力−ひずみ特性を示すモデル関数を作成する工程と、前記繊維及び前記樹脂の材料特性値と、予め実験的に取得した前記繊維−樹脂界面の界面強度の実測データとを、前記モデル関数に回帰させて回帰式を得る工程と、前記回帰式に基づき、任意の繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性を予測する工程とを備えたことを特徴とする。

0009

本技術によれば、繊維−樹脂界面の界面強度の実測データを、モデル関数に回帰させて回帰式を得るから、繊維−樹脂界面の界面強度を考慮したモデル関数を同定することができ、代表体積要素を繊維、樹脂、繊維−樹脂界面の3種に分けて、各々について有限要素法によりメッシュ分割してモデル化することができる。そうして、精度よく繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性を予測することができる。

0010

第2の技術は、第1の技術において、前記繊維−樹脂界面の応力を示す関数は、結合力モデルを用いて記述されることを特徴とする。

0011

結合力モデルは、CZM(Cohesive Zone Model)と称される関数であり、界面強度を直接考慮することができる。本技術によれば、界面強度を直接考慮することができるから、精度よく繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性を予測することができる。

0012

第3の技術は、第1又は第2の技術において、前記繊維−樹脂界面の界面強度の実測データは、ナノインデンテーション法により測定されたものであることを特徴とする。

0013

ナノインデンテーション法は、成形品から切り出した試料片繊維部分微小プローブで押すことにより、試料片における樹脂部分と繊維部分との界面の強度をより精確に測定することができる。本技術によれば、ナノインデンテーション法により測定された界面強度の実測データを用いて回帰式を得るから、より精度よく繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性を予測することができる。

0014

第4の技術は、第1乃至第3の技術のいずれか一において、前記繊維強化樹脂成形品は、射出成形品であることを特徴とする。

0015

射出成形法により得られた繊維強化樹脂成形品は、樹脂中に含まれる繊維の繊維長、繊維配向ランダムであることや、成形品の部位毎によっても含有比率や配向が異なり得ることから、モデル関数の立式が困難であり、CAEによる解析が困難となり得る。本技術によれば、射出成形法により得られた繊維強化樹脂成形品においても、繊維、樹脂、繊維−樹脂界面の応力−ひずみ特性を示す関数を含有比率に応じて足し併せて代表体積要素全体の応力−ひずみ特性を示すモデル関数を作成するから、精度よく繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性を予測することができる。

発明の効果

0016

以上述べたように、本開示によると、繊維−樹脂界面の界面強度の実測データを、モデル関数に回帰させて回帰式を得るから、繊維−樹脂界面の界面強度を考慮したモデル関数を同定することができ、代表体積要素を繊維、樹脂、繊維−樹脂界面の3種に分けて、各々について有限要素法によりメッシュ分割してモデル化することができる。そうして、精度よく繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性を予測することができる。

図面の簡単な説明

0017

一実施形態に係る応力−ひずみ特性予測方法を説明するためのフローである。
繊維強化樹脂成形品の一例を示す斜視図である。
繊維強化樹脂成形品のマイクロフォーカスX線CT画像である。
メッシュ分割された代表体積要素(RVE)の一部を示す斜視図である。
ナノインデンテーション法において使用する試験片の切り出しについて説明するための図である。
ナノインデンテーション法の測定手順を説明するための図である。
ナノインデンテーション法を用いて測定された微小プローブの変位荷重との関係を示すグラフである。
PP成形品引張試験の結果を示すグラフである。
繊維長測定試験において得られた繊維長の分布を示すグラフである。
供試材3〜8について、樹脂中のMA含有比率に対して界面のせん断強度の値をプロットした図である。
供試材1,2の応力−ひずみ特性について、引張試験の結果とCAE計算結果とを比較したグラフである。

実施例

0018

以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。

0019

(一実施形態)
<繊維強化樹脂成形品>
本実施形態に係る応力−ひずみ特性予測方法が好ましく適用される繊維強化樹脂成形品(以下、単に「成形品」ともいう。)は、強化材としての繊維を含有する樹脂からなる成形品である。

0020

−樹脂−
樹脂は、成形品の骨格を形成するための母材であり、熱硬化性樹脂熱可塑性樹脂である。樹脂は、具体的には、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAHPP)等のポリオレフィン樹脂エポキシ樹脂(以下、「エポキシ」と称することがある。)、フェノール樹脂不飽和ポリエステル樹脂ビニルエステル樹脂ポリカーボネート樹脂ポリエステル樹脂ポリアミド(PA)樹脂、液晶ポリマー樹脂ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂ポリアリレート樹脂ポリフェニレンエーテル樹脂ポリフェニレンスルファイド(PPS)樹脂、ポリアセタール樹脂ポリスフォン樹脂、ポリイミド樹脂ポリエーテルイミド樹脂ポリスチレン樹脂変性ポリスチレン樹脂、AS樹脂(アクリロニトリルスチレンとのコポリマー)、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンのコポリマー)、変性ABS樹脂、MBS樹脂メチルメタクリレート、ブタジエン及びスチレンのコポリマー)、変性MBS樹脂、ポリメチルメタクリレートPMMA)樹脂、変性ポリメチルメタクリレート樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上が混合されて用いられ得る。

0021

−繊維−
繊維は、主として繊維強化樹脂成形品の強度を向上させる目的で、樹脂に添加される材料であり、具体的には例えば、ガラスファイバ(GF)、カーボンファイバ(CF)、アラミドファイバアルミナファイバシリコンカーバイドファイバ、ボロンファイバ、炭化ケイ素ファイバ等が挙げられる。CFは、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN系)、ピッチ系セルロース系、炭化水素による気相成長炭素繊維黒鉛繊維などが挙げられる。また、GFとしては、Eガラス、Sガラスなどが用いられる。これらは1種又は2種以上が混合されて用いられ得る。

0022

繊維径rは、限定する意図ではないが、カタログ値などの平均径が例えば5nm以上100μm以下である。繊維長Lは、限定する意図ではないが、後述する繊維長測定試験で得られた繊維長が例えば10nm以上5000μm以下である。また、繊維長Lを繊維径rで除して得られるアスペクト比(L/r)は、限定する意図ではないが、例えば5以上、好ましくは5以上500以下である。

0023

なお、繊維の長手方向に垂直な断面の形状は、特に限定されるものではないが、例えば円形楕円形矩形多角形等の任意の形状である。言い換えると、繊維の形状は、円柱状、楕円柱状四角柱状、多角柱状等の形状として扱われる。

0024

また、成形品中における繊維の含有比率は、例えば1質量%以上50質量%以下、好ましくは5質量%以上20質量%以下である。

0025

改質剤表面処理
なお、樹脂と繊維との接着性を向上させる観点から、必要に応じて樹脂へ改質剤を添加したり、繊維の表面処理を行ったりしてもよい。樹脂の改質剤としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAHPP)等が挙げられる。繊維の表面処理としては、プラズマ処理強酸酸化処理等が挙げられる。これらの改質剤の添加や表面処理の方法は、いずれかを単独で行ってもよいし、あるいはこれらのうちの2種類以上が組み合わされて使用され得る。

0026

−その他の添加物
繊維強化樹脂成形品は、成形性、強度、意匠性、機能性等の向上の観点から、フィラー顔料染料耐衝撃性改良剤UV吸収剤等の添加材等を含有してもよい。これらの添加材は単独で又は複数種添加され得る。

0027

繊維強化樹脂成形品中に、添加材等を含有させる場合には、成形性、強度、意匠性、機能性等を向上させる観点から、添加材の含有比率は、成形品中において例えば5質量%以下とすることができる。

0028

−成形品−
本実施形態に係る繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性予測方法が好適に適用される成形品の用途としては、自動車用部品ロケット航空機等の部品スポーツ用品等が挙げられる。

0029

成形方法
成形方法は、特に限定されるものではなく、種々の公知の成形方法であってよい。具体的には例えば、射出成形押出成形真空成形圧縮成形オートクレーブ成形、樹脂トランスファー成形RTM)等である。

0030

なお、本実施形態に係る応力−ひずみ特性予測方法は、繊維の繊維長、繊維径、配向等にばらつきがあっても、効率よく予測を行うことができるから、射出成形品の応力−ひずみ特性の予測に特に好適に用いることができる。射出成形法により得られた繊維強化樹脂成形品は、樹脂中に含まれる繊維の繊維長、繊維配向がランダムであることや、成形品の部位毎によっても含有比率や配向が異なり得ることから、モデル関数の立式が困難であり、CAEによる解析が困難となり得る。本技術によれば、射出成形法により得られた繊維強化樹脂成形品においても、繊維、樹脂、繊維−樹脂界面の応力−ひずみ特性を示す関数を含有比率に応じて足し併せて代表体積要素全体の応力−ひずみ特性を示すモデル関数を作成するから、精度よく繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性を予測することができる。

0031

<応力−ひずみ特性の予測方法>
図1に、本実施形態に係る応力−ひずみ特性予測方法のフローを示す。応力−ひずみ特性予測方法は、RVE作成工程S1と、有限要素メッシュ作成工程S2と、モデル関数作成工程S3と、回帰分析工程S4と、予測工程S5とを備えている。なお、以下の工程は、例えばDigimat(e−Xtream engineering社製、Simpleware(Synopsys社製)、J−OCTA(株式会社JSOL製)、Abaqus(インターメッシュジャパン株式会社製)等の市販のCAEソフトウェアを用いて行うことができる。

0032

−RVE作成工程−
RVE作成工程S1は、基準となる繊維強化樹脂成形品から切り出したサンプルの画像データと、サンプルに含まれる繊維の繊維長データ及び配向データと、サンプルに含まれる繊維の含有比率とに基づいて、代表体積要素(RVE)、すなわちサンプルのミクロ構造形状モデルを作成する工程である。

0033

具体的には例えば、図2に示すように、基準となる成形品のサンプル100を射出成形法等の製造方法により準備する。サンプル100は、例えば引張試験用標ISOダンベル試験片である。

0034

そして、サンプル100について、図2に示すように、ダンベル平行部反ゲート側端部101を切り出し、図3に示すマイクロフォーカスX線CT画像(画像データ)を撮影する。画像データは、マイクロフォーカスX線CT画像に限らず、FIB−SEM等の画像であってもよい。

0035

また、成形品に含まれる繊維の繊維長、繊維径、繊維含有比率、繊維配向等のデータを得る。具体的には例えば、繊維長は、カタログ値を用いてもよいし、実験的に求めてもよい。実験的に求める方法としては、サンプル100の一部を切り出し、樹脂成分を焼却除去した後、所定数の繊維についてその繊維長を測定し、下記式(1)により重量平均繊維長Lwを算出する方法が挙げられる。

0036

Lw=(ΣiNiLi2)/(ΣiNiLi) (i=1,2,…,I) ・・・(1)
但し、NiはLiの長さを有する繊維の数、Iは異なる繊維長の繊維の数である。

0037

また、繊維径はカタログ値を用いてもよいし、実験的に求めてもよい。実験的には、例えば、上述のごとく得られた所定数の繊維について顕微鏡観察し、平均径を算出すること等が挙げられる。繊維含有比率は、サンプル100を製造したときの仕込み値を用いればよい。なお、後の回帰分析における収束性の問題から、制約条件として、繊維断面をRVE表面に配置しないように、RVE中に繊維を配置することが望ましい。

0038

また、繊維配向のデータは、例えば図3に示すCT画像を用い、図2に示す角度θ,φを各繊維について測定し、下記式(2)で表される配向テンソルAを算出することにより得ることができる。

0039

0040

そうして、このようにして得られた、画像データ、繊維長、繊維径、繊維含有比率、繊維配向、及び制約条件から、例えば繊維を円柱状と仮定して、RVEを作成する。

0041

−有限要素メッシュ作成工程S2−
RVE作成工程S1で作成したRVEを、有限要素法により有限要素メッシュに分割する。このとき、繊維、樹脂及び繊維−樹脂界面の各々の領域を個別にメッシュ分割する。具体的には、RVE全体の要素数が、所定の要素数以下、すなわち例えば100万要素以下、好ましくは60万要素以下となるようにメッシュ分割することが望ましい。

0042

メッシュ分割したRVEの一部を図4に示す(符号200)。例えば、繊維及び樹脂領域については、四面体次要素で分割することができる。

0043

なお、繊維−樹脂界面の領域については、例えば接点共有モデル、界面層モデル、接触モデル、結合力モデル等を用いて記述することができる。接点共有モデルとは、一つの材料特性のみ変えたモデルである。界面層モデルとは、繊維周りに一定の厚みのメッシュを切り、ここの材料特性を変えたモデルである。接触モデルとは、繊維と樹脂を別々にメッシュ分割し、そこの境界摩擦係数などで接触を定義したモデルである。結合力モデルとは、CZM(Cohesive Zone Model)と称される関数であり、後述するように、界面強度を直接考慮することができる。ゆえに、高精度の応力−ひずみ特性予測を可能とする観点から、特に界面強度を直接考慮することができる結合力モデルを用いて記述することが望ましい。

0044

このとき、RVE全体の応力−ひずみ特性を示すモデル関数は、上述の有限要素メッシュを用い、繊維の応力を示す関数と、樹脂の応力を示す関数と、繊維−樹脂界面の応力を示す関数を、RVE中の繊維、樹脂、繊維−樹脂界面の含有比率(質量比)に応じて加算することで表される。

0045

具体的には、RVE全体の応力σを表す関数は、下式(3)のように記述できる。
σ=σE+σP ・・・(3)
但し、式(3)中、σEは複合材弾性域の応力、σPは複合材の塑性域の応力である。

0046

σEは例えば複合速を使えば以下のように記述できる。
σE=ασEfVf+σEm(1−Vf) ・・・(4)
ここで、αは繊維の配向係数、σEf、σEmはそれぞれ繊維およびマトリックス弾性応力、Vfは繊維の体積含有率である。ここには等価化一財物理論等を用いてもよい。

0047

σPは以下のように記述できる。
σP=σPm×f(α、L、τif) ・・・(5)
ここで、σPmは樹脂の塑性域の応力、Lは繊維長、τifは繊維と樹脂の界面強度である。

0048

以上から複合材の応力は以下のように記述できる。
σ=ασEfVf+σEm(1−Vf)+σPm×f(α、L、τif) ・・・(6)
データ取得工程S3−
上記式(6)に入力する材料特性値としてのデータを取得する。データは、繊維のヤング率Ef、樹脂のヤング率Em、樹脂の応力-ひずみ関係、繊維−樹脂界面の界面強度τifである。

0049

繊維のヤング率Efおよび樹脂のヤング率Emは文献値を使用することができる。樹脂の応力-ひずみ関係は、例えば、後述するように、繊維を含有しない樹脂のみで製造した成形品の引張試験を行うことにより、実測データ(材料特性値)として実験的に求めることができる。繊維−樹脂界面の界面強度τifは、例えば、後述するように、ナノインデンテーション法、マイクロドロップレット法等を利用して、実測データ(材料特性値)として実験的に求めることができる。

0050

なお、ナノインデンテーション法は、図5図6に示すように、例えば成形品100から切り出した薄肉の試料片13の繊維部分12を微小プローブ2で押すことにより、試料片13における樹脂部分11と繊維部分12との界面の強度を測定する。具体的には、図7に示すように、微小プローブ2の変位と荷重との関係をプロットし、荷重が一定となった(c)部分の荷重の値から、下記式(7)により界面強度を算出する。

0051

τif=P/(πdL) ・・・(7)
但し、式(7)中、Pは荷重、dは繊維部分12の繊維径、Lは繊維部分12の繊維長である。また、図6図7中の(a)〜(d)の符号は、互いに対応している。

0052

このように、ナノインデンテーション法は、成形品から実際に切り出した試料片13における樹脂部分11と繊維部分12との界面の強度を直接測定するから、繊維−樹脂界面の界面強度τifをより精確に測定することができる。ゆえに、繊維−樹脂界面の界面強度τifの実測データは、ナノインデンテーション法により取得することが望ましい。

0053

−回帰分析工程S4−
上述の繊維及び樹脂の材料特性値、樹脂のひずみ及び繊維−樹脂界面の界面強度の実測データ(材料特性値)を、上記式(6)のモデル関数に回帰させ、これら材料特性値を最もよく表すように式(6)の各係数を決定して同定する。そうして、最終的に下記式(8)の回帰式を得る。

0054

σ=Kε ・・・(8)
但し、式(8)中、Kは剛性マトリックス、εはRVE全体のひずみである。

0055

−予測工程S5−
予測工程S5では、上記式(8)の回帰式に基づき、任意の繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性を予測する。

0056

以上述べたように、繊維−樹脂界面の応力を示す関数を定義するとともに、繊維−樹脂界面の界面強度の実測データを、モデル関数に回帰させて回帰式を得るから、繊維−樹脂界面の界面強度を考慮したモデル関数を同定することができ、代表体積要素を繊維、樹脂、繊維−樹脂界面の3種に分けて、各々について有限要素法によりメッシュ分割してモデル化することができる。そうして、精度よく繊維強化樹脂成形品の応力−ひずみ特性を予測することができる。

0057

(その他の実施形態)
以下、本開示に係る他の実施形態について詳述する。なお、これらの実施形態の説明において、上記実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。

0058

繊維表面の表面処理の有無を反映させる場合には、例えばτifを下記式(9)で表せばよい。

0059

τif=a+b(1−ecx) ・・・(9)
但し、式(9)中、aは樹脂表面の摩擦係数、bは結合テンソル、cは無水マレイン酸変性ポリプロピレンと表面処理が施された樹脂表面との結合度合い、xは無水マレイン酸変性ポリプロピレンの含有比率である。

0060

式(9)は、上述のナノインデンテーション法や、マイクロドロップレット法等により得られた繊維−樹脂界面の界面強度の実測データの近似式として得られた式である。

0061

なお、繊維表面の表面処理とは、例えば、ガラス繊維であれば、ガラス繊維の表面にCOOH基等の官能基を導入して、また炭素繊維であれば、サイジング剤やプラズマ処理により、繊維表面の樹脂への接着性の度合い等を調整することをいう。表面処理の有無により、a,b,cの値が変化し得る。

0062

上記実施形態1の式(6)に上記式(9)を導入することにより、表面処理の有無を考慮した応力−ひずみ特性の予測が可能となる。

0063

[実験例]
次に、具体的に実施した実験例について説明する。

0064

<供試材>
樹脂として、ホモポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製MA1B、以下、「PP」ともいう。)に、無水マレイン酸変性PP(三洋化成工業(株)社製ユーメックス1001、以下、「MA」ともいう。)を全樹脂中における含有比率が0質量%、5質量%,10質量%となるように配合したものを用いた。繊維として、市販の直径17μmのガラス繊維(以下、「GF」ともいう。)、表面処理A(CN基を導入)を施したガラス繊維、表面処理B(COOH基を導入)を施したガラス繊維を、成形品中の繊維含有比率が10質量%となるように添加し、射出成形により、表1に示す計8種類の成形品を作製した。

0065

0066

<引張試験>
せん断スクリュー装備した日本製鋼電動横型220t射出成形機(J220AD−2M460H/30)により、引張試験用標準ISOダンベルサンプル(厚さ4mm)を成形した(図2参照)。サンプルとしては、計算で入力する材料特性値取得用の樹脂(MA有/無)のみのPP成形品と、計算の検証に用いるPP/GF成形品(MA有/無)との計4種類を準備した。JIS K7161に準じて、万能試験機インストロン製)を用いて、チャック間距離115mm,試験速度1mm/分で応力−ひずみ曲線を測定した。なお、図2中に示す両矢印は、万能試験機による引張方向を示している。図8に、PP成形品の応力−ひずみ曲線を示す。

0067

<繊維長測定試験>
試験の成形品の一部を切り取り電気炉を用いて625℃で4時間加熱してPPを焼き飛ばした後、1000本のGFについて、その繊維長を測定して上述の式(1)を用いて重量平均繊維長(Lw)を算出した。なお、図9に、測定した繊維長の分布を示す。

0068

繊維配向測定試験>
図2に示すダンベル平行部の反ゲート側端を切り取り、マイクロフォーカスX線CT装置((株)東研社製Tohken−skyscan2011)を用いて,4μmの分解能で画像を撮影した。この画像を元に、図2に示すφ,θを、ラトックシステムエンジニアリング(株)製TRI/3D−FBR64で繊維1本ごとに測定し、上記式(2)で表される配向テンソルAを算出した。配向テンソルAの算出結果を表2に示す。

0069

0070

<繊維−樹脂界面強度測定>
ナノインデンター(東陽テクニカ製)を用いて、図2の成形品を切削加工して得られた薄肉フィルム(厚さ:約 200μm)より、GFを押出し、直接、PP/GF界面のせん断強度を界面強度として測定した。供試材1,2の界面強度の測定結果を表2に示す。また、供試材3〜8の界面強度の測定結果を図10に示す。

0071

<計算>
上述の方法により、繊維配向測定で得られたCT画像と、繊維含有比率10質量%と、繊維長及び繊維配向の測定結果から、Digimat2016.1(e−Xtream engineering社)を用いて、RVE(3.1mm×0.6mm×0.6mm)を作成した。

0072

また、Abaqus 6.14−3(ダッソーシステムズ(株)製)を用いて、RVEの繊維および樹脂部分を四面体1次要素で分割した(メッシュサイズ40μm)。また、繊維−樹脂界面を結合力モデルでモデル化した。なお、RVE全体の要素数は約60万要素であった。

0073

そして、Abaqus 6.14−3を用いて、繊維及び樹脂の材料特性値としてのカタログ値、PP成形品の引張試験の結果、繊維−樹脂界面の界面強度の測定結果を入力して、回帰式を求めた。

0074

<実験結果と計算結果との比較>
供試材1,2について、上述の引張試験において求めたPP/GF成形品(MA有/無)の見かけの応力−ひずみ曲線と、上述の方法で同定した回帰式(8)を用いたCAE計算結果を図11に示す。

0075

図11に示すように、供試材1,2の応力−ひずみ特性の実験値とCAE計算結果とでは、いずれもほぼ一致していることが判る。なお、実験値では、弾性域ではMA有/無での差はないが、降伏以降でMA有(供試材2)の方がMA無(供試材1)よりも応力値が高くなっている。CAE計算結果では、降伏以降の応力値の差についてもシミュレーションできており、上記式(6)において繊維−樹脂界面強度を考慮することによって、CAEにおいてもこの差を定量的に表し得ることが示唆された。

0076

<繊維表面の表面処理の効果>
供試材3〜8について、界面強度を測定したところ、表1,図10に示すように、MAを含有しない供試材3,6では、表面処理B(COOH基を導入)よりも表面処理A(CN基を導入)を施したGFを含む方が、界面強度は高く、繊維−樹脂間の接着強度が高いことが判る。一方、MAを含有する供試材4,5,7,8では、表面処理A(CN基を導入)よりも表面処理B(COOH基を導入)を施したGFを含む方が、界面強度は高く、繊維−樹脂間の接着強度が高いことが判る。このことから、COOHとMAとの相互作用が強く、接着強度が向上したものと考えられる。なお、図10では、MAの含有比率が5質量%を超えて増加すると、表面処理A,Bの界面強度の差は小さくなることが示唆される。このように界面強度の実測データから図11近似曲線が得られ、当該近似曲線は、上記式(9)で表される。なお、表面処理Aの近似式の係数a,b,cはそれぞれ5.3,9.65,0.19であり、表面処理Bの近似式の係数a,b,cはそれぞれ4.6,10.2,0.37である。

0077

100サンプル、成形品(繊維強化樹脂成形品)
101反ゲート側端部
11樹脂部分
12繊維部分
15 繊維−樹脂界面
200 (代表体積要素、RVEの)一部

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