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技術 機関冷却水循環システムの異常検出装置

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 武藤晴文片山章弘兵藤淳司橋本洋介
出願日 2020年3月26日 (9ヶ月経過) 出願番号 2020-056781
公開日 2020年9月24日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-153374
状態 未査定
技術分野 内燃機関の複合的制御 排気還流装置 機械または機関の冷却一般
主要キーワード 送出室 再循環作用 送出風 学習済みニューラルネットワーク 多機能弁 人工ニューロン 故障診断フラグ 空調用ヒータ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年9月24日)のものです。
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図面 (20)

課題

機関冷却水循環ステムの異常を正確に検出する。

解決手段

機関冷却水温推定するために、グリルシャッタ(50)が開かれている状態であるか否か、およびブロワ(63)の送出風空調用ヒータ(65)を流通している状態であるか否かの四つの状態に対し、夫々、重みの学習が行われた四つの学習済みニューラルネットワーク(150A,150B,150C,150D)が記憶されている。これら四つの学習済みニューラルネットワーク(150A,150B,150C,150D)のうちから選択されたいずれか一つの学習済みニューラルネットワークを用いて機関冷却水温が推定され、機関冷却水温の推定値に基いて機関冷却水循環システムの異常が検出される。

概要

背景

機関回転数燃料噴射量、外気温車速およびEGR制御弁開度から、機関始動後機関冷却水温の変化を予測し、この予測水温に基づいて、冷却水の流れを調整するサーモスタットの作動異常を検出するようにした内燃機関が公知である(例えば特許文献1を参照)。この場合、機関回転数、燃料噴射量、外気温、車速およびEGR制御弁の開度をニューラルネットワーク入力パラメータとし、機関冷却水温の実測値教師データとして、ニューラルネットワークの重みを学習すると、高い精度でもって機関冷却水温の予測値を得ることができる。

概要

機関冷却水循環ステムの異常を正確に検出する。機関冷却水温を推定するために、グリルシャッタ(50)が開かれている状態であるか否か、およびブロワ(63)の送出風空調用ヒータ(65)を流通している状態であるか否かの四つの状態に対し、夫々、重みの学習が行われた四つの学習済みニューラルネットワーク(150A,150B,150C,150D)が記憶されている。これら四つの学習済みニューラルネットワーク(150A,150B,150C,150D)のうちから選択されたいずれか一つの学習済みニューラルネットワークを用いて機関冷却水温が推定され、機関冷却水温の推定値に基いて機関冷却水循環システムの異常が検出される。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

車両外部から機関本体周りに流入する走行風の流れを調整可能なグリルシャッタと、機関冷却水が供給される空調用ヒータおよび該空調用ヒータから加熱された空気を流出させるために該空調用ヒータに空気を送り込むブロワを有する空調装置と、機関冷却水循環ステムとを具備しており、該機関冷却水循環システムが、ウォータポンプと、ウォータポンプから流出した冷却水が機関本体内ウォータジャケットおよびラジエータを経てウォータポンプに戻る主冷却水循環通路と、ウォータポンプから流出した冷却水が該空調用ヒータを経てウォータポンプに戻る副冷却水循環通路と、該主冷却水循環通路から分岐されてラジエータを迂回するバイパス通路と、主冷却水循環通路およびバイパス通路からウォータポンプに戻る冷却水の流れを調整するサーモスタットとを具備しており、機関冷却水温に基づき該機関冷却水循環システムの異常が検出される機関冷却水循環システムの異常検出装置において、機関始動時の機関冷却水温と、機関への吸入空気量と、機関への燃料噴射量と、外気温と、車速からなる少なくとも五つのパラメータニューラルネットワーク入力パラメータとし、機関冷却水温の実測値教師データとして、グリルシャッタが閉鎖されかつブロワの送出風が空調用ヒータを流通していない状態、グリルシャッタが開かれかつブロワの送出風が空調用ヒータを流通していない状態、グリルシャッタが閉鎖されかつブロワの送出風が空調用ヒータを流通している状態、グリルシャッタが開かれかつブロワの送出風が空調用ヒータを流通している状態からなる四つの状態に対し、夫々、重みの学習が行われた四つの学習済みニューラルネットワークが記憶されており、これら四つの学習済みニューラルネットワークのうちから現在のグリルシャッタの状態および空調用ヒータにおけるブロワの送出風の流通状態に対応したいずれか一つの学習済みニューラルネットワークを用いて、上記五つのパラメータから機関冷却水温が推定され、機関冷却水温の推定値に基いて、該機関冷却水循環システムの異常が検出される機関冷却水循環システムの異常検出装置。

請求項2

機関始動後、上記機関冷却水温の推定値の上昇量に比べて機関冷却水温の実測値の上昇量が低いときには、主冷却水循環通路からウォータポンプに向けて冷却水が流通し続けるサーモスタットの作動異常が生じていると判別される請求項1に記載の機関冷却水循環システムの異常検出装置。

請求項3

機関始動後、上記機関冷却水温の推定値の上昇量に比べて機関冷却水温の実測値の上昇量が高いときには、主冷却水循環通路からウォータポンプに向かう冷却水の流通を停止し続けるサーモスタットの作動異常が生じていると判別される請求項1に記載の機関冷却水循環システムの異常検出装置。

請求項4

上記五つのパラメータに加え、点火時期EGR率排気弁開弁時期および機関回転数をニューラルネットワークの入力パラメータとする請求項1に記載の機関冷却水循環システムの異常検出装置。

請求項5

該副冷却水循環通路内を流れる冷却水をEGRクーラに供給し、機関本体内のウォータジャケットから流出した冷却水を多機能弁を介してEGRクーラ上流の副冷却水循環通路に供給し、機関始動後、上記機関冷却水温の推定値の上昇量に比べて機関冷却水温の実測値の上昇量が低いときには、主冷却水循環通路からウォータポンプに向けて冷却水が流通し続けるサーモスタットの作動異常が生じていると判別され、機関始動後、上記機関冷却水温の推定値の上昇量に比べて機関冷却水温の実測値の上昇量が低くかつ該サーモスタットの作動異常が生じているときの機関冷却水温の実測値の上昇量に比べて機関冷却水温の実測値の上昇量が高いときには、多機能弁が開弁し続ける多機能弁の作動異常が生じていると判別される請求項1に記載の機関冷却水循環システムの異常検出装置。

請求項6

EGR制御弁が開弁したときには多機能弁が開弁されると共にEGR制御弁が閉弁したときには多機能弁が閉弁され、EGR制御弁が閉弁状態から開弁状態に変化したときに、上記機関冷却水温の推定値の上昇量が予め定められた量以下の場合には、多機能弁が閉し続ける多機能弁の作動異常が生じていると判別される請求項5に記載の機関冷却水循環システムの異常検出装置。

技術分野

0001

本発明は機関冷却水循環ステム異常検出装置に関する。

背景技術

0002

機関回転数燃料噴射量、外気温車速およびEGR制御弁開度から、機関始動後機関冷却水温の変化を予測し、この予測水温に基づいて、冷却水の流れを調整するサーモスタットの作動異常を検出するようにした内燃機関が公知である(例えば特許文献1を参照)。この場合、機関回転数、燃料噴射量、外気温、車速およびEGR制御弁の開度をニューラルネットワーク入力パラメータとし、機関冷却水温の実測値教師データとして、ニューラルネットワークの重みを学習すると、高い精度でもって機関冷却水温の予測値を得ることができる。

先行技術

0003

特開2012−127324号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところが、車両外部から機関本体周りに流入する走行風の流れを調整可能なグリルシャッタ具備している場合や、機関冷却水が供給される空調用ヒータおよび空調用ヒータから加熱された空気を流出させるために空調用ヒータに空気を送り込むブロワを有する空調装置を具備している場合には、グリルシャッタの作動状態や空調装置の作動状態によって、機関冷却水温が大きく変動する。このように機関冷却水温が大きく変動する場合には、グリルシャッタの作動状態や空調装置の作動状態をニューラルネットワークの入力パラメータに加えたとしても、グリルシャッタの作動状態や空調装置の作動状態の変化に対して正確に機関冷却水温を予測することのできるニューラルネットワークの重みを学習するのは困難である。従って、グリルシャッタの作動状態やブロワの作動状態を単にニューラルネットワークの入力パラメータに加えただけでは、機関冷却水温の変化を精度よく予測うることができないという問題がある。

0005

上記問題を解決するために、本発明によれば、車両外部から機関本体周りに流入する走行風の流れを調整可能なグリルシャッタと、機関冷却水が供給される空調用ヒータおよび空調用ヒータから加熱された空気を流出させるために空調用ヒータに空気を送り込むブロワを有する空調装置と、機関冷却水循環システムとを具備しており、機関冷却水循環システムが、ウォータポンプと、ウォータポンプから流出した冷却水が機関本体内ウォータジャケットおよびラジエータを経てウォータポンプに戻る主冷却水循環通路と、ウォータポンプから流出した冷却水が空調用ヒータを経てウォータポンプに戻る副冷却水循環通路と、主冷却水循環通路から分岐されてラジエータを迂回するバイパス通路と、主冷却水循環通路およびバイパス通路からウォータポンプに戻る冷却水の流れを調整するサーモスタットとを具備しており、機関冷却水温に基づき機関冷却水循環システムの異常が検出される機関冷却水循環システムの異常検出装置において、機関始動時の機関冷却水温と、機関への吸入空気量と、機関への燃料噴射量と、外気温と、車速からなる少なくとも五つのパラメータをニューラルネットワークの入力パラメータとし、機関冷却水温の実測値を教師データとして、グリルシャッタが閉鎖されかつブロワの送出風が空調用ヒータを流通していない状態、グリルシャッタが開かれかつブロワの送出風が空調用ヒータを流通していない状態、グリルシャッタが閉鎖されかつブロワの送出風が空調用ヒータを流通している状態、グリルシャッタが開かれかつブロワの送出風が空調用ヒータを流通している状態からなる四つの状態に対し、夫々、重みの学習が行われた四つの学習済みニューラルネットワークが記憶されており、これら四つの学習済みニューラルネットワークのうちから現在のグリルシャッタの状態および空調用ヒータにおけるブロワの送出風の流通状態に対応したいずれか一つの学習済みニューラルネットワークを用いて、上述の五つのパラメータから機関冷却水温が推定され、機関冷却水温の推定値に基づいて機関冷却水循環システムの異常が検出される機関冷却水循環システムの異常検出装置が提供される。

発明の効果

0006

本発明によれば、グリルシャッタが閉鎖されかつブロワの送出風が空調用ヒータを流通していない状態、グリルシャッタが開かれかつブロワの送出風が空調用ヒータを流通していない状態、グリルシャッタが閉鎖されかつブロワの送出風が空調用ヒータを流通している状態、グリルシャッタが開かれかつブロワの送出風が空調用ヒータを流通している状態からなる四つの状態に対し、夫々、重みの学習が行われた四つの学習済みニューラルネットワークを用いることによって、機関冷却水温を高い精度で予測することが可能となる。

図面の簡単な説明

0007

図1は、内燃機関周りの全体図である。
図2は、図1に示す内燃機関の側面断面図である。
図3は、車両前面の斜視図である。
図4は、図解的に表した空調装置の側面図である。
図5は、機関冷却水循環システムの全体図である。
図6Aおよび図6Bは、サーモスタットの作動を説明するための図である。
図7は、サーモスタットおよび多機能弁の作動を説明するための図である。
図8は、EGR率を示す図である。
図9は、運転制御を実行するためのフローチャートである。
図10は、機関冷却水温の変化を示す図である。
図11は、機関冷却水温の変化を示す図である。
図12は、ニューラルネットワークの一例を示す図である。
図13は、機関冷却水温の変化を示す図である。
図14は、本発明による実施例において用いられているニューラルネットワークを示す図である。
図15は、入力パラメータの一覧表を示す図である。
図16は、訓練データセットを示す図である。
図17A,17B,17Cおよび17Dは、ニューラルネットワークを示す図である。
図18は、学習方法を説明するための図である。
図19は、学習処理を実行するためのフローチャートである。
図20は、電子制御ユニットにデータを読み込むためのフローチャートである。
図21は、機関冷却水温の変化を示す図である。
図22は、故障診断フラグのセット処理を行うためのフローチャートである。
図23は、故障診断を行うためのフローチャートである。
図24は、故障診断を行うためのフローチャートである。
図25は、機関冷却水温の変化を示す図である。
図26は、故障診断を行うためのフローチャートである。
図27は、故障診断を行うためのフローチャートである。
図28は、故障診断を行うためのフローチャートである。
図29は、機関冷却水温の変化を示す図である。
図30は、多機能弁の閉弁異常を検出するためのフローチャートである。
図31は、多機能弁の閉弁異常を検出するためのフローチャートである。

実施例

0008

<内燃機関の全体構成>
図1に内燃機関周りの全体図を示し、図2に内燃機関の側面断面図を示す。図2を参照すると、1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はシリンダブロック2内で往復動するピストン、5は燃焼室、6は吸気弁、7は吸気ポート、8は排気弁、9は排気ポート、10は各燃焼室5内に燃料、例えば、ガソリンを供給するための燃料噴射弁、11は各燃焼室5内に配置された点火栓、12は排気弁8の開弁時期を制御するための可変バルブタイミング機構を夫々示す。図2に示されるように、シリンダブロック2内にはウォータジャケット13が形成されており、シリンダヘッド3内にはウォータジャケット14が形成されている。

0009

図1および図2を参照すると、吸気ポート7は夫々対応する吸気枝管15を介してサージタンク16に連結され、サージタンク16はスロットル弁17を内蔵したスロットルボディ18および吸入空気量検出器19を介してエアクリーナ20に連結される。一方、排気ポート9は排気マニホルド21を介して排気浄化用触媒22を内蔵した排気熱回収器23に連結される。また、排気マニホルド21は排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路24およびEGR制御弁25を介してサージタンク16に連結される。EGR通路24内には、EGRガスを冷却するためのEGRクーラ26が配置される。なお、図1において、27は、機関により駆動されるウォータポンプを示しており、28はラジエータを示しており、29はラジエータ28の冷却用電動ファンを示している。

0010

一方、図1において30は、機関の運転を制御するための電子制御ユニットを示している。図1に示されるように、電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続された記憶装置32、即ち、メモリ32と、CPU(マイクロプロセッサ)33と、入力ポート34および出力ポート35を具備する。機関本体1には冷却水の温度を検出するための水温センサ40が取り付られており、入力ポート34には、吸入空気量検出器19の出力信号、水温センサ40の出力信号、および外気温を検出するための外気温センサ41の出力信号が、夫々対応するAD変換器36を介して入力される。また、アクセルペダル42にはアクセルペダル42の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ43が接続され、負荷センサ43の出力電圧は対応するAD変換器36を介して入力ポート34に入力される。更に入力ポート34にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ44が接続される。CPU33内ではクランク角センサ44の出力信号に基づいて機関回転数が算出される。更に、入力ポート34には、車速に比例した出力パルスを発生する車速センサ45が接続される。

0011

一方、出力ポート35は対応する駆動回路37を介して各気筒の燃料噴射弁10、点火栓11、スロットル弁17のアクチュエータ、EGR制御弁25および電動ファン29に接続される。また、図1に示される内燃機関はハイブリッド機関であり、駆動用モータおよび発電用モータ等を備えた駆動制御機構46が機関本体1に取り付けられている。これら駆動用モータの駆動制御および発電用モータの発電制御は電子制御ユニット30により行われる。なお、本発明による実施例では、電子制御ユニット30において機関の始動指令が発せられると、駆動制御機構46内の駆動用モータにより機関の始動が行われる。

0012

一方、図1に示されるように、ラジエータ28の車両進行方向前方には、車両外部から機関本体1周りに流入する走行風の流れを調整可能なグリルシャッタ50が配置されている。このグリルシャッタ50は、図3に示されるように、車両の前面に配置されている。
図1に示される例では、このグリルシャッタ50は並列配置された複数個バタフライ弁シャッタ51からなり、これらシャッタ51はアクチュエータ52により駆動される。このグリルシャッタ50は、機関始動時および機関始動後の暖機運転時には、閉じられることが多いが、開かれることもある。このアクチュエータ52は、電子制御ユニット30の出力信号に基づいて制御される。

0013

また、図1に示されるように、車両の車室60内には、空調装置61が配置されている。図4に示されるように、この空調装置61は、空気流通ダクト61と、電動モータにより駆動されるブロワ63と、冷却装置エバポレータ64と、冷却水が供給される空調用ヒータ65と、ドア66とを具備する。このドア66は、破線で示されるように空調用ヒータ65の前方を覆う位置と、実線で示されるように空調用ヒータ65の前方を解放する位置との間を回動せしめられる。この空調装置61の作動について概略的に説明すると、車室60内を暖房又は冷房するときには、ブロワ63が回転駆動され、ブロワ63からの送出風がエバポレータ64に送り込まれる。この場合、空調用ヒータ65の前方をドア66により覆い、エバポレータ64内に冷媒が供給されると車室60内の冷房が行われる。一方、ドア66が空調用ヒータ65の前方を解放し、エバポレータ64内への冷媒の供給が停止されると車室60内の暖房が行われる。また、車室60内を暖房又は冷房しかつ除湿するときには、ドア66が空調用ヒータ65の前方を解放し、エバポレータ64内に冷媒が供給される。

0014

この空調装置61は、空調装置61内に設けられた電子制御ユニットによって、搭乗者の要求に従い制御される。ところで、この場合、機関の冷却水温に影響を与えるのは、冷却水の供給されている空調用ヒータ65における放熱作用の大きさである。即ち、ブロワ63が停止されているとき、或いは、図4において破線で示されるように、空調用ヒータ65の前方がドア66により覆われているときには、空調用ヒータ65における放熱作用はほとんど行われない。これに対し、ブロワ63が作動しておりかつドア66が空調用ヒータ65の前方を解放しているときには、空調用ヒータ65における放熱作用が大きくなる。本願明細書においては、このように空調用ヒータ65における放熱作用が大きくなる状態を、ブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態と称する。これに対し、空調用ヒータ65における放熱作用がほとんど行われない状態を、ブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していない状態と称する。この場合。ブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態であるか否かは、空調装置61内に設けられた電子制御ユニットの制御信号から判別できる。

0015

次に、図5を参照しつつ、機関冷却水循環システムについて説明する、図5を参照すると、図5には、図1図2および図4に記載されている機関本体1、シリンダブロック2、シリンダヘッド3、燃焼室5、ウォータジャケット13,14、スロットルボディ18、排気熱回収器23、EGR制御弁25、EGRクーラ26、ウォータポンプ27、ラジエータ28、水温センサ40および空調用ヒータ65が図解的に示されている。一方、図5には、ウォータポンプ27の両側に冷却水返戻室70と冷却水送出室71とが図解的に示されており、冷却水返戻室70内の冷却水はウォータポンプ27によって冷却水送出室71内に送り出される。

0016

ウォータポンプ27によって冷却水送出室71内に送り出された冷却水は、ウォータジャケット13、14の入口部72からウォータジャケット13、14内に流入し、次いで、冷却水通路73およびラジエータ28を通って冷却水返戻室70内に返戻される。このとき、冷却水がウォータジャケット13、14内において吸収した熱はラジエータ28において放出される。本発明による実施例では、このようにウォータポンプ27から流出した冷却水が機関本体1内のウォータジャケット13,14、冷却水通路73およびラジエータ28を経てウォータポンプ27に戻る冷却水通路を、主冷却水循環通路74と称している。機関の暖機完了後は、このように冷却水が主冷却水循環通路74内を循環する。

0017

一方、図5に示される機関冷却水循環システムでは、主冷却水循環通路74から分岐されてラジエータ28を迂回するバイパス通路75、即ち、冷却水通路73と冷却水返戻室70とを連結するバイパス通路75が設けられている。また、図5に示されるように、冷却水返戻室70内には、冷却水返戻室70内への主冷却水循環通路74の開口部76および冷却水返戻室70内へのバイパス通路75の開口部77のいずれか一方を閉鎖可能なサーモスタット78が図解的に示されている。このサーモスタット78の一例が図6Aおよび図6Bに示されている。図6Aおよび図6Bに示される例では、サーモスタット78は、ワックス充填された本体部分79と、主冷却水循環通路74の開口部76を閉鎖可能な弁体80と、バイパス通路75の開口部77を閉鎖可能な弁体81とを具備している。

0018

このサーモスタット78は、本体部分79周りの冷却水温が低いときには、図5において実線で示されるように図6Aに示される如く、弁体80が主冷却水循環通路74の開口部76を閉鎖すると共に弁体81がバイパス通路75の開口部77を開く。このときには、ウォータジャケット13、14内に送り込まれた冷却水は、ラジエータ28を通ることなく、バイパス通路75を介してウォータポンプ27に戻される。従って、このときには、機関本体1の暖機作用が促進される。これに対し、本体部分79周りの冷却水温が高くなると本体部分79内のワックスが膨張し、図5において破線で示されるように図6Bに示される如く、弁体80が主冷却水循環通路74の開口部76を開くと共に弁体81がバイパス通路75の開口部77を閉鎖する。このときには、ウォータジャケット13、14内に送り込まれた冷却水は、ラジエータ28を介してウォータポンプ27に戻される。従って、このときには、機関本体1の通常の冷却作用が行われる。

0019

図7には、サーモスタット78の弁体80の開度と、サーモスタット78の本体部分79周りの冷却水温TWとの関係が示されている。図7に示されるように、冷却水温TWが設定水温TW1よりも低いときには、サーモスタット78の弁体80は主冷却水循環通路74の開口部76を全閉しており、冷却水温TWが設定水温TW1よりも高くなると、サーモスタット78の弁体80が主冷却水循環通路74の開口部76を開き始める。なお、図7に示される例では、設定水温TW1は70°Cとされている。

0020

再び図5に戻ると、機関冷却水循環システムには、ウォータポンプ27から流出した冷却水が循環した後に、再びウォータポンプ27に戻る副冷却水循環通路90が設けられている。図5からわかるように、この副冷却水循環通路90は、冷却水送出室71がらEGRクーラ26まで延びる副冷却水循環通路部分90Aと、EGRクーラ26において分岐された副冷却水循環通路部分90Bおよび90Cと、これら副冷却水循環通路部分90Bおよび90Cから冷却水返戻室70まで延びる副冷却水循環通路部分90Dからなる。副冷却水循環通路部分90Bにはスロットルボディ18およびEGR制御弁25が配置されており、副冷却水循環通路部分90Cには排気熱回収器23および空調用ヒータ65が配置されている。

0021

一方、図5に示されるように、ウォータジャケット14は、補助冷却水通路90Eを介して副冷却水循環通路部分90Aに連結されており、この補助冷却水通路90Eに多機能弁91が配置されている。図7には、この多機能弁91の開度と、水温センサ40により検出された冷却水温TWとの関係が示されている。図7に示されるように、冷却水温TWが設定水温TW2よりも低いときには、多機能弁91は全閉しており、冷却水温TWが設定水温TW2よりも高くなると、多機能弁91はEGRガスの再循環作用に応じて、全開又は全閉する。なお、図7に示される例では、設定水温TW2は60°Cとされている。

0022

図8は、EGR率r1、r2、r3、r4と、機関負荷Lおよび機関回転数Nとの関係を示している。図8において、EGR率=r1の実線はEGR率がのときを示しており、EGR率=r1の実線の外側領域ではEGR率が零とされる、即ち、EGR制御弁25が閉弁せしめられている。一方、EGR率=r1の実線の内側領域では、EGR制御弁25が開弁せしめられ、r2、r3、r4の順でEGR率が高くされる。本発明による実施例では、冷却水温TWが設定水温TW2よりも高いときには、EGR制御弁25が閉弁すると多機能弁91も閉弁せしめられ、EGR制御弁25が開弁すると多機能弁91も開弁せしめられる。

0023

図7に示されるように、冷却水温TWが設定水温TW2よりも低いときには多機能弁91は閉弁している。このときには、図5からわかるように、EGRクーラ26、EGR制御弁25、スロットルボディ18、空調用ヒータ65および排気熱回収器23には少量の冷却水が供給され続ける。一方、冷却水温TWが設定水温TW2よりも高いときには、EGR制御弁25が閉弁していると、多機能弁91も閉弁せしめられており、EGR制御弁25が開弁すると多機能弁91も開弁せしめられる。多機能弁91が開弁せしめられたときには、EGRクーラ26、EGR制御弁25、スロットルボディ18、空調用ヒータ65および排気熱回収器23に供給される冷却水が増量される。

0024

また、図5に示される例では、水温センサ40が冷却水送出室71内に配置されている。しかしながらこの水温センサ40は、ウォータジャケット13内に配置することもできる。即ち、水温センサ40は、ウォータポンプ27から流出した冷却水の温度を検出しうる場所に配置される。なお、本発明による実施例では、水温センサ40によって検出される冷却水温を機関冷却水温と称する。

0025

図9は、本発明による実施例において実行されている運転制御ルーチンを示している。この運転制御ルーチンは、一定時間毎割り込みによって実行される。
図9を参照すると、まず初めにステップ100において、水温センサ40により検出された機関冷却水温TWが読み込まれる。次いでステップ101では、機関冷却水温TWが、図7に示される設定水温TW2よりも低いが否かが判別される。機関冷却水温TWが設定水温TW2よりも低いときにはステップ104に進んで多機能弁91が閉弁され、次いでステップ105に進む。

0026

一方、ステップ101において、機関冷却水温TWが設定水温TW2よりも低くないと判別されたときにはステップ102に進んで、EGR制御弁25が開弁せしめられているか否かが判別される。EGR制御弁25が開弁せしめられているときにはステップ103に進んで多機能弁91が開弁され、次いでステップ105に進む。これに対し、EGR制御弁25が閉弁せしめられているときにはステップ104に進んで多機能弁91が閉弁される。次いで、ステップ105では、グリルシャッター50を開かせるためのグリルシャッター開指令が発せられているか否かが判別される。グリルシャッター開指令が発せられているときにはステップ106に進んでグリルシャッター50が開らかれ、グリルシャッター開指令が発せられていないときにはステップ107に進んでグリルシャッター50が閉じられる。

0027

図10は、機関始動時からの機関冷却水温TWの変化を示している。図10において実線は、或る運転状態において、サーモスタット78が正常に作動しているときを示しており、破線はサーモスタット78が主冷却水循環通路74の開口部76を開き続ける開弁異常を生じたときを示しており、一点鎖線はサーモスタット78が主冷却水循環通路74の開口部76を閉じ続ける閉弁異常を生じたときを示している。即ち、サーモスタット78が開弁異常を生じたときには、機関始動直後から冷却水がラジエータ28内を流通せしめられるため、冷却水がなかなか温度上昇せず、従って、機関冷却水温TWは破線で示されるようにゆっくりと上昇することになる。一方、サーモスタット78が閉弁異常を生じると、冷却水が温度上昇しても、冷却水はラジエータ28に送り込まれないので、機関冷却水温TWは一点鎖線で示されるように上昇し続けることになる。

0028

このようにサーモスタット78が開弁異常や閉弁異常を生じると、機関始動後における機関冷却水温TWの変化の仕方が正常時と異なり、従って、実測された機関冷却水温TWの変化の仕方を正常時の機関冷却水温TWの変化の仕方と比較すれば、サーモスタット78が開弁異常或いは閉弁異常を生じているか否かを判別できることになる。そのためには、正常時の機関冷却水温TWの変化の仕方を推定することが必要となる。そこで本発明による実施例では、ニューラルネットワークを用いて、正常時の機関冷却水温TWの変化を推定している。

0029

ところが、車両がグリルシャッタ50を具備している場合や、空調装置61を具備している場合には、グリルシャッタ50の作動状態やブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通しているか否かによって、正常時の機関冷却水温TWの変化パターンが大きく変化する。例えば、図11において、グリルシャッタ50が閉じており、ブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していないときの正常時の機関冷却水温TWの変化が実線で示されているとすると、グリルシャッタ50が開かれ、ブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していないときの正常時の機関冷却水温TWのの変化パターンは、図11の破線で示されるように、実線で示される場合に比べて大きく変化する。また、グリルシャッタ50が閉じており、ブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通しているときの正常時の機関冷却水温TWのの変化パターンも、図11の一点鎖線で示されるように、実線で示される場合に比べて大きく変化する。

0030

このように機関冷却水温TWの変化パターンが大きく変化する場合には、グリルシャッタ50の作動状態やブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通しているか否かの状態をニューラルネットワークの入力パラメータに加えても、グリルシャッタ50の作動状態やブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通しているか否かの状態に対して正確に機関冷却水温TWを予測することのできるニューラルネットワークの重みを学習するのは困難となる。従って、グリルシャッタ50の作動状態やブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通しているか否かの状態を単にニューラルネットワークの入力パラメータに加えただけでは、機関冷却水温TWの変化を精度よく予測することは困難である。

0031

そこで本発明による実施例では、グリルシャッタ50が閉鎖されかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していない状態、グリルシャッタ50が開かれかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していない状態、グリルシャッタ50が閉鎖されかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態、およびグリルシャッタ50が開かれかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態からなる四つの各状態に対して、夫々ニューラルネットワークを作成し、状態毎に、ニューラルネットワークの重みを学習するようにしている。このように各状態に対して夫々ニューラルネットワークを作成することによって、機関冷却水温TWの変化を精度よく予測可能となるばかりでなく、状態毎に、ニューラルネットワークの重みを学習することによって、重みの計算負荷を低減できるという利点もある。
<ニューラルネットワークの概要

0032

上述したように、本発明による実施例では、ニューラルネットワークを用いて機関冷却水温TWを推定するようにしている。そこで最初にニューラルネットワークについて簡単に説明する。図12は簡単なニューラルネットワークを示している。図12における丸印は人工ニューロンを表しており、ニューラルネットワークにおいては、この人工ニューロンは、通常、ノード又はユニットと称される(本願では、ノードと称す)。図12においてL=1は入力層、L=2および L=3は隠れ層、L=4は出力層を夫々示している。また、図12において、x1およびx2 は入力層 ( L=1) の各ノードからの出力値を示しており、y1 およびy2 は出力層 ( L=4) の各ノードからの出力値を示しており、z(2)1、z(2)2 およびz(2)3 は隠れ層 ( L=2) の各ノードからの出力値を示しており、z(3)1、z(3)2 およびz(3)3は隠れ層 ( L=3) の各ノードからの出力値を示している。なお、隠れ層の層数は、1個又は任意の個数とすることができ、入力層のノードの数および隠れ層のノードの数も任意の個数とすることができる。また、出力層のノードの数は1個とすることもできるし、複数個とすることもできる。

0033

入力層の各ノードでは入力がそのまま出力される。一方、隠れ層( L=2) の各ノードには、入力層の各ノードの出力値x1およびx2 が入力され、隠れ層 ( L=2) の各ノードでは、夫々対応する重みwおよびバイアスbを用いて総入力値uが算出される。例えば、図12において隠れ層 ( L=2) のz(2)k(k=1,2,3)で示されるノードにおいて算出される総入力値ukは、次式のようになる。



次いで、この総入力値ukは活性化関数fにより変換され、隠れ層 ( L=2) のz(2)kで示されるノードから、出力値z(2)k(= f (uk)) として出力される。一方、隠れ層 ( L=3) の各ノード には、隠れ層 ( L=2) の各ノードの出力値z(2)1、z(2)2 およびz(2)3が入力され、隠れ層 ( L=3 ) の各ノードでは、夫々対応する重みwおよびバイアスbを用いて総入力値u(Σz・w+b)が算出される。この総入力値uは同様に活性化関数により変換され、隠れ層 ( L=3 ) の各ノードから、出力値z(3)1、z(3)2 およびz(3)3として出力される、この活性化関数としては、例えば、シグモイド関数σが用いられる。

0034

一方、出力層( L=4) の各ノードには、隠れ層( L=3) の各ノードの出力値z(3)1、z(3)2 およびz(3)3が入力され、出力層 の各ノードでは、夫々対応する重みwおよびバイアスbを用いて総入力値u(Σz・w+b)が算出されるか、又は、夫々対応する重みwのみを用いて総入力値u(Σz・w)が算出される。本発明による実施例では、出力層のノードでは恒等関数が用いられており、従って、出力層のノードからは、出力層のノードにおいて算出された総入力値uが、そのまま出力値yとして出力される。
<ニューラルネットワークにおける学習>

0035

さて、ニューラルネットワークの出力値yの正解値を示す教師データをytとすると、ニューラルネットワークにおける各重みwおよびバイアスbは、出力値yと教師データをytとの差が小さくなるように、誤差伝播法を用いて学習される。この誤差逆伝播法は周知であり、従って、誤差逆伝播法についてはその概要を以下に簡単に説明する。なお、バイアスbは重みwの一種なので、以下、バイアスbも含めて重みwと称する。さて、図12に示すようなニューラルネットワークにおいて、L=2,L=3又は L=4の各層のノードへの入力値u(L)における重みをw(L)で表すと、誤差関数Eの重みw(L)による微分、即ち、勾配∂E/∂w(L)は、書き換えると、次式で示されるようになる。



ここで、z(L−1)・∂w(L)= ∂u(L)であるので、(∂E/∂u(L))=δ(L)とすると、上記(1)式は、次式でもって表すことができる。

0036

ここで、u(L)が変動すると、次の層の総入力値u(L+1)の変化を通じて誤差関数Eの変動を引き起こすので、δ(L)は、次式で表すことができる。



ここで、z(L)=f(u(L)) と表すと、上記(3)式の右辺に現れる入力値uk(L+1)は、次式で表すことができる。



ここで、上記(3)式の右辺第1項(∂E/∂u(L+1))はδ(L+1)であり、上記(3)式の右辺第2項(∂uk(L+1) /∂u(L))は、次式で表すことができる。



従って、δ(L)は、次式で示される。



即ち、δ(L+1)が求まると、δ(L)を求めることができることになる。

0037

さて、出力層( L=4) のノードが一個であって、或る入力値に対して教師データytが求められており、この入力値に対する出力層からの出力値がyであった場合において、誤差関数として二乗誤差が用いられている場合には、二乗誤差Eは、E=1/2(y−yt)2で求められる。この場合、出力層(L=4)のノードでは、出力値y= f(u(L)) となり、従って、この場合には、出力層(L=4)のノードにおけるδ(L)の値は、次式で示されるようになる。



この場合、本発明による実施例では、前述したように、f(u(L)) は恒等関数であり、f’(u(Ll)) = 1となる。従って、δ(L)=y−yt となり、δ(L)が求まる。

0038

δ(L)が求まると、上式(6)を用いて前層のδ(L−1)が求まる。このようにして順次、前層のδが求められ、これらδの値を用いて、上式(2)から、各重みwについて誤差関数Eの微分、即ち、勾配∂E/∂w(L)か求められる。勾配∂E/∂w(L)か求められると、この勾配∂E/∂w(L)を用いて、誤差関数Eの値が減少するように、重みwが更新される。即ち、重みwの学習が行われることになる。なお、図12に示されるように、出力層( L=4) が複数個のノードを有する場合には、各ノードからの出力値をy1、y1・・・、対応する教師データyt1、yt2・・・とすると、誤差関数Eとして、次の二乗和誤差Eが用いられる。



この場合も、出力層 ( L=4) の各ノードにおけるδ(L)の値は、δ(L)=y−ytk (k=1,2・・・n)となり、これらδ(L)の値から上式(6)を用いて前層のδ(L−1)が求まる。
<本発明による実施例>

0039

最初に、図13を参照しつつ、サーモスタット78が開弁異常や閉弁異常を生じていないとき、即ち、サーモスタット78が正常であるときの機関冷却水温TWの推定方法について説明する。なお、図13は、機関始動後の経過時間と機関冷却水温TWとの関係を示している。図13において、時刻tnと時刻tn+1に着目すると、時刻tnにおける機関の状態から一定時間(tn+1—tn)内における機関冷却水温TWの温度上昇量(TWn+1—TWn)を推定することができる。即ち、機関の状態が定まると、機関冷却水温TWを上昇させる発熱因子発熱量および機関冷却水温TWを低下させる放熱因子の放熱量が定まるので、時刻tnにおける機関の状態から機関冷却水温TWの温度上昇量(TWn+1—TWn)が推定できることになる。別の言い方をすると、時刻tn(TW=TWn)における機関の状態から一定時間(tn+1—tn)後における機関冷却水温TWn+1を推定できることになる。

0040

この場合、本発明による実施例では、ニューラルネットワークを用いて、時刻tnにおける機関の状態(TW=TWn)から一定時間(tn+1—tn)後における機関冷却水温TWn+1を推定するようにしており、時刻tnにおける機関の状態(TW=TWn)から一定時間(tn+1—tn)後における機関冷却水温TWn+1を推定するために、機関冷却水温TWの推定モデルが作成される。そこで最初に、この機関冷却水温推定モデルの作成に用いられるニューラルネットワークについて図14を参照しつつ説明する。図14を参照すると、このニューラルネットワーク150においても、図12に示されるニューラルネットワークと同様に、L=1は入力層、L=2および L=3は隠れ層、L=4は出力層を夫々示している。図14に示されるように、入力層 ( L=1) がn個のノードからなり、n個の入力値x1、x2・・・xn−1、xnが、入力層 ( L=1) の各ノードに入力されている。一方、図14には隠れ層 ( L=2)および隠れ層 ( L=3)が記載されているが、これら隠れ層の層数は、1個又は任意の個数とすることができ、またこれら隠れ層のノードの数も任意の個数とすることができる。なお、出力層 ( L=4) のノードの数は1個とされており、出力層のノードからの出力値がyで示されている。この場合、出力値yは、機関冷却水温TWの推定値となる。

0041

次に、図14における入力値x1、x2・・・xn−1、xnについて、図15に示される一覧表を参照しつつ説明する。さて、上述したように、機関の状態が定まると、機関冷却水温TWを上昇させる発熱因子の発熱量および機関冷却水温TWを低下させる放熱因子の放熱量が定まり、従って。時刻tnにおける機関の状態から機関冷却水温TWの温度上昇量(TWn+1—TWn)、即ち、一定時間(tn+1—tn)後における機関冷却水温TWn+1を推定することができる。図15には、これら発熱因子および放熱因子となるニューラルネットワークへの入力パラメータが列挙されている。なお、図15には、機関冷却水温TWの変化に強い影響を与える入力パラメータが、必須の入力パラメータとして列挙されており、必須の入力パラメータほどではないが、機関冷却水温TWの変化に影響を与える入力パラメータが、補助的な入力パラメータとして列挙されている。

0042

図15に示されるように、機関冷却水温TWと、機関への吸入空気量と、機関への燃料噴射量と、外気温と、車速が必須の入力パラメータとされている。これら必須の入力パラメータのうちで機関への吸入空気量と、機関への燃料噴射量とは発熱因子であり、外気温と、車速は放熱因子である。これら機関への吸入空気量と、機関への燃料噴射量と、外気温と、車速が必須の入力パラメータであることは、特に説明を要しないと思われる。本発明による一実施例では、これら必須の入力パラメータのみの値が図14における入力値x1、x2・・・xn−1、xnとされる。なお、この場合、車速に代えて、ラジエータ28の冷却用電動ファン29の風量、即ち、電動ファン29の回転数を用いることもできる。

0043

一方、図15に示されるように、点火時期、EGR率、排気弁8の開弁時期および機関回転数が補助的な入力パラメータとされている。これら点火時期、EGR率、排気弁8の開弁時期は、発熱因子であり、機関回転数は放熱因子である。即ち、点火時期は進角されると燃焼温が上昇し、EGR率が高くなると燃焼温が低下する。また、排気弁8の開弁時期が遅角され、吸気弁6と排気弁8とが共に開弁するバルブオーバラップ期間が長くなると、排気ポート9から燃焼室5内に吹き戻す排気ガス量が増大し。その結果、燃焼温が低下する。このように点火時期、EGR率および排気弁8の開弁時期は、燃焼温に影響を与えるので、これら点火時期、EGR率、排気弁8の開弁時期は、発熱因子となる。

0044

これに対し、機関回転数が高くなるとウォータポンプ27の回転数が高くなるために機関冷却水の循環量が変化し、機関冷却水から外気中に逃げる熱量が変化する。従って、機関回転数は放熱因子である。なお、機関回転数に変えて、電動ウォータポンプの流量、即ち、電動ウォータポンプの回転数を用いることもできる。ところで、上述したように、必須の入力パラメータのみの値を図14における入力値x1、x2・・・xn−1、xnとすることもできる。無論、必須の入力パラメータの値に加えて、補助的な入力パラメータの値を図14における入力値x1、x2・・・xn−1、xnとすることもできる。なお、以下、必須の入力パラメータの値に加えて、補助的な入力パラメータの値も図14における入力値x1、x2・・・xn−1、xnとした場合を例にとって、本発明による実施例について説明する。

0045

図16は、入力値x1、x2・・・xn−1、xnと、教師データytとを用いて作成された訓練データセットを示している。この図16において、入力値x1、x2・・・xn−1、xnは、夫々、機関冷却水温TW、機関への吸入空気量、機関への燃料噴射量、外気温と、車速、点火時期、EGR率、排気弁8の開弁時期および機関回転数を示している。この場合、機関冷却水温TWは水温センサ40により検出されており、機関への吸入空気量は吸入空気量検出器19により検出されており、外気温は外気温センサ41により検出されており、車速は車速センサ45により検出されており、機関への燃料噴射量、点火時期、EGR率、排気弁8の開弁時期および機関回転数は、電子制御ユニット30内において算出されている。

0046

一方、図13における時刻tnおよびtn+1を用いて説明すると、図16における入力値x1、x2・・・xn−1、xnは時刻tnにおける入力値を示しており、図16における教師データytは一定時間(tn+1—tn)後における機関冷却水温TWの実測値を示している。図16に示されるように、この訓練データセットでは、入力値x1、x2・・・xn−1、xnと教師データytとの関係を表すm個のデータが取得されている。例えば、2番目のデータ(No. 2)には、取得された入力値x12、x22・・・xm−12、xm2と教師データyt2とが列挙されており、m−1番目のデータ(No. m−1)には、取得された入力パラメータの入力値x1m−1、x2m−1・・・xn−1m−1、xnm−1と教師データytm−1が列挙されている。

0047

さて、本発明による実施例では、前述したように、グリルシャッタ50が閉鎖されかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していない状態、グリルシャッタ50が開かれかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していない状態、グリルシャッタ50が閉鎖されかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態、およびグリルシャッタ50が開かれかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態からなる四つの各状態に対して、夫々ニューラルネットワークが作成される。これらのニューラルネットワークが図17Aから図17Dにおいて符号150A,150B,150C,150Dで示されている。

0048

この場合、図17Aから図17Dに示される四つのニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dの夫々に対して、図16に示される訓練データセットが作成され、夫々対応する訓練データセットを用いて、図17Aから図17Dに示される各ニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dの重みの学習が行われる。そこで次に、図16に示される訓練データセットの作成方法について説明する。

0049

図18に、訓練データセットの作成方法の一例が示されている。図18を参照すると、
図1に示される機関本体1、グリルシャッタ50および空調装置61を備えた車両Vが、送風機160を有する風洞161のシャシ台162上に設置され、シミュレーション装置163によりシャシ台162上において車両Vの疑似走行が行われる。この疑似走行では、例えば、グリルシャッタ50の状態および空調用ヒータ65における送出風流通状態を前述の四つの状態に順次変更し、変更された各状態において、機関冷却水温TW、機関への吸入空気量、機関への燃料噴射量、外気温、車速、点火時期、EGR率、排気弁8の開弁時期および機関回転数の値の組み合わせを順次変更しつつ、繰り返し機関始動と暖機運転が行われる。

0050

この疑似走行が行われている間、訓練データセットを作成するのに必要なデータが取得される。図13における時刻tnおよびtn+1を用いて説明すると、疑似走行が行われている間、図13において各時刻tn(n=0,1,2・・・)におけるグリルシャッタ50の状態、空調用ヒータ65における送出風の流通状態、および組み合わされた機関冷却水温TW、機関への吸入空気量、機関への燃料噴射量、外気温、車速、点火時期、EGR率、排気弁8の開弁時期および機関回転数の実測値と、図13において時刻tn+1における機関冷却水温TWの実測値が、例えば、シミュレーション装置163内に記憶される。即ち、図16に示される訓練データセットのNo.1からNo.mの入力値x1m、x2m・・・xnm−1、xnmと教師データytm(m=1,2,3・・・m)とが、例えば、シミュレーション装置163内に記憶される。

0051

このようにしてグリルシャッタ50が閉鎖されかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していない状態、グリルシャッタ50が開かれかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していない状態、グリルシャッタ50が閉鎖されかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態、およびグリルシャッタ50が開かれかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態からなる四つの各状態に対して、夫々、図16に示されるような訓練データセットが作成される。このようにして作成された訓練データセットの電子データを用いて、図17Aから図17Dに示される各ニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dの重みの学習が行われる。

0052

図18に示される例では、ニューラルネットワークの重みの学習を行うための学習装置164が設けられている。この学習装置164としてパソコンを用いることもできる。図18に示されるように、この学習装置164は、記憶装置166、即ち、メモリ166と、CPU(マイクロプロセッサ)165を具備している。図18に示される例では、図17Aから図17Dに示される各ニューラルネットワークのノード数、および作成された訓練データセットの電子データが学習装置164のメモリ166に記憶され、CPU165において各ニューラルネットワークの重みの学習が行われる。

0053

図19は、学習装置164において行われる各ニューラルネットワークの重みの学習処理ルーチンを示す。
図19を参照すると、まず初めに、ステップ200において、学習装置164のメモリ166に記憶されているニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dに対する訓練データセットの各データが読み込まれる。次いで、ステップ201において、各ニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dの入力層( L=1) のノード数、隠れ層( L=2)および隠れ層 ( L=3)のノード数および出力層( L=4) のノード数が読み込まれ、次いで、ステップ202において、これらノード数に基づき、図17Aから図17Dに示されるような四つのニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dが作成される。

0054

次いで、ステップ203では、ニューラルネットワーク150Aの重みの学習が行われる。このステップ203では、最初に、図16の1番目(No. 1)の入力値x1、x2・・・xn−1、xnがニューラルネットワーク150Aの入力層( L=1) の各ノードに入力される。このときニューラルネットワーク150Aの出力層からは、一定時間(図13におけるtn+1—tn)後の機関冷却水温TWの推定値を示す出力値yが出力される。ニューラルネットワーク150Aの出力層から出力値yが出力されると、この出力値yと1番目(No. 1)の教師データyt1との間の二乗誤差E=1/2(y−yt1)2が算出され、この二乗誤差Eが小さくなるように、前述した誤差逆伝播法を用いて、ニューラルネットワーク150Aの重みの学習が行われる。

0055

図16の1番目(No. 1)のデータに基づくニューラルネットワーク150Aの重みの学習が完了すると、次に、図16の2番目(No. 2)のデータに基づくニューラルネットワーク20の重みの学習が、誤差逆伝播法を用いて行われる。同様にして、図16m番目(No. m)まで順次、ニューラルネットワーク150Aの重みの学習が行われる。図16の1番目(No. 1)からm番目(No. m)までの全てについてニューラルネットワーク150Aの重みの学習が完了すると、ステップ204に進む。

0056

ステップ204では、例えば、図16の1番目(No. 1)からm番目(No. m)までの全てのニューラルネットワークの出力値yと教師データytとの間の二乗和誤差Eが算出され、この二乗和誤差Eが、予め設定された設定誤差以下になったか否かが判別される。二乗和誤差Eが、予め設定された設定誤差以下になっていないと判別されたときには、ステップ203に戻り、再度、図16に示される訓練データセットに基づいて、ニューラルネットワーク150Aの重み学習が行われる。次いで、二乗和誤差Eが、予め設定された設定誤差以下になるまで、ニューラルネットワーク150Aの重みの学習が続行される。ステップ204において、二乗和誤差Eが、予め設定された設定誤差以下になったと判別されたときには、ステップ205に進んで、ニューラルネットワーク150Aの学習済み重みが学習装置164のメモリ166に記憶される。次いで、ステップ206に進む。

0057

ステップ206では、図17Aから図17Dに示される全てのニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dの重みの学習が完了したか否かが判別される。全てのニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dの重みの学習が完了していないときには、ステップ203に戻り、まだ重みの学習が完了していないニューラルネットワーク、例えば、図17Bに示されるニューラルネットワーク150Bの重みの学習が行われる。ニューラルネットワーク150Bの重みの学習が完了すると、ステップ205において、ニューラルネットワーク150Bの学習済み重みが学習装置164のメモリ166に記憶される。

0058

このようにして図17Aから図17Dに示される全てのニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dの重みの学習が行われ、図17Aから図17Dに示される全てのニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dの学習済み重みが学習装置164のメモリ166に記憶される。即ち、グリルシャッタ50が閉鎖されかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していない状態、グリルシャッタ50が開かれかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していない状態、グリルシャッタ50が閉鎖されかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態、およびグリルシャッタ50が開かれかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態からなる四つの各状態に対して、機関冷却水温の推定モデルが作成される。

0059

本発明による実施例では、このようにして作成された機関冷却水温の推定モデルを用いて、市販車両におけるサーモスタット78等の故障診断が行われる、そのためにこれら機関冷却水温の推定モデルが市販車両の電子制御ユニット30に格納される。図20は、機関冷却水温の推定モデルを市販車両の電子制御ユニット30に格納するために、電子制御ユニット30において行われる電子制御ユニットへのデータ読み込みルーチンを示している。

0060

図20を参照すると、まず初めに、ステップ300において、図17Aから図17Dに示される四つのニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dの入力層( L=1) のノード数、隠れ層( L=2)および隠れ層 ( L=3)のノード数および出力層( L=4) のノード数が電子制御ユニット30のメモリ32に読み込まれ、次いで、ステップ301において、これらノード数に基づき、図17Aから図17Dに示されるような四つのニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dが作成される。次いで、ステップ302において、これらニューラルネットワーク150A,150B,150Cおよび150Dの学習済み重みが電子制御ユニット30のメモリ32に読み込まれる。それにより機関冷却水温の推定モデルが市販車両の電子制御ユニット30に格納される。

0061

次に、図21を参照しつつ、市販車両において実行されるサーモスタット78の故障診断方法について説明する。図21は、機関始動時からの機関冷却水温TWの変化を示している。図21において実線は、図10と同様に、或る運転状態において、サーモスタット78が正常に作動しているときを示しており、破線はサーモスタット78が主冷却水循環通路74の開口部76を開き続ける開弁異常を生じたときを示しており、一点鎖線はサーモスタット78が主冷却水循環通路74の開口部76を閉じ続ける閉弁異常を生じたときを示している。即ち、前述したように、サーモスタット78が開弁異常を生じたときには、機関始動直後から冷却水がラジエータ28内を流通せしめられるため、冷却水がなかなか温度上昇せず、従って、機関冷却水温TWは破線で示されるようにゆっくりと上昇することになる。一方、サーモスタット78が閉弁異常を生じると、冷却水が温度上昇しても、冷却水はラジエータ28に送り込まれないので、機関冷却水温TWは一点鎖線で示されるように上昇し続けることになる。

0062

このようにサーモスタット78が開弁異常や閉弁異常を生じると、機関始動後における機関冷却水温TWの変化の仕方が正常時と異なり、従って、実測された機関冷却水温TWの変化の仕方を正常時の機関冷却水温TWの変化の仕方と比較すれば、サーモスタット78が開弁異常或いは閉弁異常を生じているか否かを判別できることになる。この場合、本発明による実施例では、正常時の機関冷却水温TWが、電子制御ユニット30に格納されている機関冷却水温の推定モデルを用いて推定され、この推定モデルにより推定された機関冷却水温TWの推定値と、水温センサ40により検出された機関冷却水温TWの実測値から、サーモスタット78が開弁異常或いは閉弁異常を生じているか否かを判別している。

0063

本発明による実施例において実行されている具体的な一例について説明すると、図21に示されるように実線で示す機関冷却水温TWの推定値がサーモスタット78の開弁温度、例えば、70℃に達したときに、機関冷却水温TWの推定値から機関冷却水温TWの実測値を減算した差ΔTW1が、予め設定されている差AXよりも大きいときには、サーモスタット78が開弁異常を生じていると判別される。言い換えると、本発明による実施例では、機関始動後、機関冷却水温TWの推定値の上昇量に比べて機関冷却水温TWの実測値の上昇量が低いときには、主冷却水循環通路74からウォータポンプ27に向けて冷却水が流通し続けるサーモスタット78の作動異常が生じていると判別される。

0064

また、サーモスタット78が正常であるときには、サーモスタット78が全開するとラジエータ28を通る機関冷却水が増大するために、機関冷却水温TWは、実線で示されるように、サーモスタット78が全開した後、少しずつ低下する。従って、本発明による実施例では、機関冷却水温TWの推定値がピークに達した後、機関冷却水温TWの実測値から機関冷却水温TWの推定値を減算した差ΔTW2が、予め設定されている差BXよりも大きくなったときには、サーモスタット78が閉弁異常を生じていると判別される。言い換えると、本発明による実施例では、機関始動後、機関冷却水温TWの推定値の上昇量に比べて機関冷却水温TWの実測値の上昇量が高いときには、主冷却水循環通路74からウォータポンプ27に向かう冷却水の流通を停止し続けるサーモスタット78の作動異常が生じていると判別される。

0065

図22は、電子制御ユニット30において実行される故障診断フラグのセットルーチンを示している。本発明による実施例では、この故障診断フラグがセットされるとサーモスタット78の故障診断が開始される。図22を参照すると、まず初めに、ステップ400では、電子制御ユニット30において機関の始動指令が発せられたか否かが判別される。電子制御ユニット30において機関の始動指令が発せられると、駆動制御機構46内の駆動用モータにより機関の始動が行われる。ステップ400において、機関の始動指令が発せられていないと判別されたときには処理サイクルを完了する。これに対し、機関の始動指令が発せられたと判別されたときにはステップ401に進んで故障診断フラグがセットされる。

0066

図23および図24は、サーモスタットの故障診断ルーチンを示している。この故障診断ルーチンは一定時間毎の割り込みによって実行される。なお、容易に理解し得るように、この故障診断ルーチンについて図13に示される時刻tn(n=1,2,3・・・)をを用いて説明する。また、この故障診断ルーチンの一定の割り込み時間は、図13における一定時間(tn+1—tn)に相当しており、この一定時間は、例えば1秒である。

0067

図23を参照すると、まず初めに、ステップ500において、故障診断フラグがセットされているか否かが判別される。故障診断フラグがセットされていないときには処理サイクルを完了する。これに対し、故障診断フラグがセットされているときにはステップ501に進み、グリルシャッター50を開かせるためのグリルシャッター開指令が発せられているか否かに基づいて、グリルシャッター50が開いた状態であるのか、或いは、閉じた状態であるのかが読み込まれる。次いで、ステップ502では、空調装置61内に設けられた電子制御ユニットの制御信号に基づいて、ブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態であるのか否かが読み込まれる。

0068

次いで、ステップ503では、グリルシャッタ50が閉鎖されかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していない状態、グリルシャッタ50が開かれかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していない状態、グリルシャッタ50が閉鎖されかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態、およびグリルシャッタ50が開かれかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態に応じたニューラルネットワークが、重みの学習が完了した図17Aから図17Dに示されるニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dから選択される。

0069

次いで、ステップ504では、入力値x1、x2・・・xn−1、xn、即ち、機関冷却水温TW、機関への吸入空気量、機関への燃料噴射量、外気温、車速、点火時期、EGR率、排気弁8の開弁時期および機関回転数が読み込まれる。次いで、ステップ505では、これらの入力値が、選択されたニューラルネットワークの入力層( L=1)の各ノードに入力される。これらの入力値が、選択されたニューラルネットワークの入力層 ( L=1)の各ノードに入力されると、ステップ506において、選択されたニューラルネットワークの出力層( L=4) のノードから機関冷却水温TWの推定値yが出力され、それにより、機関冷却水温TWの推定値yが取得される。なお、以下、この機関冷却水温TWの推定値yを推定水温TWeと称する場合もある。

0070

さて、故障診断フラグがセットされたときに最初にステップ501に進むのは、図13において時刻t0のときである。図14において入力値x1が機関冷却水温TWであったとすると、このときには、水温センサ40により検出された機関冷却水温TWの実測値が入力値x1とされる。このとき、選択されたニューラルネットワークの出力層( L=4) のノードからは、図13の時刻t1における機関冷却水温TWの推定値yが出力される。一方、次にステップ501に進むのは、図13において一定時間(tn+1—tn)後における時刻t1のときである。このときには、前回の割り込み時に算出された図13の時刻t1における機関冷却水温TWの推定値yが入力値x1とされ、このとき、選択されたニューラルネットワークの出力層 ( L=4) のノードからは、図13の時刻t2おける機関冷却水温TWの推定値yが出力される。

0071

以下同様に、割り込みが行われる毎に、前回の割り込み時に算出された機関冷却水温TWの推定値yが入力値x1とされる。即ち、サーモスタットの故障診断ルーチンが開始されると、入力値x1として、最初だけ、機関冷却水温TWの実測値が用いられ、その後は、順次算出される機関冷却水温TWの推定値yが用いられる。このようにして、機関始動後における機関冷却水温TWの推定値y、即ち、推定水温TWeが算出され、この推定水温TWeを用いて、サーモスタットの故障診断が行われる。

0072

即ち、ステップ507では、推定水温TWeが、図7に示される機関冷却水温TW1を越えたか否かが判別される。推定水温TWeが、機関冷却水温TW1を越えていないときには処理サイクルを完了する。これに対し、推定水温TWeが、機関冷却水温TW1を越えたときにはステップ508に進んで、推定水温TWeと機関冷却水温の実測値TWとの差ΔTW1(=TWe—TW)が算出される。次いで、ステップ509では、推定水温TWeと機関冷却水温の実測値TWとの差ΔTW1が、図21に示される予め設定されている差AXよりも大きいか否かが判別される。推定水温TWeと機関冷却水温の実測値TWとの差ΔTW1が、予め設定されている差AXよりも大きいときにはステップ510に進んで、サーモスタット78が開弁異常を生じていると判別される。

0073

次いで、ステップ511では、サーモスタット78が開弁異常を生じているときの異常対処が行われる。この異常対処の一例としては、例えば、警告灯点灯される。また、サーモスタット78が開弁異常を生じていると機関冷却水温TWの上昇速度がおそくなる。従って、機関冷却水温TWの上昇速度を高めるために、異常対処として、グリルシャッタ50が開かれている場合には、グリルシャッタ50を閉じさせることができ、更に、燃焼温度を高めるために点火時期を進角することもできる。次いで、ステップ517に進んで、故障診断フラグがリセットされる。

0074

一方、ステップ509において、推定水温TWeと機関冷却水温の実測値TWとの差ΔTW1が、予め設定されている差AXよりも小さいと判別されたときには、ステップ512に進んで、推定水温TWeがピークを過ぎたか否かが判別される。推定水温TWeがピークを過ぎたと判別されたときには、ステップ513に進んで、推定水温TWeと機関冷却水温の実測値TWとの差ΔTW2(=TW—TWe)が算出される。次いで、ステップ514では、推定水温TWeと機関冷却水温の実測値TWとの差ΔTW2が、図21に示される予め設定されている差BXよりも大きいか否かが判別される。推定水温TWeと機関冷却水温の実測値TWとの差ΔTW2が、予め設定されている差BXよりも大きいときにはステップ515に進んで、サーモスタット78が閉弁異常を生じていると判別される。次いで、ステップ516では、サーモスタット78が閉弁異常を生じているときの異常対処が行われる。例えば、警告灯が点灯される。次いで、ステップ517に進んで、故障診断フラグがリセットされる。

0075

このように、本発明による実施例では、車両外部から機関本体1周りに流入する走行風の流れを調整可能なグリルシャッタ50と、機関冷却水が供給される空調用ヒータ65および空調用ヒータ65から加熱された空気を流出させるために空調用ヒータ65に空気を送り込むブロワ63を有する空調装置61と、機関冷却水循環システムとが設けられている。この機関冷却水循環システムは、ウォータポンプ27と、ウォータポンプ27から流出した冷却水が機関本体1内のウォータジャケット13,14およびラジエータ28を経てウォータポンプ27に戻る主冷却水循環通路74と、ウォータポンプ27から流出した冷却水が空調用ヒータ65を経てウォータポンプ27に戻る副冷却水循環通路90と、主冷却水循環通路74から分岐されてラジエータ28を迂回するバイパス通路75と、主冷却水循環通路74およびバイパス通路75からウォータポンプ27に戻る冷却水の流れを調整するサーモスタット78とを具備しており、機関冷却水温に基づき機関冷却水循環システムの異常が検出される。機関始動時の機関冷却水温と、機関への吸入空気量と、機関への燃料噴射量と、外気温と、車速からなる少なくとも五つのパラメータをニューラルネットワークの入力パラメータとし、機関冷却水温の実測値を教師データとして、グリルシャッタ50が閉鎖されかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していない状態、グリルシャッタ50が開かれかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通していない状態、グリルシャッタ50が閉鎖されかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態、グリルシャッタ50が開かれかつブロワ63の送出風が空調用ヒータ65を流通している状態からなる四つの状態に対し、夫々、重みの学習が行われた四つの学習済みニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dが記憶されている。これら四つの学習済みニューラルネットワーク150A,150B,150C,150Dのうちから現在のグリルシャッタ50の状態および空調用ヒータ65におけるブロワ63の送出風の流通状態に対応したいずれか一つの学習済みニューラルネットワークを用いて、上述の五つのパラメータから機関冷却水温が推定され、機関冷却水温の推定値に基いて、機関冷却水循環システムの異常が検出される。

0076

次に、図25を参照しつつ、市販車両において実行される、サーモスタット78および多機能弁91の故障診断方法について説明する。図25は、機関始動時からの機関冷却水温TWの変化を示している。なお、図7を参照しつつ既に説明したように、冷却水温TWが設定水温TW2よりも低いときには多機能弁91は閉弁している。一方、冷却水温TWが設定水温TW2よりも高いときには、EGR制御弁25が閉弁していると、多機能弁91も閉弁せしめられ、EGR制御弁25が開弁すると多機能弁91も開弁せしめられる。

0077

図25を参照すると、実線は、或る運転状態において、サーモスタット78および多機能弁91が正常に作動しているときを示している。一方、破線Y1は、冷却水温TWが設定水温TW2よりも高くなった後も、多機能弁91が継続的に閉弁せしめられているときを示しており、破線Y2は、冷却水温TWが設定水温TW2よりも高くなった後は、多機能弁91が継続的に開弁せしめられた場合を示している。冷却水温TWが設定水温TW2よりも高くなったときには、EGR制御弁25やEGRクーラ26および排気熱回収器23の温度が高くなっており、従って、このときには、副冷却水循環通路部分90Bおよび90C内を流通せしめられる冷却水は、EGR制御弁25やEGRクーラ26および排気熱回収器23から熱を受けて温度上昇する。

0078

従って、冷却水温TWが設定水温TW2よりも高くなった後も、多機能弁91が継続して開弁せしめられていると、EGR制御弁25やEGRクーラ26および排気熱回収器23から熱を受けて温度上昇する冷却水量が増大する。従って、冷却水温TWが設定水温TW2よりも高くなった後も、多機能弁91が継続して開弁せしめられていると、破線Y2で示されるように、機関冷却水温TWの温度は、破線Y1で示される多機能弁91が閉弁しているときに比べて、若干高くなる。

0079

一方、破線Zは、サーモスタット78は正常であるが多機能弁91が機関始動時から開き続けている開弁異常を生じたときを示している。また、一点鎖線は、多機能弁91は正常であるがサーモスタット78が開弁異常を生じたときを示している。さて、機関始動時にはEGRクーラ26や排気熱回収器23の温度が低いために、機関始動後から副冷却水循環通路部分90Bおよび90C内を流通する冷却水量を増量すると、EGRクーラ26や排気熱回収器23を加熱するために熱を奪われ、冷却水の温度上昇が抑制される。従って、多機能弁91が機関始動時から開き続ける開弁異常を生じると、機関始動直後から副冷却水循環通路部分90Bおよび90C内を流通せしめられる冷却水量が増量せしめられるために冷却水の温度上昇が抑制される。その結果、機関冷却水温TWは、破線Zで示されるように、サーモスタット78が開弁異常を生じたときに比べれば速いが、サーモスタット78が正常である場合に比べれば、ゆっくりと上昇することになる。

0080

このように多機能弁91が開弁異常を生じると、機関始動後における機関冷却水温TWの変化の仕方が正常時と異なり、従って、実測された機関冷却水温TWの変化の仕方を正常時の機関冷却水温TWの変化の仕方と比較すれば、多機能弁91が開弁異常を生じているか否かを判別できることになる。一方、多機能弁91が閉じ続ける閉弁異常を生じたときには、冷却水温TWが設定水温TW2よりも高くなった後、機関冷却水温TWの温度は破線Y1で示されるように変化する。従って、冷却水温TWが設定水温TW2よりも高くなった後、多機能弁91が継続して閉弁せしめられたときに、そのときの破線Y1で示される機関冷却水温TWの温度と破線Y2で示される機関冷却水温TWの温度との差から、多機能弁91が閉弁異常を生じたことを検出可能に見える。

0081

しかしながら、破線Y1で示される機関冷却水温TWの温度と破線Y2で示される機関冷却水温TWの温度との差は小さく、また、破線Y1で示される機関冷却水温TWの温度も破線Y2で示される機関冷却水温TWの温度も、多機能弁91の開閉状態以外の要因でもって変動するので、破線Y1で示される機関冷却水温TWの温度と破線Y2で示される機関冷却水温TWの温度との差から、多機能弁91の閉弁異常を検出するのは困難である。

0082

これに対し、多機能弁91が開弁異常を生じたときには、前述したように、機関始動後における機関冷却水温TWの変化の仕方から多機能弁91が開弁異常を生じているか否かを判別できる。従って、本発明による実施例では、機関始動後における機関冷却水温TWの変化の仕方から多機能弁91の開弁異常を検出し、多機能弁91の閉弁異常については、後述する別の方法によって検出するようにしている。

0083

多機能弁91の開弁異常を検出するために本発明による実施例において実行されている具体的な一例について説明すると、図25に示されるように実線で示す機関冷却水温TWの推定値がサーモスタット78の開弁温度、例えば、70℃に達したときに、機関冷却水温TWの推定値から機関冷却水温TWの実測値を減算した差ΔTW1が、予め設定されている差AX(図21)よりも小さくかつ予め設定されている差CXよりも大きいときには、多機能弁91が開弁異常を生じていると判別される。

0084

即ち、本発明による実施例では、機関始動後、機関冷却水温の推定値の上昇量に比べて機関冷却水温の実測値の上昇量が低いときには、主冷却水循環通路74からウォータポンプ27に向けて冷却水が流通し続けるサーモスタット78の作動異常が生じていると判別され、機関始動後、機関冷却水温の推定値の上昇量に比べて機関冷却水温の実測値の上昇量が低くかつサーモスタット78の作動異常が生じているときの機関冷却水温の実測値の上昇量に比べて機関冷却水温の実測値の上昇量が高いときには、多機能弁91が開弁し続ける多機能弁91の作動異常が生じていると判別される。

0085

図26から図28は、サーモスタットの開弁異常および閉弁異常並びに多機能弁の開弁異常を検出するための故障診断ルーチンを示している。この故障診断ルーチンも、図23および図24に示される故障診断ルーチンと同様に、一定時間毎の割り込みによって実行される。なお、図26から図28に示される故障診断ルーチンは、図23および図24に示される故障診断ルーチンに、図27において一点鎖線で囲んだ領域S内の三つのステップ509A,509Bおよび509Cが加えられただけであり、その他のステップ500から517は、図23および図24に示される故障診断ルーチンのステップ500から517と全く同じである。従って、図26から図28に示される故障診断ルーチンについては、ステップ500から517についての説明を省略し、図27の領域S内の三つのステップ509A,509Bおよび509Cについてのみ説明する。

0086

即ち、図27を参照すると、ステップ509Aでは、推定水温TWeと機関冷却水温の実測値TWとの差ΔTW1が、図25に示される予め設定されている差CXよりも大きいか否かが判別される。推定水温TWeと機関冷却水温の実測値TWとの差ΔTW1が、予め設定されている差CXよりも大きいとき、即ち、ステップ509を考慮に入れると、推定水温TWeと機関冷却水温の実測値TWとの差ΔTW1が、予め設定されている差AX(図21)よりも小さくかつ予め設定されている差CXよりも大きいときにはステップ509Bに進んで、多機能弁91が開弁異常を生じていると判別される。

0087

次いで、ステップ509Cでは、多機能弁91が開弁異常を生じているときの異常対処が行われる。この異常対処の一例としては、例えば、警告灯が点灯される。次いで、ステップ517に進む。一方、ステップ509Aにおいて、推定水温TWeと機関冷却水温の実測値TWとの差ΔTW1が、予め設定されている差CXよりも小さいと判別されたときには、ステップ512に進む。

0088

次に、多機能弁91が閉弁異常の検出方法について説明する。前述したように、図25において破線Y1で示される機関冷却水温TWと破線Y2で示される機関冷却水温TWとの差は小さく、また、破線Y1で示される機関冷却水温TWも破線Y2で示される機関冷却水温TWも、多機能弁91の開閉状態以外の要因でもって変動するので、破線Y1で示される機関冷却水温TWと破線Y2で示される機関冷却水温TWとの差から、多機能弁91の閉弁異常を検出するのは困難である。そこで本発明による実施例では、多機能弁91に開弁指令が発せられたとき、或いは、多機能弁91に閉弁指令が発せられたときの機関冷却水温TWの変化から、多機能弁91の閉弁異常を検出するようにしている。

0089

次に、このことについて図29を参照しつつ説明する。図29には、EGR制御弁25の状態と、多機能弁91の状態と、機関冷却水温TWの変化が示されている。図29に示されるように、EGR制御弁25が開弁せしめられると多機能弁91の開弁指令が発せられ、それによって多機能弁91が開弁せしめられる。また、図29に示されるように、EGR制御弁25が閉弁せしめられると多機能弁91の閉弁指令が発せられ、それによって多機能弁91が閉弁せしめられる。一方、例えば、機関冷却水温TWが70℃を越えたときには機関の暖機が完了したと判断され、機関の暖機が完了した後は、副冷却水循環通路部分90Bおよび90C内を流通せしめられる冷却水は、EGR制御弁25やEGRクーラ26および排気熱回収器23から熱を受けて温度上昇する。

0090

従って、図29に示されるように、多機能弁91が開弁したときには機関冷却水温TWが上昇し、多機能弁91が閉弁したときには機関冷却水温TWが低下する。従って、多機能弁91が開弁又は閉弁したときの機関冷却水温TWの変化から多機能弁91の閉弁異常を検出することができる。そこで本発明による実施例では、図29に示されるように、多機能弁91の開弁指令が発せられたときから一定時間tkが経過したときの温度上昇量ΔTW3が予め設定された値DXよりも小さいときには多機能弁91が閉弁異常であると判別し、更に、図29に示されるように、多機能弁91の閉弁指令が発せられたときから一定時間tkが経過したときの温度低下量ΔTW4が予め設定された値DXよりも小さいときには多機能弁91が閉弁異常であると判別している。

0091

即ち、本発明による実施例では、EGR制御弁25が開弁したときには多機能弁91が開弁されると共にEGR制御弁25が閉弁したときには多機能弁91が閉弁される。EGR制御弁25が閉弁状態から開弁状態に変化したときに、機関冷却水温の推定値の上昇量が予め定められた量以下の場合には、多機能弁91が閉し続ける多機能弁91の作動異常が生じていると判別される。

0092

図30および図31は、多機能弁91の閉弁異常を検出するためのルーチンを示している。このルーチンは一定時間毎の割り込みによって実行される。
図30を参照すると、まず初めに、ステップ600において、多機能弁91の閉弁異常検出が完了したか否かが判別される。多機能弁91の閉弁異常検出が完了したときには処理サイクルを終了する。これに対し、多機能弁91の閉弁異常検出が完了していないときにはステップ601に進み、機関の暖機が完了したか否かが判別される。機関の暖機が完了していないときには処理サイクルを終了する。これに対し、機関の暖機が完了したときにはステップ602に進む。

0093

ステップ602では、図29に示される温度上昇量ΔTW3の検出が完了したか否かが判別される。温度上昇量ΔTW3の検出が完了しているときにはステップ607にジャンプする。これに対し、温度上昇量ΔTW3の検出が完了していないときにはステップ603に進み、多機能弁91の開弁指令が発せられたか否かが判別される。多機能弁91の開弁指令が発せられていないときには、ステップ607にジャンプする。これに対し、多機能弁91の開弁指令が発せられたときにはステップ604に進んで、そのときの機関冷却水温TWが水温TWOとされる。次いでステップ605では、図29に示される一定時間tkが経過したか否かが判別される。一定時間tkが経過したていないときにはステップ607にジャンプする。これに対し、一定時間tkが経過したときには、ステップ606に進んで、そのときの機関冷却水温TWから水温TWOを減算することにより、温度上昇量ΔTW3が算出される。次いでステップ607に進む。

0094

ステップ607では、図29に示される温度上昇量ΔTW4の検出が完了したか否かが判別される。温度上昇量ΔTW4の検出が完了しているときにはステップ612にジャンプする。これに対し、温度上昇量ΔTW4の検出が完了していないときにはステップ608に進み、多機能弁91の閉弁指令が発せられたか否かが判別される。多機能弁91の閉弁指令が発せられていないときには、ステップ612にジャンプする。これに対し、多機能弁91の閉弁指令が発せられたときにはステップ609に進んで、そのときの機関冷却水温TWが水温TWCとされる。次いでステップ610では、図29に示される一定時間tkが経過したか否かが判別される。一定時間tkが経過したていないときにはステップ612にジャンプする。これに対し、一定時間tkが経過したときには、ステップ611に進んで、水温TWCからそのときの機関冷却水温TWを減算することにより、温度低下量ΔTW4が算出される。次いでステップ612に進む。

0095

ステップ612では、温度上昇量ΔTW3および温度低下量ΔTW4の検出が完了したか否かが判別される。温度上昇量ΔTW3および温度低下量ΔTW4の検出が完了したときにはステップ613に進み、温度上昇量ΔTW3が、図29に示される予め設定された値DXよりも小さく、かつ温度低下量ΔTW4が図29に示される予め設定された値DXよりも小さいか否かが判別される。温度上昇量ΔTW3が、予め設定された値DXよりも小さく、かつ温度低下量ΔTW4が、予め設定された値DXよりも小さいときにはステップ614に進んで、多機能弁91が閉弁異常を生じていると判別される。次いで、ステップ615では、多機能弁91が閉弁異常を生じているときの異常対処が行われる。この異常対処の一例としては、例えば、警告灯が点灯される。

0096

1機関本体
23排気熱回収器
25EGR制御弁栓
26EGRクーラ
27ウォータポンプ
28ラジエータ
30電子制御ユニット
40水温センサ
50グリルシャッタ
63ブロワ
65空調用ヒータ
74 主冷却水循環通路
75バイパス通路
78サーモスタット
90副冷却水循環通路
91 多機能弁

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