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技術 溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 植杉真也平田健太郎
出願日 2019年3月22日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-055044
公開日 2020年9月24日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-152993
状態 未査定
技術分野 薄鋼板の熱処理 金属質材料の表面への固相拡散 溶融金属による被覆
主要キーワード 補強用部材 析出開始温度 黒色酸化物 粒子分散強化 還元加熱 規定範囲外 相フェライト セメンタイト粒径
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

強度と加工性とを両立しためっき鋼板を実現する。

解決手段

溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板において、鋼基材は、質量%で、C:0.050〜0.180%、Si:0.001〜0.50%、Mn:1.00〜2.80%、Ti:0.01〜0.10%、およびB:0.0005〜0.0100%を含み、熱間圧延工程での巻取り後セメンタイト平均粒径が2μm以下であり、連続溶融亜鉛めっき工程後の金属組織は、フェライト相と、面積率15%以上45%未満の第二相とを有し、第二相は、マルテンサイトまたは、マルテンサイトおよびベイナイトにより構成され平均結晶粒径が8μm以下である。

概要

背景

近年、自動車建材の分野では軽量化および省資源化を目的とした高強度高防錆鋼板ニーズが高まっている。その高強度高防錆鋼板は、プレス加工曲げ加工をはじめ様々な加工が施されるため、高強度および高耐食性であることに加え、加工性に優れることも重要である。しかしながら、材料の加工性は強度が上昇するのに伴って劣化するため、例えば、自動車の構造用部材および補強用部材において要求される最大引張強度780MPa以上のような高強度と、加工性とを両立させることができる技術の確立が望まれる。

例えば、特許文献1には、鋼板にSi、NbおよびTiを添加することにより、マルテンサイトおよびベイナイト組織等の硬質相と、フェライト相との硬度差を小さくすることで、780MPa以上の高い引張強度と、加工性とを両立させる技術が開示されている。

また、耐食性の観点からは、防錆効果の高い表面処理鋼板として溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板が知られている。近年、意匠性などの観点から黒色外観を有する鋼板のニーズが高まってきていることから、めっき層自体が黒色化されている溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の需要はますます増大している。特許文献2には、引張強度780MPa以上の高強度を有し、曲げ加工性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板が開示されている。

概要

強度と加工性とを両立しためっき鋼板を実現する。溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板において、鋼基材は、質量%で、C:0.050〜0.180%、Si:0.001〜0.50%、Mn:1.00〜2.80%、Ti:0.01〜0.10%、およびB:0.0005〜0.0100%を含み、熱間圧延工程での巻取り後セメンタイト平均粒径が2μm以下であり、連続溶融亜鉛めっき工程後の金属組織は、フェライト相と、面積率15%以上45%未満の第二相とを有し、第二相は、マルテンサイトまたは、マルテンサイトおよびベイナイトにより構成され平均結晶粒径が8μm以下である。なし

目的

近年、自動車や建材の分野では軽量化および省資源化を目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

鋼基材の表面に溶融Zn−Al−Mg系めっき層を有する溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板において、前記鋼基材は、質量%で、C:0.050〜0.180%、Si:0.001〜0.50%、Mn:1.00〜2.80%、Ti:0.01〜0.10%、およびB:0.0005〜0.0100%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物を含み、熱間圧延工程での巻取り後におけるセメンタイト平均粒径が2μm以下であり、連続溶融亜鉛めっき工程後の金属組織は、フェライト相と、面積率15%以上45%未満の第二相とを有し、前記第二相は、マルテンサイトまたは、マルテンサイトおよびベイナイトにより構成され、平均結晶粒径が8μm以下である、溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板。

請求項2

質量%で、P:0.005〜0.050%、S:0.001〜0.020%、およびAl:0.005〜0.100%の1種以上をさらに含む、請求項1に記載の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板。

請求項3

質量%で、Nb:0〜0.10%、V:0〜0.10%、Cr:0〜1.00%、およびMo:0〜1.00%の1種以上をさらに含む、請求項1または2に記載の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板。

請求項4

前記溶融Zn−Al−Mg系めっき層の表層は、Znの黒色酸化物が存在し、表面の明度L*が60以下である、請求項1から3の何れか1項に記載の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板。

請求項5

熱間圧延工程と、冷間圧延工程と、焼鈍および溶融Zn−Al−Mg系めっきを順次行う連続溶融亜鉛めっき工程と、をこの順で含む、鋼基材の表面に溶融Zn−Al−Mg系めっき層を有する溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法であって、前記熱間圧延工程は、熱間圧延後の平均冷却速度が20℃/秒以上80℃/秒未満であり、巻取り温度が400℃以上600℃未満である、溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法。

請求項6

前記鋼基材は、質量%で、C:0.050〜0.180%、Si:0.001〜0.50%、Mn:1.00〜2.80%、Ti:0.01〜0.10%、およびB:0.0005〜0.0100%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物を含み、前記熱間圧延工程での巻取り後におけるセメンタイトの平均粒径が2μm以下であり、前記連続溶融亜鉛めっき工程後の金属組織は、フェライト相と、面積率15%以上45%未満の第二相を有し、前記第二相は、マルテンサイトまたは、マルテンサイトおよびベイナイトにより構成され、平均結晶粒径が8μm以下である、請求項5に記載の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法。

請求項7

前記鋼基材は、質量%で、P:0.005〜0.050%、S:0.001〜0.020%、およびAl:0.005〜0.100%の1種以上をさらに含む、請求項6に記載の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法。

請求項8

前記鋼基材は、質量%で、Nb:0〜0.10%、V:0〜0.10%、Cr:0〜1.00%、およびMo:0〜1.00%の1種以上をさらに含む、請求項6または7に記載の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法。

請求項9

前記溶融Zn−Al−Mg系めっき層の表層は、Znの黒色酸化物が存在し、表面の明度L*が60以下である、請求項5から8の何れか1項に記載の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、自動車建材の分野では軽量化および省資源化を目的とした高強度高防錆鋼板ニーズが高まっている。その高強度高防錆鋼板は、プレス加工曲げ加工をはじめ様々な加工が施されるため、高強度および高耐食性であることに加え、加工性に優れることも重要である。しかしながら、材料の加工性は強度が上昇するのに伴って劣化するため、例えば、自動車の構造用部材および補強用部材において要求される最大引張強度780MPa以上のような高強度と、加工性とを両立させることができる技術の確立が望まれる。

0003

例えば、特許文献1には、鋼板にSi、NbおよびTiを添加することにより、マルテンサイトおよびベイナイト組織等の硬質相と、フェライト相との硬度差を小さくすることで、780MPa以上の高い引張強度と、加工性とを両立させる技術が開示されている。

0004

また、耐食性の観点からは、防錆効果の高い表面処理鋼板として溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板が知られている。近年、意匠性などの観点から黒色外観を有する鋼板のニーズが高まってきていることから、めっき層自体が黒色化されている溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の需要はますます増大している。特許文献2には、引張強度780MPa以上の高強度を有し、曲げ加工性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板が開示されている。

先行技術

0005

特開2006−283156号公報
特開2014−189812号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、鋼板へ多量にTiを添加すると再結晶温度の上昇を招くため、めっき工程での還元加熱温度を高くする必要がある。還元加熱温度の高温化はめっき不良の原因となるため、特許文献1に記載されている技術はめっき鋼板に好適とはいえない。また、特許文献2に記載の製造方法によれば、熱間圧延条件によってはめっき後のマルテンサイト量が減少する恐れがあることから、780MPa以上の強度が安定して得られない場合があった。

0007

本発明の一態様は、780MPa以上の引張強度と、高い加工性とを安定して両立した溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板を実現することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板は、鋼基材の表面に溶融Zn−Al−Mg系めっき層を有する溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板において、前記鋼基材は、質量%で、C:0.050〜0.180%、Si:0.001〜0.50%、Mn:1.00〜2.80%、Ti:0.01〜0.10%、およびB:0.0005〜0.0100%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物を含み、熱間圧延工程での巻取り後におけるセメンタイト平均粒径が2μm以下であり、連続溶融亜鉛めっき工程後の金属組織は、フェライト相と、面積率15%以上45%未満の第二相を有し、前記第二相は、マルテンサイトまたは、マルテンサイトおよびベイナイトにより構成され、平均結晶粒径が8μm以下である。

0009

本発明の一態様に係る溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板は、質量%で、P:0.005〜0.050%、S:0.001〜0.020%、およびAl:0.005〜0.100%の1種以上をさらに含んでいてもよい。

0010

本発明の一態様に係る溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板は、質量%で、Nb:0〜0.10%、V:0〜0.10%、Cr:0〜1.00%、およびMo:0〜1.00%の1種以上をさらに含んでいてもよい。

0011

本発明の一態様に係る溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板は、前記溶融Zn−Al−Mg系めっき層の表層は、Znの黒色酸化物が存在し、表面の明度L*が60以下であってもよい。

0012

上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法は、熱間圧延工程と、冷間圧延工程と、焼鈍および溶融Zn−Al−Mg系めっきをこの順で行う連続溶融亜鉛めっき工程と、をこの順で含む、鋼基材の表面に溶融Zn−Al−Mg系めっき層を有する溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法であって、前記熱間圧延工程は、熱間圧延後の平均冷却速度が20℃/秒以上80℃/秒未満であり、巻取り温度が400℃以上600℃未満である。

0013

本発明の一態様に係る溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法は、前記鋼基材は、質量%で、C:0.050〜0.180%、Si:0.001〜0.50%、Mn:1.00〜2.80%、Ti:0.01〜0.10%、およびB:0.0005〜0.0100%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物を含み、前記熱間圧延工程での巻取り後におけるセメンタイトの平均粒径が2μm以下であり、前記連続溶融亜鉛めっき工程後の金属組織は、フェライト相と、面積率15%以上45%未満の第二相を有し、前記第二相は、マルテンサイトまたは、マルテンサイトおよびベイナイトにより構成され、平均結晶粒径が8μm以下であってもよい。

0014

本発明の一態様に係る溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法は、前記鋼基材は、質量%で、P:0.005〜0.050%、S:0.001〜0.020%、およびAl:0.005〜0.100%の1種以上をさらに含んでいてもよい。

0015

本発明の一態様に係る溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法は、前記鋼基材は、質量%で、Nb:0〜0.10%、V:0〜0.10%、Cr:0〜1.00%、およびMo:0〜1.00%の1種以上をさらに含んでいてもよい。

0016

本発明の一態様に係る溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法は、前記溶融Zn−Al−Mg系めっき層の表層は、Znの黒色酸化物が存在し、表面の明度L*が60以下であってもよい。

発明の効果

0017

本発明の一態様によれば、780MPa以上の引張強度と、高い加工性とを安定して両立した溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板を実現できる。

図面の簡単な説明

0018

本発明の一実施例における各鋼の成分を示す図である。
本発明の一実施例における各鋼の製造条件および特性を示す図である。

0019

以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、以下の記載は発明の趣旨をより良く理解させるためのものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上B以下」を意味する。

0020

基材鋼板化学組成
めっき原板に相当する基材鋼板の成分元素について説明する。本明細書において、基材鋼板の化学組成に関する「%」は特に断らない限り「質量%」を意味する。

0021

(C)
C(炭素)は、鋼の高強度化に必要な元素である。引張強さ780MPa以上の強度レベルを得るためには0.050%以上のC含有量を必要とする。ただし、C含有量が過剰になると組織不均一性が顕著となり、加工性が低下する。そのため、C含有量は0.180%以下に制限され、0.160%以下に管理してもよい。

0022

(Si)
Si(ケイ素)は、高強度化に有効である他、セメンタイトの析出を抑制する作用を有し、パーライト等の生成を抑制するうえで有効である。これらの作用を十分に発揮させるために0.001%以上のSi含有量を確保する。ただし、多量にSiを含有すると、鋼板表面にSi濃化層が生じ、めっき性の低下を招く要因となる。そのため、Si含有量は0.50%以下に制限され、0.25%以下とすることがより好ましい。

0023

(Mn)
Mn(マンガン)は、高強度化に有効である。引張強さ780MPa以上の強度レベルを安定して得るために1.00%以上のMn含有量を確保する。ただし、Mn含有量が過大になると偏析が生じやすくなり加工性が低下する。そのため、Mn含有量は2.80%以下とする。

0024

(Ti)
鋼板は、0.01質量%以上0.1質量%以下のTi(チタン)を含む。TiはCと反応することにより、Tiを含む炭化物微細粒子として析出し、鋼板の高強度化に有効な元素である。また、Tiは鋼中のS(硫黄)およびN(窒素)との親和性も高いため、Cと反応し析出物を生成するだけでなく、SおよびNとも反応し析出物を生成する。オーステナイトフェライト変態を抑制するのに必要なBはNと結合しやすいことから、Tiの添加は、固溶したBの含有量の確保に有効である。Tiの含有量が0.01質量%以上であることにより、オーステナイト−フェライト変態を抑制するのに必要な固溶したBの含有量が確保され、析出物を微細析出させる効果が顕著に表れる。また、Tiの含有量が0.1質量%以下であることにより、基材鋼板におけるTiの含有量が過剰とならず、基材鋼板の製造コストを抑制できる。

0025

(B)
B(ホウ素)は、鋼のオーステナイト−フェライト変態を抑制し、変態組織強化に寄与する。オーステナイト−フェライト変態の抑制によりTi系炭化物等の析出開始温度を低下させ、それらの炭化物を微細化させる効果を有する。上記効果を十分に得るために、0.0005%以上のB含有量を確保する。0.0010%以上とすることがより効果的である。ただし、多量のB含有は硼化物の生成による加工性低下を招く要因となる。Bを添加する場合は0.0100%以下の範囲で行う必要があり、0.0050%以下に管理してもよい。

0026

(P)
P(リン)は、固溶強化に有効であるため、0.005%以上のP含有量を確保することが好ましい。0.010%以上に管理してもよい。ただし、P含有量が過大になると偏析が生じやすくなり加工性が低下する。P含有量は0.050%以下に制限される。

0027

(S)
S(硫黄)は加工性を低下させる要因となる。Sの含有量は0.020%まで許容される。ただし、過剰な低S化は製鋼負荷の増大を招くので、通常、S含有量は0.001%以上であってよい。

0028

(Al)
Al(アルミニウム)は、脱酸作用を有する。その作用を十分に発揮させるために、鋼中のAl含有量が0.005%以上となるようにAlを添加することが望ましい。ただし、過剰のAl含有は加工性の低下を招く。そのため、Al含有量は0.100%以下に制限され、0.050%以下に管理してもよい。

0029

(Nb、V)
Nb(ニオブ)およびV(バナジウム)は、Tiと同様に、組織の微細化によって組織の均一性を向上させるとともに、炭化物の粒子分散強化により、曲げ性等の加工性を劣化させることなく強度向上に寄与する。したがって、必要に応じてNb、Vの1種または2種を含有させてもよい。上記効果を十分に得るためには、Nbについては0.01%以上、Vについては0.03%以上の含有量を確保することがより効果的である。ただし、これらの元素を多量に含有すると加工性の低下を招く。そのため、これらの1種または2種を添加する場合、Nb含有量は0.10%以下、V含有量も0.10%以下の範囲とする。

0030

(Mo、Cr)
Mo(モリブデン)およびCr(クロム)は、いずれも固溶強化によって強度を向上させる作用を有するので、必要に応じてMo、Crの1種または2種を含有させてもよい。上記作用を十分に発揮させるためには、Moについては0.01%以上、Crについても0.01%以上の含有量を確保することがより効果的である。ただし、これらの元素を多量に含有すると延性の低下を招く。そのため、これらの1種または2種を添加する場合、Mo含有量は1.00%以下、Cr含有量も1.00%以下の範囲とする。

0031

本実施形態に係る鋼板は、C、Si、Mn、Ti、およびBを含み、さらにその他の成分として上述した各成分を含み得る。好適な態様としては、P、S、およびAlの1種以上をさらに含むものである。より好適な態様では、これらをすべて含んでいる。さらに別の態様では、C、Si、Mn、Ti、およびBに加えて、P、S、およびAlの1種以上を含み、好ましくは全てを含んでいる態様において、Nb、V、Cr、およびMoの1種以上をさらに含むものが挙げられる。なお、残部はFeおよび不可避的不純物を含む。

0032

〔鋼基材の金属組織〕
本発明では、主相フェライトに第二相としてマルテンサイトまたは、マルテンサイトとベイナイトとが分散した複合組織を持つDPデュアルフェイズ)鋼板を鋼基材の適用対象としている。溶融亜鉛めっき後の金属組織において、主相フェライトに分散するマルテンサイトまたは、マルテンサイトとベイナイトとにより構成された第二相は、面積率で合計15%以上45%未満とする。第二相の面積率が15%に満たないと780MPa以上の引張強さを安定して得ることが困難となる。逆に45%以上になると硬くなりすぎて加工性が低下する。

0033

第二相はマルテンサイトのみであることが最も好ましいが、部分的にベイナイトが分散していてもよい。例えば、マルテンサイトとベイナイトとの合計体積に占めるベイナイトの体積の割合は、0〜5%の範囲であることがより好ましい。後述する実施例における本発明例はいずれもこの条件を満たしている。

0034

本発明では、組織を微細化することにより加工性を向上させている。板厚0.8〜2.0mm程度のめっき鋼板を使用して自動車の構造用部材および補強用部材を製造する場合を考慮すると、第二相の平均結晶粒径が8μm以下に微細化されているとき、十分な加工性が確保され、設計自由度の拡大に有用となることがわかった。主相であるフェライトも微細化されていることが好ましいが、加工性に関しては特に第二相の平均結晶粒径が重要である。

0035

第二相の平均結晶粒径が8μm以下となる後述の製造条件を採用すれば、フェライト相も十分に微細化される。例えば、フェライト相の平均結晶粒径は10μm以下となる。後述する実施例において第二相の平均結晶粒径が8μm以下であるものは、いずれもフェライト相の平均結晶粒径は10μm以下である。

0036

〔製造方法〕
上述の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板は、鋼スラブに熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、溶融亜鉛めっきの各工程をこの順に施す、一般的な溶融亜鉛系めっき鋼板製造ラインを利用して製造することができる。鋼材の強度および加工性を両立させるためには、鋼基材の化学組成をコントロールすることに加え、結晶粒径が十分に微細化するよう、製造条件を工夫する必要がある。具体的には、熱間圧延工程において、平均冷却速度を20℃/秒以上80℃/秒未満とし、巻取り温度を400℃以上600℃未満とする。

0037

なお、熱間圧延工程において830〜940℃の仕上圧延温度により熱間圧延を施し、冷間圧延工程において冷間圧延率を40〜70%とし、焼鈍工程において740〜880℃により焼鈍を施した後、めっき浴に浸漬するまでの冷却過程で少なくとも450℃までの平均冷却速度を5℃/秒以上とすることが、より好ましい。

0038

(熱間圧延工程)
上記の熱間圧延工程では、熱間圧延における仕上圧延温度を830〜940℃とすることが好ましい。仕上圧延温度が830℃以上であることにより、鋼板の変形抵抗が高くならず、熱間圧延による鋼板の製造性の低下を防止することができる。また、仕上圧延温度が940℃以下であることにより、コイル表面におけるスケール疵の発生を防ぎ、表面品質の低下を抑制することができる。

0039

仕上圧延後の鋼板(熱延鋼板)は、20℃/秒以上80℃/秒未満の平均冷却速度で、400℃以上600℃未満の巻取り温度まで冷却される。平均冷却速度が20℃/秒以下の場合、または巻取り温度が600℃以上の場合、熱延鋼板組織のセメンタイトが粗大化し、溶融亜鉛めっき工程での還元加熱において粗大なセメンタイトの一部が未溶解炭化物として残存する。その結果、溶融亜鉛めっき後のマルテンサイト量が減少し、780MPa以上の引張強度が得られない。また、平均冷却速度が80℃/秒以上の場合、または巻取り温度が400℃未満の場合、転位密度が高くなることで熱延鋼板の硬さが増大し、冷間圧延工程での負荷が増大するだけでなく、溶融亜鉛めっき工程後の加工性の低下を招く。

0040

20℃/秒以上80℃/秒未満の平均冷却速度および400℃以上600℃未満の巻取り温度であれば、熱間圧延での巻取り後におけるセメンタイト粒径は2μm以下となる。これにより、溶融亜鉛めっき工程での還元加熱において、未溶解炭化物の残存を抑制することができるため、溶融亜鉛めっき後のマルテンサイト量が増加する。したがって、780MPa以上の、強度および加工性を高いレベルで両立しためっき鋼板を安定して製造することができる。

0041

(冷間圧延工程)
上記の冷間圧延工程では、冷間圧延率を40〜70%とすることが好ましい。40%未満の冷間圧延率では焼鈍後の組織が粗大となり曲げ性が低下する。一方、70%を超える冷間圧延率では、冷間圧延による組織微細化効果が飽和する。また、過度に高い冷間圧延率を付与することは冷間圧延工程の負荷を増大させ好ましくない。この冷間圧延工程での冷間圧延率が上記の範囲となるように、最終的な目標板厚に応じて熱間圧延後の板厚を調整しておく。場合によっては、熱間圧延後、この冷間圧延工程の前に、中間冷間圧延中間焼鈍の工程を挿入してもよい。

0042

(連続溶融亜鉛めっき工程)
連続溶融亜鉛めっき工程では、焼鈍および溶融Zn−Al−Mg系めっきを順次行う。

0043

溶融亜鉛めっき浴に浸漬する直前に行う焼鈍では、還元性雰囲気下において、材料温度最高到達温度)が740〜880℃となるように加熱してもよい。材料温度が740℃に達しないと再結晶化が不十分となって未再結晶組織が残存しやすいため、良好な加工性を安定して得ることが難しい。880℃を超えるとオーステナイト母相結晶粒が粗大化し、良好な加工性を付与するために必要な第二相の微細化が不十分となる。材料温度が740〜880℃の範囲に保持する時間は、例えば60秒以下の範囲で設定すればよい。

0044

焼鈍後の冷却過程では、少なくとも450℃までの平均冷却速度が5℃/秒以上となるようにすることが好ましい。この温度域での冷却速度がこれより遅いと、部分的にパーライトが生成しやすくなり、780MPa以上の高強度を安定して得ることが困難となる。また、フェライト粒径および第二相粒径の微細化の点からも、冷却速度は5℃/秒以上とすることが有効である。本発明で対象とする鋼は上記のように所定のTiおよび必要に応じてNbを含有しているので、加熱後の冷却速度をこのように選定することでフェライトの平均結晶粒径が10μm以下、かつ第二相の平均結晶粒径が8μm以下である微細な組織を得ることができる。

0045

この焼鈍は、焼鈍および溶融Zn−Al−Mg系めっきを1回のライン通板で行うことが可能な連続めっきラインで行うことが望ましい。焼鈍後の上記冷却において、溶融亜鉛めっき浴に浸漬する際の適正材温まで冷却した後、鋼板を直接溶融亜鉛めっき浴に浸漬する。焼鈍雰囲気還元性雰囲気とし、めっき浴中に浸漬されるまで鋼板が大気に触れないように管理される。

0046

溶融Zn−Al−Mg系めっきは、従来から実施されている方法を採用すればよい。めっき浴組成は、例えば、質量%で、Al:3.0〜22.0%、Mg:0.05〜10.0%、Ti:0〜0.10%、B:0〜0.05%、Si:0〜2.0%、Fe:0〜2.0%、残部がZnおよび不可避的不純物である組成が好適である。得られるめっき鋼板のめっき層組成は、めっき浴組成をほぼ反映したものとなる。

0047

得られためっき鋼板は、密閉容器中で水蒸気に接触させて、めっき層を黒色化する。この工程により、めっき層表面の明度(L*値)を60以下(好ましくは40以下、さらに好ましくは35以下)にまで低下させることができる。これにより、溶融Zn−Al−Mg系めっき層の表層に、Znの黒色酸化物が存在し、表面の明度L*が60以下である鋼板が得られる。めっき鋼板の表層がこのような明度であれば、黒色の、意匠性に優れためっき鋼板が得られる。なお、必要とする明度L*に応じて、水蒸気への接触時間等が適宜設定される。めっき層表面の明度(L*値)は、分光色差計を用いて測定される。

0048

本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。

0049

本発明の一実施例について以下に説明する。

0050

試験方法
図1に示す化学組成を有するスラブ加熱温度1250℃、仕上げ圧延温度880℃、仕上圧延から巻取りまでの平均冷却速度を15〜70℃/秒、巻取り温度420〜630℃で熱間圧延して、板厚1.8〜2.8mmの熱延鋼板を得た。熱延鋼板を酸洗後、45〜65%の圧延率で冷間圧延して板厚1.0mmのめっき原板(鋼基材)とし、これを連続溶融めっきラインに通板して、水素窒素混合ガス雰囲気中750〜850℃の種々の温度で焼鈍し、8〜12℃/秒の冷却速度により約420℃まで冷却した。

0051

その後、鋼板表面が大気に触れない状態のまま下記の浴組成の溶融Zn−Al−Mg系めっき浴中に浸漬した後引き上げガスワイピング法にて、めっき付着量を片面あたり約90g/m2に調整することにより溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板を製造し、これを供試材とした。めっき浴温は約410℃であった。

0052

めっき浴組成は以下の通りである;
質量%で、Al:6%、Mg:3%、Ti:0.002%、B:0.0005%、Si:0.01%、Fe:0.1%、残部:Zn。

0053

各鋼(本発明例:鋼A〜G、比較例:鋼a)の製造条件を図2に示した。このうち、「CT」は巻取り温度を示し、「冷却速度」は、熱間圧延における仕上圧延から巻取りまでの平均冷却速度を示し、「焼鈍温度」は連続溶融亜鉛めっきラインでの還元加熱温度を示す。

0054

試験項目
得られた供試材のめっき鋼板について、以下の試験を行った。

0055

引張特性
試験片長手方向がめっき原板(鋼基材)の圧延方向に対し直角となるように採取したJIS5号試験片を用い、JIS Z2241に従い引張強さTS、全伸びT.Elを求めた。

0056

曲げ試験
試験片の長手方向がめっき原板(鋼基材)の圧延方向に対し直角となるように採取した曲げ試験片を用いて、JIS Z2248に従い曲げ角度45度のVブロック曲げ試験を実施した。試験後に、曲げ部を曲げの外側から目視にて観察し、割れが認められない最小の曲げ先端内側半径限界曲げ半径Rとして算出し、限界曲げ半径Rを板厚tにより除した値を、曲げ性の指標R/tとして求めた。

0057

(金属組織)
熱延材およびめっき材の金属組織は、圧延方向と平行な断面(L断面)を走査型電子顕微鏡にて観察した。熱延材については、ピクラール試薬によってエッチングした後、10視野画像解析を行ってセメンタイトの平均粒径を求めた。

0058

また、めっき材については、いずれもフェライトを主相とし、第二相としてマルテンサイトまたはマルテンサイトとベイナイトが存在する金属組織を呈していた。10視野の画像解析を行い、第二相の面積率および平均結晶粒径(円相当径)を求めた。

0059

〔試験結果〕
以上の試験項目についての試験結果を図2にまとめて示す。なお、図2中の下線を付した項目は、本発明規定範囲外または特性不十分であることを示す。

0060

本発明例のものは、いずれも熱延材のセメンタイト粒径が2μm以下であり、めっき材のマルテンサイトまたはマルテンサイトおよびベイナイトにより構成される第二相の面積率が15%以上45%未満、当該第二相の平均結晶粒径が8μm以下、引張強さTSが780MPa以上、引張強さTS×全伸びT.Elが14000MPa・%以上、かつ曲げ性の指標R/tが1.5以下であった。すなわち、本発明例では、強度と加工性とを高いレベルで両立しためっき鋼板が安定して得られた。

実施例

0061

一方、鋼板の化学組成、巻取り温度(CT)、または仕上圧延から巻取りまでの平均冷却速度のいずれかの一つ以上の条件において、本発明規定範囲外の条件により製造された供試材(比較例)はいずれも、上記第二相の面積率が15%未満となり、引張強さTSが780MPa以下となった。すなわち、本発明において求められる強度を満たすめっき鋼板は得られなかった。

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