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技術 ステンレス鋼板、ダイクエンチ部材、およびダイクエンチ部材の製造方法

出願人 日鉄ステンレス株式会社
発明者 河野明訓溝口太一朗
出願日 2019年3月22日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-055043
公開日 2020年9月24日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-152992
状態 未査定
技術分野 熱処理 物品の熱処理 鋼の加工熱処理
主要キーワード 種介在物 通水配管 ディスクブレーキロータ 薄肉軽量化 硬さ計 熱間圧延処理 ステンレス鋼中 足回り部材
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (1)

課題

耐摩耗性および耐食性に優れたダイクエンチ部材を、ステンレス鋼板を用いて、かつ一般的なダイクエンチ用の設備で製造する。

解決手段

ステンレス鋼板は、0.01重量%以上0.35重量%以下のC、0.005重量%以上0.09重量%以下のN、11.00重量%以上15.00重量%以下のCr、0.01重量%以上1.00重量%以下のNi、および0.015重量%以上0.10重量%以下のSnを含む。

概要

背景

従来から、四輪自動車用のディスクブレーキ等の自動車足回りに用いられる部材(以下、「足回り部材」)は、鋳造たねずみ鋳鉄切削加工を施して製造されている。また、足回り部材については、従来から、高硬度薄肉軽量化との両立が求められており、二輪車用のディスクブレーキ等にはステンレス鋼が用いられている。それ故、近年、四輪自動車用の足回り部材の製造に用いられる材料として、ねずみ鋳鉄等の替わりにステンレス鋼の適用が期待されている。

しかし、ステンレス鋼板を用いて足回り部材を製造する場合、通常のプレス加工ではスプリングバックが生じて所望の形状が得られない。そこで、ダイクエンチの、足回り部材への適用が注目されている。ステンレス鋼板を用いたダイクエンチによる足回り部材等の製造については、例えば特許文献1および2に開示されている。

概要

耐摩耗性および耐食性に優れたダイクエンチ部材を、ステンレス鋼板を用いて、かつ一般的なダイクエンチ用の設備で製造する。ステンレス鋼板は、0.01重量%以上0.35重量%以下のC、0.005重量%以上0.09重量%以下のN、11.00重量%以上15.00重量%以下のCr、0.01重量%以上1.00重量%以下のNi、および0.015重量%以上0.10重量%以下のSnを含む。なし

目的

本発明の一態様は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性および耐食性に優れた足回り部材等を、ステンレス鋼板を用いて、かつ一般的なダイクエンチ用の設備で製造できるようにすることを目的とする

効果

実績

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請求項1

0.01重量%以上0.35重量%以下の炭素、0.005重量%以上0.09重量%以下の窒素、11.00重量%以上15.00重量%以下のクロム、0.01重量%以上1.00重量%以下のニッケル、および0.015重量%以上0.10重量%以下のスズを含む、ステンレス鋼板

請求項2

0.20重量%以上2.50重量%以下のシリコン、および0.40重量%以上2.50重量%以下のマンガンの少なくとも一方をさらに含む、請求項1に記載のステンレス鋼板。

請求項3

0.01重量%以上1.00重量%以下のニオブ、0.01重量%以上0.50重量%以下のチタン、および0.01重量%以上0.50重量以下のバナジウムの少なくともいずれか1つをさらに含む、請求項1または2に記載のステンレス鋼板。

請求項4

0.01重量%以上1.00重量%以下のモリブデン、0.01重量%以上0.50重量%以下の銅、0.01重量%以上0.15重量%以下のアルミニウム、および0.0005重量%以上0.01重量%以下のホウ素の少なくともいずれか1つをさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のステンレス鋼板。

請求項5

0.01重量%以上0.35重量%以下の炭素、0.005重量%以上0.09重量%以下の窒素、11.00重量%以上15.00重量%以下のクロム、0.01重量%以上1.00重量%以下のニッケル、および0.015重量%以上0.10重量%以下のスズを含むステンレス鋼板が用いられており、フェライト相マルテンサイト相炭化物、および各種介在物を含み、前記フェライト相、前記マルテンサイト相、前記炭化物および前記各種介在物の各体積を合計した合計体積である全体積に対する前記マルテンサイト相の体積の割合が80%〜98%である、ダイクエンチ部材

請求項6

前記ダイクエンチ部材は、四輪自動車用のディスクブレーキロータである、請求項5に記載のダイクエンチ部材。

請求項7

0.01重量%以上0.35重量%以下の炭素、0.005重量%以上0.09重量%以下の窒素、11.00重量%以上15.00重量%以下のクロム、0.01重量%以上1.00重量%以下のニッケル、および0.015重量%以上0.10重量%以下のスズを含むステンレス鋼板が用いられており、フェライト相、マルテンサイト相、炭化物、および各種介在物を含み、前記フェライト相、前記マルテンサイト相、前記炭化物および前記各種介在物の各体積を合計した合計体積である全体積に対する前記マルテンサイト相の体積の割合が80%〜98%である、ダイクエンチ部材の製造方法であって、前記ステンレス鋼板に対して、800℃以上900℃以下で加熱する焼入れ処理を施す焼入れ処理工程を含む、ダイクエンチ部材の製造方法。

請求項8

前記焼入れ処理工程では、800℃以上900℃以下で加熱された前記ステンレス鋼板を10℃/s以上の冷却速度で冷却する、請求項7に記載のダイクエンチ部材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ステンレス鋼板ダイクエンチ部材、およびダイクエンチ部材の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来から、四輪自動車用のディスクブレーキ等の自動車足回りに用いられる部材(以下、「足回り部材」)は、鋳造たねずみ鋳鉄切削加工を施して製造されている。また、足回り部材については、従来から、高硬度薄肉軽量化との両立が求められており、二輪車用のディスクブレーキ等にはステンレス鋼が用いられている。それ故、近年、四輪自動車用の足回り部材の製造に用いられる材料として、ねずみ鋳鉄等の替わりにステンレス鋼の適用が期待されている。

0003

しかし、ステンレス鋼板を用いて足回り部材を製造する場合、通常のプレス加工ではスプリングバックが生じて所望の形状が得られない。そこで、ダイクエンチの、足回り部材への適用が注目されている。ステンレス鋼板を用いたダイクエンチによる足回り部材等の製造については、例えば特許文献1および2に開示されている。

先行技術

0004

特許第5825218号明細書(2015年12月2日発行
特許第5755644号明細書(2015年7月29日発行)

発明が解決しようとする課題

0005

ダイクエンチは、一般的に、特殊鋼について800℃から900℃の温度で熱間加工および金型焼入れして行う。したがって、ダイクエンチ用の設備も、800℃から900℃の温度で焼入れすることを前提とした構造になっている。一方、ステンレス鋼板は、一般的に、900℃から1200℃の前記温度で焼入れが施される。それゆえ、特許文献1および2に開示された足回り部材等を製造する場合、一般的なダイクエンチ用の設備に加えて、900℃から1200℃で焼入れするための設備を別途設けなければならなくなると推定される。

0006

本発明の一態様は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性および耐食性に優れた足回り部材等を、ステンレス鋼板を用いて、かつ一般的なダイクエンチ用の設備で製造できるようにすることを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るステンレス鋼板は、0.01重量%以上0.35重量%以下の炭素、0.005重量%以上0.09重量%以下の窒素、11.00重量%以上15.00重量%以下のクロム、0.01重量%以上1.00重量%以下のニッケル、および0.015重量%以上0.10重量%以下のスズを含む。

0008

前記構成によれば、ステンレス鋼板は、0.01重量%以上0.35重量%以下の炭素、および0.005重量%以上0.09重量%以下の窒素を含んでいる。そのため、ステンレス鋼板の耐摩耗性を所望の範囲(ビッカース硬さ:300HV〜400HV程度)に収めることができるとともに、焼入れ温度を800℃から900℃まで下げることができる。

0009

また、ステンレス鋼板は、0.015重量%以上0.10重量%以下のスズを含んでいる。そのため、炭素量の増加によって鋭敏化したステンレス鋼板の耐食性を担保することができる。さらに、ステンレス鋼板中の炭化物微細化されることから、ステンレス鋼板を800℃から900℃の温度で焼入れすると、ステンレス鋼板中に残留したフェライト相が微細に分散された状態になってステンレス鋼板の靱性も向上させることができる。

0010

また、ステンレス鋼板は、11.00重量%以上15.00重量%以下のクロムを含んでいる。そのため、ステンレス鋼の耐食性がさらに向上する。

0011

また、ステンレス鋼板は、0.01重量%以上1.00重量%以下のニッケルを含んでいる。そのため、ステンレス鋼の耐食性がさらに向上する。また、本態様に係るステンレス鋼を用いて製造された足回り部材等について、マルテンサイト相体積率をより好ましい数値範囲に収めることができる。「マルテンサイト相の体積率」とは、ステンレス鋼板の全体積に対する前記マルテンサイト相の体積の割合を示す。「ステンレス鋼板の全体積」とは、ステンレス鋼板を構成するフェライト相、マルテンサイト相、炭化物、および各種介在物について、フェライト相の体積、マルテンサイト相の体積、炭化物の体積、および各種介在物の体積を合計した合計体積のことを示す。

0012

上より、本態様に係るステンレス鋼板を用いれば、耐摩耗性および耐食性に優れた足回り部材等を、一般的なダイクエンチ用の設備で製造することができる。

0013

前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るステンレス鋼板は、0.20重量%以上2.50重量%以下のシリコン、および0.40重量%以上2.50重量%以下のマンガンの少なくとも一方をさらに含んでよい。

0014

前記構成によれば、ステンレス鋼は、0.20重量%以上2.50重量%以下のシリコンを含んでいる。そのため、固溶強化によりステンレス鋼の耐摩耗性が向上する。また、シリコンはフェライト形成元素であるため、焼入れ後ステンレス鋼中に微量のフェライト相を残留させることができる。また、ステンレス鋼は、0.40重量%以上2.50重量%以下のマンガンを含んでいる。そのため、ステンレス鋼の焼入れ性が向上するとともに、高価なオーステナイト形成元素であるニッケル、銅の含有量を低減することができる。

0015

前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るステンレス鋼板は、0.01重量%以上1.00重量%以下のニオブ、0.01重量%以上0.50重量%以下のチタン、および0.01重量%以上0.50重量以下のバナジウムの少なくともいずれか1つをさらに含んでよい。

0016

前記構成によれば、ステンレス鋼は、0.01重量%以上1.00重量%以下のニオブを含んでいる。ニオブはステンレス鋼中で炭窒化物を形成するため、ステンレス鋼の耐摩耗性がさらに向上するとともに、ステンレス鋼母相中の炭素の量を減らすことができ、焼入れ後のステンレス鋼中に微量のフェライト相を残留させることができる。また、チタン、バナジウムもニオブと同様にステンレス鋼中で炭窒化物を形成するため、ニオブと同様の効果が期待できる。

0017

前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るステンレス鋼板は、0.01重量%以上1.00重量%以下のモリブデン、0.01重量%以上0.50重量%以下の銅、0.01重量%以上0.15重量%以下のアルミニウム、および0.0005重量%以上0.01重量%以下のホウ素の少なくともいずれか1つをさらに含んでよい。

0018

前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るダイクエンチ部材は、0.01重量%以上0.35重量%以下の炭素、0.005重量%以上0.09重量%以下の窒素、11.00重量%以上15.00重量%以下のクロム、0.01重量%以上1.00重量%以下のニッケル、および0.015重量%以上0.10重量%以下のスズを含むステンレス鋼板が用いられており、フェライト相、マルテンサイト相、炭化物、および各種介在物を含み、前記フェライト相、前記マルテンサイト相、前記炭化物および前記各種介在物の各体積を合計した合計体積である全体積に対する前記マルテンサイト相の体積の割合が80%〜98%である。前記構成によれば、耐摩耗性および耐食性に優れたステンレス鋼を用いて、一般的なダイクエンチ用の設備で製造できるダイクエンチ部材を実現することができる。

0019

前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るダイクエンチ部材は、四輪自動車用のディスクブレーキロータであってもよい。前記構成によれば、耐摩耗性および耐食性に優れたステンレス鋼を用いて、一般的なダイクエンチ用の設備で製造できる四輪自動車用のディスクブレーキロータを実現することができる。

0020

前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るダイクエンチ部材の製造方法は、0.01重量%以上0.35重量%以下の炭素、0.005重量%以上0.09重量%以下の窒素、11.00重量%以上15.00重量%以下のクロム、0.01重量%以上1.00重量%以下のニッケル、および0.015重量%以上0.10重量%以下のスズを含むステンレス鋼が用いられており、フェライト相、マルテンサイト相、炭化物、および各種介在物を含み、前記フェライト相、前記マルテンサイト相、前記炭化物および前記各種介在物の各体積を合計した合計体積である全体積に対する前記マルテンサイト相の体積の割合が80%〜98%である、ダイクエンチ部材の製造方法であって、前記ステンレス鋼板に対して、800℃以上900℃以下で加熱する焼入れ処理を施す焼入れ処理工程を含む。

0021

前記構成によれば、耐摩耗性および耐食性に優れたステンレス鋼を用いたダイクエンチ部材を一般的なダイクエンチ用の設備で製造できる、ダイクエンチ部材の製造方法を実現することができる。

0022

前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るダイクエンチ部材の製造方法は、前記焼入れ処理工程では、800℃以上900℃以下で加熱された前記ステンレス鋼材を10℃/s以上の冷却速度で冷却してもよい。

0023

前記構成によれば、ダイクエンチ部材が鋭敏化したり、ダイクエンチ部材にフェライト相およびマルテンサイト相と異なる別の相が生成されたりすることを防止することができる。

発明の効果

0024

本発明の一態様によれば、耐摩耗性および耐食性に優れた足回り部材等を、一般的なダイクエンチ用の設備で製造することができる。

図面の簡単な説明

0025

本発明の一実施形態における、ダイクエンチ部材の製造方法の一例を示す概略図である。

実施例

0026

以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。

0027

〔ステンレス鋼板およびダイクエンチ部材〕
<ステンレス鋼板の成分元素
本実施形態のステンレス鋼板に含まれる成分元素について、以下に説明する。

0028

本実施形態のステンレス鋼板は、0.01重量%以上0.35重量%以下の炭素、0.005重量%以上0.09重量%以下の窒素、および0.015重量%以上0.10重量%以下のスズを含む。

0029

炭素はステンレス鋼板に耐摩耗性を付与する元素である。その観点からは、炭素の含有量は0.01重量%以上とする必要がある。一方、炭素の含有量が増大すると、ステンレス鋼板が鋭敏化する。従って、ステンレス鋼板の耐摩耗性を所望の範囲(ビッカース硬さ:300HV〜400HV程度)に収めるという観点からは、炭素の含有量は0.01重量%以上0.35重量%以下であり、0.05重量%以上0.30重量%以下であることが好ましい。

0030

スズは、炭素量の増加によって鋭敏化したステンレス鋼板の耐食性を担保し、ステンレス鋼板の靱性を向上させる元素である。スズの含有量が少ないと、十分な耐食性が得られない。一方、スズの含有量が増大すると、熱間圧延処理等によるプレス加工を施す場合に、ステンレス鋼板が破損する虞がある。従って、スズの含有量は0.015重量%以上0.10重量%以下であり、0.02重量%以上0.05重量%以下であることがより好ましい。

0031

窒素は、炭素と同様ステンレス鋼板に耐摩耗性を付与する元素である。炭素と同様の理由から、窒素の含有量は0.005重量%以上0.09重量%以下であり、0.01重量%以上0.025重量%以下であることがより好ましい。

0032

また、本実施形態のステンレス鋼板は、クロムを含む。クロムはステンレス鋼板へ必要な耐食性を付与するうえでの必須元素である。クロムの含有量は11.00重量%以上15.00重量%以下であり、11.50重量%以上14.00重量%以下であることがより好ましい。

0033

また、本実施形態のステンレス鋼板は、ニッケルを含む。ニッケルは、マルテンサイト組織の生成に寄与する元素である。ニッケルの含有量は0.01重量%以上1.00重量%以下であり、0.01重量%以上0.50重量%以下であることがより好ましい。

0034

また、本実施形態のステンレス鋼板は、シリコンおよびマンガンの少なくとも一方をさらに含んでいてもよい。シリコンは、ステンレス鋼板の有する耐摩耗性を向上させる元素である。また、シリコンは、フェライト形成元素であるため、焼入れ後のステンレス鋼中に微量のフェライト相を残留させることができる。マンガンは、ステンレス鋼の焼入れ性を向上させるとともに、高価なオーステナイト形成元素であるニッケル、銅の含有量を低減することができる。

0035

シリコンの含有量は0.20重量%以上2.50重量%以下であり、0.10重量%以上〜1.00重量%以下であることが好ましい。また、マンガンの含有量は0.40重量%以上2.50重量%以下であり、0.70重量%以上1.00重量%以下であることがより好ましい。

0036

また、本実施形態のステンレス鋼板は、ニオブ、チタンおよびバナジウムの少なくともいずれか1つをさらに含んでいてもよい。ニオブ、チタンおよびバナジウムは、ステンレス鋼の耐摩耗性を向上させるとともに、ステンレス鋼中の炭素の量を減らすことができ、焼入れ後のステンレス鋼中に微量のフェライト相を残留させることができる。

0037

ニオブの含有量は0.01重量%以上1.00重量%以下であり、0.01重量%以上0.50重量%以下であることがより好ましい。チタンの含有量は0.01重量%以上0.50重量%以下であり、0.01重量%以上0.30重量%以下であることがより好ましい。バナジウムの含有量は0.01重量%以上0.50重量%以下であり、0.01重量%以上0.20重量%以下であることがより好ましい。

0038

また、本実施形態のステンレス鋼板は、上述した成分の他に、モリブデン、銅、アルミニウムおよびホウ素の少なくともいずれか1つをさらに含んでいてもよい。例えば、モリブデンの含有量は0.01重量%以上1.00重量%以下であり、0.01重量%以上0.50重量%以下であることがより好ましい。アルミニウムの含有量は0.01重量%以上0.15重量%以下であり、0.02重量%以上0.10重量%以下であることがより好ましい。銅の含有量は0.01重量%以上0.50重量%以下であり、0.01重量%以上0.40重量%以下であることがより好ましい。ホウ素の含有量は0.0005重量%以上0.01重量%以下であり、0.0005重量%以上0.006重量%以下であることがより好ましい。

0039

<ダイクエンチ部材>
前記ステンレス鋼板を用いて製造されたダイクエンチ部材は、フェライト相、マルテンサイト相、炭化物および各種介在物が含まれる。また、前記ダイクエンチ部材は前記マルテンサイト相の体積率が80%から98%となる。本実施形態のダイクエンチ部材としては、四輪自動車用のディスクブレーキロータの他、メンバー類、ギア類などを例示することができる。

0040

〔ステンレス鋼板およびダイクエンチ部材の製造方法〕
本実施形態のステンレス鋼板およびダイクエンチ部材の製造方法の一例について、以下に説明する。図1は、本実施形態における、ダイクエンチ部材の製造方法の一例を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態におけるダイクエンチ部材の製造方法は、前処理工程S1、熱間圧延工程S2、焼鈍工程S3、酸洗工程S4および焼入れ処理工程S5を含む。

0041

前処理工程S1では、先ず、真空またはアルゴン雰囲気溶解炉を用いて、本発明の範囲内となるように組成を調整した鋼を溶製する。この鋼を鋳造して鋼塊を製造する。その後、該鋼塊から熱間圧延用のブロックを切り出す。そして、該ブロックを大気雰囲気中で1100℃〜1300℃の温度域に加熱する。該ブロックを加熱して保持する時間は、限定されない。なお、鋼塊からブロックを切り出さずに、鋼塊をそのまま加熱してもよい。なお、工業的に前処理工程S1を行う場合、前記鋳造は連続鋳造であってよく、前記鋼塊はスラブであってよい。

0042

熱間圧延工程S2では、前処理工程S1において得られるブロック(鋼塊)を熱間圧延することにより、熱延鋼帯を製造する。熱間圧延工程S2における仕上温度は一般的な範囲内であってよく、例えば800℃〜1000℃程度であってよい。巻取温度は、必要に応じて、400℃〜900℃の範囲で設定すればよい。本工程に用いられる、熱間圧延を行う装置の構造も一般的な構造であってよい。

0043

前記熱延鋼帯を脱スケールした後、冷間圧延を行い、その後、焼鈍工程S3において焼鈍を行う。この焼鈍は、例えば、800〜1000℃程度の温度で行われる。焼鈍を行う時間は特に限定されない。

0044

焼鈍工程S3後に得られるステンレス鋼帯に対して、酸洗工程S4において酸洗処理が施される。

0045

酸洗工程S4後に得られたコイル状のステンレス鋼帯を、所定の長さに切り出すことにより、ステンレス鋼板が製造される。得られたステンレス鋼板に含まれる成分は後述する。

0046

焼入れ処理工程S5では、前記ステンレス鋼板に対して焼入れ処理が施される。焼入れ処理後、得られたステンレス鋼板を高温でプレス加工する。プレス加工により得られたステンレス鋼材は冷却装置により冷却される。

0047

焼入れ処理における前記焼入れ温度は、例えば、800℃以上900℃以下、より好ましくは850℃以上900℃以下であることが好ましい。

0048

焼入れ処理において用いられる、前記焼入れ処理を行う装置の種類は、特に限定されず、一般的なダイクエンチ用の設備に含まれる装置が用いられる。また、前記焼入れ処理の方法は、例えば、高周波焼入れ、冷間焼入れ等の公知の方法が用いられる。

0049

前記焼入れ処理における、焼入れ時間および均熱時間は特に限定されず、焼入れ処理を行う装置により適宜決定される。例えば、焼入れ温度が850℃である場合、均熱時間は60秒以上であることが好ましい。

0050

また、冷却の際に、前記ステンレス鋼材を急冷可能な冷却速度で行うことが好ましく、例えば、10℃/s以上の冷却速度で冷却することが好ましい。10℃/sよりも遅い冷却速度で前記ステンレス鋼材を冷却した場合、該ステンレス鋼材が鋭敏化する虞がある。冷却を行うための手段としては特に限定されず、例えば、冷却用通水配管を備えた金型との接触による冷却等により行われる。

0051

焼入れ処理工程S5後に得られたステンレス鋼材に対して、例えば、酸化スケール除去処理および加工処理(例えば、レーザトリムや表面研作)が施される。こうして、ダイクエンチ部材が製造される。

0052

〔実施例〕
前処理工程、熱間圧延工程、焼鈍工程および酸洗工程を施した後、得られたステンレス鋼帯のコイルから所定の長さに切り出すことによって、表1に示す化学成分を有する、板厚6mmの各ステンレス鋼板を製造した。各ステンレス鋼板に対し、800℃で均熱時間3分間の熱処理を施した後、各ステンレス鋼板を、冷却用の通水配管を備えた銅板と接触させ、10℃/sの冷却速度で冷却した。

0053

なお、表1に示される各ステンレス鋼板の組成(Oを除く)は、重量%で示されており、残部がFeおよび不可避的不純物である。また、表1中の下線は、本発明のステンレス鋼板に含まれる各成分の含有量が範囲外であることを示す。

0054

0055

<耐食性の評価>
冷却後に得られたステンレス鋼板から、50mm×100mmの試験片を切り出した後、塩乾湿繰返し試験CCT試験)に供した。CCT試験はJASO(M609−91)に準拠したもので、「塩水噴霧(5%NaCl、35℃)15min→乾燥(60℃、30%RH)1h→湿潤(50℃、95%RH)3h」を1サイクルとするものである。この試験を10サイクルまで行い、試験後に得られた各試験片の外観写真撮影した。各外観写真を画像解析により二値化することで、各試験片のうち発銹した部分の面積を求めた。該面積が、10%以下のものを「○」と評価し、10%を超えるものを「×」と評価した。

0056

<ビッカース硬さ計側>
ビッカース硬さ計測器(フュチュテック社製、品番FV−310)を用いることにより、各ステンレス鋼板の板厚の中央部における、断面の硬さを測定した。硬さは5回計測し、計測した値の平均値を算出した。

0057

<マルテンサイト相の体積率の算出>
冷却後に得られた各ステンレス鋼板の断面をエッチング処理した後、エッチング処理が施された断面において5か所を撮影した。得られた写真を画像解析により二値化することで、面積率を求め、マルテンサイト相の比率を求めた。これをマルテンサイト相の体積率とした。

0058

各ステンレス鋼板の有する特性の評価の結果を、表2に示す。

0059

0060

実施例1から9の各ステンレス鋼板は、いずれもマルテンサイト相の体積率が80%以上98%以下であり、ビッカース硬さは300HV以上400HV以下であった。また、実施例1から9の各ステンレス鋼板は、いずれも優れた耐食性を有していた。

0061

比較例1から7の各ステンレス鋼板は、好ましい体積率、硬さおよび優れた耐食性のいずれかが得られなかった。その理由を、以下に述べる。

0062

比較例1および2は、十分な量のスズが添加されていなかったために、炭素による鋭敏化が著しく生じたためと考えられる。また、比較例3は過剰な量の炭素が含有されていたことにより、ステンレス鋼板の鋭敏化を促進し耐食性が劣ったと考えられる。また、比較例5は、十分な量のマンガンが添加されていなかったために、マルテンサイトの量が少なくなり、その結果十分な硬さが得られなかったと考えられる。比較例6は、過剰な量の銅が含有されていたことにより、銅イオンの悪影響のために耐食性が劣ったと考えられる。また、比較例9および10は、十分な量の窒素または炭素が添加されていなかったために、マルテンサイトの量が少なくなり、その結果十分な硬さが得られなかったと考えられる。

0063

また、比較例4、7および8は、ステンレス鋼板の製造時に割れが生じた。それ故、各特性を評価できなかった。割れが生じた理由として、シリコン、窒素またはスズが過剰な量含有されていたことにより、靱性が劣ったためと考えられる。

0064

S1前処理工程
S2熱間圧延工程
S3焼鈍工程
S4酸洗工程
S5焼入れ処理工程

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