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技術 水性塗料組成物

出願人 アイシン化工株式会社トヨタ自動車株式会社株式会社キャタラー
発明者 高平孝嘉田中徹岩田康成
出願日 2019年3月22日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-055020
公開日 2020年9月24日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-152871
状態 未査定
技術分野 塗料、除去剤
主要キーワード オーバサイズ 試験用粒子 車載診断装置 低温物 オゾン分解性 建設機器 塗膜剥 オゾンセンサー
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年9月24日)のものです。
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課題

オゾン分解性能を有すること。

解決手段

水性塗料組成物は、酸化マンガン系触媒と、活性炭と、ポリアクリレート系分散剤と、水性樹脂と、pH調整剤と、溶媒としての水とを含有するものである。

概要

背景

工場自動車から排出される排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOX)、炭化水素類(HC)等の揮発性有機化合物(VOC)は、大気中の酸素との化学反応太陽光紫外線による光化学変化によって、光化学オキシダント(Ox)に変換される。この光化学オキシダントは、オゾン(O3)を主成分とする大気汚染物質、即ち、環境負荷物質であり、光化学スモッグの原因となるものである。我が国では、光化学オキシダントの環境基準が1時間値で0.06ppm以下と定められているが、その現状は基準値超過が続いてる状態であり、近年の地球環境保全問題の世界的な意識の向上の中で、光化学オキシダントの早急な削減対応が望まれている。

そこで、窒素酸化物等の揮発性有機化合物の排出規制を行う一方で、生成されたオゾンを分解(浄化)することで光化学スモッグの発生を阻止する技術が提案されている。
例えば、米国のカリフォルニア州等の一部の地域では、オゾンを分解する触媒担持されたラジエータを車両に搭載し、その車両を走行させることにより、大気の改善を図る大気浄化システムが検討されており、直接オゾン還元技術(DOR;Direct Ozone Reduction)を使用した自動車、例えば、大気中のオゾンをオゾン分解触媒オゾン浄化触媒)により分解することができる車両用大気浄化装置を備えた自動車が実用化されている。特に、米国のカリフォルニア州等では、このような直接オゾン還元技術(DOR)を導入した車両やその車両を販売しているメーカーに対して、光化学スモッグの原因物質である非メタン有機ガス(NMOG;Non-Methane Organic Gases)の排出量を削減したとみなす所定の特典(NMOGクレジット認定)を付与している。

ここで、オゾン分解触媒を担持させたラジエータに関する技術として、例えば、特許文献1及び特許文献2において、車両の走行中に大気が流入するラジエータ(フィン)の表面に金属酸化物の触媒を担持させた車両用大気浄化装置の技術の開示があり、ラジエータ表面のオゾン分解触媒層によって大気中に含まれるオゾンを分解することの記載がある。
また、特許文献3には、金属酸化物の触媒だけでなく、オゾンを浄化する機能を備える活性炭を使用した車両用大気浄化装置が提案されている。

概要

オゾン分解性能を有すること。水性塗料組成物は、酸化マンガン系触媒と、活性炭と、ポリアクリレート系分散剤と、水性樹脂と、pH調整剤と、溶媒としての水とを含有するものである。

目的

我が国では、光化学オキシダントの環境基準が1時間値で0.06ppm以下と定められているが、その現状は基準値超過が続いてる状態であり、近年の地球環境保全問題の世界的な意識の向上の中で、光化学オキシダントの早急な削減対応が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

水を溶媒の主成分とする水性塗料組成物であって、酸化マンガン系触媒と、活性炭と、ポリアクリレート系分散剤と、水性樹脂と、pH調整剤とを含むことを特徴とする水性塗料組成物。

請求項2

前記酸化マンガン系触媒は、二酸化マンガン系触媒であることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。

請求項3

前記酸化マンガン系触媒と前記活性炭の配合比率は、20/80≦酸化マンガン系触媒/活性炭≦80/20であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水性塗料組成物。

請求項4

前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭は、前記水性塗料組成物から形成される塗膜成分中に前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の合計量が60質量%〜90質量%の範囲内となるように配合されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の水性塗料組成物。

請求項5

前記ポリアクリレート系分散剤は、重量平均分子量が500〜30000の範囲内であり、酸価が1〜50の範囲内であり、水素イオン指数がpH4〜pH9の範囲内であるものを用いたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の水性塗料組成物。

請求項6

前記ポリアクリレート系分散剤は、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の合計量を100質量部に対し、1.5質量部〜75質量部の範囲内で配合されることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の水性塗料組成物。

請求項7

前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭は、グラインドゲージにより測定された分散性が、最大粒子径(Dmax)20μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の水性塗料組成物。

請求項8

前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭は、レーザー解析法による体積基準の90%の累積粒子径(D90)が、10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の水性塗料組成物。

請求項9

前記水性樹脂は、アクリル樹脂またはポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の水性塗料組成物。

請求項10

水を主成分とする溶媒と、酸化マンガン系触媒と、活性炭と、ポリアクリレート系分散剤とを混合し、分散する分散工程と、前記分散された混合物にpH調整剤を混合する中和工程と、前記中和された混合物に水性樹脂を混合する塗料化工程とを具備することを特徴とする水性塗料組成物の製造方法。

請求項11

前記分散工程では、ビーズミルまたはロールミルで、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の粒子径が、グラインドゲージによる測定で最大粒子径(Dmax)20μm以下になるまで分散されることを特徴とする請求項10に記載の水性塗料組成物の製造方法。

請求項12

前記分散工程では、ビーズミルまたはロールミルで、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の粒子径が、レーザー解析法による体積基準の90%の累積粒子径(D90)で10μm以下になるまで分散されることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の水性塗料組成物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、例えば、車両走行時に大気が流れる車体表面に塗布し、大気中のオゾンを分解・浄化することができる水性塗料組成物に関するもので、特に、貯蔵安定性が良く、かつ、オゾン分解性能も高い水性塗料組成物に関するものである。

背景技術

0002

工場自動車から排出される排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOX)、炭化水素類(HC)等の揮発性有機化合物(VOC)は、大気中の酸素との化学反応太陽光紫外線による光化学変化によって、光化学オキシダント(Ox)に変換される。この光化学オキシダントは、オゾン(O3)を主成分とする大気汚染物質、即ち、環境負荷物質であり、光化学スモッグの原因となるものである。我が国では、光化学オキシダントの環境基準が1時間値で0.06ppm以下と定められているが、その現状は基準値超過が続いてる状態であり、近年の地球環境保全問題の世界的な意識の向上の中で、光化学オキシダントの早急な削減対応が望まれている。

0003

そこで、窒素酸化物等の揮発性有機化合物の排出規制を行う一方で、生成されたオゾンを分解(浄化)することで光化学スモッグの発生を阻止する技術が提案されている。
例えば、米国のカリフォルニア州等の一部の地域では、オゾンを分解する触媒担持されたラジエータを車両に搭載し、その車両を走行させることにより、大気の改善を図る大気浄化システムが検討されており、直接オゾン還元技術(DOR;Direct Ozone Reduction)を使用した自動車、例えば、大気中のオゾンをオゾン分解触媒オゾン浄化触媒)により分解することができる車両用大気浄化装置を備えた自動車が実用化されている。特に、米国のカリフォルニア州等では、このような直接オゾン還元技術(DOR)を導入した車両やその車両を販売しているメーカーに対して、光化学スモッグの原因物質である非メタン有機ガス(NMOG;Non-Methane Organic Gases)の排出量を削減したとみなす所定の特典(NMOGクレジット認定)を付与している。

0004

ここで、オゾン分解触媒を担持させたラジエータに関する技術として、例えば、特許文献1及び特許文献2において、車両の走行中に大気が流入するラジエータ(フィン)の表面に金属酸化物の触媒を担持させた車両用大気浄化装置の技術の開示があり、ラジエータ表面のオゾン分解触媒層によって大気中に含まれるオゾンを分解することの記載がある。
また、特許文献3には、金属酸化物の触媒だけでなく、オゾンを浄化する機能を備える活性炭を使用した車両用大気浄化装置が提案されている。

先行技術

0005

特表2002−514966号公報
特開2008−000746号公報
特開2014−024027号公報

発明が解決しようとする課題

0006

こうして、従来、特許文献1乃至特許文献3に示すように、ラジエータ(フィン)の表面に大気中のオゾンを分解する触媒を担持させることにより、ラジエータ表面に備えたオゾン分解触媒層によって大気中のオゾンを浄化する車両用大気浄化装置の技術が開発されてきた。
ところが、上述したNMOGクレジットにおいては、所定期間または所定距離走行後のオゾン浄化性能に応じて付与されることから、上記の車両用大気浄化装置を搭載した車両においては、オゾンの分解除去性能を検出することが義務づけられ、浄化装置オゾン分解浄化性能モニターする車載診断装置(OBD)も搭載されることになる。このため、上記の車両用大気浄化装置を搭載した車両は、コスト高となってしまう問題があった。また、ラジエータの熱交換性能を維持する必要から、ラジエータのフィンにオゾン分解触媒層を設ける面積にも制約があり、大気中のオゾンの分解にも限度があった。

0007

一方、我が国でも、こうした諸外国のクレジット制度等の取組みや大気汚染物質の厳しい排出規制を受け、環境を配慮した自動車の開発が望まれており、例えば、自動車等の車体の耐食性を確保するために鋼板等の金属基材の表面に塗装される防錆用等の塗料については、VOCを多量に含有する溶剤系塗料からVOCの排出量を抑えることができる水性(水系)塗料への転換が盛んに行われている。特に、こうした自動車の車体表面に塗装される塗料の塗布は広範囲に及ぶことから、自動車の構成部品の表面に塗装により形成された塗膜において、更に、オゾン分解性能を持たせることができれば、自動車の環境対策に大きく貢献できることになる。

0008

そこで、本発明は、オゾン分解性能を有する水性塗料組成物の提供を課題とするものである。

課題を解決するための手段

0009

請求項1の発明の水性塗料組成物は、酸化マンガン系触媒と、活性炭と、ポリアクリレート系分散剤と、水性樹脂と、pH調整剤と、水が主成分の溶媒とを含むものである。

0010

ここで、上記酸化マンガン系触媒は、オゾン分解の触媒機能を有するものであれば良く、例えば、一酸化マンガン二酸化マンガン等の金属酸化物触媒が使用されるが、好ましくは、二酸化マンガン系触媒である。

0011

上記活性炭としては、例えば、椰子殻活性炭石油ピッチ系活性炭、木質系活性炭等がオゾン吸着比表面積が非常に高いことから好ましく用いられ、中でも、椰子殻活性炭が好ましい。より好ましくは、中位径平均粒子径)が1μm〜20μmの範囲内にあり、BET法による比表面積が500〜3000m2/gの範囲内である活性炭を用いるのが好ましい。粒子径が小さすぎるものは、再凝集しやすいため分散安定性分散性欠け、一方、粒子径が大きすぎるものは、表面積が小さいことで高いオゾン分解性能が得られない。更に、塗膜の成膜性付着性にも劣る。また、表面積が大きすぎるものも、再凝集しやすいため分散安定性及び分散性に欠け、一方で、表面積が小さすぎるものでは、高いオゾン分解性能を得ることできない。更に、塗膜の成膜性や付着性能にも劣る。中位径(平均粒子径)が1μm〜20μmの範囲内にあり、BET法による比表面積が500〜3000m2/gの範囲内である活性炭を用いることで、分散性や分散安定性が良く、高いオゾン分解性能を得ることができる。より好ましくは、中位径(平均粒子径)が3μm〜18μm、更に好ましくは、5μm〜15μmの範囲内にあるものである。また、BET法による比表面積が、より好ましくは、600〜2500m2/g、更に好ましくは、900〜2000m2/gの範囲内にあるものである。

0012

なお、「比表面積」は、気体吸着法(BET法)によるものである。BET(Brunauer-Emmett-Teller)法とは、粒子表面に吸着占有面積の分かった分子液体窒素の温度で吸着させ、その量から試料の比表面積を求める方法であって、窒素等の不活性気体低温物理吸着によるものである。
また、「中位径」とは、JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」の本文及び解説の用語の定義によれば、粉体粒径分布において、ある粒子径より大きい個数(または質量)が、全粉体のそれの50%を占めるときの粒子径(直径)、即ち、オーバサイズ50%の粒径であり、通常、メディアン径または50%粒子径といいD50と表わされる。定義的には、平均粒子径と中位径で粒子群のサイズを表現されるが、ここでは、商品説明の表示、レーザ回折散乱法によって測定した値である。そして、この「レーザ回折・散乱法によって測定した中位径」とは、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いてレーザ回折・散乱法によって得られた粒度分布において積算重量部が50%となる粒子径(D50)をいう。なお、上記数値は、厳格なものでなく、製品毎の誤差があり、測定等による誤差を含むと1割程度以下の誤差の混入否定するものではない。この誤差の観点から見ると、正規分布を呈しており、粒径は正規分布を示すものであるから、中位径≒平均粒子径と見做しても両者の違いは数パーセント内であり、誤差と見做される程度である。

0013

また、上記水性樹脂とは、水溶性または水分散性樹脂のことである。
更に、上記pH調整剤とは、塗料調製において水素イオン指数を所定のpH、好ましくは、pH7〜pH12、より好ましくは、pH9.5〜pH11の範囲内に調整するためのもので、中和剤を含む概念である。

0014

請求項2の発明の水性塗料組成物の前記酸化マンガン系触媒は、二酸化マンガン系触媒であるものである。
上記二酸化マンガン系触媒としては、好ましくは、中位径(平均粒子径)が1μm〜20μmの範囲内にあり、BET法による比表面積が100〜400m2/gの範囲内である二酸化マンガン系触媒を用いるのが好ましい。粒子径が小さすぎるものは、再凝集しやすいため分散安定性や分散性に欠け、一方、粒子径が大きすぎるものは、表面積が小さいことで高いオゾン分解性能が得られない。更に、塗膜の成膜性や付着性にも劣る。また、表面積が大きすぎるものも、再凝集しやすいため分散安定性及び分散性に欠け、一方で、表面積が小さすぎるものでは、高いオゾン分解性能を得ることできない。更に、塗膜の成膜性や付着性能にも劣る。中位径(平均粒子径)が1μm〜20μmの範囲内にあり、BET法による比表面積が100〜400m2/gの範囲内である二酸化マンガン系触媒を用いることで、分散性や分散安定性が良く、高いオゾン分解性能を得ることができる。より好ましくは、中位径(平均粒子径)が3μm〜18μm、更に好ましくは、5μm〜15μmの範囲内にあるものである。また、BET法による比表面積が、より好ましくは、150〜350m2/g、更に好ましくは、180〜300m2/gの範囲内にあるものである。

0015

請求項3の発明の水性塗料組成物の前記酸化マンガン系触媒と前記活性炭の配合重量比は、20:80≦酸化マンガン系触媒:活性炭≦80:20、より好ましくは、30:70≦酸化マンガン系触媒:活性炭≦70:30であるものである。
なお、上記水性塗料組成物中の前記酸化マンガン系触媒と前記活性炭の配合重量比は、各成分の固形分換算重量比である。即ち、水性塗料組成物から形成される塗膜成分中の酸化マンガン系触媒及び活性炭の重量比が、20:80≦酸化マンガン系触媒:活性炭≦80:20、より好ましくは、30:70≦酸化マンガン系触媒:活性炭≦70:30となるように混合されたものである。

0016

請求項4の発明の水性塗料組成物の前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭は、前記水性塗料組成物から形成される塗膜において前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の総量が60質量%以上、90質量%以下、より好ましくは、65質量%以上、85質量%以下、更に好ましくは、70質量%以上、80質量%以下の範囲内となるように配合されたものである。

0017

請求項5の発明の水性塗料組成物は、前記ポリアクリレート系分散剤として、重量平均分子量が5000以上、30000以下、より好ましくは、6000以上、28000以下、更に好ましくは、7000以上、25000以下の範囲内にあり、酸価が1以上、50以下、より好ましくは、3以上、48以下、更に好ましくは、5以上、45以下の範囲内であり、水素イオン指数がpH4以上、pH9以下、より好ましくは、pH4.5以上、pH8.5以下、pH5以上、pH8以下の範囲内であるポリアクリレート系分散剤を用いたものである。
なお、上記重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC;GEL permeation chromatography)法により測定され、GPCで測定したクロマトグラム標準ポリスチレンの分子量に換算したものである。

0018

請求項6の発明の水性塗料組成物の前記ポリアクリレート系分散剤は、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の固形分換算での総量を100質量部としたとき、それに対し、1.5質量部以上、75質量部以下、より好ましくは、2質量部以上、60質量部以下、更に好ましくは、2.5質量部以上、50質量部以下の範囲内の配合量であるものである。

0019

請求項7の発明の水性塗料組成物の前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭は、JISK5600及びJISK 5400(1990)に準拠したグラインドゲージにより測定された分散度が、線状法で最大粒子径(Dmax)20μm以下であるものである。

0020

請求項8の発明の水性塗料組成物の前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いたレーザー解析法による体積基準の90%の累積粒子径(D90)が、10μm以下であるものである。

0021

請求項9の発明の水性塗料組成物の前記水性樹脂は、アクリル樹脂またはポリプロピレン樹脂であるものである。

0022

請求項10の発明の水性塗料組成物の製造方法は、分散工程にて、水を主成分とする溶媒と、酸化マンガン系触媒と、活性炭と、ポリアクリレート系分散剤とを混合分散し、中和工程にて、前記分散された混合材料にpH調整剤を混合し、塗料化工程にて、前記中和された混合材料に水性樹脂を混合するものである。

0023

請求項11の発明の水性塗料組成物の製造方法の前記分散工程では、ビーズミルまたはロールミルで、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の粒子径が、JISK5600及びJISK 5400(1990)に準拠したグラインドゲージの線状法による測定で最大粒子径(Dmax)20μm以下になるまで分散されるものである。

0024

請求項12の発明の水性塗料組成物の製造方法の前記分散工程では、ビーズミルまたはロールミルで、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の粒子径が、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いたレーザー解析法による体積基準90%の累積粒子径(D90)で100μm以下になるまで分散されるものである。
なお、上述した数値は、必ずしも厳格であることを要求されず、使用する材料や、塗料の用途、計側・計量等による誤差を含む概略値であり、当然、数割の誤差を否定するものではない。

発明の効果

0025

請求項1の発明に係る水性塗料組成物は、酸化マンガン系触媒と、活性炭と、ポリアクリレート系分散剤と、水性樹脂と、pH調整剤と、水が主成分の溶媒とを含むものであり、基材に塗布され乾燥されることにより硬化した塗膜となるものである。
この請求項1の発明に係る水性塗料組成物によれば、ポリアクリレート系分散剤によって、酸化マンガン系触媒と活性炭を細かく高分散でき、また、その分散安定性も高くできる。よって、貯蔵安定性が高い。更に、硬化した塗膜にブツが生じ難く、成膜性及び付着性の高い塗膜を形成でき、高分散された酸化マンガン系触媒と活性炭に多くのオゾン量を付着できることによって、高いオゾン分解性能を発揮させることができる。特に、酸化マンガン系触媒及び活性炭の併用により、それらを単独で用いた場合と比較して高いオゾン分解性能が得られる。

0026

請求項2の発明に係る水性塗料組成物によれば、前記酸化マンガン系触媒は、二酸化マンガン系触媒であるから、触媒活性が高く、請求項1に記載の効果に加えて、高いオゾン分解性能を得ることができる。

0027

請求項3の発明に係る水性塗料組成物によれば、前記酸化マンガン系触媒と前記活性炭は、固形分換算重量比で、20/80≦酸化マンガン系触媒/活性炭≦80/20、より好ましくは、30/70≦酸化マンガン系触媒/活性炭≦70/30の比率で配合したものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、塗料安定性を確保しつつ、酸化マンガン系触媒と活性炭の組み合わせによるオゾン分解性相乗効果が得られる。

0028

請求項4の発明に係る水性塗料組成物によれば、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭は、前記水性塗料組成物から形成される塗膜の成分中に前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の合計量が60質量%以上、90質量%以下、より好ましくは、65質量%以上、85質量%以下、更に好ましくは、70質量%以上、80質量%以下の範囲内となるように配合されたものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、基材に対する塗膜の付着性を損なうことなく、高いオゾン分解性能を得ることができる。

0029

請求項5の発明に係る水性塗料組成物によれば、前記ポリアクリレート系分散剤は、その重量平均分子量が500〜30000の範囲内であり、酸価が1〜50の範囲内であり、pHが4〜9の範囲内であるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、オゾン分解性能を損なうことなく、塗料成分の高分散及び分散安定の効果を得ることができる。

0030

請求項6の発明に係る水性塗料組成物によれば、前記ポリアクリレート系分散剤は、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の固形分換算での合計量を100質量部に対し、1.5質量部〜75質量部の範囲内、より好ましくは、2質量部〜60質量部の範囲内、更に好ましくは2.5質量部〜50質量部の範囲内で配合したものであるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、高い貯蔵安定性とオゾン分解性を両立させることができる。

0031

請求項7の発明に係る水性塗料組成物によれば、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭は、JISK5600及びJISK 5400(1990)に準拠するグラインドゲージにより測定された分散度が、線状法で最大粒子径(Dmax)20μm以下である。
本発明者らは、鋭意実験研究の結果、前記ポリアクリレート系分散剤を用いることで前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の分散度が、グラインドゲージによる線状法の測定で最大粒子径(Dmax)20μm以下になるまで分散させることができ、グラインドゲージによる線状法の測定で最大粒子径(Dmax)20μm以下になるまで分散された水性塗料組成物では、活性炭等の凝集体が少なくて成膜性及び付着性の高い塗膜を形成でき、そして、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭によるオゾン吸着量を高くできることで、高いオゾン分解性が得られ、更に、分散安定性も高くて貯蔵安定性にも優れることを見出した。
よって、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、安定した塗膜性能及び塗料組成物の長期の保存性を得ることができる。

0032

請求項8の発明の水性塗料組成物によれば、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭は、レーザー解析法による体積基準の90%の累積粒子径(D90)が、10μm以下である。
本発明者らの鋭意実験研究により、前記ポリアクリレート系分散剤を用いることで前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の粒子径が、レーザー解析法による体積基準の90%の累積粒子径(D90)で10μm以下となり、このような粒子サイズに分散された水性塗料組成物によれば、粗粒が少ないことで、塗膜ブツやざらつきが少なく、塗膜の外観性や付着性に優れることが確認された。また、凝集体が少ないから、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭によるオゾン吸着量を高くできることで、高いオゾン分解性が得られ、更に、分散安定性も高くて貯蔵安定性にも優れるものであった。
よって、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の効果に加えて、塗膜の外観性に優れ、また、オゾン分解性及び貯蔵安定性が高いものとなる。

0033

請求項9の発明の水性塗料組成物によれば、前記水性樹脂は、アクリル樹脂またはポリプロピレン樹脂であるから、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭との相溶性も良く、樹脂中に前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭が均一に分散されやすい。よって、請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の効果に加えて、塗料成分の分散性及び分散安定性を高めることができる。特に、アクリル樹脂によれば、その分子量の選択幅が広いことで、目的とする塗膜性能の特性を設計しやすく、更に、耐候性耐水性耐薬品性の高い塗膜を形成できる。また、ポリプロピレン樹脂によれば、金属製の基材に加え、樹脂製の基材に対する付着性にも優れ、オゾン分解性能等の塗膜性能を長期間良好に発揮できる。

0034

請求項10の発明の水性塗料組成物の製造方法によれば、水を主成分とする溶媒と、酸化マンガン系触媒と、活性炭と、ポリアクリレート系分散剤とを混合分散し、次に、中和工程において前記分散された混合物にpH調整剤を混合し、続いて、前記中和された混合物に水性樹脂を混合することにより塗料化される。
したがって、ポリアクリレート系分散剤によって、酸化マンガン系触媒と活性炭を細かく高分散でき、また、その分散安定性も高くできる。よって、貯蔵安定性が高い水性塗料組成物を得ることができる。更に、このようにして得られた水性塗料組成物を基材に塗布し乾燥することにより硬化した塗膜においては、ブツが生じ難い。よって、成膜性及び付着性の高い塗膜を形成できる。そして、その硬化塗膜では、高分散された酸化マンガン系触媒と活性炭が多くのオゾン量を付着できることによって、高いオゾン分解性能を発揮させることができる。特に、酸化マンガン系触媒及び活性炭の併用により、それらを単独で用いた場合と比較して高いオゾン分解性能が得られる。

0035

請求項11の発明の水性塗料組成物の製造方法によれば、前記分散工程では、ビーズミルまたはロールミルで、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の粒子径が、グラインドゲージによる測定で最大粒子径(Dmax)20μm以下になるまで分散される。
ここで、本発明者らは、鋭意実験研究の結果、前記ポリアクリレート系分散剤を用いることで前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の分散度が、グラインドゲージによる線状法の測定で最大粒子径(Dmax)20μm以下になるまで分散させることができ、グラインドゲージによる線状法の測定で最大粒子径(Dmax)20μm以下になるまで分散された水性塗料組成物では、活性炭等の凝集体が少なくて成膜性及び付着性の高い塗膜を形成でき、そして、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭によるオゾン吸着量を高くできることで、高いオゾン分解性が得られ、更に、分散安定性も高くて貯蔵安定性にも優れることを見出した。
よって、請求項10に記載の効果に加えて、安定した塗膜性能及び塗料組成物の長期の保存性を得ることができる。

0036

請求項12の発明の水性塗料組成物の製造方法によれば、前記分散工程では、ビーズミルまたはロールミルで、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の粒子径が、レーザー解析法による体積基準90%の累積粒子径(D90)で10μm以下になるまで分散される。
ここで、本発明者らの鋭意実験研究により、前記ポリアクリレート系分散剤を用いることで前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭の粒子径が、レーザー解析法による体積基準90%の累積粒子径(D90)で10μm以下となり、このような粒子サイズに分散された水性塗料組成物によれば、粗粒が少ないことで、塗膜ブツやざらつきが少なく、塗膜の外観性や付着性に優れることが確認された。また、凝集体が少ないから、前記酸化マンガン系触媒及び前記活性炭によるオゾン吸着量を高くできることで、高いオゾン分解性が得られ、更に、分散安定性も高くて貯蔵安定性にも優れるものであった。
よって、請求項10または請求項11に記載の効果に加えて、貯蔵安定性が高い水性塗料組成物を得ることができ、また、水性塗料組成物から得られる塗膜が、その外観性に優れ、更に、高いオゾン分解性を発揮できる。

図面の簡単な説明

0037

図1は表1、表2及び表4に示した実施例及び比較例におけるオゾン分解評価試験の方法を説明するための模式図である。
図2は表3に示した実施例及び比較例におけるオゾン分解評価試験の方法を説明するための模式図である。

実施例

0038

以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一の記号及び同一の符号は、実施の形態中の同一または相当する機能部分を意味するものであるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。

0039

まず、本発明の実施の形態に係る水性塗料組成物の製造方法について説明する。
本発明の実施の形態に係る水性塗料組成物は、酸化マンガン系触媒と、活性炭と、ポリアクリレート系分散剤と、水性樹脂と、pH調整剤と、溶媒としての水とを含有するものである。

0040

本実施の形態に係る水性塗料組成物を製造するにあたっては、まず、溶媒としての水と、酸化マンガン系触媒と、活性炭と、ポリアクリレート系分散剤を混合して、それら混合材料を分散機を用いて分散させる分散工程を実施する。

0041

ここで、酸化マンガン(MnxOy)系触媒としては、マンガン酸化物として、例えば、一酸化マンガン(MnO)系触媒、二酸化マンガン(酸化マンガン(IV))系触媒、スピネル型マンガン酸金属等が使用できるが、特に、触媒活性の高い二酸化マンガン(MnO2)系触媒が好ましい。なお、一般的に、二酸化マンガンと呼ばれるマンガンの酸化物は、不定比化合物であることから、実際には、MnOx(x=1.93〜2)程度の組成である。
二酸化マンガンは、天然のものであってもよいし、電解法化学合成法により製造されたものであってもよく、更に、非晶質のものであってもよいし、結晶構造を含むものであってもよい。二酸化マンガンの結晶構造としては、例えば、アルファ型ベータ型ガンマ型デルタ型があるが、より好ましくは、α−二酸化マンガン(クリプトメレン(cryptomelane)形態のもの)である。また、二酸化マンガンは、アモルファス構造を有するものであってもよい。
なお、二酸化マンガン系触媒としては、二酸化マンガン(MnO2)をベースにして助触媒としてNiO、CuO、AgOなどが添加されたものであってもよいが、好ましくは、二酸化マンガンの含有率が70%以上、より好ましくは、80%以上のものである。

0042

また、二酸化マンガン系触媒等の酸化マンガン系触媒としては、N2吸着のBET法によって測定した比表面積が、100m2/g以上、400m2/g以下のものを用いるのが好ましい。表面積が大きすぎるものでは、凝集が生じやすくて分散性や分散安定性が低下する。分散性が低下すると、塗布装置目詰まりが生じたり、塗膜表面に塗料ブツ(凝集物)が生じて塗膜の成膜性や付着性が損なわれたりし、塗膜の欠落剥離や触媒の脱落が生じ易くなる。また、分散安定性が低下すると、貯蔵安定性を確保することができない。一方、表面積が小さすぎるものでは、所望とする高いオゾン分解性能を得ることができない。N2吸着のBET法によって測定した比表面積が、100m2/g以上、400m2/g以下の範囲内である酸化マンガン系触媒であれば、分散性や分散安定性を良くできて、塗膜の成膜性及び付着性も良好で、触媒の脱落が生じ難く、持続して高いオゾン分解性能を得ることができる。また、塗料組成物の良好な貯蔵安定性を得ることができる。より好ましくは、BET法による比表面積が150m2/g以上、350m2/g以下のものであり、更に好ましくは、180m2/g以上、300m2/g以下のものである。

0043

更に、この二酸化マンガン系触媒等の酸化マンガン系触媒としては、その中位径(平均粒子径)が、1μm〜20μmの範囲内にあるものを用いるのが好ましい。粒径が大きすぎるものは、表面積が小さくなるから、所望とする高いオゾン分解性能を得ることができない。また、塗膜の成膜性及び付着性が低下し、塗膜剥がれや触媒の脱落が生じ易くなる。一方で、粒径が小さすぎるものは、凝集が生じやすくて分散性や分散安定性が低下する。分散性が低下すると、塗膜表面に塗料ブツ(凝集物)が生じて塗膜の成膜性や付着性が損なわれ、塗膜の欠落、剥離や触媒の脱落が生じ易くなる。また、分散安定性が低下すると、貯蔵安定性を確保することができない。中位径(平均粒子径)が、1μm〜20μmの範囲内にある酸化マンガン系触媒であれば、分散性や分散安定性を良くすることができ、塗膜の成膜性及び付着性も良好で触媒の脱落が生じ難く、高いオゾン分解性能を長く発揮できる。また、塗料組成物の良好な貯蔵安定性を得ることができる。より好ましくは、中位径(平均粒子径)が3μm〜18μmの範囲内のものであり、更に好ましくは、5μm〜15μmの範囲内のものである。

0044

このような酸化マンガン系触媒を用いることで、その触媒上でオゾンの吸着→オゾンの自己分解反応活性エネルギーの低下→オゾンの分解→脱離反応が生じ、酸化マンガン系触媒の触媒機能によりオゾンが分解されて酸素へと変換される。これよりオゾンを浄化、無害化することができる。

0045

また、活性炭としては、大鋸屑木材チップ木炭竹炭石炭亜炭褐炭瀝青炭)、石油系(石油ピッチオイルカーボン)、胡桃殻炭、椰子殻炭、樹脂(フェノール樹脂エポキシ樹脂)、レーヨン等が使用できるが、好ましくは、その炭素率が90%以上のものであり、炭素成分が多いココヤシ、油ヤシサゴヤシ等の椰子殻炭である。

0046

このような椰子殻炭等の活性炭としては、N2吸着のBET法によって測定した比表面積が、500m2/g以上、3000m2/g以下のものを用いるのが好ましい。表面積が大きすぎるものでは、凝集が生じやすくて分散性や分散安定性が低下する。分散性が低下すると、塗布装置の目詰まりが生じたり、塗膜表面に塗料ブツ(凝集物)が生じて塗膜の成膜性や付着性が損なわれたりし、塗膜の欠落、剥離や活性炭の脱落が生じ易くなる。また、分散安定性が低下すると、貯蔵安定性を確保することができない。一方、表面積が小さすぎるものでは、所望とする高いオゾン分解性能を得ることができない。N2吸着のBET法によって測定したBET比表面積が、500m2/g以上、3000m2/g以下の範囲内である活性炭であれば、分散性や分散安定性を良くできて、塗膜の成膜性及び付着性も良好で、活性炭の脱落が生じ難く、持続して高いオゾン分解性能を得ることができる。また、塗料組成物の良好な貯蔵安定性を得ることができる。より好ましくは、BET法による比表面積が600m2/g以上、2500m2/g以下のものであり、更に好ましくは、900m2/g以上、2000m2/g以下のものである。なお、この活性炭の全細孔容積は、窒素BETの窒素吸着等温線において、相対圧力P/P0が1.0のときの窒素吸着量からの算出で、例えば、0.1cm3/g〜1.5cm3/gの範囲内にあり、より好ましくは、0.2cm3/g〜1.0cm3/gの範囲内にある。また、この活性炭の平均細孔径(全細孔容積/BET比表面積×4で算出)は、オゾンの吸着能と大気中の粒子状物質等による目詰まりを防止する観点から、例えば、0.3〜10nmの範囲内であり、より好ましくは、0.5〜5nmの範囲内である。

0047

更に、この椰子殻炭等の活性炭は、その中位径(平均粒子径)が、1μm〜20μmの範囲内にあるものを用いるのが好ましい。粒径が大きすぎるものは、表面積が小さくなるから、所望とする高いオゾン分解性能を得ることができない。また、塗膜の成膜性及び付着性が低下し、塗膜剥がれや活性炭の脱落が生じ易くなる。一方で、粒径が小さすぎるものは、凝集が生じやすくて分散性や分散安定性が低下する。分散性が低下すると、塗膜表面に塗料ブツ(凝集物)が生じて塗膜の成膜性や付着性が損なわれ、塗膜の欠落、剥離や触媒の脱落が生じ易くなる。また、分散安定性が低下すると、貯蔵安定性を確保することができない。中位径(平均粒子径)が、1μm〜20μmの範囲内にある活性炭であれば、分散性や分散安定性を良くすることができ、塗膜の成膜性及び付着性も良好で触媒の脱落が生じ難く、高いオゾン分解性能を長く発揮できる。より好ましくは、中位径(平均粒子径)が3μm〜18μmの範囲内のものであり、更に好ましくは、5μm〜15μmの範囲内のものである。

0048

このような活性炭は、その細孔にオゾンを吸着する。そして、活性炭に吸着されたオゾンは、活性炭と反応することにより、または、活性炭から電子を受け取ること(オゾンの自己分解反応の活性エネルギーを低下させる触媒機能)により、一酸化炭素二酸化炭素炭酸ガス)、活性酸素、酸素等に変換される。これより、オゾンを浄化、無害化することができる。特に、二酸化マンガンが高温域(例えば、80℃付近)で最も活性が高くなるのに対し、活性炭は、常温(15〜25℃)を含む広い温度域及び高い湿度環境においても活性が高いものである。

0049

こうして、本実施の形態の水性塗料組成物によれば、二酸化マンガン系触媒等の酸化マンガン系触媒及び椰子殻炭等の活性炭を含有することにより、それら酸化マンガン系触媒及び活性炭によってオゾンを分解、浄化できる塗膜を形成できる。特に、これら酸化マンガン系触媒と活性炭を併用した本実施の形態の水性塗料組成物によれば、それらを単独で用いた場合と比較して、高いオゾン分解性能を得ることができる。この理由については必ずしも明らかではないが、例えば、活性炭とオゾンとの反応熱により酸化マンガン系触媒のオゾン触媒反応が促進された、酸化マンガン系触媒と活性炭の併用により広範囲の温度帯でオゾン分解性能が得られた、活性炭の細孔内に酸化マンガン系触媒が入り込み活性炭及び酸化マンガン系触媒がオゾンと効率良く接触した、酸化マンガン系触媒によって活性酸素等による活性炭の酸化消費が防止された、等によって、酸化マンガン系触媒または活性炭の何れか一方のみを使用した場合と比較してオゾン分解能が向上したことが考えられる。

0050

また、塗料として実用化するには、水性塗料組成物の長期保存性、即ち、貯蔵安定性が必要とされるところ、オゾン分解能を有する材料として活性炭のみを単独で用いた場合には、活性炭の吸着特性により、塗料成分の樹脂分(有機物)を吸着して凝集することから、所望のオゾン分解性能を得るための活性炭の所定の配合量では、塗料の安定性を確保することが困難である。しかし、本実施の形態の水性塗料組成物においては、活性炭及び酸化マンガン系触媒を併用してオゾン分解するものであるから、オゾン分解性能及び貯蔵安定性の両方を満足させることが可能である。また、活性炭のみを単独で用いた場合よりも長寿命化できる。
一方、酸化マンガン系触媒は高価であり、酸化マンガン系触媒のみを単独で用いた場合には、塗料がコスト高となってしまうところ、活性炭は安価に入手できるから、酸化マンガン系触媒及び活性炭を併用することにより、水性塗料組成物のコストも抑えられる

0051

ここで、このようなオゾン分解性能を有する酸化マンガン系触媒と活性炭は粒子形態粉末状であるから、粉末状である酸化マンガン系触媒と活性炭を塗料化するには酸化マンガン系触媒と活性炭が塗料を構成する樹脂、溶媒等の成分に均一に分散される必要があるところ、オゾンを多く吸着できる表面積の大きな酸化マンガン系触媒と活性炭は凝集しやすく、特に、活性炭は細孔を有することから、その細孔に塗料成分である樹脂(有機物)や酸化マンガン系触媒が付着することで凝集が生じやすい状態にある。酸化マンガン系触媒や活性炭の分散性が低くて凝集が多いと、凝集ゲル化や粘度の上昇が生じ塗料化が困難となったり、塗布時において塗布装置の配管ポンプ等の目詰まりを生じさせたりする。また、塗料化できたとしても、塗膜にブツやざらつきが生じ、素地覆い隠すまでに塗布するとなるとその塗膜の膜厚は厚くなり、塗膜の成膜性及び付着性に欠け、外観性も悪いものとなる。更に、酸化マンガン系触媒や活性炭の凝集が多いと、オゾンを吸着できる量も少なく、高いオゾン分解性能を得ることができない。当然、酸化マンガン系触媒や活性炭の分散性が低くて凝集が多いと凝集ゲル化や粘度の上昇により、塗料としての貯蔵安定性にも欠け、長期保存も困難である。したがって、粉末状の酸化マンガン系触媒及び活性炭を用いてそれらを塗料化するにあたっては、酸化マンガン系触媒と活性炭の凝集を防止する高分散の技術が必要となる。

0052

これに対し、本発明者らは、鋭意実験研究の結果、ポリアクリレート系分散剤の使用によって、酸化マンガン系触媒及び活性炭の凝集を防止(脱凝集)できて酸化マンガン系触媒及び活性炭を塗料中に細かく高分散させることができ、また、その分散安定性も高くできることを見出した。
即ち、本実施の形態においては、分散工程として、酸化マンガン系触媒と、活性炭と、溶媒としてのイオン交換水等の水と、更に、酸化マンガン系触媒及び活性炭の高分散性を確保するために分散剤としてポリアクリレート系分散剤を混合し、それらを混合分散機に入れて分散する。
これにより、酸化マンガン系触媒及び活性炭を十分に脱凝集させて安定化させることができる。即ち、酸化マンガン系触媒及び活性炭を細かく高分散でき、例えば、JISK5600及びJISK 5400(1990)に準拠しグラインドゲージにより測定される分散度が、線状法で、最大粒子径(Dmax)20μm以下にすることができる。また、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いたレーザー解析法では、体積基準の90%の累積粒子径(D90)で、10μm以下にすることができる。そして、このように細かい粒度に酸化マンガン系触媒及び活性炭が高分散された水性塗料組成物から形成された塗膜では、ブツやざらつきが抑制され、優れた成膜性及び基材対する付着性が確保され、更に、酸化マンガン系触媒及び活性炭によるオゾン吸着量が高くなることで高いオゾン分解性能が発揮される。また、塗膜の平滑性が良いことで、良好な塗膜外観性が得られる。加えて、このようにポリアクリレート系分散剤を用いた水性塗料組成物では、酸化マンガン系触媒及び活性炭の分散安定性も高くて再凝集しないことで、貯蔵安定性も高く長期の保存が可能となる。

0053

このように酸化マンガン系触媒及び活性炭の高分散を可能とするポリアクリレート系分散剤は、例えば、ポリアクリレートの塩や、アクリル骨格または変性アクリル骨格をベースとする分散剤である。なお、ポリアクリレート系分散剤には、変性ポリアクリレート系のものも含まれる。
このポリアクリレート系分散剤は、その重量平均分子量が5000〜30000の範囲内にあるものが好ましい。分子量が高いものほど、分子内に複数の吸着サイトを有するため低濃度からでも酸化マンガン系触媒や活性炭を多点に吸着して凝集を阻止できる。しかし、分子量が高すぎるものでは、塗料成分との相溶性、親和性が低下して馴染みが悪くなり塗料化が困難となる。一方で分子量が低すぎるものでは、吸着点が少ないことで、酸化マンガン系触媒や活性炭の分散性に劣るものとなる。分散性を高めるために配合量を多くすると、酸化マンガン系触媒や活性炭へのオゾンの吸着を阻害し、オゾン性能を損なうことになる。重量分子量が5000〜30000の範囲内であるポリアクリレート系分散剤であれば、他の材料との馴染みもよく、酸化マンガン系触媒や活性炭の高分散性を確保できる。より好ましくは、重量平均分子量が6000〜28000の範囲内にあるものであり、更に好ましくは、重量平均分子量が7000〜25000の範囲内にあるものである。

0054

また、このポリアクリレート系分散剤は、酸価が1〜50の範囲内のものを用いるのが好ましい。酸価が高すぎるものは、他の材料、例えば、顔料等の添加剤極性によっては吸着性が悪くなるからである。更に、このポリアクリレート系分散剤は、水素イオン指数がpH4〜pH9の範囲内のものを用いるのが好ましい。当該範囲外のものを用いた場合、例えば、顔料等の添加剤の種類によっては塗料成分の分散性が悪くなる。水素イオン指数がpH4〜pH9の範囲内ものであれば、配合材料の種類に影響なく、塗料成分の分散安定性を確保できる。より好ましい酸価は、3〜48のもの、更に好ましくは、5〜45の範囲内のものである。より好ましい水素イオン指数がpH4.5〜pH8.5の範囲内、更に好ましくは、pH5〜pH8の範囲内のものである。
このようなポリアクリレート系分散剤としては、市販の製品、例えば、BYK-Chemie(ビックケミー)社のDESPERBYK、Ciba Specialty Chemicals社やEFKA ADDITIVES B.V.(エフカアディティブズ)社のEFKA、化成(株)社のDISPARLON、SANNOPKO(サンノプコ)社のSNシックナー等を使用することができる。
なお、このようなポリアクリレート系分散剤による酸化マンガン系触媒及び活性炭の高分散及び分散安定性の付与は、例えば、ポリアクリレートの酸化マンガン系触媒及び活性炭に対する電気的反発による吸着や、ポリアクリレートのアンカー基ポリマー鎖等による立体障害等によって、酸化マンガン系触媒及び活性炭の凝集を阻止(脱凝集)し、酸化マンガン系触媒及び活性炭を細かい粒子サイズで安定させていること等が考えられる。特に、ポリアクリレート系分散剤の高分子量体によって、複数の吸着サイトを有することで低濃度の使用量でも、酸化マンガン系触媒及び活性炭に吸着して、酸化マンガン系触媒及び活性炭の高分散を可能とし、高濃度の使用を必要としないことで、酸化マンガン系触媒及び活性炭へのオゾンの吸着を阻害し難い。

0055

そして、このときの分散工程で使用する混合分散機としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、高圧噴射器ディゾルバーバンバリーミキサープラネタリーミキサーバタフライミキサースパイラルミキサー、ロールミル、サンドミルペイントシェーカーグレンミル高速インペラーミルオープンニーダー真空ニーダー、アトライター、高速ディスパーホモミキサーホモジナーザー、コロイドミルマイクロフルイダイザーソノレーター、キャビトロン等を使用できるが、好ましくは、ビーズミルまたはロールミルによって、少ないエネルギー量で酸化マンガン系触媒及び活性炭を所定の細かいサイズまで分散できる。

0056

次に、このようにして混合分散された酸化マンガン系触媒と活性炭と水とポリアクリレート系分散剤との混合物は、中和工程において、pH調整剤(中和剤)と混合される。

0057

このときのpH調整剤としては、上記分散工程で得られた混合物を中和し、所定のpH(例えば、pH7〜pH12)に調整できるものであればよく、例えば、トリエチルアミン(TEA)等の低沸点アミンアンモニアジメチルアミノエタノール等が使用される。この中和工程におけるpH調整剤による中和によって、好ましくは、混合物の水素イオン指数をpH7〜pH12、より好ましくは、pH8〜pH11.5、更に好ましくは、pH9.5〜pH11の範囲内に調整することによって、組成物の粘度の低下による塗料成分の沈降を防止し、均一な分散及び塗料の安定化を可能として塗装後の均一な塗膜性能を確保できる。

0058

続いて、中和工程で得られた混合物と水性樹脂を混合し、更に、必要に応じ、顔料や添加物を添加し、それらをディスパー等の攪拌機で混合分散する塗料化工程を実施する。

0059

ここで、塗膜主要素の水性樹脂としては、水に溶解可能な水溶性樹脂または水に分散可能な水分散性樹脂であればよく、例えば、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂ポリエステル樹脂、アクリル樹脂(メタクリル樹脂を含む)、アクリルシリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂アルキド樹脂ウレタン樹脂ビニル樹脂ウレア系樹脂スチレンブタジエンラテックスSBR)やNBR等が使用できる。これらのうちの1種を単体で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることも可能である。また、このような水性樹脂は、水溶性樹脂(樹脂水溶液)、エマルジョン樹脂ディスパージョン樹脂の何れの形態の添加であってもよい。なお、「エマルジョン(emulsion,エマルションともいう。)」とは、乳濁液ともいい、液体中に液体粒子コロイド粒子あるいはそれより粗大な粒子として乳状をなすもの(分散系)が、本来の意味であるが(長三郎他編「岩波理化学辞典(第5版)」152頁,1998年2月20日株式会社岩波書店発行)、本明細書においては、より広い意味で一般的に用いられている「液体中に固体または液体の粒子が分散しているもの」として、「エマルジョン」という用語を用いるものとする。

0060

特に、酸化マンガン系触媒及び活性炭の相溶性や、分散性、耐候性、コスト、付着性、分散安定性からすると、水性樹脂としては、好ましくは、アクリル樹脂またはポリプロピレン樹脂である。アクリル樹脂は金属に対する付着性に優れ、また、ポリプロピレン樹脂は、金属及び樹脂に対する付着性に優れるものである。

0061

アクリル樹脂は、広くアクリル樹脂及びメタクリル樹脂を含むものであって、(メタアクリル酸(アクリル酸またはメタアクリル酸を意味する。以下、同様。)及び(メタ)アクリル酸エステル単独重合体または共重合体、または、これら(メタ)アクリル酸等と共重合可能単量体との共重合体を意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等を挙げることができる。

0062

(メタ)アクリル酸等と共重合可能な単量体としては、エチレン性不飽和基を有する単量体が好ましく、例えば、エチレンプロピレンブチレン、ブタジエン、スチレン、α−メチルスチレンビニルフェノール塩化ビニル塩化ビニリデン酢酸ビニルピバリン酸ビニル安息香酸ビニルビニルアルコールアリルアルコールクロトン酸イタコン酸マレイン酸フマル酸、(メタ)アクリルアミドN−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。このときの共重合法としては、乳化重合が一般的であるが、これに限定されるものではない。また、酸の場合は、そのアルカリ金属塩アルカリ土類金属塩等であってもよい。更に、(メタ)アクリル酸等の重合体及び共重合体をウレタン樹脂で変性したウレタン変性(メタ)アクリル酸等の重合体等やエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等で変性したエポキシ変性フェノール変性、メラミン変性(メタ)アクリル酸等の重合体等でもよい。

0063

この水性アクリル樹脂は、その水素イオン指数がpH7〜pH9の範囲内である弱アルカリ性のもの(樹脂濃度が約1%〜99%の樹脂希釈液(エマルジョン、ディスパージョン水溶液)の測定)が好ましい。これにより、樹脂分の水への分散性が高く、成膜性や均一性が良好で緻密な塗膜を形成でき、また、金属基材に対する付着性を高くできる。

0064

更に、アクリル樹脂は、その粒子径が中位径(平均粒子径)で50〜150nmの範囲内にあるものを用いるのが好ましい。当該範囲内であれば、樹脂分の水への分散性が高く、塗膜の成膜性や均一性が良好で、金属基材に対する塗膜の付着性等を発揮できる。より好ましくは、中位径(平均粒子径)が、60〜140nmの範囲内、更に好ましくは、70〜130nmの範囲内にあるものである。

0065

また、ポリプロピレン樹脂としては、プロピレンのみを重合したホモポリマー、少量のエチレン等を共重合したランダムポリマーゴム成分(EPR)がホモ・ランダムポリマーに分散したブロックコポリマーを使用でき、変性ポリプロピレン樹脂塩素化ポリプロピレン樹脂も含まれる。

0066

このポリプロピレン樹脂は、その水素イオン指数がpH7〜pH9の範囲内である弱アルカリ性のもの(樹脂濃度が約1%〜99%の樹脂希釈液(エマルジョン、ディスパージョン、水溶液)の測定)が好ましい。これにより、樹脂分の水への分散性が高く、成膜性や均一性が良好で緻密な塗膜を形成でき、また、金属及び樹脂基材に対する付着性を高くできる。

0067

更に、ポリプロピレン樹脂は、その粒子径が中位径(平均粒子径)で50〜150nmの範囲内にあるものを用いるのが好ましい。当該範囲内であれば、樹脂分の水への分散性が高く、塗膜の成膜性や均一性が良好で、金属及び樹脂基材に対する塗膜の付着性等を発揮できる。より好ましくは、中位径(平均粒子径)が、60〜140nmの範囲内、更に好ましくは、70〜130nmの範囲内にあるものである。

0068

このような水性樹脂は、塗布対象である基材や塗膜の機能、用途等に応じてその配合量が設定されるが、水性樹脂の配合量が少なすぎると、基材に対して良好な付着性が得られず、塗膜の剥離、欠落や、触媒、活性炭の脱落が生じる。一方で、水性樹脂の配合量が多すぎると、オゾン分解能が低下する。そこで、水性樹脂は、例えば、酸化マンガン系触媒及び活性炭(固形分)の合計配合量100質量部に対し、5質量部〜100質量部の範囲内、より好ましくは、10質量部〜50質量部の範囲内で配合される。このような配合量であれば、基材に対する付着性能とオゾン分解性を両立させることができる。

0069

更に、本発明を実施する場合には、オゾン分解以外の水性塗料の目的、用途等に応じ、例えば、防錆用や耐チッピング用等に応じ、着色顔料体質顔料防錆顔料機能性顔料等の顔料や、塗料や塗膜性能の向上を図るための添加剤を配合することも可能である。
このときの着色顔料としては、例えば、カーボンブラック酸化チタン酸化鉄酸化亜鉛有機系のアゾキレート系顔料不溶性アゾ系顔料縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料ベンズイミダゾロン系顔料フタロシアニン系顔料インジゴ顔料、ペリノン系顔料ペリレン系顔料ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料イソインドリノン系顔料金属錯体顔料黄鉛黄色酸化鉄ベンガラ二酸化チタン等が使用できる。

0070

防錆顔料としては、例えば、リン酸亜鉛亜リン酸亜鉛ポリリン酸アルミニウムトリポリリン酸アルミニウムモリブデン酸亜鉛カルシウムオルトリン酸亜鉛ポリリン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸アルミニウム、酸化亜鉛、リンケイ酸亜鉛リン酸アルミニウム亜鉛、リン酸カルシウム亜鉛、シアナミド亜鉛カルシウム、メタホウ酸バリウムアミノリン酸マグネシウム等が使用できる。環境保護の観点からクロム系等の有害重金属を含まない防錆顔料が望ましい。このような防錆顔料は、塗膜成分中において、30質量%以下、より好ましくは20質量%以下であれば、塗料組成物の安定性も良い。

0071

体質顔料としては、例えば、タルク炭酸カルシウム硫酸バリウム硫酸カルシウムマイカクレーシリカ珪藻土アルミナバリタニ酸化ケイ素等が使用できる。特に、タルクの使用により塗膜内に多くの層の積み重なりを形成し、タルクの配列により形成される層の緻密性によって腐食因子侵入を防止することができる。

0072

加えて、添加剤としては、例えば、粘度調整剤増膜助剤、主に顔料を分散させる分散剤、消泡剤充填材可塑剤タレ止め剤造膜助剤チキソ剤レベリング剤、pH調整剤、中和剤、紫外線吸収剤紫外線安定剤沈降防止剤接着性付与剤硬化触媒、中和剤、ドライヤ乾燥剤)、安定剤、表面調整剤(塗膜面調整剤)等が使用できる。

0073

例えば、主に顔料をより良く分散させる分散剤として、ポリカルボン酸系等の分散剤を別途配合してもよい。
消泡剤としては、例えば、シリコン系やアクリル系等の消泡剤が使用でき、このような消泡剤の添加により、塗料組成物を調製する混合時に細かい泡が発生して水性塗料組成物が不均一になるのを防止し、粘度や流動性を調整することができる。また、消泡により気泡からの水分の侵入による錆の発生を防止でき、防錆性の向上を図ることができる。
ドライヤ(乾燥剤)としては、例えば、ナフテン酸コバルトナフテン酸鉛等の金属ドライヤ(金属乾燥剤)を使用でき、このようなドライヤを添加することで、水性塗料組成物が塗布されて塗膜が形成される段階において、乾燥の促進を図り、水性樹脂が更に重合して緻密な塗膜となるのを促進できる。
安定剤としては、例えば、アルカノールアミン誘導体ジイソプロパノールアミンエタノールアミンジエタノールアミントリイソプロパノールアミントリエタノールアミン)等を使用でき、このような安定剤を添加した場合には、流動性、粘度、分散性等を調製して塗料の安定化を図ることができる。また、アルカノールアミン誘導体は、初期錆防止剤として機能することもある。

0074

このようにして、分散工程、中和工程及び塗料化工程の実施により、酸化マンガン系触媒と、活性炭と、ポリアクリレート系分散剤と、水性樹脂と、pH調整剤と、溶媒としての水を含有する水性塗料組成物を製造することができる。
こうして作製された水性塗料組成物は、公知の塗装方法、例えば、エアスプレー法シャワー法スプレー法ロールコート法カーテンフローコート法、ダイコート法刷毛塗り法浸漬法シボリシゴキ)法、ナイフコーター法、バーコート法静電塗装法等の塗布手段により、基材の所定の塗装部位に任意の塗布量、厚さ及び塗布形態で塗布できる。
基材に塗布された水性塗料組成物は、自然乾燥によって、必要に応じて、所定温度での所定時間の加熱乾燥乾燥機による強制乾燥によって水分、溶媒が蒸発揮発されることで硬化し、塗布した基材の表面上で硬化塗膜となる。そして、本実施の形態の水性塗料組成物から形成された硬化塗膜においては、塗膜成分として酸化マンガン系触媒及び活性炭を含むことによりオゾン分解性を発揮する。

0075

特に、本実施の形態の水性塗料組成物においては、ポリアクリレート系分散剤により、酸化マンガン系触媒及び活性炭を細かい粒子サイズに高分散させることができる。例えば、JISK5600及びJISK 5400(1990)に準拠してグラインドゲージにより測定された線状法の分散度で、最大粒子径(Dmax)を20μm以下とすることができる。また、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いたレーザー解析法による体積基準の90%の累積粒子径(D90)で、10μm以下にすることができる。
このように酸化マンガン系触媒及び活性炭が細かく高分散された水性塗料組成物から得られる硬化塗膜は、ブツの発生やざらつきが抑えられて優れた成膜性及び基材への付着性を有し、また、良好な平滑性、即ち、外観性を有する。例えば、乾燥膜厚5μm以下でも素地を十分に覆い隠すことができる薄膜の形成が可能である。また、この水性塗料組成物を基材に塗布し、乾燥させて得られる硬化塗膜では、ラジエータ等に対しバインダーで触媒を担持した従来のものと比較して、基材に対する付着性、密着性の向上が可能である。更に、従来は、ラジエータ等の基材表面に対しバインダーで触媒を担持するものであるから、基材表面に埃や等の異物が付着しやすく、それによって、触媒や活性炭のオゾン分解能の劣化が生じやすかった。しかし、本実施の形態の水性塗料組成物からなる塗膜においては、埃や垢等の異物が付着し難く、そして、腐食も生じ難いものとなる。よって、長期の使用による触媒及び活性炭の劣化や脱落が生じ難くて、耐久性が高く、長期に亘って持続的に高いオゾン分解性を発揮できる。

0076

そして、本実施の形態の水性塗料組成物によれば、ポリアクリレート系分散剤により、酸化マンガン系触媒及び活性炭が細かい粒子サイズに高分散されることで、オゾンの吸着量を高くできる。特に、ポリアクリレート系分散剤の少ない量で酸化マンガン系触媒及び活性炭を高分散できるから、ポリアクリレート系分散剤が酸化マンガン系触媒及び活性炭へのオゾンの吸着を阻害することもなく、酸化マンガン系触媒及び活性炭は少ない量でも多くのオゾンを吸着できる。よって、高いオゾン分解性能が得られる。更に、本実施の形態に係る水性塗料組成物によれば、ポリアクリレート系分散剤により、酸化マンガン系触媒及び活性炭が細かい粒子サイズに高分散されることで、塗膜にブツが生じ難く、成膜性に優れて薄膜に形成できる。即ち、本実施の形態の水性塗料組成物から形成される硬化塗膜では、薄膜で優れたオゾン分解性能を発揮できる。
更に、このようにポリアクリレート系分散剤を配合した水性塗料組成物は、酸化マンガン系触媒及び活性炭の分散安定性も良く、例えば、1カ月間保管後も凝集による沈殿分離が生じ難く、保存安定性が高いものである。

0077

よって、この水性塗料組成物を、空気に触れる構造体、自動車であれば、例えば、ファン羽根、ラジエータ、インタークーラ等の駆動系部品や、アンダーカバグリル等の外装部品に塗装することで、水性塗料組成物が塗装された部品の周囲でオゾン濃度を効果的に低減することが可能となる。即ち、水性塗料組成物から形成された塗膜に空気中のオゾンが接触するとそのオゾンは分解されるから、大気中のオゾンを浄化、除去できる。
こうして、本実施の形態の水性塗料組成物は、車両の走行により空気が接触して流れる車両部品に対してその表面を水性塗料組成物からなる塗膜で覆う表面処理(塗装)によりオゾン分解性能(大気浄化性能)を付与するものである。特に、本実施の形態の水性塗料組成物は、酸化マンガン系触媒及び活性炭を細かく分散させて塗料化したものであり、車両の部品に塗装する塗料であるから、車両の広範囲に亘って適用可能であり、車両全体として大気中の高いオゾン分解効果を期待できる。

0078

ここで、本発明の実施の形態に係る水性塗料組成物の実施例を具体的に説明する。
本実施の形態に係る水性塗料組成物の実施例の配合組成を表1に示す。

0079

0080

表1に示したように、実施例1に係る水性塗料組成物は、活性炭(原料;椰子殻,平均粒子径;5μm,BET比表面積;2000m2/g)と、二酸化マンガン系触媒(二酸化マンガンの含有量;70%以上,平均粒子径;5μm,BET比表面積;250m2/g)と、ポリアクリレート系分散剤と、溶媒としての水と、pH調整剤(中和剤)としてのトリエチルアミン(TEA)と、水性樹脂としてのポリプロピレン樹脂と、添加剤(粘度調整剤、増粘助剤)とからなるものである。また、実施例2及び実施例3に係る水性塗料組成物は、水性樹脂として実施例1のポリプロピレン樹脂に代えてアクリル樹脂を使用した例である。その他の材料は、実施例1と同一としている。
なお、表1において、活性炭は固形分換算量であり、分散工程における水は、溶媒として添加したイオン交換水に加え、活性炭材料商品に予め含まれていた溶媒としての水分量を含めた値である。

0081

この実施例1乃至実施例3に係る水性塗料組成物の製造にあたっては、最初に、活性炭と、二酸化マンガン系触媒と、溶媒としての水と、ポリアクリレート系分散剤とを、表1の配合にしたがって混合し、その混合物をビーズミルに入れて分散する分散工程を実施した。
このときのビーズミルは、メディアとして1.5mmジルコンジルコニアビーズミル)を用い、回転数1500rpm×90分の条件で混合材料を分散した。
これにより、実施例1乃至実施例3では、分散後の混合材料中の粒子(活性炭及び二酸化マンガン系触媒)の粒度は、JISK5600及びJISK 5400(1990)に準拠したグラインドケージによる線状法の測定で最大粒子径(Dmax)が20μm以下となった。また、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いたレーザー解析法による測定で、体積基準の90%の累積粒子径(D90)が10μm以下となった。

0082

続いて、このようにして分散された混合物に対し、表1の配合にしたがって、pH調整剤としてのトリエチルアミン(TEA)を加えることにより中和を行う中和工程を実施した。
次に、中和された混合物に対し、表1の配合にしたがって、水性樹脂としてのポリプロピレン樹脂(固形分30質量%)またはアクリル樹脂(固形分40質量%)を混合し、更に、添加剤(粘度調整剤、増粘助剤)を混合して、ディスパーで5分〜10分間攪拌することにより材料を混合分散させる塗料化工程を実施した。
以上の工程により、実施例1乃至実施例3に係る水性塗料組成物を得た。

0083

また、比較として、実施例とは異なる分散剤を用いて、または、分散剤を用いることなく、表1に示した配合組成で比較例1乃至比較例6に係る組成物の作製を行った。
比較例1は、分散剤を使用しない組成物の例である。
また、比較例2は、実施例で用いたポリアクリレート系分散剤に代えて、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩アニオン)を使用した例である。
比較例3及び比較例6は、実施例で用いたポリアクリレート系分散剤に代えて、分散剤としてポリカルボン酸ナトリウム塩(アニオン)を使用した例である。
比較例4は、実施例で用いたポリアクリレート系分散剤に代えて、分散剤として燐酸エステルを使用した例である。
比較例5は、実施例で用いたポリアクリレート系分散剤に代えて、分散剤としてポリウレタンを使用した例である。なお、これら比較例に係る組成物においても、上記実施例と同じ手順で作製した。

0084

ここで、表1の配合で作製した実施例及び比較例の各種組成物について、その貯蔵安定性とオゾン分解性について評価試験を行った。
貯蔵安定性については、作製した組成物を20℃の温度条件で1カ月間保管し、1カ月後の凝集の有無を確認した。20℃で1カ月間保管しても、凝集が生じなかったものは○とし、凝集によって沈降分離が生じたものは×とした。

0085

オゾン分解性については、図1に示したオゾン分解試験装置100を用いて試験を行った。具体的には、図1に示したオゾン分解試験装置100を形成しているパイプ10内に、評価用としてポリプロピレンTP基材20(以下、PP材20と称す)(5cm×7cm)に塗料組成物を塗付してなる試験体tを平置きで配置した。この試験体tは、塗料組成物をPP材20(5cm×7cm)の表面に塗布(5cm×7cm)し、乾燥(100℃×10分)させることで、PP材20上に硬化塗膜1を形成したものである。なお、このときの塗料組成物は、PP材20に対し、その素地が覆い隠れるまでに塗布を行っている。
そして、この試験体tを入れたパイプ10内にオゾンを含む空気(初期オゾン濃度;4.0ppm(体積基準)、温度;25℃)を風速1.0m/sで供給して流通させ、オゾンセンサー31で硬化塗膜1付きのPP材20、即ち、試験体tを通過する前のオゾン濃度を測定し、また、オゾンセンサー32で試験体t付近のオゾン濃度を測定した。なお、このときのオゾンセンサー32と硬化塗膜1との間隔距離xは2mmとした。また、このときの評価試験は、約25℃の室温(常温)下で行った。オゾンセンサー31で測定したオゾン濃度b1及びオゾンセンサー32で測定したオゾン濃度b2から硬化塗膜1によるオゾン分解率(=b2/b1×100)(%)を算出した。このときのオゾン分解除去率が24%以上であった場合を○とし、18%以上、24%未満であった場合を△とし、18%未満であった場合を×とした。

0086

総合評価として、これら貯蔵安定性及びオゾン分解性の評価試験が共に○であったものを合格(○)と判断し、それ以外は不合格(×)と判断した。これらの評価試験の結果は、表1の下段に示した通りである。

0087

表1の下段に示したように、ポリアクリレート系分散剤を使用した実施例1乃至実施例3に係る水性塗料組成物では、二酸化マンガン系触媒及び活性炭が高分散され、そして、その分散安定性も高いことで、20℃で1カ月間保存しても凝集が生じることなく、貯蔵安定性が高いものであった。
また、実施例1乃至実施例3に係る水性塗料組成物においては、二酸化マンガン系触媒及び活性炭が高分散されて粒度が細かいことで、実施例1乃至実施例3に係る水性塗料組成物から形成された硬化塗膜には、ブツやざらつきが少なく、その硬化塗膜は、PP製の基材にコーティングした乾燥膜厚が約5μmの薄膜で素地を十分に覆い隠すことができる優れた成膜性を有し、そして、オゾン分解性能にも優れるものであった。

0088

これに対し、分散剤を使用しなかった比較例1では、活性炭と二酸化マンガン系触媒が分散されずに凝集ゲル化し、塗料化することができなかった。
また、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩を用いた比較例2においても、活性炭と二酸化マンガン系触媒が分散されずに凝集ゲル化し、塗料化することができなかった。

0089

一方、ポリカルボン酸ナトリウム塩(アニオン)、燐酸エステル、ポリウレタンを分散剤として用いた比較例3乃至比較例5では、塗料化できるものの、活性炭と二酸化マンガン系触媒の分散性及び分散安定性が低いことから、20℃、1カ月間の保存で凝集が生じ貯蔵安定性に問題があった。また、二酸化マンガン系触媒及び活性炭の分散性が低く、ポリアクリレート系分散剤を用いた実施例のように細かい粒度とならないことで、塗装後に塗膜のブツやざらつきが多く生じ、素地を十分に覆い隠すことができるように塗布した塗膜の膜厚は厚くて成膜性に劣っていた。そして、ポリアクリレート系分散剤を用いた実施例と比較して、オゾン分解性能にも劣る結果となった。

0090

また、比較例6では、分散剤の量を増やすことで、貯蔵安定性を向上させることができるものの、オゾン分解性が低下した。これは、分散剤の量が多いことで、活性炭と二酸化マンガン系触媒に吸着しようとするオゾンが分散剤により阻害されたためと考えられる。即ち、少ない分散剤の量では、貯蔵安定性を確保できない一方で、分散剤の量を増やすと、活性炭と二酸化マンガン系触媒へのオゾンの吸着が分散剤により阻害されることで、実施例と比較して、所望のオゾン分解性を得ることができず、比較例で用いた分散剤では、良好な貯蔵安定性とオゾン分解性を両立させることができなかった。

0091

これに対し、ポリアクリレート系分散剤を使用した実施例1乃至実施例3では、少ない量の分散剤で活性炭と二酸化マンガン系触媒を細かく分散させることができ、また、再凝集も少なくて、分散度及び分散安定性に優れることで、貯蔵安定性が良く、かつ、硬化塗膜のブツやざらつきも少なくて成膜性や外観性がよく、優れたオゾン分解性能が発揮された。

0092

即ち、本実施例では、ポリアクリレート系分散剤により、その少ない使用量でも、活性炭と二酸化マンガン系触媒を細かく分散できることで、活性炭と二酸化マンガン系触媒に吸着できるオゾン量を高めることができるから、活性炭と二酸化マンガン系触媒が持つオゾン分解性能を無駄なく発揮させることができて、オゾン分解性能に優れるものであった。また、分散安定性も高く、貯蔵安定性に優れるものであった。よって、長期間の安定した保存が可能で長期保存性が高いものである。

0093

また、比較例3乃至比較例5においては、上述したように、活性炭と二酸化マンガン系触媒の分散性が低く、凝集が多いことで、形成された硬化塗膜にブツやざらつきが多く、塗膜の成膜性や基材に対する付着性が低く、塗装外観性も良くなかった。
これに対し、本実施例においては、ポリアクリレート系分散剤の使用によって、活性炭と二酸化マンガン系触媒が細かく分散されたことで、形成された硬化塗膜にブツやざらつきが少なく、成膜性及び外観性も良好であり、水性樹脂としてポリプロピレン樹脂及びアクリル樹脂を用いた実施例1乃至実施例3では金属製の基材に対し、後述する付着性試験を行った際でも、剥離した枡目の個数が2個以下であり、金属製の基材に対し高い付着性、接着性を得ることができた。特に、水性樹脂としてポリプロピレン樹脂を用いた実施例2及び実施例3では、金属製の基材のみならず、樹脂製の基材に対しても、後述する付着性試験で、剥離した枡目の個数が2個以下であり、樹脂製の基材に対しても高い付着性、接着性を得ることができた。よって、水性樹脂としてポリプロピレン樹脂を用いた場合では、金属製及び樹脂製の基材に対して、塗膜の高い付着性を確保できる。そして、塗膜の付着に特別な処理設備を必要としないことで、低コスト化が可能である。一方、水性樹脂としてアクリル樹脂を用いたものでは、金属製の基材に対する接着性、付着性が良好であるが、樹脂製の基材に対して塗膜の高い付着性を確保するためには、基材に対し前処理を施したのち塗装を行うのが好ましい。

0094

ここで、本発明者らは、更に、ポリアクリレート系分散剤の最適な配合について、以下の表2に示すように、詳細な検討を行っている。
即ち、表1に示した実施例2の配合組成のうち、ポリアクリレート系分散剤の配合量(g)のみを変化させ、ポリアクリレート系分散剤以外の配合材料は全て実施例2と同じに統一し、ポリアクリレート系分散剤の濃度が異なる各種水性塗料組成物を作製した。
ここでも上記表1のときと同じ材料を使用し、同じ手順で作製した。
そして、ポリアクリレート系分散剤の濃度を変化させた水性塗料組成物についても、上記表1のときと同様、貯蔵安定性の試験評価及びオゾン分解性の試験評価(図1)を行った。

0095

0096

表2に示したように、水性塗料組成物中にポリアクリレート系分散剤が0.1質量%濃度の含有により、二酸化マンガン系触媒と活性炭(固形分)の合計量100質量部に対し、ポリアクリレート系分散剤の配合量が0.9質量部であるものは、活性炭と二酸化マンガン系触媒の分散安定性に劣り、20℃、1カ月間の保存で凝集が生じる結果となった。一方で、水性塗料組成物中にポリアクリレート系分散剤が9.1質量%濃度の含有により、二酸化マンガン系触媒と活性炭(固形分)の合計量100質量部に対し、ポリアクリレート系分散剤の配合量が86.2質量部であるものは、オゾン分解率が低かった。これは、分散剤の量が多いことで活性炭と二酸化マンガン系触媒に吸着しようとするオゾンが分散剤により阻害されたためと考えられる。

0097

これに対し、水性組成物中にポリアクリレート系分散剤の0.3〜4.8質量%濃度の含有で、二酸化マンガン系触媒と活性炭(固形分)の合計量100質量部に対し、ポリアクリレート系分散剤の配合量が2.6質量部〜43.1質量部の範囲内としたものでは、ポリアクリレート系分散剤の適度な配合量によって、二酸化マンガン系触媒と活性炭が高分散され、その分散安定性も良く、かつ、オゾンの吸着を阻害することもなく、高い貯蔵安定性とオゾン分解性が両立することが確認された。
更に、本発明者らの鋭意実験研究により、二酸化マンガン系触媒と活性炭(固形分)の合計量100質量部に対し、ポリアクリレート系分散剤の配合量が、1.5質量部以上、より好ましくは、2質量部以上、更に好ましくは、2.5質量部以上であれば、貯蔵安定性を確保でき、75質量部以下、より好ましくは、60質量部以下、更に好ましくは、50質量部以下であれば、高いオゾン分解性が得られ、塗膜の成膜性、付着性及び外観性も良好であることを確認している。

0098

したがって、ポリアクリレート系分散剤は、二酸化マンガン系触媒と活性炭(固形分)の合計量100質量部に対し、1.5質量部〜75質量部の範囲内で配合するのが好ましい。当該範囲内であれば、高い貯蔵安定性及びオゾン分解性を両立させることができ、塗膜の成膜性、付着性及び外観性も良好である。より好ましくは、二酸化マンガン系触媒と活性炭(固形分)の合計量100質量部に対し、ポリアクリレート系分散剤の配合量が2質量部〜60質量部、より好ましくは、2.5質量部〜50質量部の範囲内である。

0099

水性塗料組成物中においては、ポリアクリレート系分散剤は、好ましくは、0.3〜5質量%濃度の範囲内である。当該範囲内であれば、高い貯蔵安定性及びオゾン分解性を両立させることができ、塗膜の成膜性、付着性及び外観性も良好である。より好ましくは、水性塗料組成物中において、ポリアクリレート系分散剤は、0.3〜2質量%濃度で含有される。

0100

また、本発明者らは、二酸化マンガン系触媒と活性炭の最適な配合について、以下の表3及び表4に示すように、詳細な検討を行っている。
まず、オゾン分解能を有する活性炭と二酸化マンガン系触媒の配合割合(比率)による水性塗料組成物及びそれから形成される塗膜性能への影響を調べるため、以下の表3に示すように、活性炭と二酸化マンガンの配合割合(比率)を変化させて各種塗料組成物を作製した。ここでも上記表1のときと同じ材料を使用し、同じ手順で作製した。また、作製した塗料組成物について、貯蔵安定性とオゾン分解性の試験を行った。

0101

ここで、水性塗料組成物の貯蔵安定性試験については、上記表1のときと同じ、20℃の温度条件で1カ月間保管した後の凝集の有無を確認し、評価を行った。なお、20℃、1カ月間保管後に凝集による沈降分離が少し見られたが、塗装時に攪拌することで塗布性に問題がなかったものについては、実用に適するので△と判定した。
一方、オゾン分解性の試験については、図2に示したように行った。即ち、20Lのマイラーバック50内に評価用としてポリプロピレンTP基材20(PP材20)(5cm×7cm)に水性塗料組成物を塗付し乾燥(100℃×10分)させてなる試験体tを入れ、更に、バック50内にエアブローで空気を封入後、オゾン発生機で発生させたオゾンを注入して、バック50内のオゾン濃度を0.2ppm(体積基準)に調整してから、バックをヒートシール密閉した。そして、30分経過後にオゾンセンサー33によってバック50内のオゾン濃度を測定することにより、初期のオゾン濃度との比較で、オゾン分解率を算出した。なお、このときの評価試験は、25℃の室温(常温)下で行い、また、各種塗料組成物は、PP材20に対し、その素地が覆い隠れるまでに塗布を行っている。

0102

更に、比較として、活性炭または二酸化マンガン系触媒の何れか一方のみしか配合しない比較例7及び比較例8を作製し、これについても、同様に貯蔵安定性及びオゾン分解性能の評価試験を行った。
作製した各種塗料組成物の配合組成を表3の上段に示し、評価試験の結果を表3の下段に示す。なお、表3においても、活性炭は固形分換算量であり、分散工程における水は、溶媒として添加したイオン交換水に加え、活性炭材料の商品に予め含まれていた溶媒としての水分量を含めた値である。

0103

0104

表3に示したように、活性炭を配合せず、二酸化マンガン系触媒のみを配合した比較例7においては、オゾン分解率が75.9%であり、実施例よりも低いオゾン分解率であった。また、二酸化マンガン系触媒を配合せず、活性炭のみを配合した比較例8においても、オゾン分解率が50%であり、実施例と比較して大きく劣っていた。更には、貯蔵安定性も極めて低いものであった。これは、活性炭が、その吸着特性から塗膜成分である樹脂分(有機物)を多く吸着することで凝集するためである。活性炭のみの配合では、塗料安定性、即ち、貯蔵安定性を確保できないことが分かる。

0105

これに対し、二酸化マンガン系触媒と活性炭を併用した実施例では、二酸化マンガン系触媒のみまたは活性炭のみを単独で用いた比較例7及び比較例8と比較して、オゾン分解率が大きく向上し、極めて高いオゾン分解性能が示された。

0106

ここで、所定の高いオゾン分解性能を確保するために必要な二酸化マンガン系触媒及び活性炭のうち、活性炭の量が多くなると、塗料の安定性(貯蔵安定性)を確保できなくなる。また、長期の使用により活性炭が酸化、消費され劣化するから、高い耐久性を確保できなくなる。一方で、活性炭の配合比率が小さくても、活性炭によるオゾン浄化特性の効果が生かされず、活性炭及び二酸化マンガン系触媒の組み合わせによるオゾン分解能の向上効果が小さくて、高いオゾン分解性能を得ることができない。特に、二酸化マンガン系触媒は、水分や、塩化物や、大気中のSOxやMOxの影響を受け易く、それらによってオゾン分解性が低下しやすいことから、長期間の高いオゾン分解性を確保するためには、活性炭を所定量の配合割合とするのが好ましい。
本発明者らの鋭意実験研究によれば、実施例4乃至実施例8として表3に示したように、好ましくは、水性塗料組成物中における活性炭(固形分)と二酸化マンガン系触媒の比率を、20/80≦活性炭/二酸化マンガン系触媒≦80/20とすることで、良好なオゾン分解率を得ることができ、かつ、実用的な貯蔵安定性を確保できる。特に、実施例5乃至実施例7に示したように、より好ましくは、活性炭(固形分)と二酸化マンガン系触媒の比率を、30/70≦活性炭/二酸化マンガン系触媒≦70/30とすることで、優れたオゾン分解率と貯蔵安定性が得られ、長期間の極めて高いオゾン分解性と塗料安定性を確保することができる。なお、水性塗料組成物中における活性炭(固形分)と二酸化マンガン系触媒の比率は、その水性塗料組成物から形成される塗膜成分中の活性炭と二酸化マンガン系触媒の比率に一致する。即ち、水性塗料組成物中における活性炭(固形分)と二酸化マンガン系触媒の比率が、20/80≦活性炭/二酸化マンガン系触媒≦80/20であると、水性塗料組成物から得られる硬化塗膜中においても、活性炭と二酸化マンガン系触媒が、20/80≦活性炭/二酸化マンガン系触媒≦80/20の比率で含まれることになる。

0107

更に、本発明者らは、オゾン分解性能を有する活性炭及び二酸化マンガン系触媒の配合量と塗膜性能への影響を調べるために、表3に示した実施例7の配合組成のうち、水性塗料組成物中(塗膜成分中)における活性炭(固形分)と二酸化マンガン系触媒の配合割合(重量比率)は活性炭/二酸化マンガン系触媒=70/30で一定とするも、活性炭及び二酸化マンガン系触媒の配合量を増減させることで、以下の表4に示すように、水性塗料組成物から形成される塗膜における活性炭及び二酸化マンガン系触媒の濃度が33質量%〜83質量%となる活性炭及び二酸化マンガン系触媒の配合で各種塗料組成物を作製した。活性炭と二酸化マンガン系触媒以外の配合組成、材料は、全て実施例7ときの同一に統一し、上記と同じ手順で作製した。即ち、活性炭及び二酸化マンガン系触媒以外の配合材料の配合量(g)は、全て実施例7ときと同じに統一し、活性炭及び二酸化マンガン系触媒の配合量(g)のみを変化させ、上記と同じ手順で作製した。
そして、作製した塗料組成物について、オゾン分解性及び基材に対する付着性の試験を行った。

0108

ここで、オゾン分解性の試験については、上記表1及び表2のときと同様に、図1に示した装置を用いて行った。
また、付着性試験については、PP基材に水性塗料組成物をエアースプレー塗装し、乾燥(100℃×10分)させることにより、PP材上に硬化塗膜が形成された供試体を用いた。そして、かかる供試体について、JIS−K5600−5−6:1999に準拠して、付着性(クロスカット法)の評価を行った。具体的には、供試体の塗装面にカッターナイフ縦横に1mm間隔で11本ずつの平行な切れ目を入れて、合計100個の1mm×1mmの桝目を形成し、これら100個の桝目形成部分に上から粘着テープマスキングテープ)を強く圧着させて貼り付け、そして一気に引き剥がし、100個の升目のうち何個剥がれたかを測定した。剥離した枡目の個数が2個以下であれば合格(○)とし、3個以上の剥がれが見られた場合には△と評価した。
作製した各種塗料組成物中の活性炭及び二酸化マンガン系触媒の濃度を表4の上段に示し、評価試験の結果を表4の下段に示す。

0109

0110

表4に示したように、活性炭と二酸化マンガン系触媒の濃度を高めるほど、オゾン分解性能が高まることが分かった。特に、水性塗料組成物から形成された塗膜中の触媒濃度が63%以上で、高いオゾン分解性を得ることができた。なお、塗膜成分中の触媒濃度が73%以上では、触媒濃度を高めても、所定の分散剤の量では分散性に限度があるため、オゾン分解能の上昇が少なかったものと推測される。
一方で、活性炭と二酸化マンガン系触媒の濃度が高くなり過ぎると、付着性能が低下した。基材への付着性能が低いと、塗膜剥がれや塗膜成分の脱落が生じやすくなり、持続的に高いオゾン分解性能を得ることができなくなる恐れがある。

0111

そこで、本発明者らの実験研究によれば、水性塗料組成物中(塗膜成分中)における活性炭(固形分)と二酸化マンガン系触媒の比率が、20/80≦活性炭/二酸化マンガン系触媒≦80/20であるとき、塗膜成分中の活性炭(固形分)及び二酸化マンガン系触媒の濃度が60%以上で、より好ましくは、70%以上で高いオゾン分解性能を得ることができ、塗膜成分中の活性炭(固形分)及び二酸化マンガン系触媒の濃度が90%以下、より好ましくは、85%以下であれば、基材に対する塗膜の付着性能も良好であることを確認している。
よって、塗膜成分中の活性炭(固形分)及び二酸化マンガン系触媒濃度は、好ましくは、60%以上、90%以下であり、より好ましくは、70%以上、80%以下であれば、基材への付着性を確保して長時間の高いオゾン分解性能を維持できる。
なお、水性塗料組成物から形成された塗膜成分中における活性炭及び二酸化マンガンの濃度(質量%)は、活性炭及び二酸化マンガンの合計固形分量/塗膜成分となる水性塗料組成物中の全体の固形分量×100で算出したものである。

0112

以上説明してきたように、上記実施例に係る水性塗料組成物は、水を溶媒の主成分とする水性塗料組成物であって、酸化マンガン系触媒としての二酸化マンガン系触媒と、活性炭と、ポリアクリレート系分散剤と、水性樹脂としてのアクリル樹脂またはポリプロピレン樹脂と、pH調整剤としてのトリエチルアミン(TEA)とを含むものであり、基材に塗布され乾燥されることにより硬化した塗膜を形成するものである。

0113

また、上記実施例に係る水性塗料組成物の製造方法は、水を主成分とする溶媒と、酸化マンガン系触媒としての二酸化マンガン系触媒と、活性炭と、ポリアクリレート系分散剤とを混合分散する分散工程と、その分散された混合物にpH調整剤を混合する中和工程と、その中和された混合物に水性樹脂としてのアクリル樹脂またはポリプロピレン樹脂を混合分散する塗料化工程とを具備するものである。

0114

したがって、本実施例に係る水性塗料組成物及びその製造方法によれば、ポリアクリレート系分散剤によって、二酸化マンガン系触媒と活性炭を細かく高分散できるから、硬化した塗膜にブツが生じ難く成膜性及び付着性の高い塗膜を形成でき、そして、高分散された二酸化マンガン系触媒と活性炭が多くのオゾン量を付着できることによって、高いオゾン分解性能を発揮させることができる。特に、酸化マンガン系触媒の中でもオゾン分解の触媒活性が高い二酸化マンガン系触媒の使用により、高いオゾン分解能が得られるうえ、更に、この二酸化マンガン系触媒と活性炭の併用により、それらを単体で用いた場合と比較して高いオゾン分解性能が得られる。また、活性炭は安価に入手できるから、コストを抑えることができる。加えて、ポリアクリレート系分散剤によって、二酸化マンガン系触媒と活性炭の分散安定性も高いから、実用的に良好な塗料安定性、貯蔵安定性が得られる。

0115

二酸化マンガン系触媒としては、その中位径(平均粒子径)が1〜20μmの範囲内にあり、BET比表面積が100〜400m2/gの範囲内にある二酸化マンガン系触媒を用いるのが好ましい。中位径(平均粒子径)が1〜20μmの範囲内にあり、BET比表面積が100〜400m2/gの範囲内にある二酸化マンガン系触媒によれば、組成物の分散性及び分散安定性が高く、オゾン分解性が高い塗膜が得られる。
更に、活性炭としては、その中位径(平均粒子径)が1〜20μmの範囲内にあり、BET比表面積が500〜3000m2/gの範囲内にある活性炭を用いるのが好ましい。中位径(平均粒子径)が1〜20μmの範囲内にあり、BET比表面積が500〜3000m2/gの範囲内にある活性炭によれば、組成物の分散性及び分散安定性が高く、オゾン分解性が高い塗膜が得られる。

0116

また、ポリアクリレート系分散剤としては、その重量平均分子量が500〜30000の範囲内であり、酸価が1〜50の範囲内であり、pHが5〜9の範囲内であるものが好ましい。当該範囲内であれば、オゾン分解性能を損なうことなく、少ない分散剤の量で塗料成分の高分散及び分散安定の効果を得ることができる。
更に、このポリアクリレート系分散剤は、二酸化マンガン系触媒及び活性炭の合計量を100質量部に対し、1.5質量部〜70質量部の範囲内で配合されるのが好ましい。これにより、高いオゾン分解性と貯蔵安定性を両立できる。また、好ましくは、水性塗料組成物中に、ポリアクリレート系分散剤を0.3質量%〜5質量%の範囲内で含有されることにより、高いオゾン分解性と貯蔵安定性を両立できる。

0117

更に、上記実施例に係る水性塗料組成物は、JISK5600及びJISK 5400(1990)に準拠するグラインドゲージにより測定された二酸化マンガン系触媒及び活性炭の分散度が、線状法で最大粒子径(Dmax)20μm以下である。即ち、分散工程では、ビーズミルまたはロールミルで、二酸化マンガン系触媒及び活性炭の粒子径が、グラインドゲージによる測定で最大粒子径(Dmax)20μm以下になるまで分散される。
これによって、活性炭等の凝集体が少なくて成膜性及び付着性の高い塗膜を形成でき、そして、二酸化マンガン系触媒及び活性炭によるオゾン吸着量を高くできることで、高いオゾン分解性が得られ、更に、分散安定性も高くて貯蔵安定性にも優れる。故に、安定した塗膜性能及び塗料組成物の長期の保存性を得ることができる。

0118

また、上記実施例に係る水性塗料組成物の二酸化マンガン系触媒及び活性炭は、レーザー解析法による体積基準の90%の累積粒子径(D90)が、10μm以下である。
即ち、分散工程では、ビーズミルまたはロールミルで、二酸化マンガン系触媒及び活性炭の粒子径が、レーザー解析法による体積基準の90%の累積粒子径(D90)で10μm以下になるまで分散される。
このような粒子サイズに分散された水性塗料組成物によれば、粗粒が少ないことで、塗膜ブツやざらつきが少なく、塗膜の外観性や付着性に優れる。また、凝集体が少ないから、二酸化マンガン系触媒及び活性炭によるオゾン吸着量を高くできることで、高いオゾン分解性が得られ、更に、分散安定性も高くて貯蔵安定性にも優れる。故に、塗膜の外観性に優れ、また、オゾン分解性及び貯蔵安定性が高いものである。

0119

更に、上記実施例に係る水性塗料組成物の水性樹脂は、アクリル樹脂またはポリプロピレン樹脂であるから、二酸化マンガン系触媒及び活性炭との相溶性も良く、樹脂中に二酸化マンガン系触媒及び活性炭が均一に分散されやすい。特に、アクリル樹脂によれば、その分子量の選択幅が広いことで、目的とする塗膜性能の特性を設計しやすく、更に、耐候性、耐水性、耐薬品性の高い塗膜を形成できる。また、ポリプロピレン樹脂によれば、金属製の基材に加え、樹脂製の基材に対する付着性にも優れ、オゾン分解性能等の塗膜性能を長期間良好に発揮できる。

0120

そして、水性塗料組成物中における二酸化マンガン系触媒と活性炭(固形分)は、20/80≦二酸化マンガン系触媒/活性炭≦80/20の重量比率で配合するのが好ましい。これにより、塗料安定性を確保しつつ、二酸化マンガン系触媒と活性炭の組み合わせによるオゾン分解性の相乗効果が得られる。
また、酸化マンガン系触媒及び活性炭は、水性塗料組成物から形成される塗膜成分中に酸化マンガン系触媒及び活性炭の合計量が60質量%〜90質量%の範囲内となるように配合されるのが好ましい。これにより、基材に対する塗膜の付着性を損なうことなく、高いオゾン分解性能を得ることができる。

0121

なお、本発明を実施する場合には、活性炭は、例えば、コバルトや鉄等を中心金属とする有機金属錯体等を担持するものであってもよい。また、二酸化マンガン系触媒も水分を吸着する酸化カルシウム等が混合されていてもよい。

0122

本実施の形態の水性塗料組成物は、自動車の車両への適用のみならず、鉄道車両船舶航空機建築構造物建設機器等に適用することも可能であり、更に、オゾンを発生させるOA機器電気機器(例えば、乾式複写機、オゾナイザ紫外線灯空気清浄機脱臭用殺菌用漂白用等))等に適用、例えば、浄化装置のハウジングオゾン発生器高電圧発生装置コロナ帯電器等)近傍のケーシング排気フィルタ排気ダクト排気ファン等に適用して残留オゾンを分解するのに用いることも可能である。

0123

本発明を実施するに際しては、水性塗料組成物のその他の部分の構成、組成、配合、成分、形状、数量、材質、大きさ、製造方法等について、本実施の形態及び実施例に限定されるものではない。また、本実施の形態及び実施例で挙げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。

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