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図面 (17)

課題

大量に入手し易く、簡素な化学構造であって、損傷を受けたヌクレオチド除去修復阻害する活性が強くて、毒性が低く安全性が高いヌクレオチド除去修復阻害剤、それを含有し原発巣癌細胞のような腫瘍細胞のDNAを損傷させる腫瘍治療のために用いられる増強剤及び抗腫瘍剤の提供。

解決手段

下記ラクトン化合物(1)と、下記ナフトキノン化合物(3)、又はそれの薬学的に許容される塩を含有するもの。腫瘍治療の増強剤及び抗腫瘍剤は、このヌクレオチド除去修復阻害剤を、有効成分として含有するものである。

概要

背景

DNAは傷つき易く、環境中の紫外線電離放射線活性酸素などの化学物質によって常にダメージを受けている。生体内には、様々な要因によって損傷を受けたDNAを修復する機構が備わっており、この修復機構によって突然変異癌化細胞死老化などの現象が抑制されている。修復機構には様々な経路が存在し損傷の種類に応じて適切な経路が働く。

太陽光中の紫外線は、最も身近なDNA損傷誘発原であり、生体内で、主にシクロブタンピリミジンダイマー(cyclobutene pyrimidine dimer;CPD)や(6−4)光産物(6-4 photoproduct;6−4PP)を生じさせ、DNAを損傷させてしまう。これらの損傷が修復されず放置されると、突然変異や染色体異常を引き起こし、細胞の老化や癌化、細胞死が引き起こされるため、生体の細胞にはDNA損傷の種類に応じた複数の修復機構が備わっている。

これらの損傷はヒト細胞ではヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair;NER)によって除去される。NERで働く因子先天的欠損すると、高発癌性遺伝疾患である色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum;XP)を発症する。そのため、NERは腫瘍の抑制にとって重要な働きをしている。一方、シスプラチンなどの抗腫瘍剤によって誘発されるDNA損傷もNERの基質であるため、NERはDNA傷害性抗腫瘍剤の抗腫瘍活性を弱める要因にもなり得る。

このようなNERは損傷の認識、損傷周辺DNA鎖の巻き戻し、損傷の両側切断、DNA合成再結合という複数の段階を経て、DNA損傷を修復する(図1)。これらのコア反応は試験管内で再構成されており、必須タンパク因子の種類と各々の役割が概ね明らかにされている。しかし、細胞内におけるNER反応は、調節機構を含めて非常に複雑であり、非常に多くの因子が関与している。

本出願人は、特許文献1のように、既にスクリーニングによってヌクレオチド除去修復阻害剤を見出している。また、非特許文献1のように、スピロノラクトン(SP)が、XPBを分解し、ヌクレオチド除去修復を抑制することが、報告されている。

ヌクレオチド除去修復活性が従来のものと同等以上であり、入手が容易で、毒性が無く安全性が高い新たなヌクレオチド除去修復阻害剤が望まれている。

概要

大量に入手し易く、簡素な化学構造であって、損傷を受けたヌクレオチドの除去修復を阻害する活性が強くて、毒性が低く安全性が高いヌクレオチド除去修復阻害剤、それを含有し原発巣癌細胞のような腫瘍細胞のDNAを損傷させる腫瘍治療のために用いられる増強剤及び抗腫瘍剤の提供。下記ラクトン化合物(1)と、下記ナフトキノン化合物(3)、又はそれの薬学的に許容される塩を含有するもの。腫瘍治療の増強剤及び抗腫瘍剤は、このヌクレオチド除去修復阻害剤を、有効成分として含有するものである。なし

目的

ヌクレオチド除去修復活性が従来のものと同等以上であり、入手が容易で、毒性が無く安全性が高い新たなヌクレオチド除去修復阻害剤が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

ヒドロキシフロピラン−2−オン骨格を有するラクトン化合物と、ジヒドロキシ−1,4−ナフトキノン骨格を有するナフトキノン化合物とから選ばれる縮合環状化合物、又はそれの薬学的に許容される塩を含有することを特徴とするヌクレオチド除去修復阻害剤

請求項2

前記ラクトン化合物が、下記化学式(1)(化学式(1)中、R1は、水素原子置換基置換されていてもよい飽和又は不飽和で直鎖状分岐鎖状又は環状のアルキル基;置換基で置換されていてもよいアシル基;又は、脂肪酸アミド基とポリアルキレングリコール基複素環基アルキレン基との少なくとも何れかを有する飽和又は不飽和で分岐鎖状又は環状のアルキルオキシ基とから選ばれる何れかからなる置換官能基若しくはそれらの何れかを何れかの順序で順次結合した置換官能基)で表されるパツリン誘導体、又は下記化学式(2)(化学式(2)中、R2は、水素原子;置換基で置換されていてもよい飽和又は不飽和で直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基;置換基で置換されていてもよいアシル基;又は、脂肪酸アミド基とポリアルキレングリコール基と複素環基とアルキレン基との少なくとも何れかを有する飽和又は不飽和で分岐鎖状又は環状のアルキルオキシ基とから選ばれる何れかからなる置換官能基若しくはそれらの何れかを何れかの順序で順次結合した置換官能基)で表されるイソパツリン誘導体であり、前記ナフトキノン化合物が、下記化学式(3)(化学式(3)中、R3及びR4は同一又は異なっていてもよいもので、水素原子;置換基で置換されていてもよい飽和又は不飽和で直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基;又は置換基で置換されていてもよいアシル基であり、R5〜R8は同一又は異なっていてもよいもので、水素原子;置換基で置換されていてもよい飽和又は不飽和で直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基)で表されるナフタザリン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のヌクレオチド除去修復阻害剤。

請求項3

前記ラクトン化合物が、前記化学式(1)中のR1及び前記化学式(2)中のR2を、水素原子、炭素数1〜22の飽和アルキル基、又は炭素数2〜22で二重結合基又は三重結合基を有する不飽和アルキル基とし、前記ナフトキノン化合物が、前記化学式(3)中のR5〜R7を水素原子とし、R8を水素原子又は無置換プレニル基とし、又は置換プレニル基であって、水酸基;炭素数1〜22の飽和又は不飽和で分岐鎖状又は環状のアルキルオキシ基;炭素数1〜22のアシルオキシ基;及び、炭素数1〜22の脂肪酸アミド基と炭素数2〜4のアルキレン基を有するポリアルキレングリコール基と複素環基と炭素数1〜4のアルキレン基との少なくとも何れかを有する炭素数1〜22の飽和又は不飽和で分岐鎖状又は環状のアルキルオキシ基から選ばれる置換基で置換されている前記置換プレニル基とするものであることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載のヌクレオチド除去修復阻害剤。

請求項4

前記ラクトン化合物が、パツリン、メチルパツリン、又はプロピニルパツリンであり、前記ナフトキノン化合物が、シコニンアセチルシコニン、デオキシシコニン、ナフタザリン、プロピニルシコニン、O−{1−[アセトアミドトリス(エトキシエチル}−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,3−トリアゾール]−4−イル−エチル}−シコニンであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のヌクレオチド除去修復阻害剤。

請求項5

腫瘍治療用医薬であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のヌクレオチド除去修復阻害剤。

請求項6

請求項1〜5の何れかに記載のヌクレオチド除去修復阻害剤を、有効成分として含有することを特徴とする腫瘍治療増強剤

請求項7

前記腫瘍治療が抗腫瘍剤投与治療及び活性エネルギー線照射治療から選ばれる少なくとも何れかであることを特徴とする請求項6に記載の腫瘍治療の増強剤。

請求項8

前記腫瘍治療の前、途中、又は後に、投与されて前記腫瘍治療を増強するように用いるためのものであることを特徴とする請求項6又は7に記載の腫瘍治療の増強剤。

請求項9

請求項1〜6の何れかに記載のヌクレオチド除去修復阻害剤を、有効成分として含有することを特徴とする抗腫瘍剤。

技術分野

0001

本発明は、損傷を受けたヌクレオチド除去修復するのを阻害するヌクレオチド除去修復阻害剤、ヌクレオチドを損傷させる腫瘍治療に併用される増強剤及び抗腫瘍剤に関するものである。

背景技術

0002

DNAは傷つき易く、環境中の紫外線電離放射線活性酸素などの化学物質によって常にダメージを受けている。生体内には、様々な要因によって損傷を受けたDNAを修復する機構が備わっており、この修復機構によって突然変異癌化細胞死老化などの現象が抑制されている。修復機構には様々な経路が存在し損傷の種類に応じて適切な経路が働く。

0003

太陽光中の紫外線は、最も身近なDNA損傷誘発原であり、生体内で、主にシクロブタンピリミジンダイマー(cyclobutene pyrimidine dimer;CPD)や(6−4)光産物(6-4 photoproduct;6−4PP)を生じさせ、DNAを損傷させてしまう。これらの損傷が修復されず放置されると、突然変異や染色体異常を引き起こし、細胞の老化や癌化、細胞死が引き起こされるため、生体の細胞にはDNA損傷の種類に応じた複数の修復機構が備わっている。

0004

これらの損傷はヒト細胞ではヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair;NER)によって除去される。NERで働く因子先天的欠損すると、高発癌性遺伝疾患である色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum;XP)を発症する。そのため、NERは腫瘍の抑制にとって重要な働きをしている。一方、シスプラチンなどの抗腫瘍剤によって誘発されるDNA損傷もNERの基質であるため、NERはDNA傷害性抗腫瘍剤の抗腫瘍活性を弱める要因にもなり得る。

0005

このようなNERは損傷の認識、損傷周辺DNA鎖の巻き戻し、損傷の両側切断、DNA合成再結合という複数の段階を経て、DNA損傷を修復する(図1)。これらのコア反応は試験管内で再構成されており、必須タンパク因子の種類と各々の役割が概ね明らかにされている。しかし、細胞内におけるNER反応は、調節機構を含めて非常に複雑であり、非常に多くの因子が関与している。

0006

本出願人は、特許文献1のように、既にスクリーニングによってヌクレオチド除去修復阻害剤を見出している。また、非特許文献1のように、スピロノラクトン(SP)が、XPBを分解し、ヌクレオチド除去修復を抑制することが、報告されている。

0007

ヌクレオチド除去修復活性が従来のものと同等以上であり、入手が容易で、毒性が無く安全性が高い新たなヌクレオチド除去修復阻害剤が望まれている。

0008

特開2013−221018号公報

先行技術

0009

Alekseev, S., Ayadi, M., Brino, L., Egly, J.M., Larsen, A.K., Coin, F. (2014). A small molecule screen identifies an inhibitor of DNA repair inducing the degradation of TFIIH and the Chemosensitization of tumor cells to platinum. Chem. Biol., Vol.21, p.398-407.

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、大量に入手し易く、簡素な化学構造であって、損傷を受けたヌクレオチドの除去修復を阻害する活性が強くて、毒性が低く安全性が高いヌクレオチド除去修復阻害剤、それを含有し原発巣癌細胞などの腫瘍細胞のDNAを損傷させる腫瘍治療のために用いられる増強剤及び抗腫瘍剤を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲に記載のヌクレオチド除去修復阻害剤は、ヒドロキシフロピラン−2−オン骨格を有するラクトン化合物と、ジヒドロキシ−1,4−ナフトキノン骨格を有するナフトキノン化合物とから選ばれる縮合環状化合物、又はそれの薬学的に許容される塩を含有することを特徴とするものである。

0012

このヌクレオチド除去修復阻害剤は、例えば、前記ラクトン化合物が、下記化学式(1)



(化学式(1)中、R1は、水素原子置換基置換されていてもよい飽和又は不飽和で直鎖状分岐鎖状又は環状のアルキル基;置換基で置換されていてもよいアシル基;又は、脂肪酸アミド基とポリアルキレングリコール基複素環基アルキレン基との少なくとも何れかを有する飽和又は不飽和で分岐鎖状又は環状のアルキルオキシ基とから選ばれる何れかからなる置換官能基若しくはそれらの何れかを何れかの順序で順次結合した置換官能基)で表されるパツリン誘導体、又は下記化学式(2)



(化学式(2)中、R2は、水素原子;置換基で置換されていてもよい飽和又は不飽和で直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基;置換基で置換されていてもよいアシル基;又は、脂肪酸アミド基とポリアルキレングリコール基と複素環基とアルキレン基との少なくとも何れかを有する飽和又は不飽和で分岐鎖状又は環状のアルキルオキシ基とから選ばれる何れかからなる置換官能基若しくはそれらの何れかを何れかの順序で順次結合した置換官能基)で表されるイソパツリン誘導体であり、
前記ナフトキノン化合物が、下記化学式(3)



(化学式(3)中、R3及びR4は同一又は異なっていてもよいもので、水素原子;置換基で置換されていてもよい飽和又は不飽和で直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基;又は置換基で置換されていてもよいアシル基であり、R5〜R8は同一又は異なっていてもよいもので、水素原子;置換基で置換されていてもよい飽和又は不飽和で直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基)で表されるナフタザリン誘導体であるというものである。

0013

このヌクレオチド除去修復阻害剤は、より具体的には、
前記ラクトン化合物が、前記ラクトン化合物が、前記化学式(1)中のR1及び前記化学式(2)中のR2を、水素原子、炭素数1〜22の飽和アルキル基、又は炭素数2〜22で二重結合基又は三重結合基を有する不飽和アルキル基とし、
前記ナフトキノン化合物が、前記化学式(3)中のR5〜R7を水素原子とし、
R8を水素原子又は無置換プレニル基とし、又は置換プレニル基であって、水酸基;炭素数1〜22の飽和又は不飽和で分岐鎖状又は環状のアルキルオキシ基;炭素数1〜22のアシルオキシ基;及び、炭素数1〜22の脂肪酸アミド基と炭素数2〜4のアルキレン基を有するポリアルキレングリコール基と複素環基と炭素数1〜4のアルキレン基との少なくとも何れかを有する炭素数1〜22の飽和又は不飽和で分岐鎖状又は環状のアルキルオキシ基から選ばれる置換基で置換されている前記置換プレニル基とするというものである。

0014

このヌクレオチド除去修復阻害剤は、前記ラクトン化合物が、パツリン、メチルパツリン、又はプロピニルパツリンであり、前記ナフトキノン化合物が、シコニンアセチルシコニン、デオキシシコニン、ナフタザリン、プロピニルシコニン、O−{1−[アセトアミドトリス(エトキシエチル}−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,3−トリアゾール]−4−イル−エチル}−シコニンであると、一層好ましい。

0015

このヌクレオチド除去修復阻害剤は、腫瘍の治療用医薬であることを特徴とするものである。

0016

前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲に記載の腫瘍治療の増強剤は、前記ヌクレオチド除去修復阻害剤を、有効成分として含有することを特徴とするものである。

0017

この腫瘍治療の増強剤は、前記腫瘍治療が抗腫瘍剤投与治療及び活性エネルギー線照射治療から選ばれる少なくとも何れかであることが好ましい。

0018

この腫瘍治療の増強剤は、例えば、前記腫瘍治療の前、途中、又は後に、投与されて前記腫瘍治療を増強するように用いるためのものである。

0019

前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲に記載の抗腫瘍剤は、前記ヌクレオチド除去修復阻害剤を、有効成分として含有するものである。

発明の効果

0020

本発明のヌクレオチド除去修復剤は、損傷を受けたヌクレオチドの除去修復を阻害する活性が強く、その薬効効能が優れており、毒性が低くて安全性が高く、単独で腫瘍の治療剤として用いることができ、しかも簡素な化学構造であって、大量に入手し易く、医薬品として用いることができる。またこのヌクレオチド除去修復阻害剤を、有効成分として含有する腫瘍治療の増強剤は、癌細胞や悪性腫瘍細胞のような腫瘍細胞のDNAを損傷させる化学療法活性エネルギー線治療の際に、その抗癌作用抗腫瘍作用を増強することができる。また、このヌクレオチド除去修復剤は、それ自身で抗腫瘍剤となり得る。

図面の簡単な説明

0021

生体内で損傷を受けたヌクレオチドを除去・修復するメカニズムを示す概要図である。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるパツリンのヌクレオチド除去修復評価の結果を示すグラフである。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるパツリンの処理又は未処理において、局所紫外線照射後の各NER因子の局在性変化を示す免疫染色の結果を示す写真である。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるパツリンの処理又は未処理において、局所紫外線照射後のXPBとCPDの二重染色像の結果を示す写真である。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるパツリンの処理のあと、NER因子の細胞内レベルでのウェスタンブロッティングの結果を示す写真である。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるパツリンの処理のあと、異なる認識部位をもつ2種類の抗体を用いたDDB2の細胞内レベルでのウェスタンブロッティングの結果を示す写真、及びDDB2とその抗体との概要図である。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるパツリン除去後の細胞内DDB2レベルの変動についてのウェスタンブロッティングの結果を示す写真である。
DDB2一過性過剰発現時、本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるパツリン処理後のDDB2の変動についてのウェスタンブロッティングの結果を示す写真である。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるシコニンのヌクレオチド除去修復評価の結果を示すグラフである。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるシコニンについてELISA法を用いたNER阻害活性評価の結果を示すグラフである。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるシコニン及びナフタザリン、並びに本発明を適用外のジュグロン処理後、ELISA法を用いたNER阻害活性評価の結果を示すグラフである。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるシコニンの処理/未処理でのDDB2のDNA損傷部位への集積に及ぼす影響について、免疫染色の結果を示す写真である。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるシコニンの処理/未処理でのXPCのDNA損傷部位への集積に及ぼす影響について、免疫染色の結果を示す写真である。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるシコニンの処理/未処理でのXPBのDNA損傷部位への集積に及ぼす影響について、免疫染色の結果を示す写真である。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるシコニンの処理のあと、NER因子の細胞内レベルでのウェスタンブロッティングの結果を示す写真である。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるシコニン処理のあと、DDB2の細胞内レベルの変化についてのウェスタンブロッティングの結果を示す写真である。
本発明を適用するヌクレオチド除去修復阻害剤であるパツリン及びその誘導体、並びにシコニン及びその誘導体のヌクレオチド除去修復評価のNER阻害作用点の類似点相違点を模式的に示す図である。

0022

以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。

0023

近年の創薬プロセス初期段階においては、膨大な化合物ライブラリーハイスループットスクリーニングによって活性を評価し、新たな分子標的や阻害剤などのシードとなる化合物を探索する手法がよく用いられている。そこで、本出願人が金沢大がん進展制御研究所にて所有するもので、微生物、植物、海洋産物などから得られた天然由来天然化合物ライブラリーから、ヌクレオチド除去修復阻害活性を有する化合物のスクリーニングを行い、またそれの化学修飾を行ったところ、本発明者らはヌクレオチド除去修復阻害剤の有効成分を見出した。

0024

本発明のヌクレオチド除去修復阻害剤は、特定の2系統の縮合環状化合物を含有するものである。ヌクレオチド除去修復阻害剤の好ましい一例は、第1の系統の縮合環状化合物として、ヒドロキシ−フロピラン−2−オン骨格(Hydroxy-2H,4H,6H-furo[3,2-c]pyran-2-one骨格)を有するラクトン化合物、又はそれの薬学的に許容される塩を含有するというものである。

0025

前記ラクトン化合物が、下記化学式(1)

0026

(化学式(1)中、R1は、水素原子;置換基で置換されていてもよい飽和又は不飽和で直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、例えば炭素数1〜22で直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状の飽和アルキル基、又は炭素数2〜22で二重結合基又は三重結合基を有し、直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状の不飽和アルキル基;置換基で置換されていてもよいアシル基、例えば炭素数1〜22で飽和又は不飽和のアシル基、具体的にはアセチル基;又は、炭素数1〜22の脂肪酸アミド基と炭素数2〜4のアルキレン基を有するポリアルキレングリコール基と複素環基と炭素数1〜4のアルキレン基との少なくとも何れかを有する炭素数1〜22の飽和又は不飽和で分岐鎖状又は環状のアルキルオキシ基とから選ばれる何れかからなる置換官能基若しくはそれらの何れかを何れかの順序で順次結合した置換官能基)で表されるパツリン誘導体であることが好ましい。

0027

前記ラクトン化合物が、下記化学式(2)

0028

(化学式(2)中、R2は、前記R1と同じ)で表されるイソパツリン誘導体であってもよい。

0029

前記ラクトン化合物が、前記化学式(1)中のR1及び前記化学式(2)中のR2を、水素原子、炭素数1〜3の飽和アルキル基、又は炭素数2〜3で二重結合基又は三重結合基を有する不飽和アルキル基であるとなお一層好ましい。

0030

このようなラクトン化合物として、下記化学式(4)で示されるパツリン



であるとなお一層好ましい。パツリンは、ペニシリウム(Penicillim)属及びアスペルウス(Aspergillus)属等の真菌によって産出されるカビ毒であることが知られていたが、DNA修復阻害活性については、知られていなかった。

0031

本発明のヌクレオチド除去修復阻害剤の好ましい別な態様は、第2の系統の縮合環状化合物として、ジヒドロキシ−1,4−ナフトキノン骨格(Dihydroxy-1,4-naphthalenedione骨格)を有するナフトキノン化合物、又はそれの薬学的に許容される塩を含有するというものである。

0032

このヌクレオチド除去修復阻害剤は、例えば、前記ナフトキノン化合物が、下記化学式(3)



(化学式(3)中、R3及びR4は同一又は異なっていてもよいもので、水素原子;置換基で置換されていてもよく炭素数1〜22で飽和又は不飽和で直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基;又は置換基で置換されていてもよくアシル基例えば炭素数1〜22で飽和又は不飽和のアシル基、具体的にはアセチル基であり、R5〜R8は同一又は異なっていてもよいもので、水素原子;置換基で置換されていてもよい飽和又は不飽和で直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基)で表されるナフタザリン誘導体が挙げられる。より好ましくは、化学式(3)中、R5〜R7を水素原子とし、R8を、ジメチルアリル基、ゲラニル基ファルネシル基、ゲラニルゲラニル基のような無置換プレニル基とし、又はそれらの置換プレニル基であって水酸基;炭素数1〜5の飽和又は不飽和で分岐鎖状又は環状のアルキルオキシ基;炭素数1〜18のアシルオキシ基;及び、炭素数1〜22の脂肪酸アミド基と炭素数2〜4のアルキレン基を有するポリアルキレングリコール基と複素環基と炭素数1〜4のアルキレン基との少なくとも何れかを有する炭素数1〜22の飽和又は不飽和で分岐鎖状又は環状のアルキルオキシ基とから選ばれる何れかからなる置換官能基若しくはそれらの何れかを何れかの順序で順次結合した置換官能基で置換されている前記置換プレニル基とするものであってもよい。

0033

このようなナフトキノン化合物として、下記化学式(7)で示されるシコニン、



下記化学式(8)で示されるアセチルシコニン、



下記化学式(9)で示されるデオキシシコニン、



下記化学式(10)で示されるナフタザリン



であるとなお一層好ましい。シコニンは、ムラサキ科ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon)の根シコン(紫根)から抽出される薬用成分で、抗炎症作用肉芽促進などの治癒促進作用、殺菌作用を有することが知られていたが、DNA修復阻害活性については、知られていなかった。

0034

なお、式(1)〜(3)中、置換されていてもよい置換基は、夫々単数又は複数であって、-OH、-ORa(但しRaは炭素数1〜18で直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状で飽和又は不飽和のアルキル基(例えばメチル基エチル基、n−プロピル基イソプロピル基ビニル基)、アリール基(例えばフェニル基ナフチル基アントラセニル基フェナントリル基)又はアラルキル基(例えばベンジル基);炭素数1〜18で直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状で飽和又は不飽和の脂肪族アシル基(例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、(メタ)アクリル基、3,3-ジメチルアクリル基)、アラルキルアシル基(例えばフェニルアセチル基)又は芳香族アシル基(例えばベンゾイル基フェノール性水酸基含有ベンゾイル基具体的には4-ヒドロキシベンゾイル基や3,4-ジヒドロキシベンゾイル基や4-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾイル基))、-NH2、-NHRb(但しRbは炭素数1〜18で直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状で飽和又は不飽和のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ビニル基)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基)又はアラルキル基(例えばベンジル基);炭素数1〜18で直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状で飽和又は不飽和の脂肪族アシル基(例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、(メタ)アクリル基、3,3-ジメチルアクリル基)、アラルキルアシル基(例えばフェニルアセチル基)又は芳香族アシル基(例えばベンゾイル基、フェノール性水酸基含有ベンゾイル基具体的には4-ヒドロキシベンゾイル基や3,4-ジヒドロキシベンゾイル基や4-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾイル基))、-NRdRd’(但しRd及びRd’は同一又は異なり、炭素数1〜18で直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状で飽和又は不飽和のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ビニル基)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基)又はアラルキル基(例えばベンジル基)、炭素数1〜18で直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状で飽和又は不飽和の脂肪族アシル基(例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、(メタ)アクリル基、3,3-ジメチルアクリル基)、アラルキルアシル基(例えばフェニルアセチル基)又は芳香族アシル基(例えばベンゾイル基、フェノール性水酸基含有ベンゾイル基具体的には4-ヒドロキシベンゾイル基や3,4-ジヒドロキシベンゾイル基や4-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾイル基)、ハロゲノメチル基、又はハロゲン原子)である。

0035

このヌクレオチド除去修復阻害剤は、不斉炭素を有する場合に等比又は非等比のラセミ混合物ジアステレオ合物エナンチオ混合物、若しくは(+)又は(-)の光学活性体であってもよい。

0036

このヌクレオチド除去修復阻害剤は、前記ラクトン化合物や前記ナフトキノン化合物は、薬学的に許容される、無機塩及び/又は有機塩であってもよい。これらの塩は、金属塩、例えばアルカリ金属塩アルカリ土類金属塩マグネシウム塩アルミニウム塩であってもよく、塩酸塩硫酸塩・硝酸塩臭化水素酸塩ヨウ化水素酸塩・リン酸塩メタリン酸塩のような無機酸塩であってもよく、酢酸塩ギ酸塩プロピオン酸塩フマル酸塩マレイン酸塩クエン酸塩酒石酸塩マロン酸塩安息香酸塩メタンスルホン酸塩トルエンスルホン酸塩ナフタレンスルホン酸等の有機酸塩であってもよく、トリエチルアミンテトラエチルアンモニウムのような有機アンモニウムとの塩、アルギニンリジン等のアミノ酸との塩であってもよい。

0037

このヌクレオチド除去修復阻害剤は、腫瘍の治療用医薬として、用いることができる。また、このヌクレオチド除去修復阻害剤を、有効成分として含有する腫瘍治療の増強剤として、用いることもできる。

0038

このヌクレオチド除去修復阻害剤、及びそれを含有する腫瘍治療の増強剤は、ヌクレオチドの損傷の除去修復を阻害するから、癌や悪性新生物などの腫瘍の原発巣中、又は転移組織中、若しくは微小転移中の癌細胞や悪性新生物細胞のような腫瘍細胞のDNAを損傷させる、シクロホスファミドイホスファミドメルファランブスルファンチオテバのようなナイトロジェンマスタード類で例示されるアルキル化剤や、シスプラチン・カルボプラチンオキサリプラチンネダプラチンのような白金製剤類などによる抗腫瘍剤投与治療のような化学療法;又はX線電子線、陽子線重粒子線α線β線γ線、紫外線、赤外線近赤外線照射する活性エネルギー線照射治療のような放射線療法の際に、用いられる。このヌクレオチド除去修復阻害剤を含有する抗腫瘍剤として、単独で、又は他の抗腫瘍剤と共に投与されてもよい。

0039

このヌクレオチド除去修復阻害剤を含有する腫瘍治療の増強剤又は抗腫瘍剤は、これら腫瘍治療の前、途中、又は後に、投与されて、癌細胞のような腫瘍細胞のDNAを損傷させる腫瘍治療の効果を増強するためのものである。

0040

このヌクレオチド除去修復阻害剤、及びそれを含有する腫瘍治療の増強剤又は抗腫瘍剤を用いれば、腫瘍細胞のDNAを損傷させたまま、ヌクレオチド除去修復阻害ができないので、それら細胞の細胞死へ誘導でき、腫瘍の病原や癌細胞や悪性新生物細胞のような腫瘍細胞の減少・消滅に寄与することができる。

0041

このヌクレオチド除去修復阻害剤、及びそれを含有する腫瘍治療の増強剤又は抗腫瘍剤の作用は、抗腫瘍剤の活性を増強する作用であってもよく、腫瘍細胞の抗腫瘍剤感受性抗腫瘍性腫瘍増殖抑制性を増強する作用、抗腫瘍剤の投与量・投与回数を低減する作用、及び抗腫瘍剤の副作用軽減作用であってもよい。

0042

このヌクレオチド除去修復阻害剤や腫瘍治療の増強剤は、前記ラクトン化合物や前記ナフトキノン化合物を、有効成分として、含有し、必要に応じ、非毒性で不活性の薬学的に許容しうる賦形剤、例えば固体状半固体状又は液状の希釈剤分散剤充填剤及び担体と混合することにより、製剤化されている。さらに安定剤、保存剤pH調整剤結合剤崩壊剤界面活性剤滑沢剤流動性促進剤、矯味剤着色剤香料防腐剤媒質生理食塩水、別な薬効を有する薬剤添加剤として含まれていてもよい。

0043

このヌクレオチド除去修復阻害剤の剤形は、例えばエリキシル剤カプセル剤顆粒剤丸剤軟膏懸濁剤液剤、腸溶剤乳剤硬膏剤坐剤散剤錠剤シロップ剤注射剤トローチ剤軟膏剤ハップ剤リニメント剤リモナーデ剤ローション剤が挙げられる。液状媒体に溶解させてもよく懸濁させてもよく、固体状媒体に分散させたものであってもよい。

0044

このヌクレオチド除去修復阻害剤、それを含有する腫瘍治療の増強剤又は抗腫瘍剤は、経口で投与してもよく、注射・点滴静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下に投与してもよく、皮膚・粘膜に塗布乃至貼付して経皮吸収させてもよい。

0045

このヌクレオチド除去修復阻害剤、それを含有する腫瘍治療の増強剤又は抗腫瘍剤中、前記ラクトン化合物や前記ナフトキノン化合物を、ヌクレオチド除去修復の有効成分として、0.001〜99質量%含んでいる。このヌクレオチド除去修復阻害剤や腫瘍治療の増強剤中、前記ラクトン化合物や前記ナフトキノン化合物を患者の体重に対し、0.001〜100mg/kg含んでいることが好ましい。

0046

このヌクレオチド除去修復阻害剤、それを含有する腫瘍治療の増強剤又は抗腫瘍剤の投与量、用量は、前記ラクトン化合物や前記ナフトキノン化合物の有効性、投与の形態・経路、腫瘍の進行ステージ、患者の体型・体重・年齢、併用する他の疾患の治療薬の種類や量に応じ、適宜選択される。その投与は、1日1〜5回毎日投与してもよく、1日〜14日おきに又は2〜6週間おきに間欠的に投与してもよい。

0047

この腫瘍治療の増強剤は、腫瘍治療の前、途中、又は後に、投与され、好ましくは腫瘍治療の前、より好ましくは、化学療法や放射線療法の処置の1分間〜24時間前、一層好ましくは1〜6時間前に投与される。

0048

このヌクレオチド除去修復阻害剤を含有する腫瘍治療の増強剤又は抗腫瘍剤の対象疾患として、各種腫瘍や癌が挙げられ、肺癌食道癌胃癌大腸癌肝癌胆嚢癌膵癌のような消化器癌卵巣癌子宮癌乳癌頭頚部癌血液癌腎癌睾丸腫瘍前立腺癌急性骨髄性白血病悪性リンパ腫網膜芽細胞腫神経芽細胞腫、及び肉腫が挙げられる。

0049

以下、本発明のヌクレオチド除去修復阻害剤、及びそれを含有する癌治療の増強剤又は抗腫瘍剤の具体例について、説明する。

0050

本出願人が金沢大学がん進展制御研究所にて所有する天然化合物ライブラリーからヌクレオチド除去修復阻害剤の有効成分の候補物質をスクリーニングし、その作用機序及び薬効評価・有効性評価について、以下のように検討した。

0051

[実施例1−1]
(1.細胞培養
A.細胞
HeLa細胞(ヒト子宮頸癌由来細胞)、XP2YOSV(XP-F患者由来線維芽細胞)を用いた。

0052

B.試薬の調製
培養液: D-MEM(高グルコース)(和光純薬社製)500mLにゲンタマイシン(ナカライテスク社製)500μL(final 50μg/mL)、牛胎児血清(FBS)(Sigma社製)を加えて調製した。
PBS(-): 10x D-PBS(-)(和光純薬社製)を超純水で10倍希釈した後、分注してオートクレーブ滅菌した。
トリプシン: Trypsin 10x Solution(Sigma社製)4mLをPBS(-)96mLで25倍に希釈して用いた。

0053

C.培養方法
細胞が付着した100mmプラスチックデッシュ(Nalge Nunc社製)から培養液を除き、PBS(-) 5mLで2回洗浄後、トリプシン4mLを処理して細胞を剥がした。そこに、培養液10mLを加えサスペンドして細胞浮遊液を集め適度な濃度に希釈後、新しい100mmデッシュに細胞を植え込み37℃、5%CO2インキュベーター内で培養した。

0054

(2.ヌクレオチド除去修復阻害化合物一次スクリーニング(その1))
A.スクリーニング
本出願人が金沢大学がん進展制御研究所にて所有する天然化合物ライブラリーの内、約500サンプルについて、ヌクレオチド除去修復阻害活性を有する化合物のスクリーニングM-CINUP(microplate-formatted cell-based immunoassay for NERof UV photoproducts)を行った。

0055

B.試薬の調製
・10mMPBS(pH 7.4)(希釈用バッファー): Na2HPO4 1.15gとNaH2PO4・2H2O 0.296g、NaCl 8.18gを超純水約800mLに溶解した後pH7.4に調整して、超純水で1,000mLにメスアップした。
ブロッキング液スキムミルク(森永乳業社製)を1%になるように10mM PBSで溶解した。

0056

C.抗体 (6-4PP用
一次抗体:64M-5 (本発明者ら作製) 300倍希釈
二次抗体:Goat Anti-MouseIgGHuman ads-BIOT (Southern Technology社製) 100倍希釈
・三次試薬IRDye 800CW streptavidin (商品名LI-COR) 2,500倍希釈
Sapphire 700 stain (商品名LI-COR) 2,000倍希釈

0057

D.一次スクリーニング方法(M-CINUP)
96穴マイクロウェルプレート(Thermo Scientific社製)にHeLa細胞を植え込み(3×104 cells/well)、1日半培養してコンフルエントにした。各化合物を処理して所定の時間処理した後、培地をU字型96マイクロウェルプレートへ移し、細胞を100 μLのPBS(-)で2回洗浄した。その後、プレートの底からUV-C 20J/m2相当のUV-Bを照射した。照射後、U字型プレートへ移しておいた培地を細胞へ戻し、37℃で各時間インキュベートした。その後、100μLのPBS(-)で2回洗浄し、-20℃のメタノールを100μL加えて室温で10分間インキュベートして細胞固定を行った。メタノールを除き、10mM PBS 100μLと純水100μLで1回ずつ洗浄した後、2M塩酸100μLを加えて室温で30分間インキュベートしてDNAを変性させた。10mM PBS 150μLで3回洗浄後、1%スキムミルクを150μL加えて37℃で30分間インキュベートすることによりブロッキングした。同様に洗浄後、10mM PBSで希釈した一次抗体を40μLずつ加えて37℃で1時間インキュベートした。同様の洗浄後、二次抗体を40μLずつ加えて37℃で30分間インキュベートした。さらに同様の洗浄後、三次試薬40μLずつ加えて遮光しながら37℃で30分間インキュベートした。同様の洗浄後、近赤外線イメージアナライザーのOdyssey (エムエステクノシステムズ社製)を用いて680nm及び780nmの2チャンネルでDNA損傷及び細胞を検出した。

0058

E.一次スクリーニング測定結果
一次スクリーニングでは、植え込んだHeLa細胞に各化合物(10μg/mL)を6時間同時処理し、紫外線照射2時間後の6-4PPを検出した。また、ポジティブコントロールとして、特許文献1の一般式(1)(R1=R2=Me、R3=MeO-)に対応するA6 (20μg/ml)、及びスピロノラクトン(SP)(20μM)を同様に処理したものも含めた。SPは、XPBを分解し、NERを抑制するカリウム保持性利尿薬である。一次スクリーニングで44サンプルに絞り込んだ。

0059

F.二次スクリーニング測定結果
二次スクリーニングでは、化合物処理濃度を10μg/mLと20μg/mLの2点とし、各化合物の処理時間は6時間のままで、紫外線照射2時間後の6-4PPを検出し、一次スクリーニングの再現性で評価した。二次スクリーニングで4サンプルに絞り込んだ。

0060

G.細胞毒性・修復阻害活性の条件検討
M-CINUP法は簡便性・迅速性に長けているが、細胞を固定した状態で6-4PPを検出しているため、DNAを抽出して測定するELISA法に比べると精度は劣る。そこで、この4サンプルについてM-CINUP法で濃度と時間の細かい検討を行ったところ、最終の一つとしてサンプル1が絞り込まれた。このサンプル1は、下記化学式(4)で示されるパツリン(Patulin)として、既に同定されているものである。その理化学構造解析データは、市販品と同じであり、この構造を支持するものであった。サンプル1(パツリン)は、天然から抽出され精製されたものであってもよく、合成されたものであってもよく、Sigma-Aldrich社などからの市販のものであってもよい。このサンプル1は、90μMと120μMに絞り、処理時間の検討を行ったところ、90μMで1時間処理が最適と判断した。その結果を図2(A)に示す。

0061

0062

(3.酵素標識免疫測定法(ELISA)を用いた6-4PPの定量)
細胞毒性がなく修復阻害活性が十分見られる条件を決定して、ELISA(Enzyme-linked immunosorbent assay)を用いて、紫外線照射後0、1、2時間の6-4PPの修復阻害活性を評価した。

0063

A.試薬の調製
RNaseA溶液: RNase A(Sigma社製)を20mg/mLになるように滅菌純水で溶解し、100℃で15分間加熱してDNaseを不活化した後、分注して-20℃で凍結保存した。
エタノール(99 %)
・Proteinase K(Qiagen社製)
・Geno Plus Genomic DNA Extraction Miniprep System (VIOGENE社製)
・TE:トリス塩基12.11gを80mLの純水に溶かし、塩酸を加えながらpH8.0に調整し、100mLにメスアップして1Mトリス塩酸バッファーを調製し、オートクレーブ滅菌した。この1Mトリス塩酸バッファー1mLと0.5MEDTA0.2mLを純水80mLと混合した後、100mLにメスアップし、オートクレーブ滅菌して用いた。
・×10PBS: Na2HPO4 11.5g、NaH2PO4・2H2O 2.96g、NaCl 81.8gを純水約800mLに溶解した後、pH7.4に調整し、1,000mLにメスアップした。
・PBS-T: ×10 PBS 200mLに純水1,800mLを加え、pH 7.4であることを確認した後、Tween20を1mL加えてよく撹拌した。
・1% Protamine sulfate: 純水70mLに対して硫酸プロタミン0.7gを加えよく撹拌した。
Citrate-phosphate buffer(pH5.0):クエン酸一水和物5.10g、Na2HPO4 7.29gを純水約800mLに溶かした後、pHを5.0に調整し、1,000mLにメスアップした。
基質溶液: Citrate-phosphate buffer(pH5.0)10mLに、o-phenylene diamine・2HCl 4mg、H2O2(30%) 2μLを溶かした(遮光して直前に調製)。

0064

B.抗体 (6-4PP用)
・一次抗体:64M-5(本発明者ら作製) 1,000倍希釈
・二次抗体:Goat Anti-MouseIgGHuman ads-BIOT(サザンバイオテクノロジー社製) 1,000倍希釈
・三次試薬:HRP-streptavidin(KPL社製) 10,000倍希釈

0065

C.ELISA法
C-1.細胞の回収凍結
60mmディッシュにHeLa細胞を植え込み、各化合物を処理して所定の時間処理した後、UV-C 20J/m2を照射して、各時間37℃でインキュベートした。その後、PBS(-)で2回洗浄し、PBS(-) 1mLを加えた後、セルスクレーパー(Nalge Nunc社製)で細胞をかき集めてマイクロチューブに移した。Centrifuge 5415R (Eppendorf社製)で5,000rpm、1分間の遠心を行い、上清除去後、PBS(-) 200μLを加えてピペッティングし、細胞をほぐした。ドライアイス急速冷凍し、-80℃で凍結保存した。

0066

C-2. DNA抽出と濃度測定
凍結保存しておいた細胞を取り出して解凍した後、Proteinase K、RNaseA及びGeno Plus Genomic DNA Extraction Miniprep System(VIOGENE社製)を用いて添付プロトコルに従い、ゲノムDNAを抽出、精製した。UV-160A分光光度計(島津製作所社製)で260nmの吸光度を測定してDNA濃度を算出した。

0067

C-3.酵素標識免疫測定法(ELISA)
96穴ポリ塩化ビニル製マイクロプレート(Thermo Labsystems社製)に1%硫酸プロタミン水溶液50μLを加えて、37℃で2時間インキュベートし、DNAを効率よく吸着させるための前コーティングを行った。純水100μLで5回洗浄した後、乾燥させて使用まで室温で保存した。
加熱と急冷により一本鎖にしたDNA溶液50μL(200ng)を各ウェルに加えて、45℃で一晩インキュベートしてDNAをウェルの底に吸着させた(1サンプルにつき3ウェル使用)。PBS-T 150μLで5回洗浄後、2%仔牛血清溶液150μLを加え、37℃で90分間インキュベートすることにより抗体の非特異的吸着部位をブロックした。同様に洗浄した後、一次抗体100μLを加え、37℃で90分間反応させた。同様の洗浄後、二次抗体100μLを加え、37℃で90分間反応させた。さらに同様の洗浄後、三次試薬100μLを加え、37℃で90分間反応させた。PBS-T 150μLで3回、Citrate-phosphate buffer 150μLで2回洗浄後、基質溶液を100μL加えて37℃で30分間インキュベートすることにより発色反応を行い、2M H2SO4 50μLを加えて反応を停止させた。最後にSPECTRAFLUORPLUS(Tecan社製)により各ウェルの発色度(485nm)を測定した。

0068

D.測定結果
その結果を、図2(B)に示す。一連スクリーニング結果と、ELISAの結果(同図)とから、サンプル1(パツリン)が細胞内NER反応を阻害していることが示された。

0069

(4.局所紫外線照射後の蛍光免疫染色)
サンプル1(パツリン)がどのNER因子に影響を及ぼすことでNERを阻害しているか調べるため、紫外線局所照射後の蛍光免疫染色により各NER因子の損傷部位への集積を観察した。

0070

A.試薬の調製
・0.5% TritonX-100: TritonX-100 500μLを10mMPBS100mLに溶かした。

0071

B.抗体
(XPC用
・一次抗体:α-XPC(Sigma社製) 200倍希釈
・二次抗体:Alexa Fluor 488 goat anti-rabbitIgGconjugate(Molecular Probes社製) 200倍希釈
(DDB2用)
・一次抗体:DDB2 2246C4a(Santa Cruz Biotechnology社製) 100倍希釈
・二次抗体:Alexa Fluor 488 goat anti-mouse IgG conjugate(Molecular Probes社製) 200倍希釈
(XPB用)
・一次抗体:TFIIH p89 Antibody (S-19)(Santa Cruz Biotechnology社製) 100倍希釈
・二次抗体:Alexa Fluor 488 goat anti-rabbit IgG conjugate(Molecular Probes 社製) 200倍希釈
(CPD用)
・一次抗体:TDM-2(本発明者製) 100倍希釈
・二次抗体:Alexa Fluor 594 goat anti-mouse IgG conjugate(Molecular Probes社製) 200倍希釈

0072

C.蛍光免疫染色方法
C-1.局所紫外線照射
35mmガラスボトムカルチャーディッシュ(IWAKI社製)に培養した各種ヒト細胞を2mLのPBS(-)で2回洗浄した後、孔径5μmのアイポアメンブレンフィルター(Millipore社製)を被せ、紫外線照射装置(殺菌灯:GL-10(東社製))を用いて254nmの紫外線を100J/m2照射した。フィルターはその後、PBS(-)を加えて取り除き、再び培養液を加えて各時間培養した。紫外線線量率紫外線強度計(トプコンテクノハウス社製)にて0.80J/m2・secに調整した。

0073

C-2.蛍光免疫染色
局所紫外線照射後、各時間インキュベートした細胞をPBS(-)で洗浄し、1mLの4%ホルマリン中性緩衝液(和光純薬社製)を加え、室温で15分間インキュベートすることにより細胞を固定した。その後、10mM PBS(pH7.4) 1mLで2回洗浄後、上にて0.5% TritonX-100を加えて5分間インキュベートした。同様の洗浄後、最終濃度が20%となるようにFBSを混合した10mM PBS 1mLを加え、37℃で30分間処理することで抗体の非特異的吸着部位をブロックした。その後、同様に2回洗浄して一次抗体を100 mL加え、37℃で30分間インキュベートした。洗浄後、二次抗体を100 mL加えて37℃で30分間インキュベートした。さらに、洗浄後300nM DAPI(4’,6-diamidino-2-phenyliodole,dihydrochloride)(Molecular probes)溶液(in 10mM PBS(pH7.4))を150mL加え、室温で5分間インキュベートすることにより核の対比染色を行なった。洗浄後、グリセリン滴下し、カバーグラスを被せて封入した。観察はオールインワン蛍光顕微鏡BZ9000(KEYENCE社製)を使用した。

0074

C-3. XPBとシクロブタン型ピリミジンダイマーの二重染色
C-2に従ってXPBの染色を行った後、同様の洗浄を行い、再度2%ホルマリン中性緩衝液1mLで固定した。その後、2M HCl処理によるDNA変性を行った後、CPDの染色を行った。

0075

D.染色結果
NERの上流が阻害されるとNERの下流も止まるため、まずNER上流の代表的な因子であるXPC、DDB2の集積を見た。
まず、HeLa細胞にサンプル1(パツリン)を1時間前処理し、局所紫外線照射後、15分間あるいは60分間培養した後のXPC及びDDB2の損傷部位への集積を調べた。その結果、未処理細胞では照射後15分後にはいずれのNER因子でも局所集積が見られ、60分後には集積は見られなくなった一方、サンプル1(パツリン)処理細胞では60分後でも両NER因子とも損傷部位への集積が残っていた(図3参照)。
次に、サンプル1(パツリン)がTFIIH複合体のXPBサブユニットの損傷部位への集積に影響を及ぼしているか調べるために照射後15分後において、CPDに対するTDM-2抗体との二重染色を行ったところ、サンプル1(パツリン)処理細胞でもCPDは生成されたが、XPBの集積は全く見られなかった。これらの結果から、サンプル1(パツリン)を処理すると、損傷部位にXPBが集積しないことが示された(図4参照)。

0076

(5.NER因子の細胞内レベルの解析
ウェスタンブロッティングにより、サンプル1(パツリン)処理時におけるNER因子の細胞内レベルを、タンパク質発現量により解析した。

0077

A.試薬の調製
細胞溶解緩衝液(SDS-PAGE Sample buffer): Sample Buffer Solution without Reducing Reagent (6x) for SDS-PAGE(ナカライテスク社製)と2-mercaptoethanol、超純水を9:1:20の割合で混合した。使用する直前に必要量採取し、complete Mini(EDTA-free社製)プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche社製) 1/25量を加えて用いた。
・10%APS過硫酸アンモニウム100mgを超純水1mLに溶解した。
・0.5M Tris-HCl(pH6.8):トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン6.1gを超純水約60mLに溶解した後、2M HClでpH6.8に調整し、超純水で100mLにメスアップした。
・1.5 M Tris-HCl (pH 8.8): トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン18.2gを超純水約60mLに溶解した後、2M HClでpH8.8に調整し、超純水で100mLにメスアップした。
分子量マーカー: Precision Plus Protein Kaleidoscope Color Standards(Bio-rad)を必要量用いた。
・SDS-PAGE Sample buffer (2x): Sample Buffer Solution without Reducing Reagent (6x) for SDS-PAGE(ナカライテスク社製)と2-mercaptoethanol、超純水を9:1:20の割合で混合した。
泳動用緩衝液: Running Buffer Solution (10×) for SDS-PAGE, Tris-Glycine(ナカライテスク社製)を超純水で10倍に希釈した。
転写用緩衝液: Glycine 28.8gとトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 6.0g、メタノール200mLを超純水約600mLに溶かした後、超純水で2,000mLにメスアップした。
・ブロッキング液:スキムミルク(森永乳業社製)を0.5%になるようにPBS-Tで溶解した。
発光基質溶液: Immobilon Western (Millipore社製; 内容:HRP Substrate Peroxide Solution、HRP Substrate Luminol Reagent各液を当量ずつ加えて混合した後、使用した(用時調製))。

0078

B.抗体(抗体溶液:各特異抗体をブロッキング液で希釈し、以下の組み合わせで用いた。)
(XPC用)
・一次抗体:α-XPC(Sigma社製) 3,000倍希釈
・二次抗体:Stabilized Goat Anti-RabbitIgG, (H+L), Peroxidase Conjugated(Invitrogen社製) 5,000倍希釈
(DDB1用)
・一次抗体:α-DDB1(本発明者ら作製) 1,000倍希釈
・二次抗体:Anti-mouse IgG, HRP-linked Antibody(Cell Signalin製) 6,000倍希釈
(DDB2用(モノクローナル抗体))
・一次抗体:DDB2 2246C4a(Santa Cruz Biotechnology社製) 3,000倍希釈
・二次抗体:Anti-mouse IgG, HRP-linked Antibody(Cell Signaling社製) 5,000倍希釈
(DDB2用(ホ゜リクローナル抗体))
一次抗体:DDB2 (R&D社製) 1,000倍希釈
二次抗体:Donkey anti-Goat IgG (H+L) Secondary Antibody, HRP (Invitrogen社製) 3,000倍希釈
(PCNA用)
・一次抗体:PCNA (Ab-1)(Merck社製) 5,000倍希釈
・二次抗体:Anti-mouse IgG, HRP-linked Antibody(Cell Signaling社製) 10,000倍希釈
(RPA用)
・一次抗体:α-RPA(本発明者ら作製) 5,000倍希釈
・二次抗体:Anti-mouse IgG, HRP-linked Antibody(Cell Signaling社製) 6,000倍希釈
(GAPDH用)
・一次抗体:α-GAPDH (22A101) mouse mAb(本発明者ら作製) 6,000 倍希釈
・二次抗体:Anti-mouse IgG, HRP-linked Antibody(Cell Signaling社製) 6,000倍希釈

0079

C.ウェスタンブロッティング方法
C-1.細胞溶解液の作製
35mmプラスチックデッシュ中の細胞に化合物を処理し、所定の時間処理した後、冷PBS(-) 1mLで2回洗浄した。細胞溶解用緩衝液を50μL加え、セルスクレーパー(Nalge Numc社製)で細胞溶解液をかきとり、マイクロチューブに回収してドライアイスで急速凍結した後、-80℃で保存した。

0080

C-2.ソニケーション
BIORUPTOR(COSMO BIO社製)を用いて超音波によりヒストン高次構造破壊した後、サンプルを4℃で15分間遠心し、上清を回収してドライアイスで急速凍結した後、-80℃で保存した。

0081

C-3.タンパク質濃度の測定(Bradford法)
超純水で5倍希釈したProtein Assay Dye Reagent(Bio-rad社製) 1mLにProtein Assay Standard I(2mg/mL)(Bio-rad社製)を0、5、10、15μg/mLになるように加えた(検量線作成)。サンプルは適量を加えて室温で10〜15分間静置した後、UV-160A分光光度計(島津製作所社製)で595nmの吸光度を測定し、比色定量によりタンパク質濃度を算出した。

0082

C-4.ポリアクリルアミドゲルの作製
分離ゲル(8.0%):超純水2,300μLと30(w/v)%アクリルアミド/ビス混合液(29:1)(ナカライテスク社製) 1,300μL、1.5M Tris-HCl(pH8.8) 1,300μL、10% SDS 50μLを混合し、10%APS40μLとTEMED(Invitrogen社製) 4.0μLを加えて重合させた。
濃縮ゲル(4.0%): 超純水1,220μLと30(w/v)% アクリルアミド/ビス混合液(29:1)(ナカライテスク社製) 260μL、1.5M Tris-HCl(pH8.8) 500μL、10% SDS 20μLを混合し、10% APS 20μLとTEMED (Invitrogen社製) 2μLを加えて濃縮ゲル上に注ぎ入れ、コームを挿入して重合させた。

0083

C-5.サンプルの調製と電気泳動
サンプル溶液に等量以上のSDS-PAGE Sample buffer(2x)を加えてサンプルの液量をそろえ、100℃で3分間熱変性処理を行なった。ポリアクリルアミドゲルをMini-PROTEN II Cell電気泳動装置(Bio-rad社製)に装着し、泳動用緩衝液を注いでウェルを洗浄後、各サンプルをアプライした。電気泳動装置をmyPower II500(アトー社製)に接続し、定電圧200Vで30〜40分間通電して泳動させた。

0084

C-6.タンパク質メンブレンへの転写
泳動装置からゲルを外し、分離ゲルのみを転写用緩衝液に浸して10分間bufferの交換を行なった。別の容器に転写用緩衝液を加え、ゲルと同じサイズの転写用メンブレン Immobilon-P(日本ミリポア社製)1枚と濾紙(アトー社製)8枚を浸した。Trans-Blot Turbo(Bio-rad社製)の下部電極板状に転写用緩衝液をかけながら下から濾紙3枚、メンブレン、ゲル、濾紙3枚の順に気泡が入らないように重ねて、ゲル1cm2あたり2mAの定電流で30分間通電した。

0085

C-7.ブロッキングと抗体反応
転写終了後、メンブレンを必要に応じて切断し、ブロッキング液中で振盪しながら室温で60分間インキュベートした。次に、ブロッキング液を交換して一次抗体を加えて振盪しながら1時間、又は4℃で一晩反応させた。その後、PBS-Tで3分間3回洗浄し、ブロッキング液に浸した後に二次抗体を加えて室温で30分間反応させた。メンブレンを先ほどと同様にPBS-Tで洗浄し、さらに10mM PBS (pH7.4)で3分間2回洗浄した後、用時調製した発光基質溶液をメンブランに添加して5分間反応させ、LAS-4000 (富士フィルム社製)にて検出した。

0086

D.ウェスタンブロッティング結果
図5は、HeLa細胞にサンプル1(パツリン)(90μM)を各時間処理し、SDS sample bufferで細胞溶解液を調製して、ウェスタンブロッティングを行い、定量後の各NER因子の相対量はGAPDHで補正した結果である。DDB1、XPC、RPA、PCNA、GAPDHは処理後60分でも変化が認められなかった。

0087

(6.プロテアソームリソソームによる分解系の解析)
サンプル1(パツリン)によるDDB2の減少がユビキチンプロテアソーム系を介した分解であるか調べるため、プロテアソーム阻害剤MG-132併用後としたこと以外は、同様にして、DDB2レベルの変動を見たところ、DDB2の減少は抑制されず、プロテアソーム非依存的であるとわかった(不図示)。そこで、PatulinによるDDB2の減少がリソソームによる分解系であるか調べるため、リソソーム阻害剤であるChloroquine併用後のDDB2レベルの変動を見たところ、ChloroquineでDDB2の減少は抑制されなかった(不図示)。この結果から、DDB2がプロテアソーム、リソソームによって分解される系ではない。

0088

(7.モノクローナル抗体/ポリクローナル抗体によるDDB2レベルの変動の解析)
Santa Cruz Biotechnology社製のDDB2抗体はN末抗原として作製されたモノクローナル抗体(MoAb)であったため、R&D社製の全長を抗原として作製されたポリクローナル抗体(PoAb)を用い、同様にして、比較を行った。図6(A)は、HeLa細胞にサンプル1(パツリン)(90μM)を各時間処理し、SDS sample bufferで細胞溶解液を調製して、ウェスタンブロッティングを行い、定量後の各NER因子の相対量はGAPDHで補正したものである。その結果、Santa Cruz Biotechnology社製のモノクローナル抗体であるDDB2抗体では、サンプル1(パツリン)処理時に細胞内のDDB2レベルが顕著に減少していたが、R&D社製のホ゜リクローナル抗体であるDDB2抗体では細胞内のDDB2レベルに変化が見られなかった(図6(A)参照)。そこで、各種欠失型DDB2を発現するプラスミドトランスフェクションして2種類の抗体の認識部位を調べたところ、図6(C)に示すように各抗体は異なる認識部位を持つことがわかった。一方、XPCレベルに変化が見られなかった(図6(B)参照)。

0089

(8.パツリン除去後の細胞内DDB2レベルの変動)
XPBを分解し、NERを抑制することが報告されているスピロノラクトン(SP)を前処理後、SPを除去して4時間あるいは8時間後にXPBの細胞内レベルが回復することがわかっていたことから、Patulinにおいても、除去後の細胞内DDB2レベルが変動するか調べた。サンプル1(パツリン)を90μM、1時間前処理し、除去後、4、8、24時間培養したところ、Santa Cruz Biotechnology社製のDDB2抗体では、パツリン除去後24時間経過しても細胞内DDB2レベルは回復しなかった一方、R&D社製のDDB2抗体では、細胞内のDDB2レベルに変化が見られず、バンドが上下に伸びていた(図7参照)。

0090

(9.DDB2一過性過剰発現時のPatulin処理後のDDB2の変動)
N末にFLAGタグのついたp3×Flag-CMV-10 Flag-DDB2(WT)をトランスフェクションし、サンプル1(パツリン)処理後のDDB2レベルの変動を調べた。その結果、パツリンを処理すると、Santa Cruz Biotechnology社製のDDB2抗体(MoAb)では外来DDB2も内在と同じく減少した一方で、R&D社製のDDB2抗体(PoAb)では内在と同様に顕著な減少は見られず、むしろ内在とともにバンドがやや上にシフトする傾向が見られた。

0091

これらの結果から、パツリンを処理すると細胞内のDDB2レベルが顕著に低下することが示されたが、認識部位の異なるDDB2抗体を用いることにより、パツリンを処理しても細胞内のDDB2レベルは変化しないことが分かった。これまでのSanta Cruz Biotechnology社製のDDB2抗体は、DDB2のN末を抗原とし、DDB2の1〜79(図6(C)参照)の範囲が認識に必要であり、R&D社製のDDB2抗体はDDB2の全長を抗原とし、DDB2の主に80〜211(図6(C)参照)の範囲が認識に必要であることから、パツリンがDDB2のN末の1〜79に何らかの影響を与えることにより、Santa Cruz Biotechnology社製の抗体では認識できないようになっていると推察される。また、パツリンを処理すると、バンドが上下に伸びているのが見られたことから、DDB2のN末を修飾している可能性があると推察される。

0092

[実施例2−1]
(1.細胞培養)
A.細胞
HeLa細胞(ヒト子宮頸がん由来細胞)、XP2YOSV(XP-F患者由来線維芽細胞)を用いた。

0093

B.試薬の調製
・培養液: D-MEM(高グルコース)(和光純薬社製)500mLに、ゲンタマイシン(Sigma社製)500μL(終濃度50μg/mL)、牛胎児血清(FBS)(Sigma社製)56mLを加えて調製した。
・PBS(-): 10x D-PBS(-)(和光純薬社製)を超純水で10倍希釈した後、オートクレーブで滅菌した。
・トリプシン:Trypsin 10x Solution(和光純薬社製)4mLをPBS(-)96mLで希釈した。

0094

C.培養方法
細胞を培養している100mmプラスティックディッシュ(Nalge Nunc社製)から培地を吸引し、PBS(-)5mLで2回洗浄後、トリプシン4mLで細胞を剥がした。培養液を10mL加え、懸濁して細胞浮遊液を集めた。適度な濃度に希釈した後、新しい90mmディッシュに植え込み、37℃、5%CO2インキュベーター内で培養した。

0095

(2.ヌクレオチド除去修復阻害化合物の一次スクリーニング(その2))
A.スクリーニング
本出願人が金沢大学がん進展制御研究所で所有する天然化合物ライブラリーの内、約500サンプルについて、ヌクレオチド除去修復阻害活性を有する化合物のスクリーニングM-CINUPを行った。
B.試薬の調製、C.抗体(前記同様)

0096

D.方法(M-CINUP)
96穴マイクロウェルプレート(Nunc社製)にHeLa細胞を植え込み(3×104cells/well)、2日間培養してコンフルエントにした。各化合物を処理し所定の時間処理した後、各ウェルの培地を吸引して、100μLのPBS(-)で2回洗浄し、UV-C 20J/m2相当のUV-Bをプレートの底から照射した(照射しないサンプルは黒のビニールテープで遮光した)。照射直後あるいは照射1時間又は2時間後に、予め-20℃で冷却しておいたメタノールを各ウェルに100μLずつ加えて室温で10分間インキュベートすることにより細胞を固定した。各ウェルを10mM PBS 100μLと超純水100μLで1回ずつ洗浄した後、2M HCl 100μLずつ加えて室温で30分間インキュベートしてDNAを変性させた。10mM PBS 150μLで3回洗浄後、1%スキムミルク溶液を150μLずつ加えて37℃で30分間インキュベートすることによりブロッキングした。10mM PBS 150μLで3回洗浄後、1次抗体溶液を40μLずつ加えて37℃で1時間インキュベートした。同様の洗浄後、ビオチンで標識された2次抗体溶液を40μLずつ加えて37℃で30分間インキュベートした。さらに同様の洗浄後、ストレプトアビジン蛍光色素結合物であるIRDye 800CW Streptavidinと細胞数標準化試薬Sapphire 700を調製した溶液を各ウェルに40μLずつ加えて37℃で30分間インキュベートした。同様の洗浄後、赤外線イメージアナライザーオデッセイ(エムエステクノシステムズ社製)を用いて680nm及び780nmで励起し、蛍光を測定した。6-4PP量を表す780nmの蛍光の値は、ウェル内の細胞量を表す680nmの値で補正し、紫外線未照射時の値(バックグラウンド)を引き、紫外線照射直後のDMSO(コントロール)の値を100%としたときの相対的な値を、残存6-4PP量として算出し、NER阻害活性又は促進活性を評価した。
また、NER阻害活性が既に知られているA6(20μg/mL)、スピロノラクトン(SP)(20μM)を、ポジティブコントロールとして用いた。

0097

E.ライブラリーでの一次及び二次スクリーニング測定結果
(A)一次スクリーニングの結果は以下の通りである。HeLa細胞に各化合物を10μg/mL、A6を20μg/mL又はスピロノラクトン(SP)を20μMで6時間前処理し、紫外線を照射した後、2時間同じ濃度の薬剤存在下で培養して固定した。DMSO処理サンプルの紫外線照射直後の損傷量を100%とし、相対値を求めた。NER阻害活性の高かったサンプル2は、40%であるものとして、見出された。サンプル2は、下記化学式(7)で示されるシコニン(Shikonin)として、既に同定されているものであった。その理化学的構造解析データは、市販品と同じであり、この構造を支持するものであった。サンプル2(シコニン)は、天然から抽出され精製されたものであってもよく、合成されたものであってもよく、及び/又はShigma-Aldrich社などからの市販のものであってもよい。



(B) 二次スクリーニングの結果は以下の通りである。HeLa細胞に各化合物を10及び20μg/mL、A6を20μg/mL又はスピロノラクトン(SP)を20μMで6時間前処理し、紫外線を照射した後、2時間同じ濃度の薬剤存在下で培養して固定した。DMSO処理サンプルの紫外線照射直後の損傷量を100%とし、相対値を求めた。サンプル2は、6-4PP残存率が、20μg/mlで50%であり、10μg/mlで20%であり、濃度依存的なNER阻害活性をもつものとしてスクリーニングされた。

0098

D.市販品での測定結果
市販のシコニン(Cayman Chemical社製)を購入し、先のスクリーニングで見られたNER阻害活性が同様に見られるのか、M-CINUP法を用いて検討した。化合物処理濃度を20〜60μMで振り、スクリーニング時と同様に6時間前処理を行い、紫外線照射2時間後の残存6-4PP率を評価した(図9参照)。前処理時間の必要性を検討するために従来の6時間の他に1時間、さらに前処理なしで紫外線照射後の培養時のみシコニンを添加の条件を追加して実験を行った。その結果、シコニンは1時間という短い前処理時間でも6時間の時と同様に濃度依存的な高いNER阻害を示し、前処理なしでもある程度の効果があることが分かった(図9参照))。

0099

(3.酵素標識免疫測定法(ELISA)を用いた6-4PPの検出)
より高い精度でNER活性を測定することができるELISA法を用いて、シコニンのNER阻害活性を評価した。
A.使用した細胞
HeLa(ヒト子宮頸部癌由来細胞)を用いた。
B.試薬の調製、C.抗体(前記同様)

0100

C.サンプルの調製
回収当日に細胞密度が80%程度になるように60mmディッシュ(Nunc社製)に細胞を植え込み、2日間培養した。回収当日、化合物又はDMSOで処理し、37℃でインキュベートした後、UV-Cを10J/m2照射した。培地を戻し、各時間37℃でインキュベートしてから細胞を回収した。細胞は、PBS(-) 1mLで2回洗浄し、セルスクレイパーでかき集め回収した。マイクロチューブに移した細胞懸濁液を5,000rpmで1分間遠心し、上清を捨てた後、PBS(-) 200μLで再懸濁し、ドライアイス中で急速凍結して-80℃に保存した。
すべてのサンプルが揃った段階で凍結したサンプルを解凍し、Geno Plus Genomic DNA Extraction Miniprep System(Viogene社製)を用いて添付のプロトコルに従い、ゲノムDNAを抽出、精製した。得られたDNA溶液は、10倍に希釈し、UV-160A分光光度計(島津製作所)で260nmの吸光度を測定してDNA濃度を測定した。

0101

D.ELISA法
ポリ塩化ビニル製96wellマイクロプレート(Dynatech社製)に1%硫酸プロタミン溶液を1wellあたり50μLずつ加え、37℃で2時間インキュベートした後、純水150μLで3回洗浄し、乾燥させた(使用まで常温保存)。抽出したゲノムDNAを1wellあたり200ngとなるように10mMPBSで調製し、100℃で10分間加熱後、氷中で15分間冷却することによりDNAを一本鎖化した。各ウェルにサンプルを50μLずつ加えて45℃で一晩インキュベートしDNAを固定化した。PBS-T 150μLで5回洗浄後、2% FBS溶液150μLを加え、37℃で90分間インキュベートすることによりブロッキングした。同様に洗浄した後、一次抗体溶液100 μLを加え、37℃で90分間反応させた。同様の洗浄後、ビオチンで標識された二次抗体溶液100μLを加え、37℃で90分間反応させた。さらに同様の洗浄後、三次試薬100μLを加え、37℃で90分間反応させた。PBS-T 150μLで3回、Citrate-phosphate buffer 150μLで2回洗浄後、基質溶液を100μL加えて遮光しながら37℃で30分インキュベートすることにより発色反応を行い、2M H2SO4 50μLを加えて反応を停止させた。最後に、SPECTRAFLUORPLUS(Tecan社製)で485nmの吸光度を測定した。

0102

E.測定結果
その結果を、図10に示す。図10は、HeLa細胞にシコニンを40μM又は溶媒のDMSOでHeLa細胞に1時間前処理し、紫外線照射後、1時間又は2時間同じ濃度の薬剤存在下で培養して細胞を回収し、DNA抽出を行い、アッセイした。化合物未処理細胞の紫外線照射直後の損傷量を100%とし、相対値を求めた。3回の実験の平均値と、標準偏差プロットしたものである。図10から明らかな通り、サンプル2(シコニン)では、紫外線照射2時間後でもほとんどの6-4PPが残存しており、顕著な細胞内NER阻害を確認できた。

0103

(4.紫外線局所照射及び蛍光免疫染色法
A.使用した細胞
HeLa(ヒト子宮頸部癌由来細胞)、XP2YOSV(XP-F患者由来細胞)を用いた。

0104

B.試薬の調製
・0.5% Triton X-100: 10mMPBS100mLに、Trion X-100(和光純薬社製)を500μL加え攪拌した。
・20% FBS: 10mM PBSにFBSを加え20%になるよう調製した。
・300nM DAPI: 10mM PBSに100μM DAPI溶液を加え300nMになるよう調製した。

0105

C.各因子の固定法及び抗体の希釈倍率
・XPC
一次抗体:Anti-XPC antibody produced in rabbit(Sigma社製) 200倍希釈
二次抗体:Alexa Fluor 488 goat anti-rabbit polyclonalIgG(Invitrogen社製) 200倍希釈
・XPB
一次抗体:TFIIH p89 rabbit polyclonal IgG(Santa Cruz社製) 200倍希釈
二次抗体:Alexa Fluor 488 goat anti-rabbit polyclonal IgG(Invitrogen社製) 200倍希釈
・DDB2
一次抗体:DDB2 (2246C4a) mouse monoclonal IgG(Santa Cruz社製) 100倍希釈
二次抗体:Alexa Fluor 488 goat anti-mouse monoclonal IgG(Invitrogen社製) 200倍希釈
一次抗体:XPE/DDB2 antibody(R&D社製) 100倍希釈
二次抗体:Alexa Fluor 488 chicken anti-goat IgG(Invitrogen社製) 200倍希釈
・CPD
一次抗体:TDM-2(本発明者ら作製) 100倍希釈
二次抗体:Alexa Fluor 4594 goat anti-mouse IgG (H+L)(Invitrogen社製) 200倍希釈

0106

D.紫外線局所照射
各種ヒト細胞を35mmガラスボトムディッシュ(IWAKI社製)に植えこんで一晩培養した。薬剤処理を行った後、PBS(-)で2回洗浄し、5μm径のアイソポアメンブレンフィルター(Millipore社製)を細胞の上においてUV-Cを100J/m2照射した。フィルターを取り除いた後、再び培養液を加えて各時間培養した。

0107

E.各種NER因子の蛍光免疫染色
紫外線局所照射後、各時間インキュベートした細胞をPBS(-)で2回洗浄し、1mLの4%ホルムアルデヒドを加えて15分間室温んでインキュベートすることにより細胞を固定した。10mM PBS(pH7.4)で2回洗浄後、1mLの0.5% Trion X-100(10mM PBSで希釈)を加えて氷上で5分間インキュベートした。同様の洗浄後、1mLの20% FBSを加えて37℃で30分間インキュベートすることにより抗体の非特異的結合部位をブロックした。洗浄後、各種一次抗体を100μL加え、37℃で30分間インキュベートした。さらに洗浄後、二次抗体100μLを加え、遮光して37℃で30分間インキュベートした。洗浄後、300nM DAPIを150μL加え、遮光して室温で5分間インキュベートし、核を染色した。洗浄後、グリセリンとカバーガラス(18×24mm)(硝子社製)で封入し、蛍光顕微鏡BZ9000(KEYENCE社製)又は共焦点レーザー顕微鏡LSM700(ZEISS社製)で観察した。

0108

F.XPBとCPDの二重染色
XP2YOSV細胞に局所紫外線照射後、培養液を加えて1時間インキュベートした。上記E.に従って、XPBを一次抗体及び二次抗体で染色した。洗浄後、2%ホルムアルデヒドを1mL加え、室温で15分間再度固定した。洗浄後、純水で軽くすすいでから1mLの2M HClを加え、37℃で5分間インキュベートし、DNAを変性させた。その後、E.と同様にブロッキング、CPDの一次抗体、二次抗体、DAPIで染色し、蛍光顕微鏡で検出した。

0109

G.シコニン処理時のNER関連因子のDNA損傷部位への集積の結果
シコニン処理によるNER阻害が、NERの多段階反応のどのステップで起きているかを調べるために、局所紫外線照射法を用いてNER関連因子のDNA損傷部位への集積を確認することにし、まずNERの初期段階で働くDNA損傷認識因子のXPC及びDDB2に着目した。これらの因子は紫外線局所照射後すぐに損傷部位に集積することが知られており、紫外線照射後1時間では未処理細胞でシグナルが弱まっているのに対し、シコニン処理群では依然強いシグナルが見られた(図12及び13参照)。
次に、XPCやDDB2よりも下流のNER因子で、XPCにより損傷部位にリクルートされるTHIIH複合体のXPBサブユニットの抗体を用いて集積への影響を調べた。XPFを欠損しているXP2YOSV細胞を用い、紫外線局所照射後1時間の時点でXPBとCPDの二重免疫染色を行った結果、未処理細胞と比較して、シコニン処理を行った細胞ではXPBの損傷部位でのシグナルがほとんど見えなかった(図14参照)。
これらの結果から、シコニン処理細胞において、損傷認識に関わるXPC及びDDB2は問題なく損傷部位にリクルートされるが、通常より長く損傷部位に残存し、一方で下流のXPBを含むTFIIH複合体は損傷部位にリクルートされないことが示唆された。

0110

(5.NER因子の細胞内レベルの解析)
ウェスタンブロッティングにより、サンプル2(シコニン)処理時におけるNER因子の細胞内レベルを、解析した。
A.試薬の調製
・10%APS、0.5M Tris-HCl(pH6.8)、1.5 M Tris-HCl(pH 8.8)は、前記同様に調製した。
・分子量マーカー:BLUE Star Prestained Protein-Ladder(Fast Gene社製)、若しくはPrecision Plus ProteinTM KaleidoscopeTM(Bio-rad社製)を必要量用いた。
・SDS-PAGE Sample buffer (2×): Sample Buffer Solution without Reducing Reagent (6×) for SDS-PAGE(ナカライテスク社製)を超純水で3倍希釈したところに、2-mercaptoethanolを19:1となるように加えた。また、各種阻害剤を、Complete Inhibitor (20倍希釈)又はProtease Inhibitor (100倍希釈)の希釈倍率になるように適宜加えた。
・泳動用緩衝液: Running Buffer Solution (10×) for SDS-PAGE, tris-Glycine(ナカライテスク社製)を超純水で10倍希釈した。
・転写用緩衝液: Glycine 28.8 g、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン6.0g、メタノール200mLを超純水約600mLに溶かした後、超純水で2,000mLにメスアップした。
・10×PBS: Na2HPO4 11.5gとNaH2PO4・H2O 2.96g、NaCl 81.8gを超純水約800mLに溶解してpH7.4に調製後、超純水で1,000mLにメスアップした。
・PBS-T: 10×PBS 200 mLに超純水1800mLを加えpH7.4に調製後、Tween20(Sigma社製)を1mL加えて撹拌した。
・ブロッキング液:スキムミルク(森永乳業社製)を0.5 %になるようにPBS-Tで溶解した。
・基質溶液(Immobilon Western (Millipore))は、HRP Substrate Peroxide Solution、HRP Substrate Luminol Reagentの各液を等量ずつ加えてよく混合してから使用した(用時調製)。

0111

B.薬剤処理とUV-C照射
35mmディッシュ(Nunc社製)に、回収当日に細胞密度が8割程度になるようHeLa細胞を植えこみ、2日間培養した。培養後、化合物処理を行い、培地を戻して、37℃で各時間インキュベートした。

0112

C.細胞溶解液の作製
ディッシュ中の細胞を氷冷PBS(-) 1mLで2回洗浄後、SDS sample buffer (×2)をディッシュに50μL加えた。セルスクレーパー(Nunc社製)で細胞をかきとり、マイクロチューブに回収してすぐにドライアイスで急速凍結したのち、-80℃で一晩以上置いた。翌日以降、解凍したサンプルを超音波破砕機 BIORUPTOR(UCD-250HSA,コスモバイオ社製)を用いて30秒インターバルで4分30秒間を3回以上繰り返し、細胞を破砕した。その後、4℃、13,200rpmで15分間遠心して回収した上清をドライアイスで急速凍結した後、-80℃で保存した。

0113

D.タンパク質濃度の測定(Bradford法)
超純水で5倍希釈したProtein Assay Dye Reagent(Bio-rad社製) 1mLにProtein Assay Standard I(2mg/mL)(Bio-rad社製)を0,5,10,15μg/mLになるように加えた(検量線用)。サンプルは適量を加えて、紫外線可視分光光度計BioSpec-mini (島津製作所社製)で595nmの吸光度を測定し、比色定量によりタンパク質濃度を算出した。

0114

E.ポリアクリルアミドゲルの作製
・分離ゲル
10%用として超純水1,900μLと30(w/v)%アクリルアミド/ビス混合液(29:1)(ナカライテスク社製)1,700μL、1.5M Tris-HCl(pH8.8) 1,300μLに10% SDS(Invitrogen社製)を混合し、10%APS50μLとTEMED(Invitrogen社製)4.0μLを加えて重合させた。8%用として、超純水2,600μL、アクリルアミド/ビス混合液1,000μLを用いたこと以外は同様にして調製した。
・濃縮ゲル
超純水1220μLと30(w/v)% アクリルアミド/ビス混合液(29:1)(ナカライテスク社製) 260μL、0.5M Tris-HCl(pH8.8) 500μL、10% SDS(Invitrogen社製) 20μLを混合し、10% APS 20μLとTEMED(Invitrogen社製) 2μLを加えて濃縮ゲル上に注ぎ入れ、コームを挿入して重合させた。

0115

F.サンプルの調製と電気泳動
サンプル溶液に等量以上のSDS-PAGE Sample buffer (2×)を加えて液量をそろえ、100℃で3分間熱変性処理を行なった。ポリアクリルアミドゲルをMini-PROTEN電気泳動装置(Bio-rad社製)に装着し、泳動用緩衝液を注いでウェルを洗浄後、各サンプルをアプライした。電気泳動装置Power Pac 200(Bio-rad社製)に接続し、定電圧200Vで約30分間通電して泳動させた。

0116

G.タンパク質のメンブレンへの転写
泳動装置からゲルを外し、分離ゲルのみを転写用緩衝液に浸して15分間バッファー交換を行なった。別の容器に転写用緩衝液を加え、ゲルと同じサイズに切り、予めメタノールに浸した転写用メンブレンImmobilon-P(Millipore社製)1枚と濾紙(アトー社製)6枚を浸した。トランスブロットTurbo(BIO-RAD社製)のカッセットに転写用緩衝液をかけながら下から濾紙3枚、メンブレン、ゲル、濾紙3枚の順に気泡が入らないように重ねて蓋をし、プロトコルに従って1.3A、25Vで30分間通電した。

0117

H.ブロッキングと抗体反応
転写終了後、メンブレンを必要に応じて切断し、ブロッキング液に浸してゆっくり振盪しながら室温で1時間程度インキュベートした。次に、ブロッキング液を交換して一次抗体を加え、ゆっくり振盪しながら室温で約1時間、又は4℃で一晩反応させた。その後、PBS-Tで3分間3回洗浄し、ブロッキング液に浸した後に二次抗体を加えて室温で約30分間反応させた。メンブレンを先ほどと同様にPBS-Tで洗浄し、さらに10mM PBSで3分間2回洗浄した後、用時調製した基質溶液をメンブレンにかけて、約5分間反応させ、透明ポケット(コレクト社製)に挟んで、LAS-4000(富士フィルム社製)で発光を検出した。
また、抗体溶液はブロッキング液で希釈し、以下の組み合わせで用いた。
・XPC
一次抗体:Anti-XPC antibody produced in rabbit(Sigma社製) 3,000倍希釈
二次抗体:HRP-Goat anti-RabbitIgG(H+L)(Invitrogene社製) 6,000倍希釈
・DDB2
一次抗体:DDB2 (2246C4a) mouse monoclonal IgG(Santa Cruz社製) 2,000倍希釈
二次抗体:Anti-mouse IgG, HRP-linked Antibody(Invitrogene社製) 6,000倍希釈
一次抗体:XPE/DDB2 antibody(R&D社製) 4000倍希釈
二次抗体:HRP-Goat anti-Rabbit IgG (H+L)(Invitrogene社製) 6000倍希釈
・PCNA
一次抗体:PCNA (Ab-1)(Santa Cruz社製) 10,000倍希釈
二次抗体:Anti-mouse IgG, HRP-linked Antibody(Invitrogene) 10,000倍希釈
・RPA70
一次抗体:Anti-Replication Protein A (Ab-1) Mouse mAb (RPA70-9)(Calbiochem社製) 5,000倍希釈
二次抗体:Anti-mouse IgG, HRP-linked Antibody(Invitrogene社製) 6,000倍希釈
・GAPDH
一次抗体:α-GAPDH (22A101) mouse mAb(本発明者ら作製) 10,000倍希釈
二次抗体:Anti-mouse IgG, HRP-linked Antibody(Invitrogene社製) 10,000倍希釈

0118

D.ウェスタンブロッティング結果
細胞内レベルの変動を調べたNER因子のうち、XPCとDDB1において緩やかに減少がみられたが、NERの下流で働くRPA70やPCNAでは顕著な変化は見られなかった(図15参照)。
次に、DDB2についてSanta Cruz Biotechnology社製の抗体(MoAb)とR&D社製の抗体(PoAb)の両方で検討したところ、前者の抗体では6時間処理で半分程度までバンドが薄くなり、後者の抗体ではむしろ1.8倍程度までバンド強度が増加した(図16参照)。

0119

[実施例2−2、及び比較例]
シコニンの構造のうち、NER阻害活性に関与する部分を特定するため、いくつかの構造類縁体を用いてNER阻害活性を評価した。シコニンの側鎖のないもので前記化学式(10)で示されるナフタザリン(5,8-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノン;東京化成社製)(実施例2−2)、さらにナフタザリンの2つの水酸基のうち1つがないジュグロン(5-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン;東京化成社製)(比較例)を購入して、試料とした。処理濃度を40μMで1時間の前処理条件でELISAを行った。その結果、ナフタザリンはシコニンよりもやや弱いもののNER阻害活性を示し、一方でジュグロンはNER阻害活性を示さなかった(図11(A)〜(B))。

0120

[シコニン誘導体の構造活性相関
実施例2−1〜2−2の結果から、シコニンのNER阻害活性には、側鎖の構造は重要ではなく、2つの水酸基をもつナフタザリンの構造が必要であると考えられる。

0121

[パツリン誘導体及びシコニン誘導体のNER阻害活性のメカニズム]
実施例1−1及び実施例2−1〜2−2の結果から、図17に示す通り、2種類の化合物のNER阻害作用点は類似しており、どちらもDDB2及びXPCの損傷部位への集積が正常に見られるものの、その後にリクルートされるTFIIH複合体のXPBサブユニットの集積が著しく抑制され、2つの過程の間で異常が起きていると考えられる。相違点は、パツリン誘導体の場合、DDB2のN末領域(1〜79)で何らかの翻訳後修飾が強く示唆されるのに対し、シコニン誘導体ではさほど顕著ではない。また、XPCの一部にも翻訳後修飾が観察されたが、シコニン誘導体ではそれもほとんど見られない。一方、シコニン処理では、XPC及びDDB1/DDB2のバンドがゆっくり減少するのに対し、DDB2のN末を認識する抗体ではむしろ認識性が上昇する現象が見られ、ここでも細胞内レベルの変動というよりも何らかの構造上の変化が示唆される。現時点で、これらの反応とNER阻害作用との関係は不明であるが、XPBを含むTFIIH複合体のリクルートに影響を及ぼしている可能性が推察される。

実施例

0122

このように、パツリンやその誘導体、及びシコニンやその誘導体は、ヌクレオチド除去修復阻害剤の有効成分化合物であることが確かめられた。また、それらで処理した腫瘍細胞は紫外線照射下でヌクレオチド除去修復阻害を示すことから、腫瘍治療の増強剤や抗腫瘍剤として、有用であることが示された。このヌクレオチド除去修復阻害剤は、腫瘍細胞に処理後、培養してもコロニーを生じず、紫外線のような活性エネルギー線による腫瘍治療の増強剤として、また各種抗腫瘍剤の増強剤として、さらにそれ自身が抗腫瘍剤として、治療効果を発現する。

0123

本発明のヌクレオチド除去修復阻害剤は、シスプラチンなどのDNA損傷性抗腫瘍剤のアジュバントのような腫瘍治療の増強剤として、又は合成致死戦略に基づく抗腫瘍剤として利用できる。また、抗DNA損傷抗体と組み合わせて、腫瘍治療の増強剤又は抗腫瘍剤の研究試薬として利用することも可能である。

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