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課題
解決手段
概要
背景
誘電体は、電界を印加した時、内部に分極が発生する物質であって、一般的に、電源ライン電圧を一時的に保持するために、電気を蓄積する役割を行うか、前端回路での直流バイアス電圧を除去し、交流信号電圧のみ後端回路に伝達する役割を行うキャパシタとして用いられ、主に電子機器に使われる。
一般的に、Electronic Industries Association(EIA)規格によれば、誘電体の材料によって、セラミックキャパシタは、Class IとClass IIとに分けられる。Class Iは、温度補償用であって、誘電定数は低いが、誘電損失も低く、よく温度及び電圧による容量変化率が小さく、一定レベルまでの周波数でも安定した特性を示す。Class IIは、温度及び電圧による容量変化率が大きく、誘電損失が大きいが、誘電定数が大きいという特徴を有している。
最近、電子機器が小型化及び軽量化、集積化の趨勢が飛躍的に大きくなることによって、実装密度の向上のために、小型化されたキャパシタの必要が増加し、このために、一般的に高い誘電率のチタン酸バリウムを基盤とした誘電体が研究されている。しかし、チタン酸バリウムは、それ自体としては温度による容量の変化率が大きく、誘電損失が比較的高く、周波数による緩和効果によって、周波数による誘電率安定性が低いという問題点がある。
一般的に、温度による誘電定数の変動を減らすために、チタン酸バリウム以外の酸化物系の添加剤を共に混合するか、初期粒子生成段階で優先的に粒子をコーティングする式でコアシェル構造を形成させるか、高分子有機物質をチタン酸バリウム粒子に連結する方法のような研究が行われている。
誘電体は、電界が印加されれば、交流周波数に合わせて双極子モーメントを配列する。ここで、効率的な誘電体は、熱形態のエネルギー損失を最小化とし、電界エネルギーを双極子配列に寄与することができる誘電体であると言える。そのためには、誘電体が可能な限り低い誘電損失を有すると高い効率を示すことができる。
誘電体は、周波数による誘電緩和効果によって、周波数によって大幅の誘電定数の変動を示す。高周波数帯でも安定した誘電特性を必要とする技術及び電子機器では、このような必要を合わせるために、周波数に無関係に表われる一定の誘電定数の特性を示す誘電体が必要になっている。
概要
低い誘電損失を有する誘電体の製造方法及びそれによって製造される誘電体を提供する。本発明は、温度による誘電特性の変動が狭く、周波数による誘電特性が不変であって、低い誘電損失を有する低誘電損失の周波数不変の誘電体を製造することができる誘電体の製造方法及びそれによって製造される誘電体に関するものである。
目的
本発明は、前述した問題点を解決するためのものであって、低い誘電損失を有する誘電体を製造することができる誘電体の製造方法を提供する
効果
実績
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請求項1
チタン酸バリウム(BaTiO3)の焼成温度よりも低い温度の融点を有するABO3酸化物を製造する段階と、チタン酸バリウムとABO3酸化物とを混合して、下記式1を満足する混合物を得る段階と、混合物をABO3酸化物の融点以上の温度で焼結する段階と、を含み、前記焼結する段階で、ABO3酸化物は、チタン酸バリウムの粒界に流入されて分布されることを特徴とする誘電体の製造方法:[式1](1−x)BaTiO3−xABO3前記式1において、xは、0.01〜0.30である。
請求項2
混合物は、下記式2を満足することを特徴とする請求項1に記載の誘電体の製造方法:[式2](1−x)BaTiO3−xAaBbO3前記式2において、Aは、リチウム(Li)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、及び銀(Ag)からなる群から選択される1つ以上であり、Bは、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、及びタンタル(Ta)からなる群から選択される1つ以上であり、xは、0.05〜0.15であり、aは、0.1〜1であり、bは、0.1〜1である。
請求項3
ABO3酸化物は、K0.5Na0.5NbO3、KNb0.5Ta0.5O3、及びAgNb0.5Ta0.5O3からなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体の製造方法。
請求項4
混合物を得る段階は、チタン酸バリウムとABO3酸化物との混合物にSiO2を添加する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の誘電体の製造方法。
請求項5
前記混合物に添加されるSiO2の含量は、チタン酸バリウムの重量に対して、20重量%以下である請求項4に記載の誘電体の製造方法。
請求項6
焼結する段階は、900〜1300℃の温度で行われることを特徴とする請求項1に記載の誘電体の製造方法。
請求項7
チタン酸バリウム(BaTiO3)とABO3酸化物とを含み、下記式1を満足し、前記ABO3酸化物は、チタン酸バリウムの粒界に分布されていることを特徴とする誘電体:[式1](1−x)BaTiO3−xABO3前記式1において、xは、0.01〜0.30である。
請求項8
誘電体のチタン酸バリウム(BaTiO3)とABO3酸化物は、下記式2を満足することを特徴とする請求項7に記載の誘電体:[式2](1−x)BaTiO3−xAaBbO3前記式2において、Aは、リチウム(Li)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、及び銀(Ag)からなる群から選択される1つ以上であり、Bは、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、及びタンタル(Ta)からなる群から選択される1つ以上であり、xは、0.05〜0.15であり、aは、0.1〜1であり、bは、0.1〜1である。
請求項9
ABO3酸化物は、K0.5Na0.5NbO3、KNb0.5Ta0.5O3、及びAgNb0.5Ta0.5O3からなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする請求項7に記載の誘電体。
請求項10
請求項11
請求項12
ABO3酸化物は、KNb0.5Ta0.5O3であり、前記誘電体は、1MHz以上の周波数領域で比誘電率が400〜1100であることを特徴とする請求項7に記載の誘電体。
請求項13
ABO3酸化物は、AgNb0.5Ta0.5O3であり、前記誘電体は、1MHz以上の周波数領域で比誘電率が600〜1200であることを特徴とする請求項7に記載の誘電体。
技術分野
背景技術
0002
誘電体は、電界を印加した時、内部に分極が発生する物質であって、一般的に、電源ライン電圧を一時的に保持するために、電気を蓄積する役割を行うか、前端回路での直流バイアス電圧を除去し、交流信号電圧のみ後端回路に伝達する役割を行うキャパシタとして用いられ、主に電子機器に使われる。
0003
一般的に、Electronic Industries Association(EIA)規格によれば、誘電体の材料によって、セラミックキャパシタは、Class IとClass IIとに分けられる。Class Iは、温度補償用であって、誘電定数は低いが、誘電損失も低く、よく温度及び電圧による容量変化率が小さく、一定レベルまでの周波数でも安定した特性を示す。Class IIは、温度及び電圧による容量変化率が大きく、誘電損失が大きいが、誘電定数が大きいという特徴を有している。
0004
最近、電子機器が小型化及び軽量化、集積化の趨勢が飛躍的に大きくなることによって、実装密度の向上のために、小型化されたキャパシタの必要が増加し、このために、一般的に高い誘電率のチタン酸バリウムを基盤とした誘電体が研究されている。しかし、チタン酸バリウムは、それ自体としては温度による容量の変化率が大きく、誘電損失が比較的高く、周波数による緩和効果によって、周波数による誘電率安定性が低いという問題点がある。
0005
一般的に、温度による誘電定数の変動を減らすために、チタン酸バリウム以外の酸化物系の添加剤を共に混合するか、初期粒子生成段階で優先的に粒子をコーティングする式でコアシェル構造を形成させるか、高分子有機物質をチタン酸バリウム粒子に連結する方法のような研究が行われている。
0006
誘電体は、電界が印加されれば、交流周波数に合わせて双極子モーメントを配列する。ここで、効率的な誘電体は、熱形態のエネルギー損失を最小化とし、電界エネルギーを双極子配列に寄与することができる誘電体であると言える。そのためには、誘電体が可能な限り低い誘電損失を有すると高い効率を示すことができる。
0007
誘電体は、周波数による誘電緩和効果によって、周波数によって大幅の誘電定数の変動を示す。高周波数帯でも安定した誘電特性を必要とする技術及び電子機器では、このような必要を合わせるために、周波数に無関係に表われる一定の誘電定数の特性を示す誘電体が必要になっている。
先行技術
0008
大韓民国登録特許第10−1905143号
発明が解決しようとする課題
0009
本発明は、前述した問題点を解決するためのものであって、低い誘電損失を有する誘電体を製造することができる誘電体の製造方法を提供することである。
0010
より詳細には、温度による誘電特性の変動が狭く、周波数による誘電特性が不変であって、低い誘電損失を有する低誘電損失の周波数不変の誘電体を製造することができる誘電体の製造方法を提供することである。
0011
さらに、それによって製造される誘電体を提供することである。
課題を解決するための手段
0012
前記目的を果たすために、本発明は、チタン酸バリウム(Barium Titanate、BaTiO3)の焼成温度よりも低い温度の融点を有するABO3酸化物を製造する段階;チタン酸バリウムとABO3酸化物とを混合して、下記式1を満足する混合物を得る段階;及び混合物をABO3酸化物の融点以上の温度で焼結する段階;を含み、前記焼結する段階で、ABO3酸化物は、チタン酸バリウムの粒界に流入されて分布されることを特徴とする誘電体の製造方法を提供する:
0013
[式1]
(1−x)BaTiO3−xABO3
0014
前記式1において、xは、0.01〜0.30である。
0015
また、本発明は、チタン酸バリウム(BaTiO3)とABO3酸化物とを含み、下記式1を満足し、前記ABO3酸化物は、チタン酸バリウムの粒界に非定型性に分布されていることを特徴とする誘電体を提供する:
0016
[式1]
(1−x)BaTiO3−xABO3
0017
前記式1において、xは、0.01〜0.30である。
発明の効果
0018
本発明の誘電体の製造方法によって製造される誘電体は、チタン酸バリウムと前記チタン酸バリウムの焼成温度よりも低い温度の融点を有するABO3酸化物とを混合して作った誘電体であって、高い比誘電率と低い誘電損失とを示し、温度変化による低い誘電率の変化幅を有しうる。
図面の簡単な説明
0021
本発明の実施例による誘電体の製造方法を説明するフローチャートである。
本発明の実施例による誘電体の製造方法を説明するフローチャートである。
本発明の実施例によるチタン酸バリウム及びABO3酸化物粉末の粒子サイズを示す走査電子顕微鏡のイメージである((a)BaTiO3、(b)K0.5Na0.5NbO3、(c)KNb0.5Ta0.5O3、(d)AgNb0.5Ta0.5O3)。
本発明の実施例によって製造された誘電体の微細構造を概略的に示す図面である。
本発明の実施例による90BaTiO3−10ABO3+1wt%SiO2でABO3酸化物ABO3の種類による焼成試片の微細組織を示す走査電子顕微鏡のイメージである((a)90BaTiO3+10KNN+1wt%SiO2、(b)90BaTiO3+10KNT+1wt%SiO2、(c)90BaTiO3+10ANT+1wt%SiO2)。
90BaTiO3−10KNN+1wt%SiO2の試片に対して、当該元素の分布を透過電子顕微鏡を通じるEDSマッピングを活用したイメージである。
90BaTiO3−10KNT+1wt%SiO2の試片に対して、当該元素の分布を透過電子顕微鏡を通じるEDSマッピングを活用したイメージである。
90BaTiO3−10ANT+1wt%SiO2の試片に対して、当該元素の分布を透過電子顕微鏡を通じるEDSマッピングを活用したイメージである。
本発明の実施例による(100−x)BaTiO3−xKNN+1wt%SiO2試片でxの濃度別に測定した周波数による比誘電率と誘電損失値との変化を示すグラフである。
本発明の実施例による90BaTiO3−10KNNでSiO2の含量濃度による試片で測定した周波数による比誘電率と誘電損失値との変化を示すグラフであり、グラフの下記の値は、各試片の常温比抵抗を示す表である。
本発明の実施例による(100−x)BaTiO3−xKNT+1wt%SiO2試片でxの濃度別に測定した周波数による比誘電率と誘電損失値との変化を示すグラフである。
本発明の実施例による90BaTiO3−10KNTでSiO2の含量濃度による試片で測定した周波数による比誘電率と誘電損失値との変化を示すグラフである。
本発明の実施例による(100−x)BaTiO3−xANT+1wt%SiO2試片でxの濃度別に測定した周波数による比誘電率と誘電損失値との変化を示すグラフである。
本発明の実施例による90BaTiO3−10ANTでSiO2の含量濃度による試片で測定した周波数による比誘電率と誘電損失値との変化を示すグラフである。
本発明の実施例による90BaTiO3−10ABO3+1wt%SiO2でABO3酸化物の種類による焼成試片の温度による比誘電率と誘電損失値との変化を示すグラフである。
0022
本発明は、多様な変更を加えることができ、さまざまな実施例を有することができるので、特定実施例を図面に例示し、詳細な説明に詳細に説明する。
0023
しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる、あらゆる変更、均等物または代替物を含むものと理解しなければならない。本発明を説明するに当って、関連した公知技術についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
0025
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在するということを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在、または付加の可能性あらかじめ排除しないものと理解しなければならない。
0026
本発明は、誘電損失を有する誘電体を製造することができる誘電体の製造方法及びそれによって製造される誘電体に関するものである。
0027
特に、本発明による誘電体は、チタン酸バリウムと前記チタン酸バリウムの焼成温度よりも低い温度の融点を有するABO3酸化物とを混合して作った誘電体であって、高い比誘電率と低い誘電損失とを示し、温度変化による低い誘電率の変化幅を有しうる。また、常温比抵抗の場合、1E11 Ohm−cmから最大1E13 Ohm−cm以上を有し、高温領域では、135〜140℃までTCC±15%未満の特性を示すことができる。
0028
さらに、本発明による誘電体は、高い絶縁比抵抗及び優れた温度安定性を有しており、高い温度安定性が要求されるIT製品の受動素子などに適用可能であるという利点がある。
0029
以下、本発明を詳しく説明する。
0031
本発明による誘電体の製造方法は、チタン酸バリウム(BaTiO3)の焼成温度よりも低い温度の融点を有するABO3酸化物を製造する段階(ステップS110);チタン酸バリウムとABO3酸化物とを混合して、下記式1を満足する混合物を得る段階(ステップS120);及び混合物をABO3酸化物の融点以上の温度で焼結する段階(ステップS130);を含み、前記焼結する段階で、ABO3酸化物は、チタン酸バリウムの粒界に流入されて分布されることを特徴とする誘電体の製造方法を提供する:
0032
[式1]
(1−x)BaTiO3−xABO3
0033
前記式1において、xは、0.01〜0.30である。
0034
まず、S110段階を説明する。チタン酸バリウム(粉末)の焼成温度よりも低い温度の融点を有するABO3酸化物を得る段階である。ABO3酸化物は、ABO3構造の酸化物を意味するものであって、特定の態様としてABO3の分子式を有するペロブスカイト構造を有しており、例えば、強誘電体物質を意味する。それを得るためには、A及びBに該当する原料粉末を適当な比で秤量、湿式ミリング、乾燥、粉砕及び篩い分けを行った後、か焼して合成する。ここで、前記ABO3酸化物の融点は、前記チタン酸バリウムの焼成温度よりも低くなければならない。
0035
具体的に、ABO3酸化物は、AaBbO3類型の分子式が誘導され、Aは、リチウム(Li)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、及び銀(Ag)からなる群から選択される1つ以上の元素で構成され、Bは、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、及びタンタル(Ta)からなる群から選択される1つ以上の元素で構成することができる。また、aは、0.1〜1であり、bは、0.1〜1であり得る。
0036
より具体的に、ABO3酸化物は、AaA’(1−a)BbB’(1−b)O3類型の分子式が誘導され、A、A’は、それぞれリチウム(Li)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、及び銀(Ag)からなる群から選択される何れか1つの元素で構成され、B、B’は、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、及びタンタル(Ta)からなる群から選択される何れか1つの元素で構成することができる。また、aは、0.1〜1であり、bは、0.1〜1であり得る。
0037
前記ABO3酸化物は、ABO3構造の酸化物を意味するものであって、例えば、強誘電体物質であり、強誘電体(ferroelectrics)物質は、自発的な電気分極を有し、その自発的分極が電場によって方向を反転することができる結晶を意味する。一具現例として、K0.5Na0.5NbO3、KNb0.5Ta0.5O3、及びAgNb0.5Ta0.5O3からなる群から選択される1つ以上であり、K0.5Na0.5NbO3、KNb0.5Ta0.5O3またはAgNb0.5Ta0.5O3であり得る。
0038
図3は、本発明の実施例によるチタン酸バリウム及びABO3酸化物粉末の粒子サイズを示す走査電子顕微鏡のイメージである((a)BaTiO3、(b)K0.5Na0.5NbO3、(c)KNb0.5Ta0.5O3、(d)AgNb0.5Ta0.5O3)。
0039
特に、本発明の一実施例によるABO3酸化物200として使われるK0.5Na0.5NbO3、KNb0.5Ta0.5O3及びAgNb0.5Ta0.5O3は、それぞれK2CO3、Na2CO3、Nb2O5とK2CO3、Nb2O5、Ta2O5及びAg2CO3、Nb2O5、Ta2O5のような原料粉末を固相合成法でか焼して製造することができる。以下、K0.5Na0.5NbO3、KNb0.5Ta0.5O3及びAgNb0.5Ta0.5O3をそれぞれKNN、KNT及びANTと表記する。
0040
一例として、K0.5Na0.5NbO3混合粉末である場合、850〜1000℃の範囲でか焼して製造することができる。また、KNb0.5Ta0.5O3混合粉末である場合、850〜950℃でか焼することができる。また、AgNb0.5Ta0.5O3(ANT)混合粉末である場合、900〜1000℃で進行しうる。
0041
S120段階は、チタン酸バリウムとABO3酸化物とを混合して混合物を得る段階である。
0042
この際、前記混合物は、下記式1を満足することを特徴とする:
0043
[式1]
(1−x)BaTiO3−xABO3
0044
前記式1において、xは、0.01〜0.30である。
0045
具体的に、前記式1において、xは、ABO3酸化物のmol比を示すものであって、xは、0.01〜0.30範囲であり、0.03〜0.20範囲であり、または0.05〜0.15範囲であり得る。
0046
特定の態様として、前記x値が0.05未満である場合、ABO3酸化物の量がチタン酸バリウムよりも相対的に過度に少なくあって、粒界に均質に流入されるのに不足であって、誘電定数が周波数によって変化することができる。また、大きな値の誘電損失値を示すことができる。また、x値が0.15を超過する場合、か焼過程で、ABO3酸化物の分布が、粒界ではない結晶粒への流入で固溶体を形成し、これは、非常に低い値の誘電定数を示すことができる。したがって、xは、0.05〜0.15範囲が望ましい。
0047
より具体的に、混合物は、下記式2を満足することができる。
0048
[式2]
(1−x)BaTiO3−xAaBbO3
0049
前記式2において、Aは、リチウム(Li)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、及び銀(Ag)からなる群から選択される1つ以上であり、Bは、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、及びタンタル(Ta)からなる群から選択される1つ以上であり、xは、0.05〜0.15であり、aは、0.1〜1であり、bは、0.1〜1である。
0050
前記混合物を得る段階で、混合物の混合時に、チタン酸バリウムとABO3酸化物とが相互間に均一に分布するようにして、誘電体製造時に、融点以上の温度でABO3酸化物が液状にチタン酸バリウムの粒界に均質に浸透して粒界の形成を可能にする。
0051
一方、前記混合物を得る段階(ステップS120)は、チタン酸バリウムとABO3酸化物との混合物にSiO2を添加する段階(ステップS120’)をさらに含みうる。
0052
より具体的に、混合物に添加されるSiO2の含量は、チタン酸バリウム重量に対して、20重量%以下であり、10重量%以下であり、5重量%以下、3重量%以下であり、一具現例として、誘電体全体重量に対して、0.5〜2重量%をさらに含みうる。SiO2の添加比率は、全体混合物の重量を基準にするものではない、前記混合されるチタン酸バリウムの重量を基準にする。
0053
特定の態様として、前記SiO2の含量がチタン酸バリウムの全体重量基準に10重量%を超過する場合、誘電定数が非正常に減少し、0.5重量部未満である場合、焼結性が低下する。さらに、前記SiO2は、焼結温度を低下させるので、後述する焼結する段階で焼結を促進させる役割ができる。
0054
S130段階は、前記混合物または前記SiO2が添加された混合物を前記ABO3酸化物200の融点以上の温度で焼結する段階である。ABO3酸化物200の融点以上の温度で焼結時に、ABO3酸化物200が溶融されて液化状態でチタン酸バリウム100の粒子の間に均一に分布する。焼結温度は、チタン酸バリウム100の融点の70〜90%程度が望ましいが、これに制限されるものではない。より詳細には、焼結温度がABO3酸化物200の融点を経ながらABO3酸化物200の相が固相から液相になり、粒界(grain boundary)に流入される。この際、チタン酸バリウム100の粒子成長(grain growth)と緻密化(densification)とが活発に起こると共に、粒界には、液相状態のABO3酸化物200が流入されて分布される。これにより、本発明による誘電体は、ABO3酸化物200がチタン酸バリウム100の粒界に非定型性に分布される。
0055
前記焼結する段階は、N2雰囲気で行われ、特定の態様として、酸素がない雰囲気で行われる。具体的に、前記焼結する段階は、900〜1300℃の温度で行い、1100〜1300℃の温度で行い、1200〜1300℃の温度で行うことができる。望ましくは、1200〜1300℃の温度範囲が適切であり、その未満の温度では、誘電体試片の焼成が不完全に進行して、誘電特性及び絶縁抵抗が確実に低くなる。例えば、焼結する段階は、N2雰囲気及び常圧で平均1250℃の温度で1時間熱処理することができる。
0056
また、本発明は、チタン酸バリウム(BaTiO3)とABO3酸化物とを含み、下記式1を満足し、前記ABO3酸化物がチタン酸バリウムの粒界に分布されていることを特徴とする誘電体を提供する:
0057
[式1]
(1−x)BaTiO3−xABO3
0058
前記式1において、xは、0.01〜0.30である。
0059
具体的に、前記式1において、xは、ABO3酸化物のmol比を示すものであって、xは、0.01〜0.30範囲であり、0.03〜0.20範囲であり、または0.05〜0.15範囲であり得る。
0060
具体的に、前記式1において、ABO3酸化物Aは、1+valenceの元素であり、Bは、5+の元素であり得る。本発明による誘電体は、融点が低いABO3酸化物を添加し、ABO3酸化物の融点以上で混合物を熱処理し、以後、常温に温度を下げて、固相に変わうる。添加したABO3酸化物がチタン酸バリウムの粒界に流入されて、優れた絶縁比抵抗を有し、低い誘電損失と周波数とによって一定の値の比誘電率の保持及び高い温度安定性を有しうる。
0061
より具体的に、誘電体のチタン酸バリウム(BaTiO3)とABO3酸化物は、下記式2を満足することができる。
0062
[式2]
(1−x)BaTiO3−xAaBbO3
0063
前記式2において、Aは、リチウム(Li)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、及び銀(Ag)からなる群から選択される1つ以上であり、Bは、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、及びタンタル(Ta)からなる群から選択される1つ以上であり、xは、0.05〜0.15であり、aは、0.1〜1であり、bは、0.1〜1である。
0064
例えば、前記ABO3酸化物は、K0.5Na0.5NbO3、KNb0.5Ta0.5O3またはAgNb0.5Ta0.5O3であり得る。
0065
図4は、本発明の実施例によって製造された誘電体の微細構造を概略的に示す図面である。図4を参照すれば、ABO3酸化物は、チタン酸バリウムの粒界に非定型性に分布されていることを確認することができる。
0067
前記誘電体は、周波数領域に関係なく誘電損失値が0〜3%保持され、比誘電率の変化幅が20%以下に保持される。
0068
1つの例として、ABO3酸化物は、K0.5Na0.5NbO3であり、この際、前記誘電体は、1MHz以上の周波数領域で比誘電率が500〜1400であり得る。
0069
また、前記ABO3酸化物は、KNb0.5Ta0.5O3であり、前記誘電体は、1MHz以上の周波数領域で比誘電率が400〜1100であり得る。
0070
また、ABO3酸化物は、AgNb0.5Ta0.5O3であり、前記誘電体は、1MHz以上の周波数領域で比誘電率が600〜1200であり得る。
0071
さらに、誘電体の平均粒子サイズが、0.1〜1μmであり得る。
0072
このような誘電体は、常温比誘電率の基準に±15%以内の値を常温で135℃以上の温度まで保持し、誘電損失の場合、常温で200℃以上の温度まで1%内外またはそれ以下の値を保持する。
0073
以下、本発明を実施例及び実験例によってより詳しく説明する。
0074
但し、下記の実施例及び実験例は、本発明を例示するものであり、本発明の内容が、下記の実施例及び実験例に限定されるものではない。
0075
実施例1.BaTiO3−KNN誘電体の製造
K0.5Na0.5NbO3(KNN)の合成
K0.5Na0.5NbO3(KNN)を合成するために使われた出発原料は、K2CO3、Na2CO3、Nb2O5である。出発原料粉末を適当な比率に合わせて秤量を行った後、混合及び分散の媒体としてジルコニアボールと共に高純度エタノール溶媒を用いて24時間湿式ミリングを進行した。
0077
そして、前記乾燥された粉末をメノー乳鉢を用いて粉砕した後、75μmの篩を用いて篩い分けを進行した。
0078
前記篩い分けが完了したK0.5Na0.5NbO3(KNN)原料混合粉末は、1000℃で10時間ボックス状の電気炉を用いてか焼した。このように製造したK0.5Na0.5NbO3(KNN)は、図3の(b)に示した。
0079
BaTiO3−KNN誘電体の製造
(100−x)BaTiO3−xKNN+ywt%SiO2(ここで、前記xとyは、それぞれ5≦x≦15、0.5≦y≦2)の組成を有する誘電体を製造した。
0080
主成分であるチタン酸バリウム(BaTiO3)は、粒子のサイズが平均100nmである粉末を使用した(図3の(a))。
0081
チタン酸バリウム粉末に前記K0.5Na0.5NbO3(KNN)粉末を混合し、前記混合した粉末にSiO2を添加した。一方、SiO2は、焼結温度を低下させるので、焼結を促進する役割として用いられうる。
0082
具体的なチタン酸バリウム、K0.5Na0.5NbO3(KNN)及びSiO2のmol比は、下記表1に示した。
0083
0084
前記混合した粉末は、高純度エタノールを溶媒として使用して、混合及び分散の媒体としてジルコニアボールと24時間湿式ミリングを進行した。以後は、K0.5Na0.5NbO3(KNN)製造時に、同じ方法で、乾燥、粉砕及び篩い掛けを進行した。
0085
次いで、ディスク状のペレットサンプルの製作のために、直径10mmの金属モールドを用いて混合された粉末を加圧成形した。以後、200MPaの圧力で10分間冷間等圧加圧法を利用した。焼結以前に高い圧力での等圧加圧によって誘電体サンプルの密度を高めうる。
0087
実施例2.BaTiO3−KNT誘電体の製造
KNb0.5Ta0.5O3(KNT)の合成
KNb0.5Ta0.5O3(KNT)を合成するために使われた出発原料は、K2CO3、Nb2O5、Ta2O5である。このような原料粉末を適当な比率に合わせて秤量を行った後、混合及び分散の媒体としてジルコニアボールと共に高純度エタノール溶媒を用いて24時間湿式ミリングを進行した。
0088
そして、実施例1と同じ方法で乾燥し、篩い分けを進行した。
0089
前記篩い分けが完了したKNb0.5Ta0.5O3(KNT)原料混合粉末は、950℃で12時間ボックス状の電気炉を用いてか焼した。
0090
このように製造したKNb0.5Ta0.5O3(KNT)は、図3の(c)に示した。
0091
BaTiO3−KNT誘電体の製造
(100−x)BaTiO3−xKNT+ywt%SiO2(ここで、前記xとyは、それぞれ5≦x≦15、0.5≦y≦2)の組成を有する誘電体を製造した。
0092
主成分であるチタン酸バリウム(BaTiO3)は、望ましい数百ナノサイズに合わせて平均粒子が100nmのサイズを有する粉末を使用した。
0093
チタン酸バリウム粉末に前記KNb0.5Ta0.5O3(KNT)粉末を混合したものを除いては、実施例1と同じ方法で誘電体(BaTiO3−KNT)を製造した。
0094
具体的なチタン酸バリウム、KNT及びSiO2のmol比は、下記表2に示した。
0095
0096
実施例3.BaTiO3−xANTの製造
AgNb0.5Ta0.5O3(ANT)の合成
AgNb0.5Ta0.5O3(ANT)を合成するために使われた出発原料は、Ag2CO3、Nb2O5、Ta2O5である。原料粉末のうち、Agの還元による析出を防止するために、Nb2O5及びTa2O5を優先的に混合して大気条件で1200℃で12時間熱処理した。以後、熱処理された粉末にAgの原料粉末を秤量した後、混合及び分散の媒体としてジルコニアボールと共に高純度エタノール溶媒を用いて24時間湿式ミリングを進行した。
0097
そして、実施例1と同じ方法で乾燥し、篩い分けを進行した。
0098
前記篩い分けが完了したAgNb0.5Ta0.5O3(ANT)原料混合粉末は、970℃で10時間垂直加熱炉を用いてか焼した。
0099
このように製造したAgNb0.5Ta0.5O3(ANT)は、図3の(d)に示した。
0100
BaTiO3−ANTの製造
(100−x)BaTiO3−xANT+ywt%SiO2(ここで、前記xとyは、それぞれ5≦x≦15、0.5≦y≦2)の組成を有する誘電体を製造した。
0101
チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末にAgNb0.5Ta0.5O3(ANT)粉末を混合したものを除いては、実施例1と同じ方法で誘電体(BaTiO3−xANT)を製造した。
0102
具体的なチタン酸バリウム、ANT及びSiO2のmol比は、下記表3に示した。
0103
0104
<実験例>
実験例1.誘電体の表面観察
実施例で製造した誘電体の微細組織を走査電子顕微鏡で確認した。具体的に、実施例1−5、実施例2−5、実施例3−5で製造した90BaTiO3−10ABO3+1wt%SiO2の焼成試片を走査電子顕微鏡で確認し、それを図5に示した。
0105
図5は、本発明の実施例による90BaTiO3−10ABO3+1wt%SiO2でABO3酸化物の種類による焼成試片の微細組織を示す走査電子顕微鏡のイメージである((a)90BaTiO3+10KNN+1wt%SiO2、(b)90BaTiO3+10KNT+1wt%SiO2、(c)90BaTiO3+10ANT+1wt%SiO2)。
0106
ここで、ABO3は、それぞれK0.5Na0.5NbO3、KNb0.5Ta0.5O3及びAgNb0.5Ta0.5O3である。一方、当該バルクサンプルは、いずれも1250℃で、2時間窒素雰囲気で熱処理を進行した。
0108
図6、図7及び図8は、それぞれ90BaTiO3−10KNN+1wt%SiO2、90BaTiO3−10KNT+1wt%SiO2及び90BaTiO3−10ANT+1wt%SiO2の試片に対して、当該元素の分布を透過電子顕微鏡を通じるEDSマッピングを活用したイメージである。
0109
前記ABO3酸化物の種類による試片は、純粋チタン酸バリウムの粒子のサイズと比べた時、目立つ差が確認されないので、粒成長なしに緻密化がなされたと見られる。
0110
前記EDSマッピングイメージを確認すれば、チタン酸バリウムの粒子からなる結晶粒とその粒界にABO3酸化物が流入されていることを確認することができる。これは、熱処理温度がチタン酸バリウムの融点以下ないしABO3酸化物の融点以上の温度を経りながらABO3酸化物が固相から液相に溶融されて粒界に流入され、それと同時にチタン酸バリウムの粒子の緻密化が起こると見られる。
0111
以後、熱処理が終了することによって温度が低くなれば、ABO3酸化物の融点以下に下がり、粒界に液相に存在したABO3酸化物が固相に変わって、その位置に位置する。
0112
EDSマッピングイメージ上でABO3酸化物の当該元素がたまに粒界に浸透せず、それ自体で結晶粒を成す形態を確認することができるが、これは、ABO3酸化物粉末のうち、粒子サイズが相対的に大きな粉末からなる形態であると確認することができる。
0113
実験例2.誘電特性及び常温比抵抗の分析
実施例1の誘電特性及び常温比抵抗の分析
実施例1のような方法で製造したディスク状のペレットの両面を研磨した後、Agペーストをシルクスクリーン技法として試片の両面に塗布した。以後、約700℃の温度で約30分ほど熱処理した。
0114
前記のように両面に電極を塗布した後、LCRメーター器を活用して100Hzから2MHzまでの交流周波数を印加し、誘電定数及び誘電損失を測定し、高抵抗測定器を用いて250Vの直流電圧を印加して絶縁抵抗を測定した。
0115
より具体的に、前記のように両面に電極を塗布した試片に対して、常温から200℃に至る温度範囲で10℃間隔で温度による誘電定数及び誘電損失を測定した。ここで、表われる誘電特性は、1kHzの周波数に該当する値を測定した。
0116
そして、その結果を図9に示した。図9は、本発明の実施例による(100−x)BaTiO3−xKNN+1wt%SiO2試片でxの濃度別に測定した周波数による比誘電率と誘電損失値との変化を示すグラフであり、図9は、下記の値は、各試片の常温比抵抗を示す値である。
0117
図9を参照すれば、チタン酸バリウムとKNNとの混合比率が一定の値を保持した状態でSiO2の添加量を増加させれば、絶対的な比誘電率が減少するということを確認することができる。しかし、この場合も、周波数によって比誘電率が大きな変動なしに一定に保持され、誘電損失値は、1%内外またはそれ以下に保持することを確認することができる。
0118
したがって、95BaTiO3−5KNNの比率で混合された誘電体の特性を除けば、比誘電率の変動は、0〜20の変動幅を示し、誘電損失の場合は、1%内外あるいはそれ以下に保持されることを確認することができる。混合されるチタン酸バリウムに混合されるKNNの比率が次第に増加することによって、誘電定数が低くなる傾向を示している。
0119
図10は、本発明の実施例による90BaTiO3−10KNNでSiO2の含量濃度による試片で測定した周波数による比誘電率と誘電損失値との変化を示すグラフであり、グラフの下記の値は、各試片の常温比抵抗を示す表である。
0120
図10を参照すれば、チタン酸バリウムとKNNとの混合比率が一定の値を保持した状態でSiO2の添加量を増加させれば、絶対的な比誘電率が減少するということを確認することができる。しかし、この場合も、周波数によって比誘電率が大きな変動なしに一定に保持され、誘電損失値は、1%内外あるいはそれ以下に保持することを確認することができる。
0122
0123
実施例2の誘電特性及び常温比抵抗の分析
実施例2で製造したディスク状のペレット両面を研磨した後、実施例1のような方法で熱処理して、試片の両面にAgペーストをシルクスクリーン技法で塗布した。そして、実施例1と同様に、LCRメーター器を活用して誘電定数及び誘電損失を測定し、絶縁抵抗を測定した。
0124
そして、その結果を図11に示した。図11は、本発明の実施例による(100−x)BaTiO3−xKNT+1wt%SiO2試片でxの濃度別に測定した周波数による比誘電率と誘電損失値との変化を示すグラフであり、グラフの下記の値は、各試片の常温比抵抗を示す値である。
0125
図11を参照すれば、測定した周波数領域内で比誘電率と誘電損失との値が大きな変動なしに一定に保持されることを確認することができる。比誘電率の変動は、0〜30の変動幅を示し、誘電損失の場合は、1%内外あるいはそれ以下に保持されることを確認することができる。また、混合されるチタン酸バリウムに混合されるKNTの比率が次第に増加することによって、誘電定数が低くなる傾向を示している。
0126
また、図12は、本発明の実施例による90BaTiO3−10KNTでSiO2の含量濃度による試片で測定した周波数による比誘電率と誘電損失値との変化を示すグラフであり、グラフの下記の値は、各試片の常温比抵抗を示す表である。
0127
図12を参照すれば、チタン酸バリウムとKNTとの混合比率が一定の値を保持した状態でSiO2の添加量を増加させれば、絶対的な比誘電率が減少するということを確認することができる。しかし、この場合も、周波数によって比誘電率が大きな変動なしに一定に保持され、誘電損失値は、1%内外またはそれ以下に保持することを確認することができる。
0129
0130
実施例3の誘電特性及び常温比抵抗の分析
実施例3で製造したディスク状のペレット両面を研磨した後、実施例1のような方法で熱処理して、試片の両面にAgペーストをシルクスクリーン技法で塗布した。そして、実施例1と同様に、LCRメーター器を活用して誘電定数及び誘電損失を測定し、絶縁抵抗を測定した。
0131
そして、その結果を図13に示した。
0132
図13は、本発明の実施例による(100−x)BaTiO3−xANT+1wt%SiO2試片でxの濃度別に測定した周波数による比誘電率と誘電損失値との変化を示すグラフであり、グラフの下記の値は、各試片の常温比抵抗を示す値である。
0133
図13を参照すれば、測定した周波数領域内で比誘電率と誘電損失との値が大きな変動なしに一定に保持されることを確認することができる。比誘電率の変動は、0〜25の変動幅を示し、誘電損失の場合は、1%内外あるいはそれ以下に保持されることを確認することができる。混合されるチタン酸バリウムに混合されるANTの比率が次第に増加することによって、誘電定数が低くなる傾向を示している。
0134
また、図14は、本発明の実施例による90BaTiO3−10ANTでSiO2の含量濃度による試片で測定した周波数による比誘電率と誘電損失値との変化を示すグラフであり、グラフの下記の値は、各試片の常温比抵抗を示す表である。
0135
図14を参照すれば、チタン酸バリウムとANTとの混合比率が一定の値を保持した状態でSiO2の添加量を増加させれば、絶対的な比誘電率が減少するということを確認することができる。しかし、この場合も、周波数によって比誘電率が大きな変動なしに一定に保持され、誘電損失値は、1%内外あるいはそれ以下に保持することを確認することができる。
0137
0138
チタン酸バリウムと共に混合されるABO3酸化物の種類が、前記のようなANTである場合、常温比抵抗は、最大1013 ohm−cmに該当する高い値を示すことができることを確認した。
0140
図15は、本発明の実施例による90BaTiO3−10ABO3+1wt%SiO2でABO3酸化物の種類による焼成試片の温度による比誘電率と誘電損失値との変化を示すグラフである。
0141
図15を参照すれば、ABO3酸化物の種類をKNNを使用したサンプルの場合、常温誘電率を基準にTCC±15%を140℃まで到逹することを確認し、それ以外のKNT及びANTの場合も、常温誘電率を基準にTCC±15%を135℃まで到逹することができることを確認した。
実施例
0142
本発明は、前述した実施例及び図面によって限定されるものではなく、当業者によって本発明の範疇から外れない限度内で多様な形態の変形及び変更が可能であるということが自明である。したがって、本発明の権利範囲は、実施例及び図面によって限定されるのではなく、本発明の権利範囲は、特許請求の範囲だけではなく、特許請求の範囲と均等なものなどによって理解しなければならない。
0143
100:チタン酸バリウム
200:ABO3酸化物