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技術 繊維強化樹脂体

出願人 日立金属株式会社
発明者 北條房郎前野優太
出願日 2019年3月18日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-049560
公開日 2020年9月24日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-151852
状態 未査定
技術分野 型の被覆による成形、強化プラスチック成形
主要キーワード 各繊維体 最大到達温度 各繊維シート 巻回状 繊維強化樹脂体 同軸円筒状 屈折点 樹脂硬化反応
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年9月24日)のものです。
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図面 (11)

課題

交差部を有する繊維強化樹脂体において、当該交差部の強度低下を防止することができる繊維強化樹脂体を提供する。

解決手段

繊維強化樹脂体10は、第1板部17と第2板部18とが交差する交差部19を有する。交差部19から第1板部17の端までの距離をL1とし、交差部19から第2板部18の端までの距離をL2とし、第1板部17および第2板部18の繊維層の積層方向における第1板部17の厚さをt1と、第2板部18の厚さをt2とする。このとき(a)t1≧5mmかつL1≧20mmの場合には第1板部17において、(b)t2≧5mmかつL2≧20mmの場合には第2板部18において、複数の繊維層14a等のうちの一部の繊維層14e,14jには、繊維層14e,14j以外の他の繊維層14a〜14d,14f〜14iが含む繊維束15aより熱伝導率の高い高熱伝導性繊維束15bが配置されている。

概要

背景

繊維強化樹脂(Fiber Reinforced Plastics:FRP)は、優れた機械特性、軽量化等の要求を満たすことから、例えば車両等を構成する構造部材として使用されてきている。

例えば、特許文献1には、複数の繊維強化樹脂層同軸円筒状に積層された繊維強化樹脂体において、前記複数の繊維強化樹脂層をそれぞれ異なる種類の炭素繊維により補強した繊維強化樹脂体が記載されている。

概要

交差部を有する繊維強化樹脂体において、当該交差部の強度低下を防止することができる繊維強化樹脂体を提供する。繊維強化樹脂体10は、第1板部17と第2板部18とが交差する交差部19を有する。交差部19から第1板部17の端までの距離をL1とし、交差部19から第2板部18の端までの距離をL2とし、第1板部17および第2板部18の繊維層の積層方向における第1板部17の厚さをt1と、第2板部18の厚さをt2とする。このとき(a)t1≧5mmかつL1≧20mmの場合には第1板部17において、(b)t2≧5mmかつL2≧20mmの場合には第2板部18において、複数の繊維層14a等のうちの一部の繊維層14e,14jには、繊維層14e,14j以外の他の繊維層14a〜14d,14f〜14iが含む繊維束15aより熱伝導率の高い高熱伝導性繊維束15bが配置されている。B

目的

上記課題は、レジントランスファー成形に限られるものではなく、交差部を有する繊維強化樹脂体に共通の課題である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

積層された複数の繊維層と、前記複数の繊維層に含まれる繊維束の間に含浸された樹脂とを有する繊維強化樹脂体であって、前記複数の繊維層は、配向された繊維束を含み、前記繊維強化樹脂体は、第1板部と、第2板部と、前記第1板部と前記第2板部とが交差する交差部とを有し、前記交差部から前記第1板部の端までの距離をL1とし、前記交差部から前記第2板部の端までの距離をL2とし、前記第1板部および前記第2板部のそれぞれの前記複数の繊維層の積層方向における前記第1板部の厚さをt1と、前記第2板部の厚さをt2としたとき、(a)t1≧5mmかつL1≧20mm、または、(b)t2≧5mmかつL2≧20mmの少なくとも1つの式を満たし、前記(a)式を満たす場合には少なくとも前記第1板部において、前記(b)式を満たす場合には少なくとも前記第2板部において、前記複数の繊維層のうちの一部の繊維層には、前記一部の繊維層以外の他の繊維層に含まれる繊維束より熱伝導率の高い高熱伝導性繊維束が配置されていることを特徴とする繊維強化樹脂体。

請求項2

請求項1記載の繊維強化樹脂体において、前記高熱伝導性繊維束は、前記交差部から前記第1板部または前記第2板部の端に向かって配向されていることを特徴とする繊維強化樹脂体。

請求項3

請求項1または2に記載の繊維強化樹脂体において、前記他の繊維層に含まれる繊維束は、連続繊維で構成されていることを特徴とする繊維強化樹脂体。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂体において、前記第1板部の一部および前記第2板部の一部は、折り曲げられた1枚の繊維強化樹脂板により一体に形成されていることを特徴とする繊維強化樹脂体。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂体において、前記複数の繊維層の繊維含有率は、それぞれ40〜70体積%であることを特徴とする繊維強化樹脂体。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂体において、前記高熱伝導性繊維束を含む繊維層は、前記交差部の中心から前記第1板部または/および前記第2板部の端に至るまで、前記第1板部または/および前記第2板部の全体に亘って配置されていることを特徴とする繊維強化樹脂体。

請求項7

請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂体において、前記高熱伝導性繊維束を含む繊維層は、前記第1板部または/および前記第2板部の厚さ方向において略中央部に配置されていることを特徴とする繊維強化樹脂体。

請求項8

請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂体において、前記高熱伝導性繊維束がピッチ系炭素繊維で構成されていることを特徴とする繊維強化樹脂体。

請求項9

請求項8記載の繊維強化樹脂体において、前記高熱伝導性繊維束が連続繊維であることを特徴とする繊維強化樹脂体。

請求項10

請求項1〜9のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂体において、前記複数の繊維層の積層方向において、当該複数の繊維層の全体の厚さに対する前記高熱伝導性繊維束を含む繊維層の厚さが10〜50%であることを特徴とする繊維強化樹脂体。

請求項11

請求項1〜10のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂体において、前記第1板部および/または前記第2板部の端と前記高熱伝導性繊維束の端との間に介在する樹脂部を有し、前記樹脂部の厚さをSとするとき、少なくとも(c)S≦5/t1または(d)S≦5/t2のいずれか1つの式を満たすことを特徴とする繊維強化樹脂体。

技術分野

0001

本発明は、例えば車両等に組み込まれる構造部材として用いられる繊維強化樹脂体に関するものである。

背景技術

0002

繊維強化樹脂(Fiber Reinforced Plastics:FRP)は、優れた機械特性、軽量化等の要求を満たすことから、例えば車両等を構成する構造部材として使用されてきている。

0003

例えば、特許文献1には、複数の繊維強化樹脂層同軸円筒状に積層された繊維強化樹脂体において、前記複数の繊維強化樹脂層をそれぞれ異なる種類の炭素繊維により補強した繊維強化樹脂体が記載されている。

先行技術

0004

特開平7−40488号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明者は、繊維強化樹脂体の形状や構造による強度への影響を調べるため、所定方向配向した繊維束を含む複数の積層された繊維層からなる、交差部を有する繊維強化樹脂体に注目した。ここで、当該交差部を有する繊維強化樹脂体としては、例えば、L字、V字、T字、Y字等の断面形状を有する繊維強化樹脂体が該当する。そして、本発明者は、当該繊維強化樹脂体において、交差部の強度低下が発生する可能性があることを確認した。以下、交差部の強度低下の理由について詳細に説明する。

0006

繊維強化樹脂からなる繊維強化樹脂体の製造方法の一つに、上記繊維層に対応し、所定方向に配向した繊維束を含む繊維シートを複数積層して繊維体プリフォーム)を形成する積層工程と、上記繊維体を所望の形状に賦形する賦形工程と、賦形された繊維体に樹脂含浸する樹脂含浸工程とを行う製造方法がある。ここでは、樹脂含浸工程として、レジントランスファー成形(Resin Transfer Molding:RTM)を使用する例で説明する。レジントランスファー成形を用いる場合には、樹脂含浸工程は、繊維体が装入された金型キャビティに樹脂を流し込む樹脂注入工程と、その後、繊維体に含浸された樹脂を硬化する樹脂硬化工程と、大きく分けて2つの工程を含む。

0007

一般に、樹脂硬化工程において、樹脂の硬化反応反応熱が発生するため、樹脂が含浸された繊維体の内部温度は上昇する。この反応熱は、樹脂硬化工程中において、金型に接触している当該繊維体の表面から当該金型へと放熱される。しかしながら、繊維体を構成する繊維シートに含まれる繊維束は、繊維シートの面内に沿い配向しているため、面外方向(繊維束と交差する方向)への放熱性が低く、反応熱は、面内に沿い繊維束の端、すなわち繊維体の端から主に放熱される。

0008

ここで、従来の断面T字形状の繊維強化樹脂体の断面図を図3Aに示す。なお、図3Aは、本発明に係る一実施形態である繊維強化樹脂体の断面図も兼ねており、90,900のように先頭に9が付された符号が示す構成要素は、従来の繊維強化樹脂体の構成要素であることを意味している。図3Aに示すように、従来の繊維強化樹脂体90を作製するための中間体である繊維体900における交差部990にあっては、当該交差部990以外の箇所に比べて、繊維体900の端までの距離が長い。例えば、繊維強化樹脂体90において、交差部99を構成する2枚の繊維強化樹脂板を第1板部97および第2板部98とする。繊維強化樹脂体90の中間体である繊維体900において、その第1板部970を基準にしたとき、繊維体において当該交差部990では第1板部970の長さ方向において上方端に第2板部980が接続されている。そのため、前記交差部990にあっては、第2板部980が接続されている方向(紙面において上下方向)において、下方端E1までの距離が交差部990の箇所に比べて長くなる。その結果、前記交差部990内で発生した熱が放熱されにくくなり、前記交差部990の内部温度がその他の箇所に比べて高い状態で樹脂の硬化反応が進行する。

0009

以上を踏まえて、本発明者は、前記交差部99を有する繊維強化樹脂体90を製造するにあたり、樹脂含浸工程における繊維体900の当該交差部990の内部温度と、得られた繊維強化樹脂体90の当該交差部99の強度との関係を調べた。その結果、繊維体900において第1板部970および/または第2板部980の長さおよび厚さ(つまり断面積)が一定以上に長くなると、当該交差部990で発生した反応熱の放熱が低下し、当該交差部990に含浸させた樹脂の硬化反応が加速され、樹脂温度が上昇し、その結果、得られた繊維強化樹脂体90の交差部99の強度が低下することがわかった。

0010

上記課題は、レジントランスファー成形に限られるものではなく、交差部を有する繊維強化樹脂体に共通の課題である。特に、本発明者は、高圧で樹脂を注入させる高圧レジントランスファー成形(High Pressure-Resin Transfer Molding:HP−RTM)にあっては、繊維体の内部温度の到達温度も高くなるため、上記課題が顕著に現れることを確認した。

0011

本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、交差部を有する繊維強化樹脂体において、当該交差部の強度低下を防止することができる繊維強化樹脂体を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。

0013

[1]繊維強化樹脂体は、積層された複数の繊維層と、前記複数の繊維層に含まれる繊維束の間に含浸された樹脂とを有する。前記複数の繊維層は、配向された繊維束を含む。前記繊維強化樹脂体は、第1板部と、第2板部と、前記第1板部と前記第2板部とが交差する交差部とを有する。前記交差部から前記第1板部の端までの距離をL1とし、前記交差部から前記第2板部の端までの距離をL2とし、前記第1板部および前記第2板部のそれぞれの前記複数の繊維層の積層方向における前記第1板部の厚さをt1と、前記第2板部の厚さをt2としたとき、(a)t1≧5mmかつL1≧20mm、または、(b)t2≧5mmかつL2≧20mmの少なくとも1つの式を満たし、前記(a)式を満たす場合には少なくとも前記第1板部において、前記(b)式を満たす場合には少なくとも前記第2板部において、前記複数の繊維層のうちの一部の繊維層には、前記一部の繊維層以外の他の繊維層に含まれる繊維束より熱伝導率の高い高熱伝導性繊維束が配置されている。

0014

[2][1]に記載の繊維強化樹脂体において、前記高熱伝導性繊維束は、前記交差部から前記第1板部または前記第2板部の端に向かって配向されている。

0015

[3][1]または[2]に記載の繊維強化樹脂体において、前記他の繊維層に含まれる繊維束は、連続繊維で構成されている。

0016

[4][1]〜[3]のいずれか1つに記載の繊維強化樹脂体において、前記第1板部の一部および前記第2板部の一部は、折り曲げられた1枚の繊維強化樹脂板により一体に形成されている。

0017

[5][1]〜[4]のいずれか1つに記載の繊維強化樹脂体において、前記複数の繊維層の繊維含有率が、それぞれ40〜70体積%である。

0018

[6][1]〜[5]のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂体において、前記高熱伝導性繊維束を含む繊維層は、前記交差部の中心から前記第1板部または/および前記第2板部の端に至るまで、前記第1板部または/および前記第2板部の全体に亘って配置されている。

0019

[7][1]〜[6]のいずれか1つに記載の繊維強化樹脂体において、前記高熱伝導性繊維束を含む繊維層は、前記第1板部または/および第2板部の厚さ方向において略中央部に配置されている。

0020

[8][1]〜[7]のいずれか1つに記載の繊維強化樹脂体において、前記高熱伝導性繊維束がピッチ系炭素繊維で構成されている。

0021

[9][8]に記載の繊維強化樹脂体において、前記高熱伝導性繊維束が連続繊維である。

0022

[10][1]〜[9]のいずれか1つに記載の繊維強化樹脂体において、前記複数の繊維層の積層方向において、当該複数の繊維層の全体の厚さに対する前記高熱伝導性繊維束を含む繊維層の厚さが10〜50%である。

0023

[11][1]〜[10]のいずれか1つに記載の繊維強化樹脂体において、前記第1板部および/または前記第2板部の端と前記高熱伝導性繊維束の端との間に介在する樹脂部を有し、前記樹脂部の厚さをSとするとき、少なくとも(c)S≦5/t1または(d)S≦5/t2のいずれか1つの式を満たす。

発明の効果

0024

本発明によれば、交差部を有する繊維強化樹脂体において、当該交差部の強度低下を防止することができる繊維強化樹脂体を提供することができる。

図面の簡単な説明

0025

第1実施形態に係る連結部材(繊維強化樹脂体)を示す斜視図である。
第1実施形態に係る連結部材を示す側面図である。
第1実施形態に係る連結部材を示す平面図である。
図1BのA−A’線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
図1BのB−B’線に沿って切断した構造を示す要部断面図であり、従来の繊維強化樹脂体の要部断面図を兼ねた図である。
図3AのF部分の要部拡大図である。
第1実施形態に係る連結部材の製造工程を示すフローである。
第1実施形態に係る連結部材の製造工程中の組合せ工程において、連結部材を構成する各部材を示す斜視図である。
第1実施形態の連結部材の構成を有する試験片において、樹脂含浸工程中の交差部の内部温度を示すグラフである。
第1実施形態の連結部材の構成を有する試験片において、樹脂含浸工程後の交差部の比曲げ強度を示すグラフである。

実施例

0026

(第1実施形態)
以下、本発明に係る好ましい実施形態である第1実施形態(以下、第1態様と称する場合がある。)の繊維強化樹脂体について、図面を参照して説明する。

0027

<第1態様の繊維強化樹脂体の構成およびその作用効果
以下、第1態様の繊維強化樹脂体の構成について説明する。第1態様に係る繊維強化樹脂体10は、その好ましい適用例として連結部材として適用した形態である。そのため、第1態様として、繊維強化樹脂体を適用した連結部材を例に以下説明する。図1Aは、第1態様に係る連結部材10を示す斜視図、図1Bは、図1Aの連結部材10の側面図、図1Cは、図1Aの連結部材10の平面図である。図2は、図1BのA−A’線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。図3Aは、図1BのB−B’線に沿って切断した構造を示す要部断面図、図3Bは、図3AのF部分の要部拡大図である。なお、図3Bは、連結部材(繊維強化樹脂体)の中間体である繊維体の要部拡大図も兼ねている。

0028

まず、第1態様に係る連結部材(繊維強化樹脂体)10の特徴的な構成を説明する。図3Bに示すように、第1態様に係る繊維強化樹脂体10は、積層された複数の繊維層14a〜14jと、複数の繊維層14a〜14jに含まれる繊維束15a,15bの間に含浸された樹脂16とを有している。複数の繊維層14a〜14d,14f〜14iは、配向された(引き揃えられた)繊維束15aを含む。繊維強化樹脂体10は、第1板部17および第2板部18を有し、第1板部17と第2板部18とが交差する交差部19を有する。交差部19から第1板部17の下方端(端)E1までの距離をL1とし、交差部19から第2板部18の左方端(端)E2までの距離をL2とする。第1板部17の複数の繊維層14a〜14eの積層方向における第1板部17の厚さをt1と、第2板部18の複数の繊維層14f〜14jの積層方向における第2板部18の厚さをt2とする。このとき、(a)t1≧5mmかつL1≧20mm、または、(b)t2≧5mmかつL2≧20mmの少なくとも1つの式を満たし、前記(a)式を満たす場合には少なくとも第1板部17において、前記(b)式を満たす場合には少なくとも第2板部18において、複数の繊維層14a〜14jのうちの一部の繊維層14e,14jには、当該繊維層14e,14j以外の他の繊維層14a〜14d,14f〜14iに含まれる繊維束(以下、この繊維束のことを主繊維束という場合がある。)15aより熱伝導率の高い高熱伝導性繊維束15bが配置されている。

0029

第1態様では、上記のような構成を採用したことにより、交差部19を有する連結部材(繊維強化樹脂体)10において、当該交差部19の強度低下を防止することができる。以下、その理由について具体的に説明する。

0030

前述したように、図3Aに示した従来の、第1板部97、第2板部98および第1板部97と第2板部98とが交差した交差部99を有し、第1板部97および/または第2板部98の長さおよび厚さが一定以上に長い連結部材(繊維強化樹脂体)90では、その製造にあたり、当該連結部材90を製造するための中間体である繊維体(プリフォーム)900の第1板部970および/または第2板部980の長さおよび厚さが一定以上に長くなる。そうすると、樹脂含浸工程において、交差部990内で発生した反応熱が放熱されにくくなり、交差部990の内部温度が上昇して含浸させた樹脂のガラス転移温度が低下し、その結果、得られた連結部材90の交差部99の強度が低下する可能性がある。

0031

これに対して、第1態様の連結部材(繊維強化樹脂体)10はその特徴的な構成として、図3Bに示すように、前記(a)式を満たす場合には少なくとも第1板部17において、複数の繊維層14a〜14eのうちの一部の繊維層14eには、当該繊維層14e以外の他の繊維層14a等に含まれる主繊維束15aより熱伝導率の高い高熱伝導性繊維束15bが配置されている。同様に、前記(b)式を満たす場合には少なくとも第2板部18において、複数の繊維層14f〜14jのうちの一部の繊維層14jには、当該繊維層14j以外の他の繊維層14f等に含まれる主繊維束15aより熱伝導率の高い高熱伝導性繊維束15bが配置されている。

0032

第1態様の連結部材10は、上記のように特徴的な構成を有することにより、その繊維体100における交差部190内で発生した反応熱が主繊維束15aよりも熱伝導率の高い高熱伝導性繊維束15bにより交差部190の内部を効率的に伝導し、金型へ放熱されるようになる。その結果、交差部該当部分の内部温度の上昇が抑制され、第1板部170および/または第2板部180の長さおよび厚さが一定以上に長くなった場合でも、最終的に得られる連結部材10の交差部19の強度が低下するという事態を防止できる。

0033

上より、第1態様では、交差部19を有する連結部材(繊維強化樹脂体)10において、当該交差部19の強度低下を防止することができる。

0034

なお、以下で詳述するように、第1態様の連結部材10にあっては、交差部19は、その連結部13の断面T字形状である場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。例えば、交差部を有する連結部の断面形状としては、L字形状、V字形状、Y字形状、十字形状、大字形状、木字形状、米字形状等が挙げられる。連結部13がY字形状である場合のように、3つ以上の板部が交差する場合には、3つ以上の板部のうち任意の1つの板部が第1板部に該当し、他の板部が第2板部に該当する。そして、各板部が上記(a)および(b)の条件に当てはまる場合には、高熱伝導性繊維束が配置されるようにすればよい。

0035

<第1態様の連結部材の構成>
以下、第1態様の連結部材の構成について説明する。以下の「連結部材」は、適宜、「繊維強化樹脂体」と読み替えることができる。

0036

図1A図1Cに示すように、第1態様に係る連結部材10は、孔部11を有する2つの挿入部12と、2つの挿入部12を互いに連結する連結部13とを有している。特に限定されるものではないが、好ましい形態である第1態様に係る連結部材10は、例えば車両用アッパーアームアッパーリンク)として構成されている。従って、2つの挿入部12は、例えば、略円筒形状に形成され、各々の孔部11にはシャフト等の軸部材挿入可能なように構成されている。

0037

なお、図1Bに示す右側と左側の孔部11周りの構成は基本的に同一であり、左側の孔部11の中心O1(中心軸O1)と右側の孔部11の中心O2(中心軸O2)とは、便宜上の区別に過ぎないため、以下では左側の孔部11の中心O1(中心軸O1)周りの構成を例に説明し、右側の孔部11周りの構成の説明は省略する。

0038

また、図1A図1Cに示すように、孔部11の中心軸O1に沿った方向をz軸方向(図1Bにおいて紙面に対し垂直方向)と、2つの挿入部12のそれぞれの孔部11の中心O1,O2を結ぶ線分に沿う方向であってz軸に直交する方向をx軸方向(図1Bにおいて紙面に対し水平方向)と、x軸およびz軸の双方に対し直交する方向をy軸方向(図1Bにおいて紙面に対し上下方向)とそれぞれ定義する(以下、全ての図において同様。)。

0039

第1態様の連結部材10は、その挿入部12および連結部13が全て繊維強化樹脂で構成された繊維強化樹脂体であり、連結部材10を構成する2つの挿入部12および連結部13は、図3Bに示すように、繊維束15a,15bを含む複数の繊維層14a〜14jと、繊維層14a〜14jが含む各繊維束15a,15bの間に含浸された樹脂16とを有する繊維強化樹脂体により構成されている。

0040

第1態様の連結部材10では、図3Aおよび図3Bに示すように、その連結部13は、yz平面に沿う断面視において略T字形状に形成されている。すなわち、連結部13は、y軸方向に延びる略長尺板状の第1板部17およびz軸方向に延びる第2板部18を有し、z軸方向に沿い第2板部18の中央部において、第1板部17と第2板部18とが交差する交差部19を有している。そして、図1A図1Cに示すように、第2板部18は、x軸方向(第1板部17の長手方向)において当該第1板部17に沿い形成されている。すなわち、交差部19は、x軸方向(連結部13の長手方向)において、連結部13の全体に亘って形成されている。

0041

第1態様の連結部材10では、図3Bに示すように、第1板部17の厚さt1が5mm以上であり、かつ、交差部19の中心O3から第1板部17の下方端(端)E1までの距離L1が20mm以上である。そのため、第1板部17を構成する複数の繊維層14a〜14eのうちの一部の繊維層14eには、高熱伝導性繊維束15bが配置されている。

0042

また、第1態様の連結部材10では、第2板部18の厚さt2が5mm以上であり、かつ、交差部19の中心O3から第2板部18の左方端(端)E2までの距離L2が20mm以上である。そのため、第2板部18を構成する複数の繊維層14f〜14jのうちの一部の繊維層14jには、高熱伝導性繊維束15bが配置されている。

0043

さらに、好ましい形態である第1態様の第2板部18では、交差部19の中心O3から第2板部18の右方端(端)E3までの距離L3は、中心O3から第2板部18の左方端(端)E2までの距離L2と同一の長さであり、20mm以上である。なお、第2板部18において、距離L2と距離L3とは異なっていてもよく、例えば距離L3が20mm未満である場合には、交差部19から第2板部18の右方端E3の範囲には、高熱伝導性繊維束15bを含む繊維層14jが配置されていなくてもよく、高熱伝導性繊維束15bを含む繊維層14jに替え、主繊維束15aを含む繊維層を配置しておけばよい。

0044

なお、図1A図1Cに示すように、第1態様の連結部材10は、各々が繊維強化樹脂からなるL字パーツ60a,60b、背部パーツ70、リング80の4種のパーツを一体化することによって形成されている。図3Aに示すように、連結部13において、第2板部18は、背部パーツ70およびL字パーツ60a,60bの折曲片部65a,65bが一体となることにより、第1板部17は、L字パーツ60a,60bの2つの連結片部63が一体となることにより、各々構成されている。

0045

また、図1Bおよび図2に示すように、x軸方向において、連結部13を構成する背部パーツ70およびL字パーツ60a,60bの連結片部63が略円管形状成形されてなる両端部にリング80が一体的に組み込まれることにより、挿入部12は構成されている。以上のように、挿入部12と連結部13とは一体に形成され、連結部材10を構成している。

0046

以下、図1A図1Cに示す第1態様に係る連結部材10について、挿入部12と、連結部13とに分けて、各々の詳細構造を説明する。

0047

<挿入部>
まず、第1態様に係る連結部材10の挿入部12の構成、すなわち孔部11の外周部の構成について説明する。なお、図2および図3Bに示すように、断面T字形状である第1態様の連結部材10は、z軸方向における中心線Cに対し線対称となるよう構成されているので、z軸方向において中心線Cの一方側に存在する構成要素(例えば、L字パーツ60a等)について詳細に説明し、他方側に存在する構成要素(例えば、L字パーツ60b等)の説明は適宜省略する場合がある。

0048

図2に示すように、第1態様に係る連結部材10において、挿入部12に形成された孔部11の外周部は、積層部21a,21b,21c,21dを有している。積層部21a,21bは、孔部11の中心軸O1に略直交する方向に配向された繊維束を含む複数の繊維層で構成されている。積層部21cは、孔部11の中心軸O1に沿う方向に配向された繊維束を含む複数の繊維層で構成されている。積層部21dは、積層部21a,21b,21cを構成する繊維層に含まれる繊維束と異なる方向に配向された繊維束を含む複数の繊維層で構成されている。積層部21a,21b,21dの詳細な積層構造は、後述する連結部13の項で詳細に説明する。

0049

図2に示すように、第1態様に係る連結部材10では、積層部21a,21bは、z軸方向において、孔部11の中央部に配置され、積層部21a,21bの外側に、積層部21c,21dが配置されている。特に、第1態様に係る連結部材10において、z軸方向において、積層部21c,21dは孔部11の端部に配置されている。そして、孔部11の中心軸O1に直交する方向(半径方向)において、積層部21dは、積層部21cよりも外周に配置されている。

0050

積層部21a,21bを構成する繊維層の積層方向は、孔部11の中心軸O1に沿う方向(z軸方向)と一致している。また、積層部21c,21dを構成する繊維層の積層方向は、孔部11の中心軸O1に略直交する方向(y軸方向)と一致している。なお、積層部21aは、連結部材10を構成する部材のうちL字パーツ60aの連結片部63のx軸方向における端部であり、積層部21bは、L字パーツ60bの連結片部63のx軸方向における端部である。また、積層部21cは、挿入部12を構成しているリング80、積層部21dは、図1A図1Cに示した連結部材10を構成する部材のうち背部パーツ70のx軸方向における端部である。

0051

<連結部>
次に、図3Bを参照し、第1態様に係る連結部材10の連結部13の構造について説明する。

0052

図3Bに示すように、第1態様に係る連結部13は、上述したようにy軸方向に伸びる断面が略長方形状の第1板部17と、z軸方向において略中央部に第1板部17の上方端が接続された第2板部18と、第1板部17と第2板部18とが交差する交差部19を有する断面略T字状に形成されており、第2板部18の略全域に亘って折曲片部65a,65bを有している。上記したように断面略T字形状の連結部13は、背部パーツ70とL字パーツ60a,60bとで構成されており、これら3つのパーツが一体化されることにより連結部13が形成される。

0053

図3Bに示すように、第1態様に係る高熱伝導性繊維束15bを含む繊維層14e,14jは、上記したように第1板部17および第2板部18の厚さt1,t2および交差部19から第1板部17または第2板部18の端E1〜E3までの距離L1〜L3に基づいて第1板部17および第2板部18に配置されるが、距離L1〜L3の交差部における起点は、例えば交差部の形状が矩形状や三角形状等のように明らかに中心が存在する場合には当該交差部の中心を起点とすればよい。その点、第1態様の交差部19は矩形状であるので、中心O3を起点として距離L1〜L3を定めている。一方で、中心が定まらないような交差部の形状の場合には、交差部内に定めた任意の点を起点とすればよく、例えば交差部の重心を起点としてもよい。

0054

そして、第1態様の連結部13の場合には、その第1板部17は、L字パーツ60aの連結片部63およびL字パーツ60bの連結片部63が一体化され構成されている。また、第1態様の第2板部18は、L字パーツ60aの折曲片部65a、L字パーツ60bの折曲片部65bおよび背部パーツ70が一体化され構成されている。なお、第1態様の第2板部18では、その下方部分を構成するL字パーツ60aの折曲片部65aおよびL字パーツ60bの折曲片部65bと上方部分を構成する背部パーツ70の積層構造等は、y軸方向において基準線Dに対し線対称となっている。つまり、第1態様の連結部13では、z軸方向においては中心軸Cに対し全体が線対称になっているとともに、y軸方向においては基準線Dに対し第2板部18が線対称となるよう構成されている。

0055

したがって、第1態様の連結部材10では、第1板部17の厚さt1は、z軸方向におけるL字パーツ60aの連結片部63とL字パーツ60bの連結片部63との合計の厚さである。また、第2板部18の厚さt2は、y軸方向におけるL字パーツ60a(60b)の折曲片部65a(65b)と背部パーツ70との合計の厚さである。加えて、第1態様の連結部材10にあっては、L字パーツ60a(60b)の連結片部63と折曲片部65a(65b)の各々の内側の辺の屈折点O3が交差部19の中心O3である。したがって、交差部19の中心O3から第1板部17の下方端(端)E1までの距離L1は、上記屈折点O3からL字パーツ60aの連結片部63の下方端(端)E1までの距離である。また、交差部19の中心O3から第2板部18の左方端(端)E2までの距離L2は、上記屈折点O3からL字パーツ60aの折曲片部65aの左方端(端)E2までの距離である。加えて、交差部19の中心O3から第2板部18の右方端(端)E3までの距離L3は、上記屈折点O3からL字パーツ60bの折曲片部65bの右方端(端)E3までの距離である。そして、上記厚さt1,t2が5mm以上、上記距離L1〜L3が20mm以上の場合に、相当する第1板部17および第2板部18に高熱伝導性繊維束15bを有する繊維層14e,14jが配置される。

0056

図3Bに示すように、第1板部17を構成するL字パーツ60a(60b)の連結片部63は、積層部21a(21b)で構成されている。また、第2板部18を構成するL字パーツ60a(60b)の折曲片部65a(65b)は積層部21e、背部パーツ70は積層部21dで構成されている。そして、積層部21a(21b),21e,21dは、各々主繊維束15aを含む繊維層14a〜14d,14f〜14iと、主繊維束15aよりも熱伝導率の高い高熱伝導性繊維束15bを含む繊維層14e,14jとにより構成されている。以下、各積層部21a(21b),21e,21dについて、詳細に説明する。なお、上述したように、第1態様の連結部13では、z軸方向においては中心軸Cに対し全体が線対称になっているとともに、y軸方向においては基準線Dに対し第2板部18が線対称となるよう構成されているので、第1板部17を構成する積層部21a,21bについては積層部21aを、第2板部18を構成する積層部21e,21dについては積層部21dを詳細に説明し、積層部21b,21eの説明は省略する。

0057

連結部13の第1板部17を構成する積層部21aに含まれる繊維層14a〜14eの積層方向は、z軸方向と一致している。積層部21aでは、繊維層14a〜14eは、それぞれ、z軸方向(積層方向)において第1板部17の左側面側(外側)から中心線C側(内側)に向かい繊維層14a,14b,14c,14d,14eの順に積層されている。また、連結部13の第2板部18を構成する積層部21dに含まれる繊維層14f〜14jの積層方向は、y軸方向と一致している。積層部21dでは、繊維層14f〜14jは、それぞれ、y軸方向(積層方向)において第2板部18の上面側(外側)から基準線D側(内側)に向かい繊維層14f,14g,14h,14i,14jの順に積層されている。従って、第1態様の連結部13にあっては、高熱伝導性繊維束15bを含む繊維層14e,14jは、厚さ方向において第1板部17および第2板部18の略中央部に配置されている。こうすることで、樹脂硬化反応の際に交差部19の内部温度が最も上昇しやすい交差部19の中心O3付近の熱を効果的に逃がすことができる。

0058

第1態様の積層部21aが含む繊維層14eは、高熱伝導性繊維束15bとして、図1Bに示すxy平面において、x軸方向(以下、x軸に沿う方向(配向角度)を0°方向と定義する。)に対し直交する方向に配向された(引き揃えられた)繊維束(以下、90°繊維束という場合がある。)であり、xy平面に配置された繊維束(以下、90°xy繊維束という場合がある。ここで、「xy」はxy平面を意味するものとし、「xz」,「yz」についても同様。)を有している。また、積層部21dが含む繊維層14jは、高熱伝導性繊維束15bとして、90°xz繊維束を有している。この繊維層14e,14jが含む90°xy繊維束または90°xz繊維束(高熱伝導性繊維束15b)は、交差部19から第1板部17の端(下方端)E1または第2板部18の左方端(端)E2、右方端(端)E3に向かって配向されている。これにより、高熱伝導性繊維束15bが配置されている方向と、高熱伝導性繊維束15bの繊維方向(熱伝導しやすい方向)とが一致するため、交差部19において樹脂硬化反応の際に発生する熱を、交差部19から第1板部17の端E1または第2板部18の端E2,E3に向かって効果的に逃がすことができる。なお、クラック進展による繊維層14eの破壊を抑制するため、高熱伝導性繊維束15bとして、配向方向の異なる0°xy繊維束または0°xz繊維束を含んでもよい。この場合には、0°繊維束と90°繊維束とが互いに編み込まれた織物で構成されていることが望ましい。なお、第1板部17を構成する積層部21a(L字パーツ60a(60b)の連結片部63)は、上述したように挿入部12の一部も構成しているが(図2参照)、挿入部12を構成する積層部21aには、高熱伝導性繊維束15bを有する繊維層14eを含まなくてもよい。同様に、第2板部18を構成する積層部21d(背部パーツ70)は、上述したように挿入部12の一部も構成しているが(図2参照)、挿入部12を構成する積層部21dには、高熱伝導性繊維束15bを有する繊維層14eを含まなくてもよい。

0059

そして、積層部21a,21dのうち、上記高熱伝導性繊維束15bが配置された繊維層14e,14jを除く繊維層14a〜14d,14f〜14iの積層構造は、異配向繊維層積層構造のうち、最も好ましい形態である疑似等方積層構造である。以下、具体的に説明する。

0060

第1態様の各繊維層14a〜14d,14f〜14iは、主繊維束15aとして、各々、配向方向の異なる2種の繊維束を含んでいる。具体的には、積層部21aの繊維層14b,積層部21dの繊維層14gは、主繊維束15aとして、xy平面またはxz平面内に配置された0°繊維束と、90°繊維束との、配向方向の異なる2種の繊維束を含んでいる。

0061

また、z軸方向(積層方向)において上記繊維層14bよりも外側に配置された繊維層14a、および、y軸方向(積層方向)において上記繊維層14gよりも上側に配置された繊維層14fは、主繊維束15aとして、繊維層14b,14gの有する0°繊維束および90°繊維束のいずれに対しても交差する方向に配向された45°繊維束と、上記45°繊維束の内側に配置された、上記0°繊維束、90°繊維束および45°繊維束のいずれに対しても交差する方向に引き揃えられた−45°繊維束との、配向方向の異なる2種の繊維束を含んでいる。

0062

そして、積層部21aでは、その積層方向(z軸方向)において繊維層14bと繊維層14cとの界面、積層部21dでは、その積層方向(y軸方向)において繊維層14gと繊維層14hとの界面を線対称面として、繊維束の繊維方向(配向角度)の配向パターン対称となるように、繊維層14c,14hおよび繊維層14d,14iが配置されている。すなわち、積層部21aではz軸方向に沿って、積層部21dではy軸方向に沿って、繊維束が、−45°,45°,90°,0°,0°,90°,45°,−45°の順に積層されている。すなわち、積層部21aの各繊維層14a〜14d,積層部21dの各繊維層14f〜14iに含まれる主繊維束15aは、xy平面またはxz平面内に含まれるいずれかの方向に配向している。

0063

上記疑似等方積層構造を有する積層部21a(21b),21e,21dで構成された第1板部17および第2板部18を含む連結部材10によれば、多方向からの作用する応力に対し十分な強度を有するとともに、成形後に発生する反りなどの不具合を抑制することが出来る。

0064

第1態様の連結部材10では、積層部21aを構成する繊維層14a〜14e,積層部21dを構成する繊維層14f〜14jの積層方向において、複数の繊維層14a〜14eの全体の厚さに対する高熱伝導性繊維束15bを含む繊維層14e,14jの厚さは10〜50%である。繊維層14e,14jの厚さを10%以上とすることで、交差部19から第1板部17および第2板部18への放熱効果を十分に発揮することができる。また、繊維層14e,14jの厚さを50%以下とすることで、上記放熱効果と連結部材10の製造コスト低減との両立を図ることができる。

0065

また、図3Bに示すように、第1態様の連結部材10では、高熱伝導性繊維束15bを含む繊維層14e,14jは、交差部19の中心O3から第1板部17の端(下方端)E1および第2板部18の端(左方端、右方端)E2,E3に至るまで、第1板部17及び第2板部18の全体に亘って配置されている。こうすることで、交差部19において樹脂硬化反応の際に発生する熱を、交差部19から第1板部17の端E1および第2板部18の端E2,E3に向かって効果的に逃がすことができる。

0066

なお、好ましい形態である第1態様の連結部材10にあっては、図3Bに示すように、高熱伝導性繊維束15bを含む繊維層14e,14jは、交差部19の中心O3から第1板部17の端E1および第2板部18の端E2,E3に至るまで、第1板部17および第2板部18の全体に亘って配置されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、繊維層14e,14jは第1板部17または第2板部18の一部にのみ配置されていてもよく、交差部19内に配置されていなくてもよい。高熱伝導性繊維束15bが第1板部17または第2板部18の少なくとも一部に配置されていれば、前述のように交差部19の内部温度の上昇を抑えることができる。

0067

[第1板部および第2板部に共通の構成]
図3Bに示すように、第1態様の連結部材10にあっては、第1板部17の端E1と高熱伝導性繊維束15bの端との間に介在する樹脂部22を有している。同様に、第2板部18の端E2,E3と高熱伝導性繊維束15bの端との間に介在する樹脂部22を有している。樹脂部22は、樹脂16からなり、例えば、樹脂含浸工程において、高熱伝導性繊維束15bの端と金型との間で樹脂16のみが硬化することによって形成されるスキン層に相当するものである。かかるスキン層である樹脂部22は、例えば繊維束が炭素繊維や金属繊維で構成された繊維束である場合に生じる可能性のある電蝕の問題を解消することができるものの、熱伝導率が低いため放熱性を低下させる恐れがある。

0068

このため、第1態様の連結部材10にあっては、樹脂部22の厚さをSとするとき、少なくとも(c)S≦5/t1または(d)S≦5/t2のいずれか1つの式を満たしていることが望ましい。こうすることで、高熱伝導性繊維束15bよりも熱伝導率が低い樹脂16からなる樹脂部22が、第1板部17または第2板部18の端E1〜E3と高熱伝導性繊維束15bの端との間に介在した場合であっても、交差部19から高熱伝導性繊維束15bの端に伝導した熱を第1板部17または第2板部18の端E1〜E3から放熱させることができる。

0069

なお、樹脂部22は第1板部17および第2板部18の全ての端E1〜E3に形成されている場合を例に説明したが、いずれか1つの端にのみ形成されていてもよく、形成されている樹脂部22が上記関係を満たせばよい。

0070

また、第1態様の連結部材10において、第1板部17の一部および第2板部18の一部は、折り曲げられた1枚の板状の繊維強化樹脂により一体に形成されている。具体的には、第1態様の連結部材10を構成するL字パーツ60a(60b)では、それぞれ積層された1枚の板状の繊維強化樹脂を、図3B中の一点鎖線で示す折曲線の部分で折り曲げることにより、y軸方向に延びる積層部21a(21b)と、積層部21a(21b)の上端からz軸方向に延びる積層部21eとを形成している。

0071

すなわち、第1態様の連結部材10では、xy平面に配置される繊維束を有する繊維層14a〜14eで構成された積層部21a(21b)を折り曲げて折曲片部65a(65b)を形成することによって、xz平面に配置される繊維束を有する繊維層14f〜14jで構成された積層部21eを形成している。こうすることで、別体である積層部21a(21b)と積層部21eとを結合してL字パーツ60a(60b)を形成する場合に比べて、強度を低下させることなくL字パーツ60a(60b)を形成することができる。

0072

[繊維層の詳細な構成]
図3Bに示すように、各繊維層14a〜14jが含む繊維束15a,15bは、上記した熱伝導率の関係を満たす限り、当該繊維束を構成する繊維の種類は特に限定されず、炭素繊維、合成繊維ガラス繊維等の各種の繊維を用いることができる。ただし、機械的強度が高くかつ軽量な繊維強化樹脂体を得ることができる点で、当該繊維束には炭素繊維を用いることが好適である。

0073

特に、繊維層14e,14jに含まれる高熱伝導性繊維束15bは、熱伝導率が150W/m・K以上の繊維束であることが望ましく、具体的には、熱伝導率が150〜1000W/m・K程度と高い熱伝導率を有する、石炭ピッチ等を原料としたピッチ系炭素繊維からなる繊維束であることが望ましい。高熱伝導性繊維束15bを金属と同等以上の熱伝導率を有するピッチ系炭素繊維により構成することで、樹脂硬化反応における交差部19の内部温度を効果的に下げることができる。なお、高熱伝導性繊維束15bは、例えば金属繊維により構成してもよい。

0074

また、高熱伝導性繊維束15bは、連続繊維であることが好ましい。これにより、交差部19から外部への熱伝導の効率をより高めることができる。

0075

各繊維層14a〜14d,14f〜14iに含まれる主繊維束15aは、例えば、アクリル繊維を原料としたPAN系の炭素繊維からなり、その熱伝導率は約10〜100W/m・Kである。このような主繊維束で繊維層を構成することにより、高強度な繊維強化樹脂体を低コストで実現することができる。また、主繊維束15aは、連続繊維で構成されていることが望ましい。こうすることで、連結部材10において繊維層14a〜14d,14f〜14iの破損を抑制することができる。

0076

また、好ましい形態である第1態様に係る連結部材10において、複数の繊維層14a〜14jの繊維含有率は、それぞれ40〜70体積%である。ここで繊維含有率(Vf)とは、繊維強化樹脂(繊維束および樹脂)の全体積に対する繊維束の体積の比率を意味する。複数の繊維層14a〜14jの繊維含有率を40体積%以上とすることで、連結部材10において繊維層の破損抑制の効果を十分に発揮することができる。また、複数の繊維層14a〜14jの繊維含有率を70体積%以下とすることで、複数の繊維層14a〜14jに樹脂16を確実に含浸させることができ、その結果、複数の繊維層14a〜14jにボイド空孔)が発生する可能性を低減することができる。

0077

また、高熱伝導性繊維束15bを含む繊維層14e,14jの繊維含有率は、主繊維束15aを含む繊維層14a〜14d,14f〜14iの繊維含有率よりも高いことが好ましい。こうすることで、高熱伝導性繊維束15bによる放熱効率を向上することができる。

0078

上記説明した各繊維層14a〜14jは、1つの繊維層が、複数(具体的には2つ)の繊維束で構成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。各繊維層は、例えば、1つの方向に配向された(引き揃えられた)繊維束のみを含んでいてもよい。具体的には、0°繊維束のみを含む繊維層,90°繊維束のみを含む繊維層,45°繊維束のみを含む繊維層,−45°繊維束のみを含む繊維層が、積層部21a〜21eごとに上記した積層構造で積層された構成であってもよい。この場合は、1つの繊維層につき1種類の繊維束を含むことになる。

0079

以上で説明した、連結部材(繊維強化樹脂体)の各繊維層は、例えば一方向材ノンクリンプ織物(Non-crimp fabric:NCF)材、または、平織り材等を用いて構成することができる。ノンクリンプ織物材とは、所定の方向に配向された繊維束の層を複数積層し、ナイロンポリエステル等の糸によってステッチ加工したものである。また、平織り材とは、例えば、互いに直交(交差)する向きに配向された1組の繊維束を編み込んだものである。

0080

繊維強化樹脂体の各繊維層が一方向材やノンクリンプ織物材により構成されている場合は、平織り材を用いた場合に比べ、繊維層の積層構造により繊維束の配向パターンを適切に設定することで、繊維強化樹脂体の強度を容易に調整可能な点で有利である。一方、繊維強化樹脂体の各繊維層が平織り材により構成されている場合は、繊維束同士が編んであるため繊維がほどけにくい点で、一方向材やノンクリンプ織物材を用いた場合に比べて有利である。

0081

第1態様に係る連結部材10において、樹脂16は熱硬化性樹脂からなり、例えばエポキシ樹脂からなる。樹脂16の熱伝導率は、例えば約1W/m・K未満である。

0082

なお、第1態様に係る連結部材10にあっては、積層部21a〜21eがそれぞれ5層の繊維層で構成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。また、好ましい形態である第1態様の積層部21a(21b),21d,21eは、それぞれ疑似等方積層構造を含む場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。

0083

<第1態様の連結部材の製造方法>
以下、第1態様の連結部材の製造方法について説明する。図4Aは、第1態様に係る連結部材の製造工程を示すフロー、図4Bは、第1態様に係る連結部材の製造工程中の組合せ工程において、連結部材を構成する各部材を示す斜視図である。

0084

図4Aに示すように、第1態様の連結部材の製造方法は、積層、裁断工程(S11)、賦形工程(S12)、組合せ工程(S13)および樹脂含浸工程(S14)を含んでおり、この順序で連結部材を製造する例である。

0085

積層、裁断工程(S11)では、所定の配向パターンを有する繊維束等を含む繊維シートを複数用意する。なお、各繊維シートの表面には、例えばエポキシ樹脂などのバインダー結合材)を付着させている。そして、繊維シートを複数枚積層する。繊維シートの積層順については、下記賦形工程(S12)において詳述する。積層された繊維シートは、例えば裁断機シートカッター)により所定の大きさおよび形状に裁断する。以上により、積層、裁断工程(S11)が完了する。

0086

賦形工程(S12)では、積層、裁断工程(S11)によって積層された各繊維シートを、金型等を用いて、その積層方向に沿って加圧しつつ加熱し、図3Bに示す繊維体(プリフォーム)100を形成する。

0087

ここで、各繊維シートの表面には、上記のとおりバインダーを付着させているので、加圧および加熱により各繊維シート同士が仮接合された繊維体を得ることができ、当該繊維体は、その後の工程での取り扱い等により形崩れすることがない。以上により、賦形工程(S12)が完了する。

0088

第1態様の連結部材の製造方法では、上記賦形工程において、図4Bに示す、L字パーツ用繊維体600a,600b、背部パーツ用繊維体700、リング用繊維体800の4種のパーツを形成し、この4種のパーツを下記組合せ工程で組み合わせることにより一つの繊維体100を作製する。以下、各パーツの構成について詳細に説明する。

0089

図4Bに示すL字パーツ用繊維体600a,600bは、上記したL字パーツ60a,60b(図1〜図3B参照)の中間体であり、図3Bに示した繊維層14a,14f、繊維層14b,14g、繊維層14c,14h、繊維層14d,14iにそれぞれ対応する主繊維束15aを含む複数の繊維シート、および、繊維層14e,14jに対応する高熱伝導性繊維束15bを含む繊維シートを、図3Bに示した順に積層して形成された繊維体である。

0090

図4Bに示すように、L字パーツ用繊維体600a,600bは、それぞれ、貫通孔601を有する2つの挿入片部602と、x軸方向において各々両端に配置された2つの挿入片部602を互いに連結する連結片部603とを有している。また、L字パーツ用繊維体600a(600b)は、断面L字状に形成されており、連結片部603の上端部の略全域に亘って折曲片部605a(605b)を有している。L字パーツ用繊維体600aの折曲片部605aはz軸負方向に、L字パーツ用繊維体600bの折曲片部605bはz軸正方向にそれぞれ突出している。なお、L字パーツ用繊維体600a(600b)の連結片部603が、図1〜図3Bに示したL字パーツ60a(60b)の連結片部63に、L字パーツ用繊維体600a(600b)の折曲片部605a(605b)が、図1〜図3Bに示したL字パーツ60a(60b)の折曲片部65a(65b)に相当する。

0091

また、背部パーツ用繊維体700は、上記した背部パーツ70(図1〜図3B参照)の中間体であり、図3Bに示した繊維層14f〜14iにそれぞれ対応する主繊維束15aを含む複数の繊維シート、および、繊維層14jに対応する高熱伝導性繊維束15bを含む繊維シートを、図3Bに示した順に積層して形成された繊維体である。図4Bに示すように、背部パーツ用繊維体700は、間隙704を介し、z軸方向において相対するように配置された一対(2つ)の挿入片部702a,702bの組を2組と、x軸方向において各々両端に配置された前記2組の挿入片部702a,702bを互いに連結する連結片部703とを有している。前記一対の挿入片部702a,702bは、それぞれ大径孔部701を有している。そして、挿入片部702a,702bは、互いの大径孔部701の中心軸が一致するように、配置されている。

0092

リング用繊維体800は、上記したリング80(図1〜図3B参照)の中間体であり、繊維束を巻回状に積層して形成された繊維体である。リング用繊維体800は、略円筒形状であり、貫通孔801を有している。この貫通孔801の径寸法と上記L字パーツ用繊維体600a(600b)の貫通孔601の径寸法とは略同一である。また、上記背部パーツ用繊維体700の挿入片部702a(702b)の大径孔部701の径寸法は、L字パーツ用繊維体600a(600b)の貫通孔801よりも大きく、リング用繊維体800の外径と略同一である。

0093

上記のように、各繊維体600a,600b,700,800が含む各繊維シートの繊維束の配向パターンは、図3Bに示した当該繊維体が形成すべき積層部21a〜21dが含む繊維層14a〜14jの繊維束15a,15bの配向パターンに対応している。

0094

組合せ工程(S13)では、図4Bに示すように、L字パーツ用繊維体600a,600b、背部パーツ用繊維体700、リング用繊維体800を組み合わせる。具体的には、L字パーツ用繊維体600aとL字パーツ用繊維体600bとを、その折曲片部605a,605bがz軸方向において互いに外方へ突出するように、かつ、それぞれの挿入片部602の貫通孔601の中心軸が互いに一致させるように組み合わせる。

0095

次に、上記のように組み合わせたL字パーツ用繊維体600aの折曲片部605aおよびL字パーツ用繊維体600bの折曲片部605bのそれぞれの上面と背部パーツ用繊維体700の連結片部703の下面とが接するように組み合わせる。この際、L字パーツ用繊維体600a,600bの挿入片部602が、背部パーツ用繊維体700の一対の挿入片部702a,702bの間の間隙704に嵌入されるように、かつ、L字パーツ用繊維体600a,600bのそれぞれの挿入片部602の貫通孔601の中心軸と背部パーツ用繊維体700の挿入片部702a,702bの大径孔部701の中心軸とが一致するようにする。こうすることで、図1〜図3Bに示した連結部13に相当する部分が、L字パーツ用繊維体600a,600bおよび背部パーツ用繊維体700の連結片部703により形成される。

0096

すなわち、図1〜図3Bに示した第2板部18が、L字パーツ用繊維体600aの折曲片部605a,L字パーツ用繊維体600bの折曲片部605bおよび背部パーツ用繊維体700の連結片部703により、第1板部17がL字パーツ用繊維体600a(600b)の2つの連結片部603によりそれぞれ形成される。

0097

次に、図4Bに示すように、背部パーツ用繊維体700の各挿入片部702a,702bの大径孔部701に、それぞれリング用繊維体800を嵌め込む。こうすることで、図1〜図3Bに示した挿入部12が、L字パーツ用繊維体600a,600bの挿入片部602,背部パーツ用繊維体700の挿入片部702a,702bおよびリング用繊維体800により形成される。そして、上記のように、L字パーツ用繊維体600a(600b)、背部パーツ用繊維体700、リング用繊維体800を組合せることにより、リング用繊維体800の貫通孔801、L字パーツ用繊維体600a(600b)の貫通孔601が連通し、図1〜図3Bに示した孔部11が形成される。以上より、組合せ工程(S13)が完了し、L字パーツ用繊維体600a(600b)、背部パーツ用繊維体700、リング用繊維体800の4種のパーツが組合せられた、図3Bに示す繊維体100が形成される。

0098

樹脂含浸工程(S14)では、例えばレジントランスファー成形やインフュージョン成形により、上記繊維体100に樹脂を含浸させ硬化させる。この際、前述したように、樹脂硬化工程において、樹脂の硬化反応の反応熱が発生するため、繊維体100において、図3Bに示した繊維体100における交差部190の内部温度は上昇する。しかし、繊維体100を構成するL字パーツ用繊維体600a,600bおよび背部パーツ用繊維体700には、図3Bに示した高熱伝導性繊維束15bを含む繊維層14e,14jに対応するよう高熱伝導性繊維束を含む繊維シートが配置されているため、繊維体100の交差部190内で発生した熱を、金型に接触している当該繊維体100の端から外部へと逃がすことができる。以上の工程により、第1態様の連結部材10が完成する。

0099

また、第1態様の連結部材10の製造方法にあっては、繊維体100を、L字パーツ用繊維体600a(600b)、背部パーツ用繊維体700、リング用繊維体800の4種のパーツに分割し、賦形工程(S12)でこれら4種のパーツを形成した後に、4種のパーツを組み合わせる組合せ工程(S13)を有することで、連結部材等の形状が複雑なものや、繊維束の配向方向が複雑なものを容易に作製することができる。

0100

なお、組合せ工程(S13)は、上記で説明したように、賦形工程(S12)と樹脂含浸工程(S14)との間に行ってもよいし、樹脂含浸工程(S14)の後に行ってもよい。組合せ工程(S13)を賦形工程(S12)と樹脂含浸工程(S14)との間に行う場合には、L字パーツ用繊維体600a(600b)、背部パーツ用繊維体700、リング用繊維体800の4つのパーツが樹脂により一体化されるため、各パーツ間の接合を強固にすることができる。一方、組合せ工程(S13)を樹脂含浸工程(S14)の後に行う場合には、各パーツの表面から樹脂を含浸させることができるため、樹脂の充填率を高めることができる。

0101

(実施例)
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0102

<実施例>
実施例として、図1A図3Bに示す第1態様の連結部材10のうち、連結部13のみの構成を有する試験片を作製し、下記詳述する試験に供した。

0103

[試験片の構成]
第1態様の連結部13の構成を有する試験片として、図3Bに示すように、交差部19の中心O3から第1板部17の端(下方端)E1までの距離L1を10mm、15mm、20mm、35mm、50mm、65mmとした5種類の試験片を用意した。いずれの試験片においても、第1板部17の厚さt1を5mm、第2板部18の厚さt2を5mm、交差部19の中心O3から第2板部18の端(左方端)E2および右方端E3までの距離L2及びL3を20mmと、それぞれ同一条件とした。なお、図5Aおよび図5Bでは、交差部19の中心O3から第1板部17の端(下方端)E1までの距離L1を横軸として表示している。

0104

そして、実施例に係る試験片においては、第1板部17を構成する複数の繊維層14a〜14eのうちの一部の繊維層14e、および、第2板部18を構成する複数の繊維層14f〜14jのうちの一部の繊維層14jには、それぞれ熱伝導率が200W/m・Kの高熱伝導性繊維束15bを配置した。一方、複数の繊維層14a〜14d,14f〜14iには、熱伝導率が10W/m・Kの繊維束15aを配置した。

0105

[試験片の製造工程および交差部の内部温度測定]
図4Aに示す第1態様の連結部材10の製造方法に沿って、各試験片を作製した。特に、図4Aに示す工程中、樹脂含浸工程(S14)では、高圧レジントランスファー成形を用いた。そして、各試験片における交差部19の内部温度を測定し、樹脂注入後から樹脂硬化反応が完了するまでの間の最大到達温度を内部温度として記録した。その結果を、図5Aに示す。

0106

[試験片の交差部の曲げ強度試験
各試験片の第2板部18から突出した第1板部17を切断し、表面を平坦研磨した後、40mm×10mm、厚さ5mmの曲げ試験片をそれぞれ切り出した。各曲げ試験片に対し、第2板部18において第1板部17を切断して表面を研磨した面を下にして、n=5、スパン間距離25mm、試験速度1mm/分で曲げ強度試験の測定を行った。その結果を図5Bに示す。なお、図5Bに示す比曲げ強度とは、実施例に係るL1が10mmの試験片から切り出した曲げ試験片の曲げ強度を基準とし、各曲げ試験片で得られた曲げ強度を正規化した数値である。

0107

<比較例>
比較例の試験片は、第1板部17を構成する複数の繊維層14a〜14eのうちの一部の繊維層14e、および、第2板部18を構成する複数の繊維層14f〜14jのうちの一部の繊維層14jに、高熱伝導性繊維束15bではなく主繊維束15aを配置した以外は、上記実施例の試験片と同様に作製した(5種類)。これらの試験片について、上記実施例と同様に、交差部19の内部温度測定を行った。比較例の試験片についても、実施例と同様に上記曲げ強度試験を行った。

0108

<試験結果>
図5Aは、樹脂含浸工程中の交差部の内部温度の測定結果を示すグラフである。図5Aに示すように、比較例では、L1が20mmを超えた試験片では内部温度が120℃を超え、L1が大きくなるに従って、内部温度が上昇していくことがわかった。そして、図5Bに示すように、L1が20mmを超えた試験片では、曲げ強度が低下していくことがわかった。このことから、交差部を有する繊維強化樹脂体において、L1≧20mm、かつ、t1≧5mmの場合であって、本発明を適用しない場合には、交差部の強度が低下する結果となった。第2板部についても、L2≧20mmかつt2≧5mmの場合には、同様の結果になるものと推察される。

0109

一方、図5Aに示すように、実施例では、比較例と同様にL1が20mmを超えた試験片では内部温度が120℃を超え、L1が大きくなるに従って、内部温度が上昇していくが、その内部温度はいずれも比較例よりも低くなった。そして、図5Bに示すように、実施例では、比較例と同様に、L1が20mmを超えた試験片では、L1が大きくなるに従って、曲げ強度が低下していくが、その低下率は、例えばL1が65mmの場合でも5%未満であり、9%近く低下した比較例よりも低くなった。これは、実施例に適用した高熱伝導性繊維束が、樹脂含浸工程中における交差部の内部温度を低下させたことを意味しており、交差部を有する繊維強化樹脂体において、L1≧20mm、かつ、t1≧5mmの場合では、交差部の強度の低下を抑制可能な点で、本発明が有効であることがわかった。第2板部についても、L2≧20mmかつt2≧5mmの場合には、同様と推察される。

0110

以上の結果から、本発明に係る繊維強化樹脂体の構成を適用した実施例の試験片は、適用しなかった比較例の試験片に対し、当該交差部の強度低下を防止できることが示された。

0111

本発明は前記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。

0112

10連結部材(繊維強化樹脂体)
11 孔部
12 挿入部
13 連結部
14a,14b,14c,14d,14e,14f,14g,14h,14i,14j繊維層
15a繊維束(主繊維束)
15b高熱伝導性繊維束
16樹脂
17,170 第1板部
18,180 第2板部
19,190 交差部
21a,21b,21c,21d,21e 積層部
22 樹脂部
60a,60b L字パーツ
63,603,703連結片部
65a,65b,605a,605b折曲片部
70背部パーツ
80リング
100繊維体(プリフォーム)
600a,600b L字パーツ用繊維体
601,801貫通孔
602,702a,702b挿入片部
700 背部パーツ用繊維体
701 大径孔部
800 リング用繊維体

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