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技術 エアフィルタおよびそれを用いた空気清浄装置

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 加藤港
出願日 2019年3月22日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-053994
公開日 2020年9月24日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-151677
状態 未査定
技術分野 濾過材 換気1 積層体(2) ガス中の分散粒子の濾過 固体収着剤及びろ過助剤 静電分離
主要キーワード 接触分布 網目空間 負荷環境 無極性分子 無秩序状態 形状固定 ホルムアルデヒド分 遠心送風ファン
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

空気中の水分と活性炭素繊維性質を利用して、長期に亘り高い脱臭効果を発揮可能なエアフィルタを提供する。

解決手段

上流側からプレフィルタ14と、シート状濾材プリーツ化したフィルタ層とで構成されたエアフィルタ6であり、前記フィルタ層は、上流側から吸湿性繊維層15、活性炭素繊維層16、基材層17、帯電繊維層18の順に貼り合わせた構成であり、前記基材層17は、化学吸着成分23を含み、前記化学吸着成分23はアミン系化合物であることを特徴とするため、活性炭素繊維および化学吸着成分の吸着能力最大限活かし、少量の担持量でも所望の脱臭効果を長期に亘り発揮可能である。

概要

背景

空間を汚染する臭気物質多岐にわたっている。住宅内の壁紙や家具等からは、ホルムアルデヒド揮発性有機化合物であるVOCが空気中に放出され、シックハウス症候群が問題視されている。特にホルムアルデヒドは低濃度であっても健康障害を起こすため、建築基準法規制され、室内汚染物質として除去することが望まれている。

室内汚染物質として除去するために、従来から、図8に示すフィルタ濾材101には大きな比表面積細孔容積をもつ活性炭が使用されている。この種のフィルタ濾材101の構成として、吸着剤102を担持層103である活性炭、またはシリカゲルなどに含有させ、基材104とカバー層105に挟み込むことで、フィルタに保持させプリーツ状成形することが開示されていた(例えば、特許文献1を参照)。また、活性炭を用いた脱臭フィルタの構造には、繊維状の活性炭素繊維も存在し、表面積が大きく脱臭に寄与するサイトが多いため、浄化速度の速い手段として使われている(例えば、特許文献2を参照)。

しかしながら、活性炭は物理的な吸着機構が主であり、活性炭自体が非極性分子であるため、非極性分子のトルエンベンゼン吸着されるものの、極性分子であるアルデヒド類に対する吸着力は非常に弱い。そのため、極性を有する臭気物質の吸着は困難であり、フィルタを通過したとしても、再度空気中へ放出されてしまう。

一方、上記問題を解決する手法として、化学吸着剤担持させた繊維状の脱臭フィルタでは、臭気物質を化学反応で吸着させるため高い脱臭性能を発揮可能で、研究開発が進んでいる(例えば、特許文献3と4を参照)。

概要

空気中の水分と活性炭素繊維の性質を利用して、長期に亘り高い脱臭効果を発揮可能なエアフィルタを提供する。上流側からプレフィルタ14と、シート状濾材プリーツ化したフィルタ層とで構成されたエアフィルタ6であり、前記フィルタ層は、上流側から吸湿性繊維層15、活性炭素繊維層16、基材層17、帯電繊維層18の順に貼り合わせた構成であり、前記基材層17は、化学吸着成分23を含み、前記化学吸着成分23はアミン系化合物であることを特徴とするため、活性炭素繊維および化学吸着成分の吸着能力最大限活かし、少量の担持量でも所望の脱臭効果を長期に亘り発揮可能である。

目的

特にホルムアルデヒドは低濃度であっても健康障害を起こすため、建築基準法で規制され、室内汚染物質として除去することが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

上流側からプレフィルタと、シート状濾材プリーツ化したフィルタ層とで構成されたエアフィルタであり、前記フィルタ層は、上流側から吸湿性繊維層、活性炭素繊維層基材層帯電繊維層の順に貼り合わせた構成であり、前記基材層は、化学吸着成分を含み、前記化学吸着成分はアミン系化合物であることを特徴とするエアフィルタ。

請求項2

前記化学吸着成分は、前記基材層を形成する繊維の表面に塗布されている、あるいは繊維内部に混合されていることを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタ。

請求項3

前記帯電繊維層には負帯電を促進する帯電強化剤が含まれることを特徴とする請求項1または2に記載のエアフィルタ。

請求項4

前記帯電繊維層を形成する高分子材料体積抵抗率が1016Ωcm以上、且つ誘電正接が0.001以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエアフィルタ。

請求項5

吸気口と送風手段と送風口を有した本体ケースと、前記本体ケースの前記吸気口に、エアフィルタと、前記本体ケースの内部に前記吸気口と送風口を連通させる空気清浄経路とを備えた空気清浄装置であって、前記エアフィルタは請求項1から4のいずれかに記載のエアフィルタである空気清浄装置。

技術分野

0001

本発明は、空気浄化を目的としたエアフィルタおよびそれを組み込んだ空気清浄装置に関する。

背景技術

0002

空間を汚染する臭気物質多岐にわたっている。住宅内の壁紙や家具等からは、ホルムアルデヒド揮発性有機化合物であるVOCが空気中に放出され、シックハウス症候群が問題視されている。特にホルムアルデヒドは低濃度であっても健康障害を起こすため、建築基準法規制され、室内汚染物質として除去することが望まれている。

0003

室内汚染物質として除去するために、従来から、図8に示すフィルタ濾材101には大きな比表面積細孔容積をもつ活性炭が使用されている。この種のフィルタ濾材101の構成として、吸着剤102を担持層103である活性炭、またはシリカゲルなどに含有させ、基材104とカバー層105に挟み込むことで、フィルタに保持させプリーツ状成形することが開示されていた(例えば、特許文献1を参照)。また、活性炭を用いた脱臭フィルタの構造には、繊維状の活性炭素繊維も存在し、表面積が大きく脱臭に寄与するサイトが多いため、浄化速度の速い手段として使われている(例えば、特許文献2を参照)。

0004

しかしながら、活性炭は物理的な吸着機構が主であり、活性炭自体が非極性分子であるため、非極性分子のトルエンベンゼン吸着されるものの、極性分子であるアルデヒド類に対する吸着力は非常に弱い。そのため、極性を有する臭気物質の吸着は困難であり、フィルタを通過したとしても、再度空気中へ放出されてしまう。

0005

一方、上記問題を解決する手法として、化学吸着剤担持させた繊維状の脱臭フィルタでは、臭気物質を化学反応で吸着させるため高い脱臭性能を発揮可能で、研究開発が進んでいる(例えば、特許文献3と4を参照)。

先行技術

0006

国際公開第2016/199756号
特開2011−83693号公報
国際公開第2009/122975号
国際公開第2010/074311号

発明が解決しようとする課題

0007

上記従来例のように、粒子状の活性炭あるいは活性炭素繊維を脱臭フィルタとして用いると、臭気物質全般を幅広吸着脱臭できる。しかしながら、活性炭自体が非極性分子であることから、臭気物質の極性によって、吸着しやすい物質と吸着しにくい物質が存在する。特に、低分子且つ極性分子であるアセトアルデヒドやホルムアルデヒド等のアルデヒド類は、活性炭に吸着されにくい。そのため、アルデヒド類は浄化されず空気は汚染されたままである。

0008

また、化学吸着剤を繊維濾材に用いた例では、化学吸着剤の種類によって吸着可能な臭気物質は限られる。化学吸着剤の選択次第でアルデヒド類との化学反応で高い吸着脱臭性能を発揮することが可能であるが、化学吸着剤の吸着容量は決まっているため、吸着サイトがなくなれば臭気物質は吸着されなくなる。つまり、脱臭効果高寿命化を達成するためには、化学吸着剤の担持量を多くする必要があるため、濾材目詰まりによる圧力損失が増加し、製造コストも高くなるという課題がある。

0009

さらに、濾材を形成する繊維による3次元網目構造中、あるいは3次元網目繊維中に添着された化学吸着剤は、吸着剤が担持された部分の表面積を大きくとることができ、高い脱臭効果を発揮することができる。

0010

しかしながら、発明者らは、担持量と脱臭効果を比較した場合に意図した効果が得られていないことに気が付いた。そして、吸着能力がなくなったエアフィルタ濾材分析を進める中で、化学吸着剤の活性部は大部分が未反応のまま存在しており、本来の吸着能力を発揮できていないことがわかった。すなわち、上流側から流入するガス分子は、化学吸着剤の表層に存在している活性のある官能基と反応し吸着されるが、吸着剤の内部に内包されている活性部とは反応しにくく、脱臭フィルタは、本来の吸着容量に到達せずに寿命を迎えていた。

0011

そのため、所望の脱臭能力を達成させるためには、目標の吸着容量から計算される吸着剤の量以上の担持量が必要となる。吸着剤の担持量を増やすことは、エアフィルタ濾材として圧力損失の増加に繋がってしまう。

0012

そこで本発明は、従来の活性炭脱臭フィルタおよび薬剤添着型脱臭フィルタと比較して、吸着効率の向上および脱臭効果の高寿命化を実現するエアフィルタおよびそれを用いた空気清浄装置の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0013

そして、この目的を達成するために、本発明に係るエアフィルタおよびそれを用いた空気清浄装置は、上流側からプレフィルタと、シート状濾材プリーツ化したフィルタ層とで構成されたエアフィルタであり、前記フィルタ層は、上流側から吸湿性繊維層、活性炭素繊維層基材層帯電繊維層の順に貼り合わせた構成であり、前記基材層は、化学吸着成分を含み、前記化学吸着成分はアミン系化合物であることを特徴とするものであり、これにより所期の目的を達成するものである。

発明の効果

0014

本発明によれば、上流側からプレフィルタと、シート状濾材をプリーツ化したフィルタ層とで構成されたエアフィルタであり、前記フィルタ層は、上流側から吸湿性繊維層、水分の吸収によりアルカリ性を呈する活性炭素繊維層、基材層、帯電繊維層の順に貼り合わせた構成であり、前記基材層は、化学吸着成分を含み、前記化学吸着成分はアミン系化合物であることを特徴とした。

0015

この構造により、前記吸湿性繊維層が空気中の水成分を吸収し、前記活性炭素繊維層との接触界面に水成分が存在することとなる。そのため、前記吸湿性繊維層と前記活性炭素繊維層との接触界面では水成分が存在し、接触界面のpHはアルカリ性、すなわち前記活性炭素繊維の上流側表面は負帯電に帯電する。これにより、前記活性炭素繊維層を通過する極性をもつ臭気物質は、ファンデルワールス力による物理的な吸着だけでなく、クーロン力による力を受けるため、活性炭の細孔に吸着されやすくなる。つまり、活性炭素繊維が非極性の臭気物質だけでなく、極性をもつ臭気物質の吸着能力をもつことになり、吸着能力の向上が期待できる。

0016

さらに、前記基材層は、化学吸着成分を含み、前記化学吸着成分はアミン系化合物であり、前記基材層を形成する繊維の表面に塗布されている、あるいは繊維内部に混合されていることを特徴とする。前述した通り、前記活性炭素繊維層の上流側表層部は負帯電状態であるため、前記活性炭素繊維層の下流側表層部は正帯電に偏ることとなる。そのため、電気的な極性を有する化学吸着成分を含む前記基材層が、前記活性炭素繊維層の下流側に配置されて、前記活性炭素繊維層の下流側表層部の電気的な極性と逆極性をもつ活性部(官能基)が上流側表層部に配列することになるため、アルデヒド類を代表とする臭気物質との活性部を化学吸着剤の上流側表層部に集中させることができる。これにより、上流側から流入してくる臭気物質との接触確立が向上し、吸着剤の担持量に対して効率よく吸着反応を引き起こすことができ、高い脱臭効果が実現可能となる。これは、繊維構造に化学吸着剤を添着させる場合だけでなく、繊維自体に化学吸着剤が入っている場合でも同様の効果が得られる。

0017

すなわち、本発明によると、前記吸湿性繊維層と前記活性炭素繊維層の接触により、活性炭素繊維層の総吸着量を向上させ、前記基材層に含有する化学吸着剤の配列制御により、担持量が少なくとも高い脱臭効果を発揮可能である。上流側に配置した活性炭素繊維でも極性分子の吸着を促進したことから、下流側の前記基材層に含有する化学吸着剤の吸着容量が飽和するまでの時間が長期化し、エアフィルタとして高寿命化も期待できる。

図面の簡単な説明

0018

本発明の実施の形態1の空気清浄装置の設置状態を示す斜視図
本発明の実施の形態1の空気清浄装置の断面図
本発明の実施の形態1のエアフィルタの斜視図
本発明の実施の形態1のエアフィルタの断面模式図
本発明の実施の形態1のエアフィルタにおける電解分布を示す図
本発明の実施の形態1の化学吸着成分の模式図
化学吸着成分の配向分極を説明する模式図((a)化学吸着剤が繊維構造に添着されている状態の断面図、(b)化学吸着剤が繊維自体に内包されている状態の断面図)
従来のエアフィルタを示す概略図

実施例

0019

本発明の請求項1に係わるエアフィルタは、上流側からプレフィルタと、シート状濾材をプリーツ化したフィルタ層とで構成されたエアフィルタであり、前記フィルタ層は、上流側から吸湿性繊維層、活性炭素繊維層、基材層、帯電繊維層の順に貼り合わせた構成であり、前記基材層は、化学吸着成分を含み、前記化学吸着成分はアミン系化合物であることを特徴とする。

0020

活性炭素繊維は、石炭植物由来素材から作られるため、水中での使用や水成分を含む用途の場合は、素材由来無機成分が液体溶け出し、液および活性炭素繊維表面はアルカリ性に傾く。また、活性炭素繊維の一般的な製造プロセスにおいて、500℃以上の炭化賦活化のための高温処理が必要になり、活性炭素繊維の表面状態塩基性の官能基が集中することがわかっている。活性炭素繊維表面近傍の液体のpHがアルカリ性になると、活性炭素繊維表面は負電荷をもつことが認められている。

0021

以上のことから、上流側から吸湿性繊維層と活性炭素繊維層が配置され、層間の接触界面において活性炭素繊維層へ水成分の移動がおこると、上記理由から接触界面はアルカリ性に傾き、活性炭素繊維層の上流側表層部には負電荷が集中する。これにより、気中では無極性分子に近い状態の活性炭素繊維では極性分子の吸着がほとんど行われないが、吸湿性繊維の利用で電荷偏りを持たせることで、アルデヒド類に代表される極性分子の吸着が促進され、吸着性能の向上に繋がる。

0022

また、活性炭素繊維層の上流側表層部は負帯電していることから、活性炭素繊維層の下流側表層部には逆極性の正電荷が集まっている。そのため、活性炭素繊維の下流側で密着する基材層も電気的な影響を受ける。基材層に含まれる極性を有する化学吸着成分は、分子内で電荷の偏りがある双極子の状態として存在するため、活性炭素繊維層の下流側表層部の正電荷に影響されて、化学吸着成分の分子内の負電荷を帯びている部分が活性炭素繊維層(上流)側に向くことになる。そのため、電気的な影響がない環境下では、吸着剤内で双極子の向きが無秩序状態になっているが、電気的な影響がある環境下では、基材層の上流側表層部方向に化学吸着成分の双極子が配向され、吸着反応への寄与度を増加させることができる。すなわち、アルデヒド類に代表される室内のガス分子が官能基と接触する確率が上昇し、吸着性能の向上に繋がる。

0023

また、本発明の請求項2に係わるエアフィルタは、前記化学吸着成分は、前記基材層を形成する繊維の表面に塗布されている、あるいは繊維内部に混合されていることを特徴とする。

0024

これにより、塗布された化学吸着成分が基材層を形成する繊維濾材の表面に広範囲にわたって露出された状態になるため、ガス分子との接触面積が向上して、臭気物質を取り除く効果をさらに向上できる。

0025

本発明の請求項3に係わるエアフィルタは、前記帯電繊維層には負帯電を促進する帯電強化剤が含まれることを特徴とする。

0026

これにより、極性を有する化学吸着成分が含まれる基材層は、帯電強化剤によって負帯電が強化された帯電繊維層が存在することにより、活性炭素繊維層の電荷の影響を受けるだけでなく、帯電繊維層からの電気的な影響も受ける。そのため、負帯電が強化された帯電繊維層があることで、基材層内の化学吸着成分の配向分極はより強固なものとなり、高い脱臭性能を実現可能である。さらに、クーロン力が強化されることによって帯電繊維層の集塵性能が向上することが期待される。

0027

また、本発明の請求項4に係わるエアフィルタは、前記帯電繊維層を形成する高分子材料体積抵抗率が1016Ωcm以上、且つ誘電正接が0.001以下であることを特徴とする。

0028

これにより、前記帯電繊維層は紡糸時あるいはエレクトレット処理時に付与された多くの電荷を安定保持することが可能で、高い電界強度を長期間にわたって保持することができるため、クーロン力による捕集効率も長期間維持することが可能である。大気中の粉塵水蒸気といった負荷環境下に曝されても、太繊維内部で分極された双極子は影響を受けづらく、大気中への電荷放出を抑えることができ、長期に亘って帯電能力が維持され、高い捕集効率を発揮することが可能となる。

0029

また、本発明の請求項5に係わる空気清浄装置は、吸気口と送風手段と送風口を有した本体ケースと、前記本体ケースの前記吸気口に、エアフィルタユニットと、前記本体ケースの内部に前記吸気口と送風口を連通させる空気清浄経路とを備えた空気清浄装置であって、前記エアフィルタユニットは請求項1から4のいずれかに記載のエアフィルタユニットである。

0030

これにより、本体ケーシングの吸気口から、大気粉塵や臭気物質を含む汚染された空気が吸い込まれてエアフィルタユニットを通過することにより浄化され、清浄な空気を室内に排気し、室内の空気質を清浄化することができる。

0031

以下、図面を参照しながら本発明におけるエアフィルタの実施の形態について説明する。なお、以下に説明する内容は実施の一例に過ぎず、これに限定されるものではない。

0032

前提例)
本実施の形態における脱臭メカニズムとしては、活性炭素繊維におけるファンデルワールス力由来の物理吸着反応と、アミン系化合物を配合した基材層での化学吸着反応が主である。特に、室内の汚染物質の代表格であるホルムアルデヒドを例に挙げて説明する。

0033

アミン系化合物とホルムアルデヒドでは以下のような不可逆反応が生じる。

0034

反応の一例を挙げると、
R−NH2+HCHO
→R−N=CH2+H2O(shiff塩基
2H2NCONH2(尿素)+HCHO
NN2CONHCH2NHCONH2(ジメチロール尿素
NH2−NH2(ヒドラジン)+2HCHO
→CH2=N−N=CH2
などのように反応する。

0035

これらの反応は、アルデヒド基をもつガス成分に対して有効な反応であるため、ホルムアルデヒド以外のアルデヒド類化合物との反応性にも適応できる。

0036

本実施の形態のエアフィルタは、活性炭素繊維の吸着能力およびフィルタ濾材に担持したアミン系化合物による吸着効率を向上させるものである。以下、その構成について説明をする。

0037

(実施の形態1)
通常、建屋内においてホルムアルデヒドは、図1に示すように、壁紙1あるいは家具2などから発生し、空気よりも比重が重いため、室内で床3付近に濃度が高い状態で存在している。

0038

本実施の形態1に示すエアフィルタ6は、例えば、図1に示す空気清浄装置4に備えられる。空気清浄装置4は、室内の床3の上に設置され、空気清浄運転を行うものである。

0039

図2に示すように、空気清浄装置4は、本体ケーシング5内に、エアフィルタ6と送風手段7とを備えている。

0040

本体ケーシング5は、例えば縦長の箱型形状をしており、本体ケーシング5の前面側にエアフィルタ6と同サイズの吸気口8を備え、本体ケーシング5の天面部には、四角形状の排気口9を備え、空気の流れを整流するルーバー10を設けている。排気口9は送風手段7の上部において送風手段7の吐出口に連通している。

0041

送風手段7は、吸気口8と排気口9との間の風路に設けられ、スクロール形状のケーシング11と、このケーシング11内に備えられた遠心送風ファンである羽根12と、この羽根12を回転させるモーター13とから構成されている。

0042

すなわち、空気清浄装置4は、モーター13が回転することにより、遠心送風ファンの羽根12が回転し、吸気口8から本体ケーシング5内に、室内の空気が吸引され、エアフィルタ6、本体ケーシング5内の風路、送風手段7を介して排気口9へと送風される機構になっている。そして、室内の空気に含まれる大気塵や臭気物質をエアフィルタ6で除去し、清浄な空気を室内へと送風するものである。

0043

エアフィルタ6は、空気清浄装置4の運転時に面風速下げて集塵性能と脱臭性能を向上させるために、シート状濾材をプリーツ形状に加工し、集塵あるいは脱臭に寄与する濾材面積を広くした方が有効である。そこで、エアフィルタ6は、図3に示すように、山部19と谷部20を有するプリーツ形状をしており、その外周には、プリーツ形状を保持するための形状保持部21が設けられている。プリーツ形状の固定のためには、プリーツの山部19間のピッチ間隔が均一になるように、接着成分22で形状固定している。

0044

プリーツ化の方法に関しては、特に制限はなく、山部19と谷部20によるプリーツ形状が成形できればよい。

0045

このようなエアフィルタ6は、図4に示すように、上流側から順番にプレフィルタ14、吸湿性繊維層15、活性炭素繊維層16、基材層17、帯電繊維層18が配置されている。プレフィルタ14以外の4層は接着成分(図示せず)によって貼り合わせられている。

0046

上記構成において、エアフィルタ6で得られる効果について説明をする。

0047

本実施の形態のエアフィルタ6の構成に関しては、前述したような構成であり、各層の順番は固定である。

0048

吸湿性繊維層15が上流側に配置されていることによって、空気中の水成分を吸着する。一般的に集塵層は帯電しているため、空気中の水分を吸着すると電荷の放出が発生し、集塵性能は劣化してしまう。しかしながら、吸湿性繊維層15と集塵層である帯電繊維層18は非接触であり、吸湿性繊維層15が上流に位置していることから、帯電繊維層18には乾燥した空気が流入し、帯電性能が長期に亘り維持し続けることが可能となる。

0049

吸湿性繊維層15の下流側に活性炭素繊維層16が配置されることによる効果を説明する。

0050

活性炭素繊維層16は、天然繊維化学繊維ピッチ系繊維等の原料繊維を、不溶化処理した後に、300℃以上で炭化処理し、500℃以上の賦活化処理微細孔発達させるような高温の製造プロセスを経ることで、アルカリ性を示しやすい表面状態にすることができる。さらに、活性炭素繊維表面は水成分を吸着すると、無機物質の溶け出しや活性炭素繊維表面の官能基の影響で、液体のpHはアルカリ性を示し、吸湿性繊維層15と活性炭素繊維層16の接触界面は負帯電領域となる。これにより、活性炭素繊維を通過する臭気物質はクーロン力による影響を受ける。そのため、活性炭素繊維層16では、非極性分子の臭気物質に対する吸着性能だけでなく、アルデヒド類等の低分子且つ極性分子の臭気物質に対する吸着性能を向上させることができる。

0051

活性炭素繊維層16の下流側に基材層17、基材層17の下流側に帯電繊維層18が配置されることによる効果を説明する。

0052

図5に示すように、帯電繊維層18は単独で負帯電しやすい構成をしているため、帯電繊維層18の上流側表層部には負電荷が多く存在し、基材層17の下流側表層部には正電荷が引き寄せられやすい状態になっている。また、基材層17にはアミノ系化合物を含む化学吸着成分が添着され、双極子をもつ分子として存在する。基材層17の上流側表層部には負電荷が集中しやすい状態であり、化学吸着反応に寄与する官能基(NH2)が負電荷に偏った構造をしているため、基材層17の上流側表層部の方向に官能基(NH2)が配向し、臭気物質と反応しやすく、高い脱臭効果を発揮可能である。さらに、基材層17の上流側表層部に負電荷が集中することから、活性炭素繊維層16の下流側表層部には正電荷が誘起され、上流側表層部には負電荷が引き寄せられやすい状態になっている。すなわち、上流側に配置した吸湿性繊維層15と、下流側に配置した基材層17および帯電繊維層18の影響を受け、活性炭素繊維層16の上流側表層部はより負電荷が集中した領域となることから、前述した通り、活性炭素繊維層16の吸着性能を向上させることができる。

0053

以下に各層に関する詳細を説明する。

0054

吸湿性繊維層15については、空気中の水成分を繊維表面に吸着できれば材質は問わない。例として、綿、のような天然繊維やレーヨンのような再生繊維合成繊維半合成繊維ガラス繊維などが挙げられ、少なくともこれらの中の少なくとも一つを含む繊維から形成され、複数を混合した材料でもよい。親水性を向上させる手段として、親水性塗料を繊維表面にコーティングする手段や、親水性添加剤を繊維表面あるいは繊維中に分散させる手段等を用いてもよい。

0055

活性炭素繊維層16に用いる材料は、石油ピッチ石炭ピッチレーヨン系ポリアクリロニトリル系、セルロース系、フェノール系などの素材が挙げられ、少なくとも一つを含む材料から形成され、複数を混合した材料でもよい。また、活性炭素繊維表面に化学吸着成分が添着されていてもよい。

0056

活性炭素繊維層16の製造方法としては、活性炭素繊維を製造できる方法であれば特に制限はない。一般的に、材料を選定した後、製糸、炭化、賦活表面処理の順に加工する方法が知られている。本実施の形態では、活性炭素繊維の表面状態としてアルカリ性の性質を持たせるため、炭化や賦活の高温処理工程において、500℃以上で処理することが好ましい。

0057

活性炭素繊維層16の目付量は、60g/m2以上70g/m2以下であることが好ましい。目付量が60g/m2よりも小さくなると、吸着性能が低下し、吸着容量も小さくなるため好ましくない。目付量が70g/m2よりも大きくなると、活性炭素繊維層16の圧力損失が大きくなるので、エアフィルタ6の圧力損失が大きくなるという点で好ましくない。

0058

活性炭素繊維層16の繊維径繊維長は特に制限されるものではない。しかしながら、繊維の分散性や吸湿性繊維層15との密着性、濾材の圧力損失を考慮すると、平均繊維径は1〜30μmが好ましく、平均繊維長は1〜20mmが好ましい。

0059

基材層17には、アミノ系化合物を含む化学吸着成分23が添着、あるいは繊維24内に内包されている。

0060

図6に示す構造は一例であるが、基材層16に含まれる化学吸着成分23は、分子内で電荷の偏りがある双極子として存在している。双極子は化学吸着成分内で無秩序な方向を向いている。

0061

図7(a)に示すように、繊維24上に添着された化学吸着成分23を考えると、電気的な影響を受ける環境下において、双極子は電気的な力を受けて、方向が変わる。すなわち、活性炭素繊維層16の下流側表層部の正電荷の偏りに対応して、反対の負電荷をもつ原子団が、化学吸着成分23の上流側表層部に配列する。アミン系化合物の原子構成のなかで反応に寄与するのは窒素原子を含むアミノ基(NH2)の原子団である。この官能基は一般的には負電荷への偏りを有しているため、上記構成とすることで、化学吸着成分23の中で、アルデヒド系のガス分子と反応する官能基を、上流側表層部側に回転移動させることが可能である。

0062

これにより、化学吸着成分23の吸着容量を有効に使用でき、吸着性能を向上させることが可能である。少量の添着量でも所望の脱臭効果が期待でき、エアフィルタ6としての圧力損失を低減可能である。

0063

また、図7(b)に示すように、基材層17を形成する繊維24自体に、化学吸着成分23が組み込まれている場合においても、上記と同様の効果を得ることができる。

0064

基材層17については、ガラス繊維、パルプ繊維樹脂繊維炭素繊維および無機繊維の少なくとも1つを含む繊維によって形成されている。基材層17の製法としては、スパンボンド法、乾式または湿式抄紙法メルトブローン法、スパンボンド法、エアレイド法サーマルボンド法などが挙げられ、特に制限はない。

0065

基材層17に含まれる化学吸着成分23を含有させる手段は、基材層17の繊維構造表層部に一様に分布していれば制限はない。例として、基材層17を吸着剤の溶液中に含浸または塗布する方法や、基材層17を形成する繊維の原料溶液に吸着剤を混合し、電界紡糸法で繊維化させる方法であれば、化学吸着成分23が繊維表面全体に広範囲にわたって含有される状態となる。そのため、基材層17を通過するホルムアルデヒド分子は、アミン系化合物との接触分布が均一となり、脱臭効果の向上が見込める。

0066

帯電繊維層18を形成する繊維の平均繊維径は、低圧力損失化が求められるため、50nm以上3000nm以下の繊維で構成することが好ましい。繊維径が3000nmより太くなると、帯電繊維層18の空孔を形成する際に、高分子繊維堆積が占める割合が大きくなり、空気抵抗の増加、すなわち圧力損失の増加に繋がる。また、繊維径が50nmよりも細くなると、空気分子が繊維の網目空間を歪ませて通過するため、圧力損失の増大を招いてしまうため、50nm以上3000以下の繊維径が好ましい。

0067

また、帯電繊維層18は、帯電性を確保するために、帯電繊維層18を形成する高分子繊維の体積抵抗率を、1016Ωcm以上、且つ誘電正接が0.001以下の条件を満たす高分子にすることが好ましい。規格JIS K 6911(工業標準化法に基づく規格)およびASTMD257(米国試験材料協会策定の規格)に準拠して測定した帯電繊維層18そのものの体積抵抗値が1016Ωcm以上であればよい。

0068

体積抵抗率が1016Ωcmより低いと、高電圧印加時の繊維への電荷付与が不十分となり、捕集効率が低下する。また、誘電正接が0.001より大きいと、繊維に付与された電荷の保持が不安定になり、湿度の高い状況下、すなわち水蒸気に曝露されると電荷が大気中に放出されやすく、捕集効率が低下してしまう。つまり、体積抵抗率は1016Ωcm以上、且つ誘電正接が0.001以下の高分子が好ましい。

0069

帯電繊維層18の製造方法としては、例えば、メルトブローン法、エレクトロスピニング法、スパンボンド法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法湿式法などであり、多くの場合、繊維形成後にエレクトレット加工をする必要がある。エレクトロスピニング法を用いた場合、製造工程の中で、高電圧印加する製造方法であるため、新たなエレクトレット化は不要である。つまり、エレクトロスピニング法において、紡糸のためのノズルに負の高電圧をかけることで、紡糸した繊維層表面を負に帯電させることができる。

0070

帯電繊維層18を形成する材料に関しては、例えば、ポリオレフィン系高分子スチレン系高分子ポリエーテル系高分子ポリビニルアルコール系高分子ポリエステル系高分子ポリイミド系高分子、ポリイミド系高分子、ポリアミドイミド系高分子ウレタン系高分子エポキシ系高分子、フッ素系高分子セルロース系高分子アクリル系高分子塩化ビニル系高分子、フェノール系高分子、テフロン登録商標)、シリコン、ガラス繊維などが挙げられ、この中から一つ、あるいは複数を混合した材料でもよい。

0071

また、帯電繊維層18に添着される帯電強化剤は、負の帯電効果を増強するものである。以下に記載する内容は一例に過ぎず、これに限定されるものではない。

0072

負帯電を促進する材料として、フッ素系化合物光安定剤ポリメタクリル酸メチル粒子架橋ポリメタクリル酸メチル粒子無機微粒子金属微粒子負帯電性トナーなどが挙げられ、これら2種類以上を混合して用いてもよい。

0073

なお、荷電制御剤表面処理剤により、帯電の極性を変化させることが可能な材料も存在し、これらを用いてもよい。

0074

帯電強化剤を、帯電繊維層18に含ませる手段としては、帯電繊維層18繊維紡糸時や帯電繊維への樹脂等のコーティング時に、帯電強化剤を紡糸液コーティング液に含有させておく方法や、帯電強化剤を溶液に溶解・分散させ、少量の界面活性剤およびバインダーを加えた後、この液体に帯電繊維層18を浸漬させる方法、帯電強化剤が含有した液体をスプレーで噴き付ける方法、刷毛ローラーで塗布する方法等が挙げられる。上記方法に中で好ましくは、帯電繊維層18の繊維形成後に帯電強化剤を含浸または塗布させる手法を用いる手法であり、これにより、帯電強化剤は帯電繊維層18の表層部に広範囲にわたって多量に含有される状態となり、集塵効率の増加や、基材層17に含まれる化学吸着成分23の配向分極を促進させ、脱臭効果の向上に繋がる。

0075

上記構成によれば、活性炭素繊維層の総吸着量を向上させ、基材層に含有する化学吸着剤の配列制御により、担持量が少なくとも高い脱臭効果を発揮可能である。上流側に配置した活性炭素繊維でも極性分子の吸着を促進したことから、下流側に配置した基材層に含有する化学吸着剤の吸着容量が飽和するまでの時間が長期化し、エアフィルタとして高寿命化も期待できる。

0076

以上のように、本発明におけるエアフィルタおよびそれを用いた空気清浄装置は、空気中の水分吸着と活性炭素繊維の性質を利用して、活性炭素繊維および化学吸着成分による吸着性能を最大限利用できるため、アルデヒド類に代表される室内の臭気物質を除去し浄化するエアフィルタおよびそれを用いた空気清浄装置として利用することができる。

0077

1 壁紙
2家具
3 床
4空気清浄装置
5 本体ケーシング
6エアフィルタ
7送風手段
8吸気口
9排気口
10ルーバー
11 ケーシング
12羽根
13モーター
14プレフィルタ
15吸湿性繊維層
16活性炭素繊維層
17基材層
18帯電繊維層
19 山部
20 谷部
21形状保持部
22接着成分
23化学吸着成分
24 繊維

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