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技術 ストーマ装具用繊維製品及びストーマ装具

出願人 アロン化成株式会社東亞合成株式会社
発明者 中居義貴山田喜直
出願日 2019年3月20日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-053754
公開日 2020年9月24日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-151262
状態 未査定
技術分野 整形外科、看護、避妊
主要キーワード 排気形態 閉塞度 活性酸化亜鉛 試験用片 側壁片 刺し穴 消臭特性 分子引力
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年9月24日)のものです。
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図面 (12)

課題

高い消臭力を発揮できるストーマ装具用繊維製品及びストーマ装具を提供する。

解決手段

本ストーマ装具用繊維製品は、ストーマ装具を構成するためのストーマ装具用繊維製品1であって、繊維集合体11と、繊維集合体11を構成する繊維111に付着された消臭剤12と、消臭剤12を繊維111に付着しているバインダ樹脂13と、を有し、消臭剤12は、金属元素を含んだ無機系消臭剤を含み、バインダ樹脂13は、SP値が10.0以上の高分子を含む。本ストーマ装具は、本ストーマ装具用繊維製品を含む。

概要

背景

疾患等に起因して人工肛門人工膀胱に代表されるストーマを身体に造設する場合がある。ストーマでは、老廃物排泄自己制御できないため、ストーマ保有者は、老廃物を収納する袋(オストミーパウチ)を備えたストーマ装具を身体に装着して生活するのが一般的である。これにより、ストーマ保有者は、いつでも老廃物を収容できるようになるため、ストーマ保有者の生活改善に大きく貢献している。

一方で、ストーマ装具の利用者は、収容された老廃物の臭気が、オストミーパウチから漏れ、周囲の人々に不快感を与えないかと不安を感じ心理的負担を抱えることが多いとされる。実際に、健常者便臭と比較して、ストーマ排出ガス中には4倍濃度の硫化水素が含まれ、玉ねぎ喫食した場合には8倍濃度になるという研究報告科研費課題番号26560073研究成果報告書)が知られている。このようなことから、ストーマ装具からの臭いの漏出を効果的に抑える技術が強く要望されている。このような技術としては、下記特許文献1に開示された技術が知られている。

概要

高い消臭力を発揮できるストーマ装具用繊維製品及びストーマ装具を提供する。本ストーマ装具用繊維製品は、ストーマ装具を構成するためのストーマ装具用繊維製品1であって、繊維集合体11と、繊維集合体11を構成する繊維111に付着された消臭剤12と、消臭剤12を繊維111に付着しているバインダ樹脂13と、を有し、消臭剤12は、金属元素を含んだ無機系消臭剤を含み、バインダ樹脂13は、SP値が10.0以上の高分子を含む。本ストーマ装具は、本ストーマ装具用繊維製品を含む。

目的

本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、高い消臭力を発揮できるストーマ装具用繊維製品、及び、このストーマ装具用繊維製品を用いたストーマ装具を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

ストーマ装具を構成するためのストーマ装具用繊維製品であって、繊維集合体と、前記繊維集合体を構成する繊維に付着された消臭剤と、前記消臭剤を前記繊維に付着しているバインダ樹脂と、を有し、前記消臭剤は、金属元素を含んだ無機系消臭剤を含み、前記バインダ樹脂は、溶解性パラメータSP値)が10.0以上の高分子を含むことを特徴とするストーマ装具用繊維製品。

請求項2

前記高分子が、ポリエステル又はポリビニルアルコールを含む請求項1に記載のストーマ装具用繊維製品。

請求項3

前記金属元素が、銅又は亜鉛である請求項1又は2に記載のストーマ装具用繊維製品。

請求項4

前記消臭剤は、体積基準メジアン径が0.1μm以上50μm以下である請求項1乃至3のうちのいずれかに記載のストーマ装具用繊維製品。

請求項5

前記金属元素が銅であり、前記無機系消臭剤が、CuO・SiO2複合酸化物を含む請求項3に記載のストーマ装具用繊維製品。

請求項6

ストーマパウチ消臭フィルタである請求項1乃至5のうちのいずれかに記載のストーマ装具用繊維製品。

請求項7

ストーマ装具の外側の少なくとも一部を覆う消臭シートである請求項1乃至6のうちのいずれかにストーマ装具用繊維製品。

請求項8

ストーマ受け入れる開口を備えた身体側側壁と、前記身体側の側壁に対向された外側の側壁と、を備えたストーマパウチを有するストーマ装具であって、前記身体側の側壁及び前記外側の側壁のうちの少なくとも一方の側壁は、前記ストーマパウチ内の気体を外部へ逃すための脱気孔と、前記脱気孔の内側及び外側のうちの少なくとも一方の側に配された通気フィルタと、を有し、前記通気フィルタは、前記請求項1乃至5のうちのいずれかに記載されたストーマ装具用繊維製品を含むことを特徴とするストーマ装具。

請求項9

ストーマを受け入れる開口を備えた身体側の側壁と、前記身体側の側壁に対向された外側の側壁と、を備えたストーマパウチを有するストーマ装具であって、前記身体側の側壁及び前記外側の側壁のうちの少なくとも一方の側壁に沿って、前記側壁の外側を覆う被覆シートを備え、前記被覆シートは、前記請求項1乃至5のうちのいずれかに記載されたストーマ装具用繊維製品を含むことを特徴とするストーマ装具。

請求項10

前記被覆シートは、前記身体側の装着部と、前記身体側の側壁との接触を回避する非接触化シートである請求項9に記載のストーマ装具。

技術分野

0001

本発明は、ストーマ装具用繊維製品及びストーマ装具に関する。更に詳しくは、ストーマ装具を構成するためのストーマ装具用繊維製品及びストーマ装具に関する。

背景技術

0002

疾患等に起因して人工肛門人工膀胱に代表されるストーマを身体に造設する場合がある。ストーマでは、老廃物排泄自己制御できないため、ストーマ保有者は、老廃物を収納する袋(オストミーパウチ)を備えたストーマ装具を身体に装着して生活するのが一般的である。これにより、ストーマ保有者は、いつでも老廃物を収容できるようになるため、ストーマ保有者の生活改善に大きく貢献している。

0003

一方で、ストーマ装具の利用者は、収容された老廃物の臭気が、オストミーパウチから漏れ、周囲の人々に不快感を与えないかと不安を感じ心理的負担を抱えることが多いとされる。実際に、健常者便臭と比較して、ストーマ排出ガス中には4倍濃度の硫化水素が含まれ、玉ねぎ喫食した場合には8倍濃度になるという研究報告科研費課題番号26560073研究成果報告書)が知られている。このようなことから、ストーマ装具からの臭いの漏出を効果的に抑える技術が強く要望されている。このような技術としては、下記特許文献1に開示された技術が知られている。

先行技術

0004

特開平01−299551号公報
国際公開第2015/194334号パンフレット

発明が解決しようとする課題

0005

ストーマから排泄される老廃物には、固形分(排泄物)及び液状分排泄液滲出液分泌液等)のみならず、気体分排泄ガス)が含まれる。そして、オストミーパウチが気体分によって膨満されないよう、気体分をオストミーパウチの外部へ逃す必要を生じる。
この点、特許文献1のオストミーパウチは、EBA(エチレンブチルアクリレート)からなり、1平方メートル当り約248000個の刺し穴を有する中間壁30を備えている。この中間壁30が、フィルタ液体固体の老廃物とが接することを防止し、フィルタ性能を維持している。

0006

しかしながら、中間壁30の閉塞度を強くして、フィルタと老廃物との接触を防止すると、当然ながら、それだけ通気度は低下し、オストミーパウチ内の気体分を外部へ逃し難くなってしまう。一方で、中間壁30の閉塞度を弱くすると、オストミーパウチ内の液体や固体の老廃物がフィルタと接し易くなってしまうという相反する課題がある。
この点、実際に市場に存在するフィルタを有したオストミーパウチでは十分な脱気がなされず、パウチが膨らみ続けてしまうという問題がある。このため、使用者は日に数回、排出口開放してフィルタを介さず「ガス抜き」をせざるを得ず、その際の臭気が問題となっている。即ち、オストミーパウチ内に貯留される気体によってパウチが過度に膨らむことを防止しようとしてフィルタを設けていても、通常使用時にパウチが押圧された際に液漏れしない構造とせざるを得ず、その要求のバランスから、フィルタの通気性を十分に大きくできないという問題も同時に存在していると考えられる。

0007

更に、フィルタは、オストミーパウチ内に貯留された液体や固体の老廃物との接触によって目詰まりが誘発され、フィルタ性能を低下され得るが、特にストーマからの老廃物には油脂分が多く含まれることが問題となることが分かってきた。例えば、回腸体表面へ誘導して造設されたイレオトミーでは、回腸終端部で行われる胆汁酸の吸収が不充分となり、老廃物中に脂溶性の胆汁酸が多く含まれる場合がある。また、回腸内での脂質の吸収不全も発生し易く、老廃物中に脂質が多く含まれる場合がある。このように老廃物内に含まれる油脂分が、フィルタと接触されると、フィルタ性能が特に大きく低下されるという問題があることが分かってきた。この点、特許文献1の技術は、カーボン含浸ポリウレタン連続気泡フォーム濾材としている。カーボン(活性炭等)の消臭機構は、細孔への物理吸着であるため、上述のような油脂分との接触による消臭能力低下は特に大きくなるというという問題がある。

0008

尚、本発明者による消臭マスクとして上記特許文献2に開示された技術が開示されているが、ストーマ装具に利用し得るという着眼、また、油脂分との接触という課題に対する着眼、更には、油脂分との接触によっても消臭性能を維持し得る構成についての検討はなされていない。

0009

本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、高い消臭力を発揮できるストーマ装具用繊維製品、及び、このストーマ装具用繊維製品を用いたストーマ装具を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、以下の通りである。
〔1〕ストーマ装具を構成するためのストーマ装具用繊維製品であって、
繊維集合体と、
前記繊維集合体を構成する繊維に付着された消臭剤と、
前記消臭剤を前記繊維に付着しているバインダ樹脂と、を有し、
前記消臭剤は、金属元素を含んだ無機系消臭剤を含み、
前記バインダ樹脂は、溶解性パラメータSP値)が10.0以上の高分子を含むことを特徴とするストーマ装具用繊維製品。
〔2〕高分子が、ポリエステル又はポリビニルアルコールを含む〔1〕に記載のストーマ装具用繊維製品。
〔3〕前記金属元素が、銅又は亜鉛である〔1〕又は〔2〕に記載のストーマ装具用繊維製品。
〔4〕前記消臭剤は、体積基準メジアン径が0.1μm以上50μm以下である〔1〕乃至〔3〕のうちのいずれかに記載のストーマ装具用繊維製品。
〔5〕前記金属元素が銅であり、
前記無機系消臭剤が、CuO・SiO2複合酸化物を含む〔3〕に記載のストーマ装具用繊維製品。
〔6〕ストーマパウチ消臭フィルタである〔1〕乃至〔5〕のうちのいずれかに記載のストーマ装具用繊維製品。
〔7〕ストーマ装具の外側の少なくとも一部を覆う消臭シートである〔1〕乃至〔6〕のうちのいずれかにストーマ装具用繊維製品。
〔8〕ストーマを受け入れる開口を備えた身体側側壁と、前記身体側の側壁に対向された外側の側壁と、を備えたストーマパウチを有するストーマ装具であって、
前記身体側の側壁及び前記外側の側壁のうちの少なくとも一方の側壁は、前記ストーマパウチ内の気体を外部へ逃すための脱気孔と、前記脱気孔の内側及び外側のうちの少なくとも一方の側に配された通気フィルタと、を有し、
前記通気フィルタは、前記〔1〕乃至〔5〕のうちのいずれかに記載されたストーマ装具用繊維製品を含むことを特徴とするストーマ装具。
〔9〕ストーマを受け入れる開口を備えた身体側の側壁と、前記身体側の側壁に対向された外側の側壁と、を備えたストーマパウチを有するストーマ装具であって、
前記身体側の側壁及び前記外側の側壁のうちの少なくとも一方の側壁に沿って、前記側壁の外側を覆う被覆シートを備え、
前記被覆シートは、前記〔1〕乃至〔5〕のうちのいずれかに記載されたストーマ装具用繊維製品を含むことを特徴とするストーマ装具。
〔10〕前記被覆シートは、前記身体側の装着部と、前記身体側の側壁との接触を回避する非接触化シートである〔9〕に記載のストーマ装具。

発明の効果

0011

本発明のストーマ装具用繊維製品は、繊維集合体と、その繊維に付着された無機系消臭剤と、これを繊維に付着しているバインダ樹脂と、を有し、消臭剤は、金属元素を含んだ無機系消臭剤を含み、バインダ樹脂はSP値が10.0以上の高分子を含む。この結果、ストーマ装具用繊維製品として高い消臭力を発揮できる。また、油脂分の存在下で高い消臭力を維持できる。
また、本発明のストーマ装具用繊維製品において、バインダ樹脂が、親水性を有するポリエステル又はポリビニルアルコールを含む場合には、ストーマ装具用繊維製品として、油脂分の存在下で特に高い消臭力を発揮できる。
また、本発明のストーマ装具用繊維製品において、金属元素が、銅又は亜鉛である場合には、ストーマ装具用繊維製品として、硫黄元素又は窒素元素を含んだ臭気に対して優れた消臭力を発揮できる。
また、本発明のストーマ装具用繊維製品において、無機系消臭剤の体積基準のメジアン径が0.1μm以上50μm以下である場合には、ストーマ装具用繊維製品として高い消臭力を発揮できる。
また、本発明のストーマ装具用繊維製品において、金属元素が銅であり、無機系消臭剤が、CuO・SiO2複合酸化物を含む場合には、硫黄元素又は窒素元素を含んだ臭気に対して特に優れた消臭力を発揮できる。
また、本発明のストーマ装具用繊維製品が、ストーマパウチ用消臭フィルタである場合には、ストーマ装具用繊維製品として高い通気性を有しながら、高い消臭力を発揮できる。
また、本発明のストーマ装具用繊維製品が、ストーマ装具の外側の少なくとも一部を覆う消臭シートである場合には、ストーマ装具用繊維製品として高い消臭力を発揮できる。

0012

本発明のストーマ装具は、ストーマを受け入れる開口を備えた身体側の側壁と、身体側の側壁に対向された外側の側壁と、を備えたストーマパウチを有するストーマ装具であって、身体側の側壁及び外側の側壁のうちの少なくとも一方の側壁は、ストーマパウチ内の気体を外部へ逃すための脱気孔と、脱気孔の内側及び外側のうちの少なくとも一方の側に配された通気フィルタと、を有し、通気フィルタは、本発明のストーマ装具用繊維製品を含む。この構成により、高い消臭力を発揮しながら、十分な通気性を確保させることができる。また、油脂分の存在下で高い消臭力を維持しながら、十分な通気性を確保することができる。

0013

本発明のストーマ装具は、ストーマを受け入れる開口を備えた身体側の側壁と、身体側の側壁に対向された外側の側壁と、を備えたストーマパウチを有するストーマ装具であって、身体側の側壁及び外側の側壁のうちの少なくとも一方の側壁に沿って、側壁の外側を覆う被覆シートを備え、被覆シートは、本発明のストーマ装具用繊維製品を含む。この構成により、高い消臭力を発揮できる。また、油脂分の存在下で高い消臭力を維持できる。
また、本発明のストーマ装具の被覆シートが、身体側の装着部と、身体側の側壁との接触を回避する非接触化シートである場合には、高い消臭力を発揮しながら、ストーマ装具の装着者の身体にストーマパウチが直接接しないように被覆シートがカバーすることができるため優れた装着感を得ることができる。

図面の簡単な説明

0014

ストーマ装具用繊維製品を説明する説明図である。
ストーマ装具用繊維製品の積層形態バリエーションを説明する説明図である。
ストーマ装具の一例(実施形態1)の平面状態を説明する説明図である。
図3に示すストーマ装具のA−A’断面を説明する説明図である。
図3に示すストーマ装具のB−B’断面を説明する説明図である。
ストーマ装具の一例(実施形態2)の平面状態を説明する説明図である。
図6に示すストーマ装具のC−C’断面を説明する説明図である。
図6に示すストーマ装具のD−D’断面を説明する説明図である。
ストーマ装具の他例(実施形態2)の平面状態を説明する説明図である。
図9に示すストーマ装具のE−E’断面を説明する説明図である。
図9に示すストーマ装具のF−F’断面を説明する説明図である。

0015

[1]ストーマ装具用繊維製品
本発明のストーマ装具用繊維製品(1)は、ストーマ装具を構成するためのものであって、
繊維集合体(11)と、繊維集合体(11)を構成する繊維(111)に付着された消臭剤(12)と、消臭剤(12)を繊維に付着しているバインダ樹脂(13)と、を有している。
更に、このうち、消臭剤(12)は、金属元素を含んだ無機系消臭剤を含み、
バインダ樹脂(13)は、溶解性パラメータ(SP値)が10.0以上の高分子を含む(図1参照)。

0016

本明細書において「ストーマ」は、消化管尿路を体外に誘導してなる排泄孔の意味を含む。これらのストーマは、通常、身体の腹壁に造設されている。従って、本発明において、ストーマには、消化管を体外へ誘導してなる消化管ストーマ、及び、尿路を体外へ誘導してなる尿路ストーマ(ウロストーマ)が含まれる。更に、上述の消化管ストーマには、回腸を体外へ誘導してなるイレオストーマ、及び、大腸を体外へ誘導してなるコロストーマ(結腸ストーマ)が含まれる。また、上述の尿路ストーマには、回腸導管尿管皮膚ろうろう、膀胱ろう等が含まれる。そして、ストーマ装具は、上述のストーマを受け入れる開口を備えた装具全般を含む。

0017

上述のように、本ストーマ装具用繊維製品は、消臭剤として無機系消臭剤を利用し、且つ、SP値が10.0以上の高分子(以下、単に「親水性高分子」ともいう)をバインダ樹脂として利用する。このため、ストーマ装具用繊維製品として特に優れた消臭性能を発揮できる。とりわけ、油分(油及び親油性成分)の存在下における消臭特性に優れる。また、同様に水系においても、臭気成分のなかでも水溶性を示すイオウ系成分に対して効果的な消臭場を形成できる点において優れる。

0018

具体的には、例えば、非ストーマ保有者の老廃物(便や尿等)と比べ、ストーマ保有者からストーマパウチに排出される老廃物には油及び親油性成分(胆汁酸など)が多く含まれる傾向にある。このため、従来の繊維製品をストーマパウチの通気フィルタとして利用した場合には、油分との接触により、繊維製品に油分が付着し易く、通気性を阻害してしまう場合がある。また、従来より、吸着剤として多用される活性炭を含んだ繊維製品では、活性炭が油分を吸着し易い性質を有することから、使用後早期に油分により活性炭が飽和閉塞されてしまう場合がある。
この点、本発明のストーマ装具用繊維製品は、上述のような環境でも優れた消臭性能を発揮できる。これは、消臭剤として、無機系消臭剤が含み、この消臭剤を親水性高分子により繊維に付着させているため、上述のような油分による消臭阻害を生じ難いためと考えられる。更に、本ストーマ装具用繊維製品では、消臭剤とバインダ樹脂の親和性が高いため、より少量のバインダ樹脂によって消臭剤をしっかり繊維に付着、固定できるため、消臭剤を有効に活用できているものと考えられる。

0019

(1)繊維集合体
上記「繊維集合体」は、複数の繊維同士が交絡されてなる繊維の集合体であり、通気性を確保しつつ、消臭剤を繊維上に維持する機能を有する。繊維集合体としては、例えば、不織布、織布及び編布等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、所望の厚さの設定が容易であり、通気度のコントロールがし易く、製造コストが安価であることという観点から、不織布が好ましい。

0020

また、不織布の種類は限定されず、どのような製法で得られた不織布であってもよい。例えば、(1)溶融紡糸により得られた不織布、(2)物理交絡法により得られた不織布、(3)熱融着法により得られた不織布、(4)接着剤を用いて交絡された不織布等が挙げられる。このうち、(1)の不織布としては、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布が挙げられる。(2)の不織布としては、気流交絡不織布、水流交絡不織布(スパンレース)、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。(3)の不織布としては、サーマルボンド不織布、エンボス不織布などが挙げられる。(4)の不織布としては、各種のケミカルボンド不織布が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、消臭剤の保持性及び通気性等の観点から、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、サーマルボンド不織布等が好ましい。

0021

繊維集合体を構成する繊維は限定されず、例えば、有機繊維樹脂繊維及び植物繊維等)、無機繊維ガラス繊維炭素繊維及び金属繊維等)及びこれらの複合繊維等が挙げられる。これらのなかでは有機繊維が好ましい。
また、有機繊維のなかでも、樹脂繊維が好ましい。樹脂繊維を構成する樹脂は限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリエチレンポリプロピレンポリ塩化ビニルポリアクリル酸ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリビニルエステルポリメタクリル酸エステルレーヨン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びレーヨンが好ましく、ポリエステル、ポリエチレン及びポリプロピレンがより好ましい。

0022

また、繊維集合体を構成する繊維としては、親水性樹脂繊維を用いることができる。親水性樹脂繊維としては、ポリビニルアルコールを含む樹脂繊維、変性等により親水性基OH基等の極性基)が導入された親水性高分子が含まれた樹脂繊維等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。より具体的には、繊維集合体に含まれる繊維の樹脂成分として、溶解性パラメータ(SP値)が10.0以上である親水性高分子を含む場合が挙げられる。このような親水性樹脂繊維を含んだ繊維集合体は、ストーマパウチ内に貯留された老廃物に含まれた水分との接触により、湿った状態となり得る。この点、老廃物内で最も強い臭気を有する成分の1つである硫化水素は、水に対する溶解性に優れる。このため、硫化水素を、親水性樹脂繊維の付着水溶け込ませて捕捉し、そのうえで、消臭剤と接触させることにより消臭することができる点で優れる。

0023

尚、繊維集合体が、親水性樹脂繊維が含む場合、当該親水性樹脂繊維を構成する樹脂成分のSP値は、後述するバインダ樹脂における場合と同様に測定又は算出される。更に、親水性樹脂繊維を構成する樹脂成分のSP値(SP1)と、バインダ樹脂を構成する樹脂成分のSP値(SP2)とは、同じであってもよく、異なってもよい。異なる場合には、より近い値であることが好ましい。具体的には、0≦|SP1−SP2|≦2が好ましく、0≦|SP1−SP2|≦1がより好ましく、0≦|SP1−SP2|<1が特に好ましい。

0024

また、上述のように2種以上の異なる樹脂繊維を含む場合としては、相対的に融点が高い樹脂からなる高融点樹脂繊維と、相対的に融点が低い樹脂からなる低融点樹脂繊維と、を併用した繊維集合体を用いることができる。即ち、例えば、高融点樹脂繊維としてポリエステル樹脂繊維を有し、低融点樹脂繊維としてポリオレフィン樹脂繊維を有した繊維集合体が挙げられる。このような繊維集合体では、繊維集合体を他の構成物に対して溶着する際に、低融点樹脂繊維のみを利用して溶着させることができる。この場合、高融点樹脂繊維と低融点樹脂繊維との合計を100質量%とした場合に、低融点樹脂繊維は、例えば、10〜80質量%とすることができ、更に20〜70質量%とすることができる。

0025

また、樹脂繊維は添加剤を含まなくてもよいが、添加剤を含むことができる。添加剤としては、酸化防止剤可塑剤帯電防止剤抗菌剤、防かび剤、補強剤、安定剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、繊維集合体を構成する繊維の平均繊維径は、限定されないが、例えば、5〜30μmとすることができ、10〜25μmであることが好ましい。尚、平均繊維径は、繊維集合体を構成する繊維(通常、単繊維)の異なる3ヶ所において光学顕微鏡を用いて測定される実測繊維径平均値A1(3ヶ所平均)を算出し、無作為に選択される50本の繊維のA1の更なる平均値A2(50本平均)であるものとする。

0026

(2)消臭剤
上記「消臭剤」は、消臭特性を有する成分であり、バインダ樹脂を介して繊維集合体を構成する繊維に付着された固形物である。本発明で用いる消臭剤は、金属元素を含んだ無機系消臭剤であり、特に化学作用により臭気成分を吸着及び/又は分解して無臭化又は低臭気化できる成分であることが好ましい。また、ストーマ臭なかでも、特にイオウ元素を含有したイオウ系成分(イオウ系ガス)は強い臭気を発する傾向がある。このため、本発明のストーマ装具用繊維製品に含まれる消臭剤は、イオウ系成分(例えば、硫化水素、チオール化合物)に対する消臭作用に優れることが好ましい。

0027

金属元素を含んだ無機系消臭剤の構造及び種類等は限定されないが、無機系消臭剤は、消臭作用を有する無機化合物、又は、消臭作用を有する無機化合物を主成分としたものであることが好ましい。
この無機化合物としては、酸化物(他の酸化物との複合酸化物を含む)、水酸化物無機酸塩リン酸塩ケイ酸塩硫酸塩、炭酸塩等)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、無機系消臭剤に含まれる金属元素としては、Cu、Zn、Zr、Ti、Ni、Co、Fe、Mn、Ag、W、Se、Al、Mg、Ca、Sr、Ba等があげられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、ストーマ臭に対する消臭作用の観点から、Cu、Zn及びZrが好ましく、更には、Cu及びZnが特に好ましい。これらCu及び/又はZnを含んだ無機系消臭剤は、前述したイオウ系成分(イオウ系ガス)に対して優れた消臭作用を発揮できる。特にイオウ系ガスとの化学反応により、イオウ系ガスを効率的且つ不可逆的に消臭できる点で優れる。

0028

具体的には、酸化物としては、CuO・SiO2複合酸化物、ZnO・SiO2複合酸化物、酸化銅酸化亜鉛酸化アルミニウム亜鉛、ケイ酸亜鉛ケイ酸アルミニウム亜鉛層状アルミノケイ酸亜鉛酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム酸化カルシウム酸化ストロンチウム酸化バリウム酸化ジルコニウム酸化タングステン酸化セリウム酸化リチウム酸化ナトリウム酸化カリウムゼオライト合成ゼオライト鉱物由来ゼオライト)、白土等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、消臭剤としてより効果的に機能させるために、各種処理(例えば、活性化処理)が施されたものであってもよい(例えば、活性白土活性アルミナ活性酸化亜鉛など)。これらのなかでは、CuO・SiO2複合酸化物及び/又はZnO・SiO2複合酸化物が好ましい。このうち、CuO・SiO2複合酸化物は、例えば、酸化銅をシリカゲル担持させた担持物ということができる。また、ZnO・SiO2複合酸化物は、例えば、酸化亜鉛をシリカゲルに担持させた担持物ということができる。

0029

また、無機塩としては、ZrCu(PO4)2・H2O(銅リン酸ジルコニウム水和物)等のリン酸塩が挙げられる。尚、上記の銅リン酸ジルコニウム水和物は、例えば、層状リン酸ジルコニウムZr(HPO4)2・H2Oと2価の銅塩とを反応させることにより得ることができるが、その反応生成物には原料やその一部等の不純物が含まれてもよい。
更に、無機塩としては、硫酸銅及び硫酸亜鉛等の硫酸塩が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、これらの硫酸塩化合物は、金属元素を含まない無機化合物(SiO2等)から構成されたシリカゲルと共に組合せて用いることでストーマ臭に対してより有効な消臭剤とすることができる。

0030

金属元素を含んだ無機系消臭剤の形状は限定されず、種々の形状とすることができる。例えば、粒状、塊状、針状等とすることができる。また、一次粒子多孔化した形状(活性化)、一次粒子を集合させて得られた二次粒子造粒粒子凝集粒子)等として用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、金属元素を含んだ無機系消臭剤を構成する粒子の大きさも限定されないが、例えば、体積基準のメジアン径は0.05〜100μmとすることができ、0.1〜50μmが好ましく、0.2〜30μmより好ましい。粒径が適度に大きいことにより、消臭剤を構成する粒子がバインダ樹脂によって被覆され過ぎることなく、バインダ樹脂内から消臭剤粒子露出させることができ、優れた消臭作用を発揮させることができる。このような観点では、例えば、リン酸塩からなる無機系消臭剤よりも、ケイ酸塩からなる無機系消臭剤の方が大径化し易いため、粒径の大きな無機系消臭剤を利用するという観点からは、ケイ酸塩からなる無機系消臭剤を選択できる。
一方で、100μmを越えて大きな粒子を用いると、表出された粒子の単位質量あたりの表面積が小さくなることとなり、消臭剤を効率よく作用させ難くなる傾向にある。尚、上記のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定機で測定される。

0031

更に、金属元素を含んだ無機系消臭剤は、臭気成分との接触効率が高いほど、優れた消臭効果を発揮できることから、金属元素を含んだ無機系消臭剤を構成する粒子の比表面積は、5〜800m2/gとすることが好ましく、10〜600m2/gとすることがより好ましい。尚、比表面積は、窒素吸着量から算出するBET法により測定される。

0032

本ストーマ装具用繊維製品に含まれる無機系消臭剤(金属元素を含んだ無機系消臭剤)の量は限定されないが、1g/m2以上であることが好ましく、3g/m2以上であることがより好ましく、5g/m2以上であることが特に好ましい。一方、本ストーマ装具用繊維製品に含まれる無機系消臭剤(金属元素を含んだ無機系消臭剤)の量の上限は限定されないが、通常、30g/m2(即ち、30g/m2以下)である。
また、本ストーマ装具用繊維製品を構成する繊維集合体(金属元素を含んだ無機系消臭剤が付着されていない状態)の全体を100質量部とした場合に、金属元素を含んだ無機系消臭剤は、1〜60質量部であることが好ましく、2〜50質量部であることがより好ましく、5〜40質量部であることが特に好ましい。

0033

その他、本発明のストーマ装具用繊維製品を構成する消臭剤として、前述した金属元素を含んだ無機系消臭剤以外の消臭剤を、金属元素を含んだ無機系消臭剤と共に含有することができる。即ち、他の消臭剤としては、金属元素を含まない無機系消臭剤、有機系消臭剤有機酸有機酸塩、その他の化合物)、天然物消臭剤(植物や鉱物等の天然物に由来した消臭剤)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
尚、金属元素を含まない活性炭は、消臭作用(臭気成分を分解等する作用)に乏しく、臭気成分のみならず、溶剤中の溶解成分など、多くの成分を物理吸着できる一方、吸着した成分は可逆的に再放出され得るという問題がある。また、油分を吸着し易い特性を有するため、本発明においては消臭剤としては適さない。但し、金属元素が付与されて消臭作用を有する活性炭は、本発明において金属元素を含んだ無機系消臭剤として利用できる。即ち、金属元素の付与により臭気成分を化学的に分解する作用が与えられた活性炭は、金属元素を含んだ無機系消臭剤に含まれる。

0034

より具体的には、金属元素を含まない無機系消臭剤としては、炭素系消臭剤(活性炭、グラファイト)、シリカゲル(実質的に酸化ケイ素のみからなるシリカゲル)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、有機酸としては、酢酸フマル酸シュウ酸リンゴ酸アクリル酸等が挙げられる。有機酸塩としては、酢酸塩フマル酸塩シュウ酸塩リンゴ酸塩アクリル酸塩等が挙げられる。その他の化合物としては、鉄アスコルビン酸化合物金属フタロシアニン系化合物、金属ポルフィリン系化合物フラボノイド系化合物アミノ酸系化合物タンニン化合物、糖類等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0035

(3)バインダ樹脂
バインダ樹脂は、繊維集合体を構成する繊維に、消臭剤を付着させている成分である。このバインダ樹脂は親水性を呈する高分子(親水性樹脂)であることが好ましく、とりわけ、溶解性パラメータ(SP値)が10.0以上である親水性高分子であることが好ましい。尚、SP値については後述する。

0036

このような親水性高分子としては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、アセタール化ポリビニルアルコールポリビニルブチラールポリビニルエーテルポリ酢酸ビニル、親水性アクリル酸系高分子、ポリアミド、アルキルセルロースメチルセルロースエチルセルロース等)、ポリアクリルアミド、ポリウレタンなどが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0037

上記の親水性樹脂のうち、ポリエステルとしては、親水性基を有するポリエステル(以下、単に「親水性ポリエステル」ともいう)が挙げられる。親水性を発現できる単量体(親水性基を有する単量体等)を用いて得られたポリエステル、及び、得られた元ポリエステルに対して親水性基を導入したポリエステルなどが含まれる。
親水性基としては、−OH、−O−、−COOH、−COO−、−SO3H、−SO3Na、−SO3−、−OPO(OH)2、−OPO(OH)O−、−NH2等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0038

また、親水性ポリエステルを構成するポリエステル骨格は、芳香族系骨格であってもよく、脂肪族骨格であってもよい。即ち、芳香族系ポリエステル芳香族系親水性ポリエステル)であってもよく、脂肪族系ポリエステル(脂肪族系親水性ポリエステル)であってもよい。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。尚、芳香族系ポリエステルは、芳香族系構成単位のみからなるポリエステルや、芳香族系構成単位(芳香族系単量体に由来する構成単位、以下同様)及び脂肪族系構成単位(脂肪族系単量体に由来する構成単位、以下同様)の両方を有しつつ、芳香族系構成単位の割合が脂肪族系構成単位よりも多いポリエステルを意味する。一方、脂肪族系ポリエステルは、脂肪族系構成単位のみからなるポリエステルや、脂肪族系構成単位(脂肪族系単量体に由来する構成単位、以下同様)及び芳香族系構成単位(芳香族系単量体に由来する構成単位、以下同様)の両方を有しつつ、脂肪族系構成単位の割合が芳香族系構成単位よりも多いポリエステルを意味する。
更に、親水性ポリエステルは、飽和ポリエステルであってもよく、不飽和ポリエステルであってもよい。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、飽和ポリエステルが好ましい。

0039

このような親水性ポリエステルは、例えば、酸成分とヒドロキシル基含有成分とを用いて重縮合体として得ることができる。
上記酸成分としては、テレフタル酸イソフタル酸オルソフタル酸ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸トリメリット酸トリメシン酸ピロメリット酸安息香酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸、テトラヒドロテレフタル酸、テトラヒドロオルソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、これらのジ、トリ、若しくは、テトラカルボン酸メチルエステル、又は、無水物等が挙げられる(これらはいずれも芳香族系単量体である)。
更に、上記酸成分としては、コハク酸アジピン酸アゼライン酸セバシン酸グルタル酸スベリン酸ドデカンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸イタコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロブタンテトラカルボン酸ジメチロールプロピオン酸トリシクロデカンジカルボン酸、これらのジ、トリ、若しくは、テトラカルボン酸のメチルエステル、又は、無水物等が挙げられる(これらはいずれも脂肪族系単量体である)。

0040

また、ポリエステルに対してより高い親水性を発現させることができる酸成分(高親水性酸成分)としては、5−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、5−スルホン酸アンモニウムイソフタル酸、4−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、4−メチルスルホン酸アンモニウムイソフタル酸、2−スルホン酸ナトリウムテレフタル酸、5−スルホン酸カリウムイソフタル酸、4−スルホン酸カリウムイソフタル酸、2−スルホン酸カリウムテレフタル酸等のスルホン酸塩系化合物等が挙げられる。

0041

一方、ヒドロキシル基含有成分としては、エチレングリコールジエチレングリコールトリエチレングリコールテトラエチレングリコールプロピレングリコールジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールトリメチロールプロパントリメチロールエタングリセリンペンタエリスリトール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジオール、スピログリコールトリシクロデカンジオールトリシクロデカンジメタノール等が挙げられる(これらはいずれも脂肪族系単量体である)
更に、ヒドロキシル基含有成分としては、ビスフェノールエチレンオキサイド付加物、ビスフェノール系プロピレンオキサイド付加物水添ビスフェノールA、レゾルシノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等が挙げられる(これらはいずれも芳香族系単量体である)。

0042

具体的には、親水性ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートポリ乳酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらの親水性ポリエステルは、どのような方法により得られてもよい。例えば、溶融重合法溶液重合法固相重合法等の公知の方法により得ることができる。
尚、前述した親水性基はどのように導入してもよく、公知の方法により導入できる。例えば、親水性基として−COO−を導入する場合には、無水トリメリット酸、トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、ジメチロールプロピオン酸等を用いた重縮合反応の後、アミノ化合物アンモニア又はアルカリ金属塩を用いて中和反応に供する方法等が適用され得る。

0043

上記の親水性樹脂のうち、ポリビニルアルコールは、ビニルエステルを用いて得られた樹脂であり、例えば、下記(A)又は(B)の方法により得られた高分子が含まれる。
(A)ビニルエステルを重合し、その後、重合体ケン化して得られる高分子
(B)ビニルエステルとエチレン性不飽和単量体とを共重合し、その後、共重合体をケン化して得られる高分子
また、ポリビニルアルコールは、第1〜3級アミノ基及び第4級アンモニウム基のうちの少なくとも1種を、その主鎖又は側鎖に有することができる。
尚、上記ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル酢酸ビニルプロピオン酸ビニルピバリン酸ビニル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0044

本発明においてSP値は、「ポリマーハンドブック第2版(Polymer Handbook Second Edition)」〔H.Burrell著:(1975年)〕のIV−337〜IV−359頁に記載された方法に従い測定又は算出される。
即ち、親水性高分子が単独重合体である場合、そのSP値は、当該単独重合体を構成する構成単位の分子引力定数Gに基づいて、下記の式(1)により算出される。
SP=dΣG/M ・・・(1)
(尚、式(1)において、「d」は単独重合体の密度(g/l)であり、「ΣG」は構成単位の分子中の分子引力定数の総和であり、「M」は構成単位の分子量(g/mol)である。)
一方、親水性高分子が共重合体である場合、そのSP値は、下記式(1)により、共重合体を構成する各構成単位のそれぞれの単独重合体のSP値を算出し、それらのSP値のそれぞれに各構成単位のモル分率を乗じたものを合算して算出される。即ち、例えば、構成単位Aをモル分率XA%且つ構成単位Bをモル分率XB%で有する共重合体である場合、下記式(2)〜(4)により算出される。
SP=SPA×(XA/100)+SPB×(XB/100) ・・・(2)
SPA=dAΣGA/MA ・・・(3)
SPB=dBΣGB/MB ・・・(4)
(尚、式(2)〜(4)において、「dA」は構成単位Aからなる単独重合体の密度(g/l)であり、「ΣGA」は構成単位Aの分子中の分子引力定数の総和であり、「MA」は構成単位Aの分子量(g/mol)であり、「dB」は構成単位Bからなる単独重合体の密度(g/l)であり、「ΣGB」は構成単位Bの分子中の分子引力定数の総和であり、「MB」は構成単位Bの分子量(g/mol)である)

0045

上述した親水性高分子(SP値が10以上である高分子)は、いわゆる、水性アクリルエマルジョン等の従来より汎用されているバインダ樹脂に比べて大きなSP値を有するため、本発明におけるバインダ樹脂として好適である。
また、上述した親水性ポリエステルとポリビニルアルコールとを比較した場合には、親水性ポリエステルをバインダ樹脂として含むことがより好ましい。ポリビニルアルコールは、親水性ポリエステルに比べて水溶性を有する場合が多い。水溶性を有するバインダ樹脂は、水分との接触により膨潤し易く、閉塞するおそれがあるからである。

0046

このようなことから、本ストーマ装具用繊維製品は、温度25℃の水に60分間浸漬した後、水から引きあげ、次いで、非加熱下で乾燥させた場合の質量減少割合初期質量W0、浸漬乾燥後質量W1、とする)30%以下(W0−W1/W0≦0.3)であることが好ましい。この質量減少割合は、更に25%以下がより好ましく、20%以下が特に好ましい。

0047

本ストーマ装具用繊維製品に含まれるバインダ樹脂の量は限定されないが、消臭剤全体を100質量部とした場合に、バインダ樹脂は10〜200質量部が好ましく、30〜100質量部がより好ましく、40〜60質量部が更に好ましい。この量比は、バインダ樹脂の全量が親水性高分子であり、消臭剤の全量が金属元素を含んだ無機系消臭剤である場合においてとりわけ好ましい。

0048

本ストーマ装具用繊維製品の通気度は限定されないが、例えば、JIS L1096:2010のフラジール形法により測定される通気度において、40〜400cm3/(cm2・s)が好ましく、60〜350cm3/(cm2・s)がより好ましく、100〜300cm3/(cm2・s)が更に好ましい。この範囲では、ストーマパウチ内外ガス流通を妨げることなく、消臭効果が十分に発揮させることができる。
また、本ストーマ装具用繊維製品の目付量は限定されないが、例えば、15〜100g/m2が好ましく、20〜90g/m2がより好ましく、30〜80g/m2が更に好ましい。この範囲では、ストーマ装具用繊維製品としての通気性及び消臭効果が十分に得ることができる。

0049

本発明のストーマ装具用繊維製品は、1層のみからなってもよく、2層以上からなってもよい。2層以上からなる場合には、例えば、他の繊維集合体層フィルム層粘着剤層等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
即ち、例えば、複層化されたストーマ装具用繊維製品としては、下記(1)〜(5)等が例示される。
(1)層S1のみからなるストーマ装具用繊維製品(層S1はバインダ樹脂を介して構成繊維に消臭剤が付着された繊維集合体、図1参照)。
(2)層S1と層S2とが積層されたストーマ装具用繊維製品(層S2はバインダ樹脂を介して構成繊維に金属元素を含んだ無機系消臭剤以外の他の消臭剤が付着された繊維集合体、層S1及び層S2は交絡積層されてもよく交絡されずに積層されてもよい、図2a参照)。
(3)層S1と層S3とが積層されたストーマ装具用繊維製品(層S3はフィルム層であり、例えば、防水層である場合、図2a参照)。
(4)層S1と層S4とが積層されたストーマ装具用繊維製品(層S4はフィルム層であり、例えば、層S4が防水層である場合、図2a参照)。
(5)層S1と層S4と層S5とがこの順に積層されたストーマ装具用繊維製品(層S4はフィルム層であり、例えば、層S4が防水層であり、層S5が粘着材層である、図2b参照)。

0050

本発明のストーマ装具用繊維製品は、上記構成を有すればよく、その製法等は限定されないが、例えば、繊維集合体(消臭剤が付着されていない基布)に、消臭剤及びバインダ樹脂を含んだ加工液を塗布(パディング、浸漬、コーティングスプレープリント等)した後、乾燥させて得ることができる。
このうち、パディング法及び浸漬法によれば、他法に比べて、基布表面への消臭剤の定着がより均一にできる。このため、消臭剤の気層面への表出が多くなり、より優れた消臭性能を発揮できるストーマ装具用繊維製品を得ることができる。パディング法としては、パッドドライ法パッドスチーム法等が挙げられる。

0051

上記の加工液には、消臭剤及びバインダ樹脂以外に添加剤を配合できる。添加剤としては、分散剤消泡剤粘度調整剤界面活性剤顔料染料芳香剤、抗菌剤、抗ウイルス剤抗アレルゲン剤等が挙げられる。
尚、異なる2以上の消臭剤を併用する場合、必要に応じて、各々別個に調整した複数の加工液を展着加工に用いることができる。

0052

加工液を展着した繊維集合体は、必要に応じて加熱乾燥(加工液に含まれる媒体を除去する目的等)することができる。この場合、110℃〜150℃の範囲で加熱することが好ましい。この範囲では加熱により生じる特有の臭気の発揮を抑えることができる。この温度は、更に120℃〜140℃の範囲がより好ましく、生産性を考慮すると、123℃〜138℃の範囲が特に好ましい。更に、乾燥時間は限定されないが、2〜10分とすることができ、2分〜5分が好ましい。

0053

[2]ストーマ装具用繊維製品の用途
本発明のストーマ装具用繊維製品は、ストーマ装具を構成する部品として利用できる。具体的な用途は限定されないが、例えば、ストーマ装具を構成するストーマパウチ用消臭フィルタとして利用できる。また、本発明のストーマ装具用繊維製品は、ストーマ装具を構成するストーマパウチ用消臭シートとして利用できる。この場合、ストーマパウチ用消臭シートは、ストーマ装具の外側の少なくとも一部を覆うシートとすることができる。
これらの構成については、以下のストーマ装具の説明において詳述する。

0054

[3]ストーマ装具(1)
本発明のストーマ装具2(図3図8参照)は、ストーマを受け入れる開口221を備えた身体側の側壁22aと、身体側の側壁22aに対向された外側の側壁22bと、を備えたストーマパウチ21を有する。
そして、身体側の側壁22a及び外側の側壁22bのうちの少なくとも一方の側壁22は、ストーマパウチ21内の気体を外部へ逃すための脱気孔23と、脱気孔23の内側及び外側のうちの少なくとも一方の側に配された通気フィルタ24と、を有する。この通気フィルタ24は、本発明のストーマ装具用繊維製品1を含む。

0055

前述したようにストーマパウチ内には老廃物が貯留されることになるが、この老廃物には臭気成分を含む気体が含まれるため、使用によりストーマパウチ内にガスが充満し、膨らむことになる。ストーマパウチが膨らむと、身体から剥がれ易くなったり、当該装着部位衣服の外側から見て膨らんで見えたりするという不具合を生じるため、充満ガスは、ストーマパウチから排出され易いのが好ましい。しかしながら、従来設けられている通気フィルタは、老廃物中の油分との接触により短期に閉塞されてしまい、結局、別途の排出口(図3図8の符号29)を開けて充満ガスを排出せざるを得ないという問題があり。更に、このような排気形態では消臭を行うことができないという問題がある。

0056

この点、前述のように、本発明のストーマ装具用繊維製品1は、支持体である繊維集合体を構成する繊維に、金属元素を含んだ無機系消臭剤(消臭剤12)が、親水性高分子をバインダ樹脂として付着されている。このため、ストーマ用途において特に優れた消臭性能を発揮できる。とりわけ、油分(油及び親油性成分)の存在下における消臭特性に優れるとともに、同様に水系においても優れた消臭特性を発揮できる。即ち、ストーマパウチに貯留される老廃物に多く含まれ得る油分によって消臭剤が被覆されてしまうことを抑制するとともに、繊維集合体が油分によって閉塞されてしまうことを防止できる。更に、特に強い臭気を発するイオウ系成分は水溶性を呈するため、このイオウ系成分を消臭剤と反応させ易い親水性の反応場を与えることができる。従って、本発明のストーマ装具用繊維製品1をストーマ装具2の通気フィルタ24として利用することで、油分の存在下においても通気を維持しながら優れた消臭特性を発揮させることができる。

0057

[実施形態1]
実施形態1のストーマ装具2(図3図5参照)は、ストーマを受け入れる開口221を備えた身体側の側壁22aと、身体側の側壁22aに対向された外側の側壁22bと、を備えたストーマパウチ21を有する。これらの側壁22aと側壁22bとは、その周縁に沿って封止されており、排出口29において外部へ開放されている。側壁の封止方法は限定されないが、例えば、2つの側壁を互いに溶着して封止できる。
そして、上記の排出口29を内側にして、幅狭部21tを折り畳むことで、貯留部21s内に老廃物を密封できる。また、ストーマパウチ21に貯留された老廃物は、必要に応じ、排出口29を開放することで外部へ排出できる。
上述のように、幅狭部21tを折り畳んだ際に、その状態を維持し易いように、実施形態1のストーマ装具2は、適宜の部位に、面ファスナ等を備えることができる。
尚、各側壁22の構造及び構成材料等は限定されず、従来公知のものを利用できる。

0058

このストーマ装具2は、開口221が、使用者のストーマに対応する位置で固定されるように使用者の身体へ固定する固定部を備えることができる。具体的には、面板27を備えることができる。この面板27は、ストーマパウチ21に対して取り外し可能に付設されてもよいし、取り外し不能に付設されてもよい。
面板27は、使用者の身体側を向く面である身体側面粘着面を有することができる。この粘着面を利用して、使用者の身体に貼着することができる。面板27の形状及び配置は限定されないが、例えば、図3及び図5に示すように、概形ドーナツ形状とし、その中央開口部271を、身体側の側壁22aに設けられた開口221と対応させて配置することができる。

0059

脱気孔23及び通気フィルタ24は、図3図5では、外側の側壁22bに設けられた例を示しているが、身体側の側壁22aに備えてもよい。脱気孔23及び通気フィルタ24は、一方の側壁にのみ備えてもよいし、両方の側壁に備えてもよい。
脱気孔23は、図3図5に示すように、例えば、複数の貫通孔として形成できるが、1つのより大きな貫通孔のみとして設けることもできる。
通気フィルタ24は、本発明のストーマ装具用繊維製品1を含んでいる。具体的には、ストーマ装具用繊維製品の積層形態のバリエーションとして例示した各種形態(上記(1)〜(5)の形態等)を採用できる。また、この通気フィルタ24は、例えば、図3及び図4に示すように、通気フィルタ24の周囲のみを側壁と同様の素材からなる枠材により囲うとともに、側壁22に対して枠材を溶着することにより、側壁22に対して固定することができる。

0060

[実施形態2]
実施形態2のストーマ装具2(図6図8参照)は、実施形態1と同様に、互いにその周縁に沿って封止された側壁22a及び側壁22bと、排出口29と、を備えたストーマパウチ21を有する。そして、老廃物の密封及び排出についても実施形態1と同様であり、面ファスナ等を備えることができる点についても同様である。更に、例えば、面板27として使用者の身体へ固定する固定部を備えることができる点についても同様である。

0061

一方、実施形態2において、通気フィルタ24は、図7の拡大図に例示されるように、脱気孔23を覆って配置された吸着フィルタ26(活性炭等を含む)を、更に覆って配置される。より具体的には、吸着フィルタ26は、その周縁が側壁片22b’によって囲われ、側壁片22’が側壁22bへ溶着されることによって、側壁22に固定されている(これは実施形態1と同様)。そして、通気フィルタ24は、これら吸着フィルタ26及び側壁片22b’を覆うように外側で広く配置され、通気フィルタ24の裏面に設けられた粘着テープ(図示せず)によって側壁22bへ貼着されている。通気フィルタ24は中央部が開口されることで、その表裏で通気可能とされている。即ち、実施形態2において、通気フィルタは、一面側に本発明のストーマ装具用繊維製品1を1層又は複数層備え、他面側に通気可能に中央部が開口された粘着層を備える。

0062

尚、脱気孔23の形態については、実施形態1と同様である。また、通気フィルタ24は、本発明のストーマ装具用繊維製品1を含んでおり、具体的には、ストーマ装具用繊維製品の積層形態のバリエーションとして例示した各種形態(上記(1)〜(5)の形態等)を採用できることも実施形態1と同様である。

0063

[4]ストーマ装具(2)
本発明のストーマ装具2(図9図11参照)は、ストーマを受け入れる開口221を備えた身体側の側壁22aと、身体側の側壁22aに対向された外側の側壁22bと、を備えたストーマパウチを有する。
そして、身体側の側壁22a及び外側の側壁22bのうちの少なくとも一方の側壁22に沿って、側壁22の外側を覆う被覆シート25を備える。
被覆シート25は、本発明のストーマ装具用繊維製品1を含み、身体側の装着部と、身体側の側壁22aとの接触を回避する非接触化シートとして機能することができる。

0064

前述のようにストーマパウチ21内に貯留される老廃物には臭気成分が含まれる。ストーマパウチ21は密封されているため、通常は臭気が漏出することはないが、排出口29から内容物を排出する際等は、臭気成分が消臭剤と接触されることなく外部へ開放される。このような場合、その近傍に消臭剤が含有されたストーマ装具用繊維製品が配置されていることが好ましい。排出された際に、臭気成分との接触機会が得られ、放出された臭気成分の消臭を行うことができる。そのような機会を形成できる構成として被覆シート25が挙げられる。
即ち、従来より、身体側の装着部と、身体側の側壁22aとの直接の接触を回避するために不織布などから形成された非接触化シートが供えられたストーマ装具2が知られているが、この非接触化シートとして、本発明のストーマ装具用繊維製品1を利用することで、優れた消臭性能を発揮させることができる。身体側の装着部からの発汗等により、非接触化シートは水分及び油分との接触機会が多く存在するが、本発明のストーマ装具用繊維製品1は、これらとの接触によっても妨げられない消臭特性を有するため、優れた消臭性能を発揮できる。

0065

[実施形態3]
実施形態3のストーマ装具2(図9図11参照)は、実施形態1の場合と同様に、ストーマを受け入れる開口221を備えた身体側の側壁22aと、身体側の側壁22aに対向された外側の側壁22bと、を備えたストーマパウチ21を有する。これらの側壁22aと側壁22bとは、その周縁に沿って封止されており、排出口29において外部へ開放されている。側壁の封止方法は限定されないが、例えば、2つの側壁を互いに溶着して封止できる。
そして、上記の排出口29を内側にして、幅狭部21tを折り畳むことで、貯留部21s内に老廃物を密封できる。また、ストーマパウチ21に貯留された老廃物は、必要に応じ、排出口29を開放することで外部へ排出できる。
上述のように、幅狭部21tを折り畳んだ際に、その状態を維持し易いように、実施形態1のストーマ装具2は、適宜の部位に、面ファスナ等を備えることができる。
尚、各側壁22の構造及び構成材料等は限定されず、従来公知のものを利用できる。

0066

被覆シート25は、図9図11に示すように、身体側の側壁22aに沿って、側壁22aの外側を覆うように配置することができる。また、同様に、外側の側壁22bに沿って、側壁22bの外側を覆うように配置することができる。これらの形態は一方のみを用いてもよく両方を併用してもよい。
また、被覆シート25は、どのように固定されてもよいが、例えば、側壁22に対し、その周縁に沿って溶着して固定することができる。この際には、全周を溶着してもよいし、一部のみを溶着してもよい。
更に、被覆シート25は、通気フィルタ24と異なり、必ずしも通気を要しないため、被覆シート25をなすストーマ装具用繊維製品1の繊維集合体は、通気フィルタ24に比べて目付の大きいものを利用できる。

0067

また、ストーマ装具2は、開口221が、使用者のストーマに対応する位置で固定されるように使用者の身体へ固定する固定部を備えることができる。具体的には、面板27を備えることができる。この面板27は、ストーマパウチ21に対して取り外し可能に付設されてもよいし、取り外し不能に付設されてもよい。
面板27は、使用者の身体側を向く面である身体側面に粘着面を有することができる。この粘着面を利用して、使用者の身体に貼着することができる。面板27の形状及び配置は限定されないが、例えば、図9及び図11に示すように、概形をドーナツ形状とし、その中央開口部271を、身体側の側壁22aに設けられた開口221と対応させて配置することができる。

0068

脱気孔23及び通気フィルタ24は、実施形態1の場合と同様に、図9図11では、外側の側壁22bに設けられた例を示しているが、身体側の側壁22aに備えてもよい。脱気孔23及び通気フィルタ24は、一方の側壁にのみ備えてもよいし、両方の側壁に備えてもよい。
脱気孔23は、図9図11に示すように、例えば、複数の貫通孔として形成できるが、1つのより大きな貫通孔のみとして設けることもできる。
通気フィルタ24は、本発明のストーマ装具用繊維製品1を含んでいる。具体的には、ストーマ装具用繊維製品の積層形態のバリエーションとして例示した各種形態(上記(1)〜(5)の形態等)を採用できる。また、この通気フィルタ24は、例えば、図9及び図10に示すように、通気フィルタ24の周囲のみを側壁と同様の素材からなる枠材により囲うとともに、側壁22に対して枠材を溶着することにより、側壁22に対して固定することができる。

0069

以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。

0070

[1]ストーマ装具用繊維製品の作製
下記(1)繊維集合体、(2)消臭剤及び(3)バインダ樹脂に示す各材料を用いて実施例1〜9及び比較例1〜4のストーマ装具用繊維製品を作製した。
具体的には、下記表1〜表3に示す組合せの(2)消臭剤と(3)バインダ樹脂(水分散液又は水溶液として利用)とを含んだ各加工液を調整し、この加工液を(1)繊維集合体にパディング塗布した後、130℃で加温乾燥し、各ストーマ装具用繊維製品を得た。尚、各加工液による各成分の展着量を表1〜表3に併記した。

0071

(1)繊維集合体
ポリプロピレン樹脂繊維(SP値9.3)、及び、ポリエチレンテレフタレート樹脂繊維(SP値10.7)を1:1の質量比で含む不織布がニードルパンチ法により交絡処理された繊維集合体(目付70g/m2、厚さ0.4mm、SP値(平均)10.0)から切り出した100mm×100mmの試験用片

0072

(2)消臭剤
(2−1)CuO・SiO2複合酸化物(金属元素を含んだ無機系消臭剤)
平均粒径/3μm、消臭対象成分/硫化水素(消臭容量185mL/g)及びメチルメルカプタン(消臭容量48mL/g)
(2−2)酸化亜鉛(金属元素を含んだ無機系消臭剤)
平均粒径/5μm、消臭対象成分/硫化水素(消臭容量130mL/g)及びメチルメルカプタン(消臭容量15mL/g)
(2−3)リン酸ジルコニウム(金属元素を含んだ無機系消臭剤)
平均粒径/0.8μm、消臭対象成分/アンモニア(消臭容量150mL/g)
(2−4)銅リン酸ジルコニウム(金属元素を含んだ無機系消臭剤)
平均粒径/1μm、消臭対象成分/硫化水素(消臭容量110mL/g)及びメチルメルカプタン(消臭容量42mL/g)
(2−5)活性炭(金属元素を含まない無機系消臭剤)
平均粒径/3μm、消臭対象成分/硫化水素(消臭容量10mL/g)及びメチルメルカプタン(消臭容量4mL/g)

0073

上記に示した各消臭剤の平均粒径は、レーザー回折粒度分布を用いて体積基準により測定したメジアン径である。
また、消臭剤の消臭容量を算出するための試験方法は、以下の通りである。
消臭剤0.01gをテドラーバッグに入れ、密封後、硫化水素(1000ppm)、メチルメルカプタン(500ppm)、アンモニア(1000ppm)、酢酸(1000ppm)又はアセトアルデヒド(750ppm)を含むガス2Lを封入し、その24時間後に各悪臭成分の濃度(残存ガス成分濃度)をガス検知管で測定し、以下の式により消臭容量(mL/g)を得た。
消臭容量(mL/g)=[2000(mL)×(消臭対象成分濃度(ppm)−残存成分濃度(ppm))×10−6]/0.01(g)

0074

(3)バインダ樹脂
(3−1)ポリエチレンテレフタレート(SP値10.7)
油脂株式会社製、品名「ぺスレジンA−640」を使用
(3−2)エチレン酢酸ビニル共重合体(SP値10.6)
住友化学株式会社製、品名「スミカフレックス400HQ」を使用
(3−3)ポリビニルアルコール(SP値12.6)
株式会社クラレ製、品名「PVA−117」を使用
(3−4)アクリル樹脂(SP値9.3)
日本ゼオン株式会社製、品名「Nipol LX814」を使用
(3−5)スチレンブタジエンゴム(SP値8.4)
日本エルアンドエル株式会社製、品名「スマテックスPA9281」を使用

0075

各ストーマ装具用繊維製品の断面方向について、JIS L1096:2010に規定されたフラジール形法により測定される通気度[cm3/(cm2・s)]は、以下の通りである。
実施例1:251cm3/(cm2・s)
実施例2:280cm3/(cm2・s)
実施例3:248cm3/(cm2・s)
実施例4:268cm3/(cm2・s)
実施例5:325cm3/(cm2・s)
実施例6:132cm3/(cm2・s)
実施例7:271cm3/(cm2・s)
実施例8:102cm3/(cm2・s)
実施例9:220cm3/(cm2・s)
比較例1:212cm3/(cm2・s)
比較例2:223cm3/(cm2・s)
比較例3:182cm3/(cm2・s)
比較例4:171cm3/(cm2・s)

0076

[2]ストーマ装具用繊維製品の評価
(1)通常官能試験
開口221を密閉したストーマパウチ21(300mm×150mm)の吸着フィルタ(活性炭フィルタ、20mm×12mm×1mm)部分を覆うように、30mm×40mmに切り出した実施例1〜9及び比較例1〜4の各ストーマ装具用繊維製品(通気フィルタ24として機能される)1枚で塞いで試験用ストーマ装具2(実施形態2、図6図8参照)を用意した。
次いで、上記ストーマ装具2のストーマパウチ21内に、臭気強度5の濃度の硫化水素、メチルメルカプタン又はアンモニアの試験ガスを500mL注入した。更に、試験ガスを注入したストーマパウチ21(内袋)を、乾燥空気で膨らませた10L容量のポリエチレン製袋外袋)に封入した。その後、この封入から1時間経過後に、ストーマパウチ21から試験ガスが抜けた状態(側壁22a及び22bが互い密着した状態)であることを確認したうえで、ポリエチレン製袋内の気体の臭いを6人の被験者に嗅がせ、以下の基準に従い、臭気強度判定を行った。そして、6人の臭気強度を平均し、通常官能試験の臭気強度として表1〜表3に併記した。臭気強度の値は、小さいほど消臭効果が高いことを意味する。尚、上述した臭気強度5の濃度は、硫化水素が8体積ppm、メチルメルカプタンが0.2体積ppm、アンモニアが40体積ppmである。
臭気強度0:無臭。
臭気強度1:感知できる臭い。
臭気強度2:何の臭いか分かる弱い臭い。
臭気強度3:楽に感知できる臭い
臭気強度4:強い臭い。
臭気強度5:強烈な臭い。

0077

(2)耐油官能試験
実施例1〜9及び比較例1〜4の各ストーマ装具用繊維製品を100mLの市販の調整牛乳乳脂肪分3.5%以上)に1時間浸漬し、次いで、イオン交換水(100mL)で3回リンスした後、60℃で30分乾燥させて得られた油分を吸着させたストーマ装具用繊維製品を用いた以外は、上記(1)と同様にして臭気強度判定を行った。そして、同様に6人の臭気強度を平均し、耐油官能試験の臭気強度として表1〜表3に併記した。臭気強度の値は、小さいほど消臭効果が高いことを意味する。

0078

0079

0080

0081

表1の結果から、バインダ樹脂にSP値が10以上である高分子が含まれることで、油分との接触される環境下でも、油分と接触しない環境下における場合と同等の優れた消臭作用を示すことが分かる。即ち、優れた耐油性を発揮できることが分かる。
具体的には、SP値が10.6〜12.6である高分子をバインダ樹脂として利用した実施例1〜3と、SP値が8.4〜9.3である高分子をバインダ樹脂として利用した比較例1〜2と、比べると、通常官能試験(油分が存在しない環境における消臭)の結果はほとんど差が認められない一方で、耐油官能試験(油分が存在する環境における消臭)は、SP値が8.4〜9.3である高分子をバインダ樹脂として利用した比較例1〜2において大幅に低下した。

0082

この点、実施例1と実施例2とを比較すると、同等のSP値である高分子をバインダ樹脂として利用した場合には、耐油官能試験も同等の結果となることが分かる。また、実施例1〜3を比較すると、水溶性を呈するPVAを利用した実施例3は、実施例1〜2に比べて通常官能試験はわずかに劣るものの、耐油官能試験では勝っていることが分かる。これは、実施例1〜2に比べて実施例3ではバインダ樹脂によって消臭剤がより多く覆われることに起因するのではないかと考えられる。

0083

表2の結果から、金属元素を含んだ無機系消臭剤を各種組合せて利用できることが分かる。その一方で、金属元素を含まない無機系消臭剤である活性炭を用いた場合には、バインダ樹脂のSP値の影響よりも強く、活性炭自身の性質を大きく受けて十分な消臭作用が得られていないことが分かる。また、耐油官能試験の結果が各実施例と比較して大幅に劣ることが分かる。
更に、表3の結果から、金属元素を含んだ無機系消臭剤の展着量は3.0〜12.0g/m2の幅広い範囲で利用できることが分かる。同様にバインダ樹脂の展着量も3.0〜12.0g/m2の幅広い範囲で利用できることが分かる。尚、金属元素を含んだ無機系消臭剤の展着量は12.0g/m2を超えると無機系消臭剤の脱落が危惧され得る。同様にバインダ樹脂の展着量は3.0g/m2未満でも無機系消臭剤の脱落が危惧され得る。

実施例

0084

尚、本発明においては、上記の具体的な実施例に記載されたものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。

0085

1;ストーマ装具用繊維製品、
11;繊維集合体、111;繊維、
12;消臭剤、
13;バインダ樹脂、
2;ストーマ装具、
21;ストーマパウチ、
21s;貯留部、21t;幅狭部、
22;側壁、22a;身体側の側壁、22b;外側の側壁、
221;開口、
23;脱気孔、
24;通気フィルタ、
25;被覆シート、
26;吸着フィルタ、
27;面板、271;中央開口部、
29;排出口。

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