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課題
解決手段
概要
背景
従来、画像形成装置において、シートを搬送する搬送ローラを駆動するモータの回転子にかかる負荷トルクの変化(負荷変動)に基づいて、シートの先端が当該搬送ローラのニップ部に到達したか(通過したか)否かを検出する構成が知られている(特許文献1)。
また、画像形成装置においては、予め設定された画像形成のシーケンスに合わせてシートが搬送されるように(シートが適切なタイミングで画像形成位置に搬送されるように)、搬送路に設けられたセンサの検知結果に基づいてシートの搬送速度を調整する構成が知られている。具体的には、予め決められたタイミングにシートが目標位置に到達するように、センサの検知結果に基づいて搬送速度を調整する構成が知られている。
概要
負荷変動が検出されたタイミングが、シートの先端が搬送ローラのニップ位置に到達したタイミングとして決定された状態で搬送速度の調整が行われると、シートの適切な位置に画像が形成されない可能性がある。シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置に基づいて、搬送速度Vが設定される。この結果、記録媒体への画像の転写が開始されるタイミングよりも後に記録媒体が転写位置に到達してしまうことを抑制することができ、記録媒体の適切な位置に画像が形成されないことを抑制することができる。
目的
本発明は、シートの適切な位置に画像が形成されないことを抑制することを目的とする
効果
実績
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請求項1
シートを積載する積載部と、前記積載部に積載された前記シートを給送するピックアップローラと、前記ピックアップローラによって給送されたシートを搬送する搬送ローラと、前記シートが搬送される搬送方向において前記搬送ローラよりも下流側に設けられ、画像形成位置において前記シートに画像を形成する画像形成部と、前記搬送ローラを回転駆動するモータと、前記モータの回転子にかかる負荷トルクに対応するパラメータの値を決定する決定手段と、前記決定手段によって決定された前記パラメータの値が所定値よりも大きい場合に、前記パラメータの値が前記所定値よりも大きいことを示す信号を出力する出力手段と、前記出力手段から前記信号が出力された第1タイミングにおける前記シートの先端の位置と前記搬送ローラのニップ位置との間の長さと、前記搬送ローラのニップ位置と前記搬送方向において前記搬送ローラよりも下流側且つ前記画像形成位置よりも上流側の所定位置との間の長さと、に基づいて、所定速度で搬送されているシートを前記所定位置まで搬送する搬送速度を調整する調整手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
請求項2
前記画像形成装置は、搬送されるシートの種類に関する情報を取得する取得手段を有し、前記調整手段は、前記取得手段が取得した前記情報に基づいて前記搬送速度を調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
請求項3
前記シートの種類に関する情報は、搬送されるシートの坪量に関する情報であり、前記調整手段は、搬送されるシートの坪量が第1の坪量である場合は前記第1タイミングにおける前記シートの先端の位置と前記ニップ位置との間の長さとして第1の長さを用いて前記搬送速度を調整し、搬送されるシートの坪量が前記第1の坪量よりも大きい第2の坪量である場合は前記第1タイミングにおける前記シートの先端の位置と前記ニップ位置との間の長さとして前記第1の長さよりも長い第2の長さを用いて前記搬送速度を調整することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
請求項4
シートを積載する積載部と、前記積載部に積載された前記シートを給送するピックアップローラと、前記ピックアップローラによって給送されたシートを搬送する搬送ローラと、前記シートが搬送される搬送方向において前記搬送ローラよりも下流側に設けられ、画像形成位置において前記シートに画像を形成する画像形成部と、前記搬送ローラを回転駆動するモータと、前記モータの回転子にかかる負荷トルクに対応するパラメータの値を決定する決定手段と、前記決定手段によって決定された前記パラメータの値が所定値よりも大きい場合に、前記パラメータの値が前記所定値よりも大きいことを示す信号を出力する出力手段と、搬送されるシートの坪量に関する情報を取得する取得手段と、所定速度で搬送されているシートを、前記搬送方向において前記搬送ローラよりも下流側且つ前記画像形成位置よりも上流側の所定位置まで搬送する搬送速度を調整する調整手段と、を有し、前記調整手段は、搬送されるシートの坪量が第1の坪量であることが前記取得手段によって取得された場合は前記搬送速度を第1速度に調整し、搬送されるシートの坪量が前記第1の坪量よりも大きい第2の坪量であることが前記取得手段によって取得された場合は前記搬送速度を前記第1速度よりも速い第2速度に調整する調整手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
請求項5
前記画像形成装置は、前記搬送方向において前記画像形成位置よりも上流側且つ前記搬送ローラよりも下流側に設けられた第2搬送ローラと、前記搬送方向において前記画像形成位置よりも上流側且つ前記第2搬送ローラよりも下流側に設けられ、前記第2搬送ローラによって搬送されるシートの先端が当接する当接部材と、を有し、前記所定位置は、前記搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間の位置であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
請求項6
前記画像形成装置は、前記ピックアップローラの回転駆動の開始及び停止を所定の時間間隔で行う制御手段を有し、前記調整手段は、前記ピックアップローラの回転駆動が開始される第3タイミングから前記シートが前記所定位置に到達すべき第2タイミングまでの時間、前記第3タイミングから前記第1タイミングまでの時間、前記第1タイミングにおける前記シートの先端の位置と前記ニップ位置との間の長さ及び前記ニップ位置と前記所定位置との間の長さに基づいて、前記搬送速度を調整することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
請求項7
前記画像形成装置は、回転駆動されている前記ピックアップローラを昇降させる揺動部材と、前記揺動部材の昇降動作を制御する制御手段と、を有し、前記調整手段は、前記ピックアップローラの回転駆動が開始される第3タイミングから前記シートが前記所定位置に到達すべき第2タイミングまでの時間、前記第3タイミングから前記第1タイミングまでの時間、前記第1タイミングにおける前記シートの先端の位置と前記ニップ位置との間の長さ及び前記ニップ位置と前記所定位置との間の長さに基づいて、前記搬送速度を調整することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
請求項8
前記画像形成装置は、前記搬送方向において前記第1搬送ローラよりも上流側に設けられ、前記ピックアップローラによって給送されたシートを下流へ搬送する給送ローラを有し、前記給送ローラと前記搬送ローラとの間に設けられた、前記シートが案内される搬送路は湾曲していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
請求項9
前記給送ローラは前記搬送ローラに隣接し、前記搬送ローラの周速度は前記給送ローラの周速度よりも速いことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
請求項10
前記画像形成部は前記シートに画像を転写する転写部を備え、前記画像形成位置は、前記転写部によって前記シートに画像が転写される位置であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
請求項11
前記信号が前記出力手段から出力されない状態が所定時間継続した場合は、前記シートの搬送が停止されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
請求項12
前記画像形成装置は、前記モータの回転子の回転位相を決定する第2決定手段と、前記第2決定手段によって決定された回転位相と前記回転子の目標位相を表す指令位相との偏差が小さくなるように、前記モータの巻線に流れる駆動電流を制御する第2制御手段と、を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
請求項13
前記画像形成装置は、前記モータの回転子の回転速度を決定する第2決定手段と、前記第2決定手段によって決定された回転速度と前記回転子の目標速度を表す指令速度との偏差が小さくなるように、前記モータの巻線に流れる駆動電流を制御する第2制御手段と、を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
請求項14
前記第2制御手段は、前記回転子の回転位相を基準とした回転座標系において表される電流成分であって前記回転子にトルクを発生させる電流成分であるトルク電流成分に基づいて前記駆動電流を制御することを特徴とする請求項12又は13に記載の画像形成装置。
請求項15
前記画像形成装置は、前記モータの巻線に流れる駆動電流を検出する検出手段を有し、前記パラメータは前記検出手段によって検出された駆動電流の前記トルク電流成分の値であることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
請求項16
前記パラメータは前記トルク電流成分の目標値であることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
請求項17
前記パラメータは前記偏差であることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
技術分野
背景技術
0002
従来、画像形成装置において、シートを搬送する搬送ローラを駆動するモータの回転子にかかる負荷トルクの変化(負荷変動)に基づいて、シートの先端が当該搬送ローラのニップ部に到達したか(通過したか)否かを検出する構成が知られている(特許文献1)。
0003
また、画像形成装置においては、予め設定された画像形成のシーケンスに合わせてシートが搬送されるように(シートが適切なタイミングで画像形成位置に搬送されるように)、搬送路に設けられたセンサの検知結果に基づいてシートの搬送速度を調整する構成が知られている。具体的には、予め決められたタイミングにシートが目標位置に到達するように、センサの検知結果に基づいて搬送速度を調整する構成が知られている。
先行技術
0004
特開2000−238934号公報
発明が解決しようとする課題
0005
前記特許文献1の構成においては、負荷変動が検出されたタイミングが、シートの先端が搬送ローラのニップ位置に到達したタイミングとして決定される。しかしながら、実際には、負荷変動が検出されたタイミングにおけるシートの先端は、シートの厚さに起因して搬送ローラのニップ位置よりも上流側に位置している。
0006
負荷変動が検出されたタイミングが、シートの先端が搬送ローラのニップ位置に到達したタイミングとして決定された状態で上述の搬送速度の調整が行われると、以下の問題が起こる可能性がある。具体的には、予め決められたタイミングにシートの先端が目標位置に到達するように搬送速度が調整されたとしても、当該タイミングにおけるシートの先端の位置が目標位置よりも上流側に位置してしまう可能性がある。この結果、シートへの画像形成が開始されるタイミングよりも後にシートが画像形成位置に到達してしまう可能性がある。その結果、シートの適切な位置に画像が形成されない可能性がある。
0007
上記課題に鑑み、本発明は、シートの適切な位置に画像が形成されないことを抑制することを目的とする。
課題を解決するための手段
0008
上記課題を解決するために、本発明にかかる画像形成装置は、
シートを積載する積載部と、
前記積載部に積載された前記シートを給送するピックアップローラと、
前記ピックアップローラによって給送されたシートを搬送する搬送ローラと、
前記シートが搬送される搬送方向において前記搬送ローラよりも下流側に設けられ、画像形成位置において前記シートに画像を形成する画像形成部と、
前記搬送ローラを回転駆動するモータと、
前記モータの回転子にかかる負荷トルクに対応するパラメータの値を決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定された前記パラメータの値が所定値よりも大きい場合に、前記パラメータの値が前記所定値よりも大きいことを示す信号を出力する出力手段と、
前記出力手段から前記信号が出力された第1タイミングにおける前記シートの先端の位置と前記搬送ローラのニップ位置との間の長さと、前記搬送ローラのニップ位置と前記搬送方向において前記搬送ローラよりも下流側且つ前記画像形成位置よりも上流側の所定位置との間の長さと、に基づいて、所定速度で搬送されているシートを前記所定位置まで搬送する搬送速度を調整する調整手段と、
を有することを特徴とする。
発明の効果
0009
本発明によれば、シートの適切な位置に画像が形成されないことを抑制することができる。
図面の簡単な説明
0010
画像形成装置を説明する断面図である。
前記画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
A相及びB相から成る2相のモータと、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。
モータ制御装置の構成を示すブロック図である。
指令生成器500の構成を示すブロック図である。
マイクロステップ駆動方式を行う方法の例を示す図である。
給送された記録媒体を検出する構成を説明する図である。
第1実施形態における薄紙が搬送された場合における偏差Δθと、厚紙が搬送された場合における偏差Δθと、を示す図である。
第1実施形態におけるシート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミング(記録媒体が検出されたタイミング)における記録媒体の先端の位置を示す図である。
搬送される記録媒体の坪量と、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置から搬送ローラ307までの距離Lcとの関係を示す図である。
CPU151aによる搬送速度Vの制御方法を示すフローチャートである。
搬送される記録媒体の坪量と、記録媒体が検出されてから当該記録媒体の先端がニップ位置nに到達するまでの時間Tcと、の関係を示す図である。
第3実施形態におけるシート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングでの記録媒体の先端の位置を示す図である。
第3実施形態における偏差Δθの様子を示す図である。
搬送される記録媒体の坪量と、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置から搬送ローラ307までの距離Lc´との関係を示す図である。
速度フィードバック制御を行うモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
実施例
0011
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の形状及びそれらの相対配置などは、この発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲が以下の実施の形態に限定される趣旨のものではない。なお、以下の説明においては、モータ制御装置が画像形成装置に設けられる場合について説明するが、モータ制御装置が設けられるのは画像形成装置に限定されるわけではない。例えば、記録媒体や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置等にも用いられる。
0012
〔第1実施形態〕
[画像形成装置]
図1は、本実施形態で用いられるシート搬送装置を有するモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)100の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタ等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
0014
<原稿読取装置>
原稿読取装置200には、原稿を読取位置に給送する原稿給送装置201が設けられている。原稿給送装置201の原稿積載部2に積載された原稿Pは、ピックアップローラ3によって1枚ずつ給送され、その後、給紙ローラ4によって搬送される。給紙ローラ4と対向する位置には、給紙ローラ4に圧接する分離ローラ5が設けられている。分離ローラ5は、該分離ローラ5に所定のトルク以上の負荷トルクがかかると、回転する構成となっており、2枚重なった状態で給送された原稿を分離する機能を有する。
0016
原稿Pは、給紙ローラ4等によって搬送されて、排紙ローラ11によって排紙トレイ10へ排紙される。なお、図1に示すように、原稿積載部2には、原稿積載部2に原稿が積載されているか否かを検知する原稿セットセンサSS1が設けられている。また、原稿が通過する搬送路には、原稿の先端を検知する(原稿の有無を検知する)シートセンサSS2が設けられている。
0017
原稿読取装置201には、搬送される原稿の第1面の画像を読み取る原稿読取部16が設けられている。原稿読取部16に読み取られた画像情報は、画像印刷装置301へ出力される。
0018
また、原稿読取装置200には、搬送される原稿の第2面の画像を読み取る原稿読取部17が設けられている。原稿読取部17に読み取られた画像情報は、原稿読取部16において説明した方法と同様にして画像印刷装置301へ出力される。
0019
前述の如くして、原稿の読取が行われる。即ち、原稿給送装置201及び読取装置202は、原稿読取装置として機能する。
0020
また、原稿の読取モードとして、第1読取モードと第2読取モードがある。第1読取モードは、上述した方法で搬送される原稿の画像を読み取るモードである。第2読取モードは、読取装置202の原稿ガラス214上に載置された原稿の画像を、一定速度で移動する原稿読取部16によって読み取るモードである。通常、シート状の原稿の画像は第1読取モードで読み取られ、本や冊子等の綴じられた原稿の画像は第2読取モードで読み取られる。
0021
画像印刷装置301の内部には、シート収納トレイ302、304が設けられている。シート収納トレイ302、304には、それぞれ異なる種類の記録媒体を収納することができる。例えば、シート収納トレイ302にはA4サイズの普通紙が収納され、シート収納トレイ304にはA4サイズの厚紙が収納される。なお、記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、用紙、樹脂シート、布、OHPシート、ラベル等は記録媒体に含まれる。
0022
シート収納トレイ302に収納された記録媒体は、ピックアップローラ303によって給送されて、給送ローラ331、搬送ローラ306によってプレレジストレーションローラ(以下、プレレジローラと称する)333へ送り出される。また、シート収納トレイ304に収納された記録媒体は、ピックアップローラ305によって給送されて、給送ローラ332、搬送ローラ307、306によってプレレジローラ333へ送り出される。
0023
プレレジローラ333とレジストレーションローラ(以下、レジローラと称する)308との間には、記録媒体の先端を検知するシートセンサ335が設けられている。プレレジローラ333によって搬送された記録媒体の先端は、シートセンサ335によって検知された後に停止状態のレジローラ308に当接する。その後、プレレジローラ333が更に回転することによって、記録媒体が更に搬送方向へと搬送され、記録媒体が撓む。この結果、記録媒体に弾性力が働き、記録媒体の先端がレジローラ308のニップ部に沿って当接する。この結果、記録媒体の斜行が補正される。なお、本実施形態では、プレレジローラ333は、シートセンサ335が記録媒体の先端を検知してから所定時間回転するように制御される。所定時間は、記録媒体の斜行が補正されるのに必要な量だけ記録媒体を撓ませることができる時間に予め設定されている。
0024
原稿読取装置200から出力された画像信号は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを含む光走査装置311に入力される。また、感光ドラム309は、帯電器310によって外周面が帯電される。感光ドラム309の外周面が帯電された後、原稿読取装置200から光走査装置311に入力された画像信号に応じたレーザ光が、光走査装置311からポリゴンミラー及びミラー312、313を経由し、感光ドラム309の外周面に照射される。この結果、感光ドラム309の外周面に静電潜像が形成される。なお、感光ドラムの帯電には、例えば、コロナ帯電器や帯電ローラを用いた帯電方法が用いられる。
0025
続いて、静電潜像が現像器314内のトナーによって現像され、感光ドラム309の外周面にトナー像が形成される。感光ドラム309に形成されたトナー像は、感光ドラム309と対向する位置(転写位置)に設けられた転写部としての転写帯電器315によって記録媒体に転写される。レジストレーションローラ308は記録媒体を転写位置へ送り込む。
0026
前述の如くして、トナー像が転写された記録媒体は、搬送ベルト317によって定着器318へ送り込まれ、定着器318によって加熱加圧されて、トナー像が記録媒体に定着される。このようにして、画像形成装置100によって記録媒体に画像が形成される。
0027
片面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319、324によって、不図示の排紙トレイへ排紙される。また、両面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318によって記録媒体の第1面に定着処理が行われた後に、記録媒体は、排紙ローラ319、搬送ローラ320、及び反転ローラ321によって、反転パス325へと搬送される。その後、記録媒体は、搬送ローラ322、323によって再度レジストレーションローラ308へと搬送され、前述した方法で記録媒体の第2面に画像が形成される。その後、記録媒体は、排紙ローラ319、324によって不図示の排紙トレイへ排紙される。
0028
また、第1面に画像形成された記録媒体がフェースダウンで画像形成装置100の外部へ排紙される場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319を通って搬送ローラ320へ向かう方向へ搬送される。その後、記録媒体の後端が搬送ローラ320のニップ部を通過する直前に搬送ローラ320の回転が反転することによって、記録媒体の第1面が下向きになった状態で、記録媒体が排紙ローラ324を経由して、画像形成装置100の外部へ排出される。
0029
図1に示すように、画像印刷装置301には、記録媒体を積載する積載部327が設けられている。積載部327に積載された記録媒体は、搬送方向へ送り出されてピックアップローラ328によって搬送方向へ送り出され、その後、給紙ローラ329によって搬送される。
0030
ピックアップローラ328と給紙ローラ329は揺動アーム330によって連結されている。揺動アーム330は、給紙ローラ329の回転軸を中心にして回動できるように給紙ローラ329の回転軸によって支持されている。
0031
給紙ローラ329によって搬送ローラ306へ搬送された記録媒体には、上述の方法で画像が形成される。
0032
以上が画像形成装置100の構成および機能についての説明である。なお、本発明における負荷とはモータによって駆動される対象物である。例えば、給紙ローラ204、303、305、レジストレーションローラ308及び排紙ローラ319等の各種ローラ(搬送ローラ)や感光ドラム309、搬送ベルト317、原稿読取部16等は本発明における負荷に対応する。本実施形態のモータ制御装置は、これら負荷を駆動するモータに適用することができる。
0033
図2は、画像形成装置100の制御構成の例を示すブロック図である。システムコントローラ151は、図2に示すように、CPU151a、ROM151b、RAM151cを備えている。また、システムコントローラ151は、画像処理部112、操作部152、アナログ・デジタル(A/D)変換器153、高圧制御部155、モータ制御装置157、センサ類159、ACドライバ160、シートセンサ334と接続されている。システムコントローラ151は、接続された各ユニットとの間でデータやコマンドの送受信をすることが可能である。
0035
RAM151cは記憶デバイスである。RAM151cには、例えば、高圧制御部155に対する設定値、モータ制御装置157に対する指令値及び操作部152から受信される情報等の各種データが記憶される。
0036
システムコントローラ151は、画像処理部112における画像処理に必要となる、画像形成装置100の内部に設けられた各種装置の設定値データを画像処理部112に送信する。更に、システムコントローラ151は、センサ類159からの信号を受信して、受信した信号に基づいて高圧制御部155の設定値を設定する。高圧制御部155は、システムコントローラ151によって設定された設定値に応じて、高圧ユニット156(帯電器310、現像器314、転写帯電器315等)に必要な電圧を供給する。なお、センサ類159には、搬送ローラによって搬送される記録媒体を検知するセンサ等が含まれる。
0037
モータ制御装置157は、CPU151aから出力された指令に応じて、搬送ローラ307を駆動するモータ509を制御する。なお、図2においては、画像形成装置のモータとしてモータ509のみが記載されているが、実際には、画像形成装置には複数個のモータが設けられている。また、1個のモータ制御装置が複数個のモータを制御する構成であっても良い。更に、図2においては、モータ制御装置が1個しか設けられていないが、実際には、複数個のモータ制御装置が画像形成装置に設けられている。
0038
A/D変換器153は、定着ヒータ161の温度を検出するためのサーミスタ154が検出した検出信号を受信し、検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してシステムコントローラ151に送信する。システムコントローラ151は、A/D変換器153から受信したデジタル信号に基づいてACドライバ160の制御を行う。ACドライバ160は、定着ヒータ161の温度が定着処理を行うために必要な温度となるように定着ヒータ161を制御する。なお、定着ヒータ161は、定着処理に用いられるヒータであり、定着器318に含まれる。
0039
システムコントローラ151は、使用する記録媒体の種類(以下、紙種と称する)等の設定をユーザが行うための操作画面を、操作部152に設けられた表示部に表示するように、操作部152を制御する。システムコントローラ151は、ユーザが設定した情報を操作部152から受信し、ユーザが設定した情報に基づいて画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。また、システムコントローラ151は、画像形成装置の状態を示す情報を操作部152に送信する。なお、画像形成装置の状態を示す情報とは、例えば、画像形成枚数、画像形成動作の進行状況、原稿読取装置201及び画像印刷装置301におけるシートのジャムや重送等に関する情報である。操作部152は、システムコントローラ151から受信した情報を表示部に表示する。
0040
前述の如くして、システムコントローラ151は画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。なお、シート検出器700については後述する。
0041
[モータ制御装置]
次に、本実施形態におけるモータ制御装置について説明する。本実施形態におけるモータ制御装置は、ベクトル制御を用いてモータを制御する。
0042
<ベクトル制御>
まず、図3及び図4を用いて、本実施形態におけるモータ制御装置157がベクトル制御を行う方法について説明する。なお、以下の説明におけるモータには、モータの回転子の回転位相を検出するためのロータリエンコーダなどのセンサは設けられていないが、ロータリエンコーダなどのセンサが設けられていてもよい。
0043
図3は、A相(第1相)とB相(第2相)との2相から成るステッピングモータ(以下、モータと称する)509と、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。図3では、静止座標系において、A相の巻線に対応した軸であるα軸と、B相の巻線に対応した軸であるβ軸とが定義されている。また、図3では、回転子402に用いられている永久磁石の磁極によって作られる磁束の方向に沿ってd軸が定義され、d軸から反時計回りに90度進んだ方向(d軸に直交する方向)に沿ってq軸が定義されている。α軸とd軸との成す角度はθと定義され、回転子402の回転位相は角度θによって表される。ベクトル制御では、回転子402の回転位相θを基準とした回転座標系が用いられる。具体的には、ベクトル制御では、巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルの、回転座標系における電流成分であって、回転子にトルクを発生させるq軸成分(トルク電流成分)と巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸成分(励磁電流成分)とが用いられる。
0044
ベクトル制御とは、回転子の目標位相を表す指令位相と実際の回転位相との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法である。また、回転子の目標速度を表す指令速度と実際の回転速度との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する速度フィードバック制御を行うことによってモータを制御する方法もある。
0047
モータ制御装置157は、ベクトル制御を行う回路として、位相制御器502、電流制御器503、座標逆変換器505、座標変換器511、モータの巻線に駆動電流を供給するPWMインバータ506等を有する。座標変換器511は、モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルを、α軸及びβ軸で表される静止座標系からq軸及びd軸で表される回転座標系に座標変換する。この結果、巻線に流れる駆動電流は、回転座標系における電流値であるq軸成分の電流値(q軸電流)とd軸成分の電流値(d軸電流)とによって表される。なお、q軸電流は、モータ509の回転子402にトルクを発生させるトルク電流に相当する。また、d軸電流は、モータ509の巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流に相当する。モータ制御装置157は、q軸電流及びd軸電流をそれぞれ独立に制御することができる。この結果、モータ制御装置157は、回転子402にかかる負荷トルクに応じてq軸電流を制御することによって、回転子402が回転するために必要なトルクを効率的に発生させることができる。即ち、ベクトル制御においては、図3に示す電流ベクトルの大きさは、回転子402にかかる負荷トルクに応じて変化する。
0048
モータ制御装置157は、モータ509の回転子402の回転位相θを後述する方法により決定し、その決定結果に基づいてベクトル制御を行う。CPU151aは、モータ509の動作シーケンスに基づいて、指令生成器500にモータを駆動する指令として駆動パルスを出力する。なお、モータの動作シーケンス(モータの駆動パターン)は、例えば、ROM151bに格納されており、CPU151aは、ROM151bに格納された動作シーケンスに基づいて、パルス列としての駆動パルスを出力する。パルスの数が指令位相に対応し、パルスの周波数は目標速度に対応する。
0049
指令生成器500は、CPU151aから出力される駆動パルスに基づいて、回転子402の目標位相を表す指令位相θ_refを生成して出力する。なお、指令生成器500の構成については後述する。
0051
位相制御器502は、偏差Δθを周期T(例えば、200μs)で取得する。位相制御器502は、比例制御(P)、積分制御(I)、微分制御(D)に基づいて、減算器101から出力される偏差が小さくなるように、目標値としてのq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。具体的には、位相制御器502は、P制御、I制御、D制御に基づいて減算器101から出力される偏差が0になるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。なお、P制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、I制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間積分に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、D制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間変化に比例する値に基づいて制御する制御方法である。本実施形態における位相制御器502は、PID制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、位相制御器502は、PI制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しても良い。なお、回転子402に永久磁石を用いる場合、通常は巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸電流指令値id_refは0に設定されるが、これに限定されるものではない。
0052
モータ509のA相の巻線に流れる駆動電流は、電流検出器507によって検出され、その後、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換される。また、モータ509のB相の巻線に流れる駆動電流は、電流検出器508によって検出され、その後、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換される。なお、電流検出器507、508が電流を検出する周期は、例えば、位相制御器502が偏差Δθを取得する周期T以下の周期(例えば、25μs)である。
0053
A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換された駆動電流の電流値は、静止座標系における電流値iα及びiβとして、図3に示す電流ベクトルの位相θeを用いて次式によって表される。なお、電流ベクトルの位相θeは、α軸と電流ベクトルとの成す角度と定義される。また、Iは電流ベクトルの大きさを示す。
iα=I*cosθe (1)
iβ=I*sinθe (2)
0055
座標変換器511は、静止座標系における電流値iα及びiβを、次式によって、回転座標系におけるq軸電流の電流値iq及びd軸電流の電流値idに変換する。
id= cosθ*iα+sinθ*iβ (3)
iq=−sinθ*iα+cosθ*iβ (4)
0056
座標変換器511は、変換された電流値iqを減算器102に出力する。また、座標変換器511は、変換された電流値idを減算器103に出力する。
0057
減算器102は、q軸電流指令値iq_refと電流値iqとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
0058
また、減算器103は、d軸電流指令値id_refと電流値idとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
0059
電流制御器503は、PID制御に基づいて、入力される偏差がそれぞれ小さくなるように駆動電圧Vq及びVdを生成する。具体的には、電流制御器503は、入力される偏差がそれぞれ0になるように駆動電圧Vq及びVdを生成して座標逆変換器505に出力する。即ち、電流制御器503は、生成手段として機能する。なお、本実施形態における電流制御器503は、PID制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、電流制御器503は、PI制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しても良い。
0060
座標逆変換器505は、電流制御器503から出力された回転座標系における駆動電圧Vq及びVdを、次式によって、静止座標系における駆動電圧Vα及びVβに逆変換する。
Vα=cosθ*Vd−sinθ*Vq (5)
Vβ=sinθ*Vd+cosθ*Vq (6)
0061
座標逆変換器505は、逆変換された駆動電圧Vα及びVβを誘起電圧決定器512及びPWMインバータ506に出力する。
0062
PWMインバータ506は、フルブリッジ回路を有する。フルブリッジ回路は座標逆変換器505から入力された駆動電圧Vα及びVβに基づくPWM信号によって駆動される。その結果、PWMインバータ506は、駆動電圧Vα及びVβに応じた駆動電流iα及びiβを生成し、駆動電流iα及びiβをモータ509の各相の巻線に供給することによって、モータ509を駆動させる。なお、本実施形態においては、PWMインバータはフルブリッジ回路を有しているが、PWMインバータはハーフブリッジ回路等であっても良い。
0063
次に、回転位相θを決定する構成について説明する。回転子402の回転位相θの決定には、回転子402の回転によってモータ509のA相及びB相の巻線に誘起される誘起電圧Eα及びEβの値が用いられる。誘起電圧の値は誘起電圧決定器512によって決定(算出)される。具体的には、誘起電圧Eα及びEβは、A/D変換器510から誘起電圧決定器512に入力された電流値iα及びiβと、座標逆変換器505から誘起電圧決定器512に入力された駆動電圧Vα及びVβとから、次式によって決定される。
Eα=Vα−R*iα−L*diα/dt (7)
Eβ=Vβ−R*iβ−L*diβ/dt (8)
0064
ここで、Rは巻線レジスタンス、Lは巻線インダクタンスである。巻線レジスタンスR及び巻線インダクタンスLの値は使用されているモータ509に固有の値であり、ROM151b又はモータ制御装置157に設けられたメモリ(不図示)等に予め格納されている。
0065
誘起電圧決定器512によって決定された誘起電圧Eα及びEβは位相決定器513に出力される。
0066
位相決定器513は、誘起電圧決定器512から出力された誘起電圧Eαと誘起電圧Eβとの比に基づいて、次式によってモータ509の回転子402の回転位相θを決定する。
θ=tan^−1(−Eβ/Eα) (9)
0067
なお、本実施形態においては、位相決定器513は、式(9)に基づく演算を行うことによって回転位相θを決定したが、この限りではない。例えば、位相決定器513は、ROM151b等に記憶されている、誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβと誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβとに対応する回転位相θとの関係を示すテーブルを参照することによって回転位相θを決定してもよい。
0068
前述の如くして得られた回転子402の回転位相θは、減算器101、座標逆変換器505、座標変換器511に入力される。
0069
モータ制御装置157は、上述の制御を繰り返し行う。
0070
以上のように、本実施形態におけるモータ制御装置157は、指令位相θ_refと回転位相θとの偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御する位相フィードバック制御を用いたベクトル制御を行う。ベクトル制御を行うことによって、モータが脱調状態となることや、余剰トルクに起因してモータ音が増大すること及び消費電力が増大することを抑制することができる。
0071
<指令生成器>
図5は、本実施形態における指令生成器500の構成を示すブロック図である。図5に示すように、指令生成器500は、指令速度の代わりとなる回転速度ω_ref´を生成する速度決定手段としての速度生成器500a及びCPU151aから出力された駆動パルスに基づいて指令位相θ_refを生成する指令値生成器500bを有する。
0072
速度生成器500aは、連続する駆動パルスの立ち下がりエッジの時間間隔に基づいて回転速度ω_ref´を生成して出力する。即ち、回転速度ω_ref´は、駆動パルスの周期に対応する周期で変化する。
0073
指令値生成器500bは、CPU151aから出力される駆動パルスに基づいて、以下の式(10)のようにして指令位相θ_refを生成して出力する。
θ_ref=θini+θstep*n (10)
0074
なお、θiniはモータの駆動が開始されるときの回転子の位相(初期位相)である。また、θstepは、駆動パルス1個当たりのθ_refの増加量(変化量)である。また、nは指令値生成器500bに入力されるパルスの個数である。
0075
{マイクロステップ駆動方式}
本実施形態では、定電流制御において、マイクロステップ駆動方式が用いられる。なお、定電流制御において用いられる駆動方式は、マイクロステップ駆動方式に限定されるわけではなく、例えば、フルステップ駆動方式等の駆動方式であってもよい。
0076
図6は、マイクロステップ駆動方式を行う方法の例を示す図である。図6には、CPU151aから出力される駆動パルス、指令値生成器500bによって生成される指令位相θ_ref、A相及びB相の巻線に流れる電流が示されている。
0077
以下に、図5及び図6を用いて、本実施形態におけるマイクロステップ駆動を行う方法について説明する。なお、図6に示す駆動パルス及び指令位相は、回転子が一定速度で回転している状態を示す。
0078
マイクロステップ駆動方式における指令位相θ_refの進み量は、フルステップ駆動方式における指令位相θ_refの進み量である90°が1/N(Nは正の整数)に分割された量(90°/N)である。この結果、電流波形は図6に示すように正弦波状に滑らかに変化し、その結果、回転子の回転位相θをより細かく制御することができる。
0079
マイクロステップ駆動が行われる場合、指令値生成器500bは、CPU151aから出力された駆動パルスに基づいて、以下の式(11)にようにして指令位相θ_refを生成して出力する。
θ_ref=45°+90/N°*n (11)
0080
このように、指令値生成器500bは、駆動パルスが1個入力されると、指令位相θ_refに90/N°を加算することによって指令位相θ_refを更新する。即ち、CPU151aから出力される駆動パルスの個数は、指令位相に対応する。なお、CPU151aから出力される駆動パルスの周期(周波数)は、モータ509の目標速度(指令速度)に対応する。
0081
[画像形成装置におけるシートの搬送制御]
<シート検出器>
図7は、給送された記録媒体を検出する構成を説明する図である。図7に示すように、搬送ローラ307はモータ509によって駆動され、モータ509はモータ制御装置157によって制御される。また、給送ローラ332及びピックアップローラ305は不図示のモータによって駆動される。給送ローラ332は搬送ローラ307に隣接するローラである。本実施形態では、記録媒体が搬送される搬送速度Vは画像形成装置100の動作シーケンスに基づいて予め所定速度としてのV0に設定されている。
0082
次に、記録媒体の先端が搬送ローラ307のニップ部に到達したか否かをシート検出器700が検出する構成を説明する。本実施形態では、記録媒体の先端が搬送ローラ307のニップ部に到達したか否かがフォトセンサ等のセンサではなくモータ制御装置157から出力される信号に基づいて検出(判定)される。なお、以下の説明において、シート検出器700は、例えば、検出結果を所定の時間周期(例えば、偏差Δθが入力される周期)で出力する。
0083
給送ローラ332によって下流側へ搬送された記録媒体の先端は、搬送ローラ307にニップされる。記録媒体の先端が搬送ローラ307によってニップされると、搬送ローラ307を駆動するモータの回転子にかかる負荷トルクは増大する。負荷トルクが増大すると、偏差Δθの絶対値は増大する。
0084
シート検出器700は、偏差Δθの絶対値が所定値としての閾値Δθth以上になると、偏差Δθの絶対値が閾値Δθth以上になったこと(記録媒体を検出したこと)を示す信号‘1’を出力する。また、シート検出器700は、偏差Δθの絶対値が閾値Δθth未満である場合、偏差Δθの絶対値が閾値Δθth未満であることを示す信号‘0’を出力する。なお、閾値Δθthについては後述する。
0085
<搬送速度Vの調整>
シート検出器700の検出結果は、CPU151aに入力される。CPU151aは、シート検出器700から信号‘1’が出力されると、記録媒体の搬送速度Vを調整する。なお、CPU151aは、例えば、画像形成装置100の内部に設けられた各モータ制御装置に出力する駆動パルスの周波数を変更することによって搬送速度Vを調整する。
0086
以下の説明において、X1はピックアップローラ305から搬送ローラ307までの距離を示し、X2は搬送ローラ307からシートセンサ334が記録媒体を検知する検知位置までの距離を示す。即ち、ピックアップローラ305から検知位置までの距離はX1+X2で表される。また、T0は、記録媒体が搬送速度V0で距離X1+X2を搬送されるのに要する時間に対応する。
0087
本実施形態では、所定の時間間隔でピックアップローラ305の回転と停止とが繰り返し行われることにより、記録媒体が所定の間隔で給送される。CPU151aは、図2に示すように、タイマ151dを備えており、ピックアップローラ305の駆動が開始されてから(ピックアップローラ305の駆動を開始する指示を出力してから)経過した時間を計測する。
0088
CPU151aは、距離X2と、ピックアップローラ305の駆動が開始されてからシート検出器700から信号‘1’が出力されるまでの時間Taを時間T0から減算した時間と、に基づいて算出される速度を搬送速度Vとして設定する。具体的には、CPU151aは、以下の式(12)に基づいて、搬送ローラ307から検知位置までの区間における搬送速度V(即ち、搬送ローラ307から検知位置までの区間における搬送ローラの周速度)を設定する。なお、搬送ローラ307から検知位置までの区間における搬送速度Vの調整後のピックアップローラ305から搬送ローラ307までの区間における搬送速度VはV0に設定されてもよいし、式(12)に基づいて調整された搬送速度Vに設定されてもよい。
V=X2/(T0−Ta) (12)
0089
図8は、薄紙が搬送された場合にモータ制御装置157から出力される偏差Δθ(破線)と、厚紙が搬送された場合にモータ制御装置157から出力される偏差Δθ(実線)と、を示す図である。なお、図8においては、記録媒体の給送動作が開始されるタイミングがt=0として示されている。
0090
図8においては、偏差Δθが正の値であることは回転位相θが指令位相θ_refよりも遅れていることを意味し、偏差Δθが負の値であることは回転位相θが指令位相θ_refよりも進んでいることを意味する。しかしながら、偏差Δθの極性と回転位相θ及び指令位相θ_refの関係は、これに限定されるわけではない。例えば、回転位相θが指令位相θ_refよりも遅れている場合は偏差Δθが負の値であり、回転位相θが指令位相θ_refよりも進んでいる場合は偏差Δθが正の値である構成でもよい。図8に示すように、負荷トルクが増大すると、モータ509の回転子の回転位相θが指令位相θ_refよりも遅れることに起因して、偏差Δθの絶対値が大きくなる。
0091
図9は、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミング(記録媒体が検出されたタイミング)における記録媒体の先端の位置を示す図である。
0092
図9(a)は、薄紙が搬送された場合においてシート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミング(時刻ta)における薄紙の先端の位置を示す図である。図9(b)は、厚紙が搬送された場合においてシート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミング(時刻tb)における厚紙の先端の位置を示す図である。
0093
給送ローラ332によって下流側へ搬送される記録媒体の先端は、搬送ローラ307にニップされる。記録媒体の先端が搬送ローラ307によってニップされると、搬送ローラ307を駆動するモータの回転子にかかる負荷トルクは増大する。負荷トルクが増大すると、偏差Δθの絶対値は、例えば、図8に示すように増大する(時刻ta、tb)。
0094
なお、本実施形態では、搬送ローラ307は、給送ローラ332の周速度よりも速い周速度で回転しており、記録媒体が搬送ローラ307にニップされると、搬送ローラ307は給送ローラ332によってニップされている記録媒体を下流側へ引っ張る。このような構成により、記録媒体が搬送ローラ307にニップされるときの負荷トルクの増大幅をより大きくすることができ、記録媒体の先端がより高精度に検出される。
0095
本実施形態では、閾値Δθthは、例えば、画像形成装置100において搬送され得る複数の記録媒体の種類のうち剛度及び厚さが最も小さい記録媒体に起因して増大する搬送ローラ307にかかる負荷トルク、即ち、偏差Δθの絶対値の最大値(ピーク値)よりも小さい値に設定される。更に、閾値Δθthは、例えば、画像形成装置100において搬送され得る複数の記録媒体の種類のうち剛度及び厚さが最も大きい記録媒体に起因して増大する搬送ローラ307にかかる負荷トルク、即ち、偏差Δθの絶対値の最大値(ピーク値)よりも小さい値に設定される。
0096
また、閾値Δθthは、例えば、搬送ローラ307に記録媒体がニップされていない状態であって且つ搬送ローラ307が定速回転している状態において想定される偏差Δθの絶対値より大きい値に設定される。
0097
図9に示すように、記録媒体の先端は、厚みに起因してニップ位置nよりも搬送方向における上流側に位置するタイミングでニップされる。また、図9に示すように、薄紙が搬送される場合にシート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける当該薄紙の先端の位置からニップ位置nまでの距離Laは、厚紙が搬送される場合にシート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける当該厚紙の先端の位置からニップ位置nまでの距離Lbよりも短い。これは、厚紙の厚みが薄紙の厚みよりも大きいことに起因して、搬送ローラ307による厚紙のニップが開始されるときの厚紙の先端の位置が搬送ローラ307による薄紙のニップが開始されるときの薄紙の先端の位置よりも上流側であることを意味する。
0098
上述のように、シート検出器700から信号‘1’が出力されるタイミングにおける記録媒体の先端の位置から検知位置までの距離Yは、距離X2とは異なる距離である。具体的には、距離Yは距離X2よりも長い。式(12)に基づいて搬送速度Vが設定されると、距離Yが距離X2よりも長いことに起因して、記録媒体が検知位置に到達すべきタイミングにおける記録媒体の先端の位置が当該検知位置よりも上流側に位置してしまう。即ち、記録媒体が検知位置に到達すべきタイミングよりも後に記録媒体が検知位置に到達してしまう可能性がある。その結果、記録媒体への画像の転写が開始されるタイミングよりも後に記録媒体が転写位置に到達してしまい、記録媒体の適切な位置に画像が形成されない可能性がある。
0099
そこで、本実施形態では、以下の構成が適用されることによって、記録媒体の適切な位置に画像が形成されないことを抑制する。
0100
図10は、搬送される記録媒体の坪量と、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置から搬送ローラ307までの距離Lcとの関係を示す図である。図10における坪量Maは薄紙の坪量に対応する。また、図10における坪量Mbは厚紙の坪量に対応する。なお、図10に示される坪量と距離Lcとの関係は実験によって得られたものであり、例えば予めROM151bに記憶されている。
0102
紙種の情報は、例えば、操作部152を介してユーザによって入力される。なお、紙種の情報には、記録媒体の坪量、剛度等が含まれる。CPU151aは、入力された紙種の情報と、ROM151bに記憶されている坪量と距離Lcとの関係と、に基づいて、距離Lcを決定する。例えば、CPU151aは、薄紙が搬送されることが操作部152を介してユーザによって入力された場合は、薄紙に対応するLc_aを距離Lcとして設定する。また、CPU151aは、厚紙が搬送されることが操作部152を介してユーザによって入力された場合は、厚紙に対応するLc_bを距離Lcとして設定する。
0103
CPU151aは、設定された距離Lcを用いて、以下の式(13)に基づいて搬送速度Vを設定する。
V=(X2+Lc)/(T0−Ta) (13)
0104
つまり、CPU151aは、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置からレジローラ308までの距離を算出する。そして、CPU151aは、算出された距離を時間T0から時間Taが減算された値によって除算することによって搬送速度Vを設定する。即ち、CPU151aは、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置に基づいて、搬送速度Vを設定する。
0105
図11は、CPU151aによる搬送速度Vの制御方法を示すフローチャートである。以下に、図11を用いて、本実施形態における搬送速度Vの制御について説明する。このフローチャートの処理は、CPU151aによって実行される。なお、このフローチャートの処理中、CPU151aは、ピックアップローラ305の回転駆動を開始する指示を出力する度にタイマ151dのリセット及びスタートを行う。
0106
S1001において、操作部152を介して紙種の情報が入力されると、S1002において、CPU151aは、入力された紙種の情報に基づいて距離Lcを設定する。
0107
その後、S1003において、CPU151aは、指定されたシート収納トレイに格納された記録媒体の給送動作を開始する。以降、所定の時間間隔でピックアップローラの駆動及び停止が繰り返し行われる。
0108
次に、S1004において、信号‘1’がシート検出器700から出力されると、CPU151aは、処理をS1005に進める。
0109
S1005において、CPU151aは、S1002において設定された距離Lc、ピックアップローラの駆動が開始されてからシート検出器700から信号‘1’が出力されるまでの時間Ta及び距離X2に基づいて、搬送速度Vを調整(設定)する。具体的には、式(13)を用いて搬送速度Vを設定する。
0110
S1006において、印刷ジョブが終了される場合は、S1007において、CPU151aは給送動作を終了する。
0111
一方、S1006において、印刷ジョブが終了される場合は、CPU151aは処理をS1004に戻す。
0112
また、S1004において、信号‘1’がシート検出器700から出力されない場合は、CPU151aは処理をS1008に進める。
0113
S1008において、信号‘1’がシート検出器700から出力されない状態が所定時間継続していない場合は、CPU151aは処理をS1004に戻す。
0114
一方、S1008において、信号‘1’がシート検出器700から出力されない状態が所定時間継続した場合は、S1009において、CPU151aは給送動作を停止する。なお、所定時間は、例えば、ピックアップローラ305によって給送された記録媒体が搬送速度V0で搬送されて搬送ローラ307に到達するのに要する時間よりも長い時間に設定される。
0115
そして、S1010において、CPU151aは、記録媒体の搬送に異常(例えばジャム)が生じたことを操作部152に設けられた表示部に表示することによってユーザに通知する。
0116
以上のように、本実施形態では、距離X2と記録媒体の厚みに起因して生じる距離Lcとに基づいて、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置からレジローラ308までの距離が算出される。算出された距離が時間T0から時間Taが減算された値によって除算されることによって搬送速度Vが設定される。即ち、本実施形態では、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置に基づいて、搬送速度Vが設定される。この結果、記録媒体への画像の転写が開始されるタイミングよりも後に記録媒体が転写位置に到達してしまうことを抑制することができ、記録媒体の適切な位置に画像が形成されないことを抑制することができる。
0117
また、本実施形態では、紙種に対応した距離Lcに基づいて搬送速度Vが設定される。その結果、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置が紙種によって異なることに起因して記録媒体への画像の転写が開始されるタイミングよりも後に記録媒体が転写位置に到達してしまうことを抑制することができる。即ち、記録媒体の適切な位置に画像が形成されないことを抑制することができる。
0118
〔第2実施形態〕
画像形成装置100の構成が第1実施形態と同様の部分については説明を省略する。
0119
第1実施形態では、CPU151aは、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置からレジローラ308までの距離に基づいて搬送速度Vを設定した。本実施形態では、CPU151aは、記録媒体の先端が搬送ローラのニップ位置に到達するタイミングに基づいて搬送速度Vを設定する。
0120
図12は、搬送される記録媒体の坪量と、記録媒体が検出されてから当該記録媒体の先端がニップ位置nに到達するまでの時間Tcと、の関係を示す図である。図12における坪量Maは薄紙の坪量に対応する。また、図12における坪量Mbは厚紙の坪量に対応する。なお、図12に示される坪量と時間Tcとの関係は実験によって得られたものであり、例えば予めROM151bに記憶されている。
0121
時間Tc_a及びTc_bは、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける当該記録媒体の先端の位置から搬送ローラ307のニップ位置nまでの距離を搬送速度V0で除算することによって得られる値である。具体的には、時間Tc_a及びTc_bは、以下の式(14)、(15)のように表される。
Tc_a=La/V0 (14)
Tc_b=Lb/V0 (15)
0122
CPU151aには、操作部152を介してユーザによって指定された記録媒体の種類(紙種)の情報が入力される。CPU151aは、取得した紙種の情報と、ROM151bに記憶されている坪量と時間Tcとの関係と、に基づいて、時間Tcを決定する。例えば、CPU151aは、薄紙が搬送されることが操作部152を介してユーザによって入力された場合は、薄紙に対応する時間Tc_aを時間Tcとして設定する。また、CPU151aは、厚紙が搬送されることが操作部152を介してユーザによって入力された場合は、厚紙に対応する時間Tc_bを時間Tcとして設定する。
0123
CPU151aは、設定された時間Tcを用いて、以下の式(16)に基づいて搬送速度Vを設定する。具体的には、CPU151aは、搬送ローラ307から検知位置までの区間における搬送速度V(即ち、搬送ローラ307から検知位置までの区間における搬送ローラの周速度)を設定する。なお、搬送ローラ307から検知位置までの区間における搬送速度Vの調整後のピックアップローラ305から搬送ローラ307までの区間における搬送速度VはV0に設定されてもよいし、調整された搬送速度Vに設定されてもよい。
V=X2/(T0−(Ta+Tc)) (16)
0124
つまり、CPU151aは、時間Taと時間Tcとに基づいて、ピックアップローラ305の駆動が開始されてから記録媒体の先端が搬送ローラ307のニップ位置nに到達するまでの時間を算出する。そして、CPU151aは、算出された時間を時間T0から減算することによって得られた値によって距離X2を除算することにより搬送速度Vを設定する。即ち、CPU151aは、記録媒体の先端が搬送ローラのニップ位置に実際に到達するタイミングに基づいて、搬送速度Vを設定する。
0125
以上のように、本実施形態では、時間Taと時間Tcとに基づいて、ピックアップローラ305の駆動が開始されてから記録媒体の先端が搬送ローラ307のニップ位置nに到達するまでの時間が算出される。算出された時間が時間T0から減算された値によって距離X2が除算されることによって搬送速度Vが設定される。即ち、本実施形態では、記録媒体の先端が搬送ローラのニップ位置に到達するタイミングに基づいて、搬送速度Vが設定される。この結果、録媒体への画像の転写が開始されるタイミングよりも後に記録媒体が転写位置に到達してしまうことを抑制することができ、記録媒体の適切な位置に画像が形成されないことを抑制することができる。
0126
また、本実施形態では、紙種に対応した時間Tcに基づいて搬送速度Vが設定される。その結果、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置が紙種によって異なることに起因して記録媒体への画像の転写が開始されるタイミングよりも後に記録媒体が転写位置に到達してしまうことを抑制することができる。即ち、記録媒体の適切な位置に画像が形成されないことを抑制することができる。
0127
〔第3実施形態〕
画像形成装置100の構成が第1実施形態と同様の部分については説明を省略する。
0128
図13は、本実施形態におけるシート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングでの記録媒体の先端の位置を示す図である。図13(a)は、薄紙が搬送された場合においてシート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける薄紙の先端の位置を示す図である。図13(b)は、厚紙が搬送された場合においてシート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける厚紙の先端の位置を示す図である。
0129
本実施形態における給送ローラ332から搬送ローラ307までの搬送路は湾曲している。そのため、給送ローラ332によって下流側へ搬送された記録媒体の先端は、搬送ローラ307に衝突し、その後、搬送ローラ307のニップ位置nに案内され、記録媒体の先端が搬送ローラ307によってニップされる。
0130
剛度(または厚さ)の小さい記録媒体としての薄紙が搬送される場合、当該薄紙の先端が搬送ローラ307に衝突したときに生じるモータ509の回転子にかかる負荷トルクの増大量は比較的小さい。一方、薄紙の先端が搬送ローラ307によってニップされることに起因して生じるモータ509の回転子にかかる負荷トルクの増大量は、薄紙の先端が搬送ローラ307に衝突したときに生じる負荷トルクの増大量に比べて大きい。
0131
また、薄紙に比べて剛度及び厚みが大きい厚紙の先端が搬送ローラ307に衝突したときに生じる負荷トルクの増大量は、薄紙の先端が搬送ローラ307に衝突したときに生じる負荷トルクの増大量に比べて大きい。
0132
図14は、本実施形態における偏差Δθの様子を示す図である。図14の一点鎖線で示されるように、薄紙の先端が搬送ローラ307に衝突するタイミング(時刻ta)において、偏差Δθの絶対値は増大する。また、図14の実線で示されるように、厚紙の先端が搬送ローラ307に衝突するタイミング(時刻tc)及び厚紙の先端が搬送ローラ307にニップされるタイミング(時刻tb)において、偏差Δθの絶対値は増大する。
0133
図14に示されるように、厚紙が搬送される場合、当該厚紙が搬送ローラ307にニップされるタイミング(時刻tb)よりも前のタイミング(時刻tc)において、厚紙が搬送ローラ307に衝突することに起因して偏差Δθが増大する。即ち、距離Lb´は第1実施形態における距離Lbよりも大きい値である。
0134
シート検出器700から信号‘1’が出力されるタイミングにおける記録媒体の先端の位置から検知位置までの距離Yは、距離X2とは異なる距離である。具体的には、距離Yは距離X2よりも長い。式(12)に基づいて搬送速度Vが設定される場合、距離Yが距離X2よりも長いことに起因して、記録媒体が検知位置に到達すべきタイミングにおける記録媒体の先端の位置は、当該検知位置よりも上流側に位置してしまう。即ち、記録媒体が検知位置に到達すべきタイミングよりも後に記録媒体が検知位置に到達してしまう可能性がある。その結果、記録媒体への画像の転写が開始されるタイミングよりも後に記録媒体が転写位置に到達してしまい、記録媒体の適切な位置に画像が形成されない可能性がある。
0135
そこで、本実施形態では、以下の構成が適用されることによって、記録媒体の適切な位置に画像が形成されないことを抑制する。
0136
図15は、搬送される記録媒体の坪量と、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置から搬送ローラ307までの距離Lc´との関係を示す図である。坪量Mb´は、例えば、記録媒体が搬送ローラ307に衝突することに起因してシート検出器700から信号‘1’が出力されるような記録媒体の坪量のうち最も小さい坪量に対応する。なお、図15に示される坪量と距離Lc´との関係は実験によって得られたものであり、例えば予めROM151bに記憶されている。
0138
CPU151aは、取得した紙種の情報と、ROM151bに記憶されている坪量と距離Lc´との関係と、に基づいて、距離Lc´を決定する。
0139
例えば、坪量Mb´以上の記録媒体は搬送ローラ307に衝突することに起因してシート検出器700によって検出される。ここで、ピックアップローラによって給送された記録媒体が搬送ローラ307に衝突するタイミングは紙種によらず略同一である。したがって、坪量Mb´以上の記録媒体がシート検出器700によって検出されるタイミングにおける当該記録媒体の先端の位置からニップ位置nまでの距離は紙種によらず略同一(Lb´)である。そのため、本実施形態では、CPU151aは、操作部152を介してユーザによって入力される坪量がMb´以上である場合は、L2を距離Lc´として設定する。
0140
一方、CPU151aは、操作部152を介してユーザによって入力される坪量がMb´以下である場合は、入力される坪量の情報に応じて距離Lc´を設定する。
0141
CPU151aは、設定された距離Lc´を用いて、式(13)に基づいて搬送速度Vを設定する。
0142
つまり、CPU151aは、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置からレジローラ308までの距離を算出する。そして、CPU151aは、算出された距離を時間T0から時間Taが減算された値によって除算することによって搬送速度Vを設定する。即ち、CPU151aは、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置に基づいて、搬送速度Vを設定する。
0143
以上のように、本実施形態では、距離X2と記録媒体が搬送ローラ307に衝突することに起因してシート検出器700によって検出されるタイミングにおける距離Lc´とに基づいて、当該タイミングにおける記録媒体の先端の位置から検知位置までの距離が算出される。算出された距離が時間T0から時間Taが減算された値によって除算されることによって搬送速度Vが設定される。即ち、本実施形態では、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置に基づいて、搬送速度Vが設定される。この結果、記録媒体への画像の転写が開始されるタイミングよりも後に記録媒体が転写位置に到達してしまうことを抑制することができ、記録媒体の適切な位置に画像が形成されないことを抑制することができる。
0144
また、本実施形態では、紙種に対応した距離Lc´に基づいて搬送速度Vが設定される。その結果、シート検出器700から信号‘1’が出力されたタイミングにおける記録媒体の先端の位置が紙種によって異なることに起因して記録媒体への画像の転写が開始されるタイミングよりも後に記録媒体が転写位置に到達してしまうことを抑制することができる。即ち、記録媒体の適切な位置に画像が形成されないことを抑制することができる。
0145
なお、記録媒体が搬送ローラ307に衝突することに起因して記録媒体が検出されるタイミングにおける当該記録媒体の先端の位置に基づいて、第2実施形態の方法で搬送速度Vを調整してもよい。即ち、記録媒体が搬送ローラ307に衝突することに起因して記録媒体が検出されるタイミングにおける当該記録媒体の先端の位置に基づいて、当該記録媒体の先端がニップ位置nに到達するタイミングを算出する構成が用いられてもよい。
0146
なお、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態では、搬送ローラ307のニップ位置nから検知位置までの距離X2に基づいて搬送速度Vが調整されたが、この限りではない。例えば、搬送ローラ307のニップ位置nからレジローラ308のニップ位置までの距離に基づいて搬送速度Vが調整されてもよい。即ち、ニップ位置nからニップ位置nよりも下流側の所定位置までの距離に基づいて搬送速度Vが調整されてもよい。なお、所定位置は、転写位置よりも上流側の位置である。
0147
また、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態では、搬送ローラ307から検知位置までのローラの個数は2個であったが、これに限定されるわけではない。例えば、搬送ローラ307から検知位置までの間に3個以上の搬送ローラが設けられていてもよい。
0148
なお、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態では、所定の時間間隔でピックアップローラ303、305の回転と停止とが繰り返し行われたが、この限りではない。例えば、ピックアップローラ305と給送ローラ332とを連結する揺動部材としての揺動アームが、給送ローラ332の回転軸を中心にして回動できるように給送ローラ332の回転軸によって支持される。そして、回転駆動が継続された状態のピックアップローラ305を、搖動アームを用いて所定の時間間隔で昇降されることによって記録媒体が所定の間隔で給送される構成であってもよい。このような構成の場合、CPU151aは、ピックアップローラを降下させる指示を出力してからシート検出器700から信号‘1’が出力されるまでの時間Tbに基づいて搬送速度Vを調整する。
0149
また、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態では、ピックアップローラ305によって給送された記録媒体の搬送速度Vを調整する方法について説明したが、ピックアップローラ303、328によって給送された記録媒体の搬送速度Vも同様の方法で調整される。
0150
また、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態では、搬送ローラ307のニップ位置nに記録媒体の先端が到達したか否かに基づいて搬送速度Vが調整されたが、この限りではない。例えば、搬送ローラ322のニップ位置に記録媒体の先端が到達したか否かに基づいて搬送速度Vが調整される等、搬送ローラ307以外のローラに基づいて搬送速度Vが調整されてもよい。
0151
また、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態では、記録媒体の坪量に応じて時間Tcや距離Lc、Lc´が設定されたが、この限りではない。例えば、記録媒体の剛性や厚みに応じて時間Tcや距離Lcが設定される構成でもよい。
0152
また、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態では、ユーザによって入力された紙種の情報に基づいて時間Tcや距離Lcが設定されたが、この限りではない。例えば、厚みセンサ等の記録媒体の種類を検知するセンサの検知結果に基づいて時間Tcや距離Lcが設定される構成でもよい。
0153
第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態においては、紙種に拘わらず偏差Δθの閾値は所定の値であったが、閾値は紙種ごとに設定されてもよい。
0154
また、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態では、シート検出器700は、偏差の絶対値が閾値よりも大きい場合は信号‘1’を出力し、偏差の絶対値が閾値未満である場合は信号‘2’を出力したが、この限りではない。例えば、シート検出器700は、偏差の絶対値が閾値より小さい値から当該閾値以上の値になったら信号‘1’をCPU151aに出力する構成でもよい。
0155
第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態におけるシート検出器700の機能をCPU151aが有する構成であってもよい。
0156
また、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態においては、偏差Δθの絶対値と閾値Δθthとの比較により記録媒体が検出されたが、この限りではない。例えば、座標変換器511から出力される電流値iqと閾値iqthとの比較により記録媒体の検出が行われてもよい。なお、電流値iqが増大したことはモータの回転子にかかる負荷トルクが増大したことを意味し、電流値iqが減少したことはモータの回転子にかかる負荷トルクが減少したことを意味する。
0157
また、指令位相θ_refと位相決定器513によって決定された回転位相θとの偏差に基づいて決定されたq軸電流指令値(目標値)iq_refと閾値iq_refthとの比較により記録媒体の検出が行われてもよい。なお、q軸電流指令値iq_refが増大したことはモータの回転子にかかる負荷トルクが増大したことに起因して回転子が回転するために必要なトルクが増大したことを意味し、q軸電流指令値iq_refが減少したことはモータの回転子にかかる負荷トルクが減少したことに起因して回転子が回転するために必要なトルクが減少したことを意味する。
0158
また、静止座標系の電流値iα又はiβの振幅(大きさ)と閾値との比較により記録媒体の検出が行われる構成であってもよい。なお、静止座標系の電流値iα又はiβの振幅(大きさ)が増大したことはモータの回転子にかかる負荷トルクが増大したことを意味し、振幅が減少したことはモータの回転子にかかる負荷トルクが減少したことを意味する。
0159
第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態が適用されるのは、ベクトル制御によるモータ制御に限らない。例えば、回転位相や回転速度をフィードバックする構成を有するモータ制御装置であれば第1実施形態、第2実施形態は適用される。
0160
また、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態においては、負荷を駆動するモータとしてステッピングモータが用いられているが、DCモータやブラシレスDCモータ等の他のモータであっても良い。また、モータは2相モータである場合に限らず、3相モータ等の他のモータであってもよい。
0161
また、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態におけるベクトル制御では、位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、回転子402の回転速度ωをフィードバックしてモータを制御する構成であっても良い。具体的には、図16に示すように、モータ制御装置内部に速度決定器514を設け、速度決定器514が位相決定器513から出力された回転位相θの時間変化に基づいて回転速度ωを決定する。なお、速度の決定には、以下の式(15)が用いられるものとする。
ω=dθ/dt (15)
0162
そして、CPU151aは回転子の目標速度を表す指令速度ω_refを出力する。更に、モータ制御装置内部に速度制御器600を設け、速度制御器600が回転速度ωと指令速度ω_refとの偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する構成とする。このような速度フィードバック制御を行うことによって、モータを制御する構成であっても良い。このような構成の場合、シートの検知は、例えば、回転速度ωと指令速度ω_refとの偏差Δωに基づいて、第1実施形態乃至第3実施形態において説明した方法で行われる。なお、指令速度ω_refは、搬送ローラ307の周速度の目標速度に対応するモータM2の回転子の目標速度である。
0163
偏差Δθ、Δω、電流値iq、電流値iq_ref及び静止座標系の電流値iα又はiβの振幅は、モータの回転子にかかる負荷トルクに対応するパラメータの値に対応する。
0164
また、第1実施形態及び第2実施形態においては、回転子として永久磁石が用いられているが、これに限定されるものではない。
0165
また、記録媒体等のシートを検出する構成は、例えば、搬送ベルトを回転駆動するモータにも適用される。即ち、シートを検出する構成は、ローラや搬送ベルト等の回転体を回転駆動するモータに適用される。
0166
感光ドラム309、帯電器310、現像器314及び転写帯電器315は画像形成部に含まれる。
0167
また、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態においては、斜行が補正される記録媒体の先端が当接する当接部材としてレジローラ308が用いられたが、この限りではない。例えば、記録媒体の搬送方向に対して、レジローラ308よりも上流側で且つプレレジローラ333よりも下流側に、又は転写位置よりも上流側で且つレジローラ308よりも下流側に、当接部材としてのシャッタ等を設ける。シャッタ等に記録媒体の先端を当接させ、前述した方法で記録媒体の斜行補正を行う。その後、プレレジローラ308がトナー像にタイミングを合わせて記録媒体を転写位置へ搬送する際に、前記シャッタ等を退避させるような構成であっても良い。
0168
151a CPU
157モータ制御装置
302,304シート収納トレイ
303,305ピックアップローラ
306,307搬送ローラ
315転写帯電器
402回転子
502位相制御器
507,508電流検出器
509モータ
700 シート検出器
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