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技術 放射線検出装置及び放射線検出用信号処理装置

出願人 株式会社堀場製作所
発明者 大橋聡史
出願日 2019年3月14日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-047780
公開日 2020年9月17日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-148688
状態 未査定
技術分野
  • -
主要キーワード 台形状波形 整形波形 最大波高 平均斜度 階段状波形 パルス計測 加重移動平均 パルスプロセッサ
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図面 (7)

課題

エネルギー分解能を低下させること無く、高計数率放射線検出を可能にする。

解決手段

放射線入射することにより発生した電荷を出力する放射線検出器2と、発生した電荷をアナログ信号に変換するプリアンプ3と、プリアンプ3からのアナログ信号をステップ状のデジタル信号に変換するA/D変換部4と、ステップ状のデジタル信号から台形フィルタを用いて台形状のパルス信号を生成する波形整形部6と、パルス信号の波高値とデジタル信号の立ち上がり部分の傾きとをパラメータとして、放射線のエネルギーを算出するエネルギー算出部7と、エネルギー算出部7により算出されたエネルギーをエネルギー別カウントするカウント部8とを備える。

概要

背景

従来の放射線検出装置としては、特許文献1に示すように、シリコンドリフト検出器(SDD(Silicon Drift Detector))等の放射線検出部から出力される電荷積算量を、CSA(Charge Sensitive Amplifier)等の変換部によりその積算量に応じた積算信号(例えば電圧信号)に変換して、DPP(Digital Pulse Processor)等のパルスプロセッサに入力する構成とされている。このパルスプロセッサは、台形フィルタを用いて、階段状波形からなる積算信号を台形状波形からなるパルス信号に整形する。このパルス信号の波高値は、放射線エネルギーに対応している。そして、このパルス信号をMCA(Multi Channel Analyzer)等のカウンタ波高別にカウントすることによって、放射線スペクトルを得ることができる。

ここで、パルスプロセッサの台形フィルタのホールディングタイム(Holding Time)は、階段状波形からなる積算信号におけるステップ立ち上がり時間(Rise Time)の最大値よりも長くなるように設定されている。

しかしながら、シリコンドリフト検出器の特性上、X線入射位置などによって立ち上がり時間のばらつきが大きく、一番長い立ち上がり時間に合わせてホールディングタイムを長く設定しなければならない。そうすると、パルス処理中はデッドタイムとなるところ、ホールディングタイムが長くなると、パルス処理時間も長くなり、デッドタイムが長くなってしまう。その結果、計数率が制限されてしまい、高計数率の測定が難しくなってしまう。

一方、計数率を優先して、ホールディングタイムを立ち上がり時間よりも短くすると、エネルギースペクトルテーリングが発生し、エネルギー分解能劣化してしまう。なお、立ち上がり時間を制限するために、検出器上にコリメータを設置することも考えられるが、検出器の立体角が制限されてしまい、計数率が低下してしまう。

概要

エネルギー分解能を低下させること無く、高計数率の放射線検出を可能にする。放射線が入射することにより発生した電荷を出力する放射線検出器2と、発生した電荷をアナログ信号に変換するプリアンプ3と、プリアンプ3からのアナログ信号をステップ状のデジタル信号に変換するA/D変換部4と、ステップ状のデジタル信号から台形フィルタを用いて台形状のパルス信号を生成する波形整形部6と、パルス信号の波高値とデジタル信号の立ち上がり部分の傾きとをパラメータとして、放射線のエネルギーを算出するエネルギー算出部7と、エネルギー算出部7により算出されたエネルギーをエネルギー別にカウントするカウント部8とを備える。

目的

本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、エネルギー分解能を低下させること無く高計数率の放射線検出を可能にすることをその主たる課題とする

効果

実績

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請求項1

放射線入射することにより発生した電荷を出力する放射線検出器と、前記発生した電荷をアナログ信号に変換するプリアンプと、前記プリアンプからのアナログ信号をステップ状のデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記ステップ状のデジタル信号から台形フィルタを用いて台形状のパルス信号を生成する波形整形部と、前記パルス信号の波高値Pと前記デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGとをパラメータとして、前記放射線のエネルギーEを算出するエネルギー算出部と、前記エネルギー算出部により算出されたエネルギーEをエネルギー別カウントするカウント部とを備える、放射線検出装置

請求項2

前記エネルギー算出部は、前記デジタル信号における立ち上がり時間RTと、前記台形フィルタのピーキングタイムPTと、前記台形フィルタのホールディングタイムHTとの関係が、HT<RT<2PT+HTとなる場合に、前記パルス信号の波高値Pと前記デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGとをパラメータとして、前記放射線のエネルギーEを算出する、請求項1記載の放射線検出装置。

請求項3

前記エネルギー算出部は、前記パルス信号の波高値Pと、前記デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGと、前記台形フィルタのピーキングタイムPTと、前記台形フィルタのホールディングタイムHTとの関係が、G×HT<P<G(PT+HT)である場合に、前記パルス信号の波高値Pと前記デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGとをパラメータとして、前記放射線のエネルギーEを算出する、請求項1記載の放射線検出装置。

請求項4

前記エネルギー算出部は、前記パルス信号の波高値Pと、前記デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGと、前記台形フィルタのホールディングタイムHTとの関係が、P≦G×HTである場合に、前記パルス信号の波高値Pを、前記放射線のエネルギーEとして出力する、請求項3記載の放射線検出装置。

請求項5

前記エネルギー算出部は、前記デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGが所定の閾値未満である前記パルス信号を除外する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の放射線検出装置。

請求項6

放射線が入射した放射線検出器から出力される電荷をアナログ信号に変換するプリアンプと、前記プリアンプからのアナログ信号をステップ状のデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記ステップ状のデジタル信号から台形フィルタを用いて台形状のパルス信号を生成する波形整形部と、前記パルス信号の波高値Pと前記デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGとをパラメータとして、前記放射線のエネルギーEを算出するエネルギー算出部と、前記エネルギー算出部により算出されたエネルギーEをエネルギー別にカウントするカウント部とを備える、放射線検出用信号処理装置

技術分野

0001

本発明は、放射線検出装置及び当該放射線検出装置に用いられる信号処理装置に関するものである。

背景技術

0002

従来の放射線検出装置としては、特許文献1に示すように、シリコンドリフト検出器(SDD(Silicon Drift Detector))等の放射線検出部から出力される電荷積算量を、CSA(Charge Sensitive Amplifier)等の変換部によりその積算量に応じた積算信号(例えば電圧信号)に変換して、DPP(Digital Pulse Processor)等のパルスプロセッサに入力する構成とされている。このパルスプロセッサは、台形フィルタを用いて、階段状波形からなる積算信号を台形状波形からなるパルス信号に整形する。このパルス信号の波高値は、放射線エネルギーに対応している。そして、このパルス信号をMCA(Multi Channel Analyzer)等のカウンタ波高別にカウントすることによって、放射線スペクトルを得ることができる。

0003

ここで、パルスプロセッサの台形フィルタのホールディングタイム(Holding Time)は、階段状波形からなる積算信号におけるステップ立ち上がり時間(Rise Time)の最大値よりも長くなるように設定されている。

0004

しかしながら、シリコンドリフト検出器の特性上、X線入射位置などによって立ち上がり時間のばらつきが大きく、一番長い立ち上がり時間に合わせてホールディングタイムを長く設定しなければならない。そうすると、パルス処理中はデッドタイムとなるところ、ホールディングタイムが長くなると、パルス処理時間も長くなり、デッドタイムが長くなってしまう。その結果、計数率が制限されてしまい、高計数率の測定が難しくなってしまう。

0005

一方、計数率を優先して、ホールディングタイムを立ち上がり時間よりも短くすると、エネルギースペクトルテーリングが発生し、エネルギー分解能劣化してしまう。なお、立ち上がり時間を制限するために、検出器上にコリメータを設置することも考えられるが、検出器の立体角が制限されてしまい、計数率が低下してしまう。

先行技術

0006

特開2014−219362号公報

発明が解決しようとする課題

0007

そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、エネルギー分解能を低下させること無く高計数率の放射線検出を可能にすることをその主たる課題とするものである。

課題を解決するための手段

0008

すなわち本発明に係る放射線検出装置は、放射線が入射することにより発生した電荷を出力する放射線検出器と、前記発生した電荷をアナログ信号に変換するプリアンプと、前記プリアンプからのアナログ信号をステップ状のデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記ステップ状のデジタル信号から台形フィルタを用いて台形状のパルス信号を生成する波形整形部と、前記パルス信号の波高値Pと前記デジタル信号における立ち上がり部分の傾きGとをパラメータとして、前記放射線のエネルギーEを算出するエネルギー算出部と、前記エネルギー算出部により算出されたエネルギーEをエネルギー別にカウントするカウント部とを備えることを特徴とする。

0009

この放射線検出装置によれば、パルス信号の波高値Pとデジタル信号における立ち上がり部分の傾きGとをパラメータとして、放射線のエネルギーEを算出するので、台形フィルタのホールディングタイムよりもデジタル信号の立ち上がり時間が長い場合であっても、本来の放射線のエネルギーEを逆算することができ、エネルギー分解能が低下しない。これにより、パルス処理時間(台形フィルタのピーキングタイム及びホールディングタイム)を、デジタル信号の立ち上がり時間に律速されることなく短くすることができるので、パルス処理に伴うデットタイムを短くすることができる。その結果、エネルギー分解能を低下させること無く高計数率の放射線検出を可能にすることができる。

0010

具体的に前記エネルギー算出部は、前記デジタル信号の立ち上がり時間RTと、前記台形フィルタのピーキングタイムPTと、前記台形フィルタのホールディングタイムHTとの関係が、HT<RT≦2PT+HTとなる場合に、前記パルス信号の波高値Pと前記デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGとをパラメータとして、前記放射線のエネルギーEを算出することが望ましい。

0011

ここで、RT>2PT+HTとなる場合は、放射線のエネルギーEを逆算することはできないが、RT>2PT+HTであることは、パルス信号の波高値Pとデジタル信号の立ち上がり部分の傾きGとから判別可能であり、パルス信号の幅からも判別可能である。

0012

また、前記エネルギー算出部は、前記パルス信号の波高値Pと、前記デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGと、前記台形フィルタのピーキングタイムPTと、前記台形フィルタのホールディングタイムHTとの関係が、G×HT<P<G(PT+HT)である場合に、前記パルス信号の波高値Pと前記デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGとをパラメータとして、前記放射線のエネルギーEを算出することが望ましい。

0013

ここで、前記エネルギー算出部は、前記パルス信号の波高値Pと、前記デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGと、前記台形フィルタのホールディングタイムHTとの関係が、P≦G×HTである場合に、前記パルス信号の波高値Pを、前記放射線のエネルギーEとして出力することが望ましい。

0014

放射線検出器が例えばシリコンドリフト検出器(SDD(Silicon Drift Detector))である場合には、放射線の入射位置に基づいて、デジタル信号における立ち上がり部分の傾きGが異なる。
この特性を生かして、放射線検出器の周縁部に入射した放射線を除外して、エネルギー分解能を向上させるためには、前記エネルギー算出部は、前記デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGが所定の閾値未満である前記パルス信号を除外することが望ましい。

0015

また本発明に放射線検出用信号処理装置は、放射線が入射した放射線検出器から出力される電荷をアナログ信号に変換するプリアンプと、前記プリアンプからのアナログ信号をステップ状のデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記ステップ状のデジタル信号から台形フィルタを用いて台形状のパルス信号を生成する波形整形部と、前記パルス信号の波高値Pと前記デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGとをパラメータとして、前記放射線のエネルギーEを算出するエネルギー算出部と、前記エネルギー算出部により算出されたエネルギーEをエネルギー別にカウントするカウント部とを備えることを特徴とする。

発明の効果

0016

このように構成した本発明によれば、エネルギー分解能を低下させること無く高計数率の放射線検出を可能にすることができる。

図面の簡単な説明

0017

本実施形態のX線検出装置の構成を示す模式図である。
デジタル信号の立ち上がり時間RTを変化させた時のパルス信号の台形波の形状を示す図である。
同実施形態のデジタル信号及びパルス信号の一例を示す図である。
変形実施形態のエネルギー算出部の処理内容を示す模式図である。
変形実施形態のエネルギー算出部の処理内容を示す模式図である。
階段状波形のデジタル信号における理想的なステップ形状及びシグモイド関数で表される形状と、補正後のステップ形状とを示す模式図である。

実施例

0018

以下に本発明に係る放射線検出装置の一態様であるX線検出装置について図面を参照して説明する。

0019

本実施形態のX線検出装置100は、図1に示すように、X線が入射することにより発生した電荷を出力するX線検出器2と、X線検出器2から出力される電荷の積算量をその積算量に応じたアナログ積算信号である電圧信号に変換する電圧信号に変換するプリアンプ3と、プリアンプ3からのアナログ電圧信号デジタル電圧信号に変換するA/D変換部4と、A/D変換部4からのデジタル電圧信号からノイズを除去するノイズ除去フィルタ5と、ノイズ除去フィルタ5を通過したデジタル電圧信号からパルス信号を生成する波形整形部6と、波形整形部6からのパルス信号等を用いてX線のエネルギーを算出するエネルギー算出部7と、エネルギー算出部7により得られたX線のエネルギーを、エネルギー別にカウントするカウント部8とを備えている。なお、ノイズ除去フィルタ5は、必須の構成ではなく、A/D変換部4からのデジタル信号をそのまま波形整形部6に入力しても良い。なお、A/D変換部4以降の構成、つまり、本実施形態ではA/D変換部4、ノイズ除去フィルタ5、波形整形部6、エネルギー算出部7及びカウント部8は、デジタルパルスプロセッサ(DPP)により構成されている。

0020

X線検出器2は、シリコンドリフト検出器(SDD(Silicon Drift Detector))である。なお、シリコンドリフト検出器は、同心状の電極構造により中心部の収集電極に集めるものである。そして、このシリコンドリフト検出器では、入射したX線を空乏層で吸収し、当該空乏層において入射したX線のエネルギーに比例した数の電子正孔対が生成される。生成された電子は、シリコンドリフト検出器内の電位勾配に従って、発生した電子は収集電極(アノード)に流れる。これにより、シリコンドリフト検出器は、入射したX線のエネルギーに比例した電荷を出力する。

0021

プリアンプ3は、電荷増幅器(CSA(Charge Sensitive Amplifier))であり、X線検出器2から出力された電荷をオペアンプ31及びコンデンサ32により積分・増幅して、X線のエネルギーに比例した電圧信号(アナログ信号)に変換するものである。プリアンプ3は、オペアンプ31と、オペアンプ31の入力端子反転入力端子)及び出力端子の間に接続されたコンデンサ32と、コンデンサ32の電荷をリセット放電)させる半導体スイッチ(例えばFET)等のスイッチ33とを有する。

0022

ノイズ除去フィルタ5は、A/D変換部4からのデジタル電圧信号に含まれるホワイトノイズを除去するものである。具体的にノイズ除去フィルタ5は、A/D変換部4からのデジタル電圧信号の値を、所定の基準値からの差に応じた重み付け係数を用いて、加重移動平均することによってノイズを除去する。より詳細には、ノイズ除去フィルタ5は、時刻t=t0における基準値v(t0)に応じて、時刻t0−nΔt≦t<t0+nΔtにおける電圧値v(t)=v(t0−nΔt)〜v(t0+nΔt)に、v(t)−v(t0)に応じた重み付け係数w(t)を用いて電圧値v(t)を加重移動平均する。ここで、ノイズ除去フィルタ5は、FPGA、ASIC又はDSP等のデジタル信号処理デバイスデジタル回路)で構成されており、リアルタイムパイプライン処理を行うという条件においてロジックリソースや処理速度の制約により、電圧方向に矩形状をなす重み付け係数(0/1の重み付け)を用いている。

0023

波形整形部6は、A/D変換部4からのデジタル電圧信号から例えば台形波形のパルス信号を生成する。

0024

ここで、本実施形態の波形整形部6は、スロー系波形出力部61とファスト系波形出力部62とを備えている。

0025

スロー系波形出力部61は、X線のエネルギーに対して高分解能を有するものであり、大きいフィルタ時定数を用いて、A/D変換部4からのデジタル電圧信号をフィルタ処理することにより、時間幅の大きい台形波形のパルス信号を生成するものである。なお、このスロー系波形出力部61により得られた時間幅の大きいパルス信号は、エネルギー算出部7に出力されてX線情報に生成に用いられる。

0026

なお、スロー系波形出力部61は、十分なエネルギー分解能を得るには、通常0.5〜4μsのフィルタ時定数が最適(この値はX線計数率、ノイズ、測定対象元素などに依存)である。また、信号の立ち上がりによる整形波形の鈍りを考慮し、パルス波形の頂上が平坦な台形となるよう、ホールディングタイムHTを数10〜数100ns設ける(この値はSDDやCSA、プリアンプの特性や付加容量に依存)。このようにスロー系波形出力部61の台形フィルタのフィルタ長は、最大波高を与える時間であるピーキングタイムPTとホールディングタイムHTとに基づいて、2PT+HTとなる。これにより、平坦部平均値(或いはピーク極大値))と立ち上がり前の値(ベースライン)の差を取ることで、入射X線のエネルギーに比例したパルス波高値が得られ、ファスト系波形出力部のパルス信号を用いるより正確なエネルギー値が得られるが、全体のプロセス時間(2PT+HT)はファスト系波形出力部62より長くなり、その期間に複数のX線が入射すると、台形波が重なってしまい、個々の台形波の波高値が正確に取得できなくなってしまう。

0027

ここで、ピーキングタイムPTを200nsとし、ホールディングタイムHTを100nsとした場合に、立ち上がり時間RTを変化させた場合のパルス信号の台形波の形状を図2に示す。立ち上がり時間RTが0nsの場合には、テーリングすること無く綺麗な台形波が整形されているものの、立ち上がり時間RTを長くするにつれて、テーリングが発生して台形波が崩れていることが分かる。このように、台形フィルタを通過させることによって、立ち上がり時間RTに基づいてX線のエネルギーが見かけ上小さくなってしまうことが分かる。

0028

また、ファスト系波形出力部62は、X線の入射検出に対して高分解能を有するものであり、スロー系波形出力部61よりも小さい時定数を用いて、A/D変換部4からのデジタル電圧信号をフィルタ処理することにより、時間幅の小さいパルス信号(タイミングパルス)を生成するものである。なお、このファスト系波形出力部62により得られた時間幅の小さいパルス信号は、パイルアップの検出等に用いられる。

0029

また、エネルギー算出部7は、波形整形部6のスロー系波形出力部61からのパルス信号のうち、ファスト系波形出力部62によりパイルアップ検出されたものを除いたものからX線のエネルギーを算出する。具体的な算出方法は後述する。

0030

カウント部8は、マルチチャンネルアナライザ(MCA)である。このカウント部8は、エネルギー別に、エネルギー算出部7により算出されたエネルギーEが入力された回数をカウントして、X線情報であるX線スペクトルを生成する。

0031

次に、エネルギー算出部7の具体的な算出方法について詳述する。

0032

エネルギー算出部7は、図3に示すように、パルス信号の波高値Pとデジタル信号の立ち上がり部分の傾きGとをパラメータとして、X線のエネルギーEを算出するものである。

0033

まず、エネルギー算出部7は、波形整形部6のパルス信号からその波高値Pを算出する。この波高値Pは見かけ上のX線のエネルギーである。また、エネルギー算出部7は、ノイズ除去フィルタ5を通過した階段状波形のデジタル信号から、その立ち上がり部分の傾きGを算出する。なお、傾きGは、立ち上がり部分の立ち上がり始点と立ち上がり終点とを波形から検出して求めることができる。

0034

そして、エネルギー算出部7は、以下の式(1)又はこれと等価の式を用いて、X線のエネルギーEを算出する。この式(1)において、HTは、スロー系波形出力部61における台形フィルタのホールディングタイムであり、PTは、スロー系波形出力部61における台形フィルタのピーキングタイムである。

0035

0036

つまり、エネルギー算出部7は、パルス信号の波高値Pと、デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGと、台形フィルタのホールディングタイムHTとの関係が、P≦G×HTである場合に、パルス信号の波高値Pを、X線のエネルギーEとして出力する。

0037

また、エネルギー算出部7は、パルス信号の波高値Pと、デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGと、台形フィルタのピーキングタイムPTと、台形フィルタのホールディングタイムHTとの関係が、G×HT<P<G(PT+HT)である場合に、上記の式(1)により、パルス信号の波高値Pとデジタル信号の立ち上がり部分の傾きGと台形フィルタのピーキングタイムPTと台形フィルタのホールディングタイムHTとをパラメータとして、X線のエネルギーEを算出する。

0038

さらに、エネルギー算出部7は、P=G(PT+HT)の場合は、デジタル信号における立ち上がり時間RTが2PT+HTよりも大きい(RT>2PT+HT)と判断して、このデータを除去する。
なお、理論的にP>G(PT+HT)となることは無いが、実測ではノイズの影響などで超える場合もあるので、パルス幅などを用いた他の判定方法も併用する。

0039

<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態のX線検出装置100によれば、パルス信号の波高値Pとデジタル信号における立ち上がり部分の傾きGとをパラメータとして、X線のエネルギーEを算出するので、台形フィルタのホールディングタイムよりもデジタル信号の立ち上がり時間が長い場合であっても、本来のXのエネルギーEを逆算することができ、エネルギー分解能が低下しない。これにより、パルス処理時間(2PT+HT)を、デジタル信号の立ち上がり時間RTに律速されること無く短くすることができるので、パルス処理に伴うデットタイムを短くすることができる。その結果、エネルギー分解能を低下させること無く高計数率のX線検出を可能にすることができる。

0040

なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。

0041

シリコンドリフト検出器である場合には、放射線の入射位置に基づいて、デジタル信号における立ち上がり部分の傾きGが異なる。この特性を生かして、シリコンドリフト検出器の周縁部に入射した放射線を除外して、エネルギー分解能を向上させるためには、エネルギー算出部7は、デジタル信号の立ち上がり部分の傾きGと、所定の閾値とを比較して、傾きGが所定の閾値未満であるパルス信号を除外することが望ましい。

0042

波形整形部により得られるパルス信号は、リーク電流低周波ゆらぎによってオフセットを含む場合がある。そのため、エネルギー算出部7は、図4に示すように、台形波のパルス信号d(t)を微分して積分することにより得られる微分積分波の信号g(t)を算出することが望ましい。具体的には、以下の手順により、微分積分波の信号g(t)を算出する。

0043

0044

このパルス信号d(t)を微分すると以下となる。

0045

0046

さらに、この式を積分すると以下となる。

0047

0048

すなわち、台形波を(PT+HT)だけ遅延させて差分をとったものが微分積分波g(t)となる。そして、エネルギー算出部7は、この微分積分波のピークを用いることで、X線のエネルギーEを精度良く求めることができる。

0049

さらに、エネルギー算出部7は、図5に示すように、上記の微分積分波g(t)を微分して積分する(PT+HTだけ遅延させて差分を取る)ことで、台形波の前後のオフセットを除去するようにしても良い。

0050

X線検出装置が複数のデジタルパルスプロセッサ(DPP)を有する場合には、各DPPからマルチチャンネルアナライザ(MCA)に入力されるX線エネルギーデータにタイムスタンプ等の時間データを付けておくことが望ましい。
このようにX線エネルギーデータに時間データが付してあるので、MCAがX線エネルギーデータを取得した順番毎に取り込まなくても、時間データ順に並べ直すことできる。その結果、DPPがX線検出領域ごとに設けられている場合には、当該X線検出領域ごとのエネルギースペクトルを再合成することができるし、全X線検出領域の時系列のエネルギースペクトルを再合成することができる。このため、接続するDPP数が増えても、バス共有したり、ある程度のX線エネルギーデータが各DPPに溜まってからバースト転送するなど、回路転送帯域の効率化が可能となる。

0051

エネルギー算出部7は、以下の式(2)又はこれと等価の式を用いて、X線のエネルギーEを算出しても良い。この式(2)は、前記実施形態の式(1)とは場合分けの条件が異なる。

0052

0053

さらに、X線検出器としては、Si(Li)型検出器等のその他の半導体検出器を用いることができるし、比例計数管光電子増倍管など半導体以外でも良い。その他、X線検出の他、γ線など、その他の放射線検出に適用することもできる。また、放射線検出器は、シンチレータ等で光に変換したものを光検出器で検出する方式であっても良い。

0054

上述したエネルギーEの算出式(1)、(2)は、ノイズ除去フィルタ5を通過した階段状波形のデジタル信号が理想的なステップ形状であることを想定したものであったが、階段状波形のデジタル信号のステップ部分がシグモイド関数や指数関数(1−exp−t/τ)で表される形状であっても良い。
例えば、図6に示すように、シグモイド関数の形状(Sigmoid)と理想的なステップ形状(Ideal)では、立ち上がりの中心での傾きGは同じであるが、シグモイド関数の方が波形がなまっているので、HT<RTの場合、台形波にした時のピーク値Pは、シグモイド関数の方が小さくなる。これを補正するために、傾きGに例えば0.72をかけて、補正後のステップ形状を想定して、0.72GとPからEを求めれば、シグモイド関数でも、前記実施形態のエネルギー算出式を用いることができる。なお、上記では、シグモイド関数の中心の傾きをGとしたが、10%〜90%の平均斜度を用いれば、補正係数は、0.99で、ほとんど補正が必要ない。
同様に、指数関数でも、どの値を傾きGと定義するか、また、実際の波形をどのような関数としてフィッティングするか(検出器やプリアンプの特性に依存)で、傾きGに補正係数をかけてやれば、前記実施形態のエネルギー算出式は理想的ではない実際の波形にも広く適用可能である。

0055

その上、本発明は、パルス計測式のスペクトル分析装置であればよく、放射線以外にも流路を流れる流体に光を照射し、流体に含まれる測定対象成分に光が当たることにより生じる二次光エネルギー線として検出するものであっても良い。

0056

その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。

0057

100・・・X線検出装置
2 ・・・X線検出器
3 ・・・プリアンプ
4 ・・・A/D変換部
5 ・・・ノイズ除去フィルタ
6 ・・・波形整形部
61 ・・・スロー系波形出力部
62 ・・・ファスト系波形出力部
7 ・・・エネルギー算出部
8 ・・・カウント部

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