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技術 非破壊検査測定システム及び非破壊検査測定方法

出願人 大日機械工業株式会社
発明者 上田浩久川又祐一出井義純
出願日 2019年3月11日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-043262
公開日 2020年9月17日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-148460
状態 未査定
技術分野 磁気的手段による材料の調査、分析
主要キーワード データ集録 巻き半径 バイファイラー巻き 測定直線 時位相差 励磁器 断面積差 周波数列
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年9月17日)のものです。
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図面 (20)

課題

検体本体の寸法を測定可能な、非破壊検査測定システムを提供する。

解決手段

非破壊検査測定システム10は、被検体本体を励磁する励磁コイル113と、前記被検体本体に生じる磁界変化を出力する検出コイル121と、前記励磁コイル113に正弦波信号、または異なる周波数合成信号印加し、前記検出コイル121からの電圧を検出し、前記被検体本体の寸法t2を測定する測定装置3とを備える。前記被検体本体の前記寸法t2が既知で異なる複数の部分に対し、前記寸法t2ごとに前記検出コイル121からの電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差とから、振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果を結ぶ直線の勾配を計算する較正勾配計算部310と、複数の前記寸法t2ごとの、当該寸法t2に対して計算された前記勾配を基にした値との関係から、連立方程式構築し、前記寸法t2の測定時に前記寸法t2を推定する。

概要

背景

特許文献1〜6に示すように、電磁誘導を利用した渦流探傷装置において、正弦波発生器励磁コイルを駆動する駆動回路、励磁コイル及び検出コイルからなるセンサ、検出コイルの出力を増幅する増幅回路及び同期検波回路を含む解析回路等で構成された装置が提案され、使用されている。

上記のような装置により、被検体の内部に設けられた部材の寸法を測定することが、広く行われている。
例えば、特許文献7には、次のような非破壊検査測定システム較正装置が開示されている。非破壊検査測定システムの較正装置は、励磁コイルと、検出コイルと、管本体を励磁するため励磁コイルに正弦波信号、または周波数が互いに異なる複数の正弦波からなる合成信号印加するとともに、検出コイルから出力される電圧の変化を検出するコンピュータと、を備える。較正装置は、管本体で厚さが既知の複数の較正点において検出コイルから出力される電圧変化振幅および位相差変数として連立方程式に取り込むことによって、コンピュータにおける検出結果の較正を行う。この較正装置は、較正点のそれぞれにおいて、較正条件を複数に異ならせ、それぞれの較正条件で検出コイルから出力される電圧変化の振幅および位相差を連立方程式に取り込んで較正を行う。

表8は、例えば上記の特許文献7として示された従来技術の実験結果である。本実験における被検体は、外缶と内を備えている。外缶と内缶は共に状に形成されており、内缶は外缶の内側に設けられ、内缶は外側から視認できない状態となっている。本実験においては、内缶の厚さを測定する。

振幅比をx、位相差をyとして内缶の厚さt2を推定する推定式は、係数a、b、定数項cを用いて、次の数式6として立式することができる。



ここで、係数a、b、定数項cは、較正として、内缶の厚さt2が既知の3点(t21、t22、t23)において、実際に内缶の厚さt2を測定し、その各々における、振幅比x、位相差y、内缶の厚さt2の測定値の組み合わせ(x1、y1、t21)、(x2、y2、t22)、(x3、y3、t23)を上式に入力した、次の数式7として示される連立方程式を解くことにより、決定することができる。



表8において、「振幅比33Hz」、「位相差33Hz(rad)」、「t2較正値(mm)」の欄の第1行、第2行、及び第3行の各々は、上記の(x1、y1、t21)、(x2、y2、t22)、(x3、y3、t23)のそれぞれの組み合わせの実際の数値を記載したもので、上記の連立方程式を表形式で表したものである。
この連立方程式を解いて求めた係数a、b、定数項cの値は、表8中のa、b、cと示されたそれぞれの欄に記載されている。

より具体的には、本実験においては、数式8として示される3元連立方程式を用いて、厚さの推定値の較正を行っている。すなわち、周辺温度が10.4℃の状況下において、内缶と外缶の間隔であるGapが80mmで内缶の厚さt2が35mmと25mmの場合と、間隔Gapが70mmで内缶の厚さt2が35mmの場合との各々で、振幅比と位相差を計算し、これらの計算結果を数式7に代入して、次の数式8として取り込んでいる。

上記の数式8においては、係数a、b、及び定数項cを用いており、各々の結果において、振幅比に係数aを乗算した値、位相差に係数bを乗算した値、及び定数項cを加算し、これが既知の厚さt2と一致するように、方程式を立式している。
この3つの方程式を連立方程式として解くことにより、表8に示されるように、未知数a、b、cの値が求められる。これら係数a、b、及び定数項cの値を使用し、振幅比をx、位相差をyとすると、内缶の厚さt2を推定する、次の推定式が立式される。

図23は、上記の推定式に基づき内缶の厚さt2を推定、測定した一例であり、周辺温度が10.4℃の場合の測定結果を示すグラフである。図24は、図23に、周辺温度が11.4℃の場合の測定結果を破線で追加したグラフである。

概要

被検体本体の寸法を測定可能な、非破壊検査測定システムを提供する。非破壊検査測定システム10は、被検体本体を励磁する励磁コイル113と、前記被検体本体に生じる磁界変化を出力する検出コイル121と、前記励磁コイル113に正弦波信号、または異なる周波数の合成信号を印加し、前記検出コイル121からの電圧を検出し、前記被検体本体の寸法t2を測定する測定装置3とを備える。前記被検体本体の前記寸法t2が既知で異なる複数の部分に対し、前記寸法t2ごとに前記検出コイル121からの電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差とから、振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果を結ぶ直線の勾配を計算する較正時勾配計算部310と、複数の前記寸法t2ごとの、当該寸法t2に対して計算された前記勾配を基にした値との関係から、連立方程式を構築し、前記寸法t2の測定時に前記寸法t2を推定する。

目的

このように、測定条件、特に被検体の外表面または外表面を構成する部材からの、被検体本体の距離、間隔が把握できない場合であっても、被検体本体の寸法を正確に把握することが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

検体内に設けられた被検体本体を励磁する励磁コイルと、前記励磁コイルで前記被検体本体を励磁したときに前記被検体本体に生じる磁界変化に応じた電圧を出力する検出コイルと、前記被検体本体を励磁するため前記励磁コイルに、正弦波信号、または周波数が互いに異なる複数の正弦波からなる合成信号印加するとともに、前記検出コイルから出力される電圧を検出し、前記被検体本体の寸法を測定する測定装置と、を備える非破壊検査測定システムであって、前記測定装置は、前記被検体本体の前記寸法が既知で異なる複数の部分に対し、複数の前記寸法ごとに、異なる複数の測定条件の各々で、前記検出コイルから出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差を計算し、前記振幅比と前記位相差を2軸とする振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、当該直線の勾配を計算する較正勾配計算部と、複数の前記寸法ごとの、当該寸法と、当該寸法に対して計算された前記勾配を基にした値との関係から、連立方程式構築し、その解を基に、前記寸法の測定時に前記寸法を推定する、前記勾配を基にした値を変数とした推定式を立式する較正部と、前記推定式を基に、前記被検体本体の測定対象となる部分の前記寸法を推定して測定する測定部と、を備えている、非破壊検査測定システム。

請求項2

前記較正部は、複数の前記寸法ごとに、当該寸法と、当該寸法に対して計算された前記勾配を基にした値との前記関係を表す、複数元の一次方程式を立式し、これらを前記連立方程式として解くことにより前記寸法と前記勾配を基にした値との関係を表す係数を計算し、前記勾配を基にした値を前記変数として前記係数を適用することにより前記推定式を立式する、請求項1に記載の非破壊検査測定システム。

請求項3

前記測定部は、前記被検体本体の測定対象となる前記部分に対し、前記検出コイルから出力される電圧を測定時電圧として測定し、これと前記基準電圧との振幅比及び位相差である測定時振幅比及び測定時位相差を計算してこれらに対応する前記振幅比−位相差平面上での前記勾配である測定時勾配を計算し、当該測定時勾配を基にした値を前記推定式の前記変数に代入して前記寸法を計算、測定する、請求項1または2に記載の非破壊検査測定システム。

請求項4

前記較正時勾配計算部は、更に、複数の前記寸法ごとに求められた前記直線間交点を計算し、前記測定部は、前記振幅比−位相差平面上での前記測定時振幅比及び前記測定時位相差に対応する測定点と前記交点とを結ぶ直線の勾配を、前記測定時勾配として計算する、請求項3に記載の非破壊検査測定システム。

請求項5

前記測定条件は、前記被検体の外表面または外表面を構成する部材からの、前記被検体本体への距離を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の非破壊検査測定システム。

請求項6

前記較正時勾配計算部は、前記勾配を計算する際に前記励磁コイルに印加した前記正弦波信号または前記合成信号の周波数とは異なる周波数を前記励磁コイルに印加し、前記検出コイルから出力される電圧を測定して、これと、前記基準電圧との振幅比である異周波数振幅比、または前記基準電圧との位相差である異周波数位相差を計算し、前記較正部は、複数の前記寸法及び温度ごとの、当該寸法と、当該寸法に対して計算された前記勾配を基にした値と、及び前記異周波数振幅比または前記異周波数位相差との関係から前記連立方程式を構築し、その解を基に、前記推定式を立式する、請求項1から5のいずれか一項に記載の非破壊検査測定システム。

請求項7

前記被検体本体は板体であり、前記寸法は前記板体の厚さであり、前記勾配を基にした値は前記勾配であり、前記連立方程式においては、前記寸法と前記勾配は比例の関係にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の非破壊検査測定システム。

請求項8

前記被検体本体は断面円形棒体であり、前記寸法は、基準となる大きさの円の直径と、前記棒体の断面の直径との差分の二乗であり、前記連立方程式においては、前記寸法と前記勾配を基にした値は比例の関係にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の非破壊検査測定システム。

請求項9

前記被検体本体は断面四角形の棒体であり、前記寸法は、基準となる大きさの四角形対角線の長さと、前記棒体の断面の対角線の長さとの差分の二乗であり、前記連立方程式においては、前記寸法と前記勾配を基にした値は比例の関係にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の非破壊検査測定システム。

請求項10

前記被検体本体の前記寸法が既知で異なる複数の部分に対し、複数の前記寸法ごとに、前記棒体の長さと、前記較正時勾配計算部により計算された前記勾配を2軸とする長さ−勾配平面上での、少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、前記勾配を基にした値として当該直線の勾配である2次勾配を計算する較正時2次勾配計算部を備え、前記較正部は、複数の前記寸法ごとの、当該寸法と、当該寸法に対して計算された前記2次勾配との関係から、連立方程式を構築し、その解を基に前記推定式を立式する、請求項8または9に記載の非破壊検査測定システム。

請求項11

被検体内に設けられた被検体本体を励磁する励磁コイルと、前記励磁コイルで前記被検体本体を励磁したときに前記被検体本体に生じる磁界変化に応じた電圧を出力する検出コイルと、前記被検体本体を励磁するため前記励磁コイルに、正弦波信号、または周波数が互いに異なる複数の正弦波からなる合成信号を印加するとともに、前記検出コイルから出力される電圧を検出し、前記被検体本体の寸法を測定する、非破壊検査測定方法であって、前記被検体本体の前記寸法が既知で異なる複数の部分に対し、複数の前記寸法ごとに、異なる複数の測定条件の各々で、前記検出コイルから出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差を計算し、前記振幅比と前記位相差を2軸とする振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、当該直線の勾配を計算し、複数の前記寸法ごとの、当該寸法と、当該寸法に対して計算された前記勾配を基にした値との関係から、連立方程式を構築し、その解を基に、前記寸法の測定時に前記寸法を推定する、前記勾配を基にした値を変数とした推定式を立式し、前記推定式を基に、前記被検体本体の測定対象となる部分の前記寸法を推定して測定する、非破壊検査測定方法。

技術分野

0001

本発明は、非破壊検査測定システム及び非破壊検査測定方法に関する。

背景技術

0002

特許文献1〜6に示すように、電磁誘導を利用した渦流探傷装置において、正弦波発生器励磁コイルを駆動する駆動回路、励磁コイル及び検出コイルからなるセンサ、検出コイルの出力を増幅する増幅回路及び同期検波回路を含む解析回路等で構成された装置が提案され、使用されている。

0003

上記のような装置により、被検体の内部に設けられた部材の寸法を測定することが、広く行われている。
例えば、特許文献7には、次のような非破壊検査測定システムの較正装置が開示されている。非破壊検査測定システムの較正装置は、励磁コイルと、検出コイルと、管本体を励磁するため励磁コイルに正弦波信号、または周波数が互いに異なる複数の正弦波からなる合成信号印加するとともに、検出コイルから出力される電圧の変化を検出するコンピュータと、を備える。較正装置は、管本体で厚さが既知の複数の較正点において検出コイルから出力される電圧変化振幅および位相差変数として連立方程式に取り込むことによって、コンピュータにおける検出結果の較正を行う。この較正装置は、較正点のそれぞれにおいて、較正条件を複数に異ならせ、それぞれの較正条件で検出コイルから出力される電圧変化の振幅および位相差を連立方程式に取り込んで較正を行う。

0004

表8は、例えば上記の特許文献7として示された従来技術の実験結果である。本実験における被検体は、外缶と内を備えている。外缶と内缶は共に状に形成されており、内缶は外缶の内側に設けられ、内缶は外側から視認できない状態となっている。本実験においては、内缶の厚さを測定する。

0005

振幅比をx、位相差をyとして内缶の厚さt2を推定する推定式は、係数a、b、定数項cを用いて、次の数式6として立式することができる。



ここで、係数a、b、定数項cは、較正として、内缶の厚さt2が既知の3点(t21、t22、t23)において、実際に内缶の厚さt2を測定し、その各々における、振幅比x、位相差y、内缶の厚さt2の測定値の組み合わせ(x1、y1、t21)、(x2、y2、t22)、(x3、y3、t23)を上式に入力した、次の数式7として示される連立方程式を解くことにより、決定することができる。



表8において、「振幅比33Hz」、「位相差33Hz(rad)」、「t2較正値(mm)」の欄の第1行、第2行、及び第3行の各々は、上記の(x1、y1、t21)、(x2、y2、t22)、(x3、y3、t23)のそれぞれの組み合わせの実際の数値を記載したもので、上記の連立方程式を表形式で表したものである。
この連立方程式を解いて求めた係数a、b、定数項cの値は、表8中のa、b、cと示されたそれぞれの欄に記載されている。

0006

より具体的には、本実験においては、数式8として示される3元連立方程式を用いて、厚さの推定値の較正を行っている。すなわち、周辺温度が10.4℃の状況下において、内缶と外缶の間隔であるGapが80mmで内缶の厚さt2が35mmと25mmの場合と、間隔Gapが70mmで内缶の厚さt2が35mmの場合との各々で、振幅比と位相差を計算し、これらの計算結果を数式7に代入して、次の数式8として取り込んでいる。

0007

上記の数式8においては、係数a、b、及び定数項cを用いており、各々の結果において、振幅比に係数aを乗算した値、位相差に係数bを乗算した値、及び定数項cを加算し、これが既知の厚さt2と一致するように、方程式を立式している。
この3つの方程式を連立方程式として解くことにより、表8に示されるように、未知数a、b、cの値が求められる。これら係数a、b、及び定数項cの値を使用し、振幅比をx、位相差をyとすると、内缶の厚さt2を推定する、次の推定式が立式される。

0008

図23は、上記の推定式に基づき内缶の厚さt2を推定、測定した一例であり、周辺温度が10.4℃の場合の測定結果を示すグラフである。図24は、図23に、周辺温度が11.4℃の場合の測定結果を破線で追加したグラフである。

先行技術

0009

特許第3753499号公報
特許第3266128号公報
特開2010−48552号公報
特許第3896489号公報
特開2010−54352号公報
特許第4756409号公報
特開2018−59804号広報

発明が解決しようとする課題

0010

図23においては、内缶の厚さt2が35mmの場合は、正確な値を示しているが、間隔Gapの値が変わると、値が不正確となっている。また、図24に示されるように、周辺温度が11.4℃に上昇した場合においては、値がより一層不正確となっている。

0011

上記のように、従来の装置においては、被検体内に設けられた被検体本体の寸法を測定するに際し、測定条件の影響を低減することが求められている。
測定条件としては、例えば、被検体の外表面または外表面を構成する部材からの、被検体本体の距離、間隔や、温度が挙げられる。すなわち、図23図24として示したように、間隔Gapや温度が変わることにより、測定結果の精度が低減する場合がある。
特に距離に関しては、被検体本体の寸法を測定する際に、これを把握できない状況が多い。このような場合としては、例えば、被検体が、管状の被検体本体と、被検体本体の外側に設けられて、被検体本体の外側を覆う外被体を備える場合において、外被体の影響を除いて被検体本体の厚さを測定するような状況が想定される。あるいは、被検体が、上記実験において説明したような、外缶と内缶で構成された二重缶体である場合において、外缶と内缶の間隔が外部からは観測出来ない状況の下で、被検体本体である内缶の厚さを正確に測定するような状況も想定される。更には、被検体が鉄筋コンクリートである場合において、コンクリート表面と鉄筋間の距離、すなわち業界用語で言う「かぶり」の量が不明な状況の下で、被検体本体となる鉄筋の太さを正確に測定するような状況が想定される。
このように、測定条件、特に被検体の外表面または外表面を構成する部材からの、被検体本体の距離、間隔が把握できない場合であっても、被検体本体の寸法を正確に把握することが望まれている。

0012

本発明が解決しようとする課題は、測定条件の影響を低減し高精度で被検体内に設けられた被検体本体の寸法を測定可能な、非破壊検査測定システム及び非破壊検査測定方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0013

本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、被検体内に設けられた被検体本体を励磁する励磁コイルと、前記励磁コイルで前記被検体本体を励磁したときに前記被検体本体に生じる磁界変化に応じた電圧を出力する検出コイルと、前記被検体本体を励磁するため前記励磁コイルに、正弦波信号、または周波数が互いに異なる複数の正弦波からなる合成信号を印加するとともに、前記検出コイルから出力される電圧を検出し、前記被検体本体の寸法を測定する測定装置と、を備える非破壊検査測定システムであって、前記測定装置は、前記被検体本体の前記寸法が既知で異なる複数の部分に対し、複数の前記寸法ごとに、異なる複数の測定条件の各々で、前記検出コイルから出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差を計算し、前記振幅比と前記位相差を2軸とする振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、当該直線の勾配を計算する較正時勾配計算部と、複数の前記寸法ごとの、当該寸法と、当該寸法に対して計算された前記勾配を基にした値との関係から、連立方程式を構築し、その解を基に、前記寸法の測定時に前記寸法を推定する、前記勾配を基にした値を変数とした推定式を立式する較正部と、前記推定式を基に、前記被検体本体の測定対象となる部分の前記寸法を推定して測定する測定部と、を備えている、非破壊検査測定システムを提供する。
上記のような構成によれば、被検体本体の測定対象となる部分の寸法を測定する前に、寸法が既知で異なる複数の部分に対し、寸法ごとに、異なる複数の測定条件の各々で、検出コイルから出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差を計算し、振幅比と位相差を2軸とする振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、当該直線の勾配を計算する。寸法が同じである場合に測定条件を異ならせると、振幅比と位相差は概ね比例関係となるため、各寸法に対してこのようにして得られる勾配、すなわち比例関係を直線として示した場合の傾きは、測定条件の影響が抑制された値となっている。
実際に被検体本体の測定対象となる部分の寸法を推定、測定する際には、寸法と、当該寸法に対して計算された勾配を基にした値との関係から構築された連立方程式を解くことで、推定式を立式し、これを基にして寸法が求められる。
したがって、測定条件の影響を低減し、高精度で、被検体内に設けられた被検体本体の寸法を測定可能である。

0014

本発明の一態様においては、前記較正部は、複数の前記寸法ごとに、当該寸法と、当該寸法に対して計算された前記勾配を基にした値との前記関係を表す、複数元の一次方程式を立式し、これらを前記連立方程式として解くことにより前記寸法と前記勾配を基にした値との関係を表す係数を計算し、前記勾配を基にした値を前記変数として前記係数を適用することにより前記推定式を立式する。
上記のような構成によれば、上記のような非破壊検査測定システムを適切に実現可能である。

0015

本発明の別の態様においては、前記測定部は、前記被検体本体の測定対象となる前記部分に対し、前記検出コイルから出力される電圧を測定時電圧として測定し、これと前記基準電圧との振幅比及び位相差である測定時振幅比及び測定時位相差を計算してこれらに対応する前記振幅比−位相差平面上での前記勾配である測定時勾配を計算し、当該測定時勾配を基にした値を前記推定式の前記変数に代入して前記寸法を計算、測定する。
上記のような構成によれば、上記のような非破壊検査測定システムを適切に実現可能である。

0016

本発明の別の態様においては、前記較正時勾配計算部は、更に、複数の前記寸法ごとに求められた前記直線間交点を計算し、前記測定部は、前記振幅比−位相差平面上での前記測定時振幅比及び前記測定時位相差に対応する測定点と前記交点とを結ぶ直線の勾配を、前記測定時勾配として計算する。
上記のような構成によれば、上記のような非破壊検査測定システムを適切に実現可能である。

0017

本発明の別の態様においては、前記測定条件は、前記被検体の外表面または外表面を構成する部材からの、前記被検体本体への距離を含む。
上記のような構成によれば、被検体の外表面または外表面を構成する部材からの、被検体本体への距離の影響を低減し、高精度で、被検体内に設けられた被検体本体の寸法を測定可能である。

0018

本発明の別の態様においては、前記較正時勾配計算部は、前記勾配を計算する際に前記励磁コイルに印加した前記正弦波信号または前記合成信号の周波数とは異なる周波数を前記励磁コイルに印加し、前記検出コイルから出力される電圧を測定して、これと、前記基準電圧との振幅比である異周波数振幅比、または前記基準電圧との位相差である異周波数位相差を計算し、前記較正部は、複数の前記寸法及び温度ごとの、当該寸法と、当該寸法に対して計算された前記勾配を基にした値と、及び前記異周波数振幅比または前記異周波数位相差との関係から前記連立方程式を構築し、その解を基に、前記推定式を立式する。
上記のような構成によれば、較正時勾配計算部において勾配を計算する際に励磁コイルに印加した信号の周波数とは異なる周波数を励磁コイルに印加し、検出コイルから出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比である異周波数振幅比、または基準電圧との位相差である異周波数位相差を計算して、これを連立方程式に反映している。周波数が異なると、その振幅または位相差は、渦電流の影響を異なるように受けるため、異なる周波数の振幅比または位相差が反映された連立方程式を構築し解くことにより、温度の影響を適切に考慮した推定式を立式できる。
したがって、温度の影響を低減し、高精度で、被検体内に設けられた被検体本体の寸法を測定可能である。

0019

本発明の別の態様においては、前記被検体本体は板体であり、前記寸法は前記板体の厚さであり、前記勾配を基にした値は前記勾配であり、前記連立方程式においては、前記寸法と前記勾配は比例の関係にある。
上記のような構成によれば、被検体本体が、平板状や窯状に形成された板体である場合に、その厚さを、高精度に測定可能である。

0020

本発明の別の態様においては、前記被検体本体は断面円形棒体であり、前記寸法は、基準となる大きさの円の直径と、前記棒体の断面の直径との差分の二乗であり、前記連立方程式においては、前記寸法と前記勾配を基にした値は比例の関係にある。
被検体本体が断面円形の棒体である場合には、励磁コイルにより生じた磁力線が棒体内に侵入する際に、侵入する磁束が形成する磁界の方向とは逆向きの磁界を形成するように渦電流が流れるため、磁力線は渦電流により打ち消されて棒体内部へは入らず、棒体の表面近くを流れて侵入箇所とは反対側へと抜けていく。このため、断面円形の棒体の場合には、勾配、すなわち振幅比と位相差の比例関係を直線として示した場合の傾きは、棒体の直径ではなく、何らかの基準となる大きさの円を規定したときに、この円の直径と、測定対象となる棒体の断面の直径との差分の二乗に比例する関係となる。
したがって、上記のような構成によれば、被検体本体が断面円形の棒体である場合に、その直径を、高精度に測定可能である。

0021

本発明の別の態様においては、前記被検体本体は断面四角形の棒体であり、前記寸法は、基準となる大きさの四角形対角線の長さと、前記棒体の断面の対角線の長さとの差分の二乗であり、前記連立方程式においては、前記寸法と前記勾配を基にした値は比例の関係にある。
被検体本体が断面四角形の棒体である場合には、励磁コイルにより生じた磁力線が棒体内に侵入する際に、侵入する磁束が形成する磁界の方向とは逆向きの磁界を形成するように渦電流が流れるため、磁力線は渦電流により打ち消されて棒体内部へは入らず、棒体の表面近くを流れて侵入箇所とは反対側へと抜けていく。このため、断面四角形の棒体の場合には、勾配、すなわち振幅比と位相差の比例関係を直線として示した場合の傾きは、何らかの基準となる大きさの四角形を規定したときに、この四角形の対角線の長さと、測定対象となる棒体の断面の対角線の長さとの差分の二乗に比例の関係となる。
したがって、上記のような構成によれば、被検体本体が断面四角形の棒体である場合に、その厚さを、高精度に測定可能である。

0022

本発明の別の態様においては、前記被検体本体の前記寸法が既知で異なる複数の部分に対し、複数の前記寸法ごとに、前記棒体の長さと、前記較正時勾配計算部により計算された前記勾配を2軸とする長さ−勾配平面上での、少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、前記勾配を基にした値として当該直線の勾配である2次勾配を計算する較正時2次勾配計算部を備え、前記較正部は、複数の前記寸法ごとの、当該寸法と、当該寸法に対して計算された前記2次勾配との関係から、連立方程式を構築し、その解を基に前記推定式を立式する。
被検体本体が棒体であり、なおかつ棒体の長さが短い場合においては、寸法は、上記のように計算された勾配よりも、棒体の長さと勾配を2軸とする長さ−勾配平面上での、少なくとも2つの、長さと勾配の対応関係に対応する、点間を結ぶ直線の勾配である2次勾配に比例する関係となる。
上記のような構成によれば、連立方程式は、複数の寸法ごとの、当該寸法と、当該寸法に対して計算された2次勾配との関係から構築されているため、推定式には寸法と2次勾配の関係が反映される。
したがって、被検体本体が棒体であり、なおかつ棒体の長さが短い場合に、測定条件の影響を低減し、高精度で、被検体内に設けられた被検体本体の寸法を測定可能である。

0023

また、本発明は、被検体内に設けられた被検体本体を励磁する励磁コイルと、前記励磁コイルで前記被検体本体を励磁したときに前記被検体本体に生じる磁界変化に応じた電圧を出力する検出コイルと、前記被検体本体を励磁するため前記励磁コイルに、正弦波信号、または周波数が互いに異なる複数の正弦波からなる合成信号を印加するとともに、前記検出コイルから出力される電圧を検出し、前記被検体本体の寸法を測定する、非破壊検査測定方法であって、前記被検体本体の前記寸法が既知で異なる複数の部分に対し、複数の前記寸法ごとに、異なる複数の測定条件の各々で、前記検出コイルから出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差を計算し、前記振幅比と前記位相差を2軸とする振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、当該直線の勾配を計算し、複数の前記寸法ごとの、当該寸法と、当該寸法に対して計算された前記勾配を基にした値との関係から、連立方程式を構築し、その解を基に、前記寸法の測定時に前記寸法を推定する、前記勾配を基にした値を変数とした推定式を立式し、前記推定式を基に、前記被検体本体の測定対象となる部分の前記寸法を推定して測定する、非破壊検査測定方法を提供する。
上記のような構成によれば、被検体本体の測定対象となる部分の寸法を測定する前に、寸法が既知で異なる複数の部分に対し、寸法ごとに、異なる複数の測定条件の各々で、検出コイルから出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差を計算し、振幅比と位相差を2軸とする振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、当該直線の勾配を計算する。寸法が同じである場合に測定条件を異ならせると、振幅比と位相差は概ね比例関係となるため、各寸法に対してこのようにして得られる勾配、すなわち比例関係を直線として示した場合の傾きは、測定条件の影響が抑制された値となっている。
実際に被検体本体の測定対象となる部分の寸法を推定、測定する際には、寸法と、当該寸法に対して計算された勾配を基にした値との関係から構築された連立方程式を解くことで、推定式を立式し、これを基にして寸法が求められる。
したがって、測定条件の影響を低減し、高精度で、被検体内に設けられた被検体本体の寸法を測定可能である。

発明の効果

0024

本発明によれば、測定条件の影響を低減し高精度で被検体内に設けられた被検体本体の寸法を測定可能な、非破壊検査測定システム及び非破壊検査測定方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0025

本発明の実施形態における非破壊検査測定システムの構成を示す図である。
上記実施形態における非破壊検査測定システムの、センサの模式的な平面図である。
上記実施形態における非破壊検査測定システムを用いた実施例において、周波数を33Hzとし、温度を10.4℃とした場合の、振幅比と位相差の関係を示すグラフである。
上記実施形態における非破壊検査測定システムを用いた実施例において、周波数を33Hzとし、温度を10.4℃及び11.4℃とした場合の、振幅比と位相差の関係を示すグラフである。
上記実施形態における非破壊検査測定システムを用いた実施例において、周波数を39Hzとし、温度を10.4℃及び11.4℃とした場合の、振幅比と位相差の関係を示すグラフである。
上記実施形態における非破壊検査測定システムを用いた実施例において、周波数を57Hzとし、温度を10.4℃及び11.4℃とした場合の、振幅比と位相差の関係を示すグラフである。
上記実施形態における非破壊検査測定システムを用いた実施例において、周波数を69Hzとし、温度を10.4℃及び11.4℃とした場合の、振幅比と位相差の関係を示すグラフである。
上記実施形態における非破壊検査測定システムを用いた実施例において、周波数を87Hzとし、温度を10.4℃及び11.4℃とした場合の、振幅比と位相差の関係を示すグラフである。
上記実施形態における非破壊検査測定システムを用いた実施例における、測定結果を示すグラフである。
上記実施形態における非破壊検査測定システムを用いた非破壊検査測定方法のフローチャートである。
上記実施形態の第1変形例における非破壊検査測定システムの構成を示す図である。
上記実施形態の第1変形例における非破壊検査測定システムを用いた実施例における、測定結果を示すグラフである。
上記実施形態の第2変形例における非破壊検査測定システムの構成を示す図である。
上記実施形態の第2変形例における非破壊検査測定システムの、センサの模式的な平面図である。
上記実施形態の第2変形例における非破壊検査測定システムを用いた実施例における、振幅比と位相差の関係を示すグラフである。
図15部分拡大図である。
上記実施形態の第2変形例における非破壊検査測定システムの作用の説明図である。
上記実施形態の第2変形例における非破壊検査測定システムを用いた実施例における、被検体の外表面と被検体本体との距離が36.5mmの場合の測定結果を示すグラフである。
上記実施形態の第2変形例における非破壊検査測定システムを用いた実施例における、被検体の外表面と被検体本体との距離が56.5mmの場合の測定結果を示すグラフである。
上記実施形態の第3変形例における非破壊検査測定システムの構成を示す図である。
上記実施形態の第3変形例における非破壊検査測定システムを用いた実施例における、被検体本体の長さと勾配の関係を示すグラフである。
上記実施形態の第3変形例における非破壊検査測定システムを用いた実施例における、測定結果を示すグラフである。
従来技術を用いた実施例において、周波数を33Hzとし、温度を10.4℃とした場合の結果を示すグラフである。
従来技術を用いた実施例において、周波数を33Hzとし、温度を10.4℃及び11.4℃とした場合の結果を示すグラフである。

実施例

0026

以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態における非破壊検査測定システムは、被検体内に設けられた被検体本体を励磁する励磁コイルと、励磁コイルで被検体本体を励磁したときに被検体本体に生じる磁界変化に応じた電圧を出力する検出コイルと、被検体本体を励磁するため励磁コイルに、正弦波信号、または周波数が互いに異なる複数の正弦波からなる合成信号を印加するとともに、検出コイルから出力される電圧を検出し、被検体本体の寸法を測定する測定装置と、を備えるものであって、測定装置は、被検体本体の寸法が既知で異なる複数の部分に対し、複数の寸法ごとに、異なる複数の測定条件の各々で、検出コイルから出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差を計算し、振幅比と位相差を2軸とする振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、当該直線の勾配を計算する較正時勾配計算部と、複数の寸法ごとの、当該寸法と、当該寸法に対して計算された勾配を基にした値との関係から、連立方程式を構築し、その解を基に、寸法の測定時に寸法を推定する、勾配を基にした値を変数とした推定式を立式する較正部と、推定式を基に、被検体本体の測定対象となる部分の寸法を推定して測定する測定部と、を備えている。

0027

図1は、本発明の実施形態における非破壊検査測定システムの構成を示す図である。図2は、本実施形態における非破壊検査測定システムの、センサの模式的な平面図である。
本実施形態における非破壊検査測定システム10は、被検体2内に設けられた被検体本体202の寸法を測定する。
被検体本体202は、本実施形態においては、板体である。検査対象となる被検体2は、特に本実施形態においては、厚さt1の外缶201と間隔Gapを隔てた厚さt2の内缶(被検体本体)202を備え、2層構造となっている。外缶201と内缶202は共に窯状に形成されており、内缶202は外缶201の内側に設けられ、内缶202は外側から視認できない状態となっている。本実施形態においては、非破壊検査測定システム10は内缶202の厚さ(寸法)t2を測定する。
被検体2は、ステンレス鋼一般鋼材等、導電性のある金属体であれば何でも良く、形状も平板または曲面板であっても良い。
なお、図1において、被検体2は、断面構造の一部のみが示されている。

0028

非破壊検査測定システムは、センサ1と、測定装置3と、を備えている。
センサ1は、検出器12と、6つの励磁器11と、を備えている。
検出器12は、センサ1を平面視したときに、センサ1を形成する筐体1aの中央近傍に設けられている。検出器12は、検出コイル121を備えている。検出コイル121は、本実施形態においては空芯コイルである。検出コイル121は、フェライト等の磁性体のコアを用いると感度が高くなるが、磁性体のコアは磁力線を誘引するので自然な磁力線分布を乱すこと、及びその比透磁率温度特性があるため、空芯コイルの方が良好な特性が得られる。
検出器12は、センサ1の筐体1aの下面1bを外缶201の外表面201aに沿わせて設けた際に、検出コイル121の中心軸C12が被検体2の外表面201aの法線方向に一致するように、センサ1内に設けられている。

0029

励磁器11は、図2のようにセンサ1を平面視した際に、検出器12を囲うように設けられている。励磁器11は、励磁コア111、フィードバックコイル112、及び励磁コイル113を備えている。
励磁コア111は、積層珪素鋼板等の磁性体からなる。励磁コア111は棒状の部材を2か所で屈曲させたような形状を成しており、屈曲した部分を境界として、第1コア部111a、第2コア部111b、及び第3コア部111cが形成されている。第1コア部111aと第3コア部111cは、中間に位置する第2コア部111bに対して同じ方向に向けて傾くように屈曲されて形成されている。励磁コア111は、第2コア部111bが筐体1aの下面1bと略平行となるように、かつ第1コア部111aと第3コア部111cの先端が筐体1aの下面1bに向けて接近するように、筐体1a内に位置づけられている。第1コア部111aは、第3コア部111cよりも検出器12側に位置するように設けられている。このようにして、計6つの励磁器11は、検出器12を中心として放射状に配置されて、検出器12の直下に磁束が集中するように設けられている。

0030

励磁器11の第1コア部111aには、フィードバックコイル112が巻回されている。
励磁コイル113の各々は、第1励磁コイル113a、第2励磁コイル113b、及び第3励磁コイル113cを備えている。
第1励磁コイル113aは、フィードバックコイル112の周囲に巻回されている。既に説明したような第1コア部111aの構成により、第1励磁コイル113aの中心軸C13は、検出コイル121の中心軸C12と被検体2側で交差するように設けられている。
全ての励磁器11の第1励磁コイル113a、第2励磁コイル113b、及び第3励磁コイル113cは、いずれも同じ方向に巻回されており、また互いに直列接続されている。なお、各励磁コイル113は、3つの励磁コイル113a、113b、113cを備えるものとして説明したが、これらが一体として形成されていても良い。
また、全ての励磁器11のフィードバックコイル112どうしは、互いに直列接続されている。フィードバックコイル112と励磁コイル113は接続されていない。
このように、6つの励磁器11の励磁コイル113及びフィードバックコイル112は、それぞれ、全て磁束的に同一方向に、加法的に直列接続され、中点接地平衡入出力とし、耐ノイズ性を高めた構成になっている。

0031

このようなセンサ1において、励磁コイル113が励振されると、励磁コイル113は励磁コア111を励磁し、これにより励磁コア111内に磁束が生じる。フィードバックコイル112は、この励磁コア111内に生じた磁束を捕捉する。フィードバックコイル112が捕捉した結果の出力は、基準電圧として使用される。
また、励磁コイル113は被検体2の内缶202を同様に励磁し、これにより内缶202内に磁束が生じる。検出コイル121は、この内缶202内に生じた磁束を捕捉する。検出コイル121が捕捉した結果の出力となる電圧は、基準電圧と比較されて、内缶202の厚さt2の測定に使用される。検出コイル121は、単純な巻き方で中点接地でも良いが、巻き半径により捕捉磁束量が異なるため、例え巻き数の中央を接地しても、完全な平衡出力とはならない。そこで、本実施形態では、バイファイラー巻きとし、完全な平衡出力として、耐ノイズ性を高めている。

0032

このように、励磁コイル113は、被検体2内に設けられた被検体本体202を励磁する。また、検出コイル121は、励磁コイル113で被検体本体202を励磁したときに被検体本体202に生じる磁界変化に応じた電圧を出力する。

0033

測定装置3は、デジタルアナログ変換器(DAC)301、アナログデジタル変換器ADC)302、電力増幅器303、マルチプレクサ304、コンピュータ305、及び表示・データ集録部306を備えている。
コンピュータ305は、単一周波数または複数周波数の正弦波信号の合成信号をデジタル的に発生させる。DAC301は、コンピュータ305で発生させ、デジタル的に合成した信号をアナログ信号に変換する。電力増幅器303は、DAC301からのアナログ信号を増幅し、センサ1の第1励磁コイル113a、第2励磁コイル113b、及び第3励磁コイル113cに供給する。このアナログ信号により、励磁コイル113が交番電圧で励振される。励磁コイル113が励振されると、被検体である外缶201、内缶202に磁界変化が生じる。この外缶201、内缶202の磁界変化に応じて流れる渦電流によって、検出コイル121周辺総合的な磁界が変化し、検出コイル121から渦電流による変化を含んだ電圧変化が出力される。このように、渦電流による磁界変化のみを区別して検出することは極めて困難であるが、渦電流による磁界変化を含んだ磁界変化として検出コイル121で検出している。

0034

既に説明したように、第1励磁コイル113aが励磁されると、フィードバックコイル112は、励磁コア111内に生じた磁束を捕捉する。このフィードバックコイル112からの信号は、マルチプレクサ304を介してADC302に伝送され、ADC302によりデジタル信号に変換され、コンピュータ305により励磁磁束を一定に保つようフィードバック処理される。

0035

マルチプレクサ304には、検出コイル121に発生する電圧と、フィードバックコイル112から出力された電圧とが入力される。ADC302は、マルチプレクサ304の出力をデジタル信号に変換し、コンピュータ305に出力する。コンピュータ305は、ADC302からの出力に基づいて、測定及び解析処理を実行する。
コンピュータ305は、検出コイル121から出力される電圧と、基準電圧、すなわちフィードバックコイル112から出力される電圧を比較し、これらの振幅比と位相差を計算する。より詳細には、コンピュータ305は、振幅比として、フィードバックコイル112の出力の振幅値分母とし、検出コイル121の出力の振幅値を分子とした値を計算する。これにより、測定系の電圧変動等による影響が抑制される。同様に、コンピュータ305は、位相差として、フィードバックコイル112の出力位相と検出コイル121の出力位相の差を計算する。
表示・データ集録部306は、コンピュータ305における測定及び解析処理の結果のデータを、表示、集録する。

0036

このような非破壊検査測定システム10を用いて被検体本体すなわち内缶202の、寸法すなわち厚さの測定を行う際には、被検体2の外表面201aに沿ってセンサ1を移動させながら、内缶202の厚さt2が既知の複数の部分で、コンピュータ305によって正弦波信号、または周波数が互いに異なる複数の正弦波からなる合成信号を発生させて励磁コイル113を励振させる。コンピュータ305は、励磁コイル113の励振に応じて検出コイル121から出力される電圧変化の振幅比、位相差を計算する。
厚さt2が既知の部分で検出コイル121から出力される電圧のフィードバックコイル112との振幅比、位相差を計算するのは、この振幅比及び位相差から推定される内缶202の厚さt2を、測定した部分における実際の厚さと照合することで、推定結果を較正するのが目的である。較正については、後に詳説する。
ここで、正弦波信号の周波数を複数に異ならせて測定を行う場合、その複数の正弦波信号をコンピュータ305でデジタル的に発生させ、その合成されたデジタル信号をDAC301でアナログ信号に変換し、電力増幅器303を介して励磁コイル113を励磁する。検出コイル121の出力はマルチプレクサ304で実質的にサンプリング後、ホールドされ、ADC302によりデジタル信号に変換され、コンピュータ305により高速フーリエ変換FFT)処理され、周波数ごとに振幅、位相差として出力される。フィードバックコイル112の出力も同様に、マルチプレクサ304、ADC302を介してデジタル信号に変換され、コンピュータ305により高速フーリエ変換され、周波数ごとに振幅、位相差として出力される。最終的には、振幅はフィードバックコイル112の出力に相当する振幅を分母とし、検出コイル121の出力に相当する振幅を分子とした周波数ごとの振幅比として出力される。同様に、位相差は、フィードバックコイル112に相当する位相差を基準として検出コイル121の出力に相当する位相差を算出し、周波数ごとの位相差として出力される。一般の信号の高速フーリエ変換(FFT)においては、サンプリング後の不連続部分を生じないようにするためにハミング窓等の窓関数フイルターを挿入する必要があるが、本実施例においては、上記、複数の正弦波信号をコンピュータ305でデジタル的に発生させる際に、連続波ではなく、ゼロから指数関数的に徐々に立ち上がる前置部(プリアンブル)と指数関数的に徐々に立ち下がりゼロになる後置部(ポストアンブル)を設けたバースト信号とすることにより、窓関数の挿入を省略することが可能となるため、これを省略している。
このように、高速フーリエ変換(FFT)を使用することにより、各周波数の各々の正弦波としての振幅比、位相差を同時に検出することが可能であるため、測定効率が高い。

0037

一般的に、正弦波信号はその周波数、振幅、位相の3定数が決まれば、その波形一意的に特定できる。そこで、コンピュータ305においては、波形解析処理手法として高速フーリエ変換(FFT)を使用し、振幅と位相とを算定する。
振幅としては、通常、電圧値が取られるが、検出コイル121の出力は、その値そのものは温度や電圧変動等の変動要因で変動する場合が多い。そこで、測定系の変動を抑えるため、既に説明したように、フィードバックコイル112の出力電圧の振幅を分母とする検出コイル121の出力との比を取った振幅比として、より一般化することで、精度の高いデータ集録が可能である。
位相は、フィードバックコイル112への入力位相と検出コイル121の出力との位相差をラジアン(radian)で表した。

0038

ここで、コンピュータ305においては、発生させる正弦波信号の各周波数の周波数列を、その各々の高調波が互いに相手方の周波数領域に落ち込む所謂エリアシング現象を防ぐため、3を基数とする素数系列とし、本実施形態では、例えば、33,39,57,69,87Hzとしている。50,60Hz付近を避けたのは電源ノイズの影響を防ぐためである。また本実施形態では、高速フーリエ変換(FFT)として8192ポイントのデータを取得しているので、3(Hz)×8192=24,576(Hz)のサンプリング周波数でサンプリングを行っている。

0039

次に、本実施形態における較正について説明する。
非破壊検査測定システム10を用いて実際に内缶202の厚さt2を測定する前に、非破壊検査測定システム10を較正する必要がある。較正は、被検体2の内缶202の厚さt2や、外缶201と内缶202の間隔であるGapを変動させて検出コイル121の出力電圧を測定し、厚さt2や間隔Gapと検出コイル121の出力電圧との関係を調べることにより行われる。したがって、理想的には、被検体2に、厚さt2や間隔Gapが既知で異なる複数の部分があれば、この部分における検出コイル121の出力電圧を調べることで、較正を行うことができる。しかし、このような条件を満たすような部分が被検体2にない場合には、厚さt2や間隔Gapを変更可能な模擬体を作成し、これを用いて較正を行う。
なお、本実施形態においては、被検体本体すなわち内缶202の被検体2中の位置を、上記のように、被検体2の外表面201aを構成する部材である外缶201からの、内缶202への距離となる間隔Gapで表現しているが、被検体2の外表面201aからの距離、すなわち外缶201の厚さt1と間隔Gapの和により表現してもよいのは言うまでもない。

0040

非破壊検査測定システム10の較正と、この較正結果を用いた内缶202の厚さt2の推定、測定を行うために、コンピュータ305は、較正時勾配計算部310、較正部311、及び測定部312を備えている。

0041

較正時勾配計算部310は、特定の周波数で、内缶202の既知の第1の厚さt21で、外缶201と内缶202の既知の第1の間隔Gap1において、センサ1を用いた測定により振幅比、位相差を計算し、振幅比を横軸とし、位相差を縦軸とした振幅比−位相差平面上にプロットする。また、較正時勾配計算部310は、外缶201と内缶202の間隔Gapを第1の間隔Gap1と異なる第2の間隔Gap2に変更し、他は同じ条件の下で、センサ1を用いた測定により振幅比、位相差を計算し、振幅比−位相差平面上にプロットする。較正時勾配計算部310は、振幅比−位相差平面上にプロットされたこれら2つの点を結ぶ、第1の直線を計算する。
較正時勾配計算部310はまた、第1の厚さt21とは異なる既知の第2の厚さt22で、外缶201と内缶202の第3の間隔Gap3において、センサ1を用いた測定により振幅比、位相差を計算し、振幅比−位相差平面上にプロットする。また、較正時勾配計算部310は、外缶201と内缶202の間隔Gapを第3の間隔Gap3と異なる第4の間隔Gap4に変更し、他は同じ条件の下で、センサ1を用いた測定により振幅比、位相差を計算し、振幅比−位相差平面上にプロットする。較正時勾配計算部310は、振幅比−位相差平面上にプロットされたこれら2つの点を結ぶ、第2の直線を計算する。
上記において、第1の間隔Gap1と第3の間隔Gap3、及び第2の間隔Gap2と第4の間隔Gap4は、それぞれ、同一であっても良いが、異なっていても良い。

0042

次に、較正時勾配計算部310は、第1の直線と第2の直線の延長線上の交点P0を求める。
また、較正時勾配計算部310は、振幅比−位相差平面上で、第1の直線の勾配と、第2の直線の勾配を計算する。

0043

このように、較正時勾配計算部310は、内缶202の厚さt2が既知で異なる複数の部分に対し、複数の厚さt21、t22ごとに、異なる複数の測定条件Gap1、Gap2、及び測定条件Gap3、Gap4の各々で、検出コイル121から出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差を計算し、振幅比と位相差を2軸とする振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、当該直線の勾配を計算する。
また、較正時勾配計算部310は、複数の厚さt21、t22ごとに求められた直線間の交点P0を計算する。
また、測定条件は、被検体2の外表面201aからの、または外表面201aを構成する部材201からの、被検体本体202への距離を含む。本実施形態においては、この距離は、外缶201と内缶202間の間隔Gapである。

0044

後に図3等の実施例を用いて詳細に説明するように、内缶202の厚さt2と、当該厚さt2に対応する直線に対して計算された勾配の間には、比例の関係が成立する。すなわち、勾配をxとし、aを勾配にかかる係数、bを定数とすると、内缶202の厚さt2は、例えばt2=ax+bの一次式で表すことができる。
既に説明したように、較正時勾配計算部310により、内缶202の複数の厚さt21、t22に対し、これらに対応する勾配の値が計算されている。したがって、較正部311は、これら内缶202の厚さt21、t22と、これらに対応する勾配の値を上記の一次式にそれぞれ代入することにより、a、bを変数とした2元連立方程式を構築する。較正部311は、これを解いてa、bの値を導出する。較正部311は、これら導出されたa、bの値を上記の一次式に代入することで、勾配を変数とし、これが入力された場合に内缶202の厚さt2を計算可能な、推定式を立式する。

0045

このように、較正部311は、内缶202の複数の厚さt21、t22ごとの、当該厚さt21、t22(寸法)と、当該厚さt21、t22に対して計算された勾配(勾配を基にした値)との関係から、連立方程式を構築し、その解を基に、厚さt2の測定時に厚さt2を推定する、勾配を変数とした推定式を立式する。
より詳細には、較正部311は、内缶202の複数の厚さt21、t22ごとに、当該厚さt21、t22と、当該厚さに対して計算された勾配との関係を表す、複数元の一次方程式を立式し、これらを連立方程式として解くことにより厚さt2と勾配との関係を表す係数を計算し、勾配を変数として係数を適用することにより推定式を立式する。
この連立方程式においては、厚さと勾配は比例の関係にある。

0046

実際に内缶202の厚さt2を推定、測定する際には、測定部312は、被検体2上の測定しようとする任意の、厚さt2が未知の部分でセンサ1を稼働させて検出コイル121からの出力電圧を測定時電圧として測定し、測定時電圧の、基準電圧との振幅比と位相差である測定時振幅比と測定時位相差を計算する。測定部312は、振幅比−位相差平面上に、測定時振幅比と測定時位相差を測定点としてプロットし、この測定点と、第1の直線と第2の直線の延長線上の交点P0を結ぶ測定直線の勾配である測定時勾配を計算する。測定部312は、測定時勾配を、較正部311により立式された推定式に代入することで、被検体2上の測定した部分における内缶202の厚さt2を計算、測定する。
この場合、被検体2の測定した部分で外缶201と内缶202の間隔Gapが変更できる場合は、それにより、振幅比−位相差平面での勾配を求め、推定式に代入しても良い。

0047

このように、測定部312は、推定式を基に、内缶202の測定対象となる部分の厚さt2を推定して測定する。
より詳細には、測定部312は、内缶202の測定対象となる部分に対し、検出コイル121から出力される電圧を測定時電圧として測定し、これと基準電圧との振幅比及び位相差である測定時振幅比及び測定時位相差を計算してこれらに対応する振幅比−位相差平面上での勾配である測定時勾配を計算し、当該測定時勾配を推定式の変数に代入して厚さを計算、測定する。
ここで、測定部312は、振幅比−位相差平面上での測定時振幅比及び測定時位相差に対応する測定点と交点P0とを結ぶ直線の勾配を、測定時勾配として計算する。

0048

次に、上記のような較正時勾配計算部310、較正部311、及び測定部312のより詳細な挙動を、非破壊検査測定システム10の実施例とともに説明する。

0049

[実施例1]
検出器12は、図1に示される検出コイル121として、直径が0.20mmΦのPEW線を合計14,000回、空芯バイファイラー巻きとして巻回し、中点接地平衡出力とし、耐ノイズ性の強い構成としている。バイファイラー巻きとしたのは、多層巻きの場合、巻き始めと巻き終わりとでは直径差がでるので捕捉される磁束に差が出るためである。通常の1本の線による単純な巻き方ではたとえ巻き数の中央を接地しても平衡出力とはならないからで、これに対し、2本を同時に巻くバイファイラー巻きは、巻回後、2本の巻き線を加法直列接続してその中点を接地することにより、完全な平衡出力とすることが出来るため、耐ノイズ性能を高めることが出来るためである。
励磁器11の励磁コア111は、厚さ100um、幅10mmの方向性珪素鋼板を100枚積層し、その上にフィードバックコイル112として直径が0.30mmΦのPEW線を130回巻回することで構成している。励磁コア111及びフィードバックコイル112の上に、励磁コイル113として、直径が1mmΦのPEW線を合計200回巻回している。
センサ1全体の寸法は幅160mm、長さ440mm、高さ130mmとなり、センサ1は、センサとしては大型に構成されている。
被検体2を構成する外缶201、内缶202としては、いずれも幅、及び長さ800mmのステンレスSUS304の平板を用いた。外缶201の厚さt1は、30mm固定とした。内缶202は、25、28、30、32、35mmのいずれかの厚さt2の平板を交換可能な構成とした。外缶201と内缶202間の間隔Gapは、70、80、90mmのいずれかに可変可能な構成とした。

0050

測定装置3のコンピュータ305については、周波数として、33、39、57、69、87Hzの5つの周波数の正弦波を合成したデジタル信号を発生させるように構成した。この信号は、DAC301を介してアナログ信号に変換され、電力増幅器303を介してセンサ1に出力されて、励磁器11を駆動するのに用いられている。
電力増幅器303による出力電圧は4V、出力電流は約0.35Aとし、これにより互いに直列接続された6本の励磁コイル113を駆動している。
測定装置3においては、高速フーリエ変換(FFT)が行われる。高速フーリエ変換においては、2のn乗個のデータをサンプリングする必要があるため、サンプリング周波数24,576Hzで8,192ポイントのデータを取得して高速フーリエ変換を行い、33、39、57、69、87Hzの5つの周波数の各々で独立して振幅比、位相差を取得するように構成した。振幅及び位相の基準は、フィードバックコイル112の出力とし、振幅はそれとの比、すなわち振幅比、位相はそれとの差、すなわち位相差として取得する。以下、本実施例1のデータにおいては、振幅比を例えばA33Hz(A:Amplitude、33Hz、比のため無名数)、位相差P33Hz(P:Phase、33Hz、単位:radian)と表記している。
本実施例のDAC301およびADC302はともに16ビットステムを採用しており、ともに十分な精度と確度を有している。

0051

図3は、測定結果の一例で、温度を10.4℃、周波数を33Hz、外缶201の厚さt1を30mmに固定し、内缶202の厚さt2を25、28、30、32、35mmに変動させ、この各々において70、80、90mmの各間隔Gapについて検出コイル121の出力電圧を測定し、この出力電圧とフィードバックコイル112による基準電圧との振幅比と位相差を計算して、振幅比を横軸、位相差を縦軸とする振幅比−位相差平面上にプロットしたものである。ここで、内缶202の厚さt2が同一の測定結果の各々は、間隔Gapが異なる点間を結ぶと、図3に一点鎖線で示されるように、同一直線上に位置する。すなわち、異なる厚さt2の各々に対し、対応して異なる直線が生成される。これらの直線は、交点P01において交差する。
図4は、図3に示した温度が10.4℃のグラフを直線で示した上に、温度が10.4℃と同様な測定を温度が11.4℃の場合についても実施して、この結果を重ねて破線で示したものである。図4における直線と破線の条件の差異、すなわち温度が、僅か1℃異なった場合でも、計算される振幅比や位相差が変動し、結果として厚さt2の測定結果が変化することがわかる。しかしながら、その変化は平行移動的である。これはステンレスSUS304の体積抵抗率温度係数は1.1×10^−3と極めて大きく、その影響を受けていることを示すものである。図4から周波数を39、57、69、87Hzと変化させた場合の測定結果を、図5図6図7図8に示す。周波数が上昇するに応じて、直線間の交点を中心とした直線の延在方向が、時計回りに回転するように変化している。
図3から明らかなように、内缶202の厚さt2が同じで、間隔Gapが異なる点における測定値は、振幅比−位相差平面上で一直線上に並び、厚さt2が異なる場合における直線とは一つの交点で交差する。本実施形態における較正時勾配計算部310、較正部311、及び測定部312の挙動は、これらの実験事実に基づいている。

0052

被検体2によっては、外缶201と内缶202の間隔Gapが不明か、または変更することができないことを考慮して、間隔Gapが可変な模擬体を作り、これを用いて測定装置3を較正し、実際の被検体2を測定することを想定して説明する。
例えば、模擬体に関して、図3に示されるような、温度を10.4℃、周波数を33Hz、外缶201の厚さt1を30mmに固定した状況において、内缶202の厚さt2を25mmに、及び間隔Gapを70mmに設定する。較正時勾配計算部310は、この状態における検出コイル121の出力電圧を測定して振幅比と位相差を計算し、結果を振幅比−位相差平面上に点PA1としてプロットする。更に、模擬体の間隔Gapを90mmに変更して、較正時勾配計算部310が、この状態における検出コイル121の出力電圧を測定して振幅比と位相差を計算し、結果を振幅比−位相差平面上に点PA2としてプロットする。較正時勾配計算部310は、この2点PA1、PA2を結ぶ第1の直線LA1を求め、第1の直線LA1の勾配を計算する。
次に、模擬体を、上記のように点PA1として示した測定結果に対応する測定条件から内缶202の厚さt2のみを35mmに変更した状態とする。較正時勾配計算部310は、この状態における検出コイル121の出力電圧を測定して振幅比と位相差を計算し、結果を振幅比−位相差平面上に点PA3としてプロットする。更に、模擬体の間隔Gapを90mmに変更して、較正時勾配計算部310が、この状態における検出コイル121の出力電圧を測定して振幅比と位相差を計算し、結果を振幅比−位相差平面上に点PA4としてプロットする。較正時勾配計算部310は、この2点PA3、PA4を結ぶ第2の直線LA2を求め、第2の直線LA2の勾配を計算する。
上記の結果を表1に示す。表1においては、第1及び第2の直線LA1、LA2の各々に相当する結果として、これら直線上LA1、LA2での間隔Gapが80mmの場合に相当する点PA5、PA6の各々の振幅比−位相差平面上での座標値、計算された勾配等が記載されている。

0053

較正時勾配計算部310は、内缶202の複数の厚さt2の場合の各々、すなわちt2が25mmの場合と35mmの場合の各々について求められた、2つの直線LA1、LA2の交点P01の座標を計算する。

0054

次に、較正部311は、内缶202の複数の厚さt2ごとの、当該厚さt2と、厚さt2に対して計算された勾配との関係から、連立方程式を構築する。
勾配をxとし、aを勾配にかかる係数、bを定数とすると、厚さt2は、例えばt2=ax+bの一次式で表すことができる。
ここで、係数aと定数bは、較正として、内缶の厚さt2が既知の2点(t21、t22)において、実際に内缶の厚さt2を測定し、その各々における、勾配xと内缶の厚さt2の測定値の組み合わせ(x1、t21)、(x2、t22)を上式に入力した、次の数式1として示される連立方程式を構築して解くことにより、決定することができる。



本式、及び以下の説明に使用する各式において、「*」は、乗算を意味するものとして使用する。
表1において、「勾配」、「t2機械的寸法」の欄の第1行と第2行の各々は、上記の(x1、t21)、(x2、t22)のそれぞれの組み合わせの実際の数値を記載したもので、上記の連立方程式を表形式で表したものである。
較正部311は、上記数式1を解いて、係数aと定数bの値を導出する。求められた係数aと定数bの値は、表1中のa、bと示されたそれぞれの欄に記載されている。連立方程式の解法としては、逆行列式法、クラメール法等既知の方法を使用すれば良く、本実施形態においては、コンピュータ上の計算において、桁落ち心配が少ないとされるクラメール法を用いている。後述の各変形例において、連立方程式は、上記の表1と同様の表形式で表示する。
較正部311は、この解、すなわち内缶202の厚さt2と勾配との関係を表す係数を基に、勾配を変数として係数を適用することにより、厚さt2の測定時に厚さt2を推定する推定式を立式する。より詳細には、導出した係数a、定数bの値を上記の一次式に代入することで、勾配を変数として、次のような推定式を立式する。

0055

実際に内缶202の厚さt2を推定、測定する際には、測定部312は、被検体2上の測定しようとする任意の、厚さt2が未知の部分でセンサ1を稼働させて検出コイル121からの出力電圧を測定時電圧として測定し、測定時電圧の、基準電圧との振幅比と位相差である測定時振幅比と測定時位相差を計算する。
測定部312は、振幅比−位相差平面上で、この測定時振幅比と測定時位相差に対応する測定点をプロットし、この測定点と交点P01を結ぶ直線の勾配を求める。測定部312は、この勾配を上記の推定式に代入することで、当該測定点におけるt2の値を算定する。

0056

図9に測定結果を示す。図9において、実線は温度が10.4℃の場合を、破線は11.4℃の場合を示す。温度が10.4℃の場合には、間隔Gapが70、80、90mmの各々の場合に相当する3本の線がほぼ重なって、間隔Gapの補償が出来ていることがわかる。なお、被検体本体として用いた25、30、35mmの平板は、標準品として溶鉱炉から出たそのままの厚さであるが、28mmと32mmの平板は、各々30mm及び35mmの平板から切削加工により作り出したもので、加工により電磁誘導的物性値が変化したと推定される。しかしながら、変化したなりに間隔Gapの変動は補償されていることは明らかである。
本実施例においては、被検体本体202として平板状の板体で説明したが、曲面状の板体であっても、本発明の効果は変わらない。

0057

次に、図1図9、及び図10を用いて、上記の非破壊検査測定システム10を用いた非破壊検査測定方法を説明する。図10は、非破壊検査測定方法のフローチャートである。
本非破壊検査測定方法は、被検体内に設けられた被検体本体を励磁する励磁コイルと、励磁コイルで被検体本体を励磁したときに被検体本体に生じる磁界変化に応じた電圧を出力する検出コイルと、被検体本体を励磁するため励磁コイルに、正弦波信号、または周波数が互いに異なる複数の正弦波からなる合成信号を印加するとともに、検出コイルから出力される電圧を検出し、被検体本体の寸法を測定する、非破壊検査測定方法であって、被検体本体の寸法が既知で異なる複数の部分に対し、複数の寸法ごとに、異なる複数の測定条件の各々で、検出コイルから出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差を計算し、振幅比と位相差を2軸とする振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、当該直線の勾配を計算し、複数の寸法ごとの、当該寸法と、当該寸法に対して計算された勾配を基にした値との関係から、連立方程式を構築し、その解を基に、寸法の測定時に寸法を推定する、勾配を基にした値を変数とした推定式を立式し、推定式を基に、被検体本体の測定対象となる部分の寸法を推定して測定する。

0058

較正時勾配計算部310は、特定の周波数で、内缶202の既知の第1の厚さt21で、外缶201と内缶202の既知の第1の間隔Gap1において、センサ1を用いた測定により振幅比、位相差を計算し、振幅比を横軸とし、位相差を縦軸とした振幅比−位相差平面上にプロットする。また、較正時勾配計算部310は、外缶201と内缶202の間隔Gapを第1の間隔Gap1と異なる第2の間隔Gap2に変更し、他は同じ条件の下で、センサ1を用いた測定により振幅比、位相差を計算し、振幅比−位相差平面上にプロットする。較正時勾配計算部310は、振幅比−位相差平面上にプロットされたこれら2つの点を結ぶ、第1の直線を計算する。
較正時勾配計算部310はまた、第1の厚さt21とは異なる既知の第2の厚さt22で、外缶201と内缶202の第3の間隔Gap3において、センサ1を用いた測定により振幅比、位相差を計算し、振幅比−位相差平面上にプロットする。また、較正時勾配計算部310は、外缶201と内缶202の間隔Gapを第3の間隔Gap3と異なる第4の間隔Gap4に変更し、他は同じ条件の下で、センサ1を用いた測定により振幅比、位相差を計算し、振幅比−位相差平面上にプロットする。較正時勾配計算部310は、振幅比−位相差平面上にプロットされたこれら2つの点を結ぶ、第2の直線を計算する。
較正時勾配計算部310は、振幅比−位相差平面上で、第1の直線の勾配と、第2の直線の勾配を計算する(ステップS1)。

0059

較正時勾配計算部310は、第1の直線と第2の直線の延長線上の交点P0を求める(ステップS3)。

0060

較正部311は、内缶202の厚さt21、t22と、これらに対応する勾配の値を基に2元連立方程式を構築する(ステップS5)。
較正部311は、これを解いて、推定式を立式する(ステップS7)。

0061

実際に内缶202の厚さt2を推定、測定する際には、測定部312は、被検体2上の測定しようとする任意の、厚さt2が未知の部分でセンサ1を稼働させて検出コイル121からの出力電圧を測定時電圧として測定し、測定時電圧の、基準電圧との振幅比と位相差である測定時振幅比と測定時位相差を計算する。測定部312は、振幅比−位相差平面上に、測定時振幅比と測定時位相差を測定点としてプロットし、この測定点と、第1の直線と第2の直線の延長線上の交点P0を結ぶ測定直線の勾配である測定時勾配を計算する(ステップS9)。
測定部312は、測定時勾配を、較正部311により立式された推定式に代入することで、被検体2上の測定した部分における内缶202の厚さt2を計算、測定する(ステップS11)。

0062

次に、上記の非破壊検査測定システム10及び非破壊検査測定方法の効果について説明する。

0063

本実施形態の非破壊検査測定システム10は、被検体2内に設けられた被検体本体202を励磁する励磁コイル113と、励磁コイル113で被検体本体202を励磁したときに被検体本体202に生じる磁界変化に応じた電圧を出力する検出コイル121と、被検体本体202を励磁するため励磁コイル113に、正弦波信号、または周波数が互いに異なる複数の正弦波からなる合成信号を印加するとともに、検出コイル121から出力される電圧を検出し、被検体本体202の寸法t2を測定する測定装置3と、を備える非破壊検査測定システム10であって、測定装置3は、被検体本体202の寸法t2が既知で異なる複数の部分に対し、複数の寸法t2ごとに、異なる複数の測定条件の各々で、検出コイル121から出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差を計算し、振幅比と位相差を2軸とする振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、当該直線の勾配を計算する較正時勾配計算部310と、複数の寸法t2ごとの、当該寸法t2と、当該寸法t2に対して計算された勾配を基にした値との関係から、連立方程式を構築し、その解を基に、寸法t2の測定時に寸法t2を推定する、勾配を基にした値を変数とした推定式を立式する較正部311と、推定式を基に、被検体本体202の測定対象となる部分の寸法t2を推定して測定する測定部312と、を備えている。
また、本実施形態の非破壊検査測定方法は、被検体2内に設けられた被検体本体202を励磁する励磁コイル113と、励磁コイル113で被検体本体202を励磁したときに被検体本体202に生じる磁界変化に応じた電圧を出力する検出コイル121と、被検体本体202を励磁するため励磁コイル113に、正弦波信号、または周波数が互いに異なる複数の正弦波からなる合成信号を印加するとともに、検出コイル121から出力される電圧を検出し、被検体本体202の寸法t2を測定する、非破壊検査測定方法であって、被検体本体202の寸法t2が既知で異なる複数の部分に対し、複数の寸法t2ごとに、異なる複数の測定条件の各々で、検出コイル121から出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差を計算し、振幅比と位相差を2軸とする振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、当該直線の勾配を計算し、複数の寸法t2ごとの、当該寸法t2と、当該寸法t2に対して計算された勾配を基にした値との関係から、連立方程式を構築し、その解を基に、寸法t2の測定時に寸法t2を推定する、勾配を基にした値を変数とした推定式を立式し、推定式を基に、被検体本体202の測定対象となる部分の寸法t2を推定して測定する。
上記のような構成によれば、被検体本体202の測定対象となる部分の寸法t2を測定する前に、寸法t2が既知で異なる複数の部分に対し、寸法t2ごとに、異なる複数の測定条件の各々で、検出コイル121から出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差を計算し、振幅比と位相差を2軸とする振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、当該直線の勾配を計算する。寸法t2が同じである場合に測定条件を異ならせると、振幅比と位相差は概ね比例関係となるため、各寸法t2に対してこのようにして得られる勾配、すなわち比例関係を直線として示した場合の傾きは、測定条件の影響が抑制された値となっている。
実際に被検体本体202の測定対象となる部分の寸法t2を推定、測定する際には、寸法t2と、当該寸法t2に対して計算された勾配を基にした値との関係から構築された連立方程式を解くことで、推定式を立式し、これを基にして寸法t2が求められる。
したがって、測定条件の影響を低減し、高精度で、被検体2内に設けられた被検体本体202の寸法t2を測定可能である。

0064

また、較正部311は、複数の寸法t2ごとに、当該寸法t2と、当該寸法t2に対して計算された勾配を基にした値との関係を表す、複数元の一次方程式を立式し、これらを連立方程式として解くことにより寸法t2と勾配を基にした値との関係を表す係数を計算し、勾配を基にした値を変数として係数を適用することにより推定式を立式する。
また、測定部312は、被検体本体202の測定対象となる部分に対し、検出コイル121から出力される電圧を測定時電圧として測定し、これと基準電圧との振幅比及び位相差である測定時振幅比及び測定時位相差を計算してこれらに対応する振幅比−位相差平面上での勾配である測定時勾配を計算し、当該測定時勾配を基にした値を推定式の変数に代入して寸法t2を計算、測定する。
また、較正時勾配計算部310は、更に、複数の寸法t2ごとに求められた直線間の交点を計算し、測定部312は、振幅比−位相差平面上での測定時振幅比及び測定時位相差に対応する測定点と交点とを結ぶ直線の勾配を、測定時勾配として計算する。
上記のような構成によれば、上記のような非破壊検査測定システム10を適切に実現可能である。

0065

また、測定条件は、被検体2の外表面201aまたは外表面201aを構成する部材201からの、被検体本体202への距離を含む。
上記のような構成によれば、被検体2の外表面201aまたは外表面201aを構成する部材201からの、被検体本体202への距離Gapの影響を低減し、高精度で、被検体2内に設けられた被検体本体202の寸法t2を測定可能である。

0066

また、被検体本体202は板体であり、寸法t2は板体の厚さt2であり、勾配を基にした値は勾配であり、連立方程式においては、寸法t2と勾配は比例の関係にある。
上記のような構成によれば、被検体本体202が、平板状や窯状に形成された板体である場合に、その厚さt2を、高精度に測定可能である。

0067

[実施形態の第1変形例]
次に、図11を用いて、上記実施形態として示した非破壊検査測定システム10及び非破壊検査測定方法の第1変形例を説明する。図11は、本第1変形例における非破壊検査測定システム40の構成を示す図である。本第1変形例における非破壊検査測定システム40は、上記実施形態の非破壊検査測定システム10とは、測定装置403のコンピュータ405が、被検体2の周辺温度による測定結果への変動を補償する点が異なっている。

0068

電磁誘導の対象となる被検体2は一般的には金属で、渦電流は、その金属の電気抵抗の影響を受ける。一方で、金属の電気抵抗の温度係数は非常に大きく、例えばステンレス鋼SUS304の電気抵抗の温度係数は1.1x10^−3である。したがって、測定値は温度の影響を強く受けるため、温度を考慮すると、測定精度を向上し得る。しかし、被検体本体202は被検体2内に設けられているため、温度を直接検出することは出来ない。
本変形例においては、一般的な金属においては、高い周波数の振幅は渦電流の影響を強く受ける場合が多いことに着目し、高い周波数の振幅比を温度の指標として較正に取り入れ、較正、測定することにより温度補償を行う。
概念的には、上記実施形態の構成に加え、上記実施形態において較正時勾配計算部310で使用した周波数とは異なる、本変形例においてはより高い周波数を使用して、温度が異なる状態で測定し、間隔Gapの変動による振幅比−位相差平面上での勾配と振幅比または位相差を連立方程式中に取り込んで較正し、温度補償を行う。

0069

より具体的には、本変形例における較正時勾配計算部410は、次のような処理を実行する。ここで、上記実施形態においては、例えば表1として示したように、各測定は同一の温度条件の下で、かつ同一周波数を検出コイル121に印加することで行われていた。この温度及び周波数を、第1の温度及び第1の周波数とする。
較正時勾配計算部410は、まず上記実施形態と同様に、上記表1に相当する測定を行う。すなわち、較正時勾配計算部410は、第1の温度及び第1の周波数の条件下で、内缶202の厚さt2が既知で異なる複数の部分に対し、複数の厚さt2ごとに、既知で異なる複数の間隔Gapの各々で、検出コイル121から出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差を計算し、振幅比と位相差を2軸とする振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ第1及び第2の直線を求め、当該第1及び第2の直線の勾配を、2つの第1温度時勾配として計算する。
次に、較正時勾配計算部410は、第1の温度とは異なる第2の温度の下で、第1の周波数の信号を検出コイル121に印加して、少なくとも1種類の厚さt2に対し、既知で異なる複数の間隔Gapの各々で、検出コイル121から出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比及び位相差を計算し、振幅比−位相差平面上での少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、当該直線の勾配を、第2温度時勾配として計算する。
更に、較正時勾配計算部410は、第1の温度及び第2の温度の各々の下で、第1の周波数とは異なる、本変形例においてはより高い第2の周波数の信号を検出コイル121に印加して、検出コイル121から出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比である異周波数振幅比を計算する。
較正部411は、複数の厚さt2及び温度ごとの、厚さt2と、第1温度時勾配、第2温度時勾配、及び異周波数振幅比の関係から連立方程式を構築し、その解を基に推定式を立式する。
測定部412は、推定式を基に、内缶202の測定対象となる部分の厚さt2を推定して測定する。

0070

以下、上記のような較正時勾配計算部410、較正部411、及び測定部412のより詳細な挙動を、非破壊検査測定システム40の実施例とともに説明する。

0071

[実施例2]
上記実施形態において示した図9に示されるように、温度を11.4℃とした場合は、温度を10.4℃とした場合とは変化して異なる値を示しており、その変化は平行移動的である。したがって、この平行移動を反映するような、何らかの温度補償を行う必要がある。温度補償として、熱電対等の温度検出素子を設けて、これによる測定結果を基に行う方法もあるが、温度検出素子を外缶201には設置できても、内缶202には設置は不可能な場合の方が多く、一般的には困難である。このため、可能であれば、センサ1により取得したデータを基に補償するのが望ましい。そこで着目したのが、高い周波数領域でのデータである。
図8に示されるように、周波数を87Hzとした場合では、温度によって位相はあまり変化しないのに比べ、振幅比の変化は大きい。これは、周波数が高くなると渦電流が大きくなり、渦電流は被検体の電気抵抗の影響を受けるので、電気抵抗の温度変化を大きく受けるためである。そこで、周波数が87Hzの場合の測定結果を、一種温度計として連立方程式中に取り込む。

0072

具体的には、較正時勾配計算部410は、まず、温度を第1の温度、例えば10.4℃とし、周波数を第1の周波数、例えば33Hzとした状態で、内缶202の厚さt2を変えて、上記実施形態において表1として示したような測定を行い、表1の勾配の欄に記載された、複数の直線LA1、LA2の各々に対応する勾配を、第1温度時勾配として計算する。

0073

次に、較正時勾配計算部410は、温度を第2の温度である11.4℃と変え、周波数は第1の周波数から変えずに、測定を行う。ここでは、外缶201の厚さt1を30mmに固定し、内缶202の厚さt2を35mmと固定し、間隔Gapを70、80、90mmと変化させた。これにより、図4に点PB1、PB2、PB3として示される測定結果が得られる。この中の、例えば点PB1と点PB3を結ぶ第3の直線LB3を求め、第3の直線LB3の勾配を、第2温度時勾配として計算する。
上記の結果を表2に示す。表2においては、上記実施形態における第1及び第2の直線LA1、LA2の各々と、及び本変形例における第3の直線LB3に相当する結果として、これら直線上LA1、LA2、LB3での間隔Gapが80mmの場合に相当する点PA5、PA6、PB2の各々の振幅比−位相差平面上での座標値、計算された勾配等が記載されている。

0074

更に、較正時勾配計算部410は、表2において「A87Hz_35_80」として示されるような、各点PA5、PA6、PB2の各々の測定条件において、内缶202の厚さt2を35mmに固定し、間隔Gapを80mmとし、周波数を、第1の周波数の33Hzよりも高い、第2の周波数である87Hzに変更した場合の測定を行い、各々の場合の振幅比である異周波数振幅比を計算する。この測定条件下における測定結果は、上記実施形態において示した図8の、周波数を87Hzとした場合に相当する。点PA5と点PA6においては、測定条件の差異は内缶202の厚さt2のみであり、第2の周波数を用いた測定においてはこの厚さt2を35mmに固定としたため、図8においては、これらは同じ点PB4に相当し、結果として表2中には同じ値が格納されている。点PB2は、図8においては点PB5に相当する。

0075

次に、較正部411は、内缶202の複数の厚さt2及び温度ごとの、当該厚さt2と、厚さt2に対して計算された勾配と、及び異周波数振幅比との関係から、連立方程式を構築する。
勾配をxとし、異周波数振幅比をyとし、aを勾配にかかる係数、bを異周波数振幅比にかかる係数、cを定数とすると、厚さt2は、例えばt2=ax+by+cの一次式で表すことができる。この式に対し、較正部411は、上記実施形態と同様な要領で、表2中の各値を代入して係数a、b、定数cに関する3元連立方程式を構築して解くことで、表2中のa、b、cとして示されたそれぞれの欄に記載された値を導出する。
較正部411は、この解、すなわち内缶202の厚さt2と勾配、及び異周波数振幅比との関係を表す係数を基に、勾配及び異周波数振幅比を変数として係数を適用することにより、厚さt2の測定時に厚さt2を推定する推定式を立式する。より詳細には、導出した係数a、b、定数cの値を上記の一次式に代入することで、勾配及び異周波数振幅比を変数として、次のような推定式を立式する。

0076

実際に内缶202の厚さt2を推定、測定する際には、測定部412は、被検体2上の測定しようとする任意の部分でセンサ1を稼働させて検出コイル121からの出力電圧を測定時電圧として測定し、測定時電圧の、基準電圧との振幅比と位相差である測定時振幅比と測定時位相差を計算する。
測定部412は、測定時の温度に対応する振幅比−位相差平面上で、この測定時振幅比と測定時位相差に対応する点をプロットし、この点と交点を結ぶ直線の勾配を求める。また、測定部412は、測定時の温度に対応する異周波数振幅比の値を、コンピュータ405に格納されたテーブルなどから取得する。測定部412は、この勾配及び異周波数振幅比を上記の推定式に代入することで、当該測定点におけるt2値を算定する。

0077

図12に測定結果を示す。温度が11.4℃、間隔Gapが90mmの場合においては、内缶202の厚さt2の測定に若干の誤差があるが、他の条件においては十分に精度の高い結果が導出されている。
表3は、導出された係数及び定数a、b、cを用いて測定値を計算した結果を表にしたものである。表4は、2点を結ぶ直線2本と、その2直線の交点P01(x0,y0)を求める連立方程式類で、表計算ソフトウェア行列式を求める関数を用い、クラメール法で計算している。測定値をこのマクロに入力すれば自動的にx0、y0の値が計算されるように構成されている。

0078

本第1変形例が、既に説明した実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
特に本変形例においては、較正時勾配計算部410は、勾配を計算する際に励磁コイル113に印加した正弦波信号または合成信号の周波数よりも高い周波数を励磁コイルに印加し、検出コイル121から出力される電圧を測定して、これと、基準電圧との振幅比である異周波数振幅比を計算し、較正部411は、複数の寸法t2及び温度ごとの、当該寸法t2と、当該寸法t2に対して計算された勾配を基にした値と、及び異周波数振幅比との関係から連立方程式を構築し、その解を基に、推定式を立式する。
上記のような構成によれば、較正時勾配計算部410において勾配を計算する際に励磁コイル113に印加した信号の周波数よりも高い周波数を励磁コイル113に印加し、検出コイル121から出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比である異周波数振幅比を計算して、これを連立方程式に反映している。高い周波数の振幅は、渦電流の影響を強く受けるため、高い周波数の振幅比が反映された連立方程式を構築し解くことにより、温度の影響を適切に考慮した推定式を立式できる。
したがって、温度の影響を低減し、高精度で、被検体2内に設けられた被検体本体202の寸法を測定可能である。

0079

[実施形態の第2変形例]
次に、図13図14を用いて、上記実施形態として示した非破壊検査測定システム10及び非破壊検査測定方法の第2変形例を説明する。図13は、本第2変形例における非破壊検査測定システム50の構成を示す図である。図14は、本第2変形例における非破壊検査測定システム50の、センサ1Cの模式的な平面図である。本第2変形例における非破壊検査測定システム50は、上記実施形態の非破壊検査測定システム10とは、被検体が異なっており、これに伴い、コンピュータ505における処理内容も異なっている。
被検体2Cの中に埋設された、棒状のもの、特に丸棒状の被検体本体202Cの直径を、センサ1Cと被検体本体2C間の距離、すなわちリフトオフ(LOと略称する)に影響されず正確に測定したいという要求は大きい。その一例として、鉄筋コンクリート中の鉄筋の直径を、コンクリートに埋め込まれた深さ、すなわち業界用語で言う「かぶり」の量に関係なく正確に測定したいという要求がある。
本変形例においては、このような要求に対するものであり、被検体本体202Cは断面円状の棒体である。検査対象となる被検体2Cは、特に本変形例においては、例えば鉄筋コンクリートにより形成された柱や梁である。被検体2Cにおいては、コンクリート201C中の、外表面201aからLOの間隔を隔てた位置に鉄筋202Cが埋設されている。図13においては、鉄筋202Cは紙面に直交する方向に延在している。また、LOの基準は円状断面の中心として以下測定している。鉄筋202Cの直径Dは、この断面の直径としている。

0080

センサ1Cの構成は、図14に示されるように4つの励磁器11により構成されている点のみが、上記実施形態と異なっている。したがって、センサ1Cに関する詳細な説明は省略する。

0081

本変形例においては、上記のように被検体本体が上記実施形態とは異なるため、測定装置503の、特にコンピュータ505に設けられた較正時勾配計算部510、較正部511、及び測定部512の挙動が、上記実施形態とは異なっている。
本変形例においては、非破壊検査測定システム50は最終的には、鉄筋202Cの直径Dを測定する。この、鉄筋202Cの直径を測定するに際し、測定装置503は、コンピュータ505内に格納された基準となる所定の大きさの円の直径と、鉄筋202Cの直径の差分の二乗を、寸法として測定、計算する。この寸法の値を基に、コンピュータ505は鉄筋202Cの直径Dを計算する。
概念的に説明すると、本変形例においては、太さの異なる鉄筋202Cの振幅比、位相差を、センサ1Cと鉄筋202C間の距離を変化させて測定し、振幅比−位相差平面上で測定点間を結ぶ直線の勾配が、太さの差分の二乗に比例するものとして較正及び測定を行う。

0082

以下、上記のような較正時勾配計算部510、較正部511、及び測定部512のより詳細な挙動を、非破壊検査測定システム50の実施例とともに説明する。

0083

[実施例3]
センサ1Cとしては、筐体が幅120mm、長さ440mm,高さ130mmとなるように形成した。
一般的な鉄筋コンクリートに使用される鉄筋は、D9、D13等の異形鉄筋で、コンクリートとの密着性を高めるため表面に節状凹凸があり、精密な比較測定には適さない。 そこで、本実施例においては、鉄筋コンクリート用の丸鋼鉄筋を使用した。しかし、同じ規格の丸鋼鉄筋でも、電気抵抗、比透磁率等、電磁誘導的物性値に個体差があるので、予備測定を実施し、標準的なものを選定した。また、直径が9mmΦ、13mmΦの鉄筋に関しては規格品を使用したが、11mmΦに関しては規格品がないので、直径が13mmΦの同一個体の長尺鉄筋から、13mmΦ、48.3cmのものと、旋盤削り出しで11mmΦ、48.3cmのものとを作成し、個体差をなくすよう配慮した。

0084

図15は、測定結果の一例で、長さLが48.3cmと同じで、直径Dが9、11、13mmの3種類の鉄筋202Cを、36.5mm、56.5mmの2種類のLOに設けた、合計6種類の場合において、周波数を6Hzとして検出コイル121の出力電圧を測定し、振幅比と位相差を計算した結果を、振幅比−位相差平面にプロットしたものである。
周波数を6Hzと低い周波数に設定した理由は、鋼材は磁性を有しており、磁性がある場合、周波数が高くなると大きな渦電流を生じ、それによる反磁場のため、磁力線が被検体内に浸透しにくくなるためである。

0085

直径Dが9mmΦ、11mmΦ、13mmΦの場合の各々において、LOが36.5mmの点と56.5mmの点を結ぶ直線を、それぞれ直線LC1、LC2、LC3とする。これら直線LC1、LC2、LC3の各々の勾配に着目すると、直径Dが11mmΦの鉄筋202Cは、直径の値としては、11mmΦは9mmΦと13mmΦの中央の値であるにもかかわらず、勾配としてはこれらの中央にはならず、直径Dが13mmΦの場合の勾配に近い傾向を示している。
図16図15の右下部分を拡大したものである。上記実施形態では、例えば図3を用いて示したように、各直線は1つの交点で交差したが、本変形例においては、上記の3本の直線LC1、LC2、LC3は、1点では交差しない。直線LC2と直線LC3の各々の外挿線の交点は、直線LC3の外挿線上にあり、より直径Dが小さい場合は、この直線LC3の外挿線上を、直線LC1の外挿線との交点に向かって移動するであろうことが推定される。これらの実験事実より、被検体本体202Cが断面円形の棒体である場合には、直径Dの変化は、被検体本体202Cから被検体2Cの外表面201aへ向かうLO方向の変化分だけでなく、LO方向及び被検体本体202Cの延伸方向に直交する、図13における左右方向の変化も、勾配に影響を与えることがわかる。すなわち、勾配は、通常容易に考えられる直径の二乗差、即ち断面積差ではなく、直径の差分の二乗に比例して変化することを見出した。
これは、次のような事象に基づくものと考えられる。すなわち、励磁コイル113により被検体本体202Cが励磁された際に、渦電流が生じる。図17に示されるように、この渦電流による反磁界202bにより、磁束が被検体本体202Cの内部に侵入しにくくなる。このため、磁束202cが被検体本体202Cの表層部を迂回して通過する。したがって、鉄筋202Cの断面の断面積全体、即ち直径の二乗が関係するのではなく、表層部の差、即ち、表層部の差=(表層部の厚差×表層部の長さ差)でいずれも直径の差分が関係しており、直径の差分の二乗が関係する実験事実となったものと解釈できる。

0086

本変形例においては、寸法の定義が上記実施形態とは異なるのみで、較正時勾配計算部510、較正部511、及び測定部512の実質的な処理内容は、上記実施形態と変わらない。
ここでは、基準となる所定の直径Dの大きさを13mmΦとする。また、測定対象となる鉄筋202Cの直径Dの、基準となる直径との差分をδDであらわす。例えば、測定対象となる鉄筋202Cの直径Dが13mmΦのときはδD=0となり、直径Dが9mmΦのときはδD=4となる。また、δDの二乗を、フォントの関係から(δD)^2と表記する。
較正時勾配計算部510は、例えば上記のような直線LC3と直線LC1の各々に対し、勾配を計算する。直線LC3と直線LC1でのLOが36.5mmの場合に相当する点PC2とPC1の各々の、直径D、較正時勾配計算部510により計算された振幅比、位相差、勾配、及び基準となる直径との差分の二乗(δD)^2は、次の表5のようになる。基準となる直径との差分の二乗(δD)^2が負の数であるのは、基準となる直径より鉄筋202Cの直径が小さいことを示している。

0087

較正部511は、上記の表5を基に、連立方程式を構築する。
勾配をxとし、aを勾配にかかる係数、bを定数とすると、鉄筋202Cの直径と基準となる直径との差分の二乗(δD)^2は、例えば(δD)^2=ax+bの一次式で表すことができる。この式に対し、較正部511は、上記実施形態と同様な要領で、表5中の各値を代入して係数a、定数bに関する2元連立方程式を構築して解くことで、表5中のa、bとして示されたそれぞれの欄に記載された値を導出する。
較正部511は、この解、すなわち鉄筋202Cの直径と基準となる直径との差分の二乗(δD)^2と勾配との関係を表す係数を基に、勾配を変数として係数を適用することにより、鉄筋202Cの直径と基準となる直径との差分の二乗(δD)^2の測定時にこれを推定する推定式を立式する。より詳細には、導出した係数a、定数bの値を上記の一次式に代入することで、勾配を変数として、次のような推定式を立式する。

0088

実際に鉄筋202Cの直径Dを推定、測定する際には、測定部512は、被検体2C上の測定しようとする任意の部分でセンサ1Cを稼働させて検出コイル121からの出力電圧を測定時電圧として測定し、測定時電圧の、基準電圧との振幅比と位相差である測定時振幅比と測定時位相差を計算する。
測定部512は、振幅比−位相差平面上で、この測定時振幅比と測定時位相差に対応する点をプロットし、この点と交点を結ぶ直線の勾配を求める。測定部512は、この勾配を上記の推定式に代入することで、当該測定点における、鉄筋202Cの直径と基準となる直径との差分の二乗(δD)^2を算定する。測定部512は、この鉄筋202Cの直径と基準となる直径との差分の二乗(δD)^2の値を基に、この値の平方根を計算して基準となる直径の値に加算または減算することにより、直径Dを計算する。

0089

図18図19は測定結果を示す。この場合、センサ1Cは図13に示されるように、紙面左右方向にスキャンして測定しており、図18図19においては、鉄筋202Cの中心に相当する位置がX=0として表示されている。図18はLOが36.5mmの場合で、直径Dが11mmΦの鉄筋は(δD)^2がほぼ−4と測定されている。したがって、δDは−2であり、直径Dは13−2=11(mm)となり、11mmΦの鉄筋202Cの直径Dが正確に測定されている。図19は、LOが56.5mmの場合である。LOが変わっても、11mmΦの鉄筋202Cの場合に関し、直径Dが正確に測定されている。

0090

本第2変形例が、既に説明した実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
特に、本変形例においては、被検体本体202Cは断面円形の棒体であり、寸法は、基準となる大きさの円の直径と、棒体の断面の直径との差分の二乗であり、連立方程式においては、寸法と勾配を基にした値は比例の関係にある。
被検体本体202Cが断面円形の棒体である場合には、励磁コイル113により生じた磁力線が棒体内に侵入する際に、侵入する磁束が形成する磁界の方向とは逆向きの磁界を形成するように渦電流が流れるため、磁力線は渦電流により打ち消されて棒体内部へは入らず、棒体の表面近くを流れて侵入箇所とは反対側へと抜けていく。このため、断面円形の棒体の場合には、勾配、すなわち振幅比と位相差の比例関係を直線として示した場合の傾きは、棒体の直径ではなく、何らかの基準となる大きさの円を規定したときに、この円の直径と、測定対象となる棒体の断面の直径との差分の二乗に比例する関係となる。
したがって、上記のような構成によれば、被検体本体202Cが断面円形の棒体である場合に、その直径を、高精度に測定可能である。

0091

[実施形態の第3変形例]
次に、図20を用いて、上記実施形態として示した非破壊検査測定システム10及び非破壊検査測定方法の第3変形例を説明する。本変形例は、第2変形例の更なる変形例である。図20は、本第3変形例における非破壊検査測定システム60の構成を示す図である。本第3変形例における非破壊検査測定システム60は、上記第2変形例の非破壊検査測定システム50とは、被検体本体202Cの長さと、上記第2変形例において計算されて表5に記載された勾配を基に、2次勾配を計算し、これを基に連立方程式及び推定式が立式される点が異なっている。
上記第2変形例と示したような棒状の被検体本体202Cの直径を実際に測定する際には、被検体本体202Cの長さが測定精度に影響する。より詳細には、被検体本体202Cが一定以上の長さになれば、長さ方向の影響は飽和して一定になるが、長さが短くなると影響が表れる。本変形例の非破壊検査測定システム60においては、この長さの影響が低減される。

0092

図21は、第2変形例において直線LC1、LC2、LC3ごとに計算された勾配と、鉄筋202Cの長さの関係を示したグラフである。図15図16においては、鉄筋202Cの長さを48.3cmとしたため、図15図16における直線LC1は点PD1に、直線LC2は点PD2に、及び直線LC3は点PD3に、それぞれ対応する。直線LD1、LD2、LD3は、それぞれ、直径Dが9mmΦ、11mmΦ、及び13mmΦの鉄筋202Cの長さを変えた場合の、勾配の変化を示すものである。
鉄筋202Cの長さが70cm以上になると、勾配は飽和してほぼ一定になるが、長さが70cmより小さい場合は、勾配が減少し、図21における各直線LD1、LD2、LD3の外挿線は、1点P0に集中する。
このP0の横軸座標Lは−9.2程度となっている。横軸は鉄筋202Cの長さであるため負値とはなり得ず、したがってこれはこの付近の長さでの近似値であり、長さがこの付近より小さくなれば、このP0は、L=0付近になるものと推定される。そこで、較正時勾配計算部510の計算した勾配の値を基に、図21として示されたような長さ−勾配平面上で、長さLに対する勾配の勾配、すなわちδ勾配/δLを2次勾配(勾配を基にした値)として計算する。
本変形例における測定装置603のコンピュータ605は、較正時2次勾配計算部613を備えており、較正時2次勾配計算部613は上記のように2次勾配を計算する。本変形例における較正部611は、これを基に連立方程式を構築する。
表6は、第3変形例の直線LC3と直線LC1に対する2次勾配を、表5に追記したものである。

0093

較正部611は、上記の表6を基に、連立方程式を構築する。
2次勾配をxとし、aを2次勾配にかかる係数、bを定数とすると、鉄筋202Cの直径と基準となる直径との差分の二乗(δD)^2は、例えば(δD)^2=ax+bの一次式で表すことができる。この式に対し、較正部611は、上記実施形態と同様な要領で、表6中の各値を代入して係数a、定数bに関する2元連立方程式を構築して解くことで、表6中のa、bとして示されたそれぞれの欄に記載された値を導出する。
較正部611は、この解、すなわち鉄筋202Cの直径と基準となる直径との差分の二乗(δD)^2と2次勾配との関係を表す係数を基に、2次勾配を変数として係数を適用することにより、鉄筋202Cの直径と基準となる直径との差分の二乗(δD)^2の測定時にこれを推定する推定式を立式する。より詳細には、導出した係数a、定数bの値を上記の一次式に代入することで、2次勾配を変数として、次のような推定式を立式する。

0094

実際に鉄筋202Cの直径Dを推定、測定する際には、測定部612は、被検体2C上の測定しようとする任意の部分でセンサ1Cを稼働させて検出コイル121からの出力電圧を測定時電圧として測定し、測定時電圧の、基準電圧との振幅比と位相差である測定時振幅比と測定時位相差を計算する。
測定部612は、振幅比−位相差平面上で、この測定時振幅比と測定時位相差に対応する点をプロットし、この点と交点を結ぶ直線の勾配を求め、これを基に更に2次勾配を計算する。測定部612は、この2次勾配を上記の推定式に代入することで、当該測定点における、鉄筋202Cの直径と基準となる直径との差分の二乗(δD)^2を算定する。測定部612は、この、鉄筋202Cの直径と基準となる直径との差分の二乗(δD)^2の値を基に、この値の平方根を計算して基準となる直径の値に加算または減算することにより、直径Dを計算する。

0095

表7は、結果をより詳細に示した表であり、図22はこれをグラフにしたものである。
表7、図22に示されるように、LOが36.5mmから56.5mmに変化しても、また鉄筋202Cの長さが48.3cmから83cmに変化してもそれらの影響を受けず、11mmΦの鉄筋202Cの直径が、正確に10.91mmとして測定された。

0096

本第3変形例が、既に説明した実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
特に本変形例においては、被検体本体202Cの寸法が既知で異なる複数の部分に対し、複数の寸法ごとに、棒体の長さと、較正時勾配計算部510により計算された勾配を2軸とする長さ−勾配平面上での、少なくとも2つの測定結果に対応する点間を結ぶ直線を求め、勾配を基にした値として当該直線の勾配である2次勾配を計算する較正時2次勾配計算部613を備え、較正部611は、複数の寸法ごとの、当該寸法と、当該寸法に対して計算された2次勾配との関係から、連立方程式を構築し、その解を基に推定式を立式する。
被検体本体202Cが棒体であり、なおかつ棒体の長さが短い場合においては、寸法は、第2変形例のように計算された勾配よりも、棒体の長さと勾配を2軸とする長さ−勾配平面上での、少なくとも2つの、長さと勾配の対応関係に対応する、測定結果に対応する点間を結ぶ直線の勾配である2次勾配に比例する関係となる。
上記のような構成によれば、連立方程式は、複数の寸法ごとの、当該寸法と、当該寸法に対して計算された2次勾配との関係から構築されているため、推定式には寸法と2次勾配の関係が反映される。
したがって、被検体本体202Cが棒体であり、なおかつ棒体の長さが短い場合に、測定条件の影響を低減し、高精度で、被検体2C内に設けられた被検体本体202Cの寸法を測定可能である。

0097

なお、本発明の非破壊検査測定システム及び非破壊検査測定方法は、図面を参照して説明した上述の実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。

0098

例えば、上記第2及び第3変形例においては、被検体本体の断面は円形であったが、他の形状、例えば四角形であってもよい。すなわち、被検体本体は断面四角形の棒体であってよい。
この場合には、測定対象となる寸法は、基準となる大きさの四角形の対角線の長さと、棒体の断面の対角線の長さとの差分の二乗とすると、第2及び第3変形例における「直径」を「対角線の長さ」とすることで、この場合に対応した非破壊検査測定システムを構築することが可能である。

0099

また、上記第1変形例においては、較正時勾配計算部410は、勾配を計算する際に励磁コイル113に印加した正弦波信号または合成信号の周波数よりも高い周波数を励磁コイルに印加し、検出コイル121から出力される電圧を測定してこれと基準電圧との振幅比である異周波数振幅比を計算し、較正部411は、複数の寸法t2及び温度ごとの、当該寸法t2と、当該寸法t2に対して計算された勾配を基にした値と、及び異周波数振幅比との関係から連立方程式を構築し、その解を基に、推定式を立式した。これは、一般的な金属においては、周波数が高い場合において、温度による変動は、位相差よりも振幅比の方が大きいことに起因したものである。
しかし、例えば、電気抵抗の高い合金等により被検体本体が形成されている場合や、被検体本体の厚さが薄い場合には、周波数が低い場合において、温度による変動は、振幅比よりも位相差の方が大きいこともある。このため、温度の指標として、位相差を用いるようにしてもよい。
すなわち、較正時勾配計算部は、勾配を計算する際に励磁コイルに印加した正弦波信号または合成信号の周波数とは異なる、より詳細には当該周波数よりも低い周波数を励磁コイルに印加し、検出コイルから出力される電圧を測定して、これと、基準電圧との位相差である異周波数位相差を計算し、較正部は、複数の寸法及び温度ごとの、当該寸法と、当該寸法に対して計算された勾配を基にした値と、及び異周波数位相差との関係から連立方程式を構築し、その解を基に、推定式を立式してもよい。
上記のような構成によれば、較正時勾配計算部において勾配を計算する際に励磁コイルに印加した信号の周波数とは異なる、より詳細には当該周波数よりも低い周波数を励磁コイルに印加し、検出コイルから出力される電圧を測定してこれと基準電圧との位相差である異周波数位相差を計算して、これを連立方程式に反映している。周波数が異なると、その位相差は、渦電流の影響を異なるように受けるため、異なる周波数の位相差が反映された連立方程式を構築し解くことにより、温度の影響を適切に考慮した推定式を立式できる。
したがって、温度の影響を低減し、高精度で、被検体内に設けられた被検体本体の寸法を測定可能である。

0100

これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態及び各変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。

0101

10、40、50、60非破壊検査測定システム
1、1Cセンサ
112フィードバックコイル
113励磁コイル
121検出コイル
3、403、503、603測定装置
305、405、505、605コンピュータ
310、410、510較正時勾配計算部
311、411、511、611 較正部
312、412、512、612測定部
613 較正時2次勾配計算部
2、2C 被検体
201外缶
201Cコンクリート
201a外表面
202 内缶(被検体本体)
202C鉄筋(被検体本体)
Gap 被検体からの被検体本体への距離

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