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技術 立体造形用粉末、粉末入り容器、立体造形物の製造方法、立体造形物の製造装置、及び立体造形プログラム

出願人 株式会社リコー
発明者 大谷直生
出願日 2019年3月15日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-048824
公開日 2020年9月17日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-147834
状態 未査定
技術分野 プラスチック等のその他の成形、複合成形(変更なし) 粉末冶金 材料からの成形品の製造
主要キーワード 断面SEM写真 焼結方式 埋没状態 カウンターローラー 表面保護処理 余剰粉末 筒状構造体 断熱性層
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

焼結後の立体造形物における空隙や組成ムラの発生を抑制できる立体造形用粉末の提供。

解決手段

芯材と、焼結助剤とを含み、前記焼結助剤は、該焼結助剤の少なくとも一部が前記芯材に埋没した状態である立体造形用粉末、前記芯材は難焼結材料であることが好ましい。

概要

背景

粉末積層による三次元造形方式(以下、「粉末積層造形方式」と称することがある)としては、レーザー焼結方式(SLS)、電子ビーム焼結方式(EBM)、バインダージェット方式(BJ)などが挙げられる。

前記バインダージェット方式は、粉末として石膏を用い、インクジェットヘッドからバインダーインク吐出し、石膏粉凝固させることで造形する技術である。また、粉末として砂を用いて、バインダー樹脂をインクジェットヘッドから吐出することで、鋳型などを形成する技術である。更に、粉末として金属やセラミックガラスを用いるものなどもある。金属やセラミックについては、バインダーによって粉末を結着した後、加熱して焼結することで、最終造形物を形成する。また、加熱しても焼結が進み難い難焼結材料を造形する際には、焼結を促進する焼結助剤を添加することが知られている。

例えば、三次元造形向けに収縮が少なく高品質焼結体を形成する目的で,コーティング膜中に細粒状添加物を添加した造形用粉末が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

概要

焼結後の立体造形物における空隙や組成ムラの発生を抑制できる立体造形用粉末の提供。芯材と、焼結助剤とを含み、前記焼結助剤は、該焼結助剤の少なくとも一部が前記芯材に埋没した状態である立体造形用粉末、前記芯材は難焼結材料であることが好ましい。なし

目的

本発明は、焼結後の立体造形物における空隙や組成ムラの発生を抑制できる立体造形用粉末を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

芯材と、焼結助剤とを含み、前記焼結助剤は、該焼結助剤の少なくとも一部が前記芯材に埋没した状態であることを特徴とする立体造形用粉末

請求項2

前記芯材は難焼結材料である請求項1に記載の立体造形用粉末。

請求項3

前記芯材は樹脂によって被覆されている請求項1又は2に記載の立体造形用粉末。

請求項4

前記焼結助剤が前記芯材と共に樹脂によって被覆されている請求項3に記載の立体造形用粉末。

請求項5

前記焼結助剤は、前記芯材表面から前記焼結助剤の体積平均粒径の10%以上が埋没した状態である請求項1から4のいずれかに記載の立体造形用粉末。

請求項6

前記焼結助剤の構成元素はすべて前記芯材の構成元素に含まれる請求項1から5のいずれかに記載の立体造形用粉末。

請求項7

焼結時に液相と固相が存在し、前記液相から前記固相への溶解度よりも、前記固相から前記液相への溶解度の方が高い請求項1から6のいずれかに記載の立体造形用粉末。

請求項8

請求項1から7のいずれかに記載の立体造形用粉末を用いて粉末層を形成する粉末層形成工程と、前記立体造形用粉末における芯材を被覆する樹脂を溶解可能な液体を前記粉末層の造形領域に付与して固化する粉末層固化工程と、前記粉末層形成工程と前記粉末層固化工程を繰り返し、焼結前駆体を作製する焼結前駆体作製工程と、前記焼結前駆体を焼結する焼結工程と、を含むことを特徴とする立体造形物の製造方法。

請求項9

請求項1から7のいずれかに記載の立体造形用粉末を容器中に充填してなる粉末入り容器。

請求項10

請求項1から7のいずれかに記載の立体造形用粉末を用いて粉末層を形成する粉末層形成手段と、前記立体造形用粉末における芯材を被覆する樹脂を溶解可能な液体を前記粉末層の造形領域に付与して固化する粉末層固化手段と、前記粉末層の固化物を積層してなる焼結前駆体を作製する焼結前駆体作製手段と、前記焼結前駆体を焼結する焼結手段と、を有することを特徴とする立体造形物の製造装置

請求項11

芯材と、焼結助剤とを含み、前記焼結助剤は、該焼結助剤の少なくとも一部が前記芯材に埋没した状態である立体造形用粉末を用いて粉末層を形成し、前記立体造形用粉末における芯材を被覆する樹脂を溶解可能な液体を前記粉末層の造形領域に付与して固化し、前記粉末層の形成と前記粉末層の固化を繰り返して、焼結前駆体を作製し、前記焼結前駆体を焼結する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする立体造形プログラム

技術分野

0001

本発明は、立体造形用粉末粉末入り容器立体造形物の製造方法、立体造形物の製造装置、及び立体造形プログラムに関する。

背景技術

0002

粉末積層による三次元造形方式(以下、「粉末積層造形方式」と称することがある)としては、レーザー焼結方式(SLS)、電子ビーム焼結方式(EBM)、バインダージェット方式(BJ)などが挙げられる。

0003

前記バインダージェット方式は、粉末として石膏を用い、インクジェットヘッドからバインダーインク吐出し、石膏粉凝固させることで造形する技術である。また、粉末として砂を用いて、バインダー樹脂をインクジェットヘッドから吐出することで、鋳型などを形成する技術である。更に、粉末として金属やセラミックガラスを用いるものなどもある。金属やセラミックについては、バインダーによって粉末を結着した後、加熱して焼結することで、最終造形物を形成する。また、加熱しても焼結が進み難い難焼結材料を造形する際には、焼結を促進する焼結助剤を添加することが知られている。

0004

例えば、三次元造形向けに収縮が少なく高品質焼結体を形成する目的で,コーティング膜中に細粒状添加物を添加した造形用粉末が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、焼結後の立体造形物における空隙や組成ムラの発生を抑制できる立体造形用粉末を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形用粉末は、芯材と、焼結助剤とを含み、前記焼結助剤は、該焼結助剤の少なくとも一部が前記芯材に埋没した状態である。

発明の効果

0007

本発明によると、焼結後の立体造形物における空隙や組成ムラの発生を抑制できる立体造形用粉末を提供することができる。

図面の簡単な説明

0008

図1は、第1の実施形態に係る立体造形用粉末の一例を示す概略図である。
図2Aは、第1の実施形態に係る立体造形用粉末を用いた立体造形物の製造方法を示し、焼結前駆体グリーン体)形成工程を示す概略図である。
図2Bは、第1の実施形態に係る立体造形用粉末を用いた立体造形物の製造方法を示し、焼結前駆体(グリーン体)を脱脂する脱脂工程を示す概略図である。
図2Cは、第1の実施形態に係る立体造形用粉末を用いた立体造形物の製造方法を示し、高温時に焼結助剤が液相を形成する液相形成工程を示す概略図である。
図2Dは、第1の実施形態に係る立体造形用粉末を用いた立体造形物の製造方法を示し、焼結完了により焼結体を形成する焼結体形成工程を示す概略図である。
図3は、第2の実施形態に係る立体造形用粉末の一例を示す概略図である。
図4は、第3の実施形態に係る立体造形用粉末の一例を示す概略図である。
図5は、第4の実施形態に係る立体造形用粉末の一例を示す概略図である。
図6は、第5の実施形態に係る立体造形用粉末の一例を示す概略図である。
図7Aは、第5の実施形態に係る立体造形用粉末を用いた立体造形物の製造方法を示し、焼結前駆体(グリーン体)形成工程を示す概略図である。
図7Bは、第5の実施形態に係る立体造形用粉末を用いた立体造形物の製造方法を示し、焼結前駆体(グリーン体)を脱脂する脱脂工程を示す概略図である。
図7Cは、第5の実施形態に係る立体造形用粉末を用いた立体造形物の製造方法を示し、高温時に焼結助剤が液相を形成する液相形成工程を示す概略図である。
図7Dは、第5の実施形態に係る立体造形用粉末を用いた立体造形物の製造方法を示し、焼結完了により焼結体を形成する焼結体形成工程を示す概略図である。
図8は、第6の実施形態に係る立体造形物の製造装置の一例を示す概略平面図である。
図9は、図8の立体造形物の製造装置の概略側面図である。
図10は、図8の立体造形物の製造装置の造形部を示す概略断面図である。
図11は、第6の実施形態に係る立体造形物の製造装置の一例を示すブロック図である。
図12Aは、立体造形物の製造装置の造形部での造形動作の流れの一例を示す概略断面図である。
図12Bは、立体造形物の製造装置の造形部での造形動作の流れの他の一例を示す概略断面図である。
図12Cは、立体造形物の製造装置の造形部での造形動作の流れの他の一例を示す概略断面図である。
図12Dは、立体造形物の製造装置の造形部での造形動作の流れの他の一例を示す概略断面図である。
図12Eは、立体造形物の製造装置の造形部での造形動作の流れの他の一例を示す概略断面図である。
図13は、実施例1における芯材の表面に焼結助剤が埋没状態している状態を示す表面SEM写真である。
図14は、実施例2における芯材の表面に焼結助剤が埋没状態している状態を示す表面SEM写真である。
図15は、実施例3における芯材の表面に焼結助剤が埋没状態している状態を示す表面SEM写真である。
図16は、実施例4における芯材の表面に焼結助剤が埋没状態している状態を示す表面SEM写真である。

0009

(立体造形用粉末)
本発明の立体造形用粉末は、芯材と、焼結助剤とを含み、前記焼結助剤は、該焼結助剤の少なくとも一部が前記芯材に埋没した状態であり、更に必要に応じてその他の部材を有する。

0010

従来技術のようなバインダージェット方式による難焼結材料の造形では、焼結助剤を添加したとき、前記焼結助剤が偏析して、焼結が進行せず空隙が発生し、組成ムラが生じてしまうという問題がある。

0011

本発明においては、芯材表面に焼結助剤を打ち込んで固定化し、それを樹脂被覆した立体造形用粉末を使用することで、焼結後の立体造形物中の空隙や組成ムラの発生を抑制することができる。
本発明の立体造形用粉末のように、芯材表面に焼結助剤を打ち込んで固定化すると、芯材と焼結助剤が粒子接点を有することとなり、熱処理した際に焼結助剤は液相を形成するので、焼結が進行する。
また、焼結助剤を芯材に打ち込んだ後に、焼結助剤が芯材と共に樹脂によって被覆されていることにより、造形時に焼結助剤が芯材から分離することがなく、また芯材の酸化皮膜成長阻害するので、焼結が進行しやすくなり、かつ焼結助剤の偏析がなく組成ムラもなくなる。

0012

<芯材>
芯材は難焼結材料であることが好ましい。前記難焼結材料とは加熱しても焼結が進み難い材料を意味している。より具体的には、融点もしくは固相線温度が非常に高く一般的な加熱装置ではそれを越えた温度での熱処理が不可能であるか、又は、融点もしくは固相線温度が低くても粒子表面に形成した酸化皮膜が焼結を阻害するような材料を指す。
難焼結材料としては、例えば、金属、セラミックス炭化物などが挙げられる。
金属としては、例えば、アルミニウムタングステンチタンモリブデンニオブ、又はそれらの合金などが挙げられる。
セラミックスとしては、例えば、窒化アルミニウムアルミナなどが挙げられる。
炭化物としては、例えば、タングステンカーバイドチタンカーバイドクロムカーバイドシリコンカーバイドなどが挙げられる。

0013

前記芯材は、粒子形状であることが好ましく、その形状としては、球状、楕円状などが挙げられる。
前記芯材の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.1μm以上500μm以下が好ましく、5μm以上300μm以下がより好ましく、10μm以上250μm以下が更に好ましい。
前記体積平均粒径が、0.1μm以上500μm以下であると、立体造形物の製造効率に優れ、取扱性やハンドリング性が良好である。前記体積平均粒径が、500μm以下であると、前記立体造形用粉末を用いて薄層を形成した際に、該薄層における前記立体造形用粉末の充填率が向上し、得られる立体造形物に空隙や組成ムラ等が生じ難い。
前記芯材の体積平均粒径は、公知の粒径測定装置、例えば、マイクロトラックHRA(日機装株式会社製)、などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。

0014

<焼結助剤>
焼結助剤は、芯材を焼結する際に添加して、焼結を促進する剤である。
前記焼結助剤は、該焼結助剤の少なくとも一部が前記芯材に埋没した状態であり、焼結助剤の一部が埋没していればよいが、焼結助剤の全部が埋没していてもよい。具体的には、焼結助剤は、芯材表面から焼結助剤の体積平均粒径の10%以上が埋没した状態であることが好ましく、50%以上が埋没した状態であることがより好ましく、70%以上が埋没した状態であることが更に好ましい。
焼結助剤が芯材表面から前記焼結助剤の体積平均粒径の10%以上埋没した状態であることにより、造形時に焼結助剤が芯材から分離することを防止でき、また、芯材の酸化皮膜の成長を阻害するので、焼結が進行しやすくなるという利点がある。
前記焼結助剤の体積平均粒径は、10nm以上10μm以下が好ましく、100nm以上5μm以下がより好ましい。
焼結助剤の体積平均粒径は、公知の粒径測定装置、例えば、マイクロトラックHRA(日機装株式会社製)、などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
なお、焼結助剤が芯材に埋没した状態であることは、例えば、表面SEM写真、断面SEM写真を観察することにより確認することができる。

0015

焼結助剤としては、芯材がアルミニウム又はその合金の場合には、シリコン、銅、スズ、マグネシウム、鉄、マンガン、チタン、ニッケル亜鉛クロム、又はこれら合金などが挙げられる。

0016

前記焼結助剤は、粒子形状であることが好ましく、その形状としては、球状、楕円状、球形度の低いった形状、多角形状、矩形状、扁平状、板状などが挙げられる。これらの中でも、球形度の低い尖った形状が、芯材と焼結助剤とを撹拌したとき、焼結助剤が芯材に打ち込まれやすい点から特に好ましい。
前記焼結助剤は、前記芯材に対して、前記芯材表面から100nm以上埋め込まれていることが好ましい。これによって、焼結助剤が埋め込まれている箇所の芯材の酸化皮膜がより薄くなる、もしくは消失し、焼結が更に促進される。芯材の酸化皮膜の厚さは、例えば、アルミニウムでは数nm−数十nm程度である。そのため、焼結助剤が100nm以上埋め込まれていれば、その箇所の酸化皮膜はほぼ消失した状態となる。

0017

焼結助剤の構成元素は、全て芯材の構成元素に含まれることが好ましい。これにより、原料となる芯材と、焼結後の立体造形物の構成元素が同一になり、不純元素混入を防ぐことができる。
このような組み合わせとして、例えば、「芯材:AlSi10Mg合金−焼結助剤:シリコン又はマグネシウム」、「芯材:ADC12−焼結助剤:シリコン又は銅」、「芯材:銅タングステン合金−焼結助剤:銅」、「芯材:銀タングステン合金−焼結助剤:銀」などが挙げられる。

0018

芯材と焼結助剤が、焼結時に液相を形成したとき、液相から固相への溶解度をSA、固相から液相への溶解度をSBとすると、次式、SB>SA、を満たすことが好ましく、固相から液相への溶解度の方が高いことがより好ましい。これにより、固相粒間の液相が多くなり、固相粒間の空隙を埋め、立体造形物の焼結体がより緻密化する。
このような芯材−焼結助剤の組み合わせとしては、例えば,芯材:アルミニウム−焼結助剤:スズなどが挙げられる。

0019

芯材と焼結助剤は粒子接点を有することが好ましい。粒子接点をもたせる手段の一つとしては、芯材への焼結助剤の打込がある。前記打込とは、芯材に焼結助剤を埋め込むことを意味する。打込の方法としては、例えば、ヘンシェルミキサーによる撹拌、ハイブリダイザーによる撹拌などが挙げられる。これらの中でも、ヘンシェルミキサーによる撹拌が好ましい。
ヘンシェルミキサーによる撹拌とは、高速回転する下羽根によって粉末を上方向に流動させ、その後、上羽根によって剪断することで、粉末を分散混合する方法である.この分散混合の過程で、芯材の表面に焼結助剤が打ち込まれる。例えば、日本コークス工業株式会社製ヘンシェルミキサーFM10B/Iなどを用いて行うことができる。具体的には、芯材と焼結助剤を所定量装置内に入れ、ミキサーを所定の回転数及び撹拌時間で撹拌させる。このとき、装置内部の温度上昇を防ぐため、撹拌毎に停止してインターバルを設けてもよい。
芯材と焼結助剤との混合割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、体積比で,芯材:焼結助剤=99.9:0.1〜7:3であることが好ましく、99:1〜8:2であることがより好ましい。

0020

焼結助剤は、芯材に埋め込まれて固定化されていることが好ましい。固定化とは、焼結助剤と芯材の位置関係が変わらない状態であると定義される。固定化方法としては、例えば、芯材表面に樹脂を被覆する方法などが挙げられる。
芯材が樹脂によって被覆されていることが、芯材の酸化を防止する点から好ましい。例えば、焼結助剤であるシリコンは、芯材であるアルミニウムと液相を形成して酸化皮膜を破り、焼結を進行させる。アルミニウムとシリコンは接点を有しているため、液相の形成が容易になる。
また、芯材と共に、焼結助剤も樹脂によって被覆されていることが好ましい。これにより、造形時に焼結助剤が芯材から剥がれ落ちることを防止できる。また、焼結助剤が発火性をもつ(即ち、着火性の高い)場合、樹脂被覆によって焼結助剤の酸化が抑えられ、発火を防ぐことができる。このような発火性をもつ焼結助剤としては、例えば、シリコン、スズ、マグネシウム、亜鉛、又はこれらとアルミニウムの合金などが挙げられる。

0021

<樹脂>
樹脂としては、液体に溶解して固化するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、液体が水系である場合には、例えば、ポリビニルアルコール樹脂ポリアクリル酸樹脂セルロースデンプンゼラチンビニル樹脂アミド樹脂イミド樹脂アクリル樹脂ポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0022

芯材及び焼結助剤の固定化に用いる液体としては、樹脂を溶解して固定化させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、エタノール等のアルコールエーテルケトン等の水性媒体脂肪族炭化水素グリコールエーテル等のエーテル系溶剤酢酸エチル等のエステル系溶剤メチルエチルケトン等のケトン系溶剤高級アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0023

前記樹脂による前記芯材の被覆厚みとしては、平均厚みで、5nm以上1,000nm以下が好ましく、5nm以上500nm以下がより好ましく、50nm以上300nm以下が更に好ましく、100nm以上200nm以下が特に好ましい。
前記被覆厚みとしての平均厚みが、5nm以上であると、前記立体造形用粉末に前記液体を付与して形成した立体造形用粉末(層)による固化物(焼結前駆体)の強度が向上し、その後の焼結等の処理乃至取扱い時に型崩れ等の問題が生じることがない、1,000nm以下であると、前記立体造形用粉末に前記液体を付与して形成した立体造形用粉末(層)による固化物(焼結前駆体)の寸法精度が向上する。
前記平均厚みは、例えば、前記立体造形用粉末をアクリル樹脂等に包埋した後、エッチング等を行って前記芯材の表面を露出させた後、走査型トンネル顕微鏡STM原子間力顕微鏡AFM、走査型電子顕微鏡SEMなどを用いることにより、測定することができる。

0024

前記樹脂による前記芯材の表面の被覆率面積率)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。
前記被覆率が、15%以上であると、前記立体造形用粉末に前記液体を付与して形成した立体造形用粉末(層)による固化物(焼結前駆体)の強度が充分に得られ、その後の焼結等の処理乃至取扱い時に型崩れ等の問題が生じることがなく、また、前記立体造形用粉末に前記液体を付与して形成した立体造形用粉末(層)による固化物(焼結前駆体)の寸法精度が向上する。
前記被覆率は、例えば、前記立体造形用粉末の写真を観察し、二次元の写真に写る該立体造形用粉末について、前記粉末の表面の全面積に対する、前記樹脂で被覆された部分の面積の割合(%)の平均値を算出してこれを該被覆率としてもよいし、また、前記樹脂で被覆された部分をSEM−EDS等のエネルギー分散型X線分光法による元素マッピングを行うことにより、測定することができる。

0025

<その他の成分>
その他の成分としては、任意の劣化防止剤流動化剤強化剤難燃剤可塑剤熱安定性添加剤結晶核剤等の添加剤、非結晶性樹脂等のポリマー粒子などを含んでいてもよい。

0026

−立体造形用粉末の製造−
前記立体造形用粉末の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述したように焼結助剤が埋め込まれた芯材上に樹脂を被覆する方法などが好適に挙げられる。
前樹脂の芯材の表面への被覆方法としては、特に制限はなく、公知の被覆方法の中から適宜採用することができ、例えば、転動流動コーティング法スプレードライ法撹拌混合加法ディッピング法ニーダーコート法、などが好適に挙げられる。また、これらの被覆方法は、公知の市販の各種コーティング装置、造粒装置などを用いて実施することができる。

0027

以上説明したように、本発明の立体造形用粉末は、難焼結材料からなる芯材と、焼結助剤とを含み、前記焼結助剤は前記芯材に埋め込まれて固定化されており、高温時に前記焼結助剤は前記芯材と液相を形成するので、以下に説明する本発明の粉末入り容器、本発明の立体造形物の製造装置、及び立体造形物の製造方法に好適に用いられる。

0028

(粉末入り容器)
本発明の粉末入り容器は、本発明の立体造形用粉末を容器中に充填してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて、その形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム樹脂フィルム等で形成された粉末入り袋、粉末入りカートリッジ、粉末入りタンクなどが挙げられる。

0029

(立体造形物の製造方法、立体造形物の製造装置、及び立体造形プログラム)
本発明の立体造形物の製造方法は、粉末層形成工程と、粉末層固化工程と、焼結前駆体作製工程と、焼結工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。

0030

本発明の立体造形物の製造装置は、粉末層形成手段と、粉末層固化手段と、焼結前駆体作製手段と、焼結手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。

0031

本発明の立体造形プログラムは、芯材と、焼結助剤とを含み、前記焼結助剤は、該焼結助剤の少なくとも一部が前記芯材に埋没した状態である立体造形用粉末を用いて粉末層を形成し、前記立体造形用粉末における芯材を被覆する樹脂を溶解可能な液体を前記粉末層の造形領域に付与して固化し、前記粉末層の形成と前記粉末層の固化を繰り返して、焼結前駆体を作製し、前記焼結前駆体を焼結する処理をコンピュータに実行させる。

0032

なお、本発明の「立体造形物の製造装置」における制御手段等が行う制御は、本発明の「立体造形物の製造方法」を実施することと同義であるので、本発明の「立体造形物の製造装置」の説明を通じて本発明の「立体造形物の製造方法」の詳細についても明らかにする。また、本発明の「立体造形プログラム」は、ハードウェア資源としてのコンピュータ等を用いることにより、本発明の「立体造形物の製造装置」として実現させることから、本発明の「立体造形物の製造装置」の説明を通じて本発明の「立体造形プログラム」の詳細についても明らかにする。

0033

−粉末層形成工程及び粉末層形成手段−
前記粉末材料層形成工程は、本発明の前記立体造形用粉末を用いて粉末層を形成する工程であり、粉末層形成手段により実施される。
前記立体造形用粉末層は支持体上に形成されることが好ましい。

0034

−−支持体−−
前記支持体としては、前記立体造形用粉末を載置することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記立体造形用粉末の載置面を有する台、特開2000−328106号公報の図1に記載の装置におけるベースプレート、などが挙げられる。
前記支持体の表面、即ち、前記立体造形用粉末を載置する載置面としては、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよいが、前記立体造形用粉末における前記樹脂が溶解した際に、前記樹脂との親和性が低いことが好ましい。
記載置面と、溶解した前記樹脂との親和性が、前記芯材と、溶解した前記樹脂との親和性よりも低いと、得られた立体造形物を該載置面から取り外すことが容易である点で好ましい。

0035

−−粉末層の形成−−
前記立体造形用粉末を前記支持体上に配置させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薄層に配置させる方法としては、特許第3607300号公報に記載の選択的レーザー焼結方法に用いられる、公知のカウンター回転機構カウンターローラ)などを用いる方法、前記立体造形用粉末をブラシ、ローラブレード等の部材を用いて薄層に拡げる方法、前記立体造形用粉末の表面を押圧部材を用いて押圧して薄層に拡げる方法、公知の粉末積層造形装置を用いる方法、などが好適に挙げられる。

0036

前記カウンター回転機構(カウンターローラー)、前記ブラシ乃至ブレード、前記押圧部材などを用いて、前記支持体上に前記立体造形用粉末を薄層に載置させるには、例えば、以下のようにして行うことができる。
即ち、外枠(「型」、「中空シリンダー」、「筒状構造体」などと称されることもある)内に、前記外枠の内壁摺動しながら昇降可能に配置された前記支持体上に前記立体造形用粉末を、前記カウンター回転機構(カウンターローラー))、前記ブラシ、ローラ又はブレード、前記押圧部材などを用いて載置させる。このとき、前記支持体として、前記外枠内を昇降可能なものを用いる場合には、前記支持体を前記外枠の上端開口部よりも少しだけ下方の位置に配し、即ち、前記粉末層の厚み分だけ下方に位置させておき、前記支持体上に前記立体造形用粉末を載置させる。以上により、前記立体造形用粉末を前記支持体上に薄層に載置させることができる。

0037

なお、このようにして薄層に載置させた前記立体造形用粉末に対し、液体を作用させると、当該層が固化する(前記粉末層固化工程)。
前記液体としては、芯材を被覆する樹脂を溶解可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトンなどの水性媒体、脂肪族炭化水素、グリコールエーテル等のエーテル系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、高級アルコールなどが挙げられる。これらの中でも、環境負荷や前記液体をインクジェット方式で付与する際の吐出安定性(経時での粘度変化が少ない)を考慮すると、水性媒体が好ましく、水がより好ましい。なお、前記水性媒体としては、前記水が前記アルコール等の水以外の成分を若干量含有するものであってもよい。また、前記液体の媒体が水性媒体である場合には、前記有機材料水溶性有機材料を主として含むことが好ましい。

0038

ここで得られた薄層の固化物上に、上記と同様にして、前記立体造形用粉末を薄層に載置させ、前記薄層に載置された該立体造形用粉末(層)に対し、前記液体を作用させると、硬化が生じる。このときの硬化は、該薄層に載置された前記立体造形用粉末(層)においてのみならず、その下に存在する、先に硬化して得られた前記薄層の固化物との間でも生じる。その結果、前記薄層に載置された前記立体造形用粉末(層)の約2層分の厚みを有する固化物(焼結前駆体)が得られる。

0039

また、前記立体造形用粉末を前記支持体上に薄層に載置させるには、前記公知の粉末積層造形装置を用いて自動的にかつ簡便に行うこともできる。前記粉末積層造形装置は、一般に、前記立体造形用粉末を積層するためのリコーターと、前記立体造形用粉末を前記支持体上に供給するための可動式供給槽と、前記立体造形用粉末を薄層に載置し、積層するための可動式成形槽とを備える。前記粉末積層造形装置においては、前記供給槽を上昇させるか、前記成形槽を下降させるか、又はその両方によって、常に前記供給槽の表面は前記成形槽の表面よりもわずかに上昇させることができ、前記供給槽側から前記リコーターを用いて前記立体造形用粉末を薄層に配置させることができ、該リコーターを繰り返し移動させることにより、薄層の立体造形用粉末を積層させることができる。

0040

前記立体造形用粉末層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一層当たりの平均厚みで、30μm以上500μm以下が好ましく、60μm以上300μm以下がより好ましい。
前記厚みが、30μm以上であると、前記立体造形用粉末に前記液体を付与して形成した立体造形用粉末(層)による固化物(焼結前駆体)の強度が充分であり、その後の焼結等の処理乃至取扱い時に型崩れ等の問題が生じることがない、500μm以下であると、前記立体造形用粉末に前記液体を付与して形成した立体造形用粉末(層)による固化物(焼結前駆体)の寸法精度が向上する。
なお、前記平均厚みは、特に制限はなく、公知の方法に従って測定することができる。

0041

−粉末層固化工程及び粉末層固化手段−
前記粉末層固化工程は、前記粉末層形成工程で形成した粉末層に、前記樹脂を溶解可能な液体を付与して、該粉末層の所定領域を固化させる工程であり、粉末層固化手段により実施される。

0042

前記液体の前記粉末層への付与の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。なお、これらの方式を実施するには公知の装置を前記粉末層固化手段として好適に使用することができる。
これらの中でも、前記ディスペンサ方式は、液滴の定量性に優れるが、塗布面積が狭くなり、前記スプレー方式は、簡便に微細吐出物を形成でき、塗布面積が広く、塗布性に優れるが、液滴の定量性が悪く、スプレー流による立体造形用粉末の飛散が発生する。このため、本発明においては、前記インクジェット方式が特に好ましい。前記インクジェット方式は、前記スプレー方式に比べ、液滴の定量性が良く、前記ディスペンサ方式に比べ、塗布面積が広くできる利点があり、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点で好ましい。

0043

前記インクジェット法による場合、前記粉末層固化手段は、前記インクジェット法により前記液体を前記粉末層に付与可能なノズルを有する。なお、前記ノズルとしては、公知のインクジェットプリンターにおけるノズル(吐出ヘッド)を好適に使用することができ、また、前記インクジェットプリンターを前記粉末層固化手段として好適に使用することができる。なお、前記インクジェットプリンターとしては、例えば、株式会社リコー製のSG7100、などが好適に挙げられる。前記インクジェットプリンターは、ヘッド部から一度に滴下できる液体量が多く、塗布面積が広いため、塗布の高速化を図ることができる点で好ましい。
本発明においては、前記液体を精度良くしかも高効率に付与可能な前記インクジェットプリンターを用いた場合においても、前記液体が、粒子等の固形物や、樹脂等の高分子の高粘度材料を含有しないため、前記ノズル乃至そのヘッドにおいて目詰り等が発生せず、腐食等を生じさせることもなく、また、前記立体造形用粉末層に付与(吐出)された際、前記立体造形用粉末における前記樹脂に効率良く浸透可能であるため、立体造形物の製造効率に優れ、しかも樹脂等の高分子成分が付与されることがないため、予定外体積増加等を生じることがなく、寸法精度の良好な固化物が容易にかつ短時間で効率よく得られる点で有利である。

0044

−粉末収容部−
前記粉末収容部は、前記立体造形用粉末が収容された部材であり、その大きさ、形状、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、貯留槽、袋、カートリッジ、タンクなどが挙げられる。

0045

液体収容部−
前記液体収容部は、前記液体が収容された部材であり、その大きさ、形状、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、貯留槽、袋、カートリッジ、タンクなどが挙げられる。

0046

−焼結工程及び焼結手段−
前記焼結工程は、前記粉末層固化工程において形成した固化物(焼結前駆体)を焼結する工程である。前記焼結工程を行うことにより、前記固化物を一体化された金属乃至セラミックスの成形物(立体造形物の焼結体)とすることができる。前記焼結手段としては、例えば、公知の焼結炉などが挙げられる。
本発明においては、難焼結材料からなる芯材表面に焼結助剤を打ち込んで固定化し、それを樹脂で被覆した立体造形用粉末を使用することで、焼結後の立体造形物中の空隙や組成ムラの発生を抑制できる。

0047

−その他の工程及びその他の手段−
前記その他の工程としては、例えば、乾燥工程、表面保護処理工程、塗装工程、などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、乾燥手段、表面保護処理手段、塗装手段、などが挙げられる。

0048

前記乾燥工程は、前記粉末層固化工程において得られた固化物(焼結前駆体)を乾燥させる工程である。前記乾燥工程において、前記固化物中に含まれる水分のみならず、有機物を除去(脱脂)してもよい。前記乾燥手段としては、例えば、公知の乾燥機などが挙げられる。
前記表面保護処理工程は、前記粉末層固化工程において形成した固化物(焼結前駆体)に保護層を形成等する工程である。この表面保護処理工程を行うことにより、前記固化物(焼結前駆体)を例えばそのまま使用等することができる耐久性等を該固化物(焼結前駆体)の表面に与えることができる。前記保護層の具体例としては、耐水性層耐候性層耐光性層、断熱性層光沢層、などが挙げられる。前記表面保護処理手段としては、公知の表面保護処理装置、例えば、スプレー装置コーティング装置などが挙げられる。
前記塗装工程は、前記粉末層固化工程において形成した固化物(焼結前駆体)に塗装を行う工程である。前記塗装工程を行うことにより、前記固化物(焼結前駆体)を所望の色に着色させることができる。前記塗装手段としては、公知の塗装装置、例えば、スプレー、ローラ、刷毛等による塗装装置などが挙げられる。

0049

ここで、本発明の立体造形用粉末及び該立体造形用粉末を用いた立体造形物の製造方法の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。

0050

<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る立体造形用粉末について説明する図である。
この図1の立体造形用粉末110は、難焼結材料からなる芯材101と、その焼結を促進する焼結助剤2、そして芯材101を被覆する樹脂103から構成される。焼結助剤102は芯材101に埋め込まれており、芯材101は樹脂103で被覆されている。なお、芯材101と焼結助剤102は、高温時に液相を形成する材料である。
本実施形態では、芯材101はアルミニウム、焼結助剤102はシリコン、樹脂103はポリビニルアルコールである。

0051

芯材101と焼結助剤102は粒子接点を有する。従来の単に樹脂被膜中に焼結助剤が含まれるのではなく、芯材101との粒子接点を有する状態で焼結助剤102を有しており、該焼結助剤102は高温時に液相を形成するので、焼結が効率よく進行する。また、焼結助剤を芯材に打ち込んだ後、該焼結助剤が芯材と共に樹脂によって被覆されているので、造形時に焼結助剤が芯材から分離することがなく、また芯材の酸化皮膜の成長を阻害するので、焼結が進行しやすくなり、かつ焼結助剤の偏析がなく組成ムラもなくなるという利点がある。
粒子接点をもたせる手段の一つとして、芯材101への焼結助剤102の打込などが挙げられる。ここで、打込とは、芯材101に焼結助剤102を埋め込むことを指す。打込の手段としては、例えば、ハイブリダイザーによる撹拌などが挙げられる。
本実施形態では、焼結助剤102は芯材101表面に固定化されている。固定化は、焼結助剤102と芯材101の位置関係が変わらないように樹脂被覆方法などが挙げられる。

0052

次に、図2A図2Dを参照して、上記第1の実施形態に係る立体造形用粉末を用いた立体造形物の製造方法について説明する。
まず、第1の実施形態に係る立体造形用粉末110を造形槽(不図示)内でローラ等により平坦化した後、造形領域に被覆樹脂を溶解し固化する液体を滴下する。この工程を繰り返し、図2Aに示すように、焼結前駆体105(以下、「グリーン体」と称することがある)を作製する。
次に、図2Bに示すように、グリーン体105を脱脂・焼結炉にて、樹脂の熱分解温度以上で加熱すると、グリーン体105中の樹脂成分は脱脂される。
次に、図2Cに示すように、更に高温で加熱すると、芯材101と焼結助剤102はその接点において液相107を形成し、液相焼結が進行する。なお、図2C中106は固相である。一般に、芯材であるアルミニウムは酸化皮膜の存在によって元素拡散が抑制され、焼結が進行し難い。
ここで、焼結助剤102であるシリコンは、芯材であるアルミニウムと液相107を形成して酸化皮膜を破り、焼結を進行させる。本実施形態では、アルミニウムとシリコンは接点を有しているため、液相の形成が容易になる。それに加えて、本実施形態では、アルミニウムは樹脂被覆されているため、酸化皮膜の成長が抑えられ、より焼結が進行し易くなる。また、焼結助剤が造形時に芯材から剥がれ落ちることも防止できる。
最後に、図2Dに示すように、焼結が完了し、空隙や組成ムラのない緻密な焼結体108が得られる。

0053

<第2の実施形態>
図3は、第2の実施形態に係る立体造形用粉末について説明する図である。この図3の立体造形用粉末110は、芯材101と共に、焼結助剤102も樹脂103によって被覆され、固定されている。これにより、造形時に焼結助剤102が芯材101から剥がれ落ちることを一層防止できる。また、焼結助剤102が発火性を有する場合、樹脂103の被覆によって焼結助剤102の酸化が抑えられ、発火を防ぐことができる。
発火性を有する(即ち、着火性の高い)焼結助剤102として、例えば、シリコン、スズ、マグネシウム、亜鉛、又はこれらとアルミニウムの合金などが挙げられる。
本実施形態では、芯材101はアルミニウム、焼結助剤102はシリコン、樹脂103はポリビニルアルコールである。
なお、第2の実施形態に係る立体造形用粉末を用いた立体造形物の製造方法については、第1の実施形態の図2A図2Dと同様であるため、その説明を省略する。

0054

<第3の実施形態>
図4は、本発明の第3の実施形態に係る立体造形用粉末について説明する図である。この図4の立体造形用粉末110は、図4中Aで示すように、焼結助剤102が芯材101に、芯材表面から100nm以上埋め込まれている。これによって、焼結助剤102が芯材から剥がれ落ちることが防止でき、埋め込まれている箇所の芯材101の酸化皮膜がより薄くなる、もしくは消失し、焼結が更に促進される。
芯材101の酸化皮膜の厚さは、例えば、アルミニウムでは数nm−数十nm程度である。そのため、焼結助剤102が100nm以上埋め込まれれば、その箇所の酸化皮膜はほぼ消失した状態となる。
本実施形態では、芯材101はアルミニウム、焼結助剤102はシリコン、樹脂103はポリビニルアルコールである。
なお、第3の実施形態に係る立体造形用粉末を用いた立体造形物の製造方法については、第1の実施形態の図2A図2Dと同様であるため、その説明を省略する。

0055

<第4の実施形態>
図5は、本発明の第4の実施形態に係る立体造形用粉末について説明する図である。この図5の立体造形用粉末110は、焼結助剤102の構成元素は芯材101の構成元素に全て含まれる。これにより、原料となる芯材101と、焼結後の造形物の構成元素が同一になり、不純元素の混入を防ぐことができる。このような組み合わせとして、例えば、「芯材:AlSi10Mg合金−焼結助剤:シリコン、マグネシウム」、「芯材:ADC12−焼結助剤:シリコン、銅」、「芯材:銅タングステン合金−焼結助剤:銅」、「芯材:銀タングステン合金−焼結助剤:銀」などが挙げられる。
本実施形態では、芯材101はAlSi10Mg合金、焼結助剤102はシリコン、マグネシウム、樹脂103はポリビニルアルコールである。
なお、第4の実施形態に係る立体造形用粉末を用いた立体造形物の製造方法については、第1の実施形態の図2A図2Dと同様であるため、その説明を省略する。

0056

<第5の実施形態>
図6は,本発明の第5の実施形態に係る立体造形用粉末について説明する図である。この図6の立体造形用粉末110は、芯材101と焼結助剤102が、焼結時に液相を形成したとき、液相から固相への溶解度をSA、固相から液相への溶解度をSBと定義すると、次式、SB>SAを満たし、固相から液相への溶解度の方が高い。すると、固相粒間の液相が多くなり、固相粒間の空隙を埋め、焼結体がより緻密化する。
本実施形態では、芯材101はアルミニウム、焼結助剤102はスズ、樹脂103はポリビニルアルコールである。

0057

次に、図7A図7Dを参照して、第5の実施形態に係る立体造形用粉末を用いた立体造形物の製造方法について説明する。
まず、第5の実施形態に係る立体造形用粉末110を造形槽(不図示)内でローラ等により平坦化した後、造形領域に被覆樹脂を溶解し、固化する液体を滴下する。この工程を繰り返し、図7Aに示すように、焼結前駆体105(以下、「グリーン体」と称することがある)を作製する。
次に、図7Bに示すように、グリーン体105を脱脂・焼結炉にて、樹脂の熱分解温度以上で加熱すると、グリーン体105中の樹脂成分は脱脂される。
次に、図7Cに示すように、更に高温で加熱すると、芯材101と焼結助剤102はその接点において液相107を形成し、液相が拡大し、固相粒間を緻密化でき、液相焼結が進行する。
最後に、図7Dに示すように、焼結が完了し、空隙や組成ムラのない緻密な焼結体108が得られる。

0058

<第6の実施形態>
ここで、図8は第6の実施形態に係る立体造形物の製造装置の一例を示す概略平面図である。図9図8に示した立体造形物の製造装置の概略側面図である。図10は、図8に示した立体造形物の製造装置の造形部を示す拡大側面図である。図11は、本発明の立体造形物の製造装置を示すブロック図である。

0059

図8から図11に示すように、立体造形物の製造装置601は、粉末を供給する粉末供給部80と、粉末が結合された層状造形物である造形層30が形成される造形部1と、造形部1の層状に敷き詰められた粉末層31に第1の液としての水系インク10a及び第2の液としての有機溶媒系インク10bを吐出して立体造形物を造形する造形ユニット5とを備えている。なお、水系インク10a及び有機溶媒系インク10bをまとめて「造形液10」と称することがある。

0060

造形部1は、粉末槽11と、平坦化部材(リコーター)である回転体としての平坦化ローラ12などを備えている。なお、平坦化部材は、回転体に代えて、例えば、板状部材(ブレード)とすることもできる。

0061

粉末槽11は、粉末20を供給する供給槽21と、造形層30が積層されて立体造形物が造形される造形槽22とを有している。造形前に粉末供給部80から粉末を供給される、供給槽21の底部は供給ステージ23として鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。同様に、造形槽22の底部は造形ステージ24として鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。造形ステージ24上に造形層30が積層された立体造形物が造形される。

0062

供給ステージ23は、モータによって矢印Z方向(高さ方向)に昇降され、造形ステージ24は、同じく、モータ28によって矢印Z方向に昇降される。

0063

平坦化ローラ12は、供給槽21の供給ステージ23上に供給された粉末20を造形槽22に供給し、平坦化部材である平坦化ローラ12によって均して平坦化して、粉末層31を形成する。
この平坦化ローラ12は、造形ステージ24のステージ面(粉末20が積載される面)に沿って矢印Y方向に、ステージ面に対して相対的に往復移動可能に配置され、Y方向走査機構552によって移動される。また、平坦化ローラ12は、モータ26によって回転駆動される。

0064

一方、造形ユニット5は、造形ステージ24上の粉末層31に造形液10を吐出する液体吐出ユニット50を備えている。
液体吐出ユニット50は、キャリッジ51と、キャリッジ51に搭載された2つ(1又は3つ以上でもよい。)の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)52a、52bを備えている。

0065

キャリッジ51は、ガイド部材54及び55に移動可能に保持されている。ガイド部材54及び55は、両側の側板70、70に昇降可能に保持されている。
このキャリッジ51は、後述するX方向走査機構550によってプーリ及びベルトから構成される主走査移動機構を介して主走査方向である矢印X方向(以下、単に「X方向」という。他のY、Zについても同様とする。)に往復移動される。

0066

2つのヘッド52a、52b(以下、区別しないときは「ヘッド52」という。)は、液体を吐出する複数のノズルを配列したノズル列がそれぞれ2列配置されている。一方のヘッド52aの2つのノズル列は、第1の液としての水系インク10aを吐出する。他方のヘッド52bの2つのノズル列は、第2の液としての有機溶媒系インク10bをそれぞれ吐出する。なお、ヘッド構成はこれに限るものではない。
これらの水系インク10a及び有機溶媒系インク10bをそれぞれ収容した複数のタンク60がタンク装着部56に装着され、供給チューブなどを介してヘッド52a、52bに供給される。
また、X方向の一方側には、液体吐出ユニット50のヘッド52の維持回復を行うメンテナンス機構61が配置されている。

0067

メンテナンス機構61は、主にキャップ62とワイパ63で構成される。キャップ62をヘッド52のノズル面(ノズルが形成された面)に密着させ、ノズルから造形液を吸引する。ノズルに詰まった粉末の排出や高粘度化した造形液を排出するためである。その後、ノズルのメニスカス形成ノズル内負圧状態である)のため、ノズル面をワイパ63でワイピング払拭)する。また、メンテナンス機構61は、造形液の吐出が行われない場合に、ヘッドのノズル面をキャップ62で覆い、粉末20がノズルに混入することや造形液10が乾燥することを防止する。

0068

造形ユニット5は、ベース部材7上に配置されたガイド部材71に移動可能に保持されたスライダ部72を有し、造形ユニット5全体がX方向と直交するY方向(副走査方向)に往復移動可能である。この造形ユニット5は、後述するモータ駆動部512を含むY方向走査機構552によって全体がY方向に往復移動される。

0069

液体吐出ユニット50は、ガイド部材54、55とともに矢印Z方向に昇降可能に配置され、後述するモータ駆動部511を含むZ方向昇降機構551によってZ方向に昇降される。

0070

ここで、造形部1の詳細について説明する。
粉末槽11は、箱型形状をなし、供給槽21と造形槽22と、余剰粉末受け槽25の3つの上面が開放された槽とを備えている。供給槽21内部には供給ステージ23が、造形槽22内部には造形ステージ24がそれぞれ昇降可能に配置される。

0071

供給ステージ23の側面は供給槽21の内側面に接するように配置されている。造形ステージ24の側面は造形槽22の内側面に接するように配置されている。これらの供給ステージ23及び造形ステージ24の上面は水平に保たれている。

0072

平坦化ローラ12は、供給槽21から粉末20を造形槽22へと移送供給して、表面を均すことで平坦化して所定の厚みの層状の粉末である粉末層31を形成する。
この平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の内寸(即ち、粉末が供される部分又は仕込まれている部分の幅)よりも長い棒状部材であり、Y方向走査機構552によってステージ面に沿ってY方向(副走査方向)に往復移動される。
この平坦化ローラ12は、モータ26によって回転されながら、供給槽21の外側から供給槽21及び造形槽22の上方を通過するようにして水平移動する。これにより、粉末20が造形槽22上へと移送供給され、平坦化ローラ12が造形槽22上を通過しながら粉末20を平坦化することで粉末層31が形成される。

0073

また、図9にも示すように、平坦化ローラ12の周面に接触して、平坦化ローラ12に付着した粉末20を除去するための粉末除去部材である粉末除去板13が配置されている。
粉末除去板13は、平坦化ローラ12の周面に接触した状態で、平坦化ローラ12とともに移動する。また、粉末除去板13は、平坦化ローラ12が平坦化を行うときの回転方向に回転するときにカウンタ方向でも、順方向での配置可能である。

0074

本実施形態では、造形部1の粉末槽11が供給槽21と造形槽22の二つの槽を有する構成としているが、造形槽22のみとして、造形槽22に粉末供給部80から粉末を供給して、平坦化手段で平坦化する構成とすることもできる。

0075

次に、立体造形物の製造装置601の制御部の概要について、図11を参照して説明する。
制御部500は、この立体造形物の製造装置601全体の制御を司るCPU501と、CPU501に本発明に係わる制御を含む立体造形動作の制御を実行させるためのプログラムを含むプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、造形データ等を一時格納するRAM503とを含む主制御部500Aを備えている。

0076

制御部500は、装置の電源遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)504を備えている。また、制御部500は、画像データに対する各種信号処理等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。

0077

制御部500は、外部の造形データ作成装置600から造形データを受信するときに使用するデータ及び信号の送受を行うためのI/F506を備えている。なお、造形データ作成装置600は、最終形態の造形物を各造形層にスライスした造形データを作成する装置であり、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構成されている。

0078

制御部500は、各種センサ検知信号を取り込むためのI/O507を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50の各ヘッド52を駆動制御するヘッド駆動制御部508を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をX方向(主走査方向)に移動させるX方向走査機構550を構成するモータを駆動するモータ駆動部510と、造形ユニット5をY方向(副走査方向)に移動させるY方向走査機構552を構成するモータを駆動するモータ駆動部512を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をZ方向に移動(昇降)させるZ方向昇降機構551を構成するモータを駆動するモータ駆動部511を備えている。なお、矢印Z方向への昇降は造形ユニット5全体を昇降させる構成とすることもできる。
制御部500は、供給ステージ23を昇降させるモータ27を駆動するモータ駆動部513と、造形ステージ24を昇降させるモータ28を駆動するモータ駆動部514を備えている。
制御部500は、平坦化ローラ12を移動させるY方向走査機構552のモータ553を駆動するモータ駆動部515と、平坦化ローラ12を回転駆動するモータ26を駆動するモータ駆動部516を備えている。
制御部500は、供給槽21に粉末20を供給する粉末供給部80を駆動する供給駆動部519と、液体吐出ユニット50のメンテナンス機構61を駆動するメンテナンス駆動部518を備えている。
制御部500は、粉末供給部80から粉末20の供給を行わせる供給駆動部519を備えている。
制御部500のI/O507には、装置の環境条件としての温度及び湿度を検出する温湿度センサ560などの検知信号やその他のセンサ類の検知信号が入力される。
制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル522が接続されている。
なお、造形データ作成装置600と立体造形物の製造装置601によって造形装置が構成される。

0079

次に、造形の流れについて図12A図12Eを参照して説明する。図12A図12Eは、造形の流れの説明に供する模式的説明図である。
造形槽22の造形ステージ24上に、1層目の造形層30が形成されている状態から説明する。
この造形層30上に次の造形層30を形成するときには、図12Aに示すように、供給槽21の供給ステージ23をZ1方向に上昇させ、造形槽22の造形ステージ24をZ2方向に下降させる。

0080

このとき、造形槽22の上面(粉末層表面)と平坦化ローラ12の下部(下方接線部)との間隔がΔtとなるように造形ステージ24の下降距離を設定する。この間隔Δtが次に形成する粉末層31の厚さに相当する。間隔Δtは、数十μm〜100μm程度であることが好ましい。

0081

次いで、図12Bに示すように、供給槽21の上面レベルよりも上方に位置する粉末20を、平坦化ローラ12を順方向(矢印方向)に回転しながらY2方向(造形槽22側)に移動することで、粉末20を造形槽22へと移送供給する(粉末供給)。

0082

更に、図12Cに示すように、平坦化ローラ12を造形槽22の造形ステージ24のステージ面と平行に移動させ、図12Dに示すように、造形ステージ24の造形層30上で所定の厚さΔtになる粉末層31を形成する(平坦化)。粉末層31を形成後、平坦化ローラ12は、図12Dに示すように、Y1方向に移動されて初期位置に戻される。

0083

ここで、平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の上面レベルとの距離を一定に保って移動できるようになっている。一定に保って移動できることで、平坦化ローラ12で粉末20を造形槽22の上へと搬送させつつ、造形槽22上又は既に形成された造形層30の上に均一厚さΔtの粉末層31を形成できる。

0084

その後、図12Eに示すように、液体吐出ユニット50のヘッド52から造形液10の液滴を吐出して、次の粉末層31に造形層30を積層形成する。

0085

次いで、上述した粉末供給・平坦化よる粉末層31を形成する工程、ヘッド52による造形液吐出工程を繰り返して新たな造形層30を形成する。このとき、新たな造形層30とその下層の造形層30とは一体化して三次元形状造形物の一部を構成する。
以後、粉末の供給・平坦化よる粉末層31を形成する工程、ヘッド52による造形液吐出工程を必要な回数繰り返すことによって、三次元形状造形物(立体造形物)を完成させる。

0086

以上の本発明の立体造形物の製造方法及び製造装置により、複雑な立体(三次元(3D))形状の立体造形物を、本発明の前記立体造形用粉末を用いて簡便かつ効率良く、焼結等の前に型崩れが生じることなく、寸法精度良く製造することができる。
こうして得られた立体造形物及びその焼結体は、空隙や組成ムラがなく、充分な強度を有し、寸法精度に優れ、微細な凹凸、曲面なども再現できるので、美的外観にも優れ、高品質であり、各種用途に好適に使用することができる。

0087

以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。

0088

(実施例1)
<立体造形用粉末1の作製>
−焼結助剤の芯材への埋込−
芯材としてアルミニウム粉末(東洋アルミニウム株式会社製、体積平均粒径35μm)、焼結助剤としてシリコン粉末(東京印刷機トレーディング株式会社製、体積平均粒径2μm)を用い、以下の条件でヘンシェルミキサーによる撹拌を行い、焼結助剤を芯材に埋め込んだ。

0089

−ヘンシェルミキサーによる撹拌−
装置としては、日本コークス工業株式会社製のヘンシェルミキサーFM10B/Iを用いた。前記アルミニウム粉末とシリコン粉末を所定量(アルミニウム粉末:シリコン粉末=99:1(体積比))装置内に入れ、ミキサー回転数1,000rpm、撹拌時間1分間で撹拌した。ヘンシェルミキサーによる撹拌終了時の、芯材への焼結助剤の埋没状態を表面SEM写真で図13に示した。図13の表面SEM写真から、黒色Si粉末、白色の粒子がAl粒子であり、多数の黒色のSi粉末がAl粒子の表面に打ち込まれていることがわかる。

0090

被覆液1の芯材表面への被覆−
次に、市販のコーティング装置(パウレック社製、MP−01)を用いて、焼結助剤を埋め込んだ芯材に対し、所定の被覆厚みになるように、被覆液(ポリビニルブチラールトルエン溶液、ポリビニルブチラールは積水化学株式会社製)をコーティングした。以上により、立体造形用粉末1を得た。

0091

(実施例2)
<立体造形用粉末2の作製>
実施例1において、ヘンシェルミキサーによる撹拌をミキサー回転数1,000rpm、撹拌時間3分間で撹拌に変更した(ただし、装置内部の温度上昇を防ぐため、1分間の撹拌毎に停止してインターバルを設けた)以外は、実施例1と同様にして、立体造形用粉末2を得た。ヘンシェルミキサーによる撹拌終了時の、芯材への焼結助剤の埋没状態を表面SEM写真で図14に示した。図14の表面SEM写真から、黒色がSi粉末、白色の粒子がAl粒子であり、多数の黒色のSi粉末がAl粒子の表面に打ち込まれていることがわかる。

0092

(実施例3)
<立体造形用粉末3の作製>
実施例1において、ヘンシェルミキサーによる撹拌をミキサー回転数2,000rpm、撹拌時間1分間で撹拌に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形用粉末3を得た。ヘンシェルミキサーによる撹拌終了時の、芯材への焼結助剤の埋没状態を表面SEM写真で図15に示した。図15の表面SEM写真から、黒色がSi粉末、白色の粒子がAl粒子であり、多数の黒色のSi粉末がAl粒子の表面に打ち込まれていることがわかる。

0093

(実施例4)
<立体造形用粉末4の作製>
実施例1において、ヘンシェルミキサーによる撹拌をミキサー回転数2,000rpm、撹拌時間3分間で撹拌に変更した(ただし、装置内部の温度上昇を防ぐため、1分間の撹拌毎に停止してインターバルを設けた)以外は、実施例1と同様にして、立体造形用粉末4を得た。ヘンシェルミキサーによる撹拌終了時の、芯材への焼結助剤の埋没状態を表面SEM写真で図16に示した。図16の表面SEM写真から、黒色がSi粉末、白色の粒子がAl粒子であり、多数の黒色のSi粉末がAl粒子の表面に打ち込まれていることがわかる。

0094

(実施例5)
得られた前記立体造形用粉末1を用い、サイズ(長さ70mm×12mm)の形状印刷パターンにより、立体造形物1を以下のようにして製造した。

0095

1)まず、公知の粉末積層造形装置を用いて、供給側粉末貯留槽から造形側粉末貯留槽に前記立体造形用粉末1を移送させ、前記支持体上に平均厚みが100μmの立体造形用粉末1による薄層を形成した。

0096

2)次に、形成した立体造形用粉末1による薄層の表面に、液体(トルエン)を、公知のインクジェット吐出ヘッドのノズルから付与(吐出)し、前記ポリビニルブチラールを水に溶かし、固化した。

0097

3)次に、前記1)及び前記2)の操作を所定の3mmの総平均厚みになるまで繰返し、硬化した前記立体造形用粉末1による薄層を順次積層していき、乾燥機を用いて、75℃で10時間維持し、乾燥工程を行い、立体造形物1を得た。
乾燥後の立体造形物1に対し、エアーブローにより余分な前記立体造形用粉末1を除去したところ、型崩れを生じることはなく、強度、及び寸法精度にも優れていた。また、空隙や組成ムラのない緻密な焼結体が得られた。

0098

(実施例6〜8)
実施例5において、立体造形用粉末1を立体造形用粉末2〜4に変えた以外は、実施例1と同様にして、立体造形物2〜4を得た。
得られた立体造形物2〜4は、いずれも強度、及び寸法精度にも優れていた。また、空隙や組成ムラのない緻密な焼結体が得られた。

0099

本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1>芯材と、焼結助剤とを含み、
前記焼結助剤は、該焼結助剤の少なくとも一部が前記芯材に埋没した状態であることを特徴とする立体造形用粉末である。
<2> 前記芯材は難焼結材料である前記<1>に記載の立体造形用粉末である。
<3> 前記芯材は樹脂によって被覆されている前記<1>又は<2>に記載の立体造形用粉末である。
<4> 前記焼結助剤が前記芯材と共に樹脂によって被覆されている前記<3>に記載の立体造形用粉末である。
<5> 前記焼結助剤は、前記芯材表面から前記焼結助剤の体積平均粒径の10%以上が埋没した状態である前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<6> 前記焼結助剤の構成元素はすべて前記芯材の構成元素に含まれる前記<1>から<5>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<7>焼結時に液相と固相が存在し、
前記液相から前記固相への溶解度よりも、前記固相から前記液相への溶解度の方が高い前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形用粉末を用いて粉末層を形成する粉末層形成工程と、
前記立体造形用粉末における芯材を被覆する樹脂を溶解可能な液体を前記粉末層の造形領域に付与して固化する粉末層固化工程と、
前記粉末層形成工程と前記粉末層固化工程を繰り返し、焼結前駆体を作製する焼結前駆体作製工程と、
前記焼結前駆体を焼結する焼結工程と、
を含むことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<9> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形用粉末を容器中に充填してなる粉末入り容器である。
<10> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形用粉末を用いて粉末層を形成する粉末層形成手段と、
前記立体造形用粉末における芯材を被覆する樹脂を溶解可能な液体を前記粉末層の造形領域に付与して固化する粉末層固化手段と、
前記粉末層の固化物を積層してなる焼結前駆体を作製する焼結前駆体作製手段と、
前記焼結前駆体を焼結する焼結手段と、
を有することを特徴とする立体造形物の製造装置である。
<11> 芯材と、焼結助剤とを含み、前記焼結助剤は、該焼結助剤の少なくとも一部が前記芯材に埋没した状態である立体造形用粉末を用いて粉末層を形成し、
前記立体造形用粉末における芯材を被覆する樹脂を溶解可能な液体を前記粉末層の造形領域に付与して固化し、
前記粉末層の形成と前記粉末層の固化を繰り返して、焼結前駆体を作製し、
前記焼結前駆体を焼結する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする立体造形プログラムである。

実施例

0100

前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形用粉末、前記<8>に記載の立体造形物の製造方法、前記<9>に記載の粉末入り容器、前記<10>に記載の立体造形物の製造装置、及び前記<11>に記載の立体造形プログラムによると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。

先行技術

0101

特表2006−521264号公報

0102

101芯材
102焼結助剤
103樹脂
105焼結前駆体(グリーン体)
106固相
107 液相
108焼結体
110立体造形用粉末

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