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技術 リポジストロフィーおよびインスリン産生の欠損またはインスリンシグナル伝達の欠損と関連する代謝性障害を処置する方法

出願人 ノバルティスアーゲー
発明者 ダイナー,ジョンルイスガオ,ジアピンシービンガー,リックジェローム
出願日 2020年5月29日 (7ヶ月経過) 出願番号 2020-094831
公開日 2020年9月17日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-147583
状態 未査定
技術分野 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 ペプチド又は蛋白質 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード SEシステム 誘導性部分 一次媒体 部分型 貯蔵部分 延長型 濃縮溶液中 処置モード
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題

解決手段

INSR障害を有する患者に、治療有効量の(a)単離ヒトFGF21ポリペプチド;又は(b)FGF21タンパク質変異体投与するステップを含む方法。前記FGF21タンパク質変異体が変異体76、又はFc融合タンパク質であることが好ましい。

概要

背景

線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーは、22の、遺伝子的には顕著に異なるが、
相同リガンドを特徴とし、7つのサブファミリーに群分けされる。公表された文献に従
うと、FGFファミリーは、現在のところ、FGF−1〜FGF−23の、少なくとも2
3のメンバーからなる(Reuss et al. (2003) Cell Tissue Res. 313:139-157)。

FGF−21は、マウス胚から単離されたものであり、FGF−19およびFGF−2
3と近縁である。このFGFサブファミリーは、古典的FGFでは一般的でない多様な生
理学的過程、すなわち、エネルギーホメオスタシスおよび胆汁酸ホメオスタシス、グルコ
ース代謝および脂質代謝、ならびにリン酸ホメオスタシスのほか、ビタミンDホメオスタ
シスも調節する。さらに、古典的FGFと異なり、このサブファミリーは、内分泌によっ
ても作用する(Moore, D.D. (2007) Science 316, 1436-8)。線維芽細胞増殖因子21(
FGF21)は、肝臓内優先的に発現することが報告されており(Nishimura et al.,
Biochimica et Biophysica Acta, 1492:203-206, (2000);国際特許公開第01/366
40号パンフレット;および国際特許公開第01/18172号パンフレット)、虚血性
血管疾患創傷治癒、および肺細胞機能、気管支細胞機能、または肺胞細胞機能の喪失
らびに他の多数の障害と関連する疾患のための処置として記載されている。

FGF21は、強力な代謝性調節因子として同定されている。FGF21の、食餌誘導
肥満または遺伝性肥満および糖尿病を伴う齧歯動物およびアカゲザルへの全身投与は、
強力な血圧降下効果およびトリグリセリド低下効果を及ぼし、体重の低減をもたらす(Co
skun, T, et al. (2008) Endocrinology 149:6018-6027; Kharitonenkov, A, et al. (20
05) Journal of Clinical Investigation 115:1627-1635; Kharitonenkov, A, et al. (2
007) Endocrinology 148:774-781; Xu, J, et al. (2009) Diabetes 58:250-259)。FG
F21は、28アミノ酸リーダー配列を含有する、209アミノ酸のポリペプチドであ
る。ヒトFGF21は、マウスFGF21に対する約79%のアミノ酸同一性と、ラット
FGF21に対する約80%のアミノ酸同一性とを有する。

FGF−21は、FGF受容体、ならびにFRS2aおよびERKを含む下流のシグナ
伝達分子活性化させるが、FGFR単独とFGF−21との直接的相互作用は検出さ
れていない。さらに、多くの細胞型は、複数のFGFRアイソフォームを発現させるが、
FGF−21に応答しない。これらのデータの全ては、共因子が、FGFRを介するFG
F−21シグナル伝達を媒介しているに違いないことを示唆する。近年の研究では、FG
F−21に対する細胞応答決定基として、肝臓内、脂肪細胞内、および膵臓内で高度に
発現するβ−クロトーが同定されている(Kurosu, H. et al. (2007) J Biol Chem 282,
26687-95)。β−クロトーは、FGFR1c、FGFR2c、FGFR3c、およびFG
FR4に優先的に結合する。β−クロトー−FGFR複合体は、in vitroにおい
て、FGF−21に結合するが、FGFR単独は、FGF−21に結合しない(Khariton
enkov, A. et al. (2008) J Cell Physiol 215, 1-7)。同様の機構は、FGF−23−
クロトー−FGFR系においても同定されている(Urakawa, I. et al. (2006) Nature 4
44, 770-4)。

FGF−21の生体活性は、マウス3T3−L1脂肪細胞グルコース取込みアッセイ
おいて、最初に同定された(Kharitonenkov, A. et al. (2005) J Clin Invest 115, 162
7-35)。その後、FGF−21は、インスリン非依存性のグルコース取込みおよびGLU
T1の発現を誘導することが示された。FGF−21はまた、糖尿病齧歯動物モデルの範
囲内で高血糖症を改善することも示されている。加えて、FGF−21を過剰発現させる
トランスジェニックマウスは、体重および脂肪量の減少、ならびにインスリン感受性の増
強を含む、食餌誘導性代謝異常に対して抵抗性であることが見出された(Badman, M.K. e
t al. (2007) Cell Metab 5, 426-37)。FGF−21の、糖尿病性非ヒト霊長動物への
投与は、空腹時血漿グルコースレベル、空腹時血漿トリグリセリドレベル、空腹時血漿イ
スリンレベル、および空腹時血漿グルカゴンレベルの低下を引き起こし、HDLレス
テロールのほぼ80%の増大を含む、リポタンパク質プロファイルの顕著な改善をもたら
した(Kharitonenkov, A. et al. (2007) Endocrinology 148, 774-81)。重要なことは
、このNHP研究中のいかなる時点においても、低血糖症が観察されなかったことである
。さらに、近年の研究では、FGF−21が、空腹状態への適合を制御する一助となる、
重要な内分泌ホルモンとして同定されている。これにより、かつては欠落していた連関
あり、肝臓が、エネルギーホメオスタシスの生体反応の調節において、体内残余部分
生体情報をやり取りする場である、PPARαの下流部分が充当された。

概要

1型糖尿病、脂質異常症、高血糖症、低血糖症、耐糖能異常、HIVHAART誘導性部分リポジストロフィーメタボリック症候群非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)等のインスリン受容体障害(INSR障害)を処置する方法の提供。INSR障害を有する患者に、治療有効量の(a)単離ヒトFGF21ポリペプチド;又は(b)FGF21タンパク質変異体を投与するステップを含む方法。前記FGF21タンパク質変異体が変異体76、又はFc融合タンパク質であることが好ましい。なし

目的

本発明はまた、本明細書で開示されるポリペプチド変異体およびタンパク質変異体と、
薬学的に許容される製剤化剤とを含む、医薬組成物を含む処置法も提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

インスリン受容体障害(INSR障害)を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の(a)単離ヒトFGF21ポリペプチド;または(b)FGF21タンパク質変異体投与するステップを含む方法。

請求項2

前記INSR障害が、1型糖尿病である、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記INSR障害が、脂質異常症である、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記INSR障害が、高血糖症である、請求項1に記載の方法。

請求項5

前記INSR障害が、低血糖症である、請求項1に記載の方法。

請求項6

前記INSR障害が、耐糖能異常である、請求項1に記載の方法。

請求項7

前記INSR障害が、HIVHAART誘導性部分リポジストロフィーである、請求項1に記載の方法。

請求項8

前記INSR障害が、メタボリック症候群である、請求項1に記載の方法。

請求項9

前記INSR障害が、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である、請求項1に記載の方法。

請求項10

前記FGF21タンパク質変異体が、変異体76である、請求項1に記載の方法。

請求項11

前記FGF21タンパク質変異体が、Fc融合タンパク質である、請求項1に記載の方法。

請求項12

前記Fc融合タンパク質が、表1から選択される、請求項11に記載の方法。

請求項13

前記Fc融合タンパク質が、変異体101である、請求項11に記載の方法。

請求項14

インスリン受容体障害(INSR障害)を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のFGF21タンパク質変異体を投与するステップを含み、前記FGF21タンパク質変異体を、投与方式との適性について選択される薬学的または生理学的に許容される製剤と混合された治療有効量のFGF21タンパク質変異体を含む医薬組成物の形態で投与する方法。

請求項15

インスリン受容体障害(INSR障害)を処置する方法であって、それを必要とする対象に、1または複数のPEGサブユニット共有結合的に修飾された治療有効量のFGF21タンパク質変異体を投与するステップを含む方法。

技術分野

0001

本発明は、インスリン抵抗性と関連する代謝性疾患、具体的には、インスリン受容体
突然変異(例えば、A型インスリン抵抗性、ラブソン−メンデンホール症候群およびド
ヒュー症候群)および自己免疫性インスリン抵抗性(B型インスリン抵抗性としてもま
た公知である)から生じるものを含むインスリン受容体障害(INSR障害またはIR障
害);家族性部分型リポジストロフィー障害、後天性部分型リポジストロフィー障害、お
よびHIVHAART誘導性部分型リポジストロフィー障害により引き起こされるイン
スリ抵抗性および関連する混合型脂質異常症を処置し、これらの患者死亡率および罹
患率を低減する方法に関する。本発明はまた、1型糖尿病を患う患者など、インスリン
生が欠損した患者を処置する方法にも関する。

背景技術

0002

線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーは、22の、遺伝子的には顕著に異なるが、
相同リガンドを特徴とし、7つのサブファミリーに群分けされる。公表された文献に従
うと、FGFファミリーは、現在のところ、FGF−1〜FGF−23の、少なくとも2
3のメンバーからなる(Reuss et al. (2003) Cell Tissue Res. 313:139-157)。

0003

FGF−21は、マウス胚から単離されたものであり、FGF−19およびFGF−2
3と近縁である。このFGFサブファミリーは、古典的FGFでは一般的でない多様な生
理学的過程、すなわち、エネルギーホメオスタシスおよび胆汁酸ホメオスタシス、グルコ
ース代謝および脂質代謝、ならびにリン酸ホメオスタシスのほか、ビタミンDホメオスタ
シスも調節する。さらに、古典的FGFと異なり、このサブファミリーは、内分泌によっ
ても作用する(Moore, D.D. (2007) Science 316, 1436-8)。線維芽細胞増殖因子21(
FGF21)は、肝臓内優先的に発現することが報告されており(Nishimura et al.,
Biochimica et Biophysica Acta, 1492:203-206, (2000);国際特許公開第01/366
40号パンフレット;および国際特許公開第01/18172号パンフレット)、虚血性
血管疾患創傷治癒、および肺細胞機能、気管支細胞機能、または肺胞細胞機能の喪失
らびに他の多数の障害と関連する疾患のための処置として記載されている。

0004

FGF21は、強力な代謝性調節因子として同定されている。FGF21の、食餌誘導
肥満または遺伝性肥満および糖尿病を伴う齧歯動物およびアカゲザルへの全身投与は、
強力な血圧降下効果およびトリグリセリド低下効果を及ぼし、体重の低減をもたらす(Co
skun, T, et al. (2008) Endocrinology 149:6018-6027; Kharitonenkov, A, et al. (20
05) Journal of Clinical Investigation 115:1627-1635; Kharitonenkov, A, et al. (2
007) Endocrinology 148:774-781; Xu, J, et al. (2009) Diabetes 58:250-259)。FG
F21は、28アミノ酸リーダー配列を含有する、209アミノ酸のポリペプチドであ
る。ヒトFGF21は、マウスFGF21に対する約79%のアミノ酸同一性と、ラット
FGF21に対する約80%のアミノ酸同一性とを有する。

0005

FGF−21は、FGF受容体、ならびにFRS2aおよびERKを含む下流のシグナ
伝達分子活性化させるが、FGFR単独とFGF−21との直接的相互作用は検出さ
れていない。さらに、多くの細胞型は、複数のFGFRアイソフォームを発現させるが、
FGF−21に応答しない。これらのデータの全ては、共因子が、FGFRを介するFG
F−21シグナル伝達を媒介しているに違いないことを示唆する。近年の研究では、FG
F−21に対する細胞応答決定基として、肝臓内、脂肪細胞内、および膵臓内で高度に
発現するβ−クロトーが同定されている(Kurosu, H. et al. (2007) J Biol Chem 282,
26687-95)。β−クロトーは、FGFR1c、FGFR2c、FGFR3c、およびFG
FR4に優先的に結合する。β−クロトー−FGFR複合体は、in vitroにおい
て、FGF−21に結合するが、FGFR単独は、FGF−21に結合しない(Khariton
enkov, A. et al. (2008) J Cell Physiol 215, 1-7)。同様の機構は、FGF−23−
クロトー−FGFR系においても同定されている(Urakawa, I. et al. (2006) Nature 4
44, 770-4)。

0006

FGF−21の生体活性は、マウス3T3−L1脂肪細胞グルコース取込みアッセイ
おいて、最初に同定された(Kharitonenkov, A. et al. (2005) J Clin Invest 115, 162
7-35)。その後、FGF−21は、インスリン非依存性のグルコース取込みおよびGLU
T1の発現を誘導することが示された。FGF−21はまた、糖尿病齧歯動物モデルの範
囲内で高血糖症を改善することも示されている。加えて、FGF−21を過剰発現させる
トランスジェニックマウスは、体重および脂肪量の減少、ならびにインスリン感受性の増
強を含む、食餌誘導性代謝異常に対して抵抗性であることが見出された(Badman, M.K. e
t al. (2007) Cell Metab 5, 426-37)。FGF−21の、糖尿病性非ヒト霊長動物への
投与は、空腹時血漿グルコースレベル、空腹時血漿トリグリセリドレベル、空腹時血漿イ
ンスリンレベル、および空腹時血漿グルカゴンレベルの低下を引き起こし、HDLレス
テロールのほぼ80%の増大を含む、リポタンパク質プロファイルの顕著な改善をもたら
した(Kharitonenkov, A. et al. (2007) Endocrinology 148, 774-81)。重要なことは
、このNHP研究中のいかなる時点においても、低血糖症が観察されなかったことである
。さらに、近年の研究では、FGF−21が、空腹状態への適合を制御する一助となる、
重要な内分泌ホルモンとして同定されている。これにより、かつては欠落していた連関
あり、肝臓が、エネルギーホメオスタシスの生体反応の調節において、体内残余部分
生体情報をやり取りする場である、PPARαの下流部分が充当された。

発明が解決しようとする課題

0007

FGF21ポリペプチドおよびFGF21タンパク質のほか、これらの変異体および突
然変異体も、それらの、肥満および2型糖尿病(T2D)に対する代謝効果について評価
されている。しかし、FGF21の、インスリン受容体突然変異障害(INSR障害)お
よびリポジストロフィーと関連する多様な代謝の状態に対する効果は立証されていない。
本出願では、FGF21の、T1D、インスリン受容体突然変異、または自己免疫性障害
(INSR障害)およびHIV/HAART(Highly Active Anti-Retroviral Therapy
HIV感染を伴う患者を処置するのに使用される))誘導性部分型リポジストロフィー
に対する効果について記載するが、本発明の方法は、T2DMおよびインスリン抵抗性と
関連する公知の疾患に加えて、前記代謝性疾患の処置にも有用である。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、これらの変異体および突然変異体を含む、線維芽細胞増殖因子21(FGF
21)タンパク質およびFGF21ポリペプチド、ならびにこれらを含む医薬組成物につ
いて、新たな治療機能、すなわち、インスリン受容体(INSR)突然変異と関連する代
謝の状態を含む、インスリン抵抗性と関連する代謝性疾患を処置する薬剤としての新たな
治療機能の同定に関する。

0009

一部の実施形態では、本発明の方法は、例えば、NCBI参照配列番号をNP_061
986.1とし、NCBI参照配列番号をNM_019113.2とするポリヌクレオ
ド配列によりコードされ、例えば、Chiron Corporationに移譲された
米国特許第6,716,626B1号明細書などの交付済み特許において見出される、野
生型FGF21タンパク質を含む。

0010

一部の実施形態では、本発明の方法は、FGF21タンパク質配列の変異体、例えば、
生物学的に活性のFGF21変異体を含み、FGF21タンパク質の切断型C末端領域
および/またはN末端領域に由来する残基を消失させ、これにより、タンパク質を短縮/
切断する)のほか、目的の位置における、アミノ酸の、1または複数の点置換および/ま
たは部位特異的組込みを伴う(例えば、保存的アミノ酸残基、非保存的残基、またはピロ
リシンなどの非天然アミノ酸残基を伴う)変異体も含みうる。

0011

前記変異体の代表例は、例えば、PCT国際公開第2012/066075号パンフレ
ット(2012年5月24日に、Novartis AGにより出願された)において記
載されている。好ましい実施形態は、PCT国際公開第2012/066075号パンフ
レットおよび本明細書において、「変異体76」、「FGF21 V76」、「V76」
などと記載されているもので、9つの点突然変異を含む177アミノ酸残基を伴う、遺伝
子操作されたFGF21変異体である。別の好ましい実施形態は、PCT国際公開第20
13/049247号パンフレットおよび本明細書において、「変異体101」、「FG
F21(v101)」、「V101」などと記載されているもので、2つのアミノ酸リン
カーにより、9つの点突然変異を伴う、遺伝子操作されたFGF21変異体に連結された
Fc融合タンパク質である。好ましい実施形態は、以下の表(表1):

0012

0013

0014

見出すことができる。

0015

本発明の方法において使用される、FGF21の前記修飾は、野生型FGF21タンパ
ク質と比べた変異体の生物学的特性を増強するようにデザインされるほか、場合によって
、例えば、標識およびタンパク質半減期延長剤を付加する点として用いられ、前記変異体
を、固体支持体の表面に固定する目的でも用いられる。

0016

多様な実施形態では、本明細書で開示される前記ポリペプチド変異体およびタンパク質
変異体は、(a)8アミノ酸残基を超えないアミノ末端切断型であって、ポリペプチドに
より、哺乳動物における血中グルコースを低下させることが可能なアミノ末端切断型;(
b)12アミノ酸残基を超えないカルボキシル末端切断型であって、ポリペプチドにより
、哺乳動物における血中グルコースを低下させることが可能なカルボキシル末端切断型;
または(c)8アミノ酸残基を超えないアミノ末端切断型および12アミノ酸残基を超え
ないカルボキシル末端切断型であって、ポリペプチドにより、哺乳動物における血中グル
コースを低下させることが可能なアミノ末端切断型およびカルボキシル末端切断型を含み
うる。

0017

さらに他の実施形態では、本発明の方法は、例えば、
交付済みの米国特許第7,491,697号明細書;米国特許第8,541,369号明
細書;米国特許第8,012,931号明細書;米国特許第8,383,365号明細書

公開済みの米国特許出願およびPCT特許出願である、米国特許出願公開第2011/0
195895号明細書;米国特許出願公開第2012/0052069号明細書;米国特
許出願公開第2010/0216715号明細書;米国特許出願公開第2009/011
8190号明細書;米国特許出願公開第2012/0264683号明細書;国際公開第
10/084169号パンフレット;国際公開第10/142665号パンフレット;米
国特許出願公開第2008/0176790号明細書;国際公開第11/089203号
パンフレット;国際公開第11/020319号パンフレット;国際公開第12/062
078号パンフレット;米国特許出願公開第2010/0285131号明細書;国際公
開第10/042747号パンフレット;および米国特許出願公開第2011/0135
657号明細書
に記載されている変異体のほか、任意の関連出願、交付済みの特許に記載されている変異
体など、FGF21タンパク質配列の変異体、ならびに米国および他の諸国の両方におけ
る任意の関連出願、交付済みの特許に記載されている、上記のファミリーメンバーも含む

0018

さらに他の実施形態では、本発明の方法は、例えばシステイン残基を加えることにより
ジスルフィド結合が生じるように操作された、FGF21タンパク質配列の変異体を含む
。前記変異体は、位置について上記で列挙されているジスルフィド結合が生じるように操
作された任意の変異体と共に、例えばPCT国際公開第12/066075号パンフレッ
トにおいて見出すことができる。

0019

一部の実施形態では、本発明の方法は、PEG化されるかまたは他の形で半減期を延長
されたFGF21ポリペプチドまたはタンパク質、例えば、野生型FGF21、またはそ
の突然変異体もしくは変異体を含む。

0020

一部の実施形態では、本発明の方法は、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリ
シアル酸など、1または複数のポリマーであって、野生型FGF21と比べて施された部
位特異的アミノ酸修飾の位置におけるものであれ、野生型FGF21と共有されるアミノ
酸の位置におけるものであれ、1または複数のポリマーに共有結合的に連結されたポリペ
プチド変異体およびタンパク質変異体を含む。

0021

一部の実施形態では、本発明の方法は、Fc融合体など、FGF21融合タンパク質
含む。前記融合体は、野生型FGF21またはその突然変異体もしくは変異体を含みうる
。一部の実施形態では、本発明の方法は、任意選択で、GSまたはGGGGSGGGGS
GGGGS(配列番号10)などのリンカーを介して、異種アミノ酸配列に融合しうるポ
ペプチドを含む。異種アミノ酸配列は、IgG定常ドメインまたはその断片(例えば、
Fc領域)の場合もあり、ヒト血清アルブミンHSA)の場合もあり、アルブミン結合
性ポリペプチドの場合もある。このような方法は、前記融合ポリペプチド多量体を含み
うる。一部の実施形態では、本発明の方法は、異種アミノ酸配列(例えば、HSA、Fc
など)を、FGF21タンパク質または記載されている突然変異体もしくは変異体のアミ
末端に融合した融合タンパク質を含み、他の実施形態では、融合は、FGF21タンパ
ク質または突然変異体もしくは変異体のカルボキシル末端において生じる。

0022

本発明はまた、本明細書で開示されるポリペプチド変異体およびタンパク質変異体と、
薬学的に許容される製剤化剤とを含む、医薬組成物を含む処置法も提供する。このような
医薬組成物は、代謝性障害を処置するための方法において使用することができ、本方法は
、それを必要とするヒト患者に、本発明の医薬組成物を投与するステップを含む。処置さ
れうる代謝性障害の非限定的な例は、1型糖尿病およびINSR突然変異障害を含む。

0023

本発明のこれらの態様および他の態様は、本発明についての、以下の詳細な記載におい
解明されるであろう。

図面の簡単な説明

0024

STZマウスに、野生型FGF21(図1A)および変異体76(Cmpd−A)(図1B)を投与する場合の、グルコースレベルの変化を示すグラフ表示である[STZとは、ベータ細胞毒素である、ストレプトゾトシンである]。野生型FGF21(1kg当たり3mgずつ、毎日回投与)は、STZマウスにおけるグルコースを、5日目(D5)から減少させた。変異体76(Cmpd−Aと称する)(1kg当たり1または3mgずつ、毎週2回投与)は、STZマウスにおけるグルコースを、1kg当たり3mgの用量では、2日目(D2)から、1kg当たり1mgの用量では、11日目(D11)から減少させた。
HbA1cレベルの変化を示すグラフ表示である。変異体76(Cmpd−Aと称する)を、1kg当たり1mgの用量および1kg当たり3mgの用量の両方で投与したところ、HbA1cレベルの低減を示した。
STZマウスに、野生型FGF21(図3A)および変異体76(図3B)を投与する場合の、呼吸交換比(RER)レベルの変化を示すグラフ表示である。野生型FGF21(1kg当たり3mgずつ、毎日1回投与)は、STZマウスにおけるRERを増大させ、変異体76(Cmpd−Aと称する)(1kg当たり1または3mgずつ、毎週2回投与)は、STZマウスにおけるグルコース利用量を増大させた。
STZマウスに、野生型FGF21(図4A)および変異体76(図4B)を投与する場合の、エネルギー消費量レベルの変化を示すグラフ表示である。野生型FGF21(1kg当たり3mgずつ、毎日1回投与)は、STZマウスにおけるエネルギー消費量を増大させ、変異体76(Cmpd−Aと称する)(1kg当たり1または3mgずつ、毎週2回投与)も、STZマウスにおけるエネルギー消費量を増大させた。
STZマウスに、野生型FGF21(図5A)および変異体76(Cmpd−A)(図5B)を投与する場合の、食物摂取量の変化を示すグラフ表示である。野生型FGF21(1kg当たり3mgずつ、毎日1回投与)および変異体76(1kg当たり1または3mgずつ、毎週2回投与)のいずれも、STZマウスにおける累積食物摂取量を減少させた。
STZマウスに、野生型FGF21(図6A)および変異体76(Cmpd−Aと称する)(図6B)を投与する場合の、ケトン生成量の変化を示すグラフ表示である。野生型FGF21(1kg当たり3mgずつ、毎日1回投与)および変異体76(1kg当たり1または3mgずつ、毎週2回投与)のいずれも、STZマウスにおけるケトン生成量を減少させた。
STZマウスに、野生型FGF21(図7A)および変異体76(Cmpd−Aと称する)(図7B)を投与する場合の、副睾丸脂肪量の変化を示すグラフ表示である。野生型FGF21(1kg当たり3mgずつ、毎日1回投与)は、STZマウスにおける脂肪組織の減少を低減し、変異体76(1kg当たり1または3mgずつ、毎週2回投与)は、STZマウスにおける脂肪組織によるケトン生成量の減少を低減した。
インスリン受容体に対する阻害性モノクローナル抗体の投与を介するインスリン受容体(INSR)の遮断は、過剰量のインスリン(100nM)の存在下で、分化させたヒト脂肪細胞による、インスリン依存性グルコース取込みを完全に遮断する(図8A)が;100nMのFGF21は、最大10nMの抗INSR Abの存在下で、グルコース取込みを促進することがなおも可能である(図8B)ことから、FGF21治療は、B型インスリン抵抗性(自己免疫性インスリン抵抗性)において有益であることが可能であり、この延長線上でまた、一般に欠損性の(すなわち、突然変異させた)インスリン受容体の存在下における、インスリン非依存性グルコース取込みも促進しうることを示す図である。
HIVプロテアーゼ阻害剤であるリトナビルによる処置の、マウスにおける、体重増加体脂肪増加、および血漿トリグリセリドのそれぞれに対する影響を示す図である。
FGF21 v76を伴うかまたは伴わない、リトナビルの影響を、全ての場合に、疾患状態を誘導するように、リトナビルで51日間にわたりあらかじめ処置され、次いで、疾患状態を処置するように、FGF21およびリトナビルの両方で23日間にわたり処置されるマウスにおいて、以下のリードアウト:体重(図10A);および白色脂肪組織(WAT)重量(図10B)に従い、標準固形飼料を施され、PBSで処置される対照マウスと比較して示す図である。
FGF21 v76を伴うかまたは伴わない、リトナビルの影響を、全ての場合に、疾患状態を誘導するように、リトナビルで51日間にわたりあらかじめ処置され、次いで、疾患状態を処置するように、FGF21およびリトナビルの両方で23日間にわたり処置されるマウスにおいて、以下のリードアウト:血漿グルコース(経口糖負荷試験(OGTT)時の)(図10C);およびホメオスタシスモデルにより評価されたインスリン抵抗性(HOMA−IR)(図10D)に従い、標準固形飼料を施され、PBSで処置される対照マウスと比較して示す図である。
FGF21 v76を伴うかまたは伴わない、リトナビルの影響を、全ての場合に、疾患状態を誘導するように、リトナビルで51日間にわたりあらかじめ処置され、次いで、疾患状態を処置するように、FGF21およびリトナビルの両方で23日間にわたり処置されるマウスにおいて、以下のリードアウト:肝臓脂質含量(図10E)に従い、標準固形飼料を施され、PBSで処置される対照マウスと比較して示す図である。
マウスの飼料中の0.6% t10,c12共役リノール酸(t10,c12 CLA)の、脂肪体重量(下記でより詳細に説明される通り、リポジストロフィーを誘導すると考えられる)に対する効果のプロファイルを、標準固形飼料と対比して、時間の関数として示す図である。図11Bは、研究の終了時における前記効果を示す図である。
図12AおよびBは、「予防」モードまたは「処置」モード(本明細書で記載される用語)で投与されたFGF21(v101)、および処置モードで投与されたレプチンはいずれも、マウスの飼料中の0.6% t10,c12共役リノール酸(t10,c12 CLA)により誘導される、肝臓重量の増大(図12A)、および肝臓脂肪含量の増大(図12B)のそれぞれを反転することを示す図である。
図12CおよびDは、「予防」モードまたは「処置」モード(本明細書で記載される用語)で投与されたFGF21(v101)、および処置モードで投与されたレプチンはいずれも、マウスの飼料中の0.6% t10,c12共役リノール酸(t10,c12 CLA)により誘導される、高血糖症(図12C)、および高インスリン血症(図12D)のそれぞれを反転することを示す図である。
図12Eは、OGTTを使用して測定される通り、同じ条件下で、予防モードまたは処置モードで投与されたFGF21(v101)は、前記誘導された耐糖能異常を反転しうるが、処置モードで投与されたレプチンは、これを反転しえないことを示す図である。

0025

本発明の方法は、1型糖尿病およびインスリン抵抗性と関連する代謝性疾患、例えば、
インスリン受容体(IR)突然変異と関連する障害またはリポジストロフィーに罹患する
対象のための、改善された治療的処置発見に基づく。

0026

表現型を変化させる、INSRの複数の不活化突然変異が記載されている。患者は、思
期において高血糖症へと進行するインスリンの作用に対する重度の抵抗性を提示するこ
とが典型的である。現行標準治療は、対象が高血糖性となる場合に、極めて高量のイン
スリン投与を伴う処置であるが、これは、高血糖症をコントロールするのに不十分なこと
が典型的である。現行の処置が収めた成功は、限定的なものである。

0027

FGF21ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにこれらの変異体、融合体、および
突然変異は、かねてより、肥満および2型糖尿病(T2D)に対する代謝効果があること
が認識されていた。しかし、FGF21の、1型糖尿病(T1D)、インスリン受容体突
然変異障害、およびリポジストロフィーに対する効果については、本発明の本方法が得ら
れるまでは、裏付けは得られていなかった。本出願では、FGF21の、T1Dおよびイ
ンスリン受容体突然変異障害およびリポジストロフィーに対する効果について記載するが
、特許請求される本発明の方法は、前記インスリン抵抗性と関連する代謝性疾患、例えば
、1型DM、B型インスリン抵抗性を含むインスリン受容体障害(INSR障害)、およ
びHIV/HAART誘導性部分型リポジストロフィーの処置のために援用することがで
きる。

0028

本明細書においてさらに記載される通り、高用量ストレプトゾトシン(STZ)処置マ
ウスは、高血糖症、インスリン減少症、過剰な脂質利用およびケトン生成のほか、過食症
も呈する、1型糖尿病(T1D)の齧歯動物モデルとして一般に使用されている[STZ
とは、例えば、T1D様症状を伴うマウスモデルの創出において、ベータ細胞を破壊する
ように投与されるベータ細胞毒素である]。野生型FGF21の毎日1回投与、または半
減期延長型FGF21の毎週2回投与による処置は、STZマウスにおける全般的な疾患
状態を改善し、高血糖症の軽減、過剰な食物摂取、およびケトン体蓄積、ならびに炭水
化物利用量およびエネルギー消費量の増大をもたらすのに効果的であった。

0029

変異体76による処置は、STZ処置動物におけるインスリン分泌回復せなかった
。FGF21は、インスリンの非存在下で、脂肪細胞内のグルコース取込みを誘導しうる
という初期の観察にも拘らず、本発明者らは、in vivoにおけるこの効果を提起す
る最初のものであり、これらのSTZデータは、in vivoにおけるこの効果を確立
し、FGF21処置が、T1D状況において働きうることを裏付ける最初のものである。
したがって、野生型FGF21ポリペプチドおよびFGF21タンパク質、またはこれら
の変異体、融合体、もしくは突然変異体の投与、T1Dの処置における治療的価値をもた
らしうる。

0030

インスリン分泌の増大の非存在下にあるSTZモデルにおいてFGF21の効果が裏付
けられたために、本発明者らは、FGF21類似体を、INSR自体の機能不全により(
INSR内の突然変異により、またはINSRに対する中和性自己抗体により)引き起こ
される、インスリンシグナル伝達機能障害による疾患を処置するのに使用しうることを
提起する。しかし、INSRKOマウスは、生存不可能であり、生後死亡するので、ヒ
ト状態と等価の動物モデルは、現行では存在しない。さらに、マウスにおけるインスリン
受容体の組織特異的KOは、INSR内の突然変異またはINSRに対する自己抗体を伴
うヒトにおいて見られる多様な疾患状態を完全に再現できていない。したがって、本発明
者らは、インスリンによるグルコース取込みが、Ab(10nMのAb)により完全に遮
断された条件下で、FGF21は、これらの細胞内の顕著なグルコース取込みをなおも促
進しうることを示すために、抗ヒトINSR抗体を使用した。これらのデータは、突然変
異により、または抗インスリン受容体抗体により引き起こされる、INSR内の欠損を伴
う患者における、FGF21治療の新規の使用を支持する。

0031

かねてより、FGF21類似体は、糖尿病性レプチン欠損性ob/obマウスにおける
高血糖症、インスリン抵抗性、肥満、および脂質異常症を処置するのに使用しうることが
確立されている(Kharitonenkov, A, et al. (2005) Journal of Clinical Investigatio
n 115)。これらのマウスの共通の特性は、肝臓脂肪の顕著な蓄積である。これらの動物
における肝臓脂肪は、FGF21処置により、急速かつ用量依存的に低減される。肝臓脂
肪の顕著な増大はまた、先天性全身型リポジストロフィーまたは家族性部分型リポジスト
フィー、後天性全身型リポジストロフィーまたは後天性部分型リポジストロフィー、H
IV/HAART誘導性部分型リポジストロフィーおよび/または脂肪肥大症により引き
起こされるインスリン抵抗性および関連する混合型脂質異常症、ならびにHAARTによ
り引き起こされる他の脂質代謝機能不全の種類とも関連する。本明細書では、本発明者ら
は、化学的に(c10−t12リノール酸およびHIVプロテアーゼ阻害剤であるリトナ
ビルにより)誘導される2つのリポジストロフィーに対する新規の処置法であって、FG
F21類似体を使用する処置法を示す。これらの例では、リポジストロフィーの誘導の正
確な機構が異なり、したがって、これらのデータは、インスリン抵抗性および脂質異常症
をもたらす、末梢脂肪の減少および肝臓脂肪の蓄積と関連する任意のリポジストロフィー
の、FGF21類似体を使用する処置へと拡張されるはずである。

0032

本発明の方法は、野生型FGF21ポリペプチドおよび野生型FGF21タンパク質、
その融合体、および変異体、および突然変異体を含む。FGF21野生型配列は、NCB
I参照配列番号をNP_061986.1とし、NCBI参照配列番号をNM_0191
13.2とするポリヌクレオチド配列によりコードされ、例えば、Chiron Cor
porationに移譲された米国特許第6,716,626B1号明細書などの交付
み特許において見出される。

0033

成熟FGF21配列は、リーダー配列を欠き、また、アミノ末端(リーダー配列を伴う
かまたは伴わない)および/またはカルボキシル末端のタンパク質分解プロセシング
大型の前駆体からの小型のポリペプチドの切断、N結合型グリコシル化および/またはO
結合型グリコシル化、ならびに当業者により理解される他の翻訳後修飾など、ポリペプチ
ドの他の修飾も含みうる。

0034

タンパク質発現の当業者は、大腸菌(E. coli)内の発現のために、メチオニンまたは
メチオニン−アルギニン配列を、FGF21タンパク質変異体のうちのいずれかのN末端
に導入することができ、これは、本発明の方法の文脈内でも想定されることを認識するで
あろう。

0035

「FGF21タンパク質変異体」、「ヒトFGF21変異体」、「FGF21ポリペプ
チドまたはFGF21タンパク質変異体」、「変異体」、「FGF21突然変異体」とい
う用語、または任意の類似の用語は、自然発生の(すなわち、野生型の)FGF21アミ
ノ酸配列が、修飾されている、例えば、野生型タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸が
、別のアミノ酸で置換され、かつ/または除去されているヒトFGF21を含むものとし
て定義される。加えて、変異体は、野生型FGF21タンパク質と比べたN末端切断型お
よび/またはC末端切断型も含みうる。一般的に述べると、変異体は、野生型タンパク質
の、一部の構造的または機能的な特性が改変されている。例えば、変異体は、濃縮溶液中
物理的安定性が増強または改善されている(例えば、疎水性に媒介される凝集度が小さ
い)場合もあり、血漿と共にインキュベートされたときの、血漿中の安定性が増強または
改善されている場合もあり、好適な生体活性プロファイルを維持しながら、生体活性が増
強または改善されている場合もある。

0036

本発明の方法によるFGF21ポリペプチドおよびFGF21タンパク質の変異体およ
び突然変異体と、野生型FGF21との差違を構成する、許容可能なアミノ酸置換および
アミノ酸修飾は、非自然発生のアミノ酸類似体による置換を含む、1または複数のアミノ
酸置換、および切断を含むがこれらに限定されない。したがって、FGF21タンパク質
変異体は、本明細書で記載される、部位指向性FGF21突然変異体、切断型FGF21
ポリペプチド、タンパク質分解抵抗型FGF21突然変異体、凝集低減型FGF21突然
変異体、FGF21の組合せによる突然変異体、およびFGF21融合タンパク質を含む
がこれらに限定されない。

0037

変異体は、医薬保存剤(例えば、m−クレゾールフェノールベンジルアルコール
との適合性を増大させており、これにより、保存時におけるタンパク質の物理化学的特性
および生体活性を維持する、保存用医薬製剤の調製を可能とする場合もある。したがって
、医薬としての安定性を、野生型FGF21と比べて増強した変異体は、生理学的条件
および保存用医薬製剤条件下のいずれにおいても、生物学的効力を維持しながら、濃縮
液中の物理的安定性が改善されている。非限定的な例を目的として述べると、本発明の変
異体は、タンパク質分解および酵素的分解に対する抵抗性が大きい可能性があり、安定性
が改善されている可能性があり、それらの野生型対応物より凝集しにくい可能性がある。
本明細書で使用されるこれらの用語は、相互に除外的または限定的なものではなく、所与
の変異体では、野生型タンパク質の1または複数の特性が改変されていることが完全に可
能である。

0038

定義
文書を通して、多様な定義が使用される。大半の語は、当業者によりこれらの語に帰
せられる意味を有する。下記で、または本文書の別の個所で具体的に定義される語は、全
体としての本発明の文脈で与えられ、当業者により典型的に理解される意味を有する。

0039

本明細書で使用される「FGF21」という用語は、線維芽細胞増殖因子(FGF)タ
ンパク質ファミリーのメンバーを指し、GenBank受託番号を、NP_061986
.1とし(その対応するポリヌクレオチド配列は、NCBI参照配列番号を、NM_01
9113.2とする)、例えば、Chiron Corporationに移譲されてい
る、米国特許第6,716,626B1号明細書など、交付済み特許において見出すこと
ができる。

0040

本明細書で使用される「FGF21受容体」という用語は、FGF21の受容体(Khar
itonenkov,A, et al. (2008) Journal of Cellular Physiology 215:1-7; Kurosu,H, et
al. (2007)JBC 282:26687-26695; Ogawa, Y, et al. (2007) PNAS 104:7432-7437)を指
す。

0041

「FGF21ポリペプチド」という用語は、ヒトにおいて発現する自然発生のポリペプ
チドを指す。本開示の目的では、「FGF21ポリペプチド」という用語は、任意の全長
FGF21ポリペプチドであって、209アミノ酸残基からなり、そのポリペプチドの任
意の成熟形態が、181アミノ酸残基からなり、全長FGF21ポリペプチドのアミノ末
端における28アミノ酸残基(すなわち、シグナルペプチドを構成する)が除去されてい
るポリペプチド、およびその変異体を指すように、互換的に使用することができる。

0042

単離核酸分子」という用語は、本発明の核酸分子であって、(1)全核酸供給源
胞から単離する場合に、それと共に天然で見出される、タンパク質、脂質、炭水化物、ま
たは他の物質のうちの少なくとも約50パーセントから分離されているか、(2)「単離
核酸分子」が天然で連結されているポリヌクレオチドの全部または一部に連結されていな
いか、(3)天然では連結されていないポリヌクレオチドに作動可能に連結されているか
、または(4)天然では、大型のポリヌクレオチド配列の一部として生じない核酸分子を
指す。本発明の単離核酸分子は、その天然環境で見出される、他の任意の夾雑核酸分子ま
たは他の夾雑物質であって、ポリペプチドの作製におけるその使用、またはその治療的使
用、診断的使用、予防的使用、もしくは研究的使用に干渉する、夾雑核酸分子または夾雑
物質を実質的に含まないことが好ましい。

0043

単離ポリペプチド」という用語は、供給源細胞から単離する場合に、それと共に天然
で見出される、ポリペプチド、ペプチド、脂質、炭水化物、ポリヌクレオチド、または他
の物質のうちの少なくとも約50パーセントから分離されているポリペプチド(例えば、
本明細書で提示される、FGF21ポリペプチドまたは変異体FGF21ポリペプチド)
を指す。単離ポリペプチドは、その天然環境で見出される、他の任意の夾雑ポリペプチド
または他の夾雑物質であって、その治療的使用、診断的使用、予防的使用、または研究的
使用に干渉する、夾雑ポリペプチドまたは夾雑物質を実質的に含まないことが好ましい。

0044

ベクター」という用語は、コード情報宿主細胞に導入するのに使用される、任意の
分子(例えば、核酸、プラスミド、またはウイルス)を指すのに使用される。

0045

発現ベクター」という用語は、宿主細胞の形質転換に適し、挿入される異種核酸配列
の発現を方向付け、かつ/または制御する核酸配列を含有するベクターを指す。発現は、
転写翻訳、および、イントロンが存在する場合は、RNAスプライシングなどの過程を
含むがこれらに限定されない。

0046

本明細書では、「作動可能に連結された」という用語は、フランキング配列の配置を指
すのに使用され、この場合、そのように記載されるフランキング配列とは、それらの通例
の機能を果たすように、構成またはアセンブルされている。したがって、コード配列に作
動可能に連結されたフランキング配列は、コード配列の複製、転写、および/または翻訳
を実現することが可能でありうる。例えば、プロモーターが、そのコード配列の転写を方
向付けることが可能である場合、コード配列は、プロモーターに作動可能に連結されてい
る。フランキング配列は、それが適正に機能する限りにおいて、コード配列と連続する必
要はない。したがって、例えば、プロモーター配列とコード配列との間には、翻訳されな
いが転写される介在配列が存在する場合もあるが、プロモーター配列は、コード配列に「
作動可能に連結され」ているとなおも考えることができる。

0047

「宿主細胞」という用語は、核酸配列で形質転換されているか、または核酸配列で形質
転換され、次いで、選択される目的の遺伝子を発現させることが可能な細胞を指すのに使
用される。用語は、後代が、形態または遺伝子組成において、元の親細胞と同一であれ、
同一でないのであれ、選択される遺伝子が存在する限りにおいて、親細胞の後代を含む。

0048

本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、自然発生のアミノ酸、自然発生のア
ミノ酸と類似の様式で機能する非天然アミノ酸、アミノ酸類似体、およびアミノ酸模倣体
であって、それらの構造がそのような立体異性形態を可能とする場合には全てD立体異性
体およびL立体異性体である非天然アミノ酸、アミノ酸類似体、およびアミノ酸模倣体を
指す。本明細書では、アミノ酸に、それらの名称で、それらの一般に公知の3文字記号
、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature C
ommissionにより推奨される1文字記号で言及する。

0049

核酸分子、ポリペプチド、宿主細胞などの生体物質との関連で使用される場合の「自然
発生の」という用語は、天然で見出され、人為によりされていない物質を指す。同様に、
本明細書で使用される「非自然発生の」とは、天然で見出されないか、または人為により
構造的に修飾されているか、もしくは合成されている物質を指す。ヌクレオチドとの関連
で使用される場合、「自然発生の」という用語は、塩基である、アデニン(A)、シトシ
ン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、およびウラシル(U)を指す。アミノ酸との
関連で使用される場合、「自然発生の」という用語は、従来の20のアミノ酸(すなわち
アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フ
ニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、リシ
ン(K)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、
グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)
トリプトファン(W)、およびチロシン(Y))のほか、セレノシステインピロリ
ン(PYL)、およびピロリンカルボキシ−リシン(PCL)を指す。

0050

ピロリシン(PYL)とは、メタサルキナ(Methanosarcina)属のメタン生成古細菌
メチルアミンメチルトランスフェラーゼ内において天然で見出されたアミノ酸である。
ピロリシンとは、それぞれのmRNA内の、インフレームUAコドンに共翻訳的に組
み込まれるリシン類似体であり、22番目天然アミノ酸と考えられている。

0051

少なくとも、PCT国際特許公開第2010/48582号パンフレット(出願者:I
RM,LLC)において記載されている通り、大腸菌(E. coli)内でピロリシン(PY
L)を生合成しようとする試みは、本明細書ではピロリン−カルボキシ−リシンまたはP
CLと称する、「脱メチル化ピロリシン」の形成を結果としてもたらす。本明細書で使用
される「PCL」とは、PCL−AまたはPCL−Bを指す。

0052

本明細書で使用される「非天然(non-natural)アミノ酸」および「非天然(unnatural
)アミノ酸」という用語は、同じ生物であれ、異なる生物であれ、任意の生物に由来する
非修飾遺伝子または修飾遺伝子を使用する、任意の生物における生合成では作り出すこと
のできないアミノ酸構造を互換的に表すように意図する。用語は、自然発生(野生型)の
FGF21タンパク質配列中にも、本発明のFGF21変異体の配列中にも存在しないア
ミノ酸残基を指す。これらは、自然発生の20のアミノ酸、セレノシステイン、ピロリシ
ン(PYL)、もしくはピロリン−カルボキシ−リシン(PCL)のうちの1つではない
修飾アミノ酸および/またはアミノ酸類似体を含むがこれらに限定されない。このよう
な非天然アミノ酸残基は、自然発生のアミノ酸の置換により導入することもでき、かつ/
または非天然アミノ酸の、自然発生(野生型)のFGF21タンパク質配列もしくは本発
明のFGF21変異体の配列への挿入により導入することもできる。非天然アミノ酸残基
はまた、所望の機能性、例えば、機能的部分(例えば、PEG)を連結する能力を、FG
F21分子に付与するように組み込むこともできる。

0053

加えて、このような「非天然アミノ酸」とは、タンパク質への組込みのために、修飾t
RNAおよび修飾tRNAシンターゼ(RS)を要請することが理解される。これらの「
選択された」直交tRNA/RS対は、Schultz et al.により開発された選択過程または
ランダム突然変異もしくはターゲティング突然変異により作り出す。例として述べると、
ピロリン−カルボキシ−リシンは、1つの生物から宿主細胞に導入される遺伝子を介して
、生合成により作り出され、天然のtRNAおよびtRNAシンターゼ遺伝子を使用する
ことによりタンパク質に組み込まれるので、「天然アミノ酸」であるのに対し、p−アミ
フェニルアラニン(Generation of a bacterium with a 21 amino acid genetic code,
Mehl RA, Anderson JC, Santoro SW, Wang L, Martin AB, King DS, HornDM, Schultz
PG. J Am Chem Soc. 2003 Jan 29;125(4):935-9を参照されたい)は、生合成により作り
出されるが、「選択された」直交tRNA/tRNAシンターゼ対によりタンパク質に組
み込まれるため、「非天然アミノ酸」である。

0054

修飾コードアミノ酸は、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、O−ホス
ホセリン、アゼチジンカルボン酸、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、ベー
タ−アラニン、アミノプロピオン酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、6−アミノカプ
ロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノ
ピメリン酸三級ブチルグリシン、2,4−ジアミノイソ酪酸デモシン、2,2’−ジ
アミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−メチル
リシン、N−エチルアスパラギン、ホモプロリン、ヒドロキシリシン、allo−ヒドロ
キシリシン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリンイソデモシン、all
o−イソロイシン、N−メチルアラニン、N−メチルグリシン、N−メチルイソロイシン
、N−メチルペンチルグリシン、N−メチルバリン、ナフトアラニン、ノルバリンノル
ロイシン、オルニチンペンチルグリシン、ピペコリン酸、およびチオプロリンを含むが
これらに限定されない。「アミノ酸」という用語はまた、ある特定の生物における代謝物
であるが、タンパク質への組込みのための遺伝子コードによりコードされない自然発生の
アミノ酸も含む。このようなアミノ酸は、オルニチン、D−オルニチン、およびD−アル
ギニンを含むがこれらに限定されない。

0055

本明細書で使用される「アミノ酸類似体」という用語は、自然発生のアミノ酸と同じ基
本的化学構造を有する化合物、例だけを目的として述べると、水素カルボキシル基、ア
ミノ基、およびR基に結合するα−炭素を指す。アミノ酸類似体は、可逆的もしくは不可
逆的に化学保護されるか、またはそれらのC末端カルボキシ基、それらのN末端アミノ基
、および/もしくはそれらの側鎖官能基化学修飾された天然アミノ酸および非天然アミ
ノ酸を含む。このような類似体は、メチオニンスルホキシド、メチオニンスルホン、S−
カルボキシメチル)−システイン、S−(カルボキシメチル)−システインスルホキシ
ド、S−(カルボキシメチル)−システインスルホン、アスパラギン酸−(ベータ−メチ
エステル)、N−エチルグリシン、アラニンカルボキサミドホモセリン、ノルロイシ
ン、およびメチオニンメチルスルホニウムを含むがこれらに限定されない。

0056

本明細書で使用される「アミノ酸模倣体」という用語は、アミノ酸の一般的化学構造と
異なるが、自然発生のアミノ酸と類似の様式で機能する構造を有する化合物を指す。

0057

「生物学的に活性のFGF21変異体」という用語は、本明細書で記載される任意のF
GF21ポリペプチド変異体であって、FGF21ポリペプチド変異体に導入された修飾
の種類または数に関わらず、血中グルコース、血中インスリン、血中トリグリセリド、ま
たは血中コレステロールを低下させる能力;体重を低減する能力;および耐糖能、エネル
ギー消費量、またはインスリン感受性を改善する能力など、野生型FGF21ポリペプチ
ドの活性を保有する変異体を指す。しかしながら、野生型FGF21ポリペプチドと比べ
て、レベルをある程度低下させたFGF21活性を保有するFGF21ポリペプチド変異
体も、生物学的に活性のFGF21ポリペプチド変異体と考えることができる。

0058

「有効量」および「治療有効量」という用語は各々、血中グルコースレベル、血中イン
スリンレベル、血中トリグリセリドレベル、または血中コレステロールレベルを低下させ
る能力;肝臓トリグリセリドレベルまたは脂質レベルを低減する能力;体重を低減する能
力;または耐糖能、エネルギー消費量、もしくはインスリン感受性を改善する能力など、
観察可能なレベルの、野生型FGF21ポリペプチドの1または複数の生体活性を裏付け
るのに使用される、FGF21タンパク質変異体の量を指す。例えば、インスリン抵抗性
と関連する代謝性疾患(1型糖尿病もしくは2型糖尿病、肥満、またはメタボリック症候
群など)を呈するか、患うか、または患う傾向がある患者に投与される「治療有効量」と
は、病理学的症状、疾患の進行、関連する生理学的状態、または前述の障害に陥ることに
対する抵抗性の向上を誘導するか、改善するか、またはそうでなければ引き起こすような
量である。本発明の目的では、「対象」または「患者」とは、好ましくは、ヒトであるが
、また、動物、より具体的には、愛玩動物(例えば、イヌネコなど)、農場動物(例え
ば、ウシヒツジブタウマなど)、および実験動物(例えば、ラット、マウス、モル
モットなど)でもありうる。

0059

本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」または「生理学的に許容される担体
」という用語は、FGF21タンパク質、融合、または変異体の送達を達成するかまたは
増強するのに適する、1または複数の製剤材料を指す。

0060

抗原」という用語は、抗体が結合することが可能であり、加えて、その抗原のエピ
ープに結合することが可能な抗体を産生する動物において使用することも可能な分子また
は分子の一部を指す。抗原は、1または複数のエピトープを有しうる。

0061

「天然Fc」という用語は、単量体形態であれ、多量体形態であれ、全抗体の消化から
生じるか、または他の手段により産生される、非抗原結合性断片の配列を含む分子または
配列を指し、ヒンジ領域を含有しうる。天然Fcの元の免疫グロブリン供給源は、好まし
くは、ヒト由来であり、免疫グロブリンのうちのいずれでもありうるが、IgG1および
IgG2が好ましい。天然Fc分子は、共有結合的会合(すなわち、ジスルフィド結合)
および非共有結合的会合により、二量体形態または多量体形態に連結されうる単量体ポリ
ペプチドから構成される。天然Fc分子の単量体サブユニットの間の分子間ジスルフィド
結合の数は、クラス(例えば、IgG、IgA、およびIgE)またはサブクラス(例え
ば、IgG1、IgG2、IgG3、IgA1、およびIgGA2)に応じて、1〜4の
範囲である。天然Fcの一例は、IgGのパパイン消化から生じる、ジスルフィド結合に
よる二量体である(Ellison et al., 1982, Nucleic AcidsRes. 10: 4071-9を参照され
たい)。本明細書で使用される「天然Fc」という用語は、単量体形態、二量体形態、お
よび多量体形態に総称的である。「Fc変異体」という用語は、天然Fcから修飾されて
いるが、なおも、サルベージ受容体である、FcRn(胎児性Fc受容体)に対する結合
性部位を含む分子または配列を指す。国際公開第97/34631号パンフレットおよび
国際公開第96/32478号パンフレットは、例示的なFc変異体のほか、サルベージ
受容体との相互作用についても記載しており、参照により本明細書に組み込まれる。した
がって、「Fc変異体」という用語は、非ヒト天然Fcからヒト化された分子または配列
を含みうる。さらに、天然Fcは、それらが、本発明のFGF21突然変異体の融合分子
に要請されない構造的特徴または生体活性を提示するため、除去しうる領域を含む。した
がって、「Fc変異体」という用語は、(1)ジスルフィド結合の形成、(2)選択され
た宿主細胞との不適合性、(3)選択された宿主細胞内で発現させたときのN末端の不均
一性、(4)グリコシル化、(5)補体との相互作用、(6)サルベージ受容体以外のF
c受容体への結合、または(7)抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)に影響を及ぼすか
、もしくはこれらに関与する、1もしくは複数の天然Fc部位もしくは天然Fc残基を欠
く分子もしくは配列、またはこれらに影響を及ぼすか、もしくはこれらに関与する1もし
くは複数のFc部位もしくはFc残基が修飾されている分子もしくは配列を含む。Fc変
異体については、本明細書の以下においてさらに詳細に記載する。

0062

Fcドメイン」という用語は、天然FcおよびFc変異体、ならびに上記で規定され
た配列を包含する。Fc変異体分子および天然Fc分子と同様に、「Fcドメイン」とい
う用語は、全抗体から消化されたのであれ、他の手段で産生されたのであれ、単量体形態
または多量体形態の分子を含む。本発明の一部の実施形態では、Fcドメインは、例えば
、FcドメインとFGF21配列と共有結合を介して、FGF21またはFGF21突然
変異体(FGF21またはFGF21突然変異体の切断形態を含む)に融合することがで
きる。このような融合タンパク質は、Fcドメインの会合を介して多量体を形成すること
が可能であり、これらの融合タンパク質およびそれらの多量体のいずれも、本発明の態様
である。

0063

「ポリエチレングリコール」または「PEG」という用語は、カップリング剤またはカ
プリング部分もしくは活性化部分による誘導体化を伴うかまたは伴わない、ポリアル
レングリコール化合物またはその誘導体を指す。

0064

「インスリン抵抗性と関連する代謝性疾患」という用語、および本明細書で同様に使用
される用語は、1型糖尿病、インスリン受容体突然変異障害(INSR障害)、混合型脂
質異常症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、インスリン抵抗性、およびリポジ
ストロフィーを含むがこれらに限定されない。

0065

「インスリン受容体障害(INSR障害)」、「インスリン受容体内の重度の不活化突
然変異と関連する障害」、「インスリン抵抗性と関連する代謝性疾患」という用語、およ
び本明細書で同様に使用される用語は、重度のインスリン抵抗性を引き起こすが、2型糖
尿病に一般的な肥満を伴わずに見られることが多い、インスリン受容体(または、おそら
く、そのすぐ下流のタンパク質、例えば、IRS1およびIRS2)内の突然変異に罹患
する対象における状態について記載する。これらに罹患する対象は、おおまかに重症度
昇順で、A型インスリン抵抗性、C型インスリン抵抗性(HAIR−AN症候群としても
また公知である)、ラブソン−メンデンホール症候群、および、最重症ドナヒュー症候
群またはレプレコーニズムを含む複数の類型へと分けられる。B型インスリン抵抗性はま
た、「インスリン受容体障害」という一般的用語にも含まれ、不活化突然変異ではなく、
これと対比される、インスリン受容体に対する中和性自己抗体により引き起こされること
を除き、本明細書において概観されるインスリン抵抗性の遺伝形態と類似の表現型を有す
る。

0066

これらの障害は、極めて高い内因性インスリンレベルと関連し、高血糖症と関連するこ
とが極めて多い。これらに罹患する対象はまた、高アンドロゲン血症多嚢胞性卵巣症候
群(PCOS:インスリン受容体突然変異の発生率の増大を特徴とする)、多毛症、およ
び皮膚のひだにおける黒色表皮症(過剰な増殖および色素沈着)を含む「インスリン毒性
」と関連する、多様な臨床特徴も提示する。

0067

「2型糖尿病」とは、インスリンのアベイラビリティーに反する、過剰なグルコース産
生量を特徴とする状態であり、グルコースクリアランス(インスリン作用)が不十分な結
果として、循環グルコースレベルが、過剰な高レベルを維持する。

0068

「1型糖尿病」とは、インスリンの完全な欠如により引き起こされる、高血中グルコー
スレベルを特徴とする状態である。これは、体内の免疫系が、膵臓内のインスリン産生
ータ細胞を攻撃し、それらを破壊する場合に生じる。このため、膵臓は、インスリンをほ
とんど産生しないか、または全く産生しない。また、膵臓摘出または膵疾患も、インスリ
ン産生ベータ細胞の減少をもたらす。

0069

「脂質異常症」とは、リポタンパク質の過剰産生または欠損を含む、リポタンパク質代
謝の障害である。脂質異常症は、血中の総コレステロール濃度低密度リポタンパク質
LDL)コレステロール濃度、およびトリグリセリド濃度の上昇、ならびに高密度リポタ
ンパク質(HDL)コレステロール濃度の低下により顕在化しうる。

0070

「耐糖能異常」または耐糖能障害(IGT)とは、心血管病態の危険性の増大と関連す
る、前糖尿病性の血糖異常状態である。前糖尿病性状態は、対象が、グルコースを、細胞
へと効率的に送り込み、効率的な燃料供給源として活用することを妨げ、血中グルコース
レベルの上昇と、何らかの程度のインスリン抵抗性をもたらす。

0071

「HAART」は、HIV感染を伴う患者を処置するのに使用される高活性抗レトロウイルス療法(Highly Active Anti−Retroviral Therapy)である。

0072

「HIV/HAART誘導性部分型リポジストロフィー」は、有害作用であり、HAARTで処置されたHIV患者における心血管疾患の危険性の増大に寄与するものである。この有害作用には、インスリン抵抗性、脂質異常症、リポジストロフィー、内臓脂肪症の 増大を特徴とする、代謝調節異常および体脂肪蓄積の変化が含まれる。

0073

「高血糖症」とは、血中の糖(グルコース)の過剰として定義される。

0074

低血糖ともまた呼ばれる「低血糖症」は、血中グルコースレベルが、正常な身体機能
維持するのに十分なエネルギーを供給するには余りに低く降下する場合に生じる。

0075

「高インスリン血症」とは、血中インスリンレベルが、正常レベルより高い状態として
定義される。

0076

「インスリン抵抗性」とは、正常量のインスリンにより、正常未満の生物学的応答がも
たらされる状態として定義される。

0077

ヒト成人対象に関する「肥満」とは、30kg/m2を超える体格指数(BMI)とし
て定義することができる。

0078

メタボリック症候群」とは、以下の徴候腹部脂肪(男性腰回りが40インチを超
え、女性:腰回りが35インチを超える);空腹時高血糖(1デシリットル当たり少なく
とも100ミリグラム(mg/dL));高トリグリセリド(血流中に少なくとも150
mg/dL;低HDL(男性で40mg/dL未満であり、女性で50mg/dL未満で
ある;および130/85mmHgまたはこれを超える血圧のうちの少なくとも3つによ
クラスターとして定義することができる。

0079

高血圧症」または高血圧とは、全身動脈血圧の、心血管損傷または他の有害な帰結
誘導する可能性が高いレベルへの一過性または持続性の上昇である。高血圧症は、任意に
、140mmHgを上回る収縮期血圧または90mmHgを上回る拡張期血圧として定義
されている。

0080

「心血管疾患」とは、心臓または血管と関連する疾患である。

0081

アテローム性動脈硬化」とは、大サイズの動脈および中サイズの動脈の内膜内のプラ
ークと呼ばれる、不規則分布した脂質沈着であって、動脈内腔狭窄を引き起こし、線
維症および石灰化へと進行しうる脂質沈着を特徴とする血管疾患である。病変は通例、限
局性であり、緩徐かつ間欠的に進行する。場合によって、プラーク破裂が生じ、血流の
閉塞をもたらし、閉塞に対して遠位の組織の死滅を結果としてもたらす。血流の制限は、
大半の臨床症状の原因となり、臨床症状は、閉塞の分布および重症度と共に変化する。

0082

「脳卒中」とは、24時間を超えて続く、大脳循環の機能障害と関連する、任意の急性
臨床事象である。脳卒中は、不可逆性脳損傷を伴い、症状の種類および重症度は、その
循環が損なわれた脳組織の位置および広がりに依存する。

0083

うっ血性心不全ともまた呼ばれる「心不全」とは、心臓が、体内の他の部分へと、要求
を満たすのに十分な血液を、もはや駆出できない状態である。

0084

冠動脈疾患ともまた呼ばれる「冠動脈性心疾患」とは、血液および酸素を心臓に供給す
小血管の狭窄を引き起こしうる、冠動脈内のアテローム性動脈硬化性病変またはアテロ
ーム性動脈硬化性プラークを指す。

0085

腎疾患」または腎症とは、腎臓の任意の疾患である。糖尿病性腎症は、1型糖尿病患
者または2型糖尿病患者における罹患率および死亡率の主要な原因である。

0086

糖尿病性合併症」とは、高血中グルコースレベルにより引き起こされる問題であって
、腎臓、神経(神経障害)、脚部(脚部潰瘍および循環の低下)および眼(例えば、網膜
症)など、他の身体機能に関する問題である。糖尿病はまた、心疾患ならびに骨関節障害
に対する危険性も増大させる。糖尿病の、他の長期にわたる合併症は、皮膚問題、消化器
問題、性機能不全、ならびに歯牙および歯茎に関する問題を含む。

0087

「神経障害」とは、頭蓋神経または末梢神経系または自律神経系に関与する任意の疾患
である。

0088

胃不全麻痺」とは、胃内容排出遅延を結果としてもたらす、蠕動減退である

0089

本明細書で使用される、単数形の「ある(a)」、「ある(an)」、および「その」は
、内容により、そうでないことが明らかに指示されない限りにおいて、複数形の指示物
含む。したがって、例えば、「抗体」に対する言及は、2つまたはこれを超えるこのよう
な抗体の混合物を含む。

0090

本明細書で使用される「約」という用語は、値の±20%、±10%、または±5%を
指す。

0091

「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、互換的に使用され、任意の長さ
のアミノ酸のポリマー形態であって、コードアミノ酸および非コードアミノ酸、化学的も
しくは生化学的に修飾されたアミノ酸、または誘導体化されたアミノ酸、および修飾ペプ
チド骨格を有するポリペプチドを含みうるポリマー形態を指す。用語は、融合タンパク質
、を含むがこれらに限定されない、異種アミノ酸配列との融合タンパク質;N末端メチオ
ニン残基を伴うかまたは伴わない、異種リーダー配列および同種リーダー配列との融合体
免疫的タグ付けされたタンパク質などを含む。

0092

「個体」、「対象」、「宿主」、および「患者」という用語は、互換的に使用され、診
断、処置、または治療が所望される任意の対象、特に、ヒトを指す。他の対象は、畜牛
イヌ、ネコ、モルモットウサギ、ラット、マウス、ウマなどを含みうる。一部の好まし
い実施形態では、対象は、ヒトである。

0093

本明細書で使用される「試料」という用語は、患者に由来する生体物質を指す。本発明
でアッセイされる試料は、いかなる特定の種類にも限定されない。試料は、非限定的な例
として、単一の細胞、複数の細胞、組織、腫瘍体液生物学的分子、または前出のうち
のいずれかの上清もしくは抽出物を含む。例は、生検のために摘出される組織、切除時に
摘出される組織試料血液試料尿試料リンパ組織試料、リンパ液試料、脳脊髄液試料
粘液試料、および糞便試料を含む。使用される試料は、アッセイフォーマット検出法
、およびアッセイされる腫瘍、組織、細胞、または抽出物の性質に基づき変化するであろ
う。当技術分野では、試料を調製するための方法が周知であり、活用される方法に適合す
る試料を得るために、たやすく適合させることができる。

0094

本明細書で使用される「生物学的分子」という用語は、ポリペプチド、核酸、および糖
類を含むがこれらに限定されない。

0095

本明細書で使用される「〜をモジュレートすること」という用語は、遺伝子、タンパク
質、または細胞の内部、外部、または表面上に存在する任意の分子の質または量の変化を
指す。変化は、分子の発現またはレベルの増大または減少でありうる。「〜をモジュレー
トする」という用語はまた、限定なしに述べると、血中グルコースレベル、血中インスリ
ンレベル、血中トリグリセリドレベル、または血中コレステロールレベルを低下させる能
力;肝臓脂質レベルまたは肝臓トリグリセリドレベルを低減する能力;体重を低減する能
力;および耐糖能、エネルギー消費量、またはインスリン感受性を改善する能力を含む生
物学的機能/活性の質または量を変化させることも含む。

0096

本明細書で使用される「モジュレーター」という用語は、1型糖尿病など、インスリン
抵抗性と関連する代謝性疾患、または肥満などの代謝の状態と関連する1または複数の生
理学的事象または生化学的事象をモジュレートする組成物を指す。前記事象は、血中グル
コースレベル、血中インスリンレベル、血中トリグリセリドレベル、または血中コレステ
ロールレベルを低下させる能力;肝臓脂質レベルまたは肝臓トリグリセリドレベルを低減
する能力;体重を低減する能力;および耐糖能、エネルギー消費量、またはインスリン感
受性を改善する能力を含むがこれらに限定されない。

0097

遺伝子産物」とは、遺伝子を介して発現するかまたは産生される生体ポリマー産物で
ある。遺伝子産物は、例えば、スプライシングされていないRNA、mRNA、スプライ
ス変異体mRNA、ポリペプチド、翻訳後修飾されたポリペプチド、スプライス変異体
リペプチドなどでありうる。この用語にはまた、RNA遺伝子産物を鋳型として使用して
作り出される生体ポリマー産物(すなわち、RNAのcDNA)も包含される。遺伝子産
物は、酵素的に、組換えにより、化学的に、または遺伝子が天然である細胞内で作製する
ことができる。一部の実施形態では、遺伝子産物がタンパク質性である場合、それは、生
体活性を呈する。一部の実施形態では、遺伝子産物が核酸である場合、それは、生体活性
を呈するタンパク質性遺伝子産物へと翻訳することができる。

0098

本明細書で使用される「FGF21活性のモジュレーション」とは、FGF21活性の
増大または減少であって、例えば、薬剤の、FGF21ポリヌクレオチドまたはFGF2
1ポリペプチドとの相互作用、FGF21の転写および/または翻訳の阻害(例えば、ア
ンチセンスRNAまたはsiRNAの、FGF21遺伝子またはFGF21転写物との相
互作用を介して、FGF21の発現を促進する転写因子のモジュレーションを介して)な
どの結果でありうる増大または減少を指す。例えば、生体活性のモジュレーションは、生
体活性の増大または減少を指す。FGF21活性は、限定なしに述べると、対象における
血中グルコースレベル、血中インスリンレベル、血中トリグリセリドレベル、または血中
コレステロールレベルをアッセイすること、FGF21のポリペプチドレベルを評価する
こと、またはFGF21の転写レベルを評価することを含む手段により評価することがで
きる。FGF21活性の比較はまた、例えば、FGF21下流のバイオマーカーレベル
測定し、FGF21シグナル伝達の増大を測定することによっても達成することができる
。FGF21活性はまた、細胞シグナル伝達キナーゼ活性;脂肪細胞へのグルコース取
込み;血中インスリンレベル、血中トリグリセリドレベル、もしくは血中コレステロール
レベルの変動;肝臓脂質レベルもしくは肝臓トリグリセリドレベルの変化;FGF21と
FGF21受容体との間の相互作用;またはFGF21受容体のリン酸化を測定すること
によっても評価することができる。一部の実施形態では、FGF21受容体のリン酸化は
、チロシンのリン酸化でありうる。一部の実施形態では、FGF21活性のモジュレーシ
ョンは、FGF21に関連する表現型のモジュレーションを引き起こしうる。

0099

本明細書で使用される「FGF21下流のバイオマーカー」とは、遺伝子もしくは遺伝
子産物、または遺伝子もしくは遺伝子産物の測定可能指標である。一部の実施形態では
、FGF21の下流のマーカーである遺伝子または活性は、血管組織内で、発現レベル
変化を呈する。一部の実施形態では、下流マーカーの活性は、FGF21モジュレーター
の存在下で変化する。一部の実施形態では、下流マーカーは、FGF21が、本発明のF
GF21モジュレーターにより攪乱されると、発現レベルの変化を呈する。FGF21下
流マーカーは、限定なしに述べると、グルコースまたは2−デオキシ−グルコースの取込
み、pERKレベルおよび他のリン酸化タンパク質レベルもしくはアセチル化タンパク質
タンパク質レベルまたはNADレベルを含む。

0100

本明細書で使用される「〜を上方調節する」という用語は、活性または量の増大、活性
化、または刺激を指す。例えば、本発明の文脈では、FGF21モジュレーターは、FG
F21受容体の活性を増大させうる。一実施形態では、FGFR−1c、FGFR−2c
、FGFR−3c、またはB−クロトーのうちの1または複数は、FGF21モジュレー
ターに応答して上方調節されうる。上方調節とはまた、例えば、血中グルコースレベル、
血中インスリンレベル、血中トリグリセリドレベル、または血中コレステロールレベルを
低下させる能力;肝臓脂質レベルまたは肝臓トリグリセリドレベルを低減する能力;体重
を低減する能力;耐糖能、エネルギー消費量、またはインスリン感受性を改善する能力;
またはFGF21受容体のリン酸化を引き起こす能力;またはFGF21下流マーカーを
増大させる能力など、FGF21に関連する活性も指す。FGFR21受容体は、FGF
R−1c、FGFR−2c、FGFR−3c、またはB−クロトーのうちの1または複数
でありうる。上方調節は、対照と比較して、少なくとも25%、少なくとも50%、少な
くとも75%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なく
とも250%、少なくとも400%、または少なくとも500%でありうる。

0101

本明細書で使用される「N末端」という用語は、タンパク質の少なくとも最初の10ア
ミノ酸を指す。

0102

本明細書で使用される「N末端ドメイン」および「N末端領域」という用語は、互換的
に使用され、タンパク質の最初のアミノ酸で始まり、タンパク質のN末端側の任意のアミ
ノ酸で終わる、タンパク質の断片を指す。例えば、FGF21のN末端ドメインは、野生
型FGF21のアミノ酸1〜野生型FGF21のアミノ酸約10〜105の間の任意のア
ミノ酸である。

0103

本明細書で使用される「C末端」という用語は、タンパク質の少なくとも最後の10ア
ミノ酸を指す。

0104

本明細書で使用される「C末端ドメイン」および「C末端領域」という用語は、互換的
に使用され、タンパク質のC末端側の任意のアミノ酸で始まり、タンパク質の最後のアミ
ノ酸で終わる、タンパク質の断片を指す。例えば、FGF21のC末端ドメインは、野生
型FGF21のアミノ酸105〜アミノ酸約200の任意のアミノ酸で始まり、野生型F
GF21のアミノ酸209で終わる。

0105

本明細書で使用される「ドメイン」という用語は、生体分子の公知の機能または生体
子に推測される機能に寄与する、生体分子の構造的部分を指す。ドメインは、その領域ま
たは部分と同一の広がりを示しうるが、また、その領域の全部または一部に加えて、特定
の領域と顕著に異なる、生体分子の一部も組み込む場合がある。

0106

本明細書で使用される「シグナルドメイン」という用語(「シグナル配列」または「シ
ナルペプチド」ともまた呼ばれる)は、前駆体タンパク質膜結合型タンパク質または
分泌型タンパク質であることが多い)のN末端領域におけるアミノ酸配列の連続的連なり
の中に存在し、翻訳後タンパク質の輸送に関与するペプチドドメインを指す。多くの場合
、シグナルドメインは、分取工程が完了した後で、特化したシグナルペプチダーゼにより
、全長タンパク質から除去される。各シグナルドメインは、前駆体タンパク質について、
細胞内の特定の輸送先を指定する。FGF21のシグナルドメインは、アミノ酸1〜28
である。

0107

本明細書で使用される「受容体結合性ドメイン」という用語は、膜結合型受容体タンパ
ク質に接触する結果として、シグナル伝達イベントなどの細胞応答をもたらす、タンパク
質の任意の部分または領域を指す。

0108

本明細書で使用される「リガンド結合性ドメイン」という用語は、FGF21の対応す
天然配列の、少なくとも1つの定性的結合活性を保持するタンパク質の任意の部分また
は領域を指す。

0109

「領域」という用語は、生体分子の一次構造の物理的連続部分を指す。タンパク質の場
合、領域は、そのタンパク質のアミノ酸配列の連続部分により規定される。一部の実施形
態では、「領域」は、生体分子の機能と関連する。

0110

本明細書で使用される「断片」という用語は、生体分子の一次構造の物理的連続部分を
指す。タンパク質の場合、部分は、そのタンパク質のアミノ酸配列の連続部分により規定
され、少なくとも3〜5アミノ酸、少なくとも8〜10アミノ酸、少なくとも11〜15
アミノ酸、少なくとも17〜24アミノ酸、少なくとも25〜30アミノ酸、および少な
くとも30〜45アミノ酸を指す。オリゴヌクレオチドの場合、部分は、そのオリゴヌク
レオチドの核酸配列の連続部分により規定され、少なくとも9〜15ヌクレオチド、少な
くとも18〜30ヌクレオチド、少なくとも33〜45ヌクレオチド、少なくとも48〜
72ヌクレオチド、少なくとも75〜90ヌクレオチド、および少なくとも90〜130
ヌクレオチドを指す。一部の実施形態では、生体分子の部分は、生体活性を有する。

0111

「天然配列」のポリペプチドとは、自然由来のポリペプチドと同じアミノ酸配列を有す
るポリペプチドである。このような天然配列のポリペプチドは、自然から単離することも
でき、組換え手段または合成手段により作製することもできる。したがって、天然配列の
ポリペプチドは、自然発生のヒトポリペプチド、マウスポリペプチド、または他の任意の
哺乳動物種に由来するポリペプチドのアミノ酸配列を有しうる。

0112

本明細書で使用される「〜を混合すること」という用語は、1または複数の化合物、細
胞、分子などを、同じ領域内で一体に組み合わせる工程を指す。これは、例えば、1また
は複数の化合物、細胞、または分子の混合を可能とする、試験管内、ペトリディッシュ
、または任意の容器内で実施することができる。

0113

本明細書で使用される「実質的に精製された」という用語は、その天然環境から取り出
され、それが天然で会合する他の成分を、少なくとも60%含まず、少なくとも75%含
まず、少なくとも90%含まない化合物(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド
または抗体)を指す。

0114

「薬学的に許容される担体」という用語は、抗体またはポリペプチド、遺伝子、および
他の治療剤などの治療剤を投与するための担体を指す。用語は、それ自体では組成物を施
される個体に有害な抗体の産生を誘導せず、不要な毒性を伴わずに投与されうる、任意の
医薬担体を指す。適切な担体は、タンパク質、多糖ポリ乳酸ポリグリコール酸、ポリ
マー性アミノ酸、アミノ酸のコポリマー、脂質凝集物、および不活性のウイルス粒子など
、大型で代謝が緩徐な高分子でありうる。当業者には、このような担体が周知である。治
療用組成物中の薬学的に許容される担体は、水、生理食塩液グリセロール、およびエタ
ノールなどの液体を含みうる。また、保湿剤または乳化剤、pH緩衝物質などの補助物質
も、このような媒体中に存在させることができる。

0115

システイン残基によりもたらされる、自然発生のジスルフィド結合は一般に、タンパク
質の熱力学的安定性を増大させる。融点の上昇により測定される、熱力学的安定性の増大
の成功例は、酵素である、T4リゾチーム(Matsumura, et al., PNAS 86:6562-6566 (19
89))およびバルナーゼ(Johnson et al., J. Mol. Biol. 268:198-208 (1997))の、複
数のジスルフィド結合を施した突然変異体である。本発明のある態様は、保存剤の存在下
における、FGF21の物理的安定性の増強であって、変異体内のジスルフィド結合であ
り、野生型FGF21の可撓性を制約し、これにより、保存剤の、タンパク質の疎水性コ
アへの接近を制限する、ジスルフィド結合の存在により達成される増強である。

0116

本発明は、例えば、システイン残基を、野生型FGF21タンパク質または本発明のポ
ペプチド変異体およびタンパク質変異体に組み込むか、またはこれらにシステイン残基
の置換を施すことを介してさらなるジスルフィド結合を組み込むことにより作り出される
、医薬としての安定性を増強した、野生型ヒトFGF21の変異体もしくは突然変異体、
またはその生物学的に活性のペプチドを含む処置法を提供する。当業者は、本明細書にお
いて記載され、示唆される実施形態、および文献中で示唆される実施形態に加えて、天然
システインである、システイン103およびシステイン121を、特性の改善を付与しう
る新規のジスルフィド結合を導入する遺伝子座として活用しうることを認識するであろう

0117

本発明の方法は、一般に意図される目的:2型糖尿病、インスリン受容体突然変異障害
(INSR障害)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、ならびに家族性部分型リ
ポジストロフィーおよびHIV/HAART誘導性部分型リポジストロフィーを含む部分
型リポジストロフィーの多様な形態のほか、インスリン産生と関連する疾患(すなわち、
1型糖尿病)など、インスリン抵抗性と関連する代謝性疾患の処置を達成する任意の手段
により投与されうる医薬組成物を含む。本明細書で使用される「非経口」という用語は、
静脈内注射および注入、筋内注射および注入、腹腔内注射および注入、胸骨下注射および
注入、皮下注射および注入、ならびに関節内注射および注入を含む投与方式を指す。投与
される投与量は、レシピエント年齢健康状態、および体重、施される場合は、併用処
置の種類、処置の頻度、および所望の効果の性質に依存するであろう。FGF21ポリペ
プチドもしくはFGF21タンパク質、またはその融合体、突然変異体、もしくは変異体
が、インスリン抵抗性と関連する代謝性疾患の処置のために、所望の医学的効果を達成す
るのに有効な量で存在する、全ての組成物が含まれる。個別の必要は、患者によって変化
するが、全ての成分の有効量の最適範囲の決定は、臨床従事者学分野の当業者の能力の範
囲内にある。

0118

本発明の方法を構成するFGF21の変異体は、薬学的に有用な組成物を調製する公知
の方法に従い製剤化することができる。所望の製剤は、任意選択の、薬学的に許容される
担体、保存剤、賦形剤、または安定化剤を伴う、高純度の適切な希釈剤または水溶液で再
構成される、安定的な凍結乾燥生成物である製剤であろう[Remington's Pharmaceutical
Sciences 16th edition (1980)]。許容可能な安定性と、投与に許容可能なpHとをも
たらすように、本発明の変異体を、薬学的に許容される緩衝液と組み合わせ、pH調整す
ることができる。

0119

一実施形態では、非経口投与のために、FGF21変異体を、一般に、それらのうちの
1または複数を、注射用単位剤形溶液、懸濁液、またはエマルジョン)中に、所望の純
度で、薬学的に許容される担体、すなわち、援用される投与量および濃度でレシピエント
に対して非毒性であり、製剤の他の成分と適合性である担体と混合することにより製剤化
する。1または複数の薬学的に許容される抗微生物剤を添加しうることが好ましい。フェ
ノール、m−クレゾール、およびベンジルアルコールは、好ましい、薬学的に許容される
抗微生物剤である。

0120

任意選択で、1または複数の薬学的に許容される塩を添加して、イオン強度または張性
を調整することができる。1または複数の賦形剤を添加して、製剤の等張性をさらに調整
することができる。グリセリン塩化ナトリウム、およびマンニトールは、等張性調整賦
形剤の例である。

0121

当業者は、FGF21変異体を含む治療用組成物、「適正な医療の原則」(Good Medic
al Practice)および個々の患者の臨床状態により決定される通り、薬学的有効投与量お
よび投与レジメンをたやすく最適化することができる。本発明のFGF21変異体のため
の典型的な用量範囲は、成人では、1日当たり約0.01mg〜1日当たり約1000m
g(または毎週1回投与される、1週間当たり約0.07mg〜1週間当たり約7000
mg)の範囲にわたるであろう。投与量は、1日当たり約0.1mg〜1日当たり約10
0mg(または毎週1回投与される、1週間当たり約0.7mg〜1週間当たり約700
mg)、より好ましくは、1日当たり約1.0mg〜1日当たり約10mg(または毎週
1回投与される、1週間当たり約7mg〜1週間当たり約70mg)の範囲にわたること
が好ましい。最も好ましくは、投与量は、1日当たり約1〜5mg(または毎週1回投与
される、1週間当たり約7mg〜1週間当たり約35mg)である。特許請求される本発
明の方法に従い投与されるFGF21変異体の適切な用量は、代謝プロファイルを改善し
、例えば、血中グルコースレベルを低下させ、エネルギー消費量を増大させ、かつ/また
はより効率的なグルコース利用を促進し、したがって、2型糖尿病、インスリン受容体突
然変異障害(INSR障害)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、ならびに家族
性部分型リポジストロフィーおよびHIV/HAART誘導性部分型リポジストロフィー
を含む部分型リポジストロフィーの多様な形態のほか、インスリン産生と関連する疾患(
1型糖尿病)など、インスリン抵抗性と関連する代謝性疾患を処置するために有用である

0122

加えて、高血糖症およびインスリン抵抗性は、栄養補給を施される重病患者において一
般的であるため、一部のICUでは、補給を受ける重病患者における過剰な高血糖を処置
するのに、インスリンを投与する。実際、近年の研究は、1デシリットル当たり110m
gを超えないレベルに血中グルコースを維持する、外因性インスリンの使用により、外科
集中治療室内の重病患者における罹患率および死亡率が、患者らが糖尿病の病歴を有する
のかどうかに関わらず、低減されることについて記録している(Van den Berghe, et al.
N Engl J Med., 345(19):1359, (2001))。したがって、本発明の方法は、代謝的に不安
定的な重病患者における代謝安定性を回復させる一助となるのに独自に適する。

0123

本発明の別の態様では、2型糖尿病、インスリン受容体突然変異障害(INSR障害)
、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、ならびに家族性部分型リポジストロフィー
およびHIV/HAART誘導性部分型リポジストロフィーを含む部分型リポジストロフ
ィーの多様な形態のほか、インスリン産生と関連する疾患(1型糖尿病)など、インスリ
ン抵抗性と関連する代謝性疾患の処置のための医薬としての使用のためのFGF21の変
異体、ならびに重病患者の死亡率および罹患率の低減における使用のためのFGF21の
変異体が提供される。

0124

本発明について今や詳細に記載したので、例示だけを目的として含まれるものであり、
本発明について限定的であることを意図するものではない、以下の例を参照することによ
り、本発明はより明らかに理解されるであろう。

0125

本発明の実施では、そうでないことが指し示されない限りにおいて、当技術分野の範囲
内の、化学、生化学、分子生物学免疫学、および薬理学の従来の方法が援用されよう。
このような技法は、文献において完全に説明されている。例えば、Remington's Pharmace
utical Sciences, 18th Edition (Easton, Pennsylvania: Mack Publishing Company, 19
90); MethodsIn Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan, eds., Academic Press, Inc
.); and Handbook of Experimental Immunology, Vols. I-IV (D.M. Weir and C.C. Blac
kwell, eds., 1986, Blackwell Scientific Publications); and Sambrook et al., Mole
cular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989)を参照されたい。

0126

部位特異的FGF21突然変異体
「部位特異的FGF21突然変異体」または「置換FGF21突然変異体」という用語
は、例えば、NCBI参照配列番号を、NP_061986.1とする、自然発生のFG
F21ポリペプチド配列のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する、FGF21突然
変異体ポリペプチド、およびその変異体を指す。部位特異的FGF21突然変異体は、F
GF21ポリペプチドの特定の位置において、保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ
酸置換を導入し、自然発生のアミノ酸または非自然発生のアミノ酸を使用することにより
作り出すことができる。

0127

「保存的アミノ酸置換」は、その位置におけるアミノ酸残基の極性または電荷に対する
影響がほとんどまたは全く生じないような、天然のアミノ酸残基(すなわち、野生型FG
F21ポリペプチド配列の所与の位置において見出される残基)の、非天然残基(すなわ
ち、野生型FGF21ポリペプチド配列の所与の位置には見出されない残基)による置換
を伴いうる。保存的アミノ酸置換はまた、生体系内の合成によるのではなく、化学的ペプ
チド合成により組み込まれることが典型的な、非自然発生のアミノ酸残基も包含する。こ
れらは、ペプチド模倣体、およびアミノ酸部分の、他の反転形態または逆位形態を含む。

0128

自然発生の残基は、共通の側鎖特性に基づき、
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向性に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe;ならびに
(7)セレノシステイン、ピロリシン(PYL)、およびピロリン−カルボキシ−リシン
(PCL)
のクラスへと分けることができる。

0129

保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーの、同じクラスの別のメンバー
との交換を伴いうる。非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーの、別の
クラスに由来するメンバーとの交換を伴いうる。

0130

所望のアミノ酸置換(保存的であれ、非保存的であれ)は、このような置換が所望され
る場合に、当業者により決定されうる。

0131

切断型FGF21ポリペプチド
本発明の一実施形態は、成熟FGF21ポリペプチドの切断形態を含む処置法を対象と
する。本発明のこの実施形態は、成熟FGF21ポリペプチドの非切断形態と同様な活性
であり、場合によって、これより優れた活性をもたらすことが可能な、切断型FGF21
ポリペプチドを同定する試みに由来する。

0132

本明細書で使用される「切断型FGF21ポリペプチド」という用語は、アミノ酸残基
が、FGF21ポリペプチドのアミノ末端(またはN末端)末端から除去されているか、
アミノ酸残基が、FGF21ポリペプチドのカルボキシル末端(またはC末端の)末端か
ら除去されているか、またはアミノ酸残基が、FGF21ポリペプチドのアミノ末端およ
びカルボキシル末端の両方から除去されている、FGF21ポリペプチドを指す。本明細
書で開示される多様な切断型は、本明細書で記載される通りに調製した。

0133

N末端切断型FGF21ポリペプチドおよびC末端切断型FGF21ポリペプチドの活
性は、in vitroホスホERKアッセイを使用してアッセイすることができる。切
断型FGF21ポリペプチドの活性を検討するのに使用しうるin vitroアッセイ
の具体的な詳細については、実施例において見出すことができる。

0134

本発明の切断型FGF21ポリペプチドの活性はまた、ob/obマウスなどのin
vivoアッセイでも評価することができる。一般に、切断型FGF21ポリペプチドの
in vivo活性を評価するために、切断型FGF21ポリペプチドを、被験動物に、
腹腔内投与することができる。所望のインキュベーション時間(例えば、1時間またはこ
れを超える)の後で、血液試料を採取し、血中グルコースレベルを測定することができる

0135

a.N末端切断型
本発明の方法の一部の実施形態は、成熟FGF21ポリペプチドのN末端に由来する1
、2、3、4、5、6、7、または8アミノ酸残基を伴うN末端切断型を含む。9アミノ
酸残基未満のN末端切断型を有する、切断型FGF21ポリペプチドは、成熟FGF21
ポリペプチドの、個体における血中グルコースを低下させる能力を保持する。したがって
、特定の実施形態では、本発明は、1、2、3、4、5、6、7、または8アミノ酸残基
のN末端切断型を有する、成熟FGF21ポリペプチドの切断形態またはFGF21タン
パク質変異体を包含する。

0136

b.C末端切断型
本発明の方法の一部の実施形態は、成熟FGF21ポリペプチドのC末端に由来する1
、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12アミノ酸残基を伴うC末端
切断型を含む。13アミノ酸残基未満のC末端切断型を有する、切断型FGF21ポリペ
プチドは、in vitro ELK−ルシフェラーゼアッセイにおいて、野生型FGF
21の有効性の少なくとも50%の有効性を呈した(Yie J. et al. FEBSLetts 583:19-
24 (2009))ことから、これらのFGF21突然変異体は、成熟FGF21ポリペプチド
の、個体における血中グルコースを低下させる能力を保持することが指し示される。した
がって、特定の実施形態では、本発明は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、
11、または12アミノ酸残基のC末端切断型を有する、成熟FGF21ポリペプチドの
切断形態またはFGF21タンパク質変異体を包含する。

0137

c.N末端切断型およびC末端切断型
本発明の方法の一部の実施形態は、N末端切断型とC末端切断型との組合せを伴う切断
型FGF21ポリペプチドを含む。N末端切断型とC末端切断型との組合せを有する切断
型FGF21ポリペプチドは、N末端切断型またはC末端切断型単独を有する、対応する
切断型FGF21ポリペプチドの活性を共有する。言い換えれば、9アミノ酸残基未満の
N末端切断型および13アミノ酸残基未満のC末端切断型の両方を有する切断型FGF2
1ポリペプチドは、9アミノ酸残基未満のN末端切断型を有する、切断型FGF21ポリ
ペプチド、または13アミノ酸残基未満のC末端切断型を有する、切断型FGF21ポリ
ペプチドと同様であるかまたはこれを超える血中グルコース低下活性を保有する。したが
って、特定の実施形態では、本発明は、1、2、3、4、5、6、7、または8アミノ酸
残基のN末端切断型、および1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または
12アミノ酸残基のC末端切断型の両方を有する、成熟FGF21ポリペプチドの切断形
態またはFGF21タンパク質変異体を包含する。

0138

本発明の方法による全てのFGF21変異体と同様に、切断型FGF21ポリペプチド
は、任意選択で、指向性突然変異により、または細菌による発現過程の結果として導入さ
れうる、アミノ末端メチオニン残基を含みうる。

0139

本発明の方法を構成する切断型FGF21ポリペプチドは、本明細書で記載される実施
例で記載される通りに調製することができる。標準的な分子生物学法に精通した当業者は
、その知見を、本開示と組み合わせて援用して、本発明の切断型FGF21ポリペプチド
を作製し、使用することができる。組換えDNAオリゴヌクレオチド合成組織培養
および形質転換(例えば、電気穿孔リポフェクション)のための標準的技法を使用する
ことができる。例えば、任意の目的で、参照により本明細書に組み込まれる、上記Sambro
ok et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manualを参照されたい。酵素反応および
精製法は、当技術分野で一般に達成される通り、または本明細書で記載される通り、製造
元の規格に従い実施することができる。具体的定義が提示されない限りにおいて、本明細
書で記載される、分析化学有機合成化学、ならびに創薬化学および医薬化学との関連で
活用される用語法、ならびにこれらの実験手順および技法は、周知の用語法ならびに実験
手順および技法であり、当技術分野で一般に使用されている。標準的技法は、化学合成
化学分析;医薬の調製、処方、および送達;ならびに患者の処置のために使用することが
できる。

0140

本発明の方法の切断型FGF21ポリペプチドはまた、切断型FGF21ポリペプチド
にさらなる特性を付与する別の実体に融合することもできる。本発明の一実施形態では、
切断型FGF21ポリペプチドは、IgG定常ドメインまたはその断片(例えば、Fc領
域)、ヒト血清アルブミン(HSA)、またはアルブミン結合性ポリペプチドに融合する
ことができる。このような融合は、公知の分子生物学的方法および/または本明細書で提
示される指針を使用して達成することができる。このような融合ポリペプチド、ならびに
このような融合ポリペプチドを作製するための方法の利益は、本明細書でより詳細に論じ
られる。

0141

FGF21融合タンパク質
本明細書で使用される「FGF21融合ポリペプチド」または「FGF21融合タンパ
ク質」という用語は、本明細書で記載される任意のFGF21タンパク質変異体のN末端
またはC末端における、1または複数のアミノ酸残基(異種タンパク質または異種ペプチ
ドなど)の融合体を指す。

0142

異種ペプチドおよび異種ポリペプチドは、FGF21タンパク質変異体の検出および/
または単離を可能とするエピトープ;細胞外ドメインまたは膜貫通ドメインおよび細胞内
ドメインなど、膜貫通受容体タンパク質またはその一部;膜貫通受容体タンパク質に結合
するリガンドまたはその一部;触媒的に活性である酵素またはその一部;ロイシンジッパ
ードメインなど、オリゴマー化を促進するポリペプチドまたはペプチド;免疫グロブリン
定常領域など、安定性を増大させるポリペプチドまたはペプチド;機能的抗体もしくは非
機能的抗体またはその重鎖もしくは軽鎖;ならびに本発明のFGF21タンパク質変異体
と異なる治療的活性などの活性を有するポリペプチドを含むがこれらに限定されない。本
発明にはまた、ヒト血清アルブミン(HSA)に融合したFGF21突然変異体も包含さ
れる。

0143

FGF21融合タンパク質は、FGF21タンパク質変異体のN末端またはC末端にお
いて、異種配列を融合することにより作製することができる。本明細書で記載される通り
、異種配列は、アミノ酸配列またはアミノ酸非含有ポリマーでありうる。異種配列は、F
GF21タンパク質変異体に直接融合することもでき、リンカー分子またはアダプター
子を介して融合することもできる。リンカー分子またはアダプター分子は、1または複数
のアミノ酸残基(または1または複数マー)、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8
、または9残基(または1、2、3、4、5、6、7、8、もしくは9マー)、好ましく
は、10〜50アミノ酸残基(または10〜50マー)、例えば、10、11、12、1
3、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、また
は50残基(または10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、2
0、25、30、35、40、45、もしくは50マー)であることが可能であり、より
好ましくは、15〜35アミノ酸残基(または15〜35マー)でありうる。リンカー分
子またはアダプター分子はまた、融合部分の分離を可能とするように、DNA制限エンド
ヌクレアーゼまたはプロテアーゼ切断部位と共にデザインすることもできる。

0144

a.Fc融合体
本発明の一実施形態では、FGF21タンパク質変異体を、ヒトIgGのFc領域の1
または複数のドメインに融合する。抗体は、抗原に結合する、「Fab」として公知の可
変ドメインと、補体の活性化および食細胞による攻撃などのエフェクター機能に関与する
、「Fc」として公知の定常ドメインとの、2つの機能的に独立した部分を含む。Fcは
血清半減期が長いが、Fabは、短命である(Capon et al., 1989, Nature 337: 525-
31)。治療的タンパク質一緒に連結すると、Fcドメインは、半減期の延長をもたらす
場合もあり、Fc受容体への結合、プロテインAへの結合、補体への結合などの機能を組
み込み、おそらくは、胎盤通過などの機能さえ組み込む場合もある(Capon et al., 1989
)。

0145

in vivoにおける薬物動態解析により、マウスにおけるヒトFGF21の半減期
は、急速なクリアランスおよびin vivoにおける分解のために、約0.5〜1時間
と短くなることが指し示された。したがって、FGF21の半減期を延長するために、F
c配列を、FGF21ポリペプチドのN末端またはC末端に融合した。Fc領域の、野生
型FGF21への融合、特に、Fcの、野生型FGF21のN末端への融合により、予測
される半減期の延長はなされなかったが、in vivoにおけるFGF21のタンパク
質分解の探索、およびこのような分解に対して抵抗性であるFGF21突然変異体の同定
がもたらされた。

0146

本開示を通して、Fc−FGF21とは、Fc配列を、FGF21のN末端に融合した
、融合タンパク質を指す。同様に、本開示を通して、FGF21−Fcとは、Fc配列を
、FGF21のC末端に融合した、融合タンパク質を指す。

0147

結果として得られるFGF21融合タンパク質は、例えば、プロテインAアフィニティ
カラムの使用により精製することができる。Fc領域に融合したペプチドおよびタンパ
ク質は、融合していない対応物より、実質的に長いin vivo半減期を呈することが
見出されている。また、Fc領域への融合は、融合ポリペプチドの二量体化多量体化
可能とする。Fc領域は、自然発生のFc領域の場合もあり、治療上の品質循環時間
または凝集の低減など、ある特定の品質を改善するように変化させる場合もある。

0148

抗体の「Fc」ドメインとの融合による、タンパク質治療剤の有用な修飾は、参照によ
りその全体において本明細書に組み込まれる、国際公開第00/024782号パンフレ
ットにおいて、詳細に論じられている。本文書でも、ポリエチレングリコール(PEG)
デキストラン、またはFc領域など、「媒体」への連結について論じる。

0149

b.融合タンパク質のリンカー
本発明の融合タンパク質を形成する場合、リンカーを援用することは、可能ではあるが
必要ではない。存在する場合、リンカーは、主にスペーサーとして用いられるので、リン
カーの化学構造は肝要ではない。リンカーは、ペプチド結合により一体に連結されたアミ
ノ酸から構成することができる。本発明の一部の実施形態では、リンカーは、ペプチド結
合により連結された1〜20アミノ酸から構成され、この場合、アミノ酸は、自然発生の
20のアミノ酸から選択される。多様な実施形態では、1〜20アミノ酸は、アミノ酸で
ある、グリシン、セリン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、およびリシ
ンから選択される。一部の実施形態では、リンカーは、グリシンおよびアラニンなど、立
体障害型でない大半のアミノ酸から構成される。一部の実施形態では、リンカーは、ポリ
グリシン、ポリアラニン、グリシンとアラニンとの組合せ(ポリ(Gly−Ala)など
)、またはグリシンとセリンとの組合せ(ポリ(Gly−Ser)など)である。FGF
21融合タンパク質では、15アミノ酸残基のリンカーが、特に良好に働くことが見出さ
れているが、本発明では、任意の長さまたは組成のリンカーを想定する。

0150

本明細書で記載されるリンカーは、例示的なものであり、本発明では、はるかに長いリ
ンカー、および、他の残基を含むリンカーも想定される。本発明では、非ペプチドリンカ
ーもまた、想定される。例えば、アルキルリンカーを使用することができる。これらのア
キルリンカーは、低級アルキル(例えば、C1〜C6)、低級アシル、ハロゲン(例え
ば、Cl、Br)、CN、NH2、またはフェニルを含むがこれらに限定されない、任意
の非立体障害基により、さらに置換することができる。例示的な非ペプチドリンカーは、
ポリエチレングリコールリンカーであり、この場合、リンカーの分子量は、100〜50
00kD、例えば、100〜500kDである。

0151

化学修飾FGF21突然変異体
当業者は、本明細書で記載される本開示を踏まえ、本明細書で記載されるFGF21タ
ンパク質変異体の化学修飾形態であって、本明細書で記載されるFGF21の切断形態を
含む化学修飾形態を調製することができる。このような化学修飾FGF21突然変異体は
、FGF21突然変異体に天然で付加される分子の種類または位置が化学修飾FGF21
突然変異体では非修飾FGF21突然変異体と異なるように変化している。化学修飾FG
F21突然変異体は、1または複数の、天然で付加される化学基欠失により形成される
分子を含みうる。

0152

一実施形態では、本発明のFGF21タンパク質変異体は、1または複数のポリマーの
共有結合的に付加することにより修飾することができる。例えば、選択されるポリマーは
、それを付加したタンパク質が、生体環境など、水性環境内で沈殿しないように、水溶性
であることが典型的である。適切なポリマーの範囲内には、ポリマーの混合物が含まれる
最終生成物である調製物の治療的使用のために、ポリマーは、薬学的に許容されること
が好ましい。また、本発明のFGF21タンパク質変異体にコンジュゲートさせた非水
性ポリマーも、本発明の態様を形成する。

0153

例示的なポリマーの各々は、任意の分子量であることが可能であり、分枝状の場合もあ
り、非分枝状の場合もある。ポリマーの各々の平均分子量は、約2kDa〜約100kD
aの間であることが典型的である(「約」という用語は、水溶性ポリマー調製物中で、
一部の分子の分子量は、言明された分子量より大きく、一部の分子の分子量は、言明され
た分子量より小さいことを指し示す)。各ポリマーの平均分子量は、好ましくは、約5k
Da〜約50kDaの間、より好ましくは、約12kDa〜約40kDaの間であり、最
も好ましくは、約20kDa〜約35kDaの間である。

0154

適切な水溶性ポリマーまたはそれらの混合物は、N結合型炭水化物またはO結合型炭水
化物、糖、リン酸、ポリエチレングリコール(PEG)(タンパク質を誘導体化するのに
使用されているPEGの形態であって、モノエチレングリコール(C1〜C10を含む)
アルコキシポリエチレングリコール、またはアリールオキシポリエチレングリコールを
含む形態)、モノメトキシポリエチレングリコール、デキストラン(例えば、約6kDの
低分子量デキストランなど)、セルロース、または他の炭水化物ベースのポリマー、ポリ
−(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマ
ー、ポリ酸プロピレンエチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール
(例えば、グリセロール)、およびポリビニルアルコールを含むがこれらに限定されない
。本発明にはまた、共有結合的に付加した、FGF21タンパク質変異体の多量体を調製
するのに使用しうる二官能性架橋分子も包含される。本発明にはまた、ポリシアル酸に共
有結合的に付加したFGF21突然変異体も包含される。

0155

本発明の一部の実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレ
グリコール、またはポリプロピレングリコールを含むがこれらに限定されない、1また
は複数の水溶性ポリマーを含むように、FGF21突然変異体を、共有結合的または化学
的に修飾する。例えば、米国特許第4,640,835号明細書;同第4,496,68
9号明細書;同第4,301,144号明細書;同第4,670,417号明細書;同第
4,791,192号明細書;および同第4,179,337号明細書を参照されたい。
本発明の一部の実施形態では、FGF21突然変異体は、1または複数のポリマー、を含
むがこれらに限定されない、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、セ
ルロース、別の炭水化物ベースのポリマー、ポリ−(N−ビニルピロリドン)−ポリエチ
レングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリ酸化プロピレン/エチレン
キシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニ
ルアルコール、またはこのようなポリマーの混合物を含む。

0156

本発明の一部の実施形態では、FGF21突然変異体を、PEGサブユニットで共有結
合的に修飾する。一部の実施形態では、1または複数の水溶性ポリマーを、FGF21突
然変異体の1または複数の特異的位置(例えば、N末端)において結合させる。一部の実
施形態では、1または複数の水溶性ポリマーを、FGF21突然変異体の1または複数の
側鎖にランダムに付加する。一部の実施形態では、PEGを使用して、FGF21突然変
異体の治療能を改善する。ある特定のこのような方法については、例えば、任意の目的で
、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,133,426号明細書において
論じられている。

0157

ポリマーが、PEGである、本発明の実施形態では、PEG基は、任意の好適な分子量
であることが可能であり、直鎖状の場合もあり、分枝状の場合もある。PEG基の平均分
子量は、好ましくは、約2kDa〜約100kDa、より好ましくは、約5kDa〜約5
0kDa、例えば、10、20、30、40、または50kDaの範囲である。PEG基
は一般に、PEG部分(例えば、アルデヒド基、アミノ基、チオール基、またはエステル
基)上の反応性基から、FGF21突然変異体(例えば、アルデヒド基、アミノ基、また
エステル基)上の反応性基へのアシル化または還元的アルキル化を介して、FGF21
突然変異体に付加する。

0158

Y字型PEG誘導体としてもまた公知の、分枝状PEG誘導体は、中心コアに付加
した2つの直鎖状メトキシPEG鎖を含有する。これらの「Y字型」PEG誘導体の立体
バルク構造は、修飾分子の単一点における付加を容易とするであろう。例を目的として述
べると、3種類の「Y字型」PEG誘導体は、Y−NHS−40K(アミンPEG化に有
用な);Y−MAL−40K(チオールPEG化に有用な);およびY−ALD−40K
(例えば、Y−AALD−40KおよびY−PALD−40K)(N末端PEG化に有用
な)である。アミンPEG化では、「Y字型」NHSエステルは、生体活性分子中のリシ
ンのアミノ基またはN末端アミンと反応して、安定的なアミド連結をもたらすであろう。
このNHSエステルは、ターゲティングされる分子と、pH7〜8でカップリングするで
あろう。チオールPEG化では、「Y字型」マレイミドは、生体活性分子中のチオール基
と反応して、安定的な3−チオスクシンイミジルエーテル連結を生成させるであろう。こ
のマレイミドは、ターゲティングされる分子と、他の官能基の存在下、pH5.0〜6.
5でカップリングするであろう。N末端PEG化では、「Y字型」アルデヒドは、シア
水素化ホウ素ナトリウムなどの還元試薬の存在下で、生体活性分子中のN末端アミンと反
応して、安定的なアミン連結をもたらすことが好ましいであろう。このアルデヒドは、タ
ーゲティングされる分子のN末端アミンと、pH5〜8でカップリングするであろう。分
枝状PEG化を実施するための試薬は、例えば、JenKem Technologyに
より市販されている。

0159

本発明のFGF21突然変異体を含むポリペプチドのPEG化は、具体的に、当技術分
野で公知のPEG化反応のうちのいずれかを使用して実行することができる。このような
反応は、例えば、以下の参考文献:Francis et al., 1992, Focus on Growth Factors 3:
4-10;欧州特許第0154316号明細書および同第0401384号明細書;ならび
に米国特許第4,179,337号明細書において記載されている。例えば、PEG化は
、本明細書で記載される、反応性ポリエチレングリコール分子(または類似の反応性水溶
性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応を介して実行することができる。ア
シル化反応では、選択されたポリマーは、単一の反応性のエステル基を有するものとする
。還元的アルキル化では、選択されたポリマーは、単一の反応性のアルデヒド基を有する
ものとする。反応性アルデヒドは、例えば、水中で安定的なポリエチレングリコールプロ
オンアルデヒド、またはそのモノC1〜C10アルコキシ誘導体もしくはアリールオキ
シ誘導体である(例えば、米国特許第5,252,714号明細書を参照されたい)。

0160

本発明の一部の実施形態では、PEG基の、ポリペプチドへの付加に有用な戦略は、溶
液中でコンジュゲート連結を形成することによって、各々が他方に対して相互に反応性で
ある特別な官能性を保有するペプチドとPEG部分とを組み合わせるステップを伴う。ペ
プチドは、従来の固相合成により容易に調製することができる。ペプチドは、特異的な部
位において、適切な官能基により、「あらかじめ活性化させ」る。前駆体を精製し、完全
特徴づけてから、PEG部分と反応させる。ペプチドの、PEGとのライゲーション
通例、水性相中でなされ、逆相解析用HPLCにより容易にモニタリングすることができ
る。PEG化ペプチドは、調製用HPLCにより容易に精製することができ、解析用HP
LC、アミノ酸解析、およびレーザー脱着質量分析により特徴づけることができる。

0161

多糖ポリマーは、タンパク質修飾に使用されうる、別種の水溶性ポリマーである。した
がって、多糖ポリマーに融合した、本発明のFGF21突然変異体は、本発明の実施形態
を形成する。デキストランは、主にアルファ1−6連結により連結された、個々のグルコ
ースサブユニットを含む多糖ポリマーである。デキストランはそれ自体、多くの分子量範
囲で入手可能であり、約1kD〜約70kDの分子量でたやすく入手可能である。デキス
トランは、それ自体での媒体としての使用に適する水溶性ポリマー、または別の媒体(例
えば、Fc)と組み合わせた使用に適する水溶性ポリマーである。例えば、国際公開第9
6/11953号パンフレットを参照されたい。治療用免疫グロブリンまたは診断用免疫
グロブリンにコンジュゲートさせたデキストランの使用については、報告されている。例
えば、参照により本明細書に組み込まれる、欧州特許公開第0315456号明細書を参
照されたい。本発明はまた、約1kD〜約20kDのデキストランの使用も包含する。

0162

一般に、化学修飾は、タンパク質を、活性化ポリマー分子と反応させるのに使用される
、任意の適切な状態下で実施することができる。化学修飾ポリペプチドを調製するための
方法は一般に、(a)FGF21タンパク質変異体を、1または複数のポリマー分子に付
加する条件下で、ポリペプチドを、活性化ポリマー分子(ポリマー分子の反応性エステル
またはアルデヒド誘導体など)と反応させるステップと、(b)反応産物を得るステップ
とを含む。最適な反応状態は、公知のパラメータおよび所望の結果に基づき決定されるで
あろう。例えば、ポリマー分子の、タンパク質に対する比が大きいほど、付加を受けるポ
リマー分子の割合が大きくなる。本発明の一実施形態では、化学修飾FGF21突然変異
体は、アミノ末端において単一のポリマー分子部分を有しうる(例えば、米国特許第5,
234,784号明細書を参照されたい)。

0163

本発明の別の実施形態では、FGF21タンパク質変異体は、ビオチンに化学的にカッ
プリングさせることができる。次いで、ビオチン/FGF21タンパク質変異体を、アビ
ジンに結合させる結果として、四価アビジン/ビオチン/FGF21タンパク質変異体
をもたらす。FGF21タンパク質変異体はまた、ジニトロフェノールDNP)または
トリニトロフェノール(TNP)に共有結合的にカップリングさせ、結果として得られる
コンジュゲートを、抗DNP−IgMまたは抗TNP−IgMにより沈殿させて、価数を
10とする十量体コンジュゲートを形成することもできる。

0164

一般に、本化学修飾FGF21突然変異体の投与により緩和またはモジュレートされう
る状態は、FGF21タンパク質変異体について本明細書で記載される状態を含む。しか
し、本明細書で開示される化学修飾FGF21突然変異体は、さらなる活性、生体活性の
増強もしくは低減、または、非修飾FGF21突然変異体と比較した、半減期の延長もし
くは短縮など、他の特徴を有しうる。

0165

FGF21突然変異体の治療用組成物およびその投与
FGF21突然変異体を含む治療用組成物は、本発明の方法の範囲内にあり、特性の増
強を呈する、複数の突然変異体FGF21配列の同定に照らして、具体的に想定される。
このようなFGF21突然変異体の医薬組成物は、投与方式との適性について選択される
薬学的または生理学的に許容される製剤と混合された治療有効量のFGF21タンパク質
変異体を含みうる。

0166

許容可能な製剤材料は、援用される投与量および濃度でレシピエントに対して非毒性で
あることが好ましい。

0167

医薬組成物は、例えば、組成物のpH、浸透圧粘稠度透明度、色、等張性、匂い、
滅菌性、安定性、溶解速度もしくは放出速度、吸着、または浸透を修飾するか、維持する
か、または保存するための製剤材料を含有しうる。適切な製剤材料は、アミノ酸(グリ
ン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリシンなど)、抗微生物剤、抗酸化
剤(アスコルビン酸亜硫酸ナトリウム、または亜硫酸水素ナトリウムなど)、緩衝液(
ホウ酸重炭酸トリス−HCl、クエン酸、リン酸、または他の有機酸など)、増量剤
(マンニトールまたはグリシンなど)、キレート化剤エチレンジアミン四酢酸(EDT
A)など)、複合体化剤(カフェインポリビニルピロリドン、ベータ−シクロデキスト
リン、またはヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンなど)、充填剤単糖
二糖、および他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンなど)、タン
パク質(血清アルブミンゼラチン、または免疫グロブリンなど)、着色剤芳香剤、お
よび希釈剤、乳化剤、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど)、低分子量ポリペプ
チド、塩形成対イオンナトリウムなど)、保存剤(塩化ベンザルコニウム安息香酸
サリチル酸チメロサールフェンエチルアルコールメチルパラベンプロピルパラ
ン、クロルヘキシジンソルビン酸、または過酸化水素など)、溶剤(グリセリン、プロ
ピレングリコール、またはポリエチレングリコールなど)、糖アルコール(マンニトール
またはソルビトールなど)、懸濁剤界面活性剤、または保湿剤(Pluronic;P
EG;ソルビタンエステルポリソルベート20またはポリソルベート80などのポリソ
ルベート;Triton;トロメタミンレシチン;コレステロールまたはTyloxa
polなど)、安定性増強剤スクロースまたはソルビトールなど)、張性増強剤(アル
カリ金属ハロゲン化物;好ましくは、塩化ナトリウムもしくは塩化カリウム;またはマン
ニトール、ソルビトールなど)、送達媒体、希釈剤、賦形剤、および/または医薬アジ
バント(例えば、任意の目的で、参照により本明細書に組み込まれる、Remington's Phar
maceutical Sciences (18th Ed., A. R. Gennaro, ed., Mack Publishing Company 1990)
、および同書後続の版を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。

0168

最適な医薬組成物は、例えば、意図される投与経路、送達フォーマット、および所望の
投与量に応じて、当業者により決定されるであろう(例えば、上記Remington's Pharmace
utical Sciencesを参照されたい)。このような組成物は、FGF21タンパク質変異体
物理的状態、安定性、in vivoにおける放出速度、およびin vivoにおけ
クリアランス速度に影響を及ぼしうる。

0169

医薬組成物中の一次媒体または担体は、天然で水性の場合もあり、非水性の場合もある
。例えば、注射に適する媒体または担体は、水、生理食塩液、または、おそらく、非経口
投与用の組成物に共通の他の材料を補充した、人工脳脊髄液でありうる。中性緩衝生理
塩液または血清アルブミンと混合された生理食塩液は、さらなる例示的な媒体である。他
の例示的な医薬組成物は、pH約7.0〜8.5のトリス緩衝液、またはpH約4.0〜
5.5の酢酸緩衝液を含み、これらはさらに、ソルビトールまたは適切な代替物を含みう
る。本発明の一実施形態では、FGF21タンパク質変異体組成物は、所望の純度を有す
る、選択される組成物を、任意選択の製剤と、凍結乾燥ケーキまたは水溶液の形態で混合
することにより、保存用に調製することができる(上記Remington's Pharmaceutical Sci
ences)。さらに、FGF21タンパク質変異体生成物は、スクロースなど、適切な賦形
剤を使用して、乾燥凍結物としても製剤化することができる。

0170

FGF21タンパク質変異体による医薬組成物は、非経口送達用に選択することができ
る。代替的に、組成物は、吸入用に選択することもでき、経口送達など、消化管を介する
送達用に選択することもできる。このような薬学的に許容される組成物の調製は、当技術
分野の範囲内にある。

0171

製剤成分は、投与部位において許容可能な濃度で存在する。例えば、緩衝液は、組成物
を、生理学的pHまたはこれよりやや小さなpH、典型的には、約5〜約8のpH範囲
に維持するのに使用される。

0172

非経口投与を想定する場合、本発明における使用のための治療用組成物は、発熱物質
含有であり、非経口的に許容可能な水溶液であって、薬学的に許容される媒体中に所望の
FGF21タンパク質変異体を含む水溶液の形態でありうる。非経口注射に特に適する媒
体は、FGF21タンパク質変異体が、その中で、滅菌の等張性溶液として製剤化され、
適正に保存される、滅菌蒸留水である。さらに別の調製物は、所望の分子の製剤を、生成
物の制御放出または持続放出をもたらす、注射用マイクロスフェア生体分解性粒子、ポ
リマー化合物(ポリ乳酸またはポリグリコール酸など)、ビーズ、またはリポソームなど
の薬剤と共に伴うことが可能であり、次いで、デポ注射を介して送達することができる。
また、ヒアルロン酸も、使用することができ、これは、循環中の持続存続時間を延長す
る効果を有しうる。所望の分子の導入に適する他の手段は、植込み型薬物送達デバイス
含む。

0173

一実施形態では、医薬組成物は、吸入用に製剤化することができる。例えば、FGF2
1タンパク質変異体は、吸入用の乾燥粉末として製剤化することができる。FGF21タ
ンパク質変異体の吸入用溶液はまた、エアゾール送達用の高圧ガスと共に製剤化すること
もできる。さらに別の実施形態では、溶液は、噴霧化することができる。肺内投与は、化
修飾タンパク質の肺内送達について記載する、国際公開第94/20069号パンフレ
ットにおいてさらに記載されている。

0174

また、ある特定の製剤は、経口投与されうることも想定される。本発明の一実施形態で
は、この様式で投与されるFGF21タンパク質変異体は、錠剤およびカプセルなど、固
剤形を配合するときに通常使用される担体を伴うかまたは伴わずに製剤化することがで
きる。例えば、カプセルは、バイオアベイラビリティー最大化され、かつ、プレシステ
ミックの分解が最小化される消化管内の時点において、製剤の活性部分を放出するように
デザインすることができる。FGF21タンパク質変異体の吸収を容易とするように、さ
らなる薬剤を組み入れることもできる。また、希釈剤、芳香剤、低融点植物油滑沢
剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤、および結合剤も、援用することができる。

0175

別の医薬組成物は、有効量のFGF21タンパク質変異体を、錠剤の製造に適する非毒
性賦形剤との混合物中に伴う場合がある。錠剤を滅菌水中、または別の適切な媒体中に溶
解させることにより、溶液を、単位剤形で調製することができる。適切な賦形剤は、炭酸
カルシウム炭酸ナトリウム、もしくは重炭酸ナトリウムラクトース、またはリン酸カ
ルシウムなどの不活性希釈剤;あるいはデンプン、ゼラチン、またはアカシアなどの結合
剤;あるいはステアリン酸マグネシウムステアリン酸、または滑石などの滑沢剤を含む
がこれらに限定されない。

0176

当業者には、持続送達製剤中または制御送達製剤中にFGF21タンパク質変異体を伴
う製剤を含む、さらなるFGF21タンパク質変異体による医薬組成物が明らかであろう
。当業者にはまた、リポソーム担体、生体分解性マイクロ粒子または多孔性ビーズ、およ
びデポ注射剤など、他の様々な持続送達手段または制御送達手段を製剤化するための技法
も公知である(例えば、医薬組成物を送達するための、多孔性ポリマーマイクロ粒子の制
御放出について記載する、国際公開第93/15722号パンフレット、ならびにマイ
スフェア調製物/マイクロ粒子調製物およびこれらの使用について論じる、Wischke &
Schwendeman, 2008, Int. J Pharm. 364: 298-327、およびFreiberg & Zhu, 2004, Int.
J Pharm. 282: 1-18を参照されたい)。

0177

持続放出調製物のさらなる例は、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態にお
ける、半透性ポリマーマトリックス成型品を含む。持続放出マトリックスは、ポリエス
テルハイドロゲルポリラクチド(米国特許第3,773,919号明細書および欧州
特許第0058481号明細書)、L−グルタミン酸とガンマエチル−L−グルタミン酸
とのコポリマー(Sidman et al., 1983, Biopolymers 22: 547-56)、ポリ(2−ヒドロ
キシエチル−メタクリレート)(Langer et al., 1981, J. Biomed. Mater. Res. 15: 16
7-277およびLanger, 1982, Chem. Tech. 12: 98-105)、エチレン酢酸ビニル(上記Lange
r et al.)またはポリ−D−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許第0133988号明細書)
を含みうる。持続放出組成物はまた、当技術分野で公知の複数の方法のうちのいずれかに
より調製しうるリポソームも含みうる。例えば、Epstein et al., 1985, Proc. Natl. Ac
ad. Sci. U.S.A. 82: 3688-92;および欧州特許第0036676号明細書、同第008
8046号明細書、および同第0143949号明細書を参照されたい。

0178

FGF21タンパク質変異体による医薬組成物であって、in vivo投与のために
使用される医薬組成物は、典型的に、滅菌医薬組成物でなければならない。これは、滅菌
濾過膜を通した濾過により達成することができる。組成物を凍結乾燥させる場合、この方
法を使用する滅菌処理は、凍結乾燥および再構成の前または後に実行することができる。
非経口投与用の組成物は、凍結乾燥形態で保存することもでき、溶液中に保存することも
できる。加えて、非経口組成物は一般に、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮
注射針により穿刺可能な止栓を有する静脈溶液バッグまたはバイアルに入れる。

0179

医薬組成物を製剤化したら、滅菌バイアル内に、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、
固体として保存することもでき、脱水粉末または凍結乾燥粉末として保存することもでき
る。このような製剤は、使用準備のできた形態で保存することもでき、投与前の再構成を
要請する形態(例えば、凍結乾燥形態)で保存することもできる。

0180

具体的な実施形態では、本発明は、単回投与用の投与単位を作製するためのキットを対
象とする。キットは、各々が、乾燥タンパク質を有する第1の容器および水性製剤を有す
る第2の容器の両方を含有しうる。本発明の範囲内にはまた、シングルチャンバー型プレ
フィルドシリンジおよびマルチチャンバープレフィルドシリンジ(例えば、液体シリン
ジおよびリオシリンジ)を含有するキットも含まれる。

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