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技術 耐変色性多層シート

出願人 旭化成株式会社
発明者 大門利博
出願日 2019年3月13日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-045910
公開日 2020年9月17日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-146909
状態 未査定
技術分野 積層体(2) 被包材
主要キーワード 硬質プラスチックシート ベース樹脂層 積層プラスチックシート 熱成型用 重合活性剤 単数種 アクリル共重合体エマルション エチレンノルボルネン
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年9月17日)のものです。
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課題

耐変色性耐黄変性)に優れ、食品医薬品の容器包装として、特にPTP用として好適な、新規多層シートを提供すること。

解決手段

樹脂製基材と、樹脂製基材の表面上に形成されたベース樹脂層と、ベース樹脂層の表面上に形成されたバリア樹脂層とを含む多層シートであって、ベース樹脂層が、共重合体ラテックス樹脂から形成されており、乾燥時塗布量0.1g/m2以上の樹脂層として形成したときの全反射測定法ATR)によるフーリエ変換赤外分光光度(FT−IR)において3200〜3420cm−1の吸光度最大値が0.015以下であり、1500cm−1および1570cm−1の吸光度の最大値が0.05以下であり、バリア樹脂層が、塩化ビニリデン単量体が70〜95重量%の共重合組成を有する塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂から形成された層である多層シート。

概要

背景

長期の品質保持が要求される食品医薬品等包装材料として、酸素透過率水蒸気透過率が改善された積層プラスチックシートが知られている。また近年、包装用積層材料におけるアンカーコート層として、各層の密着性、特にPETなどのポリエチレン系樹脂塩化ビニル等の樹脂製基材塩化ビニリデン系樹脂層との密着性をより向上させる材料として、種々のアンカーコート剤が開発されている。

例えば、特許文献1には、塩化ビニル等で形成された2枚の硬質プラスチックシートの各々の片面に塩化ビニリデン系共重合体樹脂エマルジョンを塗布し、その塗布面の中間に溶融ポリエチレンを押し出し、固着せしめることを含む、熱成型用積層プラスチックシートの製造方法が開示されている。
また、特許文献1には、各層の接着性・密着性、具体的には塩化ビニル層と塩化ビニリデン系樹脂層との密着性、あるいはポリエチレン層と塩化ビニリデン系樹脂層との密着性を改善するためのアンカーコート層として、アルキルチタネート系、ポリイソシアネート系、およびアルキレンイミン系のアンカーコート剤を用い得ることが記載されている。当該文献の実施例では、ポリイソシアネート系のアンカーコート剤が用いられた。

医薬品や食品等の包装のため、カプセル錠剤等の固形剤、粒状の食品等を包装するためにPTPプレススルーパッケージ)が広く使用されている。
PTPは、例えば、透明シートを加熱し、圧空成形真空成形等を施すことでカプセルや錠剤等の固形物収納するポケット部を形成し、次いでポケット部にカプセル等を収納し、例えばアルミ箔等の引裂開封が可能な材質の箔やフィルム蓋材として貼り合せて一体化した包装を指す。

容器やPTP等の包装の材料(典型的な例としてはPTPのポケット部の包装材)としては、医薬品や食品等の対象製品性質に鑑み、長期の品質保存性を確保するのに十分なレベルの水蒸気透過率(WVTR)または酸素透過率、機械的強度等の各種物性が求められている。
例えば、特許文献2には、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)からなる層(i)、及び、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(B)からなる層(ii)を、層(i)/層(ii)/層(i)の順に積層してなり、所定の吸光度比を有する材料を用いたPTP用多層シートが開示されている。当該文献には、塩化ビニル層と塩化ビニリデン系樹脂層との接着性向上のため、アルキルチタネート系化合物ポリイソシアネート系化合物ポリアルキレンイミン系化合物ポリウレタン系樹脂等のアンカーコート剤を用い得ることが、記載されている。

これらのアンカーコート剤の中でも、ポリウレタン系のアンカーコート剤は最も高い密着性を有することが知られており、広く市販・使用されている。このようなポリウレタン系のアンカーコート剤の例としては、BASF社から市販されている「Emuldur 381A」が挙げられる。

概要

耐変色性耐黄変性)に優れ、食品や医薬品の容器・包装として、特にPTP用として好適な、新規な多層シートを提供すること。樹脂製基材と、樹脂製基材の表面上に形成されたベース樹脂層と、ベース樹脂層の表面上に形成されたバリア樹脂層とを含む多層シートであって、ベース樹脂層が、共重合体ラテックス樹脂から形成されており、乾燥時塗布量0.1g/m2以上の樹脂層として形成したときの全反射測定法ATR)によるフーリエ変換赤外分光光度(FT−IR)において3200〜3420cm−1の吸光度最大値が0.015以下であり、1500cm−1および1570cm−1の吸光度の最大値が0.05以下であり、バリア樹脂層が、塩化ビニリデン単量体が70〜95重量%の共重合組成を有する塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂から形成された層である多層シート。なし

目的

本発明の課題は、耐変色性(耐黄変性)に優れ、食品や医薬品の容器または包装として好適であり、特にPTP用として好適な、新規な多層シートを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

樹脂製基材と、この樹脂製基材の表面上に形成されたベース樹脂層と、このベース樹脂層の表面上に形成されたバリア樹脂層とを含む多層シートであって、前記ベース樹脂層が、共重合体ラテックス樹脂から形成されており、乾燥時塗布量0.1g/m2以上の樹脂層として形成したときの全反射測定法ATR)によるフーリエ変換赤外分光光度(FT−IR)において3200〜3420cm−1の吸光度最大値が0.015以下であり、かつ1500cm−1および1570cm−1の吸光度の最大値が0.05以下であり、前記バリア樹脂層が、塩化ビニリデン単量体が70〜95重量%の共重合組成を有する塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂から形成された層である、上記多層シート。

請求項2

前記ベース樹脂層の共重合体ラテックス樹脂が、少なくとも1種のエチレン系不飽和単量体由来構造単位を含む重合体を含む、請求項1に記載の多層シート。

請求項3

前記ベース樹脂層の共重合体ラテックス樹脂が、エチレン系不飽和カルボン酸単量体と、(メタアクリル酸アルキルエステル単量体および水酸基含有エチレン系不飽和単量体から選択される少なくとも1種の単量体からなる重合体を含む、請求項1に記載の多層シート。

請求項4

ベース樹脂層の乾燥時塗布量が0.1〜10g/m2であり、バリア樹脂層の乾燥時塗布量が10〜360g/m2である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層シート。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層シートを含む容器または包装体

請求項6

医薬品包装用ブリスターパックPTP用である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層シート。

技術分野

0001

本発明は、耐変色性耐黄変性)に優れた新規多層シートに関する。
さらに詳細には、本発明は、耐変色性に優れ、食品医薬品の容器または包装として好適であり、特にPTP用として好適な多層シートに関する。

背景技術

0002

長期の品質保持が要求される食品や医薬品等包装材料として、酸素透過率水蒸気透過率が改善された積層プラスチックシートが知られている。また近年、包装用積層材料におけるアンカーコート層として、各層の密着性、特にPETなどのポリエチレン系樹脂塩化ビニル等の樹脂製基材塩化ビニリデン系樹脂層との密着性をより向上させる材料として、種々のアンカーコート剤が開発されている。

0003

例えば、特許文献1には、塩化ビニル等で形成された2枚の硬質プラスチックシートの各々の片面に塩化ビニリデン系共重合体樹脂エマルジョンを塗布し、その塗布面の中間に溶融ポリエチレンを押し出し、固着せしめることを含む、熱成型用積層プラスチックシートの製造方法が開示されている。
また、特許文献1には、各層の接着性・密着性、具体的には塩化ビニル層と塩化ビニリデン系樹脂層との密着性、あるいはポリエチレン層と塩化ビニリデン系樹脂層との密着性を改善するためのアンカーコート層として、アルキルチタネート系、ポリイソシアネート系、およびアルキレンイミン系のアンカーコート剤を用い得ることが記載されている。当該文献の実施例では、ポリイソシアネート系のアンカーコート剤が用いられた。

0004

医薬品や食品等の包装のため、カプセル錠剤等の固形剤、粒状の食品等を包装するためにPTPプレススルーパッケージ)が広く使用されている。
PTPは、例えば、透明シートを加熱し、圧空成形真空成形等を施すことでカプセルや錠剤等の固形物収納するポケット部を形成し、次いでポケット部にカプセル等を収納し、例えばアルミ箔等の引裂開封が可能な材質の箔やフィルム蓋材として貼り合せて一体化した包装を指す。

0005

容器やPTP等の包装の材料(典型的な例としてはPTPのポケット部の包装材)としては、医薬品や食品等の対象製品性質に鑑み、長期の品質保存性を確保するのに十分なレベルの水蒸気透過率(WVTR)または酸素透過率、機械的強度等の各種物性が求められている。
例えば、特許文献2には、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)からなる層(i)、及び、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(B)からなる層(ii)を、層(i)/層(ii)/層(i)の順に積層してなり、所定の吸光度比を有する材料を用いたPTP用多層シートが開示されている。当該文献には、塩化ビニル層と塩化ビニリデン系樹脂層との接着性向上のため、アルキルチタネート系化合物ポリイソシアネート系化合物ポリアルキレンイミン系化合物ポリウレタン系樹脂等のアンカーコート剤を用い得ることが、記載されている。

0006

これらのアンカーコート剤の中でも、ポリウレタン系のアンカーコート剤は最も高い密着性を有することが知られており、広く市販・使用されている。このようなポリウレタン系のアンカーコート剤の例としては、BASF社から市販されている「Emuldur 381A」が挙げられる。

先行技術

0007

特公昭49−24587号公報
特許第6022311号公報

発明が解決しようとする課題

0008

容器やPTP等の包装の材料(例えばPTPのポケット部の包装材)としては、医薬品や食品等の種々の対象製品を外部から正しく視認することが可能なように、長期に渡って大きな経時変化なしに透明性が持続されることが求められる。
しかし、多層シートにおいて、PETなどのポリエチレン系樹脂や塩化ビニル等の樹脂製基材とポリ塩化ビニリデン系樹脂層との接着性向上のためにアンカーコート剤としてポリウレタン系樹脂を用いた場合には、多層シートの加熱成型または多層シートと金属箔との一体成形の際や、多層シート成型後の経時劣化(特に常温以上での保管による劣化など)により黄変が生じるという不都合があることが分かった。このような黄変は、ポリエステルポリオール等からなる主剤イソシアネートからなる硬化剤との反応によりポリウレタンを生成する際にわずかに残留したイソシアネートや、ポリウレタン生成後に分解することでわずかに生成したイソシアネートが水分と反応してアミンが生成し、ポリ塩化ビニリデンに(基材として使用されている場合はポリ塩化ビニルにも)このアミンが作用して脱塩酸し、分子中に二重結合が形成されるためであると考えられる。

0009

多層シートにおける塩化ビニリデン系樹脂層の塗布量(乾燥時)は、典型的に、食品の容器・包装用の多層シートの場合3〜5g/m2程度である一方、PTP用の多層シートの場合は30〜150g/m2程度である場合が多い。PTP用の多層シートにおいてこのように塩化ビニリデン系樹脂を厚塗りした場合には、上記のような黄変による変色が余計に目立つことになり、外観上および衛生上の大きな問題となり得る。

0010

従って、本発明の課題は、耐変色性(耐黄変性)に優れ、食品や医薬品の容器または包装として好適であり、特にPTP用として好適な、新規な多層シートを提供することである。

課題を解決するための手段

0011

上記課題を解決するための本発明の諸態様は、以下のとおりである。
[1].
樹脂製基材と、この樹脂製基材の表面上に形成されたベース樹脂層と、このベース樹脂層の表面上に形成されたバリア樹脂層とを含む多層シートであって、
前記ベース樹脂層が、共重合体ラテックス樹脂から形成されており、乾燥時塗布量0.1g/m2以上の樹脂層として形成したときの全反射測定法ATR)によるフーリエ変換赤外分光光度(FT−IR)において3200〜3420cm−1の吸光度最大値が0.015以下であり、かつ1500cm−1および1570cm−1の吸光度の最大値が0.05以下であり、
前記バリア樹脂層が、塩化ビニリデン単量体が70〜95重量%の共重合組成を有する塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂から形成された層である、
上記多層シート。
[2].
前記ベース樹脂層の共重合体ラテックス樹脂が、少なくとも1種のエチレン系不飽和単量体由来構造単位を含む重合体を含む、上記[1]項に記載の多層シート。
[3].
前記ベース樹脂層の共重合体ラテックス樹脂が、エチレン系不飽和カルボン酸単量体と、(メタアクリル酸アルキルエステル単量体および水酸基含有エチレン系不飽和単量体から選択される少なくとも1種の単量体からなる重合体を含む、上記[1]項に記載の多層シート。
[4].
ベース樹脂層の乾燥時塗布量が0.1〜10g/m2であり、バリア樹脂層の乾燥時塗布量が10〜360g/m2である、上記[1]〜[3]項のいずれか1項に記載の多層シート。
[5].
上記[1]〜[4]項のいずれか1項に記載の多層シートを含む容器または包装体
[6].
医薬品包装用ブリスターパックのPTP用である、上記[1]〜[4]項のいずれか1項に記載の多層シート。

0012

なお、本明細書において「樹脂」の用語は、2以上の樹脂を含む樹脂混合物や、樹脂以外の成分を含む樹脂組成物をも含む用語として使用する。
また、本明細書において「シート」の用語は、「フィルム」と相互交換的に又は相互置換可能に使用する。
本明細書において数値範囲に係る「〜」の記号は、ある数値、ある数値超かつ他のある数値未満、又は他のある数値の意味で使用する。ここで、他のある数値は、ある数値よりも大きい数値とする。例えば、10〜90%は、10%、10%超かつ90%未満、又は90%を意味する。
本願の実施例以外において、又は別段に指定されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用されるすべての数値は、「約」という用語により修飾されるものとして理解されるべきである。

発明の効果

0013

本発明によれば、耐変色性(耐黄変性)に優れた多層シートを得ることができる。
このような耐変色性は、PTP用の多層シートにおいて塩化ビニリデン系樹脂を厚塗りした場合に特に有利である。
また、本発明の好ましい態様によれば、良好な外観を有し、耐黄変性に優れ、かつ非常に高い酸素バリア性を有する多層シートを得ることができる。
本発明による多層シートにおいて、酸素バリア性と水蒸気バリア性とは概ね相関傾向を有することが判明しているため、当該多層シートは非常に高い水蒸気バリア性も有するであろう。

0014

本発明による多層シートは、樹脂製基材と、この樹脂製基材の表面上に形成されたベース樹脂層と、このベース樹脂層の表面上に形成されたバリア樹脂層とを含む。
以下、これらの各層の構成について順次詳細に説明する。

0015

樹脂製基材
樹脂製基材を構成する樹脂は、透明性であることが好ましい。樹脂製基材を構成する樹脂の例としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂エチレンノルボルネン共重合体等の環状炭化水素系樹脂ポリメタクリル酸メチル、及びポリメタクリル酸エチル等のアクリル系樹脂ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂芳香族ポリカーボネート系樹脂ポリプロピレン、及び4−メチルペンテン−1等のポリオレフィン系樹脂ポリアミド系樹脂ポリアリレート系樹脂ポリマー型ウレタンアクリレート系樹脂;及びポリイミド系樹脂などを挙げることができる。

0016

食品や医薬品等の種々の製品の容器・包装用の多層シートの場合、樹脂製基材を構成する樹脂として、通常、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(例えばナイロン)、ポリプロピレン(例えばOPP)等のポリオレフィン系樹脂、セロファンなどが用いられる。この場合、より一般的には、ポリ塩化ビニル、またはポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂が用いられる。

0017

樹脂製基材は、単層フィルムから形成されていても、複層のフィルムから形成されていてもよい。また、樹脂は単数種であってもよいし、複数種の混合物であってもよい。
樹脂製基材の厚みは、使用する樹脂や多層シートの用途に応じて適宜選択することができる。樹脂製基材の厚みは、通常、通常5〜300μm程度であり、好ましくは5〜200μm、より好ましくは8〜200μm程度であってよい。

0018

ベース樹脂層
前記ベース樹脂層は、共重合体ラテックス樹脂から形成されている。
ベース樹脂層が乾燥時塗布量0.1g/m2以上の樹脂層として形成したときの全反射測定法(ATR)によるフーリエ変換赤外分光光度(FT−IR)において3200〜3420cm−1の吸光度の最大値(またはピークが存在する場合にはピーク強度)が0.015以下であり、かつ1500cm−1および1570cm−1の吸光度の最大値(またはピークが存在する場合にはピーク強度)が0.05以下である限り、共重合体ラテックス樹脂の種類は特に限定されない。

0019

共重合体ラテックス樹脂は、通常、少なくとも1種のエチレン系不飽和単量体由来の構造単位を含む重合体を含む。
共重合体ラテックス樹脂に用いられる少なくとも1種のエチレン系不飽和単量体由来の構造単位を含む重合体は、このような構造単位を含む限り、特に限定されない。その典型例としては、エチレン系不飽和カルボン酸単量体と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体および水酸基含有エチレン系不飽和単量体から選択される少なくとも1種の単量体からなる重合体が挙げられる。

0020

エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸メタクリル酸等の一塩基性エチレン系不飽和カルボン酸単量体、イタコン酸マレイン酸フマル酸等の二塩基性エチレン系不飽和カルボン酸単量体等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。エチレン系不飽和カルボン酸単量体には、カルボン酸無水物の形態のものも包含される。

0021

(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1−3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、イソボルニル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。

0022

水酸基含有エチレン系不飽和単量体としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレートヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートヒドロキシプロピルアクリレートヒドロキシプロピルメタクリレートアリルアルコール多価アルコールモノアリルエーテルなどを挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。

0023

ベース樹脂層の共重合体ラテックス樹脂を構成し得る他の単量体としては、例えば、塩化ビニルや塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニルスチレンスルホン酸塩や2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸、及び(メタ)アリルスルホン酸塩などのスルホン酸基含有単量体燐酸エチレン(メタ)アクリレートや燐酸プロピレン(メタ)アクリレート、及び2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどの燐酸基含有単量体などを挙げることができる。

0024

ベース樹脂層の共重合体ラテックス樹脂の好ましい例としては、エチレン系不飽和カルボン酸単量体と水酸基含有エチレン系不飽和単量体との共重合体の1種である(メタ)アクリルポリオール系共重合体が挙げられる。

0025

ベース樹脂層の共重合体ラテックス樹脂におけるエチレン系不飽和カルボン酸単量体の使用割合は、特に限定されないが、通常0.1〜15質量%、好ましくは0.2〜10質量%であってよい。

0026

ベース樹脂層の共重合体ラテックス樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、通常、3,000〜300,000であってよい。本明細書において、樹脂の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン樹脂標準として求めることができる。

0027

ベース樹脂層の共重合体ラテックス樹脂の平均粒子径は、特に限定されないが、通常、50nm〜1μmであってよく、好ましくは80nm〜800nmであってよい。

0028

ベース樹脂層の共重合体ラテックス樹脂の製造方法は、特に限定されず、公知のいずれの方法も採用し得る。例えば、水性媒体中乳化剤の存在下、ラジカル開始剤により重合を行う等の方法を採用することができる。
使用可能な乳化剤の例としては、例えば、脂肪族セッケンロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩アルキルスルホコハク酸塩ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩などのアニオン性乳化剤ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性乳化剤が挙げられる。
使用可能なラジカル開始剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、エチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレート等の有機過酸化物類や、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物類が挙げられる。

0029

共重合体ラテックス樹脂の製造時には、樹脂の水性化を促進し、分散粒子径を小さくする目的で、水性媒体中に、必要に応じ、水以外に有機溶剤親水性水溶性)有機溶剤や疎水性有機溶剤)を含ませてよい。共重合体ラテックス樹脂の製造時に有機溶剤を用いた場合には、ストリッピング等によってこれを極力少ない量に至るまで(限りなくゼロに近づくように)除去することが好ましい。

0030

ベース樹脂層は、乾燥時塗布量0.1g/m2以上の樹脂層として形成したときの全反射測定法(ATR)によるフーリエ変換赤外分光光度(FT−IR)において3200〜3420cm−1の吸光度の最大値が0.015以下であり、かつ1500cm−1および1570cm−1の吸光度の最大値が(いずれも)0.05以下である。

0031

一実施形態において、ベース樹脂層は、乾燥時塗布量0.1g/m2以上の樹脂層として形成したときの全反射測定法(ATR)によるフーリエ変換赤外分光光度(FT−IR)において3200〜3420cm−1の吸光度の最大値が、好ましくは0.014以下であってよく、より好ましくは0.013以下であってよく、さらに好ましくは0.012以下であってよく、より一層好ましくは0.011以下であってよく、最も好ましくは0.010以下であってよい。
また、一実施形態において、ベース樹脂層は、乾燥時塗布量0.1g/m2以上の樹脂層として形成したときの全反射測定法(ATR)によるフーリエ変換赤外分光光度(FT−IR)において1500cm−1および1570cm−1の吸光度の最大値が、好ましくは0.04以下であってよく、より好ましくは0.03以下であってよく、さらに好ましくは0.02以下であってよい。
他の一実施形態において、ベース樹脂層は、乾燥時塗布量0.1g/m2以上の樹脂層として形成したときの全反射測定法(ATR)によるフーリエ変換赤外分光光度(FT−IR)において3200〜3420cm−1の吸光度の最大値が、好ましくは実質的にゼロであってよく、1500cm−1および1570cm−1の吸光度の最大値が、好ましくは実質的にゼロであってよい。

0032

ベース樹脂層のFT−IRにおいて、注目して観察すべき主要なピークは、概ね以下のとおりである。
波数3420〜3200cm−1:官能基N−H(アミン)
・波数3000〜2800cm−1:官能基CH2、CH3
・波数2260cm−1:官能基NC
・波数1740cm−1:官能基C=O(ウレタン
・波数1690cm−1:官能基C=O(ウレタン、イソシアネート)
・波数1570cm−1、1500cm−1:官能基H−N−C=O(アミド

0033

ベース樹脂層のFT−IRにおける3200〜3420cm−1の吸光度は、N−H結合に由来するので、その範囲の波数の最大吸光度値が0.015以下であることは、N−H結合(アミンが有する)が実質的に存在しないことを意味する。また、ベース樹脂層のFT−IRにおける1500cm−1および1570cm−1の吸光度は、アミド結合に由来するので、それらの波数の最大吸光度値が0.05以下であることは、アミド結合(アミドが有する)が実質的に存在しないことを意味する。
ベース樹脂層にアミンやアミドが多量に存在すれば、多層シートのバリア樹脂層を構成する塩化ビニリデン、さらにはポリ塩化ビニル(基材として使用されている場合)にも、このアミンやアミドが作用して脱塩酸し、分子中に二重結合が形成され、経時的な変色・黄変が生じることになってしまう。
本発明に係る多層シートによれば、共重合体ラテックス樹脂のベース樹脂層について、乾燥時塗布量0.1g/m2以上の樹脂層として形成したときの全反射測定法(ATR)によるフーリエ変換赤外分光光度(FT−IR)において3200〜3420cm−1の吸光度の最大値が0.015以下であり、かつ1500cm−1および1570cm−1の吸光度の最大値が0.05以下であるように調整することによって、ベース樹脂層内にアミンやアミドが存在せず、塩化ビニリデンやポリ塩化ビニルとの相互作用による経時的な変色が効果的に抑制されるという驚くべき利点が得られる。
このような耐変色性は、多層シート(典型的にはPTP用)において塩化ビニリデン系樹脂を厚塗りした場合に特に有利である。

0034

ベース樹脂層の乾燥時の塗布量は、通常0.08〜20g/m2、好ましくは0.1〜10g/m2、より好ましくは0.2〜8g/m2であってよい。
本明細書において用語「乾燥」は、揮発性成分の実質的に全てが除去された状態になるまで乾燥させることを意味する(以下同様)。乾燥処理の条件は、特に限定されないが、例えば、熱風循環型のオーブン赤外線ヒーター等の加熱乾燥機中にて、高温(例えば85℃)で、重量減少が概して(あるいは完全に)それ以上認められなくなるまで(例えば15秒間)乾燥させることを含む。

0035

バリア樹脂層
前記バリア樹脂層は、塩化ビニリデン単量体が70〜95重量%の共重合組成を有する塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂から形成されている限り、特に限定されない。

0036

一実施形態において、バリア樹脂層を形成する塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂は、塩化ビニリデン70〜95質量部と塩化ビニリデンと共重合可能な1種以上のエチレン系不飽和単量体30〜5質量部(塩化ビニリデン、及び該エチレン系不飽和単量体の合計は、100質量部)とを乳化重合して得られる塩化ビニリデン系共重合体を含み、該共重合体の重量平均分子量Mwが12万〜30万であることを特徴とするラテックスであってよい。

0037

本実施形態の塩化ビニリデン系共重合体において、塩化ビニリデンから導かれる構成単位と、塩化ビニリデンと共重合可能な1種以上のエチレン系不飽和単量体から導かれる構成単位を有し、該共重合体中の塩化ビニリデンから導かれる構成単位の含有量は70〜95質量部(塩化ビニリデンから導かれる構成単位、及びエチレン系不飽和単量体から導かれる構成単位の合計は、100質量部)である。塩化ビニリデンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは88〜93質量部、更に好ましくは89〜92質量部の範囲内である。塩化ビニリデンから導かれる構成単位の比率が95質量部以下となる場合には、バリア性発現するのに十分な成膜状態を得られる。塩化ビニリデンから導かれる構成単位の比率が70質量部以上の場合には、良好なバリア性が発現される。

0038

本実施形態の塩化ビニリデン系共重合体において、塩化ビニリデンと共重合可能なエチレン系不飽和単量体は、塩化ビニリデンと共重合可能である限りいかなる単量体も使用可能であるが、その好ましい具体例として、例えば塩化ビニル、アクリル酸メチルアクリル酸エチルアクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステルメタクリル酸メチルメタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステルアクリロニトリルメタクリロニトリル、及びアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸等のうち一種又は二種以上を選択して用いることができる。より好ましくはアクリル酸または/及びそのエステル類である。

0039

本実施形態の塩化ビニリデン系共重合体において、塩化ビニリデンと共重合可能な1種以上のエチレン系不飽和単量体から導かれる構成単位の含有量は30〜5質量部(塩化ビニリデンから導かれる構成単位、及びエチレン系不飽和単量体から導かれる構成単位の合計は、100質量部)であリ、好ましくは12〜7質量部であり、更に好ましくは11〜8質量部である。塩化ビニリデンと共重合可能なエチレン系不飽和単量体の比率が、30質量部以下となる場合は、ラテックスをコートした際に形成される塗膜のバリア性とエチレン系不飽和単量体による特性をバランスさせることができ、5質量部以上の場合は塗膜の結晶化度が低くなるため、塗膜に柔軟性を付与することができる。

0040

本実施形態においては、例えばラテックスを乳化重合する際の単量体添加速度を調整し連続添加する重合方法により、ラテックスを構成する共重合体中の塩化ビニリデンから導かれる構成単位の割合、及び該共重合体の分子量を特定の範囲に調整した塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを得ることができる。

0041

本実施形態において、塩化ビニリデン系共重合体の乳化重合は温度30〜70℃で行われる。重合温度は、好ましくは40〜60℃の範囲内である。重合温度が70℃以下である場合は重合中の原料の分解が抑えられるため、熱安定性が良好である。重合温度が30℃以上である場合は、重合速度を上げられ、重合の効率が良くなる。重合時の媒体として例えば水又はメタノールを使用することができるが、好ましくは水のみを使用する。

0042

本実施形態における塩化ビニリデン系共重合体の乳化重合に用いる塩化ビニリデン及び塩化ビニリデンと共重合可能なエチレン系不飽和単量体は、例えば重合前に予め所定量を混合し、添加速度を調整して連続的に投入することができる。連続投入する単量体の添加速度は、例えば重合温度を50℃とする場合は、添加する単量体の総重量の内の70%以上を17〜30時間、好ましくは19〜30時間、更に好ましくは21〜30時間をかけて添加する程度が好ましい。連続添加する時間は、重合温度によって最適化することが好ましい。連続投入しない単量体は重合初期にバッチ投入し、後に残量を連続投入する方法が好ましい。このように単量体の連続投入を行う場合は、共重合体の重合度を調整することができ、ラテックス物性の中で特に共重合体の重量平均分子量を最適な範囲に調整することが可能となり、重合を効率的に行うことができる。

0043

本実施形態における塩化ビニリデン系共重合体ラテックスの乳化重合に用いることができる界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキルスルフォン酸塩などの陰イオン性界面活性剤が挙げられる。重合開始剤としては、例えば過硫酸ナトリウム過硫酸カリウム等の過硫酸塩過酸化水素、tーブチルハイドロパーオキサイドクメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。重合活性剤としては、例えば亜硫酸水素ナトリウムのような開始剤ラジカル分解を加速する重合活性剤が挙げられる。これら重合添加剤の種類は特に限定されず、例えば本技術分野において従来から好ましく使用されているものを使用することができる。これらの物質はラテックスから生成させた塗膜中に残存してバリア性を劣化させる要因となりうるので、その使用量は可能な限り少量であることが好ましい。

0044

本実施形態における塩化ビニリデン系共重合体の重合度は、例えば重合に供する単量体の一部を速度調整しながら連続添加して重合することにより、最適な範囲内に調整することができる。その重合度の尺度はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw、及び数平均分子量Mnによって判断される。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量Mwは12万〜30万であり、好ましくは12万≦Mw≦22万、更に好ましくは12万≦Mw≦19万である。Mwが12万以上の場合、塩化ビニリデン系共重合体の熱、光に対する安定性が優れるため熱安定性が優れる。Mwが30万以下の場合は、塩化ビニリデン系共重合体の結晶化が速やかに進むため、塗工初期における塗膜の耐衝撃性が高く、耐衝撃性が短時間で向上する。

0045

本実施形態における塩化ビニリデン系共重合体の数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比(Mw/Mn)は3.0以下であることが好ましい。Mw/Mnが3.0以下の場合は塗工初期における塗膜の耐衝撃性が高く、耐衝撃性が短時間で向上し、且つ長期に渡り高い耐衝撃性を保持することが可能となる。

0046

本実施形態における塩化ビニリデン系共重合体ラテックス中の塩化ビニリデン系共重合体粒子の平均粒子径は140〜190nmであることが好ましく、より好ましくは150〜180nmである。平均粒子径が140nm以上である場合は、塗膜中の粒子の表面積が比較的少なくなり、粒子間に残存する界面活性剤が少なくなるため、粒子融着後の分子拡散が進みやすくなり、成膜性が向上し塗膜の機械的な物性の立ち上がりが速くなる。また、塗工後のフィルム表面も平滑になりやすくなるため、外観が優れる。平均粒子径を調整する方法としては、重合開始時の界面活性剤の使用量の調整、重合時間の調整、種晶の使用などの方法があるが、その方法は特に限定されない。

0047

本実施形態における塩化ビニリデン系共重合体ラテックスの表面張力は45〜55mN/mであることが好ましく、より好ましくは45〜52mN/mである。表面張力がこの範囲である場合は、ベース樹脂層(アンカーコート層)の表面に均一に塗布され、塗膜が緊密に成膜されるため境界面での欠陥が生じにくく、安定した耐衝撃性、バリア性を発揮する。表面張力を調整する方法としては、例えば重合中の界面活性剤の使用量を調整する方法、重合に使用する単量体の組成調整する方法などがある、また、重合後でも界面活性剤を使用でき、その種類は特に限定されない。しかしながら界面活性剤の添加は、バリア性、柔軟性などの塗膜物性に影響を及ぼすため、好ましくは重合条件により表面張力を調整する。

0048

本実施形態における塩化ビニリデン系共重合体ラテックスの固形分は、40〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは48〜62重量%である。塩化ビニリデン系共重合体ラテックスのpHは、好ましくは重合後に2.0〜6.0になるように、一般的に使用される塩基性調整剤を添加し調整することができる。塩基性調整剤の種類は特に限定されないが、通常は水性アンモニア三級アミン弱酸金属塩などを用いる。塩化ビニリデン系共重合体ラテックスは、乳化重合に引き続き透析処理を施し、バリア性劣化の要因となりうる物質を可能な限り除去して用いてもよい。

0049

他の好ましい一実施形態において、バリア樹脂層を形成する塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂は、以下のものであってよい。
塩化ビニリデン85〜95重量部、及び、塩化ビニリデンと共重合可能なモノマー5〜15重量部(塩化ビニリデン及び塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーの合計は100重量部)を含んでなる塩化ビニリデン系共重合体ラテックスであり、塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーが、塩化ビニリデン及び塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーの合計100重量部に基づいて、メタクリル酸メチル4〜10重量部、メタアクリロニトリルまたはアクリロニトリル0.3〜5重量部、アクリル酸0〜2重量部を含む、塩化ビニリデン系共重合体ラテックス。

0050

本実施形態の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスは、任意選択で、これら以外のモノマーを含んでよく、含まなくてもよい。通常、この塩化ビニリデン系共重合体ラテックスは、これら以外のモノマーを含まない。
これらのモノマーの組成について、塩化ビニリデン及び塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーの合計を100重量部とするとき、十分な酸素・水蒸気バリア性を得る観点から、塩化ビニリデン(以下、VDCと略すことがある)の含有量は85〜95重量部であり、好ましくは90〜93重量部であってよい。他方で、VDCと共重合可能なモノマーの含有量は5〜15重量部であり、好ましくは7〜10重量部であってよい。

0051

典型的に、本実施形態の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスは、ラテックスの総重量に基づいて、VDC85〜95重量%、及び、VDCと共重合可能なモノマー5〜15重量%を含んでなる。この場合、塩化ビニリデン及び塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーの合計は、100重量%であってよい(ラテックスは、これら以外のモノマーを含まずに構成されてよい)。好ましくは、上記塩化ビニリデン系共重合体ラテックスは、VDC90〜93重量%、及び、VDCと共重合可能なモノマー7〜10重量%を含んでよい。

0052

本実施形態において、VDCと共重合可能なモノマーは、メタクリル酸メチル(MMA)、メタアクリロニトリル(MAN)またはアクリロニトリル(AN)、及びアクリル酸(AA)を含み、好ましくは、MMA、及びANまたはMANからなる。VDCと共重合可能なモノマーは、好ましくは、アクリル酸メチル(MA)を含まない。

0053

本実施形態において、VDCと共重合可能なモノマーは、VDC及びVDCと共重合可能なモノマーの合計100重量部に基づいて、MMAが4〜10重量部、MANまたはANが0.3〜5重量部であり、より好ましくは組成中のMMAのMAN(またはAN)に対する重量比が1.0以上(MMA/MANまたはAN≧1.0)であってよい。この範囲内であることにより、上記塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを含む層を有するフィルムは、そのバリア性を保持したまま、ポリマーの変色(黄変)及び結晶化を抑制し、柔軟性を付与することが可能になる。より好ましい実施形態では、VDC及びVDCと共重合可能なモノマーの合計100重量部に基づいて、MMAが5〜8重量部、MANまたはANが0.4〜2重量部であってよい。また、他のより好ましい実施形態において、組成中のMMAのMAN(またはAN)に対する重量比は、3.0以上であり、さらに好ましくは5.0以上であってよい。

0054

さらに、VDCと共重合可能なモノマーにおいて、VDC及びVDCと共重合可能なモノマーの合計100重量部に基づくAAの含有量は0〜2.0重量部であり、より好ましくは0〜1.0重量部であってよい。この範囲であると、上記塩化ビニリデン系共重合体ラテックスは、熱と機械シアによる凝集が抑制され、塗工性が向上し得る。

0055

本実施形態の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスは、単量体混合物を乳化重合することによって製造することができる。特に限定されないが、乳化重合は、通常、30〜70℃の温度で行われる。重合温度は、好ましくは40〜60℃の範囲内であってよい。重合温度を70℃以下にすることにより、重合中の原料の分解が抑えられるため、好ましい。重合温度を30℃以上にすることにより、重合速度を上げることができるので、重合の効率が良くなる。重合時の媒体として例えば水又はメタノールを使用することができるが、好ましくは水のみを使用してよい。

0056

本実施形態の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスの乳化重合に用いる塩化ビニリデン及び塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーは、例えば重合前に予め所定量を混合し、連絡的に投入してもよく、及び/または、段階的にバッチ投入してもよい。連続投入する場合の単量体の添加速度は、例えば重合温度を50℃とする場合は、添加する単量体の総重量の内の70%以上を17〜30時間、好ましくは19〜30時間、更に好ましくは21〜30時間をかけて添加する程度が好ましい。連続添加する時間は、重合温度によって最適化することが好ましい。好ましい一態様は、重合初期に単量体をバッチ投入し、後に残量を連続投入する方法である。単量体の連続投入を行うことにより、共重合体の重合度を調整することができ、共重合体の重量平均分子量を最適な範囲に調整することが可能となり、重合を効率的に行うことができる。

0057

本実施形態の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスの乳化重合に用いることができる界面活性剤として、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキルスルフォン酸塩などの陰イオン性界面活性剤が挙げられる。重合開始剤として、例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、tーブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。重合活性剤として、例えば亜硫酸水素ナトリウムのような開始剤のラジカル分解を加速する重合活性剤が挙げられる。
これら重合添加剤は、特に限定されず、例えば本技術分野において従来から好ましく使用されている種類であってよい。これらの物質はラテックスから生成させた塗膜中に残存してバリア性を劣化させる要因となりうるので、その使用量は可能な限り少量であることが好ましい。

0058

本実施形態のラテックスを構成する塩化ビニリデン系共重合体の重合度は、例えば重合に供する単量体の一部を速度調整しながら連続添加して重合することにより、最適な範囲内に調整することができる。その重合度の尺度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw、及び数平均分子量Mnによって判断される。一実施形態において、上記ラテックスを構成する塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量Mwは、通常12万〜30万であり、好ましくは12万〜22万である。数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比(Mw/Mn)は、通常3.0以下である。

0059

本実施形態の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスに含まれる塩化ビニリデン系共重合体粒子は、特に限定されないが、その平均粒径は100〜200nmであることが好ましい。平均粒径をこの範囲とすることで、ラテックスの貯蔵安定性が良く、塗工性が向上する。
本実施形態の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスの固形分は、特に限定されないが、通常40〜70重量%である。

0060

また、本実施形態の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスに、必要に応じて、一般的に使用されている種々の成分、たとえば、消泡剤レオロジー調整剤増粘剤分散剤、及び、界面活性剤等の安定化剤湿潤剤可塑剤着色剤ワックスシリコーンオイルなどを添加してもよい。また、このラテックスに、必要に応じて、光安定剤紫外線吸収剤シランカップリング剤無機フィラー着色顔料体質顔料等を配合して使用することも可能である。

0061

本実施形態において、塩化ビニリデン系共重合体ラテックスは、高い酸素・水蒸気バリア性を得る観点から、1046cm−1/1070cm−1の吸光度比から求められる相対結晶化度が1.45以上であることが好ましい。この相対結晶化度は、1.50以上であることがより好ましい。

0062

ここで、1046cm−1/1070cm−1の吸光度比は、以下の方法で算出することができる。
塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを、乾燥後の塗布量が約8g/m2となるように二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下「OPPフィルム」と称する)に塗布し、次いで、80℃で15秒間乾燥した後、40℃で16時間熱処理を施す。次にフーリエ変換赤外分光光度計を用いて、塩化ビニリデン系共重合体ラテックスが塗布されたOPPフィルムの1200〜800cm−1のスペクトルを測定する。得られたスペクトルにおいて、1100cm−1と850cm−1を線で結び、この線をベースとして1046cm−1と1070cm−1の最大吸光度値(またはピークがある場合にはピーク強度)を測定し、吸光度比(1046cm−1の吸光度/1070cm−1の吸光度)を算出する。この吸光度比が大きい方が、結晶化度が高いことを示す。

0063

バリア樹脂層の乾燥時の塗布量は、通常8〜200g/m2、好ましくは10〜360g/m2、より好ましくは15〜300g/m2であってよい。
ここでの乾燥は、上記同様、揮発性成分の実質的に全てが除去された状態になるまで乾燥させることを意味する。乾燥処理の条件は、特に限定されないが、例えば、熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等の加熱乾燥機中にて、高温(例えば85℃)で、重量減少が概して(あるいは完全に)それ以上認められなくなるまで(例えば15秒間)乾燥させることを含む。

0064

多層シート
本発明に係る多層シートは、特に限定されないが、上記樹脂製基材上に、上記ベース樹脂層(アンカーコート層)および上記バリア層を、この順で、塗布・製膜および乾燥させることによって製造することができる。

0065

塗布の方法としては、公知のいずれの方法を用いてもよいが、例えば、グラビアロールコーティングリバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティングカーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティングはけ塗り法等が採用できる。乾燥条件の例示は、上述のとおりである。

0066

多層シートは、本発明の目的を阻害しない限り、任意選択で、上記の樹脂製基材、ベース樹脂層(アンカーコート層)、バリア層以外の他の機能層を有していてもよい。

0067

そのような他の機能層の例として、ポリエチレン系樹脂等が構成される内部補強層が挙げられる。内部補強層を構成するポリエチレン系樹脂の例としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE)等が挙げられる。これらのポリエチレン系樹脂の中でも、柔軟性、透明性、加工性等に優れるため、低密度ポリエチレン(LDPE)が好ましい。

0068

このような内部補強層を含む多層シートを形成する方法は、特に限定されないが、例えば、上記の樹脂製基材、ベース樹脂層およびバリア層からなる多層シートのバリア層にアンカーコート処理を施した積層体を2つ用意し、その間にT−ダイから溶融ポリエチレンを押出ラミネーションにより積層し、冷却することによって所望の多層シートを得ることができる。
この態様におけるアンカーコート処理は、上述のベース樹脂層の共重合体ラテックス樹脂を用いてもよいし、他の公知のアンカーコート剤を用いてもよい。

0069

本発明に係る多層シートは、耐変色性(耐黄変性)に優れているため、食品や医薬品の容器または包装体として好適である。
また、本発明に係る多層シートは、PTP用に塩化ビニリデン系樹脂を厚塗りした場合にも高度な耐変色性が得られるため、PTP用の(より具体的には医薬品包装用ブリスターパックのPTP用の)多層シートとして特に好適である。

0070

次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。本発明の主題は、あくまで添付の特許請求の範囲によって決定され得るものであり、その文言上の範囲に加え、当業者によって自明な変更、均等物などを含む。

0071

物性の測定・評価方法
(1)FT−IR(ATR法)測定
樹脂製基材の表面上にベース樹脂層を形成した積層フィルム(乾燥後)に対し、全反射測定法(ATR)によるフーリエ変換赤外分光光度(FT−IR)を下記条件にて実施した。このFT−IR測定において、3200〜3420cm−1の吸光度の最大値(またはピークがある場合にはピーク強度)(アミン結合由来)、および1500cm−1および1570cm−1の吸光度の最大値(またはピークがある場合にはピーク強度)(アミド結合由来)を測定した。前者の最大値が0.015以下、後者の最大値が0.05以下であれば、測定結果は良好であると判定され得る。
装置:株式会社島津製作所製フーリエ変換赤外分光光度計IRAffinity−1S
測定法:ATR(Attenuated Total Reflection)法(全反射測定法)
赤外線透過剤:ZnSe
測定モード:吸光度
アポダイズ関数:Happ−Genzel
積算回数:20
アパーチャー(分解):4cm−1
波数範囲:500〜4000cm−1(1050〜500cm−1はATR補正

0072

(2)塗工外観の評価
樹脂製基材、ベース樹脂層およびバリア層からなる多層シートの外観について、製造直後の最上層(バリア層)表面における筋や白化の有無を観察した。
塗工外観の評価方法・基準は、以下のとおりである。各例における評価結果を下記の表に示す。
コロナ放電処理を施したユニチカ株式会社製エンブレットPETフィルム12μmに、固形分30%に調整したプライマー(アンカーコート剤)を、メイヤーロッド#5を用いて乾燥後塗膜重量が3g/m2となるように塗布し、熱風乾燥機中にて85℃、15秒の乾燥処理を行い、(i)単層シートを得た。この単層シートに対して、バリア層として固形分50%に調整した塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂を、メイヤーロッド#5により1回の乾燥後塗膜重量が10g/m2となるように塗布し、熱風乾燥機中にて85℃、15秒の乾燥処理を行い、乾燥後塗膜重量40g/m2となるまで重ね塗り(いわゆる厚塗り)することによって(ii)多層シートを得た。
このようにして得られた(i)単層シートおよび(ii)多層シートの外観について、下記の塗膜欠陥の内、塗膜欠陥が1つもない良好な状態を○、一部に1つ以下の塗膜欠陥がある場合を△、全面に1つ以上の塗膜欠陥がある場合を×と評価した。

0073

(3)バリア性試験(酸素透過率測定)
JIS K7126 B法(等圧法)及びASTMD3985−81に示された測定方法に準じた、MOCON社の酸素透過率測定装置を用いて、樹脂製基材、ベース樹脂層およびバリア層からなる多層シートの酸素透過率(2回の平均値)を測定した。この際、測定した酸素透過率と実際のバリア層の塗布量から、バリア層塗布量5g/m2あたりの酸素透過率を換算した。
バリア性(酸素透過率)の評価方法・基準は、以下のとおりである。各例における評価結果を下記の表に示す。
コロナ放電処理を施したユニチカ株式会社製エンブレットPETフィルム12μmに、固形分30%に調整したプライマー(アンカーコート剤)を、メイヤーロッド#5を用いて乾燥後塗膜重量が3g/m2となるように塗布し、熱風乾燥機中にて85℃、15秒の乾燥処理を行い、単層シートを得た。この単層シートに対して、バリア層として固形分50%に調整した塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂を、メイヤーロッド#5により1回の乾燥後塗膜重量が約5g/m2となるように塗布し、熱風乾燥機中にて85℃、15秒の乾燥処理を行うことによって、多層シートを得た。
このようにして得られた多層シートについて、ベース樹脂層が下記(2−i)の水系ウレタン系アンカーコート剤(AC剤)である多層シートの酸素透過率を基準に−10%未満を×、−10%以上〜−20%以下を△、−20%超を○とした。

0074

(4)耐変色性(耐黄変性)試験
樹脂製基材、ベース樹脂層およびバリア層からなる多層シートに対し、120℃、0〜8時間の熱処理を行った後、JIS K7373プラスチック黄色度及び黄変度の求め方に示された測定方法に準じた色差YI値を測定した。用いた装置は、以下のとおりである。
耐変色性(耐黄変性)の評価方法・基準は、以下のとおりである。各例における評価結果を下記の表に示す(表中に照射時間ごとのL、a、b値と共にYI値を示した)。
熱処理に用いた乾燥機:ヤマト科学株式会社製、DKM400
色差計:コニカミノルタ株式会社製、分光測色計CM−5
コロナ放電処理を施したユニチカ株式会社製エンブレットPETフィルム12μmに、固形分30%に調整したプライマー(アンカーコート剤)を、メイヤーロッド#5を用いて乾燥後塗膜重量が3g/m2となるように塗布し、熱風循環乾燥機中にて85℃、15秒の乾燥処理を行い、単層シートを得た。この単層シートに対して、バリア層として固形分50%に調整した塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂を、メイヤーロッド#12により1回の乾燥後塗膜重量が10g/m2となるように塗布し、熱風循環乾燥機中にて85℃、15秒の乾燥処理を行い、乾燥後塗膜重量40g/m2となるまで重ね塗りすることによって、多層シートを得た。
このようにして得られた多層シートについて、ベース樹脂層が下記(2−i)の水系ウレタン系アンカーコート剤(AC剤)である多層シートの120℃、8時間のYI値を基準に−5%未満を×、−5%以上〜−10%以下を△、−10%(−1.0cc/m2/day)超を○とした。

0075

ベース樹脂層(アンカーコート層)に使用された共重合体ラテックス樹脂
[1].水系アクリル系アンカーコート剤(AC剤)
・水系アクリル系アンカーコート剤(1−i)
自己架橋型アニオン性アクリル共重合体エマルション
固形分:44重量%、酸価:18、Tg:5℃、ブルックフィールド粘度:90mPa/25℃
・水系アクリル系アンカーコート剤(1−ii)
アニオン性・変性アクリル/スチレン共重合体エマルション
固形分:47重量%、酸価:55、Tg:8℃、ブルックフィールド粘度:300mPa/25℃
・水系アクリル系アンカーコート剤(1−iii)
アニオン性アクリル/スチレン共重合体エマルション
固形分:40重量%、Tg:22℃、ブルックフィールド粘度:50−500mPa/25℃
[2].水系ウレタン系アンカーコート剤(AC剤):比較用
・水系ウレタン系アンカーコート剤(2−i)
ポリエステル/ポリウレタン系共重合体エマルション
固形分:約40重量%、ガラス転移温度:約−30℃、粘度:12−25mPa.s(23℃)、約20s(20℃)
・水系ウレタン系アンカーコート剤(2−ii)
ポリエーテル/ポリウレタン系共重合体エマルション
固形分:33重量%、ブルックフィールド粘度:100mPa/25℃(最大200mPa/25℃)
・水系ウレタン系アンカーコート剤(2−iii)
ポリエーテル/ポリウレタン系共重合体エマルション
固形分:28重量%、ブルックフィールド粘度:10−200mPa/25℃
・水系ウレタン系アンカーコート剤(2−iv)
ポリエーテル/ポリウレタン系共重合体エマルション
固形分:36重量%、ブルックフィールド粘度:最大200mPa/25℃

0076

バリア樹脂層に使用された塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂
・塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂(3−i)
ガラスライニングを施した耐圧反応器中にモノマー100部に対し、純水57部、Dアラボアスコルビン酸ナトリウム0.03部、アルキルスルホン酸ナトリウム0.2部を仕込み攪拌しながら脱気を行ったのち、内容物の温度を45℃に保った。別の容器に組成比がVDC/MAN/MMA/AA=91.5/5.2/2.4/0.9となる原料モノマー混合物を作成した。原料モノマー混合物の内20部を上記耐圧反応器中に一括添加し、内圧が降下するまで重合した。続いて、残りのモノマー混合物80部を連続的に定量して圧入した。
並行してt−ブチルハイドロパーオキサイド0.014部を純水3.5部に溶解した開始剤、Dアラボアスコルビン酸ナトリウム0.015部を純水3.5部に溶解した還元剤、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム1.6部を純水2.5部に溶解した乳化剤を連続的に定量圧入した。この間内容物を攪拌しながら45℃に保ち、内圧が十分に降下するまで反応を進行させた。重合収率は99.9%であった。重合収率は、ほぼ100%なので、共重合体の組成は仕込み比にほぼ等しい。かくして得られたラテックスを水蒸気ストリッピングによって未反応モノマーを除去したのち、固形分を50〜60%に調整した。

0077

・塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂(3−ii)
ガラスライニングを施した耐圧反応器中にモノマー100部に対し、純水57部、Dアラボアスコルビン酸ナトリウム0.03部、アルキルスルホン酸ナトリウム0.2部を仕込み、攪拌しながら脱気を行ったのち、内容物の温度を45℃に保った。別の容器に組成比がVDC/MMA/MAN/AA=92.0/6.5/1.0/0.5となる原料モノマー混合物を作成した。原料モノマー混合物の内20部を上記耐圧反応器中に一括添加し、内圧が降下するまで重合した。続いて、残りのモノマー混合物80部を連続的に定量して圧入した。
並行してt−ブチルハイドロパーオキサイド0.014部を純水3.5部に溶解した開始剤、Dアラボアスコルビン酸ナトリウム0.015部を純水3.5部に溶解した還元剤、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム1.6部を純水2.5部に溶解した乳化剤を連続的に定量圧入した。この間内容物を攪拌しながら45℃に保ち、内圧が十分に降下するまで反応を進行させた。重合収率は99.9%であった。重合収率は、ほぼ100%なので、共重合体の組成は仕込み比にほぼ等しい。かくして得られたラテックスを水蒸気ストリッピングによって未反応モノマーを除去したのち、固形分を50〜60%に調整した。

0078

実施例1
コロナ放電処理を施したユニチカ株式会社製エンブレットPETフィルム12μmに、プライマー(アンカーコート剤)として固形分30%に調整した上記(1−i)の水系アクリル系アンカーコート剤を、メイヤーロッド#5を用いて乾燥後塗膜重量が3g/m2となるように塗布し、熱風循環乾燥機中にて85℃、15秒の乾燥処理を行った。このフィルムに対してバリア層として固形分50%に調整した上記(3−i)の塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂を、メイヤーロッド#12により1回の乾燥後塗膜重量が10g/m2となるように塗布し、熱風循環乾燥機中にて85℃、15秒の乾燥処理を行い、乾燥後塗膜重量40g/m2となるまで重ね塗り(いわゆる厚塗り)することによって、多層シートを得た。
この樹脂製基材およびベース樹脂層の積層フィルムの上記(1)FT−IR(ATR法)測定における、3200〜3420cm−1の吸光度はピークがなく最大で0.0067、1500cm−1および1570cm−1の吸光度はピークがなく最大で0.022であり、良好であった。
また、この多層シートに対して、上記(2)塗工外観の評価、(3)バリア性試験、(4)耐変色性(耐黄変性)試験を行った。結果を下記表に示す。

0079

実施例2
塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂として、上記(3−ii)の塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に多層シートを得た。
この多層シートに対して、上記(2)塗工外観の評価、(3)バリア性試験、(4)耐変色性(耐黄変性)試験を行った。結果を下記表に示す。

0080

実施例3
プライマー(アンカーコート剤)として、固形分30%に調整した上記(1−ii)の水系アクリル系アンカーコート剤を用いた以外は、実施例1と同様に多層シートを得た。
この樹脂製基材およびベース樹脂層の積層フィルムの上記(1)FT−IR(ATR法)測定における、3200〜3420cm−1の吸光度はピークがなく最大で0.012、1500cm−1および1570cm−1の吸光度はピークがなく最大で0.017であり、良好であった。
この多層シートに対して、上記(2)塗工外観の評価、(3)バリア性試験、(4)耐変色性(耐黄変性)試験を行った。結果を下記表に示す。

0081

実施例4
塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂として、上記(3−ii)の塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂を用いた以外は、実施例3と同様に多層シートを得た。
この多層シートに対して、上記(2)塗工外観の評価、(3)バリア性試験、(4)耐変色性(耐黄変性)試験を行った。結果を下記表に示す。

0082

実施例5
プライマー(アンカーコート剤)として、固形分30%に調整した上記(1−iii)の水系アクリル系アンカーコート剤を用いた以外は実施例1と同様に多層シートを得た。
この樹脂製基材およびベース樹脂層の積層フィルムの上記(1)FT−IR(ATR法)測定における、3200〜3420cm−1の吸光度はピークがなく最大で0.012、1500cm−1および1570cm−1の吸光度はピークがなく最大で0.020であり、良好であった。
この多層シートに対して、上記(2)塗工外観の評価、(3)バリア性試験、(4)耐変色性(耐黄変性)試験を行った。結果を下記表に示す。

0083

実施例6
塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂として、上記(3−ii)の塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂を用いた以外は、実施例5と同様に多層シートを得た。
この多層シートに対して、上記(2)塗工外観の評価、(3)バリア性試験、(4)耐変色性(耐黄変性)試験を行った。結果を下記表に示す。

0084

比較例1
プライマー(アンカーコート剤)として、固形分30%に調整した上記(2−i)の水系ウレタンアンカーコート剤を用いた以外は、実施例1と同様に多層シートを得た。
この樹脂製基材およびベース樹脂層の積層フィルムの上記(1)FT−IR(ATR法)測定における、3200〜3420cm−1の吸光度のピーク強度は0.0375であり、アミンの存在が認められた。また、1500cm−1および1570cm−1の吸光度のピーク強度は0.203であった。
この多層シートに対して、上記(2)塗工外観の評価、(3)バリア性試験、(4)耐変色性(耐黄変性)試験を行った。結果を下記表に示す。

0085

比較例2
塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂として、上記(3−ii)の塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂を用いた以外は、比較例1と同様に多層シートを得た。
この多層シートに対して、上記(2)塗工外観の評価、(3)バリア性試験、(4)耐変色性(耐黄変性)試験を行った。結果を下記表に示す。

0086

比較例3
プライマー(アンカーコート剤)として、固形分30%に調整した上記(2−ii)の水系ウレタンアンカーコート剤を用いた以外は、実施例1と同様に多層シートを得た。
この樹脂製基材およびベース樹脂層の積層フィルムの上記(1)FT−IR(ATR法)測定における、3200〜3420cm−1の吸光度のピーク強度は0.0222であり、アミンの存在が認められた。また、1500cm−1および1570cm−1の吸光度のピーク強度は0.1057であった。
この多層シートに対して、上記(2)塗工外観の評価、(3)バリア性試験、(4)耐変色性(耐黄変性)試験を行った。結果を下記表に示す。

0087

比較例4
塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂として、上記(3−ii)の塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂を用いた以外は、比較例3と同様に多層シートを得た。
この多層シートに対して、上記(2)塗工外観の評価、(3)バリア性試験、(4)耐変色性(耐黄変性)試験を行った。結果を下記表に示す。

0088

比較例5
プライマー(アンカーコート剤)として、固形分30%に調整した上記(2−iii)の塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に多層シートを得た。
この樹脂製基材およびベース樹脂層の積層フィルムの上記(1)FT−IR(ATR法)測定における、3200〜3420cm−1の吸光度のピーク強度は0.0246であり、アミンの存在が認められた。また、1500cm−1および1570cm−1の吸光度のピーク強度は0.1051であった。
この多層シートに対して、上記(2)塗工外観の評価、(3)バリア性試験、(4)耐変色性(耐黄変性)試験を行った。結果を下記表に示す。

0089

比較例6
塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂として、上記(3−ii)の塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂を用いた以外は、比較例5と同様に多層シートを得た。
この多層シートに対して、上記(2)塗工外観の評価、(3)バリア性試験、(4)耐変色性(耐黄変性)試験を行った。結果を下記表に示す。

0090

比較例7
プライマー(アンカーコート剤)として、固形分30%に調整した上記(2−iv)の塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に多層シートを得た。
この樹脂製基材およびベース樹脂層の積層フィルムの上記(1)FT−IR(ATR法)測定における、3200〜3420cm−1の吸光度のピーク強度は0.0251であり、アミンの存在が認められた。また、1500cm−1および1570cm−1の吸光度のピーク強度は0.1063であった。
この多層シートに対して、上記(2)塗工外観の評価、(3)バリア性試験、(4)耐変色性(耐黄変性)試験を行った。結果を下記表に示す。

0091

比較例8
塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂として、上記(3−ii)の塩化ビニリデン系共重合体ラテックス樹脂を用いた以外は、比較例7と同様に多層シートを得た。
この多層シートに対して、上記(2)塗工外観の評価、(3)バリア性試験、(4)耐変色性(耐黄変性)試験を行った。結果を下記表に示す。

0092

0093

0094

0095

0096

0097

実施例

0098

<評価結果>
ベース樹脂層(アンカーコート層)の共重合体ラテックス樹脂として水系アクリル系アンカーコート剤を用いた本発明による多層シートは、FT−IR(ATR法)測定においてアミンまたはアミド由来の吸光度ピークを有さず、塗工外観、バリア性、耐変色性(耐黄変性)の全てにおいて良好な結果を示した。それに対して、ベース樹脂層(アンカーコート層)の共重合体ラテックス樹脂として水系ウレタン系アンカーコート剤を用いた多層シートは、FT−IR(ATR法)測定においてアミン由来の吸光度ピークを有し、耐変色性(耐黄変性)が明らかに劣っていた。

0099

本発明の多層シートは、耐変色性(耐黄変性)に優れているため、食品や医薬品の容器または包装体として好適である。
より具体的には、本発明に係る多層シートは、PTP用に塩化ビニリデン系樹脂を厚塗りした場合にも高度な耐変色性が得られるため、PTP用の(より具体的には医薬品包装用ブリスターパックのPTP用の)多層シートとして特に好適である。

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