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技術 低増殖性微生物の取得効率を高める培養方法

出願人 積水化学工業株式会社
発明者 吉川勝徳小野世吾
出願日 2019年3月15日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2019-048284
公開日 2020年9月17日 (5ヶ月経過) 公開番号 2020-146005
状態 未査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物、その培養処理
主要キーワード 共存条件 対象区 サチュレーション チオバチルス 消費財 乾燥重 エスケ 共生関係
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年9月17日)のものです。
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図面 (3)

課題

本発明は、環境サンプル中の低増殖性微生物を効率的に取得することを可能とする新たな方法を提供することを目的とする。

解決手段

少なくとも1種類の高増殖性微生物と、少なくとも1種類の低増殖性微生物を含む環境サンプルの培養方法であって、前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する増殖阻害剤の存在下で環境サンプルを培養することを含むことを特徴とする、方法。

概要

背景

自然界には膨大な種類や数の微生物が存在している。それら微生物の中には、食品分野などそれ自体が有効であるものや、医薬消費財分野などで有用な化合物を産生するものなど、有用な微生物が様々な用途で発見されている。このような背景の下、例えば自然界から新規有用微生物を探索する研究が行われている。

一般に、土壌などの環境サンプルには極めて多くの微生物が含まれており、当該サンプルから新規微生物を選抜する方法としては、環境サンプルに含まれる微生物を寒天培地などで培養しコロニーを1つずつ単離する方法や、環境サンプルの培養条件である栄養素、温度、pH等を検討することで新たな微生物を分離するといった手法が取られる。

しかし、増殖性に優れる微生物(以下、「高増殖性微生物」と記載する)ほど分離が容易であるため、分離した微生物が既知の高増殖性微生物である可能性が高く、新規微生物を得られる可能性は低い。一方、自然界には高増殖性微生物と比べて著しく増殖性の悪い微生物や存在比率の低い微生物が多数存在することが知られている。これらの微生物は、生来の増殖性の低さから、及び/又は、環境サンプル中における存在比率の低さから、一般的な培養条件下において増殖させることが難しく(以下、これら微生物を「低増殖性微生物」と記載する)、単離同定することは容易ではない。自然界に存在する膨大な微生物のうち、これまでに単離同定された微生物は、微生物全体の僅か1%未満とも言われており、その多くは高増殖性微生物である。高増殖性微生物と低増殖性微生物の共存条件で培養すると、増殖速度の速い高増殖性微生物が大量に栄養源消費してしまう、サチュレーションしてしまう等の理由から、低増殖性微生物の存在比率はさらに低くなる。

そのため、環境サンプル中から低増殖性微生物を効率的に取得するための方法が検討されている。

特許文献1には、生物の腸内微生物叢の変化を利用することで、大量獲得が難しかった微生物や人工的な環境下では獲得が難しかった微生物を、容易かつ効率的に獲得できる手法が開示されている。特許文献2には、植物と微生物の共生関係を利用し、微生物を植物に共生させることで、植物に共生する微生物を効率的に取得する方法が開示されている。

このように従来の研究では、微生物サンプルを所与の物と捉え、微生物の存在比率が少ないが分離・検出が可能であることを前提としている。しかしながら、そもそも分離や検出ができない程度に存在比率が低い微生物を取得することは、従来の方法では困難であった。また、例えば特許文献2のように、植物に共生する微生物しかスクリーニングの対象とならないなど、その適応範囲が限られることも課題であった。

概要

本発明は、環境サンプル中の低増殖性微生物を効率的に取得することを可能とする新たな方法を提供することを目的とする。少なくとも1種類の高増殖性微生物と、少なくとも1種類の低増殖性微生物を含む環境サンプルの培養方法であって、前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する増殖阻害剤の存在下で環境サンプルを培養することを含むことを特徴とする、方法。なし

目的

本発明は、環境サンプル中の低増殖性微生物を効率的に取得することを可能とする新たな手法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

少なくとも1種類の高増殖性微生物と、少なくとも1種類の低増殖性微生物を含む環境サンプル培養方法であって、前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する増殖阻害剤の存在下で環境サンプルを培養することを含むことを特徴とする、方法。

請求項2

前記高増殖性微生物がグラム陰性菌であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記高増殖性微生物がシュードモナス属であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。

請求項4

前記増殖阻害剤が、前記高増殖性微生物の必須遺伝子のmRNA配列相補的アンチセンス配列を有するペプチド核酸とそれに結合した細胞膜透過性ペプチドからなることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の方法。

請求項5

前記ペプチド核酸が以下:(a)ctcataccttg(配列番号1)で表される塩基配列を含むペプチド核酸、(b)配列番号1で表される塩基配列において1〜複数個塩基欠失置換、付加又は挿入を有する塩基配列を含み、かつ前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する活性を有するペプチド核酸、(c)配列番号1で表される塩基配列と90%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、かつ前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する活性を有するペプチド核酸、ならびに(d)配列番号1で表される塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつ前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する活性を有するペプチド核酸、から選択される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。

請求項6

前記細胞膜透過性ペプチドが以下:(i)Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Ahx−βAla(配列中、Ahxは6−アミノヘキサン酸を示す)(配列番号2)で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸の欠失、置換、付加又は挿入を有するアミノ酸配列を含み、かつ前記ペプチド核酸を前記高増殖性微生物の細胞内へと輸送する活性を有するポリペプチド、ならびに(iii)配列番号2で表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ前記ペプチド核酸を前記高増殖性微生物の細胞内へと輸送する活性を有するポリペプチド、から選択される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。

請求項7

OD値初期OD値より0.1以上増加するまで培養を継続することを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の方法。

請求項8

前記低増殖性微生物をスクリーニングするための、請求項1から7のいずれかに記載の方法。

請求項9

少なくとも1種類の高増殖性微生物と、少なくとも1種類の低増殖性微生物を含む環境サンプルより、前記低増殖性微生物をスクリーニングする方法において使用するための、前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する増殖阻害剤。

技術分野

0001

本発明は、自然界に存在する多数の微生物から、低増殖性微生物を効率的に取得するための微生物の培養方法に関する。

背景技術

0002

自然界には膨大な種類や数の微生物が存在している。それら微生物の中には、食品分野などそれ自体が有効であるものや、医薬消費財分野などで有用な化合物を産生するものなど、有用な微生物が様々な用途で発見されている。このような背景の下、例えば自然界から新規有用微生物を探索する研究が行われている。

0003

一般に、土壌などの環境サンプルには極めて多くの微生物が含まれており、当該サンプルから新規微生物を選抜する方法としては、環境サンプルに含まれる微生物を寒天培地などで培養しコロニーを1つずつ単離する方法や、環境サンプルの培養条件である栄養素、温度、pH等を検討することで新たな微生物を分離するといった手法が取られる。

0004

しかし、増殖性に優れる微生物(以下、「高増殖性微生物」と記載する)ほど分離が容易であるため、分離した微生物が既知の高増殖性微生物である可能性が高く、新規微生物を得られる可能性は低い。一方、自然界には高増殖性微生物と比べて著しく増殖性の悪い微生物や存在比率の低い微生物が多数存在することが知られている。これらの微生物は、生来の増殖性の低さから、及び/又は、環境サンプル中における存在比率の低さから、一般的な培養条件下において増殖させることが難しく(以下、これら微生物を「低増殖性微生物」と記載する)、単離同定することは容易ではない。自然界に存在する膨大な微生物のうち、これまでに単離同定された微生物は、微生物全体の僅か1%未満とも言われており、その多くは高増殖性微生物である。高増殖性微生物と低増殖性微生物の共存条件で培養すると、増殖速度の速い高増殖性微生物が大量に栄養源消費してしまう、サチュレーションしてしまう等の理由から、低増殖性微生物の存在比率はさらに低くなる。

0005

そのため、環境サンプル中から低増殖性微生物を効率的に取得するための方法が検討されている。

0006

特許文献1には、生物の腸内微生物叢の変化を利用することで、大量獲得が難しかった微生物や人工的な環境下では獲得が難しかった微生物を、容易かつ効率的に獲得できる手法が開示されている。特許文献2には、植物と微生物の共生関係を利用し、微生物を植物に共生させることで、植物に共生する微生物を効率的に取得する方法が開示されている。

0007

このように従来の研究では、微生物サンプルを所与の物と捉え、微生物の存在比率が少ないが分離・検出が可能であることを前提としている。しかしながら、そもそも分離や検出ができない程度に存在比率が低い微生物を取得することは、従来の方法では困難であった。また、例えば特許文献2のように、植物に共生する微生物しかスクリーニングの対象とならないなど、その適応範囲が限られることも課題であった。

先行技術

0008

特開2007−252244号公報
特開2009−195124号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、環境サンプル中の低増殖性微生物を効率的に取得することを可能とする新たな手法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは上記課題を克服するために鋭意検討した結果、環境サンプル中の高増殖性微生物の増殖を抑制することで、当該サンプル中の低増殖性微生物の存在比率を高めることが可能であり、それによって効率的に低増殖性微生物を取得できることを見出した。

0011

本発明はこれらの新規知見に基づくものであり、以下の発明を包含する。
[1] 少なくとも1種類の高増殖性微生物と、少なくとも1種類の低増殖性微生物を含む環境サンプルの培養方法であって、前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する増殖阻害剤の存在下で環境サンプルを培養することを含むことを特徴とする、方法。
[2] 前記高増殖性微生物がグラム陰性菌であることを特徴とする、[1]の方法。
[3] 前記高増殖性微生物がシュードモナス属であることを特徴とする、[1]又は[2]の方法。
[4] 前記増殖阻害剤が、前記高増殖性微生物の必須遺伝子のmRNA配列相補的アンチセンス配列を有するペプチド核酸とそれに結合した細胞膜透過性ペプチドからなることを特徴とする、[1]から[3]のいずれかの方法。
[5] 前記ペプチド核酸が以下:
(a)ctcataccttg(配列番号1)で表される塩基配列を含むペプチド核酸、
(b)配列番号1で表される塩基配列において1〜複数個塩基欠失置換、付加又は挿入を有する塩基配列を含み、かつ前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する活性を有するペプチド核酸、
(c)配列番号1で表される塩基配列と90%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、かつ前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する活性を有するペプチド核酸、ならびに
(d)配列番号1で表される塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつ前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する活性を有するペプチド核酸、
から選択される、[1]から[4]のいずれかの方法。
[6] 前記細胞膜透過性ペプチドが以下:
(i)Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Ahx−βAla(配列中、Ahxは6−アミノヘキサン酸を示す)(配列番号2)で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸の欠失、置換、付加又は挿入を有するアミノ酸配列を含み、かつ前記ペプチド核酸を前記高増殖性微生物の細胞内へと輸送する活性を有するポリペプチド、ならびに
(iii)配列番号2で表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ前記ペプチド核酸を前記高増殖性微生物の細胞内へと輸送する活性を有するポリペプチド、
から選択される、[1]から[5]のいずれかの方法。
[7]OD値初期OD値より0.1以上増加するまで培養を継続することを特徴とする、
[1]から[6]のいずれかの方法。
[8] 前記低増殖性微生物をスクリーニングするための、[1]から[7]のいずれかの方法。
[9] 少なくとも1種類の高増殖性微生物と、少なくとも1種類の低増殖性微生物を含む環境サンプルより、前記低増殖性微生物をスクリーニングする方法において使用するための、前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する増殖阻害剤。

発明の効果

0012

本発明によれば、環境サンプル中の低増殖性微生物を効率的に取得することを可能とする新たな手法を提供することができる。

0013

通常の培養条件において、存在比率が環境サンプル中の大半を占める高増殖性微生物の増殖を抑制し、その存在比率を低下させることによって、低増殖性微生物を含み、より多くの種類の微生物を含むサンプルを得ることができる。高増殖性とは当該微生物の増殖性自体が速い場合と、所定の環境サンプル中において他の微生物に対し相対的に増殖性が速い場合を含む。低増殖性はその逆となる。例えば、所定の環境サンプル中に含まれる微生物の中に、高増殖性微生物として知られる微生物が複数種類含まれている場合に、最も速い微生物を高増殖性微生物と、それ以外の微生物を低増殖性微生物と呼ぶことができる。

図面の簡単な説明

0014

図1は、増殖阻害剤を添加した、及び添加していないシュードモナス属単体を含む培養物について、経時的にその濁度OD620nm)を測定した結果を示すグラフ図である。増殖阻害剤添加なし(白)と増殖阻害剤添加あり(黒)。
図2は、増殖阻害剤を添加した、及び添加していない環境サンプルの培養物について、経時的にその濁度(OD 620nm)を測定した結果を示すグラフ図である。増殖阻害剤添加なし(白)と増殖阻害剤添加あり(黒)。
図3は、増殖阻害剤を添加した、及び添加していない環境サンプルの培養物について、遺伝子解読により菌叢解析した結果を示すグラフ図である。増殖阻害剤添加なし(左)と増殖阻害剤添加あり(右)。一番下の黒色はシュードモナス属の存在比率を示す。

0015

本発明は、少なくとも1種類の高増殖性微生物と、少なくとも1種類の低増殖性微生物を含む環境サンプルの培養方法に関するものであり、本方法は前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する増殖阻害剤の存在下で環境サンプルを培養することを特徴とする。

0016

本発明において「微生物」とは、細菌、真菌原生生物、及び微細藻類からなる群から選択される少なくとも一種の生物を意味する。

0017

本発明において「高増殖性微生物」とは、環境サンプルに含まれる微生物の中で比較的増殖性に優れる、及び/又は、慣用の微生物の培養方法にて比較的容易に増殖させることが可能な微生物を意味する。このような高増殖性微生物としては、環境サンプル中に通常認められる常在菌等が挙げられる。好ましくは、高増殖性微生物としては例えば、グラム陰性菌が挙げられ、より詳細には例えば、シュードモナス(Pseudomonas)属、キサントモナス(Xanthomonas)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、チオバチルス(Thiobacillus)属、ニトロバクター(Nitrobacter)属、ニトロソモナス(Nitrosomonas)属、ビブリオ(Vibrio)属、スピリルム(Spirillum)属、アゾトバクター(Azotobacter)属、リゾビウム(Rhizobium)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属、アセトバクター(Acetobacter)属、エスケリキア(Escherichia)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、(Serratia)属、ナイセリア(Neisseria)属、ベイロネラ(Veillonella)属等より選択される微生物が挙げられるが、これらに限定はされない。また、好ましくは、高増殖性微生物としては例えば、グラム陽性菌が挙げられ、より詳細には例えば、バシラス(Bacillus)属、リステリア(Listeria)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、クロストリジウム(Clostridium)属等より選択される微生物が挙げられるが、これらに限定はされない。より好ましくは、本発明において「高増殖性微生物」とは、シュードモナス(Pseudomonas)属、バシラス(Bacillus)属より選択される微生物である。さらに詳細には、高増殖性微生物として例えば、Pseudomomnas corrugata,Pseudomonas aeruginosa,Pseudomonas alcaligenes,Pseudomonas alkylphenolica,Pseudomonas amygdali,Pseudomonas Antarctica,Pseudomonas avellanae,Pseudomonas azotoformans,Pseudomonas balearica,Pseudomonas brassicacearum,Pseudomonas chlororaphis,Pseudomonas cichorii,Pseudomonas citronellolis,Pseudomonas corrugate,Pseudomonas cremoricolorata,Pseudomonas entomophila,Pseudomonas fluorescens,Pseudomonas fragi,Pseudomonas frederiksbergensis,Pseudomonas fulva,Pseudomonas knackmussii,Pseudomonas koreensis,Pseudomonas lundensis,Pseudomonas mandelii,Pseudomonas mendocina,Pseudomonas monteilii,Pseudomonas orientalis,Pseudomonas oryzihabitans,Pseudomonas parafulva,Pseudomonas plecoglossicida,Pseudomonas poae,Pseudomonas protegens,Pseudomonas pseudoalcaligenes,Pseudomonas psychrotolerans,Pseudomonas putida,Pseudomonas resinovorans,Pseudomonas rhizosphaerae,Pseudomonas savastanoi,Pseudomonas silesiensis,Pseudomonas soli,Pseudomonas sp.,Pseudomonas stutzeri,Pseudomonas synxantha,Pseudomonas syringae,Pseudomonas trivialis,Pseudomonas veronii,Pseudomonas versuta,Pseudomonas yamanorum,Bacillus subtilis,Bacillus altitudinis,Bacillus amyloliquefaciens,Bacillus anthracis,Bacillus atrophaeus,Bacillus beveridgei,Bacillus bombysepticus,Bacillus cellulosilyticus,Bacillus cereus,Bacillus clausii,Bacillus coagulansm,Bacillus cytotoxicus,Bacillus endophyticus,Bacillus flexus,Bacillus gibsonii,Bacillus glycinifermentans,Bacillus halodurans,Bacillus horikoshii,Bacillus infantis,Bacillus intestinalis,Bacillus kochii,Bacillus krulwichiae,Bacillus lehensis,Bacillus licheniformis,Bacillus megaterium,Bacillus methanolicus,Bacillus muralis,Bacillus mycoides,Bacillus oceanisediminis,Bacillus paralicheniformis,Bacillus pseudofirmus,Bacillus pseudomycoides,Bacillus pumilus,Bacillus safensis,Bacillus simplex,Bacillus smithii,Bacillus sp,Bacillus subtilis,Bacillus thuringiensis,Bacillus toyonensis,Bacillus vallismortis,Bacillus velezensis,Bacillus weihaiensis,Bacillus wiedmannii,Bacillus xiamenensis等より選択される微生物が挙げられるが、これらに限定はされない。

0018

本発明において「低増殖性微生物」とは、環境サンプルに含まれる微生物の中で高増殖性微生物と比べて生来増殖性が乏しい、及び/又は、LB培地、Lennnox培地、YPD培地等を用いた慣用の微生物の培養方法によっては増殖性が乏しい、もしくは、増殖しない、ならびに/あるいは、環境サンプル中における存在比率が低い微生物を意味する。低増殖性微生物が慣用の手法により培養が困難である理由としては例えば、培地の栄養条件の最適化が不十分である場合や、共存する高増殖性微生物が培地の栄養源を大量に消費してしまう場合等が挙げられる。16SrRNA遺伝子に基づいた分子生物学的手法によれば、このような低増殖性微生物の多くは未知の新規微生物であることが示唆される(J Bacteriol.1998 Sep;180(18):4765−4774.)。また、このような低増殖性微生物は天然に存在する微生物種の99%以上にものぼると言われている。これらの理由から、本発明において「低増殖性微生物」は特定の微生物に限定されることを意図しないが、あえて一例を示すとすれば、パエニバシラス(Paenibacillus)属、パラヘバスピリリム(Paraherbaspirillum)属、シュードアルスロバクター(Pseudarthrobacter)属、コリナス(Collimonas)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、バークホルデリア(Burkholderia)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、メチロアニバクター(Methyloceanibacter)属、ペドバクター(Pedobacter)属、ビブリオ(Vibrio)属に属する微生物等が挙げられる。なお、低増殖性微生物には、環境サンプルに含まれる微生物の中で高増殖性微生物と比べて生来増殖性が乏しい微生物が含まれることから、選択される高増殖性微生物によっては、上記高増殖性微生物と例示した微生物が低増殖性微生物に該当する場合がある。

0019

本発明において「環境サンプル」とは、周囲環境より採取された水(例えば、湖沼水河川水海水水道水下水、排水、井戸水等)、土(例えば、森林農地水田湖沼河川及び海の底土埋立地等)、空気(工場病院研究施設等の屋内外の空気等)や、生体環境由来する糞便等が挙げられる。少なくとも1種類の高増殖性微生物と、少なくとも1種類の低増殖性微生物を含むもの、又はこれらを含む可能性のあるものを利用することができる。「環境サンプル」は、周囲環境や生体環境より採取された水、土、空気、糞便等の試料をそのまま用いても良いし、あるいはそれらより洗浄、抽出又は精製された微生物画分を用いても良い。環境サンプルをそのまま用いるメリットとして、そのまま用いない場合と比較して実験工程が減ること、さらには洗浄、抽出、又は精製等の実験が減ることにより環境サンプルに含まれている低増殖性微生物を漏らす可能性を低減することができる。これにより新規を含む低増殖性微生物の探索効率が向上する。

0020

本発明において「増殖阻害剤」とは、環境サンプルの培養条件下にて、少なくとも1種類の高増殖性微生物の増殖を抑制する活性を有するものを意味する。増殖阻害剤は当該活性を有するものであればよく、その形態は特に限定されず、化合物、核酸ペプチドタンパク質糖タンパク質、及びそれらの組み合わせ等、任意の形態とすることができる。

0021

増殖阻害剤は、候補物質ライブラリーより慣用のスクリーニング方法を用いて見出すことができ、すなわち、少なくとも1種類の高増殖性微生物を候補物質を添加した培地中にて培養し、培養後の当該微生物の量が、候補物質を添加せず同様に培養した場合と比べて、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上減少している場合、当該候補物質を少なくとも1種類の高増殖性微生物の増殖を阻害する活性を有する増殖阻害剤として同定することができる。微生物の量は任意の手段を用いて測定することが可能であり、例えば、乾燥重量法、濁度法、充填容量法、顕微鏡観察静電容量法NAD測定、湿潤重量法等を用いることができる。

0022

好ましくは、本発明において増殖阻害剤は、少なくとも1種類の高増殖性微生物の必須遺伝子のmRNA配列に相補的なアンチセンス配列を有するアンチセンス核酸である。ここで「必須遺伝子」とは、少なくとも1種類の高増殖性微生物の生存又は増殖に必須又は重大な影響を及ぼす遺伝子を意味し、その発現の欠失又は抑制により当該微生物の死滅又は増殖の停止又は抑制を生じ得る。このような必須遺伝子としては、例えば、acpP遺伝子、murA遺伝子、ftsZ遺伝子、アミノ酸合成に関わる遺伝子やそれらのホモログオーソログ等が挙げられるが、これらに限定はされない。好ましくは、シュードモナス属のacpP遺伝子である。また、「核酸」としては、DNA、RNA、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ類、リン酸チオエート類、リン酸アミデート類等が挙げられ、好ましくはPNAである。「アンチセンス核酸」は、前記必須遺伝子のmRNA配列に相補的な10〜25塩基、好ましくは10〜20塩基、より好ましくは10〜15塩基からなるアンチセンス配列を含むか、当該アンチセンス配列からなる。アンチセンス配列は、GenBank等の公知のデータベースに開示された必須遺伝子のアミノ酸配列情報及び遺伝子配列情報等を利用して決定することができる。アンチセンス配列は、標的となる高増殖性微生物以外の微生物の増殖が妨げられないように、標的となる高増殖性微生物の必須遺伝子に特異的な配列を選択することが好ましい。当該アンチセンス配列を選択する方法として種々の方法が知られており、例えば、SISNIPER(三菱スペースソフトウエア株式会社)等のsiRNA配列設計システム等を用いることが可能である。

0023

本発明の一実施形態において、増殖阻害剤は以下の(a)−(d)より選択されるPNAを用いることができる:
(a)ctc ata cct tg(配列番号1)で表される塩基配列を含むか、当該塩基配列からなるPNA、
(b)配列番号1で表される塩基配列において1〜複数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を有する塩基配列を含むか、当該塩基配列からなり、かつ前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する活性を有するPNA、
(c)配列番号1で表される塩基配列と少なくとも70%以上の配列同一性を有する塩基配列を含むか、当該塩基配列からなり、かつ前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する活性を有するPNA、ならびに
(d)配列番号1で表される塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むか、当該塩基配列からなり、かつ前記高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する活性を有するPNA。

0024

上記(b)における「複数個」とは、1〜3個、又は1もしくは2個である。

0025

上記(c)における「配列同一性」とは、当業者に周知の方法、配列解析ソフトウェア等(例えばBLAST(Basic Local Alignment Search Tool at the National Center for Biological Information(米国国立生物学情センターの基本ローカルアラインメント検索ツール))等(例えば、デフォルトすなわち初期設定パラメータ))を用いて計算したときに、少なくとも70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、又は99%以上の同一性を示すことを意味する。

0026

上記(d)における「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、例えば、2〜6×SSC(1×SSCの組成:0.15M NaCl,0.015Mクエン酸ナトリウム,pH7.0)及び0.1〜0.5%SDSを含有する溶液中42〜55℃にてハイブリダイズを行い、0.1〜0.2×SSC及び0.1〜0.5%SDSを含有する溶液中55〜65℃にて、好ましくは、0.2×SSC及び0.1%SDSを含有する溶液中65℃にて洗浄を行う条件をいう。

0027

上記(b)−(d)において、当該PNAが「高増殖性微生物のうち少なくとも1種類の増殖を阻害する活性を有する」か否かは、上記増殖阻害剤のスクリーニング方法と同様にして判定することができる。

0028

増殖阻害剤は、必要に応じて、任意の細胞膜透過手段を用いて、少なくとも1種類の高増殖性微生物の細胞内に輸送することができる。細胞膜透過手段としては、細胞膜透過性ペプチドの付加や、電気穿孔法リン酸カルシウム法、リポソーム法、ウイルス感染法、DEAEデキストラン法等の公知の方法(Green, M.R. and Sambrook,J.,2012,Molecular Cloning:A Laboratory Manual Fourth Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,New York)が挙げられ、用いる増殖阻害剤の形態に応じて適宜選択することができる。「細胞膜透過性ペプチド」は、塩基性疎水性富む8〜15残基程度のペプチドであり、例えば、HIV由来のTATポリアルギニンショウジョウバエ由来のAntP、ペネトラチン、ブホリンII、SynBI、HSV由来のVP22、MAP、pVEC、Pep−1、Pep−7、Lys−Lys−His−Arg−Lys−His−Arg−Lys−His−Arg−Lys−His(配列番号3)、Asp−(Lys−Phe−Phe−Lys−Phe−Phe−Lys−Phe−Phe−Lys)(配列番号4)、Phe−Trp−Arg−Ile−Arg−Ile−Arg−Arg(配列番号5)、Phe−Trp−Arg−Arg−Phe−Trp−Arg−Arg(配列番号6)、(Arg−Phe−Arg)4−Ahx−βAla(配列番号7)、(Arg−Ahx)6−βAla(配列番号8)、(Arg−Ahx−Arg)4−Ahx−βAla(配列番号9)(Nucleic Acid Ther.2012 Oct;22(5):323−334.)等の公知のペプチドならびにそれらの修飾体より選択されるものを用いることができる。ペプチド配列の解析は公知の方法を用いる事ができる。

0029

本発明の一実施形態において、細胞膜透過性ペプチドは以下の(i)−(iii)より選択されるものを用いることができる:
(i)Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Ahx−βAla(配列中、Ahxは6−アミノヘキサン酸を示す)(配列番号2)で表されるアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなるポリペプチド、
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸の欠失、置換、付加又は挿入を有するアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなり、かつ前記増殖阻害剤を前記高増殖性微生物の細胞内へと輸送する活性を有するポリペプチド、ならびに
(iii)配列番号2で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなり、かつ前記ペプチド核酸を前記高増殖性微生物の細胞内へと輸送する活性を有するポリペプチド。

0030

上記(ii)における「複数個」とは、1〜3個、又は2もしくは3個である。

0031

上記(iii)における「配列同一性」とは、当業者に周知の方法、配列解析ソフトウェア等(例えば上記BLAST等(例えば、デフォルトすなわち初期設定のパラメータ))を用いて計算したときに、少なくとも70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、又は99%以上の同一性を示すことを意味する。

0032

上記(ii)、(iii)において、当該ポリペプチドが「前記増殖阻害剤を前記高増殖性微生物の細胞内へと輸送する活性を有する」か否かは、微生物における前記増殖阻害剤の検出や前記増殖阻害剤の効果の有無や程度に基づいて判定することができる。

0033

好ましくは、本発明において増殖阻害剤は、上記(a)−(d)より選択されるいずれかのPNAとそれに結合した上記(i)−(iii)より選択されるいずれかの細胞膜透過性ペプチドからなるものを用いることができる。細胞膜透過性ペプチドは、PNAの5’末端又は3’末端に、直接又はリンカーを介して間接的に結合することができる。特に好ましい実施形態において、増殖阻害剤は、上記(i)で表されるアミノ酸配列のC末に、上記(a)で表される塩基配列からなるPNAの5’末端が直接結合した以下の構造を有する:
Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Ahx−βAla−ctc ata cct tg。

0034

本発明において環境サンプルの培養は、微生物の培養に一般的に用いられる手法に準じて行うことができる。培養培地には、特に限定されないが、炭素源として、グルコースフルクトースガラクトースマルトースラクトースセロビオーススクロースラムノースアミグダリンエスクリンサリシンメリビオーストレハロース、L−アラビノースリボースD−キシロースイヌリンラフィノーススターチ糖蜜等、窒素源として、硫安硝安等の無機アンモニウム塩尿素、アミノ酸、肉エキス酵母エキスポリペプトンタンパク質分解物等の有機窒素含有物等、ならびに無機塩類として、硫酸マグネシウム、リン酸2水素カリウム酒石酸カリウム硫酸亜鉛硫酸銅塩化カルシウム塩化鉄塩化マンガン等を含めることができる。例えば、LB培地、Lennnox培地、YPD培地等の培養培地を利用することができる。培養培地は液体培地が好ましいが、必要に応じて、寒天ゼラチンを加えて、固体培地又は半流動培地として用いてもよい。

0035

培養培地には、上記増殖阻害剤を添加する。培養培地中に添加される増殖阻害剤の量は、用いる増殖阻害剤や環境サンプルの種類や形態等に応じて変化し得るが、少なくとも1種類の高増殖性微生物の増殖を抑制するのに十分な量であればよい。例えば、上記増殖阻害剤は培養開始時の培養培地中に0.1〜100μM、好ましくは0.5〜50μM、より好ましくは1〜10μMより選択される量を添加することができる。

0036

培養は、20℃〜50℃、好ましくは20℃〜40℃、より好ましくは25℃〜37℃の温度にて、好気条件又は嫌気条件下で行うことができる。「好気条件」とは、通気振盪、及び撹拌等の手段によって酸素が培養系に供給される培養条件をいう。「嫌気条件」とは、任意の嫌気性微生物が増殖可能な程度に低酸素環境であればよく、例えば、嫌気チャンバー、嫌気ボックス脱酸素剤を入れた密閉容器もしくは培養容器等を用いて、嫌気条件とすることができる。

0037

培養は、静置培養振とう培養タンク培養等の任意の形式で行うことができ、また、培養時間は、特に制限されないが、例えば5時間以上、例えば、7時間以上、好ましくは12時間以上、より好ましくは14時間以上、さらに好ましくは15時間以上とすることができる。培養時間の上限は特に限定されないが、7日間以下、5日間以下、3日間以下、又は2日間以下とすることができる。培養時間は例えば、7時間〜7日間、好ましくは12時間〜5日間、より好ましくは14時間〜3日間、さらに好ましくは14時間〜2日間とすることができる。

0038

本発明の一実施形態において、増殖阻害剤は培養の初期から添加しても良いし、培養途中に添加しても良く、また必要に応じて適宜追加しても良い。ただし高増殖性微生物数や濃度の増加を抑制することが望ましく、また増加した高増殖性微生物を抑制するには増殖阻害剤の添加量を増加する必要があるため、増殖阻害剤はなるべく培養の開始時、もしくは培養の早い段階から添加することが好ましい。早い段階とは、例えば微生物の増殖曲線における誘導期適応期)を指すが、これに限らない。増殖阻害剤共存下における培養は、培養培地の濁度(OD620nm)が培養開始時の濁度より0.05、好ましくは0.1、より好ましくは0.15、さらに好ましくは0.20増加するまで行うことができ、それによって増殖阻害剤の効果を得やすくなることが期待される。培養開始時点の濁度を0へ補正した値を用いても良い。増殖阻害剤共存下での培養を所定の時間以上実施することで増殖阻害剤の効果を得ることができ、その培養時間としては例えば、7時間〜7日間、好ましくは9時間〜5日間、より好ましくは10時間〜4日間、さらに好ましくは10.5時間〜3日間、さらにより好ましくは12.5時間〜2日間とすることができる。

0039

本発明によれば、環境サンプルの培養において、少なくとも1種類の高増殖性微生物の増殖を抑制することができ、通常の培養条件下では少なくとも1種類の高増殖性微生物の増殖により、その増殖又は生育が妨げられていた低増殖性微生物を含む微生物の増殖又は生育を促すことができ、ならびに/あるいは、少なくとも1種類の高増殖性微生物の増殖を抑制しその存在比率を下げることができる。これによって培養物中において低増殖性微生物の種類や存在比率を増大させることが可能であり、環境サンプル中の低増殖性微生物を効率的にスクリーニングすることができる。低増殖性微生物のスクリーニング及び同定は公知の手法、例えば、形態的特徴(コロニーや細胞の形状等)、生理生化学的特徴(糖の資化性、生育温度やpH等)、化学分類学的特徴(脂肪酸組成キノンの組成等)、遺伝子的特徴(16S及び18SリボゾームRNAの配列等)に基づいて行うことができる(バージーズ・マニュアルオブバクテリオロジーVol.4(1989)等)。
以下、本発明を実施例により、更に詳しく説明する。

0040

実施例1:環境サンプルの採取
土壌をランダムに採取し、環境サンプルとして以下の試験に用いた。

0041

実施例2:増殖阻害剤の設計と合成
シュードモナス属の必須遺伝子の一つであるacpP遺伝子の開始コドン近傍領域において、シュードモナス属で保存され、それ以外の微生物の遺伝子とは2塩基以上異なる11塩基の領域を選択した。その領域に相補する配列(ctc ata cct tg)(配列番号1)をPNAとして合成し、それに細胞膜透過性ペプチド(Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Ahx−βAla(配列中、Ahxは6−アミノヘキサン酸を示す)(配列番号2)を結合してなる物質を合成した(全配列:Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Arg−Ahx−Arg−Ahx−βAla−ctc ata cct tg)。

0042

得られた物質は、シュードモナス属(Pseudomonas corrugate)単体で含む培養物中に添加し、その増殖を抑制できることを確認した(図1)。以下の試験に増殖阻害剤として用いた。

0043

実施例3:増殖阻害剤の存在下における培養と微生物同定
1.方法
1gの環境サンプルに生理食塩水を10mL添加し懸濁した。96wellマイクロプレートの各ウェルに1/10希釈のLB培地(200μL)を分注し、環境サンプル懸濁液の上清を2μL加えた。

0044

試験区には実施例2に示す合成した増殖阻害剤を終濃度1μMとなるように添加し、対照区には添加しなかった。マイクロプレートを30℃で振盪培養し、経時的に濁度(OD620nm)を測定した。

0045

培養終了後、遠心分離(15,000rpm,2min)により菌体回収した。市販のDNA抽出キットMPure Bacterial DNA Extraction Kit(MP Bio社)を製造元プロトコルに従って用いて、菌体からDNAを抽出し、16srRNA遺伝子のV3−V4をPCR増幅した。

0046

その後、次世代シークエンサーMiSeq(illumina社)を用いてMiSeq Reagent Kit v3の300bp×2の条件で配列を遺伝子解読し、菌叢を解析した。

0047

2.結果
増殖阻害剤を添加した試験区及び増殖阻害剤を添加していない対照区の各濁度(OD620nm)について経時的に測定した結果を以下の表1及び図2に示す。

0048

0049

対数増殖期において、試験区と対照区とでOD値に違いは認められなかった。実施例2に示されるように、シュードモナス属単体に増殖阻害剤を与えた場合、添加しない場合と比較して増殖性が著しく抑制された(図1)。つまり、対数増殖期において両者に違いが認められなかったのは、シュードモナス属の増殖が抑制される一方、その他微生物の増殖により、全体としてOD値が同等となったと考えられる。これは、本願発明により高増殖性微生物の増殖を抑制しつつ、高増殖性微生物存在下では増殖し難かったその他微生物の増殖性が向上したという効果を示す。
一方、およそ12.5時間後、OD値が0.2を越えたあたりから、試験区と対象区とでOD値に違いが認められた。この理由として、試験区では高増殖性微生物であるシュードモナス属の存在比率が低く、相対的に増殖性の低い微生物の存在比率が高いために、シュードモナス属の存在比率が高い対象区よりもOD値の増加が緩やかになったためと考える。

0050

遺伝子解読による菌叢の解析結果(存在比率)を属名の表示により以下の表2に示す。また、菌叢に含まれる各微生物の存在比率を図3に示す。

0051

0052

増殖阻害剤を添加した試験区では、菌叢におけるシュードモナス属の割合が低下した(図3のグラフにおいて、一番下の黒色がシュードモナス属の存在比率を示す)。シュードモナス属の割合は、増殖阻害剤を添加していない対照区で55%であったのに対し、増殖阻害剤を添加した試験区では48%であった。

0053

一方、バシルス属及びクロストリジウム属の割合は、増殖阻害剤を添加した試験区において増加した。また、パエニバシラス属、パラヘルバスピリリム属、シュードアルスロバクター属、コリモナス属、ロドコッカス属バークホルデリア属エンテロバクター属、メチロセアニバクター属、ペドバクター属、及びビブリオ(Vibrio)属は、増殖阻害剤を添加していない対照区ではその存在は確認できなかったが、増殖阻害剤を添加した試験区においてはその存在を確認することができた。

0054

結果として、菌叢に含まれる微生物の種類(属)は、増殖阻害剤を添加していない対照区では9属であったのに対して、増殖阻害剤を添加した試験区では17属と増加が認められた。

実施例

0055

以上の結果より、本手法によれば、通常の培養条件において存在比率が環境サンプル中の大半を占めるシュードモナス属のような高増殖性微生物の増殖を抑制してその存在比率を低下させることが可能であり、それによって、低増殖性微生物の培養を容易にし、菌叢に含まれる微生物の種類を増加させ得ることが確認された。

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