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技術 末梢血循環癌細胞の検出方法及び検出装置

出願人 学校法人昭和大学
発明者 直江道夫小川良雄石井光
出願日 2019年3月7日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-042025
公開日 2020年9月10日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-144054
状態 未査定
技術分野 微生物・酵素関連装置 生物学的材料の調査,分析 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード モデルサンプル 基準標的 識別物質 二次元プロット 合流流路 同定率 空気圧制御 導入用流路
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

末梢血循環癌細胞を高い精度で検出することができる検出方法及び検出装置を提供する。

解決手段

末梢血循環癌細胞の検出方法は、被検試料中に含まれる標的細胞濃縮する濃縮工程と、濃縮された被検試料を、上皮系細胞発現する抗原以外の抗原であって標的細胞に特異的に発現する抗原に特異的に結合する抗体が第1の標識物質で標識された第1の標識抗体、及び標的細胞以外の他の成分に発現する表面抗原に結合する抗体が第2の標識物質で標識された第2の標識抗体と接触させて、標的細胞及び他の成分を標識する標識工程と、被検試料から、第1の標識抗体で標識され、かつ第2の標識抗体で標識されていない細胞を標的細胞として検出する検出工程と、を有する。

概要

背景

近年、がん患者から癌組織採取する組織生検に代わり、がん患者から採取した血液等を用いる「リキッドバイオプシー」と呼ばれる方法が注目されている。この「リキッドバイオプシー」として、末梢血中の末梢血循環癌細胞(CTC:Circulating Tumor Cells、以下「CTC」という。)を検出する末梢血循環癌細胞検査(CTC検査)が重要視されている。CTCは、原発腫瘍組織または転移腫瘍組織から遊離し、血液中循環する細胞であり、他の臓器への転移能を有すると考えられている。したがって、CTC検査によって血液中に存在するCTCの数を測定することは、癌の診断予後診断治療効果の判定、転移癌の早期発見、病勢の把握などが期待できることから、有効な検査方法である(例えば、非特許文献1参照)。

このCTC検査のための装置として、FDA(Food and Drug Administration)の承認唯一受けたCellSearch System(登録商標)が知られている。この装置は、上皮細胞接着分子であるEpCAM(Epithelial cell adhesion molecule、CD326)に対する抗体を結合した磁気ビーズを用いて血液中から特異的にCTCを分離・抽出し、蛍光標識したサイトケラチンと反応させるとともに核染色を行う。また、混入した白血球とCTCとを区別するため、蛍光標識したCD45抗体を反応させる。その後、磁場を利用して浮上させた細胞に、レーザービーム照射して蛍光画像を取得し、この蛍光画像に基づいて人間がCTCであるか否かを判定する。この従来技術では、CD45陽性細胞を白血球として除外し、EpCAMとサイトケラチンを発現している細胞をCTCとして検出する(以上、例えば、特許文献1参照)。

概要

末梢血循環癌細胞を高い精度で検出することができる検出方法及び検出装置を提供する。末梢血循環癌細胞の検出方法は、被検試料中に含まれる標的細胞濃縮する濃縮工程と、濃縮された被検試料を、上皮系細胞に発現する抗原以外の抗原であって標的細胞に特異的に発現する抗原に特異的に結合する抗体が第1の標識物質で標識された第1の標識抗体、及び標的細胞以外の他の成分に発現する表面抗原に結合する抗体が第2の標識物質で標識された第2の標識抗体と接触させて、標的細胞及び他の成分を標識する標識工程と、被検試料から、第1の標識抗体で標識され、かつ第2の標識抗体で標識されていない細胞を標的細胞として検出する検出工程と、を有する。なし

目的

本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、末梢血循環癌細胞を高い精度で検出することができる検出方法及び検出装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

被検試料中に含まれる標的細胞としての末梢血循環癌細胞を検出する検出方法であり、前記被検試料中に含まれる前記標的細胞を濃縮する濃縮工程と、濃縮された前記被検試料を、上皮系細胞発現する抗原以外の抗原であって前記標的細胞に特異的に発現する前記抗原に特異的に結合する抗体が第1の標識物質で標識された第1の標識抗体、及び前記標的細胞以外の他の成分に発現する抗原に結合する抗体が第2の標識物質で標識された第2の標識抗体と接触させて、前記標的細胞及び前記他の成分を標識する標識工程と、前記被検試料から、前記第1の標識抗体で標識され、かつ前記第2の標識抗体で標識されていない細胞を前記標的細胞として検出する検出工程と、を有することを特徴とする末梢血循環癌細胞の検出方法。

請求項2

前記標的細胞が、末梢血循環腎癌細胞であり、前記第1の標識抗体の前記抗体が、前記末梢血循環腎癌細胞に特異的に発現するG250抗原に特異的に結合する抗G250抗体であることを特徴とする請求項1に記載の末梢血循環癌細胞の検出方法。

請求項3

前記他の成分が、白血球を含む単核細胞であり、前記第2の標識抗体の前記抗体が、前記単核細胞の表面に発現するCD45抗原に結合する抗CD45抗体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の末梢血循環癌細胞の検出方法。

請求項4

前記上皮系細胞に発現する抗原が、EpCAMサイトケラチン、E−カドヘリン及びビメンチンのいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の末梢血循環癌細胞の検出方法。

請求項5

前記濃縮工程は、微小流路デバイス法により細胞の大きさの違いを利用して前記標的細胞を他の成分と分離して濃縮する工程であり、前記微小流路デバイス法では、前記被検試料が流れる少なくとも2層構造流路を有し、前記流路間には、互いを連通する複数の連通路が設けられ、前記連通路を通って一方の前記流路から他方の前記流路に前記被検試料が流れるように構成され、前記連通路の一方の前記流路側に設けられた流入口のサイズが、前記標的細胞及び前記他の成分のサイズよりも大きく、他方の前記流路側に設けられた流出口のサイズが、前記標的細胞のサイズよりも小さくかつ前記他の成分のサイズよりも大きい微小流路デバイスを用いて前記標的細胞を濃縮することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の末梢血循環癌細胞の検出方法。

請求項6

前記検出工程は、前記第1の標識物質及び前記第2の標識物質の蛍光又は発光信号に基づいて、フローサイトメトリーにより前記標的細胞を検出し、マイクロ流路を流れる細胞を空気圧制御により分離するFlow shift方式の分離法によって検出した前記標的細胞を分離する工程であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の末梢循環癌細胞の検出方法。

請求項7

既知個数基準標的細胞を混入した基準試料を濃縮し、前記第1の標識抗体及び前記第2の標識抗体と接触させた前記基準試料から、前記第1の標識抗体で標識され、かつ前記第2の標識抗体で標識されていない細胞を前記基準標的細胞としてフローサイトメトリーにより検出し、検出された前記基準標的細胞が包含されるようにゲーティングするゲーティング工程を有し、前記検出工程では、前記ゲーティングに基づいて、前記被検試料に対して前記フローサイトメトリーにより前記標的細胞を検出することを特徴とする請求項6に記載の末梢循環癌細胞の検出方法。

請求項8

被検試料中に含まれる標的細胞としての末梢血循環癌細胞を検出する検出装置であり、被検試料中に含まれる標的細胞を濃縮する濃縮部と、上皮系細胞に発現する抗原以外の抗原であって前記標的細胞に特異的に発現する前記抗原に特異的に結合する抗体が第1の標識物質で標識された第1の標識抗体、及び前記標的細胞以外の他の成分に発現する抗原に結合する抗体が第2の標識物質で標識された第2の標識抗体と接触させて、前記標的細胞及び前記他の成分を標識した前記被検試料から、前記第1の標識抗体で標識され、かつ前記第2の標識抗体で標識されていない細胞を前記標的細胞として検出する検出部と、前記検出部での検出結果及び所定のゲーティング情報に基づいて、前記標的細胞に関する表示画像を生成して表示部に表示する制御部と、を備えたことを特徴とする末梢血循環癌細胞の検出装置。

請求項9

前記ゲーティング情報の入力を受け付ける入力部を備え、前記制御部は、既知の個数の基準標的細胞を混入した基準試料を前記濃縮部で濃縮し、前記第1の標識抗体及び前記第2の標識抗体と接触させた前記基準試料から、前記検出部が検出した前記基準標的細胞の検出結果に基づいて、前記表示画像を生成して前記表示部に表示し、前記表示画像に基づいて前記入力部により入力された前記ゲーティング情報を取得し、記憶部に記憶しておくことを特徴とする請求項8に記載の末梢血循環癌細胞の検出装置。

技術分野

0001

本発明は、末梢血循環癌細胞検出方法及び検出装置に関する。

背景技術

0002

近年、がん患者から癌組織採取する組織生検に代わり、がん患者から採取した血液等を用いる「リキッドバイオプシー」と呼ばれる方法が注目されている。この「リキッドバイオプシー」として、末梢血中の末梢血循環癌細胞(CTC:Circulating Tumor Cells、以下「CTC」という。)を検出する末梢血循環癌細胞検査(CTC検査)が重要視されている。CTCは、原発腫瘍組織または転移腫瘍組織から遊離し、血液中循環する細胞であり、他の臓器への転移能を有すると考えられている。したがって、CTC検査によって血液中に存在するCTCの数を測定することは、癌の診断予後診断治療効果の判定、転移癌の早期発見、病勢の把握などが期待できることから、有効な検査方法である(例えば、非特許文献1参照)。

0003

このCTC検査のための装置として、FDA(Food and Drug Administration)の承認唯一受けたCellSearch System(登録商標)が知られている。この装置は、上皮細胞接着分子であるEpCAM(Epithelial cell adhesion molecule、CD326)に対する抗体を結合した磁気ビーズを用いて血液中から特異的にCTCを分離・抽出し、蛍光標識したサイトケラチンと反応させるとともに核染色を行う。また、混入した白血球とCTCとを区別するため、蛍光標識したCD45抗体を反応させる。その後、磁場を利用して浮上させた細胞に、レーザービーム照射して蛍光画像を取得し、この蛍光画像に基づいて人間がCTCであるか否かを判定する。この従来技術では、CD45陽性細胞を白血球として除外し、EpCAMとサイトケラチンを発現している細胞をCTCとして検出する(以上、例えば、特許文献1参照)。

0004

Vaidyanathan R, Soon RH, Zhang P, Jiang K, Lim CT, “Cancer diagnosis: from tumor to liquid biopsy and beyond.”, Lab Chip. 2018 Dec 18;19(1):11-34. doi: 10.1039/c8lc00684a.

先行技術

0005

特許第4409096号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、上皮性がん細胞由来のCTCは、上皮間葉転換EMT:Epithelial Mesenchymal Transition、以下「EMT」という。)を起こすことがあり、これによりEpCAMの発現が低下又は消失することが知られている。そのため、EpCAM抗体を利用する上記従来技術では、EMT現象を起こしたCTCを検出できず、取り逃がしている可能性があるという問題があった。

0007

本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、末梢血循環癌細胞を高い精度で検出することができる検出方法及び検出装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、微小流路デバイスを用いて標的となるCTCを濃縮し、この濃縮試料と、EpCAM抗原以外の抗原であって標的となるCTCに発現する抗原に特異的に結合する標識された抗体と、白血球を含む単核細胞(PBMC:Peripheral Blood Mononuclear Cell、以下「PBMC」という。)の表面抗原に特異的に結合する標識された抗CD45抗体を接触させ、抗CD45抗体陽性を発現する細胞を除去することで、EMT現象を起こしたCTCであっても高精度に検出できることを知見し、本発明を完成するに至った。

0009

すなわち、本開示に係る末梢血循環癌細胞の検出方法は、被検試料中に含まれる標的細胞としての末梢血循環癌細胞を検出する検出方法であり、前記被検試料中に含まれる前記標的細胞を濃縮する濃縮工程と、濃縮された前記被検試料を、上皮系細胞に発現する抗原以外の抗原 であって前記標的細胞に特異的に発現する前記抗原に特異的に結合する抗体が第1の標識物質で標識された第1の標識抗体、及び前記標的細胞以外の他の成分に発現する抗原に結合する抗体が第2の標識物質で標識された第2の標識抗体と接触させて、前記標的細胞及び前記他の成分を標識する標識工程と、前記被検試料から、前記第1の標識抗体で標識され、かつ前記第2の標識抗体で標識されていない細胞を前記標的細胞として検出する検出工程と、を有することを特徴とする。

0010

また、本願に係る末梢血循環癌細胞の検出装置は、被検試料中に含まれる標的細胞としての末梢血循環癌細胞を検出する検出装置であり、被検試料中に含まれる標的細胞を濃縮する濃縮部と、上皮系細胞に発現する抗原以外の抗原であって前記標的細胞に特異的に発現する前記抗原に特異的に結合する抗体が第1の標識物質で標識された第1の標識抗体、及び前記標的細胞以外の他の成分に発現する抗原に結合する抗体が第2の標識物質で標識された第2の標識抗体と接触させて、前記標的細胞及び前記他の成分を標識した前記被検試料から、前記第1の標識抗体で標識され、かつ前記第2の標識抗体で標識されていない細胞を前記標的細胞として検出する検出部と、前記検出部での検出結果及び所定のゲーティング情報に基づいて、前記標的細胞に関する表示画像を生成して表示部に表示する制御部と、を備えたことを特徴とする。

発明の効果

0011

本開示によれば、末梢血循環癌細胞を高い精度で検出することができる検出方法及び検出装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0012

実施形態に係る末梢血循環癌細胞の検出方法の濃縮工程を説明するための説明図であり、(a)はCTCを濃縮し捕獲している状態を示し、(b)はCTCを回収している状態を示す。
実施形態に係る末梢血循環癌細胞の検出方法の検出工程を説明するための説明図であり、検出工程を実行する検出装置の一例を示す。
本実施形態に係る末梢血循環癌細胞の検出方法を実行する末梢血循環癌細胞の検出装置の概略構成を示す図である。
実施例1における腎癌CTCの検出結果に基づく二次元プロットであり、(a)は検出されたすべての細胞の二次元プロットを示し、(b)はゲーティングにより絞り込んだ腎癌CTCのみの二次元プロットを示し、(c)は細胞のサイズをX軸のパラメータとしたときの二次元プロットを示す。
実施例1、2、3における腎癌CTCの同定率を示すグラフである。
実験例1における各癌細胞株と抗G250抗体との抗原抗体反応の結果を示すヒストグラムである。
実験例2における腎癌CTCの同定結果を示す二次元プロットである。

0013

以下、実施形態を説明する。本実施形態に係る末梢血循環癌細胞の検出方法(以下、「CTCの検出方法」ということがある。)は、被検試料中に含まれる標的細胞としての末梢血循環癌細胞を検出する検出方法であり、以下の工程を少なくとも含む。

0014

(1)被検試料中に含まれる標的細胞を濃縮する濃縮工程。
(2)濃縮された被検試料を、上皮系細胞に発現する抗原以外の抗原であって標的細胞に特異的に発現する抗原に特異的に結合する抗体が第1の標識物質で標識された第1の標識抗体、及び標的細胞以外の他の成分に発現する表面抗原に結合する抗体が第2の標識物質で標識された第2の標識抗体と接触させて、標的細胞及び他の成分を標識する標識工程。
(3)被検試料から、第1の標識抗体で標識され、かつ第2の標識抗体で標識されていない細胞を標的細胞として検出する検出工程。

0015

被検試料としては、がん患者やがんの疑いのある患者から採取されたものであれば、特に限定されるものではなく、末梢循環癌細胞を含む可能性のある被検試料を用いることができる。より具体的には、末梢循環癌細胞を含む可能性のある生体由来液体試料であり、例えば、血液、尿、リンパ液組織液髄液腹水胸水等が挙げられる。これらの中でも、採血で簡単に採取できるという点で、末梢血が好適に挙げられる。

0016

また、上記のような生体由来の液体試料そのものであってもよいし、これらの液体試料を生理食塩水等で希釈したもの、添加剤を加えたもの等であってもよい。

0017

標的細胞としての末梢血循環癌細胞(CTC)は、がん患者の血液中に極めて低濃度で検出される癌細胞であり、「抹消血循環腫瘍細胞」又は単に「循環癌細胞」、「循環腫瘍細胞」とも称される。本実施形態のCTCの検索方法で検出されるCTCとしては、特に限定されるものではないが、上皮性癌由来のCTCの検出に好適である。

0018

上皮性癌としては、例えば、膀胱癌乳癌大腸癌直腸癌、腎癌、肝臓癌肺癌小細胞肺癌食道癌胆嚢癌卵巣癌膵臓癌胃癌子宮頸部癌甲状腺癌前立腺癌扁平上皮癌皮膚癌十二指腸癌、癌、脳腫瘍が挙げられる。

0019

実施形態のCTCの検索方法では、EpCAM抗体をターゲットとしていないため、EMT現象によりEpCAMの発現が低下又は消失したCTCであっても、高精度に検出可能である。そして、これらの上皮性癌の中でも、未だ有効な腫瘍マーカーが存在しない腎癌(淡明細胞癌)、尿路上皮癌(膀胱癌、尿管癌、腎盂癌)等に由来するCTCの検出に特に好適であり、特に、腎癌由来の末梢血循環腎癌細胞の検出に最適である。

0020

被検試料に含まれる標的細胞以外の「他の成分」とは、CTC以外の細胞を意味し、夾雑細胞とも称される。より具体的には、白血球(好酸球好中球好塩基球単球リンパ球)等の末梢血単核細胞(PBMC)、赤血球等が挙げられる。なお、PBMCは濃縮工程で殆ど除去され、赤血球も濃縮工程や溶血によって除去されるため、濃縮後の被検試料中に含まれる「他の成分」は、主に残存PBMCからなる。

0021

以下、本実施形態のCTCの検出方法の各工程、各工程で用いられる抗体、標識物質等について図面を参照しながら詳細に説明する。

0022

(1)濃縮工程
濃縮工程は、被検試料中に含まれる標的細胞としてのCTCを他の成分から分離して濃縮する工程である。濃縮工程の手法としては、特に限定されないが、微小流路デバイス法が好適に用いられる。この微小流路デバイス法は、微小流路デバイス(チップ)を用いて、細胞の大きさの違いを利用して標的細胞を他の成分と分離して濃縮する手法である。

0023

この微小流路デバイス1は、図1に示すように、被検試料が流れる少なくとも2層構造流路2a,2bを有し、流路2a,2b間には、互いを連通する複数の連通路トンネル)3が設けられている。この連通路3は、上流側の流入口4のサイズ(直径)が、標的細胞及び他の成分のサイズよりも大きく、下流側の流出口5のサイズ(直径)が、標的細胞のサイズよりも小さくかつ他の成分のサイズよりも大きい構成となっている。より具体的には、流入口4のサイズ(直径)を25μmとし、流出口5のサイズ(直径)を8μmとする。また、連通路3は、一つの微小流路デバイス1に約5万個設けてある。

0024

上述のような構成の微小流路デバイス1では、一方の流路2a内に上流側から被検試料Lを供給しつつ、他方の流路2bの下流側からシリンジ等で陰圧をかけることで、一方の流路2aから他方の流路2bへの被検試料Lの流れが生成される。これにより、一方の流路2aに供給された被検試料Lは、一方の流路2a内を下流に向かって流動し、連通路3を通って、一方の流路2aから他方の流路2bに流出する。このとき、流出口5よりもサイズが小さい赤血球やPBMC等の他の成分のみが、連通路3を通過して他方の流路2b内に流出する。なお、赤血球は、公知の薬品を用いて溶血除去しておいてもよい。

0025

これに対して、流出口5よりもサイズの大きいCTCは、流出口5を通過することができず、図1(a)に示すように、連通路3内に捕獲される。次いで、被検試料Lの供給が完了した後、図1(b)に示すように、他方の流路2bから一方の流路2aへの流れを生成することで(Back Flash)、CTCを回収できる。このように、細胞の大きさの違いを利用してCTCと他の成分とを分離することで、抗原抗体反応に依存することなく、物理的に高効率でCTCの濃縮を行なえる。

0026

濃縮工程を行う濃縮装置としては、特に限定されないが、上記のような微小流路デバイス1を用いた濃縮装置として、例えば、Celsee(登録商標)が好適に用いられる。これにより、CTCをより簡便に、効率的かつ迅速に濃縮できる。

0027

(2)標識工程
標識工程は、濃縮された被検試料の標的細胞(CTC)及び他の成分(PBMC)を、第1の標識抗体及び第2の標識抗体と接触させて、各細胞を標識(マーキング)する工程である。この工程により、標的細胞としてのCTCが第1の標識抗体によって標識され、標的細胞以外の他の成分としてのPBMCが第2の標識抗体によって標識される。

0028

標識工程は、公知の手法を用いることがでる。例えば、被検試料に第1の標識抗体を添加し、4℃〜室温で数分〜数時間インキュベートする第1の標識工程と、被検試料に第2の標識抗体を添加し、4℃〜室温で数分〜数時間インキュベートする第2の工程とからなる。なお、第1の標識工程と第2の標識工程とは、同時に行ってもよいし、順次行ってもよい。順次行う場合は、第1の標識工程と第2の標識工程のいずれを先に行ってもよい。

0029

[標的細胞に特異的に発現する抗原]
標的細胞としてのCTCに特異的に発現する抗原は、EMT現象によるCTC検出の低下を回避するため、上皮系細胞に発現する抗原以外の抗原とする。上皮系細胞に発現する抗原は、具体的にはEpCAM(上皮細胞接着分子)、サイトケラチン、E−カドヘリン及びビメンチン等の抗原以外の抗原、特にEpCAM抗原以外の抗原とする。本実施形態においてターゲットとなる抗原として、これらEpCAM抗原等以外であれば、特に限定されるものではなく、それぞれの癌に特異的に発現する抗原であればよい。具体的には、例えばCTCが末梢血循環腎癌細胞である場合には、腎癌に特異的に発現するG250抗原が最も好適に挙げられる。

0030

[他の成分に発現する表面抗原]
濃縮工程によって、CTC以外の他の成分は殆ど除去されており、残留する他の成分は、白血球を含む単核細胞PBMCである。このPBMCに発現し、ターゲットとする抗原としては、特に限定されないが、例えば、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD10、CD11b、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD24、CD25、CD27、CD29、CD33、CD36、CD38、CD41、CD45、CD45RA、CD45RO、CD56、CD66b、CD66e、CD69、CD124等が好適に挙げられる。この中でも、PBMCの殆どに存在していることから、CD45が最も好適に挙げられる。

0031

[第1の標識抗体及び第2の標識抗体]
第1の標識抗体は、第1の標識物質によって標識(マーキング)され、上記「標的細胞に特異的に発現する抗原」に特異的に結合する抗体から構成される。この抗体は、CTCには存在するが、PBMCには存在しない抗原に対する抗体である。例えば、CTCが末梢血循環腎癌細胞である場合には、腎癌に存在するG250抗原に特異的に結合する抗G250抗体が好適に挙げられる。

0032

第2の標識抗体は、第2の標識物質によって標識(マーキング)され、上記「他の成分」に発現する表面抗原に結合する抗体から構成される。この抗体は、CTCに存在せずPBMCに存在する抗原に結合する抗体であり、前述したPBMCの表面抗原に結合する抗体が好適に用いられる。これらの中でも、PBMCを識別するのに最も好適な抗原がCD45であることから、抗体として抗CD45抗体が最も好適に挙げられる。

0033

第1の標識抗体及び第2の標識抗体は、ポリクローナル抗体であってもよいし、モノクローナル抗体であっても組換え抗体であってもよい。また、これらの抗体の抗原結合部位を有する抗体フラグメント等であってもよい。抗体フラグメントとしては、例えば、F(ab’)2、Fab’、Fab、又はFv等が挙げられる。

0034

第1の標識抗体の第1の標識物質及び第2の標識抗体の第2の標識物質としては、特に限定されるものではなく、公知の標識物質が用いられる。これらの標識物質として、例えば、蛍光色素蛍光タンパク質発光酵素等が好適に挙げられる。

0035

蛍光色素としては、例えば、Alexa Fluorシリーズ(Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 647等)、Brilliant Violetシリーズ(BV421、BV570等)、BODIPYシリーズ(BODIPYFL、BODIPY TR等)、Cy3、Cy5、PE−Cy7、FITC(fluorescein isothiocyanate)、PE、PerCP、クマリン系蛍光色素等が好適に挙げられる。蛍光タンパク質としては、例えば、フィコシアニンアロフィコシアニンフィコエリスリンフィエリスロシアニン等が好適に挙げられる。発光酵素としては、例えば、ルシフェラーゼペルオキシダーゼアルカリホスファターゼ等が好適に挙げられる。

0036

(3)検出工程
検出工程は、上記標識工程により標識された被検試料に含まれる細胞に対して、第1の標識抗体で標識され、かつ第2の標識抗体で標識されていない細胞を標的細胞(CTC)として検出する工程である。

0037

検出工程の手法としては、特に限定されないが、細胞の検出だけでなく、細胞の単離もできることから、例えば、第1の識別物質及び第2の識別物質の蛍光又は発光信号に基づいて、フローサイトメトリーにより行うことが望ましい。

0038

フローサイトメトリーとは、細胞を一列に並べて流し、分光学的手法により細胞の数をカウントする技術である。例えば、蛍光や発光酵素によって標識された細胞にレーザー光を照射し、これによって細胞から発せられる蛍光又は発光信号をフォトダイオード等の検出器で検出することで、標的細胞の数をカウントする。また、検出器での検出結果をコンピュータに取り込んで、二次元プロットを生成して表示することもできる。これにより、標的細胞の有無、及びその数等を容易に把握できる。

0039

また、フローサイトメトリーで検出した標的細胞を分離(セルソーティング)する方式として、例えば、標的細胞を含む液滴を荷電して流れる方向を制御し、標的細胞を分取する方式(Jet in Air方式)等を用いてもよいが、Flow shift方式がより好適に用いられる。Flow shift方式を用いることで、標的細胞をより高い精度で検出し分離することが可能となる。Flow shift方式は、マイクロ流路を流れる標的細胞を、空気圧制御により分離する方式である。

0040

図2を用いて、Flow shift方式を用いたフローサイトメトリー及びセルソーティングによる検出工程の概略を説明する。図2は、当該検出工程を実行する検出装置の概略構成を示す図である。図2に示すように、検出装置10は、フローサイトメーター及びセルソーターとしての機能を備え、フローセル11と、レーザー光源等からなる光照射部12と、フォトダイオード等からなる検出部13と、電磁弁及びポンプを有する加圧部15と、加圧部15を駆動制御する制御部14と、目的の細胞が捕捉されるソーティングリザーバー16と、廃液貯留する廃液リザーバー17とから概略構成される。フローセル11は、十字状のマイクロ流路を有するマイクロ流路チップからなる。このマイクロ流路は、被検試料導入用流路11aと、シース液導入用流路11bと、合流流路11cと、合流流路11cの下流に設けられて合流流路11cに直角に交差する分岐流路11dと、を有している。

0041

上記検出装置10では、被検試料導入用流路11aを流れる被検試料と、シース液導入用流路11bを流れるシース液とが合流流路11cで合流することで、流体力学的絞り込み(hydrodynamic focusing)により、非常に細い被検試料の流れを生成でき、これにより細胞を一列に並べて流すことができる。

0042

そして、合流流路11cを流れる被検試料に対して、光照射部12からレーザー光を照射することで、第1、第2の識別物質で識別された細胞から蛍光又は散乱光が発生する。この蛍光又は散乱光を、検出部13が検出し、これらの信号強度に基づいて標的細胞(CTC)とその他の成分(PBMC)とを識別し、標的細胞を検出する。

0043

また、検出部13での検出結果は制御部14に送出され、制御部14は、検出結果及び目的に応じたヒストグラム、二次元プロット、三次元プロット等をモニタ等の表示部に表示する。また、制御部14は、検出結果に基づいて、標的細胞が合流流路11cと分岐流路11dとの交差部分を通過する瞬間に、電磁バルブを制御してポンプを作動させ、分岐流路11dの両側からPushとPullの圧力を加える。これにより、標的細胞が分岐流路11dに移動し、ソーティングリザーバー16に回収される。一方、標的細胞以外の他の成分は、そのまま合流流路11cを流下し、廃液リザーバー17に回収される。このような検出装置10により、EpCAMに依存することなく、標的細胞を迅速かつ簡便に検出及び分離できる。

0044

上述のような検出装置10として、例えば、株式会社オンチップバイオテクノロジーのOn-Chip Sort(登録商標)が好適に用いられる。On-chip Sortを用いることで、標的細胞を高い精度で検出できるだけでなく、細胞へのダメージが抑制される、無菌環境下での分収が実現できる、培養液中でも分収が可能である、微量サンプルに対応できる、クリーンベンチ内に設置可能である等の有利な効果を奏することができる。

0045

(その他の工程)
また、本実施形態のCTCの検出方法では、既知個数基準標的細胞を混入した基準試料を用いて、フローサイトメトリーによって基準標的細胞を検出し、この検出結果に基づいて、ゲーティングを予め行うゲーティング工程を含んでいてもよい。

0046

このゲーティング工程では、まず基準標的細胞として、培養した既知の個数の癌細胞を、健康体から採取した末梢血にスパイクして基準試料を得る。得られた基準試料に対して、前述の(1)の濃縮工程、(2)の標識工程を行った後、(3)の検出工程と同様の工程で、第1の標識抗体で標識され、かつ第2の標識抗体で標識されていない細胞を基準標的細胞としてフローサイトメトリーにより検出する。この検出結果(ヒストグラム、二次元プロット)に基づいて、基準標的細胞が存在する領域を指定して、ゲーティングを行う。

0047

そして、被検試料に対してCTCの検出を行う際には、(3)の検出工程で、ゲーティング工程により得られたゲーティングに基づいて、被検試料に対してフローサイトメトリーにより標的細胞を検出する。これにより、より確実かつ効率的に標的細胞を検出できる。

0048

以上、本実施形態のCTCの検出方法では、濃縮工程によって被検試料中に含まれる標的細胞(末梢血循環癌細胞)を濃縮することで、標的細胞以外のその他の成分(例えばPBMC)を効率的に除去できる。また、標識工程によって、第1の識別抗体で標的細胞を標識し、第2の識別抗体で標的細胞以外のその他の成分を標識できる。第1の標識物質と第2の標識物質とを異なる標識物質とすることで、標的細胞とそれ以外の成分とを容易に区別することができる。これにより、次の検出工程で、被検試料から、第1の標識物質で標識され、かつ第2の標識抗体で標識されていない細胞を標的細胞として容易かつ確実に検出できる。

0049

また、標的細胞の抗原として、EpCAM抗原等の上皮系細胞に発現する抗原以外の抗原であって標的細胞に特異的に発現する抗原をターゲットとし、この抗原に特異的に結合する第1の標識抗体を結合させている。したがって、本実施形態のCTCの検出方法では、EpCAMに依存することがなく、EMTを起こした癌細胞であっても高い精度で検出できる。その結果、末梢血循環癌細胞の検出精度をより高めることができる。

0050

本実施形態のCTCの検出方法は、末梢血循環腎癌細胞(腎癌CTC)の検出に特に有効である。末梢血循環腎癌細胞に特異的に発現するG250抗原に特異的に結合し第1の標識物質で標識された抗G250抗体を第1の標識抗体とすることで、EpCAMに依存することなく、高い精度で末梢血循環腎癌細胞を検出できる。また、被検試料に含まれるPBMCを除外するべく第2の標識抗体として、第2の標識物質で標識された抗CD45抗体を用いることで、G250陽性、かつCD45陰性の細胞を、末梢血循環腎癌細胞として高い精度で容易に検出できる。

0051

次に、上記した本実施形態に係る末梢血循環癌の検出方法を実施するための末梢血循環癌の検出装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図3は、末梢血循環癌の検出装置の一実施形態としてのCTC検出装置100の全体構成を示す概略図である。

0052

図3に示すように、本実施形態に係るCTC検出装置100は、濃縮部20と、標識部21と、検出部22と、制御部23と、表示部24と、入力部25と、記憶部26とから主に構成される。

0053

濃縮部20は、検試料中に含まれる標的細胞を濃縮する濃縮工程を実行する。濃縮部20としては、例えば、図1に示す微小流路デバイス1を用いることができる。

0054

標識部21は、被検試料に第1の識別抗体及び第2の識別抗体を接触させて被検試料を標識する標識工程を実行する。標識部21は、被検試料が収容されたフラスコ等に、自動で第1の識別抗体及び第2の識別抗体を投入する構成でもよいし、人手により投入する構成でもよい。

0055

検出部22は、第1の識別抗体及び第2の識別抗体と接触させた被検試料から、標的細胞を検出する検出工程を実行する。検出部22としては、例えば、図2に示す検出装置10を用いることができる。

0056

制御部23は、CPU等から構成される。制御部23は、記憶部26に記憶されたプログラムを、例えばRAM上に展開することで、CTC検出装置100全体の動作を制御する。また、制御部23は、検出部22での検出結果及び記憶部26に記憶されたゲーティング情報基づいて、標的細胞に関する表示画像(例えば、ヒストグラムや二次元プロット)を生成して表示部24に表示する。

0057

制御部23は、表示部24や入力部25を備えたパーソナルコンピューター等の情報処理装置に設けられていてもよい。また、検出部22として図2に示すような検出装置10を用いる際には、検出装置10の制御部14を、制御部23として機能させてもよい。

0058

表示部24は、ヒストグラム等の表示画像が表示される。入力部25は、ゲーティング情報の入力を受け付ける。表示部24は、液晶ディスプレイ有機LT等のタッチパネルディスプレイを用いることができる。この表示部24には、画像等が表示される表示面に重畳して、タッチパネル式の入力部25が設けられている。また、入力部25として、マウスキーボード等が設けられている。

0059

記憶部26は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリハードディスクなどから構成される。記憶部26には、CTC検出装置100の動作に必要な各種プログラム、パラメータ等の各種情報が記憶される。また、記憶部26には、ゲーティング情報、CTCの検出結果等が記憶される。

0060

上述のような構成のCTC検出装置100では、被検試料が濃縮部20によって濃縮され、標識部21で第1の標識抗体及び第2の標識抗体と接触される。次いで、標識後の被検試料が検出部22に供給されることで、検出部22によってCTCが検出され、分離される。制御部23は、検出部22の検出結果に基づいて、所定のヒストグラム等を生成し、表示部24に表示する。このとき、制御部23は、検出された各細胞をゲーティングして、CTCのみのデータを表示してもよい。これにより、検出されたCTCの数等を、より明確に把握できる。

0061

ゲーティング情報は、予め決められて記憶部26に記憶されたものを用いてもよいし、ユーザが表示画像を視認しながら、入力部25のタッチパネルタッチ操作やマウスのクリック操作によって領域を指定し、この領域に存在する細胞集団のみを制御部23が抽出してヒストグラム等を生成し表示してもよい。

0062

ゲーティング情報を予め決める場合、既知の個数の基準標的細胞を混入した基準試料を用いて、CTC検出装置100により基準標的細胞を検出し、この検出結果に基づいて、ゲーティング情報を決めてもよい。より具体的には、基準試料を濃縮部20で濃縮し、標識部21で第1の標識抗体及び第2の標識抗体と接触させ、次いで基準試料から、検出部22により第1の標識抗体で標識され、かつ第2の標識抗体で標識されていない細胞を基準標的細胞として検出する。制御部23は、検出結果にも続いて、表示画像を生成して表示部24に表示する。そして、ユーザが表示画像を視認しながら、入力部25により標的細胞を包含する適切な領域を指定すると、指定された領域の座標を制御部23が取得し、ゲーティング情報として記憶部26に記憶する。なお、検出結果に基づいて、制御部23がゲーティング情報を自動で生成して記憶部26に記憶するものでもよい。

0063

このように予め基準試料を用いてゲーティング情報を取得し、記憶部26に記憶しておくことにより、被検試料について標的細胞の検出を行ったときに、標的細胞のみに関するヒストグラム等を、自動で、高精度かつ迅速に表示してユーザに提示できる。

0064

上述のような構成のCTC検出装置100は、CelseeとOn-Chip Sortを組み合わせて構成したものでもよいし、これらの機能を備えた一つの装置としたものでもよい。

0065

以下、実施例により本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態が、これら実施例により限定されるものではない。

0066

(実施例1)
被検試料として、CTCを含むモデルサンプルを用いて、本実施形態のCTCの検出方法により、CTCを検出した。

0067

[被検試料の調整]
被検試料として、健常者から4ccの末梢血を採取し、この末梢血に、10個の腎癌細胞由来の末梢血循環腎癌細胞(以下、「腎癌CTC」という。)をスパイク(混入)し、被検試料を調整した。腎癌細胞は、VMRC-RCWを使用した。

0068

[第1の標識抗体の精製]
腎癌CTCのG250抗原を認識して結合する第1の識別抗体(抗G250抗体)として、Anti-Carbonic Anhydrase 9-PE human(Miltenyi BiotecGmbH社製)を用いた。

0069

[第2の標識抗体の精製]
PBMCに発現するCD45抗原を認識して結合する第2の識別抗体(抗CD45抗体)として、PerCP anti-humanCD45(BioLegend社製)を用いた。

0070

[被検試料の濃縮]
調整した被検試料を、Celseeを用いて濃縮した。

0071

細胞群の標識]
濃縮後の被検試料4ccを遠心し、100μL〜200μLのバッファーに懸濁した後に、第1の識別抗体(抗G250抗体)を10μL添加し、次いで、第2の識別抗体(抗CD45抗体)を5μL添加した。以上により、腎癌細胞とPBMCとを標識した。

0072

[腎癌CTCの検出]
標識後の細胞集団を含む被検試料を、On-Chip Sortを用いてフローサイトメトリーにより分析し、腎癌CTCを検出した。図5に、検出結果に基づく二次元プロットを示す。図4(a)は、検出されたすべての細胞の二次元プロットである。この図4(a)に図示された多角形状の領域(ゲートリージョン)A内の細胞は、抗CD45抗体陽性の細胞、つまりPBMCであり、領域B内の細胞は、自家蛍光した細胞であり、領域C内の細胞は、抗G250抗体陽性の細胞、つまり腎癌CTCである。

0073

この図4(a)の二次元プロットから、ゲーティングによってPBMCと自家蛍光細胞を除去し、領域C内の腎癌CTCのみを絞り込んで、図4(b)に示す二次元プロットを作成した。この図4(b)に図示した領域D内の細胞について、図4(c)に示すように、サイズを横軸のパラメータとする二次元プロットを作成した。この図4(c)で矩形状の領域E内の細胞が腎癌CTCであり、領域E外の細胞は、腎癌CTC以外の成分(デブリゴミ等)である。

0074

この図4(b)、図4(c)によれば、10個のスパイクした腎癌CTCのうち、9個が検出された。この実施例1の結果から、本実施形態の末梢血循環癌細胞の検出方法及び検出装置によれば、末梢血循環癌細胞を高い精度で検出できることが示された。

0075

(実施例2、実施例3)
健常者の抹消血4ccに、それぞれ20個、40個の腎癌CTCをスパイクして、実施例2、実施例3の被検試料を調整した。これら実施例2、実施例3の被検試料に対して、上記実施例1と同様の手順により、濃縮、標識及び腎癌CTCの検出を行った。

0076

上記実施例1〜実施例3での検出結果に基づく腎癌CTCの同定率のグラフを図5に示す。このグラフ中、X軸の「混和細胞数」は末梢血中にスパイクした腎癌細胞の数であり、Y軸の「同定細胞数」は各実施例で実際に検出された腎癌CTCの数である。この図5のグラフの結果からわかるように、本実施形態によれば、末梢血中の腎癌CTCを90%〜100%の高い確率で検出できる。

0077

(実験例1)
実験例1として、腎癌のマーカーとしてG250抗原が有効であることを検証するための検証実験を行った。この実験例1では、腎癌細胞株(OS-RC02及びVMRC-RCW)、前立腺癌細胞株(DU145、LNCap)、膀胱癌細胞株(T24、KK47)に、抗G250抗体を接触させた。その抗原抗体反応の結果を図6に示す。この図6の結果によれば、腎癌細胞株は100%に近い確率で、抗G250抗体に対して陽性を示した。したがって、腎癌CTCの検出に、抗G250抗体が有効であることが明らかである。

0078

(実験例2)
実験例2として、抗G250抗体を用いることで、EMTを起こしたCTCであっても高い精度で検出できることを検証するための検証実験を行った。この実験例2では、健常者の末梢血4ccに、腎癌細胞樹立株であるVMRC-RCWをそれぞれ50個と100個をスパイクして、実験試料1、2を調整した。

0079

実験試料1、2に対して、溶血後、抗CD45抗体でコーティングした磁性ビーズを用いて白血球を除去し、腎癌CTCを濃縮した。その後、腎癌CTCに対する、抗G250抗体の特異性と、抗EpCAM抗体の特異性とを比較するため、FITCで標識した抗G250抗体及びPEで標識した抗EpCAM抗体と反応させた。また、PBMCとの識別のため、PE−Cy7で標識した抗CD45抗体とも反応させた。

0080

標識後、On-Chip Sortを用いて腎癌CTCとPBMCの識別を行った。抗CD45抗体陰性かつ抗G250抗体陽性の細胞を、腎癌CTCとしてカウントした。腎癌CTCの同定結果(検出結果)を図7に示す。この図7紙面上段の二次元プロットによれば、G250抗原をターゲットとすることで、腎癌CTCを高い精度で検出できることがわかる。

0081

また、図7の紙面下段の二次元プロットにおいて、抗CD45抗体陰性かつ抗EpCAM抗体陽性の細胞を腎癌CTCとしてカウントすると、実験試料1では50個中32個、実験試料2では100個中35個の腎癌CTCが除外されてしまう。これらはEMTを起こした細胞であるため、検出されなかったと推測される。これに対して、抗CD45抗体陰性かつ抗G250抗体陽性の細胞を腎癌CTCとしてカウントすると、実験試料1では50個中38個(76%)、実験試料2では100個中75個(75%)の確率で腎癌CTCを検出できることがわかった。つまり、EMTを起こした細胞でも高い精度で検出できることがわかった。

0082

以上の結果より、腎癌CTCの検出に、G250抗原をターゲットとして、抗G250抗体を用いることが極めて有効であることがわかった。

実施例

0083

以上、本発明の実施形態及び実施例を詳述してきたが、上記実施形態及び各実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記実施形態及び各実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれる。

0084

また、本発明の末梢血循環癌細胞の検出法用及び検出装置によれば、末梢血循環癌細胞を高い精度で検出できるため、検出結果を癌の診断、予後診断、治療効果の判定、転移癌の早期発見、病勢の把握等に好適に利用できる。これにより、抗がん剤その他のがん治療の効果がより期待される患者の特定、特定の副作用が発現するおそれの高い患者の特定、抗がん剤等の用法・用量の最適化又は投与中止の判断等を適切に実施できる。また、新たなバイオマーカー検査キットとしての利用、コンパニオン診断薬の効果の予測等、コンパニオン診断の分野にも応用できる。

0085

1微小流路デバイス(濃縮部) 10検出装置(検出部)
20 濃縮部 21 標識部 22 検出部 23 制御部 24 表示部
25 入力部 26 記憶部
100 CTC検出装置(末梢血循環癌細胞の検出装置) L 被検試料

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