図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
従来の木造耐火構造物では、例えば耐力壁に熱が加えられた場合に、一定時間以上は内部の木製の構造部材が燃えないように耐火措置を行う旨の基準がある。そのため、耐力壁の側面には耐火被覆材として所定厚さの石膏ボードが張られる場合が多い。一方、耐力壁に開口部が設けられている場合、小口面からの熱によって耐力壁内部の木製の構造部材が燃えないように、開口部の小口面にも耐火措置を講じるべきである。
そこで、従来は、開口枠の外側(例えば室外側)と内側(例えば室内側)に、例えば21mmの厚さの強化石膏ボードを2枚重ねで配設し、小口面にも強化石膏ボードを2枚重ねで配設する耐火措置を行うようにしてある。木材の着火温度は260℃であるが、強化石膏ボードは100℃になると、結晶水が分解され、温度上昇停滞が起こるので、小口面を含む開口枠が燃えることを防止できる。建物の木造開口部構造としては、例えば、特許文献1の技術が知られている。
概要
木造の開口枠による窓やドア等の開口部が狭小とならないように小口面を耐火構造とすること。木造開口部構造1Aでは、開口枠11の小口面11kにアルミ箔テープ20が貼り付けられている。このアルミ箔テープ20と、小口面11kの両側の強化石膏ボード15a,15bとの上に、熱発泡耐火シート17が貼り付けられている。熱発泡耐火シート17の外辺側及び内辺側の上面と、これら上面と交差する強化石膏ボード15bの側面とに、断面視L字状となるようにステンレステープ18が貼り付けられている。更に、L字状のステンレステープ18の側面部分18bが、ステープル針19で複数個所、強化石膏ボード15b,15aに固定される構造を成している。
目的
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、木造の開口枠による窓やドア等の開口部が狭小とならないように小口面を耐火構造とすることができる木造開口部構造を提供する
効果
実績
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この技術が所属する分野
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請求項1
請求項2
前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材よりも熱膨張率が小さいことを特徴とする請求項1に記載の木造開口部構造。
請求項3
請求項4
請求項5
前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記表面と交差する前記木造建物の側面と、に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造。
請求項6
前記木造建物は、前記開口部の小口面に沿って設置された木質部材と、前記木質部材の側面に設置された耐火被覆材と、を有し、前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記表面と交差する前記木質部材の側面又は前記耐火被覆材の側面と、に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造。
請求項7
前記木造建物は、前記開口部の小口面に沿って設置された木質部材と、前記木質部材の側面に設置された耐火被覆材と、を有し、前記熱膨張性耐火部材は、前記木質部材の開口部側の表面と、前記耐火被覆材の開口部側の端面と、に亘って設置され、前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記表面と交差する前記耐火被覆材の側面と、に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造。
請求項8
前記耐火被覆材が、前記木質部材の側方に複数枚重ねて設置された構成において、前記熱膨張性耐火部材は、前記木質部材の開口部側の表面と、前記複数枚重ねられた耐火被覆材の開口部側の端面と、に亘って設置され、前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記表面と交差する前記複数枚重ねられた耐火被覆材のうち、最も外側の耐火被覆材の側面又は耐火被覆材の間と、に固定されていることを特徴とする請求項7に記載の木造開口部構造。
請求項9
前記木造建物は、前記開口部の小口面に沿って設置された木質部材と、前記木質部材の屋外側の側方に設置された下地部材と、前記下地部材に固定されるサッシと、を有し、前記熱膨張性耐火部材は、前記木質部材の開口部側の表面と、前記下地部材の開口部側の端面と、に亘って設置され、前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記表面と交差する前記下地部材の側面と、に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造。
請求項10
前記木造建物は、前記開口部の小口面に沿って設置された木質部材と、前記木質部材の開口部側の表面に設置された面材と、前記面材の端面側に設置されるサッシと、を有し、前記熱膨張性耐火部材は、前記面材の開口部側の表面に亘って設置され、前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記面材の端面側と、に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造。
請求項11
前記木造建物は、前記開口部の小口面に沿って設置された木質部材と、前記木質部材の開口部側の表面に設置された面材と、前記面材の端面側に設置されるサッシと、を有し、前記熱膨張性耐火部材は、前記面材の開口部側の表面に亘って設置され、前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記面材の前記サッシ側の端面側とに固定されると共に、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記面材の前記サッシの反対側の端面及び下面とにコ字状に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造。
請求項12
前記木造建物は、前記開口部の小口面に沿って設置された木質部材と、前記木質部材の開口部側の表面に設置された面材と、前記面材の端面側に設置されるサッシと、を有し、前記熱膨張性耐火部材は、前記面材の開口部側の表面に亘って設置され、前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記面材の前記サッシ側の端面及び下面とにコ字状に固定されると共に、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記面材の前記サッシの反対側の端面及び下面とにコ字状に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造。
請求項13
前記開口部の小口面の上下面に耐火被覆材を配設し、当該小口面の左右面に当該耐火被覆材よりも厚さの薄い前記熱膨張性耐火部材を前記規制手段で規制して配設したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造。
技術分野
背景技術
0002
従来の木造耐火構造物では、例えば耐力壁に熱が加えられた場合に、一定時間以上は内部の木製の構造部材が燃えないように耐火措置を行う旨の基準がある。そのため、耐力壁の側面には耐火被覆材として所定厚さの石膏ボードが張られる場合が多い。一方、耐力壁に開口部が設けられている場合、小口面からの熱によって耐力壁内部の木製の構造部材が燃えないように、開口部の小口面にも耐火措置を講じるべきである。
0003
そこで、従来は、開口枠の外側(例えば室外側)と内側(例えば室内側)に、例えば21mmの厚さの強化石膏ボードを2枚重ねで配設し、小口面にも強化石膏ボードを2枚重ねで配設する耐火措置を行うようにしてある。木材の着火温度は260℃であるが、強化石膏ボードは100℃になると、結晶水が分解され、温度上昇停滞が起こるので、小口面を含む開口枠が燃えることを防止できる。建物の木造開口部構造としては、例えば、特許文献1の技術が知られている。
先行技術
0004
特開2012−158947号公報
発明が解決しようとする課題
0005
しかし、上述したように、小口面にも強化石膏ボードを配設する耐火措置を行った場合、開口部に例えばアルミサッシ扉の建具枠等を取り付ける際に、その強化石膏ボードが割れ易いので、小口面の強化石膏ボードにビス等で直接留め付けることができない。このため、小口面側の強化石膏ボードの表面に木下地材等を取り付ける必要がある。この場合、開口部の開口が、開口内側に大きく迫り出すので開口寸法が狭小となり、所定の建具枠等が取り付けられなくなる。
課題を解決するための手段
0007
上記課題を解決するための手段として、請求項1に係る発明は、木造建物に設けられる開口部の小口面に設置される熱膨張性耐火部材と、前記熱膨張性耐火部材の縁部が前記小口面から離れることを規制する規制手段と、を備えることを特徴とする木造開口部構造である。
0008
この構成によれば、火の高熱により熱膨張性耐火部材が発泡して膨張しても、規制手段によって、熱膨張性耐火部材の縁部が小口面から離れることが無くなる。このため、熱膨張性耐火部材で小口面を火の高熱から防護することができる。小口面に例えばシート状等の熱膨張性耐火部材を設置すればよいので、木造の開口枠による窓やドア等の開口部が狭小とならないように小口面を耐火構造とすることができる。
0009
請求項2に係る発明は、前記規制手段が、前記熱膨張性耐火部材よりも熱膨張率が小さいことを特徴とする請求項1に記載の木造開口部構造である。
0010
この構成によれば、規制手段が、熱膨張性耐火部材よりも膨張しないので、熱膨張性耐火部材の縁部を小口面から離れないように規制することができる。
0012
この構成によれば、耐火性テープを、開口部の縁部に対応する熱膨張性耐火部材の縁部に沿って延設して貼り付けるだけで、熱膨張性耐火部材が小口面から離れないように規制できるので、この規制作業を容易に行うことができる。
0014
この構成によれば、既製品である耐火性金属テープ又は耐火性ガラスクロステープを、耐火性テープとして用いることができる。このため、耐火性テープを容易且つ安価に準備することができる。
0015
請求項5に係る発明は、前記規制手段が、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記表面と交差する前記木造建物の側面と、に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造である。
0016
この構成によれば、規制手段が、熱膨張性耐火部材の表面と、この表面と交差する木造建物の側面とに固定されているので、規制手段の固定強度を高めることができる。このため、規制手段により、熱膨張性耐火部材が小口面から離れないように強固に規制できる。
0017
請求項6に係る発明は、前記木造建物が、前記開口部の小口面に沿って設置された木質部材と、前記木質部材の側面に設置された耐火被覆材と、を有し、前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記表面と交差する前記木質部材の側面又は前記耐火被覆材の側面と、に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造である。
0018
この構成によれば、木質部材の小口面の熱膨張性耐火部材の縁部が木質部材から浮き上がるのを抑制することができる。このため、小口面に沿った木質部材を熱膨張性耐火部材で火の高熱から防護することができる。
0019
請求項7に係る発明は、前記木造建物が、前記開口部の小口面に沿って設置された木質部材と、前記木質部材の側面に設置された耐火被覆材と、を有し、前記熱膨張性耐火部材は、前記木質部材の開口部側の表面と、前記耐火被覆材の開口部側の端面と、に亘って設置され、前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記表面と交差する前記耐火被覆材の側面と、に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造である。
0020
この構成によれば、小口面に沿った木質部材を熱膨張性耐火部材で火の高熱から防護することができる。
0021
請求項8に係る発明は、前記耐火被覆材が、前記木質部材の側方に複数枚重ねて設置された構成において、前記熱膨張性耐火部材は、前記木質部材の開口部側の表面と、前記複数枚重ねられた耐火被覆材の開口部側の端面と、に亘って設置され、前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記表面と交差する前記複数枚重ねられた耐火被覆材のうち、最も外側の耐火被覆材の側面又は耐火被覆材の間と、に固定されていることを特徴とする請求項7に記載の木造開口部構造である。
0022
この構成によれば、規制手段が、熱膨張性耐火部材の表面と、この表面と交差する複数枚重ねられた耐火被覆材のうち最も外側の耐火被覆材の側面とに固定されている場合は、規制手段と小口面までの距離が遠いので、小口面に熱が伝わり難くなり、小口面に沿った木質部材を火の高熱から防護する効果をより高めることができる。また、規制手段が、熱膨張性耐火部材の表面と、この表面と交差する複数枚重ねられた耐火被覆材のうち耐火被覆材の間とに固定されている場合は、規制手段が外れ難くなるので、小口面に沿った木質部材を火の高熱から防護する効果をより高めることができる。
0023
請求項9に係る発明は、前記木造建物が、前記開口部の小口面に沿って設置された木質部材と、前記木質部材の屋外側の側方に設置された下地部材と、前記下地部材に固定されるサッシと、を有し、前記熱膨張性耐火部材は、前記木質部材の開口部側の表面と、前記下地部材の開口部側の端面と、に亘って設置され、前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記表面と交差する前記下地部材の側面と、に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造である。
0024
この構成によれば、火災時等にサッシから木質部材へ熱が伝わってきた場合でも、木質部材の屋外側(サッシ側)の側面に設置された下地部材が焦げるので、この内側の木質部材を高熱から防護することができる。
0025
請求項10に係る発明は、前記木造建物が、前記開口部の小口面に沿って設置された木質部材と、前記木質部材の開口部側の表面に設置された面材と、前記面材の端面側に設置されるサッシと、を有し、前記熱膨張性耐火部材は、前記面材の開口部側の表面に亘って設置され、前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記表面と交差する前記面材の端面側と、に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造である。
0026
この構成によれば、火災時等にサッシから木質部材へ熱が伝わってきた場合でも、木質部材の開口部側の表面に設置された面材が焦げるので、この面材の下方側の木質部材を高熱から防護することができる。
0027
請求項11に係る発明は、前記木造建物は、前記開口部の小口面に沿って設置された木質部材と、前記木質部材の開口部側の表面に設置された面材と、前記面材の端面側に設置されるサッシと、を有し、前記熱膨張性耐火部材は、前記面材の開口部側の表面に亘って設置され、前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記面材の前記サッシ側の端面側とに固定されると共に、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記面材の前記サッシの反対側の端面及び下面とにコ字状に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造である。
0028
この構成によれば、熱膨張性耐火部材の両端側が面材に規制手段で固定されるが、特に熱膨張性耐火部材の一端側が面材に規制手段でコ字状に強固に固定される。これによって、熱膨張性耐火部材が小口面に密着状態に保持されるため、火災時に熱膨張性耐火部材が火の熱で大きく膨張しても、熱膨張性耐火部材と小口面との間に隙間が空かない。従って、熱膨張性耐火部材で小口面を火の高熱から防護することができる。
0029
請求項12に係る発明は、前記木造建物は、前記開口部の小口面に沿って設置された木質部材と、前記木質部材の開口部側の表面に設置された面材と、前記面材の端面側に設置されるサッシと、を有し、前記熱膨張性耐火部材は、前記面材の開口部側の表面に亘って設置され、前記規制手段は、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記面材の前記サッシ側の端面及び下面とにコ字状に固定されると共に、前記熱膨張性耐火部材の表面と、前記面材の前記サッシの反対側の端面及び下面とにコ字状に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造である。
0030
この構成によれば、熱膨張性耐火部材の両端側が面材に規制手段でコ字状に強固に固定される。これによって、熱膨張性耐火部材が小口面に、より密着状態に保持されるので、火災時に熱膨張性耐火部材が火の熱で大きく膨張しても、熱膨張性耐火部材と小口面との間に隙間が空かない。従って、熱膨張性耐火部材で小口面を火の高熱から、より効果的に防護することができる。
0031
請求項13に係る発明は、前記開口部の小口面の上下面に耐火被覆材を配設し、当該小口面の左右面に当該耐火被覆材よりも厚さの薄い前記熱膨張性耐火部材を前記規制手段で規制して配設したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の木造開口部構造である。
0032
この構成によれば、小口面の左右面に、耐火被覆材よりも厚さの薄い熱膨張性耐火部材を配設するので、一般的な小口面に耐火被覆材を配設する場合に比べ、耐力壁を配設する横幅(左右幅)の寸法が長くなる。このため、耐力壁長を長くできるので、耐力壁の耐力を向上させることができる。また、熱膨張性耐火部材は高価であるが、小口面の上下左右4面の左右2面しか熱膨張性耐火部材を使用しないので、その分、低コスト化を図ることができる。
発明の効果
0033
本発明の木造開口部構造によれば、木造の開口枠による窓やドア等の開口部が狭小とならないように小口面を耐火構造とすることができる。
図面の簡単な説明
0034
本発明の実施形態に係る建物の壁に設けられた木造開口部を示す斜視図である。
図1のA1−A1線により木造開口部を切断した際の木造開口部構造を示す断面図である。
建物の壁に設けられた木造開口枠の構成を示す正面斜視図である。
(a)耐火試験前の木造開口部を示す斜視図、(b)耐火試験後の木造開口部を示す斜視図、(c)炭化した熱発泡耐火シートを除去後の開口枠の左板を示す斜視図である。
(a)本実施形態の木造開口部構造において熱発泡耐火シートが発泡して膨張した様態を示す断面図、(b)木造開口部構造においてステンレステープで固定されていない熱発泡耐火シートが発泡して膨張した様態を示す断面図である。
木造開口部構造の開口部を60分燃焼した際の燃焼時間(横軸)と、小口面の温度(縦軸)との関係を示す図である。
本発明の実施形態の変形例1に係る建物の木造開口部構造の断面図である。
本発明の実施形態の変形例2に係る建物の木造開口部構造の断面図である。
本発明の実施形態の変形例3に係る建物の木造開口部構造の断面図である。
本発明の実施形態の変形例4に係る建物の木造開口部構造の断面図である。
本発明の実施形態の変形例5に係る建物の木造開口部構造の断面図である。
本発明の実施形態の変形例6に係る建物の木造開口部構造の断面図である。
本発明の実施形態の変形例7に係る建物の壁に設けられた木造開口部を示す斜視図である。
図13のA2−A2線により木造開口部を切断した際の木造開口部構造を示す断面図である。
図13のA3−A3線により木造開口部を切断した際の木造開口部構造を示す断面図である。
実施例
0035
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<実施形態の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る建物の壁に設けられた木造開口部を示す斜視図、図2は、図1のA1−A1線により木造開口部を切断した際の木造開口部構造を示す断面図である。
0037
図3に示す開口枠11は、上下左右の板11a,11b,11c,11dを、四角状の開口部10を形成するように組合せて構成されている。開口枠11の縦方向に配置された左板11c及び右板11dには、立設した支柱となる板材12が接合されて配設されている。横方向に配置された上板11aは、この上板11aを左右から挟んで上下方向に配置された左右の板11c,11dで支持されている。また、上板11aに平行な下方の下板11bは、この下板11bの下面の左右端部に、下方向に配置された板11j,11jで支持されている。開口枠11の開口内側の4面が小口面11kである。図3では、開口枠11の室外側には、構造用合板14が釘等で貼り付けられている。図示はしないが、開口枠11の室内側にも、構造用合板等が釘等で貼り付けられる。このような構成により、開口枠11の支持強度を高めている。
0038
次に、図2に示す開口枠11の下板11b側の断面構造を代表してその構造を説明する。開口枠11の下板11bの上面と、下板11bの図面に向かって左側の室外側及びこの反対側の室内側の側面には、アルミ箔テープ20が貼り付けられている。このアルミ箔テープ20は省略することも可能である。開口枠11の室外側及び室内側の両側には、アルミ箔テープ20を介して、上記構造用合板14に代え、耐火被覆材としての強化石膏ボード15a,15bが2枚重ねで接合されている。但し、開口枠11の両側又は片側の強化石膏ボード15a,15bは、構造用合板14であってもよい。強化石膏ボード15a,15bは1枚又は3枚重ね以上でもよい。なお、強化石膏ボード15a,15bは、請求項記載の耐火被覆材を構成する。
0039
各強化石膏ボード15a,15bの上端面(端面)は、下板11bの小口面11kと面一となっている。この小口面11kに貼り付けられたアルミ箔テープ20の上面(表面)と、この上面の両側の強化石膏ボード15a,15bの上端面とに亘り延設されて、熱発泡耐火シート(シートともいう)17が貼り付けられている。
0040
熱発泡耐火シート17は、火の高熱により発泡する特性を持ち、発泡により膨張した炭化層を形成することで熱を有効に遮るものである。シート17は、熱を受けることで例えば元の厚さに比較して、好ましくは5倍以上、より好ましくは10〜50倍の厚さに膨張する。シート17の熱膨張率は、650℃で15分間加熱したときの、元の厚さ(20℃における厚さ)に対する倍率である。アルミ箔テープ20は、遠赤外線の熱線により直接伝わる輻射熱を反射し、小口面11kを加熱し難くするものである。なお、熱発泡耐火シート17は、請求項記載の熱膨張性耐火部材を構成する。熱発泡耐火シート17としては、例えば、エスケー化研株式会社の「SKタイカシート」(登録商標)を用いることができる。また、一枚の熱発泡耐火シート17の発泡前の厚さが所定の耐火性能を満たす厚さ(例えば、3mm、4mm、5mm、より好ましくは6mm以上)よりも小さい場合、複数の熱発泡耐火シート17を積層してもよい。積層する熱発泡耐火シート17の厚さが異なる場合は、薄いシートの上に厚いシートを積層するのがよい。
0041
更に、図2に示す熱発泡耐火シート17の室外側(図面に向かって左側)の縁部である外辺側の上面(又は表面)と、この上面と交差する強化石膏ボード15bの側面とに、断面視L字状となるようにステンレステープ18が貼り付けられている。同様に、シート17の室内側の縁部である内辺側の上面と、この上面と交差する強化石膏ボード15bの側面とに、断面視L字状となるようにステンレステープ18が貼り付けられている。なお、ステンレステープ18において、シート17の上面側に貼り付けられた部分が上面部分18aであり、強化石膏ボード15bに貼り付けられた部分が側面部分18bである。ステンレステープ18は、耐火性を有する薄手のステンレス製のテープ(好ましくは厚さ0.01〜0.2mm)であり、片面に粘着剤が塗布されている。
0042
ステンレステープ18に代え、グラスファイバやカーボンファイバ製等の熱伝導性が低い素材による耐火性ガラスクロステープや耐火シートテープを用いてもよい。ステンレステープ18、耐火性ガラスクロステープ又は耐火シートテープは、請求項記載の規制手段を構成する。更に、ステンレステープ18、耐火性ガラスクロステープ又は耐火シートテープは、請求項記載の耐火性テープを構成する。また、これらの耐火性テープは、熱膨張性耐火部材としての熱発泡耐火シート17よりも熱膨張率が小さいこと(熱膨張率が好ましくは5倍未満、より好ましくは4倍以下)を条件とする。なお、シート17を固定できる耐火性のテープであれば、上記以外のテープでもよい。
0043
ステンレステープ18の側面部分18bは、ステープル針19で複数個所、強化石膏ボード15b,15aに固定されている。このステンレステープ18の固定の様態を図1にも示す。図1に示すように、開口部10の4面の小口面11k(図2)に貼り付けられた熱発泡耐火シート17の室外辺側と室内辺側とに、断面視L字状にステンレステープ18が貼り付けられて固定されている。
0044
この構成の木造開口部構造1Aにおいて、開口枠11の小口面11kの耐火試験を行った。この耐火試験は、図4(a)に示す木造開口枠のみの木造開口部構造1Aにより実施した。木造開口部構造1Aの開口部10には、小口面11kに貼り付けられた熱発泡耐火シート17と、このシート17を固定するステンレステープ18とが露出している。
0045
木造開口部構造1Aの開口部10を60分燃焼した後の状態は、図4(b)に示すように、熱発泡耐火シート17が炭化した膨張状態となる。この炭化したシート17を除去すると、図4(c)に図4(b)の枠I内の開口枠11の左板11c(図3)を代表して示すように、炭化の無い開口枠11の左板11c及び小口面11kが表れる。
0046
図4(b)に示すシート17が熱で膨張した状態では、図5(a)に示すように、シート17の膨張に伴って、ステンレステープ18の上面部分18a(図2)が、側面部分18bに対してより大きな角度で開きながら移動する。言い換えれば、シート17の膨張に追従してステンレステープ18の上面部分18aが変形する。この際、側面部分18bは、粘着剤及びステープル針19で固定状態となっているため、シート17の縁部17aが膨張しても強化石膏ボード15bに密着状態に保持される。このため、ステンレステープ18は、シート17が膨張しても、図5(b)に示すように、シート17の縁部17aと小口面11kとの間に隙間G1ができないように、図5(a)に示す状態でシート17を保持する。このため、小口面11kは、シート17及びアルミ箔テープ20で密閉されるので火の高熱から防護される。
0047
なお、図5(b)に示すように、ステンレステープ18が無い場合にシート17が膨張すると、シート17の縁部17aが強化石膏ボード15a,15bから剥がれて浮き上がり、強化石膏ボード15a,15bや小口面11kとの間に隙間G1ができる。この隙間G1から熱が入り込むので、小口面11kが燃焼し、更には開口枠11が燃焼してしまう。
0048
<本実施形態の効果>
図6に、本実施形態の木造開口部構造1Aの開口部10を60分燃焼した際の燃焼時間(横軸)と、小口面11kの温度(縦軸)との関係を示す。但し、小口面11kの温度の計測位置は、図2に示すP1の位置である。図6に示すように、燃焼前の0分では、小口面11kの温度は約10℃である。燃焼後、20分経過時点では小口面11kの温度は100℃、40分経過時点では約130℃、60分経過時点では約170℃となる。木材の着火温度は260℃なので、60分経過しても小口面11kの温度を、着火温度よりも大幅に低い170℃位とすることができる。これによって小口面11kを燃焼から防護することができた。
0049
このように実施形態の木造開口部構造1Aによれば、開口部10を60分燃焼しても、図4(c)に示すように、小口面11kを燃焼から防護することができる。
0050
木造開口部構造1Aは、小口面11kにアルミ箔テープ20を貼り付け、このアルミ箔テープ20と、小口面11kの両側の強化石膏ボード15a,15bとの上に、熱発泡耐火シート17が貼り付けてある。更に、シート17の上面と、この上面と交差する強化石膏ボード15bの側面とに、断面視L字状となるようにステンレステープ18が貼り付けてある。更に、そのステンレステープ18の側面部分18bを、ステープル針19で複数個所、強化石膏ボード15b,15aに固定してある。
0051
このような木造開口部構造1Aは、小口面11kへのアルミ箔テープ20及び熱発泡耐火シート17の貼り付け、及び、ステンレステープ18の貼り付けとステープル作業のみで、木造開口部構造1Aを作製できるので、容易に作製することができる。
0052
また、開口枠11の小口面11kには、アルミ箔テープ20と、薄手の熱発泡耐火シート17とが貼り付けられるだけなので、開口部10(図1)の大きさが小さくなることは無い。これにより、シート17を介して木枠の小口面11kに所定の建具枠等を取り付けることができる。このため、従来のように開口部に木下地材等を取り付ける必要が無くなるので、その取り付けの手間を省くことができる。
0053
従って、木造開口部構造1Aによれば、木造の開口枠11による窓やドア等の開口部10が狭小とならず、余計な手間が発生しないように小口面11kを耐火構造とすることができる。
0054
なお、小口面11kにアルミ箔テープ20が無い場合でも、シート17で火の高熱から防護することが可能である。更に、小口面11kの両側又は片側の強化石膏ボード15aに代え、構造用合板14を用いた構成において次のように成してもよい。即ち、小口面11k及び構造用合板14の端面にシート17を貼り付け、このシート17の上面及びこの上面と交差する構造用合板14の側面にステンレステープ18をL字状に貼り付ける。このステンレステープ18の側面部分18bを更にステープル針19で止めてもよい。
0055
この構成によっても、火の高熱によりシート17が発泡して膨張した場合、ステンレステープ18が、シート17の縁部17aと小口面11kとの間に隙間G1{図5(b)参照}ができないようにシート17を保持する。このため、小口面11kを火の高熱から防護することができる。
0056
<実施形態の変形例1>
図7は、本発明の実施形態の変形例1に係る建物の木造開口部構造の断面図であり、図2に対応する断面図である。図7に示す変形例1の木造開口部構造1Bにおいて、図2に示した木造開口部構造1Aに対応する部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
0057
図7に示す木造開口部構造1Bは、開口枠(木質部材)11の小口面11kの両側である室外側と室内側との各々に、強化石膏ボード(耐火被覆材)15aが配設されている。なお、強化石膏ボード15aに代え、室外側と室内側との双方又は片方に構造用合板14を配設してもよい。強化石膏ボード15aの上端面は、小口面11kと面一となっている。この小口面11kに貼り付けられたアルミ箔テープ20と、当該小口面11kの両側の強化石膏ボード15aとの上端面に、熱発泡耐火シート17が貼り付けられている。このシート17の左右端面及び当該端面と面一のボード15aの外面に、強化石膏ボード15bが配設されている。強化石膏ボード15bの上端面とシート17の上面とは面一に成されている。
0058
更に、熱発泡耐火シート17の外辺側及び内辺側の上面並びに端面と、上面と交差する強化石膏ボード15aの側面とに、断面視L字状となるようにステンレステープ18が貼り付けられている。更に、強化石膏ボード15aには、ステンレステープ18の側面部分18bを挟んで強化石膏ボード15bが重ねられて配設されている。
0059
この構成によれば、ステンレステープ18の側面部分18bが、耐火被覆材としての強化石膏ボード15aに接着されると共に、強化石膏ボード15bで挟まれて固定されている。このため、ステンレステープ18の側面部分18bは、上面部分18aよりも強固に固定されている。この強固な固定により、シート17が火の熱で膨張してもステンレステープ18が強化石膏ボード15aから外れることはない。このため、膨張するシート17がステンレステープ18で小口面11kに密着状態に保持されるので、シート17で小口面11kを火の高熱から防護することができる。なお、木造開口部構造1Bにおいて、アルミ箔テープ20が無い構成でもよい。
0060
<実施形態の変形例2>
図8は、本発明の実施形態の変形例2に係る建物の木造開口部構造の断面図であり、図2に対応する断面図である。図8に示す変形例2の木造開口部構造1Cにおいて、図2に示した木造開口部構造1Aに対応する部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
0061
図8に示す木造開口部構造1Cは、小口面11kに貼り付けられたアルミ箔テープ20の上に、熱発泡耐火シート17が貼り付けられている。更に、熱発泡耐火シート17の外辺側及び内辺側の上面並びに端面と、上面と交差する開口枠11の側面とに、断面視L字状となるように耐火性ガラスクロステープ(テープ)22が貼り付けられている。更に、開口枠11の側面側には、テープ22の側面部分22bを挟んで2枚重ねの強化石膏ボード15a,15bが配設されている。強化石膏ボード15a,15bの上端面は、シート17の上面と面一に成されている。なお、テープ22に代え、ステンレステープ18を用いてもよい。
0062
この構成によれば、テープ22の側面部分22bは、開口枠11と強化石膏ボード15aとで挟まれて固定されているので、テープ22の上面側よりも強固に固定されている。このため、シート17が火の熱で膨張してもテープ22が外れることはない。これによって、膨張するシート17がテープ22で小口面11kに密着状態に保持されるので、シート17で小口面11kを密閉して火の高熱から防護することができる。テープ22は熱伝導性が低いので、熱が開口枠11に伝わり難くなり、より燃え難くなる。
0063
また、工場で、小口面11kに熱発泡耐火シート17を貼り付け、このシート17を熱伝導性の低い耐火性ガラスクロステープ22で固定して開口枠11を製造できる。このため、建物が建つ現場での組立作業が容易となる。
0064
<実施形態の変形例3>
図9は、本発明の実施形態の変形例3に係る建物の木造開口部構造の断面図であり、図2に対応する断面図である。図9に示す変形例3の木造開口部構造1Dにおいて、図7に示した木造開口部構造1Bに対応する部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
0065
図9に示す木造開口部構造1Dは、開口部10にアルミサッシ扉40が取り付けられる場合の構造であり、次のように構成されている。開口枠(木質部材)11の室内側には、強化石膏ボード(耐火被覆材)15aが配設され、開口枠11の室外側には、構造用合板14(図3の室内側の構造用合板14を参照)が配設されている。更に、構造用合板14の室外側には、開口枠11の四角状に沿ってサッシ取付枠30が配設されている。このサッシ取付枠30は、例えば15mm程度の厚さの板材で、開口枠11の縦幅よりもやや広い縦幅を有している。なお、アルミサッシ扉40は、請求項記載のサッシを構成する。サッシ取付枠30は、請求項記載の下地部材を構成する。サッシ取付枠30は、15mm以上の厚さの板材でもよい。更に、サッシ取付枠30は、単一材料ではなく、複数材料を組み合わせたものとしてもよい。
0066
室内側の強化石膏ボード15aの上端面と、室外側の構造用合板14及びサッシ取付枠30の上端面とは、開口枠11の小口面11kと面一となっている。開口枠11の右側の側面及び構造用合板14の側面と小口面11kとに貼り付けられたアルミ箔テープ20の上面と、強化石膏ボード15a、構造用合板14及びサッシ取付枠30による面一の上端面には、熱発泡耐火シート17が貼り付けられている。
0067
室外側において、シート17の左端面及びサッシ取付枠30の側面には、後述するステンレステープ18及びアルミサッシ扉40の取付部41aを介して外壁材15cが配設されている。また、室内側において、シート17の右端面及び強化石膏ボード15aの側面には、後述するステンレステープ18を介して強化石膏ボード15bが配設されている。
0068
シート17の外辺側の上面並びに端面と、その上面と交差するサッシ取付枠30の側面には、断面視L字状となるようにステンレステープ18が貼り付けられている。同様に、シート17の内辺側の上面並びに端面と、その上面と交差する強化石膏ボード15aの側面には、断面視L字状となるようにステンレステープ18が貼り付けられている。
0069
アルミサッシ扉40においてアルミニュウム製の下枠41には、この下方側に延びた取付部41aが一体に設けられている。取付部41aは、サッシ取付枠30に貼り付けられたステンレステープ18と、外壁材15cとの間に配設されており、ビス32によって、ステンレステープ18と共に、サッシ取付枠30、構造用合板14及び下板11bに固定されている。
0070
また、下枠41は、上方側に2本の平行なレール41b,41cを備える。各レール41b,41cには、アルミサッシ扉40の外側の硝子戸43と内側の硝子戸44との戸車(図示せず)が移動自在に嵌め込まれており、各硝子戸43,44が各レール41b,41c上を移動可能となっている。
0071
このような木造開口部構造1Dは、開口枠11の室外側の構造用合板14に設置されたサッシ取付枠30と、サッシ取付枠30を介して開口枠11に固定されるアルミサッシ扉40とを有することを特徴とする。更に、熱発泡耐火シート17が、開口枠11の開口部側の表面である小口面11kと、サッシ取付枠30の開口部10側の上端面とに亘って設置されている。更には、規制手段としてのステンレステープ18が、シート17の表面と、この表面と交差するサッシ取付枠30の側面に固定されて構成されている。
0072
この構成によれば、アルミサッシ扉40側において、火災時にシート17が火の熱で膨張しても、ステンレステープ18でシート17が小口面11kに密着状態に保持され、隙間が空かないので、シート17で小口面11kを火の高熱から防護することができる。更に、アルミサッシ扉40の下枠41の取付部41aを熱が伝わってきた場合でも、60分等の規定時間内では、サッシ取付枠30が焦げるのみで、この内側の構造用合板14、並びに、開口枠11の側面及び小口面11kを高熱から防護することができる。
0073
<実施形態の変形例4>
図10は、本発明の実施形態の変形例4に係る建物の木造開口部構造の断面図であり、図2に対応する断面図である。図10に示す変形例4の木造開口部構造1Eにおいて、図9に示した木造開口部構造1Dに対応する部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
0074
図10に示す木造開口部構造1Eは、開口部10にアルミサッシ扉40が取り付けられる場合の構造であり、次のように構成されている。開口枠(木質部材)11の室内側には、強化石膏ボード(耐火被覆材)15aが配設され、開口枠11の室外側には、構造用合板14が配設されている。構造用合板14の上端面及び強化石膏ボード15aの上端面と、開口枠11の小口面11kとは面一となっている。
0075
開口枠11の右側の側面及び構造用合板14の側面と、小口面11kとに貼り付けられたアルミ箔テープ20の上面と構造用合板14の上端面及び強化石膏ボード15aの上端面には、例えば厚さ5mm又は8mmの面材34が全面に配設されている。面材34は、ガラス繊維不織布入石膏板等の耐熱性を有する材料であって、耐熱性等を考慮した厚みとすることが好ましい。面材34の室内側の下面には、強化石膏ボード15aが縦に配設されている。面材34の上面(表面)には、熱発泡耐火シート17が貼り付けられている。
0076
室外側において、シート17及び面材34の端面と構造用合板14の側面には、後述するステンレステープ18及びアルミサッシ扉40の取付部41aを介して外壁材15cが配設されている。また、室内側において、シート17及び面材34の双方の右端面並びに強化石膏ボード15aの側面には、後述するステンレステープ18を介して強化石膏ボード15bが配設されている。
0077
シート17の外辺側の上面並びに端面と、その上面と交差する面材34の端面及び構造用合板14の側面には、断面視L字状となるようにステンレステープ18が貼り付けられている。同様に、シート17及び面材34の双方の右端面並びに強化石膏ボード15aの側面には、断面視L字状となるようにステンレステープ18が貼り付けられている。
0078
アルミサッシ扉40の下枠41の取付部41aは、室外側のステンレステープ18の側面部分18bと、外壁材15cとの間に配設され、ビス32によって、ステンレステープ18と共に、構造用合板14及び下板11bに固定されている。
0079
このような木造開口部構造1Eは、開口部10に沿って四角枠状に設置された開口枠11と、開口枠11の開口部側の小口面11kを含む表面に設置された面材34と、面材34の端面側に設置されるアルミサッシ扉40とを有していることを特徴とする。更に、熱発泡耐火シート17が、面材34の開口部側の表面に亘って設置されている。規制手段としてのステンレステープ18が、シート17の表面と、面材34の端面側とに固定されて構成されている。
0080
この構成によれば、アルミサッシ扉40側において、火災時にシート17が火の熱で膨張しても、ステンレステープ18でシート17が小口面11kに密着状態に保持され、隙間が空かないので、シート17で小口面11kを火の高熱から防護することができる。更に、アルミサッシ扉40の下枠41の取付部41aを熱が伝わってきた場合でも、60分等の規定時間内では、面材34が焦げるのみで、この内側の構造用合板14も開口枠11の側面及び小口面11kを高熱から防護することができる。
なお、図10に示す面材34を備える構成において、図9に示すサッシ取付枠30を更に備える構成であってもよい。
0081
<実施形態の変形例5>
図11は、本発明の実施形態の変形例5に係る建物の木造開口部構造の断面図である。この変形例5の木造開口部構造1Fが、図10に示した木造開口部構造1Eと異なる点は、室内側のL字状(断面形状)のステンレステープ18を、コ字状(断面形状)のステンレステープ18Kとしたことにある。このステンレステープ18Kのコ字状は、テープ上部18aと、テープ中部18bと、テープ下部18cとから成る。
0082
即ち、室内側において、ステンレステープ18Kは、シート17及び面材34の双方の端面を、テープ上部18a、テープ中部18b及びテープ下部18cで断面コ字状に囲んで張り付けられている。テープ下部18cは、面材34と強化石膏ボード15aの上端面との間に挟まれて固定されている。テープ中部18bは、シート17及び面材34の双方の右端面と、強化石膏ボード15bとの間に挟まれて固定されている。
0083
このような木造開口部構造1Fは、開口部10に沿って四角枠状に設置された開口枠11と、開口枠11の開口部側の小口面11kを含む表面に設置された面材34と、面材34の端面側に設置されるアルミサッシ扉40とを有していることを特徴とする。更に、熱発泡耐火シート17が、面材34の開口部側の表面に亘って設置されている。室外側において規制手段としてのステンレステープ18が、シート17の表面と、面材34の端面側とに固定されていると共に、室内側においてステンレステープ18Kが、シート17の表面と、面材34の端面及び下面とにコ字状に固定されている。
0084
この構成によれば、シート17の室内側の端部を、コ字状のステンレステープ18Kで、より強固に固定できる。このため、火災時にシート17が火の熱で大きく膨張しても、ステンレステープ18Kで強固に固定されたシート17が小口面11kに密着状態に保持されるので、シート17と小口面11kとの間に隙間が空かない。従って、シート17で小口面11kを火の高熱から防護することができる。
0085
<実施形態の変形例6>
図12は、本発明の実施形態の変形例6に係る建物の木造開口部構造の断面図である。この変形例6の木造開口部構造1Gが、図10に示した木造開口部構造1Fと異なる第1及び第2特徴点について図12を参照して説明する。
0086
第1特徴点は、室外側のL字状のステンレステープ18(図11)を、コ字状のステンレステープ18Kとしたことにある。即ち、ステンレステープ18Kは、シート17及び面材34の双方の左端面側を、テープ上部18a、テープ中部18b及びテープ下部18cでコ字状に囲んで張り付けられている。即ち、シート17及び面材34の両側の端面側に、コ字状のステンレステープ18Kを張り付けてある。
0087
第2の特徴点は、面材34の下面に縦に配設された構造用合板14の外面側に、例えば2枚の強化石膏ボード15d,15eを重ねて縦に配設し、この外側にサッシ取付枠30を配設したことにある。詳細には、面材34の下面側に縦に配設された構造用合板14の室外側に、2枚の強化石膏ボード15d,15eを重ねて縦に配設した。この重ねられた強化石膏ボード15d,15eの上端は面材34の下面に当接している。2枚の内、例えば外側の強化石膏ボード15eの上端がテープ下部18cを面材34との間で挟んで固定している。更に、強化石膏ボード15eの室外側には、サッシ取付枠30を開口枠11の四角状に沿って配設した。サッシ取付枠30は、テープ中部18bをシート17及び面材34の左端面との間で挟んで固定している。
0088
また、サッシ取付枠30と外壁材15cとの間に介在されたアルミサッシ扉40の取付部41aを、サッシ取付枠30と共に、ビス32Aで固定してある。ビス32Aの頭は、サッシ取付枠30と外壁材15cとの間に挟まれた状態になっている。
0089
このような木造開口部構造1Gは、開口部10に沿って四角枠状に設置された開口枠11と、開口枠11の開口部側の小口面11kを含む表面に設置された面材34と、面材34の端面側に設置されるアルミサッシ扉40とを有していることを特徴とする。更に、熱発泡耐火シート17が、面材34の開口部側の表面に亘って設置されている。室外側において規制手段としてのステンレステープ18Kが、シート17の表面と、面材34の端面及び下面とにコ字状に固定されていると共に、室内側においてステンレステープ18Kが、シート17の表面と、面材34の端面及び下面とにコ字状に固定されている。
0090
この構成によれば、シート17の室内側と室外側の各々の端部を、コ字状のステンレステープ18Kで、より強固に固定することができる。このため、火災時にシート17が火の熱で大きく膨張しても、ステンレステープ18Kで両側が強固に固定されたシート17が、小口面11kに密着状態に保持される。これによって、シート17と小口面11kとの間に隙間が空かないので、シート17で小口面11kを火の高熱から防護することができる。
0091
<実施形態の変形例7>
図13は、本発明の実施形態の変形例7に係る建物の壁に設けられた木造開口部を示す斜視図である。図14は、図13のA2−A2線により木造開口部を切断した際の木造開口部構造1Hを示す断面図である。図15は、図13のA3−A3線により木造開口部を切断した際の木造開口部構造1Hを示す断面図である。
0092
図13に示す変形例7の木造開口部構造1Hが、図1に示した木造開口部構造1A(図2)と異なる点は、開口部10の小口面11k(図3)の4面に張り付けられた熱発泡耐火シート17を、4面の左右面のみに張り付け、上下面に木下地材15i,15iを配設したことにある。但し、シート17の両側の辺部分は、ステンレステープ18で固定されている。
0093
図14に示すように、開口枠11を両側から強化石膏ボード15a,15aで挟んだ構造では、開口枠11及び左側の強化石膏ボード15aの上端面が面一で、この上端面全面に、強化石膏ボード15gが配設されている。また、開口枠11の右側の強化石膏ボード15aは、強化石膏ボード15gの右端面に当接して更に上方へ突き出ており、この突出部分が、強化石膏ボード15gの上に配設された木下地材15iの右端面に当接している。強化石膏ボード15gの高さ(厚さ)t1は、例えば25mmである。木下地材15iの高さ(厚さ)t10は、例えば30mm〜38mmである。
0094
図15に示す木造開口部構造1Hは、木造開口部構造1A(図2)と同構造であるが、厚さt2の薄いシート17を用いている。シート17の厚さt2は、例えば1.5mm、3mm、4mm、5mm、6mm等である。
0095
木造建築の場合、耐火建築とするために、所定サイズが要求される開口部10の小口面11kの4面を、強化石膏ボードで耐火被覆する必要がある。この場合、例えば厚さt1=25mmの強化石膏ボードを、開口部10のサイズを小さくすることなく小口面11kに張り付けると、小口面11kの内部側に強化石膏ボードが出っ張る配設状態となる。
0096
この配設状態で一般的に、図13に示すように、開口部10(小口面11k)の周囲の耐力壁の前後側に、強化石膏ボード15bを配設する。耐力壁は、地震や風等の水平荷重(横からの力)に抵抗する耐力を有し、横幅の長さ(耐力壁長)L1が長い程に耐力が向上する。しかし、小口面11kの4面に強化石膏ボードを配設した場合、強化石膏ボードの厚み分、耐力壁長L1が短くなって耐力が低下してしまう。
0097
そこで、変形例7では、小口面11kの4面の左右面に、例えば厚さt2=3mmの熱発泡耐火シート17を張り付け、上下面に、25mmの厚さの強化石膏ボード15g,15gを配設するようにした。
0098
この構造によれば、小口面11kの4面の左右面に、耐火性の有る厚さt2=3mmの薄いシート17を張るので、厚さ25mmの強化石膏ボードを配設する場合に比べ、片側の耐力壁長L1を25mm−3mm=22mmと長くできる。両側の耐力壁長L1では44mmと、より長くできる。
0099
このため、耐力壁の耐力を向上させることができる。一壁面に開口部10が2つ以上並んでいる場合は、耐力壁長L1を開口部10の数に応じて、より長くできるので、耐力壁の耐力を、より向上できる。
0100
熱発泡耐火シート17は高価であるが、変形例7の木造開口部構造1Hでは、小口面11kの4面の左右2面しかシート17を使用しないので、その分、低コスト化を図ることができる。
0101
その他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、本実施形態では、熱膨張性耐火部材として熱発泡耐火シートを小口面に設置する場合を例示したが、所定の熱膨張率及び耐火性能を満足する材料であれば、シート状ではなくてもよく、例えば塗装や吹き付けによって小口面に材料を層状に形成することで熱膨張性耐火部材を設けてもよい。また、木造建物の工法は特に限定されるものではなく、在来工法、木造軸組工法、枠組壁工法(ツーバイフォー工法)等、どのような工法で建設された建物でもよい。
0102
1A,1B,1C,1D,1E木造開口部構造
10 開口部
11開口枠
11k小口面
15a,15b強化石膏ボード(耐火被覆材)
17 熱発泡耐火シート(熱膨張性耐火部材)
18ステンレステープ(規制手段)
19ステープル針
20アルミ箔テープ
22耐火性ガラスクロステープ
30サッシ取付枠
32ビス
34面材
40アルミサッシ扉
41下枠
41a取付部