図面 (/)

技術 熱間鍛造用非調質鋼

出願人 山陽特殊製鋼株式会社
発明者 藤岡由美藤松威史
出願日 2019年3月4日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-038333
公開日 2020年9月10日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-143306
状態 未査定
技術分野
  • -
主要キーワード 産業機械部品 ドリル穿孔 耐力比 変形抑制 快削性 切り屑処理性 正偏析 機械構造用鋼
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年9月10日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

引張強さ、耐力及び快削性に優れた機械部品が得られうる熱間鍛造用非調質鋼の提供。

解決手段

非調質鋼は、C:0.36−0.42質量%、Si:0.40−0.90質量%、Mn:1.15−1.35質量%、S:0.030−0.080質量%、Ni:0.30質量%以下、Cr:0.35質量%以下、Mo:0.05質量%以下、Al:0.005−0.016質量%以下、Ti:0.0001−0.003質量%以下、V:0.07−0.13質量%以下、N:0.005−0.015質量%以下及びO:0.0020質量%以下を含有する。残部は、Fe及び不可避不純物である。下記数式(I)で算出される炭素当量Ceqは、0.86以上0.91以下である。熱間鍛造後組織は、3.0面積%以下のベイナイトを含み、かつ残部はフェライトパーライトとの混合組織である。 Ceq = P(C) + P(Si)/7+ P(Mn)/5 + P(Cr)/9 + P(V) (I)

概要

背景

機械部品には、高い引張強さと、高い耐力比(耐力/引張強さ)とが要求される。熱間鍛造用非調質鋼からなる機械部品では、熱間鍛造とその後の空冷とにより、金属組織が適正化される。これにより、高い引張強さと大きな耐力比とが、達成されている。引張強さ及び耐力は、硬度相関する。硬度が大きい機械部品において、高い引張強さと高い耐力比とが達成されうる。

この機械部品には、さらに切削加工が施される。一般に、高硬度である金属製品切削には、困難が伴う。切削の容易の観点から、熱間鍛造用非調質鋼には、快削性が要求される。

引張強さ及び耐力の観点から、非調質鋼への多量の合金元素の添加が検討されている。しかし、この非調質鋼は、快削性に劣る。

引張強さの観点から、非調質鋼へのCr、Mn又はVの多量の添加が検討されている。しかし、Cr、Mn及びVは、ベイナイトの生成を助長する。ベイナイトは、耐力及び快削性を損なう。

特開2005−171334公報には、非調質鋼からなる自動車部品が開示されている。この自動車部品は、予備加工体鍛造が施されることによって得られる。鍛造温度は、680℃から850℃である。この自動車部品では、低温での鍛造により、微細結晶粒が得られている。この自動車部品の耐力は、高い。

特開2015−183253公報には、Vの添加量が抑制された非調質鋼が開示されている。Vの添加量の抑制は、快削性に寄与しうる。

概要

引張強さ、耐力及び快削性に優れた機械部品が得られうる熱間鍛造用非調質鋼の提供。非調質鋼は、C:0.36−0.42質量%、Si:0.40−0.90質量%、Mn:1.15−1.35質量%、S:0.030−0.080質量%、Ni:0.30質量%以下、Cr:0.35質量%以下、Mo:0.05質量%以下、Al:0.005−0.016質量%以下、Ti:0.0001−0.003質量%以下、V:0.07−0.13質量%以下、N:0.005−0.015質量%以下及びO:0.0020質量%以下を含有する。残部は、Fe及び不可避不純物である。下記数式(I)で算出される炭素当量Ceqは、0.86以上0.91以下である。熱間鍛造後組織は、3.0面積%以下のベイナイトを含み、かつ残部はフェライトパーライトとの混合組織である。 Ceq = P(C) + P(Si)/7+ P(Mn)/5 + P(Cr)/9 + P(V) (I)なし

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

C:0.36質量%以上0.42質量%以下、Si:0.40質量%以上0.90質量%以下、Mn:1.15質量%以上1.35質量%以下、S:0.030質量%以上0.080質量%以下、Ni:0.30質量%以下(0質量%を含まない)、Cr:0.35質量%以下(0質量%を含まない)、Mo:0.05質量%以下(0質量%を含まない)、Al:0.005質量%以上0.016質量%以下、Ti:0.0001質量%以上0.003質量%以下、V:0.07質量%以上0.13質量%以下、N:0.005質量%以上0.015質量%以下及びO:0.0020質量%以下(0質量%を含まない)を含有し、かつ残部がFe及び不可避不純物であり、下記数式(I)で算出される炭素当量Ceqが0.86以上0.91以下であり、熱間鍛造後組織が、3.0面積%以下のベイナイトを含み、かつ残部がフェライトパーライトとの混合組織である熱間鍛造用非調質鋼。Ceq = P(C) + P(Si)/7 + P(Mn)/5 + P(Cr)/9 + P(V)(I)(この数式において、P(C)、P(Si)、P(Mn)、P(Cr)及びP(V)は、それぞれ、C、Si、Mn、Cr及びVの含有率(質量%)を表す。)

請求項2

上記パーライトの平均粒径が20μm以上である請求項1に記載の非調質鋼

請求項3

上記パーライトの比率が65面積%以上である請求項1又は2に記載の非調質鋼。

技術分野

0001

本発明は、自動車部品産業機械部品等に適した機械構造用鋼に関する。詳細には、本発明は、熱間鍛造用非調質鋼に関する。

背景技術

0002

機械部品には、高い引張強さと、高い耐力比(耐力/引張強さ)とが要求される。熱間鍛造用非調質鋼からなる機械部品では、熱間鍛造とその後の空冷とにより、金属組織が適正化される。これにより、高い引張強さと大きな耐力比とが、達成されている。引張強さ及び耐力は、硬度相関する。硬度が大きい機械部品において、高い引張強さと高い耐力比とが達成されうる。

0003

この機械部品には、さらに切削加工が施される。一般に、高硬度である金属製品切削には、困難が伴う。切削の容易の観点から、熱間鍛造用非調質鋼には、快削性が要求される。

0004

引張強さ及び耐力の観点から、非調質鋼への多量の合金元素の添加が検討されている。しかし、この非調質鋼は、快削性に劣る。

0005

引張強さの観点から、非調質鋼へのCr、Mn又はVの多量の添加が検討されている。しかし、Cr、Mn及びVは、ベイナイトの生成を助長する。ベイナイトは、耐力及び快削性を損なう。

0006

特開2005−171334公報には、非調質鋼からなる自動車部品が開示されている。この自動車部品は、予備加工体鍛造が施されることによって得られる。鍛造温度は、680℃から850℃である。この自動車部品では、低温での鍛造により、微細結晶粒が得られている。この自動車部品の耐力は、高い。

0007

特開2015−183253公報には、Vの添加量が抑制された非調質鋼が開示されている。Vの添加量の抑制は、快削性に寄与しうる。

先行技術

0008

特開2005−171334公報
特開2015−183253公報

発明が解決しようとする課題

0009

特開2005−171334公報に記載された鍛造では、低温で鍛造がなされているので、引張強さ及び耐力に優れた機械部品が効率よく製造され得ない。特開2015−183253公報に記載された非調質鋼では、ドリル加工性に関する快削性の検討が不十分である。

0010

本発明の目的は、引張強さ、耐力及び快削性に優れた機械部品が得られうる熱間鍛造用非調質鋼の提供にある。

課題を解決するための手段

0011

本発明に係る熱間鍛造用非調質鋼は、
C:0.36質量%以上0.42質量%以下、
Si:0.40質量%以上0.90質量%以下、
Mn:1.15質量%以上1.35質量%以下、
S:0.030質量%以上0.080質量%以下、
Ni:0.30質量%以下(0質量%を含まない)、
Cr:0.35質量%以下(0質量%を含まない)、
Mo:0.05質量%以下(0質量%を含まない)、
Al:0.005質量%以上0.016質量%以下、
Ti:0.0001質量%以上0.003質量%以下、
V:0.07質量%以上0.13質量%以下、
N:0.005質量%以上0.015質量%以下
及び
O:0.0020質量%以下(0質量%を含まない)
を含有する。残部は、Fe及び不可避不純物である。この非調質鋼の、下記数式(I)で算出される炭素当量Ceqは、0.86以上0.91以下である。この熱間鍛造後組織は、3.0面積%以下のベイナイトを含んでも良く、かつ残部はフェライトパーライトとの混合組織である。
Ceq = P(C) + P(Si)/7 + P(Mn)/5 + P(Cr)/9 + P(V) (I)
この数式において、P(C)、P(Si)、P(Mn)、P(Cr)及びP(V)は、それぞれ、C、Si、Mn、Cr及びVの含有率(質量%)を表す。

0012

好ましくは、このパーライトの平均粒径は、20μm以上である。好ましくは、このパーライトの比率は、65面積%以上である。

発明の効果

0013

本発明に係る非調質鋼が熱間鍛造に供されることにより、引張強さ、耐力及び快削性に優れた機械部品が得られうる。

0014

本発明に係る熱間鍛造用非調質鋼は、Feと添加元素とを含んでいる。本実施形態に係る非調質鋼には、合金元素が多量には添加されていない。以下、各元素について詳説する。

0015

炭素(C)]
Cは、鍛造品の強度に寄与する。さらにCは、フェライトの生成を抑制する。フェライトの抑制は結晶粒の微細化を抑制し、鍛造品の快削性を高める。これらの観点から、Cの含有率は0.36質量%以上が好ましく、0.37質量%以上がより好ましく、0.38質量%以上が特に好ましい。過剰のCは、かえって鍛造品の強度を低下させる。過剰のCはさらに、鍛造品の加工性を低下させる。強度及び加工性の観点から、Cの含有率は0.42質量%以下が好ましく、0.41質量%以下がより好ましく、0.40質量%以下が特に好ましい。

0016

ケイ素(Si)]
Siは、鋼を溶製する際の脱酸剤として機能する。さらにSiは、鍛造品の強度に寄与する。これらの観点から、Siの含有率は0.40質量%以上が好ましく、0.45質量%以上がより好ましく、0.50質量%以上が特に好ましい。過剰のSiは、フェライトの硬度を高め、鍛造品の快削性を低下させる。快削性の観点から、Siの含有率は0.90質量%以下が好ましく、0.88質量%以下がより好ましく、0.87質量%以下が特に好ましい。

0017

マンガン(Mn)]
MnはSと反応し、MnSを生成させる。このMnSは、鍛造品の快削性に寄与しうる。さらにMnは、鍛造品の強度に寄与する。これらの観点から、Mnの含有率は1.15質量%以上が好ましく、1.17質量%以上がより好ましく、1.18質量%以上が特に好ましい。Mnは、ベイナイトの生成を助長し、鍛造品の快削性を低下させる。快削性の観点から、Mnの含有率は1.35質量%以下が好ましく、1.32質量%以下がより好ましく、1.30質量%以下が特に好ましい。

0018

硫黄(S)]
Sは、ドリル加工旋削加工等における切削容易性に寄与する。Sはさらに、切削加工における切り屑処理性に寄与する。これらの観点から、Sの含有率は0.030質量%以上が好ましく、0.040質量%以上がより好ましい。Sは、鍛造品の静的強度及び疲労強度を低下させる。Sはさらに、非調質鋼の熱間加工性阻害する。強度及び熱間加工性の観点から、Sの含有率は0.080質量%以下が好ましく、0.070質量%以下がより好ましく、0.058質量%以下が特に好ましい。

0019

ニッケル(Ni)]
非調質鋼が、靱性向上のためにNiを含んでもよく、不純物以外のNiを含まなくてもよい。Niの過剰な添加は、ベイナイトの生成を助長し、鍛造品の快削性を低下させることがある。快削性の観点から、Niの含有率は0.30質量%以下が好ましく、0.20質量%以下がより好ましく、0.12質量%以下が特に好ましい。

0020

クロム(Cr)]
Crは、鍛造品の硬さを高めるために必要に応じて添加される。非調質鋼が、不純物以外のCrを含まなくてもよい。Crの過剰な添加は、鍛造品の快削性を低下させることがある。快削性の観点から、Crの含有率は0.35質量%以下が好ましく、0.30質量%以下がより好ましく、0.27質量%以下が特に好ましい。

0021

モリブデン(Mo)]
Moは、必要に応じて添加される。非調質鋼が、不純物以外のMoを含まなくてもよい。Moの過剰な添加は、ベイナイトの生成を助長し、鍛造品の快削性を低下させる。快削性の観点から、Moの含有率は0.05質量%以下が好ましく、0.04質量%以下がより好ましく、0.03質量%以下が特に好ましい。

0022

アルミニウム(Al)]
Alは、脱酸のために添加される。その目的のためのAlの含有率は、0.005質量%以上である。また、Alは、窒化物を形成する元素である。窒化物が多くなると、熱間鍛造における結晶粒を微細化する。その結果、硬さを低下させ快削性を損なう。硬度及び快削性の観点から、Alの含有率は0.016質量%以下が好ましく、0.014質量%以下がより好ましく、0.010質量%以下が特に好ましい。

0023

チタン(Ti)]
非調質鋼に、脱酸のためにTiが添加されてもよい。非調質鋼が、不純物以外のTiを含まなくてもよい。不純物としてのTiの含有率は、0.0001質量%以上である。方で、Tiは、窒化物を形成する元素でもあり、窒化物が多くなると、熱間鍛造における結晶粒を微細化する。従って窒化物が多い場合、鍛造品の硬さを低下させ快削性を損なう。硬度及び快削性の観点から、Tiの含有率は0.003質量%以下が好ましく、0.002質量%以下が特に好ましい。

0024

バナジウム(V)]
Vは、鍛造品の硬さを向上させる。この観点から、Vの含有率は0.07質量%以上が好ましく、0.08質量%以上がより好ましく、0.09質量%以上が特に好ましい。過剰のVは、ベイナイトの生成を助長し、鍛造品の快削性を低下させる。快削性の観点から、Vの含有率は0.13質量%以下が好ましく、0.12質量%以下がより好ましく、0.11質量%以下が特に好ましい。

0025

窒素(N)]
非調質鋼が、不純物以外のNを含まないことが好ましい。不純物としてのNの含有率は、0.005質量%以上である。Nは、Alと反応してアルミ窒化物を形成する。このアルミ窒化物は、鍛造品の結晶粒径を粗大になり過ぎないように抑える作用がある。その目的のために、Nの含有率は0.007質量%以上が必要である。一方で、窒化物が多くなると、結晶粒の過度の微細化により、鍛造品の快削性を低下させる。快削性の観点から、Nの含有率は0.015質量%以下が好ましく、0.012質量%以下が特に好ましい。

0026

酸素(O)]
非調質鋼が、不純物以外のOを含まないことが好ましいOは、他の元素と反応して酸化物を形成する。この酸化物は、鍛造品の快削性及び疲労寿命を低下させる。快削性及び疲労寿命の観点から、Oの含有率は0.0020質量%以下が好ましく、0.0015質量%以下が特に好ましい。

0027

[残部]
この非調質鋼の残部は、Fe及び不可避的不純物である。不可避的不純物として、P、Cu及びSnが例示される。

0028

リン(P)]
不可避的不純物としてのPが過剰であると、Pが粒界偏析する。このPの偏析は、粒界を脆化させて、靱性に悪影響をもたらす。鍛造品の強靱性の観点から、Pの含有率は0.030質量%以下が好ましく、0.020質量%以下がより好ましく、0.015質量%以下が特に好ましい。

0029

[銅(Cu)]
Cuが過剰に添加されると、熱間加工性が低下する。この観点から、Cuの含有率は0.30質量%以下が好ましく、0.25質量%以下が特に好ましい。

0030

[スズ(Sn)]
Snが過剰であると、非調質鋼の熱間加工性を低下させる。Snの含有率は0.025質量%以下が好ましく、0.020質量%以下が特に好ましい。

0031

[炭素当量]
この非調質鋼の炭素当量Ceqは、0.86以上0.91以下である。炭素当量Ceqが0.86以上である非調質鋼からは、適度に粗い結晶粒径を有する鍛造品が得られる。これにより、快削性に優れた鍛造品が得られうる。さらに、炭素当量Ceqが0.86以上である非調質鋼から、引張強さ及び耐力に優れた鍛造品が得られる。しかも、炭素当量Ceqが0.91以下である非調質鋼から得られた鍛造品は、適切な硬さを有するので、快削性に優れる。

0032

炭素当量Ceqは、下記の数式(I)によって算出される。
Ceq = P(C) + P(Si)/7+ P(Mn)/5 + P(Cr)/9 + P(V) (I)
この数式において、P(C)、P(Si)、P(Mn)、P(Cr)及びP(V)は、それぞれ、C、Si、Mn、Cr及びVの含有率(質量%)を表す。

0033

[熱間鍛造]
本発明に係る非調質鋼からなる材料に対して、部品の形状に加工する場合に熱間鍛造が施される。この熱間鍛造では、事前に材料が高温環境下に保持される。その典型的な保持温度は、1200℃程度であり、材料がその温度になるのに十分な時間保持される。この加熱した材料に対して、鍛造加工が施される。鍛造加工される際の典型的な加工温度は、1150〜1050℃である。鍛造加工ののちは、徐冷が施される。通常の冷却速度は、空冷によって冷却が行われることにより、1.5℃/sec前後である。この熱間鍛造により、鍛造品が得られる。

0034

[組織]
鍛造品は、フェライトとパーライトとの混合組織を、主として有する。鍛造品が、多少のベイナイトを含んでもよい。ベイナイトは、フェライトとパーライトとの混合組織中に、分散して存在する。このベイナイトは、硬質な組織である。従って、鍛造品の硬度及び引張強さの向上に寄与する。一方ベイナイトは、引張強度に比して耐力を低くする特徴があり、耐力比(耐力を引張強さで除した値)を低下させ、かつ快削性を低下させる。耐力比の確保は、使用中の部品の変形抑制や疲労強度確保の観点から重要である。耐力比及び快削性の観点から、ベイナイトの面積比率は3.0%以下が好ましく、1.5%以下がより好ましく、1.0%以下が特に好ましい。ベイナイトの面積比率は、鍛造品の断面の顕微鏡観察によって測定される。測定時の倍率は、400倍である。鍛造品の5カ所において測定がなされ、これらで得られた結果が平均される。

0035

パーライトは、強度とドリル加工による快削性とに寄与しうる。この観点から、パーライトの面積比率は65%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、74%以上が特に好ましい。過剰のパーライトは、鍛造品の硬度を高め、快削性を低下させる。快削性の観点から、パーライトの面積率は85%以下が好ましく、80%以下が特に好ましい。パーライトの面積比率は、ベイナイトの面積比率と同様の方法で測定される。

0036

従来、微細な結晶粒径にすることやパーライトの面積比率を少なくすることが強度と被削性両立に適すると考えられていた。しかし、結晶粒の微細化は硬さの低下を招くため、所望の硬さを得ようとすると合金元素を多く添加する必要があり、コストアップを招くのみならず、合金元素の正偏析部にベイナイトが発生しやすいことによって、かえって被削性を損なったり、耐力比を低下させることがあった。それに対して、本発明者は、結晶粒径が適度に粗大なパーライトを形成させていた場合に、鍛造品の耐力比及びドリル加工性の良好なバランスをもたらすことを突き止めた。この鍛造品のパーライトの平均粒径は、20μm以上が好ましく、25μm以上が特に好ましい。耐力の確保の観点から、パーライトの平均粒径は50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、35μm以下が特に好ましい。平均粒径は、鍛造品の断面の顕微鏡観察によって測定される。測定時の倍率は、400倍である。鍛造品の5カ所において測定がなされ、これらで得られた結果が平均される。パーライトの粒径は、初析フェライト網目状組織をもとに判定される。

0037

[鍛造品]
本明細書から、鍛造品の発明が把握されうる。すなわち、この鍛造品の材質は、
C:0.36質量%以上0.42質量%以下、
Si:0.40質量%以上0.90質量%以下、
Mn:1.15質量%以上1.35質量%以下、
S:0.030質量%以上0.080質量%以下、
Ni:0.30質量%以下(0質量%を含まない)、
Cr:0.35質量%以下(0質量%を含まない)、
Mo:0.05質量%以下(0質量%を含まない)、
Al:0.005質量%以上0.016質量%以下、
Ti:0.0001質量%以上0.003質量%以下、
V:0.07質量%以上0.13質量%以下、
N:0.005質量%以上0.015質量%以下
及び
O:0.0020質量%以下(0質量%を含まない)
を含有し、かつ残部がFe及び不可避不純物である鋼である。この鍛造品の、下記数式(I)で算出される炭素当量Ceqは、0.86以上0.91以下である。この鍛造品の組織は、3.0面積%以下のベイナイトを含み、かつ残部がフェライトとパーライトとの混合組織である。
Ceq = P(C) + P(Si)/7+ P(Mn)/5 + P(Cr)/9 + P(V) (I)
この数式において、P(C)、P(Si)、P(Mn)、P(Cr)及びP(V)は、それぞれ、C、Si、Mn、Cr及びVの含有率(質量%)を表す。

0038

[製造方法]
本明細書から、鍛造品の製造方法の発明が把握されうる。すなわち、この製造方法は、
(1)C:0.36質量%以上0.42質量%以下、
Si:0.40質量%以上0.90質量%以下、
Mn:1.15質量%以上1.35質量%以下、
S:0.030質量%以上0.080質量%以下、
Ni:0.30質量%以下(0質量%を含まない)、
Cr:0.35質量%以下(0質量%を含まない)、
Mo:0.05質量%以下(0質量%を含まない)、
Al:0.005質量%以上0.016質量%以下、
Ti:0.0001質量%以上0.003質量%以下、
V:0.07質量%以上0.13質量%以下、
N:0.005質量%以上0.015質量%以下
及び
O:0.0020質量%以下(0質量%を含まない)
を含有し、かつ残部がFe及び不可避不純物であり、下記数式(I)で算出される炭素当量Ceqが0.86以上0.91以下である非調質鋼を、準備する工程
及び
(2)上記非調質鋼に熱間鍛造を施して、その組織が、3.0面積%以下のベイナイトを含みかつ残部がフェライトとパーライトとの混合組織である鍛造品を得る工程
を含む。
Ceq = P(C) + P(Si)/7+ P(Mn)/5 + P(Cr)/9 + P(V) (I)
この数式において、P(C)、P(Si)、P(Mn)、P(Cr)及びP(V)は、それぞれ、C、Si、Mn、Cr及びVの含有率(質量%)を表す。

0039

以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。

0040

[実施例1]
原料真空溶解炉にて溶融し、この原料からインゴットを得た。このインゴットに熱間の切削加工を施して、直径が50mmである丸棒を得た。この丸棒の組成が、下記の表1に示されている。

0041

[実施例2−10及び比較例11−30]
組成を下記の表1及び2に示されるように調製した他は実施例1と同様にして、丸棒を得た。

0042

0043

0044

[硬度の測定]
丸棒を炉に投入し、1230℃の温度下に45分間保持した。この丸棒を取り出したのち、1050℃で鍛造を施して鍛造品を得た。この鍛造品は空冷により室温まで冷却した。このときの冷却速度は、0.5℃/secであった。この鍛造品の硬度を、ビッカース硬度計で測定した。測定時の荷重は、50kgfであった。この結果が、下記の表3及び4に示されている。

0045

[快削性試験
硬度測定に供した鍛造品を加工して、試験片を得た。この試験片に、ドリルによる穿孔を行った。ドリル穿孔の条件は、下記の通りである。
ドリルの材質:SKH51
ドリルのサイズ:φ5mm
送り:0.2mm/rev
穴の深さ:15mm
切削油:なし
エアーブロー:あり
1つのドリルで穿孔可能な穴の数が、下記の表3及び4に示されている。

0046

引張り試験
鍛造品から、試験片を切り出した。この試験片の平行部の径は、6mmであった。この試験片を、常温での引張り試験に供し、0.2%耐力と引張強さとを測定した。さらに、耐力比(0.2%耐力/引張強さ)を算出した。これらの結果が、下記の表3及び4に示されている。

0047

0048

0049

表3に示される通り、各実施例の非調質鋼から得られた鍛造品では、310HV以上のビッカース硬さ、1000MPa以上の引張強さ、及び0.60以上の耐力比が得られた。さらにこの鍛造品では、ドリルにて30穴を超える穿孔が可能であった。この非調質鋼から、強度と快削性とに優れた機械部品が得られ得る。

0050

比較例11の非調質鋼では、Cの含有率が低い。この非調質鋼から得られる鍛造品では、硬さが低く、引張強さが低い。

0051

比較例12の非調質鋼では、Cの含有率が高い。この非調質鋼から得られる鍛造品の組織は、多量のベイナイトを含む。この鍛造品は、耐力比及び快削性に劣る。

0052

比較例13及び14のそれぞれの非調質鋼では、Mnの含有率が低く、従って炭素当量Ceqが小さい。この非調質鋼から得られる鍛造品では、硬さが不十分である。

0053

比較例15及び16のそれぞれの非調質鋼では、Mnの含有率が高い。この非調質鋼から得られる鍛造品の組織は、多量のベイナイトを含む。この鍛造品は、耐力比及び快削性に劣る。

0054

比較例17及び18のそれぞれの非調質鋼では、Alの含有率が高い。この非調質鋼から得られる鍛造品では、パーライトが微細である。この鍛造品では、硬さが不十分である。この鍛造品は、快削性にも劣る。

0055

比較例19及び20のそれぞれの非調質鋼では、Tiの含有率が高い。この非調質鋼から得られる鍛造品では、パーライトが微細である。この鍛造品では、硬さが不十分である。この鍛造品は、快削性にも劣る。

0056

比較例21の非調質鋼では、Siの含有率が低い。この非調質鋼から得られる鍛造品では、フェライトの硬さが低い。従ってこの鍛造品では、引張強さが低い。

0057

比較例22の非調質鋼では、Siの含有率が高い。この非調質鋼から得られる鍛造品では、フェライトの硬さが低い。従ってこの鍛造品は、快削性に劣る。

0058

比較例23の非調質鋼では、Sの含有率が低い。この非調質鋼から得られる鍛造品は、快削性に劣る。

0059

比較例24の非調質鋼では、Sの含有率が高い。この非調質鋼から得られる鍛造品では、硬さが低く、引張強さが低い。

0060

比較例25の非調質鋼では、Niの含有率が高い。この非調質鋼から得られる鍛造品の組織は、多量のベイナイトを含む。この鍛造品は、快削性に劣る。

0061

比較例26の非調質鋼では、Crの含有率が高い。この非調質鋼から得られる鍛造品は、快削性に劣る。

0062

比較例27の非調質鋼では、Moの含有率が高い。この非調質鋼から得られる鍛造品の組織は、多量のベイナイトを含む。この鍛造品は、快削性に劣る。

0063

比較例28の非調質鋼では、Vの含有率が低い。この非調質鋼から得られる鍛造品では、硬さが低く、引張強さが低い。

0064

比較例29の非調質鋼では、Vの含有率が高い。この非調質鋼から得られる鍛造品の組織は、多量のベイナイトを含む。この鍛造品は、快削性に劣る。

0065

比較例30の非調質鋼では、Nの含有率が高い。この非調質鋼から得られる鍛造品では、結晶粒が微細である。この鍛造品は、快削性に劣る。

実施例

0066

前述の評価結果から、本発明の優位性は明らかである。

0067

本発明に係る非調質鋼から、熱間鍛造を経て、種々の製品が製造されうる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

この 技術と関連性が強い技術

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い法人

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い人物

該当するデータがありません

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ