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図面 (4)

課題

シクロアルケン電解酸化によりシクロアルケノン高い選択性で効率よく製造することのできる新規な製造方法を提供する。

解決手段

シクロアルケンとイミド化合物支持電解質とを含有した電解液中において、分子状酸素の存在下、光応答性半導体金属酸化物アノード電極を用いて、光照射下で、シクロアルケンを電解酸化する工程を含む。

概要

背景

有機化合物酸化反応は、有機合成化学において最も重要であり、かつよく研究されている反応の一つである。酸化反応で得られる目的有機化合物に応じて種々の方法が報告されている。酸化反応の中でも、シクロアルケンの酸化反応は、医農薬品等を製造する際の合成中間体などとして有用なシクロアルケノンを生成するため、産業上重要な位置を占めている。

有機化合物の酸化反応における酸化剤としては、過酸化水素などの過酸化物などがよく用いられる。しかし、過酸化物は爆発性を有し、また、高価である。さらに、使用後に廃棄物となるため環境負荷が大きい。これらの理由から、分子状酸素を用いることが望ましい。

酸素雰囲気又は空気などの分子状酸素を酸化剤として用いて、有機化合物を酸化する方法としては、不溶性固体触媒溶解性分子触媒を用いたものが知られている。例えば、特許文献1には、活性炭パラジウム化合物からなる不溶性の固体触媒と強酸存在下において、酸素と接触させてシクロヘキセン等のシクロアルケンを酸化することが記載されている。特許文献2には、金属酸化物又は貴金属触媒存在下、分子状酸素を酸化剤として用い超臨界二酸化炭素雰囲気下でシクロアルケンを酸化してシクロアルケノンやエポキシド等の酸化生成物を製造することが記載されている。

また、有機化合物を酸化する方法の一つとして、電解反応を利用したものも知られている。例えば、非特許文献1には、電解反応により、シクロアルケンからシクロアルケノンを製造する方法として、イミド化合物電解酸化により生成する酸化活性種を利用する方法が提案されている。

一方、電解反応を利用しない系ではあるが、光触媒を用いたシクロヘキセンの酸化によるシクロアルケノール及びシクロアルケノンを製造する方法が報告されている(例えば、特許文献3、非特許文献2)。

また、シクロアルケノンの製造方法とは異なるが、水の電気化学反応による過酸化水素の製造方法において、半導体光電極に光を照射して電圧を低減する製造方法及び製造装置が提案されている(例えば、特許文献4)。

概要

シクロアルケンの電解酸化によりシクロアルケノンを高い選択性で効率よく製造することのできる新規な製造方法を提供する。シクロアルケンとイミド化合物と支持電解質とを含有した電解液中において、分子状酸素の存在下、光応答性半導体金属酸化物アノード電極を用いて、光照射下で、シクロアルケンを電解酸化する工程を含む。

目的

本発明の目的は、前記事情に鑑みてなされたものであり、シクロアルケンの光電解反応を用いて高い選択性で効率よくシクロアルケノンを製造する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

シクロアルケンイミド化合物支持電解質とを含有した電解液中、分子状酸素存在下において、光応答性半導体金属酸化物アノード電極を用いて、光照射下で、シクロアルケンを電解酸化する工程を含む、シクロアルケノンの製造方法。

請求項2

前記光応答性半導体金属酸化物アノード電極は、導電性基材と、前記導電性基材の表面に配置されている、WO3、BiVO4、Fe2O3、TiO2から選択される1種又は2種以上の光応答性n型半導体とを有することを特徴とする請求項1に記載のシクロアルケノンの製造方法。

請求項3

前記導電性基材が、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)から選択される1種又は2種以上の導電性ガラス基材である請求項1に記載のシクロアルケノンの製造方法。

請求項4

前記イミド化合物が、次の一般式(1)で表されるN−ヒドロキシフタルイミド誘導体である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシクロアルケノンの製造方法。(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して、水素原子ヒドロキシ基ヒドロキシメチル基カルボキシ基ニトロ基シアノ基フルオロ基クロロ基ブロモ基、及びヨード基からなる群から選択される1種を示す。)

請求項5

前記シクロアルケンが、次の一般式(2)で表されるシクロペンテンシクロヘキセンシクロヘプテンであり、前記シクロアルケノンが、次の一般式(3)で表される2−シクロペンテン−1−オン、2−シクロヘキセン−1−オン、2−シクロヘプテン−1−オンである請求項1〜4のいずれか1項に記載のシクロアルケノンの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、光電気化学反応ステムを用いたシクロアルケノンの製造方法に関する。

背景技術

0002

有機化合物酸化反応は、有機合成化学において最も重要であり、かつよく研究されている反応の一つである。酸化反応で得られる目的有機化合物に応じて種々の方法が報告されている。酸化反応の中でも、シクロアルケンの酸化反応は、医農薬品等を製造する際の合成中間体などとして有用なシクロアルケノンを生成するため、産業上重要な位置を占めている。

0003

有機化合物の酸化反応における酸化剤としては、過酸化水素などの過酸化物などがよく用いられる。しかし、過酸化物は爆発性を有し、また、高価である。さらに、使用後に廃棄物となるため環境負荷が大きい。これらの理由から、分子状酸素を用いることが望ましい。

0004

酸素雰囲気又は空気などの分子状酸素を酸化剤として用いて、有機化合物を酸化する方法としては、不溶性固体触媒溶解性分子触媒を用いたものが知られている。例えば、特許文献1には、活性炭パラジウム化合物からなる不溶性の固体触媒と強酸存在下において、酸素と接触させてシクロヘキセン等のシクロアルケンを酸化することが記載されている。特許文献2には、金属酸化物又は貴金属触媒存在下、分子状酸素を酸化剤として用い超臨界二酸化炭素雰囲気下でシクロアルケンを酸化してシクロアルケノンやエポキシド等の酸化生成物を製造することが記載されている。

0005

また、有機化合物を酸化する方法の一つとして、電解反応を利用したものも知られている。例えば、非特許文献1には、電解反応により、シクロアルケンからシクロアルケノンを製造する方法として、イミド化合物電解酸化により生成する酸化活性種を利用する方法が提案されている。

0006

一方、電解反応を利用しない系ではあるが、光触媒を用いたシクロヘキセンの酸化によるシクロアルケノール及びシクロアルケノンを製造する方法が報告されている(例えば、特許文献3、非特許文献2)。

0007

また、シクロアルケノンの製造方法とは異なるが、水の電気化学反応による過酸化水素の製造方法において、半導体光電極に光を照射して電圧を低減する製造方法及び製造装置が提案されている(例えば、特許文献4)。

0008

特開2002−191979号公報
特開2005−170856号公報
特開2000−33265号公報
特開2017−171554号公報

先行技術

0009

Masui,Masaichiro et al.Chemical and Pharmaceutical Bulletin,Vol.31, p.4209-4211(1983)
Zhang, Chaofeng et al. Journal of American Chemical Society, Vol.140, p.2032−2035(2018)

発明が解決しようとする課題

0010

特許文献1と2に記載されたような酸化反応では、不溶性の固体触媒や溶解性の分子触媒存在下、分子状酸素を酸化剤として用いる。通常、加温加圧が必要であるといった過酷な条件が要求されるという問題があった。
非特許文献1に記載されたような電解反応では、電気エネルギーにより活性化を行うため、一般的に常温常圧で反応を行うことが可能である。また、印加する電気エネルギーを制御することにより、選択的に目的生成物を得ることができる。しかしながら、陽極として汎用される金属電極或いは炭素電極を用いた場合、高い電圧が必要であるため、膨大な電気エネルギーを要するという問題があった。
非特許文献2に記載されたような光触媒反応では、電解反応を利用せずに光触媒を用いる。光エネルギーにより活性化を行うため、一般的に常温常圧で反応を行うことが可能である。しかしながら、シクロアルケノンの生成速度が非常に遅く、実用性に乏しいという問題があった。
特許文献4に記載されたような光電解反応では、半導体光電極を用いて光照射下で反応を行うことにより、単純な電気化学反応と比べてわずかな電気エネルギーで目的生成物を得ることができる。しかしながら、半導体光電極を用いて有機化合物を直接に酸化して目的生成物を得る場合、一般的な半導体光電極は強い酸化力を持つため、反応の選択性が低いという問題があった。

0011

本発明の目的は、前記事情に鑑みてなされたものであり、シクロアルケンの光電解反応を用いて高い選択性で効率よくシクロアルケノンを製造する方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、鋭意検討の結果、シクロアルケンとイミド化合物と支持電解質を含有した電解液中において、光応答性半導体金属酸化物電極を陽極とし、光照射下で電解反応を行うことで、温和な条件下かつ特別な酸化剤を用いることなく高い選択性でシクロアルケンからシクロアルケノンを製造できることを見出した。

0013

即ち、本発明では、シクロアルケンとイミド化合物と支持電解質を含む電解液中において、シクロアルケンをイミド化合物の酸化を介して間接的に電解酸化する。本発明者らは、前記酸化方法では、シクロアルケノンが選択的に製造できることを見出した。また、光応答性半導体金属酸化物電極を用いて光照射下で同手法を行うことで、反応に必要とされる印加電圧を大幅に低減できることを見出した。

0014

本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものであり、具体的には以下のことを特徴としている。
〔1〕シクロアルケンとイミド化合物と支持電解質とを含有した電解液中、分子状酸素存在下において、光応答性半導体金属酸化物アノード電極を用いて、光照射下で、シクロアルケンを電解酸化する工程を含む、シクロアルケノンの製造方法。
〔2〕 前記光応答性半導体金属酸化物アノード電極は、
導電性基材と、
前記導電性基材の表面に配置されている、WO3、BiVO4、Fe2O3、TiO2から選択される1種又は2種以上の光応答性n型半導体
を有することを特徴とする〔1〕に記載のシクロアルケノンの製造方法。
〔3〕 前記導電性基材が、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)から選択される1種又は2種以上の導電性ガラス基材である〔2〕に記載のシクロアルケノンの製造方法。
〔4〕 前記イミド化合物が、次の一般式(1)で表されるN−ヒドロキシフタルイミド誘導体である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のシクロアルケノンの製造方法。



(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して、水素原子ヒドロキシ基ヒドロキシメチル基カルボキシ基ニトロ基シアノ基フルオロ基クロロ基ブロモ基、及びヨード基からなる群から選択される1種を示す。)
〔5〕 前記シクロアルケンが、次の一般式(2)



で表されるシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテンであり、前記シクロアルケノンが、次の一般式(3)



で表される2−シクロペンテン−1−オン、2−シクロヘキセン−1−オン、2−シクロヘプテン−1−オンである〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のシクロアルケノンの製造方法。

発明の効果

0015

本発明によれば、医農薬品などの合成中間体などとして用いられる有用な上記一般式(3)で表される2−シクロヘキセン−1−オン等のシクロアルケノンを高い選択性で効率よく製造できる。

図面の簡単な説明

0016

本発明の実施形態に係わる光電解酸化装置を模式的に示した図である。
本発明の実施形態に係わる光電解酸化装置を模式的に示した図である。
本発明の実施形態に係わる電解酸化反応を模式的に示した図である。

0017

以下、本発明の実施形態にかかるシクロアルケノンの製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限られない。

0018

(シクロアルケノンの製造方法)
図1は、本発明のシクロアルケノンの製造方法の一実施形態(以後、本実施形態ということがある)に係わる光電解酸化装置1を模式的に示した図である。本発明の実施形態のシクロアルケノンの製造は、光応答性半導体金属酸化物アノード電極12とカソード電極14を備え、分子状酸素存在下において、シクロアルケン、イミド化合物及び支持電解質を溶解した電解液16を収容した電解槽18において光照射下で行う。光応答性半導体金属酸化物アノード電極12とカソード電極14は直流電源15を介して電気的に接続し、光電解酸化反応を行う。定電位にて電解酸化反応を行う場合、光応答性半導体金属酸化物アノード電極12とカソード電極14に加え参照電極を用いることも可能である。電解槽18は図1のような一室型でも、図2のような隔膜29を有する二室型のもの(電解槽28)でも良い。

0019

[電解液]
本実施形態に係る電解液は、シクロアルケンとイミド化合物と支持電解質と電解液の溶媒を含有する。その電解液は、さらに分子状酸素を含む。

0020

<シクロアルケン>
本発明の実施形態で原料として使用するシクロアルケンは、好ましく3〜12員環のものであり、より好ましく3〜10員環のものであり、さらに好ましく5〜7員環のものである。例えば、シクロプロペンシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネンシクロデセン、シクロウンデセン、シクロドデセンなどが挙げられる。その中に、次の一般式(2)

0021

0022

で表されるシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテンであることが好ましい。その中に、その中、特にシクロヘキセンが好ましい。

0023

前記シクロアルケンは、反応を阻害しない範囲で置換基を有していてもよい。このような置換基として、例えば、メチル基エチル基イソプロピル基等のアルキル基ハロゲン原子オキソ基などが挙げられる。

0024

<シクロアルケノン>
本発明の実施形態での生成物であるシクロアルケノンは、好ましく3〜12員環のものであり、より好ましく3〜10員環のものであり、さらに好ましく5〜7員環のものである。例えば、2−シクロプロペン−1−オン、2−シクロブテン−1−オン、2−シクロペンテン−1−オン、2−シクロヘキセン−1−オン、2−シクロヘプテン−1−オン、2−シクロオクテン−1−オン、2−シクロノネン−1−オン、2−シクロデセン−1−オン、2−シクロドデセン−1−オンなどが挙げられる。前記シクロアルケノンが、次の一般式(3)

0025

0026

で表される2−シクロペンテン−1−オン、2−シクロヘキセン−1−オン、2−シクロヘプテン−1−オンである。その中、特に2−シクロヘキセン−1−オンが好ましい。

0027

前記シクロアルケノンは、置換基を有していてもよい。このような置換基として、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基;ハロゲン原子;オキソ基などが挙げられる。

0028

本発明の実施形態では、シクロアルケンとしてシクロヘキセンを用い、2−シクロヘキセン−1−オンを製造することが好ましい。

0029

<イミド化合物>
本実施形態に用いるイミド化合物は、次の一般式(1)で表されるN−ヒドロキシフタルイミド誘導体であることが好ましい。

0030

0031

式(1)中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、及びヨード基からなる群から選択される1種を示す。

0032

式(1)中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して、水素原子、ニトロ基からなる群から選択される1種を示すことがより好ましい。その中、例えば、下記式(4)に示すN−ヒドロキシフタルイミド(NHPIと略記)、或いは、下記式(5)に示すN−ヒドロキシ−4−ニトロフタルイミド(NHNPIと略記)を用いることができる。

0033

0034

0035

分子状の酸素>
本実施形態の酸化反応に利用される分子状酸素は、分子状酸素を含む酸素ガス或いは分子状酸素を含む混合ガスを用いて電解液中に導入することができる。電解液中の分子状酸素源は特に限定されないが、例えば、大気などの雰囲気中の酸素が電解液中に溶解する程度の濃度で十分である。また、生産性などの観点から、電解液中の酸素濃度を維持するため、電解液中に酸素含有ガスを吹き込むことが好ましい。

0036

<支持電解質>
本実施形態に用いる支持電解質は、電解液中に溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、LiPF6,LiBF4、LiClO4などのリチウム塩を含むものが挙げられる。このうちLiClO4が好ましい。この支持塩は、電解液中の濃度が0.05mol/L以上であることが好ましく、0.1mol/L以上であることがより好ましい。

0037

<電解液の溶媒>
本実施形態に用いる電解液の溶媒は、水を含む水系溶媒でも、水を含まない非水系溶媒でもよい。上記一般式(1)で表されるシクロヘキセン等のシクロアルケンとイミド化合物及び支持電解質を溶解するものであれば特に限定されない。例えば、支持電解質がLiClO4などのリチウム塩の場合、アセトニトリルプロピオニトリルなどのニトリル系溶媒エチレンカーボネートプロピレンカーボネートブチレンカーボネートなどの環状カーボネートイオン液体ゲル電解質などを用いてもよい。その中、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒が好ましく、アセトニトリルがより好ましい。
また、水を含む水系溶媒の場合、例えば、水とアセトニトリルとを含む混合溶媒を用いることができる。その混合溶媒における水の体積比(混合前の体積)は、0%以上80%以下であることが好ましく、0質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。

0038

[光応答性半導体金属酸化物アノード電極]
図1に示す本実施形態に用いる光応答性半導体金属酸化物アノード電極12は、導電性基材とその導電性基材上に形成されている光応答性半導体金属酸化物を備えている(図示なし)。
本実施形態に使用する導電性基材としては、フッ素ドープ酸化スズFTO、スズドープ酸化インジウムITOなどの導電性ガラス基材;或いは金属基材などが挙げられる。電極の安定性の観点、或いは効率よく本実施形態のシクロアルケノン、例えば、上記一般式(2)で表される2−シクロヘキセン−1−オンを製造するための観点から、フッ素ドープ酸化スズFTO、スズドープ酸化インジウムITOなどの導電性ガラス基材を使用することが好ましい。導電性基材の形状は限定されないが、板状のものを好適に使用することができる。

0039

本実施形態にかかる光応答性半導体金属酸化物としては、具体的には、Bi、V、W、Ti及びFeからなる群から選択される1種以上の元素を含むものが好ましい。可視光応答性を示し安定に使用できる観点から、WO3、BiVO4を用いることがより好ましい。BiVO4を用いることがさらに好ましい。
上記の金属酸化物を1層でも、2層以上の積層でもよい。光応答性などの観点から、積層した積層型光応答性半導体金属酸化物が好ましい。すなわち、多層構造を有する光応答性半導体金属酸化物アノード電極が好ましい。例えば、後述の実施例で作成したように、WO3とBiVO4が積層した多層構造を有するアノード電極が挙げられる。

0040

本実施形態にかかる導電性基材に備えた上記光応答性半導体金属酸化物は、熱分解法混合粉末焼結法電着法あるいはスパッタリングなどのような気相成膜法などの各種の方法により製造可能である。その中でも、製造方法が簡便な観点から、熱分解法で作製することが好ましい。例えば、薄膜形状基材担持する場合の塗布熱分解法については詳細を後述の実施例において説明する。この熱分解法では元素を含む溶液(場合によってはコロイド溶液や懸濁液など)をよく混合して原料液を調製し、それを焼成することで担持物を作製する。熱分解法には、溶液で混合するので均一な組成物を作製できる利点がある。特に、熱分解法の一種である塗布熱分解法では、薄膜を形成する場合に、塗布と焼成を繰り返して積層することで精密なものが作製できるなどの利点もある。本実施形態に用いる熱分解法は、元素を含む溶液を混合して焼成する方法ならばよく、ゾルゲル法錯体重合法有機金属分解法なども挙げることができる。溶液粘度や薄膜の多孔性を制御するためにポリエチレングリコールエチルセルロースなどポリマー有機物を溶液に添加しても良い。

0041

[カソード電極]
図1に示す本実施形態に係る光電解装置1は、さらにカソード電極14を含む。カソード電極14の材料としては、限定されず、例えば、白金、金、銀、パラジウムカーボンなどが挙げられる。効率よく製造するための観点から、白金を用いることが好ましい。

0042

[光照射下で電解酸化反応]
図1に示す本実施形態に係る光電解装置1は、少なくとも光応答性半導体金属酸化物アノード電極12に光を照射できるように設けられている。例えば、電解槽18の一部は、光を透過できるガラスなど透明材料で構成されることができる。使用する光は実用的な観点から、可視光であることが好ましく、自然の太陽光であることがより好ましい。後述の実施例では、ソーラーシュミレーターを用いて疑似太陽光を用いた。

0043

図3において、本実施形態の製造方法の具体例を用いて、本発明の光照射下での電解酸化反応を説明する模試図である。光電解装置(図示なし)の電解槽(図示なし)の中に、光応答性半導体金属酸化物アノード電極として金属酸化物電極32上では、イミド化合物として上記一般式(1)で表されるN−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)が電解酸化され酸化活性種であるフタルイミドN−オキシルラジカル(PINOと略記)を生成する。この酸化活性種と上記一般式(2)で表されるシクロヘキセン及び分子状酸素が反応することで、上記一般式(3)で表される2−シクロヘキセン−1−オンを生成する。
光電解酸化反応は、適宜の温度と圧力下で行うことが可能である。好ましくは、−5〜100℃、より好ましくは、常温常圧下で行うことが経済性の点で望ましい。

0044

本実施形態の反応効率は、電流効率により評価することができる。電流効率は、流した電流が所望の反応に使われた割合、すなわち、実際に得られた所望の生成物量を、通電量から算出される理論値で除したものである。

0045

なお、後述の比較例2のように、イミド化合物非存在下で電解を行った場合には電流効率が大きく低下したことから、本発明は、図3に示されたような、イミド化合物の酸化を介したシクロヘキセンの電解酸化反応に基づくものであることが明らかである。
また、後述の比較例4のように、窒素雰囲気等の非酸素雰囲気中で電解を行った場合には、分子状酸素を実質的に含まないため、2−シクロヘキセン−1−オンをほとんど生成しなかった。このことから、本実施形態は、図3に示されたような、イミド化合物の電解酸化を介したシクロヘキセンの酸化による酸化中間体の生成、及び、この酸化中間体の分子状酸素との反応に基づくものであることが明らかである。

0046

以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。

0047

(実施例1)
アルゴン置換したグローブバッグ中で0.50mol/L、及び0.25mol/Lの六塩化タングステン高純度化学研究所製)のジメチルホルムアミド溶液を調製した。導電性基板FTO膜(日本板硝子製)の表面に0.50mol/Lの六塩化タングステン溶液200μLを2000rpmでスピンコートした後500℃にて空気焼成し、0.25mol/Lの六塩化タングステン溶液200μLを2000rpmで再度スピンコートした後500℃にて空気焼成し、WO3膜を作製した。そして、ビスマス前駆体塗布液(高純度化学研究所製、EMOD塗布型材料)、バナジウム前駆体塗布液(高純度化学研究所製、EMOD塗布型材料)、及び増粘剤としてエチルセルロースを溶解した酢酸ブチルからなる溶液(濃度各0.04mol/L)400μLを、WO3膜の表面に500rpmでスピンコートした。これを550℃にて空気焼成し、WO3とBiVO4が積層した可視光応答性光アノード電極を作製した。

0048

支持電解質として0.1mol/LのLiClO4(和光純薬製)、電解液の有機溶媒としてアセトニトリルを30mL、本発明のイミド化合物として、下記式(4)

0049

0050

で表されるN−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)(東京化成工業製)を0.01mol/L、反応基質として、下記式(6)

0051

0052

で表されるシクロヘキセン(東京化成工業製)を0.01mol/L混合し、電解液を調製した。図2に示す二室型電解槽28のアノード22に上記作成した可視光応答性光アノード電極を、カソード24に白金からなるカソード電極をそれぞれ設置し、直流電源(BAS製)のポテンシオ/ガルバノスタットを介してこれらの電極を電気的に接続した。二室型電解槽28に調製した電解液を注入し、0℃の水浴下、酸素ガスを10mL/minで1時間以上吹き込み電解液及び容器内を酸素置換した後、ソーラーシシミュレーター(三栄電機製作所製)を用いて疑似太陽光(AM1.5)を照射して0.4mAの一定電流で5Cの電気量を流した(反応時間約3.5時間)。
光照射下では、光非照射下と比較して必要な印加電圧が約2.7V低減された(光照射下:1.0V;光非照射下:3.7V)。

0053

電解酸化反応後、電解液200μLを採取し、アセトニトリル800μLを加えて希釈した後、高速液体クロマトグラフ島津製作所製、Luna Omega PS C18カラム流速0.5mL/min、溶離液水90vol%アセトニトリル10vol%)により分析した。下記式(7)

0054

0055

で表される2−シクロヘキセン−1−オンが99%以上の電流効率で得られたことを確認した。結果を表1に示す。

0056

(比較例1)
イミド化合物として2、2、6、6−テトラメチルピペリジン1−オキシルTEMPOと略記)(東京化成工業製)を用いた以外は、実施例1と同様に電解酸化反応を行った。反応後の電解液を実施例1と同様に分析した。2−シクロヘキセン−1−オンは19%の電流効率で得られた。結果を表1に示す。

0057

(比較例2)
イミド化合物を用いなかった以外は、実施例1と同様に電解酸化反応を行った。反応後の電解液を実施例1と同様に分析した。電解液2−シクロヘキセン−1−オンは19%の電流効率で得られた。結果を表1に示す。

0058

(比較例3)
電流を印加しなかった以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応後の電解液を実施例1と同様に分析した。2−シクロヘキセン−1−オンは得られなかった。結果を表1に示す。

0059

(実施例2)
電解槽の雰囲気を大気下とした以外は、実施例1と同様に電解酸化反応を行った。反応後の電解液を実施例1と同様に分析した。2−シクロヘキセン−1−オンは79%の電流効率で得られた。結果を表1に示す。

0060

(比較例4)
電解槽の雰囲気を窒素雰囲気とした以外は、上記実施例1と同様に電解酸化反応を行った。反応後の電解液を実施例1と同様に分析した。2−シクロヘキセン−1−オンの生成量はごく僅かであった。結果を表1に示す。

0061

(実施例3)
イミド化合物として下記式(7)

0062

0063

で表されるN−ヒドロキシ−4−ニトロフタルイミド(NHNPI)(東京化成工業製)を用いた以外は、実施例1と同様に電解酸化反応を行った。反応後の電解液を実施例1と同様に分析した。2−シクロヘキセン−1−オンは78%の電流効率で得られた。結果を表1に示す。

0064

(実施例4)
シクロアルケンとしてシクロペンテン(東京化成工業製)を用いた以外は、実施例1と同様に電解酸化反応を行った。反応後の電解液を実施例1と同様に分析した。下記式(8)

0065

0066

で表される2−シクロペンテン−1−オンが49%の電流効率で得られたことを確認した。結果を表2に示す。

0067

(比較例5)
イミド化合物を用いなかった以外は、実施例4と同様に電解酸化反応を行った。反応後の電解液を実施例1と同様に分析した。2−シクロヘキセン−1−オンは5%の電流効率で得られた。結果を表2に示す。

0068

(実施例5)
シクロアルケンとしてシクロヘプテン(東京化成工業製)を用いた以外は、実施例1と同様に電解酸化反応を行った。反応後の電解液を実施例1と同様に分析した。下記式(9)

0069

0070

で表される2−シクロヘプテン−1−オンが22%の電流効率で得られた。結果を表2に示す。

0071

(比較例6)
イミド化合物を用いなかった以外は、実施例5と同様に電解酸化反応を行った。反応後の電解液を実施例1と同様に分析した。2−シクロヘキセン−1−オンは3%の電流効率で得られた。結果を表2に示す。

0072

(実施例6)
0.50mol/Lのタングステン酸ナトリウム(和光純薬製)溶液を、強酸性イオン交換樹脂ダウケミカル製、Dowex50 WX2)を充填したカラムに通し、タングステン酸水溶液を調製した。調製したタングステン酸水溶液、増粘剤であるポリエチレングリコール(和光純薬製)からなる溶液をエバポレーターで水を留去し、導電性基板のFTO膜の表面にスピンコートした後、550℃で空気焼成し、WO3可視光応答性光アノード電極を作製した。
得られたWO3可視光応答性光アノード電極を用いた以外は、実施例1と同様に電解酸化反応を行った。反応後の電解液を実施例1と同様に分析した。2−シクロヘキセン−1−オンは24%の電流効率で得られた。結果を表2に示す。

0073

(比較例7)
イミド化合物を用いなかった以外は、実施例6と同様に電解酸化反応を行った。反応後の電解液を実施例1と同様に分析した。2−シクロヘキセン−1−オンは15%の電流効率で得られた。結果を表2に示す。

0074

本発明は、副反応を抑制し、高い選択性で、2−シクロヘキセン−1−オン等のシクロアルケノンを効率よく製造することができるので、医農薬品などの各種化製品を合成する際の中間原料の供給手段などとして有効に活用することが期待できる。

0075

実施例

0076

0077

1、2:光電解酸化装置
12、22、32:光応答性半導体金属酸化物アノード電極(金属酸化物アノード電極)
14、24:カソード電極
15、25:電源
16、26:電解液
18、28:電解槽
29:隔膜

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