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技術 太陽電池パネルの分解装置及び太陽電池パネルの分解方法

出願人 株式会社綿谷製作所有限会社新工長野県
発明者 綿谷知紀米久保荘古畑肇太田辰巳
出願日 2019年3月8日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2019-042247
公開日 2020年9月10日 (5ヶ月経過) 公開番号 2020-142218
状態 未査定
技術分野 固体廃棄物の処理
主要キーワード ハニカム構造部材 電気伝導領域 空気吸引量 熱回収機構 加熱分解温度 酸化金属触媒 熱処理ガラス 先端部温度
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

簡単な構造で小型化が可能であり、太陽電池パネルを分解し、かつ分解ガス環境負荷が小さい排ガスとして排出することが可能な太陽電池パネルの分解装置を提供すること。

解決手段

太陽電池パネルの分解装置20は、太陽電池パネル1を加熱分解する加熱室21、加熱室21に外部から空気を取り入れる供給口22及び加熱室21の分解ガスを排出する排出口23を有する加熱炉24と、排出口23に接続されて加熱室21の太陽電池パネル1を加熱分解したときに発生する分解ガスを吸引し外部に排出する排気筒25と、排気筒25の先端部に配置される吸引装置26とを有する。排気筒26の内部には、複数の通気孔35が設けられた触媒ブロック27が積層配置されている。

概要

背景

近年、環境負荷が小さい発電ステムとして太陽光発電システムが急速に普及しつつある。しかしながら、太陽光発電システムの主要素である太陽電池パネル耐用年数が20年程度と言われている。太陽電池パネルは、風雨に曝されることから封止部などから劣化することがある。さらには、製造工程で不良品となる太陽電池パネルも少なからずある。そこで、今後大量に発生することが予測される使用できくなった太陽電池パネルや製造工程で発生する不良品などの太陽電池パネルのリサイクル技術確立要望されている。太陽電池パネルのリサイクルとしては、まず、太陽電池パネルの構成要素を再利用可能な材料に分解し有価物として回収することである。

太陽電池パネルは、ガラス板太陽電池セル、太陽電池セルと太陽電池セルの間を電気的に接続するインターコネクタ充填材封止材ということがある)及びバックシートから構成されている。充填材及びバックシートは有機素材で構成されていることから、この有機素材を分解して取り除けば、ガラス板、太陽電池セル及び金属製のインターコネクタを有価物として回収することが可能となる。太陽電池パネルの分解装置及び分解方法としては、以下の特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示されている。

特許文献1に記載の太陽電池パネルの分解方法は、被分解対象物である太陽電池パネルを予備加熱し、予備加熱された太陽電池パネルを熱処理部において充填材を分解気化し、熱処理部で発生した分解ガス排気機構によって無害化して排出するというものである。このような太陽電池パネルの分解方法は、加熱ガス連続式熱処理炉送り込み炉内の酸素濃度を1.0体積%以上3.0体積%以下に保持したうえで、予備加熱部において太陽電池パネルを300℃〜400℃に加熱し、続いて熱処理部で400℃〜550℃で加熱して充填材を分解するというものである。

特許文献2に記載の太陽電池パネルの分解方法は、太陽電池パネルを過熱水蒸気によって100℃〜200℃に予備加熱し、さらに予備加熱温度よりも高い温度(420℃〜450℃)で本加熱して有機素材を分解するというものである。

特許文献3に記載の太陽電池パネルの分解方法は、太陽電池パネルのバックシートに酸化物半導体触媒)を接触させ、酸素存在下において酸化物半導体が真正電気伝導領域となる温度で太陽電池パネルを加熱してラジカル反応及びラジカル伝播によって有機素材を分解するというものである。真正電気伝導領域となる温度は500℃である。

概要

簡単な構造で小型化が可能であり、太陽電池パネルを分解し、かつ分解ガスを環境負荷が小さい排ガスとして排出することが可能な太陽電池パネルの分解装置を提供すること。太陽電池パネルの分解装置20は、太陽電池パネル1を加熱分解する加熱室21、加熱室21に外部から空気を取り入れる供給口22及び加熱室21の分解ガスを排出する排出口23を有する加熱炉24と、排出口23に接続されて加熱室21の太陽電池パネル1を加熱分解したときに発生する分解ガスを吸引し外部に排出する排気筒25と、排気筒25の先端部に配置される吸引装置26とを有する。排気筒26の内部には、複数の通気孔35が設けられた触媒ブロック27が積層配置されている。

目的

太陽電池パネルのリサイクルとしては、まず、太陽電池パネルの構成要素を再利用可能な材料に分解し有価物として回収することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ガラス板、複数の太陽電池セル、前記複数の太陽電池セル間電気的に接続するインターコネクタ充填材及びバックシートから構成される太陽電池パネル分解装置であって、前記太陽電池パネルを加熱分解する加熱室、前記加熱室に外部から空気を供給する供給口及び前記太陽電池パネルを加熱分解したときに発生する分解ガスを外部に排出する排出口を有する加熱炉と、前記排出口に接続されて前記分解ガスを外部に排出する排気筒と前記排気筒の先端部に配置される吸引装置と、を有し、前記排気筒の内部には、複数の通気孔が設けられた触媒ブロック積層配置されている、ことを特徴とする太陽電池パネルの分解装置。

請求項2

請求項1に記載の太陽電池の分解装置において、前記加熱室及び前記排気筒の内部には温度センサが配置されており、前記温度センサの測定値に基づき前記供給口から供給される空気量、前記加熱室及び前記排気筒の温度を制御する制御部をさらに有している、ことを特徴とする太陽電池パネルの分解装置。

請求項3

請求項1又は請求項2に記載の太陽電池パネルの分解装置において、前記排気筒の外周には、前記排気筒内の温度を制御する温度調整器がさらに配置されている、ことを特徴とする太陽電池パネルの分解装置。

請求項4

請求項1に記載の太陽電池パネルの分解装置において、前記触媒ブロックは、前記分解ガスが通る複数の通気孔を有する担体と、前記担体の表面に担持された触媒とから構成されている、ことを特徴とする太陽電池パネルの分解装置。

請求項5

請求項1に記載の太陽電池パネルの分解装置において、前記太陽電池パネルとの間に空間を形成して前記太陽電池パネルを支持する支持部材をさらに有し、前記支持部材部材は、分解後の前記太陽電池セル及び前記インターコネクタを収容する収容器内に配置される、ことを特徴とする太陽電池パネルの分解装置。

請求項6

請求項1から請求項5に記載の太陽電池パネルの分解装置を使用して前記太陽電池パネルを分解する太陽電池パネルの分解方法であって、前記供給口から前記加熱室に空気を供給し、前記加熱室を前記太陽電池パネルが分解可能な温度に加熱する工程と、前記吸引装置を駆動する工程と、前記加熱室の温度が安定したと判定したところで太陽電池パネルを加熱室に投入する工程と、前記太陽電池パネルの分解に要する所定時間を経過した後、分解された前記太陽電池パネルの構成素材回収する工程と、を含む、ことを特徴とする太陽電池パネルの分解方法。

技術分野

0001

本発明は、太陽電池パネル分解装置及び太陽電池パネルの分解方法に関する。

背景技術

0002

近年、環境負荷が小さい発電ステムとして太陽光発電システムが急速に普及しつつある。しかしながら、太陽光発電システムの主要素である太陽電池パネルは耐用年数が20年程度と言われている。太陽電池パネルは、風雨に曝されることから封止部などから劣化することがある。さらには、製造工程で不良品となる太陽電池パネルも少なからずある。そこで、今後大量に発生することが予測される使用できくなった太陽電池パネルや製造工程で発生する不良品などの太陽電池パネルのリサイクル技術確立要望されている。太陽電池パネルのリサイクルとしては、まず、太陽電池パネルの構成要素を再利用可能な材料に分解し有価物として回収することである。

0003

太陽電池パネルは、ガラス板太陽電池セル、太陽電池セルと太陽電池セルの間を電気的に接続するインターコネクタ充填材封止材ということがある)及びバックシートから構成されている。充填材及びバックシートは有機素材で構成されていることから、この有機素材を分解して取り除けば、ガラス板、太陽電池セル及び金属製のインターコネクタを有価物として回収することが可能となる。太陽電池パネルの分解装置及び分解方法としては、以下の特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示されている。

0004

特許文献1に記載の太陽電池パネルの分解方法は、被分解対象物である太陽電池パネルを予備加熱し、予備加熱された太陽電池パネルを熱処理部において充填材を分解気化し、熱処理部で発生した分解ガス排気機構によって無害化して排出するというものである。このような太陽電池パネルの分解方法は、加熱ガス連続式熱処理炉送り込み炉内の酸素濃度を1.0体積%以上3.0体積%以下に保持したうえで、予備加熱部において太陽電池パネルを300℃〜400℃に加熱し、続いて熱処理部で400℃〜550℃で加熱して充填材を分解するというものである。

0005

特許文献2に記載の太陽電池パネルの分解方法は、太陽電池パネルを過熱水蒸気によって100℃〜200℃に予備加熱し、さらに予備加熱温度よりも高い温度(420℃〜450℃)で本加熱して有機素材を分解するというものである。

0006

特許文献3に記載の太陽電池パネルの分解方法は、太陽電池パネルのバックシートに酸化物半導体触媒)を接触させ、酸素存在下において酸化物半導体が真正電気伝導領域となる温度で太陽電池パネルを加熱してラジカル反応及びラジカル伝播によって有機素材を分解するというものである。真正電気伝導領域となる温度は500℃である。

先行技術

0007

特開2014−108375号公報
特開2014−24037号公報
特開2016−190177号公報

発明が解決しようとする課題

0008

前述した各特許文献に記載の太陽電池パネルの分解方法は、いずれも加熱温度や加熱手段に差があるものの、太陽電池パネルを400℃〜550℃で加熱分解するというものである。

0009

しかしながら、特許文献1に記載の太陽電池パネルの分解方法は、構成素材の一つである充填材としてのEVA樹脂エチレンビニルアセテートエチレン酢酸ビニル共重合樹脂)のみを加熱分解するものであって、バックシート(PET:ポリエチレンテレフタレート)は予め除去しておかなければならない。EVA樹脂の加熱分解に際しては、炉内の酸素濃度を1.0体積%以上3.0体積%以下に管理しなければ爆発する危険性があり、予備加熱前に不活性ガス窒素)を充填した後に加熱ガスを送り込み、酸素濃度を管理するというように加熱分解において炉内を繊細かつ複雑に管理しなければならないという課題がある。

0010

また、特許文献2に記載の太陽電池パネルの分解方法は、太陽電池パネルの加熱媒体として過熱水蒸気を使用しているため、大型の過熱水蒸気発生装置が必要になる他、この加熱水蒸気を含めた分解ガスを処理するための排ガス処理装置が必要となる。この排ガス処理装置は、過熱水蒸気を含めて大量に発生する排ガスをさらに加熱したうえで冷却するというものであるから装置全体が大型化する。すなわち、過熱水蒸気発生装置、加熱装置及び排ガス処理装置を含めた全体システムが大型化してしまうという課題がある。

0011

また、特許文献3に記載の太陽電池パネルの分解方法は、バックシートに酸化物半導体を接触させてラジカル反応によって加熱分解するというものである。バックシートと酸化物半導体とを接触する方法としては、バックシート面に酸化物半導体を担持したハニカム構造体を接触させる方法、バックシート面に酸化物半導体を塗布する方法などが開示されている。ハニカム構造体を接触させる方法においては、太陽電池パネルが大判化した場合には、広い面積に接触させることは困難となり分解時間が長くなるという虞がある。また、酸化物半導体を塗布する方法においては、太陽電池パネルを分解した後に酸化物半導体を分別回収しなければならないという煩わしさがある。

0012

そこで、本発明は、このような課題の少なくとも一つを解決するためになされたもので、簡単な構造で小型化が可能であり、太陽電池パネルを加熱分解して有価物を回収し、加熱分解によって発生した分解ガスを環境負荷が小さい排ガスとして排出することが可能な太陽電池パネルの分解装置及び太陽電池パネルの分解方法を提供しようとするものである。

0013

[1]本発明の太陽電池パネルの分解装置は、ガラス板と、複数の太陽電池セル、前記複数の太陽電池セル間を電気的に接続するインターコネクタ、充填材及びバックシートから構成される太陽電池パネルの分解装置であって、前記太陽電池パネルを加熱分解する加熱室、前記加熱室に外部から空気を供給する供給口及び前記太陽電池パネルを加熱分解したときに発生する分解ガスを排出する排出口を有する加熱炉と、前記排出口に接続されて前記分解ガスを外部に排出する排気筒と前記排気筒の先端部に配置される吸引装置とを有している。前記排気筒の内部には、複数の通気孔が設けられた触媒ブロック積層配置されていることを特徴とする。

0014

本発明の太陽電池パネルの分解装置は、外部から空気が供給された加熱室に太陽電池パネルを入れて所定温度(例えば、450℃〜500℃)で加熱することによって有機素材である充填材及びバックシートを分解してガス化する。このことによって、ガラス板、太陽電池セル及びインターコネクタなどの有価物である無機素材をばらばらにして回収することが可能となる。有機素材を加熱することによって発生する分解ガスは積層配置される触媒ブロックの触媒反応によって環境負荷が小さい排ガスとして排出することが可能となる。加熱室には供給口から空気が供給されると共に、常時、吸引装置によって分解ガスと空気との混合気体吸引して外部に排出する構成であるから、特許文献1のように、加熱室の酸素濃度を管理しなくてもよい、また、特許文献2のように、加熱手段として過熱水蒸気を使用することによる大型の過熱水蒸気発生装置や大規模の排ガス処理装置を必要としない。また、特許文献3のように、酸化物半導体を使用しなくても太陽電池パネルを加熱分解することが可能となる。以上のことから、太陽電池パネルの分解装置によれば、簡単な構造で小型化が可能であり、太陽電池パネルの構成要素である有機素材を加熱分解して有価物を回収し、かつ、発生した分解ガスを環境負荷が小さい排ガスとして排出することが可能となる。

0015

[2]本発明の太陽電池パネルの分解装置においては、前記加熱室及び前記排気筒の内部には温度センサが配置されており、前記温度センサの測定値に基づき前記供給口から供給される空気量、前記加熱室及び前記排気筒の温度を制御する制御部をさらに有していることが好ましい。

0016

太陽電池パネルを加熱分解する際には、加熱室の温度管理(すなわち、太陽電池パネルの温度管理)が重要であり、分解ガスの処理には排気筒内(すなわち、触媒ブロック)の温度管理が重要である。供給される空気量と加熱温度とを適切に制御して太陽電池パネルを分解可能な温度に維持することが可能となる。一方、排気筒を触媒反応が効率的に行われる温度に制御し、分解ガスを環境に負担が少ない排ガスとして排出する温度に制御することが可能となる。なお、供給口から加熱室に供給する空気は圧縮空気が望ましい。加熱室及び排気筒は、場所によって温度差がでることから、それぞれ複数個所に温度センサを配置することがより好ましい。

0017

[3]本発明の太陽電池パネルの分解装置においては、前記排気筒の外周には、前記排気筒内の温度を制御する温度調整器がさらに配置されていることが好ましい。

0018

排気筒内の温度は、一義的には加熱室から排出される混合気体の温度で決まるが、排気筒内を通る間に温度が変化する。触媒反応は、分解ガスの温度によって左右される。そこで排気筒に温度調整器を備えることによって排気筒内の温度、すなわち分解ガスの温度を適切に保持することが可能となる。温度調整器としては、排気筒内の温度が下がり過ぎの際に加温するヒータ、温度が上がり過ぎの際に冷却する冷却管のどちら一方又は両方を備えることが好ましい。

0019

[4]本発明の太陽電池パネルの分解装置においては、前記触媒ブロックは、前記分解ガスが通る複数の通気孔を有する担体と、前記担体の表面に担持された触媒とから構成されていることが好ましい。

0020

触媒としては、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などの貴金属触媒、或いは酸化クロム酸化鉄又は酸化チタンなどの酸化金属触媒がある。前述したように、触媒ブロックを排気筒内に複数層配置することによって、分解ガスが触媒に接触する機会と時間を増やし、分解ガスを環境負荷が小さい排ガスとして排出することが可能となる。
[5]本発明の太陽電池パネルの分解装置においては、前記太陽電池パネルとの間に空間を形成して前記太陽電池パネルを支持する支持部材をさらに有し、前記支持部材は、分解後の前記太陽電池セル及び前記インターコネクタを収容する収容器内に配置されることが好ましい。

0021

このような支持部材で太陽電池パネルを支持すれば、加熱された混合気体を太陽電池パネルの周囲全体を覆うことが可能となる。このことによって、太陽電池パネル全体の温度分布を加熱分解可能な温度に保つことで分解時間を短縮することが可能となる。さらに、収容器を備えれば、分解後の太陽電池セル及びインターコネクタなどを容易に回収することが可能となる。

0022

[6]本発明の太陽電池パネルの分解方法は、上記記載の太陽電池パネルの分解装置を使用して前記太陽電池パネルを分解する太陽電池パネルの分解方法であって、前記供給口から前記加熱室に空気を供給し、前記加熱室を前記太陽電池パネルが分解可能な温度に加熱する工程と、前記吸引装置を駆動する工程と、前記加熱室の温度が安定したと判定したところで太陽電池パネルを前記加熱室に投入する工程と、前記太陽電池パネルの分解に要する所定時間が経過した後、分解された前記太陽電池パネルの有価物を回収する工程と、を含むことを特徴とする。

0023

本発明の太陽電池パネルの分解方法によれば、空気が供給された加熱室に太陽電池パネルを入れて加熱することによって有機素材であるの充填材とバックシートとを加熱分解してガス化することが可能であり、分解後のガラス板、太陽電池セル及びインターコネクタなどの有価物である無機素材を回収することが可能となる。また、吸引装置によって常時空気と分解ガスとの混合気を吸引し排出することから、供給と排気バランスを保つことによって、分解ガスに含まれる可燃性ガスを下限濃度以下に抑えて着火することを防ぐことが可能となる。さらに、分解ガスは、加熱室から連結されている排気筒内で触媒ブロックの触媒反応によって分解ガスを環境負荷が小さい排ガスとして排出することが可能となる。以上説明したような太陽電池パネルの分解方法によれば、太陽電池パネルを加熱分解して有価物を回収し、加熱分解によって発生した分解ガスを環境負荷が小さい排ガスとして排出することが可能となる。

図面の簡単な説明

0024

太陽電池パネル1の構成の1例を示す部分断面図である。
太陽電池パネルの分解装置20の概略構成の1例を示す断面図である。
触媒ブロック27,28の構成例を示す斜視図である。
太陽電池パネルの分解方法の主要な工程を示す工程フロー説明図である。
加熱室設定温度、加熱時間、空気量及び触媒の有無と分解可否の関係について説明する図である。
条件3において太陽電池パネル1を加熱分解したときの分解ガス成分の測定データを示す図である。
条件5において太陽電池パネル1を加熱分解したときの分解ガス成分の測定データを示す図である。

実施例

0025

[太陽電池パネル1の構成]
まず、分解対象物である太陽電池パネル1の構成について図1を参照して説明する。

0026

図1は、太陽電池パネル1の構成の1例を示す部分断面図である。太陽電池パネル1は、ガラス板2と、ガラス板2の一面に充填材3によって固定された太陽電池セル4と、太陽電池セル4と太陽電池セル4との間を電気的に接続するインターコネクタ5と、バックシート6とで構成される。太陽電池セル4には表裏面に電極7,8が形成されおり、インターコネクタ5は、電極7,8を介して太陽電池セル4と太陽電池セル4との間及び外部インターフェース(図示は省略)を接続する配線である。ガラス板2には、白板熱処理ガラス通称強化ガラス)が使用される。充填材3には、EVA樹脂(エチレンビニルアセテート)やPVB樹脂ポリビニルブチラール)などが代表的な材料として使用されている。充填材3は、加熱・加圧することによって太陽電池セル4の周囲、ガラス板2及びバックシート6の内面を隙間がないように接着する。このことから充填材3を封止材と呼ぶことがある。

0027

太陽電池セル4としては、単結晶シリコン多結晶シリコン薄膜シリコンヘテロ接合及び多元化合部物半導体などがある。電極7,8は、ガラス板2側が銀電極7であり、バックシート6側がアルミ電極8である。ただし、この電極は表裏面共に銀電極の場合もある。バックシート6には、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)などのシートが使用される。通常、大判の太陽電パネル1には、周囲にアルミニウム外枠9が嵌め込まれている。太陽電池パネル1と外枠9とはシール材10で固定され、太陽電池パネル1と外枠9との接続部を気密に保持している。シール材10は、ブチルゴムシリコーンゴムなどが使用される。なお、以下の説明では、外枠9を取り外した状態のものを太陽電池パネル1として説明する。続いて、太陽電池パネルの分解装置20の構成について図2を参照して説明する。

0028

[太陽電池パネルの分解装置20の構成]
図2は、太陽電池パネルの分解装置20の概略構成の1例を示す断面図である。なお、以下の説明においては、太陽電池パネルの分解装置20を単に分解装置20と記載することがある。分解装置20は、太陽電池パネル1を加熱する加熱室21、加熱室21に外部から空気を供給する供給口22及び加熱室21のガスを排出する排出口23を有する加熱炉24を有している。このガスは、空気と分解ガスの混合気体であるが、本例においては、分解ガスを触媒で処理して排出することから、分解ガスと記載することがある。排出口23には、加熱室21の分解ガスを吸引して外部に排出する排気筒25が取り付けられている。排気筒25の先端部には吸引装置26が装着されている。吸引装置26としては、吸引流量が多く、取付け場所に自由度が大きいシロッコファンを使用している。ただし、吸引装置26としてはシロッコファンに限らず、ブロワーなどでもよい。吸引装置26は、加熱室21から分解ガスを吸引して外部に排出する。供給口22からは圧縮空気が加熱室21に供給される。そこで、供給された空気分を吸引装置26で吸引すれば、加熱室26の内圧大気圧に近い圧力で維持することが可能となる。

0029

排気筒25の内部には、複数の通気孔が設けられた触媒ブロック27が積層配置されている。排気筒25は、下部筒部25aと上部筒部25bの2体構造であって、フランジによって結合されている。本例においては、下部筒部25aには触媒ブロック27が3セット、上部筒部25bには触媒ブロック27が2セットの計5セットが積層されている。なお、ここでいう「積層」とは、各触媒ブロックが隙間なく積み重ねるようにしても、隙間を有して積み重ねるようにしてもよい。但し、分解ガスが触媒ブロック27に設けられる複数の通気孔35(図3参照)の大部分に通過するように配置される。

0030

図2に示す例においては、加熱室21にも触媒ブロック28が設けられている。触媒ブロック28は、加熱室21の排出口23を覆うように配置される。触媒ブロック28は、排気筒25内に配置される触媒ブロック27を使用することが可能であるが、サイズを変更してもよい。触媒ブロック28は、加熱室21の分解ガスに対して触媒効果発現するが、排気筒25内の触媒ブロック27が充分に機能していることが確認できれば省略してもよい。

0031

排気筒25の下方側の外周には、排気筒25内の温度を制御する温度調整器29が配置されている。図示は省略するが、温度調整器29には、排気筒25内の温度が下がり過ぎの際に加温するヒータ、温度が上がり過ぎの際に冷却する冷却管のどちらか一方又は両方を有している。温度調整器29を設けることによって、排気筒25内において触媒反応を活性化させることが可能な温度範囲に保持することが可能となる。なお、加熱室21の温度と吸引装置26の吸引量とが安定しときに、排気筒21内の温度が触媒反応を活性化させる温度範囲に保持できることが確認できれば温度調整器28を省略することができる。或いは、温度調整器28を下部筒部25aと上部筒部25bの2か所に配置するようにしてもよい。

0032

分解装置20は、加熱室21において太陽電池パネル1の有機素材を加熱分解し、発生した分解ガスを環境負荷の小さい排ガスとして排出するものである。従って、加熱室21及び排気筒25の温度制御が重要になることから、加熱室21及び排気筒25には温度センサ30が配置される。図2に示す例においては、温度センサ30は加熱室21の下方側と上方側の排出口23の近傍の2か所、及び排気筒25内の中間位置と吸引装置26近傍の2か所に配置されている。温度センサ30の配置は、上記の位置に限定されるものではなく、加熱室21及び排気筒25各々の温度制御が適切に行われることが可能な配置位置及び数に設定する。例えば、大判の太陽電池パネル1に対応して加熱室21の容積が大きくなる場合には、温度センサ30の数を増やす。或いは、供給口22の内側近傍に温度センサ30を配置して、供給する空気の温度を管理するようにしてもよく、このようにすれば、加熱室21の温度管理をより的確に行うことが可能となる。なお、温度センサ30は制御部31によって制御される。

0033

分解装置20は、分解装置全体の制御を行う制御部31を有している。制御部31は、加熱炉24の温度制御、排気筒25内の温度制御及び吸引装置26の空気吸引量の制御(すなわち、単位時間当たりの空気吸引量制御)を行う。加熱炉25は、加熱室21に配置される2か所の温度センサ30の測定値を制御部31にフィードバックして加熱室温度が所定温度となるように制御される。加熱室21の温度は、加熱室21に供給する単位時間当たりの空気量に左右されることから吸引装置26の空気吸引量も供給量に合わせて制御される。制御部31は、加熱炉24のヒータに供給する電力と、吸引装置26の空気吸引量と、加熱室21の温度の関係のテーブルを記憶しておき、温度センサ30からフィードバックされる測定値に基づき加熱炉24及び吸引装置26を制御する。なお、加熱室21に加熱した空気を供給するようにしてもよい。加熱室21で着火させないためには、大量の空気を供給することが必要となる。このことから、リジェネバーナなどの熱回収機構装備するようにしてもよい。なお、排気筒25においては、2か所の温度センサ30からフィードバックされる測定に基づき温度調整器29を制御し、排気筒25内を適切な温度に制御する。

0034

加熱室21の底部には、太陽電池パネル1を載置するための支持部材32が配置されている。支持部材32は収容器33内に配置される。支持部材32は、略コの字形状セラミックで形成されており、太陽電池パネル1の載置面側が開口している。図2に示す支持部材32の形態は1例であって、太陽電池パネル1との間に空間を形成して太陽電池パネルを支持できればよく、網状部材ハニカム構造部材でもよい。このような支持部材32は、加熱された混合気体の流路を確保できることから、太陽電池パネル1全体の温度分布を加熱分解可能な温度に保つことが可能となる。収容器33は、太陽電池パネル1の分解後にバラバラになった太陽電池セル1、インターコネクタ5、銀電極7及びアルミ電極8を収容して排出するための容器である。図2には、太陽電池パネル1が1枚のみを支持部材32に載置した例を表しているが、太陽電池パネル1は、加熱室21に複数層に配置することができる。この際、太陽電池パネル1は支持部材32を介して重ねられ、太陽電池パネル1の1枚毎の周囲に加熱された混合気体が覆うように配置されることが好ましい。

0035

なお、加熱室21における太陽電池パネル1の配置は、図2に示す横配置以外に、縦方向に配置することが可能であり、このような縦方向配置にする場合には、太陽電池パネル1の端辺が支持部材32に接触する。ただし、並列する太陽電池パネル1と太陽電池パネル1との間には混合気体が通過可能隙間を開ける。

0036

図3は、触媒ブロック27,28の構成例を示す斜視図である。触媒ブロック27,28は、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)などの貴金属触媒がセラミック製の担体34に担持されたものである。なお、触媒としては、貴金属触媒に限らず、酸化クロム、酸化鉄又は酸化チタンなどの金属触媒も有効である。触媒ブロック27,28には、複数の通気孔35が厚み方向に貫通している。通気孔35は、格子状、円柱状、或いはハニカム構造などで形成される。以下に説明する実験においては、ハニカム構造のものを使用している。担体としては、通気性を有する多孔質セラミック(例えば、アルミナ:Al2O3)などを使用することも可能である。次に、太陽電池の分解方法について図4を参照して説明する。

0037

[太陽電池パネルの分解方法]
図4は、太陽電池パネルの分解方法の主要な工程を示す工程フロー説明図である。まず、加熱室21に空気(外気)を供給する(ステップS1)。供給する空気は、圧縮空気であって、図示しない圧縮空気供給装置から供給される。次に、加熱室21を太陽電池パネル1が分解可能な温度に加熱する(ステップS2)。加熱開始連動して吸引装置26を駆動する(ステップS3)。吸引装置26は、分解装置20の稼働中は駆動を継続し、加熱室21の空気又分解ガスを吸引する。次いで、加熱室21が所定の温度に達したかを温度センサ30で測定して(ステップS4)制御部31にフィードバックする。ここでは、所定温度(すなわち分解可能な温度)を仮に500℃とする。但し、この温度は実際には幅がある(図5参照)。500℃に達していない場合(NO)には、加熱室21が500℃で安定するまで加熱する。500℃に達している場合(YES)には、太陽電池パネル1を素早く加熱室1に投入する(ステップS5)。

0038

そして、太陽電池パネル1が分解し終わるまで加熱を継続する(ステップS6)。この加熱継続途中において、所定の温度(500℃)が維持されているかを温度センサ30で測定し(ステップS7)制御部31に常時又は定期的にフィードバックする。500℃より温度が低下している場合(NO)には、温度が500℃になるまで加熱を継続する。この際、温度が500℃で安定するまで加熱炉24に加える電力を制御部31によって調整する。加熱室21の温度調整には、空気供給量並行して調整される。温度が500℃で安定している場合には、太陽電池パネル1が分解するまでの所定時間が経過したかを確認する(ステップS8)。加熱室21を500℃で加熱する場合においては所定時間を例えば20分とする。所定時間の20分に達していないときは(NO)20分を経過するまで加熱を継続する。所定時間20分が経過(YES)したところで、分解された太陽電池パネル1の構成素材を回収する(ステップS9)。回収する構成素材は、ガラス板2、太陽電池セル4、インターコネクタ5及び銀電極7(又はアルミ電極8)である。

0039

以上説明したステップS1からステップS9までを太陽電池パネル1の分解工程の1サイクルとしたとき、分解装置20が稼動中においてはこのサイクルを繰り返すことになる。但し、1サイクル後には加熱炉24は500℃になっていることから、2サイクル目以降においてはステップS4の温度確認工程からスタートすることになる。

0040

なお、排気筒25においては、触媒反応を活性化させる温度に管理する。金属触媒においては、通常100℃から触媒効果が発現し、500℃程度まで触媒効果が継続することが知られている。従って、100℃〜500℃の範囲で排気筒25内の温度を管理する。この管理方法は、排気筒25内の2か所に配置される温度センサ30の測定結果を制御部31にフィードバックし、温度調整器29によって排気筒25内の温度を調整する。

0041

続いて、前述した分解装置20を使用し、前述した分解方法によって太陽電池パネル1を6通りの条件で実験した結果ついて図5を参照して説明する。

0042

図5は、加熱室設定温度、加熱時間、供給する空気量、触媒の有無及び分解の結果について説明する図である。なお、図5に示す条件1〜条件6においては、外枠9を除去した太陽電池パネル1を分解対象物とし、加熱室21に投入する太陽電池パネル1を1枚とした。また、太陽電池パネル1を構成する有機素材としては、充填材3にEVA樹脂、バックシート6にPET樹脂が使用されている試料を用いた。

0043

図5から分かるように、条件1に示すように加熱室設定温度が400℃では、太陽電池パネル1は分解しなかった。条件2〜条件6に示すように、加熱室設定温度を450℃〜500℃にしたときに太陽電池パネル1は分解し、視認できる分解残滓は認められなかった。但し、条件2の加熱室設定温度が450℃では太陽電池パネル1は分解されるものの、が付着していることが認められた。すなわち、450℃より低い加熱温度では太陽電池パネル1は完全には分解されない。条件4に示すように、加熱室設定温度を480℃にすれば、太陽電池パネル1は残滓が残らない状態に分解された。なお、図示は省略するが、加熱室設定温度を520℃に上げたときに充填材3が燃焼し始めた。但し、供給する空気量を増加させれば、燃焼を抑えることは可能である。

0044

図5に示すように、触媒の有り無しによって、太陽電池パネル1の分解レベルに差は認められなかった。条件4〜条件6において使用した触媒は、図2に示すような排気筒25内に触媒ブロック27(触媒はPt)を5セット配置する構成とした。排気筒25内に配置される触媒ブロック27は、太陽電池パネル1の分解には寄与しない。太陽電池パネル1の分解には、加熱室温度が支配的であることが分かった。

0045

また、加熱室21に供給する空気量は、加熱室21の温度を500℃としたときに、110L/分と、10L/分とで太陽電池パネル1の分解レベルには差はなかった。但し、供給する空気量を10L/分に減らしたときに加熱室21の可燃性ガス(炭化水素:HC)濃度が上がり燃焼し始めることがあった。このことから、加熱室21の容積及び投入する太陽電池パネル1の数やサイズによって空気量を調整することで可燃性ガスの濃度を抑えることが可能であることが分かった。なお、条件3と条件5を比較すると、加熱室設定温度を500℃にしたときの加熱時間は30分と20分とでは分解レベルには差がない。

0046

触媒ブロック27は、太陽電池パネル1を加熱分解したときに発生する分解ガスを環境負荷に影響しない排ガスとして外部に排出するために設けている。そこで、触媒ブロック27の効果について図6及び図7を参照して説明する。なお、図6及び図7は、充填材3としてEVA樹脂(エチレンビニルアセテート)、バックシートとしてPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)を使用している場合の分解ガス成分を表している。EVA及びPETの組成は共に、C(炭素)、H(水素)、O(酸素)、であるから、加熱分解によって発生する分解ガスは、CO2(二酸化炭素)、CO(一酸化炭素)、O2(酸素)及びHC(炭化水素)が主成分となる。なお、HCは触媒反応によってCO2と水(水蒸気:H2O)に変化する。続いて、排気筒25内の吸引装置26の直近において酸素、一酸化炭素及び二酸化炭素について、対応するガス成分計測機36(図2参照)を使用して測定した。

0047

図6は、条件3において太陽電池パネル1を加熱分解したときの分解ガスの成分ごとの測定データを示す図であり、図7は、条件5において太陽電池パネル1を加熱分解したときの分解ガスの成分の測定データを示す図である。なお、条件3と条件5とに加熱時間に差があるが、前述したように加熱時間差で分解レベルに差がないことから条件3と条件5との差は、触媒の有り無しの差と判断できる。図6及び図7においては、横軸に加熱室21に太陽電池パネル1を投入して分解を開始してからの経過時間を示し、縦軸に酸素濃度(Vol%)、二酸化炭素濃度(Vol%)、一酸化炭素量(PPM)を示している。

0048

条件3は、加熱室設定温度を500℃、供給空気量を110L/分、触媒なしの場合である。図6に示すように、太陽電池パネル1の実質的な分解時間は約10分間である。酸素濃度は一時的に低下するものの分解時間前後は大気と同じ濃度である。二酸化炭素濃度は分解時間内にピーク値があり、時間経過に伴い低下する。一酸化炭素量は分解時間内でピーク値3700PPMとなる。なお、排気筒25内の先端部温度は185℃〜210℃であった。つまり、太陽電池パネル1の加熱分解時には、分解作用に酸素を消費し、二酸化炭素及び一酸化炭素となる。

0049

条件5は、条件3に対して触媒ブロック27(Pt触媒)を5セットと触媒ブロック28(Pt触媒)を1セット配置していることのみが異なる。図7に示すように、実質的な分解時間は条件3と同じ約10分間である。酸素濃度は一時的に低下するものの分解時間範囲の前後は大気と同じ濃度である。二酸化炭素濃度は、触媒がある条件5においては、触媒がない条件3に対して約20%に低下する。一方、一酸化炭素量は、ピーク値が、触媒がない条件3に対して0.35%の13PPMであった。なお、排気筒25内の先端部温度は110℃〜130℃であった。条件3及び条件5において加熱室21の加熱温度は500℃とし、供給する空気量も同じであることから、排気筒25内の温度差は触媒ブロック27,28の有り無しの差である。つまり、触媒ブロック27、28を500℃の分解ガスが通過する間に温度が低下する。従って、排気筒25内の温度(つまり、触媒ブロック27,28の温度)を触媒反応に適した温度に保持するために温度調整器29(図2参照)を備えている。

0050

以上説明した分解装置20は、ガラス板2と、太陽電池セル4と太陽電池セル4との間を電気的に接続するインターコネクタ5、充填材3及びバックシート6から構成される太陽電池パネル1を加熱分解する装置である。分解装置20は、太陽電池パネル1を加熱分解する加熱室21、加熱室21に外部から空気を供給する供給口22及び太陽電池パネル1を加熱分解したときに発生する分解ガスを排出する排出口23を有する加熱炉24を有している。分解装置20は、排出口23に接続されて分解ガスを外部に排出する排気筒25と、排気筒25の先端部に配置される吸引装置26とを有している。排気筒25の内部には、複数の通気孔35が設けられた触媒ブロック27が積層配置されている。

0051

このような太陽電池パネルの分解装置1によれば、外部から空気が供給された加熱室21に外枠9を外した太陽電池パネル1を入れて加熱することによって有機素材である充填材3とバックシート6とを分解してガス化する。このことによって、ガラス板2、太陽電池セル4及びインターコネクタ5などの無機素材である有価物を回収することが可能となる。また、太陽電池セル4の配線層である銀電極7を太陽電池セル4から分離して有価物として回収することが可能となる。

0052

太陽電池パネル1の加熱分解時に発生する分解ガスは、積層配置される触媒ブロック27,28の触媒反応によって、触媒がない構成に比べて、一酸化炭素(CO)量を約0.35%に減少させ、二酸化炭素(CO2)濃度を約20%に低下させて排出することが可能となる。なお、上記の一酸化炭素(CO)量、二酸化炭素(CO2)濃度は、充填材3がPVA、バックシート6がPETであり、条件5の結果であって、太陽電池パネル1の構成や加熱条件によって変わるものである。

0053

加熱室21には、常時空気を供給しつつ吸引装置26によって排気していることから、特許文献1のように、加熱室21の酸素濃度を厳密に管理する必要はない。また、特許文献2のように、加熱手段として過熱水蒸気を使用することによる加熱水蒸気発生装置や大規模の排ガス処理装置を必要としない。また、特許文献3のように、酸化物半導体を太陽電池パネル1に直接接触させなくても太陽電池パネル1を所定温度に加熱するだけで太陽電池パネルを1分解することが可能となる。以上説明した分解装置20によれば、簡単な構造で小型化が可能であり、太陽電池パネルを加熱分解して有価物を回収することが可能
となり、分解ガスを環境負荷が小さい排ガスとして排出することが可能となる。

0054

また、加熱室21及び排気筒25の内部には、温度センサ30が配置されており、温度センサ30の測定値に基づき供給口22から供給される空気量及び排気筒25の温度を制御する制御部13をさらに有している

0055

加熱室21の温度が条件2より低い温度では太陽電池は分解しない。加熱室21の温度が高すぎれば(520℃以上)、分解ガスの一部や有機素材の一部が燃焼することがある。一方、加熱室21に供給する空気量が多すぎると加熱室21及び排気筒25内の温度を維持しにくくなり、加熱分解温度において空気量が少なすぎると分解ガスのうち可燃性のガス成分(HC)が燃焼を始めてしまうことがある。従って、太陽電池パネル1を加熱分解する際には、加熱室21の温度管理(太陽電池パネル1の温度管理)が重要となり、分解ガスの処理には排気筒25内(触媒ブロック27)の温度管理が重要となる。加熱室21及び排気筒25内の温度を温度センサ30で測定し、測定結果を制御部31にフィードバックして、供給する空気量と加熱炉24の加熱温度とを適切に制御することによって太陽電池パネル1を加熱分解することが可能な温度に保持することが可能となる。

0056

また、前記排気筒の外周には、前記排気筒内の温度を制御する温度調整器が配置されている。排気筒25内の温度は、一義的には加熱室21から排出される分解ガスで決まるが、分解ガスは複数層の触媒ブロック27を通過する間に温度が低下する。そこで、温度調節器29によって、排気筒25内を昇温させたり降温させたりすることによって温度を適切に調整し、触媒反応を効率的に行わせることが可能となる。

0057

触媒ブロック27,28は、分解ガスが通る複数の通気孔35を有する担体34と、担体34の表面に担持された属触媒とから構成される。前述したように、触媒ブロック27を排気筒25内に複数層配置することによって、分解ガスを環境負荷が小さい排ガスとして排出することが可能となる。

0058

また、太陽電池パネルの分解装置1においては、太陽電池パネル1との間に空間を形成して太陽電池パネル1を支持する支持部材32をさらに有し、支持部材32は、分解後の太陽電池セル4及びインターコネクタ5を収容する収容器33内に配置されている。

0059

このような支持部材32で太陽電池パネル1を支持すれば、太陽電池パネル1の周囲全体を加熱された空気の流路で覆うことができる。このことによって、太陽電池パネル1全体の温度分布を均一に加熱分解可能な温度に保つことで分解時間を短縮することが可能となる。なお、太陽電池パネル1の姿勢は限定されない。すなわち、ガラス板2を上方に向けて載置、或いはガラス板2を下方に向けて載置してもよい。或いは、ガラス板2を立てることも可能である。また、支持部材32の下方に収容器33を備えれば、分解後の太陽電池セル4、インターコネクタ5及び太陽電池セルに形成されている電極(銀電極7やアルミ電極8)などの有価物を容易に回収することが可能となる。

0060

また、以上説明した太陽電池パネルの分解方法は、まず、供給口22から加熱室21に空気(外気)を供給し、加熱室21を太陽電池パネル1が分解可能な温度に加熱する工程と、吸引装置26を駆動して加熱室21から混合気を吸引する工程と、加熱室21の温度が安定したと判定したところで太陽電池パネル1を加熱室21に投入する工程と、太陽電池パネル1の分解に要する所定時間を経過した後、分解された太陽電池パネル1の構成素材である太陽電池セル4、インターコネクタ5及び銀電極7(アルミ電極8)を回収する工程を含んでいる。

0061

このような太陽電池パネルの分解方法によれば、空気が供給された加熱室21に太陽電池パネル1を投入して加熱することによって有機素材である充填材3とバックシート6とを分解してガス化することが可能となる。このことによって、分解後のガラス板2、太陽電池セル4、インターコネクタ5及び太陽電池セルに形成されている電極(銀電極7やアルミ電極8)などの有価物を回収することが可能となる。加熱室21には供給口22から空気が供給されると共に、常時、吸引装置26によって分解ガスと空気との混合気を吸引して外部に排出する構成であるから、特許文献1のように、加熱室の酸素濃度を厳密に管理しなくてもよい、また、特許文献2のように、加熱手段として過熱水蒸気を使用することによる大型の過熱水蒸気発生装置や大規模の排ガス処理装置を必要としない。また、特許文献3のように、酸化物半導体を太陽電池パネル1に接触させなくても分解することが可能となる。以上のことから、以上説明した太陽電池パネルの分解方法によれば、太陽電池パネルを加熱分解して有価物を回収することが可能となり、分解ガスを環境負荷が小さい排ガスとして排出することが可能となる。

0062

以上説明した太陽電池パネルの分解装置20及び分解方法では、太陽電電池パネル1を構成する有機素材が充填材3にEVA樹脂、バックシート6にPETを使用したものを例にあげて説明している。しかし、他の有機素材にも適合可能である。例えば、充填材3がPVB樹脂(ポリビニルブチラール)などにも適合させることができる。また、バックシート6にPE樹脂(ポリエチレン)などにも適合することができる。

0063

1…太陽電池パネル、2…ガラス板、3…充填材、4…太陽電池セル、5…インターコネクタ、6…バックシート、7…銀電極、8…アルミ電極、9…外枠、10…シール材、20…分解装置(太陽電池パネルの分解装置)、21…加熱室、22…供給口、23…排出口、24…加熱炉、25…排気筒、26…吸引装置、27,28…触媒ブロック、29…温度調整器、30…温度センサ、31…制御部、32…支持部材、33…収容器、34…担体、35…通気孔、36…ガス成分計測機

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