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技術 原料液濃縮システム

出願人 旭化成株式会社
発明者 堀田大輔藤田充美河正人
出願日 2019年2月27日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-034066
公開日 2020年9月3日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-138119
状態 未査定
技術分野 半透膜を用いた分離 固体の乾燥
主要キーワード ドライチャンバー 水分除去率 二次近似式 加圧能力 膜ホルダー 押出面 測定限界値 濃縮原料
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

凍結乾燥法を用いる原料液濃縮システムにおいて、凍結乾燥に適切な前処理工程を配置することによって、原料液中の成分が高度に維持された凍結乾燥濃縮物を得るための、原料液濃縮システムを提供すること。

解決手段

溶媒b及び溶質を含有する原料液aと、誘導溶液dとを、正浸透膜oを介して接触させ、原料液a中の溶媒bを誘導溶液d中に移動させて、濃縮原料cと希釈誘導溶液eを得る第一の工程と、濃縮原料液cを凍結乾燥処理して更に濃縮する第二の工程とを有し、第一の工程の終了時に、その時点の温度において測定した濃縮原料液cの浸透圧が、1.52MPa(15atm)以上65.9MPa(650atm)以下の範囲となるように、第一の工程を行う、原料液濃縮システム。

概要

背景

種々の用途において、原料液中に存在する特定の成分(溶質)を濃縮することが目的とされる。伝統的な濃縮方法として、原料液を加熱して溶媒を除去する蒸発法が知られている。しかし、蒸発法では、熱によって、原料液中の成分の品質が変化する、固形成分が崩壊する等の不具合が懸念される。

他の濃縮方法として、溶媒を分子レベルで透過させる膜を用いた逆浸透(RO:ReverseOsmosis)法が知られている。RO法は、原料液を、当該原料液の浸透圧より高い所定の圧力に昇圧したうえで、逆浸透(RO)膜モジュールに供給し、RO膜を透過させて、原料液中の溶媒(典型的には水)を除去することにより、原料液を濃縮する方法である。しかしこのRO法は,加圧が必要なため、固形物高分子量体等を多く含有する原料液に適用すると、RO膜の目詰まりが発生し易い。そのためRO法は、例えば、食品、飲料、医薬品等の原料液への適用には不適切な場合がある。また、RO法では、濃縮された原料液の、溶媒(ろ過された溶媒)の浸透圧が、加圧に用いる高圧ポンプの圧力を超えることはない。そのため、RO法による原料液の濃縮率には、ポンプ能力に応じた限界がある。
なお、このRO法は、原料液から除去される溶媒(水)に着目して、主として海水淡水化に実用されている。

これとは別の原料液の濃縮方法として、浸透圧の違いを利用して原料液中の溶媒を分離する正浸透(FO:ForwardOsmosis)法が知られている。FO法は、原料液と、原料液よりも浸透圧の高い誘導溶液とを、正浸透(FO)膜を介して接触させることにより、原料液から誘導溶液へと溶媒を拡散させることにより、原料液を濃縮する方法である。FO法は、加圧を必要としないため、固形物、高分子量体等を多く含有する原料液であっても、長時間にわたって所望の濃縮効果持続できると期待される。

これら以外の原料液の濃縮方法として、原料液を凍結させた後に、原料液中の溶媒を昇華させることにより、原料液を濃縮する凍結乾燥法が知られている。凍結乾燥法は、高温の加熱等を必要としないため、原料液中の成分の変質、固形分の変形等を抑制しつつ濃縮することが可能である。凍結乾燥処理が施されて成る食品(フリーズドライ食品)には、例えば、ビタミン等の栄養成分、風味等の変化が少ない、常温長期保存ができる、低水分であるため比較的軽量で輸送性が高い等の利点がある。このような利点のため、凍結乾燥法は、現在、多岐にわたる食品、医薬品等に適用されている。

一方で、凍結乾燥法には、高真空とするための真空ポンプ、昇華のための熱源、原料液から発生する溶媒蒸気液体又は固体として回収するための冷却ユニット等が必要であり、そのエネルギーコストは大きい。また、事前に原料液を完全に凍結させる必要があることに加え、乾燥時間が凍結体の容量、厚み等が増すと著しく増加する。そのため、原料液の濃縮に凍結乾燥法を適用するには、凍結乾燥に供する前の原料液を、可能な限り濃縮しておくことが求められている。
また、凍結乾燥後濃縮物の成分の維持率には、原料液中の水分量が関与していることが知られている。例えば非特許文献1には、凍結乾燥時の水分除去率に比例して原料液中の成分が減少することが開示されている。このことからも、成分の維持率がより高い凍結乾燥濃縮物を得るためには、凍結乾燥に供する原料液を可能な限り濃縮しておくことが求められている。

このような凍結乾燥の前処理における濃縮工程として、例えば特許文献1には、RO法を二段階で用いる方法が提案されている。また、特許文献2には、凍結乾燥の前処理における他の濃縮工程として、遠心分離法又は限界ろ過法を用いることが提案されている。

概要

凍結乾燥法を用いる原料液の濃縮システムにおいて、凍結乾燥に適切な前処理工程を配置することによって、原料液中の成分が高度に維持された凍結乾燥濃縮物を得るための、原料液濃縮システムを提供すること。溶媒b及び溶質を含有する原料液aと、誘導溶液dとを、正浸透膜oを介して接触させ、原料液a中の溶媒bを誘導溶液d中に移動させて、濃縮原料cと希釈誘導溶液eを得る第一の工程と、濃縮原料液cを凍結乾燥処理して更に濃縮する第二の工程とを有し、第一の工程の終了時に、その時点の温度において測定した濃縮原料液cの浸透圧が、1.52MPa(15atm)以上65.9MPa(650atm)以下の範囲となるように、第一の工程を行う、原料液濃縮システム。

目的

本発明の目的は、凍結乾燥法を用いる原料液の濃縮システムにおいて、凍結乾燥に適切な前処理工程を配置することによって、原料液中の成分が高度に維持された凍結乾燥濃縮物を得るための、原料液濃縮システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

溶媒及び溶質を含有する原料液と、誘導溶液とを、正浸透膜を介して接触させ、前記原料液中の溶媒を前記誘導溶液中に移動させて、濃縮原料液及び希釈誘導溶液を得る第一の工程と、前記濃縮原料液を凍結乾燥処理して更に濃縮する第二の工程とを有し、前記第一の工程の終了時に、その時点の温度において測定した前記濃縮原料液の浸透圧が、1.52MPa(15atm)以上65.9MPa(650atm)以下の範囲となるように、前記第一の工程を行う、原料液濃縮システム

請求項2

前記溶媒が水である、請求項1に記載の濃縮システム。

請求項3

前記第一の工程がクロスフローろ過によって行われる、請求項1又は2に記載の濃縮システム。

請求項4

前記第一の工程において、前記原料液の温度が5℃以上50℃以下の範囲に調整されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の濃縮システム。

請求項5

前記希釈誘導溶液から前記溶媒を除去して再生誘導溶液を得て、得られた再生誘導溶液を再び誘導溶液として使用する誘導溶液再生工程を更に有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の濃縮システム。

請求項6

前記誘導溶液再生工程における前記希釈誘導溶液からの前記溶媒の除去が蒸発手段によって行われる、請求項5に記載の濃縮システム。

請求項7

前記誘導溶液から前記溶媒を除去して濃縮誘導溶液を得て、得られた濃縮誘導溶液と前記希釈誘導溶液との混合物を誘導溶液として使用する誘導溶液再生工程を更に有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の濃縮システム。

請求項8

前記誘導溶液再生工程における前記誘導溶液からの前記溶媒の除去が蒸発手段によって行われる、請求項7に記載の濃縮システム。

請求項9

前記誘導溶液が無機塩溶液である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の濃縮システム。

請求項10

前記正浸透膜が中空糸状の膜である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の濃縮システム。

請求項11

前記正浸透膜が、ポリエーテルスルホンポリスルホンポリケトンポリフッ化ビニリデンポリアクリロニトリルポリイミン、及びポリアミドから成る群から選ばれる少なくとも1種を主成分とする薄膜層を有する膜である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の濃縮システム。

請求項12

前記第一の工程で得られた濃縮原料液を、前記第一の工程における原料液として使用する循環機構を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の濃縮システム。

請求項13

前記第一の工程の開始時における前記正浸透膜の初期透過流速が1kg/(m2×hr)以上100kg/(m2×hr)以下である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の濃縮システム。

請求項14

前記第一の工程の終了時に、その時点の温度において測定した前記濃縮原料液の浸透圧が、2.03MPa(20atm)以上50.7MPa(500atm)以下の範囲となるように、前記第一の工程を行う、請求項1〜13のいずれか一項に記載の濃縮システム。

請求項15

前記第一の工程の終了時に、その時点の温度において測定した前記濃縮原料液の浸透圧が、2.53MPa(25atm)以上35.5MPa(350atm)以下の範囲となるように、前記第一の工程を行う、請求項14に記載の濃縮システム。

技術分野

0001

本発明は原料液濃縮システムに関する。詳しくは、正浸透法により原料液から溶媒の一部を分離して原料液を濃縮した後に、凍結乾燥法によって更に原料液を濃縮することにより、原料液中の成分の変質、減少等を抑え、かつ時間的及びエネルギー的に効率よく原料液を濃縮することが可能な原料液濃縮システムに関する。

背景技術

0002

種々の用途において、原料液中に存在する特定の成分(溶質)を濃縮することが目的とされる。伝統的な濃縮方法として、原料液を加熱して溶媒を除去する蒸発法が知られている。しかし、蒸発法では、熱によって、原料液中の成分の品質が変化する、固形成分が崩壊する等の不具合が懸念される。

0003

他の濃縮方法として、溶媒を分子レベルで透過させる膜を用いた逆浸透(RO:ReverseOsmosis)法が知られている。RO法は、原料液を、当該原料液の浸透圧より高い所定の圧力に昇圧したうえで、逆浸透(RO)膜モジュールに供給し、RO膜を透過させて、原料液中の溶媒(典型的には水)を除去することにより、原料液を濃縮する方法である。しかしこのRO法は,加圧が必要なため、固形物高分子量体等を多く含有する原料液に適用すると、RO膜の目詰まりが発生し易い。そのためRO法は、例えば、食品、飲料、医薬品等の原料液への適用には不適切な場合がある。また、RO法では、濃縮された原料液の、溶媒(ろ過された溶媒)の浸透圧が、加圧に用いる高圧ポンプの圧力を超えることはない。そのため、RO法による原料液の濃縮率には、ポンプ能力に応じた限界がある。
なお、このRO法は、原料液から除去される溶媒(水)に着目して、主として海水淡水化に実用されている。

0004

これとは別の原料液の濃縮方法として、浸透圧の違いを利用して原料液中の溶媒を分離する正浸透(FO:ForwardOsmosis)法が知られている。FO法は、原料液と、原料液よりも浸透圧の高い誘導溶液とを、正浸透(FO)膜を介して接触させることにより、原料液から誘導溶液へと溶媒を拡散させることにより、原料液を濃縮する方法である。FO法は、加圧を必要としないため、固形物、高分子量体等を多く含有する原料液であっても、長時間にわたって所望の濃縮効果持続できると期待される。

0005

これら以外の原料液の濃縮方法として、原料液を凍結させた後に、原料液中の溶媒を昇華させることにより、原料液を濃縮する凍結乾燥法が知られている。凍結乾燥法は、高温の加熱等を必要としないため、原料液中の成分の変質、固形分の変形等を抑制しつつ濃縮することが可能である。凍結乾燥処理が施されて成る食品(フリーズドライ食品)には、例えば、ビタミン等の栄養成分、風味等の変化が少ない、常温長期保存ができる、低水分であるため比較的軽量で輸送性が高い等の利点がある。このような利点のため、凍結乾燥法は、現在、多岐にわたる食品、医薬品等に適用されている。

0006

一方で、凍結乾燥法には、高真空とするための真空ポンプ、昇華のための熱源、原料液から発生する溶媒蒸気液体又は固体として回収するための冷却ユニット等が必要であり、そのエネルギーコストは大きい。また、事前に原料液を完全に凍結させる必要があることに加え、乾燥時間が凍結体の容量、厚み等が増すと著しく増加する。そのため、原料液の濃縮に凍結乾燥法を適用するには、凍結乾燥に供する前の原料液を、可能な限り濃縮しておくことが求められている。
また、凍結乾燥後濃縮物の成分の維持率には、原料液中の水分量が関与していることが知られている。例えば非特許文献1には、凍結乾燥時の水分除去率に比例して原料液中の成分が減少することが開示されている。このことからも、成分の維持率がより高い凍結乾燥濃縮物を得るためには、凍結乾燥に供する原料液を可能な限り濃縮しておくことが求められている。

0007

このような凍結乾燥の前処理における濃縮工程として、例えば特許文献1には、RO法を二段階で用いる方法が提案されている。また、特許文献2には、凍結乾燥の前処理における他の濃縮工程として、遠心分離法又は限界ろ過法を用いることが提案されている。

0008

特開平11−75759号公報
国際公開第2011/151726号

先行技術

0009

Nippon Shokuhin Kogyo Gakkaishi 1982, 30(2), pp125〜132

発明が解決しようとする課題

0010

特許文献1に記載されたRO法は、加熱が必須ではないため、熱による成分の変質が少ない方法ではある。しかしながら、RO法では、原料液の加圧を要するため、原料液中に固形物、圧力に敏感な物質等が含まれる場合には、それらが変質する可能性がある。また、RO法の濃縮率には、ポンプの加圧能力による限界があるため、凍結乾燥後の原料液の凍結体をさほど濃縮できない場合がある。これらに加え、RO法には、上述したような問題点がある。

0011

特許文献2に記載された遠心分離法では、原料液が遠心力によって加圧されるため、成分の変質、固形分の変形等が起こり得る。また、フィルターを用いる遠心分離法の場合には、膜の目詰まり等により、所望の濃縮倍率が得られない場合がある。更に、遠心分離法では、回転に伴う遠心力に耐えるために、装置が大掛かりになることがあり、一度に処理できる原料液の容量が限られる場合がある。
一方の限外ろ過法でも、原料液に圧力がかかるため、成分の変質、固形分の変形、膜の目詰まり等が起こり得る。また、限外ろ過膜分子分画分子量以下の物質は、その一部又はすべてが膜を透過してしまうため、原料液中の成分組成を保ったまま濃縮することができない。

0012

以上のように、凍結乾燥の前処理における原料液の濃縮方法としては、原料液中の成分の変質、変形、及び流出を可能な限り抑えつつ、所望の濃縮倍率の濃縮物を得ることができ、かつ処理量が大きい方法が求められている。そのような特徴を有する凍結乾燥の前処理方法と、凍結乾燥法とを組み合わせて原料液を濃縮するための効果的なシステムは、未だ確立されていない。
したがって本発明の目的は、凍結乾燥法を用いる原料液の濃縮システムにおいて、凍結乾燥に適切な前処理工程を配置することによって、原料液中の成分が高度に維持された凍結乾燥濃縮物を得るための、原料液濃縮システムを提供することである。

課題を解決するための手段

0013

本発明は以下のとおりである。
《態様1》
溶媒及び溶質を含有する原料液と、誘導溶液とを、正浸透膜を介して接触させ、前記原料液中の溶媒を前記誘導溶液中に移動させて、濃縮原料液及び希釈誘導溶液を得る第一の工程と、
前記濃縮原料液を凍結乾燥処理して更に濃縮する第二の工程とを有し、
前記第一の工程の終了時に、その時点の温度において測定した前記濃縮原料液の浸透圧が、1.52MPa(15atm)以上65.9MPa(650atm)以下の範囲となるように、前記第一の工程を行う、
原料液濃縮システム。
《態様2》
前記溶媒が水である、態様1に記載の濃縮システム。
《態様3》
前記第一の工程がクロスフローろ過によって行われる、態様1又は2に記載の濃縮システム。
《態様4》
前記第一の工程において、前記原料液の温度が5℃以上50℃以下の範囲に調整されている、態様1〜3のいずれか一項に記載の濃縮システム。
《態様5》
前記希釈誘導溶液から前記溶媒を除去して再生誘導溶液を得て、得られた再生誘導溶液を再び誘導溶液として使用する誘導溶液再生工程を更に有する、態様1〜4のいずれか一項に記載の濃縮システム。
《態様6》
前記誘導溶液再生工程における前記希釈誘導溶液からの前記溶媒の除去が蒸発手段によって行われる、態様5に記載の濃縮システム。
《態様7》
前記誘導溶液から前記溶媒を除去して濃縮誘導溶液を得て、得られた濃縮誘導溶液と前記希釈誘導溶液との混合物を誘導溶液として使用する誘導溶液再生工程を更に有する、態様1〜4のいずれか一項に記載の濃縮システム。
《態様8》
前記誘導溶液再生工程における前記誘導溶液からの前記溶媒の除去が蒸発手段によって行われる、態様7に記載の濃縮システム。
《態様9》
前記誘導溶液が無機塩溶液である、態様1〜8のいずれか一項に記載の濃縮システム。
《態様10》
前記正浸透膜が中空糸状の膜である、態様1〜9のいずれか一項に記載の濃縮システム。
《態様11》
前記正浸透膜が、ポリエーテルスルホンポリスルホンポリケトンポリフッ化ビニリデンポリアクリロニトリルポリイミン、及びポリアミドから成る群から選ばれる少なくとも1種を主成分とする薄膜層を有する膜である、態様1〜10のいずれか一項に記載の濃縮システム。
《態様12》
前記第一の工程で得られた濃縮原料液を、前記第一の工程における原料液として使用する循環機構を有する、態様1〜11のいずれか一項に記載の濃縮システム。
《態様13》
前記第一の工程の開始時における前記正浸透膜の初期透過流速が1kg/(m2×hr)以上100kg/(m2×hr)以下である、態様1〜12のいずれか一項に記載の濃縮システム。
《態様14》
前記第一の工程の終了時に、その時点の温度において測定した前記濃縮原料液の浸透圧が、2.03MPa(20atm)以上50.7MPa(500atm)以下の範囲となるように、前記第一の工程を行う、態様1〜13のいずれか一項に記載の濃縮システム。
《態様15》
前記第一の工程の終了時に、その時点の温度において測定した前記濃縮原料液の浸透圧が、2.53MPa(25atm)以上35.5MPa(350atm)以下の範囲となるように、前記第一の工程を行う、態様14に記載の濃縮システム。

発明の効果

0014

本発明の原料液濃縮システムは、正浸透法による原料液の濃縮と、凍結乾燥法による濃縮とを組み合わせたものである。このような本発明の原料液濃縮システムにより、原料液中の成分組成が高度に維持された凍結乾燥濃縮物を高効率で得ることができる。
本発明は、例えば、経口液体(液状食品、飲料等)の濃縮、化学種合成の前駆体溶液の処理、ガス田シェールガス田を含む)・油田から排出される随伴水の処理、等の用途に好適に適用することができる。上記の経口液体とは、人又は動物が口にするもの全体を意味し、経口で摂取する物、及び口に含んだ後に排出される物の双方を含む。経口摂取物の例としては、例えば、ジュース清涼飲料等の飲料;各種出汁調味料スープ等の流動状の食品;健康補助食品経口医薬品;及びそれらの原料等が挙げられる。口に含んだ後に排出される物の例としては、例えば、マウスウォッシュ液、うがい薬、及びそれらの原料等が挙げられる。

図面の簡単な説明

0015

本発明の原料液濃縮システムの実施態様の一例を説明するための概念図である。
本発明の原料液濃縮システムの実施態様の別の一例を説明するための概念図である。
本発明の原料液濃縮システムの実施態様の更に別の一例を説明するための概念図である。
本発明の原料液濃縮システムの実施態様の更に別の一例を説明するための概念図である。
本発明の原料液濃縮システムの実施態様の更に別の一例を説明するための概念図である。

0016

以下、本発明の好ましい実施形態を、非限定的な例として具体的に詳細に説明する。

0017

<原料液濃縮システム>
本発明の原料液濃縮システムは、
溶媒及び溶質を含有する原料液と、誘導溶液とを、正浸透膜を介して接触させ、前記原料液中の溶媒を前記誘導溶液中に移動させて、濃縮原料液及び希釈誘導溶液を得る第一の工程と、
前記濃縮原料液を凍結乾燥処理して更に濃縮する第二の工程とを有し、
前記第一の工程終了時に、その時点の温度で測定した前記濃縮原料液の浸透圧が、1.52MPa(15atm)以上65.9MPa(650atm)以下の範囲となるように、前記第一の工程を行うことを特徴とする。

0018

本発明の原料液濃縮システムの概要について、必要に応じて図面を参照しつつ、説明する。

0019

第一の工程では、原料液と、誘導溶液とを、正浸透膜を介して接触させ、原料液中の溶媒を誘導溶液に移動させることによって、原料液の濃縮を行うとともに、誘導溶液が希釈され、濃縮原料液及び希釈誘導溶液を得る。
第二の工程では、第一の工程で得られた濃縮原料液を凍結乾燥法によって更に濃縮し、水分量が好ましくは5質量%以下にまで減少された生成物(濃縮物)を得る。

0020

第一の工程と第二の工程の間に、凍結乾燥法の前段階を行う工程が存在してもよい。
凍結乾燥法の前段階工程としては、例えば、予備凍結工程、殺菌工程等が挙げられる。
第一の工程と第二の工程とは、時間間隔を置かずに連続して行ってもよいし、所定の時間間隔を開けて行ってもよい。例えば、第一の工程で得られた濃縮原料液を一時的に貯蔵し、所定の時間が経過した後に、第二の工程を行ってもよい。しかしながら、第一の工程と第二の工程とを連結させ、時間間隔を置かずに連続して濃縮を行うことが、時間的な効率の点でより好ましい。

0021

第一の工程と第二の工程の間に、第一の工程で得られた濃縮原料液が所定の浸透圧まで濃縮されていることを確認するための浸透圧測定工程が含まれていてもよい。浸透圧測定工程における浸透圧の測定は、第一の工程を行う装置内で行ってもよいし、第一の工程の後に濃縮原料液の一部を抜き取って行ってもよい。

0022

図1に、第一及び第二の工程を有する本発明の原料液濃縮システムの一例を説明するための概略図を示した。
図1の原料液濃縮システムの第一の工程では、正浸透膜oを有し、正浸透プロセスを行う正浸透膜ユニットを用いる。この正浸透膜ユニットの内部空間は、正浸透膜oによって、原料液側空間R及び誘導溶液側空間Dの2つに分割されている。正浸透膜ユニットの原料液側空間Rに、濃縮対象物である原料液aを導入する。一方、正浸透膜ユニットの誘導溶液側空間Dには、誘導溶液dを導入する。
原料液aは、溶質及び溶媒bを含有する。誘導溶液dは、誘導物質及び溶媒bを含有する。誘導溶液dの浸透圧は原料液aよりも高くなるように設定されている。

0023

そして、原料液aと、誘導溶液dとを、正浸透膜oを介して接触させると、両溶液の浸透圧差駆動力として、原料液a中の溶媒bが、正浸透膜oを通過して誘導溶液d側に移動する。これにより、濃縮された原料液である濃縮原料液cと、希釈された誘導溶液である希釈誘導溶液eとが得られる。図1における第一の工程では、原料液aと誘導溶液dとを向流させているが、並流でもよい。
第一の工程における正浸透処理は、全量ろ過方式によってもクロスフローろ過方式によってもよいが、クロスフローろ過方式によることが、ろ過流速及び膜汚染抑制の観点から好ましい。

0024

図1の原料液濃縮システムでは、第一の工程によって得られた濃縮原料液cの浸透圧は、「P」の位置で測定される。

0025

図1の原料液濃縮システムの第二の工程では、凍結乾燥を行う。
凍結乾燥は、典型的には、チャンバー内における以下の3つの段階を含む:
(A)凍結段階
(B)一次乾燥段階;及び
(C)二次乾燥段階。
段階(A)は、第一の工程によって得られた濃縮原料液c中の溶媒を凍結する段階である。段階(B)においては、チャンバー圧力を低下させ(例えば、13.3Pa(0.1トール)以下まで)、生成物に熱を加えて、凍結溶媒を昇華させる。段階(C)において、温度を増加させて、結晶水等の結合溶媒も、残留溶媒含有量が所望のレベルに下がるまで、取り除く。このようにして、濃縮原料液cが更に濃縮された、生成物fを得る。ここで、脱溶媒を促進する方法として、前記チャンバー圧力の低下の他に、乾燥された気体を流入させる方法を用いてもよい。

0026

図2に、第一及び第二の工程を有する本発明の原料液濃縮システムの別の一例を説明するための概略図を示した。
図2の原料液濃縮システムにおける第一の工程中の正浸透膜ユニット、及び第二の工程は、それぞれ、図1の原料液濃縮システムにおける第一の工程及び第二の工程と同じであってよい。しかしながら、図2の原料液濃縮システムでは、第一の工程で得られた濃縮原料液を、第一の工程における原料液として再使用する循環機構を有している。この実施態様では、例えば、原料液aを第一の工程に1回通して得られた濃縮原料液の浸透圧が、本発明所定の範囲に到達しないときに、当該濃縮原料液の少なくとも一部を第一の工程に複数回通すことにより、所定の浸透圧の濃縮原料液cを得られる利点を有する。
この場合、原料液aを第一の工程に通す回数は任意である。

0027

図3に、第一及び第二の工程を有する本発明の原料液濃縮システムの更に別の一例を説明するための概略図を示した。
図3の原料液濃縮システムにおける第一の工程及び第二の工程は、それぞれ、図1の原料液濃縮システムにおける第一の工程及び第二の工程と同じであってよい。しかしながら、図3の原料液濃縮システムでは、誘導溶液再生工程を更に有している。この誘導溶液再生工程は、第一の工程で得られた希釈誘導溶液eから溶媒bを除去して濃縮し、再生誘導溶液gを得て、得られた再生誘導溶液gを、再び誘導溶液dとして循環使用に供する機能を有していてよい。希釈誘導溶液eからの溶媒bの除去は、公知の濃縮手段、例えば蒸発手段等によって行われてよい。

0028

図4に、第一及び第二の工程を有する本発明の原料液濃縮システムの更に別の一例を説明するための概略図を示した。
図4の原料液濃縮システムにおける第一の工程及び第二の工程は、それぞれ、図1の原料液濃縮システムにおける第一の工程及び第二の工程と同じであってよい。しかしながら、図4の原料液濃縮システムでは、図3の原料液濃縮システムとは別の実施態様の誘導溶液再生工程を有している。図4の原料液濃縮システムにおける誘導溶液再生工程では、先ず、誘導溶液dから溶媒bを除去して濃縮誘導溶液hを得る。そして、ここで得られた濃縮誘導溶液hと、第一の工程で得られた希釈誘導溶液eとを混合して再生誘導溶液gを得て、この再生誘導溶液gを誘導溶液dとして使用する機能を有していてよい。この誘導溶液再生工程において、誘導溶液dからの溶媒bの除去は、公知の濃縮手段、例えば蒸発手段等によって行われてよい。濃縮誘導溶液hと希釈誘導溶液eとの混合は、例えば、図4に示したようなバッファタンク内で行われてよい。

0029

図5に、第一及び第二の工程を有する本発明の原料液濃縮システムの更に別の一例を説明するための概略図を示した。
図5の原料液濃縮システムにおける第一の工程中の正浸透膜ユニット、及び第二の工程は、それぞれ、図1の原料液濃縮システムにおける第一の工程及び第二の工程と同じであってよい。図5の原料液濃縮システムは、図2に示した循環機構と、図4に示した誘導溶液再生工程とを、重畳的に有する。
図5の原料液濃縮システムにおいて、誘導液再生工程として、図3に示した態様のものを採用してもよい。

0030

《原料液濃縮システムの各要素》
以上、本発明の原料液濃縮システムよる原料液の濃縮の概要を説明した。引き続き、本発明の原料液濃縮システムを構成する各要素について、以下に詳説する。

0031

〈原料液a〉
原料液aとは、溶質及び溶媒bを含有する流体であり、本発明のシステムによって濃縮されることが予定されている。この原料液aは、流体である限りにおいて、乳化物であってもよい。

0032

本発明に適用される原料液aを例示すると、例えば、食品、医薬品原料、海水、ガス田・油田から排出される随伴水等を挙げることができる。本発明の原料液濃縮システムでは、原料液aの組成がほぼそのまま維持されつつ、溶媒が除去された濃縮物が得られる。そのため、本発明の原料液濃縮システムを食品に適用すると、香気成分損失が少ない濃縮が可能となる。また,本発明のシステムを医薬品又はその原料の濃縮に適用すると、医薬効能を維持した状態で濃縮することが可能となる。
本発明に適用される原料液aとしては、例えば、食品、糖、アミノ酸ペプチドオリゴペプチド等)等が好ましい。

0033

本発明に適用される原料液aとしては、食品が好ましい。
濃縮される食品としては、例えば、コーヒー抽出液、ジュース(例えば、オレンジジューストマトジュース等)、アルコール飲料エタノールを含む液体、例えば、ワインビール等)、乳製品(例えば、乳酸菌飲料生乳等)、出汁(例えば、昆布出汁、鰹出汁等)、茶抽出液香料乳化物(例えば、バニラエッセンスストロベリーエッセンス等の乳化物)、類(例えば、メープルシロップ蜂蜜等)、食品油乳化物(例えば、オリーブオイル菜種油ひまわり油紅花コーン等の乳化物)等を挙げることができる。

0034

濃縮される糖としては、例えば、単糖類(例えば、グルコースフルクトースガラクトースマンノースリボースデオキシリボース等)、二糖類(例えば、マルトーススクロースラクトース等)、糖鎖(例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコースキシロースグルクロン酸イズロン酸等の他;N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸等の、糖類誘導体等)等を挙げることができる。

0035

濃縮されるアミノ酸としては、例えば、必須アミノ酸(例えば、トリプトファンリジンメチオニンフェニルアラニントレオニンバリンロイシンイソロイシン等)、非必須アミノ酸(例えば、アルギニングリシンアラニンセリンチロシンシステインアスパラギングルタミンプロリンアスパラギン酸グルタミン酸等)、非天然アミノ酸等を挙げることができる。「非天然アミノ酸」とは、同一分子内にアミノ酸骨格を有する、天然に存在しない人工のあらゆる化合物を指し、種々の標識化合物をアミノ酸骨格に結合させることにより作製することができる。「アミノ酸骨格」はアミノ酸中のカルボキシル基アミノ基、及びこれらを連結している部分を含有する。「標識化合物」は、当業者には公知の色素化合物蛍光物質化学生物発光物質、酵素基質補酵素抗原性物質、及びタンパク質結合性物質を指す。
非天然アミノ酸の一例として、例えば、標識化合物と結合したアミノ酸である「標識化アミノ酸」が挙げられる。標識化アミノ酸としては、例えば、側鎖にベンゼン環等の芳香環を含むアミノ酸骨格を有するアミノ酸に標識化合物を結合させたアミノ酸等が挙げられる。また、特定の機能が付与された非天然アミノ酸の例として、例えば、光応答性アミノ酸、光スイッチアミノ酸、蛍光プローブアミノ酸、蛍光標識アミノ酸等が挙げられる。

0036

濃縮されるオリゴペプチドとしては、例えば、L−アラニル−L−グルタミン、β−アラニル−L−ヒスチジンシクロスポリングルタチオン等が挙げられる。ここに、「オリゴペプチド」とは2残基以上50残基未満の任意のアミノ酸が結合した化合物を指す。オリゴペプチドは鎖状であっても、環状であってもよい。

0037

〈誘導溶液d〉
誘導溶液dは、誘導物質と、溶媒bとを含有し、原料液aよりも高い浸透圧を持ち、かつ、正浸透膜oを著しく変性させない流体である。

0038

〈誘導物質〉
本発明で使用可能な誘導物質としては、例えば無機塩、糖、アルコール重合体等を挙げることができる。したがって本発明における誘導溶液は、無機塩、糖、アルコール、重合体等から選択される1種以上を含む溶液であってよい。
無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム塩化カリウム塩化マグネシウム塩化カルシウム硫酸ナトリウム硫酸マグネシウムチオ硫酸ナトリウム亜硫酸ナトリウム塩化アンモニウム硫酸アンモニウム炭酸アンモニウム等を;
糖としては、例えば、ショ糖果糖ブドウ糖等の一般的な糖類、及びオリゴ糖希少糖等の特殊な糖類を;
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール2−プロパノール等のモノアルコールエチレングルコール、プロピレングリコール等のグリコール等を挙げることができる。
重合体としては、例えば、ポリエチレンオキシドプロピレンオキシド等の重合体、及びこれらの共重合体等を挙げることができる。

0039

誘導溶液dにおける誘導物質の濃度は、誘導溶液dの浸透圧が原料液aの浸透圧よりも高くなるように設定される。誘導溶液dの浸透圧は、原料液aの浸透圧より高ければ、その範囲内で変動しても構わない。
二つの液体間の浸透圧差を判断するには、例えば、以下のいずれかの方法によることができる。
(1)二つの液体を混合後、二相分離する場合:二相分離後に、体積が増えた方の液体の浸透圧が高いと判断する、又は、
(2)二つの液体を混合後、二相分離しない場合:正浸透膜oを介して二つの液体を接触させ、一定時間の経過後に体積が大きくなった液体の浸透圧が高いと判断する。このときの一定時間とは、その浸透圧差に依存するが、一般的には数分から数時間の範囲である。

0040

〈原料液aの溶媒〉
原料液aにおける溶媒bは、液体であり、原料液a中の成分を溶解又は分散できるものである限り、あらゆる無機溶媒又は有機溶媒であることができる。溶媒bは、水である場合が多い。本発明における溶媒bは、典型的には水である。

0041

(誘導溶液dの溶媒)
誘導溶液dにおける溶媒は、原料液aから分離すべき溶媒bと同種の溶媒とすることが好ましい。例えば原料液aの溶媒が水である場合は、誘導溶液dにおける溶媒も水であることが好ましい。

0042

〈濃縮原料液c〉
原料液aが第一の工程を経て濃縮されて得られる濃縮原料液cは、原料液a中の成分を維持し、かつ、溶媒bが優先的に分離されることにより得られる。本発明の原料液濃縮システムでは、原料液aから分離される溶媒bの量を任意に制御することができる。
本発明においては特に、第一の工程終了時の温度において測定した濃縮原料液cの浸透圧が、1.52MPa(15atm)以上65.9MPa(650atm)以下の範囲となるように、第一の工程を行う。第一の工程終了時の温度において測定した濃縮原料液cの浸透圧は、2.03MPa(20atm)以上50.7MPa(500atm)以下の範囲とすることが好ましく、2.53MPa(25atm)以上35.5MPa(350atm)以下の範囲とすることがより好ましい。

0043

第一の工程終了時の温度において測定した濃縮原料液cの浸透圧が、1.52MPa(15atm)未満であると十分な濃縮効果が得られず、成分の維持が十分になされないことが多い。また、第一の工程終了時の温度において測定した濃縮原料液cの浸透圧が、65.9MPa(650atm)を超える場合は、極端に高い濃度の誘導溶液dが必要となる場合が多く、この場合、理由は定かではないが正浸透膜oを介して誘導溶液dから濃縮原料液cへの誘導物質の移動量が多くなる傾向がある。

0044

本発明の第一の工程によると、原料液aの浸透圧が誘導溶液dの浸透圧を超えない限り、原料液aの飽和濃度付近まで濃縮することが可能である。その後に後述の第二の工程を経ることにより、原料液aの量が多い場合であっても、凍結乾燥の時間を短縮することができる。このように、原料液aの浸透圧が十分に高くなるまで第一の工程を行うことにより、時間的及びエネルギー的に負荷の大きい凍結乾燥工程を効率化することができる。

0045

本発明の第一の工程は正浸透プロセスである。したがって、原料液成分を高度に維持しつつ、高い濃縮倍率を得ることが可能である。また、誘導物質を変更することにより、任意の濃縮倍率を得られることから、本システムが適用可能な原料液の種類は多様であり、実質的にあらゆる液体の濃縮が可能である。したがって本発明によると、従来技術を適用することが不可能な又は困難な場合でも、高品質の濃縮物を高効率に得ることができる。

0046

〈第一の工程〉
本発明の原料液濃縮システムの第一の工程では、正浸透プロセスが行われる。
本発明における正浸透プロセスは、例えば、正浸透膜oによって内部空間が原料液側空間R及び誘導溶液側空間Dの2つに分割された正浸透膜ユニットを用いて実施されてよい。

0047

〈正浸透膜ユニットの正浸透膜o〉
正浸透膜ユニットの正浸透膜oとは、溶媒bは透過させるが、溶質は透過させない、又は透過させ難い機能を有する膜である。
本発明の原料液濃縮システムの第一の工程で用いられる正浸透膜oは、逆浸透膜としての機能も有する膜であってもよい。しかしながら、圧力によって溶媒を除去する逆浸透プロセスと、原料液と誘導溶液との浸透圧の差を利用する正浸透プロセスとは、溶媒除去活用される駆動力の違いに起因して、適切な膜構造が異なる。
本発明の原料液濃縮システムのように、一連の工程に正浸透プロセスが組み込まれるシステムにおいては、正浸透膜としての機能がより高い膜を使用することが好ましい。

0048

正浸透膜oの形状としては、例えば、中空糸状、平膜状、スパイラル膜状等が挙げられる。
正浸透膜oは、支持層支持膜)上に分離活性層を有する複合型の膜が好ましい。上記支持膜は、平膜であっても中空糸膜であってもよい。
平膜を支持膜とする場合、支持膜の片面又は両面に分離活性層を有するものであってよい。
中空糸膜を支持膜とする場合、中空糸膜の外表面若しくは内表面、又はこれらの双方の面上に分離活性層を有するものであってよい。

0049

本実施形態における支持膜とは、分離活性層を支持するための膜であり、これ自体は分離対象物に対して実質的に分離性能を示さないことが好ましい。この支持膜としては、公知の微細孔性支持膜、不織布等を含むどのようなものでも使用できる。
本実施形態において好ましい支持膜は、微細孔性中空糸支持膜である。この微細孔中空糸支持膜は、その内表面に、孔径が好ましくは0.001μm以上0.1μm以下、より好ましくは0.005μm以上0.05μm以下の微細孔を有する。一方、微細孔性中空糸支持膜の内表面から膜の深さ方向に外表面までの構造については、透過する流体の透過抵抗を小さくするために、強度を保ち得る限りでできるだけ疎な構造であることが好ましい。この部分の疎な構造は、例えば網状、指状ボイド等、又はそれらの混合構造のいずれかであることが好ましい。

0050

平膜状又は中空糸状の正浸透膜oにおける分離活性層としては、誘導物質の阻止率が高いことから、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンポリプロピレン、ポリアミド、酢酸セルロース等から選ばれる少なくとも1種を主成分とする薄膜層であることが好ましい。より好ましくは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、及びポリアミドから選ばれる少なくとも1種を主成分とすることであり、特に好ましくはポリアミドの層である。
分離活性層におけるポリアミドは、多官能性ハライド及び多官能性芳香族アミン界面重合により形成されることができる。

0051

多官能性芳香族酸ハライドとは、一分子中に2個以上の酸ハライド基を有する芳香族酸ハライド化合物である。具体的には、例えば、トリメシン酸ハライド、トリメリット酸ハライド、イソフタル酸ハライド、テレフタル酸ハライド、ピロメリット酸ハライド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ハライド、ビフェニルジカルボン酸ハライド、ナフタレンジカルボン酸ハライド、ピリジンジカルボン酸ハライド、ベンゼンジスルホン酸ハライド等を挙げることができ、これらを単独で、又はこれらの混合物を用いることができる。これらの芳香族酸ハライド化合物におけるハロゲン化物イオンとしては、例えば、塩化物イオン臭化物イオンヨウ化物イオン等を挙げることができる。本発明においては、特にトリメシン酸クロリド単独、又はトリメシン酸クロリドとイソフタル酸クロリドとの混合物、若しくはトリメシン酸クロリドとテレフタル酸クロリドとの混合物が好ましく用いられる。

0052

多官能性芳香族アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する芳香族アミノ化合物である。具体的には、例えば、m−フェニレンジアミンp−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルアミン、3,5−ジアミノ安息香酸、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,5−ジアミノナフタレン等を挙げることができ、これらを単独で、又はこれらの混合物を用いることができる。本発明においては、特に、m−フェニレンジアミン及びp−フェニレンジアミンから選ばれる1種以上が好適に用いられる。

0053

多官能性酸ハライド及び多官能性芳香族アミンの界面重合は、定法に従って実施することができる。

0054

本実施形態においては、中空糸状の正浸透膜を用いることが好ましく、特に中空糸状の多孔性支持膜の内表面に重合体薄膜から成る分離活性層を有する複合型中空糸を用いることが好ましい。
正浸透膜ユニットとしては、複数の正浸透膜の糸束が好ましくは適当なハウジング内に収納されて構成される、正浸透膜モジュールの形態にあるものを使用することが好ましい。

0055

正浸透膜oの、溶媒bについての透過流束は、第一の工程開始時における初期透過流速として、1kg/(m2×hr)以上100kg/(m2×hr)であることが好ましい。この初期透過流束が1kg/(m2×hr)未満であれば、溶媒bの分離効率が損なわれる場合があり、100kg/(m2×hr)を超えると、正浸透膜oを介して誘導溶液dから濃縮原料液cへの誘導物質の移動量が多くなる場合がある。
本明細書における溶媒bについての透過流束とは、正浸透膜oを通過する溶媒bの量を、正浸透膜oの単位面積当たり、及び単位時間当たりに割り付けた量を意味しており、下記数式(1)により定義される。
F=L/(M×H) (1)
ここで、Fは溶媒bについての透過流束(kg/(m2×hr))であり、Lは透過した溶媒bの量(kg)であり、Mは正浸透膜oの表面積(m2)であり、Hは時間(hr)である。
溶媒bが水である場合の透過流束は、一般に「透水量」と呼ばれ、例えば、処理液として純水を用い、誘導溶液として3.5重量%食塩水を用いて測定することができる。

0056

〈正浸透膜ユニットへの原料溶液a及び誘導溶dの導入〉
正浸透膜ユニットの原料液側空間Rには濃縮対象物である原料液aが導入され、誘導溶液側空間Dには誘導溶液dが導入される。これらの流れの方向は、向流でも並流でもよい。
正浸透膜ユニットの原料液側空間Rに導入される原料液aの流量は任意であるが、典型的な例として、正浸透膜ユニット中の正浸透膜の表面積1m2当たり、1分間当たり、50mL/(m2・分)以上1,500mL/(m2・分)以下の範囲を例示することができ、100mL/(m2・分)以上1,000mL/(m2・分)以下とすることが好ましい。

0057

正浸透膜ユニットの誘導溶液側空間Dに導入される誘導溶液dの流量は任意であるが、100mL/(m2・分)以上5,000mL/(m2・分)以下の範囲を例示することができ、500mL/(m2・分)以上2,000mL/(m2・分)以下とすることが好ましい。

0058

〈原料液a及び誘導溶液dの温度〉
第一の工程において、正浸透膜ユニットの原料液側空間Rに導入される原料液aの温度は、特に制限されないが、好ましくは3℃以上60℃以下であり、より好ましくは5℃以上50℃以下である。理由は定かではないが、原料液aの温度が3℃未満では透過流速が遅くなる場合があり、60℃以上では原料液a中の成分の一部が変性する場合が見られる。
正浸透膜ユニットの誘導溶液側空間Dに導入される誘導溶液dの温度は、特に限定されないが,好ましくは5℃以上60℃以下であり、より好ましくは10℃以上50℃以下である。理由は定かではないが、誘導溶液dの温度が5℃未満又は60℃を超える温度のときは、正浸透膜oを介して誘導溶液dから原料液aへ誘導物質が移動する量が多くなる場合が見られる。

0059

〈濃縮原料液cの浸透圧測定〉
上述したとおり、第一の工程によって得られる濃縮原料cは、第一の工程終了時の温度において測定した浸透圧が1.52MPa(15atm)以上65.9MPa(650atm)以下の範囲となるように調整される。
濃縮原料液cの浸透圧の測定は以下1〜3のいずれかの方法を用いて測定することができる。
1:第一の工程と同様の工程を経て、別に得た濃縮原料液cと同様の溶液を、半透膜を介して所定の濃度の無機塩水溶液と接触させ、30分後の各溶液の容量変化が5%以下となる時の無機塩水溶液の浸透圧を、濃縮原料液cの浸透圧とした。ここで、無機塩水溶液としては代表的に塩化ナトリウム水溶液又は塩化マグネシウム水溶液を用いてよい。無機塩水溶液の浸透圧は公知の浸透圧測定器(例えば、オガワ精機(株)製、OSK40BU200−240)を用いて測定することができる。測定限界値を超える場合には、例えば、無機塩溶液の重量%濃度による浸透圧の変化を測定し、少なくとも10点以上の点をプロットした後に、二次近似式を作成して算出することができる。
2:第一の工程を経て得た濃縮原料液cの一部を抜き出し、半透膜を介して所定の濃度の無機塩水溶液と接触させ、30分後の各溶液の容量変化が5%以下となる時の無機塩水溶液の浸透圧を、濃縮原料液cの浸透圧としてよい。
3:第一の工程を経て得た濃縮原料液cの一部を抜き出し、公知の浸透圧測定器(例えば、オガワ精機(株)製、OSK 40BU200−240)を用いて測定することができる。

0060

〈第二の工程〉
本発明の原料液濃縮システムにおける第二の工程では、第一の工程で得られた濃縮原料液cを凍結乾燥させ、更に濃縮された生成物fを得る。
本システムにおける凍結乾燥には、公知であるいずれの技術を使用してもよく、その典型的なプロセスに関しては前述したとおりである。

0061

〈誘導溶液再生工程〉
本実施形態の原料液濃縮システムにおいて任意に採用される誘導溶液再生工程は、以下のいずれかの工程であってよい。
希釈誘導溶液eから溶媒bを除去して、希釈誘導溶液eの濃縮物である再生誘導溶液gを得て、得られた再生誘導溶液gを誘導溶液dとして使用する工程(第一の誘導溶液再生工程、例えば図3の場合)、又は
誘導溶液dから溶媒bを除去して、誘導溶液dの濃縮物である濃縮誘導溶液hを得て、得られた濃縮誘導溶液hと希釈誘導溶液eとを混合して再生誘導溶液gを調製し、得られた再生誘導溶液gを誘導溶液dとして使用する工程(第二の誘導溶液再生工程、例えば図4の場合)。

0062

第一の誘導溶液再生工程における希釈誘導溶液eからの溶媒bの除去、及び第二の誘導溶液再生工程における誘導溶液dからの溶媒bの除去は、それぞれ、例えば、蒸発手段によって行われてよい。蒸発手段としては、例えば、蒸留プロセス、正浸透プロセス、膜蒸留プロセス等を用いることができる。
蒸留プロセスとは、希釈誘導溶液e又は誘導溶液dを所定の温度に調整した後、蒸留塔送入し、塔頂部から溶媒bを得るとともに、塔底部からは、溶媒bが除去されて濃縮された希釈誘導溶液である再生誘導溶液g、又は溶媒bが除去されて濃縮された誘導溶液である濃縮誘導溶液hを得る工程である。

0063

正浸透プロセスとは、希釈誘導溶液e又は誘導溶液dを正浸透膜と接触するように流通させて、希釈誘導溶液e又は誘導溶液dに含有される溶媒bが正浸透膜を通過して除去されるように構成することにより、溶媒bと、再生誘導溶液g又は濃縮誘導溶液hとに分離する工程である。
膜蒸留プロセスでは、半透膜によって液相部と気相部とに分割された分離室を有する膜ユニットを用いる。膜蒸留用の膜ユニットの液相部に希釈誘導溶液e又は誘導溶液dを導入し、気相部を減圧とすることにより、希釈誘導溶液e又は誘導溶液dに含有される溶媒bが、液相部から半透膜を通過して減圧の気相部に移動する。これによって希釈誘導溶液e又は誘導溶液dから溶媒bを除去して、再生誘導溶液g又は濃縮誘導溶液hを得ることができる。

0064

希釈誘導溶液の再生プロセスとしては、設備サイズが小さい点で、正浸透膜を用いる正浸透プロセス、又は半透膜を用いる膜蒸留プロセスが好ましく、希釈誘導溶液e又は誘導溶液dから溶媒bへの誘導物質の移動を抑制できる点で、半透膜を用いる膜蒸留プロセスであることがより好ましい。
以下、膜蒸留プロセスに使用される要素について説明する。

0065

〈膜蒸留プロセスの半透膜〉
膜蒸留プロセスに用いる半透膜の形状としては、例えば、中空糸状、平膜状、スパイラル膜状等が挙げられる。
平膜状の半透膜は、例えば、単一の層から構成されるものであってもよいし、支持層と、該支持層上の分離活性層とを有するものであってもよい。中空糸状の半透膜は、例えば、単一の層から構成される中空糸であってもよいし、中空糸状の支持層と、該支持層の外表面若しくは内表面、又はこれらの双方の面上の分離活性層とを有するものであってもよい。
半透膜における支持層及び分離活性層の素材は、それぞれ、第一の工程における正浸透膜oについて上記に例示した素材から選択される任意のものから構成されていてよい。

0066

半透膜の、溶媒bについての透過流束は、1kg/(m2×hr)以上200kg/(m2×hr)以下であることが好ましい。この透過流束が1kg/(m2×hr)未満であれば、溶媒bの効率的な分離が損なわれる場合があり、200kg/(m2×hr)を超えると、誘導溶液dから半透膜を通過して溶媒bへ移動する誘導物質の量が多くなる場合がある。
この透過流束は、第一の工程における正浸透膜oの、溶媒bについての透過流束と同様に定義される。

0067

〈膜蒸留プロセスに導入される希釈誘導溶液e又は誘導溶液dの温度〉
希釈誘導溶液e又は誘導溶液dは、液相部に導入される前に、20℃以上90℃以下の範囲に温度調整されていることが好ましい。この温度が20℃未満であれば、膜蒸留による溶媒bの分離の効率が損なわれる場合があり、90℃を超えると、希釈誘導溶液e又は誘導溶液流dに含まれる誘導物質が、半透膜を通過して溶媒bへ移動する量が増大する場合がある。
希釈誘導溶液e又は誘導溶液流dを加熱するための熱源として、例えば熱交換器を用いることができ、又は産業プロセス等の排熱を用いることができる。熱源として排熱を利用すると、溶媒bの分離のために新たに消費されるエネルギー量を削減することができるため、好ましい。

0068

〈膜蒸留プロセスにおける気相部〉
膜蒸留プロセスに用いる膜蒸留用の膜ユニットの気相部は、所定の圧力まで減圧されていることが好ましい。気相部の圧力は、装置のスケール、誘導溶液流dの濃度、所望の溶媒bの生成速度等に応じて適宜に設定されてよいが、例えば、0.1kPa以上80kPa以下とすることが好ましく、1kPa以上50kPa以下とすることがより好ましい。
膜蒸留用の膜ユニットの気相部を減圧するための減圧装置としては、例えば、ダイアフラム真空ポンプドライポンプ油回転真空ポンプエジェクタアスピレーター等が挙げられる。

0069

〈誘導溶液再生工程で得られる製品
第一の誘導溶液再生工程によると、希釈誘導溶液eから溶媒bが分離されて、濃縮された希釈誘導溶液である再生誘導溶液gとなり、膜蒸留用の膜ユニットから排出される。得られた再生誘導溶液gは、必要に応じて希釈誘導溶液eと混合されて所定の濃度に調整されたうえで、誘導溶液dとして再利用することができる。再生誘導溶液gの再利用の際、冷却装置を用いて再生誘導溶液gの温度を調整してもよい。
第二の誘導溶液再生工程によると、誘導溶液dから溶媒bが分離されて、濃縮された誘導溶液である濃縮誘導溶液fとなり、膜蒸留用の膜ユニットから排出される。得られた濃縮誘導溶液hは、希釈誘導溶液eと混合されて所定の濃度に調整されて再生誘導溶液gとなり、これをそのまま誘導溶液dとして再利用することができる。濃縮誘導溶液hの再利用の際、冷却装置を用いて濃縮誘導溶液hの温度を調整してもよい。
上記における冷却装置としては、例えば、チラー、熱交換器等を用いることができる。
誘導溶液再生工程によって誘導溶液dから分離された溶媒bは、必要に応じて再利用してよい。

0070

〈本発明の原料液濃縮システムの成分維持性〉
上記のような本発明の原料液濃縮システムによると、原料液に含有される成分の組成が実質的に維持された高濃度の濃縮物を効率的に得ることができる。
得られた濃縮物中の成分の分析は、原料液及びその濃縮物に含まれる成分の種類に応じて適宜に選択されてよい。例えば、ICP−MS(誘導結合高周波プラズマ質量分析)、核磁気共鳴分光(NMR)法、ガスクロマトグラフィー質量分析GC/MS)法、比色法蛍光法高速液体クロマトグラフHPLC)等の各種の公知の分析方法を用いることができる。

0071

以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
以下の実施例は、図4に示した構成の原料液濃縮システムを使用して実施した。

0072

《原料液濃縮システムの作製》
〈正浸透膜oを有する正浸透膜ユニットの作製〉
(1)中空糸状支持膜モジュールの作製
ポリエーテルスルホン(BASF社製、商品名「Ultrason」)をN−メチル−2−ピロリドン和光純薬(株)製)に溶解して、20質量%の中空糸紡糸原液を調製した。二重紡口装備した湿式中空糸紡糸機に上記の原液充填し、水を満たした凝固槽中に押し出し、相分離により中空糸を形成した。得られた中空糸は、巻き取り機に巻き取った。得られた中空糸の外径は1.0mm、内径は0.7mm、内表面の微細孔の径は0.05μm、透水性能は1,020kg/(m2×hr)/100kPaであった。
この中空糸を支持層として用いた。
上記中空糸状の支持層1,750本を束ねた糸束を、5.5cm径、50cm長の円筒プラスチックハウジングに充填し、両端部を接着剤で固定することにより、図1に示した構造を有する、有効膜内表面積1.65m2の中空糸状支持層のモジュールを作製した。

0073

(2)正浸透膜ユニットの作製
10L容器に、m−フェニレンジアミン100g及びラウリル硫酸ナトリウム8gを入れ、更に純水4,892gを加えて溶解し、界面重合に用いる第1溶液を5kg調製した。
別の10L容器に、トリメシン酸クロリド8gを入れ、n−ヘキサン3,992gを加えて溶解し、界面重合に用いる第2溶液4kgを調製した。
上記で製造した中空糸状支持層のモジュールのコア側(中空糸の内側)に第1溶液を充填し、30分静置した後に液を抜いて、中空糸の内側に第1溶液の薄い液膜を形成した。この状態で、第2溶液をコア側に1.75L/分の流量で3分間送液し、界面重合を行った。重合温度は25℃とした。
次いで、中空糸状支持膜モジュールのコア側に50℃の窒素を30分流してn−ヘキサンを蒸散除去した。更に、シェル側及びコア側の双方を純水にて洗浄することにより、中空糸状の正浸透膜oを有するモジュールである正浸透膜ユニットを作製した。

0074

この正浸透膜ユニットの透水量は、処理液として純水を用い、誘導溶液として3.5質量%食塩水を用いた場合、10.12kg/(m2×hr)であった。

0075

凍結乾燥チャンバー
第二の工程における凍結乾燥チャンバーとしては東京理科器械(株)製の角型ドライチャンバー(DRC−1000)を用い、同社製凍結乾燥機FDU−2110)と連結して第二の工程を行った。

0076

〈希釈誘導溶液再生手段〉
膜蒸留ユニットの作製)
誘導溶液再生工程における希釈誘導溶液濃縮手段としては、以下のように作製した膜蒸留ユニットを使用した。
平均一次粒径0.016μm、比表面積110m2/gの疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、AEOSIL−R972)23質量部とフタル酸オクチル(DOP)31質量部とフタル酸時ブチル(DBP)6質量部とをヘンシェルミキサーで混合し、これに重量平均分子量が310,000のポリフッ化ビニリデン(SOLVAY社製、Solef(登録商標)6010)40質量部を添加し、再度ヘンシェルミキサーで混合した。この混合物を2軸混練押し出し機で混合し、ペレット化した。
得られたペレットを、2軸混練押し出し機により240℃にて溶融混練し、中空糸状に押出して中空繊維を得た。このとき、押出機先端のヘッド内の押出口に、中空糸成形用紡口を装着し、その押出面にある溶融物押出用円環穴から上記溶融物を押し出して押出物を得ると同時に、溶融物押出用円環穴の内側にある中空部形成流体吐出用円形穴から窒素ガス吐出させ、押出物の中空部内に流通させることにより、中空糸状の押出物を得た。得られた中空糸状押出物は、空走距離20cmにて水浴(40℃)中に導入し、20m/分の速度で巻き取った。

0077

得られた中空糸状押出物を、連続的に一対の第一の無限軌道式ベルト引き取り機で20m/分の速度で引き取り、空間温度40℃に制御した第一の加熱槽(0.8m長)を経由させた。その後、第一の無限軌道式ベルト引き取り機と同様の第二の無限軌道式ベルト引き取り機で40m/分の速度で引き取り、2.0倍に延伸した。次いで、空間温度80℃に制御した第二の加熱槽(0.8m長)を経由させた後に、20℃の冷却水槽の水面にて、周期的に曲げつつ冷却した。その後、第三の無限軌道式ベルト引き取り機で30m/分の速度で引き取り、1.5倍まで延伸糸収縮させた後、周長約3mのカセで巻き取った。冷却水槽の水面における周期的な折り曲げは、一対の、周長が約0.20mであり、かつ4山の凹凸ロールを用い、170rpmの回転速度で中空糸を連続的に挟むことにより行った。

0078

巻き取った中空糸状押出物を塩化メチレン中に浸漬して、中空糸状押出物中のDOP及びDBPを抽出除去した後、乾燥させた。次いで、50質量%エタノール水溶液中に浸漬した後、5質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃にて1時間浸漬して、中空糸状押出物中のシリカを抽出除去した。その後、水洗し、乾燥して中空糸を得た。得られた中空糸の外径は1.25mm、内径は0.68mm、内表面の微細孔の径は0.1μmであった。この中空糸を膜蒸留用の半透膜として用いた。上記中空糸から成る半透膜4,700本を、13cm径、75cm長の円筒状プラスチックハウジングに充填し、両端部を接着剤で固定することにより、有効膜内表面積7.5m2の膜蒸留ユニットを作製した。

0079

この膜蒸留ユニットの透水量は、処理液として3.5質量%食塩水を用いた場合、20.02kg/(m2×hr)であった。

0080

〈茶抽出液の濃縮液
茶抽出液としては、緑茶茶葉抽出液を用いた。
溶媒bとしては水を使用した。

0081

《GC/MS測定条件》
以下の実施例及び比較例の成分分析におけるガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)の測定は、以下の条件で行った。
GC装置:Agilent社製、型番「7890A」
MS装置日本電子(株)製、型番「JMS Q−1000」
カラム:Agilent社製、品名「J&W DB−5」、30m×0.25mmI.D.×液相厚0.25μm)
カラム昇温条件:40℃にて2分保持した後、10℃/分で190℃まで昇温、その後30℃/分で250℃まで昇温し、250℃にて6分保持して終了
キャリアガスヘリウム
キャリアガス流量:1mL/min
注入口温度:250℃
インターフェース温度:280℃
スプリット比スプリットレス
イオン源温度:230℃
イオン化法電子イオン化法
イオン化電圧:70eV
測定質量範囲:10〜500

0082

《実施例1〜6及び比較例1〜6》
実施例1〜6及び比較例1〜6では、コーヒー抽出液の濃縮を行った。
原料液aとしてのコーヒー抽出液は、以下のように調製した。
ドリップ式コーヒーフィルター付きの容量1.2LのSUS304製密閉容器を十分に予熱した後、コーヒー豆粉砕物((株)ドトールコーヒー製)70gを入れ、85℃の湯100mLを入れて1分間蒸らした後、85℃の湯900mLを加えて10分間コーヒー成分を抽出した。得られた抽出液の0.5Lを、密閉系のままフィルターでろ過しながら容量1LのPTFE製タンク移送して25℃まで冷却することにより、コーヒー抽出液を得た。この操作を繰り返し、8Lのコーヒー抽出液を得た。

0083

〈実施例1〉
実施例1では、図5に示した構成の原料液濃縮システムを使用して上記のコーヒー抽出液の濃縮を行った。循環機構は、必要に応じて使用した。

0084

(1)第一の工程
図5に示した原料液濃縮システムにおける、第一の工程の正浸透膜ユニットに、原料液a(コーヒー抽出液)を流速2L/分で、誘導溶液dを流速は7L/分で、それぞれ流した。このとき、原料液aの温度が25℃に保ち、クロスフロー方式でろ過が行われるように設定した。
誘導溶液dとしては、誘導物質として塩化マグネシウム20質量%を含有する水溶液を使用した。
第一の工程の実施時間は、必要に応じて循環機構を用いて循環させながら原料液aを濃縮したときに、所定の浸透圧を示す濃度まで原料液aの全量(8L)を濃縮するのに要した時間とし、ただし最長で12時間とした。12時間以内に所定の濃度まで濃縮できなかった場合は、開始後12時間で第一の工程を終了し、その時点の濃縮原料液cをそのまま第二の工程に供した。正浸透膜ユニットを1回通過させただけで所定の濃度まで濃縮できた場合は、循環機構を使用しなかった。
第一の工程を経て得られた濃縮原料液cの一部を抜き出し、市販の浸透圧測定器(オガワ精機(株)製、OSK40BU200−240)を用いて、濃縮原料液cの浸透圧を測定した。

0085

(2)第二の工程
図4に示した原料液濃縮システムにおける第二の工程では、第一の工程で得られた濃縮原料液cを凍結乾燥チャンバー内に導入し、−40℃で予備凍結した後、凍結乾燥機にて10Pa以下に減圧して凍結乾燥した。凍結乾燥機は1台のみを使用し、一度に最大で2Lまでの濃縮原料液cの凍結乾燥を行った。例えば、実施例1の場合、濃縮原料液cの全容量は3,920mLであったため、これらを2,000mLと1,920mLの2回に分けて凍結乾燥させた。
濃縮原料液cの容量が2Lを超過した場合、2回目以降の液については、前回分の凍結乾燥が終わった後に、同じ機器を用いて凍結乾燥を行い、得られた凍結乾燥物の全量を合わせて生成物fとした。
その後、得られた生成物fの水分量が3質量%以下であることを、カールフィッシャー水分測定システム(メトローム社製、MATi10)にて確認した。

0086

(第二の工程の処理回数の評価)
もともと8Lであった原料液aの全量を第一及び第二の工程によって処理するために要した第二の工程の実施回数を数え、以下の基準で評価した。評価結果は、表1に示した。
A:8Lの原料液aを処理するために要した第二の工程の回数が1回又は2回。第一の工程による原料液aの濃縮の効率が極めて高かった場合である。
B:8Lの原料液aを処理するために要した第二の工程の回数が3回。第一の工程による原料液aの濃縮の効率が高かった場合である。
C:8Lの原料液aを処理するために要した第二の工程の回数が4回以上。第一の工程による原料液aの濃縮の効率が不足していた場合である。

0087

(3)誘導溶液再生工程
誘導溶液の誘導濃度を一定に保つための、誘導溶液再生工程には、上記で作製した膜蒸留ユニットを用いた。
誘導溶液再生工程の膜蒸留ユニットに、希釈誘導溶液eを流速4L/分にて流し、膜蒸留ユニットの気相部の圧力が絶対圧で10kPaになるように真空ポンプで調節して、膜蒸留を行い、濃縮誘導溶液hを得た。
第一の工程で得られた希釈誘導溶液eと、膜蒸留で得られた濃縮誘導溶液hとを、バッファタンク中で混合して誘導溶液dを調製(再生)し、第一の工程で循環使用した。

0088

(コーヒー抽出液の濃縮物の成分評価)
得られた生成物(凍結乾燥物)1mgに水を1ml加えて得られた溶液を試料として用いた。試料1mLを容量20mLのヘッドスペースボトルに入れ、窒素パージして、80℃にて1時間加熱した後、気相部分について15分間の固相マイクロ抽出(SPME)を行ったうえで、GC/MS分析に供した。
上記の気相部分に存在する全有機成分を香気成分として、その定量を行い、香気成分の維持率(質量%)を調べ、成分減少率換算して、以下の基準で評価した。評価結果は、表1に示した。
A:比較例1(後述)で得られた生成物の成分減少率を100%としたときに、成分減少率が80%以下であった場合。
B:比較例1で得られた生成物の成分減少率を100%としたときに、成分減少率が80%を超え90%未満であった場合。
C:比較例1で得られた生成物の成分減少率を100%としたときに、成分減少率が90%以上であった場合。

0089

〈実施例2〜6〉
第一の工程において、使用した誘導溶液d中の誘導物質の種類及び濃度、並びに第一の工程による濃縮時の温度を、それぞれ表1に記載のとおりとした他は、実施例1と同様にして、コーヒー抽出液の濃縮を行い、各種の評価を行った。評価結果は表1に示した。

0090

〈比較例1〜6〉
比較例1では、第一の工程を行わずに、原料液aとしてのコーヒー抽出液を、直接第二の工程の凍結乾燥に供した。
比較例2では、第一の工程の代わりに蒸留塔を用い、100℃にて蒸留操作を行った。
比較例3では、第一の工程の代わりに減圧システムを組み込んだ蒸留塔を用い、50℃、10.7〜13.3kPa(80〜100Torr)にて減圧蒸留を行った。
比較例4では、第一の工程の代わりに逆浸透膜法を用いた。逆浸透膜には日東電工(株)製の品番NTR−759HR」)を用い、3.0MPaの操作圧力にて原料液aを濃縮した。
比較例5では、第一の工程の代わりに限外ろ過法を用いた。限外ろ過膜としては、Hydrosart(登録商標)/Sartocon Slice Casset(排除限界分子量:10K、膜面積:0.1m2、材質再生セルロース膜、SartoriusAG社製)を膜ホルダー(Sartcon Slice Holder、Sartorius AG社製)に装着して用い、ポンプ(リキポートNE1.300、KNE社製)を用いて膜間差圧(TMP)約0.05MPaの条件下で、クロスフロー式ろ過法による処理を行った。
比較例6においては、実施例2と同様に第一の工程を行った後に、得られた濃縮原料液aを深さ10cmのポリ容器に入れ、湿度30%RH、25℃に調節された高温恒湿室中に3週間静置し、自然乾燥させた。
得られた生成物について、実施例1と同様にして評価を行った結果を、表1に示した。

0091

《実施例7及び比較例7〜11》
実施例1〜6及び比較例1〜6では、L−アラニル−L−グルタミン水溶液の濃縮を行った。
原料液aとしてのL−アラニル−L−グルタミン水溶液は、以下のように調製した。
市販のL−アラニル−L−グルタミン(白色粉末状態、ナカライテスク(株)製)100gを25℃のイオン交換水1Lに溶解させて、100g/LのL−アラニル−L−グルタミン水溶液を得た。同様の操作を繰り返し、8LのL−アラニル−L−グルタミン水溶液を得た。

0092

〈実施例7〉
原料液aとして、コーヒー抽出液の代わりに上記のL−アラニル−L−グルタミン水溶液を使用し、誘導溶液dとして塩化マグネシウム35質量%を含有する水溶液を使用した他は、実施例1と同様にして、原料液aの濃縮を行い、各種の評価を行った。L−アラニル−L−グルタミン水溶液濃縮物の成分評価は、下記の方法によった。その他の評価は、実施例1と同様に行った。評価結果は表2に示した。

0093

(L−アラニル−L−グルタミン水溶液の濃縮物の成分評価)
得られた生成物(凍結乾燥物)の全量を、イオン交換水8Lに溶解させて希釈して得られた希釈液を試料として、1H−NMRによる分析を行った。1H−NMRの測定条件は以下のとおりである。
測定装置:ブルカー・バイオスピン(株)社製、「AVANCE500」(500MHz)
試料量:10μL
溶媒:DEUTERIUM OXIDE+0.1%TMSP(euriso−top社製)700μL
内部標準物質:3−(トリメチルシリル)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(DSS、東京化成工業(株)製)、0.004mol/L
得られた1H−NMRスペクトルにおいて、0ppm付近のDSSのメチル基ピーク面積に対する、1.52ppm付近のアラニルグルタミンのメチル基のピーク面積の比を定量して、アラニルグルタミンの濃度を求め、濃縮前の原料液aからの成分減少率を算出し、以下の基準で評価した。
A:比較例7(後述)で得られた生成物の成分減少率を100%としたときに、成分減少率が80%以下であった場合。
B:比較例7で得られた生成物の成分減少率を100%としたときに、成分減少率が80%を超え90%未満であった場合。
C:比較例7で得られた生成物の成分減少率を100%とした時に、成分減少率が90%以上であった場合。

0094

〈比較例7〜11〉
比較例7では、第一の工程を行わずに、原料液aとしてのL−アラニル−L−グルタミン水溶液を、直接第二の工程の凍結乾燥に供した。
比較例8〜11では、本発明所定の第一の工程の代わりに、蒸留法、減圧蒸留法、逆浸透法、及び限外ろ過法をそれぞれ行った後、第二の工程に供した。これらの比較例における蒸留法、減圧蒸留法、逆浸透法、及び限外ろ過法の条件は、それぞれ、比較例2〜5におけるのと同様である。
得られた生成物について、実施例7と同様にして評価を行った結果を、表2に示した。

0095

《実施例8及び9、並びに比較例12〜16》
実施例8及び9、並びに比較例12〜16では、茶抽出液の濃縮を行った。
原料液aとしての茶抽出液としては、緑茶の茶葉をお湯で抽出した液を用いた。

0096

〈実施例8及び9〉
原料液aとして、コーヒー抽出液の代わりに上記の茶抽出液を使用し、誘導溶液dとして塩化マグネシウムを25質量%(実施例8)又は35質量%(実施例9)を含有する水溶液を使用した他は、実施例1と同様にして、原料液aの濃縮を行い、各種の評価を行った。茶抽出液濃縮物の成分評価は、下記の方法によった。その他の評価は、実施例1と同様に行った。評価結果は表3に示した。

0097

(茶抽出液の濃縮物の成分評価)
得られた濃縮物(凍結乾燥物)を水に溶解させた希釈液を試料としてGC/MS分析に供し、トータルイオンクロマトグラムのピーク面積から、各風味成分の濃度をβ−イオノン濃度に対する相対値として求めた。具体的には、以下の操作によった。
得られた濃縮物1mgを1mLのイオン交換水に溶解させた希釈液をヘッドスペース用の20mLスクリューバイヤルにとり、セプタム付きスクリューキャップにより密閉して、80℃において15分間加熱した。次いで、SIGMA−ALDRIC製のSPME Fiber(膜厚65μm、コーティング層ポリジメチルシロキサンジビニルベンゼン)を、キャップのセプタムを介してバイヤル中に差し込み、80℃において15分間揮発成分を捕集した。捕集した揮発成分を、SPME FiberからGC/MSに導入し、GC/MS分析を行って定量し、得られた値を成分減少率に換算して、以下の基準で評価した。評価結果は、表3に示した。
A:比較例12(後述)で得られた生成物の成分減少率を100%としたときに、成分減少率が80%以下であった場合。
B:比較例12で得られた生成物の成分減少率を100%としたときに、成分減少率が80%を超え90%未満であった場合。
C:比較例12で得られた生成物の成分減少率を100%とした時に、成分減少率が90%以上であった場合。

0098

〈比較例12〜16〉
比較例12では、第一の工程を行わずに、原料液aとしての茶抽出液を、直接第二の工程の凍結乾燥に供した。
比較例13〜16では、本発明所定の第一の工程の代わりに、蒸留法、減圧蒸留法、逆浸透法、及び限外ろ過法をそれぞれ行った後、第二の工程に供した。これらの比較例における蒸留法、減圧蒸留法、逆浸透法、及び限外ろ過法の条件は、それぞれ、比較例2〜5におけるのと同様である。
得られた生成物について、実施例8及び9と同様にして評価を行った結果を、表3に示した。

0099

0100

0101

0102

表1〜3を参照すると、比較例1〜16で得られた濃縮生成物の成分維持性が「B」評価又は「C」評価であったのに対して、実施例1〜9における成分維持性はいずれも「A」評価であり、本発明の濃縮方法によって、原料液の成分組成を維持したまま高効率の濃縮を行えることが検証された。

0103

第一の工程を行わず、原料液を直接凍結乾燥に供した比較例1、7、及び12においては、8Lの原料液を凍結乾燥するために4回の処理回数を必要とした。
これらの比較例における成分維持率を基準として、各実施例及び比較例の濃縮効率を比較した。
第一の工程に蒸留法を採用した比較例2、8、及び13においては、成分の変質及び減少が著しく、例えばコーヒー抽出液の濃縮を行った比較例2においては、凍結乾燥のみを経た比較例1の場合と比べた成分減少率が197%に達した(評価「C」)。おそらく、蒸留時の加熱の影響と思われる。

0104

第一の工程に減圧蒸留法を採用した比較例3、9、及び14においては、成分の変質及び減少があった。例えばコーヒー抽出液の濃縮を行った比較例3においては、凍結乾燥のみを経た比較例1の場合と比べた成分減少率が188%に達した(評価「C」)。おそらく、成分の変質は減圧蒸留時の加熱に起因し、成分の現象排気に起因するものと思われる。
第一の工程に逆浸透法を採用した比較例4、10、及び14においては、逆浸透膜の目詰まりが頻繁に見られ、透水量の低下が著しかった。例えばコーヒー抽出液の濃縮を行った比較例4においては、濃縮初期の透水量は 26.2kg/(m2×hr)であったが、透水量は経時的に著しく低下し、8Lのコーヒー抽出液の濃縮を行った後には、0.1kg/(m2×hr)まで減少し、濃縮操作による逆浸透膜の目詰まりが大きいことが確認された。12時間の運転後に得られた濃縮原料液cの量は6Lであり、凍結乾燥処理は3回を要した。凍結乾燥のみを経た比較例1の場合と比べた成分減少率は92%であった(評価「C」)。

0105

第一の工程に限外ろ過法を採用した比較例5、11、及び12においては、限外ろ過膜の目詰まりが頻繁に見られ、透水量の低下が著しかった。例えばコーヒー抽出液の濃縮を行った比較例5においては、濃縮初期の透水量は 120kg/(m2×hr)であったが、透水量は経時的に著しく低下し、8Lのコーヒー抽出液の濃縮を行った後には、10kg/(m2×hr)であり、濃縮操作による限外ろ過膜の目詰まりが大きいことが確認された。12時間の運転後、得られた濃縮原料液cの量は2Lであった。しかし、濃縮生成物cの浸透圧は低かった。また、凍結乾燥のみを経た比較例1の場合と比べて、成分の減少が著しく、濃縮後にはほとんど観測されない成分もあった。限外ろ過法によって、原料液a中の成分の多くが流出してしまったためと考えられる。

0106

比較例16は、第一の工程に正浸透法を採用したが、第二の工程の代わりに自然乾燥法を採用してコーヒー抽出液の濃縮を行った比較例である。
比較例16では、第一の工程で得られた約3,900mLの濃縮生成物cを自然乾燥させたが、3週間後であっても生成物の水分量は23質量%を示した。第二の工程の代わりに自然乾燥法を採用すると、水分量3質量%以下の完全乾燥に至らないだけでなく、凍結乾燥のみを経た比較例1の場合と比べて、成分の減少が著しく、濃縮後にはほとんど観測されない成分もあった。

実施例

0107

これらの比較例に対して、本発明所定の第一及び第二の工程を採用した実施例1〜9においては、第一の工程によって所定の浸透圧の浸透圧まで濃縮することが可能であり、それによって第二の工程を経る容量が減容され、第二の工程の処理回数を減らすことが可能であった。また、得られた生成物の成分減少率も低く抑えられることが確認された。

0108

a原料液
b溶媒
c濃縮原料液
d誘導溶液
e希釈誘導溶液
f生成物
g再生誘導溶液
h濃縮誘導溶液
o正浸透膜
D 誘導溶液側空間
P浸透圧測定位置
R 原料液側空間

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