図面 (/)

技術 電力系統安定化システム

出願人 株式会社東芝東芝エネルギーシステムズ株式会社
発明者 石原祐二中村正石橋哲井上泰典木村操下尾高廣山嵜朋秀
出願日 2019年2月13日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2019-023790
公開日 2020年8月31日 (5ヶ月経過) 公開番号 2020-137164
状態 未査定
技術分野 給配電網の遠方監視・制御 交流の給配電
主要キーワード 高速バルブ 制御量情報 事前演算 電源制限 解析条件設定 組合せ候補 効果指標 発電機数
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年8月31日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

中央演算装置における事前演算の処理を、より高速に行うことができる電力系統安定化システムを提供する。

解決手段

実施形態の中央演算装置は、現在の系統情報収集して解析用系統モデルを作成し複数の想定事故について過渡安定度演算を実施し電力系統の安定度維持に必要な電制機を選択して制御テーブルに設定し当該制御テーブルを送信することを繰り返し行い、想定事故の監視点それぞれについて潮流計測し、計測した監視点潮流を用いて前回演算で求めた電制機選択結果を採用した場合に不足制御となる可能性を判定し、不足制御になる可能性があると判定した想定事故を他の想定事故より優先して演算する。

概要

背景

従来、発電機や電力系統間の脱調現象同期外れを起こし不安定な運転状態になること)の発生を未然に防止する系統脱調事故波及防止リレーシステム(以下、電力系統安定化システム)に関する技術が開示されている(例えば、非特許文献1)。非特許文献1において開示されているオンライン事前演算型の電力系統安定化システムは、オンライン入手した系統情報(例えば、接続状態需給状態を含む)を用いて、予め設定した想定事故毎に過渡安定度演算を実施して、想定事故毎の制御内容を決定し、その決定結果に基づいて制御テーブルを設定する。電力系統安定化システムは、実際に事故が発生した場合、事故種別と制御テーブルとを照合して制御を実施する。

なお、制御内容とは事故発生時に解列する(電力系統から切り離すことであり、以下では「遮断」または「電制」と表現する場合がある)発電機である。また、事故の影響が電力系統全体に波及するのを防止するために一部の発電機を電力系統から強制的に遮断する制御のことを電源制限、または電制と称する。なお、以下の説明において、電源制限の対象として選択された発電機のことを電制機、電制機を決定する処理のことを電制機選択と称する。なお、制御内容には、電源制限に加え、発電機の加速を抑制するタービン高速バルブ制御(EVA;Early Valve Actuation)が含まれてもよい。

図1は、従来のオンライン事前演算型の電力系統安定化システムSSの構成図である。電力系統安定化システムSSは、例えば、中央演算装置9と、中央制御装置10と、事故検出端末装置11と、制御端末装置12とを備える。

なお、中央演算装置9は、「中央演算装置(事前演算部)」と称される場合があり、その際、中央制御装置10は、「中央演算装置(事後制御部)」と称される場合がある。なお、中央演算装置9および中央制御装置10は、それぞれの機能を統合してひとつの装置として構成される場合がある(例えば、特許文献1)。

中央演算装置9は、例えば、系統情報収集手段101と、系統モデル作成手段102と、解析条件設定手段103と、安定度判定手段104と、電制機選択手段105と、記憶装置150とを備える。記憶装置150は、例えば、中央演算装置9において実行されるプログラムや、系統設備データ151と、想定事故種別データ152と、電制機選択パターン153と、制御テーブル154などを記憶する。

系統情報収集手段101は、給電情報網Nを介して電力系統Eから入力された系統情報(給電用オンラインデータ)を収集する。系統設備データ151には、例えば、電力系統Eを構成する発電機や送電線変圧器など各種設備インピーダンスなどの情報が含まれる。系統情報とは、例えば、電力系統Eの接続状態や、電力の需給状態、潮流状態に関する情報である。一定の周期または系統情報の更新周期で、給電情報網Nから提供される系統情報は、系統情報収集手段101により収集される。系統情報収集手段101は、収集した系統情報を系統モデル作成手段102に出力する。

系統モデル作成手段102は、例えば、系統情報収集手段101から入力された系統情報と、系統設備データ151に基づいて、今回処理サイクル系統状態を表す解析用系統モデルを作成する。系統モデル作成手段102は、作成した解析用系統モデルを、解析条件設定手段103に出力する。

解析条件設定手段103は、例えば、系統モデル取得部103aと、解析条件設定部103bとを備える。系統モデル取得部103aは、系統モデル作成手段102により作成された解析用系統モデルを取得する。解析条件設定部103bは、系統モデル取得部103aにより取得された解析用系統モデルと、想定事故種別に関する定義が格納された想定事故種別データ152(図7参照)を参照して得られた想定される事故種別のデータとに基づいて、解析条件を設定する。解析条件には、例えば、想定事故種別に対しての発生時に制御を行う電制機の組合せの情報が含まれる。想定事故種別には、例えば、事故を監視する監視点(例えば、送電線等)と、その事故様相とを示す情報が含まれる。解析条件設定部103bは、設定した解析条件を、安定度判定手段104に出力する。

安定度判定手段104は、解析条件設定部103bから出力された解析条件に基づいて、過渡安定度演算を行う。

安定度判定手段104は、例えば、解析条件取得部104aと、過渡安定度演算部104bと、安定度判定部104cとを備える。

解析条件取得部104aは、解析条件設定手段103により設定された解析条件を取得する。過渡安定度演算部104bは、解析条件取得部104aにより取得された解析条件に対して、電力系統に並列する発電機が同期を保って運用できるかをシミュレーションする過渡安定度演算を行う。安定度判定部104cは、過渡安定度演算部104bにより得られた過渡安定度演算の結果に基づいて、各解析条件において脱調現象を生じることなく電力系統を安定に運用できるか否かを判定する。脱調する発電機がある場合に不安定、すべての発電機が同期運転を保てる場合は安定と判定する。安定度判定部104cは、安定度に関する判定結果を電制機選択手段105に出力する。

電制機選択手段105は、例えば、電制機選択部105aと、制御テーブル設定部105bとを備える。

電制機選択部105aは、安定度判定部104cにより出力された各想定事故種別が発生した際の安定度に関する判定結果に基づいて制御対象となる電制機を選択する。電制機選択部105aは、例えば、安定度判定部104cにより出力された各想定事故種別が発生した際の過渡安定度演算結果から電制効果指標を演算し、その電制効果指標に基づいて優先順位付けした電制機の組合せ候補、あるいは予め記憶されている電制機選択パターン153に基づいて電制機を選択する。制御テーブル設定部105bは、電制機選択部105aにより選択された各想定事故種別における電制機の組合せに基づいて制御テーブルを設定して、制御テーブル154として記憶する。また、制御テーブル設定部105bは、設定した制御テーブルを中央制御装置10に送信する。

なお、制御テーブル154は、上述のように設定された制御テーブルに加え、少なくとも前回処理サイクルにおいて設定された制御テーブル(すなわち、過去の制御テーブル)が含まれる。以下の説明において、「前回制御テーブル」と称する。

電制機選択手段105は、電制機選択パターン153に基づいて電制機を選択する場合、安定度判定手段104において安定度が不安定であると判定された際、前回制御テーブルおよび電制機選択パターン153(図6参照)を参照して、前回処理時に選択した電制機選択パターンより制御量が次に多い電制機選択パターンを選択する。なお、制御量は、電制機として選択されている発電機の今回処理サイクルにおける出力の合計値として得る。

なお、上述した中央演算装置9の一連の処理は、所定の周期で繰り返し行われる。所定の周期とは、例えば、すべての想定事故種別について制御テーブル更新が完了する時間(例えば、15〜45[s]程度)である。また、所定の周期は、電力系統Eの規模や想定事故の種別の数、中央演算装置9の処理能力に基づいて電力系統安定化システムSSの管理者により設定されてもよい。

中央制御装置10は、例えば、電制機決定手段106と、記憶装置160とを備える。記憶装置160は、例えば、中央制御装置10において実行されるプログラムや、制御テーブル161などを記憶する。

電制機決定手段106は、例えば、制御テーブル取得部106aと、照合処理部106bとを備える。

制御テーブル取得部106aは、中央演算装置9により設定された制御テーブルを受信して、記憶装置160に制御テーブル161として記憶させる。照合処理部106bは、後述する事故検出端末装置11から電力系統Eの事故種別に関する情報を取得し、その事故種別に対応付いた想定事故種別における電制機の組合せを、制御テーブル161を照合して取得し、取得した電制機の組合せを実際の電制対象として決定し、電制機を制御する制御端末装置12へ電制指令を送信する。

事故検出端末装置11は、例えば、事故種別検出手段107を備える。事故種別検出手段107は、電力系統Eより系統情報を取得して、電力系統Eにおける系統事故の発生を検出し、さらに系統事故を検出した場合にはその事故種別を判別する。事故検出端末装置11は、系統事故の発生を検出すると、事故種別を判別して中央制御装置10に送信する。

制御端末装置12は、例えば、制御手段108を備える。制御手段108は、中央制御装置10より受信した電制指令に基づいて、対象の電制機に対する遮断指令を送信する。

図2は、電力系統安定化システムSSが設置された電力系統Eの構成図である。電力系統Eは、例えば、上述の電力系統安定化システムSSに加え、さらに、発電機1と、母線2と、送電線または変圧器3と、遮断器(CB)4と、電流計測器(CT)5と、電圧計測器VT)6と、事故除去リレーシステム7とを備える。

電力系統安定化システムSSの構成要素である中央演算装置9、中央制御装置10、事故検出端末装置11、および制御端末装置12は、図2に示されるように通信設備8(例えば、信号線通信装置など)により接続される。事故検出端末装置11は、例えば、変電所などに設置される。また、制御端末装置12は、例えば、発電所などに設置される。中央制御装置10は、他の装置との通信が可能な個所に設置されるが、事故検出端末装置11や制御端末装置12と同じ場所に設置されることもある。また、中央制御装置10には、事故検出端末装置11や制御端末装置12の機能を含めて構成されることがある。中央演算装置9は、系統情報をオンラインで入手できるよう中央給電指令所など給電情報網Nと接続可能な個所に設置される。

図3は、中央演算装置9による処理の流れの一例を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートの処理は、例えば、所定の周期で繰り返し実行される。

まず、系統情報収集手段101は、給電情報網Nを介して、電力系統Eの系統情報を収集する(ステップS100)。次に、系統モデル作成手段102は、収集された系統情報と系統設備データ151に基づいて状態推定計算や系統縮約等を行い(ステップS102)、電力系統Eの解析用系統モデルを作成する(ステップS104)。

次に、解析条件設定手段103は、ステップS104において作成された解析用系統モデルと想定事故種別データ152に基づいて解析条件を設定する(ステップS106)。次に、安定度判定手段104は、ステップS106において設定された解析条件の過渡安定度演算を行う(ステップS108)。

次に、安定度判定手段104は、ステップS108の過渡安定度演算の結果に基づき、想定事故種別が仮に発生した場合、電力系統Eが安定運転を維持できるか否かを判定する(ステップS110)。電制機選択手段105は、安定と判定しなかった場合、その想定事故種別における電制機の選択内容を変更して(ステップS112)、ステップS106に処理を戻す。この場合、ステップS106は、ステップS112で選択した電制機を電制する条件を含む解析条件を設定する。電制機選択手段105は、安定と判定した場合、すべての想定事故種別の安定度判定を完了したか否かを判定する(ステップS114)。すべての想定事故種別の安定度判定を完了していないと判定した場合、電制機選択手段105は、ステップS106に処理を戻し、次の想定事故種別の安定度判定を行う。すべての想定事故種別の安定度判定を完了したと判定した場合、電制機選択手段105は、制御テーブルを設定して(ステップS116)、本フローチャートの処理を終了する。

電制機選択(ステップ112)の処理には、電制効果指標に基づいて電制機を選択する方法と、予め記憶されている電制機選択パターン153の中から電制機の組み合わせを選択する方法がある。

図4は、電制効果指標に基づいて電制機を選択する電制機選択部105aの処理の流れの一例を示すフローチャートである。図4のフローチャートの処理は、図3に示すフローチャートのステップS112に対応付いた処理である。

まず、電制機選択部105aは、電制機候補を選択する(ステップS200)。より具体的には、電制機選択部105aは、電力系統安定化システムSSが制御可能な発電機、すなわち制御端末装置12が設置された発電機のうち、下記の数式(1)または数式(2)の判定条件を用いて、最初に発電機が不安定と判断された時点から、一定時間内に不安定と判定された発電機群を電制機の候補として選択する。

{δi(t)−δS(t)}≧δk ・・・(1)
{δi(t)−δS(t)}≧δk かつ {ωi(t)−ωS(t)}≧ωk
・・・(2)

ここで、δi(t)は時間tにおける電力系統E内の発電機の内部位相角、ωi(t)は時間tにおける電力系統E内の発電機の角速度、δS(t)は時間tにおける基準発電機の内部位相角、ωS(t)は時間tにおける基準発電機の角速度、iは発電機番号(i=1〜N;Nは電力系統Eの発電機数)、tは過渡安定度演算におけるシミュレーション時間、δkおよびωkはしきい値である。

ステップS200の処理の後、電制機選択部105aは、電制機の候補として選択された各発電機加速エネルギーを電制効果指標AEとして演算し(ステップS202)、電力系統Eの運用制約を考慮した重み係数を用いて電制効果指標AEを補正して(ステップS204)、電制効果指標AEが最大の発電機を追加する電制機として選択する(ステップS206)。以上、本フローチャートの処理の説明を終了する。

図5は、系統設備データ151に含まれる電制機候補になり得る発電機の情報、すなわち制御端末装置12が設置された発電機について、過渡安定度演算結果を用いて電制機候補を選択し電制効果指標AEを演算した結果の一例を示す図である。図中のxは自然数である。図示のように、例えば、選択優先順位と、電制機候補の発電機、内部位相角差角速度差、電制効果指標などの情報が含まれ、電制効果指標AEの高い発電機が優先的に選択されるように、選択優先順位が設定された情報が含まれる。

以上が、電制効果指標に基づいて電制機を選択する例である。

次に、予め記憶されている電制機選択パターン153の中から電制機の組み合わせを選択する電制機選択部105aの処理について述べる。

図6は、電制機選択部105aにより参照される電制機選択パターン153に含まれる内容の一例を示す図である。図中のNPは自然数である。電制機選択パターン153とは、例えば、制御端末装置12が設置された発電機のそれぞれに対して、各発電機の特性(例えば、安定化効果、経済性など)を考慮して電制機として選択する優先度があらかじめ定められたものである。電制機選択パターン153には、図示のように、制御量が少ない電制機選択パターンから制御量が多い電制機選択パターンまで、複数の電制機の組み合わせが定められる。

電制機選択手段105は、安定度判定手段104において安定度が不安定であると判定された場合、電制機選択パターン153を参照して、前回処理時に選択した電制機選択パターンの次に制御量が多い電制機選択パターンを選択する。

例えば、安定度判定手段104において安定度が不安定であると判定され、前回処理時に選択した電制機選択パターンが「3」である場合、電制機選択手段105は、制御量が次に多い電制機パターン「4」を選択する。なお、各発電機の出力は、例えば、制御端末装置12において計測されて中央演算装置9へ伝送された、または給電情報網Nを介して取得された系統情報であり、記憶装置150などに記憶される。

以上が、電制機選択パターンに基づいて電制機を選択する例である。

以下、説明を簡素化するために、電制機選択手段105は予め記憶されている電制機選択パターン153に基づいて電制機を選択する方法を基本に説明し、電制効果指標で優先順位付けした電制機候補から電制機を選択する場合の処理については補足説明に留める。

図7は、想定事故種別データ152に含まれる内容の一例を示す図である。図中のNFは自然数である。想定事故種別データ152には、例えば、想定事故種別を識別するための想定事故種別番号と、監視点と、監視点において検知される事故様相などの情報が含まれる。解析条件設定部103bは、例えば、系統モデル取得部103aにより取得された解析用系統モデルと、想定事故種別データ152に含まれる想定事故種別データと、電制機選択手段105で選択した電制機の組み合わせを用いて解析条件を設定する。

図8は、制御テーブル154に含まれる内容の一例を示す図である。制御テーブル154には、例えば、想定事故種別番号と、電制機などの情報が含まれる。なお、制御テーブル154には、後続の処理において安定度判定手段104において不安定であると判定された場合に早期に電制機選択パターン153を参照できるように、図示のように電制機選択パターン番号が含まれてもよい。

図8に示す制御テーブル154は、例えば、想定事故種別番号「1」の事故、すなわち図7に示すA変電所X送電線での3Φ6LG−Oの事故(図中の「3Φ6LG−O」等の情報は、事故様相を表すコードであり、これら事故番号、事故対応箇所、および事故様相の組み合わせを、以下、事故種別と記す)が発生した場合は図2に示した発電機1のうち発電機G1、G2およびG3を電制し、想定事故種別番号2の場合は発電機G2およびG3を電制することが設定されている。

このように、従来の電力系統安定化システムSSでは、すべての想定事故種別について、初めに電制機なしの解析条件で過渡安定度演算を行い、過渡安定度演算の結果が不安定な場合に電制機を追加し、結果が安定になるまで電制機選択と過渡安定度演算を繰り返し実施していた。すなわち、中央演算装置9は繰り返し実施する処理において、すべての想定事故種別を判定対象とし、電制機なしの解析条件から過渡安定度演算結果が安定となるまで電制機を順次追加して過渡安定度演算を繰り返し実施していた。このため、すべての想定事故種別の制御内容の演算が完了するまでにかかる時間が長く、その間に発生する系統状態変化が制御内容に反映されるのが遅くなり、制御内容に過不足が生じる恐れがあった。

特に、太陽光発電風力発電など自然エネルギー活用した再生可能エネルギー発電(以下、再エネ)の導入量が多い電力系統においては、気象条件の変化によって発電出力等の系統状態が急変することが想定される。オンライン事前演算型の電力系統安定化システムSSにおいて、電力系統Eの系統状態の変化が制御内容へ反映される前に系統事故が発生した場合、制御内容に過不足が生じ、制御量が不足した場合には安定度を維持できない恐れがある。このように、特に再エネの導入量が多い電力系統に適用するオンライン事前演算型の電力系統安定化システムにおいて、系統状態の変化を早期に制御内容へ反映するために、中央演算装置9による事前演算の高速化が求められており、事前演算の高速化に関する技術が多数開示されている(例えば、特許文献2〜4)。

例えば、特許文献2では、安定度判定手段104がスクリーニング簡易的な安定度判別処理)を行った後、スクリーニングで不安定と判別された想定事故種別については詳細な過渡安定度演算を行い、スクリーニングで安定と判定された想定事故種別については詳細な過渡安定度演算を省略することにより計算時間(演算時間)を短縮する技術について開示されている。しかしながら、特許文献2に開示された方式によれば、安定な想定事故種別は詳細な過渡安定度演算の対象としないため安定度判定手段104による安定度判定処理量を削減できるが、系統状態の変化によって不安定な想定事故種別、すなわち電制機選択が必要な想定事故種別が多数ある場合は処理負荷が増加し、処理時間が長くなる可能性がある。

例えば、特許文献3では、複数の安定度判定手段104を設け、複数の想定事故種別を計算負荷演算負荷)がほぼ均等になるように複数の安定度判定手段104のそれぞれへ分配して演算を行う技術について開示されている。しかしながら特許文献3に開示された方式によれば、複数備えた安定度判定手段104が並列処理を行うことで、全体の処理時間を短縮できるが、安定度判定手段104を多数備えることは中央演算装置9を構成するハードウェアおよびソフトウェアを増加させたり複雑化させたりし、コストアップ信頼性低下の要因となる可能性があった。また、ひとつの想定事故種別あたりの演算処理量は従来と同じであるため、事前演算部全体の演算処理量は低減されない可能性があった。

例えば、特許文献4では、想定事故種別毎の過酷度を求め、過酷度が閾値を超える想定事故種別のみ安定度判定処理を行う技術について開示されている。しかしながら特許文献4に開示された方式では、あるタイミングの系統状態では過酷度が閾値以下であった想定事故種別も系統状態が変化した場合には過酷度が閾値を超えて安定度判定処理が必要になり、演算時間を短縮できない可能性があった。

また、特許文献4では、過酷度が所定の包含関係にある想定事故種別について、過酷度の高い想定事故種別を過酷度の低い想定事故種別より優先的に演算することが開示されている。この方式では、過酷度が下位の想定事故種別も過酷度の高い想定事故種別と同じ演算周期で演算するため、演算時間を短縮することができない。また、過酷度の高い想定事故種別が安定と判定された場合は過酷度が包含される下位の想定事故種別の演算は行わないため、過酷度が下位の想定事故種別の制御内容が更新されず、制御が過剰に行われる可能性があった。

概要

中央演算装置における事前演算の処理を、より高速に行うことができる電力系統安定化システムを提供する。実施形態の中央演算装置は、現在の系統情報を収集して解析用系統モデルを作成し複数の想定事故について過渡安定度演算を実施し電力系統の安定度維持に必要な電制機を選択して制御テーブルに設定し当該制御テーブルを送信することを繰り返し行い、想定事故の監視点それぞれについて潮流を計測し、計測した監視点潮流を用いて前回演算で求めた電制機選択結果を採用した場合に不足制御となる可能性を判定し、不足制御になる可能性があると判定した想定事故を他の想定事故より優先して演算する。

目的

本発明が解決しようとする課題は、中央演算装置における事前演算の処理を、より高速に行うことができる電力系統安定化システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

現在の系統情報収集して解析用系統モデルを作成し複数の想定事故について過渡安定度演算を実施し電力系統安定度維持に必要な電制機を選択して制御テーブルに設定し当該制御テーブルを送信することを繰り返し行う中央演算装置と、系統事故発生時に事故種別を判定し当該事故種別の情報を送信する事故検出端末装置と、前記事検出端末装置から受信した事故種別の情報と前記中央演算装置から受信した制御テーブルを照合して電制機を決定し電制指令を送信する中央制御装置と、前記中央制御装置から受信した電制指令に従って当該電制機を電力系統から解列させる制御端末装置と、を備える電力系統安定化システムであって、前記中央演算装置は、想定事故の監視点それぞれについて潮流計測し、計測した監視点潮流を用いて前回演算で設定した制御テーブルを採用した場合に不足制御となる可能性を判定し、不足制御になる可能性があると判定した想定事故について他の想定事故より優先して過渡安定度演算を実施し制御テーブルを更新する、電力系統安定化システム。

請求項2

前記中央演算装置は、想定事故それぞれについて監視点潮流と必要制御量の演算規則に基づいて必要制御量を演算し、前記必要制御量と前回演算で設定した制御テーブルを採用した場合の制御量を比較し、制御量より必要制御量が大きい想定事故について他の想定事故より優先して過渡安定度演算を実施し制御テーブルを更新する、請求項1に記載の電力系統安定化システム。

請求項3

現在の系統情報を収集して解析用系統モデルを作成し複数の想定事故について過渡安定度演算を実施し電力系統の安定度維持に必要な電制機を選択して制御テーブルに設定し当該制御テーブルを送信することを繰り返し行う中央演算装置と、系統事故発生時に事故種別を判定し当該事故種別の情報を送信する事故検出端末装置と、前記事故検出端末装置から受信した事故種別の情報と前記中央演算装置から受信した制御テーブルを照合して電制機を決定し電制指令を送信する中央制御装置と、前記中央制御装置から受信した電制指令に従って当該電制機を電力系統から解列させる制御端末装置と、を備える電力系統安定化システムであって、前記中央演算装置は、想定事故の監視点それぞれについて潮流を計測し、計測した監視点潮流の変化傾向に基づいて当該想定事故の解析条件の電制機を設定する、電力系統安定化システム。

請求項4

前記中央演算装置は、想定事故それぞれについて監視点潮流と必要制御量の演算規則に基づいて必要制御量を演算し、制御量が必要制御量に最も近い電制機の組合せを当該想定事故の解析条件に設定する、請求項3に記載の電力系統安定化システム。

請求項5

現在の系統情報を収集して解析用系統モデルを作成し複数の想定事故について過渡安定度演算を実施し電力系統の安定度維持に必要な電制機を選択して制御テーブルに設定し当該制御テーブルを送信することを繰り返し行う中央演算装置と、系統事故発生時に事故種別を判定し当該事故種別の情報を送信する事故検出端末装置と、前記事故検出端末装置から受信した事故種別の情報と前記中央演算装置から受信した制御テーブルを照合して電制機を決定し電制指令を送信する中央制御装置と、前記中央制御装置から受信した電制指令に従って当該電制機を電力系統から解列させる制御端末装置と、を備える電力系統安定化システムであって、前記中央演算装置は、複数の安定度判定手段を備え、想定事故の監視点それぞれについて、監視点潮流の変化傾向に基づいて同一の想定事故について電制機の組合せが異なる複数の解析条件を設定し、複数の解析条件の過渡安定度演算を並列で行う、電力系統安定化システム。

請求項6

前記中央演算装置は、複数の安定度判定手段を備え、想定事故それぞれについて監視点潮流と必要制御量の演算規則に基づいて必要制御量を求め、制御量が必要制御量に近い電制機の組合せを複数選択し、選択した複数の解析条件の過渡安定度演算を並列で行う、請求項5に記載の電力系統安定化システム。

技術分野

0001

本発明の実施形態は、電力系統安定化システムに関する。

背景技術

0002

従来、発電機や電力系統間の脱調現象同期外れを起こし不安定な運転状態になること)の発生を未然に防止する系統脱調事故波及防止リレーシステム(以下、電力系統安定化システム)に関する技術が開示されている(例えば、非特許文献1)。非特許文献1において開示されているオンライン事前演算型の電力系統安定化システムは、オンライン入手した系統情報(例えば、接続状態需給状態を含む)を用いて、予め設定した想定事故毎に過渡安定度演算を実施して、想定事故毎の制御内容を決定し、その決定結果に基づいて制御テーブルを設定する。電力系統安定化システムは、実際に事故が発生した場合、事故種別と制御テーブルとを照合して制御を実施する。

0003

なお、制御内容とは事故発生時に解列する(電力系統から切り離すことであり、以下では「遮断」または「電制」と表現する場合がある)発電機である。また、事故の影響が電力系統全体に波及するのを防止するために一部の発電機を電力系統から強制的に遮断する制御のことを電源制限、または電制と称する。なお、以下の説明において、電源制限の対象として選択された発電機のことを電制機、電制機を決定する処理のことを電制機選択と称する。なお、制御内容には、電源制限に加え、発電機の加速を抑制するタービン高速バルブ制御(EVA;Early Valve Actuation)が含まれてもよい。

0004

図1は、従来のオンライン事前演算型の電力系統安定化システムSSの構成図である。電力系統安定化システムSSは、例えば、中央演算装置9と、中央制御装置10と、事故検出端末装置11と、制御端末装置12とを備える。

0005

なお、中央演算装置9は、「中央演算装置(事前演算部)」と称される場合があり、その際、中央制御装置10は、「中央演算装置(事後制御部)」と称される場合がある。なお、中央演算装置9および中央制御装置10は、それぞれの機能を統合してひとつの装置として構成される場合がある(例えば、特許文献1)。

0006

中央演算装置9は、例えば、系統情報収集手段101と、系統モデル作成手段102と、解析条件設定手段103と、安定度判定手段104と、電制機選択手段105と、記憶装置150とを備える。記憶装置150は、例えば、中央演算装置9において実行されるプログラムや、系統設備データ151と、想定事故種別データ152と、電制機選択パターン153と、制御テーブル154などを記憶する。

0007

系統情報収集手段101は、給電情報網Nを介して電力系統Eから入力された系統情報(給電用オンラインデータ)を収集する。系統設備データ151には、例えば、電力系統Eを構成する発電機や送電線変圧器など各種設備インピーダンスなどの情報が含まれる。系統情報とは、例えば、電力系統Eの接続状態や、電力の需給状態、潮流状態に関する情報である。一定の周期または系統情報の更新周期で、給電情報網Nから提供される系統情報は、系統情報収集手段101により収集される。系統情報収集手段101は、収集した系統情報を系統モデル作成手段102に出力する。

0008

系統モデル作成手段102は、例えば、系統情報収集手段101から入力された系統情報と、系統設備データ151に基づいて、今回処理サイクル系統状態を表す解析用系統モデルを作成する。系統モデル作成手段102は、作成した解析用系統モデルを、解析条件設定手段103に出力する。

0009

解析条件設定手段103は、例えば、系統モデル取得部103aと、解析条件設定部103bとを備える。系統モデル取得部103aは、系統モデル作成手段102により作成された解析用系統モデルを取得する。解析条件設定部103bは、系統モデル取得部103aにより取得された解析用系統モデルと、想定事故種別に関する定義が格納された想定事故種別データ152(図7参照)を参照して得られた想定される事故種別のデータとに基づいて、解析条件を設定する。解析条件には、例えば、想定事故種別に対しての発生時に制御を行う電制機の組合せの情報が含まれる。想定事故種別には、例えば、事故を監視する監視点(例えば、送電線等)と、その事故様相とを示す情報が含まれる。解析条件設定部103bは、設定した解析条件を、安定度判定手段104に出力する。

0010

安定度判定手段104は、解析条件設定部103bから出力された解析条件に基づいて、過渡安定度演算を行う。

0011

安定度判定手段104は、例えば、解析条件取得部104aと、過渡安定度演算部104bと、安定度判定部104cとを備える。

0012

解析条件取得部104aは、解析条件設定手段103により設定された解析条件を取得する。過渡安定度演算部104bは、解析条件取得部104aにより取得された解析条件に対して、電力系統に並列する発電機が同期を保って運用できるかをシミュレーションする過渡安定度演算を行う。安定度判定部104cは、過渡安定度演算部104bにより得られた過渡安定度演算の結果に基づいて、各解析条件において脱調現象を生じることなく電力系統を安定に運用できるか否かを判定する。脱調する発電機がある場合に不安定、すべての発電機が同期運転を保てる場合は安定と判定する。安定度判定部104cは、安定度に関する判定結果を電制機選択手段105に出力する。

0013

電制機選択手段105は、例えば、電制機選択部105aと、制御テーブル設定部105bとを備える。

0014

電制機選択部105aは、安定度判定部104cにより出力された各想定事故種別が発生した際の安定度に関する判定結果に基づいて制御対象となる電制機を選択する。電制機選択部105aは、例えば、安定度判定部104cにより出力された各想定事故種別が発生した際の過渡安定度演算結果から電制効果指標を演算し、その電制効果指標に基づいて優先順位付けした電制機の組合せ候補、あるいは予め記憶されている電制機選択パターン153に基づいて電制機を選択する。制御テーブル設定部105bは、電制機選択部105aにより選択された各想定事故種別における電制機の組合せに基づいて制御テーブルを設定して、制御テーブル154として記憶する。また、制御テーブル設定部105bは、設定した制御テーブルを中央制御装置10に送信する。

0015

なお、制御テーブル154は、上述のように設定された制御テーブルに加え、少なくとも前回処理サイクルにおいて設定された制御テーブル(すなわち、過去の制御テーブル)が含まれる。以下の説明において、「前回制御テーブル」と称する。

0016

電制機選択手段105は、電制機選択パターン153に基づいて電制機を選択する場合、安定度判定手段104において安定度が不安定であると判定された際、前回制御テーブルおよび電制機選択パターン153(図6参照)を参照して、前回処理時に選択した電制機選択パターンより制御量が次に多い電制機選択パターンを選択する。なお、制御量は、電制機として選択されている発電機の今回処理サイクルにおける出力の合計値として得る。

0017

なお、上述した中央演算装置9の一連の処理は、所定の周期で繰り返し行われる。所定の周期とは、例えば、すべての想定事故種別について制御テーブル更新が完了する時間(例えば、15〜45[s]程度)である。また、所定の周期は、電力系統Eの規模や想定事故の種別の数、中央演算装置9の処理能力に基づいて電力系統安定化システムSSの管理者により設定されてもよい。

0018

中央制御装置10は、例えば、電制機決定手段106と、記憶装置160とを備える。記憶装置160は、例えば、中央制御装置10において実行されるプログラムや、制御テーブル161などを記憶する。

0019

電制機決定手段106は、例えば、制御テーブル取得部106aと、照合処理部106bとを備える。

0020

制御テーブル取得部106aは、中央演算装置9により設定された制御テーブルを受信して、記憶装置160に制御テーブル161として記憶させる。照合処理部106bは、後述する事故検出端末装置11から電力系統Eの事故種別に関する情報を取得し、その事故種別に対応付いた想定事故種別における電制機の組合せを、制御テーブル161を照合して取得し、取得した電制機の組合せを実際の電制対象として決定し、電制機を制御する制御端末装置12へ電制指令を送信する。

0021

事故検出端末装置11は、例えば、事故種別検出手段107を備える。事故種別検出手段107は、電力系統Eより系統情報を取得して、電力系統Eにおける系統事故の発生を検出し、さらに系統事故を検出した場合にはその事故種別を判別する。事故検出端末装置11は、系統事故の発生を検出すると、事故種別を判別して中央制御装置10に送信する。

0022

制御端末装置12は、例えば、制御手段108を備える。制御手段108は、中央制御装置10より受信した電制指令に基づいて、対象の電制機に対する遮断指令を送信する。

0023

図2は、電力系統安定化システムSSが設置された電力系統Eの構成図である。電力系統Eは、例えば、上述の電力系統安定化システムSSに加え、さらに、発電機1と、母線2と、送電線または変圧器3と、遮断器(CB)4と、電流計測器(CT)5と、電圧計測器VT)6と、事故除去リレーシステム7とを備える。

0024

電力系統安定化システムSSの構成要素である中央演算装置9、中央制御装置10、事故検出端末装置11、および制御端末装置12は、図2に示されるように通信設備8(例えば、信号線通信装置など)により接続される。事故検出端末装置11は、例えば、変電所などに設置される。また、制御端末装置12は、例えば、発電所などに設置される。中央制御装置10は、他の装置との通信が可能な個所に設置されるが、事故検出端末装置11や制御端末装置12と同じ場所に設置されることもある。また、中央制御装置10には、事故検出端末装置11や制御端末装置12の機能を含めて構成されることがある。中央演算装置9は、系統情報をオンラインで入手できるよう中央給電指令所など給電情報網Nと接続可能な個所に設置される。

0025

図3は、中央演算装置9による処理の流れの一例を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートの処理は、例えば、所定の周期で繰り返し実行される。

0026

まず、系統情報収集手段101は、給電情報網Nを介して、電力系統Eの系統情報を収集する(ステップS100)。次に、系統モデル作成手段102は、収集された系統情報と系統設備データ151に基づいて状態推定計算や系統縮約等を行い(ステップS102)、電力系統Eの解析用系統モデルを作成する(ステップS104)。

0027

次に、解析条件設定手段103は、ステップS104において作成された解析用系統モデルと想定事故種別データ152に基づいて解析条件を設定する(ステップS106)。次に、安定度判定手段104は、ステップS106において設定された解析条件の過渡安定度演算を行う(ステップS108)。

0028

次に、安定度判定手段104は、ステップS108の過渡安定度演算の結果に基づき、想定事故種別が仮に発生した場合、電力系統Eが安定運転を維持できるか否かを判定する(ステップS110)。電制機選択手段105は、安定と判定しなかった場合、その想定事故種別における電制機の選択内容を変更して(ステップS112)、ステップS106に処理を戻す。この場合、ステップS106は、ステップS112で選択した電制機を電制する条件を含む解析条件を設定する。電制機選択手段105は、安定と判定した場合、すべての想定事故種別の安定度判定を完了したか否かを判定する(ステップS114)。すべての想定事故種別の安定度判定を完了していないと判定した場合、電制機選択手段105は、ステップS106に処理を戻し、次の想定事故種別の安定度判定を行う。すべての想定事故種別の安定度判定を完了したと判定した場合、電制機選択手段105は、制御テーブルを設定して(ステップS116)、本フローチャートの処理を終了する。

0029

電制機選択(ステップ112)の処理には、電制効果指標に基づいて電制機を選択する方法と、予め記憶されている電制機選択パターン153の中から電制機の組み合わせを選択する方法がある。

0030

図4は、電制効果指標に基づいて電制機を選択する電制機選択部105aの処理の流れの一例を示すフローチャートである。図4のフローチャートの処理は、図3に示すフローチャートのステップS112に対応付いた処理である。

0031

まず、電制機選択部105aは、電制機候補を選択する(ステップS200)。より具体的には、電制機選択部105aは、電力系統安定化システムSSが制御可能な発電機、すなわち制御端末装置12が設置された発電機のうち、下記の数式(1)または数式(2)の判定条件を用いて、最初に発電機が不安定と判断された時点から、一定時間内に不安定と判定された発電機群を電制機の候補として選択する。

0032

{δi(t)−δS(t)}≧δk ・・・(1)
{δi(t)−δS(t)}≧δk かつ {ωi(t)−ωS(t)}≧ωk
・・・(2)

0033

ここで、δi(t)は時間tにおける電力系統E内の発電機の内部位相角、ωi(t)は時間tにおける電力系統E内の発電機の角速度、δS(t)は時間tにおける基準発電機の内部位相角、ωS(t)は時間tにおける基準発電機の角速度、iは発電機番号(i=1〜N;Nは電力系統Eの発電機数)、tは過渡安定度演算におけるシミュレーション時間、δkおよびωkはしきい値である。

0034

ステップS200の処理の後、電制機選択部105aは、電制機の候補として選択された各発電機加速エネルギーを電制効果指標AEとして演算し(ステップS202)、電力系統Eの運用制約を考慮した重み係数を用いて電制効果指標AEを補正して(ステップS204)、電制効果指標AEが最大の発電機を追加する電制機として選択する(ステップS206)。以上、本フローチャートの処理の説明を終了する。

0035

図5は、系統設備データ151に含まれる電制機候補になり得る発電機の情報、すなわち制御端末装置12が設置された発電機について、過渡安定度演算結果を用いて電制機候補を選択し電制効果指標AEを演算した結果の一例を示す図である。図中のxは自然数である。図示のように、例えば、選択優先順位と、電制機候補の発電機、内部位相角差角速度差、電制効果指標などの情報が含まれ、電制効果指標AEの高い発電機が優先的に選択されるように、選択優先順位が設定された情報が含まれる。

0036

以上が、電制効果指標に基づいて電制機を選択する例である。

0037

次に、予め記憶されている電制機選択パターン153の中から電制機の組み合わせを選択する電制機選択部105aの処理について述べる。

0038

図6は、電制機選択部105aにより参照される電制機選択パターン153に含まれる内容の一例を示す図である。図中のNPは自然数である。電制機選択パターン153とは、例えば、制御端末装置12が設置された発電機のそれぞれに対して、各発電機の特性(例えば、安定化効果、経済性など)を考慮して電制機として選択する優先度があらかじめ定められたものである。電制機選択パターン153には、図示のように、制御量が少ない電制機選択パターンから制御量が多い電制機選択パターンまで、複数の電制機の組み合わせが定められる。

0039

電制機選択手段105は、安定度判定手段104において安定度が不安定であると判定された場合、電制機選択パターン153を参照して、前回処理時に選択した電制機選択パターンの次に制御量が多い電制機選択パターンを選択する。

0040

例えば、安定度判定手段104において安定度が不安定であると判定され、前回処理時に選択した電制機選択パターンが「3」である場合、電制機選択手段105は、制御量が次に多い電制機パターン「4」を選択する。なお、各発電機の出力は、例えば、制御端末装置12において計測されて中央演算装置9へ伝送された、または給電情報網Nを介して取得された系統情報であり、記憶装置150などに記憶される。

0041

以上が、電制機選択パターンに基づいて電制機を選択する例である。

0042

以下、説明を簡素化するために、電制機選択手段105は予め記憶されている電制機選択パターン153に基づいて電制機を選択する方法を基本に説明し、電制効果指標で優先順位付けした電制機候補から電制機を選択する場合の処理については補足説明に留める。

0043

図7は、想定事故種別データ152に含まれる内容の一例を示す図である。図中のNFは自然数である。想定事故種別データ152には、例えば、想定事故種別を識別するための想定事故種別番号と、監視点と、監視点において検知される事故様相などの情報が含まれる。解析条件設定部103bは、例えば、系統モデル取得部103aにより取得された解析用系統モデルと、想定事故種別データ152に含まれる想定事故種別データと、電制機選択手段105で選択した電制機の組み合わせを用いて解析条件を設定する。

0044

図8は、制御テーブル154に含まれる内容の一例を示す図である。制御テーブル154には、例えば、想定事故種別番号と、電制機などの情報が含まれる。なお、制御テーブル154には、後続の処理において安定度判定手段104において不安定であると判定された場合に早期に電制機選択パターン153を参照できるように、図示のように電制機選択パターン番号が含まれてもよい。

0045

図8に示す制御テーブル154は、例えば、想定事故種別番号「1」の事故、すなわち図7に示すA変電所X送電線での3Φ6LG−Oの事故(図中の「3Φ6LG−O」等の情報は、事故様相を表すコードであり、これら事故番号、事故対応箇所、および事故様相の組み合わせを、以下、事故種別と記す)が発生した場合は図2に示した発電機1のうち発電機G1、G2およびG3を電制し、想定事故種別番号2の場合は発電機G2およびG3を電制することが設定されている。

0046

このように、従来の電力系統安定化システムSSでは、すべての想定事故種別について、初めに電制機なしの解析条件で過渡安定度演算を行い、過渡安定度演算の結果が不安定な場合に電制機を追加し、結果が安定になるまで電制機選択と過渡安定度演算を繰り返し実施していた。すなわち、中央演算装置9は繰り返し実施する処理において、すべての想定事故種別を判定対象とし、電制機なしの解析条件から過渡安定度演算結果が安定となるまで電制機を順次追加して過渡安定度演算を繰り返し実施していた。このため、すべての想定事故種別の制御内容の演算が完了するまでにかかる時間が長く、その間に発生する系統状態変化が制御内容に反映されるのが遅くなり、制御内容に過不足が生じる恐れがあった。

0047

特に、太陽光発電風力発電など自然エネルギー活用した再生可能エネルギー発電(以下、再エネ)の導入量が多い電力系統においては、気象条件の変化によって発電出力等の系統状態が急変することが想定される。オンライン事前演算型の電力系統安定化システムSSにおいて、電力系統Eの系統状態の変化が制御内容へ反映される前に系統事故が発生した場合、制御内容に過不足が生じ、制御量が不足した場合には安定度を維持できない恐れがある。このように、特に再エネの導入量が多い電力系統に適用するオンライン事前演算型の電力系統安定化システムにおいて、系統状態の変化を早期に制御内容へ反映するために、中央演算装置9による事前演算の高速化が求められており、事前演算の高速化に関する技術が多数開示されている(例えば、特許文献2〜4)。

0048

例えば、特許文献2では、安定度判定手段104がスクリーニング簡易的な安定度判別処理)を行った後、スクリーニングで不安定と判別された想定事故種別については詳細な過渡安定度演算を行い、スクリーニングで安定と判定された想定事故種別については詳細な過渡安定度演算を省略することにより計算時間(演算時間)を短縮する技術について開示されている。しかしながら、特許文献2に開示された方式によれば、安定な想定事故種別は詳細な過渡安定度演算の対象としないため安定度判定手段104による安定度判定処理量を削減できるが、系統状態の変化によって不安定な想定事故種別、すなわち電制機選択が必要な想定事故種別が多数ある場合は処理負荷が増加し、処理時間が長くなる可能性がある。

0049

例えば、特許文献3では、複数の安定度判定手段104を設け、複数の想定事故種別を計算負荷演算負荷)がほぼ均等になるように複数の安定度判定手段104のそれぞれへ分配して演算を行う技術について開示されている。しかしながら特許文献3に開示された方式によれば、複数備えた安定度判定手段104が並列処理を行うことで、全体の処理時間を短縮できるが、安定度判定手段104を多数備えることは中央演算装置9を構成するハードウェアおよびソフトウェアを増加させたり複雑化させたりし、コストアップ信頼性低下の要因となる可能性があった。また、ひとつの想定事故種別あたりの演算処理量は従来と同じであるため、事前演算部全体の演算処理量は低減されない可能性があった。

0050

例えば、特許文献4では、想定事故種別毎の過酷度を求め、過酷度が閾値を超える想定事故種別のみ安定度判定処理を行う技術について開示されている。しかしながら特許文献4に開示された方式では、あるタイミングの系統状態では過酷度が閾値以下であった想定事故種別も系統状態が変化した場合には過酷度が閾値を超えて安定度判定処理が必要になり、演算時間を短縮できない可能性があった。

0051

また、特許文献4では、過酷度が所定の包含関係にある想定事故種別について、過酷度の高い想定事故種別を過酷度の低い想定事故種別より優先的に演算することが開示されている。この方式では、過酷度が下位の想定事故種別も過酷度の高い想定事故種別と同じ演算周期で演算するため、演算時間を短縮することができない。また、過酷度の高い想定事故種別が安定と判定された場合は過酷度が包含される下位の想定事故種別の演算は行わないため、過酷度が下位の想定事故種別の制御内容が更新されず、制御が過剰に行われる可能性があった。

0052

特許第5591505号公報
特許第3423615号公報
特許第3350265号公報
特開平7−298498号公報

先行技術

0053

電気学会技術報告第801号、「系統脱調・事故波及防止リレー技術」、p5、p6、p52、p54、p55、p74(図3.5)、p75、p88、p89、p91、p92、一般社団法人 電気学会、2000年10月

発明が解決しようとする課題

0054

本発明が解決しようとする課題は、中央演算装置における事前演算の処理を、より高速に行うことができる電力系統安定化システムを提供することである。

課題を解決するための手段

0055

実施形態の電力系統安定化システムは、中央演算装置と、事故検出端末装置と、中央制御装置と、制御端末装置とを持つ。中央演算装置は、現在の系統情報を収集して解析用系統モデルを作成し複数の想定事故について過渡安定度演算を実施し電力系統の安定度維持に必要な電制機を選択して制御テーブルに設定し当該制御テーブルを送信することを繰り返し行い、想定事故の監視点それぞれについて潮流を計測し、計測した監視点潮流を用いて前回演算で求めた電制機選択結果を採用した場合に不足制御となる可能性を判定し、不足制御になる可能性があると判定した想定事故を他の想定事故より優先して演算する。事故検出端末装置は、系統事故発生時に事故種別を判定し当該事故種別の情報を送信する。中央制御装置は、前記事検出端末装置から受信した事故種別の情報と前記中央演算装置から受信した制御テーブルを照合して電制機を決定し電制指令を送信する。制御端末装置は、前記中央制御装置から受信した電制指令に従って当該電制機を電力系統から解列させる。

図面の簡単な説明

0056

従来のオンライン事前演算型の電力系統安定化システムSSの構成図。
電力系統安定化システムSSが設置された電力系統Eの構成図。
中央演算装置9による処理の流れの一例を示すフローチャート。
電制効果指標に基づいて電制機を選択する電制機選択部105aの処理の流れの一例を示すフローチャート。
系統設備データ151に含まれる電制機候補になり得る発電機の一例を示す図。
電制機選択パターン153に含まれる内容の一例を示す図。
想定事故種別データ152に含まれる内容の一例を示す図。
制御テーブル154に含まれる内容の一例を示す図。
第1の実施形態の電力系統安定化システムSSAの構成図。
系統情報収集手段101において各監視点の潮流PMと、その変化量ΔPMを収集した結果に含まれる内容の一例を示す図。
第1の実施形態に係る中央演算装置9による処理の流れの一例を示すフローチャート。
第2の実施形態に係る電力系統安定化システムSSBの構成図。
発電機の現在出力PGの一例を示す図。
制御テーブル154に含まれる内容の一例を示す図。
第3の実施形態に係る電力系統安定化システムSSCの構成図。
制御テーブル154に含まれる内容の他の一例を示す図。
第3の実施形態に係る中央演算装置9による処理の流れの一例を示すフローチャート。
第3の実施形態に係る中央演算装置9による処理の流れの一例を示すフローチャート。
第4の実施形態に係る電力系統安定化システムSSDの構成図。
電制機選択パターン153に含まれる内容の他の一例を示す図。
第5の実施形態に係る電力系統安定化システムSSEの構成図。
第5の実施形態に係る中央演算装置9による処理の流れの一例を示すフローチャート。
第6の実施形態に係る電力系統安定化システムSSFの構成図。

実施例

0057

以下、実施形態の電力系統安定化システムを、図面を参照して説明する。

0058

(第1の実施形態)
図9は、第1の実施形態の電力系統安定化システムSSAの構成図である。図9に示す電力系統安定化システムSSAは、図1に示す電力系統安定化システムSSと比較すると、系統情報収集手段101が想定事故種別データ152を参照して処理を行う点が異なる。従って、以下では電力系統安定化システムSSAの系統情報収集手段101の処理を中心に説明する。

0059

電力系統安定化システムSSAは、例えば、中央演算装置9と、中央制御装置10と、事故検出端末装置11と、制御端末装置12とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integrated circuit)やASIC(Application Specific IntegratedCircuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD−ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置150や記憶装置160にインストールされてもよい。記憶装置150および記憶装置160は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により構成される。

0060

さらに、系統情報収集手段101は、想定事故種別データ152と給電情報網Nから入手した系統情報とを用いて、想定事故の各監視点(例えば、図2における送電線3や母線2、変圧器(不図示)など)における潮流の変化量ΔPMを演算する。図10は、系統情報収集手段101において各監視点の潮流PMと、その変化量ΔPMを収集した結果に含まれる内容の一例を示す図である。図中のNMは自然数である。なお、図10に示した情報は、例えば、記憶装置150に記憶されてもよい。

0061

各監視点の潮流PMは、監視点が送電線や変圧器の場合は当該設備を通過する有効電力、監視点が母線の場合は当該母線に流入する有効電力の合計値である。系統情報収集手段101は、監視点の潮流PMが増加傾向にあるか否かを、例えば、中央演算装置9が繰り返し行う処理の処理周期ΔTにおける監視点の潮流の変化量ΔPMを用いて、以下の式(3)を用いて判定する。なお、変化量ΔPMは式(4)で求められる。

0062

ΔPM > 0 ・・・(3)
ΔPM = PM(t) − PM(t−ΔT) ・・・(4)

0063

なお、PM(t)は、今回の系統情報収集時の時刻tの監視点潮流値である。なお、処理周期ΔTは、例えば、系統情報収集手段101にて、変化量ΔPMの演算が行われる前に、下記の式(5)を用いて求められる。ここで、tRECは、式(6)により記録された前回の系統情報収集時の時刻である。

0064

ΔT = t − tREC ・・・(5)
tREC ← t ・・・(6)

0065

図11は、第1の実施形態に係る中央演算装置9による処理の流れの一例を示すフローチャートである。図11のフローチャートは、所定の周期で繰り返し行われる。なお、図11に記載のフローチャートのステップS300〜ステップ304は、図3に示したフローチャートのステップS100〜ステップS104と同じ処理である。また、図11に記載のフローチャートのステップS308は、図3に示したフローチャートのステップS106と同じ処理である。また、図11に記載のフローチャートのステップS312〜ステップ320は、図3に示したフローチャートのステップS108〜ステップS116と同じ処理である。また、図11に記載のフローチャートのステップS316における処理詳細は、図4に示したフローチャートの処理に対応するものである。

0066

まず、系統情報収集手段101は、給電情報網Nを介して、電力系統Eの系統情報を収集する(ステップS300)。次に、系統モデル作成手段102は、収集された系統情報と系統設備データ151に基づいて状態推定計算や系統縮約等を行い(ステップS302)、電力系統Eの解析用系統モデルを作成する(ステップS304)。

0067

次に、解析条件設定手段103は、演算回数NTカウントする(ステップS306)。より具体的には、解析条件設定手段103は、例えば、演算回数CNTに1を加算するインクリメント演算を行う。

0068

より具体的には、解析条件設定手段103は、演算回数CNTを参照して各想定事故種別について安定度判定手段104による過渡安定度演算(ステップS312)および安定度判定(ステップS314)を行うか否かを判定する。解析条件設定手段103は、例えば、電力系統Eの系統状態の変化に応じて、安定度が低下傾向である監視点、すなわち上述の式(3)が成立する想定事故種別については過渡安定度演算および安定度判定の対象とし、安定度が低下傾向でない想定事故種別については、所定の条件(例えば、演算回数CNTが所定の自然数Mで割り切れるなど)を満たす場合のみ過渡安定度演算および安定度判定の処理を行う。解析条件設定手段103は、所定の条件を満たさない想定事故種別については、過渡安定度演算および安定度判定の処理を省略する。また、所定の条件には、解析条件設定手段103の処理の度に必ず過渡安定度演算および安定度判定の処理を行う想定事故種別が設定されるものであってもよい。

0069

所定の自然数Mは、例えば、電力系統安定化システムSSAの管理者により任意に設定される。また、所定の自然数Mは、中央演算装置9の処理周期ΔTに応じて調整される値であってもよい。例えば、安定度判定手段104は、中央演算装置9の処理周期ΔTが電力系統安定化システムSSAの管理者等によりあらかじめ設定された最大周期時間TMAXを超えた場合は自然数Mに1を加算する。安定度判定手段104は、所定の自然数Mが最大値MMAXに達し、且つ処理周期ΔTが最大周期時間TMAXを超える場合には、システムが所要の性能を満たしていないことを管理者へ通知するため、また系統情報収集手段101や系統モデル作成手段102、解析条件設定手段103において何らかのエラーが生じていたり、給電情報網Nから収集された系統情報が正確でなかったりする可能性を考慮して、管理者に対して警告情報を出力してもよい。安定度判定手段104は、処理周期ΔTが電力系統安定化システムSSAの管理者等によりあらかじめ設定された最小周期時間TMINより小さい場合、自然数Mから1を減算するデクリメント処理を行う。ただし、自然数Mの最小値は1とし、M=1のときにはデクリメント処理は行わない。

0070

図11戻り、ステップS306の処理の後、解析条件設定手段103は、ステップS304において作成された解析用系統モデルと想定事故種別データ152に基づいて解析条件を設定する(ステップS308)。次に、解析条件設定手段103は、電力系統Eの系統状態の安定度の傾向とステップS306において更新された演算回数CNTとに基づいて、制御テーブルの更新対象の想定事故種別か否かを判定する(ステップS310)。次に、安定度判定手段104は、ステップS310で演算対象と判定された解析条件の過渡安定度演算を行う(ステップS312)。

0071

次に、安定度判定手段104は、ステップS312の過渡安定度演算結果に基づき、想定事故種別が仮に発生した場合、発電機が脱調することなく電力系統Eが安定な状態を維持できるか否かを判定する(ステップS314)。電制機選択手段105は、安定と判定しなかった場合、すなわち不足制御になる可能性があると判定した場合、その想定事故種別における電制機の選択内容を変更して(ステップS316)、ステップS308に処理を戻す。この場合、ステップS308は、ステップS316で選択した電制機を電制する条件を含む解析条件を設定する。電制機選択手段105は、安定と判定した場合、すべての想定事故種別の安定度判定を完了したか否かを判定する(ステップS318)。すべての想定事故種別の安定度判定を完了していないと判定した場合、電制機選択手段105は、ステップS308に処理を戻し、次の想定事故種別の安定度判定を行う。すべての想定事故種別の安定度判定を完了したと判定した場合、電制機選択手段105は、制御テーブルを設定して(ステップS320)、本フローチャートの処理を終了する。

0072

以上説明した第1の実施形態の電力系統安定化システムSSAによれば、中央演算装置9において繰り返し実施する処理について、安定度判定手段104により判定対象とする想定事故種別の数を可能な範囲で削減する処理を行うことによって、中央演算装置9の演算処理量を低減することができる。また、中央演算装置9は、安定度が低下傾向である想定事故種別は原則として安定度判定手段104による判定対象に加えることにより、系統事故が発生した際に電力系統安定化システムSSAにおける制御量が不足するのを抑制することができる。

0073

(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の電力系統安定化システムSSBについて説明する。以下の説明において、第1の実施形態で説明した内容と同様の機能を有する部分については、同様の名称および符号を付するものとし、その機能に関する具体的な説明は省略する。

0074

図12は、第2の実施形態に係る電力系統安定化システムSSBの構成図である。電力系統安定化システムSSBは、図9に示した第1の実施形態の電力系統安定化システムSSAに加え、さらに記憶装置150が制御量情報155を記憶する点が異なる。また、系統情報収集手段101が制御量情報155を参照して処理を行う点が異なる。従って、以下では、電力系統安定化システムSSBの系統情報収集手段101の処理を中心に説明する。

0075

制御量情報155は、例えば、必要制御量の演算規則として、下記の式(7)などに相当する情報が含まれる。

0076

f(PM(t)) = a・PM(t) + b ・・・(7)

0077

ここで、aおよびbは係数であり、整定値と称される場合がある。係数aおよびbは、過去に実施した中央演算装置9の処理結果である制御量とその時の監視点潮流の複数の組み合わせデータに基づいて、最小二乗法等で演算されてもよい。

0078

また、系統情報収集手段101は、想定事故種別それぞれについて、例えば、上述の必要制御量の式(7)を用いて下記の式(8)により現在の監視点潮流での必要制御量PC(t)を演算する。

0079

PC(t) = f(PM(t)) ・・・(8)

0080

次に、系統情報収集手段101は、想定事故種別のそれぞれに対して前回の中央演算装置9の処理において演算した電制機選択結果を採用した場合の制御量ΣPGと、式(8)で演算した必要制御量PC(t)を比較し、必要制御量PC(t)の方が大きい、すなわち式(9)が成立する想定事故種別を制御量不足となる恐れのある想定事故種別と判定し、優先して安定度判定処理対象とする。

0081

ΣPG(t) < PC(t) ・・・(9)

0082

ここで、ΣPG(t)は、中央演算装置9が前回処理で求めた電制機選択結果が採用された場合の制御量であり、前回制御テーブルに電制機として設定されている発電機の現在出力を合計することで演算する。すなわち、図11に示したフローチャートのステップS310において、式(9)が成立する想定事故種別については、演算回数に関わらず毎回の安定度演算対象とされ、その他の想定事故種別はステップS306において更新された演算回数CNTが所定の自然数Mで割り切れる場合のみ安定度演算対象とされる。

0083

図13は、給電情報網Nから収集した発電機の現在出力PGの一例を示す図である。系統情報収集手段101は、例えば、給電情報網Nを介して発電機の現在出力PGを取得して、記憶装置150に記憶する。

0084

系統情報収集手段101は、例えば、想定事故種別番号「1」の制御量ΣPG1を演算する場合、制御テーブル154を参照して電制機として選択されている発電機が発電機G1、G2、およびG3であることを取得し、次に、各発電機G1、G2、およびG3の現在出力PG1(t)〜PG3(t)を参照することで制御量ΣPG1を演算する。

0085

図14は、制御テーブル154に含まれる内容の一例を示す図である。制御テーブル154には、図示のように、演算された制御量ΣPGや必要制御量PCなどの情報が含まれる。図示のように、例えば、制御テーブル154には、想定事故種別番号「1」に対応付いた電制機が発電機G1、G2およびG3であり、それらの現在出力PGを合計した制御量ΣPGがΣPG1であり、必要制御量PCがPC1であることが格納される。

0086

以上説明した第2の実施形態の電力系統安定化システムSSBによれば、第1の実施形態の電力系統安定化システムSSAと同様の効果を奏する他、制御量が不足する可能性のある想定事故種別に関する安定度判定を、より優先的に行うことで、制御量が不足する可能性のある想定事故種別の処理時間をより短くすることができ、且つ電力系統安定化システムSSBによる制御が制御量不足とならないようにすることができる。

0087

(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態の電力系統安定化システムSSCについて説明する。以下の説明において、第1の実施形態および第2の実施形態で説明した内容と同様の機能を有する部分については、同様の名称および符号を付するものとし、その機能に関する具体的な説明は省略する。

0088

図15は、第3の実施形態に係る電力系統安定化システムSSCの構成図である。図15に示す電力系統安定化システムSSCは、図12に示す電力系統安定化システムSSBと比較すると、解析条件設定手段103が電制機選択パターン153および制御テーブル154を参照して処理を行う点が異なる。従って、以下では電力系統安定化システムSSCの解析条件設定手段103の処理を中心に説明する。

0089

解析条件設定手段103は、まず、電制機選択パターン153を参照して初めに設定する解析条件を、各想定事故種別における監視点潮流PMの変化傾向に応じて設定する。解析条件設定手段103は、例えば、上述の式(3)が成立する場合、前回処理で選択した電制機選択パターンより制御量が1段多い電制機選択パターンを電制機選択パターン153より選択して、式(3)が成立しない場合、前回演算で選択した電制機選択パターンをそのまま選択する。

0090

図16は、電制効果指標AEに基づいて電制機を選択する場合の制御テーブル154に含まれる内容の他の一例を示す図である。解析条件設定手段103は、例えば、式(3)が成立する場合、図16に示す制御テーブル154の前回処理で選択した電制機選択結果に対応付いた、次点の電制機候補を参照して電制機を1台追加した解析条件を設定する。式(3)が成立しない場合、前回演算で選択した電制機をそのまま選択する。

0091

また、解析条件設定手段103は、例えば、式(3)が成立しない場合、前回処理で選択した電制機選択パターンより制御量が1段少ない電制機選択パターンを電制機選択パターン153より選択する処理を行ったり、現在の電制機選択結果から最後に追加した電制機を削減したりしてもよい。このように、解析条件設定手段103は監視点潮流PMの変化傾向に基づいて今回周期で初めに設定する解析条件の電制機を設定する。

0092

以下の説明において、制御量が1段多い電制機選択パターンや、次点の電制機候補を追加した解析条件を求める処理を「第1条件の電制機選択」、制御量が1段少ない電制機選択パターンや、最後に選択した電制機を削減した解析条件を求める処理を「第2条件の電制機選択」と称する。

0093

図17および図18は、第3の実施形態に係る中央演算装置9による処理の流れの一例を示すフローチャートである。図17および図18のフローチャートは、所定の周期で繰り返し行われる。なお、図17に記載のフローチャートのステップS400〜ステップ404は、図3に示したフローチャートのステップS100〜ステップS104と同様の処理である。また、図17に記載のフローチャートのステップS410、ステップS412、ステップS416は、図3に示したフローチャートのステップS108、ステップS110、ステップS112と同様の処理である。また、図18に記載のフローチャートのステップS428〜ステップ430は、図3に示したフローチャートのステップS114〜ステップS116と同様の処理である。また、図17に記載のステップS416、および図18に記載のステップS420における処理詳細は、図4に示したフローチャートの処理に対応付いたものである。

0094

まず、系統情報収集手段101は、給電情報網Nを介して、電力系統Eの系統情報を収集する(ステップS400)。次に、系統モデル作成手段102は、収集された系統情報と系統設備データ151に基づいて状態推定計算や系統縮約等を行い(ステップS402)、電力系統Eの解析用系統モデルを作成する(ステップS404)。

0095

次に、解析条件設定手段103は処理フラグIDのクリア処理(例えば、処理フラグIDを「0」とする)を行う(ステップS406)。処理フラグIDは、電制機を増加させる第1条件の電制機選択(ステップS416)を実施したことを解析条件設定手段103が判別するための識別子である。次に、解析条件設定手段103は、ステップS404において作成された解析用系統モデルと想定事故種別データ152と電制機選択パターン153と制御テーブル154とに基づいて解析条件を設定する。今回周期で初めに設定する解析条件の電制機は上述の処理により監視点潮流PMの変化傾向に基づいて設定する(ステップS408)。次に、安定度判定手段104は、ステップS408において設定された解析条件に基づいて、過渡安定度演算を行う(ステップS410)。

0096

次に、安定度判定手段104は、ステップS410の過渡安定度演算の結果に基づき、想定事故種別が仮に発生した場合、電力系統Eが安定運転を維持できるか否かを判定する(ステップS412)。ステップS412において安定と判定しなかった場合、電制機選択手段105は、処理フラグIDを0から1に変更した上で(ステップS414)、第1条件の電制機選択を行って(ステップS416)、ステップS408に処理を戻す。

0097

図18に移り、ステップS412において安定と判定した場合、電制機選択手段105は、制御量ΣPGが0であるか(すなわち、電制機が選択されていない状態であるか)、または処理フラグIDが1であるかのうち、少なくともいずれか一方の条件を満たすか否かを判定する(ステップS418)。少なくともいずれか一方の条件を満たすと判定されなかった場合、電制機選択手段105は、第2条件の電制機選択を行って(ステップS420)、解析条件設定手段103は、ステップS404において作成された解析用系統モデルに、想定事故種別に基づく解析条件とステップS420で選択した電制機を設定した解析条件を設定する(ステップS422)。次に、安定度判定手段104は、過渡安定度演算を実施する(ステップS424)。次に、安定度判定手段104は、ステップS424の過渡安定度演算の結果に基づき、想定事故種別が仮に発生した場合、電力系統Eが安定運転を維持できるか否かを判定する(ステップS426)。電制機選択手段105は、安定と判定しなかった場合、電制機を削減させる前の電制機選択パターンすなわちステップ420を行う前の電制機選択パターンを電制機選択結果として、ステップS428に処理を進める。電制機選択手段105は、安定と判定した場合、ステップS418に処理を戻す。

0098

ステップS418において、少なくともいずれか一方の条件を満たすと判定された場合、電制機選択手段105は、すべての想定事故種別の安定度判定を完了したか否かを判定する(ステップS428)。すべての想定事故種別の安定度判定を完了していないと判定した場合、電制機選択手段105は、ステップS406に処理を戻す。すべての想定事故種別の安定度判定を完了したと判定した場合、電制機選択手段105は、制御テーブルを設定して(ステップS430)、本フローチャートの処理を終了する。

0099

以上説明した第3の実施形態の電力系統安定化システムSSCによれば、ひとつの想定事故種別あたりの安定度判定処理に要する処理量を削減することができ、処理を高速化させることができる。

0100

(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態の電力系統安定化システムSSDについて説明する。以下の説明において、第1の実施形態〜第3の実施形態で説明した内容と同様の機能を有する部分については、同様の名称および符号を付するものとし、その機能に関する具体的な説明は省略する。

0101

図19は、第4の実施形態に係る電力系統安定化システムSSDの構成図である。図19に示す電力系統安定化システムSSCは、図15に示す電力系統安定化システムSSCに加え、さらに記憶装置150が制御量情報155を記憶する点が異なる。また、系統情報収集手段101が制御量情報155を参照して処理を行う点が異なる。従って、以下では、電力系統安定化システムSSDの系統情報収集手段101の処理を中心に説明する。

0102

系統情報収集手段101は、例えば、想定事故種別それぞれについて、監視点の潮流PMと制御量情報155を用いて必要制御量PC(t)を演算する。また、電制機選択パターン153を参照して各電制機選択パターンの電制機として設定されている発電機の現在出力を合計して制御量ΣPGを演算する。

0103

図20は、電制機選択パターン153に含まれる内容の他の一例を示す図である。図20に示す電制機選択パターン153には、図6に示した電制機選択パターン153に加えて、さらに各電制機選択パターンが選択された場合の制御量ΣPGの情報が含まれる。

0104

解析条件設定手段103は、例えば、電制機選択パターン153の制御量ΣPGを参照して解析条件を設定する。解析条件設定手段103は、初めに設定する解析条件を、各想定事故種別の必要制御量PCより制御量ΣPGが大きく、且つ必要制御量PCに制御量ΣPGが最も近い電制機選択パターンを電制機選択パターン153から選択する。その際、解析条件設定手段103は、例えば、下記の式(10)が成立する電制機選択パターンを電制機選択パターン153から選択する。

0105

[ΣPG(t) ≧ PC(t)
かつ
min{|ΣPG(t)−PC(t)|}] ・・・(10)

0106

なお、min(|ΣPG(t)−PC(t)|)は、ΣPG(t)−PC(t)の絶対値が最小となる制御量ΣPG(t)の電制機選択パターンを求める式である。

0107

以上説明した第4の実施形態の電力系統安定化システムSSDによれば、第3の実施形態の電力系統安定化システムSSCと同様の効果を奏する他、解析条件設定手段103が電制機選択パターン153を参照して解析条件を設定することにより、系統状態が急変した場合などであっても、ひとつの想定事故種別あたりの演算処理量を削減することができる。

0108

(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態の電力系統安定化システムSSEについて説明する。以下の説明において、第1の実施形態〜第4の実施形態で説明した内容と同様の機能を有する部分については、同様の名称および符号を付するものとし、その機能に関する具体的な説明は省略する。

0109

図21は、第5の実施形態に係る電力系統安定化システムSSEの構成図である。図21に示す電力系統安定化システムSSEは、図9に示す電力系統安定化システムSSAと比較すると、複数の安定度判定手段104−1および安定度判定手段104−2を備える点が異なる。また、図21に示す電力系統安定化システムSSEは、図9に示す電力系統安定化システムSSAと比較すると、解析条件設定手段103が解析条件分配部103cをさらに備える点が異なる。従って、以下では解析条件設定手段103、安定度判定手段104−1および安定度判定手段104−2の処理を中心に説明する。

0110

安定度判定手段104−1および安定度判定手段104−2は、それぞれ上述の安定度判定手段104と同様の機能を有するものである。安定度判定手段104−1および安定度判定手段104−2は、他方の安定度判定手段の処理とは独立して安定度判定処理を行うものである。なお、図21には2つの安定度判定手段104が設けられる例を示したが、3つ以上の安定度判定手段104が設けられてもよい。

0111

解析条件設定手段103は、初めに設定する解析条件を2つ選択し、選択した解析条件を安定度判定手段104−1および安定度判定手段104−2に出力して、並列で安定度判定処理を行わせる。より具体的には、解析条件設定部103bは、系統モデル取得部103aにより取得された解析用系統モデルと、想定事故種別に関する定義が格納された想定事故種別データ152を参照して得られた想定される事故種別のデータとに基づいて、解析条件を2つ設定する。解析条件分配部103cは、解析条件設定部103bにより設定された解析条件のいずれか一方を安定度判定手段104−1に出力し、他方を安定度判定手段104−2に出力する。

0112

電制機選択手段105は、安定度判定手段104−1および安定度判定手段104−2のそれぞれから安定度判定結果を取得して、それらの判定結果に基づいて制御テーブルを設定する。

0113

図22は、第5の実施形態に係る中央演算装置9による処理の流れの一例を示すフローチャートである。図22のフローチャートは、所定の周期で繰り返し行われる。なお、図22に記載のフローチャートのステップS500〜ステップ506は、図3に示したフローチャートのステップS100〜ステップS106と同様の処理である。また、図22に記載のフローチャートのステップS510およびステップS512のそれぞれは、図3に示したフローチャートのステップS108と同様の処理である。また、図22に記載のフローチャートのステップS514〜ステップ520は、図3に示したフローチャートのステップS110〜ステップS116と同様の処理である。また、図22に記載のフローチャートのステップS516における処理詳細は、図4に示したフローチャートの処理に対応付いたものである。

0114

まず、系統情報収集手段101は、給電情報網Nを介して、電力系統Eの系統情報を収集する(ステップS500)。次に、系統モデル作成手段102は、収集された系統情報と系統設備データ151に基づいて状態推定計算や系統縮約等を行い(ステップS502)、電力系統Eの解析用系統モデルを作成する(ステップS504)。

0115

次に、解析条件設定手段103は、ステップS504において作成された解析用系統モデルと想定事故種別データ152と電制機選択パターン153と制御テーブル154と、各想定事故種別の監視点潮流の変化傾向に応じて、解析条件を2つ設定する(ステップS506)。

0116

(3)式が成立するときは、前回演算で選択した電制機選択パターンより制御量が1段多い電制機選択パターンを選択して設定した第1の解析条件と、前回演算で選択した電制機選択パターンを設定した第2の解析条件を作成する。

0117

(3)式が成立しないときは、前回演算で選択した電制機選択パターンを設定した第1の解析条件と、前回演算で選択した電制機選択パターンより制御量が1段少ない電制機選択パターンを選択して設定した第2の解析条件を作成する。

0118

次に、解析条件分配部103cは、第1の解析条件を安定度判定手段104−1、第2の解析条件を安定度判定手段104−2へ分配する(ステップS508)。

0119

次に、安定度判定手段104−1は、第1の解析条件の過渡安定度演算を行う(ステップS510)。また、ステップS510と並行して、安定度判定手段104−2は、第2の解析条件の過渡安定度演算を行う(ステップS512)。

0120

次に、安定度判定手段104は、ステップS510およびステップS512の過渡安定度演算の結果に基づき、想定事故種別が仮に発生した場合、電力系統Eが安定運転を維持できるか否かを判定する(ステップS514)。電制機選択手段105は、ステップS514において、ふたつの解析条件とも結果が不安定であると判定した場合はそれぞれの解析条件について電制機を追加する第1条件の電制機選択、ふたつの解析条件とも結果が安定であると判定した場合は第2条件の電制機選択を行い(ステップS516)、ステップS506に処理を戻す。電制機選択手段105は、第1の解析条件の結果が不安定で第2の解析条件の結果が安定と判定した場合、第2の解析条件の電制機選択パターンを電制機選択結果として採用し、すべての想定事故種別の安定度判定を完了したか否かを判定する(ステップS518)。すべての想定事故種別の安定度判定を完了していないと判定した場合、電制機選択手段105は、ステップS506に処理を戻す。すべての想定事故種別の安定度判定を完了したと判定した場合、電制機選択手段105は、制御テーブルを設定して(ステップS520)、本フローチャートの処理を終了する。

0121

なお、説明を簡素化するため図22では図示していないが、電制機選択手段105は図18と同様に、電制機を削減あるいは制御量が1段少ない電制機選択パターンを選択する第2条件の電制機選択や処理フラグを用いた判定処理などを備える。

0122

以上説明した第5の実施形態の電力系統安定化システムSSEによれば、第1の実施形態と同様の効果を奏するほか、安定度判定手段104を複数備え、安定度判定処理を並列で行うことにより、安定度判定処理の処理時間を短縮することができる。

0123

(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態の電力系統安定化システムSSFについて説明する。以下の説明において、第1の実施形態〜第5の実施形態で説明した内容と同様の機能を有する部分については、同様の名称および符号を付するものとし、その機能に関する具体的な説明は省略する。

0124

図23は、第6の実施形態に係る電力系統安定化システムSSFの構成図である。図23に示す電力系統安定化システムSSFは、図21に示す電力系統安定化システムSSEに加え、さらに記憶装置150が制御量情報155を記憶する点が異なる。また、系統情報収集手段101が制御量情報155を参照して処理を行う点が異なる。従って、以下では、電力系統安定化システムSSFの解析条件設定手段103の処理を中心に説明する。

0125

解析条件設定手段103は、解析条件を2つ設定する際に、例えば、以下のような方法を用いる。

0126

解析条件設定手段103は、安定度判定手段104−1に出力する第1の解析条件として、各想定事故種別の必要制御量PCより制御量ΣPGが大きく、且つ必要制御量PCに制御量ΣPGが最も近い電制機選択パターンを電制機選択パターン153から選択して、設定する。この際、解析条件設定手段103は、例えば、式(10)の条件が成立する電制機選択パターンを選択する。

0127

同様に、解析条件設定手段103は、安定度判定手段104−2に出力する第2の解析条件として、各想定事故種別の必要制御量PCより制御量ΣPGが小さく、且つ必要制御量PCに制御量ΣPGが最も近い電制機選択パターンを電制機選択パターン153から選択して、設定する。この際、解析条件設定手段103は、例えば、以下の式(11)の条件が成立する電制機選択パターンを選択する。

0128

[ΣPG(t) < PC(t)
かつ
min{|ΣPG(t)−PC(t)|}] ・・・(11)

0129

以上説明した第6の実施形態の電力系統安定化システムSSFによれば、第5の実施形態の電力系統安定化システムSSEと同様の効果を奏する他、複数の安定度判定手段104のそれぞれに必要制御量PCに制御量ΣPGが近接する条件で安定度判定処理を行わせることができるため、系統状態が急変した場合などであっても、ひとつの想定事故種別あたりの演算処理量を削減することができる。

0130

以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、電力系統Eの系統情報に基づいて想定事故種別それぞれの監視点の潮流値を用いて安定度の変化傾向や必要制御量を求め過渡安定度演算の解析条件を設定し、電力系統Eにおける複数の想定事故種別毎に電制機を選択して制御テーブル154を設定することを繰り返し行う中央演算装置9と、事故検出端末装置11から受信した事故種別と中央演算装置9から受信した制御テーブルを照合して制御内容を決定する中央制御装置10と、系統事故の有無を検出し、事故種別を判別する事故検出端末装置11と、中央制御装置10により決定された電制機を電制する制御端末装置12とを持つことにより、電力系統の系統事故に対する好適な安定化制御をより高速に行うことができる。

0131

本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

0132

例えば、第1の実施形態の電力系統安定化システムSSAにおいて第5の実施形態の安定度判定手段104−1および104−2のように複数の安定度判定手段104が設けられ、同一の想定事故種別について電制機の組合せが異なる制御条件をそれぞれ設定した2以上の過渡安定度演算が並列で行われてもよい。

0133

SS、SSA、SSB、SSC、SSD、SSE、SSF…電力系統安定化システム、9…中央演算装置、10…中央制御装置、11…事故検出端末装置、12…制御端末装置、104…安定度判定手段、E…電力系統、N…給電情報網

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ