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技術 蛍光体パネルの製造方法、蛍光体パネル、イメージインテンシファイア、及び走査型電子顕微鏡

出願人 浜松ホトニクス株式会社
発明者 浜名康全渡辺宏之嶋野賢志西澤寛仁
出願日 2019年2月20日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-028122
公開日 2020年8月31日 (2ヶ月経過) 公開番号 2020-136071
状態 特許登録済
技術分野 電子顕微鏡(3) 陰極線管及びランプの各種被膜の形成 各種表示用陰極線管と蛍光面
主要キーワード ポリオキシメチレン製 放射感度 MTTF 電子透過率 略中空円筒状 金属フランジ 貫通孔周辺 ライフ試験
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図面 (10)

課題

金属反射膜剥離を効果的に抑制することができる。

解決手段

蛍光体パネル30の製造方法は、出射窓12上に複数の蛍光体粒子51を有する蛍光体層52を形成する工程と、蛍光体層52上に有機膜61を形成する工程と、有機膜61上に金属反射膜53を形成する工程と、焼成により有機膜61を除去する工程と、原子層堆積法によって、金属反射膜53の表面と蛍光体粒子51の表面とを一体的に覆う酸化物膜54を形成する工程と、を含む。

概要

背景

従来、例えばイメージインテンシファイア及び走査型電子顕微鏡等において、蛍光体パネル光電子を検出する電子検出部として用いられている。例えば、特許文献1には、粒子状蛍光体によって蛍光体層蛍光膜)が形成されること、及び蛍光体層における電子入射面側に蛍光体層のチャージアップの防止等を図るための金属反射膜アルミニウム層)が設けられることが開示されている。また、特許文献1には、蛍光体層上にニトロセルロース膜を形成した後に当該ニトロセルロース膜上に金属反射膜を形成し、その後ニトロセルロース膜を除去することによって蛍光体層上に金属反射膜を形成する方法が開示されている。

概要

金属反射膜の剥離を効果的に抑制することができる。蛍光体パネル30の製造方法は、出射窓12上に複数の蛍光体粒子51を有する蛍光体層52を形成する工程と、蛍光体層52上に有機膜61を形成する工程と、有機膜61上に金属反射膜53を形成する工程と、焼成により有機膜61を除去する工程と、原子層堆積法によって、金属反射膜53の表面と蛍光体粒子51の表面とを一体的に覆う酸化物膜54を形成する工程と、を含む。

目的

そこで、本開示は、金属反射膜の剥離を効果的に抑制することができる蛍光体パネルの製造方法、蛍光体パネル、イメージインテンシファイア、及び走査型電子顕微鏡を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

光透過性基板上に複数の蛍光体粒子を有する蛍光体層を形成する工程と、前記蛍光体層上に有機膜を形成する工程と、前記有機膜上に金属反射膜を形成する工程と、焼成により前記有機膜を除去する工程と、原子層堆積法によって、前記金属反射膜の表面と前記蛍光体粒子の表面とを一体的に覆う酸化物膜を形成する工程と、を含む蛍光体パネルの製造方法。

請求項2

前記有機膜は、ニトロセルロース膜である、請求項1に記載の蛍光体パネルの製造方法。

請求項3

前記金属反射膜を形成する工程は、蒸着又はスパッタにより行われる、請求項1又は2に記載の蛍光体パネルの製造方法。

請求項4

前記有機膜が除去された後に前記蛍光体層上に位置する前記金属反射膜である第1金属反射膜上に第2金属反射膜を形成する工程を更に含み、前記酸化物膜を形成する工程において、前記酸化物膜は、前記第1金属反射膜、前記第2金属反射膜、及び前記蛍光体粒子を覆うように形成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体パネルの製造方法。

請求項5

光透過性基板と、前記光透過性基板上に設けられ、複数の蛍光体粒子を有する蛍光体層と、前記蛍光体層上に設けられた金属反射膜と、前記金属反射膜の表面及び前記蛍光体粒子の表面を一体的に覆うように形成された酸化物膜と、を備える蛍光体パネル。

請求項6

前記金属反射膜は、アルミニウム膜である、請求項5に記載の蛍光体パネル。

請求項7

前記酸化物膜は、酸化アルミニウム膜酸化チタン膜酸化亜鉛膜、又は酸化シリコン膜である、請求項5又は6に記載の蛍光体パネル。

請求項8

前記蛍光体粒子は、酸硫化ガドリニウムである、請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛍光体パネル。

請求項9

前記蛍光体層には、前記複数の蛍光体粒子を互いに結合する結合材が含まれている、請求項5〜8のいずれか一項に記載の蛍光体パネル。

請求項10

前記結合材は、ケイ酸カリウムである、請求項9に記載の蛍光体パネル。

請求項11

前記光透過性基板は、複数の光ファイバ束ねられて構成されたファイバオプティクプレートである、請求項5〜10のいずれか一項に記載の蛍光体パネル。

請求項12

入射光に応じて光電子を放出する光電面と、前記光電面から放出された前記光電子を増倍する電子増倍部と、前記蛍光体層が前記電子増倍部によって増倍された前記光電子を受けて当該光電子に応じた蛍光を発するように配置された、請求項5〜11のいずれか一項に記載の蛍光体パネルと、を備えるイメージインテンシファイア

請求項13

電子線を発生させる電子銃と、試料に前記電子線を照射するとともに、前記試料上における電子線照射位置を走査する照射部と、前記蛍光体層が前記試料への電子線照射に応じて前記試料で発生した光電子を受けて当該光電子に応じた蛍光を発するように配置された、請求項5〜11のいずれか一項に記載の蛍光体パネルと、を備える走査型電子顕微鏡

技術分野

0001

本開示は、蛍光体パネルの製造方法、蛍光体パネル、イメージインテンシファイア、及び走査型電子顕微鏡に関する。

背景技術

0002

従来、例えばイメージインテンシファイア及び走査型電子顕微鏡等において、蛍光体パネルが光電子を検出する電子検出部として用いられている。例えば、特許文献1には、粒子状蛍光体によって蛍光体層蛍光膜)が形成されること、及び蛍光体層における電子入射面側に蛍光体層のチャージアップの防止等を図るための金属反射膜アルミニウム層)が設けられることが開示されている。また、特許文献1には、蛍光体層上にニトロセルロース膜を形成した後に当該ニトロセルロース膜上に金属反射膜を形成し、その後ニトロセルロース膜を除去することによって蛍光体層上に金属反射膜を形成する方法が開示されている。

先行技術

0003

特開平1−243345号公報

発明が解決しようとする課題

0004

上述した金属反射膜の形成方法では、蛍光体層と金属反射膜との間にニトロセルロース膜が介在するため、金属反射膜は蛍光体層に対して直接成膜されない。このため、金属反射膜は、蛍光体層に対して十分に密着しているとはいえず、比較的蛍光体層から剥離し易い状態となっている。また、金属反射膜の剥離は、蛍光体パネルを電子検出部として備える製品品質低下の原因となり得る。例えばイメージインテンシファイアにおいては、金属反射膜の剥離は画質の低下の原因となり得る。

0005

そこで、本開示は、金属反射膜の剥離を効果的に抑制することができる蛍光体パネルの製造方法、蛍光体パネル、イメージインテンシファイア、及び走査型電子顕微鏡を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本開示の一側面に係る蛍光体パネルの製造方法は、光透過性基板上に複数の蛍光体粒子を有する蛍光体層を形成する工程と、蛍光体層上に有機膜を形成する工程と、有機膜上に金属反射膜を形成する工程と、焼成により有機膜を除去する工程と、原子層堆積法によって、金属反射膜の表面と蛍光体粒子の表面とを一体的に覆う酸化物膜を形成する工程と、を含む。

0007

上記蛍光体パネルの製造方法では、金属反射膜が蛍光体層上に形成された有機膜上に形成される。これにより、金属反射膜を構成する金属分子の蛍光体層内への混入が防止され、蛍光体層上に金属反射膜を適切に設けることができる。また、焼成により有機膜が除去された後に、原子層堆積法によって、酸化物膜が、金属反射膜の表面と蛍光体粒子の表面とを一体的に覆うように形成される。金属反射膜の表面が酸化物膜に保護されることにより、金属反射膜の強度が向上する。さらに、酸化物膜を介して金属反射膜と蛍光体層(蛍光体粒子)との密着性が向上するため、金属反射膜が蛍光体層から剥離し難くなる。従って、上記製造方法によれば、金属反射膜の剥離が効果的に抑制された蛍光体パネルを製造することができる。

0008

有機膜は、ニトロセルロース膜であってもよい。これにより、金属反射膜の形成に適した有機膜を好適に形成することができる。

0009

金属反射膜を形成する工程は、蒸着又はスパッタにより行われてもよい。これにより、有機膜上に金属反射膜を好適に形成することができる。また、蒸着又はスパッタにより、適度に開口(ピンホール)が設けられた金属反射膜が形成される。これにより、原子層堆積法による酸化物膜の成膜において、酸化物膜を成膜するためのガスを金属反射膜の開口を介して蛍光体層へと侵入させることができる。その結果、酸化物膜を好適に形成することができる。

0010

上記製造方法は、有機膜が除去された後に蛍光体層上に位置する金属反射膜である第1金属反射膜上に第2金属反射膜を形成する工程を更に含んでもよく、酸化物膜を形成する工程において、酸化物膜は、第1金属反射膜、第2金属反射膜、及び蛍光体粒子を覆うように形成されてもよい。上記製造方法では、最初に有機膜上に形成された金属反射膜(第1金属反射膜)の一部が、焼成工程によって金属酸化物膜に変化したり、損傷したりする場合がある。その結果、第1金属反射膜だけでは、蛍光体層のチャージアップ防止等の金属反射膜としての機能が十分に発揮されないおそれがある。一方、上記製造方法によれば、第1金属反射膜と第2金属反射膜とにより、上述した金属反射膜としての機能を確保することができる。

0011

本開示の一側面に係る蛍光体パネルは、光透過性基板と、光透過性基板上に設けられ、複数の蛍光体粒子を有する蛍光体層と、蛍光体層上に設けられた金属反射膜と、金属反射膜の表面及び蛍光体粒子の表面を一体的に覆うように形成された酸化物膜と、を備える。

0012

上記蛍光体パネルでは、酸化物膜が、金属反射膜の表面と蛍光体粒子の表面とを一体的に覆うように形成されている。金属反射膜の表面が酸化物膜に保護されることにより、金属反射膜の強度が向上する。さらに、酸化物膜を介して金属反射膜と蛍光体層(蛍光体粒子)との密着性が向上するため、金属反射膜が蛍光体層から剥離し難くなる。従って、上記蛍光体パネルによれば、金属反射膜の剥離を効果的に抑制することができる。

0013

金属反射膜は、アルミニウム膜であってもよい。これにより、上述した金属反射膜としての機能を好適に発揮することができる。

0014

酸化物膜は、酸化アルミニウム膜酸化チタン膜酸化亜鉛膜、又は酸化シリコン膜であってもよい。これにより、金属反射膜の強度向上、及び金属反射膜と蛍光体層との密着性の向上を好適に図ることができる。

0015

蛍光体粒子は、酸硫化ガドリニウムであってもよい。これにより、イメージインテンシファイア等における電子検出部として利用される蛍光体パネルの蛍光体層を好適に形成することができる。

0016

蛍光体層には、複数の蛍光体粒子を互いに結合する結合材が含まれていてもよい。これにより、蛍光体粒子同士が互いに固定され、蛍光体層の構造を安定化させることができる。

0017

結合材は、ケイ酸カリウムであってもよい。これにより、蛍光体粒子同士を好適に結合させることができる。

0018

光透過性基板は、複数の光ファイバ束ねられて構成されたファイバオプティクプレートであってもよい。これにより、蛍光体層で発した蛍光を高効率及び低歪みで外部に伝達することが可能となる。

0019

本開示の一側面に係るイメージインテンシファイアは、入射光に応じて光電子を放出する光電面と、光電面から放出された光電子を増倍する電子増倍部と、蛍光体層が電子増倍部によって増倍された光電子を受けて当該光電子に応じた蛍光を発するように配置された上記蛍光体パネルと、を備える。

0020

本開示の一側面に係る走査型電子顕微鏡は、電子線を発生させる電子銃と、試料に電子線を照射するとともに、試料上における電子線照射位置を走査する照射部と、蛍光体層が試料への電子線照射に応じて試料で発生した光電子を受けて当該光電子に応じた蛍光を発するように配置された上記蛍光体パネルと、を備える。

0021

上記イメージインテンシファイア又は上記走査型電子顕微鏡は、上述した蛍光体パネルを電子検出部として備えている。上述したように、蛍光体パネルにおいて金属反射膜が従来よりも剥離し難くなっていることから、製品製造時における蛍光体パネルのハンドリング性を向上させることができる。すなわち、従来と比較して蛍光体パネルの取り扱いが容易となる。また、蛍光体パネルにおいて金属反射膜の剥離が抑制されていることにより、金属反射膜の剥離に起因する製品の品質低下を抑制することができる。例えばイメージインテンシファイアにおいては、金属反射膜の剥離に起因する画質の低下を抑制することができる。また、蛍光体粒子が酸化物膜で覆われていることにより、蛍光体粒子(或いは蛍光体粒子に付着した結合材。以下同じ。)へのガスの吸着が抑制されると共に、イメージインテンシファイアの動作時における蛍光体粒子からのガスの放出が抑制される。これにより、蛍光体粒子から放出されたガスがイオン化して光電面に到達する現象イオンフィードバック)を抑制し、当該現象に起因する光電面の劣化カソード感度の劣化)を抑制することができる。その結果、イメージインテンシファイアのライフ特性製品寿命)を向上させることができる。

発明の効果

0022

本開示によれば、金属反射膜の剥離を効果的に抑制することができる蛍光体パネルの製造方法、蛍光体パネル、イメージインテンシファイア、及び走査型電子顕微鏡を提供することができる。

図面の簡単な説明

0023

一実施形態に係る蛍光体パネルを含むイメージインテンシファイアの一部断面図である。
図1に示されるイメージインテンシファイアの要部拡大断面図である。
蛍光体パネルの要部を示す概略断面図である。
蛍光体パネルのSEM像を示す図である。
蛍光体パネルの製造工程を示す図である。
蛍光体パネルの製造工程を示す図である。
ライフ試験MTTF試験)の光照射条件を示す図である。
(A)は比較例に係るイメージインテンシファイアの試験結果を示す。(B)は実施例に係るイメージインテンシファイアの試験結果を示す。
一実施形態に係る蛍光体パネルを含む走査型電子顕微鏡の概略構成図である。

実施例

0024

以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。各図において同一又は相当の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、図面においては、一部、実施形態に係る特徴部分を分かり易く説明するために誇張している部分があり、実際の寸法とは異なっている。また、以下の説明において「上」、「下」等の語は図面に示される状態に基づく便宜的なものである。

0025

[イメージインテンシファイアの構造]
図1及び図2は、一実施形態に係る蛍光体パネルを含むイメージインテンシファイアを示している。本実施形態のイメージインテンシファイア1は、筐体2を有している。イメージインテンシファイア1は、筐体2の内部において、光電面(Photocathode)3と、マイクロチャンネルプレート4(電子増倍部)と、蛍光面5と、を有している。

0026

イメージインテンシファイア1の内部は、略中空円柱状をなす筐体2の両端部を略円板状の入射窓11及び出射窓12(光透過性基板)で気密に封止することにより、高真空状態に保持されている。筐体2は、例えば略中空円筒状セラミック製の側管13と、側管13の側部を被覆する略中空円柱状のシリコンゴム製モールド部材14と、モールド部材14の側部及び底部を被覆する略中空円筒状のポリオキシメチレン製ケース部材15とによって構成されている。

0027

モールド部材14の両端部には、例えば2個の貫通孔がそれぞれ形成されている。ケース部材15の一端は解放された状態となっており、ケース部材15の他端には、モールド部材14の一方の貫通孔とその周縁を一致させた貫通孔が形成されている。モールド部材14の一端側において、モールド部材14の一方の貫通孔周辺の表面には、ガラス製の入射窓11が接合されている。入射窓11の真空側表面の略中央部分には、薄膜状の光電面3が設けられている。入射窓11は、例えば石英ガラス等からなる板状部材である。当該板状部材に光電面3が形成されている。光電面3は、例えば、アンチモンアルカリとの化合物、表面にCs等のアルカリ分子が吸着した半導体結晶等によって形成されている。

0028

一方、モールド部材14の他端側において、モールド部材14の他方の貫通孔には、出射窓12が嵌合している。出射窓12の真空側表面の略中央部分には、薄膜状の蛍光面5が設けられている。出射窓12は、例えば複数の光ファイバが束ねられて構成されたファイバオプティプレート(FOP)である。出射窓12の各光ファイバは、光電面3に対して光軸が直交し、かつ、真空側端面が面一に整合した状態となっている。この出射窓12の真空側表面に蛍光面5が設けられている。出射窓12と蛍光面5とによって蛍光体パネル30が構成されている。

0029

光電面3と蛍光面5との間には、略円板状のマイクロチャンネルプレート4が配置されている。マイクロチャンネルプレート4は、側管13の内壁に固定された取付部材21,22の内縁で支持され、光電面3及び蛍光面5と所定の間隔をもって対向した状態となっている。マイクロチャンネルプレート4は、光電面3から放出された光電子を増倍する電子増倍部として機能する。具体的には、マイクロチャンネルプレート4は、光電面3から放出された光電子を増倍し、増倍された光電子を蛍光面5に向けて出力する。

0030

入射窓11の真空側表面の周辺領域では、金属製の配線層(不図示)が光電面3に対して電気的に接続されている。この配線層と光電面3との接続にあたっては、側管13と入射窓11とで挟持された取付部材23がモールド部材14内に延びて固定されている。また、出射窓12の真空側表面の周辺領域では、金属製の別の配線層(不図示)が蛍光面5に対して電気的に接続されている。この配線層と蛍光面5との接続にあたっては、側管13とモールド部材14とで挟持された取付部材24がモールド部材14内に延びて固定されている。

0031

取付部材21〜24の端部には、例えばコバール金属からなるリード線25〜28の一端がそれぞれ接続されている。リード線25〜28の他端は、モールド部材14及びケース部材15を気密に貫通して外部に突出し、外部電圧源(不図示)に電気的に接続されている。これにより、光電面3、マイクロチャンネルプレート4、及び蛍光面5には、外部電圧源からの所定の電圧印加される。光電面3とマイクロチャンネルプレート4の入力面4aとの間には、例えば200V程度の電位差が設定される。マイクロチャンネルプレート4の入力面4aと出力面4bとの間には、例えば500V〜1200V程度の電位差が可変に設定される。マイクロチャンネルプレート4の出力面4bと蛍光面5との間には、例えば6kV程度の電位差が設定される。

0032

次に、イメージインテンシファイア1の動作について説明する。入射窓11を介して入射光L1が光電面3に入射すると、光電面3は入射光L1に応じて光電子E1を放出する。マイクロチャンネルプレート4の入力面4aに光電子E1が入射すると、マイクロチャンネルプレート4は光電子E1を増倍し、増倍された光電子E2を蛍光面5へと出射する。蛍光面5に光電子E2が入射すると、蛍光面5は光電子E2に応じた蛍光L2を発する。蛍光面5から出射した蛍光L2(光像)は、出射窓12を通過した後、例えばCCDカメラ等の撮像手段によって取得される。

0033

[蛍光体パネルの構造]
次に、図3及び図4を参照して、蛍光体パネル30の構造について説明する。図3は、上述した出射窓12における蛍光面5が設けられた部分を示す概略断面図である。図4は、蛍光体パネル30の一部の断面を示すSEM像である。図3に示されるように、蛍光体パネル30は、上述した出射窓12と、複数の蛍光体粒子51を有する蛍光体層52と、金属反射膜53と、酸化物膜54と、を有する。上述した蛍光面5は、蛍光体層52と、金属反射膜53と、蛍光体層52及び金属反射膜53を覆う酸化物膜54と、によって構成されている。出射窓12は、蛍光L2を透過させる光透過性基板として機能する。

0034

蛍光体層52は、出射窓12上(出射窓12の真空側表面である内面12a)に設けられている。蛍光体層52は、例えば後述する製造方法(沈降法等)によって出射窓12上に形成される。蛍光体層52の厚さt1は、例えば4μm〜8μm程度である。蛍光体層52は、複数の蛍光体粒子51の集合体として構成されている。蛍光体粒子51の粒径は、例えば1μm〜4μm程度である。また、蛍光体粒子51の粒度分布中心値は、2μm程度である。蛍光体粒子51は、入射した光電子に応じた蛍光を発する性質を有している。蛍光体粒子51は、例えば酸硫化ガドリニウム(GOS)である。蛍光体層52には、複数の蛍光体粒子51を互いに結合(接着)するための結合材が含まれている。本実施形態では、蛍光体粒子51の表面に、ケイ酸カリウムからなる結合材Cが付着している。この結合材Cを介して、互いに隣接する蛍光体粒子51同士が結合されている。

0035

金属反射膜53は、蛍光体層52上(蛍光体層52の出射窓12側とは反対側)に設けられている。金属反射膜53は、いわゆるメタルバックであり、マイクロチャンネルプレート4を通過した光に対して比較的高い反射率を有し、且つマイクロチャンネルプレート4からの光電子E2に対して比較的高い透過率を有している。金属反射膜53は、例えばアルミニウム膜によって形成されている。金属反射膜53の厚さt2は、例えば50nm〜120nm程度である。金属反射膜53は、蛍光体層52のチャージアップを防止する機能、蛍光体粒子51からの蛍光を出射窓12側へと反射させる機能等を有している。詳しくは後述するが、金属反射膜53は、蛍光体層52上に設けられた有機膜上に金属材料(本実施形態ではアルミニウム)の蒸着又はスパッタを行った後に当該有機膜を除去する工程を経ることにより、蛍光体層52上に形成される。このように形成された金属反射膜53には、ピンホール等の開口53aが点在している。

0036

酸化物膜54は、金属反射膜53の表面及び蛍光体粒子51の表面を一体的に覆うように形成されている。酸化物膜54は、蛍光体粒子51への電子の入射を阻害しないように、比較的電子透過率が高い材料によって形成されることが好ましい。このような観点から、酸化物膜54は、原子番号が比較的小さい元素によって形成されることが好ましい。

0037

酸化物膜54は、上述のように出射窓12、蛍光体層52、及び金属反射膜53が層状に形成された形成体に対して原子層堆積法(ALD:Atomic layer deposition)による成膜を実行することにより形成されている。ALDによる成膜はガスの吸着原理に基づく技術であるため、上記形成体の隙間(例えば上述した金属反射膜53の開口53a、蛍光体層52と出射窓12の内面12aとの間の隙間、蛍光体層52と金属反射膜53の内面53cとの間の隙間等)から上記形成体の内部にガスを侵入させることにより、上記形成体の内部にも成膜を行うことができる。また、ALDによれば、微細凹凸表面に対しても緻密で隙間のないひとつながりの膜を形成することができる。

0038

これにより、図3に示されるように、酸化物膜54は、上記形成体の外表面(金属反射膜53の外面53b及び出射窓12の外面12b)だけでなく、上記形成体の内部(金属反射膜53の開口53a表面及び内面53c、出射窓12の内面12a、並びに蛍光体粒子51の表面)にも形成される。また、酸化物膜54は、上記形成体の外表面及び内部において、一体的に(連続的に)形成される。なお、酸化物膜54は、蛍光体粒子51の表面に付着した結合材Cを内包するように、蛍光体粒子51の表面を覆っている。酸化物膜54の厚さは、例えば3nm〜12nm程度である。

0039

ALDによる成膜を好適に行う観点からは、酸化物膜54の材料としては、例えば、Be、Mg、Al、Si、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Sr、Y、Sn、Ba、Hf、Ta、W、Ir等の酸化物が好ましい。更に、酸化物膜54は、酸化アルミニウム膜(Al2O3)、酸化チタン膜(TiO2)、酸化亜鉛膜(ZnO)、又は酸化シリコン膜(SiO2)であることが好ましい。このような材料によれば、ALDによる成膜を比較的容易に行うことができると共に、緻密且つ連続的な膜を好適に成膜することができる。本実施形態では一例として、酸化物膜54は、ALDによって成膜された厚さ5nmの酸化アルミニウム膜である。

0040

[蛍光体パネルの製造方法]
次に、図5及び図6を参照して、蛍光体パネル30の製造方法について説明する。図5及び図6は、蛍光体パネル30の製造工程を示す模式図である。準備段階として、蛍光体溶液が用意される。まず、複数の蛍光体粒子51が、純水及び濾過されたケイ酸カリウムと混合される。続いて、このようにして得られた溶液に対して超音波による撹拌が実施される。これにより、複数の蛍光体粒子51が均一に分散した溶液が得られる。続いて、当該溶液は、酢酸バリウムを更に加えられた上で更に撹拌される。

0041

続いて、例えば、出射窓12の光出射方向(内面12aに直交する方向)から見て出射窓12を包囲するように設けられた取付部材24(金属フランジ図1,2参照)に対して、図示しない筒が固定される。上記筒は、出射窓12の内面12aが上記筒の内側に位置するように配置される。すなわち、上記筒は、蛍光面5を形成したい部分(すなわち、出射窓12の内面12a)が上記筒の内側に位置するように、取付部材24に固定される。なお、この時点では、出射窓12及び取付部材24は、フリットガラス29(図2参照)を介して互いに固定されている。

0042

続いて、上記のように内面12aに固定された筒内に上記準備段階で用意された蛍光体溶液が入れられる。筒内に入れられた蛍光体溶液に含まれる蛍光体粒子51は、一定時間放置されることにより、内面12aに沈降する。その後、筒内の上澄み液及び蛍光体粒子51の表面に付着した水分が、注意深く吸い取られる。これにより、図5の(A)に示されるように、出射窓12の内面12a上に複数の蛍光体粒子51を有する蛍光体層52が形成される。

0043

続いて、出射窓12及び蛍光体粒子51が乾燥した後に、各蛍光体粒子51の表面がケイ酸カリウムに浸される。これにより、蛍光体粒子51の表面にケイ酸カリウムからなる結合材Cが付着し、蛍光体粒子51同士は、結合材Cを介して互いに強固に結合される。また、図5の(B)に示されるように、蛍光体層52上(出射窓12側とは反対側)に有機膜61が形成される。本実施形態では、有機膜61はニトロセルロース膜である。有機膜61は、蛍光体層52上に略平坦状に設けられる。すなわち、有機膜61は、蛍光体粒子51の表面形状に沿って設けられるのではなく、略平坦状の形状を維持したまま複数の蛍光体粒子51の上方に載置される。

0044

続いて、図5の(C)に示されるように、有機膜61上に金属反射膜62(第1金属反射膜)が形成される。本実施形態では一例として、金属反射膜62は、アルミニウム膜である。金属反射膜62の厚さは、例えば10nm〜20nm程度である。金属反射膜62は、蒸着又はスパッタにより有機膜61上に設けられる。上述したように、有機膜61が蛍光体層52上に略平坦状に設けられていることにより、金属反射膜62を有機膜61の形状に沿った略平坦状に形成することができる。

0045

続いて、図5の(C)に示されるように形成された出射窓12、蛍光体層52、有機膜61、及び金属反射膜62からなる形成体の焼成が行われる。上記形成体の焼成は、例えば大気中で350℃の条件下で実行される。焼成により、有機膜61が燃焼して除去される。その結果、図6の(A)に示されるように、金属反射膜62が蛍光体層52上に配置される。なお、上述した蒸着又はスパッタにより形成された金属反射膜62には、ピンホール等の開口62aが点在している。

0046

続いて、図6の(B)に示されるように、有機膜61が除去された後に蛍光体層52上に位置する金属反射膜62上に金属反射膜63(第2金属反射膜)が形成される。これは以下の理由による。すなわち、金属反射膜62の一部が、有機膜61を除去するための焼成により、金属酸化物膜(本実施形態ではアルミナ)へと変化したり、損傷したりする場合がある。その結果、十分な層厚の金属反射膜(ここではアルミニウム膜)が確保されず、金属反射膜62だけでは上述したメタルバックとしての機能を十分に発揮できないおそれがある。そこで、十分な層厚の金属反射膜を確保するために、金属反射膜62上に金属反射膜63が形成される。上述した金属反射膜53は、このように形成された金属反射膜62及び金属反射膜63によって構成されている。

0047

金属反射膜63は、金属反射膜62と同じ材料によって形成されてもよいし、金属反射膜62とは異なる金属材料によって形成されてもよい。本実施形態では一例として、金属反射膜63は、金属反射膜62と同じアルミニウムによって形成される。金属反射膜63は、蒸着又はスパッタによって金属反射膜62上に成膜される。金属反射膜63の厚さは、例えば40nm〜100nm程度である。金属反射膜63において金属反射膜62の開口62aに対応する部分には、開口62aと連通する開口63aが形成される。上述した金属反射膜53の開口53aは、開口62a及び開口63aによって構成されている。

0048

続いて、原子層堆積法(ALD)によって、金属反射膜53(金属反射膜62及び金属反射膜63)の表面と蛍光体粒子51の表面とを一体的に覆う酸化物膜54(図3参照)が形成される。本実施形態では、図6の(B)に示される状態の形成体(出射窓12、蛍光体層52、及び金属反射膜53)の全体に対してALDによる成膜が実施される。その結果、図3に示されるように、酸化物膜54は、上記形成体の外表面(金属反射膜53の外面53b及び出射窓12の外面12b)及び上記形成体の内部(金属反射膜53の開口53a表面及び内面53c、出射窓12の内面12a、並びに蛍光体粒子51の表面)に形成される。

0049

なお、焼成工程において金属反射膜62の表面が金属酸化物膜に変化している場合、上述したALDによる成膜後の金属反射膜53及び酸化物膜54は、アルミニウム膜の外側に焼成によって生じた金属酸化物膜が形成され、当該金属酸化物膜の外側にALDにより成膜された酸化物膜54が更に形成された構造を有し得る。

0050

[蛍光体パネルの作用効果
以上述べた蛍光体パネル30では、酸化物膜54が、金属反射膜53の表面(外面53b及び内面53c)と蛍光体粒子51の表面とを一体的に覆うように形成されている。このように金属反射膜53の表面が酸化物膜54に保護されることにより、金属反射膜53の強度が向上する。さらに、酸化物膜54を介して金属反射膜53と蛍光体層52(蛍光体粒子51)との密着性が向上するため、金属反射膜53が蛍光体層52から剥離し難くなる。従って、蛍光体パネル30によれば、金属反射膜53の剥離を効果的に抑制することができる。

0051

また、本実施形態では、金属反射膜53は、アルミニウム膜である。これにより、上述したメタルバックとしての機能(すなわち、蛍光体層52のチャージアップを防止する機能、蛍光体粒子51からの蛍光L2を反射させる機能等)を好適に発揮することができる。

0052

また、本実施形態では、酸化物膜54は、酸化アルミニウム膜によって形成されている。これにより、金属反射膜53の強度向上、及び金属反射膜53と蛍光体層52との密着性の向上を好適に図ることができる。なお、酸化物膜54が酸化チタン膜、酸化亜鉛膜、又は酸化シリコン膜によって形成されている場合にも、上記と同様の効果が奏される。

0053

また、本実施形態では、蛍光体粒子51は、酸硫化ガドリニウムである。これにより、イメージインテンシファイア等における電子検出部として利用される蛍光体パネル30の蛍光体層52を好適に形成することができる。

0054

また、蛍光体層52には、複数の蛍光体粒子51を互いに結合する結合材Cが含まれている。これにより、蛍光体粒子51同士が互いに固定され、蛍光体層52の構造を安定化させることができる。

0055

また、本実施形態では、結合材Cは、ケイ酸カリウムである。これにより、蛍光体粒子51同士を好適に結合させることができる。

0056

また、本実施形態では、出射窓12は、複数の光ファイバが束ねられて構成されたファイバオプティクプレート(FOP)である。これにより、蛍光体層52で発した蛍光L2を高効率及び低歪みで外部に伝達することが可能となる。

0057

[イメージインテンシファイアの作用効果]
また、イメージインテンシファイア1は、入射光L1に応じて光電子E1を放出する光電面3と、光電面3から放出された光電子E1を増倍するマイクロチャンネルプレート4と、蛍光体パネル30と、を備えている。蛍光体パネル30は、蛍光体層52がマイクロチャンネルプレート4によって増倍された光電子E2を受けて当該光電子E2に応じた蛍光L2を発するように配置されている。すなわち、図2に示されるように、蛍光面5がマイクロチャンネルプレート4に対向するように配置されている。イメージインテンシファイア1においては、蛍光体パネル30の金属反射膜53が従来よりも剥離し難くなっていることから、製品製造時における蛍光体パネル30のハンドリング性を向上させることができる。すなわち、従来と比較して蛍光体パネル30の取り扱いが容易となる。

0058

また、蛍光体パネル30において金属反射膜53の剥離が抑制されていることにより、金属反射膜53の剥離に起因するイメージインテンシファイア1の品質低下を抑制することができる。具体的には、イメージインテンシファイアにおいて、金属反射膜(メタルバック)の剥離は、イメージインテンシファイアにより得られる画像の画質の低下の原因となり得ることが知られている。従って、上述したイメージインテンシファイア1によれば、金属反射膜53の剥離に起因する画質の低下を抑制することができる。

0059

さらに、蛍光体粒子51が酸化物膜54で覆われていることにより、蛍光体粒子51(或いは蛍光体粒子51に付着した結合材C。以下同じ。)へのガスの吸着が抑制されると共に、イメージインテンシファイア1の動作時における蛍光体粒子51からのガスの放出が抑制される。これにより、蛍光体粒子51から放出されたガスがイオン化して光電面3に到達する現象(イオンフィードバック)を抑制し、当該現象に起因する光電面3の劣化(カソード感度の劣化)を抑制することができる。その結果、イメージインテンシファイア1のライフ特性(製品寿命)を向上させることができる。特に、結合材Cとして用いられるケイ酸カリウムは、比較的ガスを吸着し易い性質を有している。このため、本実施形態のようにケイ酸カリウムを結合材Cとして用いる場合には、蛍光体粒子51を酸化物膜54で覆うことによる上記効果は特に大きいといえる。

0060

図7及び図8を参照して、イメージインテンシファイア1におけるライフ特性の向上の効果について詳細に説明する。図7は、ライフ試験(MTTF試験)の光照射条件を示す図である。図8の(A)は、比較例に係るイメージインテンシファイア(以下単に「比較例」)の試験結果を示す。図8の(B)は実施例に係るイメージインテンシファイア(以下単に「実施例」)の試験結果を示す。ここで、実施例は、上述したイメージインテンシファイア1と同様の構成を有するイメージインテンシファイアである。具体的には、実施例は、蛍光体パネルとして上述した蛍光体パネル30を備えている。一方、比較例は、上述したALDによる酸化物膜54の成膜が省略された蛍光体パネルを備えるイメージインテンシファイアである。

0061

より具体的には、実施例は、以下のようにして得られたイメージインテンシファイアである。すなわち、実施例の製造工程においては、上述したALDによる成膜を行う前の状態(すなわち、図6の(B)に示される状態)の蛍光体パネルに対して真空中で350℃で8時間加熱するベーク処理が行われた。その後、当該蛍光体パネルに対して上述したALDによる酸化物膜54の成膜が実施された。その後、このようにして得られた蛍光体パネル30を光電面3及びマイクロチャンネルプレート4と共に筐体2内に封止することにより、実施例が得られた。一方、比較例の製造工程においては、図6の(B)に示される状態の蛍光体パネルに対して真空中で350℃で20時間加熱するベーク処理が行われた。その後、当該ベーク処理が実施された直後の蛍光体パネルを光電面及びマイクロチャンネルプレートと共に筐体内に封止することにより、比較例が得られた。

0062

ライフ試験においては、上述した実施例及び比較例のそれぞれの入射窓11に対して、図7に示される光照射条件にて繰り返し光照射が行われた。すなわち、図7に示されるように12分間のうちに光強度が0.00054ルクス〜54ルクスの範囲で規則的に変化する光が、実施例及び比較例のそれぞれに対して断続的に照射された。

0063

その結果、図8に示されるような試験結果が得られた。図8において、Skは光電面の放射感度(カソード感度)であり、MCPゲインはマイクロチャンネルプレートのゲインであり、LG(Luminescence Gain)は蛍光体(蛍光体層)から出射される蛍光の光量に対応する指標である。LGは、SkとMCPゲインと輝度効率との積により求まる値である。図8横軸は、光照射の開始時点からの経過時間を示している。図8縦軸は、試験開始時の状態を基準(100%)とした状態を示している。図8の(A)に示されるように、比較例では、ライフ試験(光照射)の開始から300時間程度が経過した時点で、Sk及びLGが10%程度の状態にまで低下している。一方、図8の(B)に示されるように、実施例では、ライフ試験の開始から1000時間を経過した時点においても、Sk及びLGが40%以上の状態を維持している。すなわち、比較例では、Skが低下したことに起因してLGが低下している。一方、実施例では、Skの劣化速度が比較例よりも緩やかであることに起因して、長時間が経過した後もLGが比較的高い状態を維持できている。以上のことから、実施例では、上述した酸化物膜54が蛍光体粒子51及び結合材Cを内包するように成膜されることにより、蛍光体粒子51及び結合材Cからのガス放出が抑制されたと考えられる。その結果、実施例では、上述したイオンフィードバックが抑制され、Skの劣化が抑制されたと考えられる。

0064

[蛍光体パネルの製造方法の作用効果]
本実施形態に係る蛍光体パネル30の製造方法は、出射窓12上に複数の蛍光体粒子51を有する蛍光体層52を形成する工程(図5の(A)参照)と、蛍光体層52上に有機膜61を形成する工程(図5の(B)参照)と、有機膜61上に金属反射膜62(金属反射膜53の一部)を形成する工程(図5の(C)参照)と、焼成により有機膜61を除去する工程(図6の(A)参照)と、ALDによって、金属反射膜53の表面と蛍光体粒子51の表面とを一体的に覆う酸化物膜54を形成する工程(図3参照)と、を含む。

0065

上記製造方法では、金属反射膜62が蛍光体層52上に形成された有機膜61上に形成される。これにより、金属反射膜62を構成する金属分子の蛍光体層52内への混入が防止され、蛍光体層52上に金属反射膜53を適切に設けることができる。また、焼成により有機膜61が除去された後に、ALDによって、酸化物膜54が、金属反射膜53の表面と蛍光体粒子51の表面とを一体的に覆うように形成される。その結果、上述したように、金属反射膜53の強度が向上する。さらに、酸化物膜54を介して金属反射膜53と蛍光体層52(蛍光体粒子51)との密着性が向上するため、金属反射膜53が蛍光体層52から剥離し難くなる。従って、上記製造方法によれば、金属反射膜53の剥離が効果的に抑制された蛍光体パネル30を製造することができる。

0066

なお、上記効果について補足すると、複数の蛍光体粒子の表面を連続的に被覆する酸化アルミニウム等の被覆層を設けること自体は、例えば特開2013−216800号公報に記載されているように知られている。しかし、複数の蛍光体粒子の表面を連続的に被覆するだけでは、上述した本実施形態の効果は得られないことに留意されたい。すなわち、上記製造方法では、蛍光体層52上に金属反射膜53が形成された状態において、ALDによる成膜を実施することにより、酸化物膜54が金属反射膜53と蛍光体層52とに跨って連続的に形成される。その結果、上述した金属反射膜53と蛍光体層52との密着性を向上させることができ、金属反射膜53の剥離等の損傷を効果的に抑制することができる。

0067

また、有機膜61は、ニトロセルロース膜である。これにより、金属反射膜53の形成に適した有機膜61を好適に形成することができる。また、金属反射膜53を形成する工程は、蒸着又はスパッタにより行われる。これにより、有機膜61上に金属反射膜53を好適に形成することができる。また、蒸着又はスパッタにより、適度に開口53a(ピンホール)が設けられた金属反射膜53が形成される。これにより、ALDによる酸化物膜54の成膜において、酸化物膜54を成膜するためのガスを金属反射膜53の開口53aを介して蛍光体層52へと好適に侵入させることができる。その結果、酸化物膜54を好適に形成することができる。

0068

また、上記製造方法は、有機膜61が除去された後に蛍光体層52上に位置する金属反射膜である金属反射膜62上に金属反射膜63を形成する工程を更に含んでいる(図6の(B)参照)。また、酸化物膜54を形成する工程において、酸化物膜54は、金属反射膜53(すなわち、金属反射膜62及び金属反射膜63)及び蛍光体粒子51を覆うように形成される。上記製造方法では、最初に有機膜61上に形成された金属反射膜62の一部は、焼成工程によって金属酸化物膜(本実施形態ではアルミナ)に変化したり、損傷したりする場合がある。その結果、当初有機膜61上に形成された金属反射膜62だけでは、蛍光体層52のチャージアップ防止等の金属反射膜としての機能が十分に発揮されないおそれがある。一方、上記製造方法によれば、金属反射膜62と金属反射膜63とにより、上述した金属反射膜としての機能を確保することができる。

0069

また、金属反射膜62の厚さ(本実施形態では15nm)は、金属反射膜63の厚さ(本実施形態では70nm)よりも小さい。このように、焼成工程前に有機膜61上に形成される金属反射膜62を比較的薄く形成することにより、焼成工程において有機膜61を好適に除去することが可能となる。そして、有機膜61を除去した後に比較的厚めの金属反射膜62を形成することによって、金属反射膜の全体としての厚さ(金属反射膜53の厚さt2)を十分に確保することができる。

0070

[走査型電子顕微鏡の構成]
上述した蛍光体パネル30は、イメージインテンシファイアの用途以外にも様々な光学装置にも用いることができる。例えば、蛍光体パネル30は、走査型電子顕微鏡における電子検出部としても用いられ得る。図9は、一実施形態に係る走査型電子顕微鏡の概略構成図である。図9に示されるように、本実施形態に係る走査型電子顕微鏡70は、電子線を発生させる電子銃71と、試料Sに電子線Bを照射するとともに、試料S上における電子線照射位置を走査する照射部72と、蛍光体パネル30と、を備えている。蛍光体パネル30は、蛍光体層52が試料Sへの電子線照射に応じて試料Sで発生した光電子Eを受けて当該光電子Eに応じた蛍光を発するように配置されている。すなわち、図9に示されるように、蛍光面5が試料Sに対向するように配置されている。走査型電子顕微鏡70においては、上述したイメージインテンシファイア1と同様に、蛍光体パネル30の金属反射膜53が従来よりも剥離し難くなっていることから、製品製造時における蛍光体パネル30のハンドリング性を向上させることができる。すなわち、従来と比較して蛍光体パネル30の取り扱いが容易となる。なお、走査型電子顕微鏡70は、試料Sにおける電子線Bの入射面と光電子Eの出射面とが互いに反対側に位置する、いわゆる透過型の走査型電子顕微鏡であったが、蛍光体パネル30は、試料における電子線の入射面と光電子の出射面とが同一である、いわゆる反射型の走査型電子顕微鏡の電子検出部として用いられてもよい。

0071

以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。例えば、出射窓12は、FOPではなくガラス基板によって構成されてもよい。

0072

また、主にイメージインテンシファイアにおいて、上述したイオンフィードバックの抑制効果を高めるために、以下の成膜工程が追加で実施されてもよい。すなわち、出射窓12上に蛍光体層52を形成した後(図5の(A)に示される状態)に、ALDによって、蛍光体層52の表面(すなわち、各蛍光体粒子51の表面)を一体的に覆う酸化物膜(例えば酸化アルミニウム)が形成されてもよい。或いは、蛍光体溶液を用意する前段階において、各蛍光体粒子51の表面に酸化物膜が形成されてもよい。すなわち、予め酸化物膜が成膜された蛍光体粒子51を用いて蛍光体溶液が作成されてもよい。上記手順によれば、蛍光体パネル30の製造工程のなるべく早い時点に蛍光体粒子51を酸化物膜で覆うことができるため、蛍光体粒子51へのガスの吸着を効果的に抑制することができる。なお、上記のように蛍光体層52の表面にALDによる成膜を行う場合であって、当該成膜により形成された酸化物膜によって蛍光体粒子51同士が互いに固定される場合には、上記実施形態における結合材C(ケイ酸カリウム)は省略されてもよい。すなわち、図5の(A)に示される状態において、各蛍光体粒子51の表面をケイ酸カリウムに浸す工程が省略されてもよい。

0073

また、上記実施形態では、金属反射膜62上に金属反射膜63が形成されたが(図6の(B)参照)、有機膜61が除去された後の金属反射膜62が上述したメタルバックとしての機能を十分に発揮できる場合には、金属反射膜63の形成は省略されてもよい。この場合、上記実施形態における金属反射膜53は、金属反射膜62のみによって構成される。

0074

1…イメージインテンシファイア、3…光電面、4…マイクロチャンネルプレート(電子増倍部)、5…蛍光面、12…出射窓(光透過性基板)、30…蛍光体パネル、51…蛍光体粒子、52…蛍光体層、53…金属反射膜、54…酸化物膜、61…有機膜、62…金属反射膜(第1金属反射膜)、63…金属反射膜(第2金属反射膜)、70…走査型電子顕微鏡、71…電子銃、72…照射部、B…電子線、C…結合材、E,E1,E2…光電子、L1…入射光、L2…蛍光、S…試料。

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