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技術 AGEsを検出するためのアッセイ系

出願人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者 町田幸子倉持みゆき小堀俊郎石川祐子後藤真生瀬筒秀樹立松謙一郎
出願日 2019年2月21日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-029894
公開日 2020年8月31日 (2ヶ月経過) 公開番号 2020-134368
状態 未査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード つうじ 農林水産物 X線解析 固体材料表面 破砕試料 文部省 ポリスチレンナノ粒子 構造様式
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年8月31日)のものです。
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図面 (20)

課題

試料中の刺激性終末糖化産物(AGEs)を検出するためのアッセイ系を提供すること。

解決手段

本発明の一態様において、本発明は、試料中の刺激性の終末糖化産物(AGEs)を検出するためのキットであって、該キットは、捕捉用AGEsが固定化された基板と、配列番号3と少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む終末糖化産物受容体(sRAGE)とを含む、キットを提供する。本発明のキットは、試料中に含まれる様々な種類の刺激性AGEsを網羅的に検出することができる。

概要

背景

終末糖化産物(AGEs)は生体内糖化反応、および、食品加工過程で生じるタンパク質糖化物であり、一部のAGEsは生体機能不全誘導し、糖尿病血管障害腎症網膜症神経症など)や加齢性疾患引き金となる。しかし、AGEsは多様な構造体の総称であり加齢性疾患の引き金となるAGEsの測定が困難である。さらに、農林水産物にはAGEs生成抑制効果報告されているものが多いが、生体にとって意味のあるAGEsの検出・評価技術確立されていない。そのため、食品による加齢性疾患予防に関する客観的な情報の提供が困難であり、有効な評価手法の確立が求められている。一方、AGEsを認識する受容体として、RAGE(receptor for AGEs)が知られている。RAGEは多様な構造のAGEsを認識し、AGEsはRAGEに認識されることが発症につながる。そのためRAGEに認識されるAGEsが、生体にとって意味のあるAGEsであると考えられている。

このような状況の下、AGEsの代表的な構造(カルボキシメチルリジンなど)に対する抗体を作製し、酵素抗体反応法などでAGEsの一部を検出する手法が開発されている。AGEsのうち、構造が明らかな一部の分子に関して、HPLC、MSなどにより、検出・定量する手法が開発されている。蛍光性のAGEs(ペントシジンなど)に関しては、蛍光により検出する手法が開発されている。本発明者らは以前、AGEsを認識するsRAGEを安定的に発現する系を開発した(特許文献1)。

概要

試料中の刺激性の終末糖化産物(AGEs)を検出するためのアッセイ系を提供すること。本発明の一態様において、本発明は、試料中の刺激性の終末糖化産物(AGEs)を検出するためのキットであって、該キットは、捕捉用AGEsが固定化された基板と、配列番号3と少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む終末糖化産物受容体(sRAGE)とを含む、キットを提供する。本発明のキットは、試料中に含まれる様々な種類の刺激性AGEsを網羅的に検出することができる。なし

目的

本発明者らは、多種多様な構造をとるAGEsを網羅的に検出する手法を創製し、これらを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

試料中の刺激性終末糖化産物(AGEs)を検出するためのキットであって、該キットは、捕捉用AGEsが固定化された基板と、配列番号3と少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む終末糖化産物受容体(sRAGE)とを含む、キット。

請求項2

前記捕捉用AGEsが、グルコース(G)−AGEsまたはフルクトース(F)−AGEsである、請求項1に記載のキット。

請求項3

前記捕捉用AGEsが、グルコース(G)−AGEsである、請求項2に記載のキット。

請求項4

前記捕捉用AGEsが、炭酸重炭酸緩衝液を使用して前記基板に固定化されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のキット。

請求項5

前記炭酸−重炭酸緩衝液が、約9.2〜約10.6のpH値を有する、請求項4に記載のキット。

請求項6

前記炭酸−重炭酸緩衝液が、約9.6のpH値を有する、請求項5に記載のキット。

請求項7

前記刺激性のAGEsが、グリオキサール(GO)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEs、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、3−デオキシグルコソン(3−DG)−AGEs、メチルグリオキサール(MGO)−AGEs、アセトアルデヒド(AA)−AGEs、リボース−AGEs、キシロース−AGEs、アラビノース−AGEs、フルクトース(F)−AGEs、ソルビトール−AGEs、ガラクトース−AGEsまたはこれらの任意の組合せを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のキット。

請求項8

前記刺激性のAGEが、グリオキサール(GO)−AGEs、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEs、3−デオキシグルコソン(3−DG)−AGEs、メチルグリオキサール(MGO)−AGEs、アセトアルデヒド(AA)−AGEs、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項7に記載のキット。

請求項9

前記刺激性のAGEが、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEsまたはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項8に記載のキット。

請求項10

請求項11

前記捕捉用AGEsがアルブミンのAGEsである、請求項10に記載のキット。

請求項12

前記sRAGEがビオチン化されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載のキット。

請求項13

前記sRAGEに特異的に結合する検出剤をさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載のキット。

請求項14

前記検出剤がストレプトアビジンである、請求項13に記載のキット。

請求項15

前記キットが、約100ng/ml以上の前記刺激性AGEsを含む試料における前記刺激性AGEsを検出することができる、請求項1〜14のいずれか一項に記載のキット。

請求項16

前記キットが、約10ng/ml以上の前記刺激性AGEsを含む試料における前記刺激性AGEsを検出することができる、請求項15に記載のキット。

請求項17

試料中の刺激性の終末糖化産物(AGEs)を検出するためのキットであって、該キットは、競合用AGEsと、配列番号3と少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む終末糖化産物受容体(sRAGE)が固定化されている基板とを含む、キット。

請求項18

前記競合用AGEsが、グルコース(G)−AGEsまたはフルクトース(F)−AGEsである、請求項17に記載のキット。

請求項19

前記競合用AGEsが、グルコース(G)−AGEsである、請求項18に記載のキット。

請求項20

前記刺激性のAGEsが、グリオキサール(GO)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEs、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、3−デオキシグルコソン(3−DG)−AGEs、メチルグリオキサール(MGO)−AGEs、アセトアルデヒド(AA)−AGEs、リボース−AGEs、キシロース−AGEs、アラビノース−AGEs、フルクトース(F)−AGEs、ソルビトール−AGEs、ガラクトース−AGEsまたはこれらの任意の組合せを含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載のキット。

請求項21

前記刺激性のAGEが、グリオキサール(GO)−AGEs、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEs、3−デオキシグルコソン(3−DG)−AGEs、メチルグリオキサール(MGO)−AGEs、アセトアルデヒド(AA)−AGEs、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項20に記載のキット。

請求項22

前記刺激性AGEが、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEsまたはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項21に記載のキット。

請求項23

前記競合用AGEsが、アルブミン、オボアルブミン、コラーゲン、クリスタリン、チューブリン、リゾチーム、RNase、カルモジュリン、ヘモグロビン、筋繊維タンパク質、アンチトロンビンIII、フェリチン、フィブリン、フィブリノーゲン、高密度リポタンパク質(HDL)、免疫グロブリン、低密度リポタンパク質(LDL)、インシュリン、ケラチン、オステオカルシン、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルドースレダクターゼ、カテプシンB、スパーオキシドジスムダーゼ、ミオシンATPase、赤血球スペクトリン、またはミエリンのAGEsである、請求項17〜22のいずれか一項に記載のキット。

請求項24

前記競合用AGEsに特異的に結合する検出剤をさらに含む、請求項17〜23のいずれか一項に記載のキット。

請求項25

前記検出剤が前記競合用AGEsに対する抗体である、請求項24に記載のキット。

請求項26

試料中の刺激性の終末糖化産物(AGEs)を検出するため基板であって、捕捉用AGEsが固定化されている、基板。

請求項27

前記捕捉用AGEsが、グルコース(G)−AGEsまたはフルクトース(F)−AGEsである、請求項26に記載の基板。

請求項28

前記捕捉用AGEsが、グルコース(G)−AGEsである、請求項27に記載の基板。

請求項29

前記捕捉用AGEsが、炭酸−重炭酸緩衝液を使用して前記基板に固定化されている、請求項26〜28のいずれか一項に記載の基板。

請求項30

前記炭酸−重炭酸緩衝液が、約9.2〜約10.6のpH値を有する、請求項29に記載の基板。

請求項31

前記炭酸−重炭酸緩衝液が、約9.6のpH値を有する、請求項30に記載の基板。

技術分野

0001

本発明は、終末糖化産物(advanced glycation end products:AGEs)の検出するための検出剤キットまたは方法に関する。

背景技術

0002

終末糖化産物(AGEs)は生体内糖化反応、および、食品加工過程で生じるタンパク質糖化物であり、一部のAGEsは生体機能不全誘導し、糖尿病血管障害腎症網膜症神経症など)や加齢性疾患引き金となる。しかし、AGEsは多様な構造体の総称であり加齢性疾患の引き金となるAGEsの測定が困難である。さらに、農林水産物にはAGEs生成抑制効果報告されているものが多いが、生体にとって意味のあるAGEsの検出・評価技術確立されていない。そのため、食品による加齢性疾患予防に関する客観的な情報の提供が困難であり、有効な評価手法の確立が求められている。一方、AGEsを認識する受容体として、RAGE(receptor for AGEs)が知られている。RAGEは多様な構造のAGEsを認識し、AGEsはRAGEに認識されることが発症につながる。そのためRAGEに認識されるAGEsが、生体にとって意味のあるAGEsであると考えられている。

0003

このような状況の下、AGEsの代表的な構造(カルボキシメチルリジンなど)に対する抗体を作製し、酵素抗体反応法などでAGEsの一部を検出する手法が開発されている。AGEsのうち、構造が明らかな一部の分子に関して、HPLC、MSなどにより、検出・定量する手法が開発されている。蛍光性のAGEs(ペントシジンなど)に関しては、蛍光により検出する手法が開発されている。本発明者らは以前、AGEsを認識するsRAGEを安定的に発現する系を開発した(特許文献1)。

先行技術

0004

国際公開第2016/051808号

課題を解決するための手段

0005

本発明者らは、多種多様な構造をとるAGEsを網羅的に検出する手法を創製し、これらを提供する。

0006

より特定すると、本発明者らは、鋭意工夫の結果、sRAGEの試料中のAGEsへの結合を捕捉用(または競合用)物質と競合させることによって、試料中のAGEsを網羅的に検出することが可能であることを新たに見出した。また、本発明によれば、より疾患と関連のあるAGEs(刺激性AGEs)を検出することが可能である。

0007

したがって、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
試料中の刺激性の終末糖化産物(AGEs)を検出するためのキットであって、該キットは、
捕捉用AGEsが固定化された基板と、
列番号3と少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む終末糖化産物受容体(sRAGE)と
を含む、キット。
(項目2)
前記捕捉用AGEsが、グルコース(G)−AGEsまたはフルクトース(F)−AGEsである、項目1に記載のキット。
(項目3)
前記捕捉用AGEsが、グルコース(G)−AGEsである、項目2に記載のキット。
(項目4)
前記捕捉用AGEsが、炭酸重炭酸緩衝液を使用して前記基板に固定化されている、項目1〜3のいずれか一項に記載のキット。
(項目5)
前記炭酸−重炭酸緩衝液が、約9.2〜約10.6のpH値を有する、項目4に記載のキット。
(項目6)
前記炭酸−重炭酸緩衝液が、約9.6のpH値を有する、項目5に記載のキット。
(項目7)
前記刺激性のAGEsが、グリオキサール(GO)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEs、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、3−デオキシグルコソン(3−DG)−AGEs、メチルグリオキサール(MGO)−AGEs、アセトアルデヒド(AA)−AGEs、リボース−AGEs、キシロース−AGEs、アラビノース−AGEs、フルクトース(F)−AGEs、ソルビトール−AGEs、ガラクトース−AGEsまたはこれらの任意の組合せを含む、項目1〜6のいずれか一項に記載のキット。
(項目8)
前記刺激性のAGEが、グリオキサール(GO)−AGEs、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEs、3−デオキシグルコソン(3−DG)−AGEs、メチルグリオキサール(MGO)−AGEs、アセトアルデヒド(AA)−AGEs、またはこれらの任意の組み合わせを含む、項目7に記載のキット。
(項目9)
前記刺激性のAGEが、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEsまたはこれらの任意の組み合わせを含む、項目8に記載のキット。
(項目10)
前記捕捉用AGEsが、ウシ血清アルブミンヒト血清アルブミンオボアルブミンコラーゲンクリスタリンチューブリンリゾチームRNaseカルモジュリンヘモグロビン筋繊維タンパク質、アンチトロンビンIIIフェリチンフィブリンフィブリノーゲン高密度リポタンパク質HDL)、免疫グロブリン低密度リポタンパク質(LDL)、インシュリンケラチンオステオカルシンアルコールデヒドロゲナーゼアルドースレダクターゼカテプシンBスパーオキシドジスムダーゼ、ミオシンATPase、赤血球スペクトリン、またはミエリンのAGEsである、項目1〜9のいずれか一項に記載のキット。
(項目11)
前記捕捉用AGEsがアルブミンのAGEsである、項目10に記載のキット。
(項目12)
前記sRAGEがビオチン化されている、項目1〜11のいずれか一項に記載のキット。
(項目13)
前記sRAGEに特異的に結合する検出剤をさらに含む、項目1〜12のいずれか一項に記載のキット。
(項目14)
前記検出剤がストレプトアビジンである、項目13に記載のキット。
(項目15)
前記キットが、約100ng/ml以上の前記刺激性AGEsを含む試料における前記刺激性AGEsを検出することができる、項目1〜14のいずれか一項に記載のキット。
(項目16)
前記キットが、約10ng/ml以上の前記刺激性AGEsを含む試料における前記刺激性AGEsを検出することができる、項目15に記載のキット。
(項目17)
試料中の刺激性の終末糖化産物(AGEs)を検出するためのキットであって、該キットは、
競合用AGEsと、
配列番号3と少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む終末糖化産物受容体(sRAGE)が固定化されている基板と
を含む、キット。
(項目18)
前記競合用AGEsが、グルコース(G)−AGEsまたはフルクトース(F)−AGEsである、項目17に記載のキット。
(項目19)
前記競合用AGEsが、グルコース(G)−AGEsである、項目18に記載のキット。
(項目20)
前記刺激性のAGEsが、グリオキサール(GO)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEs、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、3−デオキシグルコソン(3−DG)−AGEs、メチルグリオキサール(MGO)−AGEs、アセトアルデヒド(AA)−AGEs、リボース−AGEs、キシロース−AGEs、アラビノース−AGEs、フルクトース(F)−AGEs、ソルビトール−AGEs、ガラクトース−AGEsまたはこれらの任意の組合せを含む、項目17〜19のいずれか一項に記載のキット。
(項目21)
前記刺激性のAGEが、グリオキサール(GO)−AGEs、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEs、3−デオキシグルコソン(3−DG)−AGEs、メチルグリオキサール(MGO)−AGEs、アセトアルデヒド(AA)−AGEs、またはこれらの任意の組み合わせを含む、項目20に記載のキット。
(項目22)
前記刺激性AGEが、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEsまたはこれらの任意の組み合わせを含む、項目21に記載のキット。
(項目23)
前記競合用AGEsが、アルブミン、オボアルブミン、コラーゲン、クリスタリン、チューブリン、リゾチーム、RNase、カルモジュリン、ヘモグロビン、筋繊維タンパク質、アンチトロンビンIII、フェリチン、フィブリン、フィブリノーゲン、高密度リポタンパク質(HDL)、免疫グロブリン、低密度リポタンパク質(LDL)、インシュリン、ケラチン、オステオカルシン、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルドースレダクターゼ、カテプシンB、スパーオキシドジスムダーゼ、ミオシンATPase、赤血球スペクトリン、またはミエリンのAGEsである、項目17〜22のいずれか一項に記載のキット。
(項目24)
前記競合用AGEsに特異的に結合する検出剤をさらに含む、項目17〜23のいずれか一項に記載のキット。
(項目25)
前記検出剤が前記競合用AGEsに対する抗体である、項目24に記載のキット。
(項目26)
試料中の刺激性の終末糖化産物(AGEs)を検出するため基板であって、捕捉用AGEsが固定化されている、基板。
(項目27)
前記捕捉用AGEsが、グルコース(G)−AGEsまたはフルクトース(F)−AGEsである、項目26に記載の基板。
(項目28)
前記捕捉用AGEsが、グルコース(G)−AGEsである、項目27に記載の基板。
(項目29)
前記捕捉用AGEsが、炭酸−重炭酸緩衝液を使用して前記基板に固定化されている、項目26〜28のいずれか一項に記載の基板。
(項目30)
前記炭酸−重炭酸緩衝液が、約9.2〜約10.6のpH値を有する、項目29に記載の基板。
(項目31)
前記炭酸−重炭酸緩衝液が、約9.6のpH値を有する、項目30に記載の基板。

0008

本発明において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。

発明の効果

0009

本発明によれば、試料中のAGEs、特に疾患と関連のあるAGEs(刺激性AGEs)を網羅的に検出することが可能である。したがって、本発明は、疾患を診断するのに有用な刺激性AGEsを検出するためのキットおよび方法、ならびにそれに使用することができる基板を提供する。

図面の簡単な説明

0010

図1は、各種AGEsの生成経路を示す。
図2は、後部絹糸腺において発現されたsRAGEのSDS−PAGEの結果およびウェスタンブロットの結果を示す。左図は、クマイブリリアンブルーによるタンパク質染色の結果であり、右図は、ニトロセルロース膜転写後に、抗RAGE抗体によりsRAGEを可視化した結果である。各レーンは、レーン1は分子量マーカー;レーン2から8は、絹糸腺抽出液中部+後部)、レーン9−11は抽出液を供した結果である。絹糸腺抽出液(レーン2−8)の内、レーン2は非遺伝子組換えカイコ;レーン3−5は、USA−GAL4発現系による発現結果であり、レーン6−8は、TALEN activator 発現による発現結果である。さらに、レーン毎に詳細に記載するとレーン3、6は中部絹糸腺発現遺伝子組換えカイコの絹糸腺抽出液、;レーン4、7は後部絹糸腺発現遺伝子組換えカイコの絹糸腺抽出液;レーン5、8は後部絹糸腺発現遺伝子組換えカイコの絹糸腺をレーン4の10倍量の抽出液で抽出した際に抽出液を泳動した結果である。繭抽出液に関しては、レーン9は、非遺伝子組換えカイコの繭抽出液、レーン10は、UAS−GAL4発現系により後部絹糸腺に発現させた遺伝子組換えカイコの繭抽出液、レーン11は、TALEN activator発現系で発現させた遺伝子組換えカイコの繭抽出液の結果である。
図3は、図2において発現されたsRAGEのビオチン化を確認するためにニトロセルロース膜に転写後に、HRP標識ストレプトアビジンによりビオチン化タンパク質を可視化した結果である。
図4は、実施例1におけるアッセイ系の概要を示す。
図5は、代表的な刺激性AGEs(GO、MGO、Glycer、Glycol処理OVA)の検出結果のグラフを示す。縦軸OD値を示し、横軸は、試料中の刺激性AGEsの濃度を示す。捕捉用AGEsとしては、G−BSAおよびF−BSAを使用した。
図6は、ヒト血漿を含む試料におけるAGEsの測定結果を示す。縦軸は、OD値を示し、横軸は、血漿希釈率を示す。w/oは、血漿無添加を意味する。
図7は、20倍希釈したベトナム血清存在下での代表的な刺激性AGEs(GO、Glycer、MGO、Glycol処理OVA)の検出結果を示す。横軸は、AGEs濃度(ng/ml)を示し、縦軸は、吸光度(A450)を示す。
図8は、捕捉用AGEsをウェルに固定した場合のアッセイ系における刺激性AGEsの検出の結果を示す。横軸は、AGEs濃度(ng/ml)を示し、縦軸は、刺激性AGEs添加なしの吸光度(A450)を100とした場合の相対値(%)を示す。図8A図8Dは、それぞれ、グリオキサール(GO)−AGEs、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEsおよびメチルグリオキサール(MGO)−AGEsの結果を示す。各図における上段は、PBS(−)に各刺激性AGEsを添加した試料における結果を示し、下段は、20倍希釈したヒト血清に刺激性AGEsを添加した試料における結果を示す。
図8は、捕捉用AGEsをウェルに固定した場合のアッセイ系における刺激性AGEsの検出の結果を示す。横軸は、AGEs濃度(ng/ml)を示し、縦軸は、刺激性AGEs添加なしの吸光度(A450)を100とした場合の相対値(%)を示す。図8A図8Dは、それぞれ、グリオキサール(GO)−AGEs、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEsおよびメチルグリオキサール(MGO)−AGEsの結果を示す。各図における上段は、PBS(−)に各刺激性AGEsを添加した試料における結果を示し、下段は、20倍希釈したヒト血清に刺激性AGEsを添加した試料における結果を示す。
図8は、捕捉用AGEsをウェルに固定した場合のアッセイ系における刺激性AGEsの検出の結果を示す。横軸は、AGEs濃度(ng/ml)を示し、縦軸は、刺激性AGEs添加なしの吸光度(A450)を100とした場合の相対値(%)を示す。図8A図8Dは、それぞれ、グリオキサール(GO)−AGEs、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEsおよびメチルグリオキサール(MGO)−AGEsの結果を示す。各図における上段は、PBS(−)に各刺激性AGEsを添加した試料における結果を示し、下段は、20倍希釈したヒト血清に刺激性AGEsを添加した試料における結果を示す。
図8は、捕捉用AGEsをウェルに固定した場合のアッセイ系における刺激性AGEsの検出の結果を示す。横軸は、AGEs濃度(ng/ml)を示し、縦軸は、刺激性AGEs添加なしの吸光度(A450)を100とした場合の相対値(%)を示す。図8A図8Dは、それぞれ、グリオキサール(GO)−AGEs、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEsおよびメチルグリオキサール(MGO)−AGEsの結果を示す。各図における上段は、PBS(−)に各刺激性AGEsを添加した試料における結果を示し、下段は、20倍希釈したヒト血清に刺激性AGEsを添加した試料における結果を示す。
図9は、マウス血清または血漿を含む試料におけるAGEsの測定結果を示す。縦軸は、OD値を示し、横軸は、血清または血漿の希釈率を示す。w/oは、血清または血漿無添加を意味する。
図9は、マウス血清または血漿を含む試料におけるAGEsの測定結果を示す。縦軸は、OD値を示し、横軸は、血清または血漿の希釈率を示す。w/oは、血清または血漿無添加を意味する。
図10は、食品中の刺激性AGEsの検出の結果を示す。縦軸は、試料無添加のOD値を100とした場合の相対値(%)を示し、横軸は、測定系中の試料の比率を示す。
図11は、捕捉用AGEsを基板にpH9.6およびpH7.4で固定化した場合のアッセイ系で作製したGlycer−BSAの検量線を示す。
図12は、アッセイ系で使用されるsRAGEの濃度を0.03μg/mlおよび0.1μg/mlとした場合に作成したGlycer−BSAの検量線を示す。
図13は、固定化される捕捉用AGEsの濃度を0.1μg/ml、0.3μg/mlおよび0.9μg/mlとした場合に作成したGlycer−BSAの検量線を示す。
図14は、実施例7におけるアッセイ系の概要を示す。本発明の非限定的な実施形態である、競合/サンドイッチELISAに準ずる手法を記載している。
図15は、グリセルアルデヒド処理BSAを用いて作成された検量線を示す。測定した試料のOD値(横軸)から、グリセルアルデヒド処理BSA濃度(μg/ml)(縦軸)に換算したAGEs濃度を求めることができる。
図16Aは、実験動物(マウス)血清中のAGEsの濃度を測定した結果を示す。縦軸は、OD値を示し、横軸は、週数を示す雄性マウスについては、7,18,34,57週齢雌性マウスについては、7,14,36,54週齢の動物を用い、若年期、壮年期老年期群における測定結果を示す。
図16Bは、実験動物(マウス)血漿中のAGEsの濃度を測定した結果を示す。縦軸は、OD値を示し、横軸は、週数を示す。雄性マウスについては、7,18,34,57週齢、雌性マウスについては、7,14,36,54週齢の動物を用い、若年期、壮年期、老年期群における測定結果を示す。
図17は、焼成した豚肉から抽出したペプチドに含まれる刺激性AGEsの検出結果を示す。
図18Aは、種々の還元糖及びカルボニルとBSAとを反応させて調製したBSAに生じる刺激性AGEs濃度を示す。刺激性AGEs濃度は、図14に示した手法により測定した。刺激性AGEs濃度は、上段の検量線により測定値(OD値)からGlycer−AGEs濃度に換算したGlycer−AGEs当量で示した(下図)。
図18Bは、図18Aで記した各糖化BSAをトリプシン処理糖化ペプチドにした際の刺激性AGEsとしての活性をGlycer−AGEs当量で示した結果を示す。

0011

以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。

0012

(用語の定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。

0013

本明細書において、「約」とは、示される値の±10%を意味する。

0014

本明細書において使用される場合、用語「終末糖化産物」または「後期糖化反応生成物」(いずれも英文では、Advanced Glycation End Products)とは、AGEsともいわれ、タンパク質の糖化産物であり多様な構造体の総称である。食品の加工過程で生じ、食味向上に重要である一方、生体内でも生成し、一部は生体に機能不全を誘導し加齢性疾患の引き金となる。糖尿病患者の生活の質を損ねる元凶である血管合併症として知られる糖尿病性血管障害の発症・進展への関与も知られている。血管合併症による眼、神経、腎臓障害は、それぞれ糖尿病網膜症、神経症、腎症(あわせて三大合併症)とよばれており、糖尿病患者に特徴的な病態である。グルコースに代表される還元糖は、タンパク質、アミノ酸アミノ基と非酵素的に反応して、シッフ塩基またはアマドリ転位化合物などの糖化生成物を形成する。ここまでの反応は可逆的であり、前期反応とよばれている。その後、さらに縮合開裂架橋形成などの複雑かつ不可逆的な反応を経て、終末糖化産物を形成する。このような一連の反応は、糖化反応と称される。AGEsはまた、このような過程を経て生成された構造物の総称である。生体中に存在するAGEs構造としては、カルボキシメチルリジン(CML)、カルボエチルリジン(CEL)、ペントシジン、ピラリンイミダゾリン、メチルグリオキサール、クロスリンなどが挙げられるが、これに限定されない。血漿中に存在するアルブミン、イムノグロブリン、オボアルブミンなどが上記の糖化を受けた産物もAGEであり、AGEとして実験系に汎用されている。さらに、インビトロ実験系では、BSA(ウシ血清アルブミン)に糖化処理を施したもの、例えば、R−AGE(リボースにより糖化処理をしたBSA)、F−AGE(フルクトースにより処理をしたBSA);G−AGE(グルコースにより糖化処理をしたBSA)なども汎用されている。血糖コントロール指標として用いられているヘモグロビンA1cはアマドリ転移化合物であるが、AGEsに包含される。また、任意のタンパク質も、AGEsに変換可能である。例えば、AGEsに包含されるCMLアルブミンおよびCELアルブミンは、いずれもアルブミンが糖化を受けたAGEsである。このようなAGEs生成反応は、生体内において循環血液中、細胞外マトリクス細胞内のいずれでも起こり得る。例えば、糖尿病患者の血管に存在するAGEsとしては、:蛍光性で架橋構造を有するもの(ペントシジン、クロスリンなど)および蛍光も架橋もないもの(カルボキシメチルリジン、ピラリン、メチルグリオキサール(MG)−イミダゾロンなど)の2つに大別できる。AGEsが異常値を示す場合、細小血管症(腎症、網膜症、神経症など)、大血管障害(虚血性心疾患脳血管疾患閉塞性動脈硬化症のような疾患が予想される。一般に使用される検査方法では、基準物質としては、ピラリン(正常範囲:血漿中23pmol/mL未満)、ペントシジン(正常範囲:血漿中0.00915〜0.0431μg/mL(ELISAで測定した場合))などが使用される(「今日の臨床検査2007−2008」発行所 株式会社江堂、参照)。

0015

本明細書において、「刺激性の終末糖化産物」または「刺激性のAGEs(刺激性AGEs)」とは、疾患との関連性が高いAGEsを指し、sRAGEと強く結合する性質を有している。以前は、血中のグルコースによる糖化が主であると考えられていたが、グルコースによる糖化は長時間を要する上、グルコース糖化AGEsは生体への刺激性も弱いことが示唆され始めた。過剰なグルコースは、ポリオール代謝系で代謝されグリセルアルデヒド(Glycer)を生じるほか、酸化反応によりグリオキサール(GO)、グリコールアルデヒド(Glycol)などを生じるが、これらは、反応性が高く、短時間でAGEsを生成する上、その糖化産物は生体刺激性が高いことが報告されている(図1)。

0016

本明細書において「捕捉用(または競合用)AGEs」とは、本発明の競合アッセイ系において、測定対象となる刺激性AGEsのsRAGEへの結合と競合するAGEsであって、測定対象のAGEsよりもsRAGEへの結合能が低いものを指す。例えば、グルコース(G)−AGEsは、sRAGEへの結合能がどのAGEsよりも低いため、グルコース(G)−AGEsよりもsRAGEへの結合能力が高いあらゆる刺激性AGEsを検出することができる。この場合、試料中の刺激性AGEsを網羅的に検出したい場合に有効である。また、フルクトース(F)−AGEsは、G−AGEsよりもsRAGEに対する結合能が高いため、G−AGEsを除く、F−AGEsよりもsRAGEに対する結合能が高い刺激性AGEsを検出することが可能である。このように、捕捉用AGEsは、測定対象となるAGEsの種類に応じて、捕捉用AGEsを適宜選択することができる。捕捉用AGEsの代表例としては、例えば、グルコース(G)−AGEsまたはフルクトース(F)−AGEs、ガラクトース−AGEs等を挙げることができ、さらに具体的な例としては、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、オボアルブミン、コラーゲン、クリスタリン、チューブリン、リゾチーム、RNase、カルモジュリン、ヘモグロビン、筋繊維タンパク質、アンチトロンビンIII、フェリチン、フィブリン、フィブリノーゲン、高密度リポタンパク質(HDL)、免疫グロブリン、低密度リポタンパク質(LDL)、インシュリン、ケラチン、オステオカルシン、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルドースレダクターゼ、カテプシンB、スパーオキシドジスムダーゼ、ミオシンATPase、赤血球スペクトリン、またはミエリンのAGEsを挙げることができるがこれらに限定されない。

0017

本明細書において「固定化」とは、AGEs等の物質が、対象となる別の実体(例えば、基板(基材固相))に対して、動かなくさせることをいう。固定化は、種々の手段により達成され、例えば、炭酸−重炭酸緩衝液の利用、タグ(例えばビオチン)と結合する物質(例えばアビジン)でコーティングしたプレートの使用等を挙げることができるがこれらに限定されない。

0018

本明細書において使用される場合、「複合体」とは、2以上の部分を含む任意の構成体を意味する。例えば、一方の部分がポリペプチドである場合は、他方の部分は、ポリペプチドであってもよく、それ以外の物質(例えば、糖、脂質、核酸、他の炭化水素等)であってもよい。本明細書において複合体を構成する2以上の部分は、共有結合で結合されていてもよくそれ以外の結合(例えば、水素結合イオン結合疎水性相互作用ファンデルワールス力等)で結合されていてもよい。2以上の部分がポリペプチドの場合は、キメラポリペプチドとも称しうる。したがって、本明細書において「複合体」は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、糖、低分子などの分子が複数種連結してできた分子を含む。

0019

本明細書において使用される場合、用語「リガンド」とは、特異的な受容体または受容体のファミリーに対する結合パートナーである。リガンドは、受容体に対する内因性のリガンドであるか、またはその代わりに、薬剤薬剤候補、もしくは薬理学的手段のような受容体に対する合成リガンドであり得る。

0020

本明細書において「AGEs分子」とは、上記AGEに含まれる任意の分子をいう。例えば、AGEsとしては、Lys−AGE(グルタルアルデヒド修飾リジン修飾AGE)、グルコース修飾AGE(G−AGE)、リボース修飾AGE(R−AGE)、フルクトース修飾AGE(F−AGE)またはそれらの改変体あるいはそれらの複合体を挙げることができるがそれらに限定されない。

0021

本明細書において「AGEs様活性を示す分子」とは、少なくとも上述のAGEsの活性(本明細書において「AGEs様活性」という。)の一つを有する分子をいう。そのようなAGEs様活性としては、RAGEに対する結合活性リガンド活性)を挙げることができるが、それに限定されない。

0022

本明細書において使用される場合、用語「AGE受容体(Receptor for AGE)」とは、RAGEともいわれ、(1)配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号8に示されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(3)上記配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(4)上記配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(5)配列番号7に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(6)上記配列番号7に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(7)上記配列番号7に示される核酸配列において1または数個のヌクレオチドの置換、付加および/または欠失を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(8)上記配列番号7に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;および(9)上記配列番号7に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド、のうちの1つである。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLASTNCBIのBLAST 2.2.9(2004.5.12発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。RAGEはまた、1992年に、ウシから同定され、AGEと結合するイムノグロブリンスーパーファミリーに属する、分子量約35kDaのI型膜タンパク質糖鎖修飾を受けた完全なRAGEは、分子量55kDa)である。RAGEsの細胞外ドメインは、1つのV型イムノグロブリンドメイン、続いて、2つのC型イムノグロブリンドメイン(C1領域およびC2領域)の、3つのイムノグロブリンフォールド構造を取るドメインが結合した構造を取っている。RAGEはまた、細胞膜1回貫通型のドメインおよび43アミノ酸の細胞質ドメインを含む。RAGEは、多様なクラスのリガンド(AGEs、S100/カルグラニュリンアンフォテリンおよびアミロイド−βペプチド)と相互作用する。Vドメインは、リガンド結合に必須の部位であり、細胞質ドメインは、RAGE媒介性細胞シグナル伝達に必須である。RAGEはまた、各ドメイン内でジスルフィド結合を有するので、本発明の変異RAGE−界面活性剤複合体は、配列番号3のアミノ酸配列における38位、99位、144位、208位、259位および301位に対応するシステイン残基を保持していることが好ましい。RAGEは、正常組織および血管系においては低レベルでしか発現されない。しかし、この受容体は、そのリガンドが蓄積した場所においてアップレギュレートされる。RAGEの発現は、糖尿病血管系において内皮細胞平滑筋細胞周皮細胞メサンギウム細胞および浸潤性単核食細胞で増加している。また、AGEsが蓄積している動脈硬化巣のような病的部位においても、RAGEの発現が増加している。AGEs−RAGE相互作用は、血管系ホメオスタシスにおいて重要な細胞の特性を変化させる。例えば、RAGEがAGEsと結合した後、血管内皮細胞は、VCAM−1、組織因子、およびIL−6の発現、ならびに高分子へのそれらの透過性を増加させる。単核食細胞において、RAGEは、サイトカインおよび増殖因子の発現を活性化し、可溶性AGEsに応じて細胞移動を誘導するのに対して、走触性は、固定リガンドで起こる。

0023

本明細書では、「RAGEリガンド認識領域」または「sRAGE(soluble Receptorfor Advanced Glycation End products)」とは、交換可能に使用され、RAGEリガンドが認識する領域をいう。詳細には、sRAGEすなわちRAGEリガンド認識領域は、RAGEの細胞外領域の全部または一部をいう。sRAGEは、代表的には、配列番号3または配列番号8の22〜332位で構成されるがこれに限定されない。

0024

本明細書において使用される場合、用語「RAGE様ポリペプチド」とは、「RAGE8」、「mRAGE8」、「RAGE1」、「mRAGE1」、「RAGE2」、「mRAGE2」、「RAGE3」、「mRAGE3」、「RAGE4」、「mRAGE4」、「RAGE7」、「mRAGE7」、「RAGE143」、「mRAGE143」、「RAGE223」、「mRAGE223」、「RAGE226」および「mRAGE226」と称されるポリペプチドまたはこれらの変異体を包含する。これらの説明は、特開2013−209330等に開示されており、適宜本明細書において参考としてその内容を援用する。

0025

本明細書において使用される場合、用語「RAGE分子」とは、RAGE様ポリペプチドの他、それらの任意の複合体を含むことが理解される。したがって、RAGE分子には、RAGE様ポリペプチド等、例えば、RAGE(全長)、RAGE細胞外領域(配列番号8の22−332位)、RAGE143、RAGE223、RAGE226等が包含されることが理解される。また、RAGE分子は、RAGEを構成する3つのドメインのうちあるドメイン全体、またはあるドメインの一部を欠いたRAGE(ミニRAGE)も包含される。また、ミニRAGEは、RAGE様ポリペプチドのミニRAGEも包含する。

0026

本明細書では、「RAGEリガンド認識領域」を含む分子は、「RAGE分子」のうち全長RAGE以外のもの(「RAGE様ポリペプチド」を含む)、例えば、「RAGE8」、「mRAGE8」、「RAGE1」、「mRAGE1」、「RAGE2」、「mRAGE2」、「RAGE3」、「mRAGE3」、「RAGE4」、「mRAGE4」、「RAGE7」、「mRAGE7」、「RAGE143」、「mRAGE143」、「RAGE223」、「mRAGE223」、「RAGE226」および「mRAGE226」、RAGE細胞外領域(配列番号8の22−332位)、などを挙げることができる。

0027

なお、上記RAGE様ポリペプチドは、天然型RAGEの活性が保持されている限り、非天然アミノ酸を含んでいてもよいし、アミノ酸アナログアミノ酸誘導体などを含んでいてもよい。

0028

上記のRAGE様ポリペプチドにおいても、分子内ジスルフィド結合を形成することは重要であるので、配列番号8のアミノ酸配列の38位、99位、144位、208位、259位および301位に対応するシステインは保持されていることが好ましい。

0029

本明細書において、「リガンド」とは、特異的な受容体または受容体のファミリーに対する結合パートナーである。リガンドは、受容体に対する内因性のリガンドであるか、またはその代わりに、薬剤、薬剤候補、もしくは薬理学的手段のような受容体に対する合成リガンドであり得る。

0030

本明細書において「抗体」は、広義には、ポリクローナル抗体モノクローナル抗体多重特異性抗体、キメラ抗体、および抗イディオタイプ抗体、ならびにそれらの機能性フラグメント(例えば、F(ab’)2、およびFabフラグメント)、ならびにその他の組換えにより生産された結合体または機能的等価物(例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体多機能抗体、二重特異性またはオリゴ特異性(oligospecific)抗体、単鎖抗体一本鎖抗体(scFV)、ダイアボディー(diabody)、sc(Fv)2(single chain (Fv)2)、scFv−Fc)を含む。さらにこのような抗体を、酵素、例えばアルカリホスファターゼ西ワサビペルオキシダーゼ、αガラクトシダーゼなど、に共有結合させまたは組換えにより融合させてよい。さらにこのような抗体を、酵素、例えばアルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、αガラクトシダーゼなど、に共有結合させまたは組換えにより融合させてよい。狭義に使用する場合は、抗体は、全長抗体(例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体等)を指し、その他は改変体または抗原結合フラグメントと称することがある。本発明で用いられる抗体は、その標的に結合すればよく、その由来、種類、形状などは問われない。具体的には、非ヒト動物の抗体(例えば、マウス抗体ラット抗体ラクダ抗体)、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体などの公知の抗体をもとに製造することができる。本発明においては、一本鎖抗体が使用される。抗体の標的への結合は識別的なあるいは特異的な結合であることが好ましい。抗体の改変体は、抗体と、例えばポリエチレングリコール等の各種分子が結合していてもよい。抗体の改変体は、抗体に公知の手法を用いて化学的な修飾を施すことによって得ることができる。

0031

本明細書において「一本鎖抗体」とは、「scFv(single chain Fv)」ともいい、抗体の重鎖および軽鎖可変部領域(VHおよびVL)を適当なリンカーペプチドで連結させたものに相当する。このようなコンストラクトを遺伝子レベル構築し、タンパク質発現ベクターを用いて大腸菌に導入することで一本鎖抗体タンパク質を発現させることができる。

0032

本明細書において、「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長を有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの長さは、上述のようにそれぞれアミノ酸または核酸の個数で表すことができるが、上述の個数は絶対的なものではなく、同じ機能を有する限り、上限または下限としての上述の個数は、その個数の上下数個(または例えば上下10%)のものも含むことが意図される。本明細書において有用なフラグメントの長さは、そのフラグメントの基準となる全長タンパク質の機能のうち少なくとも1つの機能が保持されているかどうかによって決定され得る。

0033

本明細書において遺伝子の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。

0034

アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。

0035

本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。同一性の検索は例えば、NCBIのBLAST 2.2.9(2004.5.12発行)を用いて行うことができる。本明細書における同一性の値は通常は上記BLASTを用い、デフォルトの条件でアラインした際の値をいう。ただし、パラメータの変更により、より高い値が出る場合は、最も高い値を同一性の値とする。複数の領域で同一性が評価される場合はそのうちの最も高い値を同一性の値とする。

0036

本明細書において、「改変体」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改変体、付加改変体、欠失改変体、短縮(truncated)改変体、対立遺伝子変異体などが挙げられる。対立遺伝子(allele)とは、 同一遺伝子座に属し、互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。従って、「対立遺伝子変異体」とは、ある遺伝子に対して、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。「種相同体またはホモログ(homolog)」とは、ある種の中で、ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで、相同性(好ましくは、60%以上の相同性、より好ましくは、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上の相同性)を有するものをいう。そのような種相同体を取得する方法は、本明細書の記載から明らかである。「オルソログ(ortholog)」とは、オルソロガス遺伝子(orthologous gene)ともいい、二つの遺伝子がある共通祖先からの種分化に由来する遺伝子をいう。例えば、多重遺伝子構造をもつヘモグロビン遺伝子ファミリーを例にとると、ヒトとマウスのαヘモグロビン遺伝子はオルソログであるが,ヒトのαヘモグロビン遺伝子とβヘモグロビン遺伝子はパラログ遺伝子重複で生じた遺伝子)である。オルソログは、分子系統樹推定に有用であることから、オルソログもまた、本発明において有用であり得る。

0037

本明細書において「保存的(に改変された)改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいい、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一な配列をいう。このような塩基配列の改変法としては、制限酵素などによる切断、DNAポリメラーゼKlenowフラグメントDNAリガーゼなどによる処理等による連結等の処理、合成オリゴヌクレオチドなどを用いた部位特異的塩基置換法(特定部位指向突然変異法;MarkZollerand Michael Smith,Methodsin Enzymology,100,468−500(1983))が挙げられるが、この他にも通常分子生物学の分野で用いられる方法によって改変を行うこともできる。遺伝コード縮重のため、多数の機能的に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCAGCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、記載された対応するコドンの任意のものに変更され得る。このような核酸の変動は、保存的に改変された変異の1つの種である「サイレント改変(変異)」である。ポリペプチドをコードする本明細書中のすべての核酸配列はまた、その核酸の可能なすべてのサイレント変異を記載する。当該分野において、核酸中の各コドン(通常メチオニンのための唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンのための唯一のコドンであるTGGを除く)が、機能的に同一な分子を産生するために改変され得ることが理解される。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された各配列において暗黙に含まれる。好ましくは、そのような改変は、ポリペプチドの高次構造に多大な影響を与えるアミノ酸であるシステインの置換を回避するようになされ得る。

0038

あるアミノ酸は、相互作用結合能力の明らかな低下または消失なしに、例えば、リガンド分子結合部位のようなタンパク質構造において他のアミノ酸に置換され得る。あるタンパク質の生物学的機能を規定するのは、タンパク質の相互作用能力および性質である。従って、特定のアミノ酸の置換がアミノ酸配列において、またはそのDNAコード配列のレベルにおいて行われ得、置換後もなお、もとの性質を維持するタンパク質が生じ得る。従って、生物学的有用性の明らかな損失なしに、種々の改変が、本明細書において開示されたペプチドまたはこのペプチドをコードする対応するDNAにおいて行われ得る。

0039

このような核酸は、周知のPCR法により得ることができ、化学的に合成することもできる。これらの方法に、例えば、部位特異的変位誘発法、ハイブリダイゼーション法などを組み合わせてもよい。

0040

上記のような改変を設計する際に、アミノ酸の疎水性指数が考慮され得る。タンパク質における相互作用的な生物学的機能を与える際の疎水性アミノ酸指数重要性は、一般に当該分野で認められている(Kyte.JおよびDoolittle,R.F.J.Mol.Biol.157(1):105−132,1982)。アミノ酸の疎水的性質は、生成したタンパク質の二次構造に寄与し、次いでそのタンパク質と他の分子(例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原など)との相互作用を規定する。各アミノ酸は、それらの疎水性および電荷の性質に基づく疎水性指数を割り当てられる。それらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5))である。

0041

あるアミノ酸を、同様の疎水性指数を有する他のアミノ酸により置換して、そして依然として同様の生物学的機能を有するタンパク質(例えば、リガンド結合能において等価なタンパク質)を生じさせ得ることが当該分野で周知である。このようなアミノ酸置換において、疎水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。疎水性に基づくこのようなアミノ酸の置換は効率的であることが当該分野において理解される。米国特許第4,554,101号に記載されるように、以下の親水性指数アミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。アミノ酸が同様の親水性指数を有しかつ依然として生物学的等価体を与え得る別のものに置換され得ることが理解される。このようなアミノ酸置換において、親水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。

0042

本発明において、「保存的置換」とは、アミノ酸置換において、元のアミノ酸と置換されるアミノ酸との親水性指数または/および疎水性指数が上記のように類似している置換をいう。保存的置換の例は、当業者に周知であり、例えば、次の各グループ内での置換:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン、などが挙げられるがこれらに限定されない。

0043

本明細書中において、機能的に等価なポリペプチドを作製するために、アミノ酸の置換のほかに、アミノ酸の付加、欠失、または修飾もまた行うことができる。アミノ酸の置換とは、もとのペプチドを1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸で置換することをいう。アミノ酸の付加とは、もとのペプチド鎖に1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を付加することをいう。アミノ酸の欠失とは、もとのペプチドから1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を欠失させることをいう。アミノ酸修飾は、アミド化カルボキシル化硫酸化ハロゲン化アルキル化リン酸化水酸化アシル化(例えば、アセチル化)などを含むが、これらに限定されない。置換、または付加されるアミノ酸は、天然のアミノ酸であってもよく、非天然のアミノ酸、またはアミノ酸アナログでもよい。天然のアミノ酸が好ましい。

0044

本明細書において、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの「置換、付加および/または欠失」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、それぞれアミノ酸もしくはその代替物、またはヌクレオチドもしくはその代替物が、置き換わること、付け加わること、または取り除かれることをいう。このような置換、付加および/または欠失の技術は、当該分野において周知であり、そのような技術の例としては、部位特異的変異誘発技術などが挙げられる。基準となる核酸分子またはポリペプチドにおけるこれらの変化は、目的とする機能(例えば、RAGEの認識能など)が保持される限り、この核酸分子の5’末端もしくは3’末端で生じ得るか、またはこのポリペプチドを示すアミノ酸配列のアミノ末端部位もしくはカルボキシ末端部位で生じ得るか、またはそれらの末端部位の間のどこにでも生じ得、基準配列中の残基間で個々に散在する。置換、付加または欠失は、1つ以上であれば任意の数でよく、そのような数は、その置換、付加または欠失を有する改変体において目的とする機能が保持される限り、多くすることができる。例えば、そのような数は、1または数個であり得、そして好ましくは、全体の長さの20%以内、15%以内、10%以内、5%以内、または150個以下、100個以下、50個以下、25個以下などであり得る。

0045

本明細書において使用される場合、用語「タグ配列」とは、受容体−リガンドのような特異的認識機構により分子を選別するための物質、より具体的には、特定の物質を結合するための結合パートナーの役割を果たす物質(例えば、ビオチン−アビジン、ビオチン−ストレプトアビジンのような関係を有する)をいう。よって、例えば、タグ配列が結合した特定の物質は、タグ配列の結合パートナーを結合させた基材を接触させることで、この特定の物質を選別することができる。このようなタグ配列は、当該分野で周知である。代表的なタグ配列としては、mycタグ、Hisタグ、HA、Aviタグなどが挙げられるが、これらに限定されない。

0046

本明細書において、「検出剤」とは、広義には、目的の物質または状態(例えば、AGEs)を検出できるあらゆる因子(剤)をいう。

0047

本明細書において「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであってもよく、改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然アミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。

0048

本明細書において、「アミノ酸」は、本発明の目的を満たす限り、天然のものでも非天然のものでもよい。本明細書において「アミノ酸誘導体」または「アミノ酸アナログ」とは、天然に存在するアミノ酸とは異なるがもとのアミノ酸と同様の機能を有するものをいう。そのようなアミノ酸誘導体およびアミノ酸アナログは、当該分野において周知である。本明細書では、アミノ酸誘導体およびアミノ酸アナログは、アミノ酸と同じ生物学的機能を提供し得る限り代替として使用され得ることが理解される。本明細書において「天然のアミノ酸」とは、天然のアミノ酸のL−異性体を意味する。天然のアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、メチオニン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、プロリン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、γ−カルボキシグルタミン酸、アルギニン、オルニチン、およびリジンである。特に示されない限り、本明細書でいう全てのアミノ酸はL体であるが、D体のアミノ酸を用いた形態もまた本発明の範囲内にある。本明細書において「非天然アミノ酸」とは、タンパク質中で通常は天然に見出されないアミノ酸を意味する。非天然アミノ酸の例として、ノルロイシンパラ−ニトロフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニン、3−アミノ−2−ベンジルプロピオン酸ホモアルギニンのD体またはL体およびD−フェニルアラニンが挙げられる。本明細書において「アミノ酸アナログ」とは、アミノ酸ではないが、アミノ酸の物性および/または機能に類似する分子をいう。アミノ酸アナログとしては、例えば、エチオニンカナバニン、2−メチルグルタミンなどが挙げられる。アミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様な様式で機能する化合物をいう。

0049

アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。

0050

本明細書において「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。この用語はまた、「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」を含む。「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’−O−メチル−リボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合ホスホロチオエート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスホロアデート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体およびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体などが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossoliniら、Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。

0051

本明細書において「ヌクレオチド」は、天然のものでも非天然のものでもよい。「ヌクレオチド誘導体」または「ヌクレオチドアナログ」とは、天然に存在するヌクレオチドとは異なるがもとのヌクレオチドと同様の機能を有するものをいう。そのようなヌクレオチド誘導体およびヌクレオチドアナログは、当該分野において周知である。そのようなヌクレオチド誘導体およびヌクレオチドアナログの例としては、ホスホロチオエートホスホルアミデート、メチルホスホネートキラルメチルホスホネート、2’−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド型核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されない。

0052

本明細書において「複合分子」とは、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、糖、低分子などの分子が複数種連結してできた分子をいう。そのような複合分子としては、例えば、糖脂質糖ペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書では、配列番号3等で例示されるアミノ酸を有するポリペプチドまたはその改変体もしくはフラグメントであって、診断に関与する生物学的な活性性を有する限り、それぞれの改変体もしくはフラグメントなどをコードする核酸分子も使用することができる。また、そのような核酸分子を含む複合分子も使用することができる。

0053

本明細書において「核酸」はまた、遺伝子、cDNAmRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換可能に使用される。特定の核酸配列はまた、「スプライス改変体」を包含する。同様に、核酸によりコードされた特定のタンパク質は、その核酸のスプライス改変体によりコードされる任意のタンパク質を暗黙に包含する。その名が示唆するように「スプライス改変体」は、遺伝子のオルタナティブスプライシングの産物である。転写後、最初の核酸転写物は、異なる(別の)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするようにスプライスされ得る。スプライス改変体の産生機構は変化するが、エキソンのオルタナティブスプライシングを含む。読み過し転写により同じ核酸に由来する別のポリペプチドもまた、この定義に包含される。スプライシング反応の任意の産物(組換え形態のスプライス産物を含む)がこの定義に含まれる。

0054

本明細書において「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体上に一定の順序に配列している。タンパク質の一次構造を規定する遺伝子を構造遺伝子といい、その発現を左右する遺伝子を調節遺伝子という。本明細書では、「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」ならびに/あるいは「タンパク質」「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」をさすことがある。

0055

本明細書において「ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。本発明のポリヌクレオチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法などを用いることにより、そのようなポリヌクレオチドを得ることができる。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドを意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning 2nd ed.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38、DNA Cloning 1:Core Techniques,A PRac1tical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)などの実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からは、好ましくは、A配列のみまたはT配列のみを含む配列が除外される。従って、本発明において使用されるポリペプチド(例えば、RAGEなど)には、本発明で特に記載されたポリペプチドをコードする核酸分子に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドも包含される。

0056

本明細書において「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」とは、上記ハイブリダイズ条件下で別のポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドをいう。ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとして具体的には、配列番号3などで表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、好ましくは80%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。

0057

DNA二重鎖の安定性に影響を与える因子としては、塩基の組成、長さおよび塩基対不一致の程度が挙げられる。ハイブリダイゼーション条件は、当業者によって調整され得、これらの変数を適用させ、そして異なる配列関連性のDNAがハイブリッドを形成するのを可能にする。完全に一致したDNA二重鎖の融解温度は、以下の式によって概算され得る。
Tm(℃)=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(%G+C)−600/N−0.72(%ホルムアミド
ここで、Nは、形成される二重鎖の長さであり、[Na+]は、ハイブリダイゼーション溶液または洗浄溶液中ナトリウムイオンモル濃度であり、%G+Cは、ハイブリッド中の(グアニン+シトシン)塩基のパーセンテージである。不完全に一致したハイブリッドに関して、融解温度は、各1%不一致(ミスマッチ)に対して約1℃ずつ減少する。

0058

本明細書において、「リフォールディング」とは、異常な折り畳みを有するためにその本来有する機能を失っているポリペプチドの異常な構造を解きほぐし、界面活性剤により再凝集を防ぎつつ、シクロアミロース包接能活用したり、あるいは、酸化還元電位制御下での希釈透析により、そのポリペプチドの本来の正しい構造に再折りたたみすることをいう。

0059

本明細書において、「精製用カラム」とは、タンパク質などの分子(例えば、抗体)と親和性を有するか、または結合することができる固体または半固体支持体をいい、例えば、金属キレートアガロースカラム等を挙げることができる。分子ごとの親和性または結合力の違いにより、各分子を分離することができる。精製する分子の特性に応じて、当業者であれば適切な支持体が選択される。たとえば、TALONカラムでは、Hisタグ等を付加したタンパク質を効率よく精製することができる。

0060

本明細書において、「TALON」とは、Coを使用した金属キレートアフィニティレジンをいう。

0061

本明細書において、「リン酸緩衝化生食塩水(PBS)とは、NaCl、KCl、Na2HPO4、およびKH2PO4を含むpH7〜8の水溶液である。各成分の濃度およびpHは、用途に応じて好適に調節することができる。本明細書において、「PBS(+)」は、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを含むことを意味しており、「PBS(−)」は、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを含まないことを意味しているが、本明細書では、明示的に記載しない限り、「PBS」は「PBS(−)」を意味するものとする。本明細書では、代表的には、Dulbecco’s PBS(−)を使用することができる。Dulbecco’s PBS(−)の組成は、NaCl 8g,KCl 0.2g,Na2HPO4 1.15g,KH2PO4 0.2g/L、(pH 7.4)である。

0062

本明細書において、「セルロースエステル膜チューブ」とは、酢酸セルロース高分子混合物押し出し成型することにより製造された透析チューブをいう。

0063

本明細書において使用される場合、用語「受容体」とは、1個以上のリガンドと可逆的、かつ特異的に複合体化する1個以上の結合ドメインを備える生物学的な構造であって、ここで、この複合体化は生物学的な構造を有する。受容体は、完全に細胞の外部(細胞外の受容体)、細胞膜の中(しかし、受容体の部分を細胞外部の環境および細胞質ゾルに向けている)、または完全に細胞の中(細胞内の受容体)に存在し得る。これらはまた、細胞と独立的に機能し得る。細胞膜中の受容体は、細胞を、その境界の外部の空間と連絡(例えば、シグナル伝達)させ、そして細胞の内側および外側への分子およびイオン輸送において機能させることを可能とする。本明細書において使用する場合、受容体は、受容体全長であっても、受容体のフラグメントであってもよい。

0064

本明細書において、「抗原抗体反応」とは、当該分野で使用される最も広い意味で用いられ、特に、抗原と抗体との間の特異的結合に基づく反応をいう。検出系としてイムノブロット(ウェスタンブロット)形式を用いることによって、試料中の抗原を検出し、そして定量化するための試薬および方法も提供する。

0065

本明細書中で使用される用語「結合」は、2つのタンパク質もしくは化合物または関連するタンパク質もしくは化合物の間、あるいはそれらの組み合わせの間での、物理的相互作用または化学的相互作用を意味する。結合には、イオン結合、非イオン結合、水素結合、ファンデルワールス結合、疎水性相互作用などが含まれる。物理的相互作用(結合)は、直接的または間接的であり得、間接的なものは、別のタンパク質または化合物の効果を介するかまたは起因する。直接的な結合とは、別のタンパク質または化合物の効果を介してもまたはそれらに起因しても起こらず、他の実質的な化学中間体を伴わない、相互作用をいう。

0066

本明細書において第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」とは、第一の物質または因子が、第二の物質または因子に対して、第二の物質または因子以外の物質または因子(特に、第二の物質または因子を含むサンプル中に存在する他の物質または因子)に対するよりも高い親和性で相互作用することをいう。物質または因子について特異的な相互作用としては、例えば、核酸におけるハイブリダイゼーション、タンパク質における抗原抗体反応、リガンド−受容体反応、酵素−基質反応など、核酸およびタンパク質の両方が関係する場合、転写因子とその転写因子の結合部位との反応など、タンパク質−脂質相互作用、核酸−脂質相互作用などが挙げられるがそれらに限定されない。従って、物質または因子がともに核酸である場合、第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」ことには、第一の物質または因子が、第二の物質または因子に対して少なくとも一部に相補性を有することが包含される。また例えば、物質または因子がともにタンパク質である場合、第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」こととしては、例えば、抗原抗体反応による相互作用、受容体−リガンド反応による相互作用、酵素−基質相互作用などが挙げられるがそれらに限定されない。2種類の物質または因子がタンパク質および核酸を含む場合、第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」ことには、転写因子と、その転写因子が対象とする核酸分子の結合領域との間の相互作用が包含される。したがって、本明細書においてポリヌクレオチドまたはポリペプチドなどの生物学的因子に対して「特異的に相互作用する因子」とは、そのポリヌクレオチドまたはそのポリペプチドなどの生物学的因子に対する親和性が、他の無関連の(特に、同一性が30%未満の)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対する親和性よりも、代表的には同等またはより高いか、好ましくは有意に(例えば、統計学的に有意に)高いものを包含する。そのような親和性は、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ、結合アッセイなどによって測定することができる。

0067

本明細書中で使用される「接触(させる)」とは、化合物を、直接的または間接的のいずれかで、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して物理的に近接させることを意味する。ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、多くの緩衝液、塩、溶液などに存在し得る。接触とは、核酸分子またはそのフラグメントをコードするポリペプチドを含む、例えば、ビーカーマイクロタイタープレート細胞培養フラスコまたはマイクロアレイ(例えば、遺伝子チップ)などに化合物を置くことが挙げられる。

0068

本発明において酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)のような機構を使用する場合、一般に、固相(基材または基板)としては、マイクロタイタープレートが使用される。本明細書において使用される場合、用語「固相」とは、本明細書中において「基板」および「基材」と互換的に使用され、本発明のデバイスが構築される材料をいう。抗体のような分子が固定され得る平面状の支持体をいう。基板の材料としては、共有結合かまたは非共有結合のいずれかで、本発明において使用される生体分子に結合する特性を有するかまたはそのような特性を有するように誘導体化され得る、任意の固体材料が挙げられる。適切な基材としては、ビーズ金粒子、プレート(例えば、マイクロタイタープレート)、試験管チップ磁性粒子、膜、繊維、スライドガラス金属薄膜、フィルター、チューブボールダイアモンド炭素被膜ステンレスなどが挙げられるが、これらに限定されない。

0069

固相および基板として使用するためのそのような材料としては、固体表面を形成し得る任意の材料が使用され得るが、例えば、ガラスシリカシリコーンセラミック二酸化珪素プラスチック、金属(合金も含まれる)、天然および合成のポリマー(例えば、ポリスチレンセルロースアミロースキトサンデキストラン、およびナイロン)以下が挙げられるがそれらに限定されない。基板は、複数の異なる材料の層から形成されていてもよい。例えば、ガラス、石英ガラスアルミナサファイアフォルステライト炭化珪素酸化珪素窒化珪素などの無機絶縁材料を使用できる。また、ポリエチレンエチレンポリプロピレンポリイソブチレンポリエチレンテレフタレート不飽和ポリエステル含フッ素樹脂ポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデンポリ酢酸ビニルポリビニルアルコールポリビニルアセタールアクリル樹脂ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂ポリカーボネートポリアミドフェノール樹脂ユリア樹脂エポキシ樹脂メラミン樹脂スチレンアクリロニトリル共重合体アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体シリコーン樹脂ポリフェニレンオキサイドポリスルホン等の有機材料を用いることができる。本発明においてはまた、ナイロン膜、ニトロセルロース膜、PVDF膜など、ブロッティングに使用される膜を用いることもできる。高密度のものを解析する場合は、ガラスなど硬度のあるものを材料として使用することが好ましい。基板として好ましい材質は、測定機器などの種々のパラメータによって変動し、当業者は、上述のような種々の材料から適切なものを適宜選択することができる。

0070

「サンドイッチELISA」とは、ELISAの特定の形式を言い、抗体または抗原に特異的に結合できる分子(例えばRAGE)が固体材料に結合され、抗原を含有する試料に供され、その後、非結合抗原を取り除くべく、その固体材料表面洗われその後、標識抗体(例えば、酵素が連結された標識抗体)が、結合している状態の抗原(存在する場合)に結合され、抗体−抗原−抗体のサンドイッチを形成するような形式をいう。抗体に連結され得る酵素の例は、アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼウレアーゼおよびβ−ガラクトシダーゼである。酵素が連結された抗体は、基質と反応し、測定され得る呈色反応生成物を発生させる。標識抗体の代わりに、標識されていない抗体もまた使用することができる。この場合、標識されていない抗体に、標識された二次抗体を結合させることによって、検出することができる。

0071

本明細書において、「カイコ」とは、通常の意味のカイコ()を意味し、チョウ目(鱗翅目)・カイコガ科に属する昆虫一種であるものとする。正式和名はカイコガ(学名:Bombix mori)で、カイコはこの幼虫名称だが、一般的にはこの種全般をも指す。クワ)を食餌とし、を産生しての繭を作る。カイコは家蚕(かさん)とも呼ばれ、野生に生息する昆虫ではない。カイコの祖先は東アジアに生息するクワコ(Bombyxmandarina)であると考えられている。カイコとクワコは学問的には別種とされるが、これらの雑種生殖能力をもつ。本明細書では、カイコには、クワコが含まれるものとする。本明細書において「カイコと同様の糖鎖を付与する生物」とは、カイコと同様の糖鎖を付加する能力を有する生物をいい、カイコと同様の糖鎖を付加する酵素をコードする遺伝子等でトランスジェニック生物等を含みうる。

0072

本明細書において、「絹糸腺」とは、熟蚕体内に存在する左右1対器官であり、クワの葉から摂取した多量のタンパク質(アミノ酸)を2種類の絹タンパク質フィブロインセリシン)に変える器官を意味する。絹糸腺は左右一対となっており、マユ糸の原料となる液状絹分泌する。絹糸腺は、後部絹糸腺、中部絹糸腺、前部絹糸腺の3つの部分に分けられる。本発明では、いずれの絹糸腺を用いても合成可能であるが、合成後の取り扱いを考慮し、後部絹糸腺、中部絹糸腺が通常使用され、好ましくは中部絹糸腺が使用されるが、それに限定されるものではない。また、全身に発現させて全身から回収することも可能であるし、マユを形成させた後にマユから回収することも可能である
後部絹糸腺とは、最後部にある細長い部分で、伸ばすと約20cmになる。ここでは後にマユ糸の中心となるフィブロインタンパク質を合成する。

0073

中部絹糸腺とは、中央部分にあるS字に曲がった太い部分で、伸ばすと約6cmになる。後部絹糸腺から送られてきたフィブロインタンパク質を濃縮して蓄え、繊維にしやすい形に整える。またもうひとつの絹タンパク質であるセリシンも分泌する。マユ糸を吐きだすとき、フィブロインタンパク質をまとめる接着剤の役割をする。

0074

前部絹糸腺とは、長さは約4cmの吐糸口につながる細い管で、先に行くほど細くなる。液状のフィブロインタンパク質の分子が引き伸ばされて一定方向に揃えられ、互いに集合することでさらに水分が除かれる。管の先端でもう一対の管と一本に合流し、吐糸口から吐きだされて一本のマユ糸になる。

0075

カイコは5齢の終わりにクワを食べるのをやめる(熟蚕)。熟蚕の体の中は、マユ糸の原料となる水飴のような液(液状絹)をため込んだ一対の器官(絹糸腺)でいっぱいになっている。絹糸腺は、細い吐糸管つうじてカイコの口元にある吐糸口につながっている。液状絹は細い吐糸管を通ることで引き伸ばされて固まり、マユ糸となる。さらには、幼虫が吐糸管から吐きだした糸を近くのものに貼りつけ、頭とを8の字状に動かし、引っぱるという一連の運動で、マユ糸は次々と絹糸腺から引きだされるのである。

0076

本明細書において「カイコ型糖鎖」とは、カイコで生産される糖タンパク質において特有糖鎖構造をいい、代表的にはトリマンノシルコア(自体)、オリゴマンノース型糖鎖および複合型糖鎖、あるいはそのハイブリッド型がある。本発明では、中部絹糸腺を用いてカイコ型糖タンパク質を生産していることから、特に断らない限り、「カイコ型糖鎖」とは、この中部絹糸腺で生産される特有の糖鎖型をいう。このようなカイコ型糖鎖としては、例えば、アスパラギン(Asn)に結合したNアセチルグルコサミン(GlcNAc)が2個結合した後、マンノース(Man)が3分子結合したもの(トリマンノシルコアといい、下記(1)式で示される)をコアとして、そこから分岐した構造をとり、さらに種々の糖鎖が結合している。

0077

本明細書において「精製された」生物学的因子(例えば、核酸またはタンパク質など)とは、その生物学的因子に天然に随伴する因子の少なくとも一部が除去されたものをいう。したがって、通常、精製された生物学的因子におけるその生物学的因子の純度は、その生物学的因子が通常存在する状態よりも高い(すなわち濃縮されている)。

0078

本明細書中で使用される用語「精製された」は、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、よりさらに好ましくは少なくとも95重量%、そして最も好ましくは少なくとも98重量%の、同型の生物学的因子が存在することを意味する。

0079

本明細書において「対応する」アミノ酸または核酸とは、あるポリペプチド分子またはポリヌクレオチド分子において、比較の基準となるポリペプチドまたはポリヌクレオチドにおける所定のアミノ酸またはヌクレオチドと同様の作用を有するか、または有することが予測されるアミノ酸またはヌクレオチドをいい、特に酵素分子にあっては、活性部位中の同様の位置に存在し触媒活性に同様の寄与をするアミノ酸をいう。例えば、アンチセンス分子であれば、そのアンチセンス分子の特定の部分に対応するオルソログにおける同様の部分であり得る。対応するアミノ酸は、例えば、システイン化グルタチオン化、S−S結合形成酸化(例えば、メチオニン側鎖の酸化)、ホルミル化、アセチル化、リン酸化、糖鎖付加ミリスチル化などがされる特定のアミノ酸であり得る。あるいは、対応するアミノ酸は、二量体化を担うアミノ酸であり得る。このような「対応する」アミノ酸または核酸は、一定範囲にわたる領域またはドメインであってもよい。従って、そのような場合、本明細書において「対応する」領域またはドメインと称される。

0080

本明細書において「対応する」遺伝子(例えば、ポリペプチド分子またはポリヌクレオチド分子)とは、ある種において、比較の基準となる種における所定の遺伝子と同様の作用を有するか、または有することが予測される遺伝子(例えば、ポリペプチド分子またはポリヌクレオチド分子)をいい、そのような作用を有する遺伝子が複数存在する場合、進化学的に同じ起源を有するものをいう。従って、ある遺伝子に対応する遺伝子は、その遺伝子のオルソログであり得る。従って、マウス、ラットのRAGE(または可溶性形態のsRAGE)は、それぞれ、ヒトにおいて、対応するRAGE(sRAGEまたは可溶性形態のsRAGE)を見出すことができる。そのような対応する遺伝子は、当該分野において周知の技術を用いて同定することができる。したがって、例えば、ある動物(例えば、マウス)における対応する遺伝子は、対応する遺伝子の基準となる遺伝子(例えば、RAGEまたは可溶性形態のsRAGE)は、ある動物の配列をクエリ配列として用いてその動物(例えばヒト、ラット)の配列データベースを検索することによって見出すことができる。

0081

本明細書中で使用される「異種」とは、異なる配列または対応しない配列、あるいは異なる種由来の配列である、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列をいう。例えば、ヒトのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、マウスのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に対して異種であり、そしてヒトRAGEの核酸配列またはアミノ酸配列は、ヒトアルブミンのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に対して異種である。

0082

本明細書において「生物学的機能」とは、ある遺伝子またはそれに関する核酸分子もしくはポリペプチドについて言及するとき、その遺伝子、核酸分子またはポリペプチドが生体内において有し得る特定の機能をいい、これには、例えば、特異的な抗体の生成、酵素活性抵抗性の付与等を挙げることができるがそれらに限定されない。本発明においては、例えば、RAGEがヘモペキシン等のマーカーを認識する機能などを挙げることができるがそれらに限定されない。本明細書において、生物学的機能は、「生物学的活性」によって発揮され得る。本明細書において「生物学的活性」とは、ある因子(例えば、ポリヌクレオチド、タンパク質など)が、生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能(例えば、転写促進活性)を発揮する活性が包含され、例えば、ある分子との相互作用によって別の分子が活性化または不活化される活性も包含される。2つの因子が相互作用する場合、その生物学的活性は、その二分子との間の結合およびそれによって生じる生物学的変化、例えば、一つの分子を抗体を用いて沈降させたときに他の分子も共沈するとき、2分子は結合していると考えられる。したがって、そのような共沈を見ることが一つの判断手法として挙げられる。例えば、ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、その酵素活性を包含する。別の例では、ある因子がリガンドである場合、そのリガンドが対応する受容体への結合を包含する。そのような生物学的活性は、当該分野において周知の技術によって測定することができる。

0083

したがって、「活性」は、結合(直接的または間接的のいずれか)を示すかまたは明らかにするか;応答に影響する(すなわち、いくらか曝露または刺激に応答する測定可能な影響を有する)、種々の測定可能な指標をいい、例えば、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに直接結合する化合物の親和性、または例えば、いくつかの刺激後または事象後上流または下流のタンパク質の量あるいは他の類似の機能の尺度が、挙げられる。

0084

本明細書において「マーカー(物質)」とは、ある状態(AGEsに関連する糖尿病、糖尿病性腎症糖尿病性網膜症糖尿病性神経症等の糖尿病合併症などの疾患)に罹患しているかまたはその危険性があるかどうかを追跡する示標となる物質をいう。このようなマーカーとしては、遺伝子、遺伝子産物代謝物質、酵素などを挙げることができる。本発明において、糖尿血管障害、非アルコール性脂肪肝炎アルツハイマー型認知症、などのAGEsに関連する疾患、糖尿病、高血糖高血圧症高血圧性腎硬化症動脈硬化虚血再灌流傷害、血管バルーン傷害後のような病態についての診断、予備的検出、予測または事前診断は、その状態に関連するマーカーに特異的な薬剤、剤、因子または手段、あるいはそれらを含む組成物、キットまたはシステム等を用いて実現することができる。さらに、本発明において、ある状態(例えば、糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経症等の糖尿病合併症などの疾患)についての診断、予備的検出、予測または事前診断、(人工透析などの)治療効果の評価は、その状態に関連するマーカーに特異的な薬剤、剤、因子または手段、あるいはそれらを含む組成物、キットまたはシステム等を用いて実現することもできる。

0085

本明細書において、「遺伝子産物」とは、遺伝子によってコードされるタンパク質またはmRNAをいう。本明細書では、糖代謝に直接関連しない遺伝子産物(すなわち、インスリンなどの糖代謝に関連しないタンパク質など)が糖尿病の指標として使用可能であることが見出された。

0086

本明細書において「被験体」とは、本発明の診断または検出等の対象となる生物(例えば、ヒト)をいう。

0087

本明細書において「サンプル」とは、被験体等から得られた任意の物質をいい、例えば、体液(血液、唾液、尿、涙液脳脊髄液等)が含まれる。好ましくは血液、尿、涙液が使用され、マーカーによって、特異性に相違があるが、当業者は本明細書の記載をもとに適宜好ましいサンプルを選択することができる。

0088

本明細書において「薬剤」、「剤」または「因子」(いずれも英語ではagentに相当する)は、広義には、交換可能に使用され、意図する目的を達成することができる限りどのような物質または他の要素(例えば、光、放射能、熱、電気などのエネルギー)でもあってもよい。そのような物質としては、例えば、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNAを含む)、ポリサッカリドオリゴサッカリド、脂質、有機低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(例えば、低分子リガンドなど)など)、これらの複合分子が挙げられるがそれらに限定されない。ポリヌクレオチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリヌクレオチドの配列に対して一定の配列相同性を(例えば、70%以上の配列同一性)もって相補性を有するポリヌクレオチド、プロモーター領域に結合する転写因子のようなポリペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。ポリペプチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリペプチドに対して特異的に指向された抗体またはその誘導体あるいはその類似物(例えば、単鎖抗体)、そのポリペプチドが受容体またはリガンドである場合の特異的なリガンドまたは受容体、そのポリペプチドが酵素である場合、その基質などが挙げられるがそれらに限定されない。

0089

本明細書において「相互作用」とは、2つの物質についていうとき、一方の物質と他方の物質との間で力(例えば、分子間力(ファンデルワールス力)、水素結合、疎水性相互作用など)を及ぼしあうこという。通常、相互作用をした2つの物質は、会合または結合している状態にある。

0090

したがって、本明細書においてポリヌクレオチドまたはポリペプチドなどの生物学的因子に対して「特異的に相互作用する因子」とは、そのポリヌクレオチドまたはそのポリペプチドなどの生物学的因子に対する親和性が、他の無関連の(特に、同一性が30%未満の)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対する親和性よりも、代表的には同等またはより高いか、好ましくは有意に(例えば、統計学的に有意に)高いものを包含する。そのような親和性は、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ、結合アッセイなどによって測定することができる。

0091

本明細書において第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」とは、第一の物質または因子が、第二の物質または因子に対して、第二の物質または因子以外の物質または因子(特に、第二の物質または因子を含むサンプル中に存在する他の物質または因子)に対するよりも高い親和性で相互作用することをいう。物質または因子について特異的な相互作用としては、例えば、リガンド−受容体反応、核酸におけるハイブリダイゼーション、タンパク質における抗原抗体反応、酵素−基質反応など、核酸およびタンパク質の両方が関係する場合、転写因子とその転写因子の結合部位との反応など、タンパク質−脂質相互作用、核酸−脂質相互作用などが挙げられるがそれらに限定されない。従って、物質または因子がともに核酸である場合、第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」ことには、第一の物質または因子が、第二の物質または因子に対して少なくとも一部に相補性を有することが包含される。また例えば、物質または因子がともにタンパク質である場合、第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」こととしては、例えば、抗原抗体反応による相互作用、受容体−リガンド反応による相互作用、酵素−基質相互作用などが挙げられるがそれらに限定されない。2種類の物質または因子がタンパク質および核酸を含む場合、第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」ことには、転写因子と、その転写因子が対象とする核酸分子の結合領域との間の相互作用が包含される。

0092

本明細書において「手段」とは、ある目的を達成する任意の道具となり得るものをいい、特に、本明細書では、「選択的に認識する手段」とは、ある対象を他のものとは異なって認識することができる手段をいう。

0093

本明細書中で使用される用語「結合」は、2つのタンパク質もしくは化合物または関連するタンパク質もしくは化合物の間、あるいはそれらの組み合わせの間での、物理的相互作用または化学的相互作用を意味する。結合には、イオン結合、非イオン結合、水素結合、ファンデルワールス結合、疎水性相互作用などが含まれる。物理的相互作用(結合)は、直接的または間接的であり得、間接的なものは、別のタンパク質または化合物の効果を介するかまたは起因する。直接的な結合とは、別のタンパク質または化合物の効果を介してもまたはそれらに起因しても起こらず、他の実質的な化学中間体を伴わない、相互作用をいう。

0094

本明細書中で使用される「接触(させる)」とは、化合物を、直接的または間接的のいずれかで、本発明のマーカー、リガント等として機能しうるポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して物理的に近接させることを意味する。ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、多くの緩衝液、塩、溶液などに存在させることができる。接触とは、核酸分子またはそのフラグメントをコードするポリペプチドを含む、例えば、ビーカー、マイクロタイタープレート、細胞培養フラスコまたはマイクロアレイ(例えば、遺伝子チップ)などに化合物を置くことが挙げられる。

0095

本明細書において「標識」とは、目的となる分子または物質を他から識別するための存在(たとえば、物質、エネルギー、電磁波など)をいう。そのような標識方法としては、RIラジオアイソトープ)法、蛍光法、ビオチン法、化学発光法等を挙げることができる。本発明のマーカーまたはそれを捕捉する因子または手段を複数、蛍光法によって標識する場合には、蛍光発光極大波長が互いに異なる蛍光物質によって標識を行う。蛍光発光極大波長の差は、10nm以上であることが好ましい。リガンドを標識する場合、機能に影響を与えないものならば何れも用いることができるが、AGEsを標識する場合は、蛍光物質としては、Alexa Fluorが望ましい。Alexa Fluorは、クマリンローダミンフルオレセインシアニンなどを修飾して得られた水溶性蛍光色素であり、広範囲蛍光波長に対応したシリーズであり、他の該当波長の蛍光色素に比べ、非常に安定で、明るく、またpH感受性が低い。蛍光極大波長が10nm以上ある蛍光色素の組み合わせとしては、Alexa555とAlexa633の組み合わせ、Alexa488とAlexa555の組み合わせ等を挙げることができる。核酸を標識する場合は、その塩基部分と結合できるものであれば何れも用いることができるが、シアニン色素(例えば、CyDyeTMシリーズのCy3、Cy5等)、ローダミン6G試薬、N−アセトキシ−N2−アセチルアミノフルオレン(AAF)、AAIF(AAFのヨウ素誘導体)等を使用することが好ましい。蛍光発光極大波長の差が10nm以上である蛍光物質としては、例えば、Cy5とローダミン6G試薬との組み合わせ、Cy3とフルオレセインとの組み合わせ、ローダミン6G試薬とフルオレセインとの組み合わせ等を挙げることができる。本発明では、このような標識を利用して、使用される検出手段に検出され得るように目的とする対象を改変することができる。そのような改変は、当該分野において公知であり、当業者は標識におよび目的とする対象に応じて適宜そのような方法を実施することができる。

0096

本明細書において「診断」とは、被験体における疾患、障害、状態などに関連する種々のパラメータを同定し、そのような疾患、障害、状態の現状または未来を判定することをいう。本発明の方法、装置、システムを用いることによって、体内の状態を調べることができ、そのような情報を用いて、被験体における疾患、障害、状態、投与すべき処置または予防のための処方物または方法などの種々のパラメータを選定することができる。本明細書において、狭義には、「診断」は、現状を診断することをいうが、広義には「予測診断」「事前診断」等を含む。早期の診断は「早期診断」ということもある。

0097

本明細書において特に、「予測診断」または「事前診断」とは、交換可能に使用され、sRAGE、AGEsを認識することができる分子等を用いて、糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経症等の糖尿病合併症等について言及する場合、糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経症等の糖尿病合併症等の発症前の段階を検出することをいい、将来の発症リスクを判定すること、糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経症等の糖尿病合併症等の予防を目的として糖尿病に罹患するおそれの有無を判定することを含む。本発明の方法、キット、組成物、検出剤、診断剤、システム等を用いることによって、体内の状態を事前に調べることができ、そのような情報を用いて、被験体における疾患、障害、状態、投与すべき処置または予防のための処方物または方法などの種々のパラメータを選定することができる。本明細書では、「予測診断」または「事前診断」は、他の従来の方法では診断できない段階での診断をも包含することから、「早期診断」の概念と一部重なって用いられる。

0098

本発明の診断方法は、原則として、身体から出たものを利用することができることから、医師などの医療従事者の手を離れて実施することができることから、産業上有用である。本明細書において、医師などの医療従事者の手を離れて実施することができることを明確にするために、特に「予測診断、事前診断もしくは診断」を「支援」すると称することがある。

0099

本明細書において使用される場合、用語「検出剤」とは、広義には、目的の物質(例えば、変性LDL、AGEsなど)を検出できるあらゆる因子をいう。

0100

本明細書において使用される場合、用語「診断剤」とは、広義には、目的の状態(例えば、疾患など)を診断できるあらゆる因子をいう。

0101

本明細書において「治療」とは、ある疾患または障害について、そのような状態になった場合に、そのような疾患または障害の悪化を防止、好ましくは、現状維持、より好ましくは、軽減、さらに好ましくは消退させることをいう。

0102

本明細書において「予防」とは、ある疾患または障害について、そのような状態になる前に、そのような状態にならないようにすることをいう。本発明の予測診断または事前診断を行うことによって、糖尿血管障害、非アルコール性脂肪肝炎、アルツハイマー型認知症、などのAGEsに関連する疾患、の予防をするか、あるいは予防のための対策を講じることができる。本発明の予測診断または事前診断を行うことによって、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経症等の糖尿病合併症等の予防をするか、あるいは予防のための対策を講じることもできる。

0103

(好ましい実施形態の説明)
以下に好ましい実施形態の説明を記載するが、この実施形態は本発明の例示であり、本発明の範囲はそのような好ましい実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者はまた、以下のような好ましい実施例を参考にして、本発明の範囲内にある改変、変更などを容易に行うことができることが理解されるべきである。これらの実施形態について、当業者は適宜、任意の実施形態を組み合わせ得る。

0104

<アッセイ系1:捕捉用AGEsが基板に固定化されている系>
本発明者らは、AGEsのsRAGEとの反応性が、AGEsの種類によって異なることを見出した。この知見に基づき、発明者らは、捕捉用物質として反応性が低いものAGEs(捕捉用AGEs(競合用AGEsともいう))と、試料中のより反応性が高いAGEs(刺激性AGEs)とを競合的にsRAGEに結合させることによって、試料中の刺激性のAGEsを検出することができるアッセイ系を構築した。より反応性が高い刺激性AGEsは、sRAGEに強く結合し、捕捉用AGEsの結合量が低下するため、捕捉用AGEsからのまたは捕捉用AGEsと結合したsRAGEからのシグナル(例えば、発色)が低下し、この低下の度合いから、試料中の刺激性AGEsの量を算出することが可能である。シグナルとしては、比色、蛍光、化学発光、ラジオアイソトープなどが挙げられる。AGEsの量の算出は、あらかじめ検量線を作成しておき、吸光度(OD値)を濃度に変換することで算出することが可能である。

0105

したがって、一態様において、本発明は、試料中の刺激性の終末糖化産物(AGEs)を検出するためのキットであって、該キットは、捕捉用AGEsが固定化された基板と、配列番号3と少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む終末糖化産物受容体(sRAGE)とを含む、キットを提供する。図14に示されるように、捕捉用AGEsを基板に固定化し、標識(例えば、ビオチン化)されたsRAGEを検出することで、捕捉用AGEsとsRAGEとの結合を検出することができる。この系では、図4のようなsRAGEを基板に固定化した系で使用される競合用AGEsに対する一次抗体および一次抗体を認識する二次抗体を使用する必要がなく有利であるが、いずれの場合でも、検出能力に大きな差はなく、同様に使用することができる。sRAGEを基板に固定化した系については、<アッセイ系:sRAGEが基板に固定化されている系>を参照のこと。

0106

また、基板に捕捉用AGEsを固定化した場合、sRAGEによって認識される部位が表面に現れず、結合が阻害される可能性が懸念されるが、予想外にも、基板に固定化されたAGEsとsRAGEとの結合は阻害されることはなかった。

0107

捕捉用AGEsは、任意のAGEsを使用することができる。例えば、フルクトース(F)−AGEsは、G−AGEsよりもsRAGEに対する結合能が高いため、F−AGEsを捕捉用AGEsとして使用した場合、G−AGEsを除く、F−AGEsよりもsRAGEに対する結合能が高い刺激性AGEsを検出することが可能である。このように測定対象に応じて、捕捉用AGEsを適宜選択することができる。刺激性AGEsを網羅的に検出する系では、好ましくは、捕捉用AGEsは、グルコース(G)−AGEsまたはフルクトース(F)−AGEsであり、より好ましくは、グルコース(G)−AGEsである。

0108

捕捉用AGEsの基板への固定化は、当該分野で周知の技術に基づいて行うことが可能であるが、炭酸−重炭酸緩衝液(炭酸ナトリウム重炭酸ナトリウム緩衝液)を使用して基板に固定化されるのが好ましい。固定化に使用され得る炭酸−重炭酸緩衝液は、約9.2〜約10.6の範囲内のpHを有し、例えば、約9.2〜約9.6、約9.2〜約9.8、約9.2〜約10.0、約9.2〜約10.2、約9.2〜約10.4、約9.4〜約9.6、約9.4〜約9.8、約9.4〜約10.0、約9.4〜約10.2、約9.4〜約10.4、約9.6〜約9.8、約9.6〜約10.0、約9.6〜約10.2、または約9.6〜約10.4の範囲内のpHを有し、好ましくは、約9.4〜約9.8の範囲内のpHを有し、より好ましくは、約9.6のpHを有し得る。

0109

前記刺激性AGEsとしては、グリオキサール(GO)−AGEs、グリコールアルデヒド(Glycol)−AGEs、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、3−デオキシグルコソン(3−DG)−AGEs、メチルグリオキサール(MGO)−AGEs、アセトアルデヒド(AA)−AGEs、リボース−AGEs、キシロース−AGEs、アラビノース−AGEs、フルクトース(F)−AGEs、ソルビトール−AGEs、ガラクトーズーAGEsまたはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。特に、本発明のアッセイ系では、グリセルアルデヒド(Glycer)−AGEs、およびグリコールアルデヒド(Glycol)−AGEsを高感度で検出することが可能である。

0110

いくつかの実施形態では、前記捕捉用AGEsは、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、オボアルブミン、コラーゲン、クリスタリン、チューブリン、リゾチーム、RNase、カルモジュリン、ヘモグロビン、筋繊維タンパク質、アンチトロンビンIII、フェリチン、フィブリン、フィブリノーゲン、高密度リポタンパク質(HDL)、免疫グロブリン、低密度リポタンパク質(LDL)、インシュリン、ケラチン、オステオカルシン、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルドースレダクターゼ、カテプシンB、スパーオキシドジスムダーゼ、ミオシンATPase、赤血球スペクトリン、またはミエリンのAGEsであり得る。好ましい実施形態では、捕捉用AGEsは、アルブミンのAGEsである。

0111

上記捕捉用AGEsが基板に固定化されている態様において、本発明のキットは、捕捉用AGEsに結合したsRAGEを検出するための検出剤をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、sRAGEは、ビオチン化されていてもよい。検出剤としては、ストレプトアビジン、抗sRAGE抗体などが挙げられる。その他の実施形態において、sRAGEは、mycタグ、flagタグ、HAタグなどが付加されていてもよく、抗myc抗体、抗flag抗体、抗HA抗体などの検出剤を使用して検出することもできる。

0112

本発明のアッセイ系は、非常に幅広濃度域の刺激性AGEsを検出することができ、約100ng/ml以上、例えば約100ng/ml〜約100、000ng/mlの濃度域、特に約10ng/ml以上、例えば約10ng/ml〜約10,000ng/mlの濃度域の試料中の刺激性AGEsを検出することが可能である。高濃度の試料は、希釈してから測定すればよく、測定濃度域の上限は上記に限定されない。

0113

本発明のキットにおいて使用され得るsRAGEは、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有し得るが、AGEsを認識する能力を有するものである限り、配列番号3と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を有していてもよい。いくつかの実施形態では、sRAGEは、当該分野で周知の発現系、例えば、大腸菌、酵母昆虫細胞動物細胞等により発現され得る。好ましい実施形態では、本発明のキットは、カイコ発現系を使用したカイコ型sRAGEを含み得る。カイコ発現系を用いることで、カイコ型の糖鎖修飾がされ、安定性の高いsRAGEを生成することができる。カイコ型sRAGEの製造方法については、<sRAGE(カイコ型)およびその製造法>で詳述する。カイコ型の糖鎖修飾による安定化の他にsRAGEを安定化する方法としては、糖、グリセロール等の安定化剤を添加するなど当該分野で周知の手法を使用することができる。

0114

<アッセイ系2:sRAGEが基板に固定化されている系>
別の態様において、本発明は、sRAGEが基板に固定化された系も提供する。より具体的には、本発明は、試料中の刺激性の終末糖化産物(AGEs)を検出するためのキットであって、該キットは、競合用AGEsと、配列番号3と少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む終末糖化産物受容体(sRAGE)が固定化されている基板とを含む、キットを提供する。この態様においては、sRAGEと結合した競合用AGEsに特異的な検出剤を用いて検出が行われる。いくつかの実施形態では、本発明のキットは、競合用AGEsに特異的に結合する検出剤をさらに含み得る。検出剤は、使用したAGEsの種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、競合用AGEsとして、ウシ血清アルブミン(BSA)を使用した場合、抗アルブミン抗体を検出剤として使用することができる。その他の種々の実施形態は、上記<アッセイ系1:捕捉用AGEsが基板に固定化されている系>、その他に記載の実施形態を適宜使用し得る。

0115

<刺激性AGEs検出用基板
さらなる態様において、本発明は、試料中の刺激性の終末糖化産物(AGEs)を検出するため基板であって、捕捉用AGEsが固定化されている、基板を提供する。固定化に関する種々の実施形態は、上記<アッセイ系1:捕捉用AGEsが基板に固定化されている系>、その他に記載の実施形態を適宜使用し得る。

0116

<刺激性AGEsを検出する方法>
さらなる態様において、本発明は、試料中の刺激性の終末糖化産物(AGEs)を検出する方法を提供する。上記アッセイ系1を使用する態様においては、本方法は、捕捉用AGEsが固定化された基板に、刺激性AGEsを含むことが予想される試料と、本明細書に記載のsRAGEとを接触させる工程と、sRAGEの検出剤を添加する工程とを含み得る。本方法は、吸光度を測定する工程と、吸光度を試料中の刺激性AGEsの濃度に変換する工程とをさらに含んでもよい。刺激性AGEsの濃度への変換は、検量線を用いて行うことができる。その他の種々の実施形態は、上記<アッセイ系1:捕捉用AGEsが基板に固定化されている系>、その他に記載の実施形態を適宜使用し得る。

0117

1つの実施形態において、本発明の検出方法において用いられる固相としては、固定される分子、例えば、AGEsまたはsRAGEが固定されうる限り任意のものを利用することができる。1つの実施形態では、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)のような機構を使用する場合、一般に、固相(基材)としては、マイクロタイタープレートが使用される。基板の材料としては、共有結合かまたは非共有結合のいずれかで、本発明において使用される生体分子に結合する特性を有するかまたはそのような特性を有するように誘導体化され得る、任意の固体材料が挙げられる。その材料としては、例えば、ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン等の有機材料を用いることができる。

0118

本明細書において使用される場合、用語「固相」とは、本明細書中において「基板」および「基材」と互換的に使用され、本発明のデバイスが構築される材料をいう。AGEsまたはsRAGEのような分子が固定され得る平面状の支持体をいう。本発明において表面プラズモン共鳴原理を用いて検出する場合、固相は、金、銀またはアルミニウムを含む金属薄膜を片面に持つガラス基板の基材であることが好ましい。本発明において酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)のような機構を使用する場合、一般に、固相(基材)としては、マイクロタイタープレートが使用される。基板の材料としては、共有結合かまたは非共有結合のいずれかで、本発明において使用される生体分子に結合する特性を有するかまたはそのような特性を有するように誘導体化され得る、任意の固体材料が挙げられる。適切な基材としては、ビーズ、金粒子、半導体ナノ粒子(例えば、CdTeナノ粒子CdSeナノ粒子、GaNナノ粒子、ZnSナノ粒子InPナノ粒子など)、シリカナノ粒子ポリスチレンナノ粒子アクリル系ナノ粒子、ラテックスナノ粒子、カーボンナノ粒子、プレート(例えば、マイクロタイタープレート)、試験管、チップ、磁性粒子、膜、繊維、スライドガラス、金属薄膜、フィルター、チューブ、ボール、ダイアモンド様炭素被膜ステンレスなどが挙げられるが、これらに限定されない。

0119

固相および基板として使用するためのそのような材料としては、固体表面を形成し得る任意の材料が使用され得るが、例えば、ガラス、シリカ、シリコーン、セラミック、二酸化珪素、プラスチック、金属(合金も含まれる)、天然および合成のポリマー(例えば、ポリスチレン、セルロース、アミロース、キトサン、デキストラン、およびナイロン)以下が挙げられるがそれらに限定されない。基板は、複数の異なる材料の層から形成されていてもよい。例えば、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化珪素、酸化珪素、窒化珪素などの無機絶縁材料を使用できる。また、ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン等の有機材料を用いることができる。本発明においてはまた、ナイロン膜、ニトロセルロース膜、PVDF膜など、ブロッティングに使用される膜を用いることもできる。高密度のものを解析する場合は、ガラスなど硬度のあるものを材料として使用することが好ましい。基板として好ましい材質は、測定機器などの種々のパラメータによって変動し、当業者は、上述のような種々の材料から適切なものを適宜選択することができる。

0120

本明細書においてポリヌクレオチドまたはポリペプチド発現の「検出」または「定量」は、例えば、mRNAの測定および免疫学的測定方法を含む適切な方法を用いて達成され得る。分子生物学的測定方法としては、例えば、ノーザンブロット法ドットブロット法またはPCR法などが例示される。免疫学的測定方法としては、例えば、方法としては、マイクロタイタープレートを用いるELISA法RIA法、蛍光抗体法ウェスタンブロット法免疫組織染色法などが例示される。また、定量方法としては、ELISA法またはRIA法などが例示される。アレイ(例えば、DNAアレイプロテインアレイ)を用いた遺伝子解析方法によっても行われ得る。DNAアレイについては、(秀潤社編、細胞工学別冊DNAマイクロアレイ最新PCR法」)に広く概説されている。プロテインアレイについては、NatGenet.2002 Dec;32 Suppl:526−32に詳述されている。遺伝子発現分析法としては、上述に加えて、RTPCR、RACE法、SSCP法、免疫沈降法、two−hybridシステム、インビトロ翻訳などが挙げられるがそれらに限定されない。そのようなさらなる分析方法は、例えば、ゲノム解析実験法・中祐輔ラボマニュアル編集・中村祐輔土社(2002)などに記載されており、本明細書においてそれらの記載はすべて参考として援用される。

0121

本明細書において「検索」とは、電子的にまたは生物学的あるいは他の方法により、ある核酸塩基配列を利用して、特定の機能および/または性質を有する他の核酸塩基配列を見出すことをいう。電子的な検索としては、BLAST(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990))、FASTA(Pearson & Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 85:2444−2448(1988))、Smith and Waterman法(Smith and Waterman,J.Mol.Biol.147:195−197(1981))、およびNeedleman and Wunsch法(Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443−453(1970))などが挙げられるがそれらに限定されない。生物学的な検索としては、ストリンジェントハイブリダイゼーション、ゲノムDNAをナイロンメンブレン等に貼り付けたマクロアレイまたはガラス板に貼り付けたマイクロアレイ(マイクロアレイアッセイ)、PCRおよびin situハイブリダイゼーションなどが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書において、本発明において使用される遺伝子には、このような電子的検索、生物学的検索によって同定された対応遺伝子も含まれるべきであることが意図される。

0122

本明細書において「キット」とは、通常2つ以上の区画に分けて、提供されるべき部分(例えば、抗体、標識など)が提供されるユニットをいう。混合されて提供されるべきでなく、使用直前に混合して使用することが好ましいような組成物の提供を目的とするときに、このキットの形態は好ましい。そのようなキットは、好ましくは、提供される部分(例えば、試薬をどのように処理すべきかを記載する指示書または説明書を備えていることが有利である。本明細書においてキットが試薬キットとして使用される場合、キットには、通常、抗体の使い方などを記載した指示書などが含まれる。

0123

本明細書において「指示書」は、本発明を使用する方法を医師または他の使用者に対する説明を記載したものである。この指示書は、本発明の検出方法、診断薬の使い方、または医薬などを投与することを指示する文言が記載されている。また、指示書には、投与部位として、骨格筋に投与(例えば、注射などによる)することを指示する文言が記載されていてもよい。この指示書は、本発明が実施される国の監督官庁(例えば、日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局FDA)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。指示書は、いわゆる添付文書(package insert)であり、通常は紙媒体で提供されるが、それに限定されず、例えば、電子媒体(例えば、インターネットで提供されるホームページ、電子メール)のような形態でも提供され得る。

0124

本明細書において「生体内」または「インビボ」(in vivo)とは、生体の内部をいう。特定の文脈において、「生体内」は、目的とする物質が配置されるべき位置をいう。

0125

本明細書において「インビトロ」とは、種々の研究目的のために生体の一部分が「生体外に」(例えば、試験管内に)摘出または遊離されている状態をいう。インビボと対照をなす用語である。

0126

本明細書において「エキソビボ」とは、ある処置について、体外で行われるがその後体内に戻されることが意図される場合、一連の動作をエキソビボという。

0127

本発明の体外診断薬等の医薬等としての処方手順は、当該分野において公知であり、例えば、日本薬局方、米国薬局方、他の国の薬局方などに記載されている。従って、当業者は、本明細書の記載があれば、過度な実験を行うことなく、使用すべき量を決定することができる。

0128

<sRAGE(カイコ型)およびその製造法>
1つの局面において、本発明は、カイコ型糖鎖を有する、配列番号3に示すアミノ酸配列またはその改変体を含む再構築終末糖化産物受容体(sRAGE)を提供する。

0129

好ましい実施形態では、本発明において前記カイコ型糖鎖は、トリマンノシルコア、複合型糖鎖、オリゴマンノース型糖鎖またはハイブリッド型糖鎖の糖鎖を含む。

0130

1つの実施形態では、前記カイコ型糖鎖は、トリマンノシルコア(アスパラギン残基からGlcNAc−β1,4−GlcNAc−β1,4−Man(−α1,6−Man)−α1,3−Man)の構造に加え、1分子あたりGlcNAc0〜2分子およびMan0〜4分子のうちの0〜4分子が結合した糖鎖を含む。別の実施形態では、本発明のRAGEの前記カイコ型糖鎖は、トリマンノシルコア(アスパラギン残基からGlcNAc−β1,4−GlcNAc−β1,4−Man(−α1,6−Man)−α1,3−Man)の構造に加え、2分子あたりGlcNAc0〜4分子およびMan0〜8分子のうちの0〜8分子が結合した糖鎖を含む。別の実施形態では、sRAGEのカイコ型糖鎖としては、上記(1)〜(8)([化1]〜[化8])の構造を有する糖鎖が挙げられるが、これらに限定されない。

0131

1つの実施形態では、カイコ型sRAGEの糖鎖の組成比が、オリゴマンノース型が90%以上を占め、複合型およびハイブリッド型が5%未満である。カイコ型sRAGEの糖組成は、(Man)5(GlcNAc)2は、46%〜56%であり、(Man)7(GlcNAc)2は、23%〜33%であり、(Man)6(GlcNAc)2は、7%〜15%であり、(Man)3(GlcNAc)2は、1%〜5%であり、(Man)3(GlcNAc)3は、2%〜8%であり、(Man)4(GlcNAc)3は、1%〜5%である。好ましい実施形態において、糖組成は、(Man)5(GlcNAc)2は、48%〜54%であり、(Man)7(GlcNAc)2は、25%〜31%であり、(Man)6(GlcNAc)2は、9%〜13%であり、(Man)3(GlcNAc)2は、2%〜4%であり、(Man)3(GlcNAc)3は、3%〜6%であり、(Man)4(GlcNAc)3は、2%〜4%である。より好ましい実施形態において、糖組成は、(Man)5(GlcNAc)2は、51.4%であり、(Man)7(GlcNAc)2は、27.5%であり、(Man)6(GlcNAc)2は、10.8%であり、(Man)3(GlcNAc)2は、2.8%であり、(Man)3(GlcNAc)3は、4.6%であり、(Man)4(GlcNAc)3は、2.5%である。これらの詳細な情報は、本明細書において参考として援用される、WO2016/051808の図54等を参照することができる。

0132

上記糖鎖または上記糖鎖にさらなる糖が付加した糖鎖の付加を受けたsRAGEは、安定性に優れ、かつ多様な構造のAGEsに対する認識能を有する。

0133

1つの実施形態では、前記カイコ型糖鎖は、配列番号3の3位のアスパラギンおよび/または59位のアスパラギンに結合する。

0134

別の実施形態では、本発明のsRAGEは、ビオチン化されたものである。ビオチン化を行うことによって、バイオアッセイにおいて、高感度で測定結果を得ることができたり、ストレプトアビジンを介してビーズや膜上に一定の方向で高密度の集積が可能になる。

0135

1つの実施形態において、本発明のsRAGEは、終末期糖化生成物(AGEs)を検出するための組成物として用いることができる。したがって、本発明は、本発明のカイコ型糖鎖を含むsRAGEを含む、AGEsを検出するための組成物を提供する。

0136

理論に束縛されることを望まないが、本発明のsRAGEを用いることによって、分析の対象となるAGEsを従来の1割程度からほぼすべてに該当するレベルにまで引き上げることができ、より正確な診断をできるようになったという点で顕著な効果を奏するものである。また、従来の再構築RAGE(sRAGE)による検出方法でも、広範なAGEsを検出可能であるが、sRAGEは一ヶ月半程度で断片化し、認識能を失うなどの実用化上の問題があったが、本発明のsRAGEを用いることによって、これをも克服し得たという点でも顕著である。本発明の改良型sRAGEは、糖鎖付加をうけており、非常に安定な分子であり、4℃での保存で長期にわたり、約1年以上認識活性を維持していた。また、本発明の改良型sRAGEにより微量なAGEsの濃縮、多様な構造のAGEsなどの検出が可能であった。

0137

したがって、別の局面において、本発明はまた、sRAGEの製造方法であって、A)カイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物に、sRAGEをコードする核酸分子を発現可能に組み込む工程;B)該遺伝子が発現する条件下に該カイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物を配置し、該sRAGEを発現させる工程;およびC)該sRAGEを得る工程を包含する、方法を提供する。

0138

本発明は、カイコで製造されるものであるが、カイコ型糖鎖を付与することができる限り、どのような生物を用いてもよく、カイコと同様の糖鎖を付与する任意の生物が使用されることができることが理解される。

0139

1つの実施形態では、前記発現は、前記カイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物の中部絹糸腺において行われる。

0140

本発明の好ましい実施形態では、前記A)工程は、前記sRAGEをコードする核酸分子を含む発現ベクターマイクロインジェクションすることで達成される。もちろん、マイクロインジェクション以外でも、本明細書において説明し、あるいは他の公知の任意の手法で発現ベクターを導入することができることが理解される。

0141

1つの実施形態では、前記核酸分子は、配列番号2に示す核酸配列またはその改変体を含む。

0142

1つの実施形態では、本発明のタンパク質の製造方法では、中部絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードする核酸配列のプロモーター、および該プロモーターによって直接的または間接的に発現制御される任意のタンパク質をコードする核酸配列を有するトランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物であって、該任意のタンパク質を絹糸腺で発現するあるいは繭糸に分泌するトランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物を製造する工程;および(b)製造されたトランスジェニックカイコカイコと同様の糖鎖を付与する生物から、該任意のタンパク質を回収する工程によって達成されてもよい。

0143

1つの例示的な実施形態では、本発明のカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物を生産する工程では、まず、中部絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードする核酸配列のプロモーター、および該プロモーターによって直接的または間接的に発現制御される任意のタンパク質をコードする核酸配列を有するカイコ卵を生産する。次いで、製造されたカイコ卵から生じたカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物の中から、任意のタンパク質を発現するトランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物を選択することによって実現することができる。

0144

1つの例示的な実施形態では、トランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物を選択するには、例えば、選択マーカーを用いて行うことができる。本発明における選択マーカーとしては、当業者において一般的に使用されるマーカー、例えば、CFP、GFP、YFP、DsRed等の蛍光タンパク質を使用することができる。これらのマーカーを用いることにより、実体蛍光顕微鏡で観察するだけでトランスジェニックカイコを検出することができる。また、蛍光色が異なるので、複数のマーカーを同時に使用することもできる。

0145

さらに別の実施形態では、製造されたトランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物から、任意のタンパク質を回収する方法としては、例えば、トランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物が吐糸した繭から、任意のタンパク質を回収する方法が挙げられる。回収方法としては、当業者に周知の方法、例えば、繭を60%LiSCNで溶かし、20mM Tris、5M ureaで透析することによって回収する方法(Inoue,S.,Tsuda,H.,Tanaka,H.,Magoshi,Y and Mizuno(2001)Sericologia 4,157−163.)を使用することができる。また、その他のタンパク質回収法としては、例えば界面活性剤を用いる方法や水溶液で溶かす方法等が可能である。

0146

また、中部絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードする核酸配列のプロモーター、および該プロモーターによって間接的に発現制御される任意のタンパク質をコードする核酸配列を有するカイコ卵またはカイコと同様の糖鎖を付与する生物のとしては、例えば、(i)中部絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードする核酸配列のプロモーターの下流に、転写制御因子をコードする核酸配列が機能的に結合した核酸配列、および(ii)該転写制御因子の標的プロモーターの下流に、任意のタンパク質をコードする核酸配列が作動可能に連結される核酸配列を有するカイコ卵またはカイコと同様の糖鎖を付与する生物の卵が挙げられる。

0147

中部絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードする核酸配列のプロモーター、および該プロモーターによって直接的に発現制御される任意のタンパク質をコードする核酸配列を有するカイコ卵またはカイコと同様の糖鎖を付与する生物の卵としては、例えば、中部絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードする核酸配列のプロモーターの下流に、任意のタンパク質をコードする核酸配列が作動可能に連結される核酸配列を有するカイコ卵またはカイコと同様の糖鎖を付与する生物の卵が挙げられる。このようなカイコ卵は、中部絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードする核酸配列のプロモーターの下流に、任意のタンパク質をコードする核酸配列が作動可能に連結される核酸配列を卵に導入することで製造できる。

0148

本明細書において「作動可能に連結される」とは、目的のタンパク質の発現が実現されるように連結されていることをいい、代表的に、プロモーターに転写制御因子が結合することにより、プロモーターの下流に存在する核酸配列の発現が誘導されるように、該プロモーターと該核酸配列とが結合していることをいう。転写制御因子と標的配列の組み合わせとしては、GAL4とUAS、TetRとTREなどが挙げられる。GAL4とUAS、またはTetRとTREを用いることにより、目的とする遺伝子の発現部位や時期、量を正確に制御でき、多くの組織で容易に発現させることができる。また、発現させる遺伝子が致死性の遺伝子でも系統作出が可能である。本発明で使用される核酸配列は、ハイブリダイゼーション技術やポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術、site-directedmutagenesis法、DNA合成等の方法により調製することが可能である。調製された核酸配列がプロモーター活性を有するか否かは、当業者においてはレポーター遺伝子を用いた周知のレポーターアッセイ等により検討することが可能である。使用され得るレポーター遺伝子は本明細書の別の箇所において説明されており、任意の公知のものを使用することができる。

0149

本発明の糖タンパク質としては、絹糸中で不可逆的な変性が生じないタンパク質であることが好ましい。また、このようなタンパク質としては、絹糸腺細胞から絹糸腺内腔への分泌シグナルを有さないタンパク質を例示することができる。

0150

カイコ卵またはカイコと同様の糖鎖を付与する生物の卵へのDNAの導入は、例えば、発生初期卵へ、トランスポゾンをベクターとして注射する方法(Tamura, T., Thibert, C., Royer ,C., Kanda, T., Abraham, E., Kamba, M., Komoto, N., Thomas, J.-L., Mauchamp, B., Chavancy, G., Shirk, P., Fraser, M., Prudhomme, J.-C. and Couble, P., 2000, Nature Biotechnology 18, 81-84)に従って行うことができる。

0151

また、例えば、トランスポゾンの逆位末端反復配列(Handler AM, McCombs SD, Fraser MJ, Saul SH.(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95(13):7520-5)の間に上記DNAを挿入したベクターとともに、トランスポゾン転移酵素をコードする核酸配列を有するベクター(ヘルパーベクター)をカイコ卵またはカイコと同様の糖鎖を付与する生物の卵に導入することもできる。ヘルパーベクターとしては、pHA3PIG (Tamura, T., Thibert, C., Royer ,C., Kanda, T., Abraham, E., Kamba, M., Komoto, N., Thomas, J.-L., Mauchamp, B., Chavancy, G., Shirk, P., Fraser, M., Prudhomme, J.-C. and Couble, P., 2000, Nature Biotechnology 18, 81-84)が挙げられるが、これに限定されるものではない。

0152

本発明におけるトランスポゾンとしては、piggyBacが好ましいが、これに限定されるものではなく、マリーナ(mariner)、ミノス(minos)等を用いることもできる(Shimizu, K., Kamba, M., Sonobe, H., Kanda, T., Klinakis, A. G., Savakis, C. and Tamura, T. (2000) Insect Mol. Biol., 9, 277-281;Wang W, Swevers L, Iatrou K.(2000) Insect Mol Biol 9(2):145-55)。

0153

また、本発明では、バキュロウイルスベクターを使用することによりトランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物を作出することも可能である(Yamao, M., N. Katayama, H. Nakazawa, M. Yamakawa, Y. Hayashi et al., 1999, Genes Dev 13: 511-516)。

0154

また、本発明におけるカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物としては、特に制限はないが、また、目的の糖タンパク質の大量生産のためには、フィブロインタンパク質などの絹糸を構成するタンパク質をコードする遺伝子領域(コード領域、プロモーター領域、非翻訳領域を含む)の変異によって、絹糸を構成するタンパク質の生産が抑制されているカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物を用いることが好ましい。このようなカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物としては、絹糸を構成するタンパク質をコードする遺伝子領域の変異によって絹糸を構成するタンパク質の生産が抑制されている変異系統のカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物、好ましくは該変異によって絹糸を構成するタンパク質の生産が抑制されている裸蛹系統のカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物、より好ましくはNd-sDが挙げられるが、絹糸を構成するタンパク質の生産抑制の原因が、人為的か否か、また、自然界において生じた変異に依存するか否かに関わらず、絹糸を構成するタンパク質の生産が抑制されているカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物であればよい。このようなカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物は、セリシンカイコとして当業者には周知のカイコである。セリシンカイコを利用することによって、染色体に導入された任意の遺伝子から合成されるタンパク質の精製がさらに容易になる。

0155

また、本発明におけるカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物としては、非休眠卵を産下する性質を有するカイコだけでなく、休眠卵を産下する性質を有するカイコ(例えば実用品種であるぐんま、200、月、錦、鐘和等)も使用することができる。ここで、休眠卵とは産卵後胚発生が一時的に停止する卵を言い、非休眠卵とは産卵後胚発生が停止せず、幼虫が孵化する卵を言う。

0156

休眠卵を産下する性質を有するカイコを用いる場合は、非休眠卵を産下させ、該非休眠卵にDNAを導入する。非休眠卵を産下させる方法としては、例えばぐんまにおいては、休眠卵を15℃〜21℃で培養することで該休眠卵から生じた成虫に非休眠卵を産下させる方法、好ましくは休眠卵を16℃〜20℃で培養することで該休眠卵から生じた成虫に非休眠卵を産下させる方法、より好ましくは休眠卵を18℃で培養することで該休眠卵から生じた成虫に非休眠卵を産下させる方法、最も好ましくは休眠卵を18℃で培養することで該休眠卵から生じた幼虫を全明で飼育し、生育した成虫に非休眠卵を産下させる方法を挙げることができる。また、200においては、休眠卵を15℃〜21℃で培養することで該休眠卵から生じた成虫に非休眠卵を産下させる方法、好ましくは休眠卵を16℃〜20℃で培養することで該休眠卵から生じた成虫に非休眠卵を産下させる方法、より好ましくは休眠卵を18℃で培養することで該休眠卵から生じた成虫に非休眠卵を産下させる方法、または休眠卵から生じた幼虫を全明で飼育し、生育した成虫に非休眠卵を産下させる方法、最も好ましくは休眠卵を25℃で培養することで該休眠卵から生じた幼虫を全明で飼育し、生育した成虫に非休眠卵を産下させる方法が挙げられる。卵の培養は、例えば、18℃〜25℃のインキュベーター、または定温の部屋に入れることによって行うことができ、幼虫の飼育は20℃〜29℃の飼育室人工飼料を用いて行うことができる。

0157

本発明において、日長条件とは卵の培養、または幼虫の飼育中における一日毎の明暗サイクルを意味する。このような条件としては明条件と暗条件があり、特に全明条件とは暗の無い24時間明の条件を意味する。日長条件は、品種に応じて変化させることができる。本発明の上記休眠卵の培養は、当業者においては、一般的なカイコ卵の培養法に従って行うことができる。例えば、「文部省(1978)蚕種製造.pp193、実教出版社、東京」に記載の方法に従って培養を行う。また、本発明におけるカイコ幼虫の飼育は、当業者においては、周知の方法によって行うことができる。例えば、「文部省(1978)蚕種製造.pp193、実教出版社、東京」に記載の方法に従って飼育を行う。

0158

本発明において、産卵された卵が非休眠卵であるか否かは、卵の色で判定することができる。一般に、休眠卵は濃い茶褐色に着色し、非休眠卵は黄白色であることが知られている。よって、本発明においては、濃い茶褐色ではないこと、より好ましくは黄白色であることをもって産卵された卵が非休眠卵であると判定する。

0159

別の局面では、本発明は、sRAGEをコードする核酸分子を発現可能に組み込んだカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物を提供する。

0160

この局面の実施形態では、本発明で用いられる前記核酸分子は、配列番号2に示す核酸配列またはその改変体を含む。

0161

1つの実施形態では、本発明のカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物は、中部絹糸腺特異的に発現するsRAGEをコードする核酸配列のプロモーター、および該プロモーターによって直接的または間接的に発現制御される任意のタンパク質をコードする核酸配列を有するトランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物であって、該sRAGEを絹糸腺で発現するあるいは繭糸に分泌するトランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物を提供する。本発明のトランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物の状態に特に制限はなく、例えば卵の状態であってもよい。本発明のトランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物を使用することで、sRAGEを大量に生産することができる。

0162

本発明のトランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物としては、好ましくは、(i)中部絹糸腺特異的に発現するsRAGEをコードする核酸配列のプロモーターの下流に、作動可能に連結される転写制御因子をコードする核酸配列、および(ii)該転写制御因子の標的プロモーターの下流に、作動可能に連結されるsRAGEをコードする核酸配列を有するトランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物、または中部絹糸腺特異的に発現するsRAGEをコードする核酸配列のプロモーターの下流に、sRAGEをコードする核酸配列が作動可能に連結される核酸配列を有するトランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物である。

0163

他の実施形態において、sRAGEは、後部絹糸腺(セリシンの代わりにフィブロインを産生する)またはマユから抽出され得る。 さらに、1つの別の実施形態では、本発明は、本発明のトランスジェニックカイコまたはカイコと同様の糖鎖を付与する生物(絹糸腺または繭を生産するもの)の絹糸腺または繭を提供する。このような絹糸腺または繭は、sRAGEを大量に含有する絹糸腺または繭として有用である。

0164

また、本発明は、本発明の方法に用いるための核酸配列または核酸分子(例えば、DNA)を提供する。このような核酸配列または核酸分子としては、(a)セリシンをコードする核酸配列のプロモーターの下流に、作動可能に連結される転写制御因子をコードする核酸配列、(b)該転写制御因子の標的プロモーターの下流に、作動可能に連結される任意のタンパク質をコードする核酸配列、(c)セリシンをコードする核酸配列のプロモーターの下流に、sRAGEをコードする核酸配列が作動可能に連結される核酸配列、などが挙げられ、これらの組み合わせからなるキットとして提供してもよい。また、本発明は、トランスポゾンの逆位末端反復配列の間に、(a)〜(c)の核酸配列を挿入したベクターを提供する。さらに、該ベクターとトランスポゾン転移酵素をコードする核酸配列を有するベクター(ヘルパーベクター)を含むキットを提供する。

0165

<糖鎖の構造>
糖鎖は、糖鎖の結合様式により、アスパラギンと結合する糖鎖(N−グリコシド結合糖鎖という)ならびに、セリン、スレオニンなどと結合する糖鎖(0−グリコシド結合糖鎖という)の2種類に大別される。上述のN−グリコシド結合糖鎖は、様々な構造を有しているが[生物化学実験法23−糖タンパク質糖鎖研究法(学会出版センター)高橋禮子編(1989年)]、いずれの場合も下記に示す基本となる共通のコア構造を有することが好ましい。もっとも、この点は、上述の糖タンパク質が抗体ではない場合にも、同様である。

0166

カイコ型のものでは以下のとおりである(Iizuka et al. FEBSJournal 276(2009)5806−5820)。すなわち、上述の生産方法において、上述のカイコ型糖タンパク質には、下記化学式(1)で示される糖鎖構造(トリマンノシルコアとも呼ばれる。)

0167

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