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技術 応力−ひずみ関係推定方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 澄川智史
出願日 2019年2月21日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-029114
公開日 2020年8月31日 (2ヶ月経過) 公開番号 2020-134348
状態 特許登録済
技術分野 機械的応力負荷による材料の強さの調査
主要キーワード 全ひずみ 最大荷重点 弾性ひずみ 硬化則 デジタル画像相関法 加工鋼 対数ひずみ プレス成形過程
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

金属材料均一伸びを超えた高ひずみ域における応力とひずみの関係を精度良く推定する応力—ひずみ関係推定方法を提供する。

解決手段

本発明に係る応力−ひずみ関係推定方法は、引張試験片に均一伸びを超えたひずみ域まで引張荷重を作用させて該引張荷重とひずみ分布を取得する引張荷重−ひずみ分布取得テップS1と、引張試験片の均一伸びまでの応力とひずみの関係を取得する応力−ひずみ関係取得ステップS3と、2種類の硬化則材料定数を同定する材料定数同定ステップS5と、均一伸びを超えたひずみ域のひずみ分布と、重み係数を用いて前記2種類の硬化則を足し合わせた混合則により求められる相当応力とを用い、引張試験片に作用する引張荷重を推算する引張荷重推算ステップS7と、該推算した引張荷重と前記取得した引張荷重が一致するように前記重み係数の値を決定する重み係数決定ステップS9と、を備えたものである。

概要

背景

近年、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量削減のために、自動車産業では自動車車体の軽量化に関する取り組みを積極的に行っている。一方で、乗員保護の観点から自動車の衝突安全性に対する要求も年々厳しくなっている。
これら自動車車体の軽量化と衝突安全性の向上という相反する要求を両立させるために、自動車部品への高張力鋼板の適用が進んでおり、衝突性能を確保しながら部品薄肉化および部品数の削減が行われている。自動車部品に用いられる鋼板強度レベルは、過去では340MPa級から780MPa級が主流であったが、近年では鉄鋼材料の開発が進み、優れたプレス成形性を有する980MPa級以上の高張力鋼板が適用され始めている。

自動車部品の多くはプレス成形で製造される。プレス成形とは、材料(ブランク)に金型押し付けて挟圧することにより、金型の形状をブランクに転写して材料を加工する方法のことである。
高張力鋼板を用いたプレス成形では、プレス成形過程における割れしわといった成形不良が発生しやすくて大きな問題である。一般的に鋼板の強度が高くなるとプレス成形性は低下するため、強度の低い鋼板と比べ割れやしわの発生頻度は高くなる。そのため、割れやしわを発生させることなくプレス成形するには、金型の修正による試行錯誤を行う必要があり、これには多くの費用と時間がかかってしまうという課題があった。

この課題に対し、ここ最近では、有限要素法(FEMソフトウェアが広く普及し、コンピュータを用いたプレス成形解析により、事前に割れやしわなどの成形不良を予測し、その予測結果を元に部品形状の修正や工法変更などの対策を講じることが可能となった。これらプレス成形解析の他に、衝突解析スプリングバック解析などにおいても、FEMによる塑性加工シミュレーションが実施されている。

金属材料の塑性加工シミュレーションにおいては、当該金属材料の応力−ひずみ関係が必要不可欠である。特に、プレス成形では金属材料は大きな変形を受けるため、高ひずみ域での応力−ひずみ関係が塑性加工シミュレーションの解析精度に大きな影響を及ぼす。

金属材料の応力−ひずみ関係を測定する最も一般的な方法として引張試験がある。引張試験においては、図9に示すような平行部3を有する引張試験片1に引張荷重を作用させて引張変形を与え、引張試験片1における評点間の伸びと引張荷重から応力−ひずみ関係を算出する。図10に、引張試験片1を用いた引張試験で得られる応力−ひずみ関係の一例を示す。金属材料の応力降伏応力(図10中の点A)に達すると塑性変形が開始され、ひずみの進展に伴い金属材料は加工硬化して応力は増加する。そして、点Bで引張荷重は最大となり、その後、引張試験片1にくびれが生じて引張荷重は低下し、破断に至る(図10中の点C)。図10中の点Bでのひずみを均一伸びといい、均一伸びに達するまでは安定した単軸引張変形とみなされ、この領域(図10中の点0(ゼロ)から点Bまでの範囲、均一ひずみ)における応力−ひずみ曲線が有限要素法(FEM)等の塑性加工シミュレーションに用いられてきた。

引張試験により得られる均一伸びは、一般加工鋼で0.20〜0.3、アルミニウム合金で0.15〜0.25である。一方、近年、自動車の骨格部品への適用が進んでいる高張力鋼板は、材料強度が高くなると延性は低下し、590MPa級鋼板では0.14〜0.17程度、980MPa級鋼板では0.07〜0.1程度である。
しかしながら、実際のプレス成形において金属材料が受けるひずみは、上記の引張試験で得られる均一ひずみの範囲を超える。とりわけプレス成形解析における割れ予測においては、金属材料は割れ直前に大きなひずみを受けるため、均一伸びを超えたひずみ域における応力−ひずみ関係(硬化特性)が割れ発生予測精度に大きな影響を及ぼす。
FEMによるプレス成形解析では、均一伸びを超えた高ひずみ域の応力−ひずみ関係を硬化則(材料の硬化挙動を規定する数式モデル)で外挿する手法が一般的である。しかしながら、これは実測値に基づくものではなく、硬化則の種類や材料定数に依存して応力とひずみの関係が大きく変化し得るという問題がある。

そのため、均一伸びを超えた高ひずみ域における応力−ひずみ関係を得るための材料試験として、過去に様々な方法が提案されている。例えば、せん断試験(特許文献1)や、液圧バルジ試験非特許文献1)や圧縮試験(非特許文献2)がある。これらの試験によれば、通常の単軸引張変形よりも大きな変形を試験片に与えることができる。

概要

金属材料の均一伸びを超えた高ひずみ域における応力とひずみの関係を精度良く推定する応力—ひずみ関係推定方法を提供する。本発明に係る応力−ひずみ関係推定方法は、引張試験片に均一伸びを超えたひずみ域まで引張荷重を作用させて該引張荷重とひずみ分布を取得する引張荷重−ひずみ分布取得テップS1と、引張試験片の均一伸びまでの応力とひずみの関係を取得する応力−ひずみ関係取得ステップS3と、2種類の硬化則の材料定数を同定する材料定数同定ステップS5と、均一伸びを超えたひずみ域のひずみ分布と、重み係数を用いて前記2種類の硬化則を足し合わせた混合則により求められる相当応力とを用い、引張試験片に作用する引張荷重を推算する引張荷重推算ステップS7と、該推算した引張荷重と前記取得した引張荷重が一致するように前記重み係数の値を決定する重み係数決定ステップS9と、を備えたものである。

目的

本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、特殊な試験機を用いることなく、金属材料の均一伸びを超えた高ひずみ域における応力−ひずみ関係を高精度に推定することができる応力−ひずみ関係推定方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

金属材料応力とひずみの関係を推定する応力−ひずみ関係推定方法であって、平行部を有する引張試験片引張荷重を作用させて、該引張荷重の作用開始から均一伸びを超えたひずみ域までの引張荷重と前記引張試験片におけるひずみ分布を取得する引張荷重−ひずみ分布取得テップと、該取得した引張荷重とひずみ分布とに基づいて、前記引張試験片の均一伸びまでの応力とひずみの関係を取得する応力−ひずみ関係取得ステップと、応力とひずみの関係を与える2種類の硬化則を選択し、該2種類の硬化則それぞれの材料定数を、前記応力−ひずみ関係取得ステップで取得した応力とひずみの関係に基づいて同定する材料定数同定ステップと、前記引張荷重−ひずみ分布取得ステップで取得した均一伸びを超えたひずみ域におけるひずみ分布と、前記2種類の硬化則を仮の重み係数を用いて足し合わせた混合則により求められる相当応力とを用いて、前記引張試験片に作用する引張荷重を推算する引張荷重推算ステップと、該引張荷重推算ステップにおいて推算した引張荷重と前記引張荷重−ひずみ分布取得ステップにおいて取得した引張荷重とが一致するように、前記混合則の重み係数の値を決定する重み係数決定ステップと、を備え、前記引張荷重推算ステップは、前記引張試験片の引張直角方向の端部においてくびれが発生したくびれ発生部を特定し、該くびれ発生部の所定位置における引張直角方向に沿って前記引張試験片を複数の微小領域に分割し、前記取得した均一伸びを超えたひずみ域におけるひずみ分布に基づいて、各前記微小領域に引張方向及び引張直角方向のひずみを設定し、各前記微小領域に設定した前記引張方向及び前記引張直角方向のひずみと前記混合則により求められる相当応力とを用いて各微小領域の引張方向の応力を算出し、各前記微小領域に設定した前記引張方向及び前記引張直角方向のひずみに基づいて、各前記微小領域の板厚を算出し、各前記微小領域について算出した前記引張方向の応力と前記板厚とから各前記微小領域に作用する引張荷重を算出し、該算出した各前記微小領域に作用する引張荷重を足し合わせて、均一伸びを超えたひずみ域において前記引張試験片に作用する引張荷重を推算する、ことを特徴とする応力−ひずみ関係推定方法。

請求項2

前記引張荷重推算ステップにおける各前記微小領域の前記引張方向の応力は、以下の手順(a)〜(c)に従って算出することを特徴とする請求項1記載の応力−ひずみ関係推定方法。(a)各前記微小領域に設定した引張方向及び引張直角方向のひずみから、引張方向及び引張直角方向それぞれのひずみ増分の比と、引張直角方向及び板厚方向それぞれのひずみ増分の比を算出する。(b)該算出した2つのひずみ増分の比から各前記微小領域における引張方向及び引張直角方向の応力比を算出する。(c)該算出した応力比と、各前記微小領域に設定したひずみから算出される相当ひずみと、前記混合則により求められる相当応力とに基づいて、各前記微小領域の引張方向の応力を算出する。

技術分野

0001

本発明は、応力−ひずみ関係推定方法に関し、特に、金属材料均一伸びを超えた高ひずみ域における応力とひずみの関係を精度良く推定することができる応力−ひずみ関係推定方法に関する。

背景技術

0002

近年、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量削減のために、自動車産業では自動車車体の軽量化に関する取り組みを積極的に行っている。一方で、乗員保護の観点から自動車の衝突安全性に対する要求も年々厳しくなっている。
これら自動車車体の軽量化と衝突安全性の向上という相反する要求を両立させるために、自動車部品への高張力鋼板の適用が進んでおり、衝突性能を確保しながら部品薄肉化および部品数の削減が行われている。自動車部品に用いられる鋼板強度レベルは、過去では340MPa級から780MPa級が主流であったが、近年では鉄鋼材料の開発が進み、優れたプレス成形性を有する980MPa級以上の高張力鋼板が適用され始めている。

0003

自動車部品の多くはプレス成形で製造される。プレス成形とは、材料(ブランク)に金型押し付けて挟圧することにより、金型の形状をブランクに転写して材料を加工する方法のことである。
高張力鋼板を用いたプレス成形では、プレス成形過程における割れしわといった成形不良が発生しやすくて大きな問題である。一般的に鋼板の強度が高くなるとプレス成形性は低下するため、強度の低い鋼板と比べ割れやしわの発生頻度は高くなる。そのため、割れやしわを発生させることなくプレス成形するには、金型の修正による試行錯誤を行う必要があり、これには多くの費用と時間がかかってしまうという課題があった。

0004

この課題に対し、ここ最近では、有限要素法(FEMソフトウェアが広く普及し、コンピュータを用いたプレス成形解析により、事前に割れやしわなどの成形不良を予測し、その予測結果を元に部品形状の修正や工法変更などの対策を講じることが可能となった。これらプレス成形解析の他に、衝突解析スプリングバック解析などにおいても、FEMによる塑性加工シミュレーションが実施されている。

0005

金属材料の塑性加工シミュレーションにおいては、当該金属材料の応力−ひずみ関係が必要不可欠である。特に、プレス成形では金属材料は大きな変形を受けるため、高ひずみ域での応力−ひずみ関係が塑性加工シミュレーションの解析精度に大きな影響を及ぼす。

0006

金属材料の応力−ひずみ関係を測定する最も一般的な方法として引張試験がある。引張試験においては、図9に示すような平行部3を有する引張試験片1に引張荷重を作用させて引張変形を与え、引張試験片1における評点間の伸びと引張荷重から応力−ひずみ関係を算出する。図10に、引張試験片1を用いた引張試験で得られる応力−ひずみ関係の一例を示す。金属材料の応力が降伏応力図10中の点A)に達すると塑性変形が開始され、ひずみの進展に伴い金属材料は加工硬化して応力は増加する。そして、点Bで引張荷重は最大となり、その後、引張試験片1にくびれが生じて引張荷重は低下し、破断に至る(図10中の点C)。図10中の点Bでのひずみを均一伸びといい、均一伸びに達するまでは安定した単軸引張変形とみなされ、この領域(図10中の点0(ゼロ)から点Bまでの範囲、均一ひずみ)における応力−ひずみ曲線が有限要素法(FEM)等の塑性加工シミュレーションに用いられてきた。

0007

引張試験により得られる均一伸びは、一般加工鋼で0.20〜0.3、アルミニウム合金で0.15〜0.25である。一方、近年、自動車の骨格部品への適用が進んでいる高張力鋼板は、材料強度が高くなると延性は低下し、590MPa級鋼板では0.14〜0.17程度、980MPa級鋼板では0.07〜0.1程度である。
しかしながら、実際のプレス成形において金属材料が受けるひずみは、上記の引張試験で得られる均一ひずみの範囲を超える。とりわけプレス成形解析における割れ予測においては、金属材料は割れ直前に大きなひずみを受けるため、均一伸びを超えたひずみ域における応力−ひずみ関係(硬化特性)が割れ発生予測精度に大きな影響を及ぼす。
FEMによるプレス成形解析では、均一伸びを超えた高ひずみ域の応力−ひずみ関係を硬化則(材料の硬化挙動を規定する数式モデル)で外挿する手法が一般的である。しかしながら、これは実測値に基づくものではなく、硬化則の種類や材料定数に依存して応力とひずみの関係が大きく変化し得るという問題がある。

0008

そのため、均一伸びを超えた高ひずみ域における応力−ひずみ関係を得るための材料試験として、過去に様々な方法が提案されている。例えば、せん断試験(特許文献1)や、液圧バルジ試験非特許文献1)や圧縮試験(非特許文献2)がある。これらの試験によれば、通常の単軸引張変形よりも大きな変形を試験片に与えることができる。

0009

特許第5910803号公報

先行技術

0010

Gerhard Gutscher、Hsien-Chih Wu、Gracious Ngaile、Taylan Altan、Determination of flow stress for sheet metal forming using the viscous pressure bulge (VPB) test、Journal of Materials Processing Technology、146(2004)、1-7.
小坂田宏造、白石光信、木重節、徳岡雅康:リング圧縮試験による変形抵抗測定法、日本機械学会論文集(C編)、55巻516号(1989)、2213-2220.

発明が解決しようとする課題

0011

上記の先行文献に開示されている方法により得られる結果は、特許文献1ではせん断状態での応力−ひずみ関係、非特許文献1では等二軸状態(面内に等方的に負荷される状態)の応力−ひずみ関係、非特許文献2では圧縮状態の応力−ひずみ関係である。したがって、これらの方法で得られた応力−ひずみ関係をFEMによるプレス成形解析で用いるためには、単軸引張状態での応力−ひずみ関係に変換する必要がある。しかしながら、この変換の際に誤差が生じる可能性があり、変換により得られる応力−ひずみ関係は十分な精度とはいえなかった。また、上記方法の実施には特殊な試験機が必要になるため、汎用性という面で実用的ではなかった。

0012

本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、特殊な試験機を用いることなく、金属材料の均一伸びを超えた高ひずみ域における応力−ひずみ関係を高精度に推定することができる応力−ひずみ関係推定方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

(1)本発明に係る応力−ひずみ関係推定方法は、金属材料の応力とひずみの関係を推定するものであって、平行部を有する引張試験片に引張荷重を作用させて、該引張荷重の作用開始から均一伸びを超えたひずみ域までの引張荷重と前記引張試験片におけるひずみ分布を取得する引張荷重−ひずみ分布取得テップと、該取得した引張荷重とひずみ分布とに基づいて、前記引張試験片の均一伸びまでの応力とひずみの関係を取得する応力−ひずみ関係取得ステップと、応力とひずみの関係を与える2種類の硬化則を選択し、該2種類の硬化則それぞれの材料定数を、前記応力−ひずみ関係取得ステップで取得した応力とひずみの関係に基づいて同定する材料定数同定ステップと、前記引張荷重−ひずみ分布取得ステップで取得した均一伸びを超えたひずみ域におけるひずみ分布と、前記2種類の硬化則を仮の重み係数を用いて足し合わせた混合則により求められる相当応力とを用いて、前記引張試験片に作用する引張荷重を推算する引張荷重推算ステップと、該引張荷重推算ステップにおいて推算した引張荷重と前記引張荷重−ひずみ分布取得ステップにおいて取得した引張荷重とが一致するように、前記混合則の重み係数の値を決定する重み係数決定ステップと、を備え、前記引張荷重推算ステップは、前記引張試験片の引張直角方向の端部においてくびれが発生したくびれ発生部を特定し、該くびれ発生部の所定位置における引張直角方向に沿って前記引張試験片を複数の微小領域に分割し、前記取得した均一伸びを超えたひずみ域におけるひずみ分布に基づいて、各前記微小領域に引張方向及び引張直角方向のひずみを設定し、各前記微小領域に設定した前記引張方向及び前記引張直角方向のひずみと前記混合則により求められる相当応力とを用いて各微小領域の引張方向の応力を算出し、各前記微小領域に設定した前記引張方向及び前記引張直角方向のひずみに基づいて、各前記微小領域の板厚を算出し、各前記微小領域について算出した前記引張方向の応力と前記板厚とから各前記微小領域に作用する引張荷重を算出し、該算出した各前記微小領域に作用する引張荷重を足し合わせて、均一伸びを超えたひずみ域において前記引張試験片に作用する引張荷重を推算する、ことを特徴とするものである。

0014

(2)上記(1)に記載のものにおいて、前記引張荷重推算ステップにおける各前記微小領域の前記引張方向の応力は、以下の手順(a)〜(c)に従って算出することを特徴とするものである。
(a)各前記微小領域に設定した引張方向及び引張直角方向のひずみから、引張方向及び引張直角方向それぞれのひずみ増分の比と、引張直角方向及び板厚方向それぞれのひずみ増分の比を算出する。
(b)該算出した2つのひずみ増分の比から各前記微小領域における引張方向及び引張直角方向の応力比を算出する。
(c)該算出した応力比と、各前記微小領域に設定したひずみから算出される相当ひずみと、前記混合則により求められる相当応力とに基づいて、各前記微小領域の引張方向の応力を算出する。

発明の効果

0015

本発明によれば、金属材料の均一伸びを超えた高ひずみ域における応力とひずみの関係を精度良く推定することができる。

図面の簡単な説明

0016

本発明の実施の形態に係る応力−ひずみ関係推定方法における処理の流れを示すフロー図である。
本実施の形態において、引張試験片に均一伸びを超えて引張荷重を作用させたときの引張直角方向におけるひずみの分布を説明する図である。
本実施の形態において、引張試験片の均一伸びを超えたひずみ域において取得したひずみ分布から引張荷重を推算する手順の流れを示すフロー図である。
本実施の形態において、(a)引張試験片に発生するくびれ、(b)引張試験片に設定する微小領域、(c)該微小領域における応力と板厚、を示す図である。
実施例において、引張試験片を用いて取得した引張荷重とその推算値の結果を示すグラフである(金属材料:590MPa級鋼板)。
実施例において、応力−ひずみ関係の推定結果を示すグラフである(金属材料:590MPa級鋼板)。
実施例において、引張試験片を用いて取得した引張荷重とその推算値の結果を示すグラフである(金属材料:1180MPa級鋼板)。
実施例において、応力−ひずみ関係の推定結果を示すグラフである(金属材料:1180MPa級鋼板)。
通常の引張試験に用いられる引張試験片の形状の一例を示す図である。
通常の引張試験により取得される応力−ひずみ関係の一例を示す図である。

0017

本発明の実施の形態に係る応力−ひずみ関係推定方法は、金属材料の応力とひずみの関係を推定するものであって、図1に示すように、引張荷重−ひずみ分布取得ステップS1と、応力−ひずみ関係取得ステップS3と、材料定数同定ステップS5と、引張荷重推算ステップS7と、重み係数決定ステップS9と、を備えたものである。以下、上記各ステップについて説明する。

0018

<引張荷重−ひずみ分布取得ステップ>
引張荷重−ひずみ分布取得ステップS1は、図9に示すような引張方向に平行な平行部3を有する短冊状の引張試験片1に引張荷重を作用させて、該引張荷重の作用開始から均一伸びを超えたひずみ域までの引張荷重と引張試験片1のひずみ分布とを取得するステップである。

0019

本実施の形態において、引張試験片1の均一伸びは、引張試験片1に作用させた引張荷重が最大値となる時点、あるいは、引張試験片1において引張直角方向の端部にくびれが発生した時点とすることができる。そして、引張試験片1の均一伸びを超えて破断が生じるまでのひずみ域において引張荷重とひずみ分布を取得することが好ましい。

0020

引張試験片1に作用させる引張荷重とひずみの分布は引張変形中において時々刻々と変化するため、引張荷重−ひずみ分布取得ステップS1は、引張荷重の作用開始から均一伸びを超えて破断に至るまで、引張変形中の所定の時間ステップにおいて、引張荷重とひずみ分布を取得する。

0021

引張荷重−ひずみ分布取得ステップS1で取得するひずみ分布は、引張方向及び引張直角方向のひずみの引張試験片1の表面における分布であり、DICデジタル画像相関法)を用いて測定するとよい。DICによるひずみ分布の測定においては、引張変形中における引張試験片1の表面を所定の時間間隔撮像し、該撮像した画像から、引張方向及び引張直角方向のひずみの分布を求めることができる。

0022

なお、平行部3を有する引張試験片1としては、例えば、JIS5号などの規格化された試験片を使用することができる。

0023

<応力−ひずみ関係取得ステップ>
応力−ひずみ関係取得ステップS3は、引張荷重−ひずみ分布取得ステップS1において測定した引張荷重−ひずみ分布に基づいて、均一伸びまでの引張試験片1の応力−ひずみ関係を取得するステップである。

0024

<材料定数同定ステップ>
材料定数同定ステップS5は、応力とひずみの関係を与える2種類の硬化則を選択し、該2種類の硬化則それぞれの材料定数を、応力−ひずみ関係取得ステップS3で取得した均一伸びまでの応力−ひずみ関係に基づいて同定するステップである。

0025

硬化則としては、以下に示す線形硬化則(式(1))、n乗硬化則(式(2))、Ludwik則(式(3))、Swift則(式(4))及びVoce則(式(5))等が知られており、これらのいずれか2種類の硬化則を選択すればよい。

0026

0027

硬化則の選択においては、以下の点を考慮する。
まず、2種類の硬化則を、次式(6)に示すように、重み係数αを用いて足し合わせた混合則を考える。

0028

0029

式(6)において、σeq,HRは混合則により与えられる相当応力、σeq,A及びσeq,Bは、2種類の硬化則それぞれにより表される相当応力である。また、重み係数αは任意の定数であり、αが1のときσeq,HR=σeq,Aとなり、αが0のときσeq,HR=σeq,Bとなる。

0030

材料定数同定ステップS5において選択する2種類の硬化則は、重み係数αの値によって相当応力σeq,HRの値が大きく変わることが望ましい。そのためには、ひずみに対する応力の挙動が大きく異なる2種類の硬化則を選択するとよく、例えば、Swift則(式(4))及びVoce則(式(5))を選択することが好ましい。そして、Swift則及びVoce則を選択した場合には、上記の式(4)中の材料定数C、ε0、及びnと、式(5)中のY、Q及びbを、材料定数同定ステップS5においてそれぞれ同定する。

0031

<引張荷重推算ステップ>
引張荷重推算ステップS7は、引張荷重−ひずみ分布取得ステップS1において取得した均一伸びを超えたひずみ域におけるひずみ分布と、材料定数同定ステップS5で選択した2種類の硬化則を足し合わせた混合則に仮の重み係数の値を与えて算出した相当応力とを用いて、均一伸びを超えたひずみ域において引張試験片1に作用する引張荷重を推算するステップである。

0032

引張試験片1に単軸引張荷重を作用させると、最大荷重点である均一伸びを超えたひずみ域(図10中の点B〜点Cの領域)において、引張試験片1は引張直角方向の端部にくびれが発生し、引張方向及び引張直角方向に不均一な変形となる。図2に、引張試験片1に発生したくびれ発生部5の引張方向中央における引張方向のひずみεxの引張直角方向の分布の一例を示す。引張方向のひずみεxは、引張直角方向の中心(図2のグラフ中のy=0)で最も大きくなり、引張試験片1におけるくびれ発生部の幅Wの端部(y=−W/2、W/2)で最も小さくなるような分布を示す。

0033

そこで、引張荷重推算ステップS7では、くびれ発生部5における引張直角方向のひずみの分布を考慮して、引張試験片1に作用する引張荷重を推算する。図3に引張荷重を推算する具体的な手順の流れ(S11〜S25)を示す。

0034

なお、本実施の形態では、くびれ発生部5の最もくびれた位置における引張直角方向の直線に対してくびれ発生部5が線対象な形状の引張試験片1のひずみと応力を評価する例について説明する。そして、くびれ発生部5の断面が受けるひずみ及び応力は引張方向(x方向)と引張直角方向(y方向)を求め、板厚方向(z方向)のひずみは体積一定条件から求める。なお、引張荷重の推算においては、せん断成分(xy成分)は考慮しないものとする。

0035

≪微小領域の分割≫
まず、図4に示すように、引張試験片1の引張直角方向の端部においてくびれが発生したくびれ発生部5を特定し、くびれ発生部5の最もくびれた位置における引張直角方向に沿って、引張試験片1を複数の微小領域11に分割する(S11)。

0036

微小領域11の分割数は、引張荷重−ひずみ分布取得ステップS1におけるひずみ分布の測定分解能に依存するが、微小領域11の分割幅dy(図4(b)参照)を小さく設定することが望ましい。
なお、引張試験片1を引張直角方向に微小領域11に分割する位置は、くびれ発生部5において最もくびれた位置に限るものではなく、くびれ発生部5であれば引張方向の所定の位置でもよい。

0037

≪各微小領域のひずみの設定≫
次に、引張荷重−ひずみ分布取得ステップS1において取得した所定の時間ステップにおけるひずみ分布に基づいて、各微小領域11に引張方向のひずみεx及び引張直角方向のひずみεyを設定する(S13)。
微小領域11に設定するひずみεx及びεyは全ひずみ対数ひずみ)とし、次式(7)に示すように、弾性ひずみεieと塑性ひずみεipの和とする。

0038

0039

≪ひずみ増分の比の算出≫
続いて、各微小領域11に設定した引張方向のひずみεxと引張直角方向のひずみεyから、引張方向及び引張直角方向それぞれのひずみ増分の比と、引張直角方向及び板厚方向それぞれのひずみ増分の比を算出する(S15)。
引張方向及び引張直角方向それぞれのひずみ増分の比については、まずは次式(8)に示すように、引張荷重を推算する時間ステップの前後の時間ステップにおけるひずみからひずみ増分dεi(i=x、y)を求める。

0040

0041

式(8)において、nは引張荷重を推算する時間ステップ、n+c及びn−cは前後の時間ステップ、cはひずみ増分を求める時間ステップの間隔を設定するパラメータ(1以上の整数)である。

0042

そして、引張方向及び引張直角方向それぞれのひずみ増分の比をaとすると、次式(9)のように表せる。

0043

0044

式(9)におけるdεi(i=x、y)は全ひずみ増分であるが、大変形している場合は弾性ひずみの成分が相対的に微小となり無視できるため、εi≒εipとなり、次式(10)のように近似できる。

0045

0046

ここで、式(10)において近似された塑性ひずみ増分dεxp及びdεypについて、関連流動則(参考文献:吉田総弾塑性変形基礎、pp.164−165、共立出版、1997)を仮定する。
関連流動則とは、塑性ひずみ増分と応力状態との関係を表した関係式であり、弾塑性有限要素解析等では、この仮定に従って応力−ひずみ計算を行っている。
関連流動則を仮定した場合、引張方向(x方向)と引張直角方向(y方向)それぞれの塑性ひずみ増分dεxp及びdεypは、次のように表せる。

0047

0048

ここで、fは異方性降伏関数であり、x方向及びy方向の応力σx及びσyと異方性パラメータを含む関数である。また、dλは相当塑性ひずみ増分である。

0049

本実施の形態では、引張変形中の引張試験片1の断面変化、とりわけ板幅と板厚の変化を推測するため、異方性パラメータの決定にはr値(板厚方向ひずみ増分と板幅方向ひずみ増分の比)を考慮する。そのため、異方性降伏関数fに含まれる異方性パラメータは、引張方向のr値を用いて同定されることが望ましい。

0050

引張方向のr値は、次式(13)に示すように、引張直角方向(y方向)及び板厚方向(z方向)それぞれのひずみ増分の比として表され、引張方向のひずみ増分dεxと引張直角方向のひずみ増分dεyを用いて求めることができる。

0051

0052

r値は引張変形中にその値が変化するため、本実施の形態における異方性パラメータの同定には、均一伸びに達するまでは各時間ステップで取得したひずみ分布から計算されるr値を、均一伸びを超えたひずみ域においては、均一伸びでのひずみ分布から計算されるr値を用いるものとする。

0053

また、異方性降伏関数fには、Hill’48の異方性降伏関数を用いることができる。
Hill’48の異方性降伏関数fは、引張方向のr値を用いて次式(14)のように与えられる。

0054

0055

なお、σeqは式(1)から式(5)に例を示す硬化則から求まる相当応力である。
これより、引張方向(x方向)及び引張直角方向(y方向)のひずみ増分はそれぞれ、以下の式(15)及び式(16)で表せる。

0056

0057

よって、引張方向及び引張直角方向それぞれのひずみ増分の比aは、次式(17)で表される。

0058

0059

上記の説明は、異方性降伏関数としてHill’48の異方性降伏関数を用いた場合のものであったが、他に、Yld2000−2d降伏関数、Yoshida降伏関数等の異方性降伏関数があり、本発明は、r値を考慮する異方性降伏関数であればいずれのものであってもよい。

0060

≪応力比の算出≫
算出したひずみ増分の比aから、各微小領域11における引張方向の応力σxと引張直角方向の応力σyの応力比を算出する(S17)。具体的には、以下のように算出する。
まず、応力比bは、次式(18)で表される。

0061

0062

異方性降伏関数fとしてHill’48の降伏関数を用いた場合、式(17)及び式(18)から次式(19)が得られる。

0063

0064

よって、応力比bは、次式(20)となる。

0065

0066

そして、ひずみの測定値から、引張方向及び引張直角方向それぞれのひずみ増分の比aと、引張直角方向及び板厚方向それぞれのひずみ増分の比であるr値とを算出し、これらを式(20)に代入することで、応力比bを算出する。

0067

≪引張方向応力の算出≫
続いて、各微小領域11について算出した応力比bと、混合則により求められる相当応力σeq,HRとに基づいて、各微小領域11における引張方向の応力σxを算出する(S19)。

0068

前述のとおり、各微小領域11の応力比bの算出においては、各微小領域11に設定した引張方向及び引張直角方向のひずみεx及びεyを用いている。そのため、本実施の形態では、各微小領域11に設定した引張方向及び引張直角方向のひずみと混合則により求められる相当応力σeq,HRとを用いて、各微小領域11の引張方向の応力σxを算出するわけである。

0069

混合則により算出される相当応力σeq,HRは、前述の式(6)に示すように、材料定数同定ステップS5で材料定数を同定した2種類の硬化則それぞれにより与えられる相当応力σeq,A及びσeq,Bを重み係数αを用いて足し合わせたものとする。

0070

式(6)中の2種類の硬化則により与えられる相当応力σeq,A及びσeq,Bは、いずれも相当塑性ひずみεeqの関数である。そして、相当塑性ひずみεeqは、引張方向(x方向)及び引張直角方向(y方向)の塑性ひずみεxp及びεypを用いて、次式(21)で表せる。

0071

0072

式(21)より求められる相当ひずみεeqを各硬化則に代入することで相当応力σeq,A及びσeq,Bが求められる。そして、重み係数αの値を与えることで、式(6)により混合則の相当応力σeq,HRが求まる。

0073

一方、降伏関数を用いても相当応力σeqを求めることができる(例えば、式(14))。ここで、降伏関数から求められる相当応力をσeq,YFとする。そして、降伏関数を与える式に、σy=bσxの関係(式(18)参照)を代入すれば、σeq,YFは、引張方向の応力σxと相当応力σeq,YFの関数になる。そして、混合則から求めた相当応力σeq,HRと降伏関数から求めた相当応力σeq,YFは等しいため、σeq,HR=σeq,YFとなるように引張方向の応力σxを算出する。

0074

≪板厚の算出≫
前述の図2に示したとおり、引張試験片1は、均一伸びを超えたひずみ域においては引張直角方向に変形量が異なるため、各微小領域11の板厚tを考慮する必要がある。そして、板厚tは、初期板厚t0と板厚方向ひずみεzより求まり、板厚方向ひずみεzは体積一定条件より面内の2方向(引張方向及び引張直角方向)のひずみεx及びεyより計算できる。そこで、次式(22)に示すように、各微小領域11に設定した引張方向及び引張直角方向のひずみに基づいて、各微小領域11の板厚tを算出する(S21)。

0075

0076

≪微小領域引張荷重の算出≫
各微小領域11について算出した引張方向の応力σxと板厚tを用いて、次式(23)に示すように、各微小領域11に作用する引張荷重を求める(S23)。

0077

0078

式(23)において、ΔTは微小領域引張荷重、dyは微小領域の分割幅である(図4(b)参照)。

0079

≪引張荷重の推算≫
次式(24)に示すように、各微小領域11について求めた微小領域引張荷重ΔTを足し合わせて、引張試験片1の引張直角方向の断面全体に作用する引張荷重Tを求める(S25)。

0080

0081

このように、引張荷重推算ステップS7においては、S11〜S25の手順により引張荷重Tを推算することができる。

0082

<重み係数決定ステップ>
重み係数決定ステップS9は、引張荷重推算ステップS7において推算した引張荷重と引張荷重−ひずみ分布取得ステップS1において取得した引張荷重とが一致するように、前記混合則の重み係数αの値を決定するステップである。

0083

重み係数αの値を決定する具体的な手順として、引張荷重推算ステップS7において、仮の重み係数αを与えて引張荷重を推算し、該推算した引張荷重に基づいて重み係数αの値を変更し、引張荷重推算ステップS7において推算した引張荷重が引張荷重−ひずみ分布取得ステップS1において取得した引張荷重と一致するまで、図3に示すS19〜S25を繰り返し実行する。これにより、式(6)に示す混合則の重み係数αの値を決定する。

0084

以上、本発明の実施の形態に係る応力−ひずみ関係推定方法によれば、従来の引張試験では得られない均一伸びを超えた高ひずみ域における応力とひずみの関係を精度良く推定することができる。さらに、本発明に係る応力−ひずみ関係推定方法を金属薄板のプレス成形解析に適用することで、プレス成形で生じる割れやしわ、あるいはスプリングバックといった成形不良を高精度に予測することができる。そして、プレス成形解析の予測結果に基づいた金型設計部品設計により、高品質プレス成形品を製造することが可能となる。

0085

また、本発明によれば、特殊な試験機を用いることなく、一般的な単軸引張試験機で実現できるため、汎用性という面で実用性に優れている。

0086

なお、上記の説明において、引張荷重推算ステップS7における異方性降伏関数f及び応力比bは、引張荷重−ひずみ分布取得ステップS1で取得したひずみ分布の値を用いて算出したr値(式(13))を用いるものであったが、本発明は、これに限るものではない。例えば、引張荷重−ひずみ分布取得ステップS1とは別に行った引張試験で得られたr値を用いてもよい。

0087

本発明に係る応力−ひずみ関係推定方法の作用効果について確認するための検証を行ったので、以下、これについて説明する。

0088

実施例1では、まず、金属材料として板厚1.2mmの590MPa級鋼板の応力−ひずみ関係の推定を行った。

0089

まず、図9に示す形状の引張試験片1(JIS5号)を用いて単軸引張試験を行い、引張荷重の作用開始から均一伸びを超えて引張試験片1に破断が生じるまでの所定の時間ステップにおいて、引張荷重と引張試験片1の表面におけるひずみ分布を取得した。ここで、引張荷重は、ロードセルによる測定値を取得し、ひずみ分布は、DIC(画像相関法)により得られた引張方向及び引張直角方向のひずみを取得した。

0090

次いで、取得した引張荷重とひずみ分布から、均一伸びまでの応力−ひずみ関係を取得した。そして、2種類の硬化則としてSwift則及びVoce則を選択し、均一伸びまでの応力−ひずみ関係に基づいて、Swift則及びVoce則それぞれの材料定数(式(4)及び式(5)参照)を同定した。表1に、同定した材料定数を示す。

0091

0092

均一伸びを超えたひずみ域における相当応力σeqは、次式(25)に示すように、Swift則の相当応力σeq,SwiftとVoce則の相当応力σeq,Voceの混合則で表す。

0093

0094

本実施例1では、引張荷重の作用開始からくびれ発生部5の最もくびれが生じた位置における引張直角方向の中央部の最大ひずみが0.53に至るまでの過程において11点の時間ステップを設け、図3に示す手順S11〜S25により、各時間ステップにおいて引張試験片1に作用する引張荷重を推算した。

0095

図5に、単軸引張試験により取得した引張荷重と、当該単軸引張試験で取得したひずみ分布を用いて推算した引張荷重の例を示す。
横軸は、引張直角方向の中央部における最大ひずみとして、縦軸は各最大ひずみにおける引張荷重の値であり、実線は、単軸引張試験で取得した引張荷重(測定値)、プロットは、Swift則、Voce則、及び混合則(式(25))の重み係数の値をα=0.85として推算した引張荷重である。

0096

Swift則、すなわち、混合則において重み係数α=1として推算した引張荷重は、引張荷重の測定値より大きくなり、Voce則、すなわち、混合則において重み係数α=0として推算した引張荷重は、測定値よりも小さくなった。

0097

これに対し、重み係数α=0.85を与えた混合則により推算した引張荷重は、ひずみの値によらず引張荷重の測定値と一致する結果となった。

0098

この結果から、混合則の重み係数がα=0.85と決定され、図6に示すように、混合則により均一伸びを超えたひずみ域における応力−ひずみ関係を精度良く推定できることが示された。

0099

続いて、金属材料として板厚1.2mmの1180MPa級鋼板についても、上記と同様に応力−ひずみ関係の推定を行った。

0100

まず、図7に示す形状のJIS5号の引張試験片1を用いて単軸引張試験を行い、引張荷重の作用開始から均一伸びを超えて引張試験片1に破断が生じるまでの所定の時間ステップにおいて、引張荷重と引張試験片1の表面におけるひずみ分布を取得した。引張荷重とひずみ分布の取得は、前述の590MPa級鋼板の場合と同様とした。

0101

そして、取得し引張荷重とひずみ分布から、均一伸びまでの応力−ひずみ関係を取得し、該応力−ひずみ関係に基づいて、Swift則(式(4))及びVoce則(式(5))それぞれの材料定数を同定した。同定した材料定数の値を表2に示す。

0102

0103

均一伸びを超えたひずみ域の相当応力σeqは、前述の式(25)に示すように、Swift則の相当応力σeq,SwiftとVoce則の相当応力σeq,Voceの混合則で表す。

0104

続いて、本実施例2では、引張荷重の作用開始からくびれ発生部5の最もくびれが生じた位置における引張直角方向の中央部の最大ひずみが0.25に至るまでの過程において6点の時間ステップを設け、図3に示す手順S11〜S25により、各時間ステップにおいて引張試験片1に作用する引張荷重を推算した。

0105

図7に、引張試験により取得した引張荷重と、当該引張試験で取得したひずみ分布の値を用いて推算した引張荷重の例を示す。
横軸は、引張直角方向の中央部の最大ひずみとして、縦軸は各最大ひずみにおける引張荷重であり、実線は、引張試験で取得した引張荷重(測定値)、プロットは、Swift則、Voce則、及び混合則(式(6))の重み係数の値をα=0.8として推算した引張荷重である。

0106

Swift則、すなわち、混合則において重み係数α=1として推算した引張荷重は、引張荷重の測定値より大きくなり、Voce則、すなわち、混合則において重み係数α=0として推算した引張荷重は、引張荷重の測定値よりも小さくなった。

0107

これに対し、重み係数α=0.8を与えた混合則により推算した引張荷重は、ひずみによらず引張荷重の測定値と一致する結果となった。

実施例

0108

この結果から、混合則の重み係数がα=0.8と決定され、図8に示すように、混合則により均一伸びを超えたひずみ域における応力−ひずみ関係を推定できることが示された。

0109

1引張試験片
3平行部
5くびれ発生部
11微小領域

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