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図面 (18)

課題

計測時間が短く、必要とするサンプル量が少なくても、簡易かつ正確にその粘度を計測することができる液体粘度計測システム及び液体の粘度計測方法を提供する。

解決手段

液体を液滴として所定高さに位置する滴下部11から自由落下するように滴下させる滴下機構1と、滴下部11に対向して設けられ、滴下部11から滴下された液滴を衝突させるための衝突部2と、滴下部11から滴下時の液滴の状態を測定する第1測定装置31と、衝突部2へ衝突直前の液滴の状態を測定する第2測定装置32と、衝突部2に衝突後の液滴の状態を測定する第3測定装置と、第1測定装置31の測定結果、第2測定装置32の測定結果及び第3測定装置の測定結果に基づき液体の粘度を算出する粘度算出装置とを備える。

概要

背景

従来、液体の粘度の計測には、細管式回転式落体式振動式等の計測器が広く用いられている。細管式の粘度計測器は、細管内液体サンプルを通して、単位時間に流れる液体の体積(流量)と細管の両端の圧力差に基づき粘度を求めるものであって、最も古典的な粘度計測器である。回転式の粘度計測器は、液体サンプル中に円筒形回転子を入れ、その回転トルクが液体の粘度に比例することを利用して粘度を求めるものである。落体式の粘度計測器は、液体サンプル中に一定の寸法及び密度を有する円柱形又は球形の剛体自由落下させ、一定距離を落下する時間に基づき粘度を求めるものである。振動式の粘度計測器は、近年用いられるようになってきたものであって、液体サンプル中に挿入した振動子を一定の振幅振動させるための駆動電流から液体の粘度を求めるものである。

概要

計測時間が短く、必要とするサンプル量が少なくても、簡易かつ正確にその粘度を計測することができる液体の粘度計測システム及び液体の粘度計測方法を提供する。液体を液滴として所定高さに位置する滴下部11から自由落下するように滴下させる滴下機構1と、滴下部11に対向して設けられ、滴下部11から滴下された液滴を衝突させるための衝突部2と、滴下部11から滴下時の液滴の状態を測定する第1測定装置31と、衝突部2へ衝突直前の液滴の状態を測定する第2測定装置32と、衝突部2に衝突後の液滴の状態を測定する第3測定装置と、第1測定装置31の測定結果、第2測定装置32の測定結果及び第3測定装置の測定結果に基づき液体の粘度を算出する粘度算出装置とを備える。

目的

本発明は上述のような事情に基づいてなされたものであり、従来の粘度計測器と比べて計測時間が短く、必要とするサンプル量が少なくても、簡易かつ正確にその粘度を計測することができる液体の粘度計測システム及び液体の粘度計測方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

液体を質量Mの液滴として所定高さに位置する滴下部から自由落下するように滴下させる滴下手段と、前記滴下部に対向して設けられ、前記滴下部から滴下された前記液滴を衝突させるための衝突部と、前記滴下部から滴下時の前記液滴の状態を測定する第1測定手段と、前記衝突部へ衝突直前の前記液滴の状態を測定する第2測定手段と、前記衝突部に衝突後の前記液滴の状態を測定する第3測定手段と、前記第1測定手段の測定結果、前記第2測定手段の測定結果及び前記第3測定手段の測定結果に基づき前記液体の粘度を算出する粘度算出手段とを備え、前記衝突部が、入射面、出射面及び反射面を有し、前記入射面から入射されたレーザ光を前記反射面で全反射させて前記出射面から出射させる全反射プリズムであり、前記第3測定手段が、前記全反射プリズムの反射面に衝突し、略円形状に変形した前記液滴の最大広がり径Dmax及び最大濡れ広がり径Dwetを測定するものである液体の粘度計測システム

請求項2

前記第1測定手段が、前記滴下部に懸垂し、自由落下する直前の前記液滴の輪郭形状Sを測定するものである請求項1に記載の液体の粘度計測システム。

請求項3

前記第2測定手段が、前記全反射プリズムの反射面へ衝突直前の測定点における前記液滴の水平方向の最大径D0及び前記測定点を前記液滴が通過するのに要する通過時間ΔTを測定するものである請求項1又は請求項2に記載の液体の粘度計測システム。

請求項4

前記第1測定手段が、前記滴下部に懸垂し、自由落下する直前の前記液滴の輪郭形状Sを測定するものであり、前記第2測定手段が、前記全反射プリズムの反射面へ衝突直前の測定点における前記液滴の水平方向の最大径D0及び前記測定点を前記液滴が通過するのに要する通過時間ΔTを測定するものであり、前記粘度算出手段が、前記第1測定手段により測定された輪郭形状S及び前記質量Mに基づき前記液滴の体積V、密度ρ及び表面張力σを算出する第1算出手段と、前記第2測定手段により測定された最大径D0及び通過時間ΔT並びに前記第1算出手段により算出された体積Vに基づき前記液滴の衝突速度U0を算出する第2算出手段とを備える請求項1に記載の液体の粘度計測システム。

請求項5

前記粘度算出手段が、前記第2測定手段により測定された最大径D0、前記第3測定手段により測定された最大濡れ広がり径Dwet、前記第1算出手段により算出された密度ρ及び前記第2算出手段により算出された衝突速度U0から、下記相関式(1)を用いて前記液体の粘度μを算出する第3算出手段をさらに備える請求項4に記載の液体の粘度計測システム。(式(1)中、Weはウェーバー数、Reはレイノルズ数、αは比例係数、βはオフセット値である。レイノルズ数Reとウェーバー数Weはそれぞれ、Re=ρU0D0/μ,We=ρU02D0/σである。)

請求項6

前記粘度算出手段が、前記第2測定手段により測定された最大径D0、前記第3測定手段により測定された最大広がり径Dmax及び最大濡れ広がり径Dwet、前記第1算出手段により算出された密度ρ及び前記第2算出手段により算出された衝突速度U0から、下記相関式(2)を用いて前記液体の粘度μを算出する第3算出手段をさらに備える請求項4に記載の液体の粘度計測システム。(式(2)中、Weはウェーバー数、Reはレイノルズ数、Bは比例係数である。レイノルズ数Reとウェーバー数Weはそれぞれ、Re=ρU0D0/μ,We=ρU02D0/σである。)

請求項7

前記液体が、凝固性を有する液体である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の液体の粘度計測システム。

請求項8

前記液体が、高融点を有する材料の液体である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の液体の粘度計測システム。

請求項9

液体を質量Mの液滴として所定高さに位置する滴下部から自由落下するように滴下させる滴下工程と、前記滴下部に対向して設けられた衝突部に、前記滴下部から滴下された前記液滴を衝突させる衝突工程と、前記滴下部から滴下時の前記液滴の状態を測定する第1測定工程と、前記衝突部へ衝突直前の前記液滴の状態を測定する第2測定工程と、前記衝突部に衝突後の前記液滴の状態を測定する第3測定工程と、前記第1測定工程で得られた測定結果、前記第2測定工程で得られた測定結果及び前記第3測定工程で得られた測定結果に基づき前記液体の粘度を算出する粘度算出工程とを備え、前記衝突部が、入射面、出射面及び反射面を有し、前記入射面から入射されたレーザ光を前記反射面で全反射させて前記出射面から出射させる全反射プリズムであり、前記第3測定工程が、前記全反射プリズムの反射面に衝突し、略円形状に変形した前記液滴の最大広がり径Dmax及び最大濡れ広がり径Dwetを測定するものである液体の粘度計測方法。

請求項10

前記第1測定工程が、前記滴下部に懸垂し、自由落下する直前の前記液滴の輪郭形状Sを測定するものである請求項9に記載の液体の粘度計測方法。

請求項11

前記第2測定工程が、前記全反射プリズムの反射面へ衝突直前の測定点における前記液滴の水平方向の最大径D0及び前記測定点を前記液滴が通過するのに要する通過時間ΔTを測定するものである請求項9又は請求項10に記載の液体の粘度計測方法

請求項12

前記第1測定工程が、前記滴下部に懸垂し、自由落下する直前の前記液滴の輪郭形状Sを測定するものであり、前記第2測定工程が、前記全反射プリズムの反射面へ衝突直前の測定点における前記液滴の水平方向の最大径D0及び前記測定点を前記液滴が通過するのに要する通過時間ΔTを測定するものであり、前記粘度算出工程が、前記第1測定工程で測定された輪郭形状S及び前記質量Mに基づき前記液滴の体積V、密度ρ及び表面張力σを算出する第1算出工程と、前記第2測定工程で測定された最大径D0及び通過時間ΔT並びに前記第1算出工程で算出された体積Vに基づき前記液滴の衝突速度U0を算出する第2算出工程とを備える請求項9に記載の液体の粘度計測方法。

請求項13

前記粘度算出工程が、前記第2測定工程で測定された最大径D0、前記第3測定工程で測定された最大濡れ広がり径Dwet、前記第1算出工程で算出された密度ρ及び前記第2算出工程で算出された衝突速度U0から、下記相関式(1)を用いて前記液体の粘度μを算出する第3算出工程をさらに備える請求項10に記載の液体の粘度計測方法。(式(1)中、Weはウェーバー数、Reはレイノルズ数、αは比例係数、βはオフセット値である。レイノルズ数Reとウェーバー数Weはそれぞれ、Re=ρU0D0/μ,We=ρU02D0/σである。)

請求項14

前記粘度算出工程が、前記第2測定工程で測定された最大径D0、前記第3測定工程で測定された最大広がり径Dmax及び最大濡れ広がり径Dwet、前記第1算出工程で算出された密度ρ及び前記第2算出工程で算出された衝突速度U0から、下記相関式(2)を用いて前記液体の粘度μを算出する第3算出工程をさらに備える請求項10に記載の液体の粘度計測方法。(式(2)中、Weはウェーバー数、Reはレイノルズ数、Bは比例係数である。レイノルズ数Reとウェーバー数Weはそれぞれ、Re=ρU0D0/μ,We=ρU02D0/σである。)

請求項15

前記液体が、凝固性を有する液体である請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の液体の粘度計測方法。

請求項16

前記液体が、高融点を有する材料の液体である請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の液体の粘度計測方法。

技術分野

0001

本発明は、液体粘度計測システム及び液体の粘度計測方法に関し、特に、血液や塗料接着剤のような凝固性を有する液体の粘度や、金属やガラス等の高融点を有する材料の液体の粘度を簡易計測することのできる液体の粘度計測システム及び液体の粘度計測方法に関する。

背景技術

0002

従来、液体の粘度の計測には、細管式回転式落体式振動式等の計測器が広く用いられている。細管式の粘度計測器は、細管内液体サンプルを通して、単位時間に流れる液体の体積(流量)と細管の両端の圧力差に基づき粘度を求めるものであって、最も古典的な粘度計測器である。回転式の粘度計測器は、液体サンプル中に円筒形回転子を入れ、その回転トルクが液体の粘度に比例することを利用して粘度を求めるものである。落体式の粘度計測器は、液体サンプル中に一定の寸法及び密度を有する円柱形又は球形の剛体自由落下させ、一定距離を落下する時間に基づき粘度を求めるものである。振動式の粘度計測器は、近年用いられるようになってきたものであって、液体サンプル中に挿入した振動子を一定の振幅振動させるための駆動電流から液体の粘度を求めるものである。

発明が解決しようとする課題

0003

しかしながら、上述のような従来の粘度計測器は、構造が複雑であり操作が簡易とはいい難く、計測器自体も大型で高価である。また、このような計測器は、液体の粘度を計測するためにある程度の時間を必要とすることから、特に血液や塗料、接着剤のような凝固性を有する液体の粘度を計測する場合には、計測中に液体が凝固して粘性が変化してしまうことにより、正常な粘度計測ができないという問題がある。そして、凝固した液体のせいで、計測後の計測器の洗浄コストがかかり、場合によっては計測器の故障につながることもある。また、金属やガラス等の高融点を有する材料の液体の粘度を計測する場合には、2000℃程度の高温環境において使用可能な材料を用いて装置を製作する必要があるという問題や、多くの物性が温度や酸素濃度といった周囲環境の影響を強く受けるため、従来の計測器では粘度の計測自体が非常に困難であるという問題がある。さらに、このような計測器は、必要とする液体サンプル量が数10ccから100cc程度と比較的多いため、十分なサンプル量を用意することが困難な液体の粘度計測には適さないという問題もある。

0004

本発明は上述のような事情に基づいてなされたものであり、従来の粘度計測器と比べて計測時間が短く、必要とするサンプル量が少なくても、簡易かつ正確にその粘度を計測することができる液体の粘度計測システム及び液体の粘度計測方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

上記課題を解決するために、第一に本発明は、液体を質量Mの液滴として所定高さに位置する滴下部から自由落下するように滴下させる滴下手段と、前記滴下部に対向して設けられ、前記滴下部から滴下された前記液滴を衝突させるための衝突部と、前記滴下部から滴下時の前記液滴の状態を測定する第1測定手段と、前記衝突部へ衝突直前の前記液滴の状態を測定する第2測定手段と、前記衝突部に衝突後の前記液滴の状態を測定する第3測定手段と、前記第1測定手段の測定結果、前記第2測定手段の測定結果及び前記第3測定手段の測定結果に基づき前記液体の粘度を算出する粘度算出手段とを備え、前記衝突部が、入射面、出射面及び反射面を有し、前記入射面から入射されたレーザ光を前記反射面で全反射させて前記出射面から出射させる全反射プリズムであり、前記第3測定手段が、前記全反射プリズムの反射面に衝突し、略円形状に変形した前記液滴の最大広がり径Dmax及び最大濡れ広がり径Dwetを測定するものである液体の粘度計測システムを提供する(発明1)。

0006

かかる発明(発明1)によれば、液体を液滴として自由落下させて衝突部へ衝突させるまでのわずかな時間で、第1測定手段、第2測定手段及び第3測定手段の測定結果から、液体の粘度を計測することができる。その結果、たとえ計測対象である液体が血液や塗料、接着剤のような凝固性を有するものや、金属やガラスのような多くの物性が温度や酸素濃度といった周囲環境の影響を強く受けるものであっても、正確な粘度計測が可能となる。また、一滴という極めて少ないサンプル量で液体の粘度を計測することができるので、十分なサンプル量を用意することが困難な液体の粘度計測にも利用でき、汎用性が高い。

0007

さらに、かかる発明(発明1)によれば、衝突部が全反射プリズムであることにより、反射光透過光高コントラスト画像に基づき、液滴が全反射プリズムの反射面と接触している箇所と接触していない箇所とが明確化されるので、第3測定手段により、最大濡れ広がり径Dwetを高い精度で測定することができる。したがって、液滴が衝突部の表面に衝突して略円形状に広がる際に、液滴の衝突速度が十分に早い等の理由により、略円形状に変形した液滴の周辺部が衝突部の表面から離れたり、周辺部が分裂して微小液滴放射状に飛散したりした場合であっても、正確に液体の粘度を計測することが可能となる。

0008

上記発明(発明1)においては、前記第1測定手段が、前記滴下部に懸垂し、自由落下する直前の前記液滴の輪郭形状Sを測定するものであることが好ましい(発明2)。

0009

上記発明(発明1,2)においては、前記第2測定手段が、前記全反射プリズムの反射面へ衝突直前の測定点における前記液滴の水平方向の最大径D0及び前記測定点を前記液滴が通過するのに要する通過時間ΔTを測定するものであることが好ましい(発明3)。

0010

上記発明(発明1)においては、前記第1測定手段が、前記滴下部に懸垂し、自由落下する直前の前記液滴の輪郭形状Sを測定するものであり、前記第2測定手段が、前記全反射プリズムの反射面へ衝突直前の測定点における前記液滴の水平方向の最大径D0及び前記測定点を前記液滴が通過するのに要する通過時間ΔTを測定するものであり、前記粘度算出手段が、前記第1測定手段により測定された輪郭形状S及び前記質量Mに基づき前記液滴の体積V、密度ρ及び表面張力σを算出する第1算出手段と、前記第2測定手段により測定された最大径D0及び通過時間ΔT並びに前記第1算出手段により算出された体積Vに基づき前記液滴の衝突速度U0を算出する第2算出手段とを備えることが好ましい(発明4)。

0011

従来、液体の主要物性である粘度、密度及び表面張力の計測には、それぞれに専用の計測器が用いられている。かかる発明(発明4)によれば、一度の計測で、液体の粘度だけでなく密度及び表面張力を同時に計測することができるので、効率的である。

0012

上記発明(発明4)においては、前記粘度算出手段が、前記第2測定手段により測定された最大径D0、前記第3測定手段により測定された最大濡れ広がり径Dwet、前記第1算出手段により算出された密度ρ及び前記第2算出手段により算出された衝突速度U0から、下記相関式(1)を用いて前記液体の粘度μを算出する第3算出手段をさらに備えることが好ましい(発明5)。




(式(1)中、Weはウェーバー数、Reはレイノルズ数、αは比例係数、βはオフセット値である。レイノルズ数Reとウェーバー数Weはそれぞれ、Re=ρU0D0/μ,We=ρU02D0/σである。)

0013

かかる発明(発明5)によれば、上記式(1)を用いて計測対象である液体の粘度を求めることができる。

0014

上記発明(発明4)においては、前記粘度算出手段が、前記第2測定手段により測定された最大径D0、前記第3測定手段により測定された最大広がり径Dmax及び最大濡れ広がり径Dwet、前記第1算出手段により算出された密度ρ及び前記第2算出手段により算出された衝突速度U0から、下記相関式(2)を用いて前記液体の粘度μを算出する第3算出手段をさらに備えることが好ましい(発明6)。




(式(2)中、Weはウェーバー数、Reはレイノルズ数、Bは比例係数である。レイノルズ数Reとウェーバー数Weはそれぞれ、Re=ρU0D0/μ,We=ρU02D0/σである。)

0015

かかる発明(発明6)によれば、上記式(2)を用いて計測対象である液体の粘度を求めることができる。

0016

上記発明(発明1−6)においては、前記液体が、凝固性を有する液体であることが好ましい(発明7)。

0017

上記発明(発明1−6)においては、前記液体が、高融点を有する材料の液体であるであることが好ましい(発明8)。

0018

第二に本発明は、液体を質量Mの液滴として所定高さに位置する滴下部から自由落下するように滴下させる滴下工程と、前記滴下部に対向して設けられた衝突部に、前記滴下部から滴下された前記液滴を衝突させる衝突工程と、前記滴下部から滴下時の前記液滴の状態を測定する第1測定工程と、前記衝突部へ衝突直前の前記液滴の状態を測定する第2測定工程と、前記衝突部に衝突後の前記液滴の状態を測定する第3測定工程と、前記第1測定工程で得られた測定結果、前記第2測定工程で得られた測定結果及び前記第3測定工程で得られた測定結果に基づき前記液体の粘度を算出する粘度算出工程とを備え、前記衝突部が、入射面、出射面及び反射面を有し、前記入射面から入射されたレーザ光を前記反射面で全反射させて前記出射面から出射させる全反射プリズムであり、前記第3測定工程が、前記全反射プリズムの反射面に衝突し、略円形状に変形した前記液滴の最大広がり径Dmax及び最大濡れ広がり径Dwetを測定するものである液体の粘度計測方法を提供する(発明9)。

0019

上記発明(発明9)においては、前記第1測定工程が、前記滴下部に懸垂し、自由落下する直前の前記液滴の輪郭形状Sを測定するものであることが好ましい(発明10)。

0020

上記発明(発明9,10)においては、前記第2測定工程が、前記全反射プリズムの反射面へ衝突直前の測定点における前記液滴の水平方向の最大径D0及び前記測定点を前記液滴が通過するのに要する通過時間ΔTを測定するものであることが好ましい(発明11)。

0021

上記発明(発明11)においては、前記第1測定工程が、前記滴下部に懸垂し、自由落下する直前の前記液滴の輪郭形状Sを測定するものであり、前記第2測定工程が、前記全反射プリズムの反射面へ衝突直前の測定点における前記液滴の水平方向の最大径D0及び前記測定点を前記液滴が通過するのに要する通過時間ΔTを測定するものであり、前記粘度算出工程が、前記第1測定工程で測定された輪郭形状S及び前記質量Mに基づき前記液滴の体積V、密度ρ及び表面張力σを算出する第1算出工程と、前記第2測定工程で測定された最大径D0及び通過時間ΔT並びに前記第1算出工程で算出された体積Vに基づき前記液滴の衝突速度U0を算出する第2算出工程とを備えることが好ましい(発明12)。

0022

上記発明(発明12)においては、前記粘度算出工程が、前記第2測定工程で測定された最大径D0、前記第3測定工程で測定された最大濡れ広がり径Dwet、前記第1算出工程で算出された密度ρ及び前記第2算出工程で算出された衝突速度U0から、下記相関式(1)を用いて前記液体の粘度μを算出する第3算出工程をさらに備えることが好ましい(発明13)。




(式(1)中、Weはウェーバー数、Reはレイノルズ数、αは比例係数、βはオフセット値である。レイノルズ数Reとウェーバー数Weはそれぞれ、Re=ρU0D0/μ,We=ρU02D0/σである。)

0023

上記発明(発明12)においては、前記粘度算出工程が、前記第2測定工程で測定された最大径D0、前記第3測定工程で測定された最大広がり径Dmax及び最大濡れ広がり径Dwet、前記第1算出工程で算出された密度ρ及び前記第2算出工程で算出された衝突速度U0から、下記相関式(2)を用いて前記液体の粘度μを算出する第3算出工程をさらに備えることが好ましい(発明14)。




(式(2)中、Weはウェーバー数、Reはレイノルズ数、Bは比例係数である。レイノルズ数Reとウェーバー数Weはそれぞれ、Re=ρU0D0/μ,We=ρU02D0/σである。)

0024

上記発明(発明9−13)においては、前記液体が、凝固性を有する液体であることが好ましい(発明15)。

0025

上記発明(発明9−13)においては、前記液体が、高融点を有する材料の液体であることが好ましい(発明16)。

発明の効果

0026

本発明の液体の粘度計測システム及び液体の粘度計測方法によれば、液体を液滴として自由落下させて衝突部へ衝突させるまでのわずかな時間で、第1測定手段、第2測定手段及び第3測定手段の測定結果から、液体の粘度を計測することができる。その結果、たとえ計測対象である液体が血液や塗料、接着剤のような凝固性を有するものや、金属やガラスのような多くの物性が温度や酸素濃度といった周囲環境の影響を強く受けるものであっても、正確な粘度計測が可能となる。また、一滴という極めて少ないサンプル量で液体の粘度を計測することができるので、十分なサンプル量を用意することが困難な液体の粘度計測にも利用でき、汎用性が高い。

0027

そして、衝突部が全反射プリズムであることにより、反射光と透過光の高コントラスト画像に基づき、液滴が全反射プリズムの反射面と接触している箇所と接触していない箇所とが明確化されるので、第3測定手段により、最大濡れ広がり径Dwetを高い精度で測定することができる。したがって、液滴が衝突部の表面に衝突して略円形状に広がる際に、液滴の衝突速度が十分に早い等の理由により、略円形状に変形した液滴の周辺部が衝突部の表面から離れたり、周辺部が分裂して微小液滴が放射状に飛散したりした場合であっても、正確に液体の粘度を計測することが可能となる。

図面の簡単な説明

0028

本発明の一実施形態に係る液体の粘度計測システムの構成を示す模式図である。
液滴が衝突部に衝突して略円形状に広がる際に、略円形状に変形した液滴の周縁部が衝突部の表面から離れた状態を示す模式図である。
衝突部へ衝突させた液滴の状態変化を示す模式図であって、(a)は衝突直前の状態、(b)は衝突後、慣性力によって略円形状に変形しつつある状態、(c)は略円形状への変形が最大に達した状態、(d)は(c)の後、表面張力等によって戻る方向に収縮し、平衡に達した状態を示している。
TIR法による液滴の最大濡れ広がり径Dwetの計測原理を示す模式図であって、(a)は全反射プリズムの反射面において広がる液滴の濡れ領域からの反射光強度減衰する様子を表す模式図を、(b)は全反射プリズムの出射面に沿う方向の濡れ領域画像の模式図を示している。
図1の液体の粘度計測システムが備える第3測定装置の測定結果を示すものであって、(a)は全反射プリズムの出射面に沿う方向の液滴画像、(b)は(a)の画像における直線上の輝度値の変化を示すグラフである。
水を用いた実験で得られた異なる衝突速度における最大径(Dmax,Dwet)と接触角θとの関係を示すグラフであって、(a)は最大濡れ広がり径Dwetと接触角θの関係、(b)は最大広がり径Dmaxと接触角θの関係を示している。
図6(a)に示す水を用いた実験結果にグリセリン水溶液の実験結果を追加して、縦軸をDwet/D0として、横軸をRe1/5We1/4としてプロットしたグラフであって、これら比較的表面張力の高い液体(表面張力:60−72mN/m)について、相関式(1)で表される関係性が成り立つことを示している。
イソプロパノール及びシリコーンオイルを用いた実験結果を、縦軸をDwet/D0として、横軸をRe1/5We1/4としてプロットしたグラフであって、これら比較的表面張力の低い液体(表面張力:約20mN/m)について、相関式(1)で表される関係性が成り立つことを示している。
広範囲の粘度、表面張力、接触角を有する液体について、相関式(2)で表される関係性が成り立つことを示すグラフである。
図9に示す各種条件における比例関係の比例係数を、液滴の膜厚hと衝突液滴内に形成される粘性境界層厚さδとの比の関数として表すグラフである。
相関式を用いて最大濡れ広がり径Dwetから類推する方法における例を示す図であって、(a)は水を用いた場合の最大濡れ広がり径Dwetと最大広がり径Dmaxの関係性を表すグラフ、(b)は(a)から導出される実験相関式を示している。
図1の液体の粘度計測システムが備える第1測定装置の測定結果を示す画像であって、(a)は、撮影された画像、(b)は(a)の画像を二値化した画像、(c)は(b)の画像から、滴下部に懸垂し、自由落下する直前の液滴の輪郭形状を抽出した画像である。
図1の液体の粘度計測システムが備える第2測定装置の測定結果を示す波形図であって、縦軸は第2測定装置によって検知された液滴の水平方向の長さ、横軸は時間である。
第2測定装置による液滴D2の最大径D0及び通過時間ΔTの求め方を示す図である。
図1の液体の粘度計測システムが備える第2測定装置の測定結果における最大径D0に相当する出力値ピーク)の欠損部分を示すグラフである。
図1の液体の粘度計測システムが備える粘度算出装置の構成を示すブロック図である。
図16の粘度算出装置による粘度算出工程の実行手順を示すフローチャートである。

実施例

0029

以下、本発明の液体の粘度計測システム及び液体の粘度計測方法の実施の形態について、適宜図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、何ら本発明を限定するものではない。

0030

〔粘度計測システム〕
図1は、本発明の一実施形態に係る液体の粘度計測システムの構成を示す模式図である。図1に示す液体の粘度計測システム10は、滴下部11を有する滴下機構1、衝突部2、第1測定装置31、第2測定装置32、第3測定装置33、粘度算出装置(不図示)を主に備える。なお、以下においては、説明を容易にするために、滴下部11に懸垂し、自由落下する直前の液滴DをD1、衝突直前の液滴DをD2、衝突部2に衝突し、略円形状への変形が最大に達した状態の液滴DをD3ということがある。

0031

〈最大広がり径Dmax,最大濡れ広がり径Dwet〉
図3は衝突部2へ衝突させた液滴Dの状態変化を示す模式図であって、(a)は衝突直前の状態、(b)は衝突後、慣性力によって略円形状に変形しつつある状態、(c)は略円形状への変形が最大に達した状態、(d)は(c)の後、表面張力等によって戻る方向に収縮し、平衡に達した状態を示している。このように、衝突部2へ衝突させた液滴Dは、通常、衝突の慣性力により略円形状に変形し、その変形が最大に達した後、表面張力等によって戻る方向に収縮し、平衡に達する。本発明において液滴Dの最大広がり径Dmaxとは、図3(c)に示す状態における略円形状に変形した液滴Dの最大径を意味する。

0032

そして、本発明において液滴Dの最大濡れ広がり径Dwetとは、図2に示すように、最大広がり径Dmaxに達した液滴Dが衝突部2の表面と接触している領域の最大径を意味する。液滴Dが衝突部2の表面に衝突して略円形状に広がる際、低衝突速度の場合には、接触角θが変化しても最大広がり径Dmaxと最大濡れ広がり径Dwetの差はほとんどないが、高衝突速度の場合には、接触角θが大きくなるにつれ、図2に示すように略円形状に変形した液滴Dの周縁部が衝突部2の表面から離れたり、周縁部が分裂して微小液滴が放射状に飛散したりするため、最大広がり径Dmaxと最大濡れ広がり径Dwetの差が顕著になる。なお、液滴Dの接触角θとは、図3(d)に示す、衝突後に表面張力等によって戻る方向に収縮し、平衡に達した状態の液滴Dの画像から求めることができる。

0033

図6は、水を用いた実験で得られた異なる衝突速度における最大径(Dmax,Dwet)と接触角θとの関係を示すグラフであって、(a)は最大濡れ広がり径Dwetと接触角θの関係、(b)は最大広がり径Dmaxと接触角θの関係を示している。図6より、最大広がり径Dmaxは、接触角θが大きくなるにつれて小さくなり、衝突速度が大きくなると減少率が徐々に小さくなる一方で、最大濡れ広がり径Dwetは、衝突速度を変えても減少率に差がないことが分かる。このことから、最大濡れ広がり径Dwetの減少は、衝突速度に依存せず、接触角θのみで表わすことができる。

0034

図7は、図6(a)に示す水を用いた実験結果にグリセリン水溶液の実験結果を追加して、縦軸をDwet/D0として、横軸をRe1/5We1/4としてプロットしたグラフであって、これら比較的表面張力の高い液体(表面張力:60−72mN/m)について、下記相関式(1)で表される関係性が成り立つことが示されている。図8は、イソプロパノール及びシリコーンオイルを用いた実験結果を、縦軸をDwet/D0として、横軸をRe1/5We1/4としてプロットしたグラフであって、これら比較的表面張力の低い液体(表面張力:約20mN/m)について、下記相関式(1)で表される関係性が成り立つことが示されている。図7及び図8より、Dwet/D0がRe1/5We1/4に比例すること、オフセット値βが接触角θによって決まることが分かる。なお、図7に挿入したグラフは、それぞれの接触角θとオフセット値βとの関係を表す。

0035

これらより、最大濡れ広がり径Dwetは、下記相関式(1)で示すことができる。




上記式(1)中、Weはウェーバー数、Reはレイノルズ数、αは比例係数、βはオフセット値である。レイノルズ数Reとウェーバー数Weはそれぞれ、Re=ρU0D0/μ,We=ρU02D0/σである。比例係数α図7及び図8におけるそれぞれの傾きを示すものであって、測定対象である液体によって変化する。オフセット値βは図6に挿入したグラフに示されるように、接触角θの増加に伴い単調減少する。

0036

上より、液体の粘性散逸は、最大広がり径Dmaxではなく、最大濡れ広がり径Dwetに影響を与えることから、粘性散逸を算出するための最大径として、周縁部が衝突部2の表面から浮いた状態の最大径(最大広がり径Dmax)を用いるのは不適切であり、最大広がり径Dmaxに達した液滴が衝突部の表面と接触している領域の最大径(最大濡れ広がり径Dwet)を用いる必要があることが分かる。

0037

なお、図9は、図7及び図8に示す実験結果にグリセリン水溶液(50mPas)を追加した実験結果から得られるグラフであり、これらより、液体の最大広がり径Dmaxと最大濡れ広がり径Dwetとの関係は、下記相関式(2)で示すことができる。




(式(2)中、Weはウェーバー数、Reはレイノルズ数、Bは比例係数である。レイノルズ数Reとウェーバー数Weはそれぞれ、Re=ρU0D0/μ,We=ρU02D0/σである。)

0038

ここで、比例係数Bは、図10に示すように、液滴の膜厚hと、衝突液滴内に形成される粘性境界層厚さδとの比の関数として表すことができ、h/δ=xとおくと、B=3.634x−1.349+0.5418と表すことができる。なお、h/δは、次元解析により、下記式(3)で示すことができ、これが図10における横軸である。

0039

また、液体の最大広がり径Dmaxの求め方としては、実験的に計測する方法と、相関式を用いて最大濡れ広がり径Dwetから類推する方法とが考えられる。実験的に計測する方法では、ダブプリズム(上面と下面の両方が平坦かつ透明なプリズム)を用いて、全反射光撮影と背景光撮影の両方を同時に行うことにより計測するのが好ましい。相関式を用いて最大濡れ広がり径Dwetから類推する方法では、実験結果に基づく最大濡れ広がり径Dwetと最大広がり径Dmaxの関係性を表すグラフから、実験相関式を導き出し、この実験相関式から最大濡れ広がり径Dwetから類推することができる。一例として、図11(a)に水を用いた場合の最大濡れ広がり径Dwetと最大広がり径Dmaxの関係性を表すグラフを、図11(b)に(a)から導出される実験相関式を示している。

0040

[滴下機構]
滴下機構1は、計測対象である液体を質量Mの液滴Dとして滴下するものであって、所定高さに位置する滴下部11を有する。液滴Dは、滴下部11から、自由落下するように滴下される。滴下機構1の構成としては、滴下部11から、計測対象である液体を液滴Dとして自由落下するように滴下することができるものであれば特に制限されず、本実施形態においては、液体を充填するためのシリンジシリンジポンプとシリンジポンプにつないだ注射針ニードル)とを有する滴下機構1において、ニードルを滴下部11として用いている。

0041

[衝突部]
衝突部2は、滴下部11から滴下された液滴Dを衝突させるためのものであり、滴下部11に対向して設けられる。衝突部2の材質としては、滴下部11から滴下された液滴Dを平面衝突させることができるものであれば特に制限されないが、本実施形態においては、衝突部2として、図1に示すように、入射面21a、出射面21b及び反射面21cを有し、入射面21aから入射されたレーザ光を反射面21cで全反射させて出射面21bから出射させる全反射プリズム21を用いている。

0042

液滴Dが衝突部2に衝突して略円形状に広がる際、略円形状に変形した液滴Dの周辺部が衝突部2の表面から離れたり、周辺部が分裂して微小液滴が放射状に飛散したりせず、すなわち、最大広がり径Dmaxと最大濡れ広がり径Dwetとが等しい値である場合には、衝突部2として、例えばアルミ製の平板を用いたとしても、粘性散逸を算出するための最大径(最大広がり径Dmax)を、後述する第3測定装置33によって正確に測定することが可能である。しかしながら、略円形状に変形した液滴Dの周辺部がアルミ製の平板の表面から離れたり、周辺部が分裂して微小液滴が放射状に飛散したりした場合には、アルミ製の平板の表面において最大広がり径Dmaxと最大濡れ広がり径Dwetとを、第3測定装置33によって区別することは非常に困難であるため、粘性散逸を算出するための最大径(最大濡れ広がり径Dwet)を、第3測定装置33によって正確に測定することが難しい。

0043

このような場合には、本実施形態のように、衝突部2として全反射プリズム21を用いることで、全反射プリズム21の反射面21cの上側が空気であれば、臨界角以上で入射面21aに入射したレーザ光が全反射するため、第3測定装置33において反射光を明るい像として得ることができる。一方で、液滴Dの液体の屈折率は空気の屈折率より高いことから、液滴Dが全反射プリズム21の反射面21cと接触すると、レーザ光が液滴Dを通過するため、第3測定装置33において反射光は暗い像として得られる。

0044

図4は、TIR(Total Internal Reglection)法と呼ばれる全反射を利用したプリズムの表面極近傍の流体運動を計測する方法の原理を示す模式図であって、(a)は全反射プリズムの反射面において広がる液滴の濡れ領域からの反射光強度が減衰する様子を表す模式図を、(b)は全反射プリズムの出射面に沿う方向の濡れ領域画像の模式図を示している。TIR法を利用すると、略円形状への変形が最大に達した状態の液滴D3の最大濡れ広がり径Dwetを測定することが可能となる。なお、この方法を利用した場合、プリズム斜面に沿う方向のTIR画像縮小されるため、全反射プリズムの出射面に沿う方向の液滴画像は、実際は、図5(a)に示すように楕円になる。

0045

このように、衝突部2が全反射プリズム21であることにより、反射光と透過光の高コントラスト画像に基づき、液滴Dが全反射プリズム21の反射面21cと接触している箇所と接触していない箇所とが明確化されるので、第3測定装置33により、最大濡れ広がり径Dwetを高い精度で測定することができる。したがって、液滴Dが衝突部2に衝突して略円形状に広がる際に、液滴Dの衝突速度が十分に大きい等の理由により、略円形状に変形した液滴Dの周辺部が衝突部2の表面から離れたり、周辺部が分裂して微小液滴が放射状に飛散したりした場合であっても、正確に液体の粘度を計測することが可能となる。

0046

本実施形態において、全反射プリズム21は、滴下部11から垂直方向に離間して配置されている。滴下部11と全反射プリズム21の反射面21cとの離間距離は、概ね10cmから40cmの範囲であることが好ましく、10cm程度であることがより好ましい。

0047

滴下部11と全反射プリズム21の反射面21cとの離間距離が大きくなると、それだけ運動エネルギが増加するが、運動エネルギが大きすぎる場合には、液滴Dが全反射プリズム21の反射面21cに衝突する衝撃で、略円形状に変形した液滴Dの周辺部が分裂して微小液滴が放射状に飛散し、いわゆるスプラッシュが生じてしまう。スプラッシュによる衝突液滴の周縁部の微細な液滴への分裂が大きすぎると、上述のように、液滴Dの最大濡れ広がり径Dwetの測定に支障をきたすおそれがある。一方で、滴下部11と全反射プリズム21の反射面21cとの離間距離が小さくなると、それだけ運動エネルギが減少するが、運動エネルギが小さすぎる場合には、全反射プリズム21の反射面21cに衝突した液滴Dは、上述の濡れ性のみによって広がり平衡状態となるため、液滴Dの最大濡れ広がり径Dwetの測定に支障をきたすおそれがある。したがって、測定対象である液体に応じて、滴下部11と衝突部2との離間距離は適切に設定される必要がある。

0048

なお、衝突部2として全反射プリズム21を用いる場合には、全反射プリズム21の反射面21cにスライドガラスを設置し、このスライドガラスに対して、滴下部11から滴下された液滴Dを衝突させてもよい。このとき、全反射プリズム21の反射面21cとスライドガラスとの間には、空気層による光の反射及び屈折を低下するために、薄く延ばしたグリセリンを挟むのが好ましい。

0049

[第1測定装置]
第1測定装置31は、滴下部11に懸垂し、自由落下する直前の液滴D1の輪郭形状Sを測定するものである。第1測定装置31の構成としては、液滴D1の輪郭形状Sを測定できれば特に制限されず、本実施形態においては、長距離顕微鏡とこれに接続したデジタルカメラを有する第1測定装置31において、デジタルカメラのムービー撮影撮影速度60fps)で撮影した画像に基づき、液滴D1の輪郭形状Sを求めている。上記長距離顕微鏡及びデジタルカメラとしては、公知又は市販のものが使用できる。また、本実施形態において、第1測定装置31は、図1に示すように、液滴D1を照射するためのLEDライト等の光源を備えている。第1測定装置31は、この光源から射出された光を十分に拡散させるためのディフューザーをさらに備えていてもよい。

0050

ここで、図11は、第1測定装置31の測定結果を示す画像であって、(a)は、第1測定装置31のデジタルカメラにより撮影された画像、(b)は(a)の画像を二値化した画像、(c)は(b)の画像から輪郭形状Sを抽出した画像である。このように、本実施形態において、第1測定装置31は、デジタルカメラにより撮影された液滴D1の画像を二値化した後、この二値化した画像の輪郭を抽出することにより、液滴D1の輪郭形状Sを求めている。

0051

[第2測定装置]
第2測定装置32は、衝突部2としての全反射プリズム21の反射面21cへの衝突直前の測定点Aにおける液滴D2の水平方向の最大径D0及び測定点Aを液滴D2が通過するのに要する通過時間ΔTを測定するものである。第2測定装置32の構成としては、測定点Aにおける液滴D2の水平方向の最大径D0及び測定点Aを液滴D2が通過する通過時間ΔTを測定できれば特に制限されない。本実施形態においては、第2測定装置32の構成として、測定点Aを間に挟んで一方の位置に配置されたレーザ光源と、他方の位置に配置されたレーザ受光器とで構成される透過型レーザセンサを用いている。

0052

ここで、図13は、第2測定装置32の透過型レーザセンサの挙動の変化を示す波形図であって、縦軸は透過型レーザセンサによって検知された液滴D2の水平方向の長さ、横軸は時間である。なお、図13においては、理解を容易にするために、上記波形図の横軸に対応させて、上記透過型レーザセンサと落下する液滴Dの位置関係を示している。

0053

本実施形態において、第2測定装置32は、図14(a)に示すように、楕円の式を積分した式に基づき液滴径及び通過速度を求めた上で、図14(b)に示すように、これらの値をa、b、Uを変数として、非線形最小二乗法により実験値フィッティングさせることにより、測定点Aを通過した液滴D2の最大径D0及び通過時間ΔTを求めている。このように、第3測定装置32としてレーザセンサのみを用いた場合には、高精度に最大径D0及び通過時間ΔTを測定することができるとともに、ハイスピードカメラを用いた場合に比べて、全体としての大幅なコスト減を達成することが可能となる。上記透過型レーザセンサとしては、公知又は市販のものが使用できる。

0054

なお、粘度計測対象である液体が透明である場合には、上記透過型レーザセンサから照射されるレーザ光が液滴D2を透過してしまい、図15に示すように、最大径D0に相当する出力値(ピーク)が欠損してしまうことがある。この場合には、図14(b)に示すように、ピークの欠損部分を、楕円の式を積分した式で補間することにより、最大径D0に相当する出力値を正確に求めることができる。

0055

[第3測定装置]
第3測定装置33は、衝突部2としての全反射プリズム21の反射面21cに衝突し、略円形状への変形が最大に達した状態の液滴D3の最大広がり径Dmax及び最大濡れ広がり径Dwetを測定するものである。上述のように、全反射プリズム21の反射面21cに衝突した液滴Dは、通常、図3に示すように、慣性力により略円形状に広がり、最大広がり径Dmaxに達した後、表面張力等により戻る方向に収縮して平衡状態となるが、液滴Dの衝突速度が十分に早い場合等、一定の条件下においては、図2に示すように、略円形状に変形した液滴Dの周縁部が全反射プリズム21の反射面21cから離れたり、周縁部が分裂して微小液滴が放射状に飛散したりすることがある。このような場合、粘性散逸を算出するための最大径としては、上述のように、周縁部が全反射プリズム21の反射面21cから浮いた状態の最大径(最大広がり径Dmax)ではなく、図2及び図4(a)に示すような、最大広がり径Dmaxに達した液滴Dが全反射プリズム21の反射面21cと接触している領域の最大径(最大濡れ広がり径Dwet)を用いる必要がある。

0056

第3測定装置33によれば、略円形状に変形した液滴Dの周辺部が全反射プリズム21の反射面21cから離れたり、周辺部が分裂して微小液滴が放射状に飛散したりした場合であっても、全反射プリズム21における入射光と透過光の高コントラスト画像に基づき、液滴D3の最大濡れ広がり径Dwetを高い精度で測定することができる。

0057

第3測定装置33の構成としては、図2及び図4(a)に示す、略円形状への変形が最大に達した状態の液滴D3の最大広がり径Dmax及び最大濡れ広がり径Dwetを測定することができれば特に制限されない。本実施形態において、最大広がり径Dmaxを求めるに当たっては、カメラを有する第3測定装置33において、図5(a)に示す長時間露光により撮影した反射光と透過光の高コントラスト画像を用いて、図5(b)に示す赤線上の輝度値の変化に基づき、最大濡れ広がり径Dwetを求めている。このように、本実施形態においては、TIR法と長時間露光とを組み合わせて用いている。

0058

図5(b)の輝度値の変化を示すグラフから分かるように、液滴D3の長時間露光画像を用いることで、最大濡れ広がり径Dwetを高コントラストで得ることができる。なお、露光時間としては、高コントラスト画像が得られれば特に制限されるものではない。図5(a)に示す画像は、レーザセンサのシートレーザを液滴が通過してから27ms後に、露光時間5msにて撮影したものであるが、これら通過時間及び露光時間は、レーザセンサの高さによって変化する値である。なお、上記カメラとしては、画素数の多い汎用の産業用カメラが使用できる。

0059

このように、第3測定装置33としてカメラを用いた場合には、より高コントラストな画像を得ることができるとともに、ハイスピードカメラを用いた場合に比べて、全体としての大幅なコスト減を達成することが可能となる。なお、本実施形態において、第3測定装置33は、図1に示されるように、全反射プリズム21の反射面21cの極近傍を観察する第3測定装置33aと、全反射プリズム21の出射面21bに沿う方向を観察する第3測定装置33bとにより構成されている。このように、図4に示すように、全反射プリズム21の反射面21c及び出射面21bの両方において液滴Dの画像を観察することで、より高い精度で最大濡れ広がり径Dwetを測定することができる。

0060

また、本実施形態において、第3測定装置33は、図1に示すように、全反射プリズム21の入射面21aにレーザ光を入射させるための光源(不図示)をさらに備えている。光源としては、例えば、緑色半導体レーザを用いることができる。

0061

[粘度算出装置]
粘度算出装置(不図示)は、第1測定装置31の測定結果、第2測定装置32の測定結果及び第3測定装置33の測定結果に基づき、測定対象である液体の粘度を算出するものである。本実施形態において、粘度算出装置は、第1算出手段、第2算出手段、第3算出手段を備える。なお、粘度算出装置の具体的な構成については、実行手順とともに後述する。

0062

(第1算出手段)
第1算出手段は、第1測定装置31により測定された輪郭形状S及び液滴Dの質量Mに基づき液滴Dの体積V、密度ρ及び表面張力σを算出するものである。第1算出手段による液滴Dの体積V、密度ρ及び表面張力σの算出方法について、図8を参照しつつ以下詳説する。

0063

滴下部11に懸垂し、自由落下する直前の液滴D1の体積Vは、第1測定装置31により測定された、図8(c)に示す輪郭形状Sにおいて、これと同じ幅で、全高さにおいて1pixelの高さをもつ円柱仮定し、この円柱の体積を求め、これらを足し合わせることにより求めることができる。

0064

液滴D1の密度ρは、上記手法により求められた液滴D1の体積Vと予め測定された液滴Dの質量Mから求めることができる。

0065

液滴D1の表面張力σは、図11(b)に示す画像において、液滴D1の外径に真円を合せることで最大径deを、液滴D1の最下端から最大径分だけ高い位置における径dsを、それぞれ測定し、このde及びdsの値と上記手法により求められた液滴D1の密度ρに基づき、Fordhamによる静水圧ラプラス圧釣り合いから表面張力を求める下記式(4)(Fordham,On the Calculation of Surface Tension from Measurements of Pendant Drops,Proc. R. Soc. Lond. A 194(1948),pp.1−16)を用いて求めることができる。




(式(4)中、Jはds/deから求められる補正係数であり、gは重力加速度である。)

0066

(第2算出手段)
第2算出手段は、第2測定装置32により測定された最大径D0及び通過時間ΔT並びに第1算出手段により算出された体積Vに基づき液滴Dの衝突速度U0を算出するものである。第2算出手段による液滴Dの衝突速度U0の算出方法について、図3を参照しつつ以下詳説する。

0067

液滴D2の衝突速度U0は、第2測定装置32により測定された最大径D0と第1算出手段により算出された体積Vから、図3(a)に示す衝突直前のやや扁球となった液滴D2の高さ(垂直方向の最大径)hを計算し、この高さhと第2測定装置32により測定された通過時間ΔTとから求めることができる。

0068

(第3算出手段)
第3算出手段は、第2測定装置32により測定された最大径D0、第3測定装置33により測定された最大濡れ広がり径Dwet、第1算出手段により算出された密度ρ及び第2算出手段により算出された衝突速度U0から、下記相関式(1)を用いて、計測対象である液体の粘度μを算出するものである。




上記式(1)中、Weはウェーバー数、Reはレイノルズ数、αは比例係数、βはオフセット値である。レイノルズ数Reとウェーバー数Weはそれぞれ、Re=ρU0D0/μ,We=ρU02D0/σである。比例係数αは図7及び図8におけるそれぞれの傾きを示すものであって、測定対象である液体によって変化する。オフセット値βは図6に挿入したグラフに示されるように、接触角θの増加に伴い単調減少する。

0069

また、第3算出手段は、第2測定装置32により測定された最大径D0、第3測定装置33により測定された最大広がり径Dmax及び最大濡れ広がり径Dwet、第1算出手段により算出された密度ρ及び第2算出手段により算出された衝突速度U0から、下記相関式(2)を用いて、計測対象である液体の粘度μを算出するものであってもよい。




上記式(2)中、Weはウェーバー数、Reはレイノルズ数、Bは比例係数である。レイノルズ数Reとウェーバー数Weはそれぞれ、Re=ρU0D0/μ,We=ρU02D0/σである。

0070

〔液体の粘度計測方法〕
次に、上述したような本実施形態の液体の粘度計測システム10を用いた液体の粘度計測方法について、図1を参照しつつ説明する。

0071

まず、計測対象である液体を質量Mの液滴Dとして所定高さに位置する滴下部11から自由落下するように滴下させるために、液滴Dを滴下部11としてのニードルの先端に懸垂させる。

0072

次に、第1測定装置31によって、滴下部11に懸垂し、自由落下する直前の液滴D1の輪郭形状Sを測定する(第1測定工程)。

0073

第1測定工程後、液滴Dを、滴下部11から滴下し、自由落下させる(滴下工程)。第2測定装置32によって、衝突部2としての全反射プリズム21の反射面21cへの衝突直前の測定点Aにおける液滴D2の水平方向の最大径D0及び測定点Aを液滴D2が通過するのに要する通過時間ΔTを測定する(第2測定工程)。

0074

第2測定工程直後、液滴Dは、滴下部11から垂直方向に離間して配置された全反射プリズム21の反射面21cに衝突する(衝突工程)。

0075

衝突工程後、第3測定装置33によって、全反射プリズム21の反射面21cに衝突し、略円形状への変形が最大に達した状態の液滴D3の最大広がり径Dmax及び最大濡れ広がり径Dwetを測定する(第3測定工程)。なお、このとき、液滴Dが全反射プリズム21の反射面21cに衝突して略円形状に広がる際、略円形状に変形した液滴Dの周辺部のリム(縁)部分が全反射プリズム21の反射面21cから離れたり、リム部分が分裂して微小液滴が放射状に飛散したりしない場合には、最大広がり径Dmaxと最大濡れ広がり径Dwetとが等しい値となる。

0076

上記工程がすべて終了した後又は上記工程と並行して、粘度算出装置によって以下の通り、粘度算出工程が行われる。

0077

まず、第1算出手段によって、第1測定工程で測定された輪郭形状S及び液滴Dの質量Mに基づき液滴Dの体積V、密度ρ及び表面張力σが算出される(第1算出工程)。次に、第2算出手段によって、第2測定工程で測定された最大径D0及び通過時間ΔT並びに第1算出工程で算出された体積Vに基づき液滴Dの衝突速度U0が算出される(第2算出工程)。

0078

最終的に、第3算出手段によって、第2測定工程で測定された最大径D0、第3測定工程で測定された最大濡れ広がり径Dwet、第1算出工程で算出された密度ρ及び第2算出工程で算出された衝突速度U0から、下記式(1)を用いて、計測対象である液体の粘度μが算出される(第3算出工程)。




上記式(1)中、Weはウェーバー数、Reはレイノルズ数、αは比例係数、βはオフセット値である。レイノルズ数Reとウェーバー数Weはそれぞれ、Re=ρU0D0/μ,We=ρU02D0/σである。比例係数αは図7及び図8におけるそれぞれの傾きを示すものであって、測定対象である液体によって変化する。オフセット値βは図6に挿入したグラフに示されるように、接触角θの増加に伴い単調減少する。

0079

また、第3算出工程は、第3算出手段によって、第2測定工程で測定された最大径D0、第3測定工程で測定された最大広がり径Dmax及び最大濡れ広がり径Dwet、第1算出工程で算出された密度ρ及び第2算出工程で算出された衝突速度U0から、下記相関式(2)を用いて、計測対象である液体の粘度μを算出するものであってもよい。




上記式(2)中、Weはウェーバー数、Reはレイノルズ数、Bは比例係数である。レイノルズ数Reとウェーバー数Weはそれぞれ、Re=ρU0D0/μ,We=ρU02D0/σである。

0080

本発明においては、上述の粘度算出工程を、例えばプログラムとして用いてコンピュータ(例えば汎用のパーソナルコンピュータ等)に実行させることができる。このプログラムは、上記粘度算出工程を用いていれば特に限定されず、公知の手段を用いて作成されてもよい。

0081

以下、上記プログラムをコンピュータに実行させる態様につき、図16及び図17に基づき説明するが、本発明はこれら図面に記載の内容に限定されるものではない。

0082

図16は、本発明の一実施形態係る液体の粘度計測システム10が備える粘度算出装置の構成を示すブロック図である。演算部100はCPUを備え、入力部101、記憶部102、プログラムメモリ103及び表示部104と接続されている。入力部101は、例えば、キーボードタッチパネル等からなり、文字数値等を入力可能に構成されている。また、入力部101は、3つの測定装置(第1測定装置31、第2測定装置32、第3測定装置33)と直接または間接的に接続されていて、各測定装置から発信された測定データを入力部101が受信するように構成されていてもよい。記憶部102は、プログラムを使用するに際して、所定の情報を記憶する。プログラムメモリ103には、上記式(1)、(2)及び(3)等の数式データを含む動作プログラムが格納されている。演算部100では、入力部101で入力された測定データを、プログラムメモリ103に格納されている数式等にあてはめ、液体の粘度を算出する。

0083

図17は、上記のプログラムの実行手順を示すフローチャートである。まず3つの測定装置(第1測定装置31、第2測定装置32、第3測定装置33)の測定データを入力する(201)。入力された測定データが不適合である場合には、エラーとなり、入力をし直す。次に、入力された測定データを上述の粘度算出工程の上記式(1)等にあてはめて液体の粘度を算出する(202)。具体的には、入力された測定データに基づき、まず第1算出工程が行われ、次に、第1算出工程で得られた算出データを加えて、第2算出工程が行われる。さらに、第1算出工程で得られた算出データ及び第2算出工程で得られた算出データを加えて、上記式(1)を用いて第3算出工程が行われる。このとき、算出結果が、例えば負の値等の場合にはエラーとなり、再度、入力からやり直す。算出結果が正常である場合には、算出結果を表示する(203)。

0084

なお、上述の実施形態では、図16に記載の機能ブロックが、CPUのプログラムにより主としてソフトウェア的に実現される例について述べたが、電子部品により主としてハードウェア的に実現されるものであってもよい。

0085

以上、本発明について図面を参照にして説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更実施が可能である。例えば、上記実施形態においては、第3測定装置33として、カメラを用いて長時間露光することにより測定しているが、これに限られず、例えば、第1測定装置31と同様に、長距離顕微鏡とこれに接続したハイスピードカメラを用いてもよい。また、上記実施形態においては、第2測定装置32として、測定点Aを間に挟んで一方の位置に配置されたレーザ光源と、他方の位置に配置されたレーザ受光器とで構成される透過型レーザセンサのみを用いているが、これに限られず、例えば、ハイスピードカメラを用いて、図13に示す波形図から、測定点Aを通過した液滴D2の水平方向の長さの値のうちの最大値に基づき最大径D0を求め、測定点Aを液滴D2が通過するのに要した時間から通過時間ΔTを求めてもよい。さらに、粘度測定システム10は、滴下部11に対する振動や揚力、風等の外力の影響による液滴Dの測定誤差の発生を防止する観点から、粘度測定システム10全体がグローブボックス内に設置されるものであってもよい。

0086

以上説明したように、本発明の液体の粘度計測システム及び液体の粘度計測方法によれば、液体を液滴として自由落下させて衝突部へ衝突させるまでのわずかな時間で、第1測定手段、第2測定手段及び第3測定手段の測定結果から、液体の粘度を計測することができる。その結果、たとえ計測対象である液体が血液や塗料、接着剤のような凝固性を有するものや、金属やガラスのような多くの物性が温度や酸素濃度といった周囲環境の影響を強く受けるものであっても、正確な粘度計測が可能となる。また、一滴という極めて少ないサンプル量で液体の粘度を計測することができるので、十分なサンプル量を用意することが困難な液体の粘度計測にも利用でき、汎用性が高い。

0087

そして、衝突部が全反射プリズムであることにより、反射光と透過光の高コントラスト画像に基づき、液滴が全反射プリズムの反射面と接触している箇所と接触していない箇所とが明確化されるので、第3測定手段により、最大濡れ広がり径Dwetを高い精度で測定することができる。したがって、液滴が衝突部の表面に衝突して略円形状に広がる際に、液滴の衝突速度が十分に早い等の理由により、略円形状に変形した液滴の周辺部が衝突部の表面から離れたり、周辺部が分裂して微小液滴が放射状に飛散したりした場合であっても、正確に液体の粘度を計測することが可能となる。

0088

本発明は、特に、血液や塗料、接着剤のような凝固性を有する液体、金属やガラス等の高融点材料の粘度を計測するためのシステム及び方法として有用である。また、従来、別々の計測器が必要とされる、液体の主要物性である粘度、表面張力及び密度を一度の計測で求めることができるので有用である。

0089

10液体の粘度計測システム
1滴下機構
11滴下部
2衝突部
21全反射プリズム
21a入射面
21b出射面
21c反射面
31 第1測定装置
32 第2測定装置
33 第3測定装置
A衝突直前の液滴Dの測定点
D(D1,D2,D3)液滴
D0衝突直前の液滴Dの水平方向の最大径
Dmax 衝突後の液滴Dの最大広がり径
Dwet 衝突後の液滴Dの最大濡れ広がり径

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