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技術 トルクロッド

出願人 本田技研工業株式会社
発明者 伊藤優歩井上敏郎
出願日 2019年2月15日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-025087
公開日 2020年8月31日 (2ヶ月経過) 公開番号 2020-133698
状態 未査定
技術分野 防振装置 車両の推進装置の配置または取付け
主要キーワード 高剛性状態 乗り味 低剛性状態 介装部材 静トルク 主荷重 線形バネ ブッシュ部材
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年8月31日)のものです。
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図面 (9)

課題

車両の運転状態に応じて剛性を制御して、乗り味性能と振動騒音性能との両立を図ることができるようにする。

解決手段

ロッド本体11と、このロッド本体の一端側において車体側の部材(8)にボルト22を介して固定されるブッシュ部材21と、磁性エラストマ材料からなる可変弾性部材31と、この可変弾性部材に磁界印加するコイル32とを備え、可変弾性部材は、ロッド本体とブッシュ部材との間に軸方向に挟み込まれた状態で設けられている。特に、ブッシュ部材は、ボルトが挿通される内側筒状部25と、この内側筒状部の軸方向の両端に設けられた1対のフランジ部26とを有し、可変弾性部材は、ロッド本体の一端側に設けられた外側環状部16とフランジ部との間に挟み込まれた状態で設けられ、コイルは、内側筒状部の外周側に設けられ、ブッシュ部材および外側環状部は、磁性体材料で形成されている。

概要

背景

自動車では、2つのエンジンマウントサイドマウントおよびトランスマウント)とトルクロッドとでエンジンを支持するエンジン支持構造が普及している。具体的には、エンジンと一体的なミッションを含めたパワープラント全体の慣性主軸上に、エンジンの主荷重自重)を受ける2つのエンジンマウントを配置し、エンジンの駆動トルクなどによるロール軸(慣性主軸)周りのエンジンの揺動をトルクロッドにより規制するようにしている。このエンジン支持構造では、簡素な構成で軽量化が可能になるため、燃費性能の向上を図ることができるという利点がある。

一方、トルクロッドは、エンジン側の振動を車体に伝達して車室内騒音や振動の原因になることから、トルクロッドに起因する騒音や振動を抑制することが望まれる。このようなトルクロッドの振動騒音性能に関する技術として、従来、トルクロッドにダイナミックダンパーを設け、慣性力により振動を相殺することで、トルクロッドを介してエンジンから車体に伝達される振動を低減する技術が知られている(特許文献1〜3参照)。

概要

車両の運転状態に応じて剛性を制御して、乗り味性能と振動騒音性能との両立をることができるようにする。ロッド本体11と、このロッド本体の一端側において車体側の部材(8)にボルト22を介して固定されるブッシュ部材21と、磁性エラストマ材料からなる可変弾性部材31と、この可変弾性部材に磁界印加するコイル32とを備え、可変弾性部材は、ロッド本体とブッシュ部材との間に軸方向に挟み込まれた状態で設けられている。特に、ブッシュ部材は、ボルトが挿通される内側筒状部25と、この内側筒状部の軸方向の両端に設けられた1対のフランジ部26とを有し、可変弾性部材は、ロッド本体の一端側に設けられた外側環状部16とフランジ部との間に挟み込まれた状態で設けられ、コイルは、内側筒状部の外周側に設けられ、ブッシュ部材および外側環状部は、磁性体材料で形成されている。

目的

本発明は、このような背景に鑑み、車両の運転状態に応じて剛性を制御して、乗り味性能と振動騒音性能との両立を図ることができるトルクロッドを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

車体とエンジンとを連結して車体に対するエンジンの変位規制するトルクロッドであって、ロッド本体と、このロッド本体の一端側において車体側あるいはエンジン側の部材にボルトを介して固定されるブッシュ部材と、磁性エラストマ材料からなる可変弾性部材と、この可変弾性部材に磁界印加するコイルとを備え、前記可変弾性部材は、前記ロッド本体と前記ブッシュ部材との間に前記ブッシュ部材の軸方向に挟み込まれた状態で設けられていることを特徴とするトルクロッド。

請求項2

前記ブッシュ部材は、前記ボルトが挿通される内側筒状部と、この内側筒状部の軸方向の両端に設けられた1対のフランジ部とを有し、前記可変弾性部材は、前記ロッド本体の一端側に設けられた外側環状部と前記フランジ部との間に挟み込まれた状態で設けられ、前記コイルは、前記内側筒状部の外周側に設けられ、前記ブッシュ部材および前記外側環状部は、磁性体材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトルクロッド。

請求項3

前記可変弾性部材は、前記ブッシュ部材の軸方向に磁性粒子を配列させた状態に形成され、前記コイルにより発生する磁束が軸方向に通過することで、前記ブッシュ部材の径方向せん断変形する際の弾性特性が変化することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトルクロッド。

請求項4

前記可変弾性部材は、磁性体板材を挟んで、前記ブッシュ部材の軸方向に複数積層された状態で設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のトルクロッド。

請求項5

さらに、定弾性部材を有し、この定弾性部材は、前記ロッド本体と前記ブッシュ部材との間に径方向に挟み込まれた状態で設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のトルクロッド。

請求項6

さらに、定弾性部材を有し、前記定弾性部材は、前記ロッド本体と前記ブッシュ部材との間に前記ブッシュ部材の軸方向に挟み込まれた状態で設けられ、前記可変弾性部材は、前記ブッシュ部材の外周側における前記ロッド本体の軸線方向の両側に1対設けられ、前記定弾性部材は、前記ブッシュ部材の外周側における前記ロッド本体の軸線方向に直交する方向の両側に1対設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のトルクロッド。

請求項7

さらに、定弾性部材を有し、前記定弾性部材は、前記ブッシュ部材の軸方向の中心部において、前記ロッド本体と前記ブッシュ部材との間に径方向に挟み込まれた状態で設けられ、前記可変弾性部材は、前記定弾性部材を挟んで前記ブッシュ部材の軸方向の両側に1対設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のトルクロッド。

技術分野

0001

本発明は、車体とエンジンとを連結して車体に対するエンジンの変位規制するトルクロッドに関するものである。

背景技術

0002

自動車では、2つのエンジンマウントサイドマウントおよびトランスマウント)とトルクロッドとでエンジンを支持するエンジン支持構造が普及している。具体的には、エンジンと一体的なミッションを含めたパワープラント全体の慣性主軸上に、エンジンの主荷重自重)を受ける2つのエンジンマウントを配置し、エンジンの駆動トルクなどによるロール軸(慣性主軸)周りのエンジンの揺動をトルクロッドにより規制するようにしている。このエンジン支持構造では、簡素な構成で軽量化が可能になるため、燃費性能の向上を図ることができるという利点がある。

0003

一方、トルクロッドは、エンジン側の振動を車体に伝達して車室内騒音や振動の原因になることから、トルクロッドに起因する騒音や振動を抑制することが望まれる。このようなトルクロッドの振動騒音性能に関する技術として、従来、トルクロッドにダイナミックダンパーを設け、慣性力により振動を相殺することで、トルクロッドを介してエンジンから車体に伝達される振動を低減する技術が知られている(特許文献1〜3参照)。

先行技術

0004

特開2016−044717号公報
特開2016−016764号公報
特開2015−121254号公報

発明が解決しようとする課題

0005

さて、トルクロッドには騒音振動性能が求められるが、この他に、トルクロッドの剛性が、ハンドリング性能などの乗り味性能に影響を及ぼす。すなわち、トルクロッドの剛性が高く設定されていると、エンジンの揺動を抑えることができるため、乗り味性能(ハンドリング性能など)を高めることができるが、エンジンからトルクロッドを介して車体に伝達される振動を十分に抑制できないため、振動騒音性能が低下するという不具合がある。一方、トルクロッドの剛性が低く設定されていると、エンジンからトルクロッドを介して車体に伝達される振動を効果的に抑制できるため、振動騒音性能を高めることができるが、エンジンの揺動を十分に抑えることができないため、乗り味性能が低下するという不具合がある。

0006

このようにトルクロッドの振動騒音性能と乗り味性能とは二律背反し、振動騒音性能と乗り味性能とを両立させることが難しいという問題があった。そこで、剛性が変化するようにトルクロッドを構成して、車両の運転状態に応じてトルクロッドの剛性を制御することが望まれる。

0007

しかしながら、このような要望に対して、前記従来技術は、磁性エラストマ材料でダイナミックダンパーを構成するものであり、騒音振動性能の向上を図ることができるが、ハンドリング性能などの乗り味性能の向上を図ることができないという問題があった。

0008

本発明は、このような背景に鑑み、車両の運転状態に応じて剛性を制御して、乗り味性能と振動騒音性能との両立を図ることができるトルクロッドを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

このような課題を解決するために、本発明のある実施形態は、車体(2)とエンジン(3)とを連結して車体に対するエンジンの変位を規制するトルクロッド(1、101、201、301)であって、ロッド本体(11、211、307)と、このロッド本体の一端側において車体側あるいはエンジン側の部材にボルト(22)を介して固定されるブッシュ部材(21、203、303)と、磁性エラストマ材料からなる可変弾性部材(31、204、322)と、この可変弾性部材に磁界印加するコイル(32、205、323)とを備え、前記可変弾性部材は、前記ロッド本体と前記ブッシュ部材との間に前記ブッシュ部材の軸方向に挟み込まれた状態で設けられている。

0010

この構成によれば、コイルの電流を調整することで、トルクロッドの剛性を車両の運転状態に応じて制御することができる。すなわち、乗り味性能(ハンドリング性能など)を重視すべき場面では、トルクロッドの剛性を高めることで、ハンドリング性能を向上させることができる。一方、乗り味性能を重視する必要のない場面では、トルクロッドの剛性を低くすることで、エンジンからトルクロッドを介して車体に伝達される振動を効果的に抑制できるため、車室内の騒音や振動を低減することができる。これにより、乗り味性能と振動騒音性能とを両立することができる。

0011

また、上記構成において、前記ブッシュ部材(21、203、303)は、前記ボルト(22)が挿通される内側筒状部(25、206、331)と、この内側筒状部の軸方向の両端に設けられた1対のフランジ部(26、207、332)とを有し、前記可変弾性部材(31、204、322)は、前記ロッド本体(11、211、307)の一端側に設けられた外側環状部(16、212、308)と前記フランジ部との間に挟み込まれた状態で設けられ、前記コイル(32、205、323)は、前記内側筒状部の外周側に設けられ、前記ブッシュ部材および前記外側環状部は、磁性体材料で形成されているとよい。

0012

この構成によれば、コイルから発生する磁束が、ブッシュ部材の内側筒状部およびフランジ部により導かれるため、コイルから発生した磁束を効率よく可変弾性部材に通過させることができる。

0013

また、上記構成において、前記可変弾性部材(31、204、322)は、前記ブッシュ部材(21、203、303)の軸方向に磁性粒子を配列させた状態に形成され、前記コイル(32、205、323)により発生する磁束が軸方向に通過することで、前記ブッシュ部材の径方向せん断変形する際の弾性特性が変化するとよい。

0014

この構成によれば、可変弾性部材のせん断方向の優れた弾性特性により、トルクロッドの剛性を効率よく制御することができる。

0015

また、上記構成において、前記可変弾性部材(31)は、磁性体板材(33)を挟んで、前記ブッシュ部材(21)の軸方向に複数積層された状態で設けられているとよい。

0016

この構成によれば、可変弾性部材を積層することで、可変弾性部材による層が全体として厚くなるため、ロッド本体とブッシュ部材との相対変位が容易になり、特にねじれに対する自由度が高くなる。また、可変弾性部材の間に磁性体板材を挟み込むことで、可変弾性部材を通過する磁束が弱くなることを抑えることができるため、制御効率が向上する。

0017

また、上記構成において、さらに、定弾性部材(102)を有し、この定弾性部材は、前記ロッド本体(11)と前記ブッシュ部材(21)との間に径方向に挟み込まれた状態で設けられているとよい。

0018

この構成によれば、可変弾性部材と定弾性部材とにより、トルクロッドの剛性を適切に制御することができる。

0019

また、上記構成において、さらに、定弾性部材(231)を有し、前記定弾性部材は、前記ロッド本体(211)と前記ブッシュ部材(203)との間に前記ブッシュ部材の軸方向に挟み込まれた状態で設けられ、前記可変弾性部材(204)は、前記ブッシュ部材の外周側における前記ロッド本体の軸線方向の両側に1対設けられ、前記定弾性部材は、前記ブッシュ部材の外周側における前記ロッド本体の軸線方向に直交する方向の両側に1対設けられているとよい。

0020

この構成によれば、可変弾性部材と定弾性部材とにより、トルクロッドの剛性を適切に制御することができる。

0021

また、上記構成において、さらに、定弾性部材(304)を有し、前記定弾性部材は、前記ブッシュ部材(303)の軸方向の中心部において、前記ロッド本体(307)と前記ブッシュ部材との間に径方向に挟み込まれた状態で設けられ、前記可変弾性部材(322)は、前記定弾性部材を挟んで前記ブッシュ部材の軸方向の両側に1対設けられているとよい。

0022

この構成によれば、可変弾性部材と定弾性部材とにより、トルクロッドの剛性を適切に制御することができる。

発明の効果

0023

このように本発明によれば、コイルの電流を調整することで、トルクロッドの剛性を車両の運転状態に応じて制御することができる。すなわち、乗り味性能(ハンドリング性能など)を重視すべき場面では、トルクロッドの剛性を高めることで、ハンドリング性能を向上させることができる。一方、乗り味性能を重視する必要のない場面では、トルクロッドの剛性を低くすることで、エンジンからトルクロッドを介して車体に伝達される振動を効果的に抑制できるため、車室内の騒音や振動を低減することができる。これにより、乗り味性能と振動騒音性能とを両立することができる。

図面の簡単な説明

0024

第1実施形態に係るトルクロッド1の取付状態を示す平面図である。
第1実施形態に係るトルクロッド1の取付状態を示す側面図である。
トルクロッド1の剛性に応じた特性を表すグラフである。
第1実施形態に係るトルクロッド1の断面図である。
第1実施形態に係るトルクロッド1に設けられた可変弾性部材31の制御状態に応じた騒音レベルおよび振動レベルを表すグラフである。
第2実施形態に係るトルクロッド101の断面図である。
第3実施形態に係るトルクロッド201の断面図である。
第4実施形態に係るトルクロッド301の断面図である。

実施例

0025

以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。

0026

(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るトルクロッド1の取付状態を示す平面図である。図2は、トルクロッド1の取付状態を示す側面図である。

0027

図1に示すように、自動車の車体2の前部にエンジン3が横置きに配設されている。エンジン3にはトランスミッション4が一体的に設けられており、このエンジン3およびトランスミッション4などからパワープラント5が構成される。このパワープラント5は、2つのエンジンマウント6,7(サイドマウントおよびトランスマウント)とトルクロッド1とを介して車体2に支持される。

0028

2つのエンジンマウント6,7は、パワープラント5の主荷重(自重)を受けるものであり、パワープラント5全体の慣性主軸上に配置される。一方、トルクロッド1は、図2に示すように、軸線方向の一端側でエンジン3に結合され、軸線方向の他端側でサブフレーム8(車体2)に結合されている。ここで、2つのエンジンマウント6,7(図1参照)だけでは、パワープラント5は、エンジン3の駆動トルクによりロール軸(慣性主軸)を中心にして揺動(ロール運動)を起こし、このパワープラント5の揺動(ロール運動)がトルクロッド1により抑制される。

0029

次に、トルクロッド1に要求される性能について説明する。図3は、トルクロッド1の剛性に応じた特性を表すグラフである。グラフの横軸は、トルクロッド1により弾性的に支持されたエンジン3に発生する変位を表し、縦軸は、トルクロッド1に軸線方向に作用する荷重を表す。

0030

図1に示したエンジン支持構造では、加速時や減速時に、エンジン3による駆動トルク(静トルク)が発生すると、この駆動トルクにより、エンジン3がロール軸(慣性主軸)周りに揺動(ロール運動)する。駆動トルクが大きくなると、エンジン3の変位が大きくなり、車体2や補器類などとの干渉が発生し、また、耐久性能が低下する。また、操舵時などにおいて、路面から入力される振動やエンジン3の慣性力による振動により、ロール軸(慣性主軸)周りの振動がエンジン3に発生することで、ハンドリングなどの乗り味を損なうことがある。

0031

一方、エンジン3のアイドリング時や低回転時には、エンジン3の燃焼変動に起因するトルク変動(動トルク)が発生し、このトルク変動により、ロール軸(慣性主軸)周りの振動がエンジン3に発生する。この振動がエンジン3からトルクロッド1を介して車体2へ伝達されることで、車室内の振動や騒音が発生する。

0032

ここで、トルクロッド1の剛性が高く設定されていると、エンジン3の揺動(慣性主軸周りのロール運動)を抑えることができることから、エンジン3による駆動トルク(静トルク)の車体2への入力を低減することができるため、乗り味性能(ハンドリング性能など)を高めることができるが、エンジン3からトルクロッド1を介して車体2に伝達される振動を十分に抑制できないため、振動騒音性能が低下するという不具合がある。

0033

一方、トルクロッド1の剛性が低く設定されていると、エンジン3からトルクロッド1を介して車体2に伝達される振動を効果的に抑制できるため、振動騒音性能を高めることができるが、エンジン3の揺動を十分に抑えることができないため、乗り味性能が低下するという不具合がある。このように相反性能となる振動騒音性能と乗り味性能とは二律背反し両立させることが難しいという問題がある。

0034

そこで、本実施形態では、以下のようにトルクロッド1を構成して、トルクロッド1の剛性を車輪の運転状態に応じて制御できるようにして、振動騒音性能と乗り味性能との両立を図る。

0035

なお、トルクロッド1では、エンジン3の変位が大きい場合にその変位を弾性的に規制するストッパを設ける場合があり、この場合、変位が小さい領域(線形バネ領域)では、低剛性の弾性体バネ足)のみがトルクロッド1の剛性に寄与し、変位が大きい領域(変位規制領域)では、低剛性の弾性体(バネ足)と高剛性の弾性体(ストッパ)とがトルクロッド1の剛性に寄与する。

0036

図4は、第1実施形態に係るトルクロッド1の断面図である。

0037

トルクロッド1は、ロッド本体11を備えている。このロッド本体11は、車体側の本体部材12とエンジン側の本体部材13とを有している。車体側の本体部材12には、車体側のサブフレーム8に取り付けられる大径端部14が設けられている。エンジン側の本体部材13には、エンジン3に取り付けられる小径端部15が設けられている。

0038

本体部材12は、磁性体材料、例えば鉄系材料で形成されている。本体部材12には、外側環状部16が設けられている。

0039

大径端部14は、ブッシュ部材21を有している。ブッシュ部材21は、ボルト22とナット23とにより車体側のサブフレーム8に締結固定される。ブッシュ部材21は、ボルト22が挿通される内側筒状部25と、この内側筒状部25の軸方向の両端に設けられた1対のフランジ部26とを有している。ブッシュ部材21は、磁性体材料、例えば鉄系材料で形成されている。

0040

ブッシュ部材21とサブフレーム8との間にはカラー部材28が設けられている。このカラー部材28には、ボルト22が挿通される。カラー部材28は、ブッシュ部材21の軸方向の両側に1対設けられている。カラー部材28は、透磁率の低い材料、例えばアルミニウム材料で形成されている。

0041

ブッシュ部材21には、可変弾性部材31とコイル32とが設けられている。

0042

可変弾性部材31は、環状をなし、本体部材12の外側環状部16とブッシュ部材21のフランジ部26とよりブッシュ部材21の軸方向に挟み込まれた状態に設けられている。この可変弾性部材31は、複数(図示する例では6個)設けられており、ブッシュ部材21の軸方向に積層されている。

0043

可変弾性部材31は、磁性エラストマ磁気粘弾性エラストマ)材料で形成されている。この磁性エラストマ材料は、シリコン系などのエラストマを基材として、その基材に磁性粒子(例えば鉄粉)を分散させたものである。また、可変弾性部材31は、ブッシュ部材21の軸方向に磁性粒子を配列させた状態に形成されている。具体的には、基材エラストマの硬化時に、組立時にブッシュ部材21の軸方向となる方向の磁界を印加することで、磁力線に沿う方向に磁性粒子が整列する。

0044

コイル32は、ブッシュ部材21の内側筒状部25の外周に設けられている。このコイル32は、内側筒状部25の軸線周り導線を巻き回した状態で設けられている。

0045

積層された可変弾性部材31の間には磁性体板材33が設けられている。この磁性体板材33は、鉄系材料で形成されている。可変弾性部材31を積層すると、可変弾性部材31による層が全体として厚くなるため、ロッド本体11とブッシュ部材21との相対変位が容易になり、特にねじれに対する自由度が高くなるが、その反面、可変弾性部材31を通過する磁束が弱くなる。そこで、可変弾性部材31の間に磁性体板材33を挟み込むことで、可変弾性部材31を通過する磁束が弱くなることを抑えることができる。

0046

このように構成されたトルクロッド1においては、コントローラ(図示せず)からコイル32に電流が供給されると、コイル32から発生する磁束が可変弾性部材31を通過して、可変弾性部材31の剛性が高くなる。すなわち、コイル32に電流を流さない状態では、可変弾性部材31は低剛性状態であり、コイル32に電流を流すと、可変弾性部材31が高剛性状態となり、電流の大きさに応じて可変弾性部材31の剛性が変化する。これにより、コイル32の電流を調整することで、可変弾性部材31の剛性を制御することができる。

0047

また、本実施形態では、本体部材12およびブッシュ部材21が磁性体(例えば鉄系材料)で形成されているため、コイル32から発生する磁束が効率よく可変弾性部材31に導かれ、磁束の漏れを抑制することができる。また、サブフレーム8とブッシュ部材21との間に設けられるカラー部材28が、透磁率の低い材料(例えばアルミニウム材料)で形成されているため、車体側のサブフレーム8が鉄製である場合に、コイル32から発生する磁束がサブフレーム8側に漏れることを抑制することができる。

0048

また、本実施形態では、可変弾性部材31が、本体部材12とブッシュ部材21との間にブッシュ部材21の軸方向に挟み込まれた状態で設けられているため、トルクロッド1の軸線方向に作用する外力に対してせん断方向の弾性変形を起こす。一方、可変弾性部材31は、ブッシュ部材21の軸方向に磁性粒子を配列させた状態に形成されており、コイル32から発生する磁束が、可変弾性部材31を軸方向に通過するように磁界を形成することで、磁性粒子が軸方向に整列した状態を維持する応力が可変弾性部材31に発生し、この応力により可変弾性部材31がせん断方向に弾性変形する際の弾性特性が変化する。本実施形態では、このせん断方向の弾性特性を利用するため、優れた制御特性が得られ、トルクロッド1の剛性を効率よく制御することができる。

0049

このように本実施形態では、コイル32の電流を調整することで、トルクロッド1の剛性を車両の運転状態に応じて制御することができる。すなわち、乗り味性能(ハンドリング性能など)を重視すべき場面では、トルクロッド1の剛性を高めることで、ハンドリング性能を向上させることができる。一方、乗り味性能を重視する必要のない場面では、トルクロッド1の剛性を低くすることで、エンジン3からトルクロッド1を介して車体2に伝達される振動を効果的に抑制できるため、車室内の騒音や振動を低減することができる。これにより、乗り味性能と振動騒音性能とを両立することができる。

0050

また、トルクロッド1の大径端部14の静的なばね特性、動的なばね特性、および減衰特性を変更することができるため、乗り味性能や振動騒音性能以外の様々な効果が得られる。例えば、駆動力発生時にばね特性を変えることにより、エンジン3から車体2もしくは車輪に駆動トルクが伝達される際の遅れを変化させることができる。これにより、加速時の理想的な加速感運転者に与えることができる。また、制動時、旋回時、およびチョッピー路走行時に、トルクロッド1の剛性(ばね特性)を制御するようにしてもよい。これにより、車体2とエンジン3との間の加速度ゲインを変えることができるため、理想的な一体感を運転者に与えることができる。また、エンジン回転数に応じてトルクロッド1の剛性(ばね特性)を制御するようにしてもよい。これにより、ロッド本体の剛体固有値を変えることができ、特定の周波数室内音を変えることができる。

0051

図5は、第1実施形態に係るトルクロッド1に設けられた可変弾性部材31の制御状態に応じた騒音レベルおよび振動レベルを表すグラフである。図5(A)は、加速時において車室内に発生する騒音(こもり音)の騒音レベルを表し、図5(B)は、加速時においてステアリングホイールに発生する振動の振動レベルを表す。また、グラフの横軸はエンジン回転数を表し、縦軸は騒音レベルおよび振動レベルを表している。

0052

図5(A)に示すように、加速時に車室内に発生する騒音(こもり音)では、可変弾性部材31を低剛性状態とした場合には、可変弾性部材31を高剛性状態とした場合と比較して、エンジン回転数の常用域の全体に渡って騒音レベルが低減している。また、図5(B)に示すように、加速時にステアリングホイールに発生する振動では、可変弾性部材31を低剛性状態とした場合には、可変弾性部材31を高剛性状態とした場合と比較して、エンジン回転数の常用域の全体に渡って振動レベル(基本次数成分)が低減している。

0053

(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図6は、第2実施形態に係るトルクロッド101の断面図である。

0054

本実施形態では、トルクロッド101が、定弾性部材102を備えている。この定弾性部材102は、環状をなし、本体部材12の外側環状部16とブッシュ部材21の内側筒状部25との間に径方向に挟み込まれた状態で設けられている。具体的には、定弾性部材102は、本体部材12の外側環状部16の内周面と、ブッシュ部材21の内側筒状部25の外周に設けられたコイル32の外周面との間に設けられている。また、定弾性部材102は、天然ゴム系ウレタン系などのゴム材料で形成されている。この定弾性部材102は、ロッド本体11の軸線方向に作用する主荷重を受け、ロッド本体11の軸線方向の変位に対して圧縮方向の弾性変形を生じる。

0055

なお、本実施形態では、定弾性部材102を、コイル32の外周面と外側環状部16の内周面との間に設けたが、コイル32を、ブッシュ部材21の軸方向の両側に1対設けて、定弾性部材102を、内側筒状部25の外周面と外側環状部16の内周面との間に設けるようにしてもよい。

0056

(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図7は、第3実施形態に係るトルクロッド201の断面図である。図7(A)は、軸方向に沿った平面で切断した断面図であり、図7(B)は、図7(A)のB−B線で切断した断面図であり、図7(C)は、図7(B)のC−C線で切断した断面図である。

0057

本実施形態では、図7(A)に示すように、トルクロッド201が、車体側に取り付けられる大径端部202に、ブッシュ部材203と可変弾性部材204とコイル205とを備えている。

0058

ブッシュ部材203は、ボルト(図示せず)が挿通される内側筒状部206と、この内側筒状部206の軸方向の両端に設けられた1対のフランジ部207とを有している。

0059

可変弾性部材204は、ブッシュ部材203のフランジ部207とロッド本体211の外側環状部212との間にブッシュ部材203の軸方向に挟み込まれた状態で設けられている。

0060

コイル205は、ブッシュ部材203の内側筒状部206の外周に設けられている。

0061

また、図7(B)に示すように、トルクロッド201の大径端部202には定弾性部材231が設けられている。この定弾性部材231は、平面視で扇形状をなしており、ブッシュ部材203の内側筒状部206を挟んで、ブッシュ部材203の外周側におけるロッド本体211の軸線方向に直交する方向の両側に1対設けられている。また、定弾性部材231は、図7(C)に示すように、定弾性部材231は、ブッシュ部材203のフランジ部207とロッド本体211の外側環状部212との間に軸方向に挟み込まれた状態で設けられている。また、定弾性部材231は、ロッド本体211の外側環状部212を挟んでその両側に対称的に設けられているため、合計で4個設けられている。

0062

図7(B)に示すように、可変弾性部材204は、平面視で扇形状をなしており、ブッシュ部材203の内側筒状部206を挟んで、ブッシュ部材203の外周側におけるロッド本体211の軸線方向の両側に1対設けられている。また、可変弾性部材204は、図7(A)に示すように、ロッド本体211の外側環状部212を挟んでその両側に対称的に設けられているため、合計で4個設けられている。なお、可変弾性部材204と定弾性部材231との間には周方向間隙が形成されている。

0063

また、図7(A),(B)に示すように、ロッド本体211の外側環状部212の内側にはストッパ241が設けられている。ストッパ241は、天然ゴム系などのゴム材料で形成されている。ブッシュ部材203の内側筒状部206の外周に設けられたコイル205とストッパ241との間には間隙が形成されている。

0064

このような構成により、ロッド本体211とブッシュ部材203との相対的な変位が小さい状態では、ロッド本体211の軸線方向の外力に対して、可変弾性部材204および定弾性部材231がせん断変形を起こして、その弾性力がロッド本体211とブッシュ部材203との間に作用するため、トルクロッド201が低い剛性を示す。一方、ロッド本体211とブッシュ部材203との相対的な変位が大きくなると、コイル205がストッパ241に突き当たり、ストッパ241が圧縮変形を起こして、その弾性力がロッド本体211とブッシュ部材203との間に作用するため、トルクロッド201が高い剛性を示す。

0065

(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図8は、第4実施形態に係るトルクロッド301の断面図である。図8(A)は、軸方向に沿った平面で切断した断面図であり、図8(B)は、径方向に沿った平面で切断した断面図である。

0066

本実施形態では、図8(A)に示すように、トルクロッド301が、車体側に取り付けられる大径端部302にブッシュ部材303と定弾性部材304と介装部材305とを備えている。

0067

ブッシュ部材303は、ボルト(図示せず)が挿通される内側筒状部331と、この内側筒状部331の軸方向の両端に設けられた1対のフランジ部332とを有している。このブッシュ部材303は、磁性体材料、例えば鉄系材料で形成されている

0068

介装部材305は、ロッド本体307の外側環状部308の内側に嵌め込まれる外側筒状部333と、この外側筒状部333の軸方向の両端に設けられた1対の内向きフランジ部334とを有している。この介装部材305は、磁性体材料、例えば鉄系材料で形成されている。

0069

定弾性部材304は、図8(B)に示すように、介装部材305の外側筒状部333とブッシュ部材303の内側筒状部331との間に径方向に挟み込まれた状態で設けられている。

0070

定弾性部材304は、1対の脚部311,312(バネ足)と、1対のストッパ313,314とを備えている。脚部311,312は、ブッシュ部材303の径方向に延在し、介装部材305の外側筒状部333とブッシュ部材303の内側筒状部331とを連結する態様で設けられている。特にここでは、脚部311,312が、エンジン3に取り付けられる小径端部321と相反する方向に傾斜した状態で設けられている。ストッパ313,314は、ブッシュ部材303を挟んで、ロッド本体307の軸線方向の両側に設けられている。

0071

定弾性部材304におけるブッシュ部材303の周囲には、ストッパ313,314の各々に対向する対向部315,316が設けられており、対向部315とストッパ313との間、および対向部316とストッパ,314との間には間隙が形成されている。ロッド本体307とブッシュ部材303との相対的な変位が大きくなると、対向部315がストッパ313に突き当り、また、対向部316がストッパ314に突き当たる。

0072

これにより、ロッド本体307とブッシュ部材303との相対的な変位が小さい領域では、トルクロッド301の剛性が脚部311,312の弾性変形力に依存し、トルクロッド301の剛性が低くなる。一方、ロッド本体307とブッシュ部材303との相対的な変位が大きい領域では、トルクロッド301の剛性が、脚部311,312の弾性変形力に加えてストッパ313,314の弾性変形力に依存し、トルクロッド301の剛性が高くなる。

0073

また、本実施形態では、図8(A)に示すように、トルクロッド301が、可変弾性部材322とコイル323とを備えている。

0074

可変弾性部材322は、ブッシュ部材303のフランジ部332と介装部材305の内向きフランジ部334との間に軸方向に挟み込まれた状態で設けられている。また、可変弾性部材322は、ブッシュ部材303の軸方向の中心部に設けられた定弾性部材304を挟んで、ブッシュ部材303の軸方向の両側に1対設けられている。

0075

コイル323は、1対の可変弾性部材322の各々に対応して、ブッシュ部材303の内側筒状部331の外周側に軸方向に離間して1対設けられている。コイル323から発生する磁束が、ブッシュ部材303の1対のフランジ部332と、介装部材305の1対の内向きフランジ部334および外側筒状部333とに導かれて、1対の可変弾性部材322を通過する。

0076

以上の実施形態では、トルクロッドの車体側に取り付けられる端部に可変弾性部材を設けた構成について説明したが、トルクロッドのエンジン側に取り付けられる端部に可変弾性部材を設ける構成も可能である。

0077

1トルクロッド
2 車体
3エンジン
6,7エンジンマウント
8サブフレーム
11ロッド本体
12,13 本体部材
16外側環状部
21ブッシュ部材
22ボルト
25内側筒状部
26フランジ部
31可変弾性部材
32コイル
33磁性体板材
101 トルクロッド
102 定弾性部材
201 トルクロッド
203 ブッシュ部材
204 可変弾性部材
205 コイル
206 内側筒状部
207 フランジ部
211 ロッド本体
212 外側環状部
231 定弾性部材
301 トルクロッド
303 ブッシュ部材
304 定弾性部材
305介装部材
307 ロッド本体
308 外側環状部
322 可変弾性部材
323 コイル
331 内側筒状部
332 フランジ部
333外側筒状部
334内向きフランジ部

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