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技術 波力発電機の実時間制御方法、及び波力発電システム

出願人 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
発明者 藤原敏文谷口友基
出願日 2019年2月15日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2019-025942
公開日 2020年8月31日 (5ヶ月経過) 公開番号 2020-133460
状態 未査定
技術分野 波力利用等のその他の液体機械又は機関
主要キーワード 浮遊要素 同一機能部材 推力係数 前後揺れ フィードフォワード制御装置 波力発電機 影響関数 ホライゾン
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課題

波力発電機に適用可能な拘束条件付き最適化問題リアルタイム解くことができ、高効率かつ安全性を確保した波力発電機の実用化に資する波力発電機の実時間制御方法、及び波力発電システムを提供すること。

解決手段

波に対する可動部11と発電主体部12を有した多自由度をもつ波力発電機10の実時間制御方法であって、多自由度をもつ波力発電機10の第1モデルを用いた第1モデル予測制御計算により第1の制御パラメータ及び第1の状態変数の時系列を求め、波力発電機10の発電量に影響の大きい自由度に限った第1の制御パラメータ及び第1の状態変数を波力発電機10の第2モデルに適用し、第2モデル予測制御計算により第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の時系列を求めて最終の制御パラメータを導出し、最終の制御パラメータに基づいて波力発電機10を制御する。

概要

背景

波力発電機は、水の上下動による可動部と、その可動部の動き発電機に伝えるジグ機構と、電気を発生させる発電主体部によって構成され、波や水面の上下動に伴う発電主体部との相対変位を可動部で発生させ、その変位差を利用して電力が発生する。
波力発電機は、拘束条件(例えば、可動部の変位制御力の制限)を満たしつつ発電量最大化を実現する必要がある。この問題は、拘束条件付き最適化問題とみることができ、様々な解法が存在する。しかし、従来の解法に基づく制御器を波力発電機の模型実機実装しても、サンプリング周期内に最適化の演算を完了できず、実装不可能になる場合が多い。

ここで、特許文献1には、密閉ケーシングの内部に取り付けられたリニアモータ又は発電機として動作する電機機械を有する電力発生装置と、最適制御アルゴリズムを備えリニアモータや電力貯蔵装置通信する制御システムと、密閉ケーシングに対するリニアモータ/発電機の磁界源の一等を測定するセンサと、空気バネ等により構成された復元力装置とを備えた波力発電機において、波と同調するように位置差感知し、復元力を発生させることが開示されている。
また、特許文献2には、密閉浮遊要素と、その内部に配置された質量形成要素と、質量形成要素の動きをロックするロック手段とを備えた波エネルギーを電力に変換する装置において、質量形成要素を選択的にロック又はロック解除するようにロック手段を制御手段で制御し、水面変位との共振現象を発生させることが開示されている。
また、特許文献3には、プロセスモデルの形態を変更するモデル形式変更ブロックを含むモデル適応ネットワークと、多変数プロセスモデルを有するプロセスモデルブロック、及びプロセスの制御に用いられる操作変数信号を生成するMPCコントローラを含むMPC制御システムとを備えた適応型変数プロセスコントローラにおいて、単一入力・単一出力の多プロセスモデルの適応に関して、多段階の制御を用いることが開示されている。
また、特許文献4には、フィードフォワード制御装置と、フィードバック制御装置とを備えた位置決めシステムにおいて、磁気ディスクトラックアクセスを目的として、フィードバックフィードフォワード制御を組み合わせ、高速位置決めを行うことが開示されている。

概要

波力発電機に適用可能な拘束条件付き最適化問題をリアルタイム解くことができ、高効率かつ安全性を確保した波力発電機の実用化に資する波力発電機の実時間制御方法、及び波力発電システムを提供すること。波に対する可動部11と発電主体部12を有した多自由度をもつ波力発電機10の実時間制御方法であって、多自由度をもつ波力発電機10の第1モデルを用いた第1モデル予測制御計算により第1の制御パラメータ及び第1の状態変数の時系列を求め、波力発電機10の発電量に影響の大きい自由度に限った第1の制御パラメータ及び第1の状態変数を波力発電機10の第2モデルに適用し、第2モデル予測制御計算により第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の時系列を求めて最終の制御パラメータを導出し、最終の制御パラメータに基づいて波力発電機10を制御する。

目的

本発明は、波力発電機に適用可能な拘束条件付き最適化問題をリアルタイムに解くことができ、高効率かつ安全性を確保した波力発電機の実用化に資する波力発電機の実時間制御方法、及び波力発電システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

波に対する可動部と発電主体部を有した多自由度をもつ波力発電機実時間制御方法であって、多自由度をもつ前記波力発電機の第1モデルを用いた第1モデル予測制御計算により第1の制御パラメータ及び第1の状態変数の時系列を求め、前記波力発電機の発電量に影響の大きい自由度に限った前記第1の制御パラメータ及び前記第1の状態変数を前記波力発電機の第2モデルに適用し、第2モデル予測制御計算により第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の時系列を求めて最終の制御パラメータを導出し、前記最終の制御パラメータに基づいて前記波力発電機を制御することを特徴とする波力発電機の実時間制御方法。

請求項2

前記波力発電機の周囲の前記波による水面の変位に基づいて波予測を行い、前記波予測の結果を前記第1モデル予測制御計算に反映することを特徴とする請求項1に記載の波力発電機の実時間制御方法。

請求項3

前記波予測は、前記水面の変位の時系列データを基に時系列予測手法を用いて予測するものであることを特徴とする請求項2に記載の波力発電機の実時間制御方法。

請求項4

前記第1モデル予測制御計算により、前記可動部と前記発電主体部との相対変位の変化に対する速度影響及び/又は相対変位影響を考慮した前記第1の制御パラメータ及び前記第1の状態変数を求めることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の波力発電機の実時間制御方法。

請求項5

求めた前記第1の制御パラメータを用いて前記第1モデル予測制御計算を繰り返し、前記第1の制御パラメータ及び前記第1の状態変数の最適値近似解を得ることを特徴とする請求項4に記載の波力発電機の実時間制御方法。

請求項6

前記第1モデル予測制御計算に当たって、前記可動部の前記発電主体部に対する機械的制約条件及び/又は前記波力発電機の内部消費エネルギーを考慮することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の波力発電機の実時間制御方法。

請求項7

前記第2モデル予測制御計算において、前記可動部と前記発電主体部との前記波力発電機の前記発電量に影響の大きい自由度に限った計算及び/又は求める解の探索範囲を限定する計算を行なうことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の波力発電機の実時間制御方法。

請求項8

求めた前記第2の制御パラメータを用いて前記第2モデル予測制御計算を繰り返し、前記第2の制御パラメータ及び前記第2の状態変数の最適値を得ることを特徴とする請求項7に記載の波力発電機の実時間制御方法。

請求項9

前記第2モデル予測制御計算に当たって、前記可動部の前記発電主体部に対する機械的制約条件及び/又は前記波力発電機の内部消費エネルギーを考慮することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の波力発電機の実時間制御方法。

請求項10

前記第1モデル予測制御計算及び前記第2モデル予測制御計算を、前記波の1周期未満で完了するように時間制限をかけることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の波力発電機の実時間制御方法。

請求項11

前記波力発電機の制御は、前記最終の制御パラメータに基づいて前記可動部と前記発電主体部の相対運動を制御し、前記波力発電機の前記発電量の最大化を図る制御であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の波力発電機の実時間制御方法。

請求項12

波に対する可動部と発電主体部を有した多自由度をもつ波力発電機を、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の波力発電機の実時間制御方法を用いて制御することを特徴とする波力発電システム

請求項13

前記可動部の近傍の前記波の波高計測する波高計測手段を備えたことを特徴とする請求項12に記載の波力発電システム。

請求項14

前記波による波力の影響を計測する検力手段を備えたことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の波力発電システム。

請求項15

前記可動部と前記発電主体部の相対変位を計測する相対変位計測手段を備えたことを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の波力発電システム。

請求項16

前記波力発電機の姿勢を計測する姿勢計測手段を備えたことを特徴とする請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の波力発電システム。

請求項17

前記波力発電機は、前記可動部として電機子又は永久磁石が積層されたシャフトを有した回生運転力行運転が可能なリニアPTO(パワーテイクオフ)であることを特徴とする請求項12から請求項16のいずれか1項に記載の波力発電システム。

請求項18

前記波力発電機は、前記可動部の動き油圧に変換して利用する油圧式リニアPTO(パワー・テイク・オフ)であることを特徴とする請求項12から請求項16のいずれか1項に記載の波力発電システム。

請求項19

前記波力発電機は、前記可動部として軸の周り運動可能な浮体を有したPTO(パワー・テイク・オフ)であることを特徴とする請求項12から請求項16のいずれか1項に記載の波力発電システム。

請求項20

前記波に対する前記可動部と前記発電主体部の相対運動における前記可動部の端部の変位を制限する端部安全手段を備えたことを特徴とする請求項12から請求項19のいずれか1項に記載の波力発電システム。

技術分野

0001

本発明は、波や水面の上下動を利用して発電を行う波力発電機実時間制御方法、及び波力発電システムに関する。

背景技術

0002

波力発電機は、水の上下動による可動部と、その可動部の動きを発電機に伝えるジグ機構と、電気を発生させる発電主体部によって構成され、波や水面の上下動に伴う発電主体部との相対変位を可動部で発生させ、その変位差を利用して電力が発生する。
波力発電機は、拘束条件(例えば、可動部の変位制御力の制限)を満たしつつ発電量最大化を実現する必要がある。この問題は、拘束条件付き最適化問題とみることができ、様々な解法が存在する。しかし、従来の解法に基づく制御器を波力発電機の模型実機実装しても、サンプリング周期内に最適化の演算を完了できず、実装不可能になる場合が多い。

0003

ここで、特許文献1には、密閉ケーシングの内部に取り付けられたリニアモータ又は発電機として動作する電機機械を有する電力発生装置と、最適制御アルゴリズムを備えリニアモータや電力貯蔵装置通信する制御システムと、密閉ケーシングに対するリニアモータ/発電機の磁界源の一等を測定するセンサと、空気バネ等により構成された復元力装置とを備えた波力発電機において、波と同調するように位置差感知し、復元力を発生させることが開示されている。
また、特許文献2には、密閉浮遊要素と、その内部に配置された質量形成要素と、質量形成要素の動きをロックするロック手段とを備えた波エネルギーを電力に変換する装置において、質量形成要素を選択的にロック又はロック解除するようにロック手段を制御手段で制御し、水面変位との共振現象を発生させることが開示されている。
また、特許文献3には、プロセスモデルの形態を変更するモデル形式変更ブロックを含むモデル適応ネットワークと、多変数プロセスモデルを有するプロセスモデルブロック、及びプロセスの制御に用いられる操作変数信号を生成するMPCコントローラを含むMPC制御システムとを備えた適応型変数プロセスコントローラにおいて、単一入力・単一出力の多プロセスモデルの適応に関して、多段階の制御を用いることが開示されている。
また、特許文献4には、フィードフォワード制御装置と、フィードバック制御装置とを備えた位置決めシステムにおいて、磁気ディスクトラックアクセスを目的として、フィードバックフィードフォワード制御を組み合わせ、高速位置決めを行うことが開示されている。

先行技術

0004

特表2015−524034号公報
特表2008−517197号公報
特開2005−202934号公報
特開昭54−12082号公報

発明が解決しようとする課題

0005

波力発電機に関する先行研究等では、上記の拘束条件付き最適化問題に対して、2次計画法を適用する例が多い。しかし、それらの例では、波力発電機の自由度を1自由度に限定したり、制約条件数を減らしたりすること等により問題を単純化している。そのため、従来技術を浮体式波力発電機にそのまま適用することはできない。その上、先行研究等のように問題を単純化しても実時間制御(リアルタイム制御)を行うことは難しく、実装時の性能及び安全性検証等が不十分であるため、実用化を阻害している。

0006

また、特許文献1は、制御パラメータは、水面変位との共振現象を発生させることに注力しており、可動部及び発電主体部の自由度、その環境下での最適パラメータ導出方法については何ら開示されていない。
また、特許文献2は、発電出力を最大化させるための多段階化アルゴリズムを開示しているものではない。
また、特許文献3及び特許文献4は、最適制御を行う許容時間を前段階で求め、役割の異なる制御アルゴリズムの構成を変化させることについては開示されていない。

0007

そこで本発明は、波力発電機に適用可能な拘束条件付き最適化問題をリアルタイム解くことができ、高効率かつ安全性を確保した波力発電機の実用化に資する波力発電機の実時間制御方法、及び波力発電システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

請求項1記載に対応した波力発電機の実時間制御方法においては、波に対する可動部と発電主体部を有した多自由度をもつ波力発電機の実時間制御方法であって、多自由度をもつ波力発電機の第1モデルを用いた第1モデル予測制御計算により第1の制御パラメータ及び第1の状態変数の時系列を求め、波力発電機の発電量に影響の大きい自由度に限った第1の制御パラメータ及び第1の状態変数を波力発電機の第2モデルに適用し、第2モデル予測制御計算により第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の時系列を求めて最終の制御パラメータを導出し、最終の制御パラメータに基づいて波力発電機を制御することを特徴とする。
請求項1に記載の本発明によれば、多自由度系に対応した第1モデル予測制御計算(第一段階)と、発電量に影響の大きいものに限った自由度系に対応した第2モデル予測制御計算(第二段階)を組み合わせることにより、拘束条件付き最適化問題をリアルタイムで短時間のうちに解いて最終の制御パラメータを求めることができるため、求めた最終の制御パラメータに基づいて多自由度をもつ波力発電機の実時間制御を精度よく行い発電効率を向上させることができる。また、実装時の性能及び安全性検証等を十分に行うことが可能となるため、安全性を確保できる。

0009

請求項2記載の本発明は、波力発電機の周囲の波による水面の変位に基づいて波予測を行い、波予測の結果を第1モデル予測制御計算に反映することを特徴とする。
請求項2に記載の本発明によれば、第1モデル予測制御計算の精度を向上させることができる。

0010

請求項3記載の本発明は、波予測は、水面の変位の時系列データを基に時系列予測手法を用いて予測するものであることを特徴とする。
請求項3に記載の本発明によれば、波予測の精度を上げ第1モデル予測制御計算の精度をさらに向上させることができる。

0011

請求項4記載の本発明は、第1モデル予測制御計算により、可動部と発電主体部との相対変位の変化に対する速度影響及び/又は相対変位影響を考慮した第1の制御パラメータ及び第1の状態変数を求めることを特徴とする。
請求項4に記載の本発明によれば、第1モデル予測制御計算の精度を向上させることができる。

0012

請求項5記載の本発明は、求めた第1の制御パラメータを用いて第1モデル予測制御計算を繰り返し、第1の制御パラメータ及び第1の状態変数の最適値近似解を得ることを特徴とする。
請求項5に記載の本発明によれば、得られた第1の制御パラメータ及び第1の状態変数の最適値の近似解を第2モデル予測制御計算の初期値として用いることができるため、第2モデル予測制御計算の初期値をより良好なものとすることができる。

0013

請求項6記載の本発明は、第1モデル予測制御計算に当たって、可動部の発電主体部に対する機械的制約条件及び/又は波力発電機の内部消費エネルギーを考慮することを特徴とする。
請求項6に記載の本発明によれば、波力発電機の実時間制御を、機械的制約条件や内部消費エネルギーを考慮したものとすることができる。

0014

請求項7記載の本発明は、第2モデル予測制御計算において、可動部と発電主体部との波力発電機の発電量に影響の大きい自由度に限った計算及び/又は求める解の探索範囲を限定する計算を行なうことを特徴とする。
請求項7に記載の本発明によれば、第2モデル予測制御計算を精度よくスピーディに行うことができる。

0015

請求項8記載の本発明は、求めた第2の制御パラメータを用いて第2モデル予測制御計算を繰り返し、第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の最適値を得ることを特徴とする。
請求項8に記載の本発明によれば、得られた第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の最適値から導出した最終の制御パラメータに基づいて波力発電機を制御することができるため、波力発電機の実時間制御をより的確なものとすることができる。

0016

請求項9記載の本発明は、第2モデル予測制御計算に当たって、可動部の発電主体部に対する機械的制約条件及び/又は波力発電機の内部消費エネルギーを考慮することを特徴とする。
請求項9に記載の本発明によれば、波力発電機の実時間制御を、機械的制約条件や内部消費エネルギーを考慮したものとすることができる。

0017

請求項10記載の本発明は、第1モデル予測制御計算及び第2モデル予測制御計算を、波の1周期未満で完了するように時間制限をかけることを特徴とする。
請求項10に記載の本発明によれば、波力発電機の実時間制御の継続性をより強固なものとすることができる。

0018

請求項11記載の本発明は、波力発電機の制御は、最終の制御パラメータに基づいて可動部と発電主体部の相対運動を制御し、波力発電機の発電量の最大化を図る制御であることを特徴とする。
請求項11に記載の本発明によれば、発電量を最大化した波力発電機の実時間制御を実現することができる。

0019

請求項12記載に対応した波力発電システムにおいては、波に対する可動部と発電主体部を有した多自由度をもつ波力発電機を、本発明の波力発電機の実時間制御方法を用いて制御することを特徴とする。
請求項12に記載の本発明によれば、多自由度系に対応した第1モデル予測制御計算(第一段階)と、発電量に影響の大きいものに限った自由度系に対応した第2モデル予測制御計算(第二段階)を組み合わせることにより、拘束条件付き最適化問題をリアルタイムに解いて最終の制御パラメータを求めることができるため、求めた最終の制御パラメータに基づいて多自由度をもつ波力発電機の実時間制御を精度よく行い発電効率を向上させることができる。また、実装時の性能及び安全性検証等を十分に行うことが可能となるため、安全性を確保できる。

0020

請求項13記載の本発明は、可動部の近傍の波の波高計測する波高計測手段を備えたことを特徴とする。
請求項13に記載の本発明によれば、波高計測手段が計測した波高を波予測等に利用することができる。

0021

請求項14記載の本発明は、波による波力の影響を計測する検力手段を備えたことを特徴とする。
請求項14に記載の本発明によれば、検力手段が計測した波力の影響を波予測やモデル予測制御計算等に利用することができる。

0022

請求項15記載の発明は、可動部と発電主体部の相対変位を計測する相対変位計測手段を備えたことを特徴とする。
請求項15記載の本発明によれば、相対変位計測手段が計測した可動部と発電主体部の相対変位を波予測やモデル予測制御計算等に利用することができる。

0023

請求項16記載の本発明は、波力発電機の姿勢を計測する姿勢計測手段を備えたことを特徴とする。
請求項16に記載の本発明によれば、姿勢計測手段が計測した波力発電機の姿勢を波予測やモデル予測制御計算等に利用することができる。

0024

請求項17記載の本発明は、波力発電機は、可動部として電機子又は永久磁石が積層されたシャフトを有した回生運転力行運転が可能なリニアPTO(パワーテイクオフ)であることを特徴とする。
請求項17に記載の本発明によれば、リニアPTOである波力発電機の実時間制御を精度よく行うことができる。

0025

請求項18記載の本発明は、波力発電機は、可動部の動きを油圧に変換して利用する油圧式リニアPTO(パワー・テイク・オフ)であることを特徴とする。
請求項18に記載の本発明によれば、油圧式リニアPTOである波力発電機の実時間制御を精度よく行うことができる。

0026

請求項19記載の本発明は、波力発電機は、可動部として軸の周り運動可能な浮体を有したPTO(パワー・テイク・オフ)であることを特徴とする。
請求項19に記載の本発明によれば、可動部として軸の周りに運動可能な浮体を有したPTOである波力発電機の実時間制御を精度よく行うことができる。

0027

請求項20記載の本発明は、波に対する可動部と発電主体部の相対運動における可動部の端部の変位を制限する端部安全手段を備えたことを特徴とする。
請求項20に記載の本発明によれば、可動部の変位が予想を超える場合であっても、可動部の端部と発電主体部等との接触による破損を防止することができる。

発明の効果

0028

本発明の波力発電機の実時間制御方法によれば、多自由度系に対応した第1モデル予測制御計算(第一段階)と、発電量に影響の大きいものに限った自由度系に対応した第2モデル予測制御計算(第二段階)を組み合わせることにより、拘束条件付き最適化問題をリアルタイムで短時間のうちに解いて最終の制御パラメータを求めることができるため、求めた最終の制御パラメータに基づいて多自由度をもつ波力発電機の実時間制御を精度よく行い発電効率を向上させることができる。また、実装時の性能及び安全性検証等を十分に行うことが可能となるため、安全性を確保できる。

0029

また、波力発電機の周囲の波による水面の変位に基づいて波予測を行い、波予測の結果を第1モデル予測制御計算に反映する場合には、第1モデル予測制御計算の精度を向上させることができる。

0030

また、波予測は、水面の変位の時系列データを基に時系列予測手法を用いて予測するものである場合には、波予測の精度を上げ第1モデル予測制御計算の精度をさらに向上させることができる。

0031

また、第1モデル予測制御計算により、可動部と発電主体部との相対変位の変化に対する速度影響及び/又は相対変位影響を考慮した第1の制御パラメータ及び第1の状態変数を求める場合には、第1モデル予測制御計算の精度を向上させることができる。

0032

また、求めた第1の制御パラメータを用いて第1モデル予測制御計算を繰り返し、第1の制御パラメータ及び第1の状態変数の最適値の近似解を得る場合には、得られた第1の制御パラメータ及び第1の状態変数の最適値の近似解を第2モデル予測制御計算の初期値として用いることができるため、第2モデル予測制御計算の初期値をより良好なものとすることができる。

0033

また、第1モデル予測制御計算に当たって、可動部の発電主体部に対する機械的制約条件及び/又は波力発電機の内部消費エネルギーを考慮する場合には、波力発電機の実時間制御を、機械的制約条件や内部消費エネルギーを考慮したものとすることができる。

0034

また、第2モデル予測制御計算において、可動部と発電主体部との波力発電機の発電量に影響の大きい自由度に限った計算及び/又は求める解の探索範囲を限定する計算を行なう場合には、第2モデル予測制御計算を精度よくスピーディに行うことができる。

0035

また、求めた第2の制御パラメータを用いて第2モデル予測制御計算を繰り返し、第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の最適値を得る場合には、得られた第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の最適値から導出した最終の制御パラメータに基づいて波力発電機を制御することができるため、波力発電機の実時間制御をより的確なものとすることができる。

0036

また、第2モデル予測制御計算に当たって、可動部の発電主体部に対する機械的制約条件及び/又は波力発電機の内部消費エネルギーを考慮する場合には、波力発電機の実時間制御を、機械的制約条件や内部消費エネルギーを考慮したものとすることができる。

0037

また、第1モデル予測制御計算及び第2モデル予測制御計算を、波の1周期未満で完了するように時間制限をかける場合には、波力発電機の実時間制御の継続性をより強固なものとすることができる。

0038

また、波力発電機の制御は、最終の制御パラメータに基づいて可動部と発電主体部の相対運動を制御し、波力発電機の発電量の最大化を図る制御である場合には、発電量を最大化した波力発電機の実時間制御を実現することができる。

0039

本発明の波力発電システムによれば、多自由度系に対応した第1モデル予測制御計算(第一段階)と、発電量に影響の大きいものに限った自由度系に対応した第2モデル予測制御計算(第二段階)を組み合わせることにより、拘束条件付き最適化問題をリアルタイムに解いて最終の制御パラメータを求めることができるため、求めた最終の制御パラメータに基づいて多自由度をもつ波力発電機の実時間制御を精度よく行い発電効率を向上させることができる。また、実装時の性能及び安全性検証等を十分に行うことが可能となるため、安全性を確保できる。

0040

また、可動部の近傍の波の波高を計測する波高計測手段を備えた場合には、波高計測手段が計測した波高を波予測等に利用することができる。

0041

また、波による波力の影響を計測する検力手段を備えた場合には、検力手段が計測した波力の影響を波予測やモデル予測制御計算等に利用することができる。

0042

また、可動部と発電主体部の相対変位を計測する相対変位計測手段を備えた場合には、相対変位計測手段が計測した可動部と発電主体部の相対変位を波予測やモデル予測制御計算等に利用することができる。

0043

また、波力発電機の姿勢を計測する姿勢計測手段を備えた場合には、姿勢計測手段が計測した波力発電機の姿勢を波予測やモデル予測制御計算等に利用することができる。

0044

また、波力発電機は、可動部として電機子又は永久磁石が積層されたシャフトを有した回生運転と力行運転が可能なリニアPTO(パワー・テイク・オフ)である場合には、リニアPTOである波力発電機の実時間制御を精度よく行うことができる。

0045

また、波力発電機は、可動部の動きを油圧に変換して利用する油圧式リニアPTO(パワー・テイク・オフ)である場合には、油圧式リニアPTOである波力発電機の実時間制御を精度よく行うことができる。

0046

また、波力発電機は、可動部として軸の周りに運動可能な浮体を有したPTO(パワー・テイク・オフ)である場合には、可動部として軸の周りに運動可能な浮体を有したPTOである波力発電機の実時間制御を精度よく行うことができる。

0047

また、波に対する可動部と発電主体部の相対運動における可動部の端部の変位を制限する端部安全手段を備えた場合には、可動部の変位が予想を超える場合であっても、可動部の端部と発電主体部等との接触による破損を防止することができる。

図面の簡単な説明

0048

本発明の一実施形態による波力発電システムの概要
同波力発電システムの制御ブロック
同波力発電システムの制御フロー図
同波強制力推定に関する説明図
同波力発電システムに適用した端部安全手段の概要図
本発明の一実施例による波力発電システムの概要図
同波力発電システムの制御フロー図
本発明の他の実施例による波力発電システムの概要図
同波力発電システムの制御フロー図
本発明のさらに他の実施例による波力発電システムの概要図

0049

以下に、本発明の実施形態による波力発電機の実時間制御方法及び波力発電システムについて説明する。

0050

図1は本発明の一実施形態による波力発電システムの概要図である。
海洋等に設置される波力発電システム1は、6自由度をもつ浮体式の波力発電機10と、波力発電機10を実時間制御(リアルタイム制御)する制御部20と、波高を計測する波高計測手段30と、波による波力の影響を計測する検力手段40と、相対変位量を計測する相対変位計測手段50と、波力発電機10の姿勢を計測する姿勢計測手段60を備える。
波力発電システム1は複数の係留索70で水底Xに係留されている。係留索70の一端は波力発電機10の下部に接続され、他端はアンカー80に接続されている。
なお、図1には、波力発電機10の6自由度の運動方向(前後揺れ左右揺れ上下揺れ横揺れ縦揺れ、及び船首揺れ)も併せて示している。

0051

波力発電機10は、波に対する可動部11と、電気を発生させる発電主体部12を有する。
可動部11は、一方の端部に位置するフロート11Aと、他方の端部に位置する棒状部材11Bと、フロート11Aと棒状部材11Bとの間に位置するフレーム11Cを有する。
発電主体部12は、PTO(パワー・テイク・オフ)部12Aと、上部を水面上に出して立設した柱状のスパー12Bと、スパー12Bの下部に張り出した円板状のヒーブプレート12Cを有する。フロート11Aは、実際は環状を成していて、図1では省略しているがスパー12Bの左右に対称を成すように配置される。
水面Yに浮かぶフロート11Aは、スパー12Bの外側面に隣接するように配置され、水の上下動に伴い鉛直方向に往復動する。棒状部材11Bは、例えばシャフトやピストン等であり、スパー12Bの内部に配置されている。フレーム11Cは、スパー12Bの上部を覆うように配置され、フロート11Aと連結したフロート連結材11Caと、棒状部材11Bと連結した棒状部材連結材11Cbとを有し、フロート11Aの動きを棒状部材11Bに伝える。
PTO部12Aは、スパー12Bの内部に配置されている。また、PTO部12Aの内部には棒状部材11Bが通されている。波力発電機10は、波や水面Yの上下動に伴う発電主体部12との相対変位を可動部11で発生させ、その変位差を利用して電力を発生する。発電主体部12は、水面変位の動きに応じて発電することが可能であると同時に、蓄積したエネルギー等を用いて可動部11を強制加振し、水面変位との同調現象を引き起こすことで、より大きな水面変位エネルギーの吸収を可能とする機器である。

0052

制御部20は、スパー12Bの内部においてPTO部12Aよりも下方に配置されている。
波高計測手段30は、フロート11Aの上部に配置され、フロート11Aの近傍の波の波高を計測する。波高計測手段30としては、例えば超音波加速度水圧レーダ等を利用した各種の波高計を用いることができる。
検力手段40は、棒状部材11Bと棒状部材連結材11Cbとの連結部分に配置され、波力発電機10に対する波による波力の影響を計測する。検力手段40としては、例えばコラム型、ダイヤフラム型、S字型、また歪ゲージ式、静電容量式磁歪式等の各種の検力計を用いることができる。
相対変位計測手段50は、棒状部材11Bに近接して配置され、可動部11と発電主体部12との相対変位を計測する。相対変位計測手段50としては、例えばリニアエンコーダロータリエンコーダ等を用いることができる。
姿勢計測手段60は、スパー12Bの上部に配置され、波力発電機10の姿勢を計測する。姿勢計測手段60としては、例えばジャイロ傾斜計等を用いることができる。

0053

次に、制御部20による波力発電機10の実時間制御方法を説明する。
図2は本発明の一実施形態による波力発電システムの制御ブロック図、図3は同波力発電システムの制御フロー図である。
制御部20は、水面変位予測器21と、波強制力予測器22と、第1モデル予測制御器23と、第2モデル予測制御器24を備える。

0054

まず波力発電システム1は、波等の水面変位を計測する。波等の水面変位は、波力発電機10に取り付けられた波高計測手段30により、発電主体部12との相対変位から計算され、データ保管部(図示無し)に格納される(S1:ステップ1)。

0055

水面変位予測器21は、データ保管部に格納された水面変位の時系列データである水面変位計測結果ηに基づいて、現時点から未来の水面変位の時系列を計算する波予測を行う。水面変位予測器21は、波予測の結果である水面変位予測結果η’(k+i|k) (’はηの上)を波強制力予測器22へ向けて出力する(S2:ステップ2)。
なお、現時点から未来の水面変位の時系列を計算する手法としては、AR(自己回帰)、ARMA(自己回帰移動平均)、ARIMA(自己回帰和分移動平均)等のパラメトリックモデル、及びカルマンフィルタ等がある。

0056

波強制力予測器22は、入力された水面変位予測結果η’(k+i|k) (’はηの上)に基づいて、可動部11と発電主体部12に作用する波強制力を計算する。波強制力予測器22は、算出した波強制力予測結果Fe’(k+i|k) (’はFeの上)を第1モデル予測制御器23へ向けて出力する(S3:ステップ3)。なお、波強制力の計算例については後述する。

0057

第1モデル予測制御器23は、ステップ4からステップ6において、多自由度をもつ波力発電機10をモデルとする第1モデルを用いた第1モデル予測制御計算を行い、第1の制御パラメータ及び第1の状態変数の時系列を求める。
まず、第1モデル予測制御器23は、入力された波強制力予測結果Fe’(k+i|k) (’はFeの上)に基づいて、6自由度(可動部11、発電主体部12の最大自由度)で可動部11と発電主体部12の挙動計算を行う(S4:ステップ4)。
ステップ4の後、第1モデル予測制御器23は、ステップ4での挙動計算結果に基づいて第1の制御パラメータの最適化を行う(S5:ステップ5)。第1の制御パラメータは、可動部11と発電主体部12の相互位置差の変化に対する速度影響と相対変位影響(位置差影響)のパラメータで構成される。なお、速度影響と相対変位影響のどちらか一方の場合も存在する。また、各項は高次までの多項式で構成することも選択の一つとする。
ステップ5の後、第1モデル予測制御器23は、最適制御に伴う可動部11と発電主体部12の挙動計算を行い、複数・多項式制御パラメータを含んだ多浮体6自由度系(2浮体以上)における第1の制御パラメータ及び第1の状態変数の時系列について、繰り返し収束法や代数方程式法によって、近似解(制御パラメータの最適化計算結果usub_opt、状態変数の最適化計算結果xsub_opt)を得る(S6:ステップ6)。本実施形態において、浮体は、可動部11と発電主体部12の2浮体である。なお、本発明は、可動部11と発電主体部12が一つの容器内に収容され、波等による水面変位により可動部11が発電主体部12に対して相対的に変位して発電を行う場合など、浮体が一つとみなされる場合であっても適用可能である。また、ステップ6においては、外部入力手段(図示無し)から第1モデル予測制御器23に入力された発電機特性及び制約条件に基づいて、波力発電機10の内部消費エネルギーと、可動部11の発電主体部12に対する機械的制約条件も評価パラメータに加え、得られるエネルギーが最大化されるよう計算する。機械的制約条件としては、例えば変位制限推力制限等がある。
第1モデル予測制御器23における第1モデルを用いた第1モデル予測制御計算には、多自由度をもつ機械系に対して実時間制御を行うことができるモデル予測制御法を適用することができる。多自由度系に対応したモデル制御法によって、予測ホライゾン間(評価区間)の近似解を得る。得られた近似解は、最適値ではないものの最適値に近い系列である。
ステップ6の後は、ステップ5に戻り、先の第1モデル予測制御計算で得られた第1の制御パラメータを基に再度第1の制御パラメータの最適化を行い、ステップ6へ進み近似解を得る。このように第1モデル予測制御器23は、第1の制御パラメータ及び第1の状態変数の最適化計算を繰り返す。
第1モデル予測制御器23は、算出した近似解(制御パラメータの最適化計算結果usub_opt、状態変数の最適化計算結果xsub_opt)を第2モデル予測制御器24へ向けて出力する。

0058

第2モデル予測制御器24は、ステップ7からステップ8において、波力発電機10の発電量に影響の大きい自由度に限った第1の制御パラメータ及び第1の状態変数を波力発電機10の第2モデルに適用し、第2モデル予測制御計算により第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の時系列を求めて最終の制御パラメータを導出する。
まず、第2モデル予測制御器24は、入力された近似解(制御パラメータの最適化計算結果usub_opt、状態変数の最適化計算結果xsub_opt)を初期値として、可動部11と発電主体部12の自由度を1自由度まで減らし、また、必要に応じて多項式制御パラメータを線形化する等、求める解の探索範囲を限定することで第2の制御パラメータの最適化を行う(S7:ステップ7)。なお、自由度は1自由度に限らず、例えば2自由度であってもよく、6自由度未満の自由度であれば、第2モデル予測制御器24はより短時間のうちに解を求めることができる。
ステップ7の後、第2モデル予測制御器24は、最適制御に伴う可動部11と発電主体部12の挙動計算を行い、厳密解に近い必要解(第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の時系列)を得て最終の制御パラメータを導出する(S8:ステップ8)。ステップ8においては、第1モデル予測制御器23のステップ6と同様に、外部入力手段から第2モデル予測制御器24に入力された発電機特性及び制約条件に基づいて、波力発電機10の内部消費エネルギーと、可動部11の発電主体部12に対する機械的制約条件も評価パラメータに加え、得られるエネルギーが最大化されるよう計算する。
第2モデル予測制御器24における第2モデルを用いた第2モデル予測制御計算には、1自由度系の波力発電機を対象として発電量最適制御を実現するモデル予測制御法を適用することができる。制御する運動モードに対して1自由度系モデル予測制御法にて最適化計算を行う。この時、第1モデル予測制御器23で求めた近似解(制御パラメータの最適化計算結果usub_opt、状態変数の最適化計算結果xsub_opt)は、最適化計算の良好な初期値、及び最適解の探索範囲の絞り込みに用いる。また、予測ホライゾン間の状態量の時系列が既知であり、第1モデル予測制御器23で求めた状態変数の最適化計算結果xsub_optは最適値を与える時系列に近いという仮定の下、他の運動モードの中で制御モードに対して影響が大きい運動モードは連成影響も考慮する。最適解に近い範囲で1自由度系等に限定したモデル予測制御法を利用することで、速やかに最適化演算が完了するアルゴリズムとすることができる。
ステップ8の後は、ステップ7に戻り、先の第2モデル予測制御計算で得られた第2の制御パラメータを基に再度第2の制御パラメータの最適化を行い、ステップ8へ進み必要解を得て最終の制御パラメータを導出する。このように第2モデル予測制御器24は、第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の最適化計算を繰り返す。
第2モデル予測制御器24は、算出した最終の制御パラメータ(制御パラメータの最適化計算結果uopt)を出力する。制御器20は、この最終の制御パラメータを指令値として、制御対象である波力発電機10の可動部11と発電主体部12の相対運動を制御し、波力発電機10の発電量の最大化を図る。
必要解である第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の時系列から導出した最終の制御パラメータに基づき、発電主体部12内の発電機起動部を強制制御加振し、水面変位との同調現象を引き起こすことで、より大きな水面変位エネルギーを吸収することができる。

0059

なお、第1モデル予測制御器23における最適化計算の繰り返し数と、第2モデル予測制御器24における最適化計算の繰り返し数は、波予測(水面変化の予測)に基づく1周期未満で最適化計算が終わるように構成させ、水面変位時間に応じて構成を変化させる。なお、最適化計算にかかる時間の長短機構系制御回路系遅れ要素ヒステリシス等に起因した制御的な誤差は、適宜タイミングや制御パラメータ等を補正して、波力発電機10の可動部11と発電主体部12との相対運動を制御することができる。
また、検力手段40、相対変位計測手段50及び姿勢計測手段60によって波力発電機10の状態変数が計測され、波力発電機10の状態変数計測結果(y=x)は、水面変位予測器21にフィードバックされる(S10:ステップ10)。これにより、水面変位予測器21が算出する未来の水面変位の時系列の精度が向上する。
また、図2に示すように、波力発電機10の状態変数計測結果(y=x)を第1モデル予測制御器23にフィードバックすることもできる。これにより、第1モデル予測制御器23が算出する近似解の精度が向上する。

0060

次に、波強制力予測器22における波強制力の計算例を図4を用いて説明する。図4は波強制力の推定に関する説明図である。
波強制力の計算にあたって計測する量は、波高計測手段30によって計測される水面変位(水面変位計測結果η)の時系列と、検力手段40によって計測される波強制力(Fe)の時系列である。
波強制力予測器21は、例えば、水面変位計測結果ηの時系列をARモデルとしてモデリングして予測する。ARモデルで水面変位計測結果ηがモデリングできると仮定し、ARモデルのパラメータ推定問題として最小二乗推定法で解き、ARモデルを状態空間で実現しカルマンフィルタを用いて長期予測を行う。

0061

次に、第1モデル予測制御器及び第2モデル予測制御器における拘束条件付き最適化演算のアルゴリズムの例を説明する。
まず、第1モデル予測制御器23の多自由度系における定式化の例を説明する。
図1のように、波力発電機10が可動部11と発電主体部12を有し、発電装置にリニアPTOを用いる波力発電システム1を例とする。可動部11は水面上で6自由度の運動が可能とする。この例の場合、可動部11が波浪中で上下揺れすることで発電を行う。
可動部11の運動を表す状態ベクトル下式(1)で表す。式(1)中のx、y、z、φ、θ、ψはそれぞれ、可動部11の前後揺れ、左右揺れ、上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、及び船首揺れを表し、上付きドットはこれらの時間微分を示す。これ以降はx1〜x12という記号で示す。

0062

制御力(Fg)は、Cg(可動部11の運動速度に比例する制御パラメータ:u1)、及びKg(可動部11の変位に比例する制御パラメータ:u2)の2つの制御パラメータを用いて下式(2)でモデル化する。なお、Fgは、可動部11に対して上下力としてのみ作用すると仮定する。

0063

不規則波中において、ラディエイション流体力(Frij)に対するメモリー影響は下式(3)で与えられる。なお、式(3)中のmij(∞)、Krij、xj(xの上にはドット) はそれぞれ、周波数無限大での付加質量係数、ラディエイション流体力に対するメモリー影響関数(運動速度に対するインパルス応答関数)、可動部11のjモードの運動速度である。また、式(3)ではt=0以前で可動部11は運動していないと仮定している。Krijは下式(4)で求める。なお、式(4)中のBijは造波減衰力係数である。

0064

本例では、上下揺れとの連成運動の中で、縦揺れのみが無視できないと仮定する。即ち、可動部11の上下揺れに関係するKr3jの中で、Kr33,Kr35の2つを考慮して定式化を行うが、どの運動モード(j)が上下揺れに対して影響が大きいかは可動部11の水線面下の形状に依存する。
式(3)中の積分項は、t=0から現在までの運動履歴がすべて影響することを意味するが、このままでは第1モデル予測制御器23を構成する上で不都合である。そこで式(3)中の積分項を下式(5)に示す線形不変システムでモデル化する(参照:Taghipour, R., Perez, T. and Moan, T. : Hybrid frequency-time domain models for dynamic response analysis of marine structures, Ocean Engineering, Vol. 35, Issue 7, 2008, pp. 685-705.)。式(5)中のArij、Brij、及びCrijは線形時不変システムの係数行列、xrijはこの線形時不変システムの状態ベクトル、urjはシステムへの入力であり、Kr33の場合はx9、Kr35の場合はx11である。

0065

線形時不変システムの次数、Arij、Brij、及びCrijの推定にはいくつかの手法がある(参照:Taghipour, R., Perez, T. and Moan, T. : Hybrid frequency-time domain models for dynamic response analysis of marine structures, Ocean Engineering, Vol. 35, Issue 7, 2008, pp. 685-705.)。ここでは、Fr33中の積分項について、次数がnr33、係数行列がAr33、Br33、及びCr33と推定でき、Fr35中の積分項について、次数がnr35、係数行列がAr35、Br35、及びCr35と推定できたと仮定する。
Fr33及びFr35の積分項を線形時不変モデルでモデル化する際に用いた状態ベクトル(xr33及びxr35)を式(1)の状態ベクトルに加えて下式(6)の拡大状態ベクトル(X)を定義すると、拡大状態ベクトルを用いた波力発電システム1の運動方程式は下式(7)で与えられる。式(7)中のMはXに対応した慣性行列、Fは外力のベクトルである。まず、慣性行列は下式(8)で定義される。式(8)中のIは適切な次元単位行列であり、0は適切な次元のゼロ行列である。また、m6×6は下式(9)で与える。式(9)中のmf、I44、I55、I66はそれぞれ、可動部11の質量、横揺れ慣性モーメント、縦揺れ慣性モーメント、船首揺れ慣性モーメントである。また、aijは付加質量若しくは付加慣性モーメントをあらわす。
拡大状態ベクトルXに対応した外力のベクトルFを下式(10)に示す。式(10)中のF1、F2、F3、M4、M5、M6はそれぞれ、可動部11に働く前後力、横力、上下力、横揺れモーメント縦揺れモーメント、船首揺れモーメントを示す。また、Fr33及びFr35は、式(3)中の積分項をモデル化した線形時不変システムに由来し、式(5)の第1式の右辺に相当する。
式(7)は、MPC−C/GMES法(参照:Toshiyuki Ohtsuka : A continuation/GMRESmethod for fast computation of nonlinear receding horizon control, Automatica, Vol. 40, 2004, pp. 563-574.)におけるダイナミカルシステムの定式化と同形式である。

0066

また、波力発電システム1の可動範囲等の機械的制約条件、発電装置の制御力に関する制約条件などを設定する。本例では、上下変位に下式(11)の不等式制約条件を設定する。なお、上下変位は式(1)の定義に従いx3で表す。

0067

不等式制約条件をダミー入力(u3)を用いて等式拘束条件に変換する。下式(12)に示した上下変位に関する等式制約条件は、x3−u3平面において、中心が((x3min+x3max)/2,0)、半径が(x3min+x3max)/2の円をあらわし、その円周上の点(x3, u2)は、必ず式(11)を満たす。

0068

また、制約条件で導入したダミー入力も制御ベクトルに加えて、制御入力ベクトルを下式(13)に拡張する。

0069

評価関数(J)は、リニアPTOで生じる銅損も考慮した発電電力を含む下式(14)で定義する。式(14)中のQ、Rは対角行列である。Q、Rの対角要素をq1〜q12+nr33+nr35及びr1〜r3とし、これらは全て非負の値とする。また、tf、Rs、及びKtはそれぞれ、評価区間長、リニアPTOの巻線抵抗、及び推力係数を示している。なお、評価関数にダミー入力の1次の項を加えたのは、式(12)がダミー入力に対して2次の項しか含まず、停留条件からダミー入力の符合が決まらず、解の追跡に失敗する場合があるためである。Q、Rの対角要素及びダミー入力の係数rd1は、モデル予測制御法(MPC)のチューニングパラメータである。

0070

上述のように、ダイナミカルシステムの定式化、制約条件、及び評価関数を与えることができたので、MPC−C/GMRES法等を用いて最適制御問題を解くことができる。

0071

次に、第2モデル予測制御器24の1自由度系における定式化の例を説明する。
第1モデル予測制御計算によって、発電量に最も影響が大きい運動モードが可動部11の上下揺れと同定され、縦揺れについても上下方向力への無視できない影響があったと仮定する。
第2モデル予測制御計算において、可動部11の運動を表す状態ベクトルは下式(15)となる。なお、記号は、第1モデル予測制御器23の説明で用いた記号を踏襲している。

0072

制御力は、第1モデル予測制御計算と同様に式(2)でモデル化し、可動部11の上下力としてのみ作用すると仮定する。
不規則波中において、上下方向のラディエイション流体力(Fr33)に対するメモリー影響は、式(3)、式(5)により、Kr33の積分項を線形時不変システムでモデル化して下式(16)であらわす。

0073

第1モデル予測制御計算により、評価区間(tf)における、縦揺れ、縦揺れ速度縦揺れ加速度、及び、Kr35を線形時不変モデルでモデル化した際に用いた状態ベクトルの時系列が得られていると仮定し、これらを下式(17)で表す。なお、式(17)中のkは現在時刻を示す。

0074

上下揺れに影響が大きいと仮定した縦揺れによって上下揺れ方向に働く流体力の時系列は、式(17)を用いて下式(18)で表す。式(18)中の第一項と第二項はラディエイション流体力の連成項、第三項は復原力の連成項である。なお、式(18)中のC35は上下揺れと縦揺れの連成復原力係数である。

0075

式(15)とxr33を合わせた拡大状態ベクトル(X’)を下式(19)とし、これを用いて可動浮体の運動方程式は下式(20)で表せる。式(20)中のFe33、C33はそれぞれ、可動部11に働く上下方向の波強制力、上下方向の復原力係数である。

0076

式(20)は、一部非線形項を含むものの、2次計画法におけるダイナミカルシステムの定式化として利用できる。
なお、制約条件と評価関数は、第1モデル予測制御計算と同じように定義するので記載を省略する。

0077

次に、端部安全手段について説明する。図5は本実施形態による波力発電システムに適用した端部安全手段の概要図である。
端部安全手段90は、内径ガイド付き皿バネ90Aと樹脂製の衝撃吸収材90Bを有し、可動部11の他方の端部側に配置される。フレーム11Cは、スパー12Bの上方に配置される上部ビーム11Ccと、スパー12Bの内部に配置される下部ビーム11Cdを有する。
皿バネ90Aは、スパー12Bの上面を挟み込むように上下一対で棒状部材連結材11Cbの周囲に配置される。皿バネ90Aの上端及び下端には、衝撃吸収材90Bがそれぞれ取り付けられている。
端部安全手段90を備えることにより、フロート11Cが大幅に下降し下限値を超えて下降制限域に進入した場合は、上部ビーム11Ccと上方の衝撃吸収材90Bが接触し、フロート11Cの運動を減衰させる。また、フロート11Cが大幅に上昇し上限値を超えて上昇制限域に進入した場合は、下部ビーム11Cdと下方の衝撃吸収材90Bが接触し、フロート11Cの運動を減衰させる。
このように、可動部11の変位が上限値又は下限値を超える場合、端部安全手段90が上部ビーム11Cc又は下部ビーム11Cdと接触し、可動部11の運動エネルギー消散させる。制御器20から波力発電機10への指令値である最終の制御パラメータは、変位制限値等を考慮することで可動部11の端部の変位幅所定範囲内に収まるように設定されているが、端部安全手段90を備えることで、予期せぬ大きさの波や揺動等の発生により可動部11の変位が予想を超える場合であっても、可動部11の端部と発電主体部12等との接触による破損を防止することができる。
また、本実施形態のように、端部安全手段90を、少ない変位で大きなエネルギーを吸収できる皿バネ90Aと樹脂製の衝撃吸収材90Bを組み合わせた設計とすることで、可動部11の可動範囲を大きく損なわずに充分な制動力を持たせることができる。

0078

以上のように、本実施形態による波力発電機の実時間制御方法は、波に対する可動部11と発電主体部12を有した多自由度をもつ波力発電機10を、多自由度をもつ波力発電機10の第1モデルを用いた第1モデル予測制御計算により第1の制御パラメータ及び第1の状態変数の時系列を求め、波力発電機10の発電量に影響の大きい自由度に限った第1の制御パラメータ及び第1の状態変数を波力発電機10の第2モデルに適用し、第2モデル予測制御計算により第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の時系列を求めて最終の制御パラメータを導出し、最終の制御パラメータに基づいて波力発電機10を制御する。
多自由度系に対応した第1モデル予測制御計算(第一段階)と、発電量に影響の大きいものに限った自由度系に対応した第2モデル予測制御計算(第二段階)を組み合わせることにより、拘束条件付き最適化問題をリアルタイムで短時間のうちに解いて最終の制御パラメータを求めることができるため、求めた最終の制御パラメータに基づいて多自由度をもつ波力発電機10の実時間制御を精度よく行い発電効率を向上させることができる。また、実装時の性能及び安全性検証等を十分に行うことが可能となるため、安全性を確保できる。

0079

また、波力発電機10の周囲の波による水面Yの変位に基づいて波予測を行い、波予測の結果を第1モデル予測制御計算に反映することで、第1モデル予測制御計算の精度を向上させることができる。
なお、波予測は、波高計測手段30で検出される実際の水面変位に基づいて行う他、水面変位に起因して検力手段40で検出される波強制力に基づいて行うこともできる。

0080

また、波予測は、水面Yの変位の時系列データを基に時系列予測手法を用いて予測することで、波予測の精度を上げ第1モデル予測制御計算の精度をさらに向上させることができる。

0081

また、第1モデル予測制御計算により、可動部11と発電主体部12との相対変位の変化に対する速度影響及び/又は相対変位影響を考慮した第1の制御パラメータ及び第1の状態変数を求めることで、第1モデル予測制御計算の精度を向上させることができる。

0082

また、求めた第1の制御パラメータを用いて第1モデル予測制御計算を繰り返し、第1の制御パラメータ及び第1の状態変数の最適値の近似解を得ることで、得られた第1の制御パラメータ及び第1の状態変数の最適値の近似解を第2モデル予測制御計算の初期値として用いることができるため、第2モデル予測制御計算の初期値をより良好なものとすることができる。

0083

また、第1モデル予測制御計算に当たって、可動部11の発電主体部12に対する機械的制約条件及び/又は波力発電機10の内部消費エネルギーを考慮することで、波力発電機10の実時間制御を、機械的制約条件や内部消費エネルギーを考慮したものとすることができる。

0084

また、第2モデル予測制御計算において、可動部11と発電主体部12との波力発電機10の発電量に影響の大きい自由度に限った計算及び/又は求める解の探索範囲を限定する計算を行なうことで、第2モデル予測制御計算を精度よくスピーディに行うことができる。

0085

また、求めた第2の制御パラメータを用いて第2モデル予測制御計算を繰り返し、第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の最適値を得ることで、得られた第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の最適値から導出した最終の制御パラメータに基づいて波力発電機10を制御することができるため、波力発電機10の実時間制御をより的確なものとすることができる。

0086

また、第2モデル予測制御計算に当たって、可動部11の発電主体部12に対する機械的制約条件及び/又は波力発電機10の内部消費エネルギーを考慮することで、波力発電機10の実時間制御を、機械的制約条件や内部消費エネルギーを考慮したものとすることができる。

0087

また、第1モデル予測制御計算及び第2モデル予測制御計算を、波の1周期未満で完了するように時間制限をかけることで、波力発電機10の実時間制御の継続性をより強固なものとすることができる。

0088

また、波力発電機10の制御は、最終の制御パラメータに基づいて可動部11と発電主体部12の相対運動を制御し、波力発電機10の発電量の最大化を図る制御とすることで、発電量を最大化した波力発電機10の実時間制御を実現することができる。

0089

また、可動部11の近傍の波の波高を計測する波高計測手段30を備えることで、
波高計測手段30が計測した波高を波予測等に利用することができる。

0090

また、波による波力の影響を計測する検力手段40を備えることで、検力手段40が計測した波力の影響を波予測やモデル予測制御計算等に利用することができる。

0091

また、可動部11と発電主体部12の相対変位を計測する相対変位計測手段50を備えることで、相対変位計測手段50が計測した可動部11と発電主体部12の相対変位を波予測やモデル予測制御計算等に利用することができる。

0092

また、波力発電機10の姿勢を計測する姿勢計測手段60を備えることで、姿勢計測手段60が計測した波力発電機10の姿勢を波予測やモデル予測制御計算等に利用することができる。

0093

また、波に対する可動部11と発電主体部12の相対運動における可動部11の端部の変位を制限する端部安全手段90を備えることで、可動部11の変位が予想を超える場合であっても、可動部11の端部と発電主体部12等との接触による破損を防止することができる。

0094

図6は本発明の一実施例による波力発電システムの概要図であり、図6(a)は全体概要図、図6(b)はリニアPTOの動作説明図である。なお、上記した実施形態と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例の波力発電システム1は、6自由度をもつ波力発電機10と、波力発電機10を実時間制御する制御部20と、波高計測手段30と、検力手段40と、相対変位計測手段50と、姿勢計測手段60を備え、複数の係留索70で水底Xに係留されている。
なお、図6には、波力発電機10の6自由度の運動方向(前後揺れ、左右揺れ、上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、及び船首揺れ)も併せて示している。

0095

本実施例における波力発電機10は、可動部11として電機子又は永久磁石が積層されたシャフト(棒状部材)11Bを有した回生運転と力行運転が可能なリニアPTO(パワー・テイク・オフ)としている。発電主体部12のPTO部12Aには、電機子(コイル)が内蔵されている。相対変位計測手段50は、シャフト11Bの変位量を計測する。
スパー12Bの内部には、制御器20とバッテリー制御システム100が配置されている。制御器20は、バッテリー制御システム100からリニアPTOに供給される電流を制御する。バッテリー制御システム100は、リニアPTOが発電した電力を蓄電し、制御器20からの指令に応じてリニアPTOに電流を供給する。

0096

図6(b)の上段の図は、回生運転(発電時)の状態を示している。シャフト11Bの運動により生じる磁界変化誘導起電力が生じ、電力が回生する。また、発電負荷が減衰力として作用する。生じた回生電力はバッテリー制御システム100の蓄電装置に蓄電される。回生運転においては、シャフト11Bの進行方向と制御力が反対方向となる。
図6(b)の下段の図は、力行運転(非発電時)の状態を示している。力行運転ではリニアモータとして利用する。発電量の一部は巻線抵抗により失われる。力行運転においては、シャフト11Bの進行方向と制御力が同方向となる。

0097

図7は本実施例における波力発電システム1の制御フロー図である。
制御器20は、制御を開始すると、波高計測手段30によって計測される水面変位、検力手段40によって計測される波力の影響、相対変位計測手段50によって計測されるシャフト11Bの変位、及び姿勢計測手段60によって計測される波力発電機10の姿勢を取得する(S20:ステップ20)。
ステップ20の後、制御器20は、水面変位予測器21による水面変位予測結果η’(k+i|k) (’はηの上)に基づき、波強制力予測器22において波強制力を推定する(S21:ステップ21)。波強制力の推定には、例えば線形カルマンフィルタ等を用いることができる。
ステップ21の後、制御器20は、第1モデル予測制御器23及び第2モデル予測制御器24によって拘束条件付き最適化演算を行い、必要解である第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の時系列を求めて最終の制御パラメータを導出する(S22:ステップ22)。
ステップ22の後、制御器20は、求めた最終の制御パラメータに基づき、必要な制御力が出力されるようにバッテリー制御システム100に対して電流供給指令を行う(S23:ステップ23)。
ステップ23の後はステップ20に戻り、次の予測ホライゾン間における制御を開始する。
このように、本実施例によれば、リニアPTOである波力発電機10の実時間制御を精度よく行うことができる。

0098

図8は本発明の他の実施例による波力発電システムの概要図であり、図8(a)は全体概要図、図8(b)は油圧式リニアPTOの動作説明図である。なお、上記した実施形態又は実施例と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例の波力発電システム1は、6自由度をもつ波力発電機10と、波力発電機10を実時間制御する制御部20と、波高計測手段30と、検力手段40と、相対変位計測手段50と、姿勢計測手段60を備え、複数の係留索70で水底Xに係留されている。
なお、図8には、波力発電機10の6自由度の運動方向(前後揺れ、左右揺れ、上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、及び船首揺れ)も併せて示している。

0099

本実施例における波力発電機10は、可動部11の動きを油圧に変換して利用する油圧式リニアPTO(パワー・テイク・オフ)としている。
波力発電機10は、ピストン(棒状部材)11Bと発電主体部12のPTO部12A内に配置されたシリンダによって制御力を発生させる。相対変位計測手段50は、ピストン11Bの変位量を計測する。
スパー12Bの内部には、制御器20と油圧制御システム110と油圧モータ120が配置されている。制御器20は、油圧制御システム110から油圧式リニアPTOに供給される圧油を制御する。油圧制御システム110は、油圧式リニアPTOで生成された圧油を蓄圧器130に送る。また、制御器20の指令に応じて可変絞り弁111の開度を制御し、油圧式リニアPTOに圧油を送る。蓄圧器130は、高圧側蓄圧器130Aと、低圧側蓄圧器130Bからなる。また、油圧制御システム110には、複数の逆止弁112が設けられている。

0100

図9は本実施例における波力発電システム1の制御フロー図である。
制御器20は、制御を開始すると、波高計測手段30によって計測される水面変位、検力手段40によって計測される波力の影響、相対変位計測手段50によって計測されるピストン11Bの変位、姿勢計測手段60によって計測される波力発電機10の姿勢、及び蓄圧器130の圧力値を取得する(S30:ステップ30)。
ステップ30の後、制御器20は、水面変位予測器21による水面変位予測結果η’(k+i|k) (’はηの上)に基づき、波強制力予測器22において波強制力を推定する(S31:ステップ31)。波強制力の推定には、例えば線形カルマンフィルタ等を用いることができる。
ステップ31の後、制御器20は、第1モデル予測制御器23及び第2モデル予測制御器24によって拘束条件付き最適化演算を行い、必要解である第2の制御パラメータ及び第2の状態変数の時系列を求めて最終の制御パラメータを導出する(S32:ステップ32)。
ステップ32の後、制御器20は、求めた最終の制御パラメータに基づき、必要な制御力が出力されるように油圧制御システム110に対して圧油供給指令を行う(S33:ステップ33)。
ステップ33の後はステップ30に戻り、次の予測ホライゾン間における制御を開始する。
このように、本実施例によれば、油圧式リニアPTOである波力発電機10の実時間制御を精度よく行うことができる。

0101

図10は本発明のさらに他の実施例による波力発電システムの概要図である。なお、上記した実施形態又は実施例と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例の波力発電システム1は、6自由度をもつ波力発電機10と、波力発電機10を実時間制御する制御部20と、波高計測手段30と、検力手段40と、相対変位計測手段50と、姿勢計測手段60を備え、複数の係留索70で水底Xに係留されている。
なお、図10には、波力発電機10の6自由度の運動方向(前後揺れ、左右揺れ、上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、及び船首揺れ)も併せて示している。

実施例

0102

本実施例は、いわゆる屈曲揺動型の波力発電システムであり、波力発電機10は、可動部11として軸17の周りに運動可能な浮体を有したPTO(パワー・テイク・オフ)であり、PTOを油圧式リニアPTOとしている。
可動部11は、一方のフロート11Aaと他方の浮体11Abを有する。一方の浮体11Aa及び他方の浮体11Abは、平板状又は棒状等である。一方の浮体11Aaと他方の浮体11Abは、向かい合わせに配置され、対向する端部同士が軸17を介して接続されている。一方の浮体11Aaの上面には、波高計測手段30、姿勢計測手段60、油圧制御システム110、油圧モータ120、及び蓄圧器130が配置されている。他方の浮体11Abの上面には、制御器20及び姿勢計測手段60が配置されている。軸17には検力手段40及び相対変位計測手段50が配置されている。PTO部12A及びピストン(棒状部材)11Bは、横倒しに配置され、一方の浮体11Aaと他方の浮体11Abのそれぞれに立設したフレーム11Cに支えられた状態で、一方の浮体11Aaと他方の浮体11Abに跨って配置されている。ピストン11Bは、水平方向に往復動する。
なお、本実施例における波力発電システム1の制御フローは、上記の図9を用いて説明したものと同様であるため説明を省略する。
また、本実施例においてはPTOを油圧式リニアPTOとしたが、可動部11として電機子又は永久磁石が積層されたシャフト(棒状部材)11Bを有した回生運転と力行運転が可能なリニアPTOとすることもできる。この場合の波力発電システム1の制御フローは、上記の図7を用いて説明したものと同様である。
また、PTOは、リニア式以外の、例えば回転軸の相対運動により発電する方式とすることもできる。
また、本実施例の波力発電機10に、波に対する可動部11と発電主体部12の相対運動における可動部11の端部の変位を制限する端部安全手段90を備えることもできる。
このように、本実施例によれば、可動部11として軸の周りに運動可能な浮体11Aa、11Abを有したPTOである波力発電機10の実時間制御を精度よく行うことができる。

0103

本発明は、浮体式の波力発電機に適用し、高効率かつ安全性を確保した波力発電機の実用化に資することができる。また、波力以外の潮流海流等に起因した水面変動に伴う力を利用した発電機にも展開が可能である。

0104

1波力発電システム
10波力発電機
11可動部
12発電主体部
30波高計測手段
40 検力手段
50相対変位計測手段
60姿勢計測手段
90 端部安全手段

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