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技術 薄片状インジウム粒子及びその製造方法、光輝性顔料、並びに水性塗料、水性インク、及び塗膜

出願人 尾池工業株式会社
発明者 戒能悠介堀友恵藤原雅史野崎孝至廣田真人川井毅彦竹中利夫
出願日 2019年12月24日 (11ヶ月経過) 出願番号 2019-232557
公開日 2020年8月31日 (2ヶ月経過) 公開番号 2020-132998
状態 特許登録済
技術分野 顔料、カーボンブラック、木材ステイン 塗料、除去剤 金属質粉又はその懸濁液の製造 粉末冶金 インキ、鉛筆の芯、クレヨン
主要キーワード 充填度合い 各部分区間 超微小粒子 紫外可視分光法 粒子充填層 操業要因 水和イオン 七角形
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年8月31日)のものです。
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図面 (20)

課題

優れた保存安定性を有する水性塗料水性インク及び優れた耐水性耐湿性、及び金属調意匠性を有する塗膜が得られる薄片インジウム粒子及び薄片状インジウム粒子の製造方法、光輝性顔料、並びに水性塗料、水性インク及び塗膜の提供。

解決手段

インジウム粒子の粒径と、該粒径におけるインジウム粒子の体積割合との関係を示す体積基準粒度分布において、第1のピークと、該第1のピークよりも粒径が大きい第2のピークとを有し、前記第1のピークにおけるインジウム粒子の体積V1と、前記第2のピークにおけるインジウム粒子の体積V2とが、次式、(V1/V2)×100≧25%、を満たす薄片状インジウム粒子である。

概要

背景

近年、環境問題についての関心が高まり、有機溶剤を使用しない低公害型の水性塗料インクが注目を集めている。また、水性塗料、インクの目覚ましい技術的進歩により、従来、溶剤型塗料、インクでしか達し得なかった高級な仕上り外観が、水性塗料や水性インクでも実現可能な状況になってきた。

このような水性塗料は自動車内外装の塗装等に使用され、水性インクはグラビア印刷オフセット印刷インクジェット印刷などにおけるインクとして使用されることが想定されている。
一方、塗装用塗料印刷用インク意匠性向上のために金属調の光沢を付与する場合がある。その場合、塗料やインクの中に光輝性顔料を添加し、金属調意匠性を付与する方法が既に知られている。
しかし、金属調を呈する基材粒子として金属顔料を用いた場合、特に金属顔料としてアルミニウム粒子を用いた場合、アルミニウム粒子を水性塗料に配合すると、アルミニウム粒子が塗料中の水と反応して黒変したり、水素ガスを発生し、水性塗料の保存安定性が低下するという問題がある。

このような水性塗料として使用した場合の保存安定性の低下(即ち、耐水性の低下)の問題を解決するために、例えば、金属顔料を、燐酸又は燐酸エステル添加剤により処理する方法(特許文献1〜3等参照)、Mo(モリブデン化合物により処理する方法(特許文献4等参照)、シリカ等の酸化皮膜被覆する方法(特許文献5〜7等参照)などの技術が種々提案されている。
しかし、これらの従来技術は水性塗料の保存安定性、延いては塗膜耐湿性を充分に満足する水準に達しておらず、意匠性に関しても、表面処理による有機成分の影響による光輝性顔料の形状変化アスペクト比平均粒径を平均厚さで除した形状係数)の低下により、光の乱反射成分が増加し金属調意匠性が低下するという問題がある。

また、例えば、金属粒子上に有機カルボン酸金属塩を付着することにより、金属粒子が水等の溶媒と反応して水素ガス等を発生したり、腐食したりすることを有効に防止できることが提案されている(例えば、特許文献8参照)。

概要

優れた保存安定性を有する水性塗料、水性インク及び優れた耐水性、耐湿性、及び金属調意匠性を有する塗膜が得られる薄片インジウム粒子及び薄片状インジウム粒子の製造方法、光輝性顔料、並びに水性塗料、水性インク及び塗膜の提供。インジウム粒子の粒径と、該粒径におけるインジウム粒子の体積割合との関係を示す体積基準粒度分布において、第1のピークと、該第1のピークよりも粒径が大きい第2のピークとを有し、前記第1のピークにおけるインジウム粒子の体積V1と、前記第2のピークにおけるインジウム粒子の体積V2とが、次式、(V1/V2)×100≧25%、を満たす薄片状インジウム粒子である。

目的

本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

インジウム粒子粒径と、該粒径におけるインジウム粒子の体積割合との関係を示す体積基準粒度分布において、第1のピークと、該第1のピークよりも粒径が大きい第2のピークとを有し、前記第1のピークにおけるインジウム粒子の体積V1と、前記第2のピークにおけるインジウム粒子の体積V2とが、次式、(V1/V2)×100≧25%、を満たすことを特徴とする薄片状インジウム粒子。

請求項2

インジウム粒子の粒径と、該粒径におけるインジウム粒子の体積割合との関係を示す体積基準の粒度分布において、前記第1のピークにおけるインジウム粒子の粒径P1と、前記第2のピークにおけるインジウム粒子の粒径P2とが、次式、P2/P1≦12、を満たす請求項1に記載の薄片状インジウム粒子。

請求項3

前記インジウム粒子の平均厚さが60nm以下である請求項1から2のいずれかに記載の薄片状インジウム粒子。

請求項4

前記インジウム粒子の累積50%体積粒子径D50が0.70μm以下である請求項1から3のいずれかに記載の薄片状インジウム粒子。

請求項5

前記第2のピークにおけるインジウム粒子の粒径P2が0.75μm以下である請求項2から4のいずれかに記載の薄片状インジウム粒子。

請求項6

薄片状インジウム粒子は、その表面の少なくとも一部に有機物層を有する請求項1から5のいずれかに記載の薄片状インジウム粒子。

請求項7

基材上に剥離層を設ける剥離層形成工程と、前記剥離層上に薄片状インジウム粒子を含有する金属層を平均蒸着厚さが60nm以下となるように真空蒸着する真空蒸着工程と、前記剥離層を溶解することにより前記金属層を剥離する剥離工程と、を含むことを特徴とする薄片状インジウム粒子の製造方法。

請求項8

請求項1から6のいずれかに記載の薄片状インジウム粒子を含むことを特徴とする光輝性顔料

請求項9

水と、請求項1から6のいずれかに記載の薄片状インジウム粒子とを含有することを特徴とする水性塗料

請求項10

水と、有機溶剤と、請求項1から6のいずれかに記載の薄片状インジウム粒子とを含有し、前記薄片状インジウム粒子の含有量が、水性インク全量に対して、2.0質量%以上11.5質量%以下であることを特徴とする水性インク

請求項11

入射角20°でのグロス値が150以上であり、入射角60°でのグロス値が170以上である請求項10に記載の水性インクを付与してなる塗膜

請求項12

入射角20°のグロス値(Gs20°)及び入射角60°のグロス値(Gs60°)において、これらの差(Gs20°−Gs60°)が−100以上、及び和(Gs20°+Gs60°)が300以上の少なくともいずれかを満たす請求項10に記載の水性インクを付与してなる塗膜。

請求項13

薄片状インジウム粒子を含み、表面粗度Raが30nm以下であることを特徴とする塗膜。

請求項14

入射角20°でのグロス値が300以上であり、入射角60°でのグロス値が320以上である請求項13に記載の塗膜。

請求項15

CIELab表色系においてL*値(全反射)が60以上、a*値が−5以上0.2以下、b*値が−1以上8.5以下である請求項13から14のいずれかに記載の塗膜。

技術分野

0001

本発明は、薄片インジウム粒子及びその製造方法、光輝性顔料、並びに水性塗料水性インク、及び塗膜に関する。

背景技術

0002

近年、環境問題についての関心が高まり、有機溶剤を使用しない低公害型の水性塗料、インクが注目を集めている。また、水性塗料、インクの目覚ましい技術的進歩により、従来、溶剤型塗料、インクでしか達し得なかった高級な仕上り外観が、水性塗料や水性インクでも実現可能な状況になってきた。

0003

このような水性塗料は自動車内外装の塗装等に使用され、水性インクはグラビア印刷オフセット印刷インクジェット印刷などにおけるインクとして使用されることが想定されている。
一方、塗装用塗料印刷用インク意匠性向上のために金属調の光沢を付与する場合がある。その場合、塗料やインクの中に光輝性顔料を添加し、金属調意匠性を付与する方法が既に知られている。
しかし、金属調を呈する基材粒子として金属顔料を用いた場合、特に金属顔料としてアルミニウム粒子を用いた場合、アルミニウム粒子を水性塗料に配合すると、アルミニウム粒子が塗料中の水と反応して黒変したり、水素ガスを発生し、水性塗料の保存安定性が低下するという問題がある。

0004

このような水性塗料として使用した場合の保存安定性の低下(即ち、耐水性の低下)の問題を解決するために、例えば、金属顔料を、燐酸又は燐酸エステル添加剤により処理する方法(特許文献1〜3等参照)、Mo(モリブデン化合物により処理する方法(特許文献4等参照)、シリカ等の酸化皮膜被覆する方法(特許文献5〜7等参照)などの技術が種々提案されている。
しかし、これらの従来技術は水性塗料の保存安定性、延いては塗膜の耐湿性を充分に満足する水準に達しておらず、意匠性に関しても、表面処理による有機成分の影響による光輝性顔料の形状変化アスペクト比平均粒径を平均厚さで除した形状係数)の低下により、光の乱反射成分が増加し金属調意匠性が低下するという問題がある。

0005

また、例えば、金属粒子上に有機カルボン酸金属塩を付着することにより、金属粒子が水等の溶媒と反応して水素ガス等を発生したり、腐食したりすることを有効に防止できることが提案されている(例えば、特許文献8参照)。

先行技術

0006

特開昭63−054475号公報
特開昭61−047771号公報
特開平07−133440号公報
特開平06−057171号公報
特開2003−041150号公報
特開2004−131542号公報
特開2004−124069号公報
特開2011−012223号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、特許文献8に記載の発明では、水性塗料の保存安定性、延いては塗膜の耐湿性が充分満足する水準に達していないという問題は解消できていない。更に、薄片状インジウム粒子を用いることにより、優れた耐水性、耐湿性、及び金属調意匠性を有する塗膜が得られることについては開示も示唆もされていない。

0008

本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた保存安定性を有する水性塗料、水性インク及び優れた耐水性、耐湿性、及び金属調意匠性を有する塗膜が得られる薄片状インジウム粒子及び薄片状インジウム粒子の製造方法、光輝性顔料、並びに水性塗料、水性インク及び塗膜を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1>インジウム粒子の粒径と、該粒径におけるインジウム粒子の体積割合との関係を示す体積基準粒度分布において、第1のピークと、該第1のピークよりも粒径が大きい第2のピークとを有し、
前記第1のピークにおけるインジウム粒子の体積V1と、前記第2のピークにおけるインジウム粒子の体積V2とが、次式、(V1/V2)×100≧25%、を満たすことを特徴とする薄片状インジウム粒子である。
<2> インジウム粒子の粒径と、該粒径におけるインジウム粒子の体積割合との関係を示す体積基準の粒度分布において、前記第1のピークにおけるインジウム粒子の粒径P1と、前記第2のピークにおけるインジウム粒子の粒径P2とが、次式、P2/P1≦12、を満たす前記<1>に記載の薄片状インジウム粒子である。
<3> 前記インジウム粒子の平均厚さが60nm以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の薄片状インジウム粒子である。
<4> 前記インジウム粒子の累積50%体積粒子径D50が0.70μm以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の薄片状インジウム粒子である。
<5> 前記第2のピークにおけるインジウム粒子の粒径P2が0.75μm以下である前記<2>から<4>のいずれかに記載の薄片状インジウム粒子である。
<6> 薄片状インジウム粒子は、その表面の少なくとも一部に有機物層を有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の薄片状インジウム粒子である。
<7>基材上に剥離層を設ける剥離層形成工程と、
前記剥離層上に薄片状インジウム粒子を含有する金属層を平均蒸着厚さが60nm以下となるように真空蒸着する真空蒸着工程と、
前記剥離層を溶解することにより前記金属層を剥離する剥離工程と、
を含むことを特徴とする薄片状インジウム粒子の製造方法である。
<8> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の薄片状インジウム粒子を含むことを特徴とする光輝性顔料である。
<9> 水と、前記<1>から<6>のいずれかに記載の薄片状インジウム粒子とを含有することを特徴とする水性塗料である。
<10> 水と、有機溶剤と、前記<1>から<6>のいずれかに記載の薄片状インジウム粒子とを含有し、前記薄片状インジウム粒子の含有量が、水性インク全量に対して、2.0質量%以上11.5質量%以下であることを特徴とする水性インクである。
<11>入射角20°でのグロス値が150以上であり、入射角60°でのグロス値が170以上である前記<10>に記載の水性インクを付与してなる塗膜である。
<12> 入射角20°のグロス値(Gs20°)及び入射角60°のグロス値(Gs60°)において、これらの差(Gs20°−Gs60°)が−100以上、及び和(Gs20°+Gs60°)が300以上の少なくともいずれかを満たす前記<10>に記載の水性インクを付与してなる塗膜である。
<13> 薄片状インジウム粒子を含み、表面粗度Raが30nm以下であることを特徴とする塗膜である。
<14> 入射角20°でのグロス値が300以上であり、入射角60°でのグロス値が320以上である前記<13>に記載の塗膜である。
<15>CIELab表色系においてL*値(全反射)が60以上、a*値が−5以上0.2以下、b*値が−1以上8.5以下である前記<13>から<14>のいずれかに記載の塗膜である。

発明の効果

0010

本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた保存安定性を有する水性塗料、水性インク及び優れた耐水性、耐湿性、及び金属調意匠性を有する塗膜が得られる薄片状インジウム粒子及び薄片状インジウム粒子の製造方法、光輝性顔料、並びに水性塗料、水性インク及び塗膜を提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

図1は、実施例1〜4及び比較例1の薄片状インジウム粒子、並びに比較例2の薄片状アルミニウム粒子における体積基準の粒度分布の結果を示すグラフである。
図2は、実施例1の真空蒸着後のインジウム蒸着薄膜のSEM写真(30,000倍)である。
図3は、実施例2の真空蒸着後のインジウム蒸着薄膜のSEM写真(30,000倍)である。
図4は、実施例3の真空蒸着後のインジウム蒸着薄膜のSEM写真(30,000倍)である。
図5は、実施例4の真空蒸着後のインジウム蒸着薄膜のSEM写真(30,000倍)である。
図6は、比較例1の真空蒸着後のインジウム蒸着薄膜のSEM写真(30,000倍)である。
図7は、実施例1で得られた薄片状インジウム粒子のSEM写真(30,000倍)である。
図8は、実施例2で得られた薄片状インジウム粒子のSEM写真(30,000倍)である。
図9は、実施例3で得られた薄片状インジウム粒子のSEM写真(30,000倍)である。
図10は、実施例4で得られた薄片状インジウム粒子のSEM写真(30,000倍)である。
図11は、比較例1で得られた薄片状インジウム粒子のSEM写真(30,000倍)である。
図12は、比較例2で得られた薄片状アルミニウム粒子のSEM写真(30,000倍)である。
図13は、実施例1の薄片状インジウム粒子を含む塗膜のSEM写真(30,000倍)である。
図14は、実施例2の薄片状インジウム粒子を含む塗膜のSEM写真(30,000倍)である。
図15は、実施例3の薄片状インジウム粒子を含む塗膜のSEM写真(30,000倍)である。
図16は、実施例4の薄片状インジウム粒子を含む塗膜のSEM写真(30,000倍)である。
図17は、比較例1の薄片状インジウム粒子を含む塗膜のSEM写真(30,000倍)である。
図18は、比較例2の薄片状アルミニウム粒子を含む塗膜のSEM写真(30,000倍)である。
図19は、実施例1の薄片状インジウム粒子を含む塗膜のAFMの測定結果を示す図である。
図20は、実施例2の薄片状インジウム粒子を含む塗膜のAFMの測定結果を示す図である。
図21は、実施例3の薄片状インジウム粒子を含む塗膜のAFMの測定結果を示す図である。
図22は、実施例4の薄片状インジウム粒子を含む塗膜のAFMの測定結果を示す図である。
図23は、比較例1の薄片状インジウム粒子を含む塗膜のAFMの測定結果を示す図である。
図24は、比較例2の薄片状アルミニウム粒子を含む塗膜のAFMの測定結果を示す図である。

0012

(薄片状インジウム粒子)
本発明の薄片状インジウム粒子は、インジウム粒子の粒径と、該粒径におけるインジウム粒子の体積割合との関係を示す体積基準の粒度分布において、第1のピークと、該第1のピークよりも粒径が大きい第2のピークとを有し、前記第1のピークにおけるインジウム粒子の体積V1と、前記第2のピークにおけるインジウム粒子の体積V2とが、次式、(V1/V2)×100≧25%、を満たす。即ち、本発明のインジウム粒子は、薄片状であり、累積50%体積平均粒子径が小さく、平均厚さが薄いこと、超微小粒子微小粒子の二つのピークを持つ二峰型分布を示し、体積比率(V1/V2)×100が25%以上であることが特徴である。

0013

本発明の薄片状インジウム粒子によると、優れた耐水性、耐湿性、及び金属調意匠性を有する塗膜、及び優れた保存安定性を有する水性塗料が得られる。
耐水性、耐湿性に関しては、アルミニウムイオン化傾向水溶液中における水和イオン単体金属との間の標準酸化還元電位の順)が高く、水と反応して水素ガスを発生し、特に高温の水及び水蒸気に対しては高い反応性を示す金属である。また、金属粒子は平均粒径が小さくなるに従って比表面積単位質量あたりの表面積又は単位体積あたりの表面積)が増大し、金属粒子と水溶媒の界面における接触面積の増加により、水素ガス発生を増長させる。これに対して、インジウムは水に対して安定で無毒であることが知られている。また、薄片状インジウム粒子は累積50%体積粒子径が小さくても化学的に安定な状態を維持する。

0014

金属調意匠性(高グロス値)に関しては、インジウム粒子の形状が薄片状であり、かつ累積50%体積粒子径が小さいこと、超微小粒子と微小粒子の二つのピークを持つ二峰型分布を示すことに起因していると考えられる。このような粒子特性は、インジウム粒子の製造方法、及び粒子成長方法によって決まると考えられる。

0015

本発明の薄片状インジウム粒子は、基材上に物理的気相成長法(Physical Vapor Deposition、PVD)と総称される真空蒸着法スパッタリング法により金属薄膜層を形成し、該金属薄膜層を剥離することで得られる。この真空蒸着法やスパッタリング法により形成される金属薄膜層の膜成長過程は、本発明のインジウム粒子の形状が薄片状であり、かつ累積50%体積粒子径が小さいこと、超微小粒子と微小粒子の二つのピークを持つ二峰型分布を示すことに影響している。
ここで、金属薄膜層の膜成長過程は以下のように考えられる。真空蒸着法の場合、蒸着源から飛来した個々の原子は、基材表面に到達すると、基材との相互作用によって、エネルギーを失って基材に吸着し、基材表面上で拡散金属原子同士の衝突、結合し、三次元的な核が形成される。形成された三次元的な核は基材上の表面拡散原子の獲得により、原子数がある臨界値を超えると、隣接する三次元的な核と合体し、島状に成長して島状構造膜を形成する。
本発明の薄片状インジウム粒子は、このような島状成長様式の膜成長過程から得られると考えられる。この島状成長様式により、得られるインジウム粒子は、形状が薄片状であり、かつ累積50%体積粒子径が小さく、超微小粒子と微小粒子の二つのピークを持つ二峰型分布が得られると考えられる。

0016

このような本発明の薄片状インジウム粒子を用いると、非常に密充填で表面粗度Raの低い塗膜が得られる。充填度合いを示す空間率粒子充填層内の粒子間に存在する空間の割合)は、超微小粒子と微小粒子の存在下において、微粒子間の隙間に超微小粒子が入り込むことで減少し、密充填されると考えられる。更に、塗膜の表面粗度Raについても、累積50%体積粒子径が小さいことに加え、前述の密充填により極めて低くすることができる。これにより、金属調意匠性を示す指標となるグロス値を高くすることができ、優れた金属調意匠性を発現できると考えられる。

0017

本発明のインジウム粒子は、薄片状粒子である。前記薄片状粒子は、鱗片状粒子平板状粒子フレーク状粒子などと称されることもある。
本発明において、薄片状粒子とは、略平坦な面を有し、かつ該略平坦な面に対して垂直方向の厚さが略均一である粒子を意味する。また、前記薄片状粒子とは、前記厚さが非常に薄く、略平坦な面の長さが非常に長い形状の粒子を意味する。なお、略平坦な面の長さは、前記薄片状粒子の投影面積と同じ投影面積を持つ円の直径である。
略平坦な面の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略長方形略正方形略円形略楕円形略三角形略四角形、略五角形略六角形、略七角形、略八角形等の多角形ランダム不定形などが挙げられる。これらの中でも、略円形であることが好ましい。
薄片状インジウム粒子は、1層であってもよいし、2層以上が積層して一次粒子となっていてもよい。また、薄片状インジウムの一次粒子が凝集し、二次粒子を形成していてもよい。
なお、薄片状インジウム粒子は純度95%以上のインジウムからなり、微量の不純物を含んでいてもよいが、他の金属との合金については含まれない。

0018

インジウム粒子の粒径と、該粒径におけるインジウム粒子の体積割合との関係を示す体積基準の粒度分布において、第1のピークと、該第1のピークよりも粒径が大きい第2のピークとを有し、前記第1のピークにおけるインジウム粒子の体積V1と、前記第2のピークにおけるインジウム粒子の体積V2とは、次式、(V1/V2)×100≧25%、を満たし、次式、(V1/V2)×100≧35%、を満たすことが好ましく、次式、(V1/V2)×100≧50%、を満たすことがより好ましい。
次式、(V1/V2)×100≧25%、を満たすことにより、塗膜の表面粗度Raが下がり、金属調意匠性を示す指標となるグロス値を高くすることができ、優れた金属調意匠性を発現できるという利点がある。

0019

インジウム粒子の粒径と、該粒径におけるインジウム粒子の体積割合との関係を示す体積基準の粒度分布において、第1のピークにおけるインジウム粒子の粒径P1と、第2のピークにおけるインジウム粒子の粒径P2とが、次式、P2/P1≦12、を満たすことが好ましく、P2/P1≦10がより好ましく、P2/P1≦8が更に好ましく、P2/P1≦7が特に好ましい。
次式、P2/P1≦12、を満たすことにより、塗膜の表面粗度Raが下がり、金属調意匠性を示す指標となるグロス値を高くすることができ、優れた金属調意匠性を発現できるという利点がある。
前記第1のピークにおけるインジウム粒子の粒径P1は0.075μm以下が好ましい。
前記第2のピークにおけるインジウム粒子の粒径P2は0.75μm以下が好ましく、0.6μm以下がより好ましく、0.5μm以下が更に好ましい。

0020

上記(V1/V2)×100、及びP2/P1は、インジウム粒子の粒径と、該粒径におけるインジウム粒子の体積割合との関係を示す体積基準の粒度分布を測定することにより求めることができる。体積基準の粒度分布は、例えば、レーザー回折散乱粒度分布測定器などにより測定することができる。

0021

インジウム粒子の粒径と、該粒径におけるインジウム粒子の体積割合との関係を示す体積基準の粒度分布において、第1のピークにおけるインジウム粒子の面積S1と、第2のピークにおけるインジウム粒子の面積S2とは、次式、(S1/S2)×100≧20%、を満たすことが好ましく、次式、(S1/S2)×100≧30%、を満たすことがより好ましく、次式、(S1/S2)×100≧50%、を満たすことが更に好ましく、次式、(S1/S2)×100≧70%、を満たすことが特に好ましい。
次式、(S1/S2)×100≧20%、を満たすことにより、塗膜の表面粗度Raが下がり、金属調意匠性を示す指標となるグロス値を高くすることができ、優れた金属調意匠性を発現できるという利点がある。

0022

前記インジウム粒子の累積50%体積粒子径D50としては、0.70μm以下が好ましく、0.60μm以下がより好ましく、0.50μm以下が更に好ましく、0.40μm以下が特に好ましい。
累積50%体積粒子径D50が0.70μm以下であると、塗膜の表面粗度Raが下がり、金属調意匠性を示す指標となるグロス値を高くすることができ、優れた金属調意匠性を発現できる。という利点がある。
前記累積50%体積粒子径(D50)は、レーザー回折法により得られる粒径分布曲線体積分布累積量の50%に相当する粒径であり、非球形のインジウム粒子を完全な球体仮定して測定した場合の、インジウム粒子の粒径である。しかし、実際のインジウム粒子は、球形ではなく、長辺及び短辺を有する薄片状である。したがって、前記D50は、インジウム粒子の実際の長辺方向の長さ(長径)及び短辺方向の長さ(短径)とは異なる値である。
前記レーザー回折法を用いた手段としては、例えば、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器などが挙げられる。

0023

前記インジウム粒子の平均厚さは60nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、45nm以下が更に好ましい。前記平均厚さが60nm以下であると、塗膜の表面粗度Raが下がり、金属調意匠性を示す指標となるグロス値を高くすることができ、優れた金属調意匠性を発現できるという利点がある。
本発明におけるインジウム粒子の平均厚さとは、薄片状のインジウム粒子の3次元方向において、最も短い部分の長さと定義する。
前記平均厚さは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)観察、蛍光X線分析法(XRF)、紫外可視分光法などから求めることができ、インジウム粒子の平均厚さはインジウム蒸着薄膜の平均蒸着厚さと同じである。
走査型電子顕微鏡(SEM)観察を用いる場合、インジウム蒸着薄膜の平均蒸着厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、断面観察を行い5〜10箇所のインジウム蒸着薄膜の厚さを計測し、平均した値である。
蛍光X線分析法(XRF)を用いる場合、定量分析により前記平均厚さを測定することができる。
紫外可視分光法を用いる場合、紫外可視分光光度計により反射率を測定し、得られたスペクトルから膜厚を算出することができる。

0024

前記累積50%体積粒子径(D50)(nm)と平均厚さ(nm)との比(D50(nm)/平均厚さ(nm))としては、50以上が好ましく、100以上がより好ましい。
なお、本発明における「D50(nm)/平均厚さ(nm)」の比は、レーザー回折法を用いて測定したD50を、走査型電子顕微鏡(SEM)観察、又は蛍光X線分析から求めた平均厚さで除することにより算出した比率である。したがって、前記「D50(nm)/平均厚さ(nm)」の比は、一般的にアスペクト比と呼ばれるパラメーターとは異なる比である。

0025

本発明の薄片状インジウム粒子は、その表面の少なくとも一部に、好ましくは剥離層側の一面に有機物層を有することが好ましい。有機物層は、薄片状インジウム粒子の製造方法で剥離層として用いた有機物の層である。この有機物層は、薄片状インジウム粒子が凝集することを抑制する機能を有しており、薄片状インジウム粒子の表面全体でなくその一部に形成されていても十分に機能を発揮する。
薄片状インジウム粒子の表面の少なくとも一部に、有機物層を有することは、走査透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope−Energy Dispersive X−ray Analysis:STEM−EDX)により分析することができる。
有機物層の材質としては、後述する剥離層を構成する有機物と同じものが挙げられる。

0026

(薄片状インジウム粒子の製造方法)
本発明の薄片状インジウム粒子の製造方法は、剥離層形成工程と、真空蒸着工程と、剥離工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。

0027

<剥離層形成工程>
前記剥離層形成工程は、基材上に剥離層を設ける工程である。

0028

−基材−
基材としては、平滑な表面を有するものであれば特に制限はなく、各種のものを用いることができる。これらの中でも、可撓性、耐熱性耐溶剤性、及び寸法安定性を有する樹脂フィルム金属箔、金属箔と樹脂フィルムの複合フィルムを適宜使用できる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルムポリエチレンフィルムポリプロピレンフィルムポリスチレンフィルムポリイミドフィルムなどが挙げられる。また金属箔としては、銅箔アルミニウム箔ニッケル箔、鉄箔、合金箔などが挙げられる。また金属箔と樹脂フィルムの複合フィルムとしては、上記樹脂フィルムと金属箔をラミネートしたものが挙げられる。

0029

−剥離層−
剥離層としては、後の剥離工程で溶解可能な各種の有機物を用いることができる。また、剥離層を構成する有機物材料を適切に選択すれば、島状構造膜の付着面に付着・残留した有機物を、薄片状インジウム粒子の保護層として機能させることができるので、好適である。
保護層とは、薄片状インジウム粒子の凝集、酸化、溶媒への溶出等を抑制する機能を有する。特に、剥離層に用いた有機物を保護層として利用することにより、表面処理工程を別途設ける必要がなくなるので好ましい。
保護層として利用可能な剥離層を構成する有機物としては、例えば、セルロースアセテートブチレート(CAB)、その他のセルロース誘導体ポリビニルアルコールポリビニルブチラールポリエチレングリコールポリアクリル酸ポリアクリルアミド、ポリビニルブチラール、アクリル酸共重合体変性ナイロン樹脂ポリビニルピロリドンウレタン樹脂ポリエステル樹脂ポリエーテル樹脂アルキッド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保護層としての機能の高さから、セルロースアセテートブチレート(CAB)が好ましい。

0030

前記剥離層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクジェット法ブレードコート法グラビアコート法グラビアオフセットコート法、バーコート法ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0031

<真空蒸着工程>
前記真空蒸着工程は、前記剥離層上に薄片状インジウム粒子を含有する金属層を平均蒸着厚さが60nm以下となるように真空蒸着する工程である。

0032

薄片状インジウム粒子を含有する金属層の平均蒸着厚さは60nm以下であり、55nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、45nm以下が更に好ましい。なお、薄片状インジウム粒子を含有する金属層の平均蒸着厚さは、インジウム粒子の平均厚さと同じである。
前記金属層の平均蒸着厚さが60nm以下であると、塗膜の表面粗度Raが下がり、金属調意匠性を示す指標となるグロス値を高くすることができ、優れた金属調意匠性を発現できるという利点がある。
前記平均蒸着厚さは、例えば、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて、金属層の断面観察を行い、5〜10箇所の金属層の厚さ計測し、その平均値である。

0033

金属層は島状構造膜であることが好ましい。島状構造膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、めっき法などの各種の方法によって形成することができる。これらの中でも、真空蒸着法が好ましい。
真空蒸着法は、樹脂製基材にも成膜可能である点、廃液が出ない点等においてめっき法より好ましく、真空度を高くできる点、成膜速度(蒸着レート)が大きい点等においてスパッタリング法より好ましい。
真空蒸着法における蒸着レートは、10nm/sec以上が好ましく、10nm/sec以上80nm/sec以下がより好ましい。

0034

剥離層上にインジウム粒子の薄膜を成膜すると、蒸着源から飛来した個々のインジウム原子は、基材表面に到達すると、基材との相互作用によって、エネルギーを失って基材に吸着し、基材表面上で拡散、インジウム原子同士の衝突、結合し、三次元的な核が形成される。形成された三次元的な核は基材上の表面拡散原子の獲得により、原子数がある臨界値を超えると、隣接する三次元的な核と合体し島状に成長し島状構造膜を形成する。このような島状構造膜は、基材上にあるときは膜の形態を保持しているが、基材から剥がされると分裂して個々の島がインジウム粒子となる。
最終的に得られるインジウム粒子の形状や累積50%体積粒子径、超微小粒子と微小粒子の体積比率(V1/V2)×100は、島状構造膜の平均膜厚(以下単に「膜厚」ということがある)を変えることによって制御することができる。島状構造膜の平均膜厚は、成膜中に膜の干渉を利用して測定することができるので、インジウム粒子の形状や大きさとの関係を予め求めておくことにより、所望の形状と大きさを有するインジウム粒子を容易に得ることができる。また、インジウム粒子の形状や累積50%体積粒子径、超微小粒子と微小粒子の体積比率に影響する操業要因としては、成膜方法、基材に飛来するインジウムのエネルギー(運動エネルギー・温度など)、剥離層の表面自由エネルギー、材質・温度、基材の冷却方法・温度、成膜速度などが挙げられる。

0035

<剥離工程>
前記剥離工程は、前記剥離層を溶解することにより前記金属層を剥離する工程である。
前記剥離層を溶解可能な溶剤としては、剥離層を溶解可能な溶剤であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光輝性顔料分散液の溶媒としてそのまま用いることができるものが好ましい。水性塗料や水性インクの場合、水との相溶性を有することが好ましい。

0036

前記剥離層を溶解可能な溶剤としては、例えば、メタノールエタノールプロパノールイソプロパノールブタノールオクタノールドデカノールエチレングリコールプロピレングリコール等のアルコール類テトラヒドロン等のエーテル類アセトンメチルエチルケトンアセチルアセトン等のケトン類酢酸メチル酢酸エチル酢酸ブチル酢酸フェニル等のエステル類エチルセロソルブブチルセロソルブエチルカルビトールブチルカルビトールエチレングリコールモノメチルエーテルエチレングリコールモノエチルエーテルエチレングリコールモノイソプロピルエーテルエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルエチレングリコールモノフェニルエーテルジエチレングリコールモノメチルエーテルジエチレングリコールモノエチルエーテルジエチレングリコールモノブチルエーテルジエチレングリコールジメチルエーテルジエチレングリコールジエチルエーテルトリチエレングリコールモノメチルエーテルトリエチレングリコールモノエチルエーテルトリエチレングリコールモノブチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピレングリコールモノエチルエーテルジプロピレングリコールモノメチルエーテルジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類フェノールクレゾール等のフェノール類ペンタンヘキサンヘプタンオクタンドデカントリデカンテトラデカンペンタデカンヘキサデカンオクタデカン、オクタデセン、ベンゼントルエンキシレン、トリメシンニトロベンゼンアニリンメトキシベンゼン、トリメシン等の脂肪族もしくは芳香族炭化水素ジクロロメタンクロロホルムトリクロロエタンクロロベンゼンジクロロベンゼン等の脂肪族もしくは芳香族塩化炭化水素ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物ジメチルホルムアミドジメチルアセトアミドアセトニトリルプロピオニトリルベンゾニトリル等の含窒素化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0037

剥離層を溶解することによって、基材から島状構造膜が剥離し、島状構造が分裂して個々の島がインジウム粒子となる。これにより、特に粉砕工程を経ることなく薄片状インジウム粒子分散液が得られるが、必要に応じて粉砕、分級を行ってもよい。また、薄片状インジウム粒子の一次粒子が凝集している場合には、必要に応じてこれを解砕してもよい。
更に必要に応じて、薄片状インジウム粒子の回収や物性の調整のために種々の処理を行ってもよい。例えば、分級によって薄片状インジウム粒子の粒度を調整してもよいし、遠心分離吸引ろ過などの方法で薄片状インジウム粒子を回収することや、分散液の固形分濃度を調整してもよい。また、溶媒置換を行ってもよいし、添加剤を用いて粘度調整等を行ってもよい。なお、分散剤を添加してもよいが、本発明では、剥離層として適切な有機物を選択しておけば分散性の良い薄片状インジウム粒子からなる光輝性顔料分散液が得られるので、新たに分散剤を添加しなくてもよい。

0038

<その他の工程>
前記その他の工程としては、例えば、剥離した金属層を分散液として取り出す工程、分散液から島状の金属層を薄片状インジウム粒子として回収する工程などが挙げられる。

0039

(光輝性顔料)
本発明の光輝性顔料は、本発明の薄片状インジウム粒子を含む。
ここで、光輝性顔料とは、金属調の光沢を放つことができる顔料を意味する。
本発明の光輝性顔料は、必要に応じて、他の光輝性顔料を含んでいてもよい。他の光輝性顔料としては、金属製の顔料(例えば、アルミニウム顔料)や、天然マイカから得られる顔料(例えば、パール顔料)や、ガラスフレーク顔料などが挙げられる。

0040

(水性塗料)
本発明の水性塗料は、水と、本発明の薄片状インジウム粒子とを含有し、有機溶剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。

0041

前記薄片状インジウム粒子の含有量は、水性塗料の全量に対して、0.1質量%以上50質量%以下が好ましい。

0042

−水−
水としては、例えば、イオン交換水限外濾過水、逆浸透水蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。

0043

−有機溶剤−
有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール類、多価アルコール類多価アルコールアルキルエーテル類多価アルコールアリールエーテル類含窒素複素環化合物アミド類アミン類、含硫黄化合物類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0044

アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、ドデカノール等が挙げられ、多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。

0045

多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。

0046

多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えば、2−ピロリドンN−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタムγ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミドなどが挙げられる。
アミン類としては、例えば、モノエタノールアミンジエタノールアミントリエチルアミンなどが挙げられる。
含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホランチオジエタノールなどが挙げられる。

0047

−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリマー成分、架橋剤、老化防止剤紫外線吸収剤充填剤重合禁止剤表面調整剤帯電防止剤消泡剤粘度調整剤、耐光安定剤耐候安定剤耐熱安定剤、酸化防止剤レベリング剤防腐防黴剤防錆剤pH調整剤などが挙げられる。

0048

(水性インク)
本発明の水性インクは、水と、有機溶剤と、本発明の薄片状インジウム粒子とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。

0049

<薄片状インジウム粒子>
前記薄片状インジウム粒子の含有量は、水性インク全量に対して、2.0質量%以上11.5質量%以下であり、2,0質量%以上7.0質量%以下がより好ましい。
前記含有量が2.0質量%以上11.5質量%以下であると、優れた金属調意匠性(高グロス値)を有する塗膜を形成することができる。

0050

<水>
水としては、上記水性塗料と同様のものを用いることができる。

0051

<有機溶剤>
有機溶剤としては、上記水性塗料と同様のものを用いることができる。

0052

<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤バインダー、架橋剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。

0053

−界面活性剤−
界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系界面活性剤フッ素系界面活性剤両性界面活性剤ノニオン系界面活性剤アニオン系界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。

0054

シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
変性基としては、ポリオキシエチレン基ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので好ましい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物などが挙げられる。

0055

フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等など挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。

0056

両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタインステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。

0059

−バインダー−
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂酢酸ビニル系樹脂スチレン系樹脂ブタジエン系樹脂スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂アクリル−スチレン系樹脂、アクリル−シリコーン系樹脂ポリビニルアルコール樹脂、ポリエーテル樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
前記インクが前記バインダーを含むと、定着性及び分散性に優れたインクが得られる。
前記バインダーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インク全量に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましい。

0060

(水性塗料、塗膜)
本発明の塗膜は、薄片状インジウム粒子を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記塗膜の表面粗度Raは30nm以下であり、25nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。
表面粗度Raが30nm以下であると、金属調意匠性を示す指標となるグロス値を高くすることができ、優れた金属調意匠性を発現できるという利点がある。
表面粗度Raは、例えば、走査型プローブ顕微鏡(AFM)を用い、30μm×30μmの範囲の算術平均表面粗さRaとして求めることができる。

0061

前記塗膜の入射角20°でのグロス値(Gs20°)は300以上が好ましく、500以上がより好ましく、700以上が更に好ましく、900以上が特に好ましい。
前記塗膜の入射角20°でのグロス値(Gs20°)が300以上であると、鏡面性が高いことを示し、金属調意匠性に優れている。
前記塗膜の入射角60°でのグロス値(Gs60°)は、320以上が好ましく、350以上がより好ましく、400以上が更に好ましい。
前記塗膜の入射角60°でのグロス値(Gs60°)が320以上であると、鏡面性が高いことを示し、金属調意匠性に優れている。

0062

前記塗膜のグロス値は、例えば、光沢計を用い、JIS Z8741「鏡面光沢度測定方法」に準拠した平行光方式で、入射角を20°(Gs20°)及び入射角を60°(Gs60°)として測定することができる。

0063

前記塗膜は、CIELab表色系においてL*値(全反射)が60以上、a*値が−5以上0.2以下、b*値が−1以上8.5以下であることが好ましい。

0064

前記塗膜のL*値(全反射)は60以上が好ましく、65以上80以下がより好ましく、65以上75以下が更に好ましい。

0065

前記塗膜のa*値は−5以上0.2以下が好ましく、−4以上0以下がより好ましい。

0066

前記塗膜のb*値は−1以上8.5以下が好ましく、−0.6以上8以下がより好ましい。

0067

CIELab表色系の色相(L*値、a*値、b*値)が、上記の範囲の値であると、高級感を与える優れた金属調意匠性を発現(金属調意匠性を付与する代表的な工法であるクロムめっきと遜色ない意匠性付与)することが可能となる。
CIE Lab表色系の色相(L*値、a*値、b*値)は、紫外可視近赤分光光度計を用い、波長領域300nm〜800nmの範囲、入射角5°の反射スペクトルより算出することができる。

0068

(水性インクを付与してなる塗膜)
本発明の水性インクを付与してなる塗膜は、薄片状インジウム粒子を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。前記塗膜は、入射角20°のグロス値(Gs20°)及び入射角60°のグロス値(Gs60°)において、これらの差(Gs20°−Gs60°)が−100以上、及び和(Gs20°+Gs60°)が330以上の少なくともいずれかを満たすことが好ましい。
ここで、入射角20°のグロス値(Gs20°)は、正反射成分に近い反射強度を示す。入射角60°のグロス値(Gs60°)は、拡散成分に近い反射強度を示す。

0069

差(Gs20°−Gs60°)は、写像性を示し、正反射成分(Gs20°)と拡散成分(Gs60°)の差(Gs20°−Gs60°)が大きければ大きいほど入射した光線はより正反射の光沢に寄与していると言えることから、差(Gs20°−Gs60°)が大きいほど印刷表面で得られる像は正反射し、写像性が高くなるので好ましい。

0070

和(Gs20°+Gs60°)は、光沢性を示し、正反射成分(Gs20°)と拡散成分(Gs60°)の和が大きいほど光沢に寄与していると言えることから、和(Gs20°+Gs60°)が大きい方が好ましい。
ここで、前記塗膜のグロス値は、例えば、光沢計を用い、JIS Z8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠した平行光方式で、入射角を20°及び60°として測定することができる。

0071

本発明の塗膜は、本発明の塗料を用いて形成することができる。
塗膜の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、インクジェット法、スプレー法スクリーンコート法、オフセットコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0072

本発明の塗膜は、例えば、本発明の水性塗料を基板(例えば、ガラス板)上に供給し、スピンコート法により形成することができる。
具体的には、まず、低速回転状態で水性塗料を回転中心付近に供給し、その後、回転数を上げて、遠心力を利用して光輝性顔料分散液を振り切りながら基板表面に薄膜を形成したのち、残留溶剤を乾燥させて塗膜を得る。
回転数は300rpm以上1,000rpm以下の範囲で適宜調整することができる。
使用する光輝性顔料分散液の固形分や希釈溶剤は必要に応じて調整して使用した。安定した光学特性の評価結果を得るために、作製した塗膜の全光線透過率は1%以下になるようにして隠蔽性を有する状態にした。

0073

<用途>
本発明の薄片状インジウム粒子は、優れた保存安定性を有する水性塗料、及び優れた耐水性、耐湿性、及び金属調意匠性を有する塗膜が得られるので、各種分野に幅広く用いられ、例えば、インクジェット用又はその他の印刷用光輝性インク、自動車内外装部材家電建材等の用途における塗装用光輝性塗料導電性ペースト導電性顔料加飾フィルムに金属調意匠性を付与する光輝性顔料、3Dプリンタ用金属調フィラメントに使用される光輝性顔料、溶融押し出し、及びキャスティング工法における金属調意匠性シートフィルム練り込み光輝性顔料などに適用される。

0074

以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。

0075

(実施例1)
まず、平均厚さが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、5質量%のセルロースアセテートブチレート(CAB)を含む溶液をグラビアコート法で塗工し、110℃以上120℃以下で乾燥して、剥離層を形成した。セルロースアセテートブチレート(CAB)の塗工量は0.06g/m2±0.01g/m2であった。
次に、剥離層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、蒸着レート30nm/secで平均蒸着厚さが37nmのインジウム蒸着薄膜を形成した。インジウム蒸着薄膜の平均蒸着厚さは、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて、断面観察を行い5箇所のインジウム蒸着薄膜の厚さを計測し、平均した値である。結果を表1に示した。この平均蒸着厚さはインジウム粒子の平均厚さと同じである(以下、同様である)。インジウム蒸着薄膜のSEM写真(30,000倍)を図2に示した。
次に、剥離層及びインジウム蒸着薄膜を形成したPETフィルム面にプロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)をスプレーして剥離層を溶解し、インジウム蒸着薄膜をドクターブレードで掻き落とした。得られたインジウム粒子は薄片状であった。
次に、得られたインジウム粒子とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)の混合物に対して、超音波ホモジナイザーを用いて一次粒子になるまで粉砕した。
得られたインジウム粒子から遠心分離器を用いてインジウム粒子を回収し、回収したインジウム粒子を新たにPMに分散させ、固形分濃度を10質量%として、実施例1の薄片状インジウム粒子の分散液を得た。得られた薄片状インジウム粒子のSEM写真(30,000倍)を図7に示した。

0076

(実施例2)
実施例1において、蒸着レート35nm/secで平均蒸着厚さが43nmのインジウム蒸着薄膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の薄片状インジウム粒子の分散液を得た。インジウム蒸着薄膜のSEM写真(30,000倍)を図3に示した。得られた薄片状インジウム粒子のSEM写真(30,000倍)を図8に示した。

0077

(実施例3)
実施例1において、蒸着レート35nm/secで平均蒸着厚さが51nmのインジウム蒸着薄膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の薄片状インジウム粒子の分散液を得た。インジウム蒸着薄膜のSEM写真(30,000倍)を図4に示した。得られた薄片状インジウム粒子のSEM写真(30,000倍)を図9に示した。

0078

(実施例4)
実施例1において、蒸着レート35nm/secで平均蒸着厚さが55nmのインジウム蒸着薄膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の薄片状インジウム粒子の分散液を得た。インジウム蒸着薄膜のSEM写真(30,000倍)を図5に示した。得られた薄片状インジウム粒子のSEM写真(30,000倍)を図10に示した。

0079

(比較例1)
実施例1において、蒸着レート30nm/secで平均蒸着厚さが66nmのインジウム蒸着薄膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の薄片状インジウム粒子の分散液を得た。インジウム蒸着薄膜のSEM写真(30,000倍)を図6に示した。得られた薄片状インジウム粒子のSEM写真(30,000倍)を図11に示した。

0080

(比較例2)
平均厚さが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、5質量%のセルロースアセテートブチレート(CAB)を含む溶液をグラビアコート法で塗工し、110℃以上120℃以下で乾燥して、剥離層を形成した。セルロースアセテートブチレート(CAB)の塗工量は0.06g/m2±0.01g/m2であった。剥離層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、蒸着レート40nm/secで平均蒸着厚さが40nmのアルミニウム蒸着薄膜を形成した。
次に、剥離層及びアルミニウム薄膜を形成したPETフィルム面にプロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)をスプレーして剥離層を溶解し、アルミニウム蒸着薄膜をドクターブレードで掻き落とした。得られたアルミニウム粒子は薄片状であった。
次に、得られたアルミニウム粒子とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)の混合物に対して、微粉砕機を用いて平均粒径1μmになるまで粉砕した。
次に、得られたアルミニウム粒子から遠心分離器を用いてアルミニウム粒子を回収し、回収したアルミニウム粒子を新たにPMに分散させ、固形分濃度を10質量%として、比較例2の薄片状アルミニウム粒子の分散液を得た。得られた薄片状アルミニウム粒子のSEM写真(30,000倍)を図12に示した。

0081

<塗膜の形成>
得られた各金属粒子を、分散溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)と水を質量比1:1)に分散させ、固形分を2.5質量%に調整して、金属粒子分散液を調製した。
各金属粒子分散液を、ミカサ株式会社製スピンコーター(MS−A150)を使用して、回転数500rpmの条件でガラス基板上に塗膜を形成した。
実施例1〜4及び比較例1〜2の塗膜のSEM写真(30,000倍)を図13図18に示した。

0082

次に、得られた各金属粒子及び塗膜について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表1から表3に示した。

0083

[金属粒子の累積50%体積粒子径(D50)、粒度分布、粒径のピークトップ、及び体積比率]
作製したインジウム粒子の累積50%体積子粒径(D50)は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器(装置名:レーザーマイクロサイザーLMS−2000e、株式会社セイシン企業製、湿式分散ユニット)を用いて、エタノール(商品名:エキネンF−1、日本アルコール販売株式会社製、屈折率:1.360)を分散媒とし、スターラー撹拌しながら、金属粒子を含むサンプルを測定セル送り、金属粒子の体積粒度分布を測定し、各ピークの体積を求め、体積比率(V1/V2)×100を求めた。図1に、実施例1〜4、比較例1の薄片状インジウム粒子、並びに比較例2の薄片状アルミニウム粒子における体積基準の粒度分布の結果を示した。なお、実施例1〜4及び比較例1の薄片状インジウム粒子は二峰型分布を有しているが、比較例2の薄片状アルミニウム粒子は、一つのピークだけを有し、二峰型分布を有していない。

0084

<ピークの面積及び面積比率
各金属粒子について、X軸が粒径、Y軸が体積%で示される粒度分布のグラフの定積分として各部分区間における台形の総和で近似した。即ち、グラフ上の各点を(xi,yi)0≦i≦nとして、S=Σ1/2×{y(i)+y(i+1)}×{log(x(i+1))−log(xi)}から、各ピークの面積を求め、面積比率(S1/S2)×100を求めた。

0085

<グロス値>
各塗膜について、鏡面光沢度を測定した。グロス値の測定は、光沢計(日本電色工業株式会社製、VG−7000)を用い、JIS Z8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠した平行光方式で、入射角20°(Gs20°)及び入射角60°(Gs60°)で測定した。

0086

<色相(L*値、a*値、b*値)>
各塗膜について、紫外可視近赤分光光度計(株式会社島津製作所製、SolidSpec−3700)、波長領域300nm〜800nmの範囲、入射角5°の反射スペクトルより算出した。ここでいうL*値は、全反射のL*値のことを示す。

0087

<表面粗度(Ra)>
各塗膜について、走査型プローブ顕微鏡(AFM、株式会社島津製作所製、SPM−9600)を用い、30μm×30μmの範囲の算術平均表面粗さRaを算出した。実施例1〜4及び比較例1〜2の塗膜のAFMの結果を図19図24に示した。

0088

<保存安定性>
作製した各金属粒子を、分散溶剤(PM(プロピレングリコールモノメチルエーテルと水を質量比1:1)に分散させ、固形分を2.5質量%に調整した金属粒子分散液を調製した。得られた金属粒子分散液を、容量30mLのガラス瓶規格瓶No.5、アズワン株式会社製)に入れ、密封し、60℃環境下にて30日間静置し、外観及び差圧を測定し、下記の基準で保存安定性を評価した。なお、「差圧」は(試験後のガラス瓶の内圧)−(大気圧)から求めた。
評価基準
○:外観変化なし、かつ差圧5kPa未満
×:外観変化あり、かつ差圧5kPa以上

0089

0090

0091

0092

(実施例5〜11及び比較例3〜8)
<水性インクの調製>
表4−1から表4−2の組成及び含有量に基づき、常法により、実施例5〜11及び比較例3〜7の水性インクを調製した。

0093

0094

0095

表4−1から表4−2中の各成分の詳細については、以下のとおりである。
・BYK−348(BYK Additives & Instruments社製)
・ブチルカルビトール(三協化学株式会社製)
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)(ダイセル化学工業株式会社製)
・薄片状インジウム粒子:実施例1の薄片状インジウム粒子

0096

次に、得られた実施例5〜11及び比較例3〜7の水性インクを用い、以下のようにして、各塗膜を形成した。
比較例8はポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ75μm、東洋紡株式会社製)上に形成したインジウム蒸着膜である。

0097

<バーコート塗膜の形成>
実施例5〜10及び比較例3〜7の水性インクを用い、ローランドD.G.社製の塩化ビニル印刷メディア(光沢塩化ビニル、MV−G−18G)上に、バーコーター(#4、株式会社丸協技研製)を用い、各インクを常温(25℃)にて塗布し、常温(25℃)にて乾燥することにより、平均厚さ1.0μm±0.3μmの実施例5〜10及び比較例3〜7のバーコート塗膜を形成した。

0098

インクジェット塗膜の形成>
実施例11の水性インクを用い、セイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンターPX−049Aにて印刷後、自然乾燥させて、平均厚さ0.3μm±0.1μmの実施例11のインクジェット塗膜を形成した。

0099

次に、得られた各塗膜及び蒸着膜について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表5から表7に示した。

0100

光沢感目視)>
各塗膜について、鏡面具合などを目視にて観察し、以下の基準により光沢感を評価した。
[評価基準]
5:強い映り込みがある光沢感
4:映り込みがある光沢感
3:やや映り込みがある光沢感
2:金属調であるが光沢感なし
1:金属調なし

0101

<グロス値>
得られた各塗膜及び蒸着膜について、塗膜面及び蒸着面を測定面とし、グロス値を測定した。グロス値の測定は、光沢計(日本電色工業株式会社製、VG−7000)を用い、JIS Z8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠した平行光方式で、入射角20°のグロス値(Gs20°)及び入射角60°のグロス値(Gs60°)を測定し、これらの値から、差(Gs20°−Gs60°)、和(Gs20°+Gs60°)を算出した。

0102

<L*値(全反射)、L*値(拡散反射)、L*値(正反射)>
得られた各塗膜及び蒸着膜について、塗膜面及び蒸着面を測定面とし、分光測色計(コニカミノルジャパン株式会社製、CM−3600A)を用い、波長領域360nm〜740nmの範囲で、入射角8°(全反射)、入射角8°(拡散反射)、入射角8°(正反射)の反射スペクトルを測定し、L*値(全反射)、L*値(拡散反射)、及びL*値(正反射)を求めた。

0103

0104

0105

実施例

0106

表5から表7の結果から、薄片状インジウム粒子の含有量が2.0質量%以上11.0質量%以下である実施例5〜11の薄片状インジウム粒子を含有する水性インクを用いて形成した塗膜は、薄片状インジウム粒子の含有量が2.0質量%以上11.0質量%以下を満たさない比較例3〜7の薄片状インジウム粒子を含有する水性インクを用いて形成した塗膜に比べて、優れた金属調意匠性(高グロス値)を有していることがわかった。
なお、上記実施例5〜11では、平均厚さ及び累積50%体積粒子径D50を最適化した実施例1〜4の薄片状インジウム粒子の中から、実施例1の薄片状インジウム粒子を選択して使用したが、実施例2〜4の薄片状インジウム粒子についても実施例1の薄片状インジウム粒子と同様な結果が得られた。

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