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技術 樹脂組成物、無機充填剤、直流電力ケーブル、および直流電力ケーブルの製造方法

出願人 住友電気工業株式会社
発明者 細水康平関口洋逸山崎孝則
出願日 2019年2月25日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-031852
公開日 2020年8月31日 (2ヶ月経過) 公開番号 2020-132817
状態 特許登録済
技術分野 有機絶縁材料 電力ケーブル 高分子組成物 電線ケーブルの製造(1) 無機絶縁材料
主要キーワード 測定上限値 導電芯線 分析センタ ワイヤシールド ガード付 導体芯線 シート作製条件 合計原子
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この項目の情報は公開日時点(2020年8月31日)のものです。
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図面 (5)

課題

絶縁層絶縁性を向上させる。

解決手段

ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有し、無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシリル基を有する。

概要

背景

近年では、直流送電用途において、固体絶縁直流電力ケーブル(以下、「直流電力ケーブル」と略す)が開発されている。直流電力ケーブルを課電した際には、絶縁層内空間電荷が生成され、漏れ電流が生じる可能性がある。そこで、課電中における漏れ電流を抑制するため、絶縁層を構成する樹脂組成物無機充填剤が添加されることがある(例えば特許文献1)。

概要

絶縁層の絶縁性を向上させる。ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有し、無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシリル基を有する。

目的

特開平11−16421号公報






本開示の目的は、絶縁層の絶縁性を向上させることができる技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有し、前記無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシリル基を有する樹脂組成物

請求項2

直流電力ケーブル絶縁層を構成する請求項1に記載の樹脂組成物。

請求項3

前記無機充填剤の表面は、前記アミノシリル基と、疎水基を含む疎水性シリル基と、を有する請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。

請求項4

前記無機充填剤の前記表面が有する全てのシリル基に対する、前記アミノシリル基のモル分率は、2%以上90%以下である請求項3に記載の樹脂組成物。

請求項5

反応温度850℃および還元温度600℃の条件下において熱伝導度検出器を用いたガスクロマトグラフィ法により前記無機充填剤の表面を元素分析することで求められる、炭素に対する窒素質量比は、0.7%以上35%以下である請求項3に記載の樹脂組成物。

請求項6

前記無機充填剤の含有量は、前記ベース樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。

請求項7

前記ベース樹脂は、低密度ポリエチレンを含み、前記ベース樹脂および前記無機充填剤を有し0.2mmの厚さを有する樹脂組成物のシートを形成した場合に、温度80℃および直流電界50kV/mmの条件下において測定した前記樹脂組成物のシートの体積抵抗率は、8×1015Ω・cm以上である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。

請求項8

前記ベース樹脂は、ポリエチレン若しくはポリプロピレンエチレンプロピレンゴム若しくはエチレンプロピレンジエンゴムを分散あるいは共重合した熱可塑性エラストマを含み、前記ベース樹脂および前記無機充填剤を有し0.2mmの厚さを有する樹脂組成物のシートを形成した場合に、温度80℃および直流電界50kV/mmの条件下において測定した前記樹脂組成物のシートの体積抵抗率は、5×1015Ω・cm以上である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。

請求項9

ポリオレフィンを含むベース樹脂中に添加される無機充填剤であって、前記無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシリル基を有する無機充填剤。

請求項10

導体と、前記導体の外周を覆うように設けられる絶縁層と、を備え、前記絶縁層は、ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有する樹脂組成物により構成され、前記無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシリル基を有する直流電力ケーブル。

請求項11

ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有する樹脂組成物を準備する工程と、前記樹脂組成物を用い、導体の外周を覆うように絶縁層を形成する工程と、を備え、前記樹脂組成物を準備する工程は、アミノ基を含むアミノシランカップリング剤により前記無機充填剤を表面処理する工程を有し、前記無機充填剤を表面処理する工程では、前記無機充填剤の表面の少なくとも一部に、前記アミノシランカップリング剤に由来する前記アミノ基を含むアミノシリル基を結合させる直流電力ケーブルの製造方法。

技術分野

0001

本開示は、樹脂組成物無機充填剤直流電力ケーブル、および直流電力ケーブルの製造方法に関する。

背景技術

0002

近年では、直流送電用途において、固体絶縁直流電力ケーブル(以下、「直流電力ケーブル」と略す)が開発されている。直流電力ケーブルを課電した際には、絶縁層内空間電荷が生成され、漏れ電流が生じる可能性がある。そこで、課電中における漏れ電流を抑制するため、絶縁層を構成する樹脂組成物に無機充填剤が添加されることがある(例えば特許文献1)。

先行技術

0003

特開平11−16421号公報

発明が解決しようとする課題

0004

本開示の目的は、絶縁層の絶縁性を向上させることができる技術を提供することである。

課題を解決するための手段

0005

本開示の一態様によれば、
ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有し、
前記無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシリル基を有する
樹脂組成物が提供される。

0006

本開示の他の態様によれば、
ポリオレフィンを含むベース樹脂中に添加される無機充填剤であって、
前記無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシリル基を有する
無機充填剤が提供される。

0007

本開示の更に他の態様によれば、
導体と、
前記導体の外周を覆うように設けられる絶縁層と、
を備え、
前記絶縁層は、ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有する樹脂組成物により構成され、
前記無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシリル基を有する
直流電力ケーブルが提供される。

0008

本開示の更に他の態様によれば、
ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有する樹脂組成物を準備する工程と、
前記樹脂組成物を用い、導体の外周を覆うように絶縁層を形成する工程と、
を備え、
前記樹脂組成物を準備する工程は、アミノ基を含むアミノシランカップリング剤により前記無機充填剤を表面処理する工程を有し、
前記無機充填剤を表面処理する工程では、
前記無機充填剤の表面の少なくとも一部に、前記アミノシランカップリング剤に由来する前記アミノ基を含むアミノシリル基を結合させる
直流電力ケーブルの製造方法が提供される。

発明の効果

0009

本開示によれば、絶縁層の絶縁性を向上させることができる。

図面の簡単な説明

0010

本開示の一実施形態に係る直流電力ケーブルの軸方向に直交する模式的断面図である。
実験4において、ベース樹脂が低密度ポリエチレンを含む場合のアミノシリル基モル分率に対する体積抵抗率を示す図である。
実験4において、ベース樹脂が熱可塑性エラストマを含む場合のアミノシリル基モル分率に対する体積抵抗率を示す図である。
実験5における無機充填剤の含有量に対する体積抵抗率を示す図である。

0011

[本開示の実施形態の説明]
<発明者等の得た知見>
まず、発明者等の得た知見について概略を説明する。

0012

上述した直流電力ケーブルでは、絶縁層中に添加される無機充填剤は、シランカップリング剤により表面処理されることがある。これにより、ベース樹脂に対する無機充填剤の相溶性を向上させることができる。

0013

本発明者等は、無機充填剤の表面処理に用いられるシランカップリング剤における置換基を変化させて、絶縁層の絶縁性を評価した。その結果、絶縁層の絶縁性が、無機充填剤の表面処理に用いられるシランカップリング剤の置換基に依存することを見出した。

0014

本開示は、発明者等が見出した上述の知見に基づくものである。

0015

<本開示の実施態様>
次に、本開示の実施態様を列記して説明する。

0016

[1]本開示の一態様に係る樹脂組成物は、
ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有し、
前記無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシリル基を有する。
この構成によれば、絶縁層の絶縁性を安定的に向上させることが可能となる。

0017

[2]上記[1]に記載の樹脂組成物において、
直流電力ケーブルの絶縁層を構成する。
この構成によれば、直流電力ケーブルの絶縁層を上記樹脂組成物により構成した際に、絶縁層中の空間電荷の局所的な蓄積を抑制することができる。これにより、直流電界に対する絶縁層の絶縁性を向上させることができる。

0018

[3]上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物において、
前記無機充填剤の表面は、
前記アミノシリル基と、
疎水基を含む疎水性シリル基と、
を有する。
この構成によれば、無機充填剤の表面にアミノシリル基だけが過剰に結合することを抑制することができる。その結果、絶縁層の絶縁性を顕著に向上させることができる。

0019

[4]上記[3]に記載の樹脂組成物において、
前記無機充填剤の前記表面が有する全てのシリル基に対する、前記アミノシリル基のモル分率は、2%以上90%以下である。
この構成によれば、無機充填剤に対してアミノシリル基を付与することによる、絶縁層の絶縁性向上の効果を安定的に得ることができる。

0020

[5]上記[3]に記載の樹脂組成物において、
反応温度850℃および還元温度600℃の条件下において熱伝導度検出器を用いたガスクロマトグラフィ法により前記無機充填剤の表面を元素分析することで求められる、炭素に対する窒素質量比は、0.7%以上35%以下である。
この構成によっても、無機充填剤に対してアミノシリル基を付与することによる、絶縁層の絶縁性向上の効果を安定的に得ることができる。

0021

[6]上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の樹脂組成物において、
前記無機充填剤の含有量は、前記ベース樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下である。
この構成によれば、無機充填剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、無機充填剤に対して空間電荷を充分にトラップさせることができる。一方で、無機充填剤の含有量を10質量部以下とすることで、樹脂組成物による成形性を向上させつつ、絶縁層130中の無機充填剤の分散性を向上させることができる。

0022

[7]上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の樹脂組成物において、
前記ベース樹脂は、低密度ポリエチレンを含み、
前記ベース樹脂および前記無機充填剤を有し0.2mmの厚さを有する樹脂組成物のシートを形成した場合に、温度80℃および直流電界50kV/mmの条件下において測定した前記樹脂組成物のシートの体積抵抗率は、8×1015Ω・cm以上である。
この構成によれば、絶縁層の絶縁性が向上した直流電力ケーブルを得ることができる。

0023

[8]上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の樹脂組成物において、
前記ベース樹脂は、ポリエチレン若しくはポリプロピレンエチレンプロピレンゴム若しくはエチレンプロピレンジエンゴムを分散あるいは共重合した熱可塑性エラストマを含み、
前記ベース樹脂および前記無機充填剤を有し0.2mmの厚さを有する樹脂組成物のシートを形成した場合に、温度80℃および直流電界50kV/mmの条件下において測定した前記樹脂組成物のシートの体積抵抗率は、5×1015Ω・cm以上である。
この構成によっても、絶縁層の絶縁性が向上した直流電力ケーブルを得ることができる。

0024

[9]本開示の他の態様に係る無機充填剤は、
ポリオレフィンを含むベース樹脂中に添加される無機充填剤であって、
前記無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシリル基を有する。
この構成によれば、絶縁層の絶縁性を安定的に向上させることが可能となる。

0025

[10]本開示の更に他の態様に係る直流電力ケーブルは、
導体と、
前記導体の外周を覆うように設けられる絶縁層と、
を備え、
前記絶縁層は、ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有する樹脂組成物により構成され、
前記無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシリル基を有する。
この構成によれば、絶縁層の絶縁性を安定的に向上させることが可能となる。

0026

[11]本開示の更に他の態様に係る直流電力ケーブルの製造方法は、
ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有する樹脂組成物を準備する工程と、
前記樹脂組成物を用い、導体の外周を覆うように絶縁層を形成する工程と、
を備え、
前記樹脂組成物を準備する工程は、アミノ基を含むアミノシランカップリング剤により前記無機充填剤を表面処理する工程を有し、
前記無機充填剤を表面処理する工程では、
前記無機充填剤の表面の少なくとも一部に、前記アミノシランカップリング剤に由来する前記アミノ基を含むアミノシリル基を結合させる。
この構成によれば、絶縁層の絶縁性を安定的に向上させることが可能となる。

0027

[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の一実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

0028

<本開示の一実施形態>
(1)樹脂組成物
本実施形態の樹脂組成物は、後述する直流電力ケーブル10の絶縁層130を構成する材料であり、例えば、ベース樹脂と、無機充填剤と、その他の添加剤と、を含んでいる。

0029

(ベース樹脂)
ベース樹脂(ベースポリマ)とは、樹脂組成物の主成分を構成する樹脂成分のことをいう。本実施形態のベース樹脂は、例えば、ポリオレフィンを含んでいる。ベース樹脂を構成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンα−オレフィン共重合体、ポリエチレン若しくはポリプロピレンにエチレンプロピレンゴム(EPR)若しくはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を分散あるいは共重合した熱可塑性エラストマ(TPO:Thermoplastic Olefinic Elastomer)などが挙げられる。なお、これらのうち2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0030

ベース樹脂を構成するポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などが挙げられる。また、これらのポリエチレンは、例えば、直鎖状または分岐状のいずれであってもよい。

0031

(無機充填剤)
無機充填剤は、絶縁層130中に添加される無機粉末であり、絶縁層130中の空間電荷をトラップし、絶縁層130中の空間電荷の局所的な蓄積を抑制するよう作用する。これにより、絶縁層130の絶縁性を向上させることができる。

0032

無機充填剤は、例えば、酸化マグネシウム二酸化シリコン酸化亜鉛酸化アルミニウム酸化チタン酸化ジルコニウムカーボンブラック、および、これらのうち2種以上を混合した混合物のうち少なくともいずれかを含んでいる。

0033

無機充填剤としての酸化マグネシウムを形成する方法としては、例えば、Mg蒸気酸素とを接触させる気相法、または海水原料から形成する海水法が挙げられる。本実施形態での無機充填剤を形成する方法は、気相法または海水法のいずれの方法であってもよい。

0034

無機充填剤としての二酸化シリコンとしては、例えば、フュームドシリカコロイダルシリカ沈降シリカ爆燃シリカのうち少なくともいずれかが挙げられる。これらのなかでも、二酸化シリコンとしてはフュームドシリカが好ましい。

0035

無機充填剤のうち少なくとも一部は、シランカップリング剤により表面処理されている。これにより、上述のように、ベース樹脂に対する無機充填剤の相溶性を向上させることができ、無機充填剤とベース樹脂との間の界面の密着性を向上させることができる。

0036

ここで、本実施形態では、無機充填剤のうち少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシランカップリング剤により表面処理されている。

0037

アミノシランカップリング剤は、例えば、以下の式(1)により表される。
R1nSiX4−n ・・・(1)
(R1は、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アミノ基の酸中和基、4級アンモニウム塩基のうち少なくともいずれか1つを含む1価の炭化水素基を表し、Xは1価の加水分解性基を表し、nは1〜3の整数を表す。なお、nが2以上の場合、複数のR1は、同一であっても異なっていてもよい。)

0038

なお、Xとしての1価の加水分解性基としては、例えば、炭素数1〜3のアルコキシ基ハロゲン基が挙げられる。

0039

具体的には、アミノシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチルブチリデンプロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N、N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N、N−ジエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N、N−ジブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピルアンモニウムクロライドテトラデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N、N、N−トリn−ブチルアンモニウムブロマイド、N−トリメトキシシリルプロピル−N、N、N−トリ−n−ブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロライドなどのうち少なくともいずれかが挙げられる。

0040

無機充填剤の表面処理工程では、シランカップリング剤の加水分解性基が加水分解し、シラノール基が生成される。シラノール基は、無機充填剤の表面にある水酸基水素結合を形成し、さらに脱水縮合反応を生じさせる。その結果、無機充填剤の表面には、強固に共有結合した所定のシリル基が形成される。

0041

本実施形態では、無機充填剤が上述のアミノシランカップリング剤により表面処理されることで、無機充填剤の表面の少なくとも一部は、例えば、アミノシランカップリング剤に由来する(アミノシランカップリング剤により誘導される)アミノ基を含むアミノシリル基を有している。言い換えれば、無機充填剤の表面の少なくとも一部に、アミノシリル基が結合している。これにより、絶縁層130の絶縁性を安定的に向上させることができる。

0042

無機充填剤の表面の少なくとも一部がアミノシリル基を有することで、絶縁層130の絶縁性が向上するメカニズムは、詳細には明らかではないが、例えば、以下のメカニズムによるものと考えられる。無機充填剤の表面の少なくとも一部がアミノシリル基を有することで、無機充填剤同士が隣接した際には、無機充填剤の表面におけるアミノ基同士を静電反発させることができ、樹脂組成物中の無機充填剤の分散性を向上させることができる。その結果、絶縁層130の絶縁性を安定的に向上させることができると考えられる。

0043

アミノシランカップリング剤に由来するアミノ基を含むアミノシリル基は、例えば、以下の式(2)により表される。

0044

(R1は、上述のように、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アミノ基の酸中和基、4級アンモニウム塩基のうち少なくともいずれか1つを含む1価の炭化水素基を表し、nは1〜3の整数を表す。なお、nが2以上の場合、複数のR1は、同一であっても異なっていてもよい。結合手のsおよびtは0又は1を表し、n、s及びtの合計は3である。)

0045

式(2)により表されるアミノシリル基において、R1を有する結合手以外の少なくとも1つの結合手は、酸素原子を介して無機充填剤と結合している。R1を有する結合手以外の全ての結合手が無機充填剤と結合していてもよいし、R1を有する結合手以外の少なくとも1つの結合手が無機充填剤と結合していなくてもよい。R1を有する結合手以外の少なくとも1つの結合手が無機充填剤と結合していない場合には、無機充填剤と結合していない結合手が、水酸基もしくは加水分解性基を有していてもよく、または、後述の疎水性シリル基などの他のシリル基と結合していてもよい。

0046

本実施形態では、アミノ基を含む炭化水素基R1の炭素数は、例えば、3以上12以下であることが好ましい。R1の炭素数を3以上とすることで、アミノシリル基を嵩高くすることができ、無機充填剤の表面に立体障害を生じさせることができる。これにより、アミノ基同士の静電反発の効果を効率よく生じさせることができる。一方で、R1の炭素数が12超であると、アルキル鎖長が非常に長くなり、メチレン鎖運動自由度が増加する。このため、立体障害の影響が過剰に生じてしまう可能性がある。その結果、アミノシランカップリング剤等による修飾量が低下する可能性がある。例えば、アミノシランカップリング剤と後述の疎水性シランカップリング剤との両方で無機充填剤の表面処理を行った場合に、所定量の疎水性シリル基が無機充填剤の表面に結合し難くなる可能性がある。これに対し、R1の炭素数を12以下とすることで、アルキル鎖長が過剰に長くなることを抑制し、メチレン鎖の運動自由度の過剰な増加を抑制することができる。これにより、立体障害の過剰な影響を抑制することができる。その結果、アミノシランカップリング剤等による修飾量の低下を抑制することができる。例えば、アミノシランカップリング剤と後述の疎水性シランカップリング剤との両方で無機充填剤の表面処理を行った場合に、所定量の疎水性シリル基を無機充填剤の表面に結合させることができる。

0047

さらに、本実施形態では、無機充填剤は、上述のアミノシランカップリング剤だけでなく、疎水基を有する疎水性シランカップリング剤によっても表面処理されていてもよい。

0048

疎水性シランカップリング剤としては、例えば、疎水基を有する、シラザンアルコキシシランまたはハロゲン化シランのうち少なくともいずれかが挙げられる。

0049

疎水基を有するシラザン(ジシラザン)は、例えば、以下の式(3)により表される。
R23Si−NH−SiR23 ・・・(3)
(R2は、ハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、ハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲンにより置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、又はハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基若しくはハロゲンにより置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基のうち少なくともいずれかを表す。なお、「ハロゲンにより置換されていてもよい」とは、上記炭化水素基の水素原子の一部がハロゲンにより置換された置換基であってもよいことを意味する。また、式(3)では、R2は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、またはフェニル基であることが好ましい。複数のR2は、同一であっても異なっていてもよい。)

0050

具体的には、疎水基を有するシラザンとしては、例えば、ヘキサメチルジシラザンヘキサエチルジシラザン、へキサプロピルジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサペンチルジシラザン、ヘキサヘキシルジシラザン、ヘキサシクロヘキシルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザンなどのうち少なくともいずれかが挙げられる。

0051

疎水基を有するアルコキシシランまたはハロゲン化シランは、例えば、以下の式(4)により表される。

0052

R2mSiY4−m ・・・(4)
(R2は、ハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、ハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲンにより置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、又はハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基若しくはハロゲンにより置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基のうち少なくともいずれかを表す。Yは1価の加水分解性基を表し、mは1〜3の整数を表す。なお、mが2以上の場合、複数のR2は、同一であっても異なっていてもよい。)

0053

なお、Yとしての1価の加水分解性基は、例えば、炭素数1〜3のアルコキシ基、またはハロゲン基である。

0054

具体的には、疎水基を有するアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランフェニルトリメトキシシランジフェニルジメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランオクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランジメチルジエトキシシランフェニルトリエトキシシランジフェニルジエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどのうち少なくともいずれかが挙げられる。

0055

また、疎水基を有するハロゲン化シランとしては、例えば、メチルトリクロロシランジメチルジクロロシラントリメチルクロロシランフェニルトリクロロシランジフェニルジクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシランビニルトリクロロシランなどのうち少なくともいずれかが挙げられる。

0056

なお、疎水性シランカップリング剤は、疎水基を有していれば、上述したシランカップリング剤に限定されず、上述以外のシランカップリング剤であってもよい。

0057

本実施形態では、無機充填剤が上述のアミノシランカップリング剤だけでなく疎水性シランカップリング剤によっても表面処理されることで、無機充填剤の表面は、例えば、アミノシリル基だけでなく、疎水性シランカップリング剤に由来する(疎水性シランカップリング剤で誘導される)疎水基を含む疎水性シリル基も有している。無機充填剤の表面にアミノシリル基だけでなく疎水性シリル基も付与することで、無機充填剤の表面にアミノシリル基だけが過剰に結合することを抑制することができる。これにより、絶縁層130の絶縁性を顕著に向上させることができる。

0058

疎水性シランカップリング剤に由来する疎水基を含む疎水性シリル基は、例えば、以下の式(5)により表される。

0059

(R2は、ハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、ハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲンにより置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、又はハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基若しくはハロゲンにより置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基のうち少なくともいずれかを表す。mは1〜3の整数を表す。なお、mが2以上の場合、複数のR2は、同一であっても異なっていてもよい。結合手のuおよびvは0又は1を表し、m、u及びvの合計は3である。)

0060

式(5)により表される疎水性シリル基において、R2を有する結合手以外の少なくとも1つの結合手は、酸素原子を介して無機充填剤と結合している。R2を有する結合手以外の全ての結合手が無機充填剤と結合していてもよいし、R2を有する結合手以外の少なくとも1つの結合手が無機充填剤と結合していなくてもよい。R2を有する結合手以外の少なくとも1つの結合手が無機充填剤と結合していない場合には、無機充填剤と結合していない結合手が、水酸基もしくは加水分解性基を有していてもよく、または、上述のアミノシリル基などの他のシリル基と結合していてもよい。

0061

本実施形態では、疎水基R2の炭素数は、例えば、上述したアミノシリル基におけるアミノ基を含む炭化水素基R1の炭素数よりも小さいことが好ましい。R2の炭素数をR1の炭素数よりも小さくすることで、アミノシリル基を疎水性シリル基よりも嵩高くすることができる。これにより、アミノ基同士の静電反発の効果を効率よく生じさせることができる。具体的には、疎水基R2は、例えば、メチル基またはエチル基であることが好ましい。

0062

また、本実施形態では、無機充填剤の表面が有する全てのシリル基に対する、アミノシリル基のモル分率(以下、「アミノシリル基モル分率」ともいう)は、例えば、2%以上90%以下、好ましくは5%以上80%以下であることが好ましい。なお、ここでいう「アミノシリル基モル分率」は、無機充填剤の表面が有する全てのシリル基のモル数に対する、アミノシリル基のモル数の割合を%により表したものである。

0063

アミノシリル基モル分率が2%未満であると、アミノシリル基モル分率に対する体積抵抗率の変化の割合が大きいため、製造上におけるアミノシリル基モル分率のばらつきに対して、絶縁層130の体積抵抗率がばらつき易くなる可能性がある。このため、無機充填剤に対してアミノシリル基を付与することによる、絶縁層130の絶縁性向上の効果が安定的に得られない可能性がある。これに対し、本実施形態では、アミノシリル基モル分率を2%以上とすることで、製造上におけるアミノシリル基モル分率に所定のばらつきが生じていたとしても、絶縁層130の絶縁性向上の効果を安定的に得ることができる。さらに、本実施形態では、アミノシリル基モル分率を5%以上とすることで、絶縁層130の絶縁性向上の効果を顕著に得ることができる。

0064

一方で、アミノシリル基モル分率が90%超であると、粒子間でアミノ基を介した水素結合が形成され、アミノ基同士の静電反発が生じ難くなる可能性がある。また、粒子間の水素結合に起因して、粒子界面を介した導電経路が形成され易くなる可能性がある。このため、無機充填剤に対してアミノシリル基を付与することによる、絶縁層130の絶縁性向上の効果が充分に得られない可能性がある。これに対し、本実施形態では、アミノシリル基モル分率を90%以下とすることで、粒子間においてアミノ基を介した水素結合が形成されることを抑制し、アミノ基同士の静電反発を充分に生じさせることができる。また、水素結合に起因して粒子界面を介して導電経路が形成されることを安定的に抑制することができる。これにより、絶縁層130の絶縁性向上の効果を充分に得ることができる。さらに、本実施形態では、アミノシリル基モル分率を80%以下とすることで、絶縁層130の絶縁性向上の効果を顕著に得ることができる。

0065

上述のアミノシリル基モル分率については、例えば、以下の方法により求めることができる。

0066

具体的には、まず、アミノシランカップリング剤と疎水性シランカップリング剤とを所定の配合比で用いて表面処理された無機充填剤を用意する。次に、反応温度850℃および還元温度600℃の条件下において熱伝導度検出器(TCD:Thermal Conductivity Detector)を用いたガスクロマトグラフィ法により無機充填剤の表面を元素分析する。これにより、実際に無機充填剤の表面に結合していたシリル基における、炭素に対する窒素の質量比(以下、N/C比)が求められる。

0067

一方で、以下の手順により、アミノシリル基モル分率に対するN/C比の検量線を求める。表面処理に使用したアミノシランカップリング剤からアミノシリル基を特定し、アミノシリル基1つ当たりの、炭素の合計原子量C1と、窒素の合計原子量N1と、を求める。また、表面処理に使用した疎水性シランカップリング剤から疎水性シリル基を特定し、疎水性シリル基1つ当たりの、炭素の合計原子量C2を求める。ここで、アミノシリル基モル分率をx(単位%)とし、N/C比をy(単位%)としたとき、N/C比yは、検量線を構成するアミノシリル基モル分率xの関数として、以下の式(6)により表される。

0068

y=N1x/{(C1−C2)x+100C2} ・・・(6)
(ただし、0<x≦100である。)

0069

なお、式(6)において、アミノシリル基が有する炭素数と、疎水性シリル基が有する炭素数とが等しく、C1=C2であるときには、N/C比yは、アミノシリル基モル分率xの一次関数となり、すなわち、検量線が直線となる。

0070

例えば、アミノシリル基がアミノプロピルシリル基(C1=36.03)であり、疎水性シリル基がトリメチルシリル基(C2=36.03)である場合には、検量線が直線となり、アミノシリル基モル分率x=100%のときの、N/C比yの理論値は、約38.9%となる。

0071

上述のように検量線を得たら、実測したN/C比yを検量線の式(6)に代入することで、実際に無機充填剤の表面に結合していたシリル基におけるアミノシリル基モル分率xが求められる。

0072

本実施形態では、上述のガスクロマトグラフィ法により無機充填剤の表面を元素分析することで求められるN/C比は、例えば、(アミノシリル基がアミノプロピルシリル基である場合に)、0.7%以上35%以下、好ましくは1.9%以上31%以下であることが好ましい。これにより、アミノシリル基モル分率を、2%以上90%以下、好ましくは5%以上80%以下とすることができる。

0073

なお、本実施形態では、無機充填剤の体積平均粒径(MV:Mean Volume Diameter)は、特に限定されるものではないが、例えば、1μm以下、好ましくは、700nm以下、より好ましくは100nm以下である。

0074

なお、ここでいう「体積平均粒径(MV)」は、粒子の粒子径をdi、粒子の体積Viとしたとき、以下の式により求められる。
MV=Σ(Vidi)/ΣVi
なお、体積平均粒径の測定には、動的光散乱式粒子径・粒度分布測定装置が用いられる。

0075

無機充填剤の体積平均粒径を1μm以下とすることで、絶縁層130中の空間電荷の局所的な蓄積を抑制する効果を安定的に得ることができる。さらに、無機充填剤の体積平均粒径を700nm以下、好ましくは100nm以下とすることで、絶縁層130中の空間電荷の局所的な蓄積を抑制する効果をより安定的に得ることができる。

0076

なお、無機充填剤の体積平均粒径の下限値についても、特に限定されるものではない。ただし、無機充填剤を安定的に形成する観点では、無機充填剤の体積平均粒径は、例えば、1nm以上、好ましくは5nm以上である。

0077

また、本実施形態では、樹脂組成物中の無機充填剤の含有量は、特に限定されるものではないが、ベース樹脂100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。無機充填剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、無機充填剤に対して空間電荷を充分にトラップさせることができる。一方で、無機充填剤の含有量を10質量部以下とすることで、樹脂組成物による成形性を向上させつつ、絶縁層130中の無機充填剤の分散性を向上させることができる。

0078

なお、従来のようにアミノシランカップリング剤以外のシランカップリング剤を用いた場合では、樹脂組成物中の無機充填剤の含有量が5質量部超となると、絶縁層130の絶縁性が徐々に低下する可能性があった。これに対し、本実施形態では、無機充填剤が上述のアミノシランカップリング剤により表面処理されることで、樹脂組成物中の無機充填剤の含有量を5質量部超としても、絶縁層130の絶縁性を高く維持することができる。これは、無機充填剤の含有量を増やしたとしても、アミノ基による粒子間の静電反発が大きく、樹脂組成物中の無機充填剤の分散性を良好に維持することができるためと考えられる。

0079

架橋剤)
本実施形態では、樹脂組成物は、絶縁層130を構成する際に架橋されていなくてもよく、架橋されていてもよい。どちらの場合であっても、無機充填剤に対してアミノシリル基を付与することによる、絶縁層130の絶縁性向上の効果を得ることができる。

0080

なお、樹脂組成物が架橋される場合には、樹脂組成物は、例えば、架橋剤として、有機過酸化物を含むことが好ましい。有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルジクミルパーオキサイド、ジ(t−ブチルパーオキサイド)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピルベンゼン、4,4−ビス[(t−ブチル)ペルオキシペンタン酸ブチル、1,1−ビス(1,1−ジメチルエチルペルオキシ)シクロヘキサン等が挙げられる。なお、これらのうち2種類以上を組み合わせて用いてもよい。

0081

(その他の添加剤)
樹脂組成物は、例えば、酸化防止剤と、滑剤と、をさらに含んでいてもよい。

0082

酸化防止剤としては、例えば、2,2−チオ−エチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート]、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス−[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ビス[2−メチル−4−{3−n−アルキル(C12あるいはC14)チオプロピオニルオキシ}−5−t−ブチルフェニルスルフィド、および4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。なお、これらのうち2種類以上を組み合わせて用いてもよい。

0083

滑剤は、無機充填剤の凝集を抑制するとともに、絶縁層130の押出成形時の樹脂組成物の流動性を向上させるよう作用する。本実施形態の滑剤は、公知の材料を用いることができる。

0084

なお、樹脂組成物は、例えば、着色剤をさらに含んでいてもよい。

0085

(2)直流電力ケーブル
次に、図1を用い、本実施形態の直流電力ケーブルについて説明する。図1は、本実施形態に係る直流電力ケーブルの軸方向に直交する断面図である。

0086

本実施形態の直流電力ケーブル10は、いわゆる固体絶縁直流電力ケーブル(直流送電用ケーブル)として構成され、例えば、導体110と、内部半導電層120と、絶縁層130と、外部半導電層140と、遮蔽層150と、シース160と、を有している。

0087

(導体(導電部))
導体110は、例えば、純銅銅合金アルミニウム、またはアルミニウム合金等を含む複数の導体芯線導電芯線)を撚り合わせることにより構成されている。

0088

(内部半導電層)
内部半導電層120は、導体110の外周を覆うように設けられている。また、内部半導電層120は、半導電性を有し、導体110の表面側における電界集中を抑制するよう構成されている。内部半導電層120は、例えば、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体等のうち少なくともいずれかと、導電性のカーボンブラックと、を含んでいる。

0089

(絶縁層)
絶縁層130は、内部半導電層120の外周を覆うように設けられ、上述した樹脂組成物により構成されている。なお、絶縁層130は、上述のように、架橋されていなくてもよいし、本実施形態の樹脂組成物が押出成形された後に加熱されることにより架橋されていてもよい。

0090

(外部半導電層)
外部半導電層140は、絶縁層130の外周を覆うように設けられている。また、外部半導電層140は、半導電性を有し、絶縁層130と遮蔽層150との間における電界集中を抑制するよう構成されている。外部半導電層140は、例えば、内部半導電層120と同様の材料により構成されている。

0091

(遮蔽層)
遮蔽層150は、外部半導電層140の外周を覆うように設けられている。遮蔽層150は、例えば、銅テープ巻回することにより構成されるか、或いは、複数の軟銅線等を巻回しワイヤシールドとして構成されている。なお、遮蔽層150の内側や外側に、ゴム引き布等を素材としたテープが巻回されていてもよい。

0092

(シース)
シース160は、遮蔽層150の外周を覆うように設けられている。シース160は、例えば、ポリ塩化ビニルまたはポリエチレンにより構成されている。

0093

(絶縁性)
以上のように構成される直流電力ケーブル10では、絶縁層130中に添加される無機充填剤の表面の少なくとも一部が、アミノシリル基を有することで、例えば、以下のような絶縁性が得られる。

0094

本実施形態では、上述の樹脂組成物により絶縁層130を構成し、0.2mmの厚さを有する絶縁層130のシートを形成した場合に、温度80℃および直流電界50kV/mmの条件下において測定した絶縁層130のシートの体積抵抗率は、例えば、無機充填剤が表面処理されていない点を除いて同じ構成を有する樹脂組成物について同じ条件で測定した体積抵抗率よりも高い。

0095

また、本実施形態では、ベース樹脂がLDPEを含む上述の樹脂組成物により絶縁層130を構成し、0.2mmの厚さを有する絶縁層130のシートを形成した場合に、温度80℃および直流電界50kV/mmの条件下において測定した絶縁層130のシートの体積抵抗率は、例えば、8×1015Ω・cm以上、好ましくは5×1016Ω・cm以上、より好ましくは1×1017Ω・cm以上である。

0096

また、本実施形態では、ベース樹脂がPP系TPOを含む上述の樹脂組成物により絶縁層130を構成し、0.2mmの厚さを有する絶縁層130のシートを形成した場合に、温度80℃および直流電界50kV/mmの条件下において測定した絶縁層130のシートの体積抵抗率は、例えば、5×1015Ω・cm以上、好ましくは1.7×1016Ω・cm以上、好ましくは2×1016Ω・cm以上である。

0097

なお、絶縁層130の体積抵抗率の上限値は、高ければ高いほどよいため、限定されるものではないが、アミノシリル基モル分率等の各条件を最適化したことによる絶縁層130の体積抵抗率の上限値は、例えば、測定上限値であり、1×1019Ω・cm程度である。

0098

(具体的寸法等)
直流電力ケーブル10における具体的な各寸法としては、特に限定されるものではないが、例えば、導体110の直径は5mm以上60mm以下であり、内部半導電層120の厚さは1mm以上3mm以下であり、絶縁層130の厚さは1mm以上35mm以下であり、外部半導電層140の厚さは1mm以上3mm以下であり、遮蔽層150の厚さは1mm以上5mm以下であり、シース160の厚さは1mm以上である。本実施形態の直流電力ケーブル10に適用される直流電圧は、例えば20kV以上である。

0099

(3)直流電力ケーブルの製造方法
次に、本実施形態の直流電力ケーブルの製造方法について説明する。以下、ステップを「S」と略す。

0100

(S100:樹脂組成物準備工程
まず、ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有する樹脂組成物を準備する。当該樹脂組成物準備工程S100は、例えば、表面処理工程S120と、混合工程S140と、を有している。

0101

(S120:表面処理工程)
無機充填剤をアミノシランカップリング剤により表面処理する。これにより、無機充填剤の表面の少なくとも一部に、アミノシランカップリング剤に由来するアミノ基を含むアミノシリル基を結合させることができる。

0102

なお、無機充填剤をアミノシランカップリング剤(および疎水性シランカップリング剤)により表面処理する方法は、乾式法であっても、湿式法であってもよい。乾式法では、例えば、ヘンシェルミキサ等の攪拌装置内において無機充填剤を攪拌しながら、攪拌装置内にシランカップリング剤を含む溶液滴下するか、或いは、スプレーにより噴霧する。湿式法では、例えば、所定の溶媒に無機充填剤を加えスラリーを形成し、スラリー内にシランカップリング剤を添加する。

0103

本実施形態では、アミノシランカップリング剤だけでなく疎水性シランカップリング剤によっても無機充填剤を表面処理してもよい。これにより、無機充填剤の表面に、アミノシリル基だけでなく、疎水基を含む疎水性シリル基も結合させることができる。

0104

アミノシランカップリング剤だけでなく疎水性シランカップリング剤によっても無機充填剤を表面処理する方法としては、例えば、アミノシランカップリング剤と疎水性シランカップリング剤とを用いて同時に表面処理を行ってもよく、或いは、これらを別々に用いて異なるタイミングにおいて表面処理を行ってもよい。後者の場合、アミノシランカップリング剤の表面処理と疎水性シランカップリング剤の表面処理との順番は、どちらが先でも構わない。

0105

このとき、本実施形態では、上述のアミノシリル基モル分率が、例えば、2%以上90%以下、好ましくは5%以上80%以下となるように、アミノシランカップリング剤および疎水性シランカップリング剤により無機充填剤を表面処理する。具体的には、アミノシランカップリング剤が有するR1と、疎水性シランカップリング剤が有するR2と、に基づいて、アミノシリル基モル分率が上記範囲内となるように、アミノシランカップリング剤および疎水性シランカップリング剤のそれぞれの配合量を設定する。

0106

所定のシランカップリング剤により表面処理を行ったら、処理後の無機充填剤を適宜乾燥させる。

0107

なお、表面処理工程S120が完了したら、所定の粉砕処理を行うことで、無機充填剤の体積平均粒径を調整してもよい。このとき、無機充填剤の体積平均粒径を、例えば、1μm以下、好ましくは、700nm以下、より好ましくは100nm以下とする。

0108

(S140:混合工程)
表面処理工程S120が完了したら、ポリエチレンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、その他の添加剤(酸化防止剤、滑剤等)と、をバンバリミキサニーダなどの混合機により混合(混練)し、混合材を形成する。混合材を形成したら、当該混合材を押出機により造粒する。これにより、絶縁層130を構成することとなるペレット状の樹脂組成物が形成される。なお、混練作用の高い2軸型の押出機を用いて、混合から造粒までの工程を一括して行ってもよい。

0109

(S200:導体準備工程)
一方で、複数の導体芯線を撚り合わせることにより形成された導体110を準備する。

0110

(S300:ケーブルコア形成工程(押出工程))
樹脂組成物準備工程S100および導体準備工程S200が完了したら、3層同時押出機のうち、内部半導電層120を形成する押出機Aに、例えば、エチレン−エチルアクリレート共重合体と、導電性のカーボンブラックとが予め混合された内部半導電層用樹脂組成物投入する。

0111

絶縁層130を形成する押出機Bに、上記したペレット状の樹脂組成物を投入する。

0112

外部半導電層140を形成する押出機Cに、押出機Aに投入した内部半導電層用樹脂組成物と同様の材料を含む外部半導電層用樹脂組成物を投入する。

0113

次に、押出機A〜Cからのそれぞれの押出物コモンヘッドに導き、導体110の外周に、内側から外側に向けて、内部半導電層120、絶縁層130および外部半導電層140を同時に押出す

0114

なお、絶縁層130を架橋させる場合には、押出後、窒素ガスなどにより加圧された架橋管内において、赤外線ヒータによる輻射により加熱したり、高温の窒素ガスまたはシリコーン油等の熱媒体を通じて熱伝達させたりすることにより、絶縁層130を架橋させる。

0115

以上のケーブルコア形成工程S300により、導体110、内部半導電層120、絶縁層130および外部半導電層140により構成されるケーブルコアが形成される。

0116

(S400:遮蔽層形成工程)
ケーブルコアを形成したら、外部半導電層140の外側に、例えば銅テープを巻回することにより遮蔽層150を形成する。

0117

(S500:シース形成工程)
遮蔽層150を形成したら、押出機に塩化ビニルを投入して押出すことにより、遮蔽層150の外周に、シース160を形成する。

0118

以上により、固体絶縁直流電力ケーブルとしての直流電力ケーブル10が製造される。

0119

(4)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。

0120

(a)本実施形態では、無機充填剤が上述のアミノシランカップリング剤により表面処理されることで、無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノシランカップリング剤に由来するアミノ基を含むアミノシリル基を有している。無機充填剤に結合したアミノ基が電子供与性を有していることで、無機充填剤の表面を正に帯電させることができる。これにより、無機充填剤同士が隣接した際に、無機充填剤の表面におけるアミノ基同士を静電反発させることができる。無機充填剤同士が静電反発することで、樹脂組成物中の無機充填剤の分散性を向上させることができる。樹脂組成物中の無機充填剤の分散性を向上させることで、課電中において、絶縁層130中の空間電荷の局所的な蓄積を抑制し、漏れ電流の発生を抑制することができる。その結果、絶縁層130の絶縁性を安定的に向上させることが可能となる。

0121

なお、無機充填剤の表面の少なくとも一部がアミノシリル基を有することで、絶縁層130の絶縁性が向上するメカニズムは、上述した「アミノ基同士の静電反発」以外にも、例えば、以下の2つのメカニズムが考えられる。

0122

無機充填剤の表面の少なくとも一部がアミノシリル基を有することで、無機充填剤の粒子近傍において、ベース樹脂の結晶構造を変化させることができる。例えば、アミノシリル基を有する無機充填剤の粒子がベース樹脂相に入ることで、無機充填剤とベース樹脂との界面近傍において結晶化度を上昇させることができる。つまり、電気伝導関与しうる自由体積空隙を減少させることができる。その結果、絶縁層130の絶縁性を安定的に向上させることができると考えられる。

0123

または、無機充填剤の表面の少なくとも一部がアミノシリル基を有することで、アミノ基により導電キャリア(空間電荷)を捕獲し易くさせることができる。これにより、課電中において、絶縁層130中の空間電荷の局所的な蓄積を抑制し、漏れ電流の発生を抑制することができる。その結果、絶縁層130の絶縁性を安定的に向上させることができると考えられる。

0124

(b)無機充填剤が上述のアミノシランカップリング剤だけでなく疎水性シランカップリング剤によっても表面処理されることで、無機充填剤の表面は、アミノシリル基だけでなく、疎水性シランカップリング剤に由来する疎水基を含む疎水性シリル基も有している。無機充填剤の表面にアミノシリル基だけでなく疎水性シリル基も付与することで、無機充填剤の表面にアミノシリル基だけが過剰に結合することを抑制することができる。これにより、粒子間においてアミノ基を介した水素結合が形成されることを抑制し、アミノ基同士の静電反発を充分に生じさせることができる。また、水素結合に起因して粒子界面を介して導電経路が形成されることを抑制することができる。その結果、絶縁層130の絶縁性を顕著に向上させることができる。

0125

(c)無機充填剤の表面が有する全てのシリル基に対する、アミノシリル基の比率は、2%以上90%以下である。アミノシリル基モル分率を2%以上とすることで、製造上でのアミノシリル基モル分率に所定のばらつきが生じていたとしても、無機充填剤に対してアミノシリル基を付与することによる、絶縁層130の絶縁性向上の効果を安定的に得ることができる。アミノシリル基モル分率を90%以下とすることで、粒子間でアミノ基を介した水素結合が形成されることを抑制し、アミノ基同士の静電反発を充分に生じさせることができる。また、水素結合に起因して粒子界面を介して導電経路が形成されることを安定的に抑制することができる。これにより、絶縁層130の絶縁性向上の効果を充分に得ることができる。

0126

<本開示の他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。

0127

次に、本開示に係る実施例を説明する。これらの実施例は本開示の一例であって、本開示はこれらの実施例により限定されない。

0128

<実験1>
まず、絶縁性についてのシランカップリング剤依存性、および絶縁性についてのベース樹脂依存性を評価するため、以下の実験1を行った。

0129

(1−1)樹脂組成物のシートサンプルの作製
以下の試料A1〜A6のそれぞれの材料をロール混合し、樹脂組成物を形成した。樹脂組成物を形成した後、プレス成型により120℃において10分、樹脂組成物をプレスすることで、0.2mmの厚さを有する樹脂組成物のシートを作製した。なお、実験1では、架橋剤を添加せず、プレス時の加熱温度を180℃未満としたため、ベース樹脂を非架橋とした。詳細条件は、以下のとおりである。

0130

[試料A1]
(ベース樹脂)
低密度ポリエチレン(LDPE):住友化学スミセンC215
密度d=920kg/m3、MFR=1.4g/10min) 100質量部
(無機充填剤)
添加しなかった。

0131

[試料A2]
(ベース樹脂)
試料A1と同じ。
(無機充填剤)
酸化マグネシウム:気相法酸化マグネシウム(体積平均粒径50nm) 1質量部
なお、シランカップリング剤による表面処理を行わなかった。

0132

以下の試料A3〜A7では、乾式法により無機充填剤に対して所定のシランカップリング剤を用いて表面処理を行った点以外の条件を試料A2と同等とした。無機充填剤の表面処理において用いたシランカップリング剤は以下のとおりである。

0133

[試料A3]
シランカップリング剤:ヘキサメチルジシラザンのみ
[試料A4]
シランカップリング剤:
アミノシランカップリング剤として3−アミノプロピルトリメトキシシラン
疎水性シランカップリング剤としてヘキサメチルジシラザン
なお、アミノシリル基モル分率が12%となるように、アミノシランカップリング剤および疎水性シランカップリング剤のそれぞれの配合量を設定した。
[試料A5]
シランカップリング剤:トリメトキシ−n−オクチルシラン
[試料A6]
シランカップリング剤:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン

0134

以下の試料B1〜B6では、ベース樹脂以外の他の条件を、それぞれ、試料A1〜A6と同等とした。

0135

[試料B1〜B6]
(ベース樹脂)
PP系TPO:サーモラン5013
(密度d=880kg/m3、MFR=1g/10min) 100質量部

0136

(1−2)評価
上述の各試料のシートを温度80℃の大気雰囲気下で、直径65mmのガード付平板電極を用いて、50kV/mmの直流電界を絶縁層のシートに印加することで、体積抵抗率を測定した。なお、後述の実験2〜4においても、実験1と同様の評価を行った。

0137

(1−3)結果
以下の表1および表2を用い、実験1の各試料の評価を行った結果を説明する。なお、以下の表(実験2以降も同様)において、配合剤の含有量の単位は、「質量部」である。また、「酸化マグネシウム」の後の括弧書きは、無機充填剤の表面処理に用いたシランカップリング剤を示している。

0138

0139

0140

表1に示すように、ベース樹脂をLDPEとした場合では、3−アミノプロピルトリメトキシシランおよびヘキサメチルジシラザンを用いて酸化マグネシウムの表面処理を行った試料A4の体積抵抗率は、無機充填剤を添加しなかった試料A1および無機充填剤の表面処理を行わなかった試料A2のそれぞれの体積抵抗率よりも大幅に上昇していた。また、試料A4の体積抵抗率は、アミノ基を含まない他のシランカップリング剤を用いて酸化マグネシウムの表面処理を行った試料A3、A5およびA6のそれぞれの体積抵抗率よりも高かった。

0141

試料A4の結果により、無機充填剤を3−アミノプロピルトリメトキシシランにより表面処理することで、無機充填剤の表面の少なくとも一部にアミノプロピルシリル基を付与することができた。無機充填剤の表面の少なくとも一部がアミノシリル基を有することで、樹脂組成物の絶縁性を向上させることができたことを確認した。

0142

また、表2に示すように、ベース樹脂をTPOとした場合においても、ベース樹脂をLDPEとした場合と同様に、3−アミノプロピルトリメトキシシランおよびヘキサメチルジシラザンを用いて酸化マグネシウムの表面処理を行った試料B4の体積抵抗率は、無機充填剤を添加しなかった試料B1および無機充填剤の表面処理を行わなかった試料B2のそれぞれの体積抵抗率よりも大幅に上昇していた。また、試料B4の体積抵抗率は、アミノ基を含まない他のシランカップリング剤を用いて酸化マグネシウムの表面処理を行った試料B3、B5およびB6のそれぞれの体積抵抗率よりも高かった。

0143

試料B4の結果により、ベース樹脂をTPOなどの他のポリオレフィンとした場合であっても、無機充填剤に対してアミノシリル基を付与することによる、樹脂組成物の絶縁性向上の効果を得ることができたことを確認した。

0144

<実験2>
次に、絶縁性についての無機充填剤の種類依存性を評価するため、以下の実験2を行った。

0145

(2−1)樹脂組成物のシートサンプルの作製
以下の試料C1〜C4では、ベース樹脂をLDPEとし、無機充填剤を試料A4と同様のシランカップリング剤(3−アミノプロピルトリメトキシシランおよびヘキサメチルジシラザン)により表面処理した。
[試料C1]
試料A4(酸化マグネシウム使用)と同じ構成とした。

0146

以下の試料C2〜C4では、無機充填剤以外の条件を試料C1と同等とした。

0147

[試料C2]
(無機充填剤)
二酸化シリコン:フュームドシリカ(体積平均粒径12nm) 1質量部
[試料C3]
(無機充填剤)
酸化亜鉛:(体積平均粒径40nm) 1質量部
[試料C4]
(無機充填剤)
酸化アルミニウム:(体積平均粒径13nm) 1質量部

0148

試料C5〜C8は、ベース樹脂をTPOとした点を除く他の条件を、それぞれ、試料C1〜C4と同等とした。

0149

(2−2)結果
以下の表3および表4を用い、実験2の各試料の評価を行った結果を説明する。なお、表3および表4において、無機充填剤の後の括弧書きは、無機充填剤の表面処理に用いたシランカップリング剤を示している。

0150

0151

0152

表3に示すように、ベース樹脂をLDPEとした場合では、無機充填剤を酸化マグネシウム以外の無機粉末とした試料C2〜C4のそれぞれの体積抵抗率は、無機充填剤を酸化マグネシウムとした試料C1の体積抵抗率とほぼ同等であった。

0153

また、表4に示すように、ベース樹脂をTPOとした場合においても、無機充填剤を酸化マグネシウム以外の無機粉末とした試料C6〜C8のそれぞれの体積抵抗率は、無機充填剤を酸化マグネシウムとした試料C5のそれぞれの体積抵抗率とほぼ同等であった。

0154

試料C1〜C8の結果により、無機充填剤を酸化マグネシウム以外の無機粉末とした場合であっても、無機充填剤に対してアミノシリル基を付与することによる、樹脂組成物の絶縁性向上の効果を得ることができたことを確認した。

0155

<実験3>
次に、ベース樹脂の架橋状態依存性を評価するため、以下の実験3を行った。

0156

(3−1)樹脂組成物のシートサンプルの作製
以下の試料D1およびD2では、ベース樹脂をLDPEとし、無機充填剤を酸化マグネシウムとし、無機充填剤を試料A4と同様のシランカップリング剤(3−アミノプロピルトリメトキシシランおよびヘキサメチルジシラザン)により表面処理した。

0157

[試料D1]
試料A4(非架橋)と同じ条件において、樹脂組成物のシートを作製した。
[試料D2]
(添加剤)
架橋剤:ジクミルパーオキサイド1.3質量部
酸化防止剤:4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(TBMTBP) 0.22質量部
シート作製条件
樹脂組成物を形成した後、プレス成型により180℃において30分、樹脂組成物をプレスすることで、0.2mmの厚さを有する樹脂組成物のシートを作製した。180℃において30分加熱したことで、ベース樹脂を架橋させた。その後、架橋剤の残渣を除去するために、80℃において24時間、シートの真空乾燥を行った。

0158

試料D3およびD4は、ベース樹脂をTPOとした点を除く他の条件を、それぞれ、試料D1およびD2と同等とした。

0159

(3−2)結果
以下の表5を用い、実験2の各試料の評価を行った結果を説明する。

0160

0161

表5に示すように、ベース樹脂を架橋させた試料D2およびD4の体積抵抗率は、それぞれ、ベース樹脂を架橋させなかった試料D1およびD3の体積抵抗率とほぼ同等であった。

0162

試料D1〜D4の結果により、ベース樹脂の架橋状態にかかわらず、無機充填剤に対してアミノシリル基を付与することによる、樹脂組成物の絶縁性向上の効果を得ることができたことを確認した。

0163

<実験4>
次に、絶縁性のアミノシリル基比率依存性を評価するため、以下の実験4を行った。

0164

(4−1)樹脂組成物のシートサンプルの作製
以下の試料E1〜E6では、ベース樹脂をLDPEとし、無機充填剤を酸化マグネシウムとした。
[試料E1]
試料A1(無機充填剤添加せず)と同じ構成とした。
[試料E2]
試料A2(表面処理なし)と同じ構成とした。
[試料E3]
試料A3と同じ構成とした。
すなわち、シランカップリング剤として、ヘキサメチルジシラザンのみを用い、無機充填剤の表面処理を行った。したがって、アミノシリル基モル分率を0%とした。
[試料E4]
試料A4と同じ構成とした。
すなわち、アミノシリル基モル分率が12%となるように、アミノシランカップリング剤および疎水性シランカップリング剤のそれぞれの配合量を設定した。
[試料E5]
試料E4と同一のシランカップリング剤を用い、アミノシリル基モル分率が45%となるように、アミノシランカップリング剤および疎水性シランカップリング剤のそれぞれの配合量を設定した。
[試料E6]
アミノシランカップリング剤のみを用い、無機充填剤の表面処理を行った。したがって、アミノシリル基モル分率を100%とした。

0165

試料E7〜E12では、ベース樹脂をTPOとした点を除く他の条件を、それぞれ、試料E1〜E6と同等とした。

0166

(4−2)評価
上述の体積抵抗率の測定に加え、試料E4,E5,E10,E11についてN/C比を測定し、測定したN/C比に基づいてアミノシリル基モル分率を求めた。

0167

具体的には、反応温度850℃および還元温度600℃の条件下においてTCDを用いたガスクロマトグラフィ法により無機充填剤の表面を元素分析した。これにより、実際に無機充填剤の表面に結合していたシリル基における、N/C比を求めた。なお、装置等の詳細条件は以下の通りである。

0168

装置:酸素循環燃焼・TCD検出方式NC定量装置
スミグラフNCH−22F型(住化分析センタ−製)
測定条件
・反応温度:850℃
・還元温度:600℃
・分離/検出:ポ−ラスポリマ−ビ−ズ充填カラム/TCD
標準試料元素定量標準試料アセトアニリド

0169

一方で、実験4において使用したアミノシランカップリング剤および疎水性シランカップリング剤に基づいて、N/C比yは、アミノシリル基モル分率xの関数として、以下の式(6)’により表される。

0170

y=0.0039x ・・・(6)’
(ただし、0<x≦100である。)

0171

実測したN/C比yを検量線の式(6)’に代入することで、実際に無機充填剤の表面に結合していたシリル基におけるアミノシリル基モル分率xを求めた。

0172

(4−3)結果
以下の表6、表7、図2Aおよび図2Bを用い、実験4の各試料の評価を行った結果を説明する。なお、表6および表7において、「酸化マグネシウム」の後の括弧書きは、表面処理なし、またはアミノシリル基モル分率を示している。図2Aおよび図2Bは、実験4において、ベース樹脂がLDPEを含む場合およびベース樹脂がTPOを含む場合のぞれぞれの、アミノシリル基モル分率に対する体積抵抗率を示す図である。なお、図2Aおよび図2Bにおいて、横軸はアミノシリル基モル分率であり、縦軸は体積抵抗率である。図2Aおよび図2Bには、それぞれ、ベース樹脂がLDPEを含む試料E3〜E6と、ベース樹脂がTPOを含む試料E9〜E12とが示されている。

0173

0174

0175

なお、試料E4,E5,E10,E11についてN/C比を測定し、測定したN/C比を式(6)’に代入してアミノシリル基モル分率を求めた結果、表面処理時に想定したアミノシリル基モル分率が得られていることを確認した。

0176

表6に示すように、ベース樹脂がLDPEを含む場合では、アミノシランカップリング剤を用いて酸化マグネシウムの表面処理を行った試料E4〜E6のそれぞれの体積抵抗率は、無機充填剤を添加しなかった試料E1および無機充填剤の表面処理を行わなかった試料E2のそれぞれの体積抵抗率よりも大幅に上昇していた。

0177

図2Aに示すように、ベース樹脂がLDPEを含む場合では、アミノシリル基モル分率に対して体積抵抗率が上に凸の傾向を示した。アミノシリル基モル分率が12%付近において、体積抵抗率が最大値となることが示唆された。また、図2Aに示すように、ベース樹脂がLDPEを含む場合では、アミノシリル基モル分率を2%以上90%以下とすることで、体積抵抗率を5×1016Ω・cm以上とすることができることを確認した。ベース樹脂がLDPEを含む場合では、さらに、アミノシリル基モル分率を5%以上80%以下とすることで、体積抵抗率を1×1017Ω・cm以上とすることができることを確認した。

0178

試料E4〜E6の結果により、ベース樹脂がLDPEを含む場合において、無機充填剤の表面の少なくとも一部にアミノシリル基を結合させることで、アミノシリル基モル分率によらず、樹脂組成物の絶縁性向上の効果を得ることができることを確認した。また、ベース樹脂がLDPEを含む場合において、アミノシリル基モル分率を2%以上90%以下とすることで、樹脂組成物の絶縁性向上の効果を安定的に得ることができることを確認した。さらに、アミノシリル基モル分率を5%以上80%以下とすることで、樹脂組成物の絶縁性向上の効果を顕著に得ることができることを確認した。

0179

表6に示すように、ベース樹脂がTPOを含む場合においても、ベース樹脂がLDPEを含む場合と同様に、アミノシランカップリング剤を用いて酸化マグネシウムの表面処理を行った試料E10〜E12のそれぞれの体積抵抗率は、無機充填剤を添加しなかった試料E7および無機充填剤の表面処理を行わなかった試料E8のそれぞれの体積抵抗率よりも大幅に上昇していた。

0180

図2Bに示すように、ベース樹脂がTPOを含む場合においても、ベース樹脂がLDPEを含む場合と同様に、アミノシリル基モル分率に対して体積抵抗率が上に凸の傾向を示した。アミノシリル基モル分率が12%付近において、体積抵抗率が最大値となることが示唆された。また、図2Bに示すように、ベース樹脂がTPOを含む場合では、アミノシリル基モル分率を2%以上90%以下とすることで、体積抵抗率を1.7×1016Ω・cm以上とすることができることを確認した。ベース樹脂がTPOを含む場合では、さらに、アミノシリル基モル分率を5%以上80%以下とすることで、体積抵抗率を2×1016Ω・cm以上とすることができることを確認した。

0181

試料E10〜E12の結果により、ベース樹脂がLDPE以外のポリオレフィンを含む場合であっても、無機充填剤の表面の少なくとも一部にアミノシリル基を結合させることで、アミノシリル基モル分率によらず、樹脂組成物の絶縁性向上の効果を得ることができることを確認した。また、ベース樹脂がLDPE以外のポリオレフィンを含む場合であっても、アミノシリル基モル分率を2%以上90%以下、好ましくは5%以上80%以下とすることで、樹脂組成物の絶縁性向上の効果を安定的に得ることができることを確認した。

0182

<実験5>
次に、絶縁性についての無機充填剤の含有量依存性を評価するため、以下の実験5を行った。

0183

(5−1)樹脂組成物のシートサンプルの作製
以下の試料F1〜F5では、ベース樹脂をLDPEとした。
[試料F1]
(無機充填剤)
酸化マグネシウム:気相法酸化マグネシウム(体積平均粒径50nm) 0.1質量部
シランカップリング剤:
アミノシランカップリング剤として3−アミノプロピルトリメトキシシラン
疎水性シランカップリング剤としてヘキサメチルジシラザン
なお、アミノシリル基モル分率が12%となるように、アミノシランカップリング剤および疎水性シランカップリング剤のそれぞれの配合量を設定した。
[試料F2]
無機充填剤の含有量を0.5質量部とした点を除く他の条件を試料F1と同等とした。
[試料F3]
無機充填剤の含有量を1質量部とした点を除く他の条件を試料F1と同等とした。
すなわち、試料A4と同じ構成とした。
[試料F4]
無機充填剤の含有量を5質量部とした点を除く他の条件を試料F1と同等とした。
[試料F5]
無機充填剤の含有量を10質量部とした点を除く他の条件を試料F1と同等とした。

0184

試料F6〜F10は、シランカップリング剤としてヘキサメチルジシラザンのみを用いて無機充填剤の表面処理を行った点を除く他の条件を、それぞれ、試料F1〜F5と同等とした。なお、試料F8は、試料A3と同じ構成とした。

0185

(5−2)結果
以下の表8、表9および図3を用い、実験5の各試料の評価を行った結果を説明する。なお、表8および表9において、「酸化マグネシウム」の後の括弧書きは、無機充填剤の表面処理に用いたシランカップリング剤を示している。図3は、実験5における無機充填剤の含有量に対する体積抵抗率を示す図である。なお、図3において、横軸は無機充填剤の含有量であり、縦軸は体積抵抗率である。図3では、試料F1〜F5の結果を「アミノシラン+HMDS」と示し、試料F6〜F10の結果を「HMDS」と示している。

0186

0187

0188

表9および図3に示すように、ヘキサメチルジシラザンのみを用いて無機充填剤の表面処理を行った場合における体積抵抗率は、無機充填剤の含有量によらず、無機充填剤を添加しなかった試料A1および無機充填剤の表面処理を行わなかった試料A2のそれぞれの体積抵抗率よりも大幅に上昇していた。

0189

また、ヘキサメチルジシラザンのみを用いて無機充填剤の表面処理を行った場合では、無機充填剤の含有量が0.1質量部以上5質量部以下である範囲内において、無機充填剤の含有量が多くなるにしたがって体積抵抗率が高くなっていた。しかしながら、無機充填剤の含有量が5質量部超となると、体積抵抗率が徐々に低下する傾向があった。

0190

これに対し、表8および図3に示すように、アミノシランカップリング剤を用いて酸化マグネシウムの表面処理を行った場合における体積抵抗率は、無機充填剤の含有量によらず、無機充填剤を添加しなかった試料A1および無機充填剤の表面処理を行わなかった試料A2のそれぞれの体積抵抗率よりも大幅に上昇していた。

0191

また、アミノシランカップリング剤を用いて酸化マグネシウムの表面処理を行った場合では、無機充填剤の含有量が0.1質量部以上10質量部以下である範囲内において、無機充填剤の含有量が多くなるにしたがって体積抵抗率が高くなっていた。すなわち、無機充填剤の含有量が5質量部超であっても、体積抵抗率の低下が抑制されていた。

0192

アミノシランカップリング剤を用いて酸化マグネシウムの表面処理を行った試料F1〜F5の結果により、無機充填剤がアミノシランカップリング剤により表面処理されることで、樹脂組成物中の無機充填剤の含有量を5質量部超としても、絶縁性を高く維持することができることを確認した。

0193

<本開示の好ましい態様>
以下、本開示の好ましい態様を付記する。

0194

(付記1)
ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有し、
前記無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシリル基を有する
樹脂組成物。

0195

(付記2)
直流電力ケーブルの絶縁層を構成する
付記1に記載の樹脂組成物。

0196

(付記3)
前記アミノシリル基は、前記アミノ基として、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アミノ基の酸中和基、4級アンモニウム塩基のうち少なくともいずれか1つを含む1価の炭化水素基を含む
付記1又は付記2に記載の樹脂組成物。

0197

(付記4)
前記アミノ基を含む前記炭化水素基の炭素数は、3以上である
付記3に記載の樹脂組成物。

0198

(付記5)
前記無機充填剤は、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N、N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N、N−ジエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N、N−ジブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N、N、N−トリ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、N−トリメトキシシリルプロピル−N、N、N−トリ−n−ブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロライドのうち少なくともいずれかのアミノシランカップリング剤により表面処理されている
付記1から付記4のいずれか1つに記載の樹脂組成物。

0199

(付記6)
前記無機充填剤の表面は、
前記アミノシリル基と、
疎水基を含む疎水性シリル基と、
を有する
付記1から付記5のいずれか1つに記載の樹脂組成物。

0200

(付記7)
前記疎水性シリル基が含む前記疎水基は、ハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、ハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲンにより置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、又はハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基若しくはハロゲンにより置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基のうち少なくともいずれかである
付記6に記載の樹脂組成物。

0201

(付記8)
前記無機充填剤は、前記疎水基を有する、シラザン、アルコキシシランおよびハロゲン化シランのうち少なくともいずれかの疎水性シランカップリング剤により表面処理されている
付記6又は付記7に記載の樹脂組成物。

0202

(付記9)
前記無機充填剤の前記表面が有する全てのシリル基に対する、前記アミノシリル基のモル分率は、2%以上90%以下である
付記6から付記8のいずれか1つに記載の樹脂組成物。

0203

(付記10)
反応温度850℃および還元温度600℃の条件下において熱伝導度検出器を用いたガスクロマトグラフィ法により前記無機充填剤の表面を元素分析することで求められる、炭素に対する窒素の質量比は、0.7%以上35%以下である
付記6から付記8のいずれか1つに記載の樹脂組成物。

0204

(付記11)
前記ベース樹脂を構成する前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、およびポリエチレン若しくはポリプロピレンにエチレンプロピレンゴム若しくはエチレンプロピレンジエンゴムを分散あるいは共重合した熱可塑性エラストマのうち少なくともいずれかである
付記1から付記10のいずれか1つに記載の樹脂組成物。

0205

(付記12)
前記無機充填剤は、酸化マグネシウム、二酸化シリコン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、カーボンブラック、および、これらのうち2種以上を混合した混合物のうち少なくともいずれかを含む
付記1から付記11のいずれか1つに記載の樹脂組成物。

0206

(付記13)
前記無機充填剤の含有量は、前記ベース樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下である
付記1から付記12のいずれか1つに記載の樹脂組成物。

0207

(付記14)
前記無機充填剤の体積平均粒径は、1μm以下である
付記1から付記13のいずれか1つに記載の樹脂組成物。

0208

(付記15)
前記ベース樹脂は、低密度ポリエチレンを含み、
前記ベース樹脂および前記無機充填剤を有し0.2mmの厚さを有する樹脂組成物のシートを形成した場合に、温度80℃および直流電界50kV/mmの条件下において測定した前記樹脂組成物のシートの体積抵抗率は、8×1015Ω・cm以上である
付記1から付記14のいずれか1つに記載の樹脂組成物。

0209

(付記16)
前記ベース樹脂は、ポリエチレン若しくはポリプロピレンにエチレンプロピレンゴム若しくはエチレンプロピレンジエンゴムを分散あるいは共重合した熱可塑性エラストマを含み、
前記ベース樹脂および前記無機充填剤を有し0.2mmの厚さを有する樹脂組成物のシートを形成した場合に、温度80℃および直流電界50kV/mmの条件下において測定した前記樹脂組成物のシートの体積抵抗率は、5×1015Ω・cm以上である
付記1から付記14のいずれか1つに記載の樹脂組成物。

0210

(付記17)
ポリオレフィンを含むベース樹脂中に添加される無機充填剤であって、
前記無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシリル基を有する
無機充填剤。

0211

(付記18)
導体と、
前記導体の外周を覆うように設けられる絶縁層と、
を備え、
前記絶縁層は、ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有する樹脂組成物により構成され、
前記無機充填剤の表面の少なくとも一部は、アミノ基を含むアミノシリル基を有する
直流電力ケーブル。

実施例

0212

(付記19)
ポリオレフィンを含むベース樹脂と、無機充填剤と、を有する樹脂組成物を準備する工程と、
前記樹脂組成物を用い、導体の外周を覆うように絶縁層を形成する工程と、
を備え、
前記樹脂組成物を準備する工程は、アミノ基を含むアミノシランカップリング剤により前記無機充填剤を表面処理する工程を有し、
前記無機充填剤を表面処理する工程では、
前記無機充填剤の表面の少なくとも一部に、前記アミノシランカップリング剤に由来する前記アミノ基を含むアミノシリル基を結合させる
直流電力ケーブルの製造方法。

0213

10直流電力ケーブル
110導体
120 内部半導電層
130絶縁層
140 外部半導電層
150遮蔽層
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