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技術 列車位置判定方法、判定方法、警報制御方法、判定装置および警報制御装置

出願人 株式会社京三製作所
発明者 佐野実北島寿央
出願日 2019年2月25日 (1年8ヶ月経過) 出願番号 2019-031205
公開日 2020年8月31日 (2ヶ月経過) 公開番号 2020-132065
状態 未査定
技術分野 鉄道交通の監視、制御、保安
主要キーワード 変化パターンデータ 局部電圧 倍周器 減流抵抗 検知結果データ 区間境界 軌道信号 短絡位置
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

地上側で列車の位置や速度を検知する新たな技術を提案すること。

解決手段

列車検知装置100は、計測端末200と判定装置300とを有し、交流信号が送信される交流軌道回路制御区間に在線している列車の位置および速度を検知する。判定装置300は、送信電圧送信電流および送信電圧に対する送信電流の位相差のうちの少なくとも1つである送信信号状態と、制御区間に列車が進入してから送信点に列車が到達するまでの送信信号状態の変化を示す信号状態変化パターンとに基づいて、制御区間における列車位置を判定する。そして、所定時間間隔で判定した列車位置と所定時間間隔とを用いて列車速度を算出する。

概要

背景

列車の位置や速度の検知は様々な場面で利用されている。一例として踏切について説明する。鉄道の踏切には、踏切警報機踏切しゃ断機、これらの動作を制御する踏切制御装置を含む踏切保安装置が設けられる。踏切保安装置は、列車の接近によって踏切警報機の鳴動や踏切しゃ断機の降下といった警報を開始し、列車の通過によって警報を終了する制御を行う。踏切への列車の接近や通過の検知方式としては、警報開始点や警報終止点に設置した踏切制御子によって検知する点制御方式や(例えば、特許文献1参照)、警報開始点から警報終止点までの踏切警報区間全体に軌道回路を設置し、区間内の列車を連続的に検知する連続閉電路方式、などがある。

概要

地上側で列車の位置や速度を検知する新たな技術を提案すること。列車検知装置100は、計測端末200と判定装置300とを有し、交流信号が送信される交流軌道回路制御区間に在線している列車の位置および速度を検知する。判定装置300は、送信電圧送信電流および送信電圧に対する送信電流の位相差のうちの少なくとも1つである送信信号状態と、制御区間に列車が進入してから送信点に列車が到達するまでの送信信号状態の変化を示す信号状態変化パターンとに基づいて、制御区間における列車位置を判定する。そして、所定時間間隔で判定した列車位置と所定時間間隔とを用いて列車速度を算出する。

目的

第2実施例において第1実施例と異なる主な点は、レールに送信する交流信号である軌道信号として、周波数が異なる複数種類の信号を送信することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

送信機によって送信点から交流信号が送信される交流軌道回路制御区間に在線している列車列車位置を判定する列車位置判定方法であって、前記送信機の送信電圧送信電流、および、前記送信電圧に対する前記送信電流の位相差、のうちの少なくとも1つである送信信号状態と、前記制御区間に列車が進入してから前記送信点に列車が到達するまでの前記送信信号状態の変化を示す所定の信号状態変化パターンとに基づいて、前記制御区間中の列車位置を判定する列車位置判定方法。

請求項2

前記送信信号状態には、少なくとも前記位相差が含まれる、請求項1に記載の列車位置判定方法。

請求項3

前記制御区間中の列車位置として、前記制御区間に列車が進入してから前記送信点に列車が到達するまでの一連の列車位置の判定が完了した場合に、当該一連の列車位置の判定に用いた一連の前記送信信号状態に基づいて、前記信号状態変化パターンを更新すること、を更に含む請求項1又は2に記載の列車位置判定方法。

請求項4

直前に判定した列車位置に基づいて、前記送信機が送信する前記交流信号の周波数を制御すること、を更に含み、前記信号状態変化パターンは、前記周波数に応じたパターンが予め定められており、前記送信機が送信する前記交流信号の周波数に応じた前記信号状態変化パターンに基づいて列車位置を判定する、請求項1〜3の何れか一項に記載の列車位置判定方法。

請求項5

前記周波数を制御することは、直前に判定した列車位置が前記送信点から遠いことを示す所定の遠距離条件を満たす場合には、当該遠距離条件を満たさない場合よりも周波数を低くするように制御することを含む、請求項4に記載の列車位置判定方法。

請求項6

前記送信機は、複数の周波数別の交流信号を重畳させて、又は、順次切り替えて送信し、前記信号状態変化パターンは、前記周波数に応じたパターンが予め定められており、前記交流信号の周波数別に前記送信信号状態を検出することと、前記交流信号の周波数別に、前記検出された前記送信信号状態と、当該周波数に応じた前記信号状態変化パターンとに基づいて列車位置を判定することと、を更に含む請求項1〜3の何れか一項に記載の列車位置判定方法。

請求項7

直前に判定した列車位置に基づいて前記周波数を選択することと、前記選択された周波数に係る前記送信信号状態および前記信号状態変化パターンに基づいて、列車位置を判定することと、を更に含む請求項6に記載の列車位置判定方法。

請求項8

前記周波数を選択することは、直前に判定した列車位置が前記送信点から遠いことを示す所定の遠距離条件を満たす場合には、当該遠距離条件を満たさない場合よりも低い周波数を選択することを含む、請求項7に記載の列車位置判定方法。

請求項9

請求項1〜8の何れか一項に記載の列車位置判定方法を含む列車の位置および速度の判定方法であって、前記列車位置判定方法を用いて所定時間間隔で列車位置を判定することと、前記所定時間間隔で判定した列車位置と前記所定時間間隔とを用いて列車の速度を算出することと、を含む判定方法。

請求項10

踏切警報制御方法であって、前記踏切を含む制御区間に在線している列車の列車位置および速度を判定する請求項9に記載の判定方法により、当該列車位置および速度を判定することと、前記判定された列車位置および速度に基づいて、前記踏切の警報制御の開始タイミングを決定することと、を含む警報制御方法。

請求項11

送信機によって送信点から交流信号が送信される交流軌道回路の制御区間に在線している列車の列車位置を判定する判定装置であって、前記送信機の送信電圧、送信電流、および、前記送信電圧に対する前記送信電流の位相差、のうちの少なくとも1つである送信信号状態と、前記制御区間に列車が進入してから前記送信点に列車が到達するまでの前記送信信号状態の変化を示す所定の信号状態変化パターンとに基づいて、前記制御区間中の列車位置を判定する判定装置。

請求項12

前記列車位置の判定を所定時間間隔で実行し、判定された列車位置と前記所定時間間隔とを用いて列車の速度を算出する請求項11に記載の判定装置。

請求項13

踏切の警報制御装置であって、前記踏切を含む制御区間に在線している列車の列車位置および速度を判定する請求項12に記載の判定装置と、前記判定装置により判定された列車位置および速度に基づいて、前記踏切の警報制御の開始タイミングを決定する開始タイミング決定部と、を備えた警報制御装置。

技術分野

0001

本発明は、列車位置判定方法等に関する。

背景技術

0002

列車の位置や速度の検知は様々な場面で利用されている。一例として踏切について説明する。鉄道の踏切には、踏切警報機踏切しゃ断機、これらの動作を制御する踏切制御装置を含む踏切保安装置が設けられる。踏切保安装置は、列車の接近によって踏切警報機の鳴動や踏切しゃ断機の降下といった警報を開始し、列車の通過によって警報を終了する制御を行う。踏切への列車の接近や通過の検知方式としては、警報開始点や警報終止点に設置した踏切制御子によって検知する点制御方式や(例えば、特許文献1参照)、警報開始点から警報終止点までの踏切警報区間全体に軌道回路を設置し、区間内の列車を連続的に検知する連続閉電路方式、などがある。

先行技術

0003

特開2012−96705号公報

発明が解決しようとする課題

0004

近年、特に都市近郊区間などの運行本数が多い線区では、踏切の遮断時間が長くなる、いわゆる“開かずの踏切”が問題となっている。踏切の警報開始点は、列車が最高速度で走行する場合に、警報の開始から列車が踏切に到達するまでの警報時間が予め定められた標準警報時間を確保できるような位置に定められている。列車の運行本数が多い区間では、踏切を、同方向或いは逆方向の複数の列車が頻繁に通過することになり、各列車の警報が途切れずに連続することでしゃ断時間が長くなり易い。また、列車間隔が短い場合、列車速度が低下するため、踏切への到達時間が長くなり、その分、しゃ断時間が長くなる。

0005

そこで、踏切のしゃ断時間の短縮のための様々な手法が開発されている。例えば、踏切に接近する列車の位置および速度に応じて警報開始点を切り替える手法がある。何れの手法にしても、踏切に接近する列車の位置および速度を、随時、取得する必要がある。

0006

列車の位置や速度の検知が利用されている例として踏切を説明したが、踏切以外にも、列車の位置や速度を利用する或いは利用できる場面は種々ある。例えば、列車接近等の案内表示放送を行う場合、定位置に停止したかどうかを検出する場合、等が挙げられる。

0007

列車検知としては、上記の閉そく区間の在線を検知するための軌道回路が主流であるが、軌道回路は区間単位での在線を検知する装置であるため、列車の位置および速度の検知精度には自ずと限界がある。

0008

本発明が解決しようとする課題は、地上側で列車の位置や速度を検知する新たな技術を提案すること、である。

課題を解決するための手段

0009

上記課題を解決するための第1の発明は、
送信機によって送信点から交流信号が送信される交流軌道回路制御区間に在線している列車の列車位置を判定する列車位置判定方法であって、
前記送信機の送信電圧送信電流、および、前記送信電圧に対する前記送信電流の位相差、のうちの少なくとも1つである送信信号状態と、前記制御区間に列車が進入してから前記送信点に列車が到達するまでの前記送信信号状態の変化を示す所定の信号状態変化パターンとに基づいて、前記制御区間中の列車位置を判定する列車位置判定方法である。

0010

第1の発明によれば、交流軌道回路に交流信号を送信する送信機に関する送信信号状態に基づき、交流軌道回路の制御区間に在線している列車の位置を判定するという新たな列車位置の判定方法を実現できる。送信信号状態とは、送信機の送信電圧、送信電流、および、送信電圧に対する送信電流の位相差、の少なくとも1つである。

0011

詳細を後述するように、制御区間に在線する列車の輪軸によるレール間短絡位置に応じて送信信号状態が変化する。送信信号状態の変化は交流軌道回路上の列車位置に応じたものとなり、事前に測定することができる。そこで、予め、列車位置(つまり、輪軸によるレール間の短絡位置)に対する送信信号状態の変化を示す信号状態変化パターンを作成しておき、この信号状態変化パターンを参照することで、現在の送信信号状態から、制御区間における列車の位置を判定することができる。これにより、地上側で列車の位置を検知することが可能となる。

0012

第2の発明は、第1の発明において、
前記送信信号状態には、少なくとも前記位相差が含まれる、
列車位置判定方法である。

0013

送信電圧に対する送信電流の位相差は、送信電圧および送信電流に比較して、列車位置に対する変化がより顕著に表れる。このため、送信信号状態として少なくとも位相差に基づく第2の発明によれば、より精度良く列車位置を検知することができる。

0014

第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記制御区間中の列車位置として、前記制御区間に列車が進入してから前記送信点に列車が到達するまでの一連の列車位置の判定が完了した場合に、当該一連の列車位置の判定に用いた一連の前記送信信号状態に基づいて、前記信号状態変化パターンを更新すること、
を更に含む列車位置判定方法である。

0015

交流軌道回路は屋外に設置されることから、自然環境の影響を受けて、列車位置と送信信号状態との対応関係漸次変化し得る。このため、第3の発明のように、実際に列車が通過した際の一連の送信信号状態に基づいて信号状態変化パターンを更新することで、より精度良く列車位置を検知することが可能となる。更新方法は、いわゆる機械学習仕組みを導入してもよい。

0016

第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明において、
直前に判定した列車位置に基づいて、前記送信機が送信する前記交流信号の周波数を制御すること、
を更に含み、
前記信号状態変化パターンは、前記周波数に応じたパターンが予め定められており、
前記送信機が送信する前記交流信号の周波数に応じた前記信号状態変化パターンに基づいて列車位置を判定する、
列車位置判定方法である。

0017

交流軌道回路に送信される交流信号の周波数の違いによって、列車位置と送信信号状態との対応関係が異なり得る。このため、第4の発明のように、周波数に応じた信号状態変化パターンに基づくことで、精度良く列車位置を判定することができる。

0018

第5の発明は、第4の発明において、
前記周波数を制御することは、直前に判定した列車位置が前記送信点から遠いことを示す所定の遠距離条件を満たす場合には、当該遠距離条件を満たさない場合よりも周波数を低くするように制御することを含む、
列車位置判定方法である。

0019

交流軌道回路に送信する交流信号が高周波である場合、低周波である場合に比較して、送信信号状態の変化が表れやすいが、その反面、伝播距離が長くなると減衰によって送信信号状態の変化が表れにくくなる。このため、第5の発明のように、直前に判定した列車位置が、交流信号の送信点から遠い場合は、近い場合に比較して、送信する交流信号の周波数を低くすることで、送信信号状態の変化が検出し易くなり、より精度良く列車位置を検知することが可能となる。

0020

第6の発明は、第1〜第3の何れかの発明において、
前記送信機は、複数の周波数別の交流信号を重畳させて、又は、順次切り替えて送信し、
前記信号状態変化パターンは、前記周波数に応じたパターンが予め定められており、
前記交流信号の周波数別に前記送信信号状態を検出することと、
前記交流信号の周波数別に、前記検出された前記送信信号状態と、当該周波数に応じた前記信号状態変化パターンとに基づいて列車位置を判定することと、
を更に含む列車位置判定方法である。

0021

交流軌道回路に送信される交流信号の周波数の違いによって、列車位置と送信信号状態との対応関係が異なり得る。このため、第6の発明のように、複数の周波数別の交流信号を送信し、周波数別に、検出した送信信号状態と、当該周波数に応じた信号状態変化パターンとに基づいて列車位置を判定することで、列車位置をより精度良く判定することが可能となる。

0022

第7の発明は、第6の発明において、
直前に判定した列車位置に基づいて前記周波数を選択することと、
前記選択された周波数に係る前記送信信号状態および前記信号状態変化パターンに基づいて、列車位置を判定することと、
を更に含む列車位置判定方法である。

0023

第7の発明によれば、直前に判定した列車位置に基づいて選択した周波数に係る送信信号状態および信号状態変化パターンに基づいて、列車位置を判定することができる。

0024

第8の発明は、第7の発明において、
前記周波数を選択することは、直前に判定した列車位置が前記送信点から遠いことを示す所定の遠距離条件を満たす場合には、当該遠距離条件を満たさない場合よりも低い周波数を選択することを含む、
列車位置判定方法である。

0025

交流軌道回路に送信する交流信号が高周波である場合、低周波である場合に比較して、送信信号状態の変化が表れやすいが、その反面、伝播距離が長くなると減衰によって送信信号状態の変化が表れにくくなる。このため、第8の発明のように、直前に判定した列車位置が交流信号の送信点から遠い場合は、近い場合に比較して、低い周波数を選択することで、送信信号状態の変化を検出し易くなり、より精度良く列車位置を検知することが可能となる。

0026

第9の発明は、
第1〜第8の何れかの発明の列車位置判定方法を含む列車の位置および速度の判定方法であって、
前記列車位置判定方法を用いて所定時間間隔で列車位置を判定することと、
前記所定時間間隔で判定した列車位置と前記所定時間間隔とを用いて列車の速度を算出することと、
を含む判定方法である。

0027

第9の発明によれば、所定時間間隔で列車位置を判定し、その列車位置の変化から、列車の速度を算出することができる。

0028

第10の発明は、
踏切の警報制御方法であって、
前記踏切を含む制御区間に在線している列車の列車位置および速度を判定する第9の発明の判定方法により、当該列車位置および速度を判定することと、
前記判定された列車位置および速度に基づいて、前記踏切の警報制御の開始タイミングを決定することと、
を含む警報制御方法である。

0029

第10の発明によれば、踏切に接近する列車の位置および速度を検知することができ、検知した列車の位置および速度に基づいて踏切の警報制御の開始タイミングを決定することで、踏切のしゃ断時間を短縮するような制御が可能となる。

0030

第11の発明は、
送信機によって送信点から交流信号が送信される交流軌道回路の制御区間に在線している列車の列車位置を判定する判定装置であって、
前記送信機の送信電圧、送信電流、および、前記送信電圧に対する前記送信電流の位相差、のうちの少なくとも1つである送信信号状態と、前記制御区間に列車が進入してから前記送信点に列車が到達するまでの前記送信信号状態の変化を示す所定の信号状態変化パターンとに基づいて、前記制御区間中の列車位置を判定する判定装置である。

0031

第11の発明によれば、第1の発明の作用効果を有する判定装置を実現することができる。

0032

第12の発明は、第11の発明において、
前記列車位置の判定を所定時間間隔で実行し、判定された列車位置と前記所定時間間隔とを用いて列車の速度を算出する判定装置である。

0033

第12の発明によれば、所定時間間隔で列車位置を判定し、その列車位置の変化から、列車の速度を算出することができる。

0034

第13の発明は、
踏切の警報制御装置であって、
前記踏切を含む制御区間に在線している列車の列車位置および速度を判定する第12の発明の判定装置と、
前記判定装置により判定された列車位置および速度に基づいて、前記踏切の警報制御の開始タイミングを決定する開始タイミング決定部と、
を備えた警報制御装置である。

0035

第13の発明によれば、第10の発明の作用効果を有する警報制御装置を実現することができる。

図面の簡単な説明

0036

第1実施例の列車検知装置の適用例。
列車位置と送信信号状態との対応関係の一例。
列車検知装置の機能構成図。
列車検知処理のフローチャート
第2実施例の列車検知装置の適用例。
列車位置と送信信号状態との対応関係の一例。
列車検知装置の機能構成図。
信号状態変化パターンデータの一例。
通過時データの一例。
周波数制御テーブルの一例。
列車検知処理のフローチャート。
第3実施例の警報制御装置の適用例。
警報開始点設定データの一例。

実施例

0037

以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同一符号を付す。

0038

[第1実施例]
<全体構成>
図1は、第1実施例における列車検知装置100の適用例である。列車検知装置100は、交流軌道回路の制御区間に在線している列車の位置および速度を検知する。

0039

軌道には、左右のレールRを所定の長さに区切った区間毎に軌道回路が設けられている。軌道回路は、区間境界において左右のレールRに軌道絶縁1が設けられた複軌条軌道回路であり、区間境界には軌道絶縁1を挟んで2組のインピーダンスボンド3が設けられている。

0040

列車の進出側となる軌道回路の一端側(送信側)のレールR間には、インピーダンスボンド3、減流抵抗軌道抵抗子)5および軌道リアクトル7を介して送信機である送信トランス9が接続され、列車の進入側となる他端側(受信側)のレールR間には、インピーダンスボンド3および位相調整器11を介して軌道リレー13が接続されている。減流抵抗5は、電流を制限して機器焼損することを防止するために設けられる。送信トランス9は、商用電源等の交流電源21から供給される交流電力変圧して軌道信号列車検知信号)を生成して、送信点である軌道回路の送信側からレールR間に送信する。つまり、軌道回路は交流軌道回路である。

0041

軌道リレー13は、軌道コイルおよび局部コイルの2つのコイルを有し、各コイルに印加される電圧とその位相差によって接点を駆動する2元式軌道リレーである。軌道コイルは、軌道回路の受信側のレールR間に接続されて軌道回路を流れる軌道信号の電圧が印加され、局部コイルには、交流電源21から供給される交流電圧が印加される。軌道回路に他端側(受信側)から列車が進入すると、列車の輪軸によってレールR間が短絡されることで、軌道リレー13の軌道コイルに印加される電圧(以下、「受信電圧」という。「着電圧」とも呼ばれる。)が低下するとともに、この受信電圧と、局部コイルに印加される電圧(以下、「局部電圧」という)との位相差が小さくなり、軌道リレー13が扛上状態から落下状態に変化することで、列車の軌道回路への進入が検知される。位相調整器11は、受信電圧の位相を調整して、非在線時における受信電圧と局部電圧との位相差を、軌道リレー13が扛上状態を保つのに最適な値とするために設けられる。

0042

列車検知装置100は、計測端末200と、判定装置300とが通信接続されて構成される。

0043

計測端末200は、軌道回路の区間境界に設けられ、軌道回路の送信側からレールRに送信される交流信号である軌道信号の送信電流および送信電圧が入力される。そして、計測端末200は、入力された送信電圧に対する送信電流の位相差(送信電流位相差)を算出し、送信電圧および送信電流とともに、軌道回路に関する計測値として判定装置300に出力する。送信電圧は、送信トランス9の二次側に接続された電圧検出器(PT:Potential Transformer)23によって計測される。送信電流は、送信トランス9の二次側とレールRとの間に挿入された電流検出器(CT: Current Transformer)25によって計測される。なお、送信電流は、減流抵抗5の両端電圧を検出することで算出することにしても良い。

0044

判定装置300は、CPU等の演算装置、ROMやRAM等の記憶装置を備えた一種コンピュータであり、計測端末200から入力される計測値をもとに、軌道回路の制御区間に在線している列車の位置および速度を判定する。なお、計測端末200の機能を判定装置300に含めた一体の装置を判定装置300として構成してもよいし、複数の計測端末200を1つの判定装置300と接続する構成としてもよい。

0045

原理
列車検知装置100による列車の位置および速度の検知原理を説明する。第1実施例において、列車検知装置100は、軌道信号に関する送信信号状態の1つである送信電流位相差を用いて、当該軌道回路の制御区間における列車の位置および速度を検出する。

0046

図2は、列車が軌道回路の制御区間を通過する際の列車位置と送信信号状態との関係の概略である。図2では、横軸を共通の列車位置とし、上から順に3つの送信信号状態である、送信電流位相差θ、送信電圧v、送信電流i、のグラフを示している。縦軸は便宜的に共通軸として示した。また、これらのグラフの上側に、列車の進行方向を右方向として、列車位置と軌道回路の制御区間との対応関係を示している。ここで列車位置とは、列車の先頭位置であり、より正確には、列車の先頭の輪軸によるレールR間の短絡位置に相当する。また、各グラフは、列車が制御区間の受信側(図中の左側)から進入し、その後、制御区間の送信側(図中の右側)から進出するまでの期間における計測値の変化の概要を示している。列車の先頭が制御区間の進入側の区間境界Qiに到達した時点から、列車の最後尾が制御区間の進出側の区間境界Qoに到達した時点までが、制御区間における列車の在線時であり、これ以外の期間が非在線時である。

0047

図2のグラフは、実際に測定した計測値の変化の概形を示している。測定では時刻に対する計測値が得られたが、列車の進行方向が同一であり、速度の急激な変化が起こっていないことが計測値から分かるため、“時刻”を“列車位置”に相当するとみなし、区間境界Qiから区間境界Qoまでの走行時分を制御区間長として各時刻の列車位置を算定した。

0048

図2に示すように、列車の制御区間への進入以前、および、制御区間からの進出後の非在線時は、送信電圧v、送信電流iおよび送信電流位相差θの何れも殆ど変化しない。この非在線時を基準とすると、在線時には、送信電流iおよび送信電流位相差θは変化するが、送信電圧vは殆ど変化しない。

0049

具体的には、送信電流iは、列車の先頭(列車位置)が区境界Qiに到達した時点、つまり、列車の制御区間への進入時点において、値が大きく変化(増加)する。それ以降は、列車の先頭(列車位置)が区間境界Qoに到達するまでは、区間境界Qoに近づくにつれて送信電流iの値は徐々に増加する。列車の先頭(列車位置)が区間境界Qoに到達した後は、列車の最後尾が区間境界Qoに到達するまで、つまり、列車が制御区間を進出するまでは、送信電流iの値は殆ど変化しない。そして、列車の最後尾が区間境界Qoに到達した時点、つまり、列車の制御区間からの進出時点において、送信電流iの値が大きく変化(減少)して非在線時の値に戻る。

0050

送信電流位相差θは、列車の先頭(列車位置)が区間境界Qiに到達した時点、つまり、列車の制御区間への進入時点において、値が大きく変化(増加)する。それ以降は、列車の先頭(列車位置)が区間境界Qoに到達するまでは、区間境界Qoに近づくにつれて送信電流位相差θの値が徐々に変化(増加)する。列車の先頭(列車位置)が区間境界Qoに到達した後は、列車の最後尾が区間境界Qoに到達するまで、つまり、列車が制御区間を進出するまでは、送信電流位相差θの値は殆ど変化しない。そして、列車の最後尾が区間境界Qoに到達した時点、つまり、列車の制御区間からの進出時点において、送信電流位相差θの値が大きく変化(減少)して非在線時の値に戻る。

0051

なお、厳密にいうと、列車の先頭の輪軸が、軌道信号が送信されるレールの送信点に到達した時点が、送信電流位相差θが変化しなくなる時点となる。送信点は区間境界Qoから僅か手前の位置であるが、送信点と区間境界Qoとは近接しており、列車位置を判定する上では同一位置とみなせるため、以下では、送信点は区間境界Qoに一致するものとして説明する。同じく、列車の先頭の輪軸は厳密には列車の車体先頭位置ではないが、列車位置を判定する上では同一位置とみなすことができ、また先頭の輪軸から車体先頭位置までの長さは固定であるため厳密に算出することも可能である。このため、以下では、説明の簡明化のため、列車の先頭の輪軸の位置を列車位置として説明する。

0052

このように、送信信号状態の1つである送信電流位相差θは、軌道回路の制御区間における列車位置に応じて変化する。この変化は、列車の輪軸によるレール間の短絡位置が変化することに起因する。列車位置と送信電流位相差θとの対応関係は、主に、軌道回路の設置場所や、レールの長さといった電気回路である軌道回路の構成要素に応じて決まる。このため、列車検知の対象とする軌道回路について、制御区間における列車位置と送信電流位相差θとの対応関係を信号状態変化パターンとして予め定めておき、計測される送信電流位相差θに対応する列車位置を信号状態変化パターンから判定することで、当該軌道回路の制御区間内の列車位置を検知することができる。

0053

制御区間における列車位置を検知するためには、列車位置である列車の先頭が、進入側の区間境界Qiに到達した時点から、進出側の区間境界Qoに到達した時点までの期間を検知対象期間とし、この検知対象期間における列車位置と送信電流位相差θとの対応関係を信号状態変化パターンとすればよい。信号状態変化パターンは、例えば、実際の列車走行時の測定結果から定めることができる。なお、図2のグラフは概形であり、検知対象期間における送信電流位相差θの変化を直線形状(一次比例)として示しているが、軌道回路の構成や送信する軌道信号の周波数等に応じて、曲線形状といった異なるグラフ形状になり得る。但し、送信電流位相差θが列車位置に応じて変化することには変わりない。

0054

<機能構成>
図3は、第1実施例における列車検知装置100の機能構成図である。列車検知装置100は、計測端末200と、判定装置300とが通信接続されて構成される。

0055

計測端末200は、軌道回路の区間境界に設けられ、当該境界を送信側とする軌道回路の計測値として、軌道信号の送信電圧および送信電流が入力される。計測端末200は、送信電流位相差算出部202と、出力制御部204と、時計部206とを有する。

0056

送信電流位相差算出部202は、入力された送信電圧に対する送信電流の位相差である送信電流位相差を算出する。

0057

出力制御部204は、入力された送信電圧および送信電流と、送信電流位相差算出部202によって算出された送信電流位相差との各値を、計測日時や軌道回路の識別情報等と対応付けて計測データとして、随時、判定装置300に出力する。

0058

時計部206は、水晶発振器を有する発振回路を有して構成され、現在時刻や、指定タイミングからの経過時間を計時する。

0059

判定装置300は、入力部302と、操作部304と、表示部306と、通信部308と、処理部310と、記憶部330とを備え、一種のコンピュータとして構成することができる。

0060

入力部302は、計測端末200からの計測データを入力する。操作部304は、例えばボタンスイッチやタッチパネルキーボード等の入力装置で実現され、なされた操作に応じた操作信号を処理部310に出力する。表示部306は、例えばLCDやタッチパネル等の表示装置で実現され、処理部310からの表示信号に応じた各種表示を行う。通信部308は、例えば有線或いは無線による通信装置で実現され、所与通信ネットワークに接続して外部装置との通信を行う。

0061

処理部310は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置で実現され、記憶部330に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて、判定装置300を構成する各部への指示やデータ転送を行い、判定装置300の全体制御を行う。また、処理部310は、記憶部330に記憶された第1列車検知プログラム332を実行することで、計測データ蓄積部312と、進入・進出判定部314と、位置算出部316と、速度算出部318と、通過時データ蓄積部320と、パターン更新部322と、の各機能ブロックとして機能する。但し、これらの機能ブロックは、ASIC(Application Specific IntegratedCircuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によってそれぞれ独立した演算回路として構成することも可能である。

0062

計測データ蓄積部312は、計測端末200から入力された計測データを、計測蓄積データ336として蓄積記憶する。

0063

進入・進出判定部314は、計測端末200から入力された計測データをもとに、軌道回路の制御区間への列車の進入および進出を判定する。具体的には、入力される送信電流位相差θの変化に基づき、信号状態変化パターンを参照して、制御区間への列車の進入および進出を判定する。すなわち、入力される送信電流位相差θが非在線時送信電流位相差θ0である状態を、非在線と判定する。この非在線の状態から、送信電流位相差θが大きく増加して進入時送信電流位相差θiとなった時点を、列車の先頭が進入側の区間境界Qiに到達した時点、つまり、列車が制御区間へ進入した時点と判定する。次いで、徐々に増加した送信電流位相差θが進出時送信電流位相差θMとなった時点を、列車の先頭(列車位置)が進出側の区間境界Qoに到達した時点と判定する。その後、送信電流位相差θが大きく減少して非在線時送信電流位相差θ0となった時点を、列車の最後尾が進出側の区間境界Qoに到達した時点、つまり、列車が制御区間から進出した時点と判定する。

0064

ここで、信号状態変化パターンは、信号状態変化パターンデータ334として記憶されている。信号状態変化パターンデータ334は、列車検知の対象とする軌道回路の制御区間における列車位置と送信電流位相差θとの対応関係を定めており、そのデータ形式は、データテーブルや関数式といった任意の形式とすることができる。列車位置は、例えば、進出側の区間境界Qoを基準(ゼロ)として、軌道に沿った距離で表される。また、信号状態変化パターンデータ334は、非在線時の送信電流位相差θである非在線時送信電流位相差θ0、進入側の区間境界Qiへの到達時における送信電流位相差θである進入時送信電流位相差θi、進出側の区間境界Qoへの到達時における送信電流位相差θである進出時送信電流位相差θM、を含んでいる。

0065

なお、進入・進出判定部314は、軌道回路の制御区間への列車の進入および進出を、更に送信電流iによって判定しても良い。つまり、図2に示したように、送信電流iは、列車の先頭(列車位置)が区間境界Qiに到達した時点で大きく変化(増加)し、その後、最後尾が区間境界Qoに到達した時点で大きく変化(減少)する。このことから、送信電流位相差θが非在線時送信電流位相差θ0から大きく増加して進入時送信電流位相差θiとなり、且つ、送信電流iが所定の非在線時送信電流i0から大きく増加した時点を、列車が制御区間へ進入した時点と判定する。また、送信電流位相差θが進出時送信電流位相差θMから大きく減少して非在線時送信電流位相差θ0となり、且つ、送信電流iが大きく減少して非在線時送信電流i0となった時点を、列車が制御区間から進出した時点と判定する。

0066

位置算出部316は、入力された計測データをもとに、軌道回路の制御区間に在線する列車の位置(列車位置)を算出する。すなわち、進入・進出判定部314によって判定された、列車の先頭が進入側の区間境界Qiに到達した時点から進出側の区間境界Qoに到達した時点までの検知対象期間において、所定時間間隔Δtで、入力される送信電流位相差θに対応する列車位置を、信号状態変化パターンを参照して判定する。

0067

速度算出部318は、位置算出部316によって算出された列車位置をもとに、列車速度を算出する。すなわち、位置算出部316によって列車位置が算出される所定時間間隔Δt毎に、当該算出された列車位置と、前回算出された列車位置との変化を、当該所定時間間隔Δtにおける位置の変化として、列車速度を算出する。

0068

位置算出部316によって算出された列車位置、および、速度算出部318によって算出された列車速度は、検知日時と対応付けて、検知結果データ338として蓄積記憶される。

0069

通過時データ蓄積部320は、軌道回路を列車が通過する毎に、当該通過の際に計測された送信電流位相差θの時系列データである通過時データ340を生成し、蓄積記憶する。つまり、進入・進出判定部314によって判定された検知対象期間において入力された送信電流位相差θを、その計測日時に従った時系列データとする。また、通過時データ蓄積部320は、通過時データ340に、検知対象期間を示す、列車の先頭が制御区間の進入側の区間境界Qiに到達した時点、および、進出側の区間境界Qoに到達した時点の日時を、通過時状況データとして含めて生成する。

0070

パターン更新部322は、蓄積記憶された通過時データ340に基づき、信号状態変化パターンを更新する。例えば、一日の運行の終了後といった所定の更新タイミングにおいて、一週間といった直近の所定期間における通過時データ340を抽出し、これらの通過時データ340に基づいて、信号状態変化パターンを更新する。通過時データ340は、時刻tに対する送信電流位相差θのデータであるので、これを、時刻tが列車位置Dに相当するとして、列車位置Dに対する送信電流位相差θのデータに変換する。そして、各列車位置Dにおける送信電流位相差θの平均値或いは中央値を求め、これを、新たな信号状態変化パターンとする。このとき、列車の進入側の区間境界Qiへの到達時刻tiから区間境界Qoへの到達時刻toまでの経過時間が所定時間より長い通過時データ340については除くことにしたり、送信電流位相差θの変化が突発的に変化している異常値を示している通過時データ340については除外すると良い。また、信号状態変化パターンの更新に当たり、使用する通過時データ340の選択や統計処理について、いわゆる機械学習を導入することとしてもよい。

0071

記憶部330は、ハードディスクやROM、RAM等の記憶装置で実現され、処理部310が判定装置300を統合的に制御するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部310の作業領域として用いられ、処理部310が各種プログラムに従って実行した演算結果や、操作部304や通信部308を介した入力データ等が一時的に格納される。記憶部330には、第1列車検知プログラム332と、信号状態変化パターンデータ334と、通過時データ340と、計測蓄積データ336と、検知結果データ338とが記憶される。

0072

<処理の流れ>
図4は、第1実施例における列車検知処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、軌道回路の制御区間に在線する列車の位置および速度を判定する処理であり、判定装置300が実行する。但し、計測端末200から判定装置300へ、随時、計測データが出力されているものとする。

0073

列車検知処理では、先ず、進入・進出判定部314が、入力される送信電流位相差θに基づき、制御区間へ列車が進入したか否かの判定を開始する(ステップS1)。そして、進入・進出判定部314が、列車の先頭(列車位置)が制御区間の進入側の区間境界Qiに到達した、つまり、列車が制御区間に進入したと判定すると(ステップS3:YES)、位置算出部316が、計測端末200から入力される送信電流位相差θに基づき、信号状態変化パターンデータ334を参照して、列車位置を算出する(ステップS5)。次いで、速度算出部318が、算出された列車位置に基づき、列車速度を算出する(ステップS7)。

0074

続いて、進入・進出判定部314が、列車の先頭が進出側の区間境界Qoに到達したか、つまり、検知対象期間が終了したかを判定する。検知対象期間が終了していないならば(ステップS9:NO)、ステップS5に戻る。検知対象期間が終了したならば(ステップS9:YES)、通過時データ蓄積部320が、検知対象期間において入力された一連の送信電流位相差θの時系列データを、通過時データ340として記憶する(ステップS11)。その後、進入・進出判定部314が、列車の最後尾が進出側の区間境界Qoに到達した、つまり、列車が制御区間から進出したと判定したならば(ステップS13:YES)、例えば1日の列車運行の終了等により、本処理を終了するかを判断する。終了しないならば(ステップS15:NO)、ステップS3に戻り、同様の処理を繰り返す。終了するならば(ステップS15:YES)、本処理は終了となる。

0075

[第2実施例]
次に、第2実施例を説明する。第2実施例において第1実施例と異なる主な点は、レールに送信する交流信号である軌道信号として、周波数が異なる複数種類の信号を送信することである。なお、第2実施例において、上述の第1実施例と同一要素については同符号を付し、詳細な説明を省略或いは簡略する。

0076

<適用例>
図5は、第2実施例の列車検知装置100Bの適用例である。列車検知装置100Bは、制御区間の区間長が、第1実施例における制御区間の区間長より“長い”交流軌道回路を対象として、当該制御区間に在線している列車の位置および速度を検知する。より具体的には、第2実施例は、制御区間の区間長を第1実施例の2倍以上の長さとし、第1実施例に比べて制御区間が長大であった場合の送信信号状態を例に挙げた実施例である。また、図5に示すように、第2実施例では、送信トランス9の一次側には、分周器或いは倍周器でなる変周器15を接続する。変周器15は、判定装置300Bからの制御信号に従って、交流電源21から供給される交流電力の周波数を変換する。また、送信電圧を計測する電圧検出器23は、送信トランス9の二次側であって、減流抵抗5および軌道リアクトル7と、インピーダンスボンド3との間に接続する。

0077

<原理>
列車検知装置100Bによる列車の位置および速度の検知原理を説明する。第2実施例において、列車検知装置100Bは、検知した列車位置に応じて、レールRに送信する交流信号である軌道信号の周波数(送信周波数)を制御する。

0078

図6は、列車が軌道回路の制御区間を通過する際の、列車位置Dと送信信号状態との関係の概略図である。図6(a)は、送信電流位相差θのグラフを示し、図6(b)は、送信電圧vのグラフを示し、図6(c)は、送信電流iのグラフを示している。図6(a)〜(c)は、何れも、横軸を共通の列車位置としており、これらの上側に、列車の進行方向を右方向として、列車位置と軌道回路の制御区間との対応関係を示している。また、各グラフは、外方(図6の左方から)接近してきた列車が、進入側(図6の左側)の区間境界Qiに到達して制御区間に進入し、その後、進出側(図6の右側)の区間境界Qoに到達するまでの期間(列車検知対象期間)における計測値の変化を示している。また、図6(a)〜(c)の何れも、レールに送信する軌道信号の周波数(送信周波数)が異なる2種類のグラフを示している。具体的には、低周波数fLの軌道信号と、低周波数fLより高い高周波数fHの軌道信号とが送信された場合のグラフである。

0079

第2実施例では、制御区間の区間長が長大であることに起因して、図6に示すように、送信する軌道信号の周波数(送信周波数)が異なると、制御区間における列車位置と計測値との対応関係が異なることがわかる。つまり、制御区間内での列車位置に対する計測値の変化の仕方が異なる。なお、送信周波数fH,fLが異なると、軌道のインピーダンスが異なるため、非在線時の計測値(θ0,v0,i0)が異なる。

0080

具体的には、図6(a)に示すように、送信電流位相差θについては、何れの送信周波数fL,fHであっても、列車位置の進行に応じて増加するように変化しているが、その増加の仕方が送信周波数によって異なる。つまり、制御区間への進入直後は、送信周波数が高周波数fHの場合には殆ど変化しないが、送信周波数が低周波数fLの場合には増加している。その後、列車がある程度の位置まで進行すると、送信周波数が高周波数fHの場合にも、列車位置の進行に応じて送信電流位相差θが増加するようになる。ただし、送信周波数が高周波数fHの場合には、その増加の程度が、列車の進行に応じて徐々に大きくなる。つまり、何れの送信周波数fL,fHの場合も、列車の進行に応じて送信電流位相差θが増加するように変化するが、列車が進出側の区間境界Qoに近づくにつれて、送信周波数が高周波数fHの場合のほうが、低周波数fLの場合に比較して、送信電流位相差θが大きく増加するようになる。

0081

言い換えれば、送信電流位相差θは、送信周波数が低周波数fLの場合には、制御区間の全体に亘ってゆっくりと増加するような変化をするが、これに対して、送信周波数が高周波数fHの場合には、制御区間のうちの進出側の一部区間において急激に増加するように変化するといえる。

0082

また、図6(b)に示すように、送信電圧vについては、何れの送信周波数fL,fHであっても、列車位置の進行に応じて減少するように変化しているが、その減少の仕方が送信周波数によって異なる。つまり、制御区間への進入直後は、送信周波数が高周波数fHの場合には殆ど変化しないが、送信周波数が低周波数fLの場合には、進入時点(進入側の区間境界Qiへの到達時点)において大きく減少した後、列車の進行に応じて徐々に減少するように変化する。その後、列車がある程度の位置まで進行すると、送信周波数が高周波数fHの場合にも、列車位置の進行に応じて送信電圧vが減少するようになるが、その減少の程度が、列車の進行に応じて徐々に大きくなる。つまり、何れの送信周波数fL,fHの場合も、列車の進行に応じて送信電圧vが減少するように変化するが、列車が進出側の区間境界Qoに近づくにつれて、送信周波数が高周波数fHの場合のほうが、低周波数fLの場合に比較して、送信電圧vが大きく減少するようになる。

0083

言い換えれば、送信電圧vは、送信周波数が低周波数fLの場合には、制御区間の全体に亘ってゆっくりと減少するような変化をするが、これに対して、送信周波数が高周波数fHの場合には、制御区間のうちの進出側の一部区間において急激に減少するように変化するといえる。

0084

また、図6(c)に示すように、送信電流iについては、何れの送信周波数fL,fHであっても、列車位置の進行に応じて増加するように変化しているが、その増加の仕方が送信周波数によって異なる。つまり、制御区間への進入直後は、送信周波数が高周波数fHの場合には殆ど変化しないが、送信周波数が低周波数fLの場合には、進入時点(進入側の区間境界Qoへの到達時点)において大きく増加した後、列車の進行に応じて徐々に増加するように変化する。その後、列車がある程度の位置まで進行すると、送信周波数が高周波数fHの場合にも、列車位置の進行に応じて送信電流iが増加するようになるが、その増加の程度が、列車の進行に応じて徐々に大きくなる。つまり、何れの送信周波数fL,fHの場合も、列車の進行に応じて送信電流iが増加するように変化するが、列車が進出側の区間境界Qoに近づくにつれて、送信周波数が高周波数fHの場合のほうが、低周波数fLの場合に比較して、送信電流iが大きく増加するようになる。

0085

言い換えれば、送信電流iは、送信周波数が低周波数fLの場合には、制御区間の全体に亘ってゆっくりと増加するような変化をするが、これに対して、送信周波数が高周波数fHの場合には、制御区間のうちの進出側の一部区間において急激に増加するように変化するといえる。

0086

このように、制御区間の区間長が比較的長い場合、レールに送信する軌道回路の周波数によって、列車位置と計測値との対応関係が異なる。つまり、計測値は、送信周波数が低周波数fLの場合には、制御区間の全体に亘ってゆっくりと変化するが、これに対して、送信周波数が高周波数fHの場合には、制御区間のうちの進入側の一部区間ではほとんど変化せず、進出側の一部区間において急激に変化する。このため、列車位置に応じて、軌道信号の送信周波数を切り替えるように制御する。具体的には、列車の制御区間への進入直後は、軌道信号の送信点である進出側の区間境界Qoから遠いため、送信周波数を低いほうの低周波数fLとする。そして、列車がある程度の位置まで進行すると、送信周波数を高いほうの高周波数fHに切り替える。送信周波数を切り替える位置は、周波数別の計測値の変化の仕方から決定することができる。また、使用する複数の周波数別に信号状態変化パターンを予め定めておき、軌道信号として送信した送信周波数に対応する信号状態パターンに基づいて、計測値から列車位置を判定する。なお、図6では、軌道信号の周波数が2種類の送信周波数fH,fLの場合について示したが、3種類以上であっても同様である。列車の進行に伴って、送信周波数を高くするように切り替える制御を行えばよい。

0087

<機能構成>
図7は、第2実施例における列車検知装置100Bの機能構成図である。列車検知装置100Bは、計測端末200と、判定装置300Bとが通信接続されて構成される。判定装置300Bにおいて、処理部310Bは、記憶部330Bに記憶された第2列車検知プログラム342を実行することで、計測データ蓄積部312と、進入・進出判定部314と、位置算出部316Bと、速度算出部318と、通過時データ蓄積部320Bと、周波数制御部324との各機能ブロックとして機能する。

0088

位置算出部316Bは、入力された計測データをもとに、軌道回路の制御区間に在線する列車の位置(列車位置)を算出する。すなわち、進入・進出判定部314によって判定された検知対象期間において、所定時間間隔Δtで、入力される送信電流位相差θ、送信電圧vおよび送信電流iをもとに、信号状態変化パターンデータ334Bを参照して、列車位置を判定する。

0089

図8は、信号状態変化パターンデータ334Bの一例を示す図である。図8に示すように、信号状態変化パターンデータ334Bは、使用する送信周波数fH,fLそれぞれについて、信号状態変化パターンとして、制御区間における列車位置Dと送信電流位相差θとの対応関係を定めた位相差パターンと、制御区間における列車位置Dと送信電圧vとの対応関係を定めた電圧パターンと、制御区間における列車位置Dと送信電流iとの対応関係を定めた電流パターンと、を有している。

0090

位置算出部316Bは、列車位置の判定にあたり、現時点の送信周波数に対応する、送信電流位相差θ、送信電圧vおよび送信電流iの信号状態変化パターンそれぞれに従って列車位置を判定し、これらの判定した列車位置から総合的に列車位置を決定する。総合的な列車位置の決定はどのような方法であっても良いが、例えば、送信電流位相差θに対応する列車位置を優先して、当該列車位置が、送信電圧vに対応する列車位置、送信電流iに対応する列車位置、の少なくとも一方と一致又は近似一致したならば、送信電流位相差θに対応する列車位置を最終的な列車位置として決定する。或いは、これらの列車位置の平均位置として決定しても良いし、2つ以上一致又は近似一致した列車位置を最終的な列車位置として決定しても良い。

0091

通過時データ蓄積部320Bは、軌道回路を列車が通過する毎に、当該通過の際の計測データの時系列データである通過時データ340Bを生成し、蓄積記憶する。つまり、進入・進出判定部314によって判定された検知対象期間において入力された計測データを、その計測日時に従った時系列データとする。

0092

図9は、通過時データ340Bの一例である。図9に示すように、通過時データ340Bは、検知対象期間における送信電流位相差θの時系列データである位相差データと、検知対象期間における送信電圧vの時系列データである電圧データと、検知対象期間における送信電流iの時系列データである電流データと、通過時状況データとを有している。通過時状況データは、検知対象期間を示す、列車の先頭が制御区間の進入側の区間境界Qiに到達した時点、および、進出側の区間境界Qoに到達した時点の日時のほか、送信周波数の制御の履歴として、使用した送信周波数や、送信周波数の切替タイミング(時刻)などを含んでいる。第1実施例のパターン更新部322と同様のパターン更新部を処理部310Bが具備する場合には、通過時データ340Bを送信周波数別に分割・選別し、信号状態変化パターンデータ334Bの対応する送信周波数のパターン部分について部分的に更新を行うことで信号状態変化パターンデータ334Bを更新できる。

0093

周波数制御部324は、位置算出部316Bによって算出された列車位置に基づいて、軌道信号の周波数(送信周波数)を制御する。具体的には、周波数制御テーブル346に従って、列車位置に対応する送信周波数を決定し、送信トランス9の一次側に供給する交流電力の周波数が決定した送信周波数となるように、変周器15に対して周波数変換を行わせるための制御信号を出力する。

0094

図10は、周波数制御テーブル346の一例である。図10によれば、周波数制御テーブル346は、列車位置と送信周波数とを対応付けて格納している。図10に示す例では、制御区間を2つの区間に分割し、進入側の部分区間には低いほうの低周波数fL、進出側の部分区間には高いほうの高周波数fH、を対応付けている。送信点である進出側の区間境界Qoからの距離が所定距離Ds以上であることを、送信点から遠いことを示す遠距離条件としたとき、進入側の部分区間が、この遠距離条件を満たすことになる。

0095

<処理の流れ>
図11は、第2実施例における列車検知処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、軌道回路の制御区間に在線する列車の位置および速度を判定する処理であり、判定装置300Bが実行する。但し、計測端末200から判定装置300Bへ、随時、計測データが出力されているものとする。

0096

列車検知処理では、先ず、周波数制御部324が、使用する周波数のうちの最も低い周波数を、送信周波数として初期設定する(ステップT1)。次いで、進入・進出判定部314が、入力される送信電流位相差θに基づき、制御区間へ列車が進入したか否かの判定を開始する(ステップT3)。そして、進入・進出判定部314が、列車の先頭(列車位置)が制御区間の進入側の区間境界Qiに到達した、つまり、列車が制御区間に進入したと判定すると(ステップT5:YES)、位置算出部316Bが、計測端末200から入力される送信電流位相差θ、送信電圧vおよび送信電流iに基づき、送信周波数に対応する信号状態変化パターンデータ334Bを参照して、列車位置を算出する(ステップT7)。次いで、速度算出部318が、算出された列車位置に基づき、列車速度を算出する(ステップT9)。

0097

次いで、周波数制御部324が、周波数制御テーブル346において算出された列車位置に対応付けられている送信周波数が、現時点の送信周波数と一致するかを判断し、一致しないならば、送信周波数の切替条件を満たす、と判断する。送信周波数の切替条件を満たすと判断したならば(ステップT11:YES)、算出された列車位置に対応する送信周波数に切り替える(ステップT13)。

0098

続いて、進入・進出判定部314が、列車の先頭が進出側の区間境界Qoに到達したか、つまり、検知対象期間が終了したかを判定する。検知対象期間が終了していないならば(ステップT15:NO)、ステップT3に戻る。検知対象期間が終了したならば(ステップT15:YES)、通過時データ蓄積部320Bが、検知対象期間において入力された一連の送信電流位相差θ、送信電圧v、送信電流iの時系列データを、通過時データ340Bとして記憶する(ステップT17)。

0099

その後、進入・進出判定部314が、列車の最後尾が進出側の区間境界Qoに到達した、つまり、列車が制御区間から進出したと判定したならば(ステップT19:YES)、例えば1日の列車運行の終了等により、本処理を終了するかを判断し、終了しないならば(ステップT21:NO)、ステップS3に戻り、同様の処理を繰り返す。終了するならば(ステップT21:YES)、本処理は終了となる。

0100

[第3実施例]
次に、第3実施例を説明する。第3実施例は、第1実施例の列車検知装置100を備える警報制御装置の実施例である。なお、第3実施例において、上述の第1実施例と同一要素については同符号を付し、詳細な説明を省略或いは簡略する。

0101

図12は、第3実施例における警報制御装置400の適用例である。図12に示すように、警報制御装置400は、踏切30に設置されている踏切しゃ断機32や踏切警報機34といった踏切保安設備を制御する。具体的には、列車が踏切30の手前に定められた警報開始点に到達すると、踏切しゃ断機32の降下や踏切警報機34の鳴動等による警報を開始し、その後、踏切30通過後の踏切30の進出側に定められた警報終止点に到達すると警報を停止する制御を行う。警報開始点を固定位置に定める場合には、線区に定められる最高速度で走行している列車が踏切30に到達する前に余裕をもって踏切30のしゃ断が完了する位置として定められる。しかし、第3実施例では、この警報開始点を列車の位置および速度に応じて可変に定める。

0102

警報制御装置400は、踏切30に接近する列車の位置および速度を検知する列車検知装置100と、この列車検知装置100によって検知された列車の位置および速度に基づいて、踏切30の警報制御の開始タイミングを制御する開始タイミング決定部402とを有する。

0103

列車検知装置100は、警報開始点から警報終止点までの警報区間における列車の位置および速度を検知可能とするために、警報区間を制御区間の一部又は全部として含む全ての軌道回路それぞれに対応付けられた複数の計測端末200を有する。図12の例では、踏切30の警報区間は、1つの軌道回路2Tの制御区間に含まれるので、列車検知装置100は、軌道回路2Tの制御区間に対して設けられた1台の計測端末200を有する。判定装置300は、計測端末200からの計測データに基づき、当該計測端末200に対応する軌道回路2Tの制御区間における列車の位置および速度を検知することで、踏切30の警報区間における列車の位置および速度を検知することになる。なお、踏切30の警報区間が複数の軌道回路の制御区間に跨る場合には、列車検知装置100は、これらの軌道回路の制御区間それぞれに対して設けられた複数台の計測端末200を有し、これらの計測端末200による列車の位置および速度の検知結果を総合して、踏切30の警報区間における列車の位置および速度を検知すればよい。

0104

開始タイミング決定部402は、列車検知装置100が検知した列車の位置および速度に基づいて、踏切30の警報制御の開始タイミングを決定する。具体的には、警報開始点設定データ404に従って、検知された列車速度に対応する位置に警報開始点を変更・設定する。

0105

図13に、警報開始点設定データ404の一例を示す。警報開始点設定データ404は、例えば、図13(a)に示すような、列車速度Vと、踏切30から警報開始点までの距離Mとを対応付けたデータテーブルとすることができる。或いは、図13(b)に示すような、列車速度Vと距離Mとの関係のグラフを表す関係式(M=f1(V),f2(V))としても良い。何れの対応関係も、列車速度が速くなるにつれて距離Mが長くなるように定められている。

0106

開始タイミング決定部402は、検知された列車位置が、設定した警報開始点に到達しているかを判断し、到達しているならば、直ちに、踏切30の踏切保安設備に対して警報制御を開始させる。列車位置が警報開始点に到達していないならば、警報開始タイミングが到来していないとする、或いは、検知された走行速度で走行した場合の警報開始点の到達時刻を予測して警報開始タイミングとする。

0107

踏切30の警報制御を開始した後は、列車が踏切30を通過するまで警報制御を終了しない。列車の踏切30の通過は、例えば、踏切30から所定距離だけ離れた列車の進出側の警報終止点に設けられた踏切制御子によって検知することができる。

0108

なお、第3実施例では第1実施例の列車検知装置100を適用するとしたが、第2実施例の列車検知装置100Bとしても同様に適用可能である。

0109

[作用効果]
第1実施例によれば、交流軌道回路に交流信号を送信する送信機に関する送信信号状態である送信電圧v、送信電流i、送信電圧に対する送信電流の位相差である送信電流位相差θに基づき、交流軌道回路の制御区間に在線している列車の位置および速度を検知することができる。さらに、第2実施例によれば、直前に判定した列車位置が、交流信号の送信点である制御区間の進出側の区間境界Qoから遠い場合には送信する交流信号の周波数(送信周波数)を低くし、近い場合には送信周波数を高くすることで、より精度良く列車の位置および速度を検知することができる。これは、送信する交流信号が高周波である場合、低周波である場合に比較して、送信信号状態の変化が表れやすいが、その反面、伝播距離が長くなると減衰によって送信信号状態の変化が表れにくくなるためである。そして、第3実施例によれば、検知した列車の位置および速度に基づいて踏切30の警報制御の開始タイミングを適応的に決定することができるため、踏切のしゃ断時間を短縮する制御が可能となる。

0110

[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。

0111

例えば、上述の第2実施例では、周波数が異なる2種類の交流信号を、検知した列車位置に応じて切り替えて送信することにした。これを、周波数が異なる2種類の交流信号を重畳させて又は順次切り替えて交互に送信するようにしても良い。

0112

具体的には、高周波数fHの交流信号と、低周波数fLの交流信号とを、重畳させて又は順次切り替えて交互に送信し、周波数別に送信信号状態(送信電圧v、送信電流i、送信電流位相差θ)を検出する。そして、周波数別に、検出した送信信号状態に基づき、当該周波数の信号状態変化パターンを参照して、列車の位置および速度を判定し、これらから最終的な列車の位置および速度を決定する。例えば、交流信号の送信点である進出側の区間境界Qoからの距離が所定距離Ds以上であることを遠距離条件として、直前に検知した列車位置が遠距離条件を満たす場合には、低いほうの低周波数fLの送信信号状態に基づく列車の位置および速度を採用し、遠距離条件を満たさない場合には、高いほうの高周波数fHの送信信号状態に基づく列車の位置および速度を採用する。

0113

周波数が異なる2種類の交流信号を重畳させて送信する場合には、電圧検出器23または計測端末200内で、フィルタ等によって送信信号を周波数別に分離し、それぞれの信号について送信信号状態を検出する。また、順次切り替えて交互に送信する場合には、切替タイミングに合わせて、そのときの周波数の交流信号の送信信号状態を、交互に検出することになる。

0114

また、周波数が異なる2種類の交流信号は、例えば、一方を、軌道回路による在線検知のための信号、つまり、軌道リレー13の動作周波数の信号とし、他方を、本実施形態の列車検知用の周波数の信号とすることができる。

0115

また、第3実施例として、検知した列車の位置および速度を踏切の警報制御に利用する場合の例を説明した。しかし、検知した列車の位置および速度を利用できる形態は、上述した警報制御に限らない。例えば、の定位置に停止したか否かを検知する形態に上述した実施例を適用し、定位置への停止を検知した場合に、ホームドアホーム柵)や列車の扉を自動的に開閉させることとしてもよい。

0116

R…レール、1…軌道絶縁
3…インピーダンスボンド
5…減流抵抗、7…軌道リアクトル、9…送信トランス
11…位相調整器、13…軌道リレー、15…変周器
21…交流電源
23…電圧検出器、25…電流検出器
100…列車検知装置
200…計測端末
202…送信電流位相差算出部
204…出力制御部、206…時計部
300…判定装置
310…処理部
312…計測データ蓄積部、314…進入・進出判定部
316…位置算出部、318…速度算出部
320…通過時データ蓄積部、322…パターン更新部
330…記憶部
332…第1列車検知プログラム
334…信号状態変化パターンデータ
336…計測蓄積データ、338…検知結果データ、340…通過時データ
400…警報制御装置
402…開始タイミング決定部、404…警報開始点設定データ

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