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技術 車両用シートスライド構造

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 中野史朗
出願日 2019年2月12日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-022936
公開日 2020年8月31日 (2ヶ月経過) 公開番号 2020-131721
状態 未査定
技術分野 車両用座席
主要キーワード 押込みピン レールガイド部材 上円板 運転ポジション ロックガイド ロッド受け リフタ機構 前側ブラケット
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年8月31日)のものです。
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図面 (20)

課題

車両の前面衝突時において衝突安全性能を向上させることができる車両用シートスライド構造を提供する。

解決手段

車両用シートスライド構造は、車両用シートの下部に取り付けられたアッパレール22とアッパレール22を車両前後方向にスライド可能に支持するロアレール24とを含んで構成された左右一対スライドレール20と、フロアパネルに固定され、ロアレール24を車両前方側の運転ポジション車両後方側の安楽ポジションとの間で車両前後方向にスライド可能に支持するレールガイド部材26と、安楽ポジションでスライドレール20の移動をロックさせると共に、車両の前面衝突が検知又は予知された際にロック状態解除させるロック機構46と、を有する。

概要

背景

特許文献1には、乗員が着座する車両用シートを車両前後方向へ移動可能とする第1スライド機構及び第2スライド機構を備えた構造が開示されている。また、特許文献1では、手動運転時よりも自動運転中の方が車両用シートを後方側へスライドできるように制御している。

概要

車両の前面衝突時において衝突安全性能を向上させることができる車両用シートスライド構造を提供する。車両用シートスライド構造は、車両用シートの下部に取り付けられたアッパレール22とアッパレール22を車両前後方向にスライド可能に支持するロアレール24とを含んで構成された左右一対スライドレール20と、フロアパネルに固定され、ロアレール24を車両前方側の運転ポジション車両後方側の安楽ポジションとの間で車両前後方向にスライド可能に支持するレールガイド部材26と、安楽ポジションでスライドレール20の移動をロックさせると共に、車両の前面衝突が検知又は予知された際にロック状態解除させるロック機構46と、を有する。

目的

本発明は上記事実を考慮し、車両の前面衝突時において衝突安全性能を向上させることができる車両用シートスライド構造を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

車両用シートの下部に取り付けられたアッパレールと前記アッパレールを車両前後方向にスライド可能に支持するロアレールとを含んで構成された左右一対スライドレールと、フロアパネルに固定され、前記ロアレールを車両前方側の運転ポジション車両後方側の安楽ポジションとの間で車両前後方向にスライド可能に支持するレールガイド部材と、前記安楽ポジションで前記スライドレールの移動をロックさせると共に、車両の前面衝突が検知又は予知された際にロック状態解除させるロック機構と、を有する車両用シートスライド構造

請求項2

車両の前面衝突時に前記スライドレールの前記安楽ポジションから車両前方側への慣性移動減衰させる減衰機構を備えた請求項1に記載の車両用シートスライド構造。

請求項3

前記減衰機構は、前記スライドレールよりも下方に設けられて車両前後方向に延在されると共に少なくとも後部が上方へ移動可能とされたロッドと、作動されることで前記ロッドを上方へ移動させるポップアップ装置と、前記スライドレールと共に移動するロッド受けとを含んで構成されており、前記ポップアップ装置は、前記スライドレールが前記安楽ポジションにあり、かつ、車両の前面衝突が検知又は予知された際に作動されるように構成されており、前記ロッド受けは、上方へ移動した前記ロッドの後部に係合され、前記スライドレールの車両前方側の慣性移動に伴って前記ロッドを軸方向に押し潰す請求項2に記載の車両用シートスライド構造。

請求項4

左右一対の前記スライドレールを車両幅方向に連結するクロス部材と、車両前後方向に一対設けられたプーリ間に巻き掛けられたワイヤと、前記ワイヤを前記クロス部材に固定する固定ブラケットとを含んで構成された移動機構を備え、前記減衰機構は、一端側が前記クロス部材に取り付けられ他端側が前記ワイヤに取り付けられると共に、前記クロス部材の車両前方側への慣性移動に伴って引き伸ばされることで塑性変形される変形部材を備えている請求項2に記載の車両用シートスライド構造。

請求項5

前記減衰機構は、車両の前面衝突時に前記ロアレールと一体に車両前方側へ慣性移動する移動体と、前記移動体の慣性移動に伴って前記スライドレールの車両前方側への慣性移動を減衰させるエネルギー吸収部材とを含んで構成されている請求項2に記載の車両用シートスライド構造。

請求項6

前記エネルギー吸収部材は、前記移動体の慣性移動に伴って引き伸ばされることで塑性変形される変形部材である請求項5に記載の車両用シートスライド構造。

請求項7

前記エネルギー吸収部材は、一方の前記移動体とワイヤを介して連結された第一円板と、他方の前記移動体とワイヤを介して連結されると共に前記第一円板と重ね合わされた第二円板とを含んで構成されており、一方の前記移動体の車両前方側への移動に伴って前記第一円板が一方向に回転され、他方の前記移動体の車両前方側への移動に伴って前記第二円板が前記第一円板とは逆方向に回転される請求項5に記載の車両用シートスライド構造。

技術分野

0001

本発明は、車両用シートスライド構造に関する。

背景技術

0002

特許文献1には、乗員が着座する車両用シートを車両前後方向へ移動可能とする第1スライド機構及び第2スライド機構を備えた構造が開示されている。また、特許文献1では、手動運転時よりも自動運転中の方が車両用シートを後方側へスライドできるように制御している。

先行技術

0003

特開2018−176902号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、上記特許文献1では、車両用シートを後方へスライドさせた状態における車両の前面衝突時には、運転席用エアバッグ及びニーエアバッグなどの拘束装置によって運転者を良好に拘束できない可能性がある。

0005

本発明は上記事実を考慮し、車両の前面衝突時において衝突安全性能を向上させることができる車両用シートスライド構造を提供する。

課題を解決するための手段

0006

請求項1に係る車両用シートスライド構造は、車両用シートの下部に取り付けられたアッパレールと前記アッパレールを車両前後方向にスライド可能に支持するロアレールとを含んで構成された左右一対スライドレールと、フロアパネルに固定され、前記ロアレールを車両前方側の運転ポジション車両後方側の安楽ポジションとの間で車両前後方向にスライド可能に支持するレールガイド部材と、前記安楽ポジションで前記スライドレールの移動をロックさせると共に、車両の前面衝突が検知又は予知された際にロック状態解除させるロック機構と、を有する。

0007

請求項1に係る車両用シートスライド構造では、アッパレールとロアレールとを含んで左右一対のスライドレールが構成されており、アッパレールはロアレールによって車両前後方向にスライド可能に支持されている。また、ロアレールは、レールガイド部材によって運転ポジションと安楽ポジションとの間で車両前後方向にスライド可能に支持されている。さらに、スライドレールは、安楽ポジションでロック機構によって移動がロックされる。ここで、ロック機構は、車両の前面衝突が検知又は予知された際にロック状態を解除させる。これにより、衝突後にスライドレールが運転ポジションへと慣性移動することとなり、運転席用エアバッグ及びニーエアバッグなどの既存の拘束装置で乗員を拘束することができる。

0008

請求項2に係る車両用シートスライド構造は、請求項1において、車両の前面衝突時に前記スライドレールの前記安楽ポジションから車両前方側への慣性移動を減衰させる減衰機構を備えている。

0009

請求項2に係る車両用シートスライド構造では、車両の前面衝突時にスライドレールの安楽ポジションから車両前方側への慣性移動を減衰させる減衰機構を備えている。これにより、車両用シートに着座した乗員の姿勢を維持したまま車両前方側へ移動させることができる。すなわち、乗員が車両前方側へ潜り込む、所謂サブマリン現象の発生を抑制することができる。

0010

請求項3に係る車両用シートスライド構造は、請求項2において、前記減衰機構は、前記スライドレールよりも下方に設けられて車両前後方向に延在されると共に少なくとも後部が上方へ移動可能とされたロッドと、作動されることで前記ロッドを上方へ移動させるポップアップ装置と、前記スライドレールと共に移動するロッド受けとを含んで構成されており、前記ポップアップ装置は、前記スライドレールが前記安楽ポジションにあり、かつ、車両の前面衝突が検知又は予知された際に作動されるように構成されており、前記ロッド受けは、上方へ移動した前記ロッドの後部に係合され、前記スライドレールの車両前方側の慣性移動に伴って前記ロッドを軸方向に押し潰す。

0011

請求項3に係る車両用シートスライド構造では、ロッドとポップアップ装置とロッド受けとを含んで減衰機構が構成されており、車両の前面衝突が検知又は予知された際には、ポップアップ装置によってロッドの後端部が上方へ移動される。これにより、ロッドの後端部とロッド受けとが係合される。また、ロック機構によるスライドレールのロック状態が解除されることで、衝突後にスライドレールが安楽ポジションから車両前方側へ慣性移動される。このとき、スライドレールと共にロッド受けが車両前方側へ慣性移動することで、ロッドが軸方向に押し潰され、スライドレールの慣性移動を減衰させることができる。

0012

請求項4に係る車両用シートスライド構造は、請求項2において、左右一対の前記スライドレールを車両幅方向に連結するクロス部材と、車両前後方向に一対設けられたプーリ間に巻き掛けられたワイヤと、前記ワイヤを前記クロス部材に固定する固定ブラケットとを含んで構成された移動機構を備え、前記減衰機構は、一端側が前記クロス部材に取り付けられ他端側が前記ワイヤに取り付けられると共に、前記クロス部材の車両前方側への慣性移動に伴って引き伸ばされることで塑性変形される変形部材を備えている。

0013

請求項4に係る車両用シートスライド構造では、プーリ間に巻き掛けられたワイヤを移動させることで、固定ブラケットを車両前後方向に移動させることができる。これにより、クロス部材を介して左右一対のスライドレールを運転ポジションと安楽ポジションとの間で車両前後方向に移動させることができる。

0014

また、減衰機構は、クロス部材とワイヤとを連結する変形部材を備えており、この変形部材は、クロス部材の車両前方側への慣性移動に伴って引き伸ばされることで塑性変形される。これにより、車両の前面衝突時にスライドレールが安楽ポジションから車両前方側へ慣性移動した場合に、変形部材が塑性変形される。この結果、スライドレールの慣性移動を減衰させることができる。

0015

請求項5に係る車両用シートスライド構造は、請求項2において、前記減衰機構は、車両の前面衝突時に前記ロアレールと一体に車両前方側へ慣性移動する移動体と、前記移動体の慣性移動に伴って前記スライドレールの車両前方側への慣性移動を減衰させるエネルギー吸収部材とを含んで構成されている。

0016

請求項5に係る車両用シートスライド構造では、車両の前面衝突時にスライドレールが安楽ポジションから車両前方側へ慣性移動されると、スライドレールのロアレールと一体に移動体が車両前方側へ慣性移動される。このとき、エネルギー吸収部材は、移動体の慣性移動に伴ってスライドレールの車両前方側への慣性移動を減衰させる。

0017

請求項6に係る車両用シートスライド構造は、請求項5において、前記エネルギー吸収部材は、前記移動体の慣性移動に伴って引き伸ばされることで塑性変形される変形部材である。

0018

請求項6に係る車両用シートスライド構造では、移動体とワイヤを介して変形部材が連結されている。これにより、車両の前面衝突時に移動体が車両前方側へ慣性移動するのに伴って変形部材が引き伸ばされる。この結果、変形部材を塑性変形させることができ、スライドレールの車両前方側への慣性移動を減衰させることができる。

0019

請求項7に係る車両用シートスライド構造は、請求項5において、前記エネルギー吸収部材は、一方の前記移動体とワイヤを介して連結された第一円板と、他方の前記移動体とワイヤを介して連結されると共に前記第一円板と重ね合わされた第二円板とを含んで構成されており、一方の前記移動体の車両前方側への移動に伴って前記第一円板が一方向に回転され、他方の前記移動体の車両前方側への移動に伴って前記第二円板が前記第一円板とは逆方向に回転される。

0020

請求項7に係る車両用シートスライド構造では、一方の移動体とワイヤを介して第一円板が連結されており、他方の移動体とワイヤを介して第二円板が連結されている。また、第一円板と第二円板とが重ね合わされており、それぞれ移動体の移動に伴って互いに逆方向に回転される。これにより、第一円板と第二円板との面接触部分に摩擦抵抗が発生してスライドレールの車両前方側への慣性移動を減衰させることができる。

発明の効果

0021

以上説明したように、本発明に係る車両用シートスライド構造によれば、車両の前面衝突時において衝突安全性能を向上させることができる。

図面の簡単な説明

0022

第1実施形態に係る車両用シートスライド構造の全体構造を示す分解斜視図である。
第1実施形態における車両左側のスライドレール及びクロス部材を拡大して示す、車両前方側から見た拡大断面図である。
第1実施形態におけるロック機構を拡大して示す、車両前方側から見た拡大断面図である。
第1実施形態に係る車両用シートスライド構造の全体構成を概略的に示す概略平面図であり、スライドレールが運転ポジションにある状態を示す図である。
図4の状態からスライドレールが安楽ポジションに移動した状態を示す概略平面図である。
第1実施形態に係る車両用シートスライド構造において車両の前面衝突前後の状態を示す概略平面図であり、(A)には衝突前の状態が示されており、(B)には衝突後の状態が示されている。
第2実施形態に係る車両用シートスライド構造の全体構成を示す、車両幅方向から見た断面図である。
図7の状態からロッドがポップアップされた場合における車両用シートスライド構造の全体構成を示す、車両幅方向から見た断面図である。
図8の状態から車両用シートが車両前方側へ慣性移動した場合における車両用シートスライド構造の全体構成を示す、車両幅方向から見た断面図である。
第2実施形態に係る車両用シートスライド構造の変形例を示す、図7に対応する断面図である。
図10の状態からロッドがポップアップされた状態を示す、図10に対応する断面図である。
第3実施形態に係る車両用シートスライド構造の全体構成を概略的に示す概略平面図である。
図12の13−13線で切断された状態を拡大して示す拡大断面図である。
図12の状態から車両用シートが車両前方側へ慣性移動した場合における車両用シートスライド構造の全体構成を示す概略平面図である。
図14の15−15線で切断された状態を拡大して示す拡大断面図である。
第4実施形態に係る車両用シートスライド構造の全体構成を概略的に示す概略平面図である。
第4実施形態におけるエネルギー吸収部材を拡大して車両後方側から見た要部拡大背面図である。
図16の状態から車両用シートが車両前方側へ慣性移動した場合における車両用シートスライド構造の全体構成を示す概略平面図である。
第4実施形態の第1変形例を示す、図16に対応する概略平面図である。
第4実施形態の第2変形例を示す、図17に対応する要部拡大背面図である。
図20のエネルギー吸収部材の平面図である。

実施例

0023

<第1実施形態>
以下、図面を参照して第1実施形態に係る車両用シートスライド構造について説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FRは車両前方向を示し、矢印UPは車両上方向を示し、矢印RHは車両右側を示している。以下、前後左右上下の方向を用いて説明する場合、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両幅方向の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。

0024

図1に示されるように、本実施形態の車両用シートスライド構造が適用された車両用シート10は、シートクッション12、シートバック14及びヘッドレスト16を含んで構成されている。

0025

シートクッション12は、車両幅方向及び車両前後方向に延在されており、乗員の大腿部及び臀部車両下方側から支持可能に構成されている。シートクッション12の後端部にはシートバック14が回動可能に連結されている。シートバック14は、シートクッション12の後端部から車両上方側へ延在されており、乗員の背部を車両後方側から支持可能に構成されている。

0026

シートバック14の上端部にはヘッドレスト16が設けられている。ヘッドレスト16は、乗員の頭部の車両後方側に位置しており、乗員の頭部を車両後方側から支持可能に構成されている。

0027

ここで、車両用シート10の下部には左右一対のスライドレール20が設けられている。それぞれのスライドレール20は、シートクッション12の下方に取り付けられており、上側に配置されたアッパレール22と下側に配置されたロアレール24とを含んで構成されている。

0028

アッパレール22は、シートクッション12の高さを調節可能なリフタ機構25を介してシートクッション12に取り付けられている。また、図2に示されるように、アッパレール22は、車両下方側が開放された断面略ハット状に形成されており、このアッパレール22の車両幅方向の両端部が上方側へ折り返されている。

0029

ロアレール24は、アッパレール22の下部及び両側部を覆うようにアッパレール22の下側に設けられている。具体的には、車両前後方向から見た断面視で、ロアレール24の車両幅方向の両端部がアッパレール22の側部に沿って車両上下方向に延在されており、ロアレール24の上端部がアッパレール22の車両幅方向両端部を包むように折り返されている。また、ロアレール24の底面には取付孔24Aが形成されている。

0030

ここで、アッパレール22とロアレール24との間には、図示しないボールベアリングが設けられており、ロアレール24に対してアッパレール22が車両前後方向にスライド可能とされている。すなわち、ロアレール24は、アッパレール22を車両前後方向にスライド可能に支持している。以上のようにスライドレール20が構成されている。

0031

それぞれのスライドレール20の外側にはレールガイド部材26が設けられている。レールガイド部材26は、車両前後方向から見た断面視で上方側が開放された略U字状に形成されており、レールガイド部材26の上端部がロアレール24の上端部を覆うように車両幅方向に屈曲されている。また、レールガイド部材26の底面にはスリット孔26Aが形成されており、このスリット孔26Aは、レールガイド部材26の前端部から後端部まで車両前後方向に延在されている。

0032

レールガイド部材26とロアレール24(スライドレール20)との間にはボールベアリング28とシュー30とが設けられている。すなわち、レールガイド部材26は、ロアレール24を車両前後方向にスライド可能に支持している。

0033

図1に示されるように、レールガイド部材26は、スライドレール20よりも車両前後方向に長く形成されている。また、レールガイド部材26は、車室の床面を構成する図示しないフロアパネルに固定されている。

0034

ここで、レールガイド部材26の下方には前側ブラケット32及び後側ブラケット34が設けられている。前側ブラケット32は、それぞれのレールガイド部材26の下方に設けられており、車両幅方向から見て略ハット状に形成されている。

0035

図2に示されるように、車両左側に設けられた前側ブラケット32の頂部には、第1ボルト孔32A及び第2ボルト孔32Bが形成されている。第1ボルト孔32Aは、前側ブラケット32の左側端部に形成されており、この第1ボルト孔32Aに対して下方からボルト36が挿通されている。ボルト36は、前側ブラケット32の第1ボルト孔32A及びロアレール24の取付孔24Aに挿通されており、ナット38に捩じ込まれている。これにより、ロアレール24と前側ブラケット32とが締結されている。なお、前側ブラケット32において第1ボルト孔32Aが形成されている部位は、上方へ突出した突出部とされているが、図1では突出部の図示を省略している。

0036

第2ボルト孔32Bは、前側ブラケット32の右側端部に形成されており、この第2ボルト孔32Bに対して下方からボルト40が挿通されている。ボルト40は、前側ブラケット32の第2ボルト孔32B及び後述するクロス部材44の取付孔44Aに挿通されており、ナット42に捩じ込まれている。これにより、クロス部材44と前側ブラケット32とが締結されている。

0037

図1に示されるように、車両右側の前側ブラケット32は、車両左側の前側ブラケット32に対して左右対称に配置されている。また、左右一対のレールガイド部材26の間にはクロス部材44が設けられている。クロス部材44は、車両幅方向を軸方向とする略角筒状に形成されており、クロス部材44の両端部がそれぞれの前側ブラケット32に締結されている。また、ロアレール24と前側ブラケット32とが連結されているため、クロス部材44によって左右一対のスライドレール20が車両幅方向に連結されている。そして、スライドレール20の車両前後方向の移動に伴ってクロス部材44が車両前後方向に移動するように構成されている。

0038

後側ブラケット34は、前側ブラケット32よりも車両後方側に設けられている。また、後側ブラケット34の頂部にはボルト孔34Aが形成されており、このボルト孔34Aに対して下方から図示しないボルトが挿通されている。そして、ボルトがロアレール24に挿通されて図示しないナットに捩じ込まれることで、後側ブラケット34とロアレール24とが締結される。

0039

図4に示されるように、左右一対のスライドレール20の間には移動機構48が設けられている。本実施形態の移動機構48は一例として、クロス部材44、前側プーリ52、後側プーリ54、ワイヤW、固定ブラケット56及び駆動源であるモータ50を含んで構成されている。

0040

前側プーリ52と後側プーリ54は、車両前後方向に間隔をあけて配設されており、この前側プーリ52と後側プーリ54にワイヤWが巻き掛けられている。また、ワイヤWには固定ブラケット56が取り付けられており、この固定ブラケット56がクロス部材44に固定されている。これにより、ワイヤWが前側プーリ52と後側プーリ54との間を移動することで、固定ブラケット56を介してクロス部材44が車両前後方向に移動するように構成されている。

0041

モータ50は、ワイヤWの近傍に配設されており、ワイヤWに動力を伝達するように構成されている。なお、ワイヤWに接するローラを介してモータ50の動力を伝達させてもよい。

0042

ここで、図4には、クロス部材44が運転ポジションに位置している状態が図示されている。すなわち、クロス部材44と共にスライドレール20が車両前方側に位置しており、このスライドレール20上に設けられた車両用シート10に着座した乗員が運転する際のポジションとなっている。

0043

一方、図5に示されるように、モータ50を駆動させてワイヤWを移動させることで、クロス部材44が車両後方側へ移動される。図5には、クロス部材44が安楽ポジションに位置している状態が図示されており、この位置ではスライドレール20上に設けられた車両用シート10が図示しないステアリングホイールから離れており、乗員の前方に空間が確保される。このため、自動運転機能を備えた車両などにおいて、自動運転時に車両用シート10を安楽ポジションへ移動させることで、乗員が安楽姿勢をとることができるように構成されている。

0044

ここで、レールガイド部材26にはロック機構46が配設されている。図3に示されるように、本実施形態のロック機構46は一例として、ハウジング41、ロックピン43及び圧縮コイルバネ45を含んで構成されている。

0045

ハウジング41は、略箱状に形成されており、レールガイド部材26の下面に固定されている。また、ハウジング41の上面には上側貫通孔41Aが形成されており、ハウジング41の下面には下側貫通孔41Bが形成されている。

0046

ロックピン43は、軸部43Aとフランジ部43Bとを含んで構成されており、軸部43Aは車両上下方向を軸方向とする略円柱状に形成されている。また、軸部43Aの上部が上側貫通孔41Aに挿通されており、軸部43Aの下部が下側貫通孔41Bに挿通されている。軸部43Aの上下方向の中間部分よりも上方にオフセットした位置にフランジ部43Bが設けられている。フランジ部43Bは、軸部43Aの外周面から外側へ延出されており、上側貫通孔41A及び下側貫通孔41Bよりも大径に形成されている。このため、ロックピン43は、フランジ部43Bがハウジング41の上面と接触する位置と、ハウジング41の下面と接触する位置との間で上下に移動可能とされている。

0047

ハウジング41の内部には圧縮コイルバネ45が設けられている。圧縮コイルバネ45は、ハウジング41の下面とロックピン43のフランジ部43Bとの間に設けられており、フランジ部43Bの下面に当接してフランジ部43Bを上方へ付勢している。

0048

ここで、圧縮コイルバネ45によってフランジ部43Bが上方へ付勢された状態では、ロックピン43がレールガイド部材26に形成された係止孔26Bに挿通されている。また、ロックピン43は、ロアレール24に形成された係止孔24Bに挿通されている。このため、ロアレール24がレールガイド部材26に対して前後に移動できないようにロックされている。

0049

また、ロックピン43は、図示しないソレノイドなどのアクチュエータと接続されている。そして、アクチュエータが作動することでロックピン43が圧縮コイルバネ45の付勢力に抗して下降される。これにより、図3二点鎖線で示されるように、ロックピン43の上端部がロアレール24の係止孔24Bから引き抜かれ、ロアレール24のロック状態が解除される。

0050

なお、本実施形態では、図4に示される運転ポジションと図5に示される安楽ポジションとでロック機構46によってロアレール24がロックされるように構成されている。そして、図示しないECU(Electronic Control Unit)などの制御部からの信号に基づいてアクチュエータが作動されることで、ロック状態が解除される。すなわち、車両に搭載された衝突センサ及び衝突予知センサなどの信号からECUによって衝突の前面衝突が検知又は予知された場合に、アクチュエータを作動させてロック状態を解除させる。

0051

移動機構48には減衰機構としての変形部材58が設けられている。本実施形態の変形部材58は、ジグザグ状に折り曲げられた金属部材によって形成されている。そして、この変形部材58の一端側が固定ブラケット56を介してクロス部材44に取り付けられている。また、変形部材58の他端部がワイヤWに取り付けられている。

0052

ここで、変形部材58は、引っ張られることで塑性変形してレールガイド部材26に対するスライドレール20の車両前方側への慣性移動を減衰させるように構成されている。

0053

(作用)
次に、本実施形態の作用について図6を用いて説明する。

0054

図6(A)には、スライドレール20が安楽ポジションにある状態が図示されている。この状態で車両の前面衝突が検知又は予知された場合、制御部からの信号によってアクチュエータが作動され、ロック機構46によるロアレール24のロック状態が解除される。

0055

ロアレール24のロック状態が解除されることで、スライドレール20がレールガイド部材26に対して車両前方側へ慣性移動する。これにより、スライドレール20を運転ポジションまで移動させることができ、車両に設けられた運転席用エアバッグ及びニーエアバッグなどの拘束装置によって乗員を拘束することができる。

0056

また、図6(B)に示されるように、スライドレール20及びクロス部材44が車両前方側へ慣性移動することで、変形部材58が前後に引っ張られる。これにより、変形部材58が塑性変形しながら車両前方側へ引き伸ばされ、スライドレール20の車両前方側への慣性移動を減衰させる。この結果、車両用シート10に着座した乗員へ入力される衝突荷重を最小限に抑えることができる。また、拘束装置から乗員へ入力される反力を低減させることができる。さらに、本実施形態の変形部材58は、ワイヤWに取り付けられているため、横力が発生しにくい。これにより、カム機構など他の構造によってスライドレール20の慣性移動を減衰させる構造と比較して、こじりによるスライド不良が発生しにくい。

0057

<第2実施形態>
次に第2実施形態に係る車両用シートスライド構造について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し適宜説明を省略する。

0058

図7に示されるように、本実施形態の車両用シートスライド構造は、第1実施形態と同様に、クロス部材44によって左右一対のスライドレール20が車両幅方向に連結されている。そして、スライドレール20の車両前後方向の移動に伴ってクロス部材44が車両前後方向に移動するように構成されている。

0059

ここで、本実施形態におけるレールガイド部材26は、前クロスメンバ62、中クロスメンバ64及び後クロスメンバ66を介してフロアパネル60に固定されている。前クロスメンバ62は、レールガイド部材26の前端部の下方に位置しており、車両幅方向から見て下方側に開放された断面略ハット状に形成されている。そして、前クロスメンバ62の前端及び後端のフランジ部分がフロアパネル60に重ね合わされて接合されている。また、前クロスメンバ62の上面にレールガイド部材26の前端部が締結されている。

0060

中クロスメンバ64は、レールガイド部材26における車両前後方向の中間部の下方に位置しており、車両幅方向から見て下方側に開放された断面略ハット状に形成されている。そして、中クロスメンバ64の前端及び後端部フランジ部分がフロアパネル60に重ね合わされて接合されている。また、中クロスメンバ64の上面にレールガイド部材26が支持されている。

0061

後クロスメンバ66は、レールガイド部材26の後端部の下方に位置しており、車両幅方向から見て下方側に開放された断面略ハット状に形成されている。そして、後クロスメンバ66の前端及び後端のフランジ部分がフロアパネル60に重ね合わされて接合されている。また、後クロスメンバ66の上面にレールガイド部材26の後端部が締結されている。

0062

ここで、レールガイド部材26よりも下方にはロッド68が設けられている。ロッド68は、前クロスメンバ62と中クロスメンバ64との間に配設されており、車両前後方向に延在されている。また、本実施形態では一例として、ロッド68を樹脂材又はアルミニウム押出成形品によって形成しており、このロッド68の前端部68Aが車両幅方向を軸方向とする軸部72の軸周りに回動可能に取り付けられている。そして、ロッド68の後端部68Bは、自由端とされており、スライドレール20が安楽ポジションにある状態で、クロス部材44の後端部の下方に位置している。なお、ロッド68は、前端部68A側が後端部68B側よりも広幅となる形状にしてもよい。

0063

ロッド68の後端部68Bにおける上面には略平板状の支持板74が固定されている。支持板74は、ロッド68から車両幅方向に延在されており、この支持板74に下方にはポップアップ装置70が配設されている。

0064

ポップアップ装置70は、フロアパネル60上に立設されている。また、ポップアップ装置70は、作動することで上方へ移動させる(ポップアップさせる)ように構成されており、本実施形態では一例として、内部にガスを発生させてポップアップするように構成されている。なお、ポップアップ装置70は、ガスによってポップアップさせるガス式の構造の他に、電流が流されることでポップアップさせる電気式の構造、及び火薬によりポップアップさせる火薬式の構造などを採用してもよい。

0065

ここで、ポップアップ装置70は、制御部であるECUからの信号に基づいて、スライドレール20が安楽ポジションにある状態で、かつ車両の前面衝突が検知又は予知された場合に作動するように構成されている。

0066

クロス部材44の後面にはロッド受け76が設けられている。ロッド受け76は、車両前後方向を厚み方向としてクロス部材44の後面に固定されており、ロッド68の後端よりも僅かに車両後方側に設けられている。また、ロッド受け76は、クロス部材44の下端よりも下方側へ延出されている。そして、本実施形態では、ロッド68、ポップアップ装置70及びロッド受け76を含んで減衰機構が構成されている。そして、このロッド受け76は、上方へ移動したロッド68の後端部68Bと係合され、スライドレール20の車両前方側の慣性移動に伴ってロッド68を軸方向に押し潰すように構成されている。

0067

(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。

0068

図7に示されるように、スライドレール20が安楽ポジションにある状態において、車両に搭載された衝突センサ及び衝突予知センサなどの信号からECUによって衝突の前面衝突が検知又は予知された場合には、ポップアップ装置70が作動される。

0069

図8に示されるように、ポップアップ装置70が作動されることで、支持板74を介してロッド68の後端部68Bが押し上げられる。これにより、ロッド68の後端部68Bとロッド受け76とが係合される。すなわち、ロッド受け76とロッド68とが車両前後方向から見て重なる位置に配置され、ロッド受け76からロッド68への荷重の入力が可能となる。

0070

一方、車両の前面衝突が検知又は予知された際には、ロック機構46のロックピン43が下降されことで、ロアレール24のロック状態が解除される。これにより、スライドレール20が安楽ポジションから車両前方側へ慣性移動される。

0071

ここで、スライドレール20と共にクロス部材44が車両前方側へ慣性移動されるため、ロッド受け76からロッド68へ荷重が入力される。そして、図9に示されるように、ロッド68が軸方向に押し潰され、スライドレール20の慣性移動を減衰させることができる。

0072

また、本実施形態では、ロッド68の長さ、材質などを変更することで、スライドレール20の慣性移動を減衰させる度合を調整することができる。

0073

なお、本実施形態では、ポップアップ装置70が作動されることで、ロッド68の後端部68Bが押し上げられる構成としたが、これに限定されない。例えば、図10及び図11に示される変形例の構造を採用してもよい。

0074

(変形例)
図10に示されるように、本変形例では、前クロスメンバ62と中クロスメンバ64との間にロッド61が配設されている。ロッド61は、前端部61Aよりも後端部61Bの方が断面積が大きく形成されており、樹脂材又はアルミニウムの押出成形品によって形成されている。

0075

ここで、ロッド61の後端部61Bには第1支軸65を介してリンク63が回動可能に連結されている。リンク63は、車両幅方向に延在された横壁部63Aと、この横壁部63Aの両端から延出された縦壁部63Bとを含んで構成されており、車両前後方向から見た断面が略U字状とされている。図10及び図11では、車両右側の縦壁部63Bのみが図示されている。そして、このリンク63の縦壁部63B間に第1支軸65及び第2支軸67が設けられている。第1支軸65は、リンク63の一端側を車両幅方向に延在されており、縦壁部63B同士を連結している。また第2支軸67は、リンク63の他端側を車両幅方向に延在されており、縦壁部63B同士を連結している。そして、第1支軸65にロッド61の後端部61Bが回動可能に挿通されており、第2支軸67には、図示しない軸受け部が挿通されている。

0076

前クロスメンバ62の上部には、駆動装置71が設けられている。駆動装置71としては、インフレータ及びソレノイドなどを用いることができる。そして、駆動装置71にはワイヤ69の一端が接続されている。また、ワイヤ69の他端がリンク63に取り付けられている。

0077

前クロスメンバ62における車両後方側の壁面にはストッパ73が取り付けられている。ストッパ73は、前クロスメンバ62とリンク63との間に位置しており、リンク63が第2支軸67周り前方側へ回動した際に、リンク63の横壁部63Aを所定の角度で係止するように構成されている。また、ストッパ73の上部にはプーリ75が設けられており、このプーリ75にワイヤ69が掛けられている。

0078

ここで、駆動装置71は、車両の前面衝突が検知又は予知された際に作動されて、ワイヤ69を引き込むように構成されている。このため、駆動装置71が作動されることで、ワイヤ69に張力が付与されてリンク63を前方側へ回動させる。これに伴い、第1支軸65を介してロッド61が上方へ移動される。すなわち、駆動装置71及びワイヤ69を含んでポップアップ装置が構成されている。

0079

図11に示されるように、ロッド61が上方へ移動されることで、ロッド61の後端部61Aがクロス部材44と車両前後方向に対向して配置される。これにより、前面衝突によって車両前方側へ慣性移動するクロス部材44がロッド61に当接し、このロッド61を軸方向に押し潰す。すなわち、本変形例では、クロス部材44がロッド受けとして機能する。このようにして、スライドレール20の慣性移動を減衰させることができる。

0080

<第3実施形態>
次に第3実施形態に係る車両用シートスライド構造について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し適宜説明を省略する。

0081

図12に示されるように、本実施形態の車両用シートスライド構造は、上側に配置されたアッパレール22と下側に配置されたロアレール24とを含んでスライドレール20が構成されており、スライドレール20の外側にはレールガイド部材26が設けられている。ここで、レールガイド部材26の下方には移動体80が配置されている。

0082

図13に示されるように、移動体80は、第1実施形態のロック機構46と同様の構造とされており、ハウジング41、ロックピン43及び圧縮コイルバネ45を含んで構成されている。また、移動体80は、ロックガイドレール82に車両下方側から支持されている。

0083

ロックガイドレール82は、レールガイド部材26に沿って車両前後方向に延在されており、車両前後方向から見た断面が上方に開放された略U字状に形成されている。また、ロックガイドレール82の上端部がレールガイド部材26の下面に固定されている。そして、このロックガイドレール82の底部に移動体80が車両前後方向にスライド可能に支持されている。

0084

ロックガイドレール82の底部には車両前後方向にスリット82Aが形成されており、このスリット82Aに移動体80のロックピン43が入り込んでいる。また、ロックガイドレール82の後端部にはストッパ82Bが形成されている。ストッパ82Bは、ロックガイドレール82の底部から上方へ延出して移動体80を係止している。すなわち、ストッパ82Bによって移動体80がロックガイドレール82よりも後方へ移動しないように構成されている。

0085

移動体80のハウジング41は略箱状に形成されており、このハウジング41の上面に形成された上側貫通孔41A及び下面に形成された下側貫通孔41Bにロックピン43の軸部43Aが挿通されている。

0086

また、ロックピン43の軸部43Aは、レールガイド部材26及びロアレール24に挿通されており、ロックピン43のフランジ部43Bが圧縮コイルバネ45によって上方へ付勢されている。また、ロックピン43は、図示しないソレノイドなどのアクチュエータと接続されている。そして、アクチュエータが作動することでロックピン43が圧縮コイルバネ45の付勢力に抗して下降される。これにより、ロックピン43の上端部がロアレール24の係止孔24Bから引き抜かれる。

0087

ここで、移動体80のハウジング41の後面にはワイヤ83が取り付けられている。図12に示されるように、車両左側の移動体80から後方へ延在されたワイヤ83は、サイドプーリ84に掛けられて車両右側へ延在されている。一方、車両右側の移動体80にはワイヤ83と同様のワイヤ81が取り付けられており、このワイヤ81は、サイドプーリ84に掛けられて車両左側へ延在されている。

0088

左右一対のサイドプーリ84の間にはセンタプーリ85が配設されている。センタプーリ85は、上下二段のローラを備えており、このセンタプーリ85の一方のローラにワイヤ83が掛けられている。また、センタプーリ85の他方のローラにワイヤ81が掛けられており、ワイヤ83及びワイヤ81は、車両前方側へ延在されてジョイント86に接続されている。なお、センタプーリ85に替えて、表面の摩擦係数が小さい円柱体を用いてもよい。この場合、ワイヤ83及びワイヤ81が円柱体の表面を滑ることで移動するため、上下二段の構造にする必要がない。

0089

ジョイント86にはエネルギー吸収部材としての変形部材87が取り付けられている。変形部材87は、引き伸ばされることで塑性変形される部材であり、ジグザグ状に折り曲げられた金属部材によって形成されている。そして、この変形部材87の一端部がジョイント86に固定されており、変形部材87の他端部がアンカ88に固定されている。そして、アンカ88が車体に固定されているため、ジョイント86が車両後方へ移動されることで、変形部材87が車両前後方向に引き伸ばされるように構成されている。

0090

ここで、ワイヤ83及びワイヤ81には所定の張力が付与されており、この張力によって移動体80を車両後方側へ付勢している。このため、図13に示されるように、移動体80がワイヤ83によって車両後方側へ引っ張られており、ストッパ82Bに係止されている。また、ワイヤ83及びワイヤ81の張力は、変形部材87を引き伸ばすために必要な張力よりも低い張力に設定されている。このため、本実施形態では、ワイヤ83及びワイヤ81は、安楽ポジションでスライドレール20の移動をロックさせると共に、車両の前面衝突時にはロック状態を解除させるロック機構として機能する。

0091

また、本実施形態では、移動体80と変形部材87とを含んで減衰機構が構成されており、変形部材87が塑性変形されることで、車両の前面衝突時にスライドレール20の安楽ポジションから車両前方側への慣性移動を減衰させるように構成されている。

0092

(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。

0093

図12には、スライドレール20が安楽ポジションにある状態が図示されている。この状態で車両が前面衝突した場合、スライドレール20がレールガイド部材26に対して車両前方側へ慣性移動する。

0094

このとき、図15に示されるように、移動体80のロックピン43がロアレール24の係止孔24Bに挿通された状態となっているため、ロアレール24と一体に移動体80が車両前方側へ移動される。

0095

図14に示されるように、移動体80が車両前方側へ移動することにより、ワイヤ83及びワイヤ81が車両前方側へ引っ張られる。これにより、ワイヤ83及びワイヤ81を介して連結された変形部材87が引き伸ばされて塑性変形される。一方、前側プーリ52と後側プーリ54との間に巻き掛けられているワイヤWは破断される。この結果、移動体80が車両前方側へ慣性移動するのに伴って変形部材87を塑性変形させることができ、スライドレール20の車両前方側への慣性移動を減衰させることができる。

0096

また、本実施形態では、前面衝突時であっても移動体80のロックピン43とロアレール24のとのロック状態が解除されない。これにより、前面衝突が検知又は予知された際にロック状態を解除させるための専用の部品が不要となる。その他の作用については第1実施形態と同様である。

0097

<第4実施形態>
次に第4実施形態に係る車両用シートスライド構造について説明する。なお、第1実施形態及び第3実施形態と同様の構成については同じ符号を付し適宜説明を省略する。

0098

図16に示されるように、本実施形態の車両用シートスライド構造は、第3実施形態の変形部材87に替えて回転機構90が設けられている。また、回転機構90にはワイヤ83及びワイヤ81が取り付けられている。

0099

図17に示されるように、回転機構90は、ベース92、第一円板93、第二円板94及びセンタピン95を含んで構成されている。そして、第一円板93及び第二円板94を含んでエネルギー吸収部材が構成されている。

0100

ベース92は、車両上下方向を厚み方向としてフロアパネルに固定された平板状の部材である。また、ベース92の中央部には貫通孔92Aが形成されており、この取付孔92Aに後述するセンタピン95が差し込まれている。

0101

ベース92上には第一円板93及び第二円板94が積み重ねられている。第一円板93は、ベース92の上面に載置されており、平面視で略円形に形成されている。また、第一円板93の中央部には図示しない挿通孔が形成されており、この挿通孔にセンタピン95が挿通されている。さらに、第一円板93の上面94Aには、無数突起が形成されており、上面94Aが凹凸状となっている。

0102

第二円板94は、第一円板93上に載置されており、平面視で第一円板93と同じ径の略円形に形成されている。また、第二円板94の中央部には図示しない挿通孔が形成されており、この挿通孔にセンタピン95が挿通されている。さらに、第二円板94の下面93Aには、無数の突起が形成されており、下面93Aが凹凸状となっている。このため、凹凸状とされた第一円板93の上面94Aと第二円板94の下面93Aとが対向するように配置されている。

0103

センタピン95は、頭部95Aと軸部95Bとを備えており、頭部95Aは第一円板93及び第二円板94に形成された挿通孔よりも大径に形成されている。また、センタピン95の軸部95Bは、頭部95Aから下方へ延出されており、第一円板93及び第二円板94に挿通されてベース92に形成された取付孔92Aに差し込まれて固定されている。なお、センタピン95の軸部95Bは、第一円板93及び第二円板94にそれぞれ形成された挿通孔よりも小径とされており、第一円板93及び第二円板94の回転を妨げないように構成されている。

0104

また、本実施形態では、センタピン95の頭部95Aがベース92側へ押し込まれており、第一円板93及び第二円板94をベース92に押し付けた状態で保持している。このため、第一円板93の上面94Aと第二円板94の下面93Aとが密着した状態が維持されている。

0105

ここで、第一円板93にはワイヤ83の端部が固定されている。また、第二円板94にはワイヤ81の端部が固定されている。このため、ワイヤ83が引っ張られることで第一円板93がセンタピン95を中心に回転する。また、ワイヤ81が引っ張られることで第二円板94が第一円板93とは逆方向に回転する。

0106

(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。

0107

図16には、スライドレール20が安楽ポジションにある状態が図示されている。この状態で車両が前面衝突した場合、スライドレール20がレールガイド部材26に対して車両前方側へ慣性移動する。このとき、ロアレール24と一体に移動体80が車両前方側へ移動される。

0108

図18に示されるように、移動体80が車両前方側へ移動することにより、ワイヤ83及びワイヤ81が車両前方側へ引っ張られる。これにより、ワイヤ83と連結された第一円板93が図中R1の方向に回転される。一方、ワイヤ81と連結された第二円板94が図中R2の方向に回転される。すなわち、第一円板93と第二円板94とが互いに逆方向に回転される。一方、前側プーリ52と後側プーリ54との間に巻き掛けられていたワイヤWは破断される。これにより、図17に示される第一円板93と第二円板94との面接触部分に摩擦抵抗が発生してスライドレール20の車両前方側への慣性移動を減衰させることができる。その他の作用については第1実施形態と同様である。

0109

なお、本実施形態では、左右のサイドプーリ84の間に回転機構90を設けたが、これに限定されない。例えば、図19に示される第1変形例の構造を採用してもよい。

0110

(第1変形例)
図19に示されるように、本変形例では、回転機構90が図16よりも車両前方側に位置している。このため、ワイヤ83は、サイドプーリ84に掛けられた後、車両右側かつ車両前方側へ斜めに延在されて第一円板93に固定されている。

0111

一方、ワイヤ81は、サイドプーリ84に掛けられた後、車両左側かつ車両前方側へ斜めに延在されて第二円板94に固定されている。このように、回転機構90の位置を任意の位置に変更することができるため、設置スペース制約を受けにくい。

0112

また、本実施形態では、回転機構90を構成する第一円板93と第二円板94との間で発生する摩擦抵抗を利用してスライドレール20の慣性移動を減衰させたが、他の構造を採用してもよい。例えば、図20及び図21に示される第2変形例の構造を採用してもよい。

0113

(第2変形例)
図20に示されるように、本変形例では、シュー98を押し当てることで摩擦抵抗を発生させる構造となっている。具体的には、ベース92上に、下円板97、第一円板93、第二円板94及び上円板96が積み重ねられている。

0114

下円板97は、ベース92上に載置されており、第一円板93よりも大径に形成されている。また、下円板97の上面に第一円板93が固定されている。このため、下円板97と第一円板93とが一体に回転する。

0115

第一円板93上には第二円板94が重ね合わされており、第二円板94の上面に上円板96が固定されている。上円板96は、第二円板94よりも大径に形成されており、下円板97と略同じ径となっている。そして、この上円板96は、第二円板94と一体に回転する。また、本変形例では、第一円板93の上面94A及び第二円板94の下面93Aは、何れも凹凸の無い面とされており、この第一円板93と第二円板94との間で発生する摩擦抵抗は小さい。

0116

ここで、下円板97及び上円板96の外側にはシュー98が配置されている。図21に示されるように、シュー98は、下円板97及び上円板96を両側から挟み込むように配置されており、それぞれのシュー98における対向する面は、下円板97及び上円板96に対応する曲面に形成されている。

0117

図20に示されるように、ベース92の両端部には側壁部99が立設されており、それぞれの側壁部には、押込みピン100が挿通されている。押込みピン100は、頭部100Aと軸部100Bとを備えており、軸部100Bをシュー98に押し当てることで、シュー98を上円板96及び下円板97に押し付けている。

0118

以上のように、本変形例では、ワイヤ83及びワイヤ81が引っ張られることにより、ワイヤ83と連結された第一円板93及び下円板97が一方向に回転される。一方、ワイヤ81と連結された第二円板94及び上円板96が他方向(逆方向)に回転される。これにより、下円板97及び上円板96の外周面とシュー98との面接触部分に摩擦抵抗が発生してスライドレール20の車両前方側への慣性移動を減衰させることができる。

0119

以上、実施形態に係る車両用シートスライド構造について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記第1実施形態では、図4に示されるように、ジグザグ状に折り曲げられた金属部材によって変形部材58を形成したが、これに限定されず、他の形状の変形部材を用いてもよい。すなわち、ワイヤWの張力では塑性変形せず、前面衝突時の荷重によって塑性変形する部材であれば、同様の効果を得ることができる。図12に示される変形部材87も同様に、ワイヤ81及びワイヤ83の張力では塑性変形せず、前面衝突時の荷重によって塑性変形する部材であれば、他の部材を用いることができる。

0120

また、上記第2実施形態では、図7に示されるように、クロス部材44の後面にロッド受け76を設けたが、これに限定されない。例えば、スライドレール20を構成するロアレール24にロッド受け76を設けてもよい。すなわち、ロアレール24の真下にロッド68を配置し、ロアレール24の下面から車両下方側へロッド受け76を延出させることで、車両の前面衝突時にポップアップされたロッド68の後端部68Bとロッド受け76とを係合させるようにしてもよい。

0121

さらに、上記第4実施形態では、図17に示されるように、凹凸状とされた第一円板93の上面94Aと第二円板94の下面93Aとを対向配置することで、摩擦抵抗を発生させたが、これに限定されない。例えば、ブレーキパッドなどの材質で形成された摩擦材を用いてもよい。

0122

さらにまた、上記実施形態では、レールガイド部材26を水平に延在させたが、これに限定されない。例えば、車両幅方向から見て前部が後部よりも上方に位置するようにレールガイド部材26を傾斜させてもよい。この場合、傾斜によってスライドレール20の車両前方側への慣性移動を減衰させることができる。

0123

10車両用シート
20スライドレール
22アッパレール
24ロアレール
26レールガイド部材
44クロス部材(ロッド受け)
46ロック機構
52 前側プーリ(プーリ)
54 後側プーリ(プーリ)
56固定ブラケット
58変形部材(減衰機構)
61ロッド
68 ロッド
68A前端部
68B後端部
69ワイヤ(ポップアップ装置)
70 ポップアップ装置
71駆動装置(ポップアップ装置)
76 ロッド受け
80 移動体
81、83 ワイヤ
87 変形部材(エネルギー吸収部材)
93 第一円板
94 第二円板
W ワイヤ

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