図面 (/)

技術 電気抵抗溶接における散り検知方法及びその装置

出願人 マツダ株式会社
発明者 田中康之名和原彬中崎大輔庄司庸平
出願日 2019年2月25日 (1年8ヶ月経過) 出願番号 2019-031486
公開日 2020年8月31日 (2ヶ月経過) 公開番号 2020-131270
状態 未査定
技術分野 スポット溶接
主要キーワード ガウス分布曲線 抵抗波形 経時変化データ パーセント点 電気抵抗溶接装置 カイ二乗分布 通電抵抗 カイ二乗統計量
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年8月31日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (9)

課題

電気抵抗溶接における散りの発生を検知する。

解決手段

複数の金属板を重ね合わせたワークを一対の電極によって加圧しつつ通電する電気抵抗溶接において、所定の溶接条件での各溶接中所定時間間隔をおいて上記一対の電極間通電抵抗低下量を検出し、該通電抵抗低下量に係るデータに基づいて当該溶接条件における上記通電抵抗低下量の度数分布を算出し、該度数分布をガウス関数フィッティングし、該フィッティングが統計的に有意か否かによって当該溶接条件での散りの発生を判定する。

概要

背景

スポット溶接に代表される電気抵抗溶接は、車体の組立等に多用されている。スポット溶接では、複数の金属板を重ね合わせたワークを一対の棒状電極によって加圧しつつ通電する。この通電によって発生するジュール熱で当該複数の金属板がその接触部において溶解し凝固することで溶接される。このとき、溶接条件によっては、溶接部の温度が上昇し過ぎて溶融物飛散する散り現象を生ずることがある。この散りを生ずると、所期溶接強度が得られず、また、飛散した溶融物が溶接部の周辺に付着し、後処理が必要になる場合もある。

散り発生の未然防止に関して、特許文献1には、ナットプロジェクション溶接において、一対の溶接用電極変位量が所定の閾値を超えたときに、溶接電流を上昇させることが記載されている。ナット突起溶け込みが生じて接触面積が拡大してから溶接電流を上昇させることで、散りを発生を抑制するというものである。

概要

電気抵抗溶接における散りの発生を検知する。複数の金属板を重ね合わせたワークを一対の電極によって加圧しつつ通電する電気抵抗溶接において、所定の溶接条件での各溶接中所定時間間隔をおいて上記一対の電極間通電抵抗低下量を検出し、該通電抵抗低下量に係るデータに基づいて当該溶接条件における上記通電抵抗低下量の度数分布を算出し、該度数分布をガウス関数フィッティングし、該フィッティングが統計的に有意か否かによって当該溶接条件での散りの発生を判定する。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

複数の金属板を重ね合わせたワークを一対の電極によって加圧しつつ通電することにより上記複数の金属板を溶接する電気抵抗溶接における散り検知方法であって、所定の溶接条件での各溶接中所定時間間隔をおいて上記一対の電極間通電抵抗低下量を検出し、該通電抵抗低下量に係るデータを蓄積するステップと、上記データに基づいて当該溶接条件における上記通電抵抗低下量の度数分布を算出するステップと、上記度数分布をガウス関数フィッティングし、該フィッティングが統計的に有意か否かによって当該溶接条件での散りの発生を判定するステップとを備えていることを特徴とする電気抵抗溶接における散り検知方法。

請求項2

請求項1において、上記所定時間間隔をおいて検出する通電抵抗低下量は当該所定時間での通電抵抗低下量であることを特徴とする電気抵抗溶接における散り検知方法。

請求項3

請求項1又は請求項2において、上記度数分布について、1つのガウス関数でのフィッティングと2つのガウス関数でのフィッティングを行ない、2つのガウス関数でのフィッティングの方が統計的に有意であるときは、当該溶接条件での散りの発生度が高いと判定することを特徴とする電気抵抗溶接における散り検知方法。

請求項4

請求項3において、2つのガウス関数でのフィッティングの方が統計的に有意であり、当該両ガウス関数各々の平均値の差が所定値以上であるときは、当該2つのガウス関数のうち平均値が大きい方のガウス分布に属する確率が高い通電抵抗低下量は散りの発生によると判定することを特徴とする電気抵抗溶接における散り検知方法。

請求項5

請求項3又は請求項4において、1つのガウス関数でのフィッティングの方が統計的に有意であるとき、並びに2つのガウス関数でのフィッティングの方が統計的に有意であるが、当該両ガウス関数各々の平均値の差が所定値未満であるときは、上記所定時間間隔をおいて検出される各通電抵抗低下量についてカイ二乗値を算出し、カイ二乗分布により決定される所定閾値よりも大きいカイ二乗値に係る通電抵抗低下量は散りの発生によると判定することを特徴とする電気抵抗溶接における散り検知方法。

請求項6

複数の金属板を重ね合わせたワークを一対の電極によって加圧しつつ通電することにより上記複数の金属板を溶接する電気抵抗溶接における散り検知装置であって、所定の溶接条件での各溶接中に所定時間間隔をおいて上記一対の電極間の通電抵抗低下量を検出し、該通電抵抗低下量に係るデータを蓄積するデータ蓄積手段と、上記データ蓄積手段のデータに基づいて当該溶接条件における上記通電抵抗低下量の度数分布を算出する度数分布算出手段と、上記度数分布算出手段で算出される度数分布をガウス関数でフィッティングし、該フィッティングが統計的に有意か否かによって当該溶接条件での散りの発生を判定する判定手段とを備えていることを特徴とする電気抵抗溶接における散り検知装置。

請求項7

請求項6において、上記所定時間間隔をおいて検出する通電抵抗低下量は当該所定時間での通電抵抗低下量であることを特徴とする電気抵抗溶接における散り検知装置。

請求項8

請求項6又は請求項7において、上記判定手段は、上記度数分布について、1つのガウス関数でのフィッティングと2つのガウス関数でのフィッティングを行ない、2つのガウス関数でのフィッティングの方が統計的に有意であるときは、当該溶接条件での散りの発生度が高いと判定することを特徴とする電気抵抗溶接における散り検知装置。

請求項9

請求項8において、上記判定手段は、2つのガウス関数でのフィッティングの方が統計的に有意であり、当該両ガウス関数各々の平均値の差が所定値以上であるときは、当該2つのガウス関数のうち平均値が大きい方のガウス分布に属する確率が高い通電抵抗低下量は散りの発生によると判定することを特徴とする電気抵抗溶接における散り検知装置。

請求項10

請求項8又は請求項9において、上記判定手段は、1つのガウス関数でのフィッティングの方が統計的に有意であるとき、並びに2つのガウス関数でのフィッティングの方が統計的に有意であるが、当該両ガウス関数各々の期待値の差が所定値未満であるときは、上記データから上記所定時間間隔をおいて検出される各通電抵抗低下量についてカイ二乗値を算出し、カイ二乗分布により決定される所定閾値よりも大きいカイ二乗値に係る通電抵抗低下量は散りの発生によると判定することを特徴とする電気抵抗溶接における散り検知装置。

技術分野

0001

本発明は、複数の金属板を重ね合わせたワークを一対の電極によって加圧しつつ通電することにより当該複数の金属板を溶接する電気抵抗溶接における散り検知方法及びその装置に関する。

背景技術

0002

スポット溶接に代表される電気抵抗溶接は、車体の組立等に多用されている。スポット溶接では、複数の金属板を重ね合わせたワークを一対の棒状電極によって加圧しつつ通電する。この通電によって発生するジュール熱で当該複数の金属板がその接触部において溶解し凝固することで溶接される。このとき、溶接条件によっては、溶接部の温度が上昇し過ぎて溶融物飛散する散り現象を生ずることがある。この散りを生ずると、所期溶接強度が得られず、また、飛散した溶融物が溶接部の周辺に付着し、後処理が必要になる場合もある。

0003

散り発生の未然防止に関して、特許文献1には、ナットプロジェクション溶接において、一対の溶接用電極変位量が所定の閾値を超えたときに、溶接電流を上昇させることが記載されている。ナット突起溶け込みが生じて接触面積が拡大してから溶接電流を上昇させることで、散りを発生を抑制するというものである。

先行技術

0004

特開2014−217854号公報

発明が解決しようとする課題

0005

溶接電流等の溶接条件をワークに応じて適切に設定すれば、散りの発生を抑制することが可能になる。そのためには、現溶接条件において、散りが発生するか否か、或いは散りを発生する可能性が高いか否かを検知することが前提となる。散りの発生は作業者溶接状態を見れば確認することができるが、多数のワークが流れる生産ラインにおいて、個々に散りの発生を目視で確認することは容易ではない。

0006

これに対して、散りの発生によってワークの溶接部位の厚さが薄くなる現象に着目し、溶接中における一対の電極間距離減少量に基づいて散りを検知することが考えられる。しかし、ワークの溶接部位を加圧したときに溶接ガンに撓みを生ずることから、その電極間距離の減少量を高精度で検出することは難しい。

0007

そこで、本発明は、電気抵抗溶接における新規な散りの検知方法及びその装置を提案する。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、上記課題の解決のために、散りの検知に溶接ガンの撓みに影響されない電極間通電抵抗を採用し、統計的手法で散りを検知するようにした。

0009

ここに開示する散り検知方法は、複数の金属板を重ね合わせたワークを一対の電極によって加圧しつつ通電することにより上記複数の金属板を溶接する電気抵抗溶接における散り検知方法であって、
所定の溶接条件での各溶接中に所定時間間隔をおいて上記一対の電極間の通電抵抗低下量を検出し、該通電抵抗低下量に係るデータを蓄積するステップと、
上記データに基づいて当該溶接条件における上記通電抵抗低下量の度数分布を算出するステップと、
上記度数分布をガウス関数フィッティングし、該フィッティングが統計的に有意か否かによって当該溶接条件での散りの発生を判定するステップとを備えていることを特徴とする。

0010

また、ここに開示する散り検知装置は、複数の金属板を重ね合わせたワークを一対の電極によって加圧しつつ通電することにより上記複数の金属板を溶接する電気抵抗溶接における散り検知装置であって、
所定の溶接条件での各溶接中に所定時間間隔をおいて上記一対の電極間の通電抵抗低下量を検出し、該通電抵抗低下量に係るデータを蓄積するデータ蓄積手段と、
上記データ蓄積手段のデータに基づいて当該溶接条件における上記通電抵抗低下量の度数分布を算出する度数分布算出手段と、
上記度数分布算出手段で算出される度数分布を確率密度関数でフィッティングし、該フィッティングが統計的に有意か否かによって当該溶接条件での散りの発生を判定する判定手段とを備えていることを特徴とする。

0011

上記電気抵抗溶接においては、溶接が進むに従って金属板は温度が上昇して軟化溶融していく。そのため、電極と金属板の接触面積が増大し、これに伴って通電抵抗(一対の電極間の抵抗)が低下していく。散り発生時には、溶融物の飛散によって金属板の厚さが局部的に薄くなるため、上記通電抵抗低下量が一時的に大きくなる。従って、この通電抵抗低下量を監視して散りを検知することが考えられる。しかし、散りの発生タイミングは一定ではなく、また、通電抵抗低下量も区々であり、一意的に閾値を設けることはできない。

0012

そこで、本発明では、上記通電抵抗低下量の度数分布を求め、これをガウス関数でフィッティングし、該フィッティングが統計的に有意か否かによって散りの発生を判定するようにした。すなわち、散りの発生がない正常溶接であれば、通電抵抗低下量の度数分布は一つのガウス分布に従うとみなすことができる。そうして、実際の度数分布をガウス関数でフィッティングしたとき、散りの発生があれば、該フィッティングの有意性が低くなる。よって、当該フィッティングが統計的に有意か否かによって散りの発生を判定する
上記散りの検知方法及びその装置において、一実施形態では、上記所定時間間隔をおいて検出する通電抵抗低下量は当該所定時間での通電抵抗低下量である。これにより、散りの発生によって通電抵抗が大きく低下する現象を確実に捉えることができる。

0013

上記散りの検知方法及びその装置において、一実施形態では、上記度数分布について、1つのガウス関数でのフィッティングと2つのガウス関数でのフィッティングを行ない、2つのガウス関数でのフィッティングの方が統計的に有意であるときは、当該溶接条件での散りの発生度が高いと判定する。

0014

散りが発生したときは、散りが発生していないときに比べて、通電抵抗低下量が大きくなる。そのため、通電抵抗低下量の度数分布をヒストグラムにすれば、双峰性を帯びやすくなる。すなわち、通電抵抗低下量が相対的に大きな箇所と小さな箇所にピークを有する形になりやすい。その結果、散りが発生する溶接条件では、2つのガウス関数でのフィッティングが統計的に有意になる。従って、1つのガウス関数でのフィッティングと2つのガウス関数でのフィッティングのどちらが相対的に有意かによって散りの発生の判定することができる。

0015

上記散りの検知方法及びその装置において、一実施形態では、2つのガウス関数でのフィッティングの方が統計的に有意であり、当該両ガウス関数各々の平均値の差が所定値以上であるときは、当該2つのガウス関数のうち平均値が大きい方のガウス分布(ガウス関数)に属する確率が高い通電抵抗低下量は散りの発生によると判定する。

0016

上記散りの検知方法及びその装置において、一実施形態では、1つのガウス関数でのフィッティングの方が統計的に有意であるとき、並びに2つのガウス関数でのフィッティングの方が統計的に有意であるが、当該両ガウス関数各々の平均値の差が所定値未満であるときは、カイ二乗検定によって散りの発生の有無を判定する。

0017

すなわち、上記所定時間間隔をおいて検出される各通電抵抗低下量についてカイ二乗値を算出し、カイ二乗分布により決定される所定閾値よりも大きいカイ二乗値に係る通電抵抗低下量は散りの発生によると判定する。カイ二乗統計量による散り判定であるから、その判定精度が高くなる。

発明の効果

0018

本発明によれば、所定の溶接条件での各溶接中に所定時間間隔をおいて電極間の通電抵抗低下量を検出し、該通電抵抗低下量に係るデータから通電抵抗低下量の度数分布を求め、該度数分布をガウス関数でフィッティングし、該フィッティングが統計的に有意か否かによって当該溶接条件での散りの発生を判定するから、例えば、溶接時の溶接ガンの撓みのような外乱に影響されることなく、散りの発生を精度良く検知することができる。

図面の簡単な説明

0019

電気抵抗溶接装置の散り検知装置を示す構成図。
正常溶接時と散り発生時の通電抵抗の変化を模式的に示すグラフ図。
通電抵抗低下量のヒストグラムの一例を示す図。
散り検知の流れを示す図。
フィッティングに係る2つのガウス関数の平均値の差のヒストグラムを示す図。
通電抵抗低下量のヒストグラムの別の例を示す図。
フィッティングに係る2つのガウス関数が一部重なる説明のグラフ図。
カイ二乗値のヒストグラムの一例を示す図。

実施例

0020

以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。

0021

<電気抵抗溶接における散り検知装置の全体構成>
図1に示す電気抵抗溶接装置としてのスポット溶接装置1は、例えば生産ラインに配置され、複数の金属板を重ね合わせたワークWを一対の電極によって加圧しつつ通電することにより上記複数の金属板を溶接する。

0022

スポット溶接装置1は、溶接ガン11と、溶接ガン11を保持するアーム型ロボット12と、ロボット制御装置13と、溶接制御装置タイマー)14とを備えている。ロボット制御装置13は、溶接ガン11の作動及びロボット12の作動を制御する。溶接制御装置14は、溶接電流を流す時間と電流の大きさを制御するとともに、流した電流の時間と大きさを監視する。この溶接制御装置14に散り検知装置15が接続されている。散り検知装置15は、後述する通電抵抗低下量に係るデータに基づいて溶接中に溶融物が飛散する散りの発生を検知する。

0023

溶接ガン11は、C型溶接ガンであり、アーム16と、アーム16に設けられた一対の相対する電極(固定電極17と可動電極18)と、可動電極18を駆動するサーボモータ19とを備えている。サーボモータ19はロボット制御装置13によって制御される。

0024

ロボット12は、6つの関節軸J1〜J6を有する多関節ロボットである。このロボット12は、ベース21上に、旋回部22、下部アーム23、上部アーム24、第1〜第3の先端部25〜27等を備え、これらは相互に回動可能に構成されている。ロボット12は、各関節軸J1〜J6回りに各部材を駆動するサーボモータを備えている。これらのサーボモータはロボット制御装置13によって制御される。

0025

溶接制御装置14は、ロボット制御装置13から受信する溶接条件や溶接指令に基づき、ワークWが電極17,18によって規定加圧力で挟持された状態で、制御された溶接電流を電極17,18からワークに通電する。通電終了後、溶接制御装置14から溶接完了信号がロボット制御装置13に送られる。

0026

散り検知装置15は、データ蓄積手段31と、度数分布算出手段32と、判定手段33とを備えてなり、マイクロコンピュータを含む電子回路で構成される。

0027

データ蓄積手段31は、溶接制御装置14によって制御される溶接中の電極17,18間の電圧及び溶接電流に基づいて、電極17,18間の通電抵抗の経時変化データを求め、所定の微小時間における通電抵抗の低下量を所定時間間隔をおいて検出し、該通電抵抗低下量に係るデータを蓄積していく。要するに、図2に示すように、溶接が進むにつれて通電抵抗が低下するため、その低下量を検出するものである。

0028

本実施形態では、溶接中において所定時間Δt毎に該所定時間の前後の抵抗値に基づいて通電抵抗低下量ΔR(ΔR1,ΔR2,ΔR3,……)を算出し、同一の溶接条件での各溶接中の通電抵抗低下量ΔRに係るデータを蓄積していく。そのようなデータを種々の溶接条件において取得する。ここに、通電抵抗低下量ΔRの検出に関し、電極17,18による通電開始当初は接触抵抗により通電抵抗の低下が急になるから、通電開始から数十msec経過して通電抵抗の低下が安定する時点から通電抵抗低下量ΔRに係るデータを取得することが好ましい。

0029

度数分布算出手段32は、データ蓄積手段31のデータに基づいて当該溶接条件での通電抵抗低下量ΔRの度数分布を算出する。図3は度数分布としてのヒストグラムの一例を示す。判定手段33は、上記度数分布に基づいて統計的手法によって当該溶接条件での散りの発生を判定する。

0030

次に図3図7を参照して散り検知装置15による散り検知方法を具体的に説明する。

0031

散り検知方法は、図4に示すように、データ蓄積手段31によるステップS1の処理、度数分布算出手段32によるステップS2の処理、並びに判定手段33によるステップS3〜S8の処理によって構成されている。

0032

ステップS1において、同一溶接条件での各溶接における通電抵抗低下量ΔRが蓄積される。

0033

ステップS2において、上記蓄積された通電抵抗低下量ΔRのデータに基づいて、図3に一例を示す、通電抵抗低下量を横軸とし、度数縦軸とするヒストグラムが作成される。

0034

ステップS3において、ヒストグラムに対してガウシアンフィッティングが行なわれる。すなわち、ガウス関数1つでのフィッティングGMM1とガウス関数2つでのフィッティングGMM2が行なわれる。図3の例では、Aがガウス関数1つでフィッティングしたガウス分布曲線であり、Bがガウス関数2つでフィッティングガウス分布曲線である。

0035

ステップS4において、上記GMM1,GMM2モデルのどちらがデータの分布をよく再現するかについて、尤度比検定が行なわれる。すなわち、当該フィッティングにおいてパラメータ推定した最大対尤度に-2を掛けた-2log(L) of GMM1及び-2log(L) of GMM2から、2つのモデルの尤度比-2log(deltaL)を求める。

0036

図3の例では、-2log(L) ofGMM1よりも-2log(L) of GMM2の方の値が小さいという結果になった。従って、ガウス関数2つのモデルGMM2の方が当てはまりがよいということになる。GMM1モデルとGMM2モデルの尤度比-2log(deltaL)は約285である。尤度比は、今の場合近似的に自由度3のカイ二乗分布に従うので、尤度比-2log(deltaL)がこのような値になる確率p値(p-value)が計算できる。本例の場合、p値が所定の有意水準1×10−4よりも小さいという結果になったので、ガウス関数2つのモデルの方が、ガウス関数1つのモデルよりも、統計的に有意にデータの分布を再現するということになる。

0037

続くステップS5において、ガウス関数2つでのフィッティングが統計的に有意であると判定されたときは、ステップS6に進んで、2つのガウス関数の平均値μ1,μ2の差が所定値以上であるか否かを判定する。

0038

所定値としては、先に述べたように、散りが発生するときは、通電抵抗低下量の度数分布をヒストグラムにしたとき双峰性を帯びやすくなるから、その2つのピーク位置の差に基づいて適宜に設定することができる。或いは、図5に示すように、ピーク位置の差、すなわち、平均値μ1,μ2の差についてヒストグラムを作成すると、当該差が「8」の付近が谷となった双峰型のグラフになっている。この場合、所定値として7〜9付近の値を採用することが好ましいということができる。

0039

2つのガウス関数の平均値μ1,μ2の差が所定値以上であるときは、ステップ7の第1散り判定に進む。すなわち、平均値が大きい方のガウス分布に属する確率が高い通電抵抗低下量は散りの発生によると判定する。

0040

このケースのヒストグラム及びフィッティングを図6に示す。この例では、平均値μ1,μ2の差は約23であり、独立した2つのガウス分布曲線B1,B2が得られている。平均値が大きい方(同図右側)のガウス分布(ガウス関数)に属する各通電抵抗低下量ΔRは散りの発生によると判定される。

0041

図7に示すように、2つのガウス分布曲線B1,B2が一部重なっているときは、どちらのガウス分布に属する確率が高いかによって、散りの発生に係る通電抵抗低下量か否かを判定する。例えば、通電抵抗低下量ΔRaは、B1に属する確率の方がB2に属する確率よりも高いから、正常溶接での通電抵抗の低下と判定する。これに対して、通電抵抗低下量ΔRbは、B2に属する確率の方がB1に属する確率よりも高いから、散りの発生による通電抵抗の低下と判定する。

0042

一方、ステップS5の判定がNo(ガウス関数1つでのフィッティングが有意)であるとき、並びに、ステップS6の判定がNo(2つのガウス関数の平均値の差が所定値未満(図3のケース;当該平均値の差は約3.6))であるときは、ステップS8の第2散り判定に進む。

0043

第2散り判定は、カイ二乗検定による散り判定であり、ひとつひとつの抵抗波形について、カイ二乗値を算出する。ここで、例えばn=20サイクルの通電時間で溶接されていると仮定する。まず、当該溶接条件による全ての通電抵抗の経時変化データ(例えば2000個)で、1サイクル目の通電抵抗低下量ΔR1を求める。そして、そのサンプルの標本平均ΔR1_aveと分散ΔR1_σを求め、(ΔR1i−ΔR1_ave)2/ΔR1_σ2を計算する。ΔR2,ΔR3,……,ΔRnについても同様に計算する。最後にこれらを足しあげて、ひとつの抵抗波形データからカイ二乗統計量を算出する。

0044

図8は得られたカイ二乗値のヒストグラムであり、Cは自由度20のカイ二乗分布の理論曲線である。同図の場合、99.99%のパーセント点の値は約52.4であり、この閾値を超えるカイ二乗値を持つ抵抗波形を散りと判定する。

0045

以上のように、本実施形態によれば、溶接時の通電抵抗低下量に係るデータから統計学的に散りの発生を検知するから、溶接時の溶接ガンの撓みのような外乱に影響されることなく、散りの発生を精度良く検知することができる。

0046

1スポット溶接装置
11溶接ガン
14溶接制御装置(タイマー)
15散り検知装置
17電極
18 電極
31データ蓄積手段
32度数分布算出手段
33 判定手段
W ワーク

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ