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技術 液冷ジャケットの製造方法

出願人 日本軽金属株式会社
発明者 堀久司瀬尾伸城
出願日 2019年2月22日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-030894
公開日 2020年8月31日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-131263
状態 未査定
技術分野 圧接、拡散接合
主要キーワード 材料抵抗 丸面取り アルミニウム合金展伸材 アルミニウム合金鋳造材 Cu系アルミニウム合金 段差側面 液冷ジャケット 接線速度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年8月31日)のものです。
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図面 (20)

課題

材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。

解決手段

回転する回転ツールFの攪拌ピンF2のみを封止体3の側面3cに挿入し、攪拌ピンF2の外周面周壁部11の端面11aにわずかに接触させた状態で、突合せ部J1よりも封止体3側に設定された設定移動ルートL1に沿って所定の深さで封止体3の側面3cの廻りに一周させて突合せ部J1を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、本接合工程において、設定移動ルートL1よりもさらに封止体3の表面3a側に終了位置EP1を設定し、突合せ部J1に対する摩擦攪拌接合の後、回転ツールFを終了位置EP1に移動させつつ攪拌ピンF2を徐々に上昇させ終了位置EP1で封止体3から回転ツールFを離脱させることを特徴とする。

概要

背景

例えば、特許文献1には、液冷ジャケットの製造方法が開示されている。図20は、従来の液冷ジャケットの製造方法を示す断面図である。従来の液冷ジャケットの製造方法では、アルミニウム合金製のジャケット本体101の段差部に設けられた段差側面101cと、アルミニウム合金製の封止体102の側面102cとを突き合わせて形成された突合せ部J10に対して摩擦攪拌接合を行うというものである。また、従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツールFの攪拌ピンF2のみを突合せ部J10に挿入して摩擦攪拌接合を行っている。また、従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツールFの回転中心軸Zを突合せ部J10に重ねて相対移動させるというものである。

概要

材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。回転する回転ツールFの攪拌ピンF2のみを封止体3の側面3cに挿入し、攪拌ピンF2の外周面周壁部11の端面11aにわずかに接触させた状態で、突合せ部J1よりも封止体3側に設定された設定移動ルートL1に沿って所定の深さで封止体3の側面3cの廻りに一周させて突合せ部J1を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、本接合工程において、設定移動ルートL1よりもさらに封止体3の表面3a側に終了位置EP1を設定し、突合せ部J1に対する摩擦攪拌接合の後、回転ツールFを終了位置EP1に移動させつつ攪拌ピンF2を徐々に上昇させ終了位置EP1で封止体3から回転ツールFを離脱させることを特徴とする。

目的

本発明は、材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができる液冷ジャケットの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、摩擦攪拌で用いる回転ツール攪拌ピン外周面先細りとなるように傾斜しており、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記封止体の側面に挿入し、前記攪拌ピンの外周面を前記周壁部の前記端面にわずかに接触させた状態で、前記突合せ部よりも封止体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記封止体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、前記本接合工程において、前記設定移動ルートよりもさらに前記封止体の表面側に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記封止体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。

請求項2

前記本接合工程では、前記攪拌ピンの外周面と前記周壁部の前記端面とが平行となるように、前記回転ツールの回転中心軸を前記周壁部の前記端面に対して傾斜させた状態で前記設定移動ルート上の摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項1に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項3

前記本接合工程では、所定の回転速度で前記攪拌ピンを回転させて前記突合せ部の摩擦攪拌接合を行い、前記本接合工程において前記攪拌ピンを離脱させるとき、前記所定の回転速度よりも徐々に回転速度を上げながら終了位置まで移動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項4

底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、摩擦攪拌で用いる回転ツールの攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記封止体の側面に挿入し、前記攪拌ピンの外周面を前記周壁部の前記端面にわずかに接触させた状態で、前記突合せ部よりも封止体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記封止体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記封止体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。

請求項5

前記本接合工程では、前記攪拌ピンの外周面と前記周壁部の前記端面とが平行となるように、前記回転ツールの回転中心軸を前記周壁部の前記端面に対して傾斜させた状態で前記設定移動ルート上の摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項4に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項6

前記本接合工程では、所定の回転速度で前記攪拌ピンを回転させて前記突合せ部の摩擦攪拌接合を行い、前記本接合工程において前記攪拌ピンを離脱させるとき、前記所定の回転速度よりも徐々に回転速度を上げながら前記終了位置まで移動させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項7

底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、摩擦攪拌で用いる回転ツールの攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体の側面に挿入し、前記攪拌ピンの外周面を前記封止体の前記裏面にわずかに接触させた状態で、前記突合せ部よりもジャケット本体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記ジャケット本体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、前記本接合工程において、前記設定移動ルートよりもさらに前記ジャケット本体の底部側に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記ジャケット本体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。

請求項8

前記本接合工程では、前記攪拌ピンの外周面と前記封止体の前記裏面とが平行となるように、前記回転ツールの回転中心軸を前記封止体の前記裏面に対して傾斜させた状態で前記設定移動ルート上の摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項7に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項9

前記本接合工程では、所定の回転速度で前記攪拌ピンを回転させて前記突合せ部の摩擦攪拌接合を行い、前記本接合工程において前記攪拌ピンを離脱させるとき、前記所定の回転速度よりも徐々に回転速度を上げながら前記終了位置まで移動させることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項10

底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、摩擦攪拌で用いる回転ツールの攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体の側面に挿入し、前記攪拌ピンの外周面を前記封止体の前記裏面にわずかに接触させた状態で、前記突合せ部よりも前記ジャケット本体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記ジャケット本体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記ジャケット本体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。

請求項11

前記本接合工程では、前記攪拌ピンの外周面と前記封止体の前記裏面とが平行となるように、前記回転ツールの回転中心軸を前記封止体の前記裏面に対して傾斜させた状態で前記設定移動ルート上の摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項10に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項12

前記本接合工程では、所定の回転速度で前記攪拌ピンを回転させて前記突合せ部の摩擦攪拌接合を行い、前記本接合工程において前記攪拌ピンを離脱させるとき、前記所定の回転速度よりも徐々に回転速度を上げながら前記終了位置まで移動させることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の液冷ジャケットの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、液冷ジャケットの製造方法に関する。

背景技術

0002

例えば、特許文献1には、液冷ジャケットの製造方法が開示されている。図20は、従来の液冷ジャケットの製造方法を示す断面図である。従来の液冷ジャケットの製造方法では、アルミニウム合金製のジャケット本体101の段差部に設けられた段差側面101cと、アルミニウム合金製の封止体102の側面102cとを突き合わせて形成された突合せ部J10に対して摩擦攪拌接合を行うというものである。また、従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツールFの攪拌ピンF2のみを突合せ部J10に挿入して摩擦攪拌接合を行っている。また、従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツールFの回転中心軸Zを突合せ部J10に重ねて相対移動させるというものである。

先行技術

0003

特開2015−131321号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ここで、ジャケット本体101は複雑な形状となりやすく、例えば、4000系アルミニウム合金鋳造材で形成し、封止体102のように比較的単純な形状のものは、1000系アルミニウム合金の展伸材で形成するというような場合がある。このように、アルミニウム合金の材種の異なる部材同士接合して、液冷ジャケットを製造する場合がある。このような場合は、ジャケット本体101の方が封止体102よりも硬度が高くなることが一般的であるため、図20のように摩擦攪拌接合を行うと、攪拌ピンF2が封止体102側から受ける材料抵抗に比べて、ジャケット本体101側から受ける材料抵抗が大きくなる。そのため、回転ツールFの攪拌ピンF2によって異なる材種をバランスよく攪拌することが困難となり、接合後の塑性化領域空洞欠陥が発生し接合強度が低下するという問題がある。

0005

また、攪拌ピンF2を突合せ部J10から離脱させる際、鉛直方向に攪拌ピンF2を引抜くため、摩擦攪拌の終了位置における摩擦熱が過大となる。これにより、当該終了位置において、ジャケット本体101側の金属が封止体102側に混入しやすくなり、接合不良の一因となるという問題がある。

0006

このような観点から、本発明は、材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0007

前記課題を解決するために、本発明は、底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、摩擦攪拌で用いる回転ツールの攪拌ピンの外周面先細りとなるように傾斜しており、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記封止体の側面に挿入し、前記攪拌ピンの外周面を前記周壁部の前記端面にわずかに接触させた状態で、前記突合せ部よりも封止体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記封止体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、前記本接合工程において、前記設定移動ルートよりもさらに前記封止体の表面側に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記封止体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする。

0008

また、本発明は、底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、摩擦攪拌で用いる回転ツールの攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記封止体の側面に挿入し、前記攪拌ピンの外周面を前記周壁部の前記端面にわずかに接触させた状態で、前記突合せ部よりも封止体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記封止体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記封止体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする。

0009

かかる製造方法によれば、封止体と攪拌ピンとの摩擦熱によって突合せ部の主として封止体側の第二アルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化され、突合せ部において周壁部と封止体とを接合することができる。また、攪拌ピンの外周面をジャケット本体の周壁部にわずかに接触させるに留めるため、ジャケット本体から封止体への第一アルミニウム合金の混入を極力少なくすることができる。これにより、突合せ部においては主として封止体側の第二アルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。また、回転ツールを移動させながら攪拌ピンを徐々に離脱させるため、局所的に摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。これにより、摩擦攪拌の終了位置において、ジャケット本体の第一アルミニウム合金が封止体側に混入するのを防ぐことができる。

0010

また、前記本接合工程では、前記攪拌ピンの外周面と前記周壁部の前記端面とが平行となるように、前記回転ツールの回転中心軸を前記周壁部の前記端面に対して傾斜させた状態で前記設定移動ルート上の摩擦攪拌を行うことが好ましい。

0011

かかる製造方法によれば、攪拌ピンと周壁部とをバランスよく接触させることができる。

0012

また、前記本接合工程では、所定の回転速度で前記攪拌ピンを回転させて前記突合せ部の摩擦攪拌接合を行い、前記本接合工程において前記攪拌ピンを離脱させるとき、前記所定の回転速度よりも徐々に回転速度を上げながら終了位置まで移動させることが好ましい。
また、前記本接合工程では、所定の回転速度で前記攪拌ピンを回転させて前記突合せ部の摩擦攪拌接合を行い、前記本接合工程において前記攪拌ピンを離脱させるとき、前記所定の回転速度よりも徐々に回転速度を上げながら前記終了位置まで移動させることが好ましい。

0013

かかる製造方法によれば、摩擦攪拌をより好適に行うことができる。

0014

また、本発明は、底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、摩擦攪拌で用いる回転ツールの攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体の側面に挿入し、前記攪拌ピンの外周面を前記封止体の前記裏面にわずかに接触させた状態で、前記突合せ部よりもジャケット本体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記ジャケット本体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、前記本接合工程において、前記設定移動ルートよりもさらに前記ジャケット本体の底部側に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記ジャケット本体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする。

0015

また、本発明は、底部及び前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第二アルミニウム合金で形成されており、前記封止体は第一アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、摩擦攪拌で用いる回転ツールの攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体の側面に挿入し、前記攪拌ピンの外周面を前記封止体の前記裏面にわずかに接触させた状態で、前記突合せ部よりも前記ジャケット本体側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記ジャケット本体の側面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを徐々に上昇させ前記終了位置で前記ジャケット本体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする。

0016

かかる製造方法によれば、ジャケット本体と攪拌ピンとの摩擦熱によって突合せ部の主としてジャケット本体側の第二アルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化され、突合せ部において周壁部と封止体とを接合することができる。また、攪拌ピンの外周面を封止体にわずかに接触させるに留めるため、封止体からジャケット本体への第一アルミニウム合金の混入を極力少なくすることができる。これにより、突合せ部においては主としてジャケット本体側の第二アルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。また、回転ツールを移動させながら攪拌ピンを徐々に離脱させるため、局所的に摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。これにより、摩擦攪拌の終了位置において、封止体の第一アルミニウム合金がジャケット本体側に混入するのを防ぐことができる。

0017

また、前記本接合工程では、前記攪拌ピンの外周面と前記封止体の前記裏面とが平行となるように、前記回転ツールの回転中心軸を前記封止体の前記裏面に対して傾斜させた状態で前記設定移動ルート上の摩擦攪拌を行うことが好ましい。

0018

かかる製造方法によれば、攪拌ピンと封止体とをバランスよく接触させることができる。

0019

また、前記本接合工程では、所定の回転速度で前記攪拌ピンを回転させて前記突合せ部の摩擦攪拌接合を行い、前記本接合工程において前記攪拌ピンを離脱させるとき、前記所定の回転速度よりも徐々に回転速度を上げながら前記終了位置まで移動させることが好ましい。
また、前記本接合工程では、所定の回転速度で前記攪拌ピンを回転させて前記突合せ部の摩擦攪拌接合を行い、前記本接合工程において前記攪拌ピンを離脱させるとき、前記所定の回転速度よりも徐々に回転速度を上げながら前記終了位置まで移動させることが好ましい。

0020

かかる製造方法によれば、摩擦攪拌をより好適に行うことができる。

発明の効果

0021

本発明に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができる。

図面の簡単な説明

0022

本発明の第一実施形態に係る液冷ジャケットを示す分解斜視図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の載置工程を示す断面図である。
第一実施形態に係る設定移動ルートを示す斜視図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程を示す斜視図である。
第一実施形態に係る本接合工程における開始位置を側方から見た断面図である。
第一実施形態に係る本接合工程における押入区間を側方から見た断面図である。
第一実施形態に係る本接合工程における中間点S1付近進行方向後方から見た断面図である。
第一実施形態に係る本接合工程における終了後を示す斜視図である。
第一実施形態に係る本接合工程における離脱区間を側方から見た断面図である。
本発明の第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法において、本接合工程を示す斜視図である。
第二実施形態に係る本接合工程における押入区間を側方から見た断面図である。
第二実施形態に係る本接合工程における中間点S1付近を進行方向後方から見た断面図である。
第二実施形態に係る本接合工程における終了後を示す斜視図である。
第二実施形態に係る本接合工程における離脱区間を側方から見た断面図である。
本発明の第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法において、本接合工程を示す斜視図である。
第三実施形態に係る本接合工程を進行方向後方から見た断面図である。
第三実施形態に係る本接合工程の終了後を示す斜視図である。
本発明の第四実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法において、本接合工程を示す斜視図である。
第四実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法において、本接合工程の終了後を示す斜視図である。
従来の液冷ジャケットの製造方法を示す断面図である。

実施例

0023

[第一実施形態]
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。第一実施形態に係る液冷ジャケット1は、図1に示すように、ジャケット本体2と封止体3とで構成されている。液冷ジャケット1は、内部に流体流通させて、配置される発熱体を冷却する機器である。ジャケット本体2と封止体3とは摩擦攪拌接合で一体化される。以下の説明における「表面」とは、「裏面」の反対側の面を意味する。

0024

ジャケット本体2は、底部10及び周壁部11で主に構成されている。ジャケット本体2は、本実施形態では第一アルミニウム合金を主に含んで形成されている。第一アルミニウム合金は、例えば、JISH5302ADC12(Al-Si-Cu系)等のアルミニウム合金鋳造材を用いている。

0025

底部10は、矩形を呈する板状部材である。周壁部11は、底部10の周縁部から矩形枠状に立ち上がる壁部である。周壁部11の角は直角でもよいが、本実施形態では丸面取り加工が施されている。底部10及び周壁部11で凹部13が形成されている。なお、本実施形態のジャケット本体2は一体形成されているが、例えば、周壁部11を分割構成としてシール部材で接合して一体化してもよい。

0026

封止体3は、ジャケット本体2の開口部を封止する板状部材である。封止体3の角は直角でもよいが、本実施形態では丸面取り加工が施されている。封止体3は、摩擦攪拌可能な金属であれば特に制限されないが、本実施形態では第二アルミニウム合金を主に含んで形成されている。第二アルミニウム合金は、第一アルミニウム合金よりも硬度の低い材料である。第二アルミニウム合金は、例えば、JIS A1050,A1100,A6063等のアルミニウム合金展伸材で形成されている。

0027

次に、本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法では、準備工程と、載置工程と、本接合工程とを行う。

0028

準備工程は、ジャケット本体2及び封止体3を準備する工程である。ジャケット本体2及び封止体3は、製造方法については特に制限されないが、ジャケット本体2は、例えば、ダイキャスト成形する。封止体3は、例えば押出成形により成形する。

0029

載置工程は、図2に示すように、ジャケット本体2に封止体3を載置する工程である。載置工程によって、周壁部11の端面11aと、封止体3の裏面3bとが突き合わされて突合せ部J1が形成される。突合せ部J1は、封止体3の周囲に沿って平面視矩形状に形成される。周壁部11の側面11cと、封止体3の側面3cとは面一になる。なお、ジャケット本体2と封止体3とは溶接又は摩擦攪拌等により仮接合してもよい。

0030

本接合工程は、図3及び図4に示すように、回転ツールFを用いて突合せ部J1を摩擦攪拌接合する工程である。まず、突合せ部J1よりも封止体3の表面3a側に「設定移動ルートL1」(一点鎖線)を設定する。設定移動ルートL1は、後記する本接合工程において、突合せ部J1を接合するために必要な回転ツールFの移動ルートである。設定移動ルートL1については追って詳述する。

0031

図4に示すように、回転ツールFは、連結部F1と、攪拌ピンF2とで構成されている。回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されている。連結部F1は、摩擦攪拌装置(図示省略)の回転軸に連結される部位である。連結部F1は円柱状を呈し、ボルト締結されるネジ孔(図示省略)が形成されている。

0032

攪拌ピンF2は、連結部F1から垂下しており、連結部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は連結部F1から離間するにつれて先細りになっている。攪拌ピンF2の先端には平坦な平坦面F3(図5参照)を備えている。

0033

攪拌ピンF2の外周面には螺旋溝刻設されている。本実施形態では、回転ツールFを左回転させるため、螺旋溝は、基端から先端に向かうにつれて右回りに形成されている。言い換えると、螺旋溝は、螺旋溝を基端から先端に向けてなぞると上から見て右回りに形成されている。

0034

なお、回転ツールFを右回転させる場合は、螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて左回りに形成することが好ましい。言い換えると、この場合の螺旋溝は、螺旋溝を基端から先端に向けてなぞると上から見て左回りに形成されている。螺旋溝をこのように設定することで、摩擦攪拌の際に塑性流動化した金属が螺旋溝によって攪拌ピンF2の先端側に導かれる。これにより、被接合金属部材(ジャケット本体2及び封止体3)の外部に溢れ出る金属の量を少なくすることができる。

0035

図4に示すように、本接合工程では、開始位置SP1から中間点S1までの押入区間と、設定移動ルートL1上の中間点S1から一周廻って中間点S2までの本区間と、中間点S2から終了位置EP1(図8参照)までの離脱区間の三つの区間を連続して摩擦攪拌接合する。中間点S1,S2は、設定移動ルートL1上に設定されている。開始位置SP1は、封止体3の側面3cにおいて、設定移動ルートL1よりも封止体3の表面3a側に設定されている。本実施形態では、開始位置SP1と中間点S1とを結ぶ線分と、設定移動ルートL1とのなす角度が鈍角となる位置に設定している。

0036

本接合工程の押入区間では、図5及び図6に示すように、開始位置SP1から中間点S1までの摩擦攪拌を行う。押入区間では、封止体3の側面3cに対して回転中心軸Zを垂直にしつつ、左回転させた攪拌ピンF2を開始位置SP1に挿入し、中間点S1まで移動させる。この際、図6に示すように、少なくとも中間点S1に到達するまでに予め設定された「所定の深さ」に達するように攪拌ピンF2を徐々に押し入れていく。つまり、回転ツールFを一ヶ所に留まらせることなく、回転ツールFを設定移動ルートL1に移動させながら徐々に下降させていく。

0037

また、押入区間においては、回転ツールFを移動させつつ、進行方向後方から見た場合(図7参照)に回転ツールFの回転中心軸Zを封止体3側に徐々に傾斜させ、中間点S1に達した際に、攪拌ピンF2の外周面と周壁部11の端面11aとが平行となるように設定する。また、中間点S1に達した際に、攪拌ピンF2の外周面と周壁部11の端面11aとがわずかに接触するように設定する。そして、回転ツールFの傾斜角度を維持した状態で、そのまま本区間の摩擦攪拌接合に移行する。

0038

攪拌ピンF2の外周面と周壁部11の端面11aとの接触代(オフセット量)Nは、例えば、0<N≦1.0mmの間で設定し、好ましくは0<N≦0.85mmの間で設定し、より好ましくは0<N≦0.65mmの間で設定する。

0039

設定移動ルートL1は、図7に示すように、平坦面F3の中心F4が通過する軌跡を示している。つまり、設定移動ルートL1は、突合せ部J1の周方向において、周壁部11の端面11aと攪拌ピンF2の外周面とを平行にしつつ両者がわずかに接触するように設定されている。本区間においては、上方から見た場合(側面11c側から見た場合)に、平坦面F3の中心F4が、設定移動ルートL1と重なるように回転ツールFを移動させる。なお、攪拌ピンF2の「所定の深さ」は、適宜設定すればよく、例えば、塑性流動材が凹部13の内部に流入しない範囲で設定する。

0040

攪拌ピンF2の外周面と周壁部11の端面11aとが接触しないように設定すると、突合せ部J1の接合強度が低くなる。一方、攪拌ピンF2の外周面と周壁部11の端面11aとの接触代Nが1.0mmを超えるとジャケット本体2の第一アルミニウム合金が、封止体3側に大量に混入して接合不良となるおそれがある。

0041

本区間では、図7のように回転ツールFの傾斜状態を維持し、設定移動ルートL1に沿って一周させる。図8に示すように、回転ツールFを一周させて攪拌ピンF2が中間点S2に到達したら、そのまま離脱区間に移行する。離脱区間では、図9に示すように、中間点S2から終了位置EP1に向かうまでの間に攪拌ピンF2を徐々に上方に移動させて、終了位置EP1で封止体3から攪拌ピンF2を離脱させる。つまり、回転ツールFを一ヶ所に留まらせることなく、回転ツールFを終了位置EP1に移動させながら徐々に引抜いていく。また、回転ツールFの回転中心軸Zの傾斜を徐々に元に戻し、終了位置EP1では回転中心軸Zと封止体3の側面3cとが垂直となるようにする。終了位置EP1は、終了位置EP1と中間点S2とが結ぶ線分と設定移動ルートL1とでなす角度が鈍角となる位置に設定する。回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域W1が形成される。

0042

以上説明した本実施形態における液冷ジャケットの製造方法によれば、封止体3と攪拌ピンF2との摩擦熱によって突合せ部J1の主として封止体3側の第二アルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化され、突合せ部J1において封止体3の裏面3bと周壁部11の端面11aとを接合することができる。

0043

また、攪拌ピンF2の外周面を周壁部11の端面11aにわずかに接触させるに留めるため、ジャケット本体2から封止体3への第一アルミニウム合金の混入を極力少なくすることができる。これにより、突合せ部J1においては主として封止体3側の第二アルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。つまり、本接合工程では、攪拌ピンF2の回転中心軸Zに対して一方側と他方側で、攪拌ピンF2が受ける材料抵抗の不均衡を極力少なくすることができる。これにより、塑性流動材がバランス良く摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。

0044

また、本接合工程の押入区間では、開始位置SP1から設定移動ルートL1と重複する位置まで回転ツールFを移動させつつ所定の深さとなるまで攪拌ピンF2を徐々に押入することにより、設定移動ルートL1上で回転ツールFが停止して摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。
同様に、本接合工程の離脱区間では、設定移動ルートL1から終了位置EP1まで回転ツールFを移動させつつ所定の深さから攪拌ピンF2を徐々に上昇させて離脱させることにより、設定移動ルートL1上で回転ツールFが停止して摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。
これらにより、設定移動ルートL1上で摩擦熱が過大となり、ジャケット本体2から封止体3へ第一アルミニウム合金が過剰に混入して接合不良となるのを防ぐことができる。

0045

また、本接合工程において、開始位置SP1及び終了位置EP1の位置は適宜設定すればよいが、開始位置SP1と設定移動ルートL1とのなす角度、終了位置EP1と設定移動ルートL1とのなす角度が鈍角となるように設定することにより、中間点S1,S2で回転ツールFの移動速度が低下することなくスムーズに本区間又は離脱区間に移行することができる。これにより、設定移動ルートL1上で回転ツールFが停止又は移動速度が低下することにより、摩擦熱が過大となることを防ぐことができる。なお、上方から見て回転ツールFの軌跡が円弧を描くように開始位置SP1から設定移動ルートL1に回転ツールFを移動させてもよい。同様に、上方から見て回転ツールFの軌跡が円弧を描くように設定移動ルートL1から終了位置EP1に回転ツールFを移動させてもよい。

0046

また、本実施形態の本接合工程では、回転ツールFの回転方向及び進行方向は適宜設定すればよいが、回転ツールFの移動軌跡に形成される塑性化領域W1のうち、ジャケット本体2側(突合せ部J1側)がシアー側となり、封止体3側がフロー側となるように回転ツールFの回転方向及び進行方向を設定した。ジャケット本体2側がシアー側となるように設定することで、突合せ部J1の周囲における攪拌ピンF2による攪拌作用が高まり、突合せ部J1における温度上昇が期待でき、突合せ部J1において封止体3と周壁部11とをより確実に接合することができる。

0047

なお、シアー側(Advancing side)とは、被接合部に対する回転ツールの外周の相対速度が、回転ツールの外周における接線速度の大きさに移動速度の大きさを加算した値となる側を意味する。一方、フロー側(Retreating side)とは、回転ツールの移動方向の反対方向に回転ツールが回動することで、被接合部に対する回転ツールの相対速度が低速になる側を言う。

0048

また、ジャケット本体2の第一アルミニウム合金は、封止体3の第二アルミニウム合金よりも硬度の高い材料になっている。これにより、液冷ジャケット1の耐久性を高めることができる。また、ジャケット本体2の第一アルミニウム合金をアルミニウム合金鋳造材とし、封止体3の第二アルミニウム合金をアルミニウム合金展伸材とすることが好ましい。第一アルミニウム合金を例えば、JISH5302ADC12等のAl−Si−Cu系アルミニウム合金鋳造材とすることにより、ジャケット本体2の鋳造性、強度、被削性等を高めることができる。また、第二アルミニウム合金を例えば、JIS A1000系又はA6000系とすることにより、加工性熱伝導性を高めることができる。

0049

また、本接合工程においては、突合せ部J1の全周を摩擦攪拌接合できるため、液冷ジャケットの気密性及び水密性を高めることができる。また、本接合工程の終端部分において、回転ツールFが中間点S1を完全に通過してから終了位置EP1に向かうように離脱工程を行う。つまり、本接合工程によって形成された塑性化領域W1の各端部同士をオーバーラップさせることにより、より気密性及び水密性を高めることができる。

0050

また、本接合工程では、回転ツールFの攪拌ピンF2の基端側を露出した状態で摩擦攪拌を行うため、摩擦攪拌装置に作用する負荷を軽減することができる。

0051

なお、本接合工程では、回転ツールFの回転速度を一定としてもよいが、可変させてもよい。本接合工程の押入区間において、開始位置SP1における回転ツールFの回転速度をV1とし、本区間における回転ツールFの回転速度をV2とすると、V1>V2としてもよい。回転速度のV2は、設定移動ルートL1における予め設定された一定の回転速度である。つまり、開始位置SP1では、回転速度を高く設定しておき、押入区間内で徐々に回転速度を低減させながら本区間に移行してもよい。

0052

また、第一本接合工程の離脱区間において、本区間における回転ツールFの回転速度をV2、終了位置EP1において離脱させるときの回転ツールFの回転速度をV3とすると、V3>V2としてもよい。つまり、離脱区間に移行したら、終了位置EP1に向けて徐々に回転速度を上げながら封止体3から回転ツールFを離脱させてもよい。回転ツールFを封止体3に押し入れる際又は封止体3から離脱させる際に、前記のように設定することで、押入工程又は離脱工程時における少ない押圧力を、回転速度で補うことができるため、摩擦攪拌を好適に行うことができる。

0053

[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。第二実施形態では、図10〜13に示すように、本接合工程における開始位置SP1及び終了位置EP1の位置をいずれも設定移動ルートL1上に設定する点で第一実施形態と相違する。第二実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。

0054

第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造では、準備工程と、載置工程と、本接合工程とを行う。準備工程及び載置工程は、第一実施形態と同一である。

0055

本接合工程では、図10に示すように、開始位置SP1を設定移動ルートL1上に設定する。本接合工程では、開始位置SP1から中間点S1までの押入区間と、設定移動ルートL1上の中間点S1から一周廻って中間点S2までの本区間と、中間点S2から終了位置EP1(図13参照)までの離脱区間の三つの区間を連続して摩擦攪拌する。

0056

押入区間では、図10及び図11に示すように、開始位置SP1から中間点S1までの摩擦攪拌を行う。押入区間では、封止体3の側面3cに対して回転中心軸Zを垂直となるようにしつつ、左回転させた攪拌ピンF2を開始位置SP1に挿入し、中間点S1まで移動させる。この際、少なくとも中間点S1に到達するまでに予め設定された「所定の深さ」に達するように攪拌ピンF2を徐々に押し入れていく。

0057

また、押入区間においては、回転ツールFを移動させつつ、進行方向後方から見た場合(図12参照)に回転ツールFの回転中心軸Zを封止体3側に徐々に傾斜させ、中間点S1に達した際に、攪拌ピンF2の外周面と周壁部11の端面11aとが平行となるように設定する。また、中間点S1に達した際に、攪拌ピンF2の外周面と周壁部11の端面11aとがわずかに接触するように設定する。そして、回転ツールFの傾斜角度を維持した状態で、そのまま本区間の摩擦攪拌接合に移行する。攪拌ピンF2の外周面と周壁部11の端面11aとの接触代(オフセット量)N及び設定移動ルートL1の設定は第一実施形態と同一である。

0058

図13に示すように、回転ツールFを一周させて攪拌ピンF2が中間点S2に到達したら、そのまま離脱区間に移行する。離脱区間では、図14に示すように、中間点S2から終了位置EP1に向かうまでの間に攪拌ピンF2を徐々に上方に移動させて、設定移動ルートL1上に設定された終了位置EP1で封止体3から攪拌ピンF2を離脱させる。また、回転ツールFの回転中心軸Zの傾斜を徐々に元に戻し、終了位置EP1では回転中心軸Zと封止体3の側面3cとが垂直となるようにする。

0059

以上説明した第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によっても第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。第二実施形態のように本接合工程における開始位置SP1、終了位置EP1は、設定移動ルートL1上に設定してもよい。

0060

[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。第三実施形態では、ジャケット本体2を第二アルミニウム合金で形成し、封止体3を第二アルミニウム合金よりも硬度の高い第一アルミニウム合金で形成する点で主に第一実施形態と相違する。本実施形態では、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。

0061

図15に示すように、第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法では、準備工程と、載置工程と、本接合工程とを行う。準備工程及び載置工程は第一実施形態と同一である。本接合工程では、右回転させた回転ツールFを開始位置SP2に挿入し、突合せ部J1に対して摩擦攪拌接合を行う。

0062

図15に示すように、本接合工程では、開始位置SP2から中間点S1までの押入区間と、設定移動ルートL1上の中間点S1から周壁部11の廻りを一周して中間点S2までの本区間と、中間点S2から終了位置EP2(図17参照)までの離脱区間の三つの区間を連続して摩擦攪拌する。

0063

設定移動ルートL1は、突合せ部J1よりも底部10側に設定されている。開始位置SP2は、周壁部11の側面11cにおいて、設定移動ルートL1よりもさらに底部10側に設定されている。中間点S1,S2は、設定移動ルートL1上に設定されている。本実施形態では、開始位置SP2と中間点S1とを結ぶ線分と、設定移動ルートL1とのなす角度が鈍角となるように設定している。

0064

押入区間では、開始位置SP2から中間点S1までの摩擦攪拌を行う。押入区間では、周壁部11の側面11cに対して垂直となるように回転中心軸Zを設定しつつ、右回転させた攪拌ピンF2を開始位置SP2に挿入し、中間点S1まで移動させる。この際、少なくとも中間点S1に到達するまでに予め設定された「所定の深さ」に達するように攪拌ピンF2を徐々に押し入れていく。つまり、回転ツールFを一ヶ所に留まらせることなく、回転ツールFを設定移動ルートL1に移動させながら徐々に下降させていく。

0065

また、押入区間においては、回転ツールFを移動させつつ、進行方向後方から見た場合(図16参照)に回転ツールFの回転中心軸Zをジャケット本体2の底部10側に徐々に傾斜させ、中間点S1に達した際に、攪拌ピンF2の外周面と封止体3の裏面3bとが平行となるように設定する。また、中間点S1に達した際に、攪拌ピンF2の外周面と封止体3の裏面3bがわずかに接触するように設定する。そして、その傾斜角度を維持した状態で、そのまま本区間の摩擦攪拌接合に移行する。攪拌ピンF2の外周面と封止体3の裏面3bとの接触代(オフセット量)N及び設定移動ルートL1の設定は第一実施形態と同一である。

0066

図16及び図17に示すように、本区間では、上方から見た場合(側面11c側から見た場合)に、平坦面F3の中心F4が、設定移動ルートL1と重なるように回転ツールFを移動させる。本実施形態の本接合工程では、回転ツールFを右回転させ、進行方向左側に封止体3が位置するようにする。つまり、本接合工程では、突合せ部J1側がシアー側となるように回転ツールFの回転方向及び進行方向を設定する。

0067

図17に示すように、回転ツールFを周壁部11の廻りに一周させて、攪拌ピンF2が中間点S1を通過して中間点S2に到達したら、そのまま離脱区間に移行する。離脱区間では、中間点S2から終了位置EP2に向かうまでの間に攪拌ピンF2を徐々に上方に移動させて、終了位置EP2で封止体3から攪拌ピンF2を離脱させる。また、回転ツールFの回転中心軸Zの傾斜を徐々に元に戻し、終了位置EP2では回転中心軸Zと周壁部11の側面11cとが垂直となるようにする。終了位置EP2は、終了位置EP2と中間点S2とが結ぶ線分と設定移動ルートL1とでなす角度が鈍角となる位置に設定する。回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域W1が形成される。

0068

以上説明した第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法においても、第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。また、第三実施形態のように、ジャケット本体2を第二アルミニウム合金で形成し、封止体3を第二アルミニウム合金よりも硬度の高い第一アルミニウム合金で形成してもよい。

0069

[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。第四実施形態では、図18,19に示すように、本接合工程における開始位置SP2及び終了位置EP2の位置をいずれも設定移動ルートL1上に設定する点で第三実施形態と相違する。第四実施形態では、第三実施形態と相違する部分を中心に説明する。

0070

第四実施形態に係る液冷ジャケットの製造では、準備工程と、載置工程と、本接合工程とを行う。準備工程及び載置工程は、第一実施形態と同一である。第四実施形態では、第三実施形態と同様に、ジャケット本体2を第二アルミニウム合金で形成し、封止体3を第二アルミニウム合金よりも硬度の高い第一アルミニウム合金で形成する。設定移動ルートL1は、第三実施形態と同様に突合せ部J1よりも底部10側に設定する。

0071

本接合工程では、図18に示すように、開始位置SP2を設定移動ルートL1上に設定する。本接合工程では、開始位置SP2から中間点S1までの押入区間と、設定移動ルートL1上の中間点S1から一周廻って中間点S2までの本区間と、中間点S2から終了位置EP2(図19参照)までの離脱区間の三つの区間を連続して摩擦攪拌接合する。

0072

押入区間では、図18及び図19に示すように、開始位置SP2から中間点S1までの摩擦攪拌を行う。押入区間では、周壁部11の側面11cに対して回転中心軸Zを垂直となるようにしつつ、右回転させた攪拌ピンF2を開始位置SP2に挿入し、中間点S1まで移動させる。この際、少なくとも中間点S1に到達するまでに予め設定された「所定の深さ」に達するように攪拌ピンF2を徐々に押し入れていく。

0073

また、押入区間においては、回転ツールFを移動させつつ、進行方向後方から見た場合に回転ツールFの回転中心軸Zを周壁部11側に徐々に傾斜させ、中間点S1に達した際に、攪拌ピンF2の外周面と封止体3の裏面3bとが平行となるように設定する。また、中間点S1に達した際に、攪拌ピンF2の外周面と封止体3の裏面3bとがわずかに接触するように設定する。攪拌ピンF2の外周面と封止体3の裏面3bとの接触代(オフセット量)N及び設定移動ルートL1の設定は第三実施形態と同一である。そして、その傾斜角度を維持した状態で、そのまま本区間の摩擦攪拌接合に移行する。

0074

図19に示すように、回転ツールFを一周させて攪拌ピンF2が中間点S2に到達したら、そのまま離脱区間に移行する。離脱区間では、中間点S2から終了位置EP2に向かうまでの間に攪拌ピンF2を徐々に上方に移動させて、設定移動ルートL1上に設定された終了位置EP2で周壁部11から攪拌ピンF2を離脱させる。また、回転ツールFの回転中心軸Zの傾斜を徐々に元に戻し、終了位置EP2では回転中心軸Zと周壁部11の側面11cとが垂直となるようにする。

0075

以上説明した第四実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によっても第三実施形態と略同等の効果を奏することができる。第四実施形態のように本接合工程における開始位置SP2及び終了位置EP2は、設定移動ルートL1上に設定してもよい。

0076

1液冷ジャケット
2ジャケット本体
3封止体
F回転ツール
F2攪拌ピン
F3平坦面
J1 突合せ部
SP1 開始位置
SP2 開始位置
EP1 終了位置
EP2 終了位置
W1 塑性化領域

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