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技術 付加製造方法、及びこれを用いた加工システム

出願人 ヤマザキマザック株式会社
発明者 鈴木敦大内誠悟石橋和洋
出願日 2019年2月20日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-028063
公開日 2020年8月31日 (2ヶ月経過) 公開番号 2020-131237
状態 特許登録済
技術分野 アーク溶接の制御 プラスチック等のその他の成形、複合成形(変更なし) 数値制御 アーク溶接一般
主要キーワード 基準円直径 付加材料 Y座標 休止点 内蔵カウンタ 黒色矩形 閉ループ形状 スロット溶接
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

アーク溶接を用いて対象物上に溶接付加物を形成する際に、溶接付加物の形状を安定させることができる付加製造方法及びこれを用いた加工システムを提供する。

解決手段

溶接トーチ21を、溶接中心線WCLを跨いでウィービングさせつつ溶接中心線WCLに沿った方向に移動させながら、溶接開始点から連続的に溶接ワイヤWを溶融させて対象物OBJ上に溶接付加物を形成する付加製造方法において、前記溶接付加物を形成しつつ、溶接トーチ21を溶接開始点に向かって移動させ、溶接開始点の手前で形成される溶接付加物において、溶接開始点より奥側に形成された溶接付加物よりも、対象物OBJの単位面積当たりにおける量を増大させ、その後、溶接トーチ21を溶接開始点へと移動させる。

概要

背景

付加材料をワークに溶融・結合させる付加製造(Additive Manufacturing)技術の一つとして、アーク溶接が知られている。アーク溶接にて、例えばワークの表面に環状の溶接ビード積層形成することによって、高さのある円筒状の付加物を形成できる。また、溶接トーチ溶接線に対して左右に揺動させつつ進行させるウィービングという手法を用いることで、溶接線単位長さ当たり多量の溶接付加物を堆積でき、これにより例えば肉厚の円筒状の付加物を形成することができる。

ところで、環状の溶接ビードを形成する場合、溶接ビードの始端終端とを重ねる必要があるが、つなぎ目の形状が安定しないという問題がある。溶接ビードのつなぎ目の形状が安定しないと、次に積層される溶接ビードの形状にゆがみが生じ、精度の良い溶接付加物を形成できない虞れがある。

これに対し特許文献1には、ビード継ぎ重ね溶接開始側および終了側で、アークを発生させる電圧および溶接トーチの走行速度を最適な値に制御することにより、ビード継ぎ部に溶接欠陥を発生させることなく、平滑で良好な溶接ビードを形成できるビード継ぎ重ね溶接の制御方法が開示されている。

概要

アーク溶接を用いて対象物上に溶接付加物を形成する際に、溶接付加物の形状を安定させることができる付加製造方法及びこれを用いた加工システムを提供する。溶接トーチ21を、溶接中心線WCLを跨いでウィービングさせつつ溶接中心線WCLに沿った方向に移動させながら、溶接開始点から連続的に溶接ワイヤWを溶融させて対象物OBJ上に溶接付加物を形成する付加製造方法において、前記溶接付加物を形成しつつ、溶接トーチ21を溶接開始点に向かって移動させ、溶接開始点の手前で形成される溶接付加物において、溶接開始点より奥側に形成された溶接付加物よりも、対象物OBJの単位面積当たりにおける量を増大させ、その後、溶接トーチ21を溶接開始点へと移動させる。

目的

本発明は、アーク溶接を用いて対象物上に溶接付加物を形成する際に、溶接付加物の形状を安定させることができる付加製造方法及びこれを用いた加工システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

トーチを、溶接中心線を跨いでウィービングさせながら前記溶接中心線に沿った方向に移動させ、対象物上に溶接付加物を形成する付加製造方法であって、前記トーチを、溶接開始点から奥側へと移動させた後、手前側から前記溶接開始点に向かって移動させ、前記溶接開始点の手前の所定部分で形成される溶接付加物の前記対象物の単位面積当たりにおける量を、前記溶接開始点より奥側に形成された溶接付加物の前記対象物の単位面積当たりにおける量よりも増大させる、付加製造方法。

請求項2

前記溶接開始点の手前の所定部分で形成される溶接付加物の前記対象物の単位面積当たりにおける量を、前記溶接開始点より奥側に形成された溶接付加物の前記対象物の単位面積当たりにおける量よりも増大させるため、前記溶接開始点の手前において前記溶接中心線を挟んだ2か所の休止点で、前記トーチの移動を所定時間停止させる、請求項1に記載の付加製造方法。

請求項3

前記2つの休止点が一方向のウィービング軌跡上に存在するとき、溶接終了点は、前記一方向のウィービング軌跡に接続する他方向のウィービング軌跡上に存在する、請求項2に記載の付加製造方法。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1項に記載の付加製造方法を実行する加工システムにおいて、前記対象物に対して前記トーチを相対的に移動させる加工部と、前記加工部を制御する制御部と、前記制御部に接続されたインタフェース部とを有し、前記インタフェース部を介して、前記溶接中心線の幾何学的数値、前記ウィービングの周期及び振幅に関する第1の情報を入力可能であり、前記制御部は、入力された前記第1の情報に基づいて、前記トーチを移動させる前記対象物上の座標を算出する、加工システム。

請求項5

前記インタフェース部を介して、前記トーチの移動を停止させる時間、及び前記トーチの移動速度に関する第2の情報を入力可能であり、前記制御部は、入力された前記第2の情報に基づいて、前記加工部の動作を制御する、請求項4に記載の加工システム。

請求項6

過去に入力された前記第2の情報と、対象物の単位面積当たりに形成された溶接付加物の量とをデータベースとして蓄積するメモリを含み、前記制御部は、前記インタフェース部から入力された前記第2の情報と、前記メモリに蓄積された前記データベースとに基づいて、対象物の単位面積当たりにおける溶接付加物の量を推定する、請求項5に記載の加工システム。

請求項7

前記制御部は、前記インタフェース部から入力された前記第1の情報と前記第2の情報のうち少なくとも一方が不適切であると判断した場合、前記インタフェース部を介してエラー情報を表示する、請求項5又は6に記載の加工システム。

技術分野

0001

本発明は、付加製造方法、及びこれを用いた加工システムに関する。

背景技術

0002

付加材料をワークに溶融・結合させる付加製造(Additive Manufacturing)技術の一つとして、アーク溶接が知られている。アーク溶接にて、例えばワークの表面に環状の溶接ビード積層形成することによって、高さのある円筒状の付加物を形成できる。また、溶接トーチ溶接線に対して左右に揺動させつつ進行させるウィービングという手法を用いることで、溶接線単位長さ当たり多量の溶接付加物を堆積でき、これにより例えば肉厚の円筒状の付加物を形成することができる。

0003

ところで、環状の溶接ビードを形成する場合、溶接ビードの始端終端とを重ねる必要があるが、つなぎ目の形状が安定しないという問題がある。溶接ビードのつなぎ目の形状が安定しないと、次に積層される溶接ビードの形状にゆがみが生じ、精度の良い溶接付加物を形成できない虞れがある。

0004

これに対し特許文献1には、ビード継ぎ重ね溶接開始側および終了側で、アークを発生させる電圧および溶接トーチの走行速度を最適な値に制御することにより、ビード継ぎ部に溶接欠陥を発生させることなく、平滑で良好な溶接ビードを形成できるビード継ぎ重ね溶接の制御方法が開示されている。

先行技術

0005

特開平11−77305号公報
特開昭57−41886号公報

発明が解決しようとする課題

0006

特許文献1の技術によれば、つなぎ目を通過後に溶接トーチを一時停止させている。しかしながら、本発明者らの検討結果によれば、溶接トーチをウィービングさせながら、溶接ビードのつなぎ目を通過するように移動させた場合、溶接ビードのつなぎ目にくびれが生じ、その後に溶接トーチを一時停止させても、このくびれが残存することが判明した。

0007

一方、特許文献2には、ウィービング両端部の手前から高電流を付与しつつ、ウィービング両端部で溶接トーチを一時停止させる技術が開示されている。しかしながら、特許文献2の技術は、全てのウィービング両端部で溶接トーチを停止させて、単位時間当り溶接金属量を平均的に増大させるものであり、溶接ビードのつなぎ目にくびれが生じるという問題を解消するものではない。なお、溶接ビードのつなぎ目にくびれが生じるという問題は、閉ループ状に溶接ビードを形成する場合のほか、第1の溶接ビードに第2の溶接ビードをつなぎ合わせる際にも生じうる。

0008

そこで本発明は、アーク溶接を用いて対象物上に溶接付加物を形成する際に、溶接付加物の形状を安定させることができる付加製造方法及びこれを用いた加工システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明の一つの側面によれば、トーチを、溶接中心線を跨いでウィービングさせながら前記溶接中心線に沿った方向に移動させ、対象物上に溶接付加物を形成する付加製造方法であって、
前記トーチを、溶接開始点から奥側へと移動させた後、手前側から前記溶接開始点に向かって移動させ、
前記溶接開始点の手前の所定部分で形成される溶接付加物の前記対象物の単位面積当たりにおける量を、前記溶接開始点より奥側に形成された溶接付加物の前記対象物の単位面積当たりにおける量よりも増大させる。

発明の効果

0010

本発明によれば、アーク溶接を用いて対象物上に溶接付加物を形成する際に、溶接付加物の形状を安定させることができる付加製造方法及びこれを用いた加工システムを提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

図1は、本実施形態の加工システムを示す概略斜視図である。
図2は、加工システムの加工部を示す概略斜視図である。
図3は、制御部における入力処理制御を示すフローチャートである。
図4は、モニタ部に表示される情報の例を示す図である。
図5は、モニタ部に表示される情報の別な例を示す図である。
図6は、加工部を駆動するためのプログラムの例を示す図であり、理解しやすいように数値の説明を付している。
図7は、加工部を駆動する制御部の制御動作を示すフローチャートである。
図8は、環状の溶接付加物を形成するためのウィービング軌跡を示した図である。
図9は、図8の矢印Aで示すウィービング軌跡の一部を拡大して示す図である。
図10(a)は、第1の比較例として対象物上に形成された環状の溶接付加物の図であり、図10(b)は、図10(a)の矢印Bで示す部位を拡大して示す図である。
図11(a)は、第2の比較例として対象物上に形成された環状の溶接付加物の図であり、図11(b)は、図11(a)の矢印Cで示す部位を拡大して示す図である。
図12(a)は、実施例として対象物上に形成された環状の溶接付加物の図であり、図12(b)は、図12(a)の矢印Dで示す部位を拡大して示す図である。

実施例

0012

以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。本明細書で用いる「ウィービング」とは、溶接トーチ(単にトーチともいう)を、溶接中心線を跨いで所定の周期及び振幅でウィービングさせつつ前記溶接中心線に沿った方向に移動させる動作をいい、「溶接中心線」とはウィービングの両振幅の中心を通過する線をいうものとする。

0013

また、「ウィービング軌跡」とは、対象物に対して相対的にウィービングする溶接トーチの移動軌跡をいう。ウィービング軌跡としては、三角波状サインカーブ状など種々の形があるが、いずれの場合でも溶接中心線を一方向に横切った後、他方向に横切ることを周期的に繰り返すものである。ウィービング軌跡の方向が変わる転換点(溶接中心線から周期的に溶接トーチが最も遠ざかる点)をウィービング方向変換点といい、三角波サインカーブ頂点がこれに相当する。ウィービング軌跡上に、第1、第2、第3の3つのウィービング方向変換点がこの順序で連続して存在した場合、第1及び第2のウィービング方向変換点の間が、一方向のウィービング軌跡となり、第2及び第3のウィービング方向変換点の間が、他方向のウィービング軌跡となる。

0014

また、「溶接開始点」とは、ウィービング軌跡上で溶接トーチが溶接付加物の形成を開始する位置をいい、「溶接終了点」とは、ウィービング軌跡上で溶接トーチが溶接付加物の形成を終了する位置をいう。さらに、「溶接開始点の奥側」とは、溶接開始点から溶接付加物の形成が開始された側(例えば溶接中心線を挟んで一方の側)をいう。これに対し、「溶接開始点の手前」とは、ウィービング軌跡に沿って溶接を行いながら溶接開始点へと接近する溶接トーチと、その溶接開始点との間であって溶接開始点の近傍をいい、溶接開始点を基準として、奥側とは異なる側(例えば溶接中心線を挟んで他方の側)になる。
また、本明細書において、溶接開始点及び溶接終了点以外に、溶接トーチが移動の動作を所定の時間停止する点について「休止点」というものとする。なお、休止点における「所定の停止時間」は「ドウェル状態の時間」ともいう。

0015

(加工システムの構成)
図1は、本発明の一実施形態にかかる加工システム10を示す概略斜視図である。図2は、加工システム10の加工部20を示す概略斜視図である。ここで、加工システム10の左右方向をX軸方向とし、奥行き方向をY軸方向とし、高さ方向をZ軸方向とする

0016

加工システム10は、基台11と、基台11上に設けられた筐体12と、筐体12内部に設けられた加工部20と、加工部20を制御する制御部13と、制御部13に接続されたインタフェース部14とを有する。筐体12は開閉可能な扉12aを有する。図1では扉12aは開放した状態で示されているが、扉12aを閉じることで、筐体12内の加工部20は外部から隔離された状態で加工を行うことができる。インタフェース部14は、例えば液晶パネルなどのモニタ部14aと、数値を入力可能なキーパッド部14bとを有する。

0017

また、加工システム10は、筐体12の外部において、溶接トーチ21に溶接ワイヤWを供給するワイヤ供給装置15、溶接トーチ21にシールドガスを供給するシールドガスボンベ16及び溶接トーチ21に電力を供給する溶接機電源17を備える。溶接ワイヤ、シールドガスおよび電力は、ケーブルBLを介して筐体12内の加工部20に供給され、後述するようにして溶接付加物を形成するために用いられる。なお、図示していないが、ケーブルCBLは筐体12内で弛みがあり、溶接トーチ21の移動を阻害することはない。

0018

図2において、加工部20は、ケーブルCBLに接続された溶接トーチ21と、溶接トーチ21をY軸方向に移動させるY軸ステージ22と、Y軸ステージ22をZ軸方向に移動させるZ軸ステージ23と、Z軸ステージ23をX軸方向に移動させるX軸ステージ24と、溶接の対象物OBJをθ軸回りに回転するアクチュエータ25とを有する。簡略化して図示する各軸ステージ22,23,24及びアクチュエータ25は、配線を介して制御部13に接続されており、制御部13からの制御信号に応じて、溶接トーチ21及び対象物OBJを精密に移動させることができる。
なお、加工部20はこれに限られず、例えば以上の要素に加えて対象物OBJをZ軸に平行な軸まわり旋回するアクチュエータや、溶接トーチ21を揺動可能なアクチュエータのいずれかを含め、5軸加工機とすることもできる。

0019

制御部13の制御に従い、加工部20の動作時に、溶接トーチ21にはワイヤ供給装置15から、溶加材としての溶接ワイヤWが供給される。また、シールドガスボンベ16からシールドガスが供給される。更に溶接機電源17が直流電源であれば正の電圧が印加される。一方、対象物OBJは接地されているため、溶接トーチ21を接近させることで、溶接ワイヤWの先端と対象物OBJとの間でアーク放電が生じる。これにより、溶接ワイヤWが溶融して対象物OBJに溶接付加物を形成することができる。

0020

(インタフェース部の数値入力
次に、インタフェース部14を用いた数値入力の一例について説明する。図3は、制御部13における入力処理制御を示すフローチャートの一例である。制御部13は、不図示のスイッチのオン操作に応じて、ステップS01で、例えば図4又は図5に示す表示画面をモニタ部14aに表示する。
図4に示す表示画面においては、複数の数値入力欄ICMと、平面である対象物に溶接付加物を形成するための入力を支援する画像IMG1が表示されている。一方、図5に示す表示画面においては、複数の数値入力欄ICMと、円筒外周面である対象物に溶接付加物を形成するための入力を支援する画像IMG2が表示されている。

0021

より具体的には、画像IMG1は、対象物(図4では平面)上に形成したい溶接付加物及びウィービング軌跡の形状を示すと同時に、更に数値入力欄ICMに入力すべき数値の内容を、それぞれ示している。作業者は、画像IMG1を見ながら、キーパッド部14bを介して、数値入力欄ICMに数値を情報として入力することができる。入力された数値は、インタフェース部14から制御部13へと送信される(ステップS02)。

0022

入力内容の一例を説明すると、作業者は、A:#1と表示された数値入力欄に、溶接付加物を形成する対象物OBJが平面である場合は「1」、円筒外周面である場合は「2」を入力することによって、溶接付加物を形成する対象物OBJの形状を選択することができる。

0023

ここで、A:#1に「1」を入力した場合には、図4に示される画像IMG1が表示される。これに対しA:#1に「2」を入力した場合には、図5に示される画像IMG2が表示される。ただし、A:#1にデフォルト値として「1」または「2」を設定しておき、その後の操作によって入力値切り替え可能としてもよい。

0024

また、スイッチのオン操作後最初のモニタ部14aの表示画面において、画像IMG1、IMG2のいずれも表示せず、A:#1と表示された数値入力欄に「1」又は「2」を入力することで、対応する画像IMG1、IMG2のいずれかを表示できるようにしてもよい。

0025

ここで、作業者が数値を入力する際の数値入力欄ICMの選択は、モニタ部14aがタッチパネルである場合、所望の数値入力欄をタッチすることで行うことができる。或いはキーパッド部14bを介して所望の数値入力欄を選択し、選択された数値入力欄に数値を入力できるようにしてもよい。
また、数値入力欄が選択されたときは、その数値入力欄の表示色が変更され、同時に数値入力欄ICMの下方のメッセージ欄に、該当する数値の説明を表示することができる。さらにメッセージ欄には、過去に適正に入力された数値に基づいて、推奨される数値の範囲を表示することもできる。これを作業者が視認することで、入力ミスを抑制して有効な入力支援を行える。

0026

続いて作業者は、図4の表示画面においてB:#2と表示された数値入力欄には、この例では溶接中心線に一致する基準円の直径(mm)を入力でき、C:#3と表示された数値入力欄には、ウィービングの振幅(mm)を入力できる。また作業者は、I:#4と表示された数値入力欄には、ウィービングの周期(mm)を入力でき、J:#5と表示された数値入力欄には、溶接トーチの移動速度すなわち送り速度(mm/min)を入力できる。更に作業者は、K:#6と表示された数値入力欄には、溶接トーチを停止させるドウェル状態の時間(sec)を入力できる。
B:#2、C:#3、I:#4に入力される数値が第1の情報であり、J:#5、K:#6に入力される数値が第2の情報である。これら数値は、インタフェース部14から制御部13へと送信される(図3のステップS02)。
なお、制御部13に設けた内部または外部のメモリに、予め各数値の許容範囲を記憶しておき、各数値入力欄に入力された数値が許容範囲外となった時、メッセージ欄に「入力された数値は許容範囲外です。」などのエラーメッセージ(エラー情報)を表示させてもよい。各数値の許容範囲は、過去のデータに基づき随時更新されることができる。

0027

一方、図5の表示画面においては、作業者は、B:#2と表示された数値入力欄には、対象物である円筒外径(mm)を入力できる。それ以外は、図4の表示画面で入力する内容と共通するため、重複する説明を省略する。ここで、図4基準円直径及び図5の円筒外径を、溶接中心線の幾何学的数値とする。以下では、図4の表示画面に基づき入力がなされたものとして説明を行う。

0028

図3のステップS03で、制御部13は、入力された基準円直径、ウィービングの振幅及び周期に基づいて、対象物上においてトーチを移動すべきウィービング方向変換点の座標演算し、図6に示すような加工部20の動作プログラム自動作成する。以上で、インタフェース部14の入力動作は終了する。
なお、制御部13は内部または外部のメモリに、過去に入力された溶接トーチの送り速度及びドウェル状態の時間に対応付けて、それにより形成された溶接付加物の幅(及び/または高さ)をデータベースとして蓄積できる。蓄積されたデータベースと、新たに入力された溶接トーチの送り速度及びドウェル状態の時間とに基づいて、制御部13は、これから形成される溶接付加物の幅(及び/または高さ)を推定でき、これに基づき対象物上の単位面積当たりの溶接付加物の量を求めることができる。推定された溶接付加物の幅(及び/または高さ)は、作業者の要求に応じてインタフェース部14で表示できる。

0029

入力作業簡素化の実現)
仮にインタフェース部14を用いない場合、作業者は図6に一例を示す動作プログラムを手入力した上で、制御部13に読み込ませなければならない。このため、動作プログラムの手入力には膨大な工数がかかるとともに、入力ミスも生じやすい。従来の動作プログラムの作成方法では、基本的に溶接トーチの、少なくともウィービング方向変換点についてXY座標を個々に特定する必要がある。具体的には図6に示すように、溶接開始点を原点としたときに、各ウィービング方向変換点のXY座標について、その数(ここではm個)分の座標を入力し、更にドウェル状態の時間を適切な位置に入力しなくてはならない。
これに対し本実施の形態によれば、インタフェース部14を用いた対話型で数値入力を行った後、制御部13が加工部20の動作プログラムを自動作成するので、入力が容易であり、入力ミスも防げ、更には数値の修正も容易である。

0030

(加工部の動作)
次に、制御部13に制御された加工部20の動作について説明する。図7は、加工部20を駆動する制御部13の制御動作を示すフローチャートである。図8は、X軸を横軸とし、Y軸を縦軸として、対象物表面に2次元座標を設定し、その上に、環状の溶接付加物を形成するためのウィービング軌跡WTを示した図である。ここで溶接中心線は円であるものとする。図9は、図8の矢印Aで示すウィービング軌跡の一部を拡大して示す図である。

0031

図9において、制御部13にて決定された数値に従って加工部20が駆動され、ウィービング軌跡WTに沿って溶接トーチ21の中心が移動する。ここでは、ウィービング軌跡WTは溶接中心線WCLに沿った三角波状であり、m個のウィービング方向変換点及び溶接開始点の座標が、制御部13にて以下の通り決定されたものとする。
ウィービング方向変換点:(X1、Y1)、・・・・(Xm−1、Ym−1)、(Xm、Ym)
溶接開始点:(X0、Y0)

0032

また、ウィービング方向変換点は、図8に示すように、溶接トーチ21を移動させる左回りの順序で、溶接開始点から数えて第1番目のウィービング方向変換点(X1、Y1)、・・・第m番目のウィービング方向変換点(Xm、Ym)と、順に名付けるものとする。更に、図9に示すように、溶接開始点(X0、Y0)は溶接中心線WCL上にあるものとする。

0033

図1に示す溶接トーチ21にはワイヤ供給装置15から、溶加材としての溶接ワイヤWが供給され、シールドガスボンベ16からシールドガスが供給され、また溶接機電源17が直流電源であれば正の電圧が印加されている。以下、溶接付加物の形成工程について具体的に説明する。

0034

図7のステップS11において、制御部13は、加工部20の溶接トーチ21をZ軸方向に沿って対象物OBJに近接させ、溶接開始点(X0、Y0)へと移動させる。溶接トーチ21が対象物OBJに所定距離まで接近したときアーク放電が生じ、溶接ワイヤWが溶融して対象物OBJの表面に落下する。これによりステップS12にて、溶接開始点(X0、Y0)から溶接付加物が形成され、更に溶接トーチ21を移動させることで連続した溶接ビードが形成される。

0035

ステップS13で、制御部13は、溶接付加物を形成している溶接トーチ21を、第1番目のウィービング方向変換点(X1、Y1)に向かって移動させる。ここでは、溶接トーチ21の移動を、Y軸方向の移動及びX軸方向のシフトを1パターンとして、複数パターンを繰り返すことで行う。ただし、Y軸方向とX軸方向の移動を同時に行ってもよい。さらに、制御部13は内蔵カウンタをn=1とする。

0036

ステップS14で、制御部13は内蔵カウンタをn=n+1と繰り上げ、ステップS15で、更に溶接トーチ21を第n番目(ここでは第2番目)のウィービング方向変換点に向かって移動させる。更に制御部13は、ステップS16において、n=m−1か否か(すなわち最後のウィービング方向変換点より1つ前のウィービング方向変換点か否か)を判定し、n=m−1でなければ、制御フローをステップS14へと戻して、次のウィービング方向変換点に向かって溶接トーチ21を移動させる。

0037

そして、ステップS16において、n=m−1であると判定した場合、すなわち溶接トーチ21が到達したウィービング方向変換点が、最後のウィービング方向変換点から一つ手前のウィービング方向変換点(Xm−1、Ym−1)であると判定した場合、ステップS17において、制御部13は、溶接付加物を形成しつつ(溶接ワイヤWの送り込み及び溶接電流・電圧を変化させず)、溶接トーチ21をドウェル状態とし、所定時間(ここでは0.2sec)だけ停止させる。

0038

その後、ステップS18で、制御部13は、溶接トーチ21を溶接中心線WCLを跨いで、第m番目のウィービング方向変換点(Xm、Ym)に向かって移動させ、更にステップS19で溶接付加物を形成しつつ(溶接ワイヤWの送り込み及び溶接電流・電圧を変化させず)、溶接トーチ21を所定時間(ここでは0.2sec)だけ停止させる。

0039

図9では、第m番目のウィービング方向変換点(Xm、Ym)まで、溶接トーチ21が到達した状態でのウィービング軌跡WTを黒色矩形で示しているが、第m番目のウィービング方向変換点(Xm、Ym)から溶接開始点(X0、Y0)までのウィービング軌跡は点線白抜き矩形で示している。この例では、第(m−1)番目のウィービング方向変換点(Xm−1、Ym−1)と、第m番目のウィービング方向変換点(Xm、Ym)が、溶接トーチ21を停止させる休止点となる。

0040

さらに、図7のステップS20で、溶接トーチ21を溶接中心線WCL上にある溶接開始点(X0、Y0)に向かって(溶接を開始した側とは溶接開始点を挟んで反対の側から)移動させ、溶接開始点(X0、Y0)で溶接トーチ21を対象物OBJからZ軸方向に離間させることで、アーク溶接を終了する。これにより、溶接終了点が溶接開始点になり、ウィービング軌跡は閉ループ状となって、環状の溶接付加物を形成できる。溶接付加物を複数層重ねたい場合、さらに図7のステップS11〜S20を所望の回数だけ繰り返せばよい。

0041

以上の例では、溶接終了点が、溶接中心線WCLを跨いだ一方向(図9で左上向き)のウィービング軌跡上に存在しており、2つの休止点は、一方向のウィービング軌跡に接続する他方向(図9で左下向き)のウィービング軌跡上に存在している。休止点は、必ずしもウィービング方向変換点上にある必要はなく、その近傍であってもよい。
なお、溶接終了点の座標を溶接開始点の座標と厳密に一致させる必要はない。両者はウィービング全振幅の10%以下で近接していると好ましい。

0042

本実施形態によれば、制御部13は、インタフェース部14から入力された溶接トーチ21の移動速度とドウェル状態の時間に基づいて、溶接トーチ21の動作を制御することができる。より具体的には、制御部13が2つの休止点で溶接トーチ21の移動をドウェル状態の時間だけ停止させ、それ以外の場所では一定速度で移動させることができる。これにより、対象物OBJの単位面積当たりの溶接付加物の量を調整できる。
したがって、溶接開始点の手前で形成される溶接付加物において、溶接開始点より奥側に形成された溶接付加物よりも、対象物OBJの単位面積当たりにおける量を増大させることができるので、溶接開始点近傍での溶接付加物を安定して形成することができる。
なお、休止点における溶接トーチ21の移動を停止するドウェル状態の時間は、溶加材の素材などによって変更することができる。ドウェル状態の時間は、例えば0.1sec〜1secであると好ましい。

0043

また、例えば図4における例においては、2つの休止点における溶接トーチ21の移動を停止する時間を、円形である溶接中心線の内側(第m変更点)に対し外側(第(m−1)変更点)で相対的に長くするなど、互いに異ならせてもよい。この場合、図4の数値入力欄ICMにおけるK:#6に、停止時間を各々入力できるようにしてもよい。あるいは、2つの休止点のうち一方の休止点での停止時間をK:#6に入力すると、他方の休止点の停止時間は、一方の休止点の停止時間に所定の時間差加算(又は減算)するなどして自動計算されるようにしてもよい。

0044

また、本実施形態では、2つの休止点で溶接トーチ21の移動を停止することにより、溶接開始点の手前で形成される溶接付加物において、溶接開始点より奥側に形成された溶接付加物よりも、対象物OBJの単位面積当たりにおける量を部分的に増大させているが、溶接付加物の量を異ならせる手法はこれに限られない。例えば、溶接開始点の手前で休止する代わりに、溶接トーチ21の移動速度を遅くする、或いは溶接開始点の手前で溶接電圧・電流を増大させることによっても、同様の効果を得ることができる。

0045

(本加工システムの特徴)
本実施の形態によれば、インタフェース部14を用いた対話型で数値入力を行った後、制御部13が加工部20の動作プログラムを自動作成するので、入力が容易であり、入力ミスも防げ、更には数値の修正も容易である。また、制御部13が不適切な入力と判定したときは、インタフェース部14がエラーメッセージを表示するので、不適切な溶接付加物の形成を未然に防止できる。

0046

(実施例)
図10〜12に、本発明者らが行った実験結果を示す。図10に示す比較例は、平面である対象物に形成された環状の溶接付加物であり、溶接トーチを休止させることなく一定速度で移動させ、溶接開始点と溶接終了点とを一致させたものである。図10(b)から明らかなように、溶接開始点近傍において、溶接付加物のくびれが生じ、つなぎ目が不安定となることがわかる。

0047

図11に示す比較例は、同様に平面である対象物に形成された環状の溶接付加物であるが、溶接トーチを休止させることなく一定速度で移動させ、溶接開始点を通過した後に溶接トーチを停止させて溶接終了点としたものである。図11(b)から明らかなように、溶接開始点近傍において、図10(b)と同様に溶接付加物のくびれが生じ、つなぎ目が不安定となることがわかる。

0048

図12に示す実施例は、同様に平面である対象物に形成された環状の溶接付加物であるが、図8〜10に示す実施形態に従って、溶接トーチを2つの休止点で停止させ、溶接開始点と溶接終了点とを一致させたものである。図12(b)から明らかなように、溶接開始点近傍において溶接付加物のくびれがなく、つなぎ目が安定していることがわかる。図12の環状の溶接付加物に重ねて、同じ形状の溶接付加物を複数層積層しても、周方向の高さを均一に維持することができるから、精度の良い円筒形状を形成することができる。

0049

なお、本発明は、上記した実施例の構成に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、加工部20は、タレット旋盤複合旋盤でも、或いは立形マシニングセンタ横形マシニングセンタを用いてもよいが、特に5軸マシニングセンタを好適に用いることができる。
また、使用できるアーク溶接としては、被覆アーク溶接ミグ溶接マグ溶接ティグ溶接プラズマ溶接などが挙げられる。さらに、溶接付加物の形成の目的としては、肉盛り開先溶接隅肉溶接、せん溶接、スロット溶接などの継手溶接であってもよい。溶接付加物を形成する対象物は、平面に限らず3次元形状を有するものであってもよい。たとえば長尺材を一回転させながら外周を肉盛りする場合なども相当する。

0050

溶接付加物の形としては、環状に限らず、多角形状など種々の閉ループ形状を採用できる。ただし、必ずしも溶接中心線が閉ループを描く必要はない。例えば、対象物の中央(溶接開始点)から右端に向けて溶接を行い、その後対象物の左端から中央の溶接開始点に向けて溶接を行う場合も、本発明を適用できる。
本発明は、既に形成された溶接ビードの端部に続けて溶接ビードを延長する場合、あるいは2つ以上の溶接ビードの端部同士を、新たな溶接ビードで連結する場合など、つなぎ目を安定させるのに有効である。

0051

10・・加工システム、11・・基台、12・・筐体、13・・制御部、14・・インタフェース部、15・・ワイヤ供給装置、16・・シールドガスボンベ、17・・溶接機電源、20・・加工部、21・・溶接トーチ、22・・Y軸ステージ、23・・Z軸ステージ、24・・X軸ステージ、25・・アクチュエータ

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