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技術 セルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤ

出願人 日鉄溶接工業株式会社
発明者 鳥谷部正明行方飛史水田寛規
出願日 2019年2月19日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2019-027461
公開日 2020年8月31日 (5ヶ月経過) 公開番号 2020-131234
状態 未査定
技術分野 溶接用非金属材料(フラックス) 溶接材料およびその製造
主要キーワード 屋外作業 不可避不純物中 耐欠陥性 弗化ソーダ 目視試験 フェロチタン シールド剤 溶接環境
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年8月31日)のものです。
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課題

解決手段

ワイヤ全質量に対する質量%で、ステンレス鋼外皮フラックスの合計で、C:0.04%以下、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.5〜3.0%、Ni:10〜14%、Cr:22.0〜25.5%、Mo:2.0〜3.0%、Ti:0.01〜0.5%を含有し、フラックス中に、TiO2換算値の合計:4.0〜7.5%、SiO2換算値の合計:0.2〜1.8%、ZrO2換算値の合計:0.01〜0.10%、Al2O3換算値の合計:0.01〜0.10%、Bi換算値の合計:0.01〜0.10%、Na換算値及びK換算値の合計:0.01〜0.20%、F換算値の合計:0.1〜1.0%を含有することを特徴とする。

概要

背景

セルフシールドアーク溶接法は、自動溶接法の一つであり、溶接時においてワイヤ中充填されたフラックスが分解して発生するガスにより、アーク中の溶滴及び溶融池大気と接触するのを防止しながら溶接を行う方法である。このようなセルフシールドアーク溶接法では、溶接トーチからシールドガスを外部から供給しなくても溶接することができる。このため、セルフシールドアーク溶接法は、耐風性に優れていることから、土木及び建築などの屋外作業分野に適用され、シールドガスや溶接環境無風状態にする天幕設置などのコストが削減できるというメリットがあり、鋼管杭コンクリートパイルなどの現地溶接継手の一部にセルフシールドアーク溶接が適用されている。また、ステンレス鋼などの構造物においても、シールドガス削減などのコストメリットの点から、一部でセルフシールドアーク溶接が肉盛溶接などに適用されている。

セルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤは、シールドガスが無い状態でステンレス鋼の溶接に用いられるため、アーク雰囲気や溶融池を大気から保護する目的から、シールド剤として弗素化合物金属炭酸塩などを多量に含んでいる。そのため、通常のガスシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤと比較すると、溶接時のスパッタ発生量が多く、ビード形状が不良などの溶接作業性が悪くなる。また、大気中の窒素溶融金属中に固溶されてフェライト量が低下するため、耐割れ性が悪くなる。さらに、固溶限界を超えた窒素がブローホールを発生させやすくなり、溶接金属靭性も悪くなるといった問題がある。以上のことから、耐欠陥性及び耐割れ性が良好で、かつ、靭性に優れる溶接金属が得られ、かつ溶接作業性が良好なセルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤの開発が望まれている。

セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、例えば、特許文献1において、溶接用ワイヤ中にAl、Mg、金属弗化物、Liフェライトオーステナイト系元素各含有量を限定したセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤが開示されている。特許文献1に記載のフラックス入りワイヤをセルフシールドアーク溶接に適用した場合、溶接用ワイヤ中のAl及びMgの含有量が多いので、溶滴移行中に脱酸反応が過剰に促進されて円滑な溶滴移行が行われず、溶接時のスパッタ発生量が多くなる。

また、特許文献2には、溶接用ワイヤ中にAl、Mg、CaF2、金属炭酸塩の各含有量を限定したセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤが開示されている。しかし、特許文献2に記載のワイヤでは、ステンレス鋼の溶接においてスラグ剥離性ビード外観などの溶接作業性は良好であるものの、溶接金属の靭性が不十分であるといった問題点があった。

概要

耐欠陥性及び耐割れ性が良好で、靭性に優れる溶接金属が得られ、かつ溶接作業性が良好なセルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤを提供する。ワイヤ全質量に対する質量%で、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計で、C:0.04%以下、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.5〜3.0%、Ni:10〜14%、Cr:22.0〜25.5%、Mo:2.0〜3.0%、Ti:0.01〜0.5%を含有し、フラックス中に、TiO2換算値の合計:4.0〜7.5%、SiO2換算値の合計:0.2〜1.8%、ZrO2換算値の合計:0.01〜0.10%、Al2O3換算値の合計:0.01〜0.10%、Bi換算値の合計:0.01〜0.10%、Na換算値及びK換算値の合計:0.01〜0.20%、F換算値の合計:0.1〜1.0%を含有することを特徴とする。 なし

目的

以上のことから、耐欠陥性及び耐割れ性が良好で、かつ、靭性に優れる溶接金属が得られ、かつ溶接作業性が良好なセルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤの開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

ステンレス鋼外皮の中にフラックス充填してなるセルフシールドアーク溶接ステンレス鋼フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、ステンレス鋼外皮とフラックスとの合計で、C:0.04%以下、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.5〜3.0%、Ni:10〜14%、Cr:22.0〜25.5%、Mo:2.0〜3.0%、Ti:0.01〜0.5%を含有し、さらに、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックス中に、Ti酸化物のTiO2換算値の合計:4.0〜7.5%、Si酸化物のSiO2換算値の合計:0.2〜1.8%、Zr酸化物のZrO2換算値の合計:0.01〜0.10%、Al酸化物のAl2O3換算値の合計:0.01〜0.10%、Bi及びBi酸化物の一方または両方のBi換算値の合計:0.01〜0.10%、Na化合物のNa換算値及びK化合物のK換算値の1種または2種の合計:0.01〜0.20%、弗素化合物のF換算値の合計:0.1〜1.0%を含有し、残部がステンレス鋼外皮のFe分鉄粉のFe分、鉄合金のFe分及び不可避不純物からなることを特徴とするセルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤ。

技術分野

0001

本発明は、シールドガスを必要としないステンレス鋼セルフシールドアーク溶接に適用され、特に耐欠陥性及び耐割れ性が良好で、靭性に優れる溶接金属が得られ、かつ溶接作業性が良好なセルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤに関する。

背景技術

0002

セルフシールドアーク溶接法は、自動溶接法の一つであり、溶接時においてワイヤ中充填されたフラックスが分解して発生するガスにより、アーク中の溶滴及び溶融池大気と接触するのを防止しながら溶接を行う方法である。このようなセルフシールドアーク溶接法では、溶接トーチからシールドガスを外部から供給しなくても溶接することができる。このため、セルフシールドアーク溶接法は、耐風性に優れていることから、土木及び建築などの屋外作業分野に適用され、シールドガスや溶接環境無風状態にする天幕設置などのコストが削減できるというメリットがあり、鋼管杭コンクリートパイルなどの現地溶接継手の一部にセルフシールドアーク溶接が適用されている。また、ステンレス鋼などの構造物においても、シールドガス削減などのコストメリットの点から、一部でセルフシールドアーク溶接が肉盛溶接などに適用されている。

0003

セルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤは、シールドガスが無い状態でステンレス鋼の溶接に用いられるため、アーク雰囲気や溶融池を大気から保護する目的から、シールド剤として弗素化合物金属炭酸塩などを多量に含んでいる。そのため、通常のガスシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤと比較すると、溶接時のスパッタ発生量が多く、ビード形状が不良などの溶接作業性が悪くなる。また、大気中の窒素溶融金属中に固溶されてフェライト量が低下するため、耐割れ性が悪くなる。さらに、固溶限界を超えた窒素がブローホールを発生させやすくなり、溶接金属の靭性も悪くなるといった問題がある。以上のことから、耐欠陥性及び耐割れ性が良好で、かつ、靭性に優れる溶接金属が得られ、かつ溶接作業性が良好なセルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤの開発が望まれている。

0004

セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、例えば、特許文献1において、溶接用ワイヤ中にAl、Mg、金属弗化物、Liフェライトオーステナイト系元素各含有量を限定したセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤが開示されている。特許文献1に記載のフラックス入りワイヤをセルフシールドアーク溶接に適用した場合、溶接用ワイヤ中のAl及びMgの含有量が多いので、溶滴移行中に脱酸反応が過剰に促進されて円滑な溶滴移行が行われず、溶接時のスパッタ発生量が多くなる。

0005

また、特許文献2には、溶接用ワイヤ中にAl、Mg、CaF2、金属炭酸塩の各含有量を限定したセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤが開示されている。しかし、特許文献2に記載のワイヤでは、ステンレス鋼の溶接においてスラグ剥離性ビード外観などの溶接作業性は良好であるものの、溶接金属の靭性が不十分であるといった問題点があった。

先行技術

0006

特開平10−180487号公報
特開平6−269991号公報

発明が解決しようとする課題

0007

そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、シールドガスを必要しないステンレス鋼のセルフシールドアーク溶接に適用され、耐欠陥性及び耐割れ性が良好で、靭性に優れる溶接金属が得られ、かつ溶接作業性が良好なセルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明に係るセルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤは、上述した課題を解決するために、ステンレス鋼外皮にフラックスを充填してなるセルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計で、C:0.04%以下、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.5〜3.0%、Ni:10〜14%、Cr:22.0〜25.5%、Mo:2.0〜3.0%、Ti:0.01〜0.5%を含有し、さらに、フラックス中に、Ti酸化物のTiO2換算値の合計:4.0〜7.5%、Si酸化物のSiO2換算値の合計:0.2〜1.8%、Zr酸化物のZrO2換算値の合計:0.01〜0.10%、Al酸化物のAl2O3換算値の合計:0.01〜0.10%、Bi及びBi酸化物の一方または両方のBi換算値の合計:0.01〜0.10%、Na化合物のNa換算値及びK化合物のK換算値の1種または2種の合計:0.01〜0.20%、弗素化合物のF換算値の合計:0.1〜1.0%を含有し、残部がステンレス鋼外皮のFe分鉄粉のFe分、鉄合金のFe分及び不可避不純物からなることを特徴とする。

発明の効果

0009

本発明のセルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤによれば、シールドガスを必要しないステンレス鋼のセルフシールドアーク溶接で、耐欠陥性及び耐割れ性が良好で、靭性に優れる溶接金属が得られ、かつ、溶接作業性が良好であるなど、低コストで高品質溶接部を得ることができる。

0010

本発明者らは、上記の課題を解決するために、各種成分組成のフラックス入りワイヤを試作して詳細に検討した。その結果、N固溶度の高いCrを調整することによって、大気中から混入するNをオーステナイト相に固溶し、ブローホールなどの発生を低減させ、耐欠陥性を向上できることを見出した。

0011

ただし、Nはオーステナイト生成元素のため、溶接金属中のフェライト量が低くなり、耐高温割れ性が低くなるといった問題がある。そこで、オーステナイト生成元素であるNi添加量の適正化を行うことによって、フェライト量を低く抑え、耐割れ性が向上できることを見出した。

0012

また、大気中のNをオーステナイト相に固溶させると、溶接金属とスラグ界面に窒化物を生成し、スラグ剥離性が低下するため、さらなる検討を行った結果、ZrO2を調整することによって、スラグ界面の窒化物を抑制し、スラグ剥離性を向上できることを見出した。

0013

溶接作業性については、Si、Mn、Ti、Ti酸化物、Si酸化物、Al酸化物、Bi、Na化合物とK化合物及び弗素化合物を調整することで良好にすることができ、また、溶接金属の機械的性能については、C、Ni、Mo等を調整することで、優れた靭性が得られることを見出した。

0014

本発明を適用したセルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤは、ステンレス鋼外皮及び充填フラックスの各成分組成それぞれの単独及び共存による相乗効果によりなし得たものである。以下にそれぞれの各成分組成の添加理由及びその含有量の限定理由を述べる。なお、各成分組成の含有量は、ワイヤ全質量に対する質量%で示し、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計で、以下のとおりに限定する。以下、各成分組成における質量%は、単に%と記載する。

0015

[C:0.04%以下]
Cは、ステンレス鋼外皮、鉄粉、フェロマンガン及びフェロシリコンマンガン等の合金粉から添加される。Cが0.04%超の場合、Cr炭化物を生成して溶接金属の靭性を劣化させる。従って、Cは0.04%以下とする。

0016

[Si:0.1〜1.0%]
Siは、ステンレス鋼外皮、金属シリコン、フェロシリコン及びフェロシリコンマンガン等の合金粉から添加され、ビード形状を改善する効果を有する。Siが0.1%未満では、溶融金属粘性が高くなるので、ビードが凸形状となりビード形状が不良になる。一方、Siが1.0%を超えると、溶接時の脱酸反応によって形成されるスラグが過多となり、スラグ被包性が不良になる。従って、Siは0.1〜1.0%とする。

0017

[Mn:0.5〜3.0%]
Mnは、ステンレス鋼外皮、金属マンガン、フェロマンガン及びフェロシリコンマンガン等の合金粉から添加され、低融点化合物偏析を低減して耐割れ性を改善する効果を有する。Mnが0.5%未満では、オーステナイト粒界に低融点化合物が偏析して耐割れ性が不良になる。一方、Mnが3.0%を超えると、溶接時に生じる脱酸反応によって溶滴移行が阻害されてアークが不安定になる。従って、Mnは0.5〜3.0%とする。

0018

[Ni:10〜14%]
Niは、ステンレス鋼外皮、金属ニッケル及びフェロニッケル等の合金粉から添加され、オーステナイト相を安定化させる元素であり、フェライト量を調整して溶接金属の靱性及び耐割れ性を改善する効果を有する。Niが10%未満では、オーステナイトの晶出量が減少してフェライト量が高くなって溶接金属の靭性が低くなる。一方、Niが14%を超えると、溶接金属中のフェライトの晶出量が少なくなり、低融点化合物の偏析が助長されて耐割れ性が不良になる。従って、Niは10〜14%とする。

0019

[Cr:22.0〜25.5%]
Crは、ステンレス鋼外皮、金属クロム及びフェロクロム等の金属粉から添加され、フェライト相を安定化させると共に、N固溶度を増加させてブローホールなどの耐欠陥性を改善する効果を有する。Crが22.0%未満では、固溶限界を超えた窒素によりブローホールなどの溶接欠陥が発生しやすくなる。一方、Crが25.5%を超えると、溶接金属中のCr窒化物の生成が多くなり、溶接金属の靭性が低くなる。従って、Crは22.0〜25.5%とする。

0020

[Mo:2.0〜3.0%]
Moは、ステンレス鋼外皮、金属モリブデン及びフェロモリブデン等の合金粉から添加され、溶接金属の靭性を改善する効果を有する。Moが2.0%未満では、上記の効果が不十分で溶接金属の靭性が低くなる。一方、Moが3.0%を超えると、溶接金属中にシグマ相析出して脆化し溶接金属の靭性が低くなる。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でMoは2.0〜3.0%とする。

0021

[Ti:0.01〜0.5%]
Tiは、ステンレス鋼外皮、金属チタン及びフェロチタン等の合金粉から添加され、スラグ剥離性を改善する効果を有する。Tiが0.01%未満では、スラグ剥離性が悪くなる。一方、Tiが0.5%を超えると、溶滴移行時の脱酸反応によって、溶滴の一部がスパッタとなるのでスパッタ発生量が多くなる。従って、Tiは0.01〜0.5%とする。

0022

フラックス中に含有する成分組成は、ワイヤ全質量に対する質量%で、以下の通りに含有する。

0023

[Ti酸化物のTiO2換算値の合計:4.0〜7.5%]
Ti酸化物は、ルチール酸化チタンチタン酸ソーダチタンスラグイルミナイト等から添加され、アークを持続して溶滴移行を安定させる効果がある。Ti酸化物のTiO2換算値の合計が4.0%未満であると、溶滴の移行が阻害されてアークが不安定になる。一方、Ti酸化物のTiO2換算値の合計が7.5%を超えると、溶接直後高温域でスラグが自然剥離してビード表面テンパーカラーが発生するため、ビード外観が不良になる。従って、Ti酸化物のTiO2換算値の合計は4.0〜7.5%とする。

0024

[Si酸化物のSiO2換算値の合計:0.2〜1.8%]
Si酸化物は、珪砂ジルコンサンド等より添加され、スラグ形成剤として作用してビード形状を改善する効果がある。Si酸化物のSiO2換算値の合計が0.2%未満であると、スラグの粘性が高くなってビードが凸形状となりビード形状が不良になる。一方、Si酸化物のSiO2換算値の合計が1.8%を超えると、スラグ粘性が低くなり、スラグ被包性が不良になる。従って、Si酸化物のSiO2換算値の合計は0.2〜1.8%とする。

0025

[Zr酸化物のZrO2換算値の合計:0.01〜0.10%]
Zr酸化物は、ルチールなどのチタン酸化物カリ長石硅砂不純物として含有され、微量でスラグ剥離性を改善する効果を有する。Zr酸化物のZrO2換算値の合計が0.01%未満であると、上記の効果が不十分で、スラグ剥離性が不良となる。一方、Zr酸化物のZrO2換算値の合計が0.10%を超えると、大気中から侵入するNとの親和力が高いので、Nと化合物を形成してビード表面にスラグが焼付いてスラグ剥離性が不良になる。従って、Zr酸化物のZrO2換算値の合計は0.01〜0.10%とする。

0026

[Al酸化物のAl2O3換算値の合計:0.01〜0.10%]
Al酸化物は、アルミナ、ルチールなどのチタン酸化物、カリ長石、硅砂の不純物として含有され、微量でスラグの粘性を改善してスラグ被包性を改善する効果を有する。Al酸化物のAl2O3換算値の合計が0.01%を未満であると、十分な効果が得られず、スラグ被包性が不良となる。一方、Al酸化物のAl2O3換算値の合計が0.10%を超えると、スラグの粘性が高くなり、スラグ流動性が悪くなってスラグ被包性が不良になる。従って、Al酸化物のAl2O3換算値の合計は0.01〜0.10%とする。

0027

[Bi及びBi酸化物の一方または両方のBi換算値の合計:0.01〜0.10%]
Biは、Bi及び酸化Bi等から添加でき、多層盛溶接において溶接スラグの溶接金属からの剥離を促進して、スラグ剥離性を改善する効果を有する。Bi及びBi酸化物の一方または両方のBi換算値の合計が0.01%未満であると、スラグ剥離性が不良となる。一方、Bi及びBi酸化物の一方または両方のBi換算値の合計が0.10%を超えると、割れが生じやすくなり、溶接金属の靭性が低下する。従って、フラックスのBi及びBi酸化物の一方または両方のBi換算値の合計は0.01〜0.10%とする。

0028

[Na化合物のNa換算値及びK化合物のK換算値の1種または2種の合計:0.01〜0.20%]
Na化合物及びK化合物は、珪酸ソーダ珪酸カリからなる水ガラスの固着分、弗化ソーダチタン酸ナトリウム、珪弗化カリ、珪弗化ソーダ等から添加され、アーク長を調整してアーク安定性を改善する効果を有する。Na化合物のNa換算値及びK化合物のK換算値の1種または2種の合計が0.01%未満では、アーク長が短くなり、アークが不安定になる。一方、Na化合物のNa換算値及びK化合物のK換算値の1種または2種の合計が0.20%を超えると、スラグ流動性が低くなり、スラグ被包性が不良になる。従って、Na化合物のNa換算値及びK化合物のK換算値の1種または2種の合計は0.01〜0.20%とする。

0029

[弗素化合物のF換算値の合計:0.1〜1.0%]
弗素化合物は、弗化ソーダ、珪弗化カリ、氷晶石、弗化アルミ弗化リチウム及び蛍石等から添加され、スラグ融点を調整し、スラグ被包性、スラグ剥離性及びビード形状を良好とする効果がある。弗素化合物のF換算値の合計が0.1%未満では、スラグ被包性、スラグ剥離性及びビード形状が不良になる。一方、弗素化合物のF換算値の合計が1.0%を超えると、スラグの融点が著しく低下し、ビード形状が不良となる。また、弗素化合物のF換算値の合計が1.0%を超えると、蒸気圧が高くなるので、溶接アーク中で蒸発してヒューム発生量が多くなる。従って、弗素化合物のF換算値の合計は0.1〜1.0%とする。

0030

本発明のセルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤの残部は、Fe分及び不可避不純物からなる。ここで、Fe分とは、ステンレス鋼外皮のFe成分、フラックスの鉄粉のFe分、鉄合金(フェロシリコン、フェロマンガン、フェロシロコンマガン等のフェロアロイ)等からのFe分である。不可避不純物は、不可避的に混入される不純物である。なお、耐割れ性の観点から、不可避不純物中のPは0.040%以下、Sは0.030%以下であることが好ましい。

0031

以上、本発明を適用したセルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤの成分組成の限定理由について説明をしたが、その製造方法は以下の通りである。例えば、ステンレス鋼外皮を帯鋼から管状に成形する場合、配合、撹拌、乾燥した充填フラックスをU形に成形した溝に満たした後、丸形に成形し、所定のワイヤ径まで伸線される。この際、成形した外皮シームを溶接してシームレスタイプのフラックス入りワイヤとすることもできる。また、ステンレス鋼外皮がパイプの場合、パイプを振動させてフラックスを充填し、0.8〜3.6mmのワイヤ径まで伸線することができる。

0032

なお、フラックスは、供給及び充填が円滑に行えるように、水ガラス(珪酸カリ及び珪酸ソーダの水溶液)を添加して造粒して用いることもできる。

0033

以下、実施例により本発明を具体的に説明する。

0034

表1に示す化学成分のオーステナイト系ステンレス鋼外皮を用い、表2に示す各種成分組成のセルフシールドアーク溶接用ステンレス鋼フラックス入りワイヤを試作した。なお、ワイヤ径は1.2mmとした。

0035

0036

0037

溶接作業性は、表3に示す鋼板成分SM490A及びSUS304の鋼板を用い、表4に示す溶接条件で、下向すみ肉溶接姿勢にて調査を行った。溶接作業性の評価は、アーク安定性、スパッタ発生量、ビード形状、ビード外観、ヒューム発生量、スラグ被包性及びスラグ剥離性について調査した。なお、スパッタ発生量、スラグ被包性及びスラグ剥離性については、目視試験にて良否を判断した。

0038

ヒューム発生量は、表3に示すSUS304の鋼板を用い、JIS Z 3930に準拠し、表5に示す溶接条件で30秒間のヒューム発生量の測定を行い、1分間当りのヒューム発生量が0.40mg以下を良好とした。

0039

溶着金属試験は、表3に示すSM490Aの鋼板に二層バタリングを行い、JIS Z 3323に準拠し、表5に示す溶接条件で行った。なお、耐欠陥性については、溶接後にJIS Z 3106に準拠してX線透過試験を実施し、ブローホール発生状況の調査を行った。また、機械的性能については、JIS Z 3111に準拠し、衝撃試験を行った。耐欠陥性の評価は、X線透過試験において、きずの像の分類をJIS Z 3104に準拠して行い、第1種のきず点数3点未満を良好とした。また、機械的性能の評価は、試験温度−20℃における吸収エネルギー(vE−20℃)が3本の平均値で15J以上を良好とした。

0040

耐割れ性は、C型ジグ拘束突合せ溶接割れ試験を行った。C型ジグ拘束突合せ溶接割れ試験は、表3に示す成分のSUS304の鋼板を用い、JIS Z 3155に準拠し、試験板ルート間隔2mmとし、表5に示す溶接条件で、試験ビード長さ約80mmを2本溶接した。評価は、平均割れ率が5%以下のものを良好とした。それらの試験結果を表6にまとめて示す。

0041

0042

0043

0044

0045

表2及び表6中のワイヤNo.1〜15が本発明例、ワイヤNo.16〜26は比較例である。本願発明であるワイヤNo.1〜15は、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計のC、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Ti及びフラックス中のTiO2換算値の合計、SiO2換算値の合計、ZrO2換算値の合計、Al2O3換算値の合計の各含有量、Bi及びBi酸化物のBi換算値の合計、Na化合物のNa換算値及びK化合物のK換算値の合計及び弗素化合物のF換算値の合計が本発明において規定した範囲内にあるので、溶着金属の吸収エネルギー、耐割れ性、耐欠陥性及び溶接作業性も良好であり、極めて満足な結果であった。

0046

比較例中ワイヤNo.16は、Moが少ないので、溶着金属の吸収エネルギーが低かった。また、TiO2が多いので、テンパーカラーが発生し、ビード外観が不良であった。さらに、Na化合物のNa換算値及びK化合物のK換算値の合計が少ないので、アークが不安定であった。

0047

ワイヤNo.17は、Crが多いので、溶着金属の吸収エネルギーが低かった。また、SiO2が多いので、スラグ被包性が不良であった。さらに、Bi及びBi酸化物のBi換算値の合計が少ないので、スラグ剥離性が不良であった。

0048

ワイヤNo.18は、Crが少ないので、溶着金属中にブローホールが発生した。また、Al2O3が少ないので、スラグ被包性が不良であった。

0049

ワイヤNo.19は、Moが多いので、溶着金属の吸収エネルギーが低かった。また、弗素化合物のF換算値の合計が多いので、ビード形状が不良で、ヒューム発生量も多かった。

0050

ワイヤNo.20は、Niが多いので、耐割れ性が不良であった。また、SiO2が少ないので、ビード形状が不良であった。さらに、Al2O3が多いので、スラグ被包性が不良であった。

0051

ワイヤNo.21は、Niが少ないので、溶着金属の吸収エネルギーが低かった。また、ZrO2が多いので、スラグ剥離性が不良であった。

0052

ワイヤNo.22は、Mnが多いので、アークが不安定であった。また、ZrO2が少ないので、スラグ剥離性が不良であった。さらに、Bi及びBi酸化物のBi換算値の合計が多いので、溶着金属の吸収エネルギーが低く、耐割れ性も不良であった。

0053

ワイヤNo.23は、Siが少ないので、ビード形状が不良であった。また、Mnが少ないので、耐割れ性が不良であった。さらに、Tiが多いので、スパッタ発生量が多かった。

0054

ワイヤNo.24は、Siが多いので、スラグが過多となりスラグ被包性が不良であった。また、Tiが少ないので、スラグ剥離性が悪かった。

0055

ワイヤNo.25は、Cが多いので、溶着金属の吸収エネルギーが低かった。また、弗素化合物のF換算値の合計が少ないので、スラグ被包性、スラグ剥離性及びビード形状が不良であった。

実施例

0056

ワイヤNo.26は、TiO2が少ないので、アークが不安定であった。また、Na化合物のNa換算値及びK化合物のK換算値の合計が多いので、スラグ被包性が不良であった。

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