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技術 医療材料およびその製造方法

出願人 青葉化成株式会社公立大学法人大阪
発明者 城戸浩胤千葉克則有馬大紀大畑建治長崎健
出願日 2019年2月18日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-026918
公開日 2020年8月31日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-130541
状態 未査定
技術分野 化合物または医薬の治療活性 医療用材料 高分子組成物
主要キーワード 既存品 後遺障害 化工でんぷん ザラザラ感 多価アルコール溶液 組成重量比 動物性コラーゲン オリゴグリセリン
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

強度が大きく、安全性および止血効果が高く、安価に製造可能な医療材料及びその製造方法を提供する。

解決手段

分子量8,000以上300,000以下の親水性高分子化合物多価アルコールまたはその誘導体水溶液所定濃度で溶解させて第1親水性高分子化合物溶液を調製する。第1親水性高分子化合物溶液に架橋剤を混合して架橋反応させる。第1親水性高分子化合物溶液を攪拌して泡を生じさせる。第1親水性高分子化合物溶液を乾燥させる。第1親水性高分子化合物溶液を第1シート成形する。親水性高分子化合物を前記水溶液に前記所定濃度と異なる濃度で溶解させて第2親水性高分子化合物溶液を調製する。第2親水性高分子化合物溶液に架橋剤を混合して架橋反応させる。第2親水性高分子化合物溶液を第2シートに成形する。第1シートと第2シートとを層状に貼り合せ、医療材料が得られる。

概要

背景

生体組織損傷による体液(血液、組織液など)漏出を防ぐ組織閉塞は、手術などの臨床上、重要な意味を持つ。損傷部からの体液漏出を効果的に抑えることは、患者の手術中の生命維持、術後の生活の質(QOL)の向上につながる。

臨床においては、止血が重要視される。その理由として、以下が挙げられる。
1.失血死亡の大きな要因の1つであり、失血要因には、重篤外傷動脈瘤食道における潰瘍、および食道静脈瘤破裂などがある。特に、緊急に止血治療を受けることができない場合には、死亡の可能性が高くなる。
2.手術時における出血は、手術における大きな懸念の一つで、出血により、全身感染症や臓器機能不全が生じる。また、出血は術野を妨げるだけでなく、出血した血液の除去は手術の遅延につながる。
3.出血は、最小侵襲手術腹腔鏡下手術など)を行っている場合でも問題となり、出血を十分に抑制できない場合、切開手術に変更せざるをえない場合もある。

既存の止血方法としては、以下が挙げられる。
1.出血部の血管に直に圧迫する方法(圧迫止血)。この止血法の欠点は、時間と手間がかかり圧力を維持しておく必要がある点、また患者に血腫ができる恐れがある点である。
2.その他の物理的手段による止血方法として、出血部近傍をクランプクリップする方法、出血部にプラグスポンジのようなものを乗せる方法がある。これらの止血法の欠点は、多数の微小血管から出血している場合に扱いが困難である点である。
3.熱によって血液を凝固させ、出血している血管を焼灼する方法(電気メス)。この方法の欠点は、周囲組織熱損傷させ患者への侵襲が大きい点、医療用器具が必要で専門性を要する点である(医療機関以外では使用できない)。

既存の止血材としては、以下が挙げられる。
1.アルギン酸
2.ゼラチンスポンジ
3.コラーゲン線維
4.フィブリン糊
5.自己組織合成ペプチド
上記のうちコラーゲン線維とフィブリン糊が効果的な止血材として、臨床でしばしば利用されている。これらの欠点として、(1)ゼラチンとコラーゲン線維は動物性コラーゲン、フィブリン糊は血液製剤ウシ由来トロンビンを使用した動物由来製品であるため、感染症の危険性がある、(2)透明でないため術野の妨げとなる、点が挙げられる。

手術において患者の血液凝固能を人為的に低下させた、ヘパリン血状態にすることがある。人工心肺を使用する手術においては、血液凝固を抑えるためにヘパリンを使用する。人工心肺装置は生体にとって異物であり、血液をそのまま人工心肺装置へ流すと、すぐに血液が凝固し回路が詰まってしまうため、体外循環を行う前にヘパリンを血液に投与する。

コラーゲン線維、フィブリン糊は、生体の血液凝固系を利用して止血するため、ヘパリン血状態では、止血効果が低下する。止血効果が低下すると出血量が多くなるため輸血が必要になりやすく、また体外循環終了後の完全止血にも長時間を要する。したがって、ヘパリン血状態でも性能が低下しない血液凝固作用を利用しない止血材が求められている。

血管縫合心臓・血管系手術だけでなく、一般的な腹腔内手術時にも必要になることがある。術後、血管縫合部からわずかな血液漏出があるため、それを持続的に抑える止血材が求められている。

胆汁婁・膵液婁は、胆道系手術、膵炎膵臓手術などによって胆汁、膵液が漏れ出し、他の臓器に悪影響を及ぼす症状のことである。現在、胆汁や膵液の漏出を効果的に抑え、かつ臨床使用可能な物質は知られておらず、安全かつ効果的に胆汁婁・膵液婁を防ぐ方法が求められている。

において、肺胞嚢包破れ自然気胸や、肋骨骨折カテーテル穿刺等の外傷性気胸などにより、空気が漏出する病状が知られている。症状によっては自然治癒を待つしかなく、患部上層するだけで肺組織接着し、嚢包の穴を塞ぐことが可能な方法は、気胸を治療する手段として、簡便かつ安全性が高い方法の一つと考えらえる。

カテーテル療法発達により、腫瘍筋腫等の血流支配をうける病変部へ流入する動脈を閉塞させることにより、腫瘍や筋腫等を死滅させる手術方法確立されてきている。具体的には、肝臓脈閉塞術、子宮動脈閉塞術、脳動脈閉塞術等を挙げることができる。

近年、その物理的、化学的生物的性質から、新規マテリアルとして注目を浴びている高度に制御された自己組織化ペプチドがある。そのアミノ酸配列により、多数のペプチド分子規則正しく並んだ自己会合体を形成する特性を有する。
自己組織化ペプチドは、電荷を帯びた親水性アミノ酸電気的に中性疎水性アミノ酸が交互に並び、正電荷負電荷が交互に分布する構造をもち、生理的なpHと塩濃度においてβ構造をとる。

自己組織化ペプチドの止血への応用では、肝臓切開末端から持続的な血液漏出が認められ、完全止血ができていない。止血が不完全な理由は、自己組織化ペプチドゲルと組織の接着が不十分なためと推測される。したがって、自己組織化ペプチドの止血効果を臨床応用可能なレベルにまで引き出すためには、さらなる改良が必要である。

また、伝統的な圧迫止血・縫合止血は、限界が指摘されている。現在市販されている止血剤組織接着剤であるフィブリン糊は、ウイルス感染の危険性が高く、接着強度が弱いという問題点がある。

フィブリン糊と同様に臨床で用いられている、ゼラチンに架橋剤であるホルムアルデヒドグルタルアルデヒドなどを加えてゲル化させたポリアミン-アルデヒド系は、血管閉塞等の後遺障害の可能性や低分子アルデヒド類の高い神経・組織障害性が指摘されており、決して満足のいくようなものではない。

これらの問題点を克服すべく、多くの研究が実施されている。例えば、食品添加物原料とするデキストランとε-ポリ-L-リジン(以下、単にε-PLLとも称する)を原料とする、架橋型シッフ塩基形成に基づく接着剤が研究されている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。

また、強度的に強い接着剤としてはクエン酸活性エステル化した誘導体コラーゲン等のタンパク接着成分とする組織接着剤も研究されている(例えば、特許文献2および非特許文献2参照)。
また、ゼラチン−多価アルコール溶液トランスグルタミナーゼとを混合し、50℃に暖めてゲル化させる技術が知られている。その混合物は、スプレー乾燥されて、止血バンテージまたは組織シーラントに用いられる。また、第1および第2のゼラチン層に挟まれたトランスグルタミナーゼ層を具える止血ドレッシングが知られている(例えば、特許文献3参照)。

概要

強度が大きく、安全性および止血効果が高く、安価に製造可能な医療材料及びその製造方法を提供する。分子量8,000以上300,000以下の親水性高分子化合物多価アルコールまたはその誘導体の水溶液所定濃度で溶解させて第1親水性高分子化合物溶液を調製する。第1親水性高分子化合物溶液に架橋剤を混合して架橋反応させる。第1親水性高分子化合物溶液を攪拌して泡を生じさせる。第1親水性高分子化合物溶液を乾燥させる。第1親水性高分子化合物溶液を第1シート成形する。親水性高分子化合物を前記水溶液に前記所定濃度と異なる濃度で溶解させて第2親水性高分子化合物溶液を調製する。第2親水性高分子化合物溶液に架橋剤を混合して架橋反応させる。第2親水性高分子化合物溶液を第2シートに成形する。第1シートと第2シートとを層状に貼り合せ、医療材料が得られる。なし

目的

本発明は、このような課題に着目してなされたもので、強度が大きく、安全性および止血効果が高く、安価に製造可能な医療材料及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

多価アルコールまたはその誘導体親水性高分子化合物とを含む2種以上の親水性高分子化合物組成物を層状に重ねて成ることを特徴とする医療材料

請求項2

前記親水性高分子化合物組成物が架橋構造を有することを特徴とする請求項1記載の医療材料。

請求項3

前記多価アルコールまたはその誘導体は重合度1〜10のオリゴグリセリンまたはその誘導体から成ることを特徴とする請求項1または2記載の医療材料。

請求項4

前記親水性高分子化合物の架橋剤を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医療材料。

請求項5

前記架橋剤はトランスグルタミナーゼを含むことを特徴とする請求項4記載の医療材料。

請求項6

前記親水性高分子化合物は分子量8,000以上300,000以下のゼラチンまたはコラーゲンペプチドから成ることを特徴とする請求項4または5記載の医療材料。

請求項7

全重量に対し、前記多価アルコールまたはその誘導体48〜68重量%、前記親水性高分子化合物25〜48重量%、80から130U/gの前記架橋剤0.02〜0.13重量%を含むことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の医療材料。

請求項8

多孔質体から成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の医療材料。

請求項9

シート片面に親水性高分子化合物を含む液状高分子化合物組成物が付着されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の医療材料。

請求項10

止血材であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の医療材料。

請求項11

親水性高分子化合物を多価アルコールまたはその誘導体の水溶液所定濃度で溶解させて第1親水性高分子化合物溶液を調製する第1溶液調製工程と、前記第1親水性高分子化合物溶液に架橋剤を混合して架橋反応させる第1架橋反応工程と、前記第1架橋反応工程で架橋反応させた前記第1親水性高分子化合物溶液を攪拌して泡を生じさせる起泡工程と、前記起泡工程で起泡させた前記第1親水性高分子化合物溶液をシート状の第1シートに成形する第1成形工程と、前記親水性高分子化合物を前記水溶液に前記所定濃度と異なる濃度で溶解させて第2親水性高分子化合物溶液を調製する第2溶液調製工程と、前記第2親水性高分子化合物溶液に前記架橋剤を混合して架橋反応させる第2架橋反応工程と、前記第2架橋反応工程で架橋反応させた前記第2親水性高分子化合物溶液をシート状の第2シートに成形する第2成形工程と、前記第1シートと前記第2シートとを層状に貼り合せる貼合せ工程とを、有することを特徴とする医療材料の製造方法。

請求項12

前記第1架橋反応工程および前記第2架橋反応工程において、前記架橋剤はトランスグルタミナーゼを含み、前記第1親水性高分子化合物溶液および前記第2親水性高分子化合物溶液に前記架橋剤を0℃以上40℃以下で混合して架橋反応させることを特徴とする請求項11記載の医療材料の製造方法。

請求項13

前記第1親水性高分子化合物溶液および前記第2親水性高分子化合物は分子量30,000以上300,000以下のゼラチンまたはコラーゲンペプチドから成り、前記多価アルコールまたはその誘導体は重合度1〜10のオリゴグリセリンまたはその誘導体から成り、前記第1起泡工程および前記第2起泡工程において、前記第1親水性高分子化合物溶液および前記第2親水性高分子化合物をホモミキサーにより回転数5000〜20000rpmで5〜40分間撹拌することを特徴とする請求項11または12記載の高分子化合物組成物の製造方法。

請求項14

前記第1起泡工程および前記第2起泡工程後の前記第1親水性高分子化合物溶液および前記第2親水性高分子化合物溶液を凍結乾燥させることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の医療材料の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、医療材料およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

生体組織損傷による体液(血液、組織液など)漏出を防ぐ組織閉塞は、手術などの臨床上、重要な意味を持つ。損傷部からの体液漏出を効果的に抑えることは、患者の手術中の生命維持、術後の生活の質(QOL)の向上につながる。

0003

臨床においては、止血が重要視される。その理由として、以下が挙げられる。
1.失血死亡の大きな要因の1つであり、失血要因には、重篤外傷動脈瘤食道における潰瘍、および食道静脈瘤破裂などがある。特に、緊急に止血治療を受けることができない場合には、死亡の可能性が高くなる。
2.手術時における出血は、手術における大きな懸念の一つで、出血により、全身感染症や臓器機能不全が生じる。また、出血は術野を妨げるだけでなく、出血した血液の除去は手術の遅延につながる。
3.出血は、最小侵襲手術腹腔鏡下手術など)を行っている場合でも問題となり、出血を十分に抑制できない場合、切開手術に変更せざるをえない場合もある。

0004

既存の止血方法としては、以下が挙げられる。
1.出血部の血管に直に圧迫する方法(圧迫止血)。この止血法の欠点は、時間と手間がかかり圧力を維持しておく必要がある点、また患者に血腫ができる恐れがある点である。
2.その他の物理的手段による止血方法として、出血部近傍をクランプクリップする方法、出血部にプラグスポンジのようなものを乗せる方法がある。これらの止血法の欠点は、多数の微小血管から出血している場合に扱いが困難である点である。
3.熱によって血液を凝固させ、出血している血管を焼灼する方法(電気メス)。この方法の欠点は、周囲組織熱損傷させ患者への侵襲が大きい点、医療用器具が必要で専門性を要する点である(医療機関以外では使用できない)。

0005

既存の止血材としては、以下が挙げられる。
1.アルギン酸
2.ゼラチンスポンジ
3.コラーゲン線維
4.フィブリン糊
5.自己組織合成ペプチド
上記のうちコラーゲン線維とフィブリン糊が効果的な止血材として、臨床でしばしば利用されている。これらの欠点として、(1)ゼラチンとコラーゲン線維は動物性コラーゲン、フィブリン糊は血液製剤ウシ由来トロンビンを使用した動物由来製品であるため、感染症の危険性がある、(2)透明でないため術野の妨げとなる、点が挙げられる。

0006

手術において患者の血液凝固能を人為的に低下させた、ヘパリン血状態にすることがある。人工心肺を使用する手術においては、血液凝固を抑えるためにヘパリンを使用する。人工心肺装置は生体にとって異物であり、血液をそのまま人工心肺装置へ流すと、すぐに血液が凝固し回路が詰まってしまうため、体外循環を行う前にヘパリンを血液に投与する。

0007

コラーゲン線維、フィブリン糊は、生体の血液凝固系を利用して止血するため、ヘパリン血状態では、止血効果が低下する。止血効果が低下すると出血量が多くなるため輸血が必要になりやすく、また体外循環終了後の完全止血にも長時間を要する。したがって、ヘパリン血状態でも性能が低下しない血液凝固作用を利用しない止血材が求められている。

0008

血管縫合心臓・血管系手術だけでなく、一般的な腹腔内手術時にも必要になることがある。術後、血管縫合部からわずかな血液漏出があるため、それを持続的に抑える止血材が求められている。

0009

胆汁婁・膵液婁は、胆道系手術、膵炎膵臓手術などによって胆汁、膵液が漏れ出し、他の臓器に悪影響を及ぼす症状のことである。現在、胆汁や膵液の漏出を効果的に抑え、かつ臨床使用可能な物質は知られておらず、安全かつ効果的に胆汁婁・膵液婁を防ぐ方法が求められている。

0010

において、肺胞嚢包破れ自然気胸や、肋骨骨折カテーテル穿刺等の外傷性気胸などにより、空気が漏出する病状が知られている。症状によっては自然治癒を待つしかなく、患部上層するだけで肺組織接着し、嚢包の穴を塞ぐことが可能な方法は、気胸を治療する手段として、簡便かつ安全性が高い方法の一つと考えらえる。

0011

カテーテル療法発達により、腫瘍筋腫等の血流支配をうける病変部へ流入する動脈を閉塞させることにより、腫瘍や筋腫等を死滅させる手術方法確立されてきている。具体的には、肝臓脈閉塞術、子宮動脈閉塞術、脳動脈閉塞術等を挙げることができる。

0012

近年、その物理的、化学的生物的性質から、新規マテリアルとして注目を浴びている高度に制御された自己組織化ペプチドがある。そのアミノ酸配列により、多数のペプチド分子規則正しく並んだ自己会合体を形成する特性を有する。
自己組織化ペプチドは、電荷を帯びた親水性アミノ酸電気的に中性疎水性アミノ酸が交互に並び、正電荷負電荷が交互に分布する構造をもち、生理的なpHと塩濃度においてβ構造をとる。

0013

自己組織化ペプチドの止血への応用では、肝臓切開末端から持続的な血液漏出が認められ、完全止血ができていない。止血が不完全な理由は、自己組織化ペプチドゲルと組織の接着が不十分なためと推測される。したがって、自己組織化ペプチドの止血効果を臨床応用可能なレベルにまで引き出すためには、さらなる改良が必要である。

0014

また、伝統的な圧迫止血・縫合止血は、限界が指摘されている。現在市販されている止血剤組織接着剤であるフィブリン糊は、ウイルス感染の危険性が高く、接着強度が弱いという問題点がある。

0015

フィブリン糊と同様に臨床で用いられている、ゼラチンに架橋剤であるホルムアルデヒドグルタルアルデヒドなどを加えてゲル化させたポリアミン-アルデヒド系は、血管閉塞等の後遺障害の可能性や低分子アルデヒド類の高い神経・組織障害性が指摘されており、決して満足のいくようなものではない。

0016

これらの問題点を克服すべく、多くの研究が実施されている。例えば、食品添加物原料とするデキストランとε-ポリ-L-リジン(以下、単にε-PLLとも称する)を原料とする、架橋型シッフ塩基形成に基づく接着剤が研究されている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。

0017

また、強度的に強い接着剤としてはクエン酸活性エステル化した誘導体コラーゲン等のタンパク接着成分とする組織接着剤も研究されている(例えば、特許文献2および非特許文献2参照)。
また、ゼラチン−多価アルコール溶液トランスグルタミナーゼとを混合し、50℃に暖めてゲル化させる技術が知られている。その混合物は、スプレー乾燥されて、止血バンテージまたは組織シーラントに用いられる。また、第1および第2のゼラチン層に挟まれたトランスグルタミナーゼ層を具える止血ドレッシングが知られている(例えば、特許文献3参照)。

0018

国際公開第2009/057802号
特開2004−261222号公報
特表2010−521994号公報

先行技術

0019

玄丞烋、中島直喜.須賀井一、定美、歯科材料器械、25、401 (2006)
田口哲志、工業材料、55、41 (2007)

発明が解決しようとする課題

0020

しかしながら、特許文献1および非特許文献1に記載のε-PLL原料の接着剤では、ゲル強度が市販止血剤であるフィブリン糊よりも劣り、止血材としての強度不足が懸念されるという課題があった。
また、特許文献2および非特許文献2に記載の組織接着剤では、活性エステル化合物が化学的に不安定であり、水溶液での長期保存が不可能なため、使用直前に生体に悪影響を及ぼすリスクを有する溶媒に溶解させる必要性があり、さらに医師外科手術などで緊急に使用するときにはすぐに使用できないために支障を来す可能性が高いという課題があった。
特許文献3に記載の止血ドレッシングは、生体内における出血部位に対して十分な止血機能を発揮しにくいという課題があった。
また、これらの接着剤は、非常に高価であるという課題があった。

0021

本発明は、このような課題に着目してなされたもので、強度が大きく、安全性および止血効果が高く、安価に製造可能な医療材料及びその製造方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0022

前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、多価アルコールまたはその誘導体と高分子化合物組成物とを含む2種以上の高分子化合物を層状に重ねることにより、従来ない医療材料が得られることを発見し、本発明を完成するに至った。

0023

すなわち、本発明に係る医療材料は、多価アルコールまたはその誘導体と親水性高分子化合物とを含む2種以上の親水性高分子化合物組成物を層状に重ねて成ることを特徴とする。

0024

本発明に係る医療材料は、前記親水性高分子化合物組成物が架橋構造を有することが好ましい。
本発明に係る医療材料において、前記多価アルコールまたはその誘導体は重合度1〜10のオリゴグリセリンまたはその誘導体から成ることが好ましい。

0025

本発明に係る医療材料は、前記親水性高分子化合物の架橋剤を含むことが好ましい。
前記架橋剤はトランスグルタミナーゼを含むことが好ましい。
前記親水性高分子化合物は分子量8,000以上300,000以下のゼラチンまたはコラーゲンペプチドから成ることが好ましい。

0026

本発明に係る医療材料は、全重量に対し、前記多価アルコールまたはその誘導体48〜68重量%、前記親水性高分子化合物25〜48重量%、80から130U/gの前記架橋剤0.02〜0.13重量%を含むことが好ましい。
本発明に係る医療材料は、多孔質体から成ることが好ましく、乾燥した多孔質体から成ることが特に好ましい。
本発明に係る医療材料は、シート片面に親水性高分子化合物を含む液状高分子化合物組成物が付着されていることが好ましい。液状高分子化合物組成物は、多価アルコールまたはその誘導体および親水性高分子化合物を含むことが好ましい。
本発明に係る医療材料としては、例えば、止血材が挙げられる。

0027

本発明に係る医療材料の製造方法は、親水性高分子化合物を多価アルコールまたはその誘導体の水溶液に所定濃度で溶解させて第1親水性高分子化合物溶液を調製する第1溶液調製工程と、前記第1親水性高分子化合物溶液に架橋剤を混合して架橋反応させる第1架橋反応工程と、前記第1架橋反応工程で架橋反応させた前記第1親水性高分子化合物溶液を攪拌して泡を生じさせる起泡工程と、前記起泡工程で起泡させた前記第1親水性高分子化合物溶液をシート状の第1シートに成形する第1成形工程と、前記親水性高分子化合物を前記水溶液に前記所定濃度と異なる濃度で溶解させて第2親水性高分子化合物溶液を調製する第2溶液調製工程と、前記第2親水性高分子化合物溶液に前記架橋剤を混合して架橋反応させる第2架橋反応工程と、前記第2架橋反応工程で架橋反応させた前記第2親水性高分子化合物溶液をシート状の第2シートに成形する第2成形工程と、前記第1シートと前記第2シートとを層状に貼り合せる貼合せ工程とを、有することを特徴とする。

0028

前記第1架橋反応工程および前記第2架橋反応工程において、前記架橋剤はトランスグルタミナーゼを含み、前記第1親水性高分子化合物溶液および前記第2親水性高分子化合物溶液に前記架橋剤を0℃以上40℃以下で混合して架橋反応させることが好ましい。
前記第1親水性高分子化合物溶液および前記第2親水性高分子化合物は分子量30,000以上300,000以下のゼラチンまたはコラーゲンペプチドから成り、前記多価アルコールまたはその誘導体は重合度1〜10のオリゴグリセリンまたはその誘導体から成り、前記起泡工程において、前記第1親水性高分子化合物溶液をホモミキサーにより回転数5000〜20000rpmで5〜40分間撹拌することが好ましい。
前記第2架橋反応工程で架橋反応させた前記第2親水性高分子化合物溶液は、第2成形工程前に攪拌して泡を生じさせてもよい。
本発明に係る医療材料の製造方法において、前記第1成形工程による成形物と前記第2成形工程による成形物とを凍結乾燥させることが好ましい。

発明の効果

0029

本発明によれば、強度が大きく、安全性および止血効果が高く、安価に製造可能な医療材料及びその製造方法を提供することができる。

0030

以下、本発明の実施の形態の医療材料およびその製造方法について説明する。
本発明の実施の形態の医療材料は、多価アルコールまたはその誘導体と親水性高分子化合物とを含む2種以上の親水性高分子化合物組成物を層状に重ねて成る。

0031

多価アルコールまたはその誘導体は、水分を乾燥させると同時に気化してしまわないよう、沸点が100℃以上のもの、より好ましくは150℃以上のもの、さらに好ましくは170℃以上のものが好ましい。多価アルコールまたはその誘導体としては、例えば、グリセリンプロピレングリコールジグリセリントリグリセリンテトラグリセリンペンタグリセリン、ヘキサグリセリンヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ナノグリセリン、デカグリセリンおよびそれらの脂肪酸誘導体が挙げられる。

0032

但し、グリセリンの脂肪酸エステル鎖長が長くなればなるほど、融点が上がることから、鎖長は短いほうが好ましい。グリセリンの脂肪酸エステルの鎖長は、炭素数が18以下、より好ましくは14以下、さらに好ましくは12以下が好ましい。多価アルコールまたはその誘導体は、重合度1〜10のオリゴグリセリンまたはその誘導体から成ることが特に好ましい。

0033

親水性高分子化合物としては、コラーゲン、ゼラチン、コラーゲンペプチド、ヒアルロン酸、アルギン酸、キチンキトサンセルロースヒドロキシプロピルセルロース化工でんぷんなどを例示することができる。特に、親水性高分子化合物として、水に溶解させることができ、加工性に優れることから、ゼラチンまたはコラーゲンペプチドを用いることが好ましく、さらに、抗原性を低減した分子量8,000以上300,000以下のゼラチンまたはコラーゲンペプチドから成ることがより好ましく、分子量8,000以上100,000以下が特に好ましい。

0034

親水性高分子化合物は、水中で容易に溶解しないよう架橋処理がなされ、架橋構造を有している。架橋方法は、加熱処理紫外線照射放射線照射などの物理的方法、グルタルアルデヒドやカルボジイミドなどの架橋剤を用いる化学的方法のいずれでもよいが、酵素を用いる方法が好ましい。酵素としては、安全性が高いことから、トランスグルタミナーゼが好ましい。
本発明の実施の形態の医療材料は、水分のない状態で、高い粘弾性および吸着性を有する。

0035

本発明の実施の形態の医療材料を構成する親水性高分子化合物組成物は、全重量に対し、多価アルコールまたはその誘導体48〜68重量%、親水性高分子化合物25〜48重量%、80から130U/gの架橋剤0.02〜0.13重量%を含むことが好ましい。架橋剤がトランスグルタミナーゼから成る場合、トランスグルタミナーゼを0.15〜0.13重量%を含むことが好ましい。この配合比率の場合、本発明の実施の形態の医療材料は、水分のない状態で、特に高い粘弾性および吸着性を有する。

0036

分子量8,000以上300,000以下の架橋した親水性高分子化合物のみの場合、乾燥状態では非常に脆く、吸着性がない。それに対し、多価アルコールまたはその誘導体を含む分子量8,000以上300,000以下の架橋した親水性高分子化合物は、乾燥状態で粘性があり、多価アルコールまたはその誘導体を含ませることによりゲル強度が格段に向上する。特に、親水性高分子化合物がコラーゲン、ゼラチンまたはコラーゲンペプチドでトランスグルタミナーゼを含む場合、その効果は顕著である。多価アルコールまたはその誘導体と、ゼラチンまたはコラーゲンペプチドと、トランスグルタミナーゼとの組成物は、医療材料として用いたとき、生体組織の水分を吸水し、ヒドロゲル状になり、高い密着圧着効果を奏する。

0037

本発明の実施の形態の医療材料は、水分を95重量%以上除去して水分が5重量%未満のものが好ましく、特に水分を99重量%以上除去して水分が1重量%未満のものが好ましい。
本発明の実施の形態の少なくとも一層の医療材料は、多孔質体から成ることが好ましく、乾燥した多孔質体から成ることが特に好ましい。多孔質体は、表面に吸水を容易にする微少な孔などが多数存在する構造であり、起泡または発泡による気泡を含んだ構造から成っても、編物織物、不織布のような繊維構造から成ってもよい。多孔質にすることにより、水分を吸水した後のゲル強度が強化され、組成物の強度を上げることができる。また、多孔質体とすることにより、食品や生体組織に所定の期間、密着、固定させることができる。

0038

層状に重ねられる親水性高分子化合物組成物は、2層であっても3層以上であってもよい。各層は、シート状であっても、親水性高分子化合物を含む液状高分子化合物組成物であってもよい。シート状の場合、各層はそれぞれ異なる性質を有していることが好ましい。例えば、2層の場合、一方が「ザラザラ」または「ベタベタ」のような摩擦係数が大きいもので、他方が「ツルツル」のような摩擦係数が小さいものであることが好ましい。
液状高分子化合物組成物は、多価アルコールまたはその誘導体および親水性高分子化合物を含むことが好ましい。その多価アルコールまたはその誘導体は重合度1〜10のオリゴグリセリンまたはその誘導体から成ることが好ましく、その親水性高分子化合物は分子量30,000以上100,000以下のゼラチン、コラーゲンペプチドまたは水溶性セルロースから成ることが好ましい。特に、液状高分子化合物組成物は、架橋剤を含まない点を除き、付着される医療材料を構成する多価アルコールまたはその誘導体および親水性高分子化合物と同一の成分、配合から成ることが好ましい。
本発明の実施の形態の医療材料は、生体組織に液状高分子化合物組成物を付着させた後、その上に被覆材として張り付けて用いられてもよい。

0039

本発明の実施の形態の医療材料の製造方法は、親水性高分子化合物を多価アルコールまたはその誘導体の水溶液に所定濃度で溶解させて第1親水性高分子化合物溶液を調製する第1溶液調製工程と、前記第1親水性高分子化合物溶液に架橋剤を混合して架橋反応させる第1架橋反応工程と、前記第1架橋反応工程で架橋反応させた前記第1親水性高分子化合物溶液を攪拌して泡を生じさせる起泡工程と、前記起泡工程で起泡させた前記第1親水性高分子化合物溶液をシート状の第1シートに成形する第1成形工程と、前記親水性高分子化合物を前記水溶液に前記所定濃度と異なる濃度で溶解させて第2親水性高分子化合物溶液を調製する第2溶液調製工程と、前記第2親水性高分子化合物溶液に前記架橋剤を混合して架橋反応させる第2架橋反応工程と、前記第2架橋反応工程で架橋反応させた前記第2親水性高分子化合物溶液をシート状の第2シートに成形する第2成形工程と、前記第1シートと前記第2シートとを層状に貼り合せる貼合せ工程とを、有する。

0040

第1溶液調製工程および第2溶液調整工程で、多価アルコールまたはその誘導体の水溶液の濃度は0.1〜50重量%が好ましい。
第1架橋反応工程および第2架橋反応工程では、第1親水性高分子化合物溶液および第2親水性高分子化合物溶液に架橋剤を0℃以上40℃以下で混合して架橋反応させることが好ましい。多価アルコールまたはその誘導体と、親水性高分子化合物と、架橋剤との配合比率としては、前述の配合比率が好ましい。

0041

一般に、高分子化合物多孔質体の製造方法の一つとして、高分子化合物を水などの溶媒に溶解した後に、この溶液を凍結乾燥する方法がある。しかし、この操作のみでは気泡含有状態にはならない。

0042

本発明の実施の形態の医療材料の製造方法では、起泡工程後、親水性高分子化合物溶液を乾燥させる乾燥工程を有することが好ましい。乾燥工程では、親水性高分子化合物溶液から水分を95重量%以上、特に99重量%以上除去することが好ましい。乾燥方法としては、凍結真空乾燥が好ましい。起泡工程後の凍結乾燥により、気泡を含有した医療材料を製造することができる。凍結乾燥は、起泡工程後、多孔質構造を維持するよう速やかに行い、凍結後、速やかに真空乾燥を行うことが好ましい。起泡工程では、泡を均質化するため、攪拌速度と攪拌時間等を調節することが好ましい。

0043

特に、親水性高分子化合物溶液をホモミキサーにより回転数5000〜20000rpmで1〜40分間撹拌することが好ましい。この場合、医療材料の多孔質体の孔径は、0.3μm〜100μmとなる。本発明の実施の形態の医療材料は、孔径が1μm〜30μmの範囲のものが好ましい。孔径が0.3μmより小さいと生体組織の水が医療材料に吸い込まれにくく、医療材料が切れやすくなる。一方、100μmを超えると、医療材料の多孔質体の強度が下がり過ぎて破れやすくなる。
成形工程では、親水性高分子化合物溶液を厚さ10μm〜10mmのシート状に成形することが好ましい。シート状の親水性高分子化合物組成物の厚さは、10μm以上10mm以下、特に100μm以上3mm以下が好ましい。厚さが10μm未満の場合、破けやすくなり、10mmを超えると、生体組織に貼り付けたとき、その間の体液により自重で動いてしまいやすいためである。

0044

本発明の実施の形態の医療材料は、高分子化合物組成物により、高い粘弾性を有しながら、変形性を維持し、組織接着性を有する。本発明の実施の形態の医療材料には、腫瘍マーカー医療用蛍光発光剤診断用金属、量子ドット賦形剤蛋白質キレート剤乳化剤着色剤、その他の医薬部外品が混合されてもよい。医療材料としては、止血材、生体用組織接着材人工軟膏歯槽骨再建材、癒着防止材粘膜隆起材および後出血防止材などが挙げられる。

0045

本発明の実施の形態の医療材料に用いられる親水性高分子化合物は、生分解性であり、分解産物が生体組織に悪影響を与えず、生体吸収性が高いことから、細胞生着や増殖に適している。この親水性高分子化合物は、動物からのウイルスやそのほか未知の感染症の問題を極力抑えることが可能であり、コラーゲンなどの代替品として用いることができる。
本発明の実施の形態の医療材料は、使用部位に応じて十分に仕様変更可能な材料を用いて、強度が大きく、安全性が高く、すぐに使用できるものを安価に製造可能である。

0046

以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
[第1シートの作成]
グリセリン:ゼラチン粉末(ニッピ社製):トランスグルタミナーゼ(味の素社製)を6:2:0.01の組成重量比で準備した。ゼラチン粉末は、分子量200,000のものを用いた。トランスグルタミナーゼは、酵素活性86U/gのものを用いた。グリセリン:ゼラチン粉末:水の重量比が6:2:4の水溶液を作製し、この水溶液を25℃に保ち、トランスグルタミナーゼを添加した。この混合水溶液冷蔵庫に入れ、5℃で一昼夜反応させた。その後、ホモミキサーを用いて、回転数18000rpmで10分間撹拌し、均質化した。撹拌後の溶液をシャーレ流延し、−80℃の冷凍庫に6時間入れてゼラチン水溶液を凍結させた後、凍結乾燥機中で48時間、凍結乾燥処理して水分を99重量%以上除去し、成形した。こうして、厚さ355μmの架橋ゼラチン多孔質体から成る親水性高分子化合物組成物の第1シートを作製した。

0047

[第2シートの作成]
グリセリン:ゼラチン粉末(ニッピ社製):トランスグルタミナーゼ(味の素社製)を5:5:0.01の組成重量比で準備した。ゼラチン粉末は、分子量8,000のものを用いた。グリセリン:ゼラチン粉末:水の重量比が1:1:1の水溶液を作製し、この水溶液を25℃に保ち、トランスグルタミナーゼを添加した。この混合水溶液をシャーレに流延し、24時間25℃で架橋反応を行った。その後、−80℃の冷凍庫に6時間入れてゼラチン水溶液を凍結させた後、凍結乾燥機中で48時間、凍結乾燥処理して水分を99重量%以上除去し、成形した。こうして、厚さ181μmの親水性高分子化合物組成物の第2シートを作製した。

0048

[貼合せ工程]
第1シートと第2シートとを層状に貼り合せ、2層のシート状の医療材料を作成した。

0049

[実施例2]
実施例1の[第1シートの作成]において、グリセリン:ゼラチン粉末(ニッピ社製):トランスグルタミナーゼ(味の素社製)を2:2:0.01の組成重量比で準備し、グリセリン:ゼラチン粉末:水の重量比を2:2:6にして水溶液を作製し、第1シートを作成した。
実施例1の[第2シートの作成]と同様の方法で第2シートを作成した。
第1シートと第2シートとを層状に貼り合せ、2層のシート状の医療材料を作成した。

0050

[実施例3]
実施例1の[第1シートの作成]において、グリセリンの代わりにグリセリン:デカグリセリンモノラウリンエステルを9:1の組成重量比で混合したものを用いて、第1シートを作成した。
実施例1の[第2シートの作成]と同様の方法で第2シートを作成した。
第1シートと第2シートとを層状に貼り合せ、2層のシート状の医療材料を作成した。

0051

[比較例1]
実施例1の[第1シートの作成]において、グリセリン:ゼラチン粉末(ニッピ社製):トランスグルタミナーゼ(味の素社製)を0:2:0.01の組成重量比で準備し、第1シートを作製した。
実施例1の[第2シートの作成]と同様の方法で第2シートを作成した。
第1シートと第2シートとを層状に貼り合せ、2層のシート状の医療材料を作成した。

0052

実施例1〜3および比較例1の医療材料について、貼り合わせ状態、生体への吸着柔軟性および曲げ性を確認した。
その結果を表1に示す。

0053

0054

表1に示すとおり、比較例1では第1シートと第2シートとの表面状態があまりにも異なり、貼り合わせ相性は非常に悪かった。さらに、生体面への吸着特性が悪く、第1シートが硬すぎて、曲げようとすると割れてしまった。一方、実施例1は、第1シートと第2シートとの表面状態は異なるものの貼り合わせは可能であった。実施例1は、生体面の吸着性が高く、ザラザラ感が強く、粘り気が多いため、第2シートのみほど曲げ性は高くないが、ある程度曲がった。それに比べて、実施例2は第1シートと第2シートとの相性が非常に良く、曲げ性も高かった。実施例3は、第1シートのザラザラ感が高く、貼り合わせおよび吸着性が高かった。

0055

ラット肝臓静脈性小出血モデルを用いて、実施例1,2,3および比較例1の医療材料(止血材)による止血効果を確認した。
週齢、雄のラットに吸入麻酔液(「セボフルラン」、日本薬局方)および全身麻酔剤(商品名「ソムノペンチル」、共立製薬株式会社製の10%生理食塩水溶液)を用いて麻酔後マウス肝臓部位をシリンジで突き刺して出血することを確認し、出血モデル(肝臓からの静脈性小出血)とした。この出血モデルにおいて、実施例1,2,3、比較例1、既存品1(コラーゲン使用止血材、商品名「インテグラン」、株式会社高研製、被覆のみ)、既存品2(吸収性組織補強材、商品名「ネオベール」、グンゼ株式会社製、被覆のみ)、既存品3(滅菌吸収性ゼラチンスポンジ、商品名「ゼルフォーム」、ファイザー株式会社製、被覆のみ)でそれぞれ出血部位を被覆し、止血状態を観察した。被覆は、第1シート側を出血部位に当てて行った。また、止血材を用いない未処置の出血モデルについて、止血状態を観察した。
その結果を表2に示す。
表2において、効果が非常に高かったものを◎、効果が高かったものを○、効果があったものを△、効果がなかったものを×、効果が全くなかったものを××で示す。

0056

実施例

0057

表2に示すとおり、既存品1〜3では血が漏れやすく、圧迫止血の効果はなかった。一方、実施例1,2,3は圧迫効果が高く、実施例2,3は臓器への吸着性に特に高い効果があった。

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