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技術 シンチレーション材料

出願人 キングアブドラユニバーシティオブサイエンスアンドテクノロジー
発明者 モハメド,オマールエフ.バーケル,オスマンエム.チャン,ユーハイ
出願日 2020年1月28日 (11ヶ月経過) 出願番号 2020-011918
公開日 2020年8月27日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-128978
状態 未査定
技術分野 発光性組成物
主要キーワード ハロゲン化物種 面間間隔 第二調波 不均質分布 アバランシェ光検出器 ナノキューブ 線広がり 刻み値
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図面 (20)

課題

新規X線検出システムコロイドシンチレーション材料固体シンチレーション材料、X線検出用の固体シンチレーション材料を調製する方法及びX線を検出する方法を提供する。

解決手段

本開示の実施形態は一般に、コロイドシンチレーション材料及び固体シンチレーション材料を含むシンチレーション材料、シンチレーション材料を調製する方法、シンチレーション材料の用途、シンチレーション材料を使用する方法などを記述する。

概要

背景

[0001]電離放射線可視光子に変換することができるシンチレータは、X線画像化、核カメラ(nuclear camera)及びコンピュータ連動断層撮影などの医療、安全及び商業診断技術の欠くことのできない部分である。従来のシンチレータ製造は通常、高温焼結凝集粉末又は大体積結晶の生成を含み、これらは、デバイス集積化及び加工性に対する重大な課題となる。他方、コロイド量子ドットシンチレータは、大部分のX線用途に対して求められる必要な厚さを有する緊密な固体膜キャスティングすることができない。

[0002]シンチレーティング材料は、電離放射線を可視又は紫外光子に変換することができるため、星間粒子の検出、X線安全、核力カメラ及びコンピュータ連動断層撮影を含む、多くの分野の放射線検出用途に広く使われている。CsI(Tl)結晶及びセリウム活性ガラスなどの従来のシンチレータは普通、高温条件下で合成される。このことは、費用効果的でもなくユーザフレンドリーでもない。さらに、その結果得られる粉末シンチレータは重大な凝集が問題であり、一方で、デバイスアーキテクチャに容易に組み込まれる正確にスライスされた単結晶が必要となる。

[0003]厚さを制御できる理想的なシンチレータは、溶液処理可能(solution−processable)であるはずである。p−テルフェニル(C18H14)、PBD(C20H14N2O)及びPPO(C15H11NO)などの有機染料溶液が、中性子を検出するためのシンチレータとして使用されている。しかしながら、それらの有機染料は、その低原子番号の成分のため阻止能が低く、そのため検出効率が著しく低い。さらに、有機染料は本質的に、フォトブリーチング効果と酸素消光の両方の影響を受けやすく、このことが、多くの領域での有機染料の現実的応用を妨げている。最近、Cs、Pb及びBrなどの重原子元素を含むオールインオーガニック(all−inorganic)ペロブスカイトナノ結晶が、その高い阻止能、低い検出限界及び多色放射線ルミネセンス(multicolor radioluminescence)により、効率的なシンチレータ材料として台頭した。しかしながら、これらのナノ結晶は、(X線の長い侵入深さのために)必要な厚さと商業的に実行可能な用途のための面積サイズとを有する緊密な固体形態の膜にキャスティングすることが難しい。したがって、小さなデバイス面積しか調べることができなかった。

概要

新規X線検出システムコロイドシンチレーション材料固体シンチレーション材料、X線検出用の固体シンチレーション材料を調製する方法及びX線を検出する方法を提供する。本開示の実施形態は一般に、コロイドシンチレーション材料及び固体シンチレーション材料を含むシンチレーション材料、シンチレーション材料を調製する方法、シンチレーション材料の用途、シンチレーション材料を使用する方法などを記述する。

目的

薄いナノシートと厚いナノシートとからなるこの積み重なった構成は、X線検出の効率及び感度が高められた固体シンチレーション材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

X線を吸収し、可視光子を放出するシンチレーション材料であり、薄膜ハロゲン化物ペロブスカイト超構造として基板上に堆積したシンチレーション材料と、前記シンチレーション材料によって放出された前記可視光子を吸収する検出装置と、を備えるX線検出システム

請求項2

前記ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が複数のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含み、前記複数のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが、自己集合してハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの積層を形成している、請求項1に記載のX線検出システム。

請求項3

前記ハロゲン化物ペロブスカイト超構造がナノシート厚の不均一分布を含む、請求項1に記載のX線検出システム。

請求項4

前記ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が、薄いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートと厚いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートとを含む、請求項1に記載のX線検出システム。

請求項5

ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの前記積層内の前記薄いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートと前記厚いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートとの間のエネルギー移動が、前記シンチレーション材料のX線検出の効率及び感度を増大させる、請求項1に記載のX線検出システム。

請求項6

前記ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が式AMX3を有し、Aが無機カチオン又は有機カチオン、Mが金属カチオン、Xがハロゲン化物である、請求項1に記載のX線検出システム。

請求項7

前記ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が式CsPbX3を有し、XがCl、Br又はIである、請求項1に記載のX線検出システム。

請求項8

前記シンチレーション材料が、約80cm2以下の面積を有する亀裂のない薄膜である、請求項1に記載のX線検出システム。

請求項9

前記薄膜が、約5μm〜約25μmの範囲の調節可能な厚さを有する、請求項1に記載のX線検出システム。

請求項10

放出される前記可視光子の波長が約410nm〜約700nmの範囲で調節可能である、請求項1に記載のX線検出システム。

請求項11

液体媒質中に分散した複数のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む、コロイドシンチレーション材料。

請求項12

前記ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが式AMX3を有し、Aが無機カチオン又は有機カチオン、Mが金属カチオン、Xがハロゲン化物である、請求項11に記載のコロイドシンチレーション材料。

請求項13

前記ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが式CsPbX3を有し、XがCl、Br及びIの中から選択された、請求項11に記載のコロイドシンチレーション材料。

請求項14

前記液体媒質中に分散した前記ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約150mg/mLである、請求項11に記載のコロイドシンチレーション材料。

請求項15

前記コロイドシンチレーション材料の光収率が少なくとも約21,000光子/MeVである、請求項11に記載のコロイドシンチレーション材料。

請求項16

前記複数のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが不均一なナノシート厚を特徴とする、請求項11に記載のコロイドシンチレーション材料。

請求項17

X線検出用固体シンチレーション材料を調製する方法であって、請求項11に記載のコロイドシンチレーション材料を基板上にドロップキャスティングして、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造を備えるシンチレーション材料を形成するステップを含む、方法。

請求項18

ハロゲン化物ペロブスカイト超構造の薄膜を含み、前記ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が複数のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含み、前記複数のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが、集合してハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの積層を形成している、固体シンチレーション材料。

請求項19

約72cm2の面積を有する亀裂のない薄膜である、請求項18に記載の固体シンチレーション材料。

請求項20

請求項19に記載の固体シンチレーション材料にX線を照射するステップであり、前記固体シンチレーション材料が入射X線を吸収し、可視光子を放出する、ステップと、前記固体シンチレーション材料から放出された前記可視光子を検出するステップと、を含む、X線を検出する方法。

背景技術

0001

[0001]電離放射線可視光子に変換することができるシンチレータは、X線画像化、核カメラ(nuclear camera)及びコンピュータ連動断層撮影などの医療、安全及び商業診断技術の欠くことのできない部分である。従来のシンチレータ製造は通常、高温焼結凝集粉末又は大体積結晶の生成を含み、これらは、デバイス集積化及び加工性に対する重大な課題となる。他方、コロイド量子ドットシンチレータは、大部分のX線用途に対して求められる必要な厚さを有する緊密な固体膜キャスティングすることができない。

0002

[0002]シンチレーティング材料は、電離放射線を可視又は紫外光子に変換することができるため、星間粒子の検出、X線安全、核力カメラ及びコンピュータ連動断層撮影を含む、多くの分野の放射線検出用途に広く使われている。CsI(Tl)結晶及びセリウム活性ガラスなどの従来のシンチレータは普通、高温条件下で合成される。このことは、費用効果的でもなくユーザフレンドリーでもない。さらに、その結果得られる粉末シンチレータは重大な凝集が問題であり、一方で、デバイスアーキテクチャに容易に組み込まれる正確にスライスされた単結晶が必要となる。

0003

[0003]厚さを制御できる理想的なシンチレータは、溶液処理可能(solution−processable)であるはずである。p−テルフェニル(C18H14)、PBD(C20H14N2O)及びPPO(C15H11NO)などの有機染料溶液が、中性子を検出するためのシンチレータとして使用されている。しかしながら、それらの有機染料は、その低原子番号の成分のため阻止能が低く、そのため検出効率が著しく低い。さらに、有機染料は本質的に、フォトブリーチング効果と酸素消光の両方の影響を受けやすく、このことが、多くの領域での有機染料の現実的応用を妨げている。最近、Cs、Pb及びBrなどの重原子元素を含むオールインオーガニック(all−inorganic)ペロブスカイトナノ結晶が、その高い阻止能、低い検出限界及び多色放射線ルミネセンス(multicolor radioluminescence)により、効率的なシンチレータ材料として台頭した。しかしながら、これらのナノ結晶は、(X線の長い侵入深さのために)必要な厚さと商業的に実行可能な用途のための面積サイズとを有する緊密な固体形態の膜にキャスティングすることが難しい。したがって、小さなデバイス面積しか調べることができなかった。

0004

[0004]本開示の実施形態は、コロイドシンチレーション材料及び固体シンチレーション材料を含むシンチレーション材料、シンチレーション材料を調製する方法、シンチレーション材料の用途、シンチレーション材料を使用する方法などを記述する。

0005

[0005]本開示の実施形態は、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシート(halide perovskite nanosheet)と、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートに結合され又はつながれた任意選択の1種又は数種のリガンド(ligand)とを含むシンチレーション材料を記述する。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが式AMX3を有し、Aは無機カチオン又は有機カチオン、Mは金属カチオン、Xはハロゲン化物である。

0006

[0006]いくつかの実施形態では、このシンチレーション材料が、液体媒質中に分散した複数のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含むコロイドシンチレーション材料である。いくつかの実施形態では、液体媒質中に分散したハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約150mg/mLである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されたコロイドシンチレーション材料が、従来のシンチレーション材料の光収率(light yield)の約1.5倍の光収率を達成する。いくつかの実施形態では、コロイドシンチレーション材料が、約21,000光子/MeV以上の範囲の光収率を示す。いくつかの実施形態では、コロイドシンチレーション材料が、貯蔵条件下及び連続(又は断続的)X線照射下で高い安定性を示す。いくつかの実施形態では、コロイドシンチレーション材料が、不均一なナノシート厚を特徴とする。いくつかの実施形態では、コロイドシンチレーション材料が、ほぼ室温の温度(about room temperature)で溶液処理可能であり、大面積薄膜シンチレーション材料を形成するために使用される。

0007

[0007]いくつかの実施形態では、このシンチレーション材料が、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造(superstructure)を有する固体シンチレーション材料であり、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの積み重なった層(stacked layers。以後、積層という)を含む。いくつかの実施形態では、固体シンチレーション材料が、ナノシート厚の不均一分布を有することを特徴とするハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む。いくつかの実施形態では、固体シンチレーション材料の波長放出(wavelength emission)が調節可能である。いくつかの実施形態では、固体シンチレーション材料が、調節可能な膜厚を有する。いくつかの実施形態では、固体シンチレーション材料が、亀裂及び/又は欠陥のない大面積薄膜である。

0008

[0008]本開示の実施形態はさらに、X線を吸収し、可視光子を放出するシンチレーション材料であり、薄膜ハロゲン化物ペロブスカイト超構造として基板上に堆積したシンチレーション材料と、そのシンチレーション材料によって放出された可視光子を吸収する検出装置とを備えるX線検出システムを記述する。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が、薄いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートと厚いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートとを含む。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの積層内の薄いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートと厚いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートとの間のエネルギー移動(energy transfer)が、シンチレーション材料のX線検出の効率及び感度を増大させる。

0009

[0009]本開示の実施形態はさらに、X線を検出する方法であって、シンチレーション材料にX線又はX線放射照射するステップであり、この固体シンチレーション材料が入射X線を吸収し、可視光子を放出する、ステップと、その固体シンチレーション材料から放出された可視光子を検出するステップとを含む方法を記述する。

0010

[0010]本開示の実施形態はさらに、シンチレーション材料を調製する方法であって、以下のステップのうちの1つ又は複数のステップを含む方法を記述する:溶媒Aと溶媒Bとを含む混合物に第1の前駆体を溶解して、第1の反応混合物を形成するステップ、溶媒Cと1種又は数種のリガンドとを含む混合物に過剰の第2の前駆体を溶解して、第2の反応混合物を形成するステップ、第2の反応混合物を第1の反応混合物と接触させて、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを形成するステップ、このハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを第1の反応混合物及び第2の反応混合物から分離するステップ、このハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを液体媒質に分散させて、コロイドシンチレーション材料を形成するステップ、並びに、このコロイドシンチレーション材料を基板上に堆積させて、固体シンチレーション材料を形成するステップ。

0011

[0011]1つ又は複数の例の詳細が下の説明に記載されている。その他の特徴、目的及び利点は、以下の説明及び特許請求項から明らかになる。

図面の簡単な説明

0012

[0012]本明細書の開示は例示的な実施形態を説明するものであり、それらの実施形態は限定を意図したものでも、全てを網羅したものでもない。図面は、必ずしも一様な倍率では描かれておらず、それらの図面では、それらのいくつかの図の全体にわたって、同様の符号が実質的に同様の構成要素を表す。異なる添え字を有する同様の符号は、実質的に同様の構成要素の異なる例を表している。図面は一般に、本明細書で論じられているさまざまな実施形態を例示するものであり、それらの実施形態を限定するものではない。
[0013]次に、図に示された例示的な実施形態を参照する。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、X線を検出する方法の流れ図である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、シンチレーション材料を調製する方法の流れ図である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシート(Pb/Cs:5:1)を含む、高められた安定性を示す、コロイドシンチレーション材料の長期貯蔵試験の画像である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく図である。a)CsPbBr3ナノシートの自己集合(self−assembly)過程を示す略図である。下のパネルは、トルエン中の高濃度コロイド(150mg/mL)及びガラススライド上のウェーハサイズの薄膜の写真を示している。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく図である。b)2.1nmの平面間間隔を特徴とする、集合したCsPbBr3ナノプレートレット(nanoplatelet)のTEM画像である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく図である。c)(200)ファセットの明瞭な格子縞を示す集合体のHRTEM画像である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく図である。d)集合したCsPbBr3薄膜の小角XRD回折パターンを示す図であり、この図は、積み重なったCsPbBr3ナノプレートレットの一連の平面間回折ピークを示している。3.82°のピーク間隔は平面間間隔が2.32nmであることを示唆しており、このことはTEMの結果と一致している。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく図である。e)薄膜が平坦であることを示すSEM画像である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく図である。f)コロイド及び薄膜試料定常状態吸収及び光ルミネセンススペクトルを示す図である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートのXRDパターングラフであり、このグラフは、かなり広がったピークを示している。ナノシートの平均厚は、下のシェラー(Scherrer)の式に従って算出することができる。




上式で、τは、CsPbBr3ナノシートの平均厚、Kは、典型値0.89のシェラー定数、λは、約0.154nmであるX線波長、βは、ラジアンで表した線広がり(line broadening)(半値全幅又はFWHM)、θは、ブラッグ角である。(110)ファセットの特性ピークガウス関数に当てはめ、FWHMは2.71°(ラジアンでは0.047)であることが分かった。したがって、平均厚は約2.95nmであり、この値はHRTEMの結果とよく一致している。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、a)4μmの均質な厚さを示す、CsPbBr3ナノシートの亀裂のない薄膜の断面図である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、b)薄膜表面のAFM画像である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシート集合体(Pb/Cs:5/1)の薄膜からの過渡PLストリークカメラ測定を示す図である。a)410nmでの励起、1pJ/cm2のフラックスでの2D擬色過渡的放出マップを示す図である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシート集合体(Pb/Cs:5/1)の薄膜からの過渡的PLのストリークカメラ測定を示す図である。b)励起子再結合中心シフトを示す、3ナノ秒、6ナノ秒及び15ナノ秒における過渡的PLプロファイルを示す図である。PL減衰トレースは、460及び500nm窓(±5nm)において抽出した。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシート集合体(Pb/Cs:5/1)の薄膜からの過渡的PLのストリークカメラ測定を示す図である。c)最初の3ナノ秒におけるPL減衰トレースの拡大画像である。500nm放出のビルディングアップ寿命(buidling−up lifetime)は、460nm放出の短成分(short component)に匹敵し、このことは効率的なエネルギー移動を示している。破線ボックスは、500nm放出のビルディングアップ段階を強調したものである。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシート集合体(Pb/Cs:5/1)の薄膜からの過渡的PLのストリークカメラ測定を示す図である。d)有効寿命を波長に対してプロットした。それぞれ薄いナノシート及び厚いナノシートによるものと考えられる2つのプラトー(plateau)寿命(破線のボックス)が見られた。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシート集合体(Pb/Cs:5/1)の薄膜からの過渡的PLのストリークカメラ測定を示す図である。e)最初の3ナノ秒におけるPL減衰トレースの拡大画像である。500nm放出のビルディングアップ寿命は460nm放出の短成分に匹敵し、このことは効率的なエネルギー移動を示している。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシート集合体(Pb/Cs:5/1)の薄膜からの過渡的PLのストリークカメラ測定を示す図である。f)FRET効率を74%とした、薄いナノシートから厚いナノシートへのエネルギー移動過程を示す略図である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートのコロイド形態及び固体形態の放射線ルミネセンスを示す図である。(a)周囲光下及びX線下における濃厚コロイド(concentrated colloid)(0.15g/mL)の写真である。RL写真の照射時間は2秒に設定した。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートのコロイド形態及び固体形態の放射線ルミネセンスを示す図である。(b)標準的な市販シンチレータ(Ce:LuAG)及びCsPbBr3コロイドのパルス高スペクトルを示す図である。コロイドシンチレータのコンプトンエッジ(Compton edge)はかなり弱いことに留意されたい。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートのコロイド形態及び固体形態の放射線ルミネセンスを示す図である。コロイドから固体への12分間の変換の間、RLスペクトル(c)を監視した。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートのコロイド形態及び固体形態の放射線ルミネセンスを示す図である。コロイドから固体への12分間の変換の間、ピーク(d)を監視した。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートのコロイド形態及び固体形態の放射線ルミネセンスを示す図である。コロイドから固体への12分間の変換の間、強度(e)を監視した。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートのコロイド形態及び固体形態の放射線ルミネセンスを示す図である。(f)小角XRDは、コロイドの乾燥過程中の超構造の出現を示している。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートを含むペロブスカイト薄膜放射線撮影(radiography)特性を示す図である。(a)RL強度の線量依存性線形関係を示している。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートを含むペロブスカイト薄膜の放射線撮影(radiography)特性を示す図である。(b)RL強度の厚さ依存性は、25μmに最適値があることを示唆している。25μmよりも厚いと、追加された厚さは、より多くのRL強度を得ることができない。はめ込み画像は、厚さ25μmの膜のRL写真を示している。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートを含むペロブスカイト薄膜の放射線撮影(radiography)特性を示す図である。(c)18μGy/秒のX線放射線を2時間にわたって照射したときの薄膜RLの強度記録を示す図であり、この記録は、ロバストな安定性を示している。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートを含むペロブスカイト薄膜の放射線撮影(radiography)特性を示す図である。(d)携帯電話トランジスタパネルの写真である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートを含むペロブスカイト薄膜の放射線撮影(radiography)特性を示す図である。(e)本発明の発明者の自作の放射線撮影装置の下のペロブスカイト薄膜スクリーンによって、樹脂で覆われたパネル(赤色の破線の正方形)の内部構造を明らかにすることができる。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートを含むペロブスカイト薄膜の放射線撮影(radiography)特性を示す図である。(f)強度プロファイル点像分布関数赤線)をガウス関数(青線)に当てはめ、半値全幅(FWHM)を分解能として測定した。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートを含むペロブスカイト薄膜の放射線撮影(radiography)特性を示す図である。(g)その下にシリコンチップが組み込まれた標準的なCPUパネルの写真である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、CsPbBr3ナノシートを含むペロブスカイト薄膜の放射線撮影(radiography)特性を示す図である。(h)シリコンチップによって覆われた部分(赤破線の正方形)のX線画像化を示す図であり、この図は、分解能が損なわれていないことを示している。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、それぞれCsPbBr3コロイド及びCe:LuAG単結晶のRLスペクトルを示す図である。試料は、エネルギー662keVのγ線(137Cs源)によって励起させた。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、準線形性を示す、CsPbBr3薄膜のRL強度の線量依存性を示す図である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、自作プロトタイプX線画像化装置の投影構成を示す図である。
本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、300μmシリコンチップを下に有するCPUパネルの写真である。

0013

[0027]本開示は、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートに基づく新規のシンチレーション材料に関する。このシンチレーション材料は、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが液体媒質中に分散した高濃度コロイド形態として調製することができる。このシンチレーション材料のコロイド形態は、従来の市販シンチレーション材料の光収率の1.2倍の光収率を示すことができる。さらに、このコロイドシンチレーション材料は、連続(又は断続的)X線照射下で強い放射線ルミネセンス及び高い安定性を示す。

0014

[0028]この材料の高い濃度及びナノシートモルフォロジ(morphology)のため、コロイドシンチレーション材料は容易に溶液処理可能であり、コロイドシンチレーション材料をキャスティングして、高分解能X線画像化用途に適した厚さを有する亀裂のない均一な大面積膜を容易に形成することができる。この固体シンチレーション材料を形成する際、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造を形成するために、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートは、集合して、積み重なったハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを形成することができる。ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの積層に基づくハロゲン化物ペロブスカイト超構造の前例はない。さらに、この固体シンチレーション材料は、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが幅広い厚さ分布を有し、多数の薄いナノシートと厚いナノシートとが積み重なった構成をとっていることを特徴とする。薄いナノシートと厚いナノシートとからなるこの積み重なった構成は、X線検出の効率及び感度が高められた固体シンチレーション材料を提供する。理論付けする気はないが、この効率及び感度の高まりは、薄いシートと厚いシートの間の新規のエネルギー移動過程によって推進されたものと考えられる。このエネルギー移動過程は、シンチレーション材料の光強度を驚くほど増大させる。

0015

定義
[0029]下に挙げる用語の定義は下記のとおりである。本開示のその他の用語及び表現は全て、当業者が理解するそれらの用語及び表現の通常の意味に従って解釈される。

0016

[0030]本明細書で使用されるとき、用語「ハロゲン化物ペロブスカイト」は、式AMX3の化合物を指し、Aは無機カチオン又は有機カチオン、Mは金属カチオン、Xはハロゲン化物である。いくつかの実施形態では、無機カチオン又は有機カチオン(A)が、セシウム(Cs)、ルビジウム(Rb)、メチルアンモニウム(MA)、ホルムアミジニウム(formamidinum)(FA)及び5−アンノミウム吉草酸(5−annomiumvaleric acid)の中から選択される。いくつかの実施形態では、金属カチオン(M)が、Pb、Sn、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、Pd、Cd、Ge及びEuの中から選択される。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物(X)がCl、Br及びIの中から選択される。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイト化合物が、MAPbI3、MAPbBr3、MAPbCl3、FAPbBr3、FAPbI3、FAPbCl3、CsPbI3、CsPbCl3、CsPbBr3、FASnI3、FASnBr3、FASnCl3、MASnI3、MASnBr3及びMASnCl3の中から選択される。

0017

[0031]本明細書で使用されるとき、用語「コロイド(colloid)」又は「コロイド(colloidal)」は一般に、液体媒質中に粒子が分散及び/又は浮遊した材料を指す。例えば、「コロイド」は、コロイド分散系及び/又はコロイド懸濁液を指しうる。「コロイド」は、均質な混合物及び/又は不均質な混合物も指しうる。

0018

[0032]本明細書で使用されるとき、用語「固体」は一般に、固体状態又は準固体状態にある材料を指す。用語「固体」は、特に膜(例えば薄膜)、コーティング及び層などの形態を含む。

0019

[0033]本明細書で使用されるとき、用語「ナノシート厚の不均一分布」、「ナノシート厚の幅広い分布」及び/又は「ナノシート厚の不均質分布」は、複数の厚さを特徴とするナノシートを指す。例えば、いくつかの実施形態では、用語「ナノシート厚の不均一分布」及び同様の用語を使用して、2つ以上の厚さを特徴とするナノシート、同じ厚さを有するナノシートがない(例えば全てのナノシートが異なる厚さを有する)ことを特徴とするナノシート、及び/又は2つ以上の厚さを有するナノシートと同じ厚さを有するナノシートがないナノシートとの間の任意の変形を特徴とするナノシートを記述することができる。

0020

シンチレーション材料
[0034]本開示の実施形態は、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートと任意選択の1種若しくは数種のリガンドとを含む(又はハロゲン化物ペロブスカイトナノシートと任意選択の1種若しくは数種のリガンドとからなる)シンチレーション材料を記述する。後により詳細に説明するが、いくつかの実施形態では、シンチレーション材料がコロイド形態で提供される。他の実施形態では、シンチレーション材料が固体形態で提供される。

0021

[0035]このハロゲン化物ペロブスカイトナノシートは一般に式AMX3を特徴とすることができ、Aは無機カチオン又は有機カチオン、Mは金属カチオン、Xはハロゲン化物である。いくつかの実施形態では、無機又は有機カチオン(A)が、セシウム(Cs)、ルビジウム(Rb)、メチルアンモニウム(MA)、ホルムアミジニウム(FA)及び5−アンノミウム吉草酸の中から選択される。いくつかの実施形態では、金属カチオン(M)が、Pb、Sn、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、Pd、Cd、Ge及びEuの中から選択される。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物(X)がCl、Br及びIの中から選択される。式AMX3を特徴とするハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの例は、限定はされないが、MAPbI3、MAPbBr3、MAPbCl3、FAPbBr3、FAPbI3、FAPbCl3、CsPbI3、CsPbCl3、CsPbBr3、FASnI3、FASnBr3、FASnCl3、MASnI3、MASnBr3及びMASnCl3を含む。

0022

[0036]ある種の実施形態では、シンチレーション材料が、式CsPbX3のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含み(又は式CsPbX3のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートからなり)、Xが、Cl、Br及びIの中から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が、式CsPbCl3のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む。いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が、式CsPbBr3のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む。いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が、式CsPbI3のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む。ある種の実施形態では、シンチレーション材料が、その全体が参照によって本明細書に組み込まれているChen,Q.他、All−inorganic perovskite nanocrystal scintillators、Nature 2018、561(7721)、88に記載されている、オールインオーガニックペロブスカイトナノ結晶シンチレータを含む。

0023

[0037]いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が1種又は数種のリガンドをさらに含む。一般に、このリガンドは特に限定されず、本開示のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートに適した任意のリガンドを含むことができる。いくつかの実施形態では、この1種又は数種のリガンドが、1つ又は複数のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートにそのリガンドが結合されまたつながれるように選択される。いくつかの実施形態では、この1種又は数種のリガンドが、カルボン酸アミンカルボキシレートホスフィンホスフィンオキシドチオールサルフェートスルホネートホスフェート及びこれらの組合せの中から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、この1種又は数種のリガンドが、オクチルアミンオクタン酸オレイン酸オレイルアミンオクタデセン、オクチホスホン酸トリオクチルホスフィントリオクチルホスフィンオキシド及びこれらの組合せの中から選択される。ある種の実施形態では、このリガンドが、オクチルアミン及びオクタン酸である。

0024

[0038]以上では、本開示のシンチレーション材料について全般的に論じた。以下では、本開示のシンチレーション材料のさまざまな形態を示す。

0025

コロイドシンチレーション材料
[0039]本開示の実施形態はさらに、シンチレーション材料のコロイド形態を記述する。例えば、いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が、液体媒質中に分散した複数のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む。いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が、1種又は数種のリガンドをさらに含み、この1種又は数種のリガンドは、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートに結合され又はつながれている。例えば、いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が、複数のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートと、液体媒質中に分散したハロゲン化物ペロブスカイトナノシートに結合され又はつながれた1種又は数種のリガンドとを含む。

0026

[0040]液体媒質中のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度は、約0.01mg/mL〜約200mg/mLの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、このシンチレーション材料が、液体媒質中に分散したハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの高い濃度を特徴とする。例えば、いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約200mg/mL以下である。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約170mg/mLである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約160mg/mLである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約150mg/mLである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約140mg/mLである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約130mg/mLである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約120mg/mLである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約110mg/mLである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約100mg/mLである。

0027

[0041]液体媒質は、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを分散させるのに適した任意の液体媒質から選択することができる。いくつかの実施形態では、所与の液体媒質の適性がリガンドの極性に依存する。例えば、いくつかの実施形態では、液体媒質が無極性溶媒の中から選択される。いくつかの実施形態では、液体媒質が極性溶媒から選択される。液体媒質の例は、限定はされないが、特に、トルエン、ジメチルスルホキシドDMSO)、N,N−ジメチルホルムアミドDMF)、ガンマブチロラクトン(GBR)、ジクロロメタン(DCM)、クロロホルムアセトニトリルシクロヘキサンヘキサン及びクロロホルムのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、適当な液体媒質が、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートからのリガンドの脱離の発生を低減させる媒体である。いくつかの実施形態では、リガンドの脱離が、トラップ状態(trap−state)へのエネルギー移動、及び近傍の他のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートによる自己吸収の増大につながる。

0028

[0042]上述のとおり、本開示のコロイドシンチレーション材料は、驚いたことに、どの形態の従来のシンチレーション材料よりも高い光収率を達成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されたコロイドシンチレーション材料が、従来のシンチレーション材料の光収率の約1.5倍の光収率を達成する。例えば、いくつかの実施形態では、コロイドシンチレーション材料が、約21,000光子/MeV以上の範囲の光収率を示す(一方、従来のシンチレーション材料は、約18,000光子/MeVの光収率しか達成しない)。他の実施形態では、コロイドシンチレーション材料の光収率が特に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、コロイドシンチレーション材料が少なくとも約18,000光子/MeVの光収率を示す。いくつかの実施形態では、コロイドシンチレーション材料の光収率が、約18,000光子/MeV未満及び/又は約18,000光子/MeV超である。

0029

[0043]同様に、上述のとおり、コロイドシンチレーション材料は、貯蔵条件下及び連続(又は断続的)X線照射下で優れた安定性又は高い安定性を示す。例えば、いくつかの実施形態では、コロイドシンチレーション材料を、劣化の形跡なしに約1か月間、貯蔵することができる。いくつかの実施形態では、コロイドシンチレーション材料を、劣化の形跡なしに約1か月よりも長い期間、貯蔵することができる。いくつかの実施形態では、コロイドシンチレーション材料を、劣化又は放射線劣化の形跡なしに約2時間、連続X線照射にさらすことができる。いくつかの実施形態では、コロイドシンチレーション材料を、劣化又は放射線劣化の形跡なしに約2時間よりも長い期間、連続X線照射にさらすことができる。

0030

[0044]いくつかの実施形態では、コロイドシンチレーション材料が、不均一なナノシート厚を特徴とする。いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が、ナノシート厚の不均一分布を有することを特徴とするハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む。例えば、いくつかの実施形態では、ナノシート厚の不均一分布を有するハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが、薄いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートと厚いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートとの集合体を含み、薄いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが、厚いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートよりも薄いナノシートを含む。

0031

[0045]このコロイドシンチレーション材料は、ほぼ室温の温度で溶液処理可能であること、及びキャスティングして前例のない大面積薄膜を形成することができることが有利である。例えば、いくつかの実施形態では、このコロイドシンチレーション材料をほぼ室温の温度で基板上でキャスティングして、その基板上に固体層を、コーティング、膜又は薄膜として形成する。いくつかの実施形態では、このコロイドシンチレーション材料をほぼ室温の温度で基板上でキャスティングして、大面積薄膜を形成する。いくつかの実施形態では、この大面積薄膜が、ハロゲン化物ペロブスカイトナノ結晶の高濃度溶液からキャスティングされる。例えば、いくつかの実施形態では、この大面積薄膜が、ほぼ室温の温度で、濃度約150mg/mLのハロゲン化物ペロブスカイトナノシート溶液からキャスティングされる。いくつかの実施形態では、前記大面積薄膜が、全部ではないにしても、大部分のX線用途に適した厚さを有する。

0032

[0046]この基板は特に限定されない。いくつかの実施形態では、基板が、可視光などの光に対して透過性である。基板の例は、限定はされないが、特に、ガラス、プラスチックセラミック、金属、結晶性半導体及びアモルファス半導体を含む。

0033

固体シンチレーション材料
[0047]本開示の実施形態はさらに、シンチレーション材料の固体形態を記述する。一般に、シンチレーション材料はハロゲン化物ペロブスカイト超構造を有し、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造は複数のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む。いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が薄膜シンチレーション材料を含む。例えば、いくつかの実施形態では、シンチレーション材料がハロゲン化物ペロブスカイト超構造の薄膜を含み、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造は、複数のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートと、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートに結合され又はつながれた任意選択の1種又は数種のリガンドとを含む。

0034

[0048]いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの1つ若しくは複数の積み重なり(stack。以後、スタックという)又は1つ若しくは複数の積層を含む。例えば、いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が、積み重なった複数のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの単一のスタック又は単一の積層を含む。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が、(例えばシンチレーション材料のコロイド形態から)集合又は自己集合してハロゲン化物ペロブスカイトナノシートのスタック又は積層を形成した、複数のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む。いくつかの実施形態では、このハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの集合体又は自己集合体が大面積薄膜を形成している。

0035

[0049]いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイト部構造体が1種又は数種のリガンドを含む。いくつかの実施形態では、この1種又は数種のリガンドが、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシート又はその単層(monolayer)に結合され又はつながれている。いくつかの実施形態では、この1種又は数種のリガンドが、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートのスタック又は積層に結合され又はつながれている。いくつかの実施形態では、この1種又は数種のリガンドが、スタックの中のそれぞれのハロゲン化物ペロブスカイトナノシート間のエリア、又はハロゲン化物ペロブスカイトナノシートのそれぞれのスタック間のエリアにおいて、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートに結合されている。いくつかの実施形態では、この1種又は数種のリガンドが、それぞれのハロゲン化物ペロブスカイトナノシート間又はハロゲン化物ペロブスカイトナノシートのそれぞれのスタック間に交互に又はランダムに配置された層を形成している。

0036

[0050]ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの積層は、薄膜の表面に対してさまざまな向きを有しうる。例えば、いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの積層の向きが膜表面に対して平行であり、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの積層の平行な向きとは、膜表面に対して平行な向きを有する軸線に沿って、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシート又はその層が積み重なる向きである。例えば、いくつかの実施形態では、膜表面の上面から見たときに、ナノシートの平らな表面よりもナノシートの縁の方がよく見える。他の実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの積層の向きが膜表面に対して垂直であり、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの積層の垂直な向きとは、膜表面に対して垂直な向きを有する軸線に沿って、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの層が積み重なる向きである。例えば、いくつかの実施形態では、膜表面の上面から見たときに、ナノシートの縁よりもナノシートの平らな表面の方がよく見える。

0037

[0051]いくつかの実施形態では、この積み重なりが、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが充填されている方式によって特徴づけられる。例えば、いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが、面−面充填(face−to−face packing)で積み重なっている。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが、縁−縁充填(edge−to−edge packing)で積み重なっている。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが、面−縁充填(face−to−edge packing)で積み重なっている。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが、1つ又は複数の面−面充填、縁−縁充填及び面−縁充填で積み重なっている。

0038

[0052]いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が、ナノシート厚の不均一分布を有することを特徴とするハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む。例えば、いくつかの実施形態では、ナノシート厚の不均一分布を有するハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが、薄いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートと厚いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートとの集合体を含み、薄いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが、厚いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートよりも薄いナノシートを含む。これらの実施形態では、薄いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートから厚いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートへのエネルギー移動が、X線検出用途におけるシンチレーション材料の効率及び/又は感度を高める。

0039

[0053]いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が、約1nm〜約100nmの範囲又はこの範囲の任意の刻み範囲(increment)の厚さを有するハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む。例えば、いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が、約1nm〜約5nm、約2nm〜約4.5nm、約2.5nm〜約4.5nm、約2.8nm〜約4.2nmの範囲又はこれらの範囲の任意の刻み範囲の厚さを有するハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む。他の実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの厚さが、それぞれのナノシート中に存在する単層の数によって特徴づけられる。例えば、いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの厚さが、単層約1〜約10層分、単層約2〜約9層分、単層約3〜約8層分、単層約4〜約7層分、単層約4〜約6層分、単層約5〜約7層分の範囲、又はこれらの範囲の任意の刻み範囲にある。

0040

[0054]いくつかの実施形態では、ナノシート厚及び/又はナノシート厚の分布を調節するように、シンチレーション材料の化学的性質が調整されている。例えば、いくつかの実施形態では、PbとCsのモル比を調整して、ナノシート厚の分布を調節することができる。いくつかの実施形態では、Pb/Csのモル比が、約100/1〜約1/100の範囲又はこの範囲の任意の刻み範囲にある。いくつかの実施形態では、Pb/Csのモル比が約10/1である。いくつかの実施形態では、Pb/Csのモル比が約9/1である。いくつかの実施形態では、Pb/Csのモル比が約8/1である。いくつかの実施形態では、Pb/Csのモル比が約7/1である。いくつかの実施形態では、Pb/Csのモル比が約6/1である。いくつかの実施形態では、Pb/Csのモル比が約5/1である。いくつかの実施形態では、Pb/Csのモル比が約4/1である。いくつかの実施形態では、Pb/Csのモル比が約3/2である。いくつかの実施形態では、Pb/Csのモル比が約2/1である。

0041

[0055]さらに、いくつかの実施形態では、膜の厚さが調節可能である。例えば、いくつかの実施形態では、薄膜シンチレーション材料が、約0.01μm〜約30μmの範囲又はこの範囲の任意の刻み範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、薄膜シンチレーション材料の厚さが約5μm〜約25μmの範囲にある。例えば、いくつかの実施形態では、薄膜シンチレーション材料の厚さが、約25μm、約24μm、約23μm、約22μm、約21μm、約20μm、約19μm、約18μm、約17μm、約16μm、約15μm、約14μm、約13μm、約12μm、約11μm、約10μm、約9μm、約8μm、約7μm、約6μm又は約5μmである。

0042

[0056]上述のとおり、いくつかの実施形態では、固体シンチレーション材料が大面積薄膜として製造される。例えば、いくつかの実施形態では、薄膜の面積が約80cm2以下である。いくつかの実施形態では、薄膜の面積が約75cm2以下である。いくつかの実施形態では、薄膜の面積が約74cm2以下である。いくつかの実施形態では、薄膜の面積が約73cm2以下である。いくつかの実施形態では、薄膜の面積が約72cm2である。いくつかの実施形態では、薄膜の面積が少なくとも約71cm2である。いくつかの実施形態では、薄膜の面積が少なくとも約70cm2である。他の実施形態では、薄膜の面積が少なくとも約1cm2である。例えば、いくつかの実施形態では、薄膜の面積が約1cm2〜約1m2の範囲にある。

0043

[0057]いくつかの実施形態では、薄膜として製造されたもの及び/又は大面積薄膜として製造されたものを含め、この固体シンチレーション材料が、欠陥を含まず、又は欠陥を実質的に含まない。例えば、いくつかの実施形態では、固体シンチレーション材料が表面欠陥を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、固体シンチレーション材料が表面欠陥を含まない。いくつかの実施形態では、固体シンチレーション材料が亀裂を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、固体シンチレーション材料が亀裂を含まない。

0044

[0058]いくつかの実施形態では、約5μm〜約25μmの範囲で薄膜の厚さが増大するにつれて放射線ルミネセンス強度が増大する。例えば、いくつかの実施形態では、約25μmを超える厚さにおいて放射線ルミネセンス強度が横ばいである。このことに応じて、いくつかの実施形態では、薄膜の厚さが、約25μm、約24μm、約23μm、約22μm、約21μm、約20μm、約19μm、約18μm、約17μm、約16μm、約15μm、約14μm、約13μm、約12μm、約11μm、約10μm、約9μm、約8μm、約7μm、約6μm、約5μm又はこれらの値の任意の刻み値である。他の実施形態では、薄膜の厚さが、約5μm未満及び/又は約25μm超である。例えば、いくつかの実施形態では、薄膜の厚さを約1μm〜約100μmの範囲とすることができる。

0045

[0059]本開示の実施形態はさらに、X線検出用シンチレーション材料などの固体シンチレーション材料を調製する方法を記述する。いくつかの実施形態では、固体シンチレーション材料を調製するこの方法が、本開示のコロイドシンチレーション材料を基板上に堆積させて、本開示の固体シンチレーション材料のうちのいずれかの固体シンチレーション材料を形成することを含む。この堆積は特に限定されない。いくつかの実施形態では、この堆積がドロップキャスティング(dropcasting)を含む。他の実施形態では、この堆積が、堆積技法の中でも特にスピンコーティングを含む。

0046

[0060]以上では、シンチレーション材料のさまざまな形態について論じた。以下では、本開示のシンチレーション材料を使用するさまざまな用途を示す。

0047

シンチレーション材料の用途
[0061]本開示の実施形態はさらに、本開示のシンチレーション材料のうちのいずれかのシンチレーション材料と検出装置とを備えるX線検出システムを記述する。このシンチレーション材料は、より高エネルギーX線光子を吸収し、吸収したエネルギーを、より低エネルギーの光子に変換することができ、それらの光子は、スペクトルの可視領域に波長放出を有する。この検出装置を使用して、シンチレーション材料によって放出された可視光子を吸収することができる。

0048

[0062]いくつかの実施形態では、このX線検出システムが、膜(例えば薄膜)、層又はコーティングの形態で基板上に堆積したシンチレーション材料を含む。この基板は特に限定されず、したがってX線検出システムに適した任意の基板から選択することができる。例えば、いくつかの実施形態では、この基板が、ガラス、プラスチック、セラミック、金属、結晶性半導体、アモルファス半導体などの中から選択される。

0049

[0063]いくつかの実施形態では、基板上に堆積したシンチレーション材料が、ドロップキャスティングされたシンチレーション材料である。例えば、一実施形態では、コロイドシンチレーション材料を基板上にドロップキャスティングして、ドロップキャスティングされたシンチレーション材料を形成する。他の実施形態では、シンチレーション材料が、スピンコーティングされたシンチレーション材料である。例えば、一実施形態では、コロイドシンチレーション材料を基板上にスピンコーティングして、スピンコーティングされたシンチレーション材料を形成する。他の技法を使用して堆積させたシンチレーション材料も本発明の範囲に含まれるため、これらのことは限定を意図したものではない。

0050

[0064]いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造を有している。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの積層を含む。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が、ハロゲン化物ペロブスカイトナノキューブを含む。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が、ハロゲン化物ペロブスカイトナノプレートレットを含む。他の実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシート、ナノキューブ及びナノプレートレット以外のハロゲン化物ペロブスカイトナノ構造体を含む。

0051

[0065]いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が化学式AMX3を特徴とすることができ、Aは無機又は有機カチオン、Mは金属カチオン、Xは任意のハロゲン化物である。ある種の実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が式CsPbX3を有し、Xは任意のハロゲン化物である。例えば、いくつかの実施形態では、Xが、Cl、Br及びIの中から選択される。

0052

[0066]いくつかの実施形態では、ペロブスカイト超構造のハロゲン化物種適合させることにより、シンチレーション材料の波長放出が、スペクトルの可視領域の中で調節可能である。例えば、いくつかの実施形態では、シンチレーション材料の波長放出を調節するために、製造時にハロゲン化物前駆体種を選択することができる。いくつかの実施形態では、波長放出を調節するために、シンチレーション材料をアニオン交換反応(anion exchange reaction)にかけることができる。いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が、約380nm〜約740nmの範囲又はこの範囲の任意の刻み範囲の波長で可視光子を調節可能に放出する。例えば、ある種の実施形態では、シンチレーション材料が、410nm〜約700nmの範囲の波長で可視光子を放出する。

0053

[0067]いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が、約1μGy/秒〜約140μGy/秒の範囲又はこの範囲の任意の刻み範囲のX線線量率(X−ray dose rate)に対して線形応答を示す。いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が、約0.1ナノ秒〜約13ナノ秒の範囲又はこの範囲の任意の刻み範囲のシンチレーション減衰時間(scintillation decay time)を示す。いくつかの実施形態では、シンチレーション材料が約0.21mm以下の空間分解能(spatial resolution)を示す。

0054

[0068]X線検出システムの検出装置は特に限定されず、シンチレーション材料によって放出された可視光子を吸収するのに適した任意の装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、検出装置がフォトダイオードである。例えば、いくつかの実施形態では、検出装置が、Siベースのフォトダイオードである。いくつかの実施形態では、検出装置が、III族窒化物ベースのフォトダイオードである。いくつかの実施形態では、検出装置が、SiCベースのフォトダイオードである。いくつかの実施形態では、検出装置が光検出器である。例えば、いくつかの実施形態では、検出装置がアバランシェ光検出器である。

0055

[0069]図1は、本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、X線を検出する方法の流れ図である。図1に示されているように、この方法は、本開示の固体シンチレーション材料のうちのいずれかの固体シンチレーション材料にX線又はX線放射を照射するステップ101であり、この固体シンチレーション材料が入射X線を吸収し、可視光子を放出する、ステップと、その固体シンチレーション材料から放出された可視光子を検出するステップ102とを含む。

0056

[0070]以上では、シンチレーション材料を使用するさまざまな用途について論じた。以下では、本開示のシンチレーション材料を調製する方法を示す。

0057

シンチレーション材料を調製する方法
[0071]図2は、本開示の1つ又は複数の実施形態に基づく、シンチレーション材料を製造する方法の流れ図である。図2に示されているように、この方法は、以下のステップのうちの1つ又は複数のステップを含むことができる:溶媒Aと溶媒Bとを含む混合物に第1の前駆体を溶解して、第1の反応混合物を形成するステップ201、溶媒Cと1種又は数種のリガンドとを含む混合物に過剰の第2の前駆体を溶解して、第2の反応混合物を形成するステップ202、第2の反応混合物を第1の反応混合物と接触させて、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを形成するステップ203、このハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを第1の反応混合物及び第2の反応混合物から分離するステップ204、このハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを液体媒質に分散させて、コロイドシンチレーション材料を形成するステップ205、並びに、このコロイドシンチレーション材料を基板上に堆積させて、固体シンチレーション材料を形成するステップ206。

0058

[0072]ステップ201では、溶媒Aと溶媒Bとを含む混合物に第1の前駆体を溶解して、第1の反応混合物を形成する。いくつかの実施形態では、この溶解が、ほぼ室温の温度で進行する。いくつかの実施形態では、この溶解が、ほぼ室温の温度よりも高い温度又はほぼ室温の温度よりも低い温度で進行する。いくつかの実施形態では、この溶解が撹拌(stirring)下で進行する。

0059

[0073]いくつかの実施形態では、第1の前駆体が、無機カチオン前駆体又は有機カチオン前駆体である。例えば、いくつかの実施形態では、第1の前駆体が、Cs前駆体、Rb前駆体、MA前駆体、FA前駆体及び5−アンノミウム吉草酸前駆体の中から選択される。いくつかの実施形態では、第1の前駆体がCs前駆体であり、Cs前駆体が酢酸Csから選択される。他の実施形態では、第1の前駆体が、Cs、Rb、MA、FA及び5−アンノミウム吉草酸の適当な任意の前駆体から選択される。

0060

[0074]いくつかの実施形態では、第1の反応混合物が、溶媒A及び溶媒Bを含む。いくつかの実施形態では、極性溶媒及び無極性溶媒の中から溶媒A及び溶媒Bを選択することができる。例えば、いくつかの実施形態では、溶媒A及び溶媒Bが、特に、プロパノール、ヘキサン、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ガンマ−ブチロラクトン(GBR)、ジクロロメタン(DCM)、クロロホルム、アセトニトリル、シクロヘキサン及びクロロホルムの中から選択される。本明細書では、本開示の範囲から逸脱することなく、他の極性及び/又は無極性溶媒を使用することができる。

0061

[0075]いくつかの実施形態では、第1の反応混合物が、溶媒Aと溶媒Bを1:2の比で含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1の反応混合物が、溶媒Aと溶媒Bを1:2の体積比で含む。他の実施形態では、溶媒AとBの比又は体積比が0:100〜約100:0の範囲をとることができる。

0062

[0076]ステップ202では、溶媒Cと1種又は数種のリガンドとを含む混合物に過剰の第2の前駆体を溶解して、第2の反応混合物を形成する。いくつかの実施形態では、この溶解が、ほぼ室温の温度よりも高い温度で進行する。例えば、いくつかの実施形態では、この溶解が、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃又は約150℃又はこれらの値の任意の刻み値で進行する。ある種の実施形態では、この溶解が約90℃で進行する。他の実施形態では、この溶解が、約40℃よりも低い温度及び/又は約150℃よりも高い温度で進行する。いくつかの実施形態では、この溶解が撹拌下で進行する。いくつかの実施形態では、この溶解が、(例えばステップ201の撹拌よりも)強い撹拌下で進行する。

0063

[0077]いくつかの実施形態では、第2の前駆体が金属カチオン前駆体である。例えば、いくつかの実施形態では、第2の前駆体が、Pb前駆体、Sn前駆体、Cu前駆体、Ni前駆体、Co前駆体、Fe前駆体、Mn前駆体、Pd前駆体、Cd前駆体、Ge前駆体及びEu前駆体の中から選択される。いくつかの実施形態では、第2の前駆体が、式MXnの金属ハロゲン化物前駆体であり、Mは金属カチオン、Xは任意のハロゲン化物であり、nは、金属カチオンの原子価に依存する。いくつかの実施形態では、Mが、Pb、Sn、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、Pd、Cd、Ge及びEuの中から選択される。いくつかの実施形態では、Xが、Cl、Br及びIの中から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、第2の前駆体がPbBr2である。

0064

[0078]いくつかの実施形態では、第2の反応混合物が、溶媒C及び1種又は数種のリガンドを含む。いくつかの実施形態では、極性溶媒及び無極性溶媒の中から溶媒Cを選択することができる。例えば、いくつかの実施形態では、溶媒Cが、特に、プロパノール、ヘキサン、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ガンマ−ブチロラクトン(GBR)、ジクロロメタン(DCM)、クロロホルム、アセトニトリル、シクロヘキサン及びクロロホルムの中から選択される。本明細書では、本開示の範囲から逸脱することなく、他の極性及び/又は無極性溶媒を使用することができる。

0065

[0079]いくつかの実施形態では、この有機リガンドが、オクチルアミン、オクタン酸、オレイン酸、オレイルアミン、オクタデセン、オクチルホスホン酸、トリオクチルホスフィン、トリオクチルホスフィンオキシド及びこれらの組合せの中から選択される。いくつかの実施形態では、このリガンドが、オクチルアミン及びオクタン酸である。

0066

[0080]いくつかの実施形態では、第2の反応混合物が、溶媒Cと1種又は数種のリガンドを1:1の比で含む。例えば、いくつかの実施形態では、第2の反応混合物が2種類のリガンドを含み、したがって、第2の反応混合物が、溶媒Cと第1のリガンドと第2のリガンドを約1:1:1の体積比で含む。他の実施形態では、溶媒Cと1種又は数種のリガンドの比又は体積比が0:100〜約100:0の範囲をとることができる。

0067

[0081]ステップ203では、第2の反応混合物を第1の反応混合物と接触させて、多分散系ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートなどのハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを形成する。いくつかの実施形態では、この接触が、第1の反応混合物に第2の反応混合物を注入することによって進行する。他の実施形態では、この接触が、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる、当技術分野で知られている接触技法の中でも特に、注入(injecting)、追加(adding)、ポーリング(pouring)及び混合(mixing)を含む。いくつかの実施形態では、この接触が、第1の反応混合物に比較的に高温の第2の反応混合物を注入することによって進行する。例えば、いくつかの実施形態では、この接触が、第1の反応混合物に第2の反応混合物を注入することによって進行し、第2の反応混合物の温度が約90℃であり、第1の反応混合物の温度がほぼ室温である。いくつかの実施形態では、この接触が、撹拌下又は強い撹拌下で進行する。

0068

[0082]いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの形成をほぼ直ちに観察することができ、又は、いくつかの場合には、より長い時間の後に観察することができる。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの形成が、変色によって(例えば溶液が緑に変わることによって)明白である。いくつかの実施形態では、この反応が、特に限定されない時間の中でも特に、約10分以内、約5分以内、約2分以内に完了する。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが厚さの不均一分布を特徴とする。例えば、いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが、薄いハロゲン化物ペロブスカイトナノシート及び/又は厚いハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートが多分散系であることを特徴としうる。

0069

[0083]ステップ204では、このハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを第1の反応混合物及び第2の反応混合物から分離する。いくつかの実施形態では、この分離が、第1の反応混合物、第2の反応混合物及びハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む反応混合物を遠心分離にかけて、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを第1の反応混合物及び第2の反応混合物から分離することを含む。他の実施形態では、当技術分野で知られている遠心分離法以外の技法を使用してこの分離を達成することができる。

0070

[0084]ステップ205では、このハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを液体媒質に分散させて、コロイドシンチレーション材料を形成する。いくつかの実施形態では、この分散が、当技術分野で知られている分散技法の中でも特に、超音波処理、撹拌(agitating)、混合、撹拌(stirring)によって進行することができる。いくつかの実施形態では、液体媒質が、極性及び/又は無極性溶媒の中から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、液体媒質が、特に、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ガンマ−ブチロラクトン(GBR)、ジクロロメタン(DCM)、クロロホルム、アセトニトリル、シクロヘキサン、プロパノール、ヘキサン及びクロロホルムの中から選択される。

0071

[0085]いくつかの実施形態では、コロイドシンチレーション材料が、液体媒質に分散させた高濃度のハロゲン化物ペロブスカイトナノシートを含む。例えば、いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約500mg/mLである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約400mg/mLである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約300mg/mLである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約200mg/mLである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約150mg/mLである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約100mg/mLである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約50mg/mLである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの濃度が約1mg/mL以上である。

0072

[0086]ステップ206では、このコロイドシンチレーション材料を基板上に堆積させて、固体シンチレーション材料を形成する。いくつかの実施形態では、この堆積が、ドロップキャスティングによって実行され、スピンコーティングによっては実行されない。他の実施形態では、この堆積を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる、特に限定されない、当技術分野で知られている堆積技法の中でも特に、キャスティング、コーティング、レイヤリング(layering)、プロバディング(providing)、ポーリングによって実行することができる。この基板は特に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、この基板が、特に、ガラス、プラスチック、セラミック、金属、結晶性半導体及びアモルファス半導体の中から選択される。いくつかの実施形態では、固体シンチレーション材料がハロゲン化物ペロブスカイト超構造を有しており、ハロゲン化物ペロブスカイト超構造が、ハロゲン化物ペロブスカイトナノシートの積層を含む。他の実施形態では、本明細書において、本開示の固体シンチレーション材料のうちの任意の固体シンチレーション材料を使用することができる。

0073

[0087]以下の実施例は、上記の発明を例示することを意図したものであり、以下の実施例を、上記の発明の範囲を狭めるものと解釈すべきではない。本発明を実施することができる他の多くの手法を審査官が提起することを当業者は容易に理解するであろう。本発明の範囲に留まったまま、数多くの変更及び修正を加えることができることを理解すべきである。

0074

[0088]以下の実施例は、コロイド形態と固体膜形態の両方の高品質シンチレータの室温合成を記述するものであり、これは、ペロブスカイトナノシートの高濃度溶液から設計され、そのような高濃度溶液から自己集合させたものである。高濃度(例えば最高150mg/mLの)CsPbBr3ナノシートのコロイド形態は、膜形態と同等の放射線ルミネセンスの明るさ(brightness)を示し、貯蔵条件下とX線照射条件下の両方で長期安定性を示した。CsPbBr3コロイドは、市販のCe:LuAG単結晶シンチレータの光収率(約18000光子/MeV)よりも高い光収率(約21000光子/MeV)を示した。これらのナノシートに基づくシンチレータは、X線照射下で、強い放射線ルミネセンスと長期安定性の両方を示した。その高い濃度及びナノシートモルフォロジのため、ハロゲン化物ペロブスカイトベースのこれらの新規のシンチレータは容易に溶液処理可能であり、高分解能(<0.21mm)X線画像化用途に必要な厚さを有する亀裂のない均一な大面積膜(例えば72cm2)に集合する。これらの高品質シンチレティング膜の典型的な用途には、携帯電話パネル用及び標準的な中央処理ユニット(CPU)チップ用のX線画像化スクリーンが含まれた。この放射線撮影プロトタイプは、大面積加工性と、樹脂及びシリコンなどのシース材料に対する強力な侵入能力並びに高い分解能とを結合させた。最後に、それらのシンチレーション性能を、ナノ結晶シンチレータで通常予想されるものを超えて高めている、積み重なったナノシート固体の内側のエネルギー移動過程を、時間分解光ルミネセンス分光法を使用して明らかにした。それらの発見は、放射線ルミネセンスが安定しており且つ効率的である溶液処理された大面積シンチレータが、低コストの放射線撮影装置及びX線画像化装置への道を開くことを示した。

0075

材料及び方法
材料
[0089]試薬は全て無精製のものを使用した。臭化鉛(II)(PbBr2、99.999%微量金属ベース)、酢酸セシウム(CsAc、99.99%微量金属ベース)、オクチルアミン(OcAm、99%)、オクタン酸(OcAc、98%)、1−プロパノール(PrOH)及びn−ヘキサン(Hex、99%)、並びにトルエン(TOL、99.8%)はSigma−Aldrichから購入した。化学薬品は全てさらなる精製なしで使用した。

0076

CsPbBr3ナノシートの合成
[0090]典型的な例では、Cs前駆体とPbBr2前駆体とを別々に調製し、PbBr2前駆体をCs前駆体に注入することによって反応を開始させた。最初に、室温の空気中で、20mLバイアルに入れた1−PrOH 1mLにCsAc 32mgを撹拌しながら溶解することにより、Cs前駆体溶液を調製し、続いてHex 6mL及び1−PrOH 2mLを加えた。次に、空気中で、1−PrOH 0.45mL、OcAc 0.45mL及びOcAm 0.45mLからなる90℃の混合溶液にPbBr2 245mgを強く撹拌しながら溶解することにより、PbBr2前駆体溶液を調製した。第3に、室温で、この高温のPbBr2前駆体をCs前駆体に強く撹拌しながら速やかに注入した。この系はすぐに緑色に変わり、反応は2分で完了した。4000rpmの遠心分離によってCsPbBr3NCを分離し、ペレットをトルエン2mL中に分散させた。この合成は、20倍にスケールアップしても成功し、これにより1回の試行で約3グラムのCsPbBr3ナノシートを生成した。

0077

光ルミネセンス及び吸収
[0091]光ルミネセンス及び吸収の定常状態測定のため、このように調製したナノ結晶をそれぞれn−ヘキサンで約100倍に希釈した。Cary 5000 UV−vis分光計(Agilent Technologies)を使用して、450nm〜700nmの範囲の吸収を測定した。FluoroMax−4蛍光分光光度計(Horiba Scientific、スリット幅2nm、走査速度500nm/分)を使用して、光ルミネセンススペクトルを記録した。CsPbBr3ナノ結晶に使用する励起波長は400nmに設定した。

0078

放射線ルミネセンス及びX線画像化
[0092]小型X線源AMPEK,Inc.)を装備したEdinburghFS分光蛍光光度計(Edinburgh Instruments Ltd.イギリス)により放射線ルミネセンスを得た。X線励起ルミネセンスの写真は、ディジタルカメラ(Canon 600D、EF−S 35mm f/2.8 ISSTMレンズ付き)で撮影した。

0079

透過電子顕微鏡
[0093]Tecnai透過電子顕微鏡を使用して加速電圧120keVでTEM画像を撮影した。同じ機器を使用してHRTEM画像を撮影した。Gatan K2直接検出カメラを電子計数モード分解能4k×4kにおけるカメラ計数フレームレート400fps(フレーム毎秒))で動作させることにより、低線量HRTEM画像を撮影した。分解能4k×4kにおける最終的な画像出力レートは40fpsであった。したがって、3秒の照射の結果、120の個別の画像フレームからなる1つの画像スタックを得た。信号対雑音比(SNR)を向上させるため、これらのフレームを合計した。

0080

X線回折測定
[0094]Bruker AXS D8回折計を使用し、Cu−Ka放射線(λ=1.5406Å)を用いて、粉末X線回折を実行した。試料は、清潔なガラススライド上にナノ結晶懸濁液をドロップキャスティングし、続いてそれを室温で乾燥させることによって調製した。

0081

時間分解光ルミネセンス(TRPL)測定
[0095]高分解能ストリークカメラ(Hamamatsu C10910)を使用して時間分解光ルミネセンス(TRPL)スペクトルを集めた。ポンプビームは、Spectra−Physics MaiTai eHP及びInspire HF−100 OPOの第二調波(410nm)を用いて発生させた。APE Pulse Selectパルスピッカを使用して、パルスビーム繰返し率を4MHzに選択した。測定は、励起フルエンス0.1nJ/cm2を使用して室温で実行した。

0082

原子間力顕微鏡画像
[0096]通常のタッピングモードで動作させたBrukerAFM(モデル:Dimension Icon with ScanAsyst)でAFM画像を撮影した。

0083

光収率測定
[0097]光電子増倍管(PMTGDB 44F)を使用することにより光収率を実行した。液体状態のCsPbBr3試料を、直径20mm×20mmの寸法を有するガラス瓶に入れ、ガラス瓶の底面を、シリコーングリースを使用してPMTによって結合した。この試料を、エネルギー662keVのγ線(137Cs源)によって励起させた。信号を整形増幅器(ORTEC 572A)及び多チャネル解析器(MCA)(ORTEC 926)に送り、最後にパーソナルコンピュータに送った。整形時間は2マイクロ秒に設定した。CsPbBr3試料の光収率を算出するため、5mmの立方体カットしたCe:LuAG単結晶を標準試料として使用した。このCe:LuAG単結晶の光収率は18,000光子/MeV±1,500光子/MeVであった。このCe:LuAG試料も、CsPbBr3と同じ方法を使用して試験した。これらの2種類の試料は似た発光スペクトルを有するため、CsPbBr3の光収率は、それらの完全なエネルギーピークに対応するチャネル番号の比によって評価した。

0084

議論
[0098]CsPbBr3ナノシートは修正共沈法を使用して合成した。簡単に説明する。室温の周囲大気下で、過剰量のPbBr2前駆体を酢酸セシウム前駆体に注入した。すぐに、CsPbBr3ナノシートの形成を示す明るい緑色が出現した。従来、CsPbBr3ナノ結晶の精製工程では、貧溶媒(poor solvent)、例えば酢酸エチルを加えることによってコロイド安定性を崩す必要がある。このことは必然的に、粒子の激しい劣化を引き起こす。しかしながら、この実施例では、低速の遠心分離(<4000rpm)によって、極性溶媒を一切使用することなしにナノシートが容易に集められた。集められたナノシートは、トルエン中に、最高150mg/mLの高い濃度で分散させた。その結果得られたコロイドは、ふたをしたバイアルの中で1か月間、顕著な劣化なしに保管することができた(図3)。

0085

[0099]CsPbBr3ナノシートの自己集合過程によって大面積薄膜を製造した。図4A〜4Fの全体を参照されたい。典型的には、周囲条件下で濃厚コロイドを清潔なガラス基板上にドロップキャスティングし、自然乾燥させた。12分で、周囲光下で緑色を示す亀裂のないペロブスカイト薄膜が得られた(図4A)。TEM画像は、平面間ギャップ2.1nmのCsPbBr3ナノシートの面−面充填方式を明らかにした(図4B)。さらに、HRTEM画像は、0.30nmの(002)d間隔を特徴とする、横方向ナノシートと整列したナノシートの両方の格子縞を示した(図4C)。ナノシートの厚さ(2.8〜4.2nm)とナノシート間のギャップ(2.1nm)の両方を正確に測定することができたことは重要である。単一の単位セル格子定数(0.59nm)を考慮すると、個々のナノシートを構成している単層の数(5〜7層)を決定することができ、これは、HRTEM観察とシェラーの広がり効果(broadening effect)の両方とよく一致していた(図5)。この薄膜は、約13nmの表面粗さ及び約4.0μmの厚さを特徴とするかなり平坦なものであった(図4E図6A〜6B)。このことは、高分解能放射線撮影にとって決定的に重要である。

0086

[00100]薄膜の自己集合性をさらに確認するため、小角粉末XRDを実施した。XRDパターンは、3.82°の等しい間隔を有する3つのピークを示した。このことは、超構造のスリットが約2.3nmであることを示していた。この値は、HRTEMから得られた結果(2.1nm)と一致しており、ギャップを埋めているリガンド(オクチルアミン又はオクタン酸)を不動態化している2つの層が存在することを示唆していた。この結果が、報告された関係d(Å)=8.06+1.59×nから得られた値とよく一致していたことは特するに価する。上式で、nは、アルキルアミン中の炭素原子の数である(オクチルアミン又はオクタン酸ではn=8)。この薄膜は、365nm励起下において515nmを中心とする強いルミネセンスを示した。これは、対応するコロイドのそれに比べてスペクトル上でわずかにレッドシフトしていた。興味深いことに、コロイドの吸収は、460nmにおける励起子ピーク及び570nmまで延びる長い尾を示した(図4F)。HRTEMによって立証されているとおり、この広がりは、ナノシート厚の不均質分布によるものと考えられた。

0087

[00101]HRTEMによって示されているとおり、薄いCsPbBr3ナノシートと厚いCsPbBr3ナノシートの両方の共存は、積み重なった薄膜の内側のエネルギー移動過程を暗示した。エネルギー移動効率を定量的に評価するため、ストリークカメラシステムを使用して、波長領域と時間領域の両方で過渡的PL信号を集めた(図7A)。時間遅延PLプロファイルは、460nmから510nmへの明白なレッドシフトを示した。このことは、励起子再結合中心が、15ナノ秒で、高エネルギーレベルから低エネルギーレベルにシフトしたことを示している(図7B)。500nmにおけるPL減衰トレースは、8.09ナノ秒の寿命を有するほぼ単一指数的な(nearly monoexponential)減衰を示した(図7C)。全く対照的に、460nmにおけるPL減衰トレースは、0.67ナノ秒の短成分(67%)と2.57ナノ秒の長成分(33%)の両方を含んでいた(図7E〜7F)。長成分はおそらく、5層ナノプレートレットの寿命値と同等の寿命値を有する、厚いナノシート(アクセプター)から分離された、薄いナノシート(ドナー)の固有励起状態寿命であった。他方、短成分は、薄いナノシートから厚いナノシートへのエネルギー移動によるものと考えられた。

0088

[00102]460nm放出の短成分寿命がFRETによるものであるとの仮説を検証するため、500nm放出(図7E)の立ち上り時間を当てはめた。確かに、500nmにおける0.58ナノ秒の立ち上り時間(アクセプター)は、460nmにおける0.67ナノ秒の短成分(ドナー)に非常によく似ていた。このことは、FRETについての上述の仮説を裏付けるものであった。有効寿命が波長に依存していたことは特筆するに価する。2つのプラトーは、薄いナノシートと厚いナノシートの両方のナノシートの存在を示唆している(図7D)。そのため、この集合体をドナー−アクセプター系と見ることができた。ドナーは2.57ナノ秒の固有寿命(τd)を有し、ドナー−アクセプター集合体は0.67ナノ秒の寿命(τda)を有する。FRET効率(E)を下式によって算出した。

0089

[00103]積み重なったナノシート集合体の薄膜では、ドナー−アクセプター距離(r)が、小角XRD測定によって示された約2.3nmの平面間距離に等しかった。式(2)を使用することにより、CsPbBr3ナノシートのフェルスター距離(R0)は2.74nmであると算出された。本出願の出願人の知識の及ぶ限り、これは、ペロブスカイト量子ドット間のフェルスター距離の正確な測定の最初の報告である。

0090

[00104]次に、CsPbBr3ナノシートのコロイド形態と固体形態の両方の形態の放射線ルミネセンス及び変換過程を調べた。図8A〜8Fの全体を参照されたい。図8Aに示されているように、濃厚コロイドは、X線励起下で明るい緑のルミネセンスを示した。続く薄膜も強い緑の放射線ルミネセンスを示したことは注目に値した(図9B)。実際には、大部分のペロブスカイトナノ結晶は、リガンド脱離によって誘起されるトラップ状態(trap state)のため、コロイド−固体変換の後、PLQYを危うくする傾向がある。例えば、リガンド損失のため、オレイン酸リガンドにつながれたCsPbBr3は、固化後に、その最初のPLQYを56%から18%に劇的に低下させる。しかしながら、この実施例では、積み重なったナノシートが最高63%の高いPLQYを維持した。これは主に、ナノシートにつながれたリガンドが集合体の中で十分に保護されたことによる。

0091

[00105]RL光収率を定量化しようとする試みにおいて、セリウムがドープされたルテチウムアルミニウムガーネット(Ce:LuAG)単結晶の市販のシンチレータを基準スタンダードとして使用した。このシンチレータは、コロイドCsPbBr3ナノシートと同様のRLピークを示し、中心はともに520nmにあった(図10)。両方の試料を、エネルギー662keVのγ線(137Cs源)によって励起させた。信号は、多チャネル解析器(MCA)(ORTEC 926)に送り、パルス高スペクトルとしてプロットした(図8B)。したがって、この完全なエネルギーピークにおけるチャネル番号はシンチレータの相対光収率を表した。CsPbBr3コロイドが、市販のCe:LuAG単結晶シンチレータの光収率(約18000光子/MeV)よりも高い光収率(約21000光子/MeV)を示したことは注目に値する。従来の大部分のシンチレータとは全く対照的に、このコロイドシンチレータは顕著なコンプトンエッジを一切示さなかった。

0092

[00106]自己集合中のRL変化をリアルタイムで監視するため、ファイバで結合された分光計を使用して、コロイドから固体への遷移の間のCsPbBr3ナノシートのRLを記録した。示されているとおり、乾燥過程の間、RLピークは同じ525nmのままであった(図8D)。コロイドシンチレータのRLは、その固体形態のRLよりも20%高かったことは驚くべきことである。薄膜RL強度のこのわずかな低下は、自己集合が進行しているときの薄いナノシートと厚いナノシートの間の再吸収の高まりによるものと考えられた。自己集合過程を解明するため、リアルタイムXRD測定を実施した(図8F)。コロイドが固化すると7.6°及び11.4°にピークが出現し、時間が経過するにつれてそれらは大きくなった。このことは、非常に秩序正しい超構造の形成を裏付けている。低減された結晶粒度のためにXRDピークがかなり広げられることも観察された(図5)。シェラーの式を基に、ナノシートの平均厚さは2.95nmと算出された。これは、HRTEM結果とよく一致していた。

0093

[00107]X線撮影は、シンチレータ放射線ルミネセンスの線量依存性を使用して位相コントラスト画像を生成する画像化技法である。ペロブスカイト膜の線量応答を評価するため、膜(厚さ25μm)の放射線ルミネセンスを、さまざまなX線線量率の下で記録した。図9A〜9Hの全体を参照されたい。RL強度は、1〜140μGy/秒の幅広い範囲の線量率に対して異例の線形性を示した(図9A及び図11)。膜の厚さが5〜25μmの範囲で大きくなるにつれてRL強度も増大したことは重要である(図9B)。厚さが25μmよりも大きくなると強度はプラトーに達した。このことは、ペロブスカイトシンチレータスクリーン活性層の最適な厚さを示唆している。この値は、以前に報告された値よりもかなり小さかった。このことは、この薄膜の強力なX線阻止能を示している。調べたペロブスカイト膜は、2時間の連続X線照射下でも放射線劣化効果を示さなかった(図9C)ことは注目に値する。このことは長期の放射線安定性を示している。また、ペロブスカイトシンチレータの寿命は波長に依存し、460〜550nmのさまざまな波長で2〜13ナノ秒の範囲にあった(図7D)。これは、標準的な従来のシンチレータ(NaI:Tl、減衰時間約200ナノ秒)の寿命よりも2桁短い。このことは、放射線検出装置不動時間をかなり短くすることを可能にした。これらの特徴を保持することにより、積み重なったCsPbBr3ナノシートのペロブスカイト薄膜は、放射線撮影用途向けの潜在的候補となる資格を得た。

0094

[00108]概念実証(proof−of−concept)実験として、投影構成を有するX線画像化システムを構築した(図12)。市販のカメラ及び50keVX線源を使用することにより、このプロトタイプX線画像化装置は、樹脂カバーの下のトランジスタパネルの詳細な構造的情報を明らかにした(図9E)。このプロトタイプ装置の分解能を測定するため、強度プロファイルの点像分布関数(図9Eの赤い矢印)をガウス関数に当てはめた。このような単純なプロトタイプ装置が、0.21mmという高い空間分解能を提供することができた(図9F)ことは印象的である。これは主に、この薄膜に亀裂がないことに起因する。有機マスク(すなわち樹脂)の他に、X線は、分解能を犠牲にすることなく、シリコンチップ(厚さ約300μm、図13)などの無機材料にも侵入することができた(図9G〜9H)。

0095

[00109]結論として、この実施例は、CsPbBr3ナノシートコロイドのグラム規模での室温合成を示した。濃厚コロイドは、X線照射下とUV光照射下の両方で強いルミネセンスを示した。このコロイドが、最高72cm2の大面積の亀裂のない薄膜に容易にキャスティングされたことは注目に値する。自己集合したペロブスカイトナノシートからなる薄膜は、高いPLQYを示しただけでなく、連続X線照射下での長期安定性も示した。続く放射線撮影プロトタイプは、0.21mmまでの分解能を有する高品質の画像化能力を実証した。これらの発見は、スクリーン産業にコロイドシンチレータを提供し、低線量放射線撮影又は液体シンチレーティングディスプレイに至る多くの道を開く。

0096

[00110]本開示の他の実施形態も可能である。上記の説明は多くの特定の詳細を含むが、それらを、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、それらは、単に本開示の現時点の好ましい実施形態のうちのいくつかの例を提供するものと解釈すべきである。実施形態の特定の特徴及び態様のさまざまな組合せ又はサブ組合せを実施すること、及びそれらも依然として本開示の範囲に含まれることも企図される。さまざまな実施形態を形成するために、開示された実施形態のさまざまな特徴及び態様を互いに組み合わせること、又は開示された実施形態のさまざまな特徴及び態様を互いに置き換えることができることを理解すべきである。したがって、本開示のうち少なくとも一部分の範囲は、上記の開示された特定の実施形態によって限定されないことが意図されている。

0097

[00111]したがって、本開示の範囲は、添付された特許請求項及びそれらの法律上の等価物によって決定されるべきである。したがって、本開示の範囲は、当業者に明白になる可能性がある他の実施形態を完全に包含すること、及びこれに応じて、本開示の範囲は、添付された特許請求項以外のものによって限定されないことが理解される。添付の特許請求項においては、単数の要素への言及が、「1つ及び1つだけ」を意味することは意図されておらず、そうであると明示的に示されていない限り、「1つ又は複数」を意味することが意図されている。上述の好ましい実施形態の要素の構造的化学的及び機能的等価物であって、当業者に知られている等価物は全て、参照によって本明細書に明白に組み込まれており、それらは、添付の特許請求項によって包含されていることが意図されている。さらに、それが添付の特許請求項によって包含されているからといって、装置又は方法が、本開示が解決しようとしている課題の全てを解決する必要はない。さらに、本開示の中の要素、構成要素又は方法ステップは、その要素、構成要素又は方法ステップが特許請求項に明示的に列挙されているかどうかに関わらず、公開されることは意図されていない。

0098

[00112]本開示の好ましいさまざまな実施形態の以上の説明は、例示及び説明のために示したものである。以上の説明が網羅的であること、又は以上の説明が本開示を厳密な実施形態に限定することは意図されていない。また、上記の教示に照らして多くの修正及び変更が可能であることは明らかである。上記の例示的な実施形態は、本開示の原理及びその現実的応用を最もよく説明するため、及び、以って当業者が、さまざまな実施形態で本開示を最もよく利用することを可能にするために選択し、企図された特定の使用に適したさまざまな変更とともに説明したものである。本開示の範囲は、本明細書に添付された特許請求項によって定義されることが意図されている。

実施例

0099

[00113]さまざまな例を説明した。それらの例及びその他の例は以下の請求項の範囲に含まれる。

0100

100…X線を検出する方法の流れ図、101…固体シンチレーション材料にX線又はX線放射を照射するステップ、102…固体シンチレーション材料から放出された可視光子を検出するステップ。

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