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概要
背景
通信信号の時空間符号化
無線技術の比較的新しい発展は、空間多重化及び時空間符号化として公知である。1つの特定の形式の時空間符号化は、「多重入力多重出力」に対してMIMOと呼ばれ、その理由は、いくつかのアンテナが各端部に使用されるからである。送受信に複数のアンテナを使用することにより、複数の独立した電波を同じ周波数範囲内で同時に送信することができる。以下の論文は、MIMOの概要を提供している。
David Gesbert、IEEE会員、Mansoor Shafi、IEEEフェロー、Da−shan Shiu、IEEE会員、Peter J. Smith、IEEE会員、Ayman Naguib、IEEE上級会員共著「理論から実施まで:MIMO時空間符号化無線システムの概要」、通信の選択領域に関するIEEE学会誌、第21巻、第3号、2003年4月
David Gesbert、IEEE会員、Helmut Bolcskei、IEEE会員、Dhananjay A.Gore及びArogyaswami J.Paulraj、IEEEフェロー共著「屋外MIMO無線チャネル:モデル及び性能予測」、通信に関するIEEE会報、第50巻、第12号、2002年12月
基本的に、MIMO技術は、共通周波数帯域内の並列空間データストリームを作成するための空間的に分散されたアンテナの使用に基づいている。電波は、たとえそれらが同じ周波数帯域内で送信されても、個々の信号が受信機で分離されて復調することができ、これが、複数の統計的に独立した(すなわち、事実上別々の)通信チャネルをもたらすことができるような方法で送信される。すなわち、多重経路信号(すなわち、時間的に遅延し、振幅及び位相が修正された同じ周波数の複数の信号)を阻止しようとする標準的な無線通信システムとは対照的に、MIMOは、無相関又は弱相関の多重経路信号を使用して所定の周波数帯域内のより高いスループット及び改善された信号対ノイズ比を達成することができる。一例として、MIMO技術は、従来の非MIMOシステムが単に低いスループットを達成することができる類似の電力及び信号対ノイズ比(SNR)条件において遥かに高いスループットを達成する。この機能は、http://www.cdmatech.com/products/what mimo delivers.ispで「MIMOが届けるもの」という名称のページの「Qualcomm Incorporated」(Qualcommは、無線技術の最大プロバイダのうちの1つである)のウェブサイト上に説明されている。MIMOは、チャネル当たり又はスペクトルのMHz当たりのシステムのピークデータ転送速度の2倍又はそれよりも多くをもたらすことによってスペクトル機能を増大させる唯一の多重アンテナ技術である。より具体的には、無線LAN又はWi−Fi(登録商標)用途に対しては、QUALCOMMの第4世代MIMO技術は、36MHzのスペクトルにおいて315Mbpsの速度、つまり8.8Mbps/MHzをもたらす。これを17MHzのスペクトルにおいて僅かに54Mbps、つまり3.18Mbps/MHzをもたらす802.11a/gのピーク機能(ビーム形成又はダイバーシチ技術を用いてさえも)と比較されたい。
MIMOシステムは、一般的に、いくつかの理由から装置当たりのアンテナ本数が10本未満(したがって、ネットワークにおけるスループット改善倍率が10X未満)という実際的な制限に直面する。
1.物理的制限:所定の装置上のMIMOアンテナは、各々が統計的に独立した信号を受信するようにMIMOアンテナ間で十分な分離がなければならない。MIMOスループット改善は、波長の僅かな部分のアンテナ間隔でさえも認めることができるが、効率は、アンテナ同士が密集する時に急速に悪化し、より低いMIMOスループット乗数をもたらす。
例えば、以下の参考文献を参照されたい。
[1]D.S.Shiu、G.J.Foschini、M.J.Gans、J.M.Kahn共著「フェーディング相関関係及びその多素子アンテナシステムの機能に及ぼす影響」、通信に関するIEEE会報、第48巻、第3号、502〜513頁、2000年3月
[2]V.Pohl、V.Jungnickel、T.Haustein、Helmolt共著「MIMO屋内チャネルにおけるアンテナ間隔」、「Veh.Technol.conf.」IEEE講演論文集、第2巻、749〜753頁、2002年5月
[3]M.Stoytchev、H.Safar、A。L.Moustakas、S.Simon共著「MIMO用途のための小型アンテナアレイ」、「Antennas and Prop.Symp.」IEEE講演論文集、第3巻、708〜711頁、2001年7月
[4]A.Forenza及びR.W.Heath.Jr.共著「屋内クラスター化チャネルにおけるMIMO通信に及ぼすアンテナ幾何学形状の影響」、「Antennas and Prop.Symp.」IEEE講演論文集、第2巻、1700〜1703頁、2004年6月
また、小さいアンテナ間隔に対しては、相互結合の影響によってMIMOシステムの性能が悪化する場合がある。
例えば、以下の参考文献を参照されたい。
[5]M.J.Fakhereddin、K.R.Dandekar共著「MIMO機能に及ぼす偏波ダイバーシチ及び相互結合の組合せ影響」、「Antennas and Prop.Symp.」IEEE講演論文集、第2巻、495〜498頁、2003年6月
[7]P.N.Fletcher、M.Dean、A.R.Nix共著「多素子アレイアンテナ内の相互結合及びMIMOチャネル機能に及ぼすその影響」、IEEE・エレクトロニクス・レター、第39巻、342〜344頁、2003年2月
[8]V.Jungnickel、V.Pohl、C.Von Helmolt共著「密接アンテナを有するMIMOシステムの機能」、IEEE通信レター.第7巻、361〜363頁、2003年8月
[10]J.W.Wallace、M.A.Jensen共著「結合アンテナの終端依存ダイバーシチ性能:ネットワーク理論解析」、アンテナ伝播に関するIEEE会報、第52巻、98〜105頁、2004年1月
[13]C.Waldschmidt、S.Schulteis、W.Wiesbeck共著「小型MIMOアレイの解析のための完全RFシステムモデル」、「Veh.Technol.」に関するIEEE会報、第53巻、579〜586頁、2004年5月
[14]M.L.モーリス、M.A.Jensen共著「結合アンテナ及びノイズのある増幅器を有するMIMOシステムのためのネットワークモデル」、アンテナ伝播に関するIEEE会報、第53巻、545〜552頁、2005年1月
更に、アンテナは互いに密集しているために、アンテナは、一般的に小型化しなければならず、それも同様にアンテナ効率に影響を与える可能性がある。
例えば、以下の参考文献を参照されたい。
[15]H.A.Wheeler著「小さいアンテナ」、アンテナ伝播に関するIEEE会報、第AP−23巻、第4号、462〜469頁、1975年7月
[16]J.S.Mclean著「電気的に小型のアンテナの放射Qに対する基本的な限界の再調査」、アンテナ伝播に関するIEEE会報、第44巻、第5号、672〜676頁、1996年5月
最後に、より低い周波数及びより長い波長では、単一のMIMO装置の物理的サイズが扱いにくくなる可能性がある。極端な例は、MIMO装置アンテナが互いから10メートル又はそれよりも大きく分離すべきであると考えられるHF帯域内である。
2.ノイズ制限。各MIMO受信機/送信機サブシステムは、ある一定のレベルのノイズを生成する。互いに近接して置かれるこれらのサブシステムの数が多くなると、ノイズレベルは増加する。一方、多数アンテナMIMOシステムにおける益々増大する個別の信号を互いに区別することが必要なので、益々低いノイズレベルが必要である。
3.経費及び電力上の制限。経費及び電力消費量が問題にならないMIMO用途も存在するが、典型的な無線製品では、経費及び電力消費量の両方は、製品開発成功の極めて重要な制約である。各MIMOアンテナに対しては、別個のアナログ/デジタル(A/D)変換器及びデジタル/アナログ(D/A)変換器を含む別個のRFサブシステムが必要である。ムーアの法則(最小構成要素のための集積回路上のトランジスタ数は、その費用が24ヵ月毎に倍増するというIntel共同創立者Gordon Mooreによる経験的な観測結果、出典:http://www.intel.com/technology/mooreslaw/)に対応するデジタルシステムの多くの態様と異なり、このようなアナログ集約的サブシステムは、典型的に、ある一定の物理的構造サイズ及び電力要件を有し、経費及び電力において直線的に増大する。したがって、多数アンテナMIMO装置は、単一アンテナ装置と比較すると極端に高価かつ電力消耗的になると考えられる。
以上の結果として、今日考えられている殆どのMIMOシステムは、アンテナ2〜4本の程度であり、スループットの2〜4倍の増加と多重アンテナシステムのダイバーシチ恩典によるSNRの何らかの増加とをもたらす。10本までのアンテナのMIMOシステムが考えられているが(特に、より短い波長及びより緊密なアンテナ間隔によるより高いマイクロ波周波数の時)、それを大きく超える数は、非常に特殊かつ費用集中的な用途を除いて非実用的である。
仮想アンテナアレイ
MIMO形式の技術の1つの特殊用途は、仮想アンテナアレイである。このようなシステムは、2003年1月15〜17日、スペイン国バルセロナでの科学技術研究分野の欧州協力(EURO−COST)で発表された研究論文:Mischa Dohler、Hamid Aghvami共著「MIMOに向けた歩み:仮想アンテナアレイ」、キングズカレッジ電気通信研究センター、英国ロンドンで提案されている。
仮想アンテナアレイは、この論文で呈示されているように連携無線装置(携帯電話など)のシステムであり、これは、連携して作動するように所属基地局への1次通信チャネルとは別の通信チャネル上で互いの間で通信する(それらが互いに十分に近い場合かつその時に)(例えば、それらがUHF帯域内のGSM(登録商標)携帯電話である場合には、これは、5GHzの産業科学医療(ISM)無線帯域とすることができるであろう)。これは、例えば単一アンテナ装置が、互いの範囲にある(基地局の範囲あることに加えて)いくつかの装置の間で情報を中継し、あたかもそれらが複数のアンテナを有する物理的に1つの装置であるかように作動することにより、MIMOのようなスループットの増加を潜在的に達成することを可能にする。
概要
マルチユーザ多重アンテナシステム(MU−MAS)の提供。各々が少なくとも1つのアンテナ有する複数のユーザ装置、及び複数のユーザ装置と複数の同時で且つ独立した無線リンクを生成する1つ又は複数の無線送受信機を含むマルチユーザ多重アンテナシステムであって、前記無線送受信機ステーションの少なくとも1つが、少なくとも1つのユーザ装置よりもかなり多いアンテナを有し、前記MU−MASが、1つ又は複数の品質測定基準を計算し、前記無線リンクを介して使用される1つ又は複数のMU−MAS送信モードを判断する。
目的
ユーザセレクタユニット1102は、フィードバックユニット1112によって得られたフィードバック情報に基づいて、複数のユーザU1−UMに関連のデータを選択し、複数の符号化変調ユニット1104の各々にこの情報を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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請求項1
マルチユーザ(MU)送信を有する多重アンテナシステム(MAS)(MU−MAS)において周波数オフセット及び位相オフセットを補正する方法であって、基地局の各アンテナからトレーニング信号を、各トレーニング信号を解析して周波数オフセット補正データを生成する複数の無線クライアント装置の1つ又は各々に送信し、該基地局で該周波数オフセット補正データを受信する段階と、前記周波数オフセット補正データに基づいてMU−MASプリコーダ重みを計算し、前記送信機において周波数オフセットを事前相殺する段階と、前記MU−MASプリコーダ重みを使用してトレーニング信号をプリコーディングし、前記基地局の各アンテナに対してプリコーディングされたトレーニング信号を生成する段階と、基地局の各アンテナから前記プリコーディングされたトレーニング信号を、各トレーニング信号を解析してチャネル特徴付けデータを生成する複数の無線クライアント装置の各々に送信し、該基地局で該チャネル特徴付けデータを受信する段階と、前記チャネル特徴付けデータに基づいて、周波数及び位相オフセット及び/又はユーザ間干渉を事前相殺するために計算される複数のMU−MASプリコーダ重みを計算する段階と、前記MU−MASプリコーダ重みを使用してデータをプリコーディングし、前記基地局の各アンテナに対するプリコーディングされたデータ信号を生成する段階と、前記プリコーディングされたデータ信号を前記基地局の各アンテナを通じて各それぞれのクライアント装置に送信する段階と、を含むことを特徴とする方法。
請求項2
請求項3
1つの集中送信機ユニットが、全ての該送信機ユニット間の前記周波数オフセットを推定してそのオフセットを事前補正し、又はDIDO送信アンテナが、有線、光、又は無線のネットワークを通じて周波数基準を共有する(前記周波数オフセット推定段階中のプリコーディングされたトレーニング及びユーザのフィードバックの必要なく)ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
請求項4
トレーニングプリコーディングが、フィードバックオーバーヘッドを低減するために長期的に1人又は複数のユーザによって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
請求項5
請求項6
データプリコーディングが、ブロック対角化(BD)技術を使用して行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
請求項7
請求項8
MU−MAS通信に向けて周波数オフセット及び位相オフセットを補正するためのシステムであって、複数の無線クライアント装置の各々に対して情報ビットを符号化及び変調し、符号化及び変調された情報ビットを生成する1つ又はそれよりも多くの符号化変調ユニットと、前記符号化及び変調された情報ビットを複素シンボルにマップする1つ又はそれよりも多くのマッピングユニットと、前記無線クライアント装置からのフィードバックを通じて得られたチャネル状態情報を利用してMU−MAS周波数/位相オフセット認識プリコーディング重みを計算し、該重みを使用して前記マッピングユニットから得られた前記複素シンボルをプリコーディングして周波数/位相オフセット及び/又はユーザ間干渉を事前相殺するMU−MAS周波数/位相オフセット認識プリコーディングユニットと、を含むことを特徴とするシステム。
請求項9
前記MU−MAS周波数/位相オフセット認識プリコーディングユニットから前記プリコーディングされた信号を受信し、OFDM規格に従って該プリコーディングされた信号を変調する1つ又はそれよりも多くの直交周波数分割多重化(OFDM)ユニットを更に含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
請求項10
請求項11
前記OFDMユニットの出力にデジタルからアナログへの(D/A)変換を行ってアナログベースバンド信号を生成する1つ又はそれよりも多くのD/Aユニットと、該ベースバンド信号を無線周波数にアップコンバートし、対応する1つ又はそれよりも多くの送信アンテナを使用して該信号を送信する1つ又はそれよりも多くの無線周波数(RF)ユニットとを更に含むことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
請求項12
前記MU−MAS周波数/位相オフセット認識プリコーディングユニットは、最小平均二乗誤差(MMSE)、重み付けMMSE、ゼロ強制(ZF)、又はブロック対角化(BD)プリコーダとして実施されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
請求項13
前記MU−MAS通信は、DIDO通信を含み、前記無線クライアント装置からのフィードバックを通じて得られたチャネル状態情報を利用してDIDO周波数/位相オフセット認識プリコーディング重みを計算し、該重みを使用して前記マッピングユニットから得られた前記複素シンボルをプリコーディングして周波数/位相オフセット及び/又はユーザ間干渉を事前相殺するDIDO周波数/位相オフセット認識プリコーディングユニット、を含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
請求項14
MU−MAS通信に向けて周波数オフセット及び位相オフセットを補正するためのシステムに使用される無線クライアント装置であって、1つ又はそれよりも多くのMU−MAS送信機ユニットから送信された信号を受信し、該信号をベースバンドにダウンコンバートする1つ又はそれよりも多くのRFユニットと、前記ダウンコンバートされた信号を受信し、該信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する1つ又はそれよりも多くのアナログ/デジタル(A/D)変換ユニットと、周波数及び/又は位相オフセットを推定し、事前補正に向けて前記送信機にこの情報をフィードバックする周波数/位相オフセット推定/補正ユニットと、循環プレフィックスを除去し、前記デジタル信号に高速フーリエ変換(FFT)を行って周波数領域で該信号を伝える1つ又はそれよりも多くのOFDMユニットと、トレーニング期間中に前記1つ又はそれよりも多くのOFDMユニットから信号出力を受信し、チャネル推定データを応答的に計算するチャネル推定ユニットと、無線クライアント装置への送信の前に信号をプリコーディングする際に使用されるように前記チャネル推定データを基地局に送信するフィードバック発生器ユニットと、を含むことを特徴とする装置。
請求項15
前記チャネル推定値は、前記OFDMユニットへの入力を使用することによって時間領域で計算されることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
請求項16
請求項17
請求項18
請求項19
前記MU−MAS通信は、DIDO通信を含み、前記1つ又はそれよりも多くのRFユニットは、1つ又はそれよりも多くのDIDO送信機ユニットから送信された信号を受信して該信号をベースバンドにダウンコンバートする、ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
請求項20
前記周波数/位相オフセット推定/補正ユニットは、粗いフレーム同期化のための手段、分別周波数オフセット補正のための手段、整数周波数オフセット補正のための手段、及び/又は整数周波数オフセット補正のための手段を実施することを特徴とする請求項14に記載のシステム。
請求項21
マルチユーザ(MU)送信を有する多重アンテナシステム(MAS)(MU−MAS)において同相及び直角位相(I/Q)不均衡を補正する方法であって、基地局の各アンテナからトレーニング信号を、各トレーニング信号を解析してチャネル特徴付けデータを生成する複数の無線クライアント装置の各々に送信し、該チャネル特徴付けデータを該基地局で受信する段階と、前記チャネル特徴付けデータに基づいて、I/Q利得不均衡及び位相不均衡による干渉及び/又はユーザ間干渉を事前相殺するために計算される複数のMU−MASプリコーダ重みを計算する段階と、前記MU−MASプリコーダ重みを使用してデータをプリコーディングし、前記基地局の各アンテナに対するプリコーディングされたデータ信号を生成する段階と、前記プリコーディングされたデータ信号を前記基地局の各アンテナを通じて各それぞれのクライアント装置に送信する段階と、を含むことを特徴とする方法。
請求項22
前記基地局は、前記無線クライアント装置を広域ネットワークに結合するアクセスポイントである。
請求項23
残留干渉を抑制するためにゼロ強制(ZF)、最小平均二乗誤差(MMSE)、又は最大尤度(ML)受信機を使用して各ユーザ装置においてデータストリームを復調する段階、を更に含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
請求項24
プリコーディングする段階は、ブロック対角化(BD)技術を使用して行われることを特徴とする請求項21に記載の方法。
請求項25
前記MU−MASシステムは、分散入力分散出力(DIDO)通信システムであり、前記MU−MASプリコーダ重みは、DIDOプリコーダ重みである、ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
請求項26
前記プリコーダ重みは、ICIではなくユーザ間干渉を相殺するために計算され、前記クライアント無線クライアント装置は、前記ICIを相殺するためのフィルタを有する受信機を含む、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
請求項27
MU−MAS通信に向けて同相及び直角位相(I/Q)不均衡を補正するためのシステムであって、複数の無線クライアント装置の各々に対して情報ビットを符号化及び変調し、符号化及び変調された情報ビットを生成する1つ又はそれよりも多くの符号化変調ユニットと、前記符号化及び変調された情報ビットを複素シンボルにマップする1つ又はそれよりも多くのマッピングユニットと、前記無線クライアント装置からのフィードバックを通じて得られたチャネル状態情報を利用してMU−MAS−IQ認識プリコーディング重みを計算し、該重みを使用して前記マッピングユニットから得られた前記複素シンボルをプリコーディングしてI/Q利得不均衡及び位相不均衡による干渉及び/又はユーザ間干渉を事前相殺するMU−MAS−IQ認識プリコーディングユニットと、を含むことを特徴とするシステム。
請求項28
前記MU−MAS−IQ認識プリコーディングユニットから前記プリコーディングされた信号を受信し、OFDM規格に従って該プリコーディングされた信号を変調する1つ又はそれよりも多くの直交周波数分割多重化(OFDM)ユニット、を更に含むことを特徴とする請求項27に記載のシステム。
請求項29
前記OFDM規格は、逆高速フーリエ変換(IFFT)を計算する段階及び循環プレフィックスを追加する段階を含むことを特徴とする請求項28に記載のシステム。
請求項30
前記OFDMユニットの出力にデジタル/アナログ変換(D/A)変換を行ってアナログベースバンド信号を生成する1つ又はそれよりも多くのD/Aユニットと、前記ベースバンド信号を無線周波数にアップコンバートし、対応する1つ又はそれよりも多くの送信アンテナを使用して該信号を送信する1つ又はそれよりも多くの無線周波数(RF)ユニットと、を更に含むことを特徴とする請求項28に記載のシステム。
請求項31
前記MU−MAS−IQ認識プリコーディングユニットは、最小平均二乗誤差(MMSE)、重み付けMMSE、又はゼロ強制(ZF)プリコーダとして実施されることを特徴とする請求項27に記載のシステム。
請求項32
MU−MASプリコーディングユニットが、最小平均二乗誤差(MMSE)、重み付けMMSE、ゼロ強制(ZF)、又はブロック対角化(BD)プリコーダとして実施されることを特徴とする請求項27に記載のシステム。
請求項33
前記MU−MAS通信は、DIDO通信を含み、前記無線クライアント装置からのフィードバックを通じて得られたチャネル状態情報を利用してDIDO−IQ認識プリコーディング重みを計算し、該重みを使用して前記マッピングユニットから得られた前記複素シンボルをプリコーディングしてI/Q利得不均衡及び位相不均衡による干渉及び/又はユーザ間干渉を事前相殺するDIDO−IQ認識プリコーディングユニット、を含むことを特徴とする請求項27に記載のシステム。
請求項34
MU−MAS通信に向けて同相及び直角位相(I/Q)不均衡を補正するためのシステムに使用される無線クライアント装置であって、1つ又はそれよりも多くのMU−MAS送信機ユニットから送信された信号を受信し、該信号をベースバンドにダウンコンバートする1つ又はそれよりも多くのRFユニットと、前記ダウンコンバートされた信号を受信し、該信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する1つ又はそれよりも多くのアナログ/デジタル(A/D)変換ユニットと、循環プレフィックスを除去し、前記デジタル信号に高速フーリエ変換(FFT)を行って周波数領域で該信号を伝える1つ又はそれよりも多くのOFDMユニットと、トレーニング期間中に前記1つ又はそれよりも多くのOFDMユニットから信号出力を受信し、チャネル推定データを応答的に計算するIQ認識チャネル推定ユニットと、無線クライアント装置への送信の前に信号をプリコーディングする際に使用されるように前記チャネル推定データを基地局に送信するフィードバック発生器ユニットと、を含むことを特徴とする装置。
請求項35
前記チャネル推定値は、前記OFDMユニットへの入力を使用することによって時間領域で計算されることを特徴とする請求項34に記載のシステム。
請求項36
前記フィードバック発生器ユニットは、前記基地局への送信の前に前記チャネル推定値を量子化するための論理を更に含むことを特徴とする請求項34に記載の無線クライアント装置。
請求項37
前記OFDMユニットから出力を受信し、IQ受信機を応答的に計算し、前記信号を復調/復号して前記送信データの推定値を取得するI/Q認識受信機ユニット、を更に含むことを特徴とする請求項34に記載の無線クライアント装置。
請求項38
前記I/Q認識受信機ユニットは、最小平均二乗誤差(MMSE)受信機、ゼロ強制(ZF)受信機、最大尤度(ML)受信機、又はMAP受信機であることを特徴とする請求項36に記載の無線クライアント装置。
請求項39
請求項40
請求項41
請求項42
前記MU−MAS通信は、DIDO通信を含み、1つ又はそれよりも多くのRFユニットが、1つ又はそれよりも多くのDIDO送信機ユニットから送信された信号を受信して該信号をベースバンドにダウンコンバートする、ことを特徴とする請求項33に記載のシステム。
請求項43
マルチユーザ(MU)送信を有する多重アンテナシステム(MAS)(MU−MAS)の通信特性を動的に適応させる方法であって、基地局の各アンテナからトレーニング信号を、各トレーニング信号を解析してチャネル特徴付けデータを生成する複数の無線クライアント装置の各々に送信し、該チャネル特徴付けデータを該基地局で受信する段階と、前記チャネル特徴付けデータを使用して前記無線クライアント装置に対する瞬間的又は統計的チャネル品質(リンク品質測定基準)を判断する段階と、前記リンク品質測定基準に基づいてユーザの部分集合及びMU−MAS送信モードを判断する段階と、前記チャネル特徴付けデータに基づいて複数のMU−MASプリコーダ重みを計算する段階と、前記MU−MASプリコーダ重みを使用してデータをプリコーディングし、前記基地局の各アンテナに対するプリコーディングされたデータ信号を生成する段階と、前記プリコーディングされたデータ信号を前記基地局の各アンテナを通じて前記選択された部分集合内の各それぞれのクライアント装置に送信する段階と、を含むことを特徴とする方法。
請求項44
請求項45
前記リンク品質測定基準は、時間領域、周波数領域、及び/又は空間領域で推定されることを特徴とする請求項43に記載の方法。
請求項46
前記リンク品質測定基準は、前記クライアント装置で受信された前記信号の信号対ノイズ比(SNR)を含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
請求項47
前記MU−MASシステムは、分散入力分散出力(DIDO)通信システムであり、前記MU−MAS送信モードは、前記リンク品質測定基準に基づくDIDO送信モードであり、前記MU−MASプリコーダ重みは、DIDOプリコーダ重みである、ことを特徴とする請求項43に記載の方法。
請求項48
MU−MAS通信システムの通信特性を動的に適応させるためのシステムであって、複数の無線クライアント装置の各々に対して情報ビットを符号化及び変調して符号化及び変調された情報ビットを生成する1つ又はそれよりも多くの符号化変調ユニットと、前記符号化及び変調された情報ビットを複素シンボルにマップする1つ又はそれよりも多くのマッピングユニットと、前記無線クライアント装置からのフィードバックを通じて得られたチャネル特徴付けデータに基づいてユーザの部分集合及びMU−MAS送信モードを判断し、前記符号化変調ユニット及びマッピングユニットを応答的に制御するMU−MAS構成器ユニットと、を含むことを特徴とするシステム。
請求項49
前記クライアント装置への送信の前にデータ信号をプリコーディングするためのプリコーディング重みを計算するために前記MU−MAS構成器ユニットの制御下で作動するMU−MASプリコーディングユニット、を更に含むことを特徴とする請求項48に記載のシステム。
請求項50
前記プリコーディングユニットから前記プリコーディングされた信号を受信し、OFDM規格に従って該プリコーディングされた信号を変調する1つ又はそれよりも多くの直交周波数分割多重化(OFDM)ユニット、を更に含むことを特徴とする請求項49に記載のシステム。
請求項51
前記OFDM規格は、逆高速フーリエ変換(IFFT)を計算する段階及び循環プレフィックスを追加する段階を含むことを特徴とする請求項50に記載のシステム。
請求項52
前記OFDMユニットの出力にデジタル/アナログ変換(D/A)変換を行ってアナログベースバンド信号を生成する1つ又はそれよりも多くのD/Aユニットと、前記ベースバンド信号を無線周波数にアップコンバートし、対応する1つ又はそれよりも多くの送信アンテナを使用して該信号を送信する1つ又はそれよりも多くの無線周波数(RF)ユニットと、を更に含むことを特徴とする請求項50に記載のシステム。
請求項53
前記MU−MASプリコーディングユニットは、最小平均二乗誤差(MMSE)、重み付けMMSE、ゼロ強制(ZF)、又はブロック対角化(BD)プリコーダとして実施されることを特徴とする請求項49に記載のシステム。
請求項54
前記MU−MASシステムは、DIDOシステムであり、前記MU−MAS構成器ユニットは、前記無線クライアント装置からのフィードバックを通じて得られたチャネル特徴付けデータに基づいてユーザの部分集合及びDIDO送信モードを判断して前記符号化変調ユニット及びマッピングユニットを応答的に制御するDIDO構成器ユニットである、ことを特徴とする請求項48に記載のシステム。
請求項55
MU−MAS通信システムの通信特性を動的に適応させるためのシステムに使用される無線クライアント装置であって、1つ又はそれよりも多くのMU−MAS送信機ユニットから送信された信号を受信し、該信号をベースバンドにダウンコンバートする1つ又はそれよりも多くのRFユニットと、前記ダウンコンバートされた信号を受信し、該信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する1つ又はそれよりも多くのアナログ/デジタル(A/D)変換ユニットと、循環プレフィックスを除去し、前記デジタル信号に高速フーリエ変換(FFT)を行って該信号を周波数領域で伝える1つ又はそれよりも多くのOFDMユニットと、トレーニング期間中に前記1つ又はそれよりも多くのOFDMユニットから信号出力を受信し、リンク品質測定基準を応答的に計算するチャネル推定器と、前記無線クライアント装置への送信の前に変調/符号化、信号のプリコーディング、及びユーザ選択に使用されるように前記リンク品質測定基準を基地局に送信するフィードバック発生器ユニットと、を含むことを特徴とする装置。
請求項56
チャネル推定値が、前記OFDMユニットへの入力を使用することによって時間領域で計算されることを特徴とする請求項55に記載の無線クライアント装置。
請求項57
前記フィードバック発生器ユニットは、前記基地局への送信の前にチャネル推定値及び/又はリンク品質測定基準を量子化するための論理を更に含むことを特徴とする請求項55に記載の無線クライアント装置。
請求項58
前記OFDMユニットから出力を受信し、前記信号を応答的に復調/復号して送信データの推定値を取得する受信機ユニット、を更に含むことを特徴とする請求項55に記載の無線クライアント装置。
請求項59
受信機ユニットが、最小平均二乗誤差(MMSE)受信機、ゼロ強制(ZF)受信機、最大尤度(ML)受信機、又はMAP受信機であることを特徴とする請求項57に記載の無線クライアント装置。
請求項60
前記MU−MAS構成器ユニット又はチャネル推定器ユニットは、それぞれ、無線リンク上でダイバーシチを取得しながらアレイサイズを低減する手段として偏波技術及び/又はパターンダイバーシチ技術を使用することを特徴とする請求項48又は請求項56に記載のシステム又は無線クライアント。
請求項61
通信が、ダイバーシチ及びダウンリンクスループットを増大させる手段としてNVIS及び/又は地上波を通じて行われることを特徴とする請求項48又は請求項55に記載のシステム又は無線クライアント。
請求項62
パターンダイバーシチが、地上波を通じてある一定のユーザと、及びNVISを通じて他のユーザと通信するために使用されることを特徴とするそれぞれ請求項48又は請求項55に記載のシステム又は無線クライアント。
請求項63
請求項64
リンクのダイバーシチ及びダウンリンクスループットを増大させる手段として、クライアントからのチャネル品質フィードバックに基づいて異なるアレイ幾何学形状と異なるアンテナダイバーシチ技術の間で適応的に切り換える基地局を更に含むことを特徴とする請求項48に記載のシステム。
請求項65
技術分野
背景技術
0003
通信信号の時空間符号化
無線技術の比較的新しい発展は、空間多重化及び時空間符号化として公知である。1つの特定の形式の時空間符号化は、「多重入力多重出力」に対してMIMOと呼ばれ、その理由は、いくつかのアンテナが各端部に使用されるからである。送受信に複数のアンテナを使用することにより、複数の独立した電波を同じ周波数範囲内で同時に送信することができる。以下の論文は、MIMOの概要を提供している。
0004
David Gesbert、IEEE会員、Mansoor Shafi、IEEEフェロー、Da−shan Shiu、IEEE会員、Peter J. Smith、IEEE会員、Ayman Naguib、IEEE上級会員共著「理論から実施まで:MIMO時空間符号化無線システムの概要」、通信の選択領域に関するIEEE学会誌、第21巻、第3号、2003年4月
0005
David Gesbert、IEEE会員、Helmut Bolcskei、IEEE会員、Dhananjay A.Gore及びArogyaswami J.Paulraj、IEEEフェロー共著「屋外MIMO無線チャネル:モデル及び性能予測」、通信に関するIEEE会報、第50巻、第12号、2002年12月
0006
基本的に、MIMO技術は、共通周波数帯域内の並列空間データストリームを作成するための空間的に分散されたアンテナの使用に基づいている。電波は、たとえそれらが同じ周波数帯域内で送信されても、個々の信号が受信機で分離されて復調することができ、これが、複数の統計的に独立した(すなわち、事実上別々の)通信チャネルをもたらすことができるような方法で送信される。すなわち、多重経路信号(すなわち、時間的に遅延し、振幅及び位相が修正された同じ周波数の複数の信号)を阻止しようとする標準的な無線通信システムとは対照的に、MIMOは、無相関又は弱相関の多重経路信号を使用して所定の周波数帯域内のより高いスループット及び改善された信号対ノイズ比を達成することができる。一例として、MIMO技術は、従来の非MIMOシステムが単に低いスループットを達成することができる類似の電力及び信号対ノイズ比(SNR)条件において遥かに高いスループットを達成する。この機能は、http://www.cdmatech.com/products/what mimo delivers.ispで「MIMOが届けるもの」という名称のページの「Qualcomm Incorporated」(Qualcommは、無線技術の最大プロバイダのうちの1つである)のウェブサイト上に説明されている。MIMOは、チャネル当たり又はスペクトルのMHz当たりのシステムのピークデータ転送速度の2倍又はそれよりも多くをもたらすことによってスペクトル機能を増大させる唯一の多重アンテナ技術である。より具体的には、無線LAN又はWi−Fi(登録商標)用途に対しては、QUALCOMMの第4世代MIMO技術は、36MHzのスペクトルにおいて315Mbpsの速度、つまり8.8Mbps/MHzをもたらす。これを17MHzのスペクトルにおいて僅かに54Mbps、つまり3.18Mbps/MHzをもたらす802.11a/gのピーク機能(ビーム形成又はダイバーシチ技術を用いてさえも)と比較されたい。
0007
MIMOシステムは、一般的に、いくつかの理由から装置当たりのアンテナ本数が10本未満(したがって、ネットワークにおけるスループット改善倍率が10X未満)という実際的な制限に直面する。
1.物理的制限:所定の装置上のMIMOアンテナは、各々が統計的に独立した信号を受信するようにMIMOアンテナ間で十分な分離がなければならない。MIMOスループット改善は、波長の僅かな部分のアンテナ間隔でさえも認めることができるが、効率は、アンテナ同士が密集する時に急速に悪化し、より低いMIMOスループット乗数をもたらす。
0008
例えば、以下の参考文献を参照されたい。
[1]D.S.Shiu、G.J.Foschini、M.J.Gans、J.M.Kahn共著「フェーディング相関関係及びその多素子アンテナシステムの機能に及ぼす影響」、通信に関するIEEE会報、第48巻、第3号、502〜513頁、2000年3月
[2]V.Pohl、V.Jungnickel、T.Haustein、Helmolt共著「MIMO屋内チャネルにおけるアンテナ間隔」、「Veh.Technol.conf.」IEEE講演論文集、第2巻、749〜753頁、2002年5月
[3]M.Stoytchev、H.Safar、A。L.Moustakas、S.Simon共著「MIMO用途のための小型アンテナアレイ」、「Antennas and Prop.Symp.」IEEE講演論文集、第3巻、708〜711頁、2001年7月
[4]A.Forenza及びR.W.Heath.Jr.共著「屋内クラスター化チャネルにおけるMIMO通信に及ぼすアンテナ幾何学形状の影響」、「Antennas and Prop.Symp.」IEEE講演論文集、第2巻、1700〜1703頁、2004年6月
0009
また、小さいアンテナ間隔に対しては、相互結合の影響によってMIMOシステムの性能が悪化する場合がある。
0010
例えば、以下の参考文献を参照されたい。
[5]M.J.Fakhereddin、K.R.Dandekar共著「MIMO機能に及ぼす偏波ダイバーシチ及び相互結合の組合せ影響」、「Antennas and Prop.Symp.」IEEE講演論文集、第2巻、495〜498頁、2003年6月
[7]P.N.Fletcher、M.Dean、A.R.Nix共著「多素子アレイアンテナ内の相互結合及びMIMOチャネル機能に及ぼすその影響」、IEEE・エレクトロニクス・レター、第39巻、342〜344頁、2003年2月
[8]V.Jungnickel、V.Pohl、C.Von Helmolt共著「密接アンテナを有するMIMOシステムの機能」、IEEE通信レター.第7巻、361〜363頁、2003年8月
[10]J.W.Wallace、M.A.Jensen共著「結合アンテナの終端依存ダイバーシチ性能:ネットワーク理論解析」、アンテナ伝播に関するIEEE会報、第52巻、98〜105頁、2004年1月
[13]C.Waldschmidt、S.Schulteis、W.Wiesbeck共著「小型MIMOアレイの解析のための完全RFシステムモデル」、「Veh.Technol.」に関するIEEE会報、第53巻、579〜586頁、2004年5月
[14]M.L.モーリス、M.A.Jensen共著「結合アンテナ及びノイズのある増幅器を有するMIMOシステムのためのネットワークモデル」、アンテナ伝播に関するIEEE会報、第53巻、545〜552頁、2005年1月
0011
更に、アンテナは互いに密集しているために、アンテナは、一般的に小型化しなければならず、それも同様にアンテナ効率に影響を与える可能性がある。
0012
例えば、以下の参考文献を参照されたい。
[15]H.A.Wheeler著「小さいアンテナ」、アンテナ伝播に関するIEEE会報、第AP−23巻、第4号、462〜469頁、1975年7月
[16]J.S.Mclean著「電気的に小型のアンテナの放射Qに対する基本的な限界の再調査」、アンテナ伝播に関するIEEE会報、第44巻、第5号、672〜676頁、1996年5月
0013
最後に、より低い周波数及びより長い波長では、単一のMIMO装置の物理的サイズが扱いにくくなる可能性がある。極端な例は、MIMO装置アンテナが互いから10メートル又はそれよりも大きく分離すべきであると考えられるHF帯域内である。
2.ノイズ制限。各MIMO受信機/送信機サブシステムは、ある一定のレベルのノイズを生成する。互いに近接して置かれるこれらのサブシステムの数が多くなると、ノイズレベルは増加する。一方、多数アンテナMIMOシステムにおける益々増大する個別の信号を互いに区別することが必要なので、益々低いノイズレベルが必要である。
3.経費及び電力上の制限。経費及び電力消費量が問題にならないMIMO用途も存在するが、典型的な無線製品では、経費及び電力消費量の両方は、製品開発成功の極めて重要な制約である。各MIMOアンテナに対しては、別個のアナログ/デジタル(A/D)変換器及びデジタル/アナログ(D/A)変換器を含む別個のRFサブシステムが必要である。ムーアの法則(最小構成要素のための集積回路上のトランジスタ数は、その費用が24ヵ月毎に倍増するというIntel共同創立者Gordon Mooreによる経験的な観測結果、出典:http://www.intel.com/technology/mooreslaw/)に対応するデジタルシステムの多くの態様と異なり、このようなアナログ集約的サブシステムは、典型的に、ある一定の物理的構造サイズ及び電力要件を有し、経費及び電力において直線的に増大する。したがって、多数アンテナMIMO装置は、単一アンテナ装置と比較すると極端に高価かつ電力消耗的になると考えられる。
0014
以上の結果として、今日考えられている殆どのMIMOシステムは、アンテナ2〜4本の程度であり、スループットの2〜4倍の増加と多重アンテナシステムのダイバーシチ恩典によるSNRの何らかの増加とをもたらす。10本までのアンテナのMIMOシステムが考えられているが(特に、より短い波長及びより緊密なアンテナ間隔によるより高いマイクロ波周波数の時)、それを大きく超える数は、非常に特殊かつ費用集中的な用途を除いて非実用的である。
0015
仮想アンテナアレイ
MIMO形式の技術の1つの特殊用途は、仮想アンテナアレイである。このようなシステムは、2003年1月15〜17日、スペイン国バルセロナでの科学技術研究分野の欧州協力(EURO−COST)で発表された研究論文:Mischa Dohler、Hamid Aghvami共著「MIMOに向けた歩み:仮想アンテナアレイ」、キングズカレッジ電気通信研究センター、英国ロンドンで提案されている。
0016
仮想アンテナアレイは、この論文で呈示されているように連携無線装置(携帯電話など)のシステムであり、これは、連携して作動するように所属基地局への1次通信チャネルとは別の通信チャネル上で互いの間で通信する(それらが互いに十分に近い場合かつその時に)(例えば、それらがUHF帯域内のGSM(登録商標)携帯電話である場合には、これは、5GHzの産業科学医療(ISM)無線帯域とすることができるであろう)。これは、例えば単一アンテナ装置が、互いの範囲にある(基地局の範囲あることに加えて)いくつかの装置の間で情報を中継し、あたかもそれらが複数のアンテナを有する物理的に1つの装置であるかように作動することにより、MIMOのようなスループットの増加を潜在的に達成することを可能にする。
0017
米国特許出願出願番号第10/902、978号
米国特許出願出願番号第10/817、731号
先行技術
0018
David Gesbert、IEEE会員、Mansoor Shafi、IEEEフェロー、Da−shan Shiu、IEEE会員、Peter J. Smith、IEEE会員、Ayman Naguib、IEEE上級会員共著「理論から実施まで:MIMO時空間符号化無線システムの概要」、通信の選択領域に関するIEEE学会誌、第21巻、第3号、2003年4月
David Gesbert、IEEE会員、Helmut Bolcskei、IEEE会員、Dhananjay A.Gore及びArogyaswami J.Paulraj、IEEEフェロー共著「屋外MIMO無線チャネル:モデル及び性能予測」、通信に関するIEEE会報、第50巻、第12号、2002年12月
D.S.Shiu、G.J.Foschini、M.J.Gans、J.M.Kahn共著「フェーディング相関関係及びその多素子アンテナシステムの機能に及ぼす影響」、通信に関するIEEE会報、第48巻、第3号、502〜513頁、2000年3月
V.Pohl、V.Jungnickel、T.Haustein、Helmolt共著「MIMO屋内チャネルにおけるアンテナ間隔」、「Veh.Technol.conf.」IEEE講演論文集、第2巻、749〜753頁、2002年5月
M.Stoytchev、H.Safar、A。L.Moustakas、S.Simon共著「MIMO用途のための小型アンテナアレイ」、「Antennas and Prop.Symp.」IEEE講演論文集、第3巻、708〜711頁、2001年7月
A.Forenza及びR.W.Heath.Jr.共著「屋内クラスター化チャネルにおけるMIMO通信に及ぼすアンテナ幾何学形状の影響」、「Antennas and Prop.Symp.」IEEE講演論文集、第2巻、1700〜1703頁、2004年6月
M.J.Fakhereddin、K.R.Dandekar共著「MIMO機能に及ぼす偏波ダイバーシチ及び相互結合の組合せ影響」、「Antennas and Prop.Symp.」IEEE講演論文集、第2巻、495〜498頁、2003年6月
P.N.Fletcher、M.Dean、A.R.Nix共著「多素子アレイアンテナ内の相互結合及びMIMOチャネル機能に及ぼすその影響」、IEEE・エレクトロニクス・レター、第39巻、342〜344頁、2003年2月
V.Jungnickel、V.Pohl、C.Von Helmolt共著「密接アンテナを有するMIMOシステムの機能」、IEEE通信レター.第7巻、361〜363頁、2003年8月
J.W.Wallace、M.A.Jensen共著「結合アンテナの終端依存ダイバーシチ性能:ネットワーク理論解析」、アンテナ伝播に関するIEEE会報、第52巻、98〜105頁、2004年1月
C.Waldschmidt、S.Schulteis、W.Wiesbeck共著「小型MIMOアレイの解析のための完全RFシステムモデル」、「Veh.Technol.」に関するIEEE会報、第53巻、579〜586頁、2004年5月
M.L.モーリス、M.A.Jensen共著「結合アンテナ及びノイズのある増幅器を有するMIMOシステムのためのネットワークモデル」、アンテナ伝播に関するIEEE会報、第53巻、545〜552頁、2005年1月
H.A.Wheeler著「小さいアンテナ」、アンテナ伝播に関するIEEE会報、第AP−23巻、第4号、462〜469頁、1975年7月
J.S.Mclean著「電気的に小型のアンテナの放射Qに対する基本的な限界の再調査」、アンテナ伝播に関するIEEE会報、第44巻、第5号、672〜676頁、1996年5月
Mischa Dohler、Hamid Aghvami共著「MIMOに向けた歩み:仮想アンテナアレイ」、キングズカレッジ電気通信研究センター、英国ロンドン、2003年1月15〜17日、スペイン国バルセロナでの科学技術研究分野の欧州協力(EURO−COST)
L.Dong、H.Ling、及びR.W.Heath.Jr.共著「アンテナパターンダイバーシチを使用した多重入力多重出力無線通信方式」、「Glob.Telecom.Conf.」IEEE講演論文集、第1巻、997〜1001頁、2002年11月
R.Vaughan著「アンテナダイバーシチのための切換非励振素子」、アンテナ伝播IEEE会報、第47巻、399〜405頁、1999年2月
P.Mattheijssen、M.H.A.J.Herben、G.Dolmans、L.Leyten共著「手持ち式使用に対するアンテナパターンダイバーシチ対空間ダイバーシチ」、「Veh.Technol.」に関するIEEE会報、第53巻、1035〜1042頁、2004年7月
C.B.Dietrich Jr、K.Dietze、J.R.Nealy、W.L.Stutzman共著「無線手持ち式端末に対する空間ダイバーシチ、偏波ダイバーシチ、及びパターンダイバーシチ」、アンテナ及び伝播シンポジュームIEEE講演論文集、第49巻、1271〜1281頁、2001年9月
A.Forenza、R.W.Heath、jr.共著「屋内クラスター化MIMOチャネルにおける円形パッチアンテナの2素子アレイによるパターンダイバーシチの恩典」、通信に関するIEEE会報、第54巻、第5号、943〜954頁、2006年5月
M.D.Benedetto及びP.Mandarini共著「OFDMモデム内のI/Qベースバンドフィルタ不整合の影響の解析」、無線パーソナルコミュニケーション、175〜186頁、2000年
S.Schuchert及びR.Hasholzner共著「OFDM信号受信用新規I/Q不均衡補正方式」、家電に関するIEEE会報、2001年8月
M.Valkama、M.Renfors、及びV.Koivunen共著「通信受信機内のI/Q不均衡補正の高度な方法」、信号処理に関するIEEE会報、2001年10月
R.Rao及びB.Daneshrad共著「I/Q不整合の解析及びOFDMシステムの相殺方式」、IST移動通信サミット、2004年6月
A.Tarighat、R.Bagheri、及びA.H.Sayed共著「OFDM受信機内のIQ不均衡の補正方式及び性能解析」、信号処理に関するIEEE会報、第53巻、3257〜3268頁、2005年8月
R.Rao及びB.Daneshrad共著「MIMO−OFDMシステムのI/Q不整合相殺」、個人用、屋内、及び移動無線通信、2004年、PIMRC2004、第15回IEEE国際シンポジューム、第4巻、2004年、2710〜2714頁
R.M.Rao、W.Zhu、S.Lang、C.Oberli、D.Browne、J.Bhatia、J.F.Frigon、J.Wang、P、Gupta、H.Lee、D.N.Liu、S.G.Wong、M.Fitz、B.Daneshrad、及びO.Takeshita共著「無線通信研究教育の多重アンテナテストベッド」、IEEE通信学術雑誌、第42巻、第12号、72〜81頁、2004年12月
S.Lang、M.R.Rao、及びB.Daneshrad共著「5.25GHzソフトウエア定義無線OFDM通信プラットフォームの設計及び開発」2004年6月6〜12日IEEE通信学術雑誌(IEEE)、第42巻、第6号、6〜12頁
A.Tarighat及びA.H.Sayed共著「IQ不均衡を備えたシステムのためのMIMO−OFDM受信機」信号処理に関するIEEE会報、第53巻、3583〜3596頁、2005年9月
Q.H.Spencer、A.L.Swindlehurst、及びM.Haardt共著「マルチユーザMIMOチャネルにおけるダウンリンク空間多重化のゼロ強制方法」、信号処理に関するIEEE会報、第52巻、461〜471頁、2004年2月
K.K.Wong、R.D.Murch、及びK.B.Letaief共著「マルチユーザMIMOアンテナシステムのための共同チャネル対角化」無線通信に関するIEEE会報、第2巻、773〜786頁、2003年7月
L.U.Choi及びR.D.Murch共著「分解手法を使用したマルチユーザMIMOシステムのための送信前処理技術」、無線通信に関するIEEE会報、第3巻、20〜24頁、2004年1月
Z.Shen、J.G.Andrews、R.W.Heath、及びB.L.Evans共著「ブロック対角化が行われるマルチユーザMIMOシステムのための低複雑性ユーザ選択アルゴリズム」、信号処理に関するIEEE会報、2005年9月の公開に向けて受諾
Z.Shen、R.Chen、J.G.Andrews、R.W.Heath、及びB.L.Evans共著「ブロック対角化を備えたマルチユーザMIMO放送チャネルの合計機能」、2005年10月の無線通信に関するIEEE会報に提出
R.Chen、R.W.Heath、及びJ.G.Andrews共著「線形受信機を有する単体プリコーディングマルチユーザ空間多重化システムの送信選択ダイバーシチ」、2005年の信号処理に関するIEEE会報に向けて受諾
A.Tarighat及びA.H.Sayed共著「IQ不均衡を備えたシステムのためのMIMO−OFDM受信機」、信号処理に関するIEEE会報、第53巻、3583〜3596頁、2005年9月
A.Tarighat、R.Bagheri、及びA.H.Sayed共著「OFDM受信機内のIQ不均衡の補正方式及び性能解析」、信号処理に関するIEEE会報、第53巻、3257〜3268頁、2005年8月
V.Tarokh、H.Jafarkhani、及びA.R.Calderbank共著「直交配列法による時空間ブロックコード」、情報理論に関するIEEE会報、第45巻、1456〜467頁、1999年7月
R.W.Heath.Jr.S.Sandhu、及びA.J.Paulraj共著「線形受信機を有する空間多重化システムのアンテナ選択」、通信に関するIEEE会報、第5巻、pp.142〜144頁、2001年4月
G.J.Foschini、G.D.Golden、R.A.Valenzuela、及びP.W.Wolniansky共著「多素子アレイを使用する高スペクトル効率無線通信の簡素化した処理」、通信の選択分野に関するIEEE学会論文集、第17巻、第11号、1841〜1852頁、1999年11月
L.Zheng及びD.N.C.Tse共著「ダイバーシチ及び多重化:多重アンテナチャネルの基本的なトレードオフ」、情報理論に関するIEEE会報、第49巻、第5号、1073〜1096頁、2003年5月
R.W.Heath.Jr.、S.Sandhu、及びA.J.Paulraj共著「MIMOシステムにおいてダイバーシチと多重化間のスイッチング」、通信に関するIEEE会報、第53巻、第6号、962〜968頁、2005年6月
S.Catreux、V.Erceg、D.Gesbert、及びR.W.Heath.Jr.共著「ブロードバンド無線データ通信ネットワークのための適応変調及びMIMO符号化」、IEEE通信雑誌、第2巻、108〜115頁、2002年6月
M.R.McKay、I.B.Collings、A.Forenza、及びR.W.Heath.Jr.共著「空間相関レイリーチャネルにおける符号化MIMOの多重化/ビーム形成スイッチング」、2007年12月に「Veh.Tech.」に関するIEEE会報に受諾
A.Forenza、M.R.McKay、R.W.Heath.Jr.、及びI.B.Collings共著「空間相関MIMOチャネルにおける線形受信機によりOSTBCと空間多重化間のスイッチング」、「Veh.Technol Conf.」IEEE講演論文集、第3巻、1387〜1391頁、2006年5月
M.R.McKay、I.B.Collings、A.Forenza、及びR.W.Heath.Jr.共著「空間相関チャネルのためのスループットに基づく適応MIMO−BICM手法」、2006年6月にIEEE−ICC講演論文集に掲載される予定
R.W.Heath.Jr.S.Sandhu、及びA.J.Paulraj共著「MIMOシステムにおいてダイバーシチと多重化間のスイッチング」、通信に関するIEEE会報、第53巻、第6号、962〜968頁、2005年6月
S.Catreux、V.Erceg、D.Gesbert、及びR.W.Heath.jr.共著「ブロードバンド無線データ通信ネットワークのための適応変調及びMIMO符号化」、IEEE通信雑誌、第2巻、108〜115頁、2002年6月
A.Forenza、M.R.McKay、A.Pandharipande、R.W.Heath.Jr.、及びI.B.Collings共著「空間相関チャネルの機能を利用する適応MIMO送信」、「Veh.Tech.」に関するIEEE会報、第56巻、第2号、619〜630頁、2007年3月
M.R.McKay、I.B.Collings、A.Forenza、及びR.M.R.McKay、I.B.Collings、A.Forenza、及びR.W.Heath.Jr.共著「空間相関チャネルのためのスループットに基づく適応MIMO−BICM手法」、2006年6月にIEEE−ICC講演論文集に掲載される予定
M.Sharif及びB.Hassibi共著「部分的サイド情報によるMIMO放送チャネルの機能に関して」、情報理論に関するIEEE会報第51巻、506〜522頁、2005年2月
W.Choi、A.Forenza、J.G.Andrews、及びR.W.Heath.Jr.共著「ビーム選択を備えた日和見性空間分割多重アクセス方式」、通信に関するIEEE会報に掲載される予定
X.Zhuang、F.W.Vook、K.L.Baum、T.A.Thomas、及びM.Cudak共著「リンク及びシステムレベルシミュレーションのためのチャネルモデル」、IEEE802.16ブロードバンド無線アクセス作業部会、2004年9月
T.Fusco及びM.Tanda共著「OFDM/OQAMシステムのための不感周波数オフセット推定」、信号処理に関するIEEE会報、第55巻、1828〜1838頁、2007年
E.Serpedin、A.Chevreuil、G.B.Giannakis、及びP.Loubaton共著「周期的な変調プリコーダを用いた不感チャネル及び搬送周波数オフセット推定」、信号処理に関するIEEE会報、第48巻、第8号、2389〜2405頁、2000年8月
J.J.van de Beek、M.Sandell、及びP.O.Borjesson共著「OFDMシステムにおいて時間及び周波数オフセットのML推定」、信号処理に関するIEEE会報、第45巻、第7号、1800〜1805頁、1997年7月
U.Tureli、H.Liu、及びM.D.Zoltowski共著「OFDM不感搬送波オフセット推定:ESPRIT」、通信に関するIEEE会報、第48巻、第9号、1459〜1461頁、2000年9月
M.Luise、M.Marselli、及びR.Reggiannini共著「周波数選択性無線チャネル上のOFDM信号のための低複雑性不感搬送周波数回復」、通信に関するIEEE会報第50巻、第7号、1182〜1188頁、2002年7月
P.H.Moose著「直交周波数分割多重周波数オフセット補正方法」、通信に関するIEEE会報第42巻、第10号、2908〜2914頁、1994年10月
T.M.Schmidl及びD.C.Cox共著「OFDMのための堅牢周波数及びタイミング同期」、通信に関するIEEE会報第45巻、第12号、1613〜1621頁、1997年12月
M.Luise、M.Marselli、及びR.Reggiannini共著「OFDMシステムのための搬送周波数取得及び追跡」、通信に関するIEEE会報第44巻、第11号、1590〜1598頁、1996年11月
J.J.van de Beek、M.Sandell、及びP.O.Borjesson共著「OFDMシステムにおいて時間及び周波数オフセットのML推定」、信号処理に関するIEEE会報、第45巻、第7号、1800〜1805頁、1997年7月
K.Lee及びJ.Chun共著「直交トレーニングシーケンスを用いたMIMO及びOFDMシステムのための周波数オフセット推定」、「Veh.Technol.」に関するIEEE会報、第56巻、第1号、146〜156頁、2007年1月
M.Ghogho及びA.Swami共著「MIMOシステム内多経路チャネル及び周波数オフセット推定のためのトレーニング設計」、信号処理に関するIEEE会報、第54巻、第10号、3957〜3965頁、2005年10月
C.Oberli及びB.Daneshrad共著「MIMOOFDMのための最大尤度追跡アルゴリズム」、2004年IEEE国際会議、第4巻、2004年6月4日〜24日、2468〜2472頁
A.Kannan、T.P.Krauss、及びM.D.Zoltowski共著「不完全タイミング及び搬送波同期下での同一チャネル信号の分離」、「Veh.Technol.」に関するIEEE会報、第50巻、第1号、79〜96頁、2001年1月
T.Tang及びR.W.Heath共著「MIMO−OFDMシステム[移動無線]のための共同周波数オフセット推定及び干渉相殺」、2004年、VTC2004年秋、2004年IEEE60回車両技術会議、第3巻、1553〜1557頁、2004年9月26〜29日
X.Dai著「連続的なパイロットを使用したOFDM/SDMAシステムのための搬送周波数オフセット推定」、通信に関するIEEE講演論文集、第152巻、624〜632頁、2005年10月7日
L.Haring、S.Bieder、及びA.Czylwik共著「マルチユーザOFDMシステムにおいて残留搬送波及びサンプリング周波数同期」、2006年VTC、2006年春、IEEE第63回車両技術会議、第4巻、1937〜1941頁、2006年
O.Besson及びP.Stoica共著「周波数オフセットを備えたMIMO平坦フェーディングチャネルのパラメータ推定に関して」、信号処理に関するIEEE会報、第51巻、第3号、602〜613頁、2003年3月米国特許出願第20060023803号
L.U.Choi及びR.D.Murch共著「分解手法を使用したマルチユーザMIMOシステムのための送信前処理法」、無線通信に関するIEEE会報、第3巻、20〜24頁、2004年1月
P.H.Moose著「直交周波数分割多重周波数オフセット補正方法」、通信に関するIEEE会報第42巻、第10号、2908〜2914頁、1994年10月
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発明が解決しようとする課題
0019
しかし、実際には、このようなシステムは、実施するのが極端に困難であり、かつ有用性に限界がある。1つには、スループットの改善を達成するために維持すべきである装置当たり最低2つの個別の通信経路が現在存在し、第2の中継リンクは、利用可能性が不確定なものであることが多い。また、装置は、それらが最低でも第2の通信サブシステムとより大きな計算の必要性とを有するので、より高額であり、物理的に大型化し、かつ消費電力が増大する。更に、システムは、潜在的に様々な通信リンクを通じて、全ての装置の非常に高度なリアルタイムの連携に依存している。最後に、同時チャネル利用(例えば、MIMO技術を利用した同時の電話通話の伝達)が増大すると、各装置に対して計算負荷が増大し(チャネル利用が線形に増加する時に潜在的に指数的に)、これは、厳しい電力及びサイズの制約を有する携帯式装置にとって非常に非実用的である場合がある。
課題を解決するための手段
0020
マルチユーザ(MU)送信を備えた多重アンテナシステム(MAS)(MU−MAS)における周波数オフセット及び位相オフセットを補正するためのシステム及び方法を説明する。例えば、本発明の一実施形態による方法は、トレーニング信号を基地局の各アンテナから、周波数オフセット補正データを生成するために各トレーニング信号を解析する複数の無線クライアント装置の1つ又は各々に送信して、基地局で周波数オフセット補正データを受信する段階と、送信機において周波数オフセットを事前相殺するために周波数オフセット補正データに基づいてMU−MASプリコーダ重みを計算する段階と、基地局の各アンテナに対してプリコーディングされたトレーニング信号を生成するために、MU−MASプリコーダ重みを使用してトレーニング信号をプリコーディングする段階と、基地局の各アンテナから、各々がチャネル特徴付けデータを生成するために各トレーニング信号を解析する複数の無線クライアント装置の各々に、プリコーディングされたトレーニング信号を送信して、基地局でチャネル特徴付けデータを受信する段階と、チャネル特徴付けデータに基づいて、周波数及び位相オフセット及び/又はユーザ間干渉を事前相殺するために計算される複数のMU−MASプリコーダ重みを計算する段階と、基地局の各アンテナに対するプリコーディングされたデータ信号を生成するために、MU−MASプリコーダ重みを使用してデータをプリコーディングする段階と、プリコーディングされたデータ信号を基地局の各アンテナを通じて各それぞれのクライアント装置に送信する段階とを含む。
0021
図面に関連の以下の詳細説明から、本発明の理解を深めることができる。
図面の簡単な説明
0022
従来技術のMIMOシステムを示す図である。
複数の単一アンテナクライアント装置と通信するN本アンテナ基地局を示す図である。
3つの単一アンテナクライアント装置と通信する3本アンテナ基地局を示す図である。
本発明の一実施形態において使用されるトレーニング信号法を示す図である。
本発明の一実施形態によるクライアント装置から基地局に送信されたチャネル特徴付けデータを示す図である。
本発明の一実施形態による多重入力分散出力(MIDO)下流側送信を示す図である。
本発明の一実施形態による多重入力多重出力(MIMO)上流側送信を示す図である。
本発明の一実施形態によりスループットを割り当てるために異なるクライアント群を循環する基地局を示す図である。
本発明の一実施形態による近接度に基づくクライアントのグループ分けを示す図である。
NVISシステム内に使用された本発明の実施形態を示す図である。
I/Q補正機能ユニットを有するDIDO送信機の実施形態を示す図である。
I/Q補正機能ユニットを有するDIDO受信機を示す図である。
I/Q補正を備えたDIDO−OFDMシステムの一実施形態を示す図である。
I/Q補正の有無によるDIDO2×2性能の一実施形態を示す図である。
I/Q補正の有無によるDIDO2×2性能の一実施形態を示す図である。
異なるQAM配列に対するI/Q補正の有無によるSER(符号誤り率)の一実施形態を示す図である。
異なるユーザ装置位置における補正の有無によるDIDO2×2性能の一実施形態を示す図である。
理想的(i.i.d.(独立かつ同一分散の))チャネルにおけるI/Q補正に有無によるSERの一実施形態を示す図である。
適応DIDOシステムの送信機フレームワークの一実施形態を示す図である。
適応DIDOシステムの受信機フレームワークの一実施形態を示す図である。
適応DIDO−OFDMの方法の一実施形態を示す図である。
DIDO測定のためのアンテナ配置の一実施形態を示す図である。
異次数DIDOシステムのアレイ構成の実施形態を示す図である。
異次数DIDOシステムの性能を示す図である。
DIDO測定のアンテナ配置の一実施形態を示す図である。
ユーザ装置位置の関数としての4−QAM及びFEC率1/2によるDIDO2x2性能の一実施形態を示す図である。
DIDO測定のアンテナ配置の一実施形態を示す図である。
一実施形態においてDIDO8x8がより低いTX電力要件に向けてDIDO2x2よりも大きなSEをもたらす方法を示す図である。
アンテナ選択によるDIDO2x2性能の一実施形態を示す図である。
i.i.d.チャネルにおける異なるDIDOプリコーディング方式の平均ビット誤り率(BER)性能を示す図である。
i.i.d.チャネルにおける余分な送信アンテナ数の関数としてのASelの信号対ノイズ比(SNR)利得を示す図である。
i.i.d.チャネルにおける1本及び2本の余分のアンテナによるブロック対角化(BD)及びASelに対するユーザ数(M)の関数としてSNR閾値を示す図である。
角度広がり(AS)の異なる値を有する同じ角度方向に位置する2人のユーザに対するBER対ユーザ当たりの平均SNRを示す図である。
図33と類似であるがユーザ間のより大きい角度分離を有する結果を示す図である。
ユーザの平均到着角(AOA)の異なる値に対するASの関数としてのSNR閾値をプロットした図である。
5人のユーザの例示的な事例に対するSNR閾値を示す図である。
2つのユーザ事例に対する1本及び2本の余分なアンテナによるBD及びASelのSNR閾値の比較を与える図である。
図37と類似のものであるが5人のユーザの事例に対する結果を示す図である。
ASの異なる値によるBD方式のSNR閾値を示す図である。
1本及び2本の余分なアンテナによるBD及びASelに対するAS=0.1°での空間相関チャネルにおけるSNR閾値を示す図である。
AS=5°での2つ多いチャネルのシナリオに対するSNR閾値の計算を示す図である。
AS=10°での2つ多いチャネルのシナリオに対するSNR閾値の計算を示す図である。
1本及び2本の余分なアンテナによるBD及びASel方式に対するそれぞれユーザ数(M)及び角度広がり(AS)の関数としてのSNR閾値を示す図である。
1本及び2本の余分なアンテナによるBD及びASel方式に対するそれぞれユーザ数(M)及び角度広がり(AS)の関数としてのSNR閾値を示す図である。
周波数オフセット推定器/補正器を装備した受信機を示す図である。
本発明の一実施形態によるDIDO2x2システムモデルを示す図である。
本発明の一実施形態による方法を示す図である。
周波数オフセットの有無によるDIDO2×2システムのSER結果を示す図である。
SNR閾値に関して異なるDIDO方式の性能を比較する図である。
方法の異なる実施形態に必要とされるオーバーヘッドの量を比較する図である。
fmax=2Hzの小さい周波数オフセット及び整数オフセット補正なしでのシミュレーションを示す図である。
整数オフセット推定器の電源切断時の結果を示す図である。
実施例
0023
以下の説明では、説明上、本発明を完全に理解することができるように多くの特定の詳細に対して説明する。しかし、これらの特定の詳細の一部がなくても本発明を実施することができることが当業者に明らかであろう。他の場合では、本発明の根本的な原理を曖昧にすることを回避するために、公知の構造及び装置は、ブロック図の形式で示されている。
0024
図1は、送信アンテナ104及び受信アンテナ105を有する従来技術のMIMOシステムを示している。このようなシステムは、通常は、利用可能なチャネルで達成可能と思われるスループットの3倍までをもたらすことができる。本発明に対する公開文献に説明されているこのようなMIMOシステムの細部を実施するいくつかの異なる手法があり、以下の説明では、1つのこのような手法に対して説明する。
0025
データが図1のMIMOシステムにおいて送信される前に、チャネルは「特徴付けられる」。これは、送信アンテナ104の各々から受信機105の各々に「トレーニング信号」を最初に送信することによって達成される。トレーニング信号は、符号化及び変調サブシステム102によって生成され、D/A変換器(図示せず)によりアナログに変換された後に、連続して各送信機103によりベースバンドからRFに変換される。それぞれのRF受信機106に結合された各受信アンテナ105は、各トレーニング信号を受信してベースバンドに変換する。ベースバンド信号は、D/A変換器(図示せず)によりデジタルに変換され、信号処理サブシステム107は、トレーニング信号を特徴付ける。各信号の特徴付けは、例えば、受信機内部の基準に対する位相及び振幅、絶対基準、相対基準、固有ノイズ、又は他のファクタを含む多くのファクタを含むことができる。各信号の特徴付けは、典型的には、チャネルにわたって送信された時の信号のいくつかの態様の位相及び振幅の変化を特徴付けるベクトルとして定められる。例えば、直交振幅変調(QAM)変調された信号においては、特徴付けは、信号のいくつかの多経路画像の位相オフセット及び振幅オフセットのベクトルであり得る。別の例として、直交周波数分割多重化(OFDM)変調された信号においては、それは、OFDMスペクトル内の個々の副信号のいくつか又は全ての位相オフセット及び振幅オフセットのベクトルであり得る。
0026
信号処理サブシステム107は、各受信アンテナ105及び対応する受信機106により受信したチャネル特徴付けを格納する。全ての3つの送信アンテナ104がトレーニング信号送信を完了した後、信号処理サブシステム107は、3つの受信アンテナ105の各々に対して3つのチャネル特徴付けを格納し、したがって、チャネル特徴付け行列「H」と指定された3x3行列108をもたらす。各個々の行列要素Hi、jは、受信アンテナ105jにより受信される送信アンテナ104iのトレーニング信号送信のチャネル特徴付けである(一般的に、上述のようにベクトルである)。
0027
この時点で、信号処理サブシステム107は、行列H108の転置してH-1を生成し、送信アンテナ104からの実データの送信を待つ。利用可能な文献に説明されている従来技術の様々なMIMO技術は、H行列108が転置可能であることを保証するために利用することができることに注意されたい。
0028
作動面においては、送信すべきデータのペイロードは、データ入力サブシステム100に呈示される。次に、符号化及び変調サブシステム102に呈示される前に分割器101により3つの部分に分割される。例えば、ペイロードが「abcdef」のASCIIビットである場合、分割器101により、「ad」、「be」、及び「cf」に対してASCIIビットの3つのサブペイロードに分割することができる。次に、これらのサブペイロードの各々は、符号化及び変調サブシステム102に個々に呈示される。
0029
サブペイロードの各々は、各信号の統計的独立性及び誤差補正機能の両方に適する符号化システムを使用することによって個々に符号化される。これらには、Reed−Solomonコーディング、Viterbiコーディング、及び「Turbo Codes」が含まれるが、これらに限定されない。最後に、3つの符号化されたサブペイロードの各々は、チャネルに対して適切な変調方式で変調される。変調手法の例は、差動位相シフトキー(DPSK)変調、64−QAM変調、及びOFDMである。ここで、MIMOによって提供されるダイバーシチ利得は、同じチャネルを利用してSISO(単入力単出力)システム内で他の場合に達成可能であると思われるよりも高次の変調配列を可能にすることに注意すべきである。各符号化及び変調された信号は、次に、D/A変換ユニット(図示せず)によるD/A変換及び各送信機103によるRF生成後に固有のアンテナ104を通じて送信される。
0030
適切な空間ダイバーシチが送受信アンテナの間に存在すると仮定すると、受信アンテナ105の各々は、アンテナ104から3つの送信信号の異なる組合せを受信することになる。各信号は、受信されると各RF受信機106によりベースバンドに変換され、A/D変換器(図示せず)によりデジタル化される。ynが第n番目の受信アンテナ105により受信した信号であり、Xnが第n番目の送信アンテナ104により送信される信号であり、Nがノイズである場合、これを以下の3つの方程式により説明することができる。
y1 = x1 H11 + x2 H12 + x3 H13 + N
y2 = x1 H21 + x2 H22 + x3 H23 + N
y3 = x1 H31 + x2 H32 + x3 H33 + N
0031
これが3つの未知数による3つの方程式のシステムであることを考慮すると、信号処理サブシステム107は、x1、x2、及びx3を導出することは線形代数の問題である(Nが信号の復号化を可能にするのに十分に低いレベルであると仮定して)。
x1 = y1H-111 + y2H-112 + y3H-113
x2 = y1H-121 + y2H-122 + y3H-123
x3 = y1H-131 + y2H-132 + y3H-133
0032
3つの送信信号xnがこのようにして導出された状態で、分割器101により最初に分離された3つのビットストリームを回復するために信号処理サブシステム107により復調、復号、及び誤差補正される。これらのビットストリームは、結合器ユニット108内で結合され、データ出力109から単一のデータストリームとして出力される。システムの堅牢性がノイズ機能障害を克服することができると仮定すると、データ出力109は、データ入力100に導入されたのと同じビットストリームを生成する。
0033
上述の従来技術のシステムが、通常4本までのアンテナ、恐らく10本まで多くのアンテナまで実用的であるが、本発明の開示の「背景技術」の節で説明した理由から、多数のアンテナ(例えば25、100、又は1000本)では非実用的になる。
0035
図2は、本発明の一実施形態を示しており、基地局(BS)200は、「ワイドエリアネットワーク(WAN)」インタフェース(例えば、T1又は他の高速接続を通じて「インターネット」への)201で構成され、いくつか(N)のアンテナ202が設けられている。取りあえず、固定位置から1組のクライアントと無線で通信するあらゆる無電局を指すために「基地局」という用語を使用する。基地局の例は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)又はWANアンテナ鉄塔又はアンテナアレイ内のアクセスポイントである。基地局200から無線でサービスを提供される各々が1本のアンテナを有するいくつかのクライアント装置203〜207が存在する。この例の目的上、無線ネットワークを装備したパーソナルコンピュータであるクライアント装置203〜207にサービスを提供しているオフィス環境に位置するような基地局に対して考えることが最も簡単であるが、このアーキテクチャは、屋内、屋外共、基地局が無線クライアントにサービスを提供している多くの用途に適用される。例えば、基地局は、携帯電話塔、又はテレビ放送塔を基地にすることができる。一実施形態では、基地局200は、本出願の出願人に譲渡され、かつ引用により本明細書に組み込まれている2004年4月20日出願の「時空間符号化を使用して近垂直入射上空波(NVIS)通信を改善するシステム及び方法」という名称の現在特許出願中の米国特許出願出願番号第10/817、731号に説明されているように、地上に位置決めされ、信号を電離層から跳ね戻すためにHF周波数(例えば、24MHzまでの周波数)で上方に送信するように構成される。
0036
上述の基地局200及びクライアント装置203〜207に関連のある一定の詳細は、例示のためにすぎず、本発明の根本的な原理に従う上で必要とされるものではない。例えば、基地局は、デジタルビデオ配信に使用されるような特定用途向け広域ネットワークを含むWANインタフェース201を通じて様々な異なる形式の広域ネットワークに接続することができる。同様に、クライアント装置は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、受信機、及び無線カメラを含むがこれらに限定されないあらゆる種類の無線データ処理及び/又は通信装置とすることができる。
0037
一実施形態では、あたかも基地局が従来技術のMIMO送受信機であるかのように各々が空間相関のない信号を送信及び受信するように、基地局のn本のアンテナ202は、空間的に分離される。「背景技術」で上述のように、λ/6(すなわち、1/6波長)以内の間隔で設置したアンテナが、MIMOからのスループットの増大を見事に達成しているが、全体的に、これらの基地局アンテナが設けられる間隔が増大するほど、システム性能が良くなり、λ/2が望ましい最小値であるという実験が行われている。言うまでもなく、本発明の根本的な原理は、アンテナ間のいかなる特定の分離にも限定されるものではない。
0038
単一の基地局200は、アンテナが非常に大きな間隔で位置する可能性が非常に高いことに注意されたい。例えば、HFスペクトルにおいては、アンテナは、10メートル間隔又はそれよりも大きくすることができる(例えば、上述のNVIS例において)。100本のこのようなアンテナが使用された場合、基地局のアンテナアレイは、数平方キロメートルに及ぶ可能性が十分にある。
0039
空間ダイバーシチ技術に加えて、本発明の一実施形態は、システムの有効スループットを増大させるために信号を偏波させる。偏波を通じてチャネル機能を増大させることは、長年にわたって衛星テレビプロバイダにより使用されている技術である。偏波を使用して、複数の(例えば、3本の)基地局又はユーザのアンテナを互いに非常に接近させ、依然として空間相関のないものとすることができる。従来のRFシステムは、通常は偏波の2次元(例えばx及びy)のダイバーシチからのみ恩典を受けるが、本明細書で説明するアーキテクチャは、偏波の3次元(x、y、及びz)のダイバーシチから更に恩典を受けることができる。
0040
空間及び偏波ダイバーシチに加えて、本発明の一実施形態は、パターンダイバーシチを通じてリンク性能を改善するために、近直交放射パターンでアンテナを使用する。パターンダイバーシチは、MIMOシステムの機能及び誤り率性能を改善することができ、他のアンテナダイバーシチ技術に優る利点が以下の論文に示されている。
[17]L.Dong、H.Ling、及びR.W.Heath.Jr.共著「アンテナパターンダイバーシチを使用した多重入力多重出力無線通信方式」、「Glob.Telecom.Conf.」IEEE講演論文集、第1巻、997〜1001頁、2002年11月
[18]R.Vaughan著「アンテナダイバーシチのための切換非励振素子」、アンテナ伝播IEEE会報、第47巻、399〜405頁、1999年2月
[19]P.Mattheijssen、M.H.A.J.Herben、G.Dolmans、L.Leyten共著「手持ち式使用に対するアンテナパターンダイバーシチ対空間ダイバーシチ」、「Veh.Technol.」に関するIEEE会報、第53巻、1035〜1042頁、2004年7月
[20]C.B.Dietrich Jr、K.Dietze、J.R.Nealy、W.L.Stutzman共著「無線手持ち式端末に対する空間ダイバーシチ、偏波ダイバーシチ、及びパターンダイバーシチ」、アンテナ及び伝播シンポジュームIEEE講演論文集、第49巻、1271〜1281頁、2001年9月
[21]A.Forenza、R.W.Heath、jr.共著「屋内クラスター化MIMOチャネルにおける円形パッチアンテナの2素子アレイによるパターンダイバーシチの恩典」、通信に関するIEEE会報、第54巻、第5号、943〜954頁、2006年5月
偏波を使用して、複数の基地局又はユーザのアンテナを互いに非常に接近させるが、依然として空間相関のないものとすることができる。
0041
図3は、図2に示す基地局200及びクライアント装置203〜207の一実施形態の更なる詳細を示している。簡潔さを期すために、基地局300は、3本のアンテナ305のみ及び3つのクライアント装置306〜308のみを有するように示されている。しかし、本明細書で説明する本発明の実施形態は、実質的に無制限の数のアンテナ305(すなわち、利用可能な空間及びノイズによってのみ制限される)及びクライアント装置306〜308で実施することができることに注意されたい。
0042
図3は、両方とも通信チャネルの両側でアンテナを3本ずつ有するという点で、図1に示す従来技術のMIMOアーキテクチャに類似している。顕著な違いは、従来技術MIMOシステムにおいては、図1の右側の3本のアンテナ105が、互いから全て一定の距離にあり(例えば、単一の装置上で一体化され)、アンテナ105の各々からの受信信号が、信号処理サブシステム107内でまとめて処理されるという点である。これとは対照的に、図3では、図の右側の3本のアンテナ309の各々は、異なるクライアント装置306〜308に結合されており、それらの各々は、基地局305の範囲でどこにでも分散させることができる。したがって、各クライアント装置が受信する信号は、その符号化、変調、信号処理サブシステム311において他の2つの受信信号とは独立して処理される。したがって、多重入力(すなわち、アンテナ105)多重出力(すなわち、アンテナ104)MIMOシステムとは対照的に、図3は、以下「MIDO」システムと呼ぶ多重入力(すなわち、アンテナ305)分散出力(すなわち、アンテナ305)システムを示している。
0043
本出願では、学界及び産業界の慣例により良好に適合するように従来の出願と異なる用語を使用している。2004年4月20日出願の「時空間符号化を使用して近垂直入射上空波(NVIS)通信を改善するシステム及び方法」という名称の先に引用した現在特許出願中の米国特許出願出願番号第10/817、731号、及び本出願が一部継続出願である2004年7月30日出願の米国特許出願第10/902、978号においては、「入力」及び「出力」の意味は(SIMO、MISO、DIMO、及びMIDOの関連において)、本出願における用語の使い方と逆のものである。以前の出願においては、「入力」は、受信アンテナ(例えば図3のアンテナ309)に入力される時の無線信号を指し、「出力」は、送信アンテナ(例えばアンテナ305)により出力される時の無線信号を指していた。学界及び無線業界においては、「入力」及び「出力」の逆の意味が一般的に用いられており、「入力」は、チャネルに入力される時の無線信号(すなわち、アンテナ305からの送信無線信号)を指し、「出力」は、チャネルから出力される時の無線信号(すなわち、アンテナ309により受信される無線信号)を指す。本出願では、この段落で先に引用した出願の逆であるこれらの用語を使用している。したがって、以下の用語の同等性が、出願間で引き出されるはずである。
0044
(表)
0045
図3に示すMIDOアーキテクチャは、所定の数の送信アンテナに対してSISOシステムに優るMIMOと類似の機能増強をもたらす。しかし、MIMOと図3に示す特定のMIDO一実施形態との違いは、複数の基地局アンテナによって得られる機能増強をもたらすために各MIDOクライアント装置306〜308に必要なのは1本の受信アンテナのみであり、一方、MIMOに対しては、各クライアント装置に必要なのは、達成されることが望ましい機能倍数と同数の受信アンテナであるという点である。クライアント装置上に設置することができるアンテナ本数に対して実際的な制限が通常必要であることを考慮すると(「背景技術」で説明したように)、これは、典型的には、MIMOシステムをアンテナ本数4本と10本の間(かつ4〜10倍の機能倍数)に限定する。基地局300は、一般的に、固定したかつ電力が供給される位置から多くのクライアント装置にサービスを提供しているので、10本を遥かに超えるアンテナ本数に拡張し、かつ空間ダイバーシチをもたらすために適切な距離でアンテナを分離することが実際的である。図示のように、各アンテナは、送受信機304と、符号化、変調、及び信号処理部303の一部の処理電力とを装備している。顕著な点として、この実施形態では、基地局300の拡張性に関わらず、各クライアント装置306〜308に必要なアンテナは1本のみで済み、したがって、個々のユーザクライアント装置306〜308の経費は低くて済む上に、基地局300の経費は、大基盤のユーザ間で分担することができる。
0047
本発明の一実施形態では、MIDO送信が始まる前に、チャネルは、特徴付けられる。MIMOシステムの場合と同様に、トレーニング信号は、アンテナ405の各々により、1つずつ送信される(本明細書で説明する実施形態において)。図4は、第1回目のトレーニング信号送信を示すが、3本アンテナ405に対しては、別々の送信が合計で3回ある。各トレーニング信号は、符号化、変調、及び信号処理サブシステム403によって生成され、D/A変換器を通じてアナログに変換されて、各RF送受信機404を通じてRFとして送信される。上述したもの(例えば、「Reed Solomon」、Viterbiコーディング;QAM、DPSK、QPSK変調など)を含むがこれらに限定されない様々な異なる符号化、変調、及び信号処理法を使用することができる。
0048
各クライアント装置406〜408は、アンテナ409を通じてトレーニング信号を受信し、送受信機410によってトレーニング信号をベースバンドに変換する。A/D変換器(図示せず)は、デジタルに信号を変換し、信号は、各符号化、変調、及び信号処理サブシステム411により処理される。信号特徴付け論理320は、次に、得られた信号を特徴付け(例えば、上述のように位相及び振幅の歪みを特定して)、メモリ内に特徴付けを格納する。この特徴付け処理は、従来技術のMIMOシステムと類似のものであるが、顕著な違いは、各クライアント装置が、n本のアンテナに対してではなく、所属する1本のアンテナに対して特徴付けベクトルを計算するだけであるという点である。例えば、クライアント装置406の符号化、変調、及び信号処理サブシステム420は、トレーニング信号の公知のパターンで初期化される(製造時に送信メッセージで受信することによって又は別の初期化処理を通じて)。アンテナ405がこの公知のパターンでトレーニング信号を送信した時、符号化、変調、及び信号処理サブシステム420は、相関法を使用してトレーニング信号の最強受信パターンを見つけ、位相及び振幅オフセットを格納し、次に、このパターンを受信信号から差し引く。次に、トレーニング信号に相関する第2の最強受信パターンを見つけ、位相及び振幅オフセットを格納し、次に、この第2の最強パターンを受信信号から差し引く。この処理は、何らかの一定の数の位相オフセット及び振幅オフセットが格納されるか(例えば、8)、又は検出可能なトレーニング信号パターンが所定のノイズレベル未満になるまで続く。位相/振幅オフセットのこのベクトルは、ベクトル413の要素H11になる。同時に、クライアント装置407及び408の符号化、変調、及び信号処理サブシステムは、同じ処理を実施して、それらのベクトル要素H21及びH31を生成する。
0049
特徴付けが格納されるメモリは、フラッシュメモリのような不揮発性メモリ又はハードドライブ及び/又はランダムアクセスメモリ(例えば、SDRAM、RDAM)のような揮発性メモリとすることができる。更に、異なるクライアント装置は、同時に異なる形式のメモリを使用して特徴付け情報を格納することができる(例えば、PDAは、フラッシュメモリを使用することができ、一方、ノートパーソナルコンピュータは、ハードドライブを使用することができる)。本発明の根本的な原理は、様々なクライアント装置又は基地局上のストレージ機構のいかなる特定の形式にも限定されない。
0050
上述のように、使用する方式に基づいて、各クライアント装置406〜408が有するアンテナは1本のみであるので、各々は、H行列の1x3行413〜415を格納する。図4は、1x3行413〜415の第1の列が、3本の基地局アンテナ405の第1のアンテナに関してチャネル特徴付け情報が格納されている第1のトレーニング信号送信の後の段階を示している。残りの2つの列は、残りの2本の基地局アンテナからの次の2つのトレーニング信号送信のチャネル特徴付け後に格納される。例示のために、3つのトレーニング信号は、別個の時間に送信されることに注意されたい。3つのトレーニング信号パターンが互いに相関しないように選択された場合、それらは、同時に送信することができ、したがって、トレーニング時間が短縮される。
0051
図5に示すように、全ての3つのパイロット送信が完了した後、各クライアント装置506〜508は、格納した行列Hの1x3行513〜515を基地局500に送信する。簡潔さを期すために、図5では、特徴付け情報を送信する1つのクライアント装置506のみを示している。適切な誤差補正符号化(例えば「Reed Solomon」、Viterbi、及び/又は「Turbo codes」)と組み合わせたチャネルのための適切な変調手法(例えばDPSK、64QAM、OFDM)を使用して、基地局500が正確に行513〜515にデータを受信することを確実にすることができる。
0052
3本のアンテナ505が全て図5では信号を受信するように示されているが、基地局500の1本のアンテナ及び送受信機が各1x3行513〜515送信を受信すれば十分である。しかし、アンテナ505及び送受信機504の多く又は全てを利用して各送信を受信すると(すなわち、符号化、変調、及び信号処理サブシステム503内の従来技術により単入力多重出力(SIMO)処理法を利用する)、ある一定の条件下で1本のアンテナ505及び送受信機504を利用することより良好な信号対ノイズ比(SNR)を得ることができる。
0053
基地局500の符号化、変調、及び信号処理サブシステム503は、各クライアント装置507−508から1x3行513〜515を受信して、3x3H行列516内に格納する。クライアント装置の場合と同様に、基地局は、不揮発性大容量ストレージメモリ(例えば、ハードドライブ)及び/又は揮発性メモリ(例えば、SDRAM)を含むがこれらに限定されない様々な異なるストレージ技術を使用して行列516を格納することができる。図5は、基地局500がクライアント装置509から1x3行513を受信及び格納した段階を示している。1x3行514及び515は、送信され、H行列516全体が格納されるまで、残りのクライアント装置から受信された時にH行列516内に格納することができる。
0054
基地局600からクライアント装置606〜608へのMIDO送信の一実施形態をここで図6を参照して説明する。各クライアント装置606〜608は、独立した装置であるので、一般的に、各装置は、異なるデータ送信を受信している。したがって、基地局600の一実施形態は、WANインタフェース601からマルチデータストリーム(ビットストリームにフォーマット設定される)を供給するWANインタフェース601と符号化、変調、及び信号処理サブシステム603との間で通信的に位置決めされたルータ602を含み、それぞれ、各クライアント装置606〜608を意図した別々のビットストリームu1〜u3として送られる。様々な公知の経路指定技術をこの目的のためにルータ602により使用することができる。
0055
図6に示す3つのビットストリームu1〜u3は、次に、符号化、変調、及び信号処理サブシステム603に送られ、統計学的に異なる誤差訂正ストリーム(例えば「Reed Solomon」、Viterbi、又は「Turbo Codes」で)に符号化され、チャネルに向けて適切な変調方式(例えばDPSK、64QAM、又はOFDM)で変調される。更に、図6に示す実施形態は、信号特徴付け行列616に基づいて、各々のアンテナ605から送信された信号を独特に符号化する信号プリコーディング論理630を含む。より具体的には、別個のアンテナに3つの符号化及び変調されたビットストリームの各々を送るのではなく(図1で行われるように)、一実施形態では、プリコーディング論理630は、3つのビットストリームu1〜u3にH行列616の逆行列を掛けて、3つの新しいビットストリームu’1〜u’3を生成する。3つのプリコーディングされたビットストリームは、次に、D/A変換器(図示せず)によりアナログに変換されて送受信機604及びアンテナ605によりRFとして送信される。
0056
ビットストリームがクライアント装置606〜608により受信される方法を説明する前に、プリコーディングモジュール630により行われる作動に関して説明する。以前の図1のMIMO例と同様に、3つのソースビットストリームの各々の符号化及び変調された信号は、unで指定される。図6に示す実施形態では、各uiは、ルータ602により経路指定された3つのビットストリームの1つのデータを含み、各々のこのようなビットストリームは、3つのクライアント装置606〜608の1つに対して意図されている。
0057
しかし、各xiが各アンテナ104により送信される図1のMIMOの例と異なり、図6に示す本発明の実施形態では、各uiは、各クライアント装置アンテナ609で受信される(チャネルに存在するいかなるノイズNも加えて)。この結果を達成するために、3本のアンテナ605(その各々は、viと指定される)の各々の出力は、ui及び各クライアント装置のチャネルを特徴付けるH行列の関数である。一実施形態では、各viは、符号化、変調、及び信号処理サブシステム603内のプリコーディング論理630により、以下の公式を実施することによって計算される。
v1 = u1H-111 + u2H-112 + u3H-113
v2 = u1H-121 + u2H-122 + u3H-123
v3 = u1H-131 + u2H-132 + u3H-133
0058
すなわち、信号がチャネルにより変換された後に各xiが受信機で計算されるMIMOとは異なり、本明細書で説明する本発明の実施形態は、信号がチャネルにより変換される前に、送信機で各viを解く。各アンテナ609は、他のアンテナ609に対して意図された他のun-1ビットストリームから分離されたuiを受信する。各送受信機610は、各受信信号をベースバンドに変換し、各受信信号は、A/D変換器(ここでは図示)によりデジタル化され、各符号化、変調、及び信号処理サブシステム611は、各受信信号に対して意図されたxiビットストリームを復調及び復号し、クライアント装置により(例えば、クライアント装置上のアプリケーションにより)用いられるデータインタフェース612にそのビットストリームを送る。
0059
本明細書で説明する本発明の実施形態は、様々な異なる符号化及び変調方式を使用して実施することができる。例えば、周波数スペクトルが複数の副帯域に分離されるOFDM実施では、本明細書で説明する技術を使用して各個々の副帯域を特徴付けることができる。しかし、上述のように、本発明の根本的な原理は、いかなる特定の変調方式にも限定されるものではない。
0060
クライアント装置606〜608がPDA、ノートパーソナルコンピュータ、及び/又は無線電話のような携帯データ処理装置である場合、チャネル特徴付けは、クライアント装置が位置を移動することができる時に頻繁に変化する場合がある。したがって、本発明の一実施形態では、基地局でのチャネル特徴付け行列616は、絶えず更新される。一実施形態では、基地局600は、各クライアント装置に定期的に(例えば、250ミリ秒毎に)新しいトレーニング信号を送り出し、各クライアント装置は、チャネル特徴付けが正確なままであることを保証するために基地局600へ絶えずそのチャネル特徴付けベクトルを送信する(例えば、環境がチャネルに影響を与えるように変更された場合、又はクライアント装置が移動した場合)。一実施形態では、トレーニング信号は、各クライアント装置に送られた実際データ信号内にインタリーブされる。一般的に、トレーニング信号は、データ信号よりも非常に低いスループットであり、したがって、これによってシステムの全体的なスループットに及ぶ影響は殆どない。したがって、この実施形態では、チャネル特徴付け行列616は、基地局がアクティブに各クライアント装置と通信する時に連続的に更新することができ、したがって、クライアント装置が位置を移動しても、又は環境がチャネルに影響を与えるように変更されても正確なチャネル特徴付けが維持される。
0061
図7に示す本発明の一実施形態は、上流側通信チャネル(すなわち、クライアント装置706〜708から基地局700までのチャネル)を改善するためにMIMO技術を使用する。この実施形態では、クライアント装置の各々からのチャネルは、基地局内の上流側チャネル特徴付け論理741により絶えず解析かつ特徴付けられる。より具体的には、クライアント装置706〜708の各々は、チャネル特徴付け論理741がNxMチャネル特徴付け行列741を生成するために解析する基地局700にトレーニング信号を送信し(例えば、一般的なMIMOシステムの場合のように)、ここで、Nは、クライアント装置の数であり、Mは、基地局により使用されるアンテナの数である。図7に示す実施形態は、基地局での3本のアンテナ705及び3つのクライアント装置706〜608を使用し、したがって、3x3チャネル特徴付け行列741が基地局700で格納される。図7に示すMIMO上流側送信は、基地局700へデータを送信するために、かつ図5に示すように基地局700にチャネル特徴付けベクトルを送信するためにクライアント装置により使用することができるが、各クライアント装置のチャネル特徴付けベクトルが別々の時間に送信される図5に示す実施形態と異なり、図7に示す方法は、複数のクライアント装置から基地局700へのチャネル特徴付けベクトルの同時送信を可能にし、したがって、戻りチャネルスループットに及ぼすチャネル特徴付けベクトルの影響が激減される。
0062
上述のように、各信号の特徴付けは、例えば、受信機の内部の基準に対する位相及び振幅、絶対基準、相対基準、固有ノイズを含む多くのファクタ又は他のファクタを含むことができる。例えば、直交振幅変調(QAM)変調された信号においては、特徴付けは、信号のいくつかの多経路画像の位相オフセット及び振幅オフセットのベクトルとすることができる。別の例として、直交周波数分割多重(OFDM)変調された信号においては、それは、OFDMスペクトル内の個々の副信号の一部又は全ての位相オフセット及び振幅オフセットのベクトルとすることができる。トレーニング信号は、各クライアント装置の符号化及び変調サブシステム711によって生成し、D/A変換器(図示せず)によりアナログに変換し、次に、各クライアント装置の送信機709によりベースバンドからRFに変換することができる。一実施形態では、トレーニング信号が同期化されることを保証するために、クライアント装置は、基地局により要請された時にのみトレーニング信号を送信する(例えば、総当り式に)。更に、トレーニング信号は、各クライアント装置から送られた実データ信号内にインタリーブされるか、又はこの信号と同時に送信することができる。したがって、クライアント装置706〜708が移動体であったとしても、トレーニング信号は、上流側チャネル特徴付け論理741により、連続的に送信かつ解析することができ、したがって、チャネル特徴付け行列741が最新のままであることを保証する。
0063
上述の本発明の実施形態によりサポートされる全チャネル機能は、min(N、M)として定めることができ、ここで、Mは、クライアント装置の数であり、Nは、基地局アンテナの数である。すなわち、機能は、基地局側又はクライアント側のアンテナの数により制限される。したがって、本発明の一実施形態は、min(N、M)アンテナのみが所定の時間に送受信することを保証するために同期化技術を使用している。
0064
一般的なシナリオにおいては、基地局700上のアンテナ705の数は、クライアント装置706〜708の数よりも小さい。例示的なシナリオを図8に示しており、図8は、3本のアンテナ802を有する基地局と通信する5つのクライアント装置804〜808を示している。この実施形態では、クライアント装置804〜808の総数を判断して必要なチャネル特徴付け情報(例えば、上述したものなど)を回収した後に、基地局800は、通信する3つのクライアント810から成る第1の群を選択する(min(N、M)=3であるために例では3つのクライアント)。指定された期間にわたってクライアント810の第1の群と通信した後に、基地局は、次に、通信する3台のクライアント811の別の群を選択する。均一に通信チャネルを分散するために、基地局800は、第1の群内の含まれなかった2つのクライアント装置807、808を選択する。更に、余分のアンテナが利用可能であるので、基地局800は、第1の群内の含まれた更に別のクライアント装置806を選択する。一実施形態では、基地局800は、各クライアントに時間と共に事実上同量のスループットが割り当てられるように、このようにしてクライアントの群間を循環する。例えば、均一にスループットを割り当てるために、基地局は、次に、クライアント装置806を除いて(すなわち、クライアント装置806が初めの2回のサイクルを通じて基地局との通信に従事していたため)3つのクライアント装置のあらゆる組合せを選択することができる。
0065
一実施形態では、標準的なデータ通信に加えて、基地局は、上述の技術を使用して各々のクライアント装置にトレーニング信号を送信し、クライアント装置の各々からトレーニング信号及び信号特徴付けデータを受信することができる。
0066
一実施形態では、ある一定のクライアント装置又はクライアント装置の群には、異なるレベルのスループットを割り当てることができる。例えば、クライアント装置は、優先度が比較的低い方のクライアント装置より優先度が比較的高い方のクライアント装置に向けて多くの通信サイクル(すなわち、より多くのスループット)を保証することができるように優先度を付けることができる。クライアント装置の「優先度」は、例えば、無線サービスに対する指定されたレベルのユーザの会員登録(例えば、ユーザは、更に別のスループットに対して支払うことをいとわないとする場合がある)、及び/又はクライアント装置へ及びそれから伝達されているデータの形式(例えば、電話音声及び映像のようなリアルタイム通信は、電子メールのような非リアルタイム通信より優先させることができる)を含むいくつかの変数に基づいて選択することができる。
0067
一実施形態では、基地局は、各クライアント装置により必要とされる現在の負荷に基づいてスループットを動的に割り当てる。例えば、クライアント装置804がライブビデオをストリーミングしており、他の装置805〜808が電子メールのような非リアルタイム機能を実施している場合、基地局800が割り当てることができるスループットは、このクライアント804に対しての方が比較的多い。しかし、本発明の根本的な原理は、いかなる特定のスループット技術にも限定されるものではないことに注意すべきである。
0068
図9に示すように、2つのクライアント装置907、908は、クライアントのチャネル特徴付けが事実上同じになるように近接させることができる。したがって、基地局は、2つのクライアント装置907、908に対して事実上同等のチャネル特徴付けベクトルを受信及び格納し、したがって、各クライアント装置に対して固有の空間的に分散された信号を作成することができない。したがって、一実施形態では、基地局は、互いの近くにあるあらゆる2つ又はそれよりも多くのクライアント装置が異なる群に割り当てられることを保証することになる。図9では、例えば、基地局900は、最初にクライアント装置904、905、及び908の第1の群910と、次に、クライアント装置905、906、及び907の第2の群911と通信し、クライアント装置907及び908が異なる群にあることが保証される。
0069
代替的に、一実施形態では、基地局900は、同時にクライアント装置907及び908と通信するが、既知のチャネル多重化法を使用している通信チャネルを多重化する。例えば、基地局は、時間分割多重通信方式(TDM)、周波数分割多重(FDM)、又は符号分割多重アクセス方式(CDMA)技術を使用してクライアント装置907と908の間で単一の空間相関信号を分割することができる。
0070
上述の各クライアント装置は1本のアンテナを装備しているが、スループットを増大させるために複数のアンテナでクライアント装置を使用する本発明の根本的な原理を使用することができる。例えば、上述の無線システム上に使用される時、2本のアンテナを有するクライアントは、スループットの2倍の増加をもたらすことになる。3本のアンテナを有するクライアントは、スループットの3倍の増加をもたらす等々である(すなわち、アンテナ間の空間分離及び角度分離が十分であると仮定して)。基地局は、複数のアンテナを有するクライアント装置を循環する時、同じ一般規則を適用することができる。例えば、別々のクライアントとして各アンテナを処理し、あらゆる他のクライアントの場合と同様に、その「クライアント」にスループットを割り当てることができる(例えば、各クライアントに適切な又は同等の通信期間が与えられることを保証する)。
0071
上述のように、本発明の一実施形態は、MIDO及び/又は上述のMIMO信号送信技術を使用して、近垂直入射上空波(NVIS)システムにおいて信号対ノイズ比及びスループットを増大させる。図10を参照すると、本発明の一実施形態では、N本のアンテナ1002の行列を装備した第1のNVIS局1001は、Mクライアント装置1004と通信するように構成される。NVISアンテナ1002及び様々なクライアント装置1004のアンテナは、望ましいNVISをもたらして地上波干渉効果を最小にするために垂直の約15度まで上方に信号を送る。一実施形態では、アンテナ1002及びクライアント装置1004は、NVISスペクトル内の指定された周波数で(例えば、搬送周波数で、又は23MHz未満、しかし一般的に10MHz未満で)様々なMIDO及び上述のMIMO技術を使用して複数の独立したデータストリーム1006をサポートし、したがって、指定された周波数でのスループットが大幅に増大する(すなわち、統計的に独立したデータストリームの数に比例した係数で)。
0072
所定の局にサービスを提供するNVISアンテナは、互いに物理的に非常に遠く隔てた状態にある場合がある。10MHz未満の長い波長と信号に関する進行する長い距離(往復300マイルほども長く)とを考慮すると、100ヤード単位及び更にはマイル単位のアンテナの物理的分離により、ダイバーシチの有利性を得ることができる。このような状況では、個々のアンテナ信号は、従来の有線又は無線通信システムを使用して処理されるように集中制御された位置に戻すことができる。代替的に、各アンテナは、その信号を処理し、次に、従来の有線又は無線通信システムを使用して集中制御された位置へデータを戻す局所的機能を有することができる。本発明の一実施形態では、NVIS局1001は、「インターネット」1010(又は、他の広域ネットワーク)とのブロードバンドリンク1015を有し、したがって、遠隔高速無線ネットワークアクセスが可能なクライアント装置1003が得られる。
0073
一実施形態では、基地局及び/又はユーザは、上述の偏波/パターンダイバーシチ技術を利用して、ダイバーシチ及び増大したスループットをもたらしながらアレイサイズ及び/又はユーザの距離を低減することができる。一例として、HF送信が行われるMIDOシステムにおいては、ユーザは、同じ位置とすることができ、しかも、信号は、偏波/パターンダイバーシチの理由で無相関とすることができる。特に、パターンダイバーシチを使用することによって、一方のユーザは、地上波を通して基地局に通信中であり、一方、他方のユーザは、NVISを通じて通信中とすることができる。
0074
本発明の付加的な実施形態
1.I/Q不均衡を伴ったDIDO−OFDMプリコーディング
本発明の一実施形態は、直交周波数分割多重(OFDM)を行う分散入力分散出力(DIDO)システムにおいて同相及び直角位相(I/Q)不均衡を補正するシステム及び方法を使用する。簡潔にいうと、この実施形態によれば、ユーザ装置は、チャネルを推定して基地局にこの情報をフィードバックする。基地局は、I/Q不均衡により引き起こされる搬送波間及びユーザ間干渉を相殺するためにプリコーディング行列を計算し、並列データストリームは、DIDOプリコーディングを通じて複数のユーザ装置に送信され、ユーザ装置は、残留干渉を抑制するためにゼロ強制(ZF)、最小平均二乗誤差(MMSE)、又は最大尤度(ML)受信機を通じてデータを復調する。
0075
以下で詳細に説明するように、本発明のこの実施形態の有意な特徴の一部には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
0077
DIDO−OFDMシステムにおいてユーザ間干渉及びICI(I/Q不整合による)を相殺するプリコーディング。
0078
ブロック対角化(BD)プリコーダを使用してDIDO−OFDMシステムにおいてZF受信機を通じてICI(I/Q不整合による)を相殺する技術。
0079
DIDO−OFDMシステム内でプリコーディング(送信機で)及びZF又はMMSEフィルタ(受信機で)を通じてユーザ間干渉及びICI(I/Q不整合による)を相殺する技術。
0081
OFDMシステムにおいてミラートーンによる搬送波間干渉(ICI)(I/Q不整合による)を相殺するためのチャネル状態情報に基づくプリコーディングの使用。
0082
DIDO−OFDMシステムにおいてミラートーンによる搬送波間干渉(ICI)(I/Q不整合による)を相殺するためのチャネル状態情報に基づくプリコーディングの使用。
0083
基地局でのI/Q不整合認識DIDOプリコーダ及びユーザ端末でのIQ認識DIDO受信機の使用。
0084
基地局でのI/Q不整合認識DIDOプリコーダ、ユーザ端末でのI/Q認識DIDO受信機、及びI/Q認識チャネル推定器の使用。
0085
基地局でのI/Q不整合認識DIDOプリコーダ、ユーザ端末でのI/Q認識DIDO受信機、及びI/Q認識チャネル推定器、及びユーザ端末から基地局にチャネル状態情報を送るI/Q認識DIDOフィードバック発生器の使用。
0086
基地局でのI/Q不整合認識DIDOプリコーダ及びI/Q経路情報を使用して、ユーザ選択、適応符号化、及び変調、時空間周波数マッピング、又はプリコーダ選択を含む機能を実施するI/Q認識DIDO構成器の使用。
0087
ブロック対角化(BD)プリコーダを使用してDIDO−OFDMシステムにおいてZF受信機を通じてICI(I/Q不整合による)を相殺するI/Q認識DIDO受信機の使用。
0088
プリコーディング(送信機で)を通じてICI(I/Q不整合による)を相殺するI/Q認識DIDO受信機とDIDO−OFDMシステム内での最大尤度(ML)検出器(受信機で)のような非線形検出器との使用。
0089
DIDO−OFDMシステムにおいてZF又はMMSEフィルタを通じてICI(I/Q不整合による)を相殺するI/Q認識DIDO受信機の使用。
0090
a.背景
一般的な無線通信システムの送受信信号は、同相及び直角位相(I/Q)成分から成る。実用システムにおいては、同相及び直角位相成分は、混合及びベースバンド作動における不完全性のために歪みが発生する場合がある。これらの歪みは、I/Q位相、利得、及び遅延の不整合として現れる。位相不均衡は、完全に直交ではない変調器/復調器における正弦及び余弦により引き起こされる。利得不均衡は、同相及び直角位相成分間の異なる増幅により引き起こされる。アナログ回路内のIレールとQレール間の遅延の差異による遅延不均衡という付加的な歪みが存在する場合がある。
0091
直交周波数分割多重(OFDM)においては、I/Q不均衡は、ミラートーンから搬送波間干渉(ICI)を引き起こす。この影響は、文献において研究済みであり、単入力単出力SISO−OFDMシステムにおいてI/Q不整合を補正する方法は、M.D.Benedetto及びP.Mandarini共著「OFDMモデム内のI/Qベースバンドフィルタ不整合の影響の解析」、無線パーソナルコミュニケーション、175〜186頁、2000年、S.Schuchert及びR.Hasholzner共著「OFDM信号受信用新規I/Q不均衡補正方式」、家電に関するIEEE会報、2001年8月、M.Valkama、M.Renfors、及びV.Koivunen共著「通信受信機内のI/Q不均衡補正の高度な方法」、信号処理に関するIEEE会報、2001年10月、R.Rao及びB.Daneshrad共著「I/Q不整合の解析及びOFDMシステムの相殺方式」、IST移動通信サミット、2004年6月、A.Tarighat、R.Bagheri、及びA.H.Sayed共著「OFDM受信機内のIQ不均衡の補正方式及び性能解析」、信号処理に関するIEEE会報[音響、音声、及び信号処理に関するIEEE会報も参照されたい]、第53巻、3257〜3268頁、2005年8月で提案されている。
0092
多重入力多重出力MIMO−OFDMシステムへのこの研究の拡張は、空間多重化(SM)に対しては、R.Rao及びB.Daneshrad共著「MIMO−OFDMシステムのI/Q不整合相殺」、個人用、屋内、及び移動無線通信、2004年、PIMRC2004、第15回IEEE国際シンポジューム、第4巻、2004年、2710〜2714頁、R.M.Rao、W.Zhu、S.Lang、C.Oberli、D.Browne、J.Bhatia、J.F.Frigon、J.Wang、P、Gupta、H.Lee、D.N.Liu、S.G.Wong、M.Fitz、B.Daneshrad、及びO.Takeshita共著「無線通信研究教育の多重アンテナテストベッド」、IEEE通信学術雑誌、第42巻、第12号、72〜81頁、2004年12月、S.Lang、M.R.Rao、及びB.Daneshrad共著「5.25GHzソフトウエア定義無線OFDM通信プラットフォームの設計及び開発」2004年6月6〜12日IEEE通信学術雑誌(IEEE)、第42巻、第6号、6〜12頁に示されており、直交時空間ブロックコード(OSTBC)に対しては、A.Tarighat及びA.H.Sayed共著「IQ不均衡を備えたシステムのためのMIMO−OFDM受信機」信号処理に関するIEEE会報、第53巻、3583〜3596頁、2005年9月に示されている。
0093
残念ながら、現在、分散入力分散出力(DIDO)通信システムにおいてI/Q利得及び位相不均衡誤差を修正する方法に対する文献はない。以下で説明する本発明の実施形態では、これらの問題の解決法を示す。
0094
DIDOシステムは、従来のSISOシステムと同じ無線リソース(すなわち、同じスロット持続時間及び周波数帯域)を利用しながら、ダウンリンクスループットを改善するために複数ユーザに並列データストリーム(プリコーディングを通じて)を送信する分散アンテナを有する1つの基地局から成る。DIDOシステムの詳細説明は、2004年7月30日出願(先行出願)の米国特許出願出願番号第10/902、978号であるS.G.Perlman及びT.Cotterによる「分散入力分散出力無線通信のシステム及び方法」に示されており、これは、本出願の出願人に譲渡され、かつ引用により本明細書に組み込まれている。
0095
DIDOプリコーダを実施する多くの方法がある。1つの解決法は、Q.H.Spencer、A.L.Swindlehurst、及びM.Haardt共著「マルチユーザMIMOチャネルにおけるダウンリンク空間多重化のゼロ強制方法」、信号処理に関するIEEE会報、第52巻、461〜471頁、2004年2月、K.K.Wong、R.D.Murch、及びK.B.Letaief共著「マルチユーザMIMOアンテナシステムのための共同チャネル対角化」無線通信に関するIEEE会報、第2巻、773〜786頁、2003年7月、L.U.Choi及びR.D.Murch共著「分解手法を使用したマルチユーザMIMOシステムのための送信前処理技術」、無線通信に関するIEEE会報、第3巻、20〜24頁、2004年1月、Z.Shen、J.G.Andrews、R.W.Heath、及びB.L.Evans共著「ブロック対角化が行われるマルチユーザMIMOシステムのための低複雑性ユーザ選択アルゴリズム」、信号処理に関するIEEE会報、2005年9月の公開に向けて受諾、Z.Shen、R.Chen、J.G.Andrews、R.W.Heath、及びB.L.Evans共著「ブロック対角化を備えたマルチユーザMIMO放送チャネルの合計機能」、2005年10月の無線通信に関するIEEE会報に提出、R.Chen、R.W.Heath、及びJ.G.Andrews共著「線形受信機を有する単体プリコーディングマルチユーザ空間多重化システムの送信選択ダイバーシチ」、2005年の信号処理に関するIEEE会報に向けて受諾のものに説明されているブロック対角化(BD)である。本明細書に示すI/Q補正方法は、BDプリコーダを仮定するが、あらゆる形式のDIDOプリコーダに拡張することができる。
0096
DIDO−OFDMシステムにおいては、I/Q不整合は、2つの影響、すなわち、ICIとユーザ間干渉とを引き起こす。前者は、SISO−OFDMシステムと同様のミラートーンによる干渉によるものである。後者は、I/Q不整合がDIDOプリコーダの直交性を破壊し、ユーザ間の干渉が発生することによるものである。これらの形式の干渉のいずれも、本明細書で説明する方法を通じて送信機及び受信機において相殺することができる。DIDO−OFDMシステムにおいてI/Q補正の3つの方法を説明すると共に、性能をI/Q不整合の有無によるシステムと比較する。結果は、シミュレーション及びDIDO−OFDMプロトタイプで行った実際的な測定値に基づいて示される。
0097
本発明の実施形態は、先行出願の拡張である。特に、これらの実施形態は、先行出願の以下の特徴に対するものである。
0098
I/Qレールが利得及び位相の不均衡の影響を受ける先行出願に説明されているようなシステム。
0099
チャネル推定に使用するトレーニング信号を使用して送信機でのI/Q補正を備えたDIDOプリコーダを計算する。
0100
信号特徴付けデータは、I/Q不均衡に対処するものであり、送信機において使用して本明細書で提案する方法に従ってDIDOプリコーダを計算する。
0101
b.本発明の実施形態
0102
最初に、本発明の数学的モデル及びフレームワークに対して説明する。
0103
解決法を示す前に、中心的数学的概念を説明することが役立つ。I/Q利得及び位相不均衡(位相遅延は説明には含まれず、アルゴリズムのDIDO−OFDMバージョンにおいて自動的に処理される)を仮定してこの概念を説明する。基本的な考えを説明するために、2つの複素数、s=si+jSQ及びh=hi+jhQを掛け合わせて、x=h*sとする。下付き文字を使用して同相及び直角位相成分を示している。以下であることを思い出されたい。
xI = sIhI − sQhQ
及び
xQ = sIhQ + sQhI .
0104
行列形式では、これは、以下のように書き換えることができる。
0105
0106
チャネル行列(H)によるユニタリ変換に注意されたい。sは、送信されたシンボルであり、hは、チャネルであるとする。I/Q利得及び位相不均衡の存在は、以下のように非ユニタリ変換を作成することによってモデル化することができる。
0107
0108
秘訣は、以下に書くことができることを認識することである。
0109
0110
ここで、(A)を書き換えると、
0111
0112
以下のように定める。
0113
0114
及び
0115
0117
0118
及び
0119
0120
これらの観測結果の全てを使用して、2つのチャネル、すなわち、同等チャネルhe及び共役チャネルhcに関してスカラーの形に有効方程式を戻すことができる。次に、(5)の有効変換は、以下になる。
0121
0122
第1のチャネルを同等チャネル、第2のチャネルを共役チャネルと呼ぶ。同等チャネルは、I/Q利得及び位相不均衡がなかった場合に観測されるものである。
0124
0125
ここで、tは、離散時間指数:
0126
0127
であり、Lは、チャネルタップ数である。
0128
DIDO−OFDMシステムにおいては、周波数領域内の受信信号が表される。以下のことを信号及びシステムから思い出されたい。
0129
0130
の場合は、
0131
0133
0134
ここで、k=0、1...、K−1は、OFDM副搬送波指数であり、He及びHcは、それぞれ、同等チャネルと共役チャネルの行列を示し、以下のように定められる。
0135
0136
及び
0137
0139
0140
ここで、
0141
0142
及び
0143
0144
は、それぞれ、周波数領域内の送信及び受信シンボルのベクトルである。
0145
この手法を用いて、DIDO作動に使用する有効行列を構築する。例えば、DIDO2x2入出力関係(各ユーザが1本の受信アンテナを有すると仮定して)を用いて、第1のユーザ装置は、以下を見る(ノイズがない場合)。
0146
0147
一方、第2のユーザは、以下を観測する。
0148
0149
ここで、
0150
0151
は、それぞれ、行列He及びHcの第m番目の行を示し、W∈C4x4は、DIDOプリコーディング行列である。(2)及び(3)から、ユーザmの受信シンボル:
0152
0153
は、I/Q不均衡により引き起こされる干渉の2つのソース、すなわち、ミラートーンからの搬送波間干渉(すなわち、p≠mとして、
0154
0155
)及びユーザ間干渉(すなわち、
0156
0157
及び
0158
0159
)の影響を受けることが観測される。(3)のDIDOプリコーディング行列Wは、これらの2つの干渉条件を相殺するようになっている。
0160
受信機で適用される共同検出に基づいて、ここで使用することができるDIDOプリコーダのいくつかの異なる実施形態がある。一実施形態では、複合体チャネル:
0161
0162
(He(m)ではなく)から計算されるブロック対角化(BD)が使用される(例えば、Q.H.Spencer、A.L.Swindlehurst、及びM.Haardt共著「マルチユーザMIMOチャネルにおけるダウンリンク空間多重化のゼロ強制方法」、信号処理に関するIEEE会報、第52巻、461〜471頁、2004年2月、K.K.Wong、R.D.Murch、及びK.B.Letaief共著「マルチユーザMIMOアンテナシステムのための共同チャネル対角化」、無線通信に関するIEEE会報、第2巻、773〜786頁、2003年7月、L.U.Choi及びR.D.Murch共著「分解手法を使用したマルチユーザMIMOシステムのための送信前処理技術」、無線通信に関するIEEE会報、第3巻、20〜24頁、2004年1月、Z.Shen、J.G.Andrews、R.W.Heath、及びB.L.Evans共著「ブロック対角化が行われるマルチユーザMIMOシステムのための低複雑性ユーザ選択アルゴリズム」、信号処理に関するIEEE会報、2005年9月の公開に向けて受諾、Z.Shen、R.Chen、J.G.Andrews、R.W.Heath、及びB.L.Evans共著「ブロック対角化を備えたマルチユーザMIMO放送チャネルの合計機能」、2005年10月の無線通信に関するIEEE会報に提出を参照されたい)。したがって、現在のDIDOシステムは、以下のようにプリコーダを選択する。
0163
0164
ここで、αi、jは、定数であり、かつ
0165
0166
である。本方法は、このプリコーダを使用してDIDOプリコーダの他の態様を以前と同じに保つことが可能であるために有用であり、その理由は、I/Q利得及び位相不均衡の影響が送信機において完全に相殺されるからである。
0167
IQ不均衡によるICIを事前相殺することなくユーザ間干渉を事前相殺するDIDOプリコーダを設計することも可能である。この手法を用いて、受信機(送信機ではなく)は、以下で説明する受信フィルタの1つを使用することによってIQ不均衡を補正する。次に、(4)のプリコーディング設計基準を以下のように修正することができる。
0168
0169
0170
及び
0171
0172
ここで、第m番目の送信シンボルに対する、
0173
0174
及び
0175
0176
は、ユーザmの受信シンボルベクトルである。
0177
受信側で、送信シンボルベクトル
を推定するために、ユーザmは、ZFフィルタを使用し、推定シンボルベクトルは、以下によって与えられる。
0178
0179
ZFフィルタが最も理解しやすいが、受信機は、当業者に公知のあらゆる数の他のフィルタを適用することができる。1つの一般的な選択は、MMSEフィルタであり、以下の通りである。
0180
0181
また、pは、信号対ノイズ比である。代替的に、受信機は、最大尤度シンボル検出(又は球復号器又は反復的変形)を行うことができる。例えば、第1のユーザは、ML受信機を使用して以下の最適化を解くことができる。
0182
0183
ここで、Sは、全ての可能なベクトルsの組であり、配列サイズに依存する。ML受信機は、受信機での所要の複雑性の増大の代価として、より良好な性能を発揮する。方程式の類似の組が第2のユーザに適用される。
0184
(6)及び(7)のHW(1,2)及びHW(2,1)は、ゼロ入力を有すると仮定されることに注意されたい。この仮定は、送信プリコーダが、(4)における基準としての場合と同様に、完全にユーザ間干渉を相殺することができる場合に限り有効である。同様に、HW(1,1)及びHW(2,2)は、送信プリコーダが完全に搬送波間干渉(すなわち、ミラートーンによる)を相殺することができる場合に限り対角行列である。
0185
図13は、基地局(BS)におけるIQ−DIDOプリコーダ1302、送信チャネル1304、ユーザ装置内のチャネル推定論理1306、及びZF、MMSE、又はML受信機1308を含むI/Q補正を備えたDIDO−OFDMシステムのフレームワークの一実施形態を示している。チャネル推定論理1306は、トレーニングシンボルを通じてチャネルHe(m)及びHc(m)を推定し、AP内のプリコーダ1302にこれらの推定値をフィードバックする。BSは、DIDOプリコーダ重み(行列W)を計算してI/Q利得及び位相不均衡による干渉、並びにユーザ間干渉を事前相殺すると共に、無線チャネル1304を通じてユーザにデータを送信する。ユーザ装置mは、ZF、MMSE、又はML受信機1308を使用し、ユニット1304によって提供されるチャネル推定値を利用することによって残留干渉を相殺してデータを復調する。
0186
以下の3つの実施形態を使用して、このI/Q補正アルゴリズムを実施することができる。
0187
方法1−TX補正:この実施形態では、送信機は、(4)における基準に従ってプリコーディング行列を計算する。受信機において、ユーザ装置は、「簡素化した」ZF受信機を使用する。ここで、HW(1,1)及びHW(2,2)は、対角行列であると仮定する。したがって、方程式(8)は、以下のように簡素化される。
0188
0189
方法2−RX補正:この実施形態では、送信機は、(4)における基準としての場合と同様に、完全に搬送波間干渉及びユーザ間干渉を相殺することなく、R.Chen、R.W.Heath、及びJ.G.Andrews共著「線形受信機を有する単体プリコーディングマルチユーザ空間多重化システムの送信選択ダイバーシチ」、2005年の信号処理に関するIEEE会報に向けて受諾されたものに説明されている従来のBD方法に基づいてプリコーディング行列を計算する。本方法に対しては、(2)及び(3)のプリコーディング行列は、以下のように簡素化される。
0190
0191
受信機において、ユーザ装置は、(8)の場合と同様にZFフィルタを使用する。本方法は、上述の方法1とは異なり、送信機では干渉を事前相殺しないことに注意されたい。したがって、受信機において搬送波間干渉を相殺するが、ユーザ間干渉を相殺することができない。更に、方法2においては、ユーザは、He(m)及びHc(m)の両方のフィードバックを必要とする方法1とは対照的に、DIDOプリコーダを計算するために送信機のベクトルHe(m)をフィードバックする必要があるだけである。したがって、方法2は、特に低速フィードバックチャネルを有するDIDOシステムに適している。一方、方法2では、(11)ではなく(8)のZF受信機を計算するためにユーザ装置で若干高い計算上の複雑性が必要である。
0192
方法3−TX−RX補正:一実施形態では、上述の2つの方法が結合される。送信機は、(4)の場合と同様にプリコーディング行列を計算し、受信機内の(8)による送信シンボルを推定するように、プリコーディング行列を計算し、受信機は、(8)に従って送信シンボルを推定する。
0193
I/Q不均衡により、位相不均衡、利得不均衡、遅延不均衡に関わらず、無線通信システムにおいて信号品質の有害な悪化が発生する。こういう理由から、従来の回路ハードウエアは、非常に低い不均衡を有するように設計されていた。しかし、上述のように、送信プリコーディング及び/又は特別な受信機の形態でデジタル信号処理を使用し、この問題を是正することができる。本発明の一実施形態は、いくつかの新しい機能ユニットを有するシステムを含み、その各々は、OFDM通信システム又はDIDO−OFDM通信システムにおいてI/Q補正の実施に重要である。
0194
本発明の一実施形態は、チャネル状態情報に基づくプリコーディングを用いてOFDMシステムにおいてミラートーンによる搬送波間干渉(ICI)(I/Q不整合による)を相殺する。図11に示すように、この実施形態によるDIDO送信機は、ユーザセレクタユニット1102、複数の符号化変調ユニット1104、対応する複数のマッピングユニット1106、DIDO−IQ認識プリコーディングユニット1108、複数のRF送信機ユニット1114、ユーザフィードバックユニット1112、及びDIDO構成ユニット1110を含む。
0195
ユーザセレクタユニット1102は、フィードバックユニット1112によって得られたフィードバック情報に基づいて、複数のユーザU1−UMに関連のデータを選択し、複数の符号化変調ユニット1104の各々にこの情報を提供する。各符号化変調ユニット1104は、ユーザの情報ビットを符号化及び変調してマッピングユニット1106に送る。マッピングユニット1106は、複素シンボルに入力ビットをマップし、DIDO−IQ認識プリコーディングユニット1108に結果を送る。DIDO−IQ認識プリコーディングユニット1108は、ユーザからフィードバックユニット1112によって得られたチャネル状態情報を利用してDIDO−IQ認識プリコーディング重みを計算し、マッピングユニット1106から得られる入力シンボルをプリコーディングする。プリコーディングデータストリームの各々は、IFFTを計算して循環プレフィックスを追加するOFDMユニット1115にDIDO−IQ認識プリコーディングユニット1108により送られる。この情報は、DA変換を操作してRFユニット1114に送るD/Aユニット1116に送られる。RFユニット1114は、中間/高周波にベースバンド信号をアップコンバートして送信アンテナに送る。
0196
プリコーダは、共にI/Q不均衡を補正する目的で規則的トーン及びミラートーンで作動する。ZF、MMSE、又は重み付けMMSE設計を含むあらゆる数のプリコーダ設計基準を用いることができる。好ましい実施形態では、プリコーダは、完全にI/Q不整合によるICIを相殺し、したがって、受信機は、付加的な補正を備える必要がなくて済む。
0197
一実施形態では、プリコーダは、ブロック対角化基準を使用して完全にユーザ間干渉を相殺するが、各ユーザに対してI/Q影響を完全に相殺するわけではなく、付加的な受信機処理が必要である。別の実施形態では、プリコーダは、ゼロ強制基準を用いてI/Q不均衡によるユーザ間干渉及びICIを完全に相殺する。この実施形態は、受信機で従来のDIDO−OFDMプロセッサを使用することができる。
0198
本発明の一実施形態は、チャネル状態情報に基づくプリコーディングを用いてDIDO−OFDMシステムにおいてミラートーンによる搬送波間干渉(ICI)(I/Q不整合による)を相殺し、各ユーザは、IQ認識DIDO受信機を使用する。図12に示すように、本発明の一実施形態では、受信機1202を含むシステムは、複数のRFユニット1208、対応する複数のA/Dユニット1210、IQ認識チャネル推定器1204、及びDIDOフィードバック発生器1206を含む。
0199
RFユニット1208は、DIDO送信機ユニット1114から送信された信号を受信し、ベースバンドに信号をダウンコンバートし、ダウンコンバートされた信号をA/Dユニット1210に供給する。A/Dユニット1210は、次に、アナログからデジタルに信号を変換してOFDMユニット1213に送る。OFDMユニット1213は、循環プレフィックスを除去し、かつ周波数領域に信号を伝えるようにFFTを操作する。トレーニング期間中に、OFDMユニット1213は、周波数領域内でチャネル推定値を計算するIQ認識チャネル推定器1204に出力を送る。代替的に、チャネル推定値は、時間領域内で計算することができる。データ期間中に、OFDMユニット1213は、IQ認識受信機ユニット1202に出力を送る。IQ認識受信機ユニット1202は、IQ受信機を計算してデータ1214を取得するために信号を復調/復号する。IQ認識チャネル推定器1204は、チャネル推定値を量子化してフィードバック制御チャネル1112を通して送信機に送り返すことができるDIDOフィードバック発生器1206にチャネル推定値を送る。
0200
図12に示す受信機1202は、ZF、MMSE、最大尤度、又はMAP受信機を含む当業者に公知のあらゆる数の判断基準に基づいて作動することができる。1つの好ましい実施形態では、受信機は、MMSEフィルタを使用して、ミラートーンでIQ不均衡により引き起こされるICIを相殺する。別の好ましい実施形態では、受信機は、最大尤度検索のような非線形検出器を使用して共同でミラートーン上のシンボルを検出する。本方法は、高複雑性化の代償として性能が改善する。
0201
一実施形態では、IQ認識チャネル推定器1204は、ICIを相殺する受信機係数を判断するのに使用される。その結果として、本発明者は、ミラートーンによる搬送波間干渉(ICI)(I/Q不整合による)を相殺するためにチャネル状態情報に基づくプリコーディング、IQ認識DIDO受信機、及びIQ認識チャネル推定器を用いるDIDO−OFDMシステムを特許請求する。チャネル推定器は、従来のトレーニング信号を使用することができ、又は同相及び直角位相信号で送られる特殊構築したトレーニング信号を使用することができる。最小自乗法、MMSE、又は最大尤度を含むあらゆる数の推定アルゴリズムを実施することができる。IQ認識チャネル推定器は、IQ認識受信機の入力を供給する。
0202
チャネル状態情報は、チャネル相互作用を通じて又はフィードバックチャネルを通じて局に供給することができる。本発明の一実施形態は、I/Q認識プリコーダ及びユーザ端末から局にチャネル状態情報を伝達するl/Q認識フィードバックチャネルを有するDIDO−OFDMシステムを含む。フィードバックチャネルは、物理的又は論理的制御チャネルとすることができる。それは、ランダムアクセスチャネルの場合のように専用又は共有とすることができる。フィードバック情報は、同じく特許請求対象であるユーザ端末でのDIDOフィードバック発生器を使用して生成することができる。DIDOフィードバック発生器は、入力としてI/Q認識チャネル推定器の出力を取る。チャネル係数は、量子化することができ、又は当業技術で公知であるあらゆる数の限られたフィードバックアルゴリズムを使用することができる。
0203
ユーザの割り当て、変調及び符号化速度、時空間周波数コードスロットへのマッピングは、DIDOフィードバック発生器の結果によって変化する場合がある。したがって、一実施形態は、DIDO−IQ認識プリコーダを形成するために1つ又はそれよりも多くのユーザからIQ認識チャネル推定値を使用し、すなわち、変調速度、符号化速度、送信することを許可されるユーザの部分集合、及び時空間周波数コードスロットへのそれらのマッピングを選択するIQ認識DIDO構成器を含む。
0204
提案する補正方法の性能を評価するために、3つのDIDO2x2システムを比較する。
1.I/Q不整合に対しては、I/Q不整合の補正なしで、全てのトーン(DC及びエッジトーン以外)で送信する。
2.I/Q補正に対しては、全てのトーンで送信し、かつ上述の「方法1」を使用することによってI/Q不整合を補正する。
3.理想的:I/Q不整合により引き起こされるユーザ間及び搬送波間の干渉(すなわち、ミラートーンによる)を回避するために奇数のトーンでのみ送信する。
0205
これ以降、実際の伝播シナリオでのDIDO−OFDMプロトタイプでの測定から得られる結果を示す。図14は、上述の3つのシステムから得られる64−QAM配列を示している。これらの配列は、同じユーザの位置及び一定の平均信号対ノイズ比(−45dB)で得られる。第1の配列1401は、I/Q不均衡により引き起こされるミラートーンによる干渉のために非常にノイズが多い。第2の配列1402は、I/Q補正による一部の改良がある。第2の配列1402は、搬送波間干渉(ICI)が発生する位相ノイズの可能性のために配列1403として示される理想的なケースほどクリーンなものでない。
0206
図15は、I/Q不整合の有無による64−QAM及び符号化速度3/4によるDIDOの2x2システムの平均SER(符号誤り率)1501及びユーザ当たりグッドプット1502性能を示す。OFDM帯域幅は、250kHzであり、トーンの数は64、循環プレフィックス長は、Lcp=4である。理想的な場合には、トーンの部分集合でのみデータを送信するので、SER及びグッドプット性能は、異なる事例にわたる公平な比較を保証するために、平均トーン当たりの送信電力(総送信電力ではなく)の関数として評価される。更に、以下の結果においては、送信電力(デシベルで表記)の正規化された値を使用するが、その理由は、ここでの目標は、異なる方式の相対的な(絶対的ではなく)性能を比較することであるからである。図15は、I/Q不均衡がある場合に、SERが、A.Tarighat及びA.H.Sayed共著「IQ不均衡を備えたシステムのためのMIMO−OFDM受信機」、信号処理に関するIEEE会報、第53巻、3583〜3596頁、2005年9月において報告された結果通りに、ターゲットSER(〜10-2)に到達することなく飽和することを示している。この飽和効果は、信号及び干渉(ミラートーンから)電力が、TX電力が増加する時に増加するということによる。しかし、提案するI/Q補償法を通じて、干渉を相殺してより良好なSER性能を取得することができる。高SNRでのSERの僅かな増加は、64−QAM変調に必要とされる送信電力の増大によるDAC内の振幅飽和効果によるものであることに注意されたい。
0207
更に、I/Q補正によるSER性能が理想的な場合に非常に近いものであることを観察されたい。これらの2つの事例間のTX電源の2dBの隔たりは、隣接OFDMトーンの間の付加的な干渉が発生する位相ノイズの可能性によるものである。最後に、グッドプット曲線1502は、理想的なケースと比較してI/Q方法が適用された時に2倍のデータを送信することができることを示している。その理由は、奇数のトーン(理想的な場合のように)ではなく全てのデータトーンを使用するからである。
0208
図16は、I/Q補正の有無による異なるQAM配列のSER性能のグラフである。この実施形態では、本発明者は、提案する方法が特に64−QAM配列に有用であると見ている。4−QAM及び16−QAMに対しては、I/Q補正の本方法によりI/Q不整合がある事例よりも悪い性能になるが、一部の場合には、その理由は、提案する方法が、データ送信及びミラートーンに起因する干渉相殺の両方を可能にするために電力増大を必要とするからである。更に、4−QAM及び16−QAMは、配列点間の最小距離が大きいために64−QAMほどはI/Q不整合の影響を受けない。A.Tarighat、R.Bagheri、及びA.H.Sayed共著「OFDM受信機内のIQ不均衡の補正方式及び性能解析」、信号処理に関するIEEE会報[音響、音声、及び信号処理に関するIEEE会報も参照されたい]、第53巻、3257〜3268頁、2005年8月を参照されたい。これは、4−QAM及び16−QAMに対して理想的な場合とI/Q不整合を比較することによって図16でも認めることができる。したがって、干渉相殺(ミラートーンによる)に関してDIDOプリコーダにより必要とされる電力が追加されるからといって、4−QAM及び16−QAMの事例に対するI/Q補正の小さい恩典を正当化するものではない。この問題は、上述のI/Q補正に向けた方法2及び3を使用することによって解決することができることに注意されたい。
0209
最後に、上述の3つの方法の相対的なSER性能は、異なる伝播条件で測定されている。参考のために、I/Q不整合がある場合のSER性能に対しても説明する。図17は、450.5MHzの搬送周波数及び250kHzの帯域により2つの異なるユーザの位置で64−QAMを伴ったDIDO2x2システムに対して測定されたSERを示している。位置1では、ユーザは、BSから〜6λの位置で異なる部屋におり、かつNLOS(非視線)条件である。位置2では、ユーザは、BSから〜6λの位置におり、LOS(視線)内である。
0210
図17は、全ての3つの補正方法が必ずしも非補正の事例よりも結果が優れているというわけではないことを示している。更に、方法3は、いかなるチャネルシナリオにおいても他の2つの補正方法よりも結果が優れている。方法1及び2の相対結果は、伝播条件に依存することに注意すべきである。方法1は、通常、方法2より結果が優れていることが実際的な測定作業から認められるが、その理由は、I/Q不均衡により引き起こされるユーザ間干渉を事前相殺するからである(送信機で)。このユーザ間干渉が最小である時、方法2は、図17のグラフ1702に示すように、結果が方法1よりも優れているとすることができるが、その理由は、I/Q補正プリコーダによる電力損失が発生しないからである。
0211
これまでは、異なる方法の比較は、図17の場合のように限定された1組の伝播シナリオのみを考慮することによって行った。これ以降、理想的なi.i.d.(独立かつ同一分散された)チャネルにおけるこれらの方法の相対結果が測定される。DIDO−OFDMシステムは、送受信側でのI/Q位相及び利得不均衡によるシミュレーションを提供する。図18は、送信側での利得不均衡だけに対する提案する方法の結果を示す(すなわち、第1の送信チェーンの1つのレール上で0.8の利得、他のレール上で1の利得)。方法3は、全ての他の方法よりも結果が優れていることが認められる。また、方法1は、図17のグラフ1702の2つの位置で取得した結果とは対照的に、i.i.d.チャネル内では方法2よりも良好な結果である。
0212
すなわち、上述のDIDO−OFDMシステム内でのI/Q不均衡を補正する3つの新規な方法を考慮すると、方法3は、他の提案する補正方法よりも結果が優れている。低速フィードバックチャネルを有するシステムにおいては、方法2を使用して、SER結果の悪化の代償としてDIDOプリコーダに必要とされるフィードバック量を低減することができる。
0213
II.適応DIDO送信方式
分散入力分散出力(DIDO)システムの性能を改善するシステム及び方法の別の実施形態に対してここで説明する。本方法は、ある一定のターゲット誤り率を満たすと同時にスループットを増大させるように変化するチャネル状態を追跡することによって異なるユーザ装置に無線リソースを動的に割り当てる。ユーザ装置は、チャネル品質を推定して基地局にフィードバックし、基地局は、ユーザ装置から得られたチャネル品質を処理して次の送信に向けてユーザ装置、DIDO方式、変調/符号化方式(MCS)、及びアレイ構成の最良の組を選択し、基地局は、プリコーディングを通じて複数ユーザ装置に並列データを送信し、信号は、受信機で復調される。
0214
リソースをDIDO無線リンクに効率的に割り当てるシステムに対しても説明する。システムは、ユーザから受信したフィードバックを処理して次の送信に向けてユーザ、DIDO方式、変調/符号化方式(MCS)、及びアレイ構成の最良の組を選択するDIDO構成器を有するDIDO基地局、DIDOフィードバック信号を生成するためにチャネル及び他の関連のパラメータを測定するDIDOシステムにおける受信機、及びユーザから基地局にフィードバック情報を伝達するDIDOフィードバック制御チャネルを含む。
0215
以下で詳細に説明するように、本発明のこの実施形態の有意な特徴の一部には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
0216
SERを最小にするか又はユーザ当たりの又はダウンリンクのスペクトル効率を最大にするために、チャネル品質情報に基づいていくつかのユーザ、DIDO送信方式(すなわち、アンテナ選択又は多重化)、変調/符号化方式(MCS)、及びアレイ構成を適応選択する技術。
0217
DIDO方式及びMCSの組合せとしてDIDO送信モードの組を定める技術。
0219
チャネル品質に基づいて異なるユーザに異なるDIDOにモードを動的に割り当てる技術。
0220
時間領域、周波数領域、及び空間領域において計算されたリンク品質測定基準に基づいて適応DIDOスイッチングを可能にする判断基準。
0221
ルックアップテーブルに基づいて適応DIDOスイッチングを可能にする判断基準。
0222
SERを最小にするか又はユーザ当たりの又はダウンリンクのスペクトル効率を最大にするために、チャネル品質情報に基づいていくつかのユーザ、DIDO送信方式(すなわち、アンテナ選択又は多重化)、変調/符号化方式(MCS)、及びアレイ構成を適応選択する図19の場合と同様に基地局でのDIDO構成器を有するDIDOシステム。
0223
受信機で推定チャネル状態及び/又はSNRのような推定された他のパラメータを使用してDIDO構成器への入力であるフィードバックメッセージを生成する図20の場合のように基地局でのDIDO構成器及び各ユーザ装置でのDIDOフィードバック発生器を有するDIDOシステム。
0224
基地局でのDIDO構成器、DIDOフィードバック発生器、及びユーザからのDIDO専用構成情報を基地局に伝達するDIDOフィードバック制御チャネルを有するDIDOシステム。
0225
a.背景
多重入力多重出力(MIMO)システム内においては、直交時空間ブロックコード(OSTBC)のようなダイバーシチ方式(V.Tarokh、H.Jafarkhani、及びA.R.Calderbank共著「直交配列法による時空間ブロックコード」、情報理論に関するIEEE会報、第45巻、1456〜467頁、1999年7月を参照されたい)、又はアンテナ選択(R.W.Heath.Jr.S.Sandhu、及びA.J.Paulraj共著「線形受信機を有する空間多重化システムのアンテナ選択」、通信に関するIEEE会報、第5巻、pp.142〜144頁、2001年4月を参照されたい)は、チャネルフェーディングに対処して受信範囲の改善になるリンク堅牢性の増大をもたらすと考えられる。一方、空間多重化(SM)により、システムスループットを改善する手段として複数の並列データストリームの送信が可能である。G.J.Foschini、G.D.Golden、R.A.Valenzuela、及びP.W.Wolniansky共著「多素子アレイを使用する高スペクトル効率無線通信の簡素化した処理」、通信の選択分野に関するIEEE学会論文集、第17巻、第11号、1841〜1852頁、1999年11月を参照されたい。これらの恩典は、L.Zheng及びD.N.C.Tse共著「ダイバーシチ及び多重化:多重アンテナチャネルの基本的なトレードオフ」、情報理論に関するIEEE会報、第49巻、第5号、1073〜1096頁、2003年5月において導出された理論的なダイバーシチ/多重化トレードオフに従ってMIMOシステムにおいて同時に達成することができる。1つの実際的な実施例は、変化中のチャネル条件を追跡することによってダイバーシチと多重化送信方式との間で適応的に切り換えることである。
0226
いくつかの適応MIMO送信技術が提案されている。R.W.Heath.Jr.、S.Sandhu、及びA.J.Paulraj共著「MIMOシステムにおいてダイバーシチと多重化間のスイッチング」、通信に関するIEEE会報、第53巻、第6号、962〜968頁、2005年6月におけるダイバーシチ/多重化スイッチング方法は、瞬間的なチャネル品質情報に基づいて一定の速度により送信に向けてBER(ビット誤り率)を改善するようなものであった。代替的に、S.Catreux、V.Erceg、D.Gesbert、及びR.W.Heath.Jr.共著「ブロードバンド無線データ通信ネットワークのための適応変調及びMIMO符号化」、IEEE通信雑誌、第2巻、108〜115頁、2002年6月(Catreux)の場合のように、統計チャネル情報を使用して適応を可能にすることができ、結果として、フィードバックオーバーヘッド及び制御メッセージ数の低減になる。Catreuxの適応送信アルゴリズムは、チャネル時間/周波数選択性指標に基づいて直交周波数分割多重(OFDM)システムにおいて所定のターゲット誤り率に対してスペクトル効率を改善するように設計されたものである。ダイバーシチ方式と空間多重化間でスイッチングを行うチャネル空間選択性を利用する類似の低フィードバック適応手法が狭帯域システムに提案されている。例えば、2007年3月の「Veh.Tech.」に関するIEEE会報に受諾されたA.Forenza、M.R.McKay、A.Pandharipande、R.W.Heath.Jr.、及びI.B.Collings共著「空間相関チャネルの機能を利用する適応MIMO送信」、2007年12月に「Veh.Tech.」に関するIEEE会報に受諾されたM.R.McKay、I.B.Collings、A.Forenza、及びR.W.Heath.Jr.共著「空間相関レイリーチャネルにおける符号化MIMOの多重化/ビーム形成スイッチング」、A.Forenza、M.R.McKay、R.W.Heath.Jr.、及びI.B.Collings共著「空間相関MIMOチャネルにおける線形受信機によりOSTBCと空間多重化間のスイッチング」、「Veh.Technol Conf.」IEEE講演論文集、第3巻、1387〜1391頁、2006年5月、2006年6月にIEEE−ICC講演論文集に掲載される予定であるM.R.McKay、I.B.Collings、A.Forenza、及びR.W.Heath.Jr.共著「空間相関チャネルのためのスループットに基づく適応MIMO−BICM手法」を参照されたい。
0227
本明細書において、本発明者は、DIDO−OFDMシステムに様々な以前の文献で公開された業績の適用範囲を拡張する。例えば、R.W.Heath.Jr.S.Sandhu、及びA.J.Paulraj共著「MIMOシステムにおいてダイバーシチと多重化間のスイッチング」、通信に関するIEEE会報、第53巻、第6号、962〜968頁、2005年6月、S.Catreux、V.Erceg、D.Gesbert、及びR.W.Heath.jr.共著「ブロードバンド無線データ通信ネットワークのための適応変調及びMIMO符号化」、IEEE通信雑誌、第2巻、108〜115頁、2002年6月(Catreux)、A.Forenza、M.R.McKay、A.Pandharipande、R.W.Heath.Jr.、及びI.B.Collings共著「空間相関チャネルの機能を利用する適応MIMO送信」、「Veh.Tech.」に関するIEEE会報、第56巻、第2号、619〜630頁、2007年3月、2007年12月に「Veh.Tech.」に関するIEEE会報に受諾されたM.R.McKay、I.B.Collings、A.Forenza、及びR.W.Heath.Jr.共著「空間相関レイリーチャネルにおける符号化MIMOの多重化/ビーム形成スイッチング」、A.Forenza、M.R.McKay、R.W.Heath.Jr.、及びI.B.Collings共著「空間相関MIMOチャネルにおける線形受信機によりOSTBCと空間多重化間のスイッチング」、「Veh.Technol Conf.」IEEE講演論文集、第3巻、1387〜1391頁、2006年5月、2006年6月にIEEE−ICC講演論文集に掲載される予定であるM.R.McKay、I.B.Collings、A.Forenza、及びR.W.Heath.Jr.共著「空間相関チャネルのためのスループットに基づく適応MIMO−BICM手法」を参照されたい。