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技術 炭素繊維三次元構造体及びその製造方法

出願人 学校法人龍谷大学
発明者 森正和
出願日 2019年2月6日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2019-019497
公開日 2020年8月20日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-125526
状態 未査定
技術分野 不織物 その他の表面処理 積層体(2)
主要キーワード 正面写真 表面気孔 扇形ノズル 合計本数 コーティング状 正面投影 吹付速度 脆性材料構造物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年8月20日)のものです。
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図面 (20)

課題

炭素繊維表面処理を施すことなく高密度かつ多面積な炭素繊維三次元構造体を効率的に形成できる方法であって、炭素繊維の付着効率充填率を共に高いレベル両立することができる炭素繊維三次元構造体の製造方法、及び当該製造方法によって得られる炭素繊維三次元構造体を提供する。

解決手段

基材炭素短繊維を吹き付けることにより炭素繊維三次元構造体を形成させる方法であって、炭素短繊維は平均繊維長が130〜180μmであり、炭素短繊維の繊維長分布において、繊維長が500μm以上の割合が1〜5%、繊維長が50μm以下の割合が5〜20%であり、エアロゾルデポジション法を用いて炭素短繊維を前記基材に吹き付けること、を特徴とする炭素繊維三次元構造体の製造方法。

概要

背景

炭素繊維の優れた電気的特性及び熱的特性活用でき、各種母材に対する強化材触媒担体等としても利用できる三次元構造体として、炭素短繊維集合体である三次元構造体が注目されており、その構造や製造方法が種々検討されている。

例えば、特許文献1(特開2014−240123号公報)に記載の三次元繊維構造体においては、基材短繊維を吹き付けることにより当該短繊維を基材に結合させてなる三次元繊維構造体であって、当該基材はゲル状の固体または空隙を有する多孔質体であって、当該固体の表面又は空隙部分に短繊維を刺し込ませることにより、短繊維を基材に結合させている三次元繊維構造体、が開示されている。

上記特許文献1に記載の三次元繊維構造体では、基材に短繊維を高密度で吹き付けた三次元繊維構造体とすることができることから、高密度で多表面積の三次元繊維構造体を提供することができる、としている。

また、基材上に微細粒子からなる三次元構造体を形成させる方法としては、特許文献2(特開2010−121203号公報)に、多孔質基材上にエアロゾルデポジション法により緻密様脆性材料構造物が形成された複合構造物の製造方法であって、多孔質基材は三次元網目構造状の連続気孔を有し、且つ、多孔質基材の表面であって緻密質脆性材料構造物との界面を形成する表面は連続気孔と連通する表面気孔を有するものであり、表面気孔に選択的に脆性材料微粒子圧粉体様構造物を形成させる第一の工程を行い、その後に、エアロゾルデポジション法により脆性材料微粒子を噴射し、表面気孔に選択的に脆性材料微粒子の圧粉体様構造物が形成された多孔質基材の表面に脆性微粒子衝突させることで、多孔質基材の表面に脆性材料微粒子と同じ構成材料からなる緻密様脆性材料構造物を形成させる第二の工程を行なうことを特徴とする複合構造物の製造方法、が開示されている。

上記特許文献2に記載の複合構造物の製造方法においては、上記工程を有していることにより、エアロゾルデポジション法で作製することが従来困難であったセラミックスや金属の多孔質基材の表面に緻密な脆性材料構造物が形成された複合構造物を作製することが可能となる、としている。

また、本発明者も炭素繊維からなる三次元構造体の製造方法について検討を行っており、特許文献3(特開2018−161766号公報)において、基材に炭素短繊維を吹き付けることにより炭素繊維三次元構造体を形成させる方法であって、炭素短繊維に対して熱処理及び/又は液相酸化法を用いた表面処理を施し、吹付用炭素短繊維を得る第一工程と、エアロゾルデポジション法を用いて吹付用炭素短繊維を基材に吹き付ける第二工程と、を有すること、を特徴とする炭素繊維三次元構造体の製造方法、を提案している。

上記特許文献3に記載の炭素繊維三次元構造体の製造方法においては、表面処理を施した炭素繊維をエアロゾルデポジション法により基材に吹き付けることで、炭素繊維の種類を問わず高密度かつ多面積な三次元構造体を効率的に形成でき、三次元繊維構造体の厚膜化を達成することができる。

概要

炭素繊維に表面処理を施すことなく高密度かつ多面積な炭素繊維三次元構造体を効率的に形成できる方法であって、炭素繊維の付着効率充填率を共に高いレベル両立することができる炭素繊維三次元構造体の製造方法、及び当該製造方法によって得られる炭素繊維三次元構造体を提供する。基材に炭素短繊維を吹き付けることにより炭素繊維三次元構造体を形成させる方法であって、炭素短繊維は平均繊維長が130〜180μmであり、炭素短繊維の繊維長分布において、繊維長が500μm以上の割合が1〜5%、繊維長が50μm以下の割合が5〜20%であり、エアロゾルデポジション法を用いて炭素短繊維を前記基材に吹き付けること、を特徴とする炭素繊維三次元構造体の製造方法。なし

目的

上記特許文献1に記載の三次元繊維構造体では、基材に短繊維を高密度で吹き付けた三次元繊維構造体とすることができることから、高密度で多表面積の三次元繊維構造体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

基材炭素短繊維を吹き付けることにより炭素繊維三次元構造体を形成させる方法であって、前記炭素短繊維は平均繊維長が130〜180μmであり、前記炭素短繊維の繊維長分布において、繊維長が500μm以上の割合が1〜5%、繊維長が50μm以下の割合が5〜20%であり、エアロゾルデポジション法を用いて前記炭素短繊維を前記基材に吹き付けること、を特徴とする炭素繊維三次元構造体の製造方法。

請求項2

前記エアロゾルデポジション法に扇形ノズルを用いること、を特徴とする請求項1に記載の炭素繊維三次元構造体の製造方法。

請求項3

前記炭素短繊維がミルドファイバーであること、を特徴とする請求項1又は2に記載の炭素繊維三次元構造体の製造方法。

請求項4

前記炭素短繊維の平均直径が5〜15μmであること、を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の炭素繊維三次元構造体の製造方法。

請求項5

炭素短繊維同士が三次元的に絡み合った炭素繊維三次元構造体であって、前記炭素短繊維は繊維長が500μm以上の炭素短繊維(500)と繊維長が50μm以下の炭素短繊維(50)を含み、式(1)で求められる前記炭素繊維三次元構造体における前記炭素短繊維の充填率が0.005以上であること、を特徴とする炭素繊維三次元構造体。炭素繊維三次元構造体の重量(g)/炭素繊維三次元構造体の正面投影図から算出される面積(mm2)(1)

請求項6

前記炭素繊維三次元構造体の高さ方向に前記炭素短繊維(500)が配向し、前記炭素繊維三次元構造体の幅方向に前記炭素短繊維(50)が配向していること、を特徴とする請求項5に記載の炭素繊維三次元構造体。

請求項7

前記炭素短繊維の平均直径が5〜15μmであること、を特徴とする請求項5又は6に記載の炭素繊維三次元構造体。

技術分野

0001

本発明は炭素繊維三次元構造体及びその製造方法に関し、より具体的には、炭素短繊維が三次元的に絡み合った炭素繊維構造体及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

炭素繊維の優れた電気的特性及び熱的特性活用でき、各種母材に対する強化材触媒担体等としても利用できる三次元構造体として、炭素短繊維の集合体である三次元構造体が注目されており、その構造や製造方法が種々検討されている。

0003

例えば、特許文献1(特開2014−240123号公報)に記載の三次元繊維構造体においては、基材短繊維を吹き付けることにより当該短繊維を基材に結合させてなる三次元繊維構造体であって、当該基材はゲル状の固体または空隙を有する多孔質体であって、当該固体の表面又は空隙部分に短繊維を刺し込ませることにより、短繊維を基材に結合させている三次元繊維構造体、が開示されている。

0004

上記特許文献1に記載の三次元繊維構造体では、基材に短繊維を高密度で吹き付けた三次元繊維構造体とすることができることから、高密度で多表面積の三次元繊維構造体を提供することができる、としている。

0005

また、基材上に微細粒子からなる三次元構造体を形成させる方法としては、特許文献2(特開2010−121203号公報)に、多孔質基材上にエアロゾルデポジション法により緻密様脆性材料構造物が形成された複合構造物の製造方法であって、多孔質基材は三次元網目構造状の連続気孔を有し、且つ、多孔質基材の表面であって緻密質脆性材料構造物との界面を形成する表面は連続気孔と連通する表面気孔を有するものであり、表面気孔に選択的に脆性材料微粒子圧粉体様構造物を形成させる第一の工程を行い、その後に、エアロゾルデポジション法により脆性材料微粒子を噴射し、表面気孔に選択的に脆性材料微粒子の圧粉体様構造物が形成された多孔質基材の表面に脆性微粒子衝突させることで、多孔質基材の表面に脆性材料微粒子と同じ構成材料からなる緻密様脆性材料構造物を形成させる第二の工程を行なうことを特徴とする複合構造物の製造方法、が開示されている。

0006

上記特許文献2に記載の複合構造物の製造方法においては、上記工程を有していることにより、エアロゾルデポジション法で作製することが従来困難であったセラミックスや金属の多孔質基材の表面に緻密な脆性材料構造物が形成された複合構造物を作製することが可能となる、としている。

0007

また、本発明者も炭素繊維からなる三次元構造体の製造方法について検討を行っており、特許文献3(特開2018−161766号公報)において、基材に炭素短繊維を吹き付けることにより炭素繊維三次元構造体を形成させる方法であって、炭素短繊維に対して熱処理及び/又は液相酸化法を用いた表面処理を施し、吹付用炭素短繊維を得る第一工程と、エアロゾルデポジション法を用いて吹付用炭素短繊維を基材に吹き付ける第二工程と、を有すること、を特徴とする炭素繊維三次元構造体の製造方法、を提案している。

0008

上記特許文献3に記載の炭素繊維三次元構造体の製造方法においては、表面処理を施した炭素繊維をエアロゾルデポジション法により基材に吹き付けることで、炭素繊維の種類を問わず高密度かつ多面積な三次元構造体を効率的に形成でき、三次元繊維構造体の厚膜化を達成することができる。

先行技術

0009

特開2014−240123号公報
特開2010−121203号公報
特開2018−161766号公報

発明が解決しようとする課題

0010

しかしながら、上記特許文献1に記載の三次元繊維構造体の製造に用いることができる炭素繊維はPAN系の炭素繊維に限られ、高い弾性率を有するピッチ系の炭素繊維を用いることができない。また、得られる三次元繊維構造体の厚さや形成速度も十分とは言い難い。更に、上記特許文献2に記載の複合構造物の製造方法は微粒子を堆積させるものであり、原料として炭素短繊維を用いることは想定されておらず、炭素短繊維からなる三次元構造体を効率的に得ることはできない。

0011

また、上記特許文献3に記載の炭素繊維三次元構造体の製造方法を用いることで、炭素繊維三次元構造体を効率的に形成でき、三次元繊維構造体の厚膜化が可能である。しかしながら、炭素繊維への表面処理が必須であり、製造工程が複雑化し、製造コストも増加してしまう。また、エアロゾルデポジション法による炭素繊維の付着効率と炭素繊維三次元構造体の充填率トレードオフの関係にあり、高い付着効率と充填率を両立させることは極めて困難である。

0012

以上のような状況に鑑み、本発明の目的は、炭素繊維に表面処理を施すことなく高密度かつ多面積な炭素繊維三次元構造体を効率的に形成できる方法であって、炭素繊維の付着効率と充填率を共に高いレベルで両立することができる炭素繊維三次元構造体の製造方法、及び当該製造方法によって得られる炭素繊維三次元構造体を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明者は、上記目的を達成すべく炭素短繊維の三次元構造体化手法について鋭意研究を重ねた結果、炭素短繊維の平均繊維長及び長い炭素繊維の割合と短い炭素繊維の割合を最適化すること等が上記目的を達成する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。

0014

即ち、本発明は、
基材に炭素短繊維を吹き付けることにより炭素繊維三次元構造体を形成させる方法であって、
前記炭素短繊維は平均繊維長が130〜180μmであり、
前記炭素短繊維の繊維長分布において、繊維長が500μm以上の割合が1〜5%、繊維長が50μm以下の割合が5〜20%であり、
エアロゾルデポジション法を用いて前記炭素短繊維を前記基材に吹き付けること、
を特徴とする炭素繊維三次元構造体の製造方法、を提供する。
ここで、繊維長分布に関する割合は、炭素短繊維の合計本数に対する該当炭素繊維の本数の割合である。

0015

本発明の炭素繊維三次元構造体の製造方法においては、炭素短繊維の平均長さを130μm以上とすることで炭素短繊維同士が互いに三次元的に絡み合って効率的に三次元構造体化することができる。また、平均長さを180μm以下とすることで、炭素短繊維の局所的な凝集を抑制することができると共に、三次元的に連続する絡み合いを実現することができ、均質な三次元構造体を形成することができる。ここで、より好ましい平均繊維長は140〜170μmであり、最も好ましい平均繊維長は155〜165μmである。

0016

また、炭素短繊維の繊維長分布において、繊維長が500μm以上の割合を1〜5%とすることで、炭素繊維三次元構造体の骨格構造を効率的に形成させることができる。加えて、繊維長が50μm以下の割合を5〜20%とすることで、繊維長が500μm以上の炭素短繊維からなる骨格構造の中に比較的短い炭素短繊維が効率的に高充填される。その結果、炭素短繊維の高い付着効率と炭素繊維三次元構造体の高い充填率を両立させることができる。より具体的には、平均繊維長が130〜180μmのPAN系炭素短繊維を用いた場合に、20%以上の付着効率と0.005以上の充填率を実現することができる。ここで、繊維長が500μm以上の割合は2〜5%とすることがより好ましく、3〜5%とすることが最も好ましい。また、繊維長が50μm以下の割合は10〜18%とすることがより好ましく、13〜15%とすることが最も好ましい。

0017

ここで、付着効率は、吹き付けた炭素短繊維の重量と炭素繊維三次元構造体の重量から求めることができる。充填率20%とは、炭素繊維三次元構造体の重量が吹き付けた炭素短繊維の重量の20%であることを意味している。また、本願発明における充填率は、炭素繊維三次元構造体の重量(g)を炭素繊維三次元構造体の面積(mm2)で除した値である。炭素繊維三次元構造体の面積は、炭素繊維三次元構造体を正面から撮影し、得られた正面写真における炭素繊維三次元構造体の領域を使用する。

0018

基材に炭素短繊維を吹き付けるエアロゾルデポジションの方法は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の装置やプロセス条件を用いることができる。例えば、炭素短繊維の吹付速度は50〜200m/secとすることができ、50m/sec以上とすることで炭素短繊維同士を十分に絡み合わせることができ、200m/sec以下とすることで炭素短繊維の局所的な凝集を抑制することができる。

0019

炭素繊維はPAN系とピッチ系に大別できる。炭素繊維の種類は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の炭素短繊維を用いることができるが、PAN系の炭素短繊維を用いることが好ましい。PAN系の炭素繊維はピッチ系と比較して弾性率が低く、比較的容易に三次元構造体を形成させることができる。

0020

また、本発明の炭素繊維三次元構造体の製造方法においては、前記エアロゾルデポジション法に扇形ノズルを用いること、が好ましい。扇形ノズルを用いることで、炭素短繊維の付着効率と炭素繊維三次元構造体の充填率を高い値で両立しやすくなるだけでなく、各種基材に対して均一なコーティング状の炭素繊維三次元構造体を形成させることもできる。

0021

また、本発明の炭素繊維三次元構造体の製造方法においては、前記炭素短繊維がミルドファイバーであること、が好ましい。ミルドファイバーは粉砕時間等によって繊維長分布を制御することができ、粉砕条件の最適化によって、平均繊維長が130〜180μm、繊維長が500μm以上の割合が1〜5%、繊維長が50μm以下の割合が5〜20%の炭素短繊維を得ることができる。

0022

更に、本発明の炭素繊維三次元構造体の製造方法においては、前記炭素短繊維の平均直径が5〜15μmであること、が好ましい。炭素短繊維の平均直径を5μm以上とすることでエアロゾルデポジションによる炭素繊維三次元構造体の製造効率担保することができ、15μm以下とすることで、十分な比表面積及び複雑構造を有する炭素繊維三次元構造体を得ることができる。

0023

また、本発明は、
炭素短繊維同士が三次元的に絡み合った炭素繊維三次元構造体であって、
前記炭素短繊維は繊維長が500μm以上の炭素短繊維(500)と繊維長が50μm以下の炭素短繊維(50)を含み、
式(1)で求められる前記炭素繊維三次元構造体における前記炭素短繊維の充填率が0.005以上であること、
を特徴とする炭素繊維三次元構造体、も提供する。
炭素繊維三次元構造体の重量(g)/炭素繊維三次元構造体の正面投影図から算出される面積(mm2) (1)

0024

本発明の炭素繊維三次元構造体においては、繊維長が500μm以上の炭素短繊維(500)によって構成される骨格構造の内部に繊維長が50μm以下の炭素短繊維(50)が高充填されており、式(1)で定義される充填率が0.005以上となっている。充填率が0.005以上となることで、炭素繊維三次元構造体は実用上の取り扱いに問題がない程度の変形抵抗具備している。

0025

本発明の炭素繊維三次元構造体においては、前記炭素繊維三次元構造体の高さ方向に前記炭素短繊維(500)が配向し、前記炭素繊維三次元構造体の幅方向に前記炭素短繊維(50)が配向していること、が好ましい。ここで、「高さ方向」とは基材に対して垂直方向であり、「幅方向」とは基材表面に対して平行な方向である。

0026

繊維長が500μm以上の比較的長い炭素短繊維(500)が高さ方向に配向し、骨格構造を形成することで、厚い炭素繊維三次元構造体とすることができる。また、炭素短繊維(500)の骨格構造の内部において、比較的短い炭素短繊維(50)が炭素繊維三次元構造体の幅方向(炭素短繊維(500)に対して略垂直方向)に配向することで、高い充填率の炭素繊維三次元構造体とすることができる。

0027

また、本発明の炭素繊維三次元構造体においては、前記炭素短繊維の平均直径が5〜15μmであること、が好ましい。炭素短繊維の平均直径を5μm以上とすることで、炭素繊維三次元構造体の全体を均一な構造とすることができ、15μm以下とすることで、十分な比表面積及び複雑構造を有する炭素繊維三次元構造体とすることができる。

0028

また、本発明の炭素繊維三次元構造体においては、炭素繊維三次元構造体を構成する炭素短繊維の平均繊維長が130〜180μmであり、炭素短繊維(500)の割合が1〜5%、炭素短繊維(50)の割合が5〜20%であることが好ましい。炭素繊維三次元構造体を構成する炭素短繊維がこれらの要件を具備することで、高い充填率を有する厚い炭素繊維三次元構造体とすることができる。

0029

本発明の炭素繊維三次元構造体においては、炭素繊維の種類は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の炭素短繊維とすることができるが、PAN系の炭素短繊維とすることが好ましい。PAN系の炭素繊維はピッチ系と比較して弾性率が低く、炭素繊維三次元構造体の充填率を高くすることができる。

0030

本発明の炭素繊維三次元構造体は、本発明の炭素繊維三次元構造体の製造方法を用いて好適に得ることができる。

発明の効果

0031

本発明によれば、炭素繊維に表面処理を施すことなく高密度かつ多面積な炭素繊維三次元構造体を効率的に形成できる方法であって、炭素繊維の付着効率と充填率を共に高いレベルで両立することができる炭素繊維三次元構造体の製造方法、及び当該製造方法によって得られる炭素繊維三次元構造体を提供することができる。

図面の簡単な説明

0032

本発明の炭素繊維三次元構造体の概略外観図である。
粉砕時間を6sとして得られたトレカの外観写真である。
トレカMLD−300の繊維長分布を示すグラフである。
6sの粉砕処理を施したトレカの繊維長分布を示すグラフである。
扇型ノズルの外観写真である。
円管ノズルの外観写真である。
扇型ノズルを用いてトレカMLD−300を吹き付けて得られた炭素繊維三次元構造体の正面写真である。
扇型ノズルを用いて6sの粉砕処理を施したトレカを吹き付けて得られた炭素繊維三次元構造体の正面写真である。
円管ノズルを用いてトレカMLD−300を吹き付けて得られた炭素繊維三次元構造体の正面写真である。
円管ノズルを用いて6sの粉砕処理を施したトレカを吹き付けて得られた炭素繊維三次元構造体の正面写真である。
粉砕処理時間を5sとして得られたトレカの外観写真である。
粉砕処理時間を15sとして得られたトレカの外観写真である。
5sの粉砕処理を施したトレカの繊維長分布を示すグラフである。
15sの粉砕処理を施したトレカの繊維長分布を示すグラフである。
扇型ノズルを用いて5sの粉砕処理を施したトレカを吹き付けて得られた炭素繊維三次元構造体の正面写真である。
扇型ノズルを用いて15sの粉砕処理を施したトレカを吹き付けて得られた炭素繊維三次元構造体の正面写真である。
円管ノズルを用いて5sの粉砕処理を施したトレカを吹き付けて得られた炭素繊維三次元構造体の正面写真である。
円管ノズルを用いて15sの粉砕処理を施したトレカを吹き付けて得られた炭素繊維三次元構造体の正面写真である。
扇型ノズルを用いた場合の付着効率及び充填率の関係を示すグラフである。
円管ノズルを用いた場合の付着効率及び充填率の関係を示すグラフである。
粉砕処理時間6sのトレカを使用して得られた炭素繊維三次元構造体のSEM写真である。

0033

以下、本発明の炭素繊維三次元構造体及びその製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明の一実施形態を示すに過ぎず、これらによって本発明が限定されるものではなく、また、重複する説明は省略することがある。

0034

(1)炭素繊維三次元構造体の製造方法
本発明の炭素繊維三次元構造体の製造方法は、平均繊維長及び繊維長分布を調整した炭素短繊維をエアロゾルデポジション法で基材に吹き付けるものである。以下、当該製造方法について詳しく説明する。

0035

(1−1)炭素短繊維の平均繊維長及び繊維長分布の調整
本発明の炭素繊維三次元構造体の製造方法では、平均繊維長が130〜180μm、繊維長が500μm以上の割合が1〜5%、繊維長が50μm以下の割合が5〜20%である炭素短繊維を原料に用いる。当該要件を具備する炭素短繊維を入手可能であればそのまま使用すればよいが、入手できない場合は適当な粉砕機を用いることで平均繊維長及び繊維長分布を調整することができる。

0036

粉砕機で処理する炭素繊維は特に限定されないが、例えば、繊維長が数mmの炭素繊維を市販の粉砕機で数秒〜数十秒処理することで、平均繊維長を130〜180μm、繊維長が500μm以上の割合を1〜5%、繊維長が50μm以下の割合を5〜20%とすることができる。なお、異なる条件で粉砕した炭素短繊維を適当にブレンドしてもよい。

0037

炭素短繊維の繊維長の測定方法は特に限定されず、従来公知の種々の方法を用いればよいが、例えば、実体顕微鏡で5000本以上の炭素短繊維を観察し、得られた観察画像を適当な画像処理ソフトで処理することで、平均繊維長及び繊維長分布を求めることができる。

0038

炭素短繊維にはPAN系炭素短繊維を用いることが好ましい。PAN系の炭素繊維はピッチ系と比較して弾性率が低く、比較的容易に三次元構造体を形成させることができる。また、炭素短繊維の平均直径は5〜15μmとすることが好ましい。炭素短繊維の平均直径を5μm以上とすることでエアロゾルデポジションによる炭素繊維三次元構造体の製造効率を担保することができ、15μm以下とすることで、十分な比表面積及び複雑構造を有する炭素繊維三次元構造体を得ることができる。

0039

(1−2)エアロゾルデポジション法による基材への吹付
適当な基材に対して炭素短繊維を吹き付けることで、炭素繊維三次元構造体を得ることができる。

0040

エアロゾルデポジションの条件は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知のエアロゾルデポジションの条件を広く使用することができるが、基材に炭素短繊維を50〜200m/secの速度で吹き付けることが好ましい。吹付速度を50m/sec以上とすることで炭素短繊維同士を十分に絡み合わせることができ、200m/sec以下とすることで炭素短繊維の局所的な凝集を抑制することができる。

0041

なお、エアロゾルデポジション法の一般的な態様は、吹付装置を用いて炭素短繊維を基材に吹き付けるものである。吹付装置はキャリアガスとともに炭素短繊維を噴射ノズルから噴き出すものであり、基材と吹付装置とは、減圧可能としたチャンバ内で吹付装置の噴射ノズルを基材に向けて配置される。ここで、例えば、チャンバ内を1000Pa以下の減圧環境とすることで、基材へ炭素短繊維を吹き付けることができる。

0042

また、噴射ノズルは、炭素短繊維の吹き付け方向を基材の面方向と直交する方向とし、当該基材をX−Yテーブル等の移動手段によって炭素短繊維の吹き付け方向と直交する方向に移動可能させ、スキャニングを行うことで、面状の炭素繊維三次元構造体を製造することができる。なお、噴射ノズルを移動させることでスキャニングを行い、炭素短繊維を基材に面状に吹き付けてもよい。

0043

また、本発明の炭素繊維三次元構造体の製造方法においては、前記エアロゾルデポジション法に扇形ノズルを用いること、が好ましい。扇形ノズルを用いることで、炭素短繊維の付着効率と炭素繊維三次元構造体の充填率を高い値で両立しやすくなるだけでなく、各種基材に対して均一なコーティング状の炭素繊維三次元構造体を形成させることもできる。

0044

また、基材は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の基材を用いることができるが、フェルト等の不織布を用いることが好ましい。基材に不織布を用いた場合、吹き付けられた炭素短繊維は当該不織布の空隙部分に刺し込まれると共に、不織布の繊維と炭素短繊維とが互いに絡み合って強固に接合することから、三次元構造体を効率的に製造することができる。

0045

(2)炭素繊維三次元構造体
本発明の炭素繊維三次元構造体の製造方法によって、効率的に炭素繊維三次元構造体を得ることができる。図1当該炭素繊維三次元構造体の概略外観図を示す。

0046

炭素繊維三次元構造体2は、炭素短繊維4同士が三次元的に互いに絡み合って三次元構造体化したものである。基材6の表面に炭素短繊維4を吹き付けることで製造することができるが、基材6と炭素繊維三次元構造体2とは製造後に切り離してもよい。

0047

炭素短繊維4は、繊維長が500μm以上の炭素短繊維(500)4aと繊維長が50μm以下の炭素短繊維(50)4bを含んでいる。炭素繊維三次元構造体2においては、炭素短繊維(500)4aによって構成される骨格構造の内部に炭素短繊維(50)4bが高充填されており、式(1)で定義される充填率が0.005以上となっている。充填率が0.005以上となることで、炭素繊維三次元構造体2は実用上の取り扱いに問題がない程度の変形抵抗を具備している。

0048

本願発明における充填率は、「炭素繊維三次元構造体の重量(g)/炭素繊維三次元構造体の正面投影図から算出される面積(mm2)」で定義され、炭素繊維三次元構造体2の面積は、炭素繊維三次元構造体2を正面から撮影し、得られた正面写真における炭素繊維三次元構造体2の領域を使用する。

0049

炭素繊維三次元構造体2においては、炭素繊維三次元構造体2の高さ方向に炭素短繊維(500)4aが配向し、炭素繊維三次元構造体2の幅方向に炭素短繊維(50)4bが配向していること、が好ましい。炭素短繊維(500)4aが高さ方向に配向し、骨格構造を形成することで、厚い炭素繊維三次元構造体2とすることができる。また、炭素短繊維(500)4aの骨格構造の内部において、比較的短い炭素短繊維(50)4bが炭素繊維三次元構造体2の幅方向(炭素短繊維(500)4aに対して略垂直方向)に配向することで、高い充填率の炭素繊維三次元構造体2とすることができる。

0050

炭素短繊維4の平均直径は5〜15μmであることが好ましい。炭素短繊維4の平均直径を5μm以上とすることで、炭素繊維三次元構造体2の全体を均一な構造とすることができ、15μm以下とすることで、十分な比表面積及び複雑構造を有する炭素繊維三次元構造体2とすることができる。

0051

また、炭素繊維三次元構造体2においては、炭素繊維三次元構造体2を構成する炭素短繊維4の平均繊維長が130〜180μmであり、炭素短繊維(500)4aの割合が1〜5%、炭素短繊維(50)4bの割合が5〜20%であることが好ましい。炭素短繊維4がこれらの要件を具備することで、高い充填率を有する厚い炭素繊維三次元構造体2とすることができる。

0052

炭素短繊維4の種類は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の炭素短繊維とすることができるが、PAN系の炭素短繊維とすることが好ましい。PAN系の炭素繊維はピッチ系と比較して弾性率が低く、炭素繊維三次元構造体2の充填率を高くすることができる。

0053

以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。例えば、炭素短繊維に他の短繊維や微細粒子等を適宜添加して三次元構造体とすることもできる。

0054

以下、実施例において本発明の炭素繊維三次元構造体及びその製造方法について更に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。

0055

≪実施例≫
炭素短繊維として平均繊維長が130μmとされているPAN系の炭素短繊維(東レ株式会社製,トレカMLD−300)を使用した。また、平均繊維長が3mmのPAN系の炭素短繊維(東レ株式会社製,トレカ)に対して粉砕処理を施し、異なる平均繊維長及び繊維長分布を有する炭素短繊維を調整した。トレカMLD−300及びトレカの平均繊維径及び物性値を表1に示す。

0056

0057

粉砕処理には大阪ケミカル社製のワンダブレンダーを用い、粉砕時間を6sに設定した。粉砕機は容量が150mL、内径がφ134mm×270mmであり、1gの炭素繊維を挿入して回転数25000rpmで粉砕処理を施した。得られた炭素短繊維の外観写真を図2に示す。

0058

次に、トレカMLD−300及び粉砕処理を施したトレカの平均繊維長及び繊維長分布を測定した。具体的には、測定する炭素短繊維を適量採取し、水中に分散させた。炭素短繊維が分散した水溶液を数滴ガラス板滴下し、実体顕微鏡(StemiSV11,カールツァイスイメージングジャパン社製)を用いて倍率1倍で撮影した。撮影した画像を画像処理ソフト(Image−Pro Premier, Media Cybernetics社製)を用いて処理し、繊維長を測定した。なお、測定対象の炭素短繊維は5000本とし、得られた値をエクセル解析した。

0059

実測によって求められたトレカMLD−300の平均繊維長は112μm、粉砕処理を施したトレカの平均繊維長は162μmであった。トレカMLD−300の繊維長分布及び粉砕処理を施したトレカの繊維長分布を図3及び図4にそれぞれ示す。

0060

図3及び図4のグラフから、トレカMLD−300における繊維長が500μm以上の割合は0.9%、繊維長が50μm以下の割合は22.5%であり、粉砕処理を施したトレカにおける繊維長が500μm以上の割合は3.6%、繊維長が50μm以下の割合は1.8%であった。即ち、粉砕処理を施したトレカは本発明の炭素繊維三次元構造体の製造方法における平均繊維長及び繊維長分布の要件を具備していることになる。一方で、トレカMLD−300は平均繊維長と繊維長分布の要件を共に具備していないことから、本発明に対する比較例となる。

0061

次に、エアロゾルデポジション法を用いて炭素短繊維をカーボンフェルト基材に吹き付けた。ここで、エアロゾルデポジションには幅1.5mmの扇型ノズル及び直径11mmの円管ノズルを用いた。扇型ノズル及び円管ノズルの外観写真を図5及び図6にそれぞれ示す。

0062

エアロゾルデポジションはキャリアガスにN2ガスを用いた。扇型ノズルの場合は流量を1.5L/min、円管ノズルの場合は流量を1.0L/minとし、10〜40Pa程度に減圧したチャンバ内の基材に対して300秒間吹き付けた。なお、噴射ノズルの先端から基材までの距離を扇型ノズルの場合は10mm、円管ノズルの場合は15mmとし、噴射ノズルは基材に対して垂直に配置した。

0063

扇型ノズルを用い、トレカMLD−300及び粉砕処理を施したトレカを吹き付けて得られた炭素繊維三次元構造体の正面写真を図7及び図8にそれぞれ示す。本発明の実施例となる粉砕処理を施したトレカを使用した場合、カーボンフェルト基材から高さ方向に炭素繊維三次元構造体が成長し、厚い炭素繊維三次元構造体が形成されている。一方で、トレカMLD−300を使用した場合は、炭素繊維三次元構造体が高さ方向に殆ど成長していない。

0064

扇型ノズルを用いた場合に関して、原料として使用した炭素短繊維の重量、付着量(炭素繊維三次元構造体の重量)及びこれらの値から求められる付着効率を表2に示す。トレカMLD−300を用いた場合の付着効率は11.8%に留まっているが、粉砕処理を施したトレカを用いた場合は28.2%に達している。

0065

0066

次に、扇形ノズルを用いて得られた炭素繊維三次元構造体の充填率を測定した。表2に記載の炭素繊維三次元構造体の重量(g)と炭素繊維三次元構造体の面積(mm2)から充填率を測定したところ、トレカMLD−300を用いた場合は0.0081、粉砕処理を施したトレカを用いた場合は0.0060であった。なお、炭素繊維三次元構造体の面積は、画像処理ソフト(ImageJ)を用いてカーボンフェルト基材表面に形成された炭素繊維三次元構造体の正面写真を二値化し、炭素繊維三次元構造体の領域のみを特定して算出した。

0067

円管ノズルを用い、トレカMLD−300及び粉砕処理を施したトレカを吹き付けて得られた炭素繊維三次元構造体の正面写真を図9及び図10にそれぞれ示す。本発明の実施例となる粉砕処理を施したトレカを使用した場合、カーボンフェルト基材から高さ方向に炭素繊維三次元構造体が成長し、厚い炭素繊維三次元構造体が形成されている。一方で、トレカMLD−300を使用した場合は、炭素繊維三次元構造体が高さ方向に殆ど成長していない。

0068

円管ノズルを用いた場合に関して、原料として使用した炭素短繊維の重量、付着量(炭素繊維三次元構造体の重量)及びこれらの値から求められる付着効率を表3に示す。トレカMLD−300を用いた場合の付着効率は6.0%に留まっているが、粉砕処理を施したトレカを用いた場合は31.2%に達している。

0069

0070

次に、円管ノズルを用いて得られた炭素繊維三次元構造体の充填率を測定した。表3に記載の炭素繊維三次元構造体の重量(g)と炭素繊維三次元構造体の面積(mm2)から充填率を測定したところ、トレカMLD−300を用いた場合は0.0080、粉砕処理を施したトレカを用いた場合は0.0053であった。なお、炭素繊維三次元構造体の面積は、画像処理ソフト(ImageJ)を用いてカーボンフェルト基材表面に形成された炭素繊維三次元構造体の正面写真を二値化し、炭素繊維三次元構造体の領域のみを特定して算出した。扇型ノズルを用いた場合と比較すると低い値となっているが、粉砕処理を施したトレカを原料とすることで良好な付着効率及び充填率が得られている。

0071

≪比較例≫
炭素短繊維として平均繊維長が3mmのPAN系の炭素短繊維(東レ株式会社製,トレカ)を用い、当該炭素短繊維に対する粉砕処理時間を5s又は15sとしたこと以外は実施例と同様にして、炭素繊維三次元構造体を形成させた。粉砕処理時間を5sとして得られた炭素短繊維の外観写真を図11に、粉砕処理時間を15sとして得られた炭素短繊維の外観写真を図12にそれぞれ示す。

0072

実施例と同様の方法で求められた、粉砕処理時間5sのトレカの平均繊維長は197μm、処理時間15sのトレカの平均繊維長は127μmであった。粉砕時間5sの場合の繊維長分布及び粉砕時間15sの場合の繊維長分布を図13及び図14にそれぞれ示す。

0073

図13及び図14のグラフから、粉砕時間5sの場合の繊維長が500μm以上の割合は6.4%、繊維長が50μm以下の割合は1.4%であり、粉砕処理時間15sの場合の繊維長が500μm以上の割合は1.6%、繊維長が50μm以下の割合は3.4%であった。即ち、粉砕処理を5s及び15s施したトレカは本発明の炭素繊維三次元構造体の製造方法における平均繊維長及び繊維長分布の要件を具備していない。

0074

扇型ノズルを用い、粉砕処理時間を5s及び15sとしたトレカを吹き付けて得られた炭素繊維三次元構造体の正面写真を図15及び図16にそれぞれ示す。炭素繊維三次元構造体は何れも先細りの形状となっており、高さ方向への成形は困難であることが分かる。

0075

扇型ノズルを用いた場合に関して、原料として使用した炭素短繊維の重量、付着量(炭素繊維三次元構造体の重量)及びこれらの値から求められる付着効率を表2に示す。粉砕処理時間5sの場合は38.1%、15sの場合は19.5%となっている。また、実施例と同様にして炭素繊維三次元構造体の充填率を測定したところ、粉砕処理時間5sの場合は0.0048、15sの場合は0.0076であった。当該結果より、付着効率が高い場合は充填率が低く、充填率が高い場合は付着効率が低くなり、これらを共に高い値とすることは困難であることが分かる。

0076

円管ノズルを用い、粉砕処理時間を5s及び15sとしたトレカを吹き付けて得られた炭素繊維三次元構造体の正面写真を図17及び図18にそれぞれ示す。炭素繊維三次元構造体は何れも先細りの形状となっており、高さ方向への成形は困難であることが分かる。

0077

円管ノズルを用いた場合に関して、原料として使用した炭素短繊維の重量、付着量(炭素繊維三次元構造体の重量)及びこれらの値から求められる付着効率を表3に示す。粉砕処理時間5sの場合は39.2%、15sの場合は10.7%となっている。また、実施例と同様にして炭素繊維三次元構造体の充填率を測定したところ、粉砕処理時間5sの場合は0.0035、15sの場合は0.0065であった。当該結果より、付着効率が高い場合は充填率が低く、充填率が高い場合は付着効率が低くなり、これらを共に高い値とすることは困難であることが分かる。また、円管ノズルを用いた場合は、扇型ノズルを用いた場合よりも基本的に低い値となっている。

0078

実施例及び比較例において、扇型ノズルを用いた場合及び円管ノズルを用いた場合の付着効率及び充填率の関係を図19及び図20にそれぞれ示す。何れの場合においても、付着効率と充填率はトレードオフの関係にあり、これらを共に高い値で両立させるためには、炭素短繊維の平均繊維長及び繊維長分布を厳密に制御する必要があることが分かる。具体的には、20%以上の付着効率と0.005以上の充填率を共に達成するためには、実施例において粉砕処理時間を6sとして得られる状態の炭素短繊維を使用することが好ましいと言える。

実施例

0079

実施例において、粉砕処理時間6sのトレカを使用して得られた炭素繊維三次元構造体のSEM写真を図21に示す。なお、炭素短繊維配向状況の確認を容易とするため、観察領域は炭素短繊維の充填密度が比較的低い、炭素繊維三次元構造体の高さ方向の先端領域とした。図21に示されている通り、長い炭素短繊維は高さ方向に配向しており、比較的短い炭素短繊維が高さ方向と略垂直に堆積している。ここで、長さが500μm以上の炭素短繊維は高さ方向に配向しており、長さが50μm以下の炭素短繊維は高さ方向と略垂直に堆積している。

0080

2・・・炭素繊維三次元構造体、
4・・・炭素短繊維、
4a・・・炭素短繊維(500)、
4b・・・炭素短繊維(50)、
6・・・基材。

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